平成22年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(片桐章浩議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 おはようございます。議長から御指名いただきました。お許しをいただきました。一般質問をさせていただきます。どうかよろしくお願いします。
 1問目であります。和歌山県の教育委員会と宇宙航空研究開発機構、通称「JAXA」と呼ばれるものですが、宇宙教育センターと、このたび和歌山県が宇宙教育に関する協定というのを締結しております。これに関しましては、和歌山県は全国のどの都市よりもこの分野における教育、講演会、こういったものを実施した経緯というのがあることから実現したのかなというふうに考えております。
 例えば、ことし7月、米国アラバマ州ハンツビルで実施されたボーイング2010年度・教師のためのスペース・キャンプ・プログラム、ここに日本代表として和歌山県教育委員会から指導主事が参加しております。このプログラムは、世界12カ国及びアメリカから102名の教師が参加したもので、日本からはただ1人、和歌山県から候補者が選出されている、こういう快挙であります。
 これに至る経緯は、宇宙を切り口とした教育による地域再生、これを推進している和歌山大学観光学部・戸塚特任教授の推薦によるものが大きいものですが、西日本からは、もちろん初めての代表選手、こういうことを和歌山県では行ってるわけです。
 トレーニングの内容は、NASAのエンジニアリング設計、月での仮想滞在、無重力状態での飛行、本物さながらの宇宙飛行士の養成訓練、こういったものがあったようだと伺っております。
 本来であれば、このプログラムというものは、公立小学校の4年生から中学2年生までの理数系を担当する教師が対象ですが、今回JAXA宇宙教育センターとの連携による宇宙を切り口とした総合的教育システムの構築による地域再生、すなわち宇宙の可能性は無限で宇宙教育は理数の分野に限らないという概念に基づいて、英語教育を専門とする指導主事の推薦が認められ、日本代表に選ばれた、こういう経緯があります。
 帰国後、同月の7月ですが、和歌山市内で開催された第48回JAXAタウンミーティング&ユース・スペース・プログラムにおきまして、NASA宇宙教育訓練プログラムへの参加報告と、JAXA宇宙教育センターとの共同の宇宙事業を実施し、多くの子供たちに夢と感動の授業、これを実施してくれております。
 また、10月8日から10日までの3日間、JAXA筑波宇宙センターの宇宙飛行士訓練施設を利用して、和歌山県の教員として、JAXA教師のためのスペース・プログラム──これはJAXA宇宙教育センターと和歌山大学──これが共同で企画、開発したものが開催されました。研修に参加したのは和歌山県内の教師8名で、これは将来、全国の教師及び海外の教師──これは教育を切り口とする外交ツールとしても考えているところでありますが──これを対象とするプログラムを和歌山県をモデルとして開発する取り組みであり、これも全国初の試みでありました。
 資料でお配りしておりますこの8名、日の丸を背負って誇らしげに未来を見詰める視点が印象的ですが、これすべて和歌山県内の教師8名がこういった訓練に参加しております。
 全国で初めてこういった取り組みをされたということで、私も筑波宇宙センターを訪問して訓練の一部を体験さしていただきました。例えば、訓練用の宇宙服を着て動く、動作をするトレーニングとかそういうのもさしていただいたんですが、結構ストレスのかかるものでありまして、こういった訓練をするには強いストレスへの抗体というんでしょうか適性、そういったものが求められるんだなということを実感しております。
 また、参加した教師の皆さんと話をしたところ、それぞれ一様にすばらしい体験をしていることがわかりました。生徒に何かを教えるためには、みずからが体験しなければ本質的な部分を教えることができません。理科の素材として宇宙を扱う場合、これは当然のことなんですが、理科を超え、無限の可能性を持つ教材として宇宙を活用する場合はなおさらに、宇宙開発を理解し、宇宙訓練をしていない教師がこれを教えるのとでは天と地ほど授業が違ってくる、このように思っております。
