平成22年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 44番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、質問に入らせていただきます。
 第1の柱は、地域経済活性化の問題です。
 今、どこに行っても業者の皆さんからは仕事がないという嘆きを聞かされます。そんな中で、10月30日、海南商工会議所ホールをお借りして、私たち共産党議員団が呼びかけ「みんなで考えよう! 地域経済活性化シンポジウム」を開催しました。その報告書を皆さんのお手元にお配りしております。
 シンポジウムには、角谷勝司海南商工会議所会頭、大谷雅己下津町商工会会長、中村修史紀美野町商工会会長、そして吉井英勝日本共産党衆議院議員がパネラーとして参加いただき、私は開会あいさつとして日ごろ考えていることをお話しさせていただきました。
 商工会議所、商工会の3トップは、別に共産党を応援していただいているわけではありません。それでも、私たちの立場から見ると、地域経済活性化のために取り組んでおられる商工会議所、商工会のトップの皆さんとお話しすると、私たちとして大いに共感できるところがあります。
 下津の商工会を訪問したときです。たまたま東大阪市で共産党員市長であった長尾淳三さんと一緒だったのですが、長尾さんが市長をしていたころの東大阪市では、市内の事業所を悉皆調査で市の管理職の方が訪問したそうです。地域の民商でも海南市にそんなことを要望しています。その話を聞かれた下津商工会の役員さんは、実はうちの商工会でそれをやろうと検討しているんだというお話でした。商工会が地域の小規模零細企業の面倒を実によく見ていると感動いたしました。
 海南市よりも高齢化、過疎化が進んでいる紀美野町は大変です。そんな中で夏祭りや農業商工祭りに呼んでいただきますが、商工会を初めとする町民の皆さんが力を合わせていると感じます。商工会の中村会長さんは、和歌山市や紀の川市に幾つもの洋品店を開いておられる事業家ですが、紀美野町の自宅に本社を置いておられる、こよなくふるさとを愛する方です。
 商工会議所の会頭をなさっている角谷さんをサンコー本社にお訪ねしました。家庭用品業界の多くが中国で生産している中で、サンコーは国内での生産を行っています。10年ほど前に中国に進出する会社と国内で頑張る会社に分けて、角谷さんは国内での生産に徹してこられたそうです。最初に工夫した商品は、袋状になっていた便座カバーを便座の上に張りつけるようにしたもの。その後、奥さんや子供さんの様子を見ては、こんなものがあれば喜ばれると工夫して商品を開発されたと言います。
 帰りにいただいたのは「人の心に貯金する」という題の自伝でした。家に帰って一気に読みました。この本でございます。(本を示す)中学校を出ただけで商売に飛び込まれた角谷さんがどんな苦労をし、何を考えてやってきたのか、事業を引き継ぐ人に伝えたいことが書かれています。人生論としても地場産業の歴史としてもおもしろいと思いました。その後、お会いした折に、「あの本を子供たちに読ませたいですね」というお話をしました。
 その後、シンポジウムを開くのに、ぜひパネラーにとお願いに上がりました。角谷さんは「商工会議所というのは一党一派に偏らない市民党ですよ」と言われて、パネラー参加を了承してくださったのです。それだけではありません。「人の心に貯金する」のこの本を100冊こん包して「どうぞ使ってください」とおっしゃるんです。早速、山口教育長にも海南市教育長にもお渡しして、県立図書館、海南市民図書館にも置いていただくことにしました。さらに、小学校、高校、公民館にも1冊ずつ置いてもらっています。知事にお渡しするのは遅くなったんですが、もしかしたら渡っているかもわかりませんが──知事は既にいただいているそうでございます。
 中学校の先生にお聞きすると、これまでも地元の中学校でこの方に生徒にお話ししていただいたことがあるそうです。やんちゃ坊主が一番目を輝かせて聞いたと退職教員仲間からお聞きしました。
 こうした地域の経済界の皆さんの活動に私たちが共感した、皆さんの活動に私たち共産党が考えていることと響き合うものがある、そのことが今回のシンポジウム成功の基礎になったと思うんです。きょうは、このシンポジウムで皆さんから提言されたこと、私からお話ししたことについて、県当局にも一緒に考えていただこうという立場から質問いたします。
