平成22年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(浦口高典議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○浦口高典君 議長のお許しを得ましたので、質問をさせていただきます。
 何分3年8カ月ぶりの質問でございますので、今回取り上げる人口減少、特区、そして観光については、先輩・同僚議員の方々が、この間、いろいろと質問されております。過去の議事録を一通り読み返し、できるだけ違った視点から簡潔に質問させていただきますので、知事初め当局の皆様の誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。
 まず初めに、「県人口99万人ショックから73万人ショックへ」について質問させていただきます。
 この言葉は、私が去る10月17日の県議会議員補欠選挙の選挙公報に載せたものでありますが、99万人ショックとは、「朝日新聞」がことし8月1日に和歌山県の人口が近畿地区で初めて100万人を切ったということで使っていた言葉から引用をいたしました。また、73万人ショックというのは私の造語ですが、国立社会保障・人口問題研究所の平成19年の人口推計によると、25年後に、さらに26万人が減少して73万人になるということであります。私にはむしろこちらのほうが大変なショックで、先行きが恐ろしい限りであります。
 実は、この人口問題は今からちょうど7年前に初質問に立ったときに取り上げたテーマであり、そのときに平成14年の国立社会保障・人口問題研究所の人口推計をもとに質問したのですが、当時の資料を読み返してみますと、平成22年、つまりことしですが、和歌山県の推計人口は103万1000人になっており、しかし実際には、さきにも申し上げたとおり99万人台になっており、推計以上に人口減少が進んでいるということになります。
 ちなみに、平成19年度の人口推計によると、平成47年(2035年)には73万8000人となり、そのときの高齢化率は現在の26.7%から38.6%に、逆に年少人口率──これは15歳未満の人口の割合ですが──現在の12.9%から9.4%に下がり、今より進んだ、まさに超少子高齢社会になっていることはほぼ間違いありません。
 もちろん、これは全国的な流れでもありますが、ここで一度立ちどまって考えなければいけないのは、平成17年の国勢調査によると、和歌山県の人口減少率が、もう既に皆さん御存じのとおり、秋田県に次いで全国で2番目に高いということであります。ちなみに、1番秋田県、2番和歌山県、3番目は青森県であります。そして、昭和30年の国勢調査で和歌山県が初めて100万人を超えたとき、同じ近畿地区の滋賀県は85万人でした。しかし、現在では99万人台になった和歌山県に対し、滋賀県は140万を超える県になりました。もちろん、人口が多いのは単によいというのではありませんが、経済成長等を考えたときに、その基礎となるのはやはり人口であります。
 滋賀県がなぜ人口がふえているのか調べてみますと、国土軸に位置することや、京都、大阪へのベッドタウンとして最適、また企業誘致や雇用の創出、さらには大学誘致等に積極的であったということがわかりますが、今まで和歌山県も、国土軸から離れていることはもちろんですが、同じような取り組みをしてきたのではないでしょうか。しかし、結果としてこのようになってしまったのはどうしてでしょうか。これには、やはり今までの県政のかじ取りの失敗はなかったか。知事、率直にお答えいただきたく存じます。
 さらに今から25年前、つまり昭和60年(1985年)には和歌山県は108万7000人で、現在は99万9000人ですので、約9万人がこの25年間で減少したことになります。そして、繰り返しますが、先ほどの人口推計によると、これから25年後の平成47年には73万8000人になり、約26万人が減少します。つまり、今までより3倍のペースで人口減少が進むことになりますが、知事はこのペースについてどのようにお感じになられますか。そしてまた、この人口激減と言ってもいい状況をとめる積極的かつ大胆な施策は何かあるのでしょうか。知事、お答えください。
 次に、県活性化のための特区についてであります。
 特区、正式には構造改革特区でありますが、これは、平成14年、小泉内閣において実情に合わなくなった国の規制が民間企業の経済活動や地方公共団体の事業を妨げていることがあるということで、こうした現在の事情にそぐわない国の規制を、地域を限定して改革することによって構造改革を進め、地域を活性化させることを目的とする制度であります。
 そこで、まず和歌山県における現在の特区の認定や活用及び取り組み状況について、企画部長、お答えください。