 今回実施されたこのスペース・プログラムにおきましては、宇宙飛行士訓練体験を終えた教師たちに、その体験に基づいて自分の教室で使うカリキュラムをつくる、こういう課題が出されました。参加教師たちに考案されたカリキュラムの質の高さがこの体験プログラムの意義を顕著に示しておりました。すなわち、8人の教師の皆さんが考案した4つのカリキュラムは、どれもこれも体験があったこその内容で、即座にJAXA宇宙教育センターから、センターの活動の中でそれらを使用したい、こういう許可が求められた、これほどのクオリティーの高さを生み出しております。
 今回体験した教師が教えた生徒の中から将来宇宙飛行士が誕生するかもわかりませんし、JAXAに就職する生徒があらわれるかもしれません。事実、和歌山県出身でJAXAで働く人は現在8名いると、こういう状況にあります。教え方が上手だったり知識の豊富なすばらしい教師はたくさんいますが、若い教師にはみずから体験をして、そこから教えてほしい、そういうふうに思っております。
 今回参加した教師の皆さんは、この理系の分野ではそれぞれの学校で推薦された皆さんですから、一番の分野を持っている教師に教えてもらえる、こういう生徒は幸せなことだなというふうに思っております。
 現在、3日間の宇宙体験をひっ提げた8人の教師が和歌山県に存在しております。そんな教師の宇宙体験をどのように今後生かしていくのか、来年度の大きな課題だというふうに思っております。個人的には、和歌山県を宇宙教育先進県にしたい、こういうことを目標にしておりますが、現時点において和歌山県は他府県をリードする取り組みをしているのかなあというふうには思っております。
 そして、平成23年1月、来年1月ですが、ことしの夏、日本じゅうを感動させた「はやぶさ」が和歌山市にやってきます。これは全国140を超す都市が「はやぶさ」の展示会をしたいということをJAXAに申し入れしていたわけなんですが、その数多くの応募の中から和歌山県和歌山市が選ばれております。数少ない展示機会をいただいたことになっているわけですが、これも和歌山県の強力なアプローチと熱意が通じたものだというふうに考えております。
 そして、今回、和歌山県教育委員会と独立行政法人宇宙航空研究開発機構宇宙教育センターが宇宙教育活動に関する協定書を交わしております。JAXA宇宙教育センターが府県を対象に教育における協定、これを締結するのは全国で初めてで画期的なことであります。この協定では、宇宙を素材にした教育活動を実施することによって広い見識を身につけた心豊かな青少年の育成を目指し、それとともに、そこを協働して推進する指導者の啓発、これを目的にしております。
 具体的な項目としましては、教職員研修支援として、今回実施したようなJAXA教師のためのスペース・プログラムを初めとする宇宙教育プログラムによる教職員を対象とした研修支援活動、それから被研修者同士の連携支援活動、社会教育支援活動宇宙教育プログラムによる小学生、中学生、高校生及び保護者を対象とした学習支援活動、そして学校教育支援活動として、和歌山県内の県立学校との連携による授業支援活動、こういったことが協定の中でうたわれております。来年度の和歌山県の教育界における期待を感じさせる夢のある協定だというふうに思っています。
 そこで、教育長に質問をさしていただきたいと思います。
 この協定は、ことし11月15日、協定締結を行っておりますが、ここに至った経緯、それから意味合い、意義、そういったものはどのようなものでしょうか。あわせて、宇宙教育に関する意義についても説明してください。
 また、今後実現する予定の活動というものはどのようなものがありますでしょうか。あわせて、協定に伴って市町村での教育の取り組みへの影響、どのようなものが考えられますか。お答えいただきたいと思います。
 続きまして、来年1月15日から18日までの4日間、JAXAはやぶさプロジェクトマネジャー、川口淳一郎氏による講演、はやぶさのCGでなじみの深いスペースアートの池下さん──この方は和歌山県出身のアートディレクターなんですが──この方の講演、それからJAXA教師のためのスペース・プログラムに参加した今回のこの8名の先生方の合同教育プログラム、こういったものが実現することになりました。この機会を和歌山県が宇宙教育に熱心な県のPRとして実施すべきだと思いますが、この辺についての考え方をお聞かせいただきたいと思います。
 この項目、最後であります。体験型修学旅行における本物がある筑波宇宙センターを研修する機会、そういったものの可能性についてはどのように考えられますでしょうか。
