平成22年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成22年12月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
 平成22年12月10日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第134号及び議案第143号から議案第178号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第134号及び議案第143号から議案第178号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(43人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 森 礼子
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 17番 岸本 健
 18番 川口文章
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 服部 一
 28番 角田秀樹
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 浦口高典
 36番 長坂隆司
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 46番 松本貞次
欠席議員(1人)
 45番 野見山 海
〔備考〕
 16番 欠員
 37番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 知事室長       曽根義廣
 国体推進監      中村正次
 危機管理監      前硲健作
 総務部長       宮地俊明
 企画部長       柏原康文
 環境生活部長     保田栄一
 福祉保健部長     西上邦雄
 商工観光労働部長   岡本賢司
 農林水産部長     阪中栄一
 県土整備部長     原 広之
 会計管理者      神田泰仁
 教育委員会委員長   宮永健史
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員    溝端莊悟
 警察本部長      山岸直人
 人事委員会委員長   守屋駿二
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       森田実美
 次長         佐本 明
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     吉田政弘
 議事課課長補佐兼班長 田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      中村安隆
 議事課主事      的塲健司
 総務課長       上坊 晃
 調査課長       中井祥之
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  午前10時1分開議
○議長(谷 洋一君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第134号及び議案第143号から議案第178号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 13番大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕(拍手)
○大沢広太郎君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、ただいまから一般質問をさせていただきます。
 仁坂知事におかれましては、さきの選挙で見事な再選をされました。まことにおめでとうございます。4年間の地道な実績が認められ、また、望まれたあかしが再選につながったものであります。菅政権の20%台という低い内閣支持率にも助けられ、再び県政のかじ取り役となりました。4年間、県勢発展のためにも頑張っていただきたい、そのように思うわけであります。
 しかしながら、大変な時期に再選をされました。その大変な時期といいますのは、仁坂知事が1期目のことしの8月に行いました本県の人口推計であります。ここで本県は初めて人口100万人の大台を割り込み、99万9834人となりました。少子高齢化や若者の都会への流出の波をまともに受けている状況であります。
 かつて和歌山県は、徳川紀州55万石の流れを受けて、人口も奈良や滋賀県よりも上回っていました。しかし、昭和57年の109万521人をピークに年々減少傾向が続いております。さきの知事選では、3候補とも景気、暮らし、雇用などを推進させて元気な和歌山県づくりなどと訴えてきました。しかしながら、即効性かつ具体性のある政策を講じて景気の回復など、地方経済をどのように活性化していくかについては、玉虫色にも見えておりました。
 そこで、我が自由民主党は、告示直前に入札制度の見直しや川筋道路や府県間道路の整備など40項目にわたる政策協定を仁坂知事との間で行い、多くの県民の賛同を得た次第であります。
 ここで、私がなぜ100万人割れについて取り上げたかについてでありますが、人口の減少は、少子高齢化などの影響で、本県だけではなく全国的な現象でもあります。しかし、全国的な現象だと割り切ってしまいますと、本県の人口減はさらに拍車がかかるのは必至であります。そこで私は、本県の浮上のための新たな活性化について、また過疎対策などについて質問をしていきたいと思います。
 まず、本県の活性化対策についてであります。
 和歌山県は、京阪神の都市圏から見て、陸の孤島となりつつあるということであります。まず、県都和歌山市から大阪へ電車を利用した場合、特急料金の要る特急くろしおを除いて、南海、JRの特急、急行とも約1時間かもしくはそれ以上時間がかかっております。かつて和歌山市や橋本市など紀北地方では、大阪方面への通勤・通学圏の住宅地として人気は高かったものの、その傾向は急速に弱まっています。なぜなら、大阪都市圏に比べてこれまで地価の安い和歌山に住まなくても、都市圏でも安い物件が購入できる時代となってきています。
 また、和歌山市などは、マンションを初め不動産物件の安売り合戦が生じてきています。この議場のある県庁近くに完成した分譲マンション、リーマンショック影響などから、景気の低迷から販売不振で売れ残りが長い間続き、販売業者も変わったほか、通常価格より800万円もの値下げをして3LDKを1600万円台で販売をしております。
 この安売り合戦については、私の知り合いの不動産業者は、「和歌山で売れない理由は、梅田や難波に近い尼崎や東大阪でも2LDKや3LDKのマンションが1700万円台や1800万円台で販売をされている。和歌山よりも利便性のよい物件で次々と登場している。どうしても和歌山は距離が遠いというハンディから人気の面で劣ってしまうのは当たり前だ」と話しておりました。
 そこで、取り組まなくてはならないのは、ハード面では交通網の整備であります。高速道路を初めとする道路整備も必要不可欠で、何度も取り上げましたが、今回は鉄道のスピードアップ化の促進について取り上げます。
 まず、紀北地方での問題について触れてみます。
 南海本線では、これまでに堺からなんば駅前で鉄道高架が整備されたほか、岸和田や泉佐野駅などでも高架化が進んでおります。しかしながら、和歌山市駅からなんば駅間の所要時間は約1時間で、以前に比べて時間短縮は大きく変わっておりません。また、南海高野線でもなんばから橋本駅を急行を利用しても停車駅が多く、他の私鉄と比べて同じくらいの距離数から見ても時間が多くかかっているのは明らかであります。
 そこで、一例を挙げてみますと、なんばから橋本駅間が44.8キロあり、特急での所要時間が45分ぐらいであります。これに比べてJRの新快速の走る京都から大阪駅間は、1キロ少ない43.8キロで28分から29分で走行しています。しかも、新快速は特急料金は要りません。鉄道のスピードアップ化を促進しないと、和歌山県の陸の孤島化がますます進行するのは間違いありません。
 そこで、県当局におかれましては、南海やJRでの時間短縮を促進するように強く働きかけなければ快適で暮らしやすい和歌山でのまちづくりの未来はありません。
 私の住む紀南地方ではJR紀勢線が走っています。この紀勢線にはかつて急行きのくに号が走っていましたが、今は特急だけとなっています。そこで私は、この急行列車の復活を希望するとともに、京阪神や阪和線で運行されている新快速や快速電車を紀勢線にも導入してもらい、海南や箕島、御坊など主要駅に停車し、紀伊田辺や白浜までの運行を願うものであります。
 現在、天王寺から御坊駅間などでは、紀州路快速が運行されておりますが、和歌山から御坊駅間が各駅停車となっています。この紀勢線にも新快速やきのくに快速の導入をJRに働きかけてはいかがでしょうか。
 以上、紀北における南海、JRのスピードアップ化と紀勢線における新たな快速電車の導入に向けての県当局の取り組みと意気込みをお伺いいたしたいと思います。
 次に、魅力ある都市づくりのソフト面での取り組みについて質問を続けます。
 地方都市に魅力がない理由はいろいろあると考えられますが、その1つとして、地方都市の活力が失われていることがまず挙げられると思います。長引く景気の低迷の中、地方の産業が活力を失い、働く場がないために働く世代が流出をし、結果的に人口が減少するという問題であります。
 知事は、今回の選挙においても「和歌山を元気に」と公約に挙げられておりましたが、この問題について十分に認識をされているとは思いますが、私は大阪と同じことをやっていては、この状況は食いとめられないと思います。地域資源を活用しながら地域の魅力を生かし、和歌山独自の活性化策を講じる必要があると考えますが、まず知事のお考えをお伺いしたいと思います。
 さらに、魅力ある地方都市づくりについて、都市の景観等の環境整備も同時に進める必要があります。ここで、1つの特異な例を紹介いたします。
 和歌山市内の中心地に分譲マンションが建設され、完成の運びとなりましたが、このマンション、隣に建っているマンションと建物と建物の間が3.8メーターしか離れておらず、以前から住んでいるマンションの住民らは、「部屋同士が丸見えとなりプライバシーが侵される」や「日照権が確保できない」など、マンション建設業者側と何回も交渉を重ね、業者側が数百万円を支払うということで和解に至ったというケースがあります。
 なぜこのようなトラブルになったかでありますが、この新築マンションは建築基準法を申請どおりにクリアし、和歌山市が建築許可を出し、完成に至っています。このような隣接マンション同士の日照権めぐりなどのトラブルは、和歌山市ではこれまで5件あったそうであります。ここで私が強調したいのは、建築基準法をクリアしたからという都会のマンションづくりのまねをしない、地方都市ならではのまちづくりやマンションづくりの必要性であります。
 先ほども述べましたように、交通網など利便性の面でハンディを持つ地方都市では、マンションづくりについては、敷地内により多くの樹木や芝生を植えるなど緑地化を推進したり、快適なアメニティー空間を確保するという点であります。この緑地化の推進については、国など行政から補助金などの負担は絶対必要なものであります。なぜなら、首都圏や大都市の一極集中を見直すことは、大きな行政課題であるとともに、魅力ある地方都市づくりに取り組まないと地方都市は衰退する一方であります。
 ことしの夏、兵庫県芦屋市では5階建てのマンションの建築申請が大手不動産会社より出されましたが、市は周辺の景観に調和しないとして、全国で初めて景観法に基づいて建設の不認定としたケースも起きています。
 また、和歌山市では、和歌山城近くに11階建ての国の合同庁舎の建てかえ計画が持ち上がりましたが、市の景観条例に触れるおそれがあるとして、入札が見送られたとのことであります。和歌山県においては、住民が生活するまちづくりの面に力を入れて景観施策を行っていただきたいものであります。
 以上、県におかれましては、魅力ある地方のまちづくりについて事業化に向けての資金面での支援など、国に強く働きかけていただくとともに、景観づくりを踏まえたまちづくり条例の制定も視野に入れて取り組んでいただき、和歌山モデルのまちづくりを発信していただきたい次第であります。県当局の取り組みについてお伺いをいたします。
 続きまして、過疎対策について質問をいたします。
 県は、今年度から新たに企画部の中に過疎対策課を立ち上げました。この過疎問題、市町村任せにはせず、地域の住民と県と市町村が一体となってひざを交えて知恵を絞り合う寄合会を設置したり、過疎地域の元気づくりのためにIターン者用の空き家探し事業など、過疎集落再生・活性化支援事業として今年度5000万円を予算化し、過疎地域の再生に取り組んでいます。
 しかしながら、過疎対策はとても間口が広く地道な業務ゆえに、すぐにこれといった結果が出るわけではありません。過疎対策課では、発足後直ちに情報収集やデータ集めを中心に活動を展開するとともに、地域の高齢者支援や都会の人たちに田舎暮らしのよさを発信するなど取り組んでいますが、山村の問題だけに課題が山積みされております。