 まず、1ページ開いたところで開会あいさつで、東燃ゼネラルの撤退の心配について、私たちも東京まで行ってきたことを報告しております。私は、松坂議員などとともに吉井英勝衆議院議員のお世話で東燃ゼネラル本社や経済産業省に出向いて、有田地方や海南市の立場を訴えてまいりました。経産省は、知事はもちろんですが、海南市、有田市の市長さんや商工会議所などが働きかけをなさっていることを重く受けとめているということでしたが、予断を許さないという感じがいたしました。このシンポジウムの翌日が東燃ゼネラルが計画を提出する期限だったのですが、これから3年間の間に検討するというか、有田市にとっては戦々恐々としながら過ごさなくてはならないような内容のようです。県としては現時点でどういう分析をしておられるのか、どういう対応をされるのか、知事にお伺いいたします。
 このたびの問題では、東燃ゼネラルに問題があったわけでなく、国の新しい法律の関係でこういう問題が起こったのですから、東燃ゼネラルが有田市から撤退しなくてもいいような支援を経済産業省にも要請してきたのですが、大企業の中には、自治体から多大の支援を受けながら利益追求のために無責任な行動をとる場合もあります。亀山市から一部撤退したシャープ工場の問題について、吉井代議士がパネラーとしての発言で触れています。
 シャープ亀山工場については、一時期バラ色に宣伝され、私も平成21年2月の防災特別委員会の視察で行ったことがあります。あのころまでは全国各県が多額の補助金を積み上げて誘致合戦をしました。木村前知事のころでしたが、和歌山県も100億円の補助金をぶち上げました。あの補助金のシステムは今も続いているのでしょうか。平成8年の予算委員会で私は無責任な撤退をさせない協定を結ぶべきだと主張し、当時の商工労働部長は、その必要はないと答弁されました。その後、シャープ亀山のような問題が起こらないような保証は取りつけておられるのでしょうか。
 下津町商工会の大谷会長さんから内航海運振興についての御意見が出されています。報告書の6ページでございます。船舶業者、船舶数の表があります。内航海運ですから高知県などの太平洋に面した県は少ないのが当たり前ですが、瀬戸内海に面した県の中では、和歌山県は船舶数でも大変少ない。そして、県下の船舶の3分の2が下津港区に保有されています。内航海運という地場産業は余り目立たないのですが、下津では数あるミカン農家に匹敵する売り上げを誇っている重要な地場産業であると語られています。そして、和歌山県では金融面での支援が他県よりおくれているという御意見でございます。
 商工観光労働部長にお伺いいたします。
 第1、内航海運という地場産業の状態と、和歌山の産業の中で占める位置は重要であると思います。内航海運事業者への支援についてどうお考えでしょうか。
 第2に、この産業を支援するために金融についてはどういう施策をされているのでしょうか。私は、2月県会で、元気な企業を応援する成長サポート資金をもっと使い勝手よくできないかと申し上げ、貸付金額、貸付期間とも延長していただいて、また、信用保証協会の御理解もあって、内航海運業者が新しい船を建造するのにも役立ったと喜んでいただいています。しかし、徳島県などと比べると、地方銀行はなかなか内航海運の船舶振興への御理解がいただけないというのが関係者の御意見です。県としてどこまで指導できるのかはともかく、地域の銀行によって、特に徳島県と比べて船舶の担保価値評価の違いというものがあるのでしょうか。
 次に、シンポジウムではフロアからも貴重な御意見が出されています。17ページですが、海南市の商店街の会長さんからの御意見です。大店法規制緩和廃止により、大型店舗が郊外でもうけて、商店街はシャッター通りになっている。中心市街地に戻ってきなさいという法律ができたが、活性化基本計画について総理大臣の認定をもらうのが難しいと言われます。
 海南市の中心商店街は、ショッピングセンターココが閉店し、まちの中心部で買い物難民ということが言われるようになりました。その対策は、県、市、商店街、地域住民など、それぞれの立場から対応が必要だと思いますが、県としてはどういう対応を考えておられるんでしょうか。また、商店街の役員さんが認証をもらうのは難しいと言っておられる問題はどこにネックがあるのか。商工観光労働部長のお考えをお聞かせください。
 次に、16ページに下津の塗装業者から住宅リフォーム助成制度を海南市や和歌山県でもやってほしいという御意見が出されています。この問題は私も9月県会で取り上げ、その再発言で経済効果が大きい岩手県宮古市の例を紹介しました。その資料を報告書16ページにも載せております。