 さて、先日の知事選挙におきまして、仁坂知事の対立候補であった藤本眞利子前県議は、その政策集「和歌山元気宣言」の中で、和歌山県全体を観光経済特区にして、農林漁家民泊などの規制緩和や開業支援の全県下構想を進めるということで、具体的には体験農林漁業、農林漁家民泊、農林水産レストランなどの規制緩和、開業支援を進め、ほんまもんの和歌山体験等を通して知ってもらうことにより地域農林産業活性化にもつなげますと訴え、さらには、県内宿泊数を3倍増、外国人観光客10倍増計画を進めますとも訴えられておられました。
 もちろん、これらの中には、既に県が進めている施策もあると思いますが、中でも特区を生かした観光政策についてどのようなものがあるのでしょうか。商工観光労働部長、お答えください。
 次に、仁坂知事はこの選挙戦において「和歌山を元気に あたたかい改革」というスローガンを掲げておられました。そして、この4年間の実績として80社の企業誘致を行ったと強調されていらっしゃいましたが、そのうちの約半分は既に県内にあった企業であります。一方で、株式会社東京商工リサーチによると、平成19年1月よりことしの11月までの3年11カ月の間に県内では596社の倒産があり、負債総額が1025億にも上るということであります。このような状況から、知事が言われるほど、企業誘致により和歌山県の景気がよくなったとか、和歌山県民が元気になったとか感じていない人のほうが多いように思うのは私1人でしょうか。
 そこで提案でありますが、少し視点を変えて考えてみるのはいかがでしょうか。その1つの例として、紀州よさこい祭り、通称「おどるんや」であります。これについては、以前から申し上げておるとおり、8年前の踊りチームの結成から私自身もその中に入り行動をともにして、スポンサー集めを含め、深いかかわりを持ってまいりました。それはなぜかと申しますと、この祭りを実質的に立ち上げた2人の若者からこのような説得を受けたからであります。
 それは、「浦口さん、日常が元気のない和歌山を非日常から元気にしませんか」ということで、つまり、ここで彼らは日常の経済が落ち込んでいるんだったら、非日常の活動である踊りをベースにした祭りで和歌山を内から元気にしませんかという発想であり、大いにそのことに共感を覚え、彼らに協力してきたわけでありますが、御参考までに述べさせていただきます。
 また、先日久しぶりに紀州よさこい祭りの実行委員会であるお祭りプロジェクトの幹部3名と今後のことについて話をする機会があり、そのとき彼らが言うには、ことしでこの祭りも7回目を迎え、年々参加者はふえているが、観客を県外から呼び寄せるには、和歌山に根差した独自のテーマとリズムの曲や踊りづくり、さらに毎年祭りのときに大盛況である食べ物屋台「旬店街」も全国に発信するためには、今はやりのB級グルメのコンテストであるB-1グランプリの和歌山大会を開催し、その中から全国大会にも出てもらおうとも思っていますという積極的なアイデアを教えられ、大変頼もしく思いました。そして、またそれぐらいの発想と行動を起こさないと、和歌山の観光も、幾ら県民総参加でといっても結局は盛り上がらず、言葉だけに終わってしまう可能性があるのではないでしょうか。
 そこで、和歌山県にもたくさんの観光商品がありますが、その中でこれからどのようなものをどのような形で売り出そうと考えているのでしょうか。身近で観光商品にもなっている和歌山ラーメンの例もありますが、その名を聞いただけで県民が地元和歌山を意識し、自慢話の1つもしたくなるような、これから他府県にない独自に売り出そうとしている観光商品は何か、商工観光労働部長、お答えください。
 以上をもちまして、私の質問とさせていただきます。御清聴、まことにありがとうございました。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの浦口高典君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 人口減少の問題についての3点の質問に、あわせてお答え申し上げます。
 和歌山県の人口が100万人を切るような事態となったのは、特に若年層が県外に流出する社会減が高齢化社会となり、出生数の低下となる自然減を招いた結果であると認識しております。すなわち、原因は社会減にあるということでございます。しかも、この流出数が毎年えらく大きく、かつ長く続いたことは驚くべきことであったというふうに思います。
 こうしたことから、私が4年前に就任して以来、社会減を食いとめるため懸命の努力を行おうといたしました。それが、私が唱えてまいりました、働く場をふやすということであります。なぜならば、人口が減るからといって、人を県外に出るなといって縛りつけるということはできません。働く場をふやして、こちらで働いたらいかがでしょうかというふうに持っていくしかないと思うのであります。