 私の地元田辺市では、都市の住民と農村との交流を図りながら地域づくりを展開しようと、2年前に都市農村交流施設秋津野ガルテンがオープンをいたしました。この施設は、旧上秋津小学校の廃校校舎を利用して宿泊施設や貸し農園、ミカン狩りなどの農業体験を楽しんでもらうなど、人気を呼んでいます。高速道路の1000円利用などで京阪神から、当初の予想を大きく上回る人出が押し寄せています。この秋津野ガルテンには、地域の農家の人たちら489人が出資をして農業法人株式会社秋津野を設立し、運営に当たっています。田舎暮らしや田舎体験イベントが訪れるお年寄りらに大好評となったことから、全国の自治体などから視察が相次ぎ、注目を集めています。
 一方、今紹介した田舎暮らしの人気とは逆に、都会ではシニア向けの分譲マンションや高齢者専用住宅が人気となっています。このマンションは、入居するお年寄りの医療や介護、それに生活全体をスタッフが支えるシステムで、販売は大手の不動産会社や生協を中心に行われて好評を得ており、連日にわたってテレビCMや大きな新聞広告が紹介されています。このマンションは、安い物件で2000万円台後半で、3000万から4000万円台が主流となっているそうであります。
 まちづくり融資適合マンションとして認められると、高齢者向けの返済特別制度を利用することができ、最大1000万円の融資援助が受けられるという点でも人気を呼んでいるとのことであります。
 このほか、都会では、大手スーパーが高齢者の買い物対策としてエスカレーターの速度を通常の3分の2に落とした低速エスカレーターを導入したり、どうしてもゆっくり買い物するお年寄りのために「ゆとりレーン」と名づけた高齢者専用レジを設けて、お年寄りに優しいスーパーの運営を行い、年金生活者の購買力アップ作戦を展開しています。
 以上、地方と都会での高齢者にまつわる社会現象を紹介いたしましたが、少し話がずれますが、お聞きをください。
 かつて、阪神・淡路大震災の後、我が国は防災対策に大きく力を注ぎ、防災という名のもとに多額の予算がつけられました。しかし、一部の行政機関では防災名目での無駄な予算をつけるなど、防災バブル現象が生じたこともありました。さらに、近年は高齢者社会を迎えて介護ブームが押し寄せています。行政も介護に力を注ぎ、予算も多く支出していますが、一部では介護バブルの時代が始まっているとの指摘もあります。
 私ごとですが、私の身内も介護施設でお世話になっています。認知症など体の調子が悪いお年寄りらが利用するのが当たり前のことであります。しかしながら、私はブームとなりつつある介護時代というものに頭を抱えています。
 なぜなら、今健康な人がお金を蓄えておいて、将来高齢者専用マンションなどに入居するという考え方が定番化しつつあるという動きであります。マンションには診療所が併設され、24時間常駐のスタッフが買い物を引き受けたり、電球の取りかえなど、どんな用事でも代行してくれるということであります。私が頭を抱えている理由の1つに、お金さえあれば何でもやってもらえる、3食昼寝つきの人生の過ごし方についてであります。つまり、年をとっても体を動かして常に健康体で生活することが人間の必須条件ではないでしょうか。
 そこで、介護ブームにかわる田舎暮らしの時代を全国に発信すべきであります。高齢となっても、野菜や果物づくり、花づくりに取り組んだり、すばらしい景勝地を散策したりジョギングをしたりして楽しんだり、病気や成人病の予防に取り組むことも大切な人生設計の1つであります。病気にかかってたくさんの医療費を支払うよりも、田舎暮らしを通じて予防医療に心がけることの大切さがキーポイントであります。
 紀南地方には、すばらしい大自然があります。温泉や豊かなロケーションといったいやし空間や、その時間を過ごしてもらう田舎暮らしに、新しい時代にマッチした生活様式となるのは間違いありません。県当局の取り組みについて答弁をお願いいたしたいと思います。
 最後に、過疎問題が深刻な本県にあって、急に舞い込んできた大きな問題、軽自動車における自動車税の問題であります。
 紀南や紀北の山間部を中心とした過疎地域では、公共交通の空白地帯が数多くあります。このため、この地域に住む高齢者を中心に軽四トラックや軽自動車が生活する上での必需品となっています。また、過疎地でもない田辺市や白浜町などでは、バス路線廃止等のために交通の便が悪くなった地域がたくさんあり、特に主婦を中心に軽乗用車をセカンドカーとして活用し、子供の送り迎えや買い物に利用しているのが現状であります。この軽乗用車は、自動車税にかかる税率が1000cc以下の小型自動車の標準税率2万9500円であるのに対し一律で7200円と、約4分の1の安さで人気を呼んでいます。
 全国的に見て、本県は普通車の保有台数36万9013台に対して軽自動車は34万6899台となっており、普通車1台に対して軽自動車の割合が0.94台とほぼ同数となっており、この割合は全国平均の0.55台を大きく上回り、軽自動車の保有割合は、1位の高知県の1.08台に続いて全国で9番目となっています。ちなみに、公共交通が発達し生活の利便性のよい東京都は0.19台、神奈川県は0.25台で、公共交通の便利さ、不便さがこれらの数字の上でもうかがえるわけであります。
 また、県内の市町村別での普通車との割合を見てみますと、9つの市別では紀の川市が1.54台とトップで、続いて御坊市の1.4台、田辺市が1.34台と高い割合となっています。逆に、若者の多く住む岩出市では0.62台、和歌山市では0.64台となっています。また、町村別では古座川町の1.85台、印南町の1.77台と非常に高い数値で、公共交通機関が発達していない地域や農作業で軽トラックを多く使用する市町村での保有率が高くなっております。これら平成21年度でのデータでは、県内では約35万台の軽自動車が生活の重要な糧として利用をされています。
 ところが、民主党政権は税制改正の1つに地球温暖化対策のための環境関連税制として環境自動車税を導入し、二酸化炭素(CO2)の排出に応じて税金を課する新しい税のシステムを提示してきました。この環境自動車税は、県税の自動車税と国税の自動車重量税とを一体化するというものであります。軽自動車については、市町村税の軽自動車税と国税の自動車重量税を一体化するというものですが、実際は軽自動車の税負担が引き上げとなることは明らかであります。そうなりますと、過疎地などで生活をする住民の皆さんは、税が安く車両価格の安い軽自動車に頼って生きるすべをなくすケースも考えられます。この軽自動車税の引き上げは、本県にとって大変重要な事態であります。
 国は、納税者や産業界からも反発も強いということで来年度の導入については見送る方向でありますが、再来年度の導入を目指している動きもあります。このようなことから、軽自動車税の値上げについて、県としてはどのように取り組んでいくのか、お伺いをしたいと思います。
 以上で、一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(谷 洋一君) ただいまの大沢広太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県の活性化方法につきましてお答え申し上げます。
 本県の人口減少を防ぎ地域の活力を維持するためには、産業振興対策をより一層強化し、県民の生活を支える働く場をふやしていくことが重要と考えております。このため、企業誘致はもとより、中小企業、農林水産業、観光業など、すべての産業で働く場をふやすことに全力で取り組んでまいります。
 さらに、本県の活性化に当たっては、議員御指摘のとおり、和歌山らしい地域特性に応じた地域振興策が重要であると考えておりまして、例えば地域資源を核としたわがまち元気プロジェクトや商店街に人の流れを呼び込み、にぎわいを創出する商店街のコミュニティー機能強化などに市町村と一体となって取り組んでまいります。
 また、そのような努力の土台として重要な街路あるいは市の中心的な道路の整備もスピードアップをしていかなければならないと考えております。同時に、県内のネットワークを強化して、それぞれの地域、市町村がほかの地域との関係で発展できるようにしていくということも大事だと考えております。
 また、本県のすぐれた景観を地域の財産として保全し、地域の魅力として活用するため、住民と行政が一体となり、個性豊かな和歌山の景観づくりにも取り組むなど、さまざまな施策を組み合わせながら魅力のあるまちづくりを進めてまいりたいと考えております。
 考えてみますと、議員御指摘のように、私自身は、和歌山が人口増のときに、しかも働く場が多くて人口流入であったときにこの和歌山で育てられました。今、人口流出に悩むふるさとのために頑張るということは一種の恩返しだと考えておりまして、全力を挙げて頑張りたいと考えておりますので、大沢議員初め諸先生方にもぜひ御指導を賜りますようにお願い申し上げます。
○議長(谷 洋一君) 企画部長柏原康文君。
  〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 鉄道の利便性向上についてですが、南海本線、高野線及びJR阪和線のスピードアップ化につきましては、これまでも各事業者において線形改良や高架化、新型車両の導入などを行い、鋭意取り組んできたところです。さらに大幅な時間の短縮を図るためには、停車駅を減らすなどの方策が必要でありますが、現在の停車駅の利用状況を考えると容易ではないと考えております。
 また、JR紀勢線への新たな快速電車の導入についてですが、JR西日本によりますと、電車の増便にはさらに新たな車両が必要になることや人員配置の問題などがあり、現在の利用状況から困難であると聞いております。
 しかしながら、県といたしましても、スピードアップ化を初めとする鉄道の利便性向上は重要であると考えておりますので、今後とも各事業者に粘り強く働きかけるとともに、沿線市町村や事業者と連携し、利用促進に努めてまいります。
 続きまして、田舎暮らしの推進についてでございますが、過疎高齢化が進む農山村地域の担い手確保及び人口流入を進めることを目的として、田辺市を初め12の市町村や民間団体と連携し、取り組んでいるところであります。
 毎月、大阪市においてわかやま田舎暮らしセミナーや移住フェアを開催することにより各地域の情報を移住希望者に発信するとともに、市町村や県ふるさと定住センターにおいて移住相談や地域案内などの移住支援を積極的に行っております。
 また、移住希望者のニーズが高い空き家の活用にも積極的に力を入れているところであります。さらに、全国組織である移住・交流推進機構との連携も一層強化し、議員の御質問にございました都市住民の多様なニーズに対応した田舎暮らしを推進していきたいと考えております。
 過疎地域においては、集落の維持、活性化、耕作放棄地の解消など、移住者に対し大きな期待がありますので、今後も田舎暮らし推進に向けて関係部局とも十分連携しながら県として果敢に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 県土整備部長原 広之君。
  〔原 広之君、登壇〕
○県土整備部長(原 広之君) 地方都市にマッチした景観づくりなどについてお答えいたします。
 魅力ある地方のまちづくりにおきましては、地域の特色を生かした景観づくりや潤いのある都市緑化、住みよい住環境整備などが重要であると考えております。
 このうち景観づくりの面におきましては、これまで平成20年に景観条例を制定し、平成21年には景観計画を施行し、景観行政団体である和歌山市と高野町を除く県内全域で届け出制度を実施し、良好な景観の形成に取り組んでおります。
 今後、地域の魅力を熟知した地元の住民の参画による景観づくりの推進にも新たに取り組むことで、より魅力のある地方都市の景観形成を図ってまいりたいと考えております。
 また、まちづくりの主体であります市町村と連携を図りつつ、緑化の促進やマンションなども含めた良好な住環境整備もあわせて進めていく必要があると考えております。これらの施策により魅力ある地方都市づくりを総合的に進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 総務部長宮地俊明君。
  〔宮地俊明君、登壇〕
○総務部長(宮地俊明君) 軽自動車税に関する御質問にお答え申し上げます。
 軽自動車税に係る税制改正につきましては、去る11月19日、政府税制調査会におきまして、総務省から環境自動車税に関する基本的な考え方が示され、その中で小型自動車との税負担の格差を一定程度縮小するよう軽自動車の税負担の引き上げを行うとされ、平成24年度に向け議論がなされることとなっております。
 また、軽自動車税の課税主体である市町村の全国組織であります全国市長会、全国町村会からは、税源の充実強化を図る観点から、自動車税との負担の均衡を考慮し、軽自動車税の標準税率を引き上げるよう、国に対し提言等がなされております。
 一方、議員御指摘のとおり、軽自動車の保有は都市部よりも地方部に多いことから、地域の交通手段である軽自動車に対する税負担を急激に重くすべきではないという意見も出されているところであります。
 今後、軽自動車への課税のあり方につきましては、公平、中立、簡素という税の基本原則を踏まえつつ、納税者の税負担も考慮し、総合的に検討がなされていくものと考えており、国における議論の動向を引き続き注意深く見守ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 以上で、大沢広太郎君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 おはようございます。議長から御指名いただきました。お許しをいただきました。一般質問をさせていただきます。どうかよろしくお願いします。
