平成22年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(片桐章浩議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後1時0分再開
○副議長(坂本 登君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 こんにちは。議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。どうかよろしくお願いしたいと思います。
 1問目は国の名勝指定の和歌の浦の活用について、これを第1項目とさしていただきます。
 去る5月21日、文化庁文化審議会文化財分科会で国の名勝として答申されたのが、和歌山県の和歌山市においては和歌の浦地域であります。今回答申を受けたのは第1区、和歌の浦干潟、片男波、玉津島神社、塩竈神社、妹背山、そして三断橋を初めとするこの地域となっております。この地域は和歌の浦の中でも景観の中心となる地域で、学術的には価値が高い範囲と答申されているとお聞きしております。
 この機会に和歌の浦について再発見をするため、簡単に和歌の浦の価値の源泉を述べてみたいと思います。
 まず、妹背山であります。妹背山には、徳川家康の側室であった養珠院──お万の方なんですが──家康の33回忌を機に発願した海禅院多宝塔、これが存在しております。ここには1649年に多数の経石が集まったことから、地下室におさめられた海禅院多宝塔が1655年に建立されております。この法華経の題目を石に書写し、全国から集めた事業は、当時の上皇から庶民に至るまで階級を超えたものであり、封建社会の中にあってこのことがなされた事実は、我が国の歴史上ほかに例を見ないものになっております。
 私もこの経石の発掘調査に参加さしてもらったことがありますが、その目的は、養珠院の経石埋納の意義を明らかにし、和歌浦の歴史的景観保存とその活用を図ることにありました。発掘調査は平成16年から翌年にかけて実施されてきましたが、今から思いますと、今回の名勝指定の証拠を探したような調査であり、和歌の浦の歴史的価値を実践して探り当てていた皆さんの活動のすばらしさを思うばかりであります。
 また、妹背山につながる三断橋ですが、和歌山県では最も古い石橋で、橋の原形は4世紀もの間にわたって崩れることなく今日に至っている。ただし、平成16年の3つの台風の影響によって、現在、橋は修復作業を行っている。こういう状況になっております。
 玉津島神社の歴史はもっと古く、724年にさかのぼります。724年に即位した聖武天皇は、和歌浦に行幸されまして、そこで見た和歌浦の景観にひどく感動、この場所を守るため玉津島の霊を祭ることを命じました。玉津島が神の君臨する場所として、また神そのものとして祭られていたとも言われております。この神社は、1585年には紀州を平定した豊臣秀吉が玉津島にもうでていますし、その後、浅野幸長によって社殿の再興が図られております。その後、徳川頼宣によって本社殿の本格的な整備が図られ、現在に伝えられている。
 以上のことから、この場所は和歌浦の中でも歴史的景観の中心とも言える場所、このようになっております。
 今回指定に答申された和歌の浦の歴史を振り返ると、歴史に彩られたすばらしい地域であるということを私たちは思うことができます。
 ここに至るまでの間には、ずっと以前から和歌浦の地元で地域振興、あるいはボランティア、清掃活動、そういったことを実施してきた方々の地道な活動があったこと、これが今回の国の名勝指定につながる基礎をつくったのではないかというふうに思います。問題は、これから指定を受けた後の取り組みをどのように展開さしていくか、こういうことになろうかと思います。
 具体的に申しますと、ことし8月に国の名勝指定を受けようとする第1区地域内の景観や歴史的建造物の保全をどうしていくのか。観光案内板、説明板の設置をどうしていくのか。案内板に関しては、景観を損なわないように周囲に溶け込み、しかも、観光に来られたお客さんのために目立つ存在、これの必要があります。既にモデルとしては和歌浦みちしるべの会が設置している道標が参考になろうかと思います。
 そして、この地区ではもう1つ大きな事業が現在進行されておりまして、妹背山海禅院徳川期伽藍復興事業、これが計画されております。妹背山海禅院は1652年から1658年にかけて建設されたものですが、創建当初は現在ある多宝塔──残ってるのは多宝塔なんですが──その前に唐門、拝殿、瑞門、そして観海閣、こういうふうな配列で設けられておりました。
 今回、平成の復興計画では、これらの諸堂諸門のうち、今は失われてしまっている拝殿、経王堂を初め、唐門、瑞門など、江戸中期の最もよくこの場所が整備された時期の建造物を忠実に復元させ、また、参詣道の整備、参詣者のための休息所の建設など、環境整備を行おうとしております。