 この12月議会冒頭、知事あいさつの第1に働く場をもっとふやすということを挙げて、日本一と言われる振興策を講じてまいりますと仁坂知事が強調されたことに私は注目しました。この間、知事選挙がありました。知事は多くの県民の皆さんにお会いになられたことと思います。私たちは、自分ではわかっているつもりでいたことでも、県民の皆さんから生の話を聞くと認識を新たにするということはよくあることです。
 そこで、働く場をふやすために県庁の英知を結集して日本一の施策を講じるために今どういう手を打っているのかをお聞きするつもりだったのですが、そのものずばりの質問が昨日、多田議員からございまして、知事の答弁をお聞きしました。県内企業の技術開発、異業種交流、積極的な販売促進など、まだまだおっしゃられることは抽象的ではありますが、大事なことは言っておられるんですが、しかし、今求められるのは、長期的な経済活性化、雇用拡大とともに、経済不況のもとでの緊急経済対策としての雇用確保もまた求められていると思います。この点でも日本一というような施策を考えられておられるのか、知事にお伺いしたいと思います。
 そして、その施策の1つとして住宅リフォーム助成制度が有効な施策ではないかというのが次の質問項目になります。
 シンポジウム以後、海南市の建設業協会の役員さんとも懇談いたしました。今、住宅建築になると、どうしてもナショナル住建など大手になかなか太刀打ちできない場合がある。しかし、住宅リフォームの需要を掘り起こすことは大変いいのではないかという御意見も出ました。古いものをすぐにつぶしてしまうのではなくてリフォームして使う。資源有効利用としてもいいことです。特に、景気対策の補正予算が組まれるときです。83億円の留保財源もあることですから、それを5倍、10倍の需要を引き出す施策に使うことはぜひとも実現していただきたいと思います。
 まず第1に、9月県議会の質問での知事答弁では、耐震、バリアフリーなど限られたリフォームは取り組まれていくということです。しかし、私が指摘したように、耐震リフォームは、昨年度はたった61件しかない。話にならない。これを大幅に引き上げる施策はあるのでしょうか。
 第2は、期間限定でもいいから、全国で大きな成果を上げている、幅広く利用できる住宅リフォーム助成制度を取り入れられたらどうかと思いますが、いかがでしょうか。
 以上2点、県土整備部長からお答えください。
 次に、紀美野町商工会の中村会長から過疎の地域での活性化を目指して幾つかの取り組みが報告されました。その1つ1つに支援をいただきたいのですが、きょうは紀美野町でりら創造芸術高等専修学校とともに進めている取り組みについてお伺いいたします。
 りらというのは、歌や踊り、舞台芸術などを学ぶ学校です。私もことしの世界民族祭の前夜祭で前の紀美野町の教育長さんと並んで舞台を見たのですが、数年前に紀美野町真国小学校の跡にりら専修学校がやってきたとき、何か宗教団体でも来るのと違うかと心配された方もいて説得に苦労されたと、前の教育長さんはおっしゃっておられました。しかし、若い人たちがやってきて芸術を学ぶ。地域の伝統芸能を学んで地域に溶け込んだ活動をしている。紀美野町の祭りにも出演する。民族祭の会場には、りらと地元で開発したお菓子も売っていました。
 最初の入学生7人が卒業したのですが、卒業式には私も出席させていただきました。卒業生1人1人が自分の言葉でりらでの体験を語ります。それを聞きながら、本物の教育があると感じました。ことしは18人もの新入生があって寄宿舎が足りなくなった。そこで、休校になっている志賀野小学校を寄宿舎にという話になってきているんだけれども、真国の地元でも寂しくなるから寄宿舎を残してほしいと言っておられるともお聞きしました。
 紀美野町の奥のほうにあるこの過疎の地域ですばらしい自然や地域の人々に溶け込みながら進められている取り組み、多くの方が民族祭のボランティアに参加しています。県庁職員の方々にも大勢お会いいたしました。県としてこうした取り組みをどう評価し、どういう支援をなさっておられるのか。地域振興や文化を担当される企画部長にお伺いいたします。
 山口教育長に「人の心に貯金する」の本をお届けしたとき、私の携帯にお礼の電話をいただき、「海南に立派な人がいるんですね」とおっしゃった。私のところに来る教育委員会の幹部の方が「教育長に薦められて読みました」とも言ってくれました。私が子供たちに読ませたいと思い、角谷さんから託された100冊の本を配って回っていることに恐らく共感いただけているんだろうと思っています。山口教育長の感想をお聞かせください。