 1問目であります。和歌山県の教育委員会と宇宙航空研究開発機構、通称「JAXA」と呼ばれるものですが、宇宙教育センターと、このたび和歌山県が宇宙教育に関する協定というのを締結しております。これに関しましては、和歌山県は全国のどの都市よりもこの分野における教育、講演会、こういったものを実施した経緯というのがあることから実現したのかなというふうに考えております。
 例えば、ことし7月、米国アラバマ州ハンツビルで実施されたボーイング2010年度・教師のためのスペース・キャンプ・プログラム、ここに日本代表として和歌山県教育委員会から指導主事が参加しております。このプログラムは、世界12カ国及びアメリカから102名の教師が参加したもので、日本からはただ1人、和歌山県から候補者が選出されている、こういう快挙であります。
 これに至る経緯は、宇宙を切り口とした教育による地域再生、これを推進している和歌山大学観光学部・戸塚特任教授の推薦によるものが大きいものですが、西日本からは、もちろん初めての代表選手、こういうことを和歌山県では行ってるわけです。
 トレーニングの内容は、NASAのエンジニアリング設計、月での仮想滞在、無重力状態での飛行、本物さながらの宇宙飛行士の養成訓練、こういったものがあったようだと伺っております。
 本来であれば、このプログラムというものは、公立小学校の4年生から中学2年生までの理数系を担当する教師が対象ですが、今回JAXA宇宙教育センターとの連携による宇宙を切り口とした総合的教育システムの構築による地域再生、すなわち宇宙の可能性は無限で宇宙教育は理数の分野に限らないという概念に基づいて、英語教育を専門とする指導主事の推薦が認められ、日本代表に選ばれた、こういう経緯があります。
 帰国後、同月の7月ですが、和歌山市内で開催された第48回JAXAタウンミーティング&ユース・スペース・プログラムにおきまして、NASA宇宙教育訓練プログラムへの参加報告と、JAXA宇宙教育センターとの共同の宇宙事業を実施し、多くの子供たちに夢と感動の授業、これを実施してくれております。
 また、10月8日から10日までの3日間、JAXA筑波宇宙センターの宇宙飛行士訓練施設を利用して、和歌山県の教員として、JAXA教師のためのスペース・プログラム──これはJAXA宇宙教育センターと和歌山大学──これが共同で企画、開発したものが開催されました。研修に参加したのは和歌山県内の教師8名で、これは将来、全国の教師及び海外の教師──これは教育を切り口とする外交ツールとしても考えているところでありますが──これを対象とするプログラムを和歌山県をモデルとして開発する取り組みであり、これも全国初の試みでありました。
 資料でお配りしておりますこの8名、日の丸を背負って誇らしげに未来を見詰める視点が印象的ですが、これすべて和歌山県内の教師8名がこういった訓練に参加しております。
 全国で初めてこういった取り組みをされたということで、私も筑波宇宙センターを訪問して訓練の一部を体験さしていただきました。例えば、訓練用の宇宙服を着て動く、動作をするトレーニングとかそういうのもさしていただいたんですが、結構ストレスのかかるものでありまして、こういった訓練をするには強いストレスへの抗体というんでしょうか適性、そういったものが求められるんだなということを実感しております。
 また、参加した教師の皆さんと話をしたところ、それぞれ一様にすばらしい体験をしていることがわかりました。生徒に何かを教えるためには、みずからが体験しなければ本質的な部分を教えることができません。理科の素材として宇宙を扱う場合、これは当然のことなんですが、理科を超え、無限の可能性を持つ教材として宇宙を活用する場合はなおさらに、宇宙開発を理解し、宇宙訓練をしていない教師がこれを教えるのとでは天と地ほど授業が違ってくる、このように思っております。
 今回実施されたこのスペース・プログラムにおきましては、宇宙飛行士訓練体験を終えた教師たちに、その体験に基づいて自分の教室で使うカリキュラムをつくる、こういう課題が出されました。参加教師たちに考案されたカリキュラムの質の高さがこの体験プログラムの意義を顕著に示しておりました。すなわち、8人の教師の皆さんが考案した4つのカリキュラムは、どれもこれも体験があったこその内容で、即座にJAXA宇宙教育センターから、センターの活動の中でそれらを使用したい、こういう許可が求められた、これほどのクオリティーの高さを生み出しております。
 今回体験した教師が教えた生徒の中から将来宇宙飛行士が誕生するかもわかりませんし、JAXAに就職する生徒があらわれるかもしれません。事実、和歌山県出身でJAXAで働く人は現在8名いると、こういう状況にあります。教え方が上手だったり知識の豊富なすばらしい教師はたくさんいますが、若い教師にはみずから体験をして、そこから教えてほしい、そういうふうに思っております。
 今回参加した教師の皆さんは、この理系の分野ではそれぞれの学校で推薦された皆さんですから、一番の分野を持っている教師に教えてもらえる、こういう生徒は幸せなことだなというふうに思っております。
 現在、3日間の宇宙体験をひっ提げた8人の教師が和歌山県に存在しております。そんな教師の宇宙体験をどのように今後生かしていくのか、来年度の大きな課題だというふうに思っております。個人的には、和歌山県を宇宙教育先進県にしたい、こういうことを目標にしておりますが、現時点において和歌山県は他府県をリードする取り組みをしているのかなあというふうには思っております。
 そして、平成23年1月、来年1月ですが、ことしの夏、日本じゅうを感動させた「はやぶさ」が和歌山市にやってきます。これは全国140を超す都市が「はやぶさ」の展示会をしたいということをJAXAに申し入れしていたわけなんですが、その数多くの応募の中から和歌山県和歌山市が選ばれております。数少ない展示機会をいただいたことになっているわけですが、これも和歌山県の強力なアプローチと熱意が通じたものだというふうに考えております。
 そして、今回、和歌山県教育委員会と独立行政法人宇宙航空研究開発機構宇宙教育センターが宇宙教育活動に関する協定書を交わしております。JAXA宇宙教育センターが府県を対象に教育における協定、これを締結するのは全国で初めてで画期的なことであります。この協定では、宇宙を素材にした教育活動を実施することによって広い見識を身につけた心豊かな青少年の育成を目指し、それとともに、そこを協働して推進する指導者の啓発、これを目的にしております。
 具体的な項目としましては、教職員研修支援として、今回実施したようなJAXA教師のためのスペース・プログラムを初めとする宇宙教育プログラムによる教職員を対象とした研修支援活動、それから被研修者同士の連携支援活動、社会教育支援活動宇宙教育プログラムによる小学生、中学生、高校生及び保護者を対象とした学習支援活動、そして学校教育支援活動として、和歌山県内の県立学校との連携による授業支援活動、こういったことが協定の中でうたわれております。来年度の和歌山県の教育界における期待を感じさせる夢のある協定だというふうに思っています。
 そこで、教育長に質問をさしていただきたいと思います。
 この協定は、ことし11月15日、協定締結を行っておりますが、ここに至った経緯、それから意味合い、意義、そういったものはどのようなものでしょうか。あわせて、宇宙教育に関する意義についても説明してください。
 また、今後実現する予定の活動というものはどのようなものがありますでしょうか。あわせて、協定に伴って市町村での教育の取り組みへの影響、どのようなものが考えられますか。お答えいただきたいと思います。
 続きまして、来年1月15日から18日までの4日間、JAXAはやぶさプロジェクトマネジャー、川口淳一郎氏による講演、はやぶさのCGでなじみの深いスペースアートの池下さん──この方は和歌山県出身のアートディレクターなんですが──この方の講演、それからJAXA教師のためのスペース・プログラムに参加した今回のこの8名の先生方の合同教育プログラム、こういったものが実現することになりました。この機会を和歌山県が宇宙教育に熱心な県のPRとして実施すべきだと思いますが、この辺についての考え方をお聞かせいただきたいと思います。
 この項目、最後であります。体験型修学旅行における本物がある筑波宇宙センターを研修する機会、そういったものの可能性についてはどのように考えられますでしょうか。
 この筑波宇宙センターに行きましたら、「はやぶさ」とかいろんな宇宙に関する本物が置いております。何で大気圏に突入して消えてしまったものの本物があるのかというと、宇宙へ飛ばす「はやぶさ」とか「あかつき」とかいろいろあるんですけど、2基つくるらしいです。1基は実験する、1基は飛ばすということで、実証用と本番用というのがありまして、性能をちゃんと確認するために同じものを2つつくる。そのうちの1つがここに展示されているということで、本物が残っていると。レプリカではなく本物が残っていると、こういう宇宙センターになっております。ここの修学旅行、可能性についてお考えを聞かせていただきたい、このように思います。
 2点目の項目であります。都市計画と農地についてお尋ねいたします。
 和歌山市における都市計画と農地制度ですが、他府県から自動車で和歌山市に来られる方は、和歌山インターチェンジ付近の光景を見て驚きの表情を見せてくれることがあります。県庁所在地のインターチェンジは、どこの都市でもロードサイド店、大型店などが建ち並びまして、都市としての価値を誇っております。ところが、和歌山市の場合はそれとは違った光景が広がっています。このあたり一帯は市街化調整区域になっておりますから、この風景は当然といえば当然のことですが、それでも県庁所在地、ましてや中核市ですから不思議な感覚があります。
 和歌山市には比較的大規模な農地が少ないのですが、この付近は大きな農地が存在していることが市街化調整区域になっている要因かもわかりませんが、果たしてそれが中核市の姿としてよいのかどうか、その辺を少し考えてみたいというふうに思います。
 平成13年の8月1日から市街化調整区域の立地基準が緩和されておりますが、そのうちの1つの地域がこの和歌山インターチェンジ付近、このようになっております。例えば1万平米未満の事務所や飲食店、これが建築が可能な地域になっているということから、最近ではコンビニとかそういった商店が立地しておるわけなんですが、立地しているということで、ややまちとしての町並みを形成しておりますが、依然として寂しい限りです。
 農地を守るという目的であれば市街化調整区域を守る必要がありますが、開発許可基準を緩和しているということは、この地域が市街化区域に準ずる用地だと認識している、こういうことが言えようかと思います。つまり、用途としては市街化調整区域となっているのですが、必ずしも農地を守るべき地域とはしない緩和措置によって中途半端な状態になっている、こういう状態がこのインターチェンジ付近の現状かというふうに思います。本来であれば、都市としての利用価値があるインターチェンジ付近の用地がそうはなっていないのが今の風景につながっているのだというふうに思います。
 一方、和歌山市の都市計画、これは人口42万人規模を想定したものになっております。人口36万人台の都市に見合った都市計画の見直し、変更、こういったものも必要な時期になっていると思います。例えば、市街化区域の見直しを図り、収益性の見込まれる地域を市街化区域に変更するなどの見直しということも必要かと考えられます。都市計画の見直しによって進出企業の受け皿をつくることも必要ではないでしょうか。事実、滋賀県の竜王や草津、こういったインターチェンジ付近の立地状況と比較すると、和歌山市のそれは寂しい限りであります。インターチェンジ付近が市街化調整区域になっている県庁所在地の市は全国で和歌山市だけとも聞きますから、都市計画の見直しというものの必要性すら感じるわけであります。
 また、開発に関しましては、農地転用の制限についても問題があるように思います。農地の相続による納税猶予制度、租税特別措置法によって20年間の営農納税制度を受けているため、市街化促進のここが弊害になっているということもあり、市街化区域内や緩和区域内における納税猶予期間の廃止、そういったものも検討すべき課題かなというふうに思います。
 また、開発できる農地転用自体がことしの6月1日から農地制度の改正に伴い厳しくなっていることも、和歌山県にとっては不利な状況に働いております。すなわち、農地転用を促進すべき用地としての第3種農地として認められる場合が限られているため、市街化への促進ができなくなっている、こういう状況になっております。
 そこで、県土整備部長に質問であります。
 1つ目、和歌山インターチェンジ付近の活用に関しては、都市計画の見直し、市街化調整区域を見直しする必要があると思います。そもそも都市計画というものは、まちづくりにおいて最も重要な計画の1つですが、時代に即した見直しなど検討されていないように思います。和歌山県として今後の和歌山市内のこの付近の都市計画に関してのお考えはありますでしょうか。
 続いて、農林水産部長に質問をいたします。
 農地区分に関して、第1種、第2種、第3種農地の線引き後の結果、これを農家支援のためにも情報公開をしてほしいと思いますが、この辺についての見解をお示しいただきたいと思います。
 同じく農林水産部長にお伺いします。