 今回の国の名勝指定を契機として、県内からだけではなくて、県外の方にもこの平成の復興事業の歴史的意義を知っていただき、弾みをつけてくれることを願っているところであります。
 また、東照宮や天満宮、そして御手洗池に代表される第2区についても早期に指定されるように作業を進めていただきたいと思いますし、名草山地域の第3区、雑賀崎地域の第4区についても、現在のところさまざまな課題があるとお聞きしておりますが、第1区の標識や観光説明板の設置の際には、第4区までを含めた統一的なデザインと設置場所、これを検討してほしいと思っています。
 これらの問題に関しては、今後は国の名勝指定を受けた後は和歌の浦保存管理計画を策定する、そしてここで進めるということをお聞きしておりますが、ここでは広く地元で活動してきた方々の参画も必要だと思いますので、この点もよろしくお願いしたいと思います。
 それから、少し話題は変わるんですが、この地域内でトイレの問題というのもたびたび指摘をされております。知事の計らいで、「わかやま観光情報」という和歌山県のホームページがあるんですが、このサイト内に「わかやまのトイレマップ」というのが掲載されております。このサイトが開設されたときは、地元の方々で公衆トイレを管理されてる諸団体があるんですが、この皆さんが、知事が我々の活動をわかってくれたとひどく喜んでいた、感謝していたということを思い出させるところなんですが、この妹背山周辺にはトイレがありません。国が価値を認めようとしている観光地としての和歌の浦の玄関口であるこの地区にトイレがない、これは問題だというふうに思います。
 和歌の浦学術調査報告書によると、この地区は和歌の浦の歴史的景観を形づくるものとして極めて重要な史跡である。極めて重要な史跡を訪れた人にとって、この地にトイレがないとは決して思っていないと思います。コアとなる場所にトイレの設置というのは非常に難しい問題かと思いますが、周辺部の適切な場所にきれいなトイレを設置する、こういったことも含めて今後の課題として指摘をしておきたいというふうに思います。
 それからもう1つ、今度は域内ではなくて、観光に来られたお客さんが和歌山市に入ってからの問題であります。高速道路、阪和高速自動車道の和歌山インターチェンジ、それから南海フェリーの和歌山港、これをおり立った自家用車による観光客が道路標識を見ながら和歌浦にたどり着くというのは意外と難しいんではないかなと、いろんな方と意見交換する中でわかりました。
 今回資料をちょっとお手元にお配りさしてもらっておりますが、これが阪和道からおりて和歌浦に至る道、それから南海フェリーの場所から和歌浦に向かうにはどう行ったらいいのかなというのを現場調査をした写真と、少し砕けた表現での解説文を入れておるんですが、実際走ってみますと、なかなか国の名勝指定を受けるであろう観光地にたどり着くのは難しいんではないかなと思いました。本当に観光地と言えるためには、県外の方がスムーズにたどり着ける、こういった道路標識も必要かなと思います。和歌山市の中でも観光地らしい和歌の浦であってほしいものですから、道路案内標識の改善についても検討課題かというふうに思います。
 以上の意見を述べた上で、質問をさしていただきたいと思います。
 まず、知事にお伺いさしてもらいます。
 1つ目、国の名勝指定を受けようとする和歌の浦の価値についてどう考えているのでしょうか。和歌の浦を名勝指定を受けた観光地としての価値をどこに見出しているのでしょうか。
 全国的な視点からすると、この地域が栄えたのは昭和30年代。現代的な観光地、いわゆるリゾート地とは違い、若い女性客や家族連れが訪れるような観光地とは少し趣を異にしているような気がします。国の名勝指定の意義は歴史的価値とすぐれた景観にある、このように思いますから、現在の若い人たちが訪れようと思ってもらうためには、何かここに味つけをしないと比較的地味なテーマになってしまうかもしれない、こういうふうに思っております。
 今回、国が名勝指定しようとしている8月、この機会を逃すようでは今後長きにわたって観光地和歌の浦を売り出す機会というのは失われるんではないかなというふうに思っておりますので、今から売り出すための観光施策を用意しておくべきだと思います。和歌公園そのものに価値があると思いますが、ここにどのような彩りを加えて国の名勝指定和歌の浦を売り出そうと考えているのでしょうか。
 また、妹背山海禅院徳川期伽藍復興事業は、江戸中期の最もよく整備されたそのころの建造物を忠実に復元させるものですが、国の名勝指定を前に、あわせて復興事業をアピールする必要もあると思いますが、知事の意見をお聞かせいただきたいと思います。