 最後に、私たちが開いた経済活性化シンポジウムは、私たち共産党議員団が呼びかけ、共産党国会議員も参加し、そして、私たちとは政治的立場は違うが、地域経済について真剣に考えていらっしゃる皆さんと語り合うと、肝胆相照らしたというところに大きな意義があると思います。この報告書を知事にもぜひお読みいただきたいと思います。これは要望ですが、もし何か感想がありましたらお話しいただけてもと思います。
 第2の柱は、高校生の就職問題です。
 和歌山労働局の調べでは、10月末現在、就職内定率は微増ですが、新宮市や海南市のように10%以上落ち込んでいる地域もあります。また、高等学校教職員組合のアンケートには、厳しい状況とともに昨年よりも微増、就職支援相談員の活動によるものという報告もあり、教育委員会が配置された相談員が頑張っておられることがうかがわれます。
 そんな中で、教育長にお伺いいたします。
 第1に、ことしの高校生の就職見通しはどうでしょうか。
 第2に、学校の中での高校生の就職への支援はどうでしょうか。昨年からの就職アドバイザーはそのまま残していただいているとさきの文教委員会でお伺いしました。そのほかに、高校生が資格を取って就職しやすくするなどの支援も他府県で行われたこともあったと聞いていますが、そういうことも含めてどういう支援をされているのでしょうか。
 第4は、昨年も実施された100人を限度とする県庁での緊急雇用であります。この点も昨日、多田議員から同趣旨の質問がありました。来年も緊急雇用を続けていただけるように要望するとともに、その多田議員への答弁で「成果並びに課題を検証し」と言われた。どういう課題があると考えておられるのかを商工観光労働部長にお伺いいたします。
 第3の柱は、プレジャーボートの係留場所設置の問題です。
 私は、多くのプレジャーボートなどが海南市周辺に無秩序に係留されている問題を取り上げ、津波防災の立場から規制をお願いしました。この問題にはすぐに対応していただいて、規制条例が制定され、暫定的な置き場になっている場所のボートも登録され、係留場所が設置されればそちらに移されることになっています。
 ここで新たな問題が起こっているんですが、県との役割分担で海南市が主体となってプレジャーボートの係留施設設置を進めようとしていた事業について、民主党政権が進める事業仕分けの影響なのか、海南市が当てにしていた係留施設への補助金が採択されなかったわけです。この係留施設は、遊びのための船の問題でなく、津波のときに船が凶器になることを防ぐ防災施設としても位置づけられているものです。
 そこで質問ですが、第1に、係留場所の整備はどのように進んでいるんでしょうか。
 第2に、係留場所設置に係る周辺道路は大丈夫なのかという御意見もお聞きすることがあるんですが、どうなっているのでしょうか。
 第3に、事業仕分けの関係で国の補助金はいろいろな変転もあったようですが、海南市に過重な負担を強いるような心配はないのでしょうか。
 以上、県土整備部長にお伺いいたしまして、私の第1回目の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(谷 洋一君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、東燃ゼネラルの問題でございます。
 この東燃ゼネラルの和歌山工場につきましては、海南市、有田市を初め、地域の雇用、経済面を中心に大いに貢献していただいていると認識しております。
 私は、エネルギー供給構造高度化法に基づき経済産業省が石油精製業の供給過剰構造の改善をしようとしているという情報を入手いたしましたので、それ以来ずっと有田製油所を守るべく努力をしてきました。経済産業省、それから東燃ゼネラル石油の社長などなどと面談をいたしまして、さまざまな方法で和歌山工場の存続を働きかけてまいりました。この基準に対応した東燃ゼネラル石油の計画、これは10月末が期限でしたが、現在のところ公表はされておりませんが、入手した情報を総合いたしますと、現段階では和歌山工場の縮小等を示したということはございませんで、引き続き、全体でどういうふうに対応するか具体的に検討してまいるというふうになっていると承知しております。
 今後とも、工場が撤退し地域経済が衰退することのないよう、私に課せられた義務として、持てる人脈とノウハウを駆使し、常に必要な手段を講じていきたいと考えております。