 第3種農地基準のうち転用可能なものは、水道管、そして下水管またはガス管の埋設された幅員4メートル以上の道路、こういう条件があります。2つを兼ね備えてなければ転用できないと、こういう条件があります。下水管や都市ガスが未整備な地域が多い和歌山県において都市型の基準をそのまま導入されていることは、都市計画上、和歌山県に不利に働いているように思います。和歌山県としてこのあたりの裁量を持つことはできないものでしょうか。
 例えば、下水道がない場合は合併浄化槽設置であってもよいのではないかというふうに思いますが、このあたりの見解をお聞かせいただきたい、このように思います。
 続きまして、和歌山EV計画についてです。
 EV、電気自動車のことなんですが、電気自動車の社会整備を推進するための計画が、和歌山県でもそうなんですが、全国各地で現在策定されております。
 例えばお隣の大阪府では、大阪EVアクションプログラムを策定し、既に実行期間に入っております。このプログラムは、大阪府下でインフラ、社会の整備、先進的モデル事業を行う、そういうことで大阪府内外の電気自動車や太陽電池の普及を促進させ、低炭素社会を構築するとともに、将来的に電気自動車を初めとした新エネルギー関連産業を大阪府へ集積しようと、こういうことを目的に行われているものであります。
 具体的に申しますと、2009年から11年度にかけまして電気自動車の急速充電器の普及を目指す、これが第1期間、2014年までには充電設備のさらなる整備、これを計画する第2期間、それから2019年までに関西圏全体で電気自動車の普及を目指す第3期間、この3回に分けて計画を実施する、こういう動きになっています。特に来年1月からは、大阪EVアクション協議会に参加しているオリックス自動車、日本ユニシス、それからジェーシービー、そういったところが参画し、世界初の充電予約可能なシステム、おおさか充電インフラネットワーク、これを活用することになっております。
 この充電器で充電するとほかと何が違うかということなんですが、充電した場合、エコ・アクション・ポイント、こういうものが付与されるシステムになっておりまして、電気自動車のユーザーを対象としたエコ・アクション・ポイントの付与はこれが我が国初めてと、こういうシステムになっております。この辺の説明は、さきに名古屋で開催されたCOP10、こちらにおいて事業説明があったわけですが、この大阪府のシステムに連携させる方式、これも和歌山県として考えてみたいものだというふうに思っております。
 和歌山県は観光立県を志向していること、さらに環境先進県を目指していることから、電気自動車の時代に突入しようとしている中において、例えば高速道路が延伸されるすさみまでを観光の範囲、とりあえず高速道路沿いの観光の範囲とするならば、電気自動車対策として県内各地に充電スタンドは必要だというふうに思っております。
 また、このエコ・アクション・ポイントというのを少し説明さしてもらいますと、地球温暖化対策型の商品・サービス、こういったものを購入した場合は、それぞれの個人の省エネ行動に対してポイントというのを獲得できます。そして、このためたポイントをさまざまな商品やサービスに交換できると、こういうものでありまして、現在、環境省がジェーシービーに委託をしてエコ・アクション・ポイントのプラットフォーム運営を行っていると、こういう状況になっております。参加団体は現在53の企業、団体に上りまして、現在も拡大している、こういう状況であります。ただし、企業からの原資持ち出しが必要なため、和歌山県の場合、単独での実施というのは現実的には厳しいものがあろうかなというふうに思っています。そのため、関西広域連合としても環境面、観光面からも電気自動車に積極的に取り組む必要があることを知事のほうからも提言してほしいなというふうに思っております。
 この件に関しては、環境生活部長に3点の質問をさしていただきたいと思います。
 1つ目、大阪府が計画しているような電気自動車普及計画とスタンドの設置計画はありますか。環境都市和歌山県としては、この分野で先端を走ってほしいところですが、この点、いかがでしょうか。
 2つ目、関西広域連合として電気自動車の導入計画がありますが、和歌山県の参加意欲をお示しください。
 3つ目、おおさか充電インフラネットワークとの連携については現時点で考えられないものでしょうか。
 以上をお答えいただきたいと思います。
 4つ目は、防災対策であります。
 県民の皆さんの生命と財産を守る、これが県行政としての大きな役割の1つです。個人としてではなく地域として生命を守る、この覚悟を持って行政運営をしてほしいと思っておりますが、特に災害弱者と位置づけられている高齢者、それから入院患者の皆さんを災害から守る施策というのは非常に重要ではないかなというふうに思います。
 今までもこの分野に関しましては繰り返し提言をさしてもらっておりますが、たとえ耐震補強した建物が倒壊しなかったとしても、室内対策が講じられていないと県民の皆さんの生命は守れません。高齢者福祉施設と災害拠点病院に対しての室内対策の重要性を考えると、早急に手段を講じることが必要だと思いますが、その観点から質問を行います。
 1つ目、高齢者福祉施設への防災対策上必要な対応についてですが、和歌山県は和歌山県老人福祉施設協議会と老人ホームを避難所にする、こういう協定を締結しています。避難所にするためには室内対策が不可欠です。避難施設となる高齢者施設の建物の耐震化と室内対策を早急に実施すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 また、市町村に対しては、耐震性と室内対策を講じている避難施設としての機能を有しているこれらの高齢者施設と個別の協定を進めるように指導してほしいというふうに思いますが、この点、いかがでしょうか。事実、優良老人ホームの中にはこれらの対策を施して市町村に申し入れをしていますが、協定に至っていないというケースが多々あるように聞いております。お答えいただきたいと思います。
 2つ目、災害拠点病院の耐震化に伴う医療施設耐震化臨時特例基金、これは7億5000万円の基金でありますが、この用途について高齢者施設と同様に室内対策を講じる必要性があると考えております。建物の耐震化と同時に室内対策を実施することが災害拠点病院に求められていることだと思いますが、この点、いかがでしょうか。
 この項目につきましては、福祉保健部長の答弁をお願いしたいと思います。
 最後の項目は、経済対策であります。
 和歌山県で最大の課題の1つが地域内の経済対策にあります。即効性があり、知事が選挙戦で訴えたように、多くの県民の皆さんが最も期待している項目の1つが、和歌山県内への企業誘致です。
 その企業誘致に関しては、知事は1期目で大きな成果を残されております。すなわち、過去20年間に匹敵する80社近くもの企業誘致に成功している。これは、進出したものと見込まれる協定を交わしたもの、この2つを含めての80社だというふうに思いますが、このことによる雇用や経済効果というのはこれから先、来年度以降発生してくるものと期待しているわけなんですが、知事に最後にお伺いしたい項目はこの点でありまして、知事の1期目には80社もの企業誘致または協定が図られておりますが、その成功要因とはどのようなものがあったんでしょうか。
 また、正規雇用と経済効果、これがあらわれてこないと、せっかくの誘致の意味というのが少し薄らぐと思いますが、これはどの程度のものがありますでしょうか。お答えいただきたいと思います。
 あわせまして、仁坂県政2期目も当然企業誘致に取り組むものだと認識しておりますが、これまでと同様に多大の成果を期待しています。今後の企業誘致、それから正規雇用に向けての取り組みの姿勢について説明をしていただきたいと思います。
 以上をもちまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(谷 洋一君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、企業誘致につきましては、数々の成果はおさめましたけれども、決して満足するものではありません。が、私みずからのトップセールスを初めとする延べ4000社に及ぶ企業訪問など、職員一丸となった努力を続けてまいりました。
 また、誘致優遇策も利用さしていただいておりますけれども、それ以上に評価されているのは、県庁内において企業の要望にきめ細かく迅速に対応できる体制を整えているというところだと思います。
 さらに、当初は実は不祥事のマイナス効果に随分悩んでおったんですが、だんだんなくなってまいりまして、今、依然として悩み続けているのは、高速道路などインフラのおくれでございます。それを何とか説得しながら、私が就任以来、本県に立地していただいた企業によりまして、直接的には約1200人の雇用効果と約3400億円の投資が生まれつつありまして、人口流出の歯どめに貢献していただくとともに、資材調達や物流など、地域経済への波及効果もさまざまに生じているところであります。このような波及効果を考えると、この雇用効果はもうちょっと多いんじゃないかというふうに思います。
 今後は、情報収集力の強化やどの辺に有望な産業があるかとか、そういうこともちゃんと勉強しながらやっていかないといけませんので、そういう意味での情報収集力の強化や関係機関との連携など、これまでの体制にさらに磨きをかけるとともに、インフラ整備など環境づくりを進め、企業活動が行いやすい魅力のある和歌山県ブランドづくりを、県民の皆さんの御理解と御協力をいただきながら、全力で取り組んでまいりたいと思っております。
 これによりまして働く場がふえて、それで労働の需給もよりタイトになってまいりますと、おのずと正規雇用もどんどんふえてくるというふうに期待をしているところでございます。
○議長(谷 洋一君) 県土整備部長原 広之君。
  〔原 広之君、登壇〕
○県土整備部長(原 広之君) 和歌山インターチェンジ付近の活用についてお答えいたします。
 和歌山インターチェンジ付近につきましては、市街化調整区域でありますが、その交通利便性から和歌山市都市計画マスタープランにおきまして、運輸流通拠点の計画的整備による新規都市機能整備地域として位置づけられてございます。このため、平成13年に和歌山市開発行為等に関する条例により、事務所や倉庫、あるいは一定の規模の物販店などの立地が可能となるなど、規制が緩和されているところでございます。
 市街化区域編入につきましては、可住人口などの要件を満たす必要があり、引き続き周辺の土地利用の動向を注視してまいる必要があると考えております。
 和歌山市における都市計画につきましては、現在進めております中心市街地活性化等のまちづくり施策との整合を図りながら、まちづくりの主体である和歌山市と連携し、時代に即した都市計画となるよう努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 農林水産部長阪中栄一君。
  〔阪中栄一君、登壇〕
○農林水産部長(阪中栄一君) 都市計画と農地についての御質問のうち、まず農地区分の情報公開についてでございますが、農地転用許可の可否を判断する際の基準となります第1種、第2種、第3種等の農地区分につきましては、農地転用許可申請地の周辺の土地利用状況によって判断をすることといたしております。
 周辺の土地利用状況の変化に伴いまして、農地区分も変化する可能性があることからあらかじめ農地区分の線引きを行うのではなく、農地転用許可を行う時点で個別に判断をしていかざるを得ないと考えております。
 次に、第3種農地基準のうち転用可能なものの基準見直しについてでございますが、先般の農地法改正によりまして、優良農地確保の観点から原則許可となる第3種農地基準の厳格化がなされたところでございます。
 第3種農地とは、市街地の区域内または市街地化の傾向が著しい区域内にある農地を指し、農地転用許可申請地に沿った道路に水管、下水道管またはガス管のうち1つが埋設されているだけでは今日において市街化の指標となり得ない状況にあることから、2つ以上埋設されていることが第3種農地の要件となるよう改正されたところであります。
 このように、農地区分の判断基準につきましては、農地法施行規則に定められておりまして、本県独自の裁量の余地はなく、議員のお話にありました下水道管がない場所での合併浄化槽の設置をもって第3種農地の要件とするような運用は、制度上できなくなっております。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 環境生活部長保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 和歌山EV計画の3点についてお答え申し上げます。
 まず、電気自動車普及計画と充電スタンド設置計画についてですが、電気自動車は、現時点ではガソリン車に比べて走行距離が短いため、充電インフラの整備促進が普及のかぎとなっております。このため、県では新政策として、地域グリーンニューディール基金を活用した急速充電器の設置や民間、公共の充電器をネットワーク化するためのルールづくりに取り組んでおります。
 これにより、まずは県内各都市間や世界遺産の主要拠点間を充電しながら移動できるよう、南北に長い本県の実情に即した充電ネットワークづくりを推進してまいりたいと考えております。
 これとあわせまして、ガソリンスタンドが少ない過疎地での活用など日常の利活用においても、本県の特性を生かした支援策を検討し、電気自動車の計画的、全県的な普及促進を図ってまいりたいと考えております。
 一方、関西広域連合の業務として位置づけられている電気自動車普及促進事業の中では、広域的な充電設備の設置促進や観光事業と連携した利用促進事業等について検討することとなっており、本県としても県内と広域の施策を有機的に連携させることで、電気自動車の普及促進に主体的、積極的に取り組んでまいります。