 続いては、教育長から答弁をお願いします。
 指定が受けられる見込みの第1区地域内の景観や歴史的建造物の保全をどうしていくのでしょうか。観光に来られたお客さんに名勝和歌の浦の精神を伝えるための説明板の設置についてどのように考えているのか、お答えください。
 また、今後は和歌の浦保存管理計画を策定する、こういうふうに作業は進むと思いますが、委員構成は行政関係者以外の地元活動家の皆さんにも委員として参加してもらう、このようなことも考えられると思います。構成メンバーのうち民間委員の人選についてはどのようになってますでしょうか。特に、和歌の浦地域は地域振興のために活動実績のあるすぐれた団体・組織がたくさんありますから、活動実績のある団体の代表者の方にも入っていただいて意見を聞いてほしい、このように思いますが、いかがでしょうか。
 続いては、商工観光労働部長にお願いいたします。具体的な観光施策に関してであります。
 和歌の浦は中期滞在型の観光資源とはなりにくいのではないかなというふうに思っておりますが、今回、国の名勝指定される地域、そしてマリンスポーツの魅力の地としての観光地としてお客さんを呼び込める、このような地域でありますから、仕分けをした誘客キャンペーンが必要かというふうに思います。名勝指定を受けた後の和歌浦の観光施策についてお聞かせいただきたいと思います。
 この質問の最後は、県土整備部長に答弁をお願いしたいと思います。
 和歌山インターチェンジ、南海フェリーの和歌山港から和歌の浦に至る道路案内板標示に関して、県外から来られるお客さんの視点からの標示のあり方について一度検討を加えて見直していただきたい、あるいは追加していただきたい、このように思いますが、いかがでしょうか。お答えいただけたらと思います。
 続いて、中国人観光客施策について質問をさしていただきます。
 先月、議長のお許しをいただきまして、和歌山県の企業誘致、それから観光誘客について調査するために香港を訪れさしていただきました。香港は初めて行かさしていただいたところなんですが、訪問した先の皆さんとの交流から、エネルギッシュなすばらしい経験をすることができました。国際金融都市香港は、言うまでもなくロンドン、ニューヨークに続く世界3位の金融センターとなっております。
 私のほうからは、和歌山県は関西国際空港から40分の距離にあり、香港、中国企業の進出や投資先としての資質を兼ね備えた地域であることや、海のあるリゾート地としての魅力も兼ね備えている、そういった場所であることを訴えてきました。関西空港を中心として円を描くと、和歌山県、特に和歌山市は近距離で、中国からの観光のお客さんを迎えるのに適した場所であることを理解してくれたように思います。
 訪問した会社の1つでは、年間10便、チャーター便を日本に向けて出発さして運航しておりまして、中国と日本の地方都市を結んでくれていました。和歌山県の場合、白浜空港は滑走路の距離が短い問題から大型のチャーター機の運航は難しい、こういうことだったんですが、関西空港から和歌山県入りするコースの設定、これがあれば検討は可能性もあるよと、そういうことにもお答えをいただいているところであります。特に海と温泉、ゴルフ、これを組み合わせることによって、和歌山県は観光地としての実力を備えている場所であるということも少しは理解してくれたのではないかなというふうに思っております。
 そして、ここで言われたことは、中国南のほう、南部ももちろんそうなんですが、これからは東北三省の経済発展の伸びがすさまじく、経済の重点地区になっていくよと、こういうことも知ることができました。企業の集積ももちろんですが、観光の誘客と日本への観光旅行もこの地域では有望であるそうです。既に東北三省には観光PRのために日本から多くの知事が訪れているということもお聞きしておりますが、仁坂知事は多分まだだったというふうに思いますが、一度その辺も考えていただければどうかなというふうに思います。
 続けて、先方、企業の方に幾つかの施設を案内してもらったわけなんですが、香港市内のショッピングモール、ここも見学をさしていただきました。香港で気づいたことは、低層階がショッピングセンターやレストラン、これを配置しまして、中層階から上はマンション、オフィスビル、このようになっている建築物が非常に多いということです。香港のような大規模なテナントとマンションや事務所棟を組み合わせた建築物は、日本では余り見ることが少ないのではないかなというふうに思いました。