 そのために約80社の企業誘致を実現するとともに、県内企業の技術力強化や、あるいは販売促進戦略等の産業振興策、あるいは農林水産業、それから観光、そういうそれぞれの産業ごとにできるだけ産業活動を活発にして、そこで少しでも働く場をつくっていただく、あるいは縮小を食いとめる、そういうことを努力してまいりました。
 このためには道路ネットワークの整備などもその条件として大変重要でございますから、それを努力してまいりましたが、諸般の事情によりそれが頓挫したり障害にぶち当たったりいろいろしていることは、議員よく御存じのとおりであります。こういうふうにして元気な和歌山を創出するために数々の施策を進めてまいりましたし、今後ともやらなきゃいけないと思います。
 この結果、社会減が5000人から2000人程度まで抑えることができましたが、これはまだ不十分でございます。したがって、何とかして増加に転じさせるように一層の努力を続けていく。そのために政策にも磨きをかけるし、県民の方々にも頑張っていただくということが必要だと考えております。
 同時に、その社会増減だけではなくて、自然減もできるだけ減らすようにしなければいけません。そのために、子育て世帯の経済的負担の軽減や子育てと仕事の両立支援など、子育て環境No.1わかやまを目指してさまざまな施策を追求しておりまして、こういう形でその自然減対策もできるだけ講じてまいりたいと考えております。
○副議長(山下直也君) 企画部長柏原康文君。
  〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 構造改革特区についてでございますが、これまで本県関係では、県、市町村合わせて18件の認定を受けております。各計画の内容につきましては、市民農園の開設やミカン、梅等を活用した特産酒類の製造、さらには幼保連携や公立保育所への給食の外部搬入の特例など、さまざまな分野で本制度の活用が図られています。
 なお、現在国においては、新たに規制の特例措置、税制、財政、金融上の支援措置等をパッケージ化して実施する総合特区制度の創設を検討しており、本県から和歌山県高野・熊野世界遺産総合特区及び元気な水産県和歌山づくり総合特区を提案したところであります。引き続き国の動きを注視しながら、こうした制度の活用に努めてまいります。
○副議長(山下直也君) 商工観光労働部長岡本賢司君。
  〔岡本賢司君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本賢司君) 特区を生かした観光政策についてでございますが、本県におきましては、和歌山県観光立県推進条例に基づく観光振興実施行動計画、いわゆるアクションプログラムで、世界遺産や温泉とともに食の魅力を主要な観光資源と位置づけた観光振興施策に取り組んでいるところです。
 県内では、梅酒を初めとする果実酒など地域の特産品を活用した構造改革特区が認定されており、クエやマグロ、梅干し、和歌山ラーメンなどとともに、地元での活用や首都圏などを中心とした販売促進活動とさまざまな観光プロモーションとの連携を図りながら観光振興への取り組みを進めているところです。
 また、年々増加する外国人観光客に対する通訳ガイドなどの受け入れ体制の強化や旅行業法の規制緩和などを推進するため、国に対して和歌山県高野・熊野世界遺産総合特区を提案しているところでございます。
 次に、和歌山を元気にするための他府県にはない県独自の観光商品についてでございますが、全国の数ある観光地の中から旅行先として本県を選んでいただくためには、我が県の持つすばらしい観光資源とともに、本県独自の魅力と言える観光商品を見きわめ、それを積極的にPRしていくことが重要です。
 その1つの取り組みとして、熊野古道健康ウオーキングを推進しております。これは、世界遺産である熊野古道において、熊野セラピストと呼ばれる専門スタッフと語り部の案内により、血圧測定やストレッチ体操、瞑想等を取り入れながらウオーキングし、心身の機能を高めようとするもので、近年の健康志向の高まりとも相まって年々利用者が増加しています。
 また、万葉集と紀州徳川家ゆかりの景勝地である国名勝の和歌の浦や、戦国武将の真田昌幸・幸村親子が隠れ住んだ九度山などは、歴史ロマンが感じられるスポットとして売り込むことにより今後入り込みの増加が期待されます。
 さらに、世界遺産、国名勝、国宝など世界的、全国的に価値が認められた資源はもちろんのこと、県内各地の特色ある祭り、最近特に女性の注目が集まっているパワースポットなど、本県が有する独自の魅力をマスコミや旅行会社、インターネット等を活用して広くPRし、積極的に誘客を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 以上で、浦口高典君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後3時12分散会

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