 この筑波宇宙センターに行きましたら、「はやぶさ」とかいろんな宇宙に関する本物が置いております。何で大気圏に突入して消えてしまったものの本物があるのかというと、宇宙へ飛ばす「はやぶさ」とか「あかつき」とかいろいろあるんですけど、2基つくるらしいです。1基は実験する、1基は飛ばすということで、実証用と本番用というのがありまして、性能をちゃんと確認するために同じものを2つつくる。そのうちの1つがここに展示されているということで、本物が残っていると。レプリカではなく本物が残っていると、こういう宇宙センターになっております。ここの修学旅行、可能性についてお考えを聞かせていただきたい、このように思います。
 2点目の項目であります。都市計画と農地についてお尋ねいたします。
 和歌山市における都市計画と農地制度ですが、他府県から自動車で和歌山市に来られる方は、和歌山インターチェンジ付近の光景を見て驚きの表情を見せてくれることがあります。県庁所在地のインターチェンジは、どこの都市でもロードサイド店、大型店などが建ち並びまして、都市としての価値を誇っております。ところが、和歌山市の場合はそれとは違った光景が広がっています。このあたり一帯は市街化調整区域になっておりますから、この風景は当然といえば当然のことですが、それでも県庁所在地、ましてや中核市ですから不思議な感覚があります。
 和歌山市には比較的大規模な農地が少ないのですが、この付近は大きな農地が存在していることが市街化調整区域になっている要因かもわかりませんが、果たしてそれが中核市の姿としてよいのかどうか、その辺を少し考えてみたいというふうに思います。
 平成13年の8月1日から市街化調整区域の立地基準が緩和されておりますが、そのうちの1つの地域がこの和歌山インターチェンジ付近、このようになっております。例えば1万平米未満の事務所や飲食店、これが建築が可能な地域になっているということから、最近ではコンビニとかそういった商店が立地しておるわけなんですが、立地しているということで、ややまちとしての町並みを形成しておりますが、依然として寂しい限りです。
 農地を守るという目的であれば市街化調整区域を守る必要がありますが、開発許可基準を緩和しているということは、この地域が市街化区域に準ずる用地だと認識している、こういうことが言えようかと思います。つまり、用途としては市街化調整区域となっているのですが、必ずしも農地を守るべき地域とはしない緩和措置によって中途半端な状態になっている、こういう状態がこのインターチェンジ付近の現状かというふうに思います。本来であれば、都市としての利用価値があるインターチェンジ付近の用地がそうはなっていないのが今の風景につながっているのだというふうに思います。
 一方、和歌山市の都市計画、これは人口42万人規模を想定したものになっております。人口36万人台の都市に見合った都市計画の見直し、変更、こういったものも必要な時期になっていると思います。例えば、市街化区域の見直しを図り、収益性の見込まれる地域を市街化区域に変更するなどの見直しということも必要かと考えられます。都市計画の見直しによって進出企業の受け皿をつくることも必要ではないでしょうか。事実、滋賀県の竜王や草津、こういったインターチェンジ付近の立地状況と比較すると、和歌山市のそれは寂しい限りであります。インターチェンジ付近が市街化調整区域になっている県庁所在地の市は全国で和歌山市だけとも聞きますから、都市計画の見直しというものの必要性すら感じるわけであります。
 また、開発に関しましては、農地転用の制限についても問題があるように思います。農地の相続による納税猶予制度、租税特別措置法によって20年間の営農納税制度を受けているため、市街化促進のここが弊害になっているということもあり、市街化区域内や緩和区域内における納税猶予期間の廃止、そういったものも検討すべき課題かなというふうに思います。
 また、開発できる農地転用自体がことしの6月1日から農地制度の改正に伴い厳しくなっていることも、和歌山県にとっては不利な状況に働いております。すなわち、農地転用を促進すべき用地としての第3種農地として認められる場合が限られているため、市街化への促進ができなくなっている、こういう状況になっております。
 そこで、県土整備部長に質問であります。
 1つ目、和歌山インターチェンジ付近の活用に関しては、都市計画の見直し、市街化調整区域を見直しする必要があると思います。そもそも都市計画というものは、まちづくりにおいて最も重要な計画の1つですが、時代に即した見直しなど検討されていないように思います。和歌山県として今後の和歌山市内のこの付近の都市計画に関してのお考えはありますでしょうか。