 我が国でも地方都市の空洞化した中心市街地に必要なものは、定住人口と交流人口の増加、この2つの要素が必要と思いますが、この地では2つの要素を実現している事例がたくさんありました。和歌山市に今以上の活力を持たせるためには、投資を呼び込むこと、これが必要で、外国の視点からすると、日本といえば東京とそれ以外、そういうふうな認識がございまして、香港や中国にないものを保有しているまちが投資対象になる可能性があります。我が国の地方都市が活性化しない理由は、外からの、県外からの投資がなかなか呼び込めない、こういうことだと思います。投資を呼び込める地域であることが都市再生のために必要だということをつくづく感じた次第でありますが、ところが、その投資を呼び込むことが非常に難しい問題となっております。
 つき合いとかボランティア、そういったところで、和歌山にじゃあ行くよ、投資するよと言われるほど甘いものではありません。投資した分以上に採算がとれることや地域としての将来性が見込める場所である、これが投資対象、進出対象、あるいは観光に送り込む対象、こういうことになります。その要素というのは、地方自治体が計画してつくり出さなければならない問題だというふうに思います。つまり、投資家が投資案件になる、観光に来てもらえるような場所になる、そういう地域である、それを和歌山県でつくり上げなければならない、このように思います。
 日本への観光客の送り込みに関して、和歌山県との関係についても検討してくれております。リゾート地としての和歌山県に関心を持ってくれた、このように思いますから、これから検討すべき事柄がたくさんあると思います。結構問題は山積しておりますが、苦しみながら楽しい分野がこの観光分野ではないかなというふうにも思います。
 それからもう1つ、日本の企業進出についての問題なんですが、再三聞かれたのが日本の法人税についてです。これはもう何度も何度も、何度も何度もというぐらい、しつこいぐらい質問を受けました。
 日本の法人税は、御存じのように、世界の中では最も高い利率の国の1つとなっております。法人税と住民税、所得税を含めた法定実効税率、これは40%になっておりまして、かなり高い水準だというふうに思います。香港の法人税は約10%から15%程度ですから、日本は投資先としては到底魅力的とは言えないようです。
 つまり、利益の半分近くを税金として持っていかれるわけですから、そのお国柄というのは少し理解しがたいよと、こういうふうな感じすらありました。日本で事業をした場合、投資した資金を回収する時間がかなり長期間になる、それならば自分の国でやったほうが、事業領域を拡大するほうが利益を得られる、こういった理由なんです。
 そこで、我が国が中国とビジネスや観光でつき合うための課題は、日本企業にも当然該当することなんですが、法人税の軽減措置、中国人観光客の所得要件の緩和、滞在期間の延長、こういったことが必要だなというふうに思いました。
 そんな中、さきに先輩議員から質問がございましたように、さきの5月18日、中国人観光客の受け入れ基準の緩和を岡田外務大臣が表明しています。平成22年、つまりことしの7月1日から個人向けのビザの発給対象を中間所得層まで広げるというもので、ビザの発給要件を満たす層は従来の10倍、1600万世帯にも及ぶ、こういう見通しであります。
 緩和されるのは、大手クレジットカード発行のゴールドカードを所有している、官公庁や大手企業に勤めている、年収でいいますと約80万以上の収入がある、こういった方々が対象になるんですが、それよりも、観光にとってのビジネスチャンスはもう1つの点でありまして、ビザの発給窓口、これが現在ある北京、上海、広州、この3カ所から重慶、瀋陽、青島、大連、こういった在外公館にも広がる。先ほど言いました東北三省で言いますと瀋陽、大連が該当しますが、そういったところでもビザの発券が受けられるということで、日本の観光事業としてはチャンスが広がることになっております。和歌山も、もちろんチャンスになります。
 ただ、問題があります。平成20年の実績ですが、日本を訪れた中国人の方の都道府県別の訪問率、上位から言いますと、東京都が76.9%で最も多く、大阪府が47.9%、神奈川県が36.2%、このように続いております。つまり、観光というよりもショッピングが主な目的で来日していると、こういうことが推測できます。観光客の受け入れ基準の緩和要件があったとしても、和歌山県への観光誘客はそれほど簡単ではないと思います。課題は和歌山県が中国からの観光地であり得るか、この点がテーマとなってこようかと思います。
 中国人が望んでいるものは、ショッピング、温泉、おいしい食事、ゴルフ、そしてパンダ、別荘、こういったものだということです。これらが中心的な観光資源になり得ると思います。パンダは意外に思ったんですが、これは北京動物園に行かないと見ることができないので十分に和歌山県の観光資源になるよと、こういうものでありました。
 ただ、もう1つ弱点を言いますと、和歌山県だけを観光地として送り込むというのは少し弱い、こういうことが言われました。つまり、和歌山県に来るのに絡めて大阪、京都、こういったところを絡めて、観光地として売り出す、あるいはプランが必要だというふうなことが指摘されております。