 次に、おおさか充電インフラネットワークとの連携についてですが、大阪府の取り組みは電気自動車の利便性を高め、かつ利用者の環境意識を高めるという点で非常にすぐれたものでありますが、今後の展開を考えると、府県のエリアだけではなく、近畿圏などの広域においてだれもが共通して利用できるシステムに発展させるべきであると考えております。
 また、議員お話しのように、エコ・アクション・ポイントについても、企業からの原資が必要であるなど課題が多いため、今後、電気自動車に係る連携施策の検討課題の1つといたしまして、関西広域連合などの場で関係府県と協議してまいります。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 防災対策についてお答え申し上げます。
 まず、高齢者福祉施設についてでございますが、防災対策上の対応では、避難施設となります高齢者施設の建物の耐震化と室内対策は大変重要な課題でありますので、現在、実地指導等を通じ未整備の施設に対して指導を行い、順次改善を図っているところであります。
 さらに、市町村と高齢者施設との個別の協定につきましては、災害時等における地域の安心の確保等に関する協定書を踏まえまして、今後、市町村及び関係機関に対して積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、災害拠点病院等の耐震化については、昨年度設置しました医療施設耐震化臨時特例基金により支援を行っているところであります。この基金の用途は、未耐震の災害拠点病院等が行う建物の耐震化工事が対象で、室内対策については対象外となっております。
 なお、この基金の活用により、平成24年度末には災害拠点病院すべてが耐震化される見込みであります。
 また、災害拠点病院の室内対策については、各病院で取り組んでいただいておりますが、県では毎年、全病院への立入検査時に室内対策の状況も確認し、指導等を行っております。今後も引き続き、室内対策、特に医療機器など備品の転倒防止を進めるため、耐震予定の医療機関に対し、室内対策もあわせて実施するよう働きかけるとともに、実大三次元震動破壊実験施設でございますE-ディフェンスが行った病院内震動実験の映像なども活用しまして、あらゆる機会を通じて働きかけてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 宇宙航空研究開発機構(JAXA)との協定につきましては、議員や和歌山大学関係者の方々に大変な御尽力をいただきまして、先ほど御紹介のありましたNASAで開催された教員研修プログラムへの県教育委員会職員の派遣が実現いたしました。それをきっかけにJAXAとの連携が始まり、宇宙に関する研修や講演会等を積極的に進めてまいりました。
 こうした中、JAXAの持つ教育力を生かし、本県の教育を一層充実させることを目的として協定を結ぶに至った次第でございます。
 この協定により、今後さまざまな事業を通して、理数系教科のみならず、環境教育や外国語教育等、学習活動の充実を図り、児童生徒の学習への興味、関心、意欲を高めるとともに、宇宙への夢をきっかけとして子供たちに広く科学への関心を持たせたいと考えてございます。
 具体的には、中学生を対象としたスペース体験プログラムへの派遣、これは来年始まりますが、ことしはその先駆けとして8月の缶サミットで優勝した高校生がことし試験的に参加をさせていただくということになりました。また、教師のためのスペース・プログラムへの教員派遣、JAXA筑波宇宙センター職員と連携した授業実践等が実施できる見通しでありまして、今後JAXAとの協定が市町村にも広がり、宇宙教育プログラムの活用が進むことを期待しております。
 なお、中学校の修学旅行に東京からおよそ1時間で行ける筑波宇宙センターでの班別学習等が盛り込めれば、修学旅行の教育的意義が一層深まるものと考えてございます。
 また、関係者の努力によって実現した「はやぶさ」カプセル展示の際には、NASA及びJAXAの教員研修へ派遣されたメンバーの経験も生かしていただき、主催者と協力しながら、本県が宇宙教育を積極的に推進していることを広くPRしてまいりたいと考えます。
 以上です。
○議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 再質問を許します。
 33番片桐章浩君。
○片桐章浩君 要望をお願いしたいと思います。
 1つが防災対策についてですが、室内対策に関しては予算が使えない、適用できないというふうなことに現状なっているというふうにお聞きしておりますが、実は私もこの前、兵庫県、機会をいただきまして、先ほど部長から紹介いただきましたE-ディフェンス、こちらでの災害拠点病院をモデルとした震災の実験というんでしょうか、それに立ち会いしました。これを見ると、この映像が、建物が幾らつぶれなかっても、中の患者さんとか先生がぐちゃぐちゃになって生命の危機があるという、そういう恐怖感を覚える実験でありました。この辺のDVDを入手されてるというふうにお伺いしておりますので、それを活用しながら、民間の災害拠点病院あるいは高齢者福祉施設にもぜひ必要性を働きかけていただきたいということを1つ要望しておきたいと思います。
 それから、もう1つが都市計画と農地の問題について意見でございますが、先ほど第3種の農地の運用は制度上できない、こういうふうなことにあるということをお答えいただきました。ただ、もう当局の皆さんのほうが御存じのように、和歌山県は可耕地が少ない地形であるということ、農地保有の平均は5反から6反という小規模農家が多いという現状がある中で、国が目指している規模とは大きくかけ離れている地域なんですよね。
 さらに言うならば、農家を継承する人材が育っていないとか、きのうも一般質問であったように、耕作放棄地が非常にふえている、こういう状況をはらんでおります。相反する都市計画の部分と農地制度、農地を守るという部分では、部門間では相反する見解があろうかというふうに思いますが、相反する利益価値がある場合は公共全体を見渡していただいて利益向上してほしいというふうに思います。これをできるのは、県においては知事が主導できると思いますので、この和歌山インターチェンジ付近の都市計画に関して、ぜひ市を交えた関係者と協議をしてほしい、このように思います。
 あわせて、繰り返しになりますが、農業就労人口、この前発表されておりますが、ここ5年間で14.4%減少していること、60歳以上の方が67%を占めていること、そして農業従事者の平均年齢が63.4歳と高齢化している、こういう状況の中において後継者不足の問題などの課題が全く解決できる見込みがない中、全国一律の農地法や納税猶予に従って、これはもう制度で決まっているから仕方がない、こういうことで思考を停止させるということはいかがなものかなというふうに思っております。
 人口減少の時代において、地方都市の土地の価値というのは限りなく今後低下していく、このように専門家の方は予測しております。人口減少地域の土地の価値が上昇する見込みがなかなかない状況から、今から利用価値の見込まれる用地に変更しておく、このような事前対応が必要かというふうに思います。
 和歌山市の中心市街地の路線価が低下している事実というのは、和歌山市とそして中心市街地の価値、これを低下さしている。すなわち、収益性が見込めない地域として市場からは評価されているわけであります。和歌山インターチェンジ付近は、現在のところ、市場関係者が収益性を確保できる場所として評価してくれているようです。今から活用できるような状況にしておかないと、このままでは人口減少が確実視されている状況において価値創造が見込めない、図れない、こういった地域になってしまうというふうに思います。都市計画に関しまして、あるいは農地制度の裁量権等に関しまして、県が指導力をさらに持っていただきたいということを要望いたしまして、一般質問を終わらしていただきます。ありがとうございます。
○議長(谷 洋一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時28分休憩
────────────────────
  午後1時2分再開
○副議長(山下直也君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、早速5点にわたって一般質問に入らせていただきます。
 1点目は、少子化対策についてお尋ねいたします。
 2007年12月議会でも少子化対策と安心して子育てのできる社会的環境について、また2009年には子供の医療費無料化の拡充について質問させていただきました。県は、長期総合計画において少子化対策の主な施策として4点挙げられています。1、子育て家庭の経済的負担の軽減、2、子育てと仕事の両立支援、3、地域特性を生かした子育て推進、4、次代の子育て世代への支援、この4点です。今回は特に、子育て家庭の経済的負担の軽減と、そして子育てと仕事の両立支援ということで関連して取り上げたいと思います。
 国の平成22年版「子ども・子育て白書」──旧「少子化社会白書」──では、子供を持つ上での不安について、御承知のように、経済的負担の増加が際立っている結果が示されています。これは、若年層での不安定雇用の増加や雇用者報酬の減少、また税や保険料などの住民負担がふえている中、子育ての経済的負担の軽減が切実な問題となっている、そのことのあらわれだと考えています。
 私たちが取り組んでいる暮らしの要求アンケート、200人の回答の中間取りまとめでは、国保料、介護保険料の負担軽減を望む声が一番多く、次に若者の雇用対策、3番目には商店街活性化と子供の医療費拡充の願いが同数で上位を占めています。収入が少ない上にアレルギー性疾患を持っている子供がおり、医療費が生活を圧迫しているなど、医療費無料化を求める声が寄せられています。子供の医療費無料化は、経済的負担軽減策としても、またいつでも安心してお医者さんにかかれるという子供の命を守るための子育て支援策としても、大きな役割を果たすものです。
 乳幼児医療費の無料化は、60年代に岩手県沢内村──当時は岩手県沢内村──ということで、国保での10割給付として実施され、乳児の死亡率を大きく改善させました。70年代初めには約640市町村で実施されるようになっていました。現在は全都道府県が乳幼児の医療費助成を行っています。群馬県は、昨年10月から所得制限なしで対象年齢を中学卒業まで拡充させました。
 県内の市町村でも、県制度に上乗せし小中学校卒業まで対象年齢を広げている自治体は11、入院のみ広げている自治体は2、小学3年生までは1となっています。合計14の自治体が県制度に上乗せをしているわけです。安心して子育てができるように、国の制度創設をさらに強く求めると同時に、ぜひ県としても中学卒業まで無料制度の拡充を実施すべきと考えます。
 ここで、知事に2つお尋ねいたします。
 1つは、現時点での紀州3人っこ施策の評価をどのように考えられておられますか。
 2つ目は、子供の医療費無料化の拡充は直接的に経済的負担の軽減につながり、何よりも子供の命と健康を守る上で優先すべきことだと思いますが、いかがでしょうか。知事にお答えいただきたいと思います。
 次に、3つ目の子ども・子育て新システムの問題について福祉保健部長にお尋ねいたします。
 長計では子育てと仕事の両立を支援するということから、保育環境の整備を進めるとあります。子供の福祉施設である保育所は、子供たちの生活や発達を保障し、子供たちが未来への希望をつかむ時期に過ごす施設として、政策の中核に位置づけられる必要があると考えます。現行保育制度は、就学前の子供たちの健やかに成長する権利と保護者の働く権利を同時に保障するために、憲法に基づいてつくられています。
 この制度の最大の特徴は、保育を必要とする子供の保育を国と自治体が責任を持って保障することにあります。この制度のもとで国と自治体が入所を保障すること、最低基準など適切な保育環境の保障、保育運営に必要な経費の確保、保育所の増設など、保育を充実させる当事者としての役割を担ってきました。
 しかし、国は子ども・子育て新システムの基本制度案要綱を決定しました。これは、利用者と事業者の直接契約制度を基本に切りかえ、応益負担を導入することにあります。利用料の応益負担、自由価格になれば保育にも格差が広がり、重大な問題です。また、成り立ちや機能、子供の年齢構成や職員の資格など多くが異なる幼稚園と保育所を一体化させていくことは、短時間で結論が出せるような問題ではないと考えます。関係者初め、県民を含めた十分な議論が必要ではないでしょうか。子ども・子育て新システムの検討のストップを国に求め、まず現在の保育を充実させていくことが先決ではないでしょうか。
 今、国ではいろいろと議論されていると思いますが、県としての対応はどう考えられていますか。福祉保健部長にお尋ねいたします。
 2点目は、医療、介護分野に働く人材確保の状況と見通しについてお尋ねいたします。
 1つ目は、医師確保の問題です。
 この間、国の医師数抑制方針が転換され、和歌山県立医科大学の定員増や修学資金制度による積極的な運用など図られ、将来に向けて大いに期待を寄せるところですが、日本医師会の勤務医支援プロジェクトの調査では、約半分の医師は月の休日が4日以下で、9%の医師は1日も休日がなく、8.6%の医師が何らかのメンタルサポートが必要な状態であるなど、地域の勤務医の引き続く厳しい労働実態が示されました。