 続いて、農林水産部長に質問をいたします。
 農地区分に関して、第1種、第2種、第3種農地の線引き後の結果、これを農家支援のためにも情報公開をしてほしいと思いますが、この辺についての見解をお示しいただきたいと思います。
 同じく農林水産部長にお伺いします。
 第3種農地基準のうち転用可能なものは、水道管、そして下水管またはガス管の埋設された幅員4メートル以上の道路、こういう条件があります。2つを兼ね備えてなければ転用できないと、こういう条件があります。下水管や都市ガスが未整備な地域が多い和歌山県において都市型の基準をそのまま導入されていることは、都市計画上、和歌山県に不利に働いているように思います。和歌山県としてこのあたりの裁量を持つことはできないものでしょうか。
 例えば、下水道がない場合は合併浄化槽設置であってもよいのではないかというふうに思いますが、このあたりの見解をお聞かせいただきたい、このように思います。
 続きまして、和歌山EV計画についてです。
 EV、電気自動車のことなんですが、電気自動車の社会整備を推進するための計画が、和歌山県でもそうなんですが、全国各地で現在策定されております。
 例えばお隣の大阪府では、大阪EVアクションプログラムを策定し、既に実行期間に入っております。このプログラムは、大阪府下でインフラ、社会の整備、先進的モデル事業を行う、そういうことで大阪府内外の電気自動車や太陽電池の普及を促進させ、低炭素社会を構築するとともに、将来的に電気自動車を初めとした新エネルギー関連産業を大阪府へ集積しようと、こういうことを目的に行われているものであります。
 具体的に申しますと、2009年から11年度にかけまして電気自動車の急速充電器の普及を目指す、これが第1期間、2014年までには充電設備のさらなる整備、これを計画する第2期間、それから2019年までに関西圏全体で電気自動車の普及を目指す第3期間、この3回に分けて計画を実施する、こういう動きになっています。特に来年1月からは、大阪EVアクション協議会に参加しているオリックス自動車、日本ユニシス、それからジェーシービー、そういったところが参画し、世界初の充電予約可能なシステム、おおさか充電インフラネットワーク、これを活用することになっております。
 この充電器で充電するとほかと何が違うかということなんですが、充電した場合、エコ・アクション・ポイント、こういうものが付与されるシステムになっておりまして、電気自動車のユーザーを対象としたエコ・アクション・ポイントの付与はこれが我が国初めてと、こういうシステムになっております。この辺の説明は、さきに名古屋で開催されたCOP10、こちらにおいて事業説明があったわけですが、この大阪府のシステムに連携させる方式、これも和歌山県として考えてみたいものだというふうに思っております。
 和歌山県は観光立県を志向していること、さらに環境先進県を目指していることから、電気自動車の時代に突入しようとしている中において、例えば高速道路が延伸されるすさみまでを観光の範囲、とりあえず高速道路沿いの観光の範囲とするならば、電気自動車対策として県内各地に充電スタンドは必要だというふうに思っております。
 また、このエコ・アクション・ポイントというのを少し説明さしてもらいますと、地球温暖化対策型の商品・サービス、こういったものを購入した場合は、それぞれの個人の省エネ行動に対してポイントというのを獲得できます。そして、このためたポイントをさまざまな商品やサービスに交換できると、こういうものでありまして、現在、環境省がジェーシービーに委託をしてエコ・アクション・ポイントのプラットフォーム運営を行っていると、こういう状況になっております。参加団体は現在53の企業、団体に上りまして、現在も拡大している、こういう状況であります。ただし、企業からの原資持ち出しが必要なため、和歌山県の場合、単独での実施というのは現実的には厳しいものがあろうかなというふうに思っています。そのため、関西広域連合としても環境面、観光面からも電気自動車に積極的に取り組む必要があることを知事のほうからも提言してほしいなというふうに思っております。
 この件に関しては、環境生活部長に3点の質問をさしていただきたいと思います。
 1つ目、大阪府が計画しているような電気自動車普及計画とスタンドの設置計画はありますか。環境都市和歌山県としては、この分野で先端を走ってほしいところですが、この点、いかがでしょうか。
 2つ目、関西広域連合として電気自動車の導入計画がありますが、和歌山県の参加意欲をお示しください。