 和歌山県の優位性は温泉と食べ物、ゴルフ場、この辺は大丈夫だと思いますが、問題は大きな誘客要因であるショッピングセンターであります。ショッピングの分野であります。ショッピングといいましても、スーパーブランドや電気製品、こういった取りそろえた場所が必要だと思いますから、ぜひともまちの中に装着したいなというふうに思うんですが、ここでは都市計画というのが必要かというふうに思います。
 つまり、観光地であるためには、普遍的な価値が認められている和歌山県が誇る世界遺産、それから国の名勝指定を受けようとする和歌の浦、こういった観光地に加えて、ショッピングセンターやテーマパーク、そしてゴルフ場などを兼ね備えた都市形成が必要だというふうに思います。対外的には観光キャンペーン、観光施策は講じてくれているところでありますが、同時に、観光に来られるお客さんを受け入れられるだけの都市計画が必要だということも一般質問をする前に各部局の方とかなり議論をさしてもらったんですが、なかなか難しい問題だなということで、今回はこれ以上触れさしていただくことはできないんですが、課題だというふうに思います。
 香港というのは、御存じのように、アヘン戦争の時代である1865年、香港上海銀行が設立されて以来、世界の金融センターとしての機能を持っている。これが、ここに企業や人、観光客を集中させている要因であります。何もない場所に高層ビル、人が集まるはずがありません。都市形成においては原因があり、結果を招いている、このように思っておりますから、和歌山県も都市形成の部分でもぜひ見習いたいものだというふうに感じております。
 以上、報告の中から1点、質問をさしていただきます。
 和歌山県の持つ観光資源のアピール、これも必要なんですが、これだけでは中国人観光客の要件緩和の受け皿になる見込みというのはそんなに大きな要因にはならないと思います。そこにはショッピングゾーンの形成が必要であり、ゴルフ場、温泉を配置するなど、まちとしての魅力づくりが必要だと思います。外国人観光市場は巨大で、本年度は和歌山県では中国を観光市場として重点ですよというふうにとらえてくれているようですから、期待をしているところであります。
 特に、東北三省は観光市場として大きな市場だと考えていますが、東北三省への観光アピールや施策はどのようなことが考えられるのでしょうか。寒い地域の人が観光地としての和歌山県に魅力を感じることは自然の流れでありますから、ぜひとも考えてほしいと思います。この点に関して、商工観光労働部長に答弁をお願いしたいと思います。
 最後に、国内クレジットについて質問をさしていただきます。
 国内クレジットというのは、二酸化炭素排出削減事業、このことを指します。もう少しかみ砕きますと、中小企業が対象になりまして、中小企業が排出権削減事業者となりまして国内クレジット──これは二酸化炭素をこれだけ削減しますよというクレジットを発行します。国内クレジットは主に大企業が引き受けます。そのことによりまして中小企業に資金を循環させる、この制度のことを国内クレジット制度と言います。大企業にとっては自主行動計画の目標達成に国内クレジットは活用できますし、中小企業は資金調達と自社の二酸化炭素排出を削減できる、この2つの効果が期待できるわけであります。
 また、和歌山県にとってありがたいことは、森林部門も森林バイオマスなどによって排出削減事業が可能であり、和歌山県では既に日高川町が木質バイオマス事業によって国内クレジットの認証を受け、年間約15万円の資金が得られる、このような計算になっております。
 そして、この中小企業や農林部門、民生部門の排出事業計画を支援する仕組みというのが国に存在しております。中小企業等の実施する排出削減対策支援事業がそれで、国内クレジット制度の活用が見込まれる中小企業に対して、排出削減事業計画の策定支援と排出削減事業計画の審査費用──これ、審査を通過しなければならないんですが──これの一部支援のソフト支援、この2つの制度があります。
 和歌山県として低炭素社会実現のために国内クレジットを普及さしてほしいと思いますし、このクレジット事業を活用して地域に資金を還流させる、この仕組みを普及さしていただきたいというふうに思っております。多くの県内中小企業の方が参画してくれますと、和歌山県の国内クレジットを全国の大企業が購入してることになりますから、企業にとっても国にとっても、外国から排出枠、排出権を購入している、この資金が少なくて済み、その資金は大企業のある大都市から和歌山県に資金が流れてくる、こういう仕組みがつくれることになります。
 和歌山県としては、そこで得た資金をさらに国内クレジット対象事業に再投資することでさらに資金