 次に、働く場をもっとふやすということに関連しての御質問でございますが、これにつきましては、産業振興が重要なことから、技術開発や販路開拓による企業振興の充実、国内外からの企業誘致の促進などにより雇用の場の拡大に努めておりまして、また一方、観光や農林水産業を初めとして各産業別にきめ細かな振興策を実施しているところであります。これもどんどんレベルアップをしていかないといかんと思います。加えて、これらの産業の発展を支えるインフラ整備についても力を入れておりますが、これについても引き続き頑張らなければいけません。
 また一方、基金の活用──この基金というのは国が下さった基金なんですが──この基金活用により雇用創出を図るとともに、経済5団体等への求人拡大要請、企業情報を初めとした就職関連情報の提供、ミスマッチ対策等を実施しているところでありまして、今後とも雇用の確保に全力で取り組んでまいります。
 このような成長政策に加えまして、景気にも配慮をしてまいりました。一例は、リーマンショックの際のセーフティーネットを中心とするような政策金融拡充あるいは公共事業を1.5倍に拡大していることなどであります。この点も看過することなく、今後ともいろいろなアイデアはさまざまな観点からよく検討してまいりたいと考えております。
○議長(谷 洋一君) 商工観光労働部長岡本賢司君。
  〔岡本賢司君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本賢司君) まず、大企業誘致への補助金のあり方についてでございますが、企業誘致につきましては、中小企業、大企業にかかわらず、優良な企業の誘致に積極的に取り組んでいるところであります。
 亀山市を例として、急激な景気後退が地域経済に与えた影響を見るとき、多様な分野から成る産業構造が必要であり、その有力な形成手段として企業誘致が必要であると考えております。
 本県の企業誘致に係る補助制度については、誘致企業の大小にかかわらず、本県の立地環境を踏まえ、きめ細かく企業ニーズに対応できるものとするため、絶えず見直ししておるところでございます。
 なお、実施要綱において返還義務を明記し、企業の一方的な撤退について歯どめをかけるとともに、進出協定において地元企業との連携等、地域に根差した企業活動を促進しているところであります。
 次に、内航海運事業者への支援についてでございます。
 内航海運事業を含めた県内中小企業者は、地域経済の活性化や貴重な雇用の場の創出など、大きく貢献いただいているものと認識しています。内航海運事業者につきましては、貨物等の取扱量や船舶の運搬能力など、その競争力に影響する点を注視し、各種経営相談等に応じるとともに、専門家の派遣や経営革新計画認定などの支援を実施してまいります。
 内航海運事業への金融支援についてでございますが、県の中小企業向け融資制度につきましては、農林水産業やサービス業の一部などを除く幅広い業種を対象に、経営の安定化や事業の活性化に必要な資金の円滑な調達を目的に実施しており、内航海運業についても対象となっております。本年2月議会での議員からの御質問でもお答えさせていただきましたが、県の制度融資につきましては、中小企業の皆様の資金需要などを踏まえ毎年制度の見直しに取り組んでおり、他府県と比べても手厚い支援措置を講じているところでございます。
 なお、県は金融機関を直接指導・監督する立場にはございませんので、地元金融機関の担保評価については関与すべきものではないと考えております。
 大規模店舗とまちづくりについてでございます。
 買い物難民または買い物弱者につきましては、高齢化社会の進展等から社会的な問題となってきており、国の緊急総合経済対策におきましてもその対策が予算化されております。具体的には、高齢者等が徒歩で外出し買い物行為を行うことに困難を感じる人が多い地域で、継続的に行う宅配や移動販売等の事業に対し国が補助を行うもので、商工会等の公的団体だけでなく、民間事業者でも市町村や他の事業者との連携を条件に補助対象としております。
 ことし5月、海南市の中心部にあったショッピングタウンココの閉店に伴い、買い物に不便を感じている方がおられると聞いております。県としましては、海南市を初め関係機関に情報提供を行い、国の制度の周知を図っており、今後、事業の要望状況を踏まえ、海南市とともに支援してまいりたいと考えております。
 次に、海南市中心市街地活性化基本計画案の国の認定につきましては、平成21年度に内閣府と事前協議を行った際、既存商店街に人を引き込む戦略、人を呼び込むための魅力づくりが不十分との指摘があり、さらに事業全体としては、認定を受けることにより国の補助金が受けられる事業、国が支援することが望ましいと思われる事業が見受けられないといった指摘もあって、認定に至っていないと聞いております。