 和歌山県の地域医療を守るための医師体制をどのように考え、特に医師不足と言われている産科、小児科、麻酔科の医師確保などの状況についてお尋ねいたします。
 2つ目は、看護師の確保についてですが、依然として看護師不足が続いています。適切な確保対策となっているのかという点で疑問に感じています。今年度から看護職員充足対策事業として、新人看護職員研修事業や潜在看護職員復職支援事業が新たに取り組まれるようになりました。しかし一方では、修学資金の貸与総額、貸与人数は減っています。かつては国の補助もあり、平成9年は1億円近く充てられ、270人が貸与を受けていましたが、年々その費用も減額され、ついに平成17年には国の補助がなくなり、県単独の修学資金貸与になりました。平成19、20年は69人貸与されていましたが、22年は50人となっています。そのうち県外生は4名です。
 厳しい経済状況にある中、暮らしも大変です。希望を持って学ぶことができる制度を拡充してこそ、効果的な看護師確保にも結びつきます。修学資金制度の拡充を望みますが、いかがでしょうか。
 次に、介護職員の定着と確保についてお尋ねいたします。
 2009年10月からスタートした介護職員処遇改善交付金は、介護労働者1人当たり月1万5000円相当額を事業所に交付するもので、2年半の時限措置で国が4000億円負担するものです。実施後の介護職員の定着と確保の効果はいかがですか。さらに待遇改善が必要と考えますが、いかがでしょうか。福祉保健部長に、以上、お尋ねしたいと思います。
 次、3点目ですが、ひとり暮らしの高齢者の買い物支援についてお尋ねをいたします。
 2005年の国勢調査では、当県は一般世帯に占めるひとり暮らしの老人世帯割合が11.2%で、全国3位となっています。地域を訪問していると、買い物に行けないという声をよく聞きます。理由は、近所にお店がない、あってもお店まで遠くて歩いていけない、公共交通手段がないといったような理由です。
 今、首都圏においてもスーパーマーケットの撤退や商店街の空き店舗の増加で、日常の買い物に困難をきわめる買い物難民が多く存在していることがわかってきました。経産省によると、買い物に困っている人は大体600万人くらいと言われています。帯広畜産大学教授の杉田氏は、独自のアンケートで800万人に達しているとも言っています。山間僻地の問題だけではありません。和歌山市においても高齢者だけでなく多くの方が困っています。特に、ひとり暮らしの方にとっては、社会との交流の場であり、楽しみ、生きがいにもつながります。これから高齢化がますます進行する中で、地域で安心して暮らせるために県の果たす役割が大きいと考えるところです。
 そこで、商工観光労働部長には国の買い物弱者対策支援事業の積極的活用について、福祉保健部長には高齢者の日常生活支援の立場から買い物支援策についてお尋ねをいたします。
 4点目は、南海加太駅前駐輪場の設置についてお尋ねをいたします。
 加太は、和歌山市郊外にあって、万葉のころから歌に詠まれていた景勝地です。紀淡海峡に面した美しい海岸線が続いており、魚釣りでも有名なところです。
 先日、高野口町のほうへウオーキングに行ったとき、ちょうど大阪の御年配の女性の方に出会い、加太のことが話題になりました。その方は加太出身で、今は大阪に住んでいるということですが、とてもふるさと加太のことを気にかけていらっしゃいました。そして、駅前のところを何とかしてほしいと言われ、私も改めて見させていただくと、県道両側、粉河加太線から加太駅前に入る進入道路のことですが、その県道両側に100台近くの自転車や単車などが駐輪しているため、高齢者や障害者の方にとって、とても歩行時、危険な状況になっていると思いました。これでは、県内から見えた方も加太の玄関口を見て驚かれるのも無理がないと思いました。
 先には国体や全国障害者スポーツ大会も開催されることからも、駐輪場の確保など、市への働きかけを強めていただきたいと思いますが、企画部長には加太駅前駐輪場について、県土整備部長には加太駅前県道の駐輪対策の取り組みについてお伺いをいたします。企画部長、県土整備部長、お答えください。
 最後の5点目は、ハンセン病問題の周知徹底についてお尋ねをいたします。
 人権・少子高齢化問題特別委員会で岡山県の国立療養所邑久光明園に県外視察に行かせていただきました。そして、入所されている方と懇談させていただき、改めて今も偏見差別との闘いの中にあることを感じました。なぜ隔離政策が行われたのか、その隔離政策とは何であったか、検証結果を広く県民に知らせ、二度と同じ過ちを繰り返さないための啓発活動を積極的に取り組んでいくことが大事であると強く思いました。
 県としてのハンセン病問題の周知徹底の取り組みについてお聞きして、1回目の一般質問について終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 紀州3人っこ施策の評価をどう考えているかということでありますが、紀州3人っこ施策では、現在3歳未満の第3子以降の保育料を無料化しておりますので、3人以上のお子さんを育てようとしている家庭の経済的負担の軽減には大いに役立っております。
 実際、和歌山県内のここ数年の出生状況を見てみますと、第1子、第2子の出生数はふえていない中、第3子の出生数がずっとふえる傾向にありますので、当該事業を展開した成果はあったのではないかと考えております。
 また、紀州3人っこ施策を始めた平成19年度以降、全国的にも同様の施策を展開する自治体がふえておりまして、こういった施策に対する社会の期待も次第に高まってきているのではないかと考えております。
 次に、子供の医療費無料化の拡充につきましては、将来を担う子供のためでもありますので、充実していきたいと思う思いは強く持ってはおりますけれども、これまでの県議会でも答弁してきましたとおり、大変厳しい財政状況を考慮いたしますと、今は制度を維持することが精いっぱいであるわけであります。
 なお、国に対しましては、これまでも全国知事会等を通じて子供の医療費負担の軽減を要望しておりまして、今後も引き続き働きかけを続けてまいりたいと考えております。
○副議長(山下直也君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 少子化対策についてですが、子ども・子育て新システムにつきましては、すべての子供に良質な生育環境を保障するための制度として、本年6月に基本制度案要綱が示されまして、現在、その制度設計について行政や民間、学識経験者など幅広い関係者の参画を得ながら検討が進められております。
 しかし、現時点では、保育所や幼稚園など就学前の児童が利用する施設をどういうふうに変えようとしているかといった具体的な方向が示されるにはいまだ至っていない状況でございます。国においては、保育を必要とするすべての子供たちへの処遇が後退することなく、社会全体の理解が得られる制度となるよう検討を進めていただけるものと思っておりますが、今後の検討の動向を十分注視してまいりたいと考えております。
 次に、医療、介護分野に働く人材確保と見通しについてですが、少子高齢化の進展、医療ニーズの多様化など、医療を取り巻く環境が大きく変化する中、医師の地域偏在や診療科偏在に加えまして、勤務医の過重労働等を背景にした拠点病院における医師不足も大きな課題となっております。本県で医療提供体制が堅持できているのは、医師を初めとする医療従事者の皆様方の献身的な御尽力によるものだと考えております。
 県といたしましても、医師不足解消の抜本的な対策として、和歌山県立医科大学の入学定員を増員するとともに、即戦力医師を確保するためのドクターバンク制度に取り組んでいます。あわせて、開業医等と連携した勤務医の負担軽減や育児中医師の当直免除などを行う医療機関に対する支援も実施しているところであります。
 不足診療科医師の確保状況につきましては、今まで小児科で18名、産科で4名、麻酔科で4名に対し医師確保修学資金を貸与しておりますが、引き続きその確保に努めるとともに、産科医療等を担う医師に手当を支給する医療機関を支援することによりまして、その定着に取り組んでまいります。
 また、医師の偏在を解消するため、全国衛生部長会を通じまして、地域別、診療科別の必要医師数を踏まえた医師需給計画を作成し、医師不足地域や不足診療科への制度的な誘導策について検討するよう、国に働きかけているところであります。
 今後とも、和歌山県立医科大学等関係機関と連携しまして、県民だれもが安全で安心して医療サービスを受けられるよう、限られた医療資源を有効に活用し、医療体制の堅持に努めてまいりたいと考えております。
 次に、看護師確保対策の強化と修学資金制度の拡充についてですが、看護職員の確保対策につきましては、看護学校養成所に対する運営費補助や看護学生を対象とした修学資金の貸与、また、ナースバンク事業による就業のあっせん、安心して働ける環境づくりのための院内保育所の設置促進、専門分野に応じた研修の実施など、養成力確保、就業促進、離職防止、資質向上を4本柱として、量と質の両面にわたり取り組んでいるところであります。
 さらに、今年度からは看護師等の有資格者で就業していない潜在看護職員を把握するシステムを構築し、現場への復職に向けた臨床実務研修を行う潜在看護職員復職支援事業を実施しているところであります。
 看護学生を対象とした修学資金制度の拡充につきましては、今後、看護職員確保対策全体の事業の中で効果的な方策を検討したいと考えております。
 次に、介護職員処遇改善交付金実施後の介護職員の定着と確保の効果ですが、県内の介護関係の有効求人倍率を見ますと、昨年9月末には1.64倍でしたが、本年9月には1.55倍となっており、一定の効果があらわれているものと考えております。
 しかしながら、介護関係の有効求人倍率は、全産業の有効求人倍率と比べまして依然として高い状況にあります。また、所定内賃金も低いことから、さらなる処遇改善が必要と考えております。
 次に、高齢者の日常生活支援の立場からの買い物支援策についてですが、県内市町村の社会福祉協議会では、高齢者や障害者などの支援が必要な方にホームヘルパーやボランティアなどを活用し、買い物支援を初めとする日常生活への支援を実施しています。県では、買い物支援だけでなく、庭の草刈りなど日常生活で困っている方を支援する仕組みを広めていくため、昨年度から社会福祉協議会やシルバー人材センターが地域で助け合う事業を立ち上げる場合に、市町村を通じて支援を行っているところです。
 今後も、買い物などで困っている高齢者の支援のため、行政の公的支援だけでなく、社会福祉協議会やシルバー人材センター、またNPOやボランティア、さらには地域の身近に住んでいる方々などによるきめの細かい支え合いの体制づくりを構築してまいりたいと考えております。
 最後に、ハンセン病問題の周知徹底についてですが、ハンセン病に対する誤った知識に基づく偏見や差別の解消は、重要な人権問題であります。和歌山県におきましても、広報紙への啓発記事の掲載や街頭啓発、人権関係イベント等におけるパネル展示等、一般的な広報を行うだけでなく、一般募集をした県民の方がハンセン病療養所を訪問し、入所者の方々と交流を行うふれあい訪問事業や入所者の方々の里帰り事業なども毎年実施しております。
 和歌山県出身の方では、現在20名の方が後遺症などの理由によりまして完治後も療養所に入所されていますが、今後とも入所者の皆さんの御意見を伺いながら、きめの細かい対応をしてまいりたいと考えております。
○副議長(山下直也君) 商工観光労働部長岡本賢司君。
  〔岡本賢司君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本賢司君) 国の買い物弱者対策支援事業の積極活用についてでございますが、国の緊急総合経済対策として買い物弱者対策が予算化され、買い物困難地域で公的機関や民間事業者が行う宅配や移動販売等の事業に対し、経済産業省が補助を行うことになっております。
 商工観光労働部としましては、和歌山市を初めとする市町村や他の関係機関にも情報提供を行い、経済産業省の制度の周知を図っており、今後、事業の要望状況を踏まえ、関係市町村とともに支援を図ってまいりたいと考えております。
○副議長(山下直也君) 企画部長柏原康文君。
  〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 南海加太駅の駅前駐輪場についてでございますが、南海加太線の駅駐輪場の整備状況につきましては、現在、沿線8駅のうち5駅で南海電鉄等からの土地提供も受けながら、和歌山市が整備、管理しております。
 御質問の加太駅前につきましては、以前から鉄道事業者など関係者とともに、駐輪場候補地を模索している段階と伺っています。鉄道駅として多くの方が利用でき、まただれもが安心して利用できる駅となるよう、今後とも和歌山市の取り組みに協力してまいります。
○副議長(山下直也君) 県土整備部長原 広之君。
  〔原 広之君、登壇〕
○県土整備部長(原 広之君) 県道加太停車場線の駐輪対策の取り組みについてお答えいたします。
 当県道は、県道粉河加太線から南海電鉄加太駅へのアクセス道路として、当駅を利用する自動車や自転車、歩行者が通行しております。しかしながら、駅付近に駐輪場がないため、二輪利用者は県道上に駐輪しているのが実情でございます。
 このため、現在和歌山市が取り組んでおります駐輪場の早期整備に向け、協力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ございません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