 3つ目、おおさか充電インフラネットワークとの連携については現時点で考えられないものでしょうか。
 以上をお答えいただきたいと思います。
 4つ目は、防災対策であります。
 県民の皆さんの生命と財産を守る、これが県行政としての大きな役割の1つです。個人としてではなく地域として生命を守る、この覚悟を持って行政運営をしてほしいと思っておりますが、特に災害弱者と位置づけられている高齢者、それから入院患者の皆さんを災害から守る施策というのは非常に重要ではないかなというふうに思います。
 今までもこの分野に関しましては繰り返し提言をさしてもらっておりますが、たとえ耐震補強した建物が倒壊しなかったとしても、室内対策が講じられていないと県民の皆さんの生命は守れません。高齢者福祉施設と災害拠点病院に対しての室内対策の重要性を考えると、早急に手段を講じることが必要だと思いますが、その観点から質問を行います。
 1つ目、高齢者福祉施設への防災対策上必要な対応についてですが、和歌山県は和歌山県老人福祉施設協議会と老人ホームを避難所にする、こういう協定を締結しています。避難所にするためには室内対策が不可欠です。避難施設となる高齢者施設の建物の耐震化と室内対策を早急に実施すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 また、市町村に対しては、耐震性と室内対策を講じている避難施設としての機能を有しているこれらの高齢者施設と個別の協定を進めるように指導してほしいというふうに思いますが、この点、いかがでしょうか。事実、優良老人ホームの中にはこれらの対策を施して市町村に申し入れをしていますが、協定に至っていないというケースが多々あるように聞いております。お答えいただきたいと思います。
 2つ目、災害拠点病院の耐震化に伴う医療施設耐震化臨時特例基金、これは7億5000万円の基金でありますが、この用途について高齢者施設と同様に室内対策を講じる必要性があると考えております。建物の耐震化と同時に室内対策を実施することが災害拠点病院に求められていることだと思いますが、この点、いかがでしょうか。
 この項目につきましては、福祉保健部長の答弁をお願いしたいと思います。
 最後の項目は、経済対策であります。
 和歌山県で最大の課題の1つが地域内の経済対策にあります。即効性があり、知事が選挙戦で訴えたように、多くの県民の皆さんが最も期待している項目の1つが、和歌山県内への企業誘致です。
 その企業誘致に関しては、知事は1期目で大きな成果を残されております。すなわち、過去20年間に匹敵する80社近くもの企業誘致に成功している。これは、進出したものと見込まれる協定を交わしたもの、この2つを含めての80社だというふうに思いますが、このことによる雇用や経済効果というのはこれから先、来年度以降発生してくるものと期待しているわけなんですが、知事に最後にお伺いしたい項目はこの点でありまして、知事の1期目には80社もの企業誘致または協定が図られておりますが、その成功要因とはどのようなものがあったんでしょうか。
 また、正規雇用と経済効果、これがあらわれてこないと、せっかくの誘致の意味というのが少し薄らぐと思いますが、これはどの程度のものがありますでしょうか。お答えいただきたいと思います。
 あわせまして、仁坂県政2期目も当然企業誘致に取り組むものだと認識しておりますが、これまでと同様に多大の成果を期待しています。今後の企業誘致、それから正規雇用に向けての取り組みの姿勢について説明をしていただきたいと思います。
 以上をもちまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(谷 洋一君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、企業誘致につきましては、数々の成果はおさめましたけれども、決して満足するものではありません。が、私みずからのトップセールスを初めとする延べ4000社に及ぶ企業訪問など、職員一丸となった努力を続けてまいりました。
 また、誘致優遇策も利用さしていただいておりますけれども、それ以上に評価されているのは、県庁内において企業の要望にきめ細かく迅速に対応できる体制を整えているというところだと思います。