 県としましては、これまでも中心市街地活性化協議会に参加し、策定にかかわってきておりますので、指摘のあった課題が克服され、当計画が認定を受けられるよう引き続き支援してまいります。
 最後に、高校生の就職問題に関して、県庁内の緊急雇用についてでございます。
 高卒未就職者の臨時雇用の今後の対応を検討する上で、課題としましては、職場における研修やジョブカフェ等におけるより効果的な支援の内容、高校生本人の職業観の醸成、卒業校との連携などが考えられます。このような課題並びに成果を検証しながら、現時の高校生の雇用情勢を注視しつつ、今後の対応を検討してまいります。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 県土整備部長原 広之君。
  〔原 広之君、登壇〕
○県土整備部長(原 広之君) まず、住宅リフォーム助成制度など、仕事をふやす施策についてお答えいたします。
 現行の耐震などのリフォーム助成につきましては、従来から木造住宅の耐震改修に対する助成制度の拡充に努めてきたところでございます。さらに、補助対象の拡大などの拡充策を検討しているところでございます。また、今回の国の補正予算により、従来の補助金に加え、さらに上乗せすることが可能となっております。これらの制度拡充により、県民の方々の御利用を促進し、木造住宅の耐震化の普及に努めてまいります。
 次に、枠を取り払った住宅リフォーム助成制度の導入についてでございますが、現在、県及び市町村では、喫緊の課題でございます住宅の耐震化などの施策目的に応じた助成制度を実施しているところでございます。県といたしましては、このような助成制度をできるだけ利用していただくよう、各種制度をわかりやすく説明する冊子を作成するとともに、総合的な相談窓口を設置して助成制度の周知に努めているところでございます。今後とも、各種助成制度の有効な活用を図り、それぞれの施策目的の達成に努めてまいりたいと考えております。
 続きまして、海南市のプレジャーボート係留施設についての取り組みについてお答えいたします。
 1点目のプレジャーボート係留施設の整備状況についてでございますが、当該事業につきましては、平成22年度の新規事業として国に要望を行っておりましたが、みなと振興交付金の廃止等により事業実施が認められませんでした。県といたしましては、平成23年度予算に向けて、海南市と協議の上、社会資本整備総合交付金事業に切りかえ、事業実施に向けた要望を行っているところでございます。
 2点目の係留施設関連道路などの整備についてでございますが、海南市が整備計画に基づき、係留施設の整備とあわせて一体的に整備していくこととしております。
 3点目の海南市に過重な負担をかけることはないのかについてでございますが、先ほど申し上げましたとおり、平成23年度予算において市が国の補助を得て事業を実施できるよう要望を行っているところでございます。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 企画部長柏原康文君。
  〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) りら創造芸術高等専修学校についてでございますが、同校は教育の一環として、五穀豊穣を祈る田楽「真国御田の舞」を復活させたり、さらには地元の特産品づくりに協力するなど、地域に根差した活動を展開しております。これらの活動が地域に受け入れられ、本年開催の世界民族祭in真国は子供から老人まで大勢が参加する地域ぐるみのイベントとなっています。こうした、若者が移り住み地域の人々と交わることで生まれる地域を元気にする効果は、数値であらわされる以上のものがあり、過疎、高齢化に悩む地域の活性化の1つのあり方と評価しております。
 真国地区では、地域住民が同校と連携しながらみずからの課題として過疎対策に真摯に取り組んでいただいておりますので、今後とも地元自治体と連携し、同地区の再生、活性化を積極的に支援してまいります。
○議長(谷 洋一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 角谷勝司さんがお書きになりました「人の心に貯金する」という自伝を読んでの感想をお尋ねいただきました。