 40番奥村規子君。
○奥村規子君 答弁、ありがとうございました。
 知事に再質問をさせていただきたいのは、やはり子供の医療費無料化の実現の問題です。
 まず最初に、せんだって保護者の皆さんの本当に切実な要求でもありましたワクチンの公費負担、それを国に先駆けてでも県独自でやっていくというようなことをお聞きしました。それで、そのときに考えられてたワクチンの県負担、公費負担するその費用はどれぐらいだったのでしょうか。それ、1点です。
○副議長(山下直也君) 再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
○知事(仁坂吉伸君) ちょっと後ろを振り返って正確に今あるかと言ってみましたところ、詳細にははじいておりませんという答えでございました。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再々質問を許します。
 40番奥村規子君。
○奥村規子君 「詳細には」ということで、県民にワクチン接種をということでお約束をされ、それは大変私たちも喜んでたところなんですけども。
 先ほどの紀州3人っこ施策も評価をお聞きしたのは、やはりそれだけ経済負担のことを考えると、第3子の出生数もやはり少しであるがふえていると、そういったことでは、やはり効果があるということでは、少子化対策ということでは経済負担の軽減ということは明らかに効果があるということだと思うんです。
 そういう点からしても、やはり今、各自治体では、先ほどは実施の14自治体が県制度の上乗せで行われるということでお聞きしてるんですけども、来年にはやはり橋本市、かつらぎ、そして湯浅町も実施をするということでお聞きしています。そういう中では、もう17市町村、30ある中でやはり過半数を超えてそういった住民の皆さんの声にこたえてやっていくということになってきてるわけなので、県としてもそういった点でやはり安心して子育てしていく、また、若い人たちの今仕事の不安定な状況の中で、そういったところに思い切ってしっかりと手だてしていくということが直接的な、今後これからも子供を産み育てていきたいということに環境ができていけるんじゃないかと思うんですが、その点でもう一度、各市町村の自治体を応援していくということも含めて御意見をお聞かせ願いたいと思います。
○副議長(山下直也君) 再々質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員の御発言にもございましたように、子供の医療費助成につきましては、県といたしましては、どうしても未就学者まではという思いで助成をしておりますけれども、その上で、さらに上の年齢まで助成を拡充している市町村があるということは認識しております。
 一般に、市町村がそれぞれの限られた財源の中でそれをどう使うか、それをどこにどう使うかというのはそれぞれのお考えがあって、ここにたくさん使うと、こっちは余り使えないというようなことになると思うんです。そういう意味で、施策にめり張りをつけることによって地域の特色を出していくことはいいことだというふうに思います。
 県といたしましては、子供のための施策を充実していきたいという思いは強く持っておりますけれども、子供の医療費の無料化の拡充については、市町村がやってるから、それを県が埋めなきゃいけないというものでもないと思うんですね。県全体として取り組む必要性、その負担の程度なども考慮しながら引き続き検討してまいりたいと考えております。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 以上で、奥村規子君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 3番前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕(拍手)
○前芝雅嗣君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 一般質問も本日で3日目、皆様も大変お疲れかと思いますが、最後までの御清聴、どうかよろしくお願い申し上げます。
 まず最初に、去る9月1日から3日まで、仁坂吉伸知事を団長に谷洋一県議会議長と私はトルコ共和国を訪問させていただきました。質問に先立ち、その御報告をさせていただきます。
 トルコ共和国訪問の目的は、「2010年トルコにおける日本年」における重要な行事であるエルトゥールル号120年慰霊式典及び和歌山県と串本町で組織する日本トルコ友好120周年等事業実行委員会主催による文化交流事業への参加により、トルコ共和国、とりわけ串本町との関係の深いメルシン市やメルシン県と和歌山県との幅広い交流を促進するというものであります。
 トルコ共和国と日本との交流における和歌山県のかかわりにつきましては、改めて申し上げるまでもなく、大変意義深いものがございます。その契機となったのは1890年のトルコ軍艦エルトゥールル号の串本沖での遭難、そして当時の大島村民による69人の乗組員救出であったということは広く知られているところでございます。この事件からことしがちょうど120年目に当たるということから、日本、トルコ両政府が「2010年トルコにおける日本年」としての実行委員会を組織し、企業から寄附を集めたり参加団体を募ったりして、トルコ国内で日本の文化を紹介する各種イベントを実施してきました。
 私たち一行は、8月31日、関西国際空港22時30分発TK47便にて出発。約12時間のフライトを経て、予定より1時間早く、現地時間で9月1日の午前4時30分にイスタンブール・アタテュルク国際空港に到着。そこから仁坂知事と谷議長は、関西国際空港株式会社の伊藤誠専務取締役、県の担当政策統括参事らとともにトルコ航空本社を訪問し、現在週4往復となっている関西国際空港とイスタンブールとを結ぶ路線の増便要請を行ってきました。
 また、この後、仁坂知事と谷議長は、林克好イスタンブール総領事及び田嶋串本町長とともに、イスタンブール市内にある大統領の夏季邸宅であるタラビエ・キョシュクを訪問し、2年前に串本町を訪問されたアブドゥッラー・ギュル大統領と面会し、串本での歓迎に感動した話やエルトゥールル号をテーマとした映画制作について歓談いたしました。
 一方、私は文化国際課長とともに、TK2458便でアダナ空港に向かい、さらにアダナ空港からメルシン市内へ移動いたしました。
 メルシン市では、約40名の県民の皆さんと一緒に市主催の昼食会に招かれました。夕方には、メルシン・オペラ・バレエ劇場において2010年トルコにおける日本年実行委員会主催によるオペラ歌手、小川里美さんのリサイタルが行われ、出席してまいりました。
 翌9月2日は、いよいよ式典の日。前日夜に仁坂知事及び谷県議会議長と合流し、同じホテルで宿泊した私たちは、メルシン県が提供する車でホテルを出発し、午前10時から地中海に面したアタテュルク公園で田中信明特命全権大使、徳丸伸一海上自衛隊練習艦隊司令官、メルシン県知事、トルコ海軍南部方面指令、メルシン市長らとともに友好の記念植樹を行いました。
 続いて、約1キロメートルほど離れたメルシン市コングレス・エキシビジョン・パレスで、エルトゥールル号が沈んだ串本町大島沖からこの3年間にわたって引き揚げられた調理鍋や陶磁器、コインなどの遺品約300点を展示する里帰り展のオープニング式典に出席しました。串本で引き揚げ作業を行ってきた海洋考古学者のトゥファン・トゥランル氏や仁坂知事のあいさつの後、テープカットが行われ、はるばる日本から参加した180名の県民の皆様とともに、会場内に展示された品々を感慨深く視察いたしました。
 続いて、同じ敷地内の会場でトルコ郵便局の切手展のオープニング式典があり、展示された富士山や日本の風景を描いた図柄のトルコの切手などを興味深く拝見いたしました。
 午後は、最初に県庁を訪れ、ギュゼルオール・メルシン県知事を表敬訪問いたしました。その際、メルシン県知事から仁坂知事に対し、今回の訪問を機会に両県の友好提携についての提案があり、仁坂知事からは前向きに検討したい旨の発言がありました。
 続いて、トルコ海軍地中海方面基地を訪ね、海軍司令に面会、さらにメルシン市役所を訪問し、同市のエルタン副市長に面会をいたしました。
 これらの表敬訪問の後、私たち一行は、「串本通り」と名づけられた長さ250メートルほどの商業ビルやマンションが立ち並ぶ通りを、海上自衛隊、トルコ海軍軍楽隊によるマーチによる先導のもと、日本文化をPRしようと浴衣や和服を着られた方も含め、約180名の県民の皆様、熊野もうでの平安衣装をまとったトルコの女性、トルコの民族衣装や日本の武道の胴着を着た地元の若者たちなどで大変にぎやかなパレードをいたしました。通りを挟むビルとビルとの間に日の丸とトルコの国旗が何十本もかかり、また、国旗の色に合わせた赤と白の紙吹雪が舞う中を行進すると、お祝いに駆けつけてきてくれた多くのメルシン市民が手や国旗を振ってくれ、友好ムードが最高潮に盛り上がりました。
 日本はことしの夏はとりわけ暑かったのですが、メルシン市も負けず劣らずの暑さで汗だくになりながらのパレードでしたが、参加された皆さんも大変喜んでおられた様子が今でも目に浮かびます。
 そして、いよいよエルトゥールル号120年慰霊式典がアタテュルク公園の慰霊碑前で始まります。この慰霊碑は1972年に建てられたもので、大島の樫野崎にあるエルトゥールル号慰霊碑と同じ型なので、一瞬、樫野崎に戻ってきたのかと思うほどであります。この慰霊式には、午前中の一連の行事の出席者のほかにギュナイ文化観光大臣も出席されました。式典は、トルコ海軍及び海上自衛隊による儀仗、亡くなられた乗組員を悼んでの黙祷、両国国歌演奏の後、主な参加者による追悼のあいさつがありました。また、慰霊碑内で記帳を行い、最後に会場に花輪を奉呈して式典は終了いたしました。
 夜は再びメルシン市コングレス・エキシビジョン・パレスに戻り、両国の文化紹介を行う文化交流の夕べが開催されました。和歌山県からは、串本町出身の和楽器奏者による演奏、串本町トルコ文化協会によるメルシン県に伝わる民族舞踊、そして、りら創造高等芸術専修学校の生徒さんや関係者による能や日舞、創作ダンスがこの交流事業でそれぞれ披露されました。会場はメルシン市民ら約700名でいっぱいになり、両国の出演者の熱のこもった踊りや演奏が披露されるほどに、大きな拍手が沸き起こりました。特に、串本町トルコ文化協会による民族舞踊のときは、スタンディングオベーションが起こりました。
 最後に、出演者とともにメルシン県知事、メルシン市長、仁坂知事、串本町長、田中大使らが壇上に上がり、両国、両県、両市町の友好をますます発展させていくことを誓い合いました。
 最終日は、メルシン県のオルジャイ副知事の案内でメルシン県内の代表的な観光地を幾つか案内していただきました。海沿いにある12世紀ごろに築かれたという古い城壁やきれいな砂浜は今後リゾート地として発展する可能性が十分あり、また「天国と地獄」と呼ばれる大きながけ地では、地元の人たちによる伝統舞踊での歓迎を受けました。海沿いのレストランでの昼食では、魚やエビなどの海産物のほかに地元でとれたスイカ、桃、スモモ、ブドウなどのさまざまなフルーツが振る舞われ、いずれも非常においしく、和歌山県と同様に食材についても豊かな土地であることがわかりました。
 こうして私たち一行は、9月4日の午後、関西国際空港に戻ってまいりました。前回のトルコ訪問の際にも感じたことですが、本当にトルコの皆様は親日的です。その中でもメルシン県、メルシン市は特別であります。この訪問を通じお会いした皆様との意見交換の中でメルシン県、市の方々の日本及び和歌山県に対する熱い思いが伝わってきて、私はトルコ共和国と日本、メルシン県と和歌山県との間で今後幅広く交流ができるものと確信したところでございます。
 また、今回、仁坂知事と谷議長らがトルコ航空本社を訪問し、増便の要請をしてきたことを先ほど申し上げましたが、文化遺産の宝庫でもあり、また親日国として知られるトルコへの観光客が近年大きな伸びを見せていることから、来年の夏ダイヤから関西国際空港とイスタンブールを結ぶ直行便が現在の4便から週5便に増便されることとなったことを今回のトルコ訪問の大きな成果として、あわせて御報告させていただきます。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 最初に、エルトゥールル号を題材とした映画制作についてであります。
 エルトゥールル号事件とは、エルトゥールル号の遭難に端を発し、現在へと続くこの友好の歴史の中には、他者のための献身的な精神や自国民を愛し誇りに思う精神から生まれた気高い行動など、現在の社会では希薄になりつつあるものを改めて思い起こさせてくれる事件であります。
 また一方で、さきのトルコ共和国訪問の報告でも述べましたように、今、日本とトルコは、このトルコ軍艦エルトゥールル号の事件から120年という節目の年を迎え、友好関係が大変な盛り上がりを見せております。
 そういった中、串本町は、日本とトルコ友好の原点となったエルトゥールル号を題材とした映画制作を企画し、青年を中心とした映画エルトゥールル──仮題であります──制作準備委員会が設立され、その現実に向けて動き出しております。
 和歌山県におきまして、映画制作に対し御賛同を得、企画部で部長を中心に串本町映画関係者と連携し、トヨタ自動車株式会社を初め、日本トルコ協会関連企業、文化庁を初めとする国の各機関等、映画への働きかけを行っていただいていると聞いております。また、9月のトルコ訪問の際にはアブドゥッラー・ギュル大統領を初め、トルコ航空、トルコ海軍からも協力をするとの答えをいただいているようです。11月にはアブドゥッラー・ギュル大統領から脚本を読みたいとの要望があり、脚本をトルコ語に翻訳し、映画監督みずからが届けたと聞いております。