 さらに、当初は実は不祥事のマイナス効果に随分悩んでおったんですが、だんだんなくなってまいりまして、今、依然として悩み続けているのは、高速道路などインフラのおくれでございます。それを何とか説得しながら、私が就任以来、本県に立地していただいた企業によりまして、直接的には約1200人の雇用効果と約3400億円の投資が生まれつつありまして、人口流出の歯どめに貢献していただくとともに、資材調達や物流など、地域経済への波及効果もさまざまに生じているところであります。このような波及効果を考えると、この雇用効果はもうちょっと多いんじゃないかというふうに思います。
 今後は、情報収集力の強化やどの辺に有望な産業があるかとか、そういうこともちゃんと勉強しながらやっていかないといけませんので、そういう意味での情報収集力の強化や関係機関との連携など、これまでの体制にさらに磨きをかけるとともに、インフラ整備など環境づくりを進め、企業活動が行いやすい魅力のある和歌山県ブランドづくりを、県民の皆さんの御理解と御協力をいただきながら、全力で取り組んでまいりたいと思っております。
 これによりまして働く場がふえて、それで労働の需給もよりタイトになってまいりますと、おのずと正規雇用もどんどんふえてくるというふうに期待をしているところでございます。
○議長(谷 洋一君) 県土整備部長原 広之君。
  〔原 広之君、登壇〕
○県土整備部長(原 広之君) 和歌山インターチェンジ付近の活用についてお答えいたします。
 和歌山インターチェンジ付近につきましては、市街化調整区域でありますが、その交通利便性から和歌山市都市計画マスタープランにおきまして、運輸流通拠点の計画的整備による新規都市機能整備地域として位置づけられてございます。このため、平成13年に和歌山市開発行為等に関する条例により、事務所や倉庫、あるいは一定の規模の物販店などの立地が可能となるなど、規制が緩和されているところでございます。
 市街化区域編入につきましては、可住人口などの要件を満たす必要があり、引き続き周辺の土地利用の動向を注視してまいる必要があると考えております。
 和歌山市における都市計画につきましては、現在進めております中心市街地活性化等のまちづくり施策との整合を図りながら、まちづくりの主体である和歌山市と連携し、時代に即した都市計画となるよう努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 農林水産部長阪中栄一君。
  〔阪中栄一君、登壇〕
○農林水産部長(阪中栄一君) 都市計画と農地についての御質問のうち、まず農地区分の情報公開についてでございますが、農地転用許可の可否を判断する際の基準となります第1種、第2種、第3種等の農地区分につきましては、農地転用許可申請地の周辺の土地利用状況によって判断をすることといたしております。
 周辺の土地利用状況の変化に伴いまして、農地区分も変化する可能性があることからあらかじめ農地区分の線引きを行うのではなく、農地転用許可を行う時点で個別に判断をしていかざるを得ないと考えております。
 次に、第3種農地基準のうち転用可能なものの基準見直しについてでございますが、先般の農地法改正によりまして、優良農地確保の観点から原則許可となる第3種農地基準の厳格化がなされたところでございます。
 第3種農地とは、市街地の区域内または市街地化の傾向が著しい区域内にある農地を指し、農地転用許可申請地に沿った道路に水管、下水道管またはガス管のうち1つが埋設されているだけでは今日において市街化の指標となり得ない状況にあることから、2つ以上埋設されていることが第3種農地の要件となるよう改正されたところであります。
 このように、農地区分の判断基準につきましては、農地法施行規則に定められておりまして、本県独自の裁量の余地はなく、議員のお話にありました下水道管がない場所での合併浄化槽の設置をもって第3種農地の要件とするような運用は、制度上できなくなっております。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 環境生活部長保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 和歌山EV計画の3点についてお答え申し上げます。
 まず、電気自動車普及計画と充電スタンド設置計画についてですが、電気自動車は、現時点ではガソリン車に比べて走行距離が短いため、充電インフラの整備促進が普及のかぎとなっております。このため、県では新政策として、地域グリーンニューディール基金を活用した急速充電器の設置や民間、公共の充電器をネットワーク化するためのルールづくりに取り組んでおります。