 日本じゅうが貧しかった時代ではありますが、戦争で父親を亡くされ、一家の家計を支えるため中学校卒業後、地元産品の問屋に住み込みで働き、人づき合いが一番苦手だった少年が本人の努力とアイデアによって苦労を乗り越えていく物語には深い感銘を覚えました。とりわけ、売り込み先のお店で番頭さんたちに相手にされず黙って立って待っている間に、脱ぎ散らかされた履物をそっとそろえておいた──これはお母さんからそのように教えられていたそうでございますが──そのことが店の主人の目にとまり、初めて声をかけてもらい商談が成立したというくだりは、そのような気配りを大切にし合う心や文化が生きていたということに胸が熱くなる思いがいたしました。
 また、国際的な競争が激しくなる昨今、ひたむきに喜んでもらえるよそにない製品とサービスを磨いていけば、必ずお客様の気持ちをつかみ、難局を打開できるという不撓の精神は、角谷さんの努力と誠実で常に前向きな生きざまに裏づけられたものでございまして、不況に直面している地元産業関係者のみならず、私たち教育関係者や子供たちにとっても学ぶべきことがたくさんあると感じた次第でございます。(「まだまだ」、「教育長、答弁」と呼ぶ者あり)
○議長(谷 洋一君) 高校生のやつです。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 失礼いたしました。
 もう1件ありまして、ことしの高校生就職の状況につきましては、昨今の雇用状況の悪化に伴いまして本年10月末現在の高校生の就職内定率は57.5%と、前年同時期を1.9ポイント上回ってはいるものの、依然として厳しい状況が続いてございます。こうした中でも、県内には求人のニーズはあるけれども満たされていないという企業もたくさんあると伺っており、現在配置しております就職支援員と教員とが協力しながら、こうした企業の情報収集や求人開拓を行うとともに、生徒や保護者が多様な職種に視野を広げて就職先を探すよう、引き続き支援してまいりたいと考えております。
 また、資格取得につきましても、わかやま版「地域産業の担い手育成プロジェクト」事業を実施し、企業の方を学校に招き、専門的技能の指導を受けたり資格につながる内容を授業に取り入れたりするなど、各学校で工夫しているところでございます。
 県教育委員会といたしましては、就職を希望する高校生を支援するため、県内を5地域に分けてきのくに人材育成協議会を設置し、学校、ハローワーク、県労働関係部局、経済団体等が就職関連情報の共有等を行い、それぞれの機関の取り組みが有効に機能するよう努めているところでございます。
 また、和歌山労働局及び県労働関係部局と連携し、10月には知事を筆頭に経済5団体に対して今年度2度目の求人拡大を要請するとともに、現在、県内約1200の事業所へ戸別訪問を関係部局と協力して実施しているところでございます。今後とも、1人でも多くの生徒の希望がかなうよう、全力を挙げて取り組んでまいります。
 以上でございます。失礼いたしました。
○議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 再質問を許します。
 44番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 御答弁ありがとうございました。幾つか要望を申し上げたいと思います。
 高校生の緊急雇用の問題ですが、何か課題があるときのう聞いたので何か難しいことがあるのかと思ったんですけれども、御説明いただきますと、課題は前向きに進めていけるものだと思いました。また、県としても、雇用するだけでなくて職業につくためにサポートをしっかりやっていただいている、こういう点、大変ありがたいと思います。県のサポート、それから卒業させた高校側のフォローも含めて、しっかりとこの緊急雇用された卒業生の面倒を見ていただきたい。このことを関係者にお願い申し上げ、緊急雇用はぜひとも来年も続けていただけるように要望しておきます。
 プレジャーボートの問題では、いろいろありましたが、国の補助事業になるように要望いただいているということでございます。これができればいいんですが、県が条例をせっかくつくっていただいたんですから、海南市に過重な負担をかけさせるわけにはいかない。最後まで面倒見ていただけるようにお願いしておきます。
 一番大きな今回の経済活性化の問題、地元を元気にする、雇用をふやすという問題は、これは立場の違いにかかわらず、お互い共通の思いだろうというふうに思っています。知事がおっしゃった仕事をふやす日本一の施策について、昨年の答弁、きょうはさらにもう1回答弁していただきましたけども、まだまだ抽象的で、具体化はこれからだと思っているんですが、それに加えて私は、景気対策という立場からも日本一の施策を考えないのかと申し上げました。