 今回の映画制作の取り組みの意義は、和歌山県民の誇りでもある両国友好の原点にあったものを再び両国民に返し、エルトゥールル号将士の救難に尽くした大島樫野島民、またテヘラン空港から邦人を救出したトルコ共和国の義挙、そこにつづられた数々の人間としての尊厳、善意、自己犠牲、献身の精神を日本、トルコ国民に伝えることが第一義であります。
 また、映画制作につきましては、取り上げられた地域の知名度は上がり、ロケを地元で行えば多くのスタッフが現地に入ることにより経済効果につながります。また、地元と協力して取り組むことで、地域内で連帯感が生まれ、地域の活性化にもつながります。と同時に、本県経済の活性化にも大変寄与するものと考えます。
 広島県尾道市では、映画「男たちの大和」のロケのセットを撮影終了後に公開したことで観光の目玉となり、11カ月で100万人の入館者があり、40億円の経済効果があったと言われております。このほかに、山形県酒田市でも映画「おくりびと」によって6億4000万円ほどの経済効果があったと言われております。
 そんな中で、鳥取県ではロケの必要経費の一部に対し、また茨城県と水戸市では映画のオープンセットの建設に対し補助金を出すなど、映画の誘致に力を入れる自治体がふえてきております。しかしながら、映画制作には多額の費用が必要になりますし、現地撮影ロケも多くのボランティアなどの協力が必要になります。各地方自治体では、今さまざまな工夫を凝らし、映画撮影ロケ誘致に取り組んでいますが、現状ロケ誘致に苦労している中、私たちの和歌山県にはエルトゥールルというすばらしい物語、そしてすばらしい自然が存在しており、他の地方自治体よりも映画誘致、その後の誘客には有利な状況にあります。
 和歌山県におきましても、映画制作を通じて両国間の友好がますます深まる契機となると考えます。映画が制作され、ヒットするようなことになれば大変な経済効果をもたらすと思うところでございます。そういった意味でもこの映画をぜひ成功させねばならないと私は思いますが、知事はどのようにお考えですか。御所見をお伺いいたします。
 また、制作委員会が設置され、映画の制作が正式にスタートした際には、県として、鳥取県や茨城県のように、ロケの経費やオープンセットの建設に対する金銭的な補助をしていくお考えはありますか。あわせてお伺いいたします。
 次に、観光立県に向けてについて質問をいたします。
 本年4月、議員提案による和歌山県観光立県推進条例が制定され、11月7日には観光立県を県民に宣言し、本県もいよいよ、同条例にあるように、観光を本県経済のリーディング産業となるように育成し、観光立県を実現させるために本気で取り組む意欲が見えてきました。
 本県の観光資源は全国区と比較しても上位というわけでもなく、何もしなくてもお客様が来ていただけるというほどの資源ではありません。現在まで観光局におかれましては、職員も知恵を出し、汗をかき、またいろいろな施策を行ってくれ、財政厳しい折の中、予算も毎年ふやしていただいていることは承知しておりますが、本県の観光の現状はまだまだ大変厳しいのが現実であります。他県との競争に打ち勝ち、観光を本県経済のリーディング産業となるように育成するには、観光局の人材の育成、また増員、それに加えて予算の増額が大変重要だと考えますが、知事、いかがでしょうか。御答弁をお願いいたします。
 観光立県に向けて、県民も職員にも議会にも、知事は本当にやるぞと思えるような答弁を期待しております。
 続きまして、観光資源としての世界遺産について質問させていただきます。
 本県の世界遺産登録主要観光地の動態調査を見ますと、高野山におきましては、世界遺産に登録された平成16年の宿泊客数は37万人で、この人数は世界遺産登録前の平成8年と同等であります。平成7年よりは4万人少ない客数であります。それ以降、平成18年の20万人を省いては約31万人で推移しております。世界遺産登録以前の宿泊数より約2万から3万ほど少なくなっております。また、日帰り客を登録前と比較してみますと、微増でしかありません。
 一方、本宮温泉も高野山と同じであります。平成16年、世界遺産登録の年だけ前年を上回りましたが、平成17年16万人、18年15万人、19年14万人、20年14万人、21年13万人と、平成7年から平成15年までの世界遺産登録前と比較して下回っております。登録後の宿泊客数は高野山と同様に減少しております。ただし、日帰り客は3倍から4倍に増加しております。そして、結果として、宿泊客数と日帰り客数の合計で、世界遺産登録以前より以後のほうが増加しているという発表になっております。
 しかし、これでは全体の観光客数が増大しても、本県の観光消費額、また経済波及効果も期待できないのではないでしょうか。観光は訪れてくれる人数も大切ではありますが、本県に対して大きな経済効果をもたらすことも観光では大変重要な要素ではないかと私は思うのですが、この結果を見て、これからの観光施策の中で観光資源としての世界遺産の位置づけについて、商工観光労働部長にお伺いいたします。
 続きまして、紀南地方の観光客減少についてお伺いいたします。
 本県の主要温泉地であります白浜温泉宿泊客数は、平成13年以来6年ぶりに平成19年より平成21年まで200万人台を維持しております。日帰り客数も、減少はしていますが、平成17年以降は安定しています。また、じゃらん全国人気温泉地、もう一度行ってみたいランキングでも、平成19年18位、20年21位、21年18位とまずまずであります。
 一方、勝浦温泉はといいますと、宿泊客数、日帰り客数ともに大幅に減少しています。数字で言いますと、宿泊客数は平成7年最高時と比較しますと、平成21年は50万人も減り、日帰り客は同じく40万人も減少しております。じゃらんランキングでは、平成19年は全国44位、20年は49位、21年も49位に位置しております。これは今までとそう変わらないくらいの順位でございます。
 では、どうしてランキングの順位が変わらないのに宿泊客数、日帰り客数とも激減したのか。今までのランキングでは勝浦温泉単独でこのぐらいの順位でしたが、平成19年、20年、21年は勝浦、串本、すさみの3地域を合わせた順位で、勝浦温泉単独では50位以内には入りません。和歌山温泉地の2強である一方の雄、勝浦温泉がこれほど落ち込んでいるとは紀南地方にとってはゆゆしき事態であります。
 県としても、このままにしておいていいわけはありません。当地方の観光の中心は、皆様方も御承知のとおり、那智勝浦であります。同町の観光が元気でなければ、東牟婁はもちろん、新宮市の活性化もあり得ません。当局におかれましては、この現状をどう認識し、またどう取り組んでいただけるのか、商工観光労働部長にお伺いいたします。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴、どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの前芝雅嗣君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、エルトゥールル号を題材とした映画制作でございます。
 議員からお話がございましたように、当時の大島島民の方々が遭難されたトルコ軍艦の乗組員の救助や介護について献身的な活動をされたということに、私は深い感銘を受けております。今日の日本とトルコとの友好関係の礎は、まさにこのエピソードから発するものだと考えておりまして、このエピソードを映画化することは、前芝議員の御指摘のように、和歌山の名誉でもあるし、それから観光振興といった面でも非常に意義のあるものと考えておりまして、大変期待しているところであります。また、この企画にかける田嶋串本町長などの方々の情熱にも心を打たれるものがございます。
 県では、映画制作が実現されるよう、串本町と連携して民間企業の賛同を得るための活動等に取り組んでおります。ある企業のトップに私本人からもお話をして、協力を取りつけるきっかけもつくりました。また、脚本制作費も助成したところでございます。
 現在、担当部局において町及び映画制作関係者と定期的に会合を持ち、情報交換を行っているところでありますが、今後、映画制作の実現のためにできる限りの協力をしてまいりたいと考えております。
 次に、観光立県に向けてということであります。
 観光につきましては、本県経済の活性化や地域振興につながる県政の最重要施策と考え、知事就任以来、和歌山を売り出す、和歌山へ招く、和歌山でもてなすを観光施策の柱に、誘客を図るためのさまざまな取り組みを進めてきたところであります。
 現在、本県におきましては、より一層の誘客を図るため、世界遺産や温泉など、本県を代表する観光資源を活用した取り組みに加え、観光客の嗜好やニーズに合わせたわかやま○旅プロジェクトやターゲットを明確にした年金旅行の誘致など、新たな切り口での誘客に取り組んでいるところであり、また、インバウンドにつきましても海外エージェントへの働きかけやチャーター便の誘致などに努めております。
 これら効果的な観光振興施策を推進していくため、人材の育成や予算の重点配分など、人的、財政的な充実強化についても検討してまいりたいと考えております。とりわけ、観光振興の業務は専門性が高いということから、観光局の職員につきましては、地域の観光関係者との連携強化、あるいはマスコミやエージェント、民間事業者との協働事業を通じ、能力の向上等、知見の蓄積に努めさせているところであります。業務量等の必要に応じ増員も考えていかなきゃいけないと思います。
 2期目の県政を進めるに当たり、まさに観光が和歌山を元気にするため最も重要な施策であることからも、知事である私が先頭に立って観光振興への取り組みを進め、観光立県和歌山の実現を図ってまいりたいと考えます。本当にやるよという心意気で頑張ります。
○副議長(山下直也君) 商工観光労働部長岡本賢司君。
  〔岡本賢司君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本賢司君) 観光資源としての世界遺産についてですが、高野・熊野の世界遺産登録地域2市6町における平成21年の宿泊客数は約346万人で、登録前の平成15年と比較して3.2%の減少となっております。
 一方で、平成21年の日帰り客も含めた観光客総数は約1065万人で、平成15年から13.9%の増加となっていることから、その登録効果が一過性ではなくブランド力となって定着し、誘客に大きく寄与しているものと認識しております。
 世界遺産地域の集客力を宿泊に結びつけるということは、議員御指摘の経済波及効果の観点からも非常に重要であり、高野山、熊野三山という霊場と古道歩きの魅力はもちろんのこと、豊かな自然や良質の温泉、地域食材を生かしたグルメ、今も語り継がれる伝説・伝承、温かな人情など、世界遺産地域が有する多様で奥深い魅力について、マスコミや旅行会社、PRイベント等を通じて、ゆったり過ごす旅を提案、発信するとともに、海外を含め首都圏等に向け積極的に売り込むことにより滞在時間の延長や宿泊日数の増加につなげていきたいと考えております。
 また、日帰り客につきましては、地元事業者との連携による地域グルメの活用や土産物の販売促進を検討し、さらなる購買力の向上を図ってまいります。
 次に、紀南地方、特に勝浦温泉の観光客の減少についてでございますが、勝浦温泉への入り込み客数につきましては、議員御指摘のとおり、平成21年はその前年と比較して大幅に減少したことから、県としましても地元と危機感を共有しつつ、さまざまな取り組みを進めております。
 那智勝浦町は、世界遺産である那智山周辺を初め、多種多様な源泉を持つ温泉やマグロなど海の幸を生かしたグルメ、環境省の快水浴場百選で特選に選ばれた那智海水浴場など、すばらしい観光資源を豊富に有しています。
 県では、これらを観光客の誘致につなげるため、例えば、魚市場の見学を含む漁港ならではのまち歩きなど、新たな観光メニューの創造や、女性誌等において那智の滝や大門坂が昨今ブームとなっているパワースポットとして紹介してもらえるよう働きかけるなど、勝浦の観光地としての魅力向上、マスコミ等を通じた情報発信を推進するとともに、11月には全国各地から32の信用金庫の担当者を勝浦へ招き、信用金庫が主催する団体旅行の誘致に向けた現地視察を含むセミナーを開催するなど、地域と連携しながら鋭意誘客に努めているところです。
 今後とも引き続き、本県を代表する観光地の1つである勝浦温泉への誘客促進が紀南地域の、ひいては県全体の観光振興につながるとの認識のもと、年明け1月に予定している首都圏での大規模キャンペーンなど、あらゆる機会をとらえ、串本町など周辺地域の情報も含め、勝浦が持つ観光地としての魅力を大いにPRし、観光客の増加に向け、さらに積極的に取り組んでいきたいと考えてございます。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 以上で、前芝雅嗣君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は12月13日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時20分散会

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