 これにより、まずは県内各都市間や世界遺産の主要拠点間を充電しながら移動できるよう、南北に長い本県の実情に即した充電ネットワークづくりを推進してまいりたいと考えております。
 これとあわせまして、ガソリンスタンドが少ない過疎地での活用など日常の利活用においても、本県の特性を生かした支援策を検討し、電気自動車の計画的、全県的な普及促進を図ってまいりたいと考えております。
 一方、関西広域連合の業務として位置づけられている電気自動車普及促進事業の中では、広域的な充電設備の設置促進や観光事業と連携した利用促進事業等について検討することとなっており、本県としても県内と広域の施策を有機的に連携させることで、電気自動車の普及促進に主体的、積極的に取り組んでまいります。
 次に、おおさか充電インフラネットワークとの連携についてですが、大阪府の取り組みは電気自動車の利便性を高め、かつ利用者の環境意識を高めるという点で非常にすぐれたものでありますが、今後の展開を考えると、府県のエリアだけではなく、近畿圏などの広域においてだれもが共通して利用できるシステムに発展させるべきであると考えております。
 また、議員お話しのように、エコ・アクション・ポイントについても、企業からの原資が必要であるなど課題が多いため、今後、電気自動車に係る連携施策の検討課題の1つといたしまして、関西広域連合などの場で関係府県と協議してまいります。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 防災対策についてお答え申し上げます。
 まず、高齢者福祉施設についてでございますが、防災対策上の対応では、避難施設となります高齢者施設の建物の耐震化と室内対策は大変重要な課題でありますので、現在、実地指導等を通じ未整備の施設に対して指導を行い、順次改善を図っているところであります。
 さらに、市町村と高齢者施設との個別の協定につきましては、災害時等における地域の安心の確保等に関する協定書を踏まえまして、今後、市町村及び関係機関に対して積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、災害拠点病院等の耐震化については、昨年度設置しました医療施設耐震化臨時特例基金により支援を行っているところであります。この基金の用途は、未耐震の災害拠点病院等が行う建物の耐震化工事が対象で、室内対策については対象外となっております。
 なお、この基金の活用により、平成24年度末には災害拠点病院すべてが耐震化される見込みであります。
 また、災害拠点病院の室内対策については、各病院で取り組んでいただいておりますが、県では毎年、全病院への立入検査時に室内対策の状況も確認し、指導等を行っております。今後も引き続き、室内対策、特に医療機器など備品の転倒防止を進めるため、耐震予定の医療機関に対し、室内対策もあわせて実施するよう働きかけるとともに、実大三次元震動破壊実験施設でございますE-ディフェンスが行った病院内震動実験の映像なども活用しまして、あらゆる機会を通じて働きかけてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 宇宙航空研究開発機構(JAXA)との協定につきましては、議員や和歌山大学関係者の方々に大変な御尽力をいただきまして、先ほど御紹介のありましたNASAで開催された教員研修プログラムへの県教育委員会職員の派遣が実現いたしました。それをきっかけにJAXAとの連携が始まり、宇宙に関する研修や講演会等を積極的に進めてまいりました。
 こうした中、JAXAの持つ教育力を生かし、本県の教育を一層充実させることを目的として協定を結ぶに至った次第でございます。
 この協定により、今後さまざまな事業を通して、理数系教科のみならず、環境教育や外国語教育等、学習活動の充実を図り、児童生徒の学習への興味、関心、意欲を高めるとともに、宇宙への夢をきっかけとして子供たちに広く科学への関心を持たせたいと考えてございます。
 具体的には、中学生を対象としたスペース体験プログラムへの派遣、これは来年始まりますが、ことしはその先駆けとして8月の缶サミットで優勝した高校生がことし試験的に参加をさせていただくということになりました。また、教師のためのスペース・プログラムへの教員派遣、JAXA筑波宇宙センター職員と連携した授業実践等が実施できる見通しでありまして、今後JAXAとの協定が市町村にも広がり、宇宙教育プログラムの活用が進むことを期待しております。