 それで、もちろん緊急経済対策、基金を使って、そして公共事業をやってといういろいろなことはあるんですけども、しかし、それに加えて私は、全国的にも大きな成果を上げている住宅リフォーム助成にどうして目を向けないんだろうかということがなかなかわかりにくいわけです。
 秋田県では大きな成果を上げていると言われていますし、岩手県議会、宮城県議会でも全会一致で請願が可決された。これから進むでしょう。きのうの「しんぶん赤旗」に山形県も来年度から住宅リフォーム総合支援事業ということで、7億円余りの予算を組むということをそちらの県土整備部長がおっしゃっているという報道がありました。
 国から今、景気対策予算が来ているわけです。そして、さきの議会でも保留財源が83億7900万円ある。そこへ今度さらに22億円の補正で上積みされるというふうに聞いております。一般財源ですから何にでも使えるわけで、これを借金の返済や将来のために基金を積み立てるということもあるでしょうけども、しかし、景気が悪いからというので景気対策でお金が来ているわけです。それを有効に使うことをまず考えるべきだろうと思います。
 それで、例えば83億円、さらに22億円積まれた一部でも基金にして、3年間ぐらい住宅リフォーム助成制度をやれないのか。もちろん、期間を切った施策ですから永続的なものにはなりませんけども、エコポイントだってやっぱり期間を切って、今大変だからやるわけでしょう。そういうものは考えてもいいんではないか。特に、それをそのまま公共事業に使うのとは違って、県民の財布からお金を引き出す、懐からこれを助成金にしてお金を引き出すわけですから、5倍にも、うまくいったら10倍にもそれが経済効果を持つ施策ですから、これはぜひとも当初予算で検討していただきたいというふうに思っています。
 9月に答弁されたときとは、さらに新たに国の予算もついたわけですから、前の答弁にかかわりなく、さらに新たな検討がなされると思いますので、ぜひとも当初予算ではこれを実現していただきたいということを要望しておきたいと思います。
 それで、私たちが開いた経済活性化シンポジウムでは、行政への要望ということできょうは申し上げたんですが、そこで話し合われたことは行政への要望だけではありませんで、自分たちで知恵を出して今の経済が大変な中で乗り切っていこうやと、こういう討論がしっかりやられているわけです。この点も、私は大変大事なことだというふうに思っています。
 そこで、私はシンポジウムの報告書の最後で、閉会のあいさつで1つ提案をしているわけです。それは、海南市でも紀美野町でもオークワさんがまちづくりで大きな影響を与えている。オークワさんというのは文化活動でも補助事業をなさっている、地域貢献を大変大事にされている加盟店だと思っています。そこで私は、オークワ本部に経済活性化シンポジウムを開くのにぜひ御参加くださいと案内に行きました。ゼネラルマネジャーの方にお会いしまして、大変誠実に対応していただきました。
 私は、こういう大きな店との関係を、国の段階では大型店舗が勝手なことをしないように規制するということが課題でしょうし、海南市にとってはそれを進出する場合は協定を結んでということが課題でしょうけども、私ども市民レベルあるいは商店街レベルから言うと、やはりまちづくりのパートナーとして考えていきたい。もちろん、オークワさんは商工会議所にも入っていただき、そして地域の活性化の協議会にも入っていただいているわけですけども、なかなか市民としては、買い物するのに接触はあるんですけれども、そういうオークワさんがこれからどういうふうにやっていくんですかというあたりではなかなか私ども話をする機会がこれまで少なかったわけで、そういう点でもパートナーになっていただきたいというつもりで実はオークワの本部へもこのシンポジウムの機会にお伺いしたわけです。そして、大変誠実に対応もしていただいて、紀美野町の店についてもこうするんだという私が知らなかったいろんな話もしていただきました。
 これからは、それに限りません。松源、イオン、大型電気店などもありますけども、一層このまちづくりの輪に入っていただけるようにこれから呼びかけていきたいというふうに思っています。
 そういうことも含めて考えていることを申し上げまして、この場での私の発言を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○議長(谷 洋一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時32分休憩
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