 なお、中学校の修学旅行に東京からおよそ1時間で行ける筑波宇宙センターでの班別学習等が盛り込めれば、修学旅行の教育的意義が一層深まるものと考えてございます。
 また、関係者の努力によって実現した「はやぶさ」カプセル展示の際には、NASA及びJAXAの教員研修へ派遣されたメンバーの経験も生かしていただき、主催者と協力しながら、本県が宇宙教育を積極的に推進していることを広くPRしてまいりたいと考えます。
 以上です。
○議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 再質問を許します。
 33番片桐章浩君。
○片桐章浩君 要望をお願いしたいと思います。
 1つが防災対策についてですが、室内対策に関しては予算が使えない、適用できないというふうなことに現状なっているというふうにお聞きしておりますが、実は私もこの前、兵庫県、機会をいただきまして、先ほど部長から紹介いただきましたE-ディフェンス、こちらでの災害拠点病院をモデルとした震災の実験というんでしょうか、それに立ち会いしました。これを見ると、この映像が、建物が幾らつぶれなかっても、中の患者さんとか先生がぐちゃぐちゃになって生命の危機があるという、そういう恐怖感を覚える実験でありました。この辺のDVDを入手されてるというふうにお伺いしておりますので、それを活用しながら、民間の災害拠点病院あるいは高齢者福祉施設にもぜひ必要性を働きかけていただきたいということを1つ要望しておきたいと思います。
 それから、もう1つが都市計画と農地の問題について意見でございますが、先ほど第3種の農地の運用は制度上できない、こういうふうなことにあるということをお答えいただきました。ただ、もう当局の皆さんのほうが御存じのように、和歌山県は可耕地が少ない地形であるということ、農地保有の平均は5反から6反という小規模農家が多いという現状がある中で、国が目指している規模とは大きくかけ離れている地域なんですよね。
 さらに言うならば、農家を継承する人材が育っていないとか、きのうも一般質問であったように、耕作放棄地が非常にふえている、こういう状況をはらんでおります。相反する都市計画の部分と農地制度、農地を守るという部分では、部門間では相反する見解があろうかというふうに思いますが、相反する利益価値がある場合は公共全体を見渡していただいて利益向上してほしいというふうに思います。これをできるのは、県においては知事が主導できると思いますので、この和歌山インターチェンジ付近の都市計画に関して、ぜひ市を交えた関係者と協議をしてほしい、このように思います。
 あわせて、繰り返しになりますが、農業就労人口、この前発表されておりますが、ここ5年間で14.4%減少していること、60歳以上の方が67%を占めていること、そして農業従事者の平均年齢が63.4歳と高齢化している、こういう状況の中において後継者不足の問題などの課題が全く解決できる見込みがない中、全国一律の農地法や納税猶予に従って、これはもう制度で決まっているから仕方がない、こういうことで思考を停止させるということはいかがなものかなというふうに思っております。
 人口減少の時代において、地方都市の土地の価値というのは限りなく今後低下していく、このように専門家の方は予測しております。人口減少地域の土地の価値が上昇する見込みがなかなかない状況から、今から利用価値の見込まれる用地に変更しておく、このような事前対応が必要かというふうに思います。
 和歌山市の中心市街地の路線価が低下している事実というのは、和歌山市とそして中心市街地の価値、これを低下さしている。すなわち、収益性が見込めない地域として市場からは評価されているわけであります。和歌山インターチェンジ付近は、現在のところ、市場関係者が収益性を確保できる場所として評価してくれているようです。今から活用できるような状況にしておかないと、このままでは人口減少が確実視されている状況において価値創造が見込めない、図れない、こういった地域になってしまうというふうに思います。都市計画に関しまして、あるいは農地制度の裁量権等に関しまして、県が指導力をさらに持っていただきたいということを要望いたしまして、一般質問を終わらしていただきます。ありがとうございます。
○議長(谷 洋一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時28分休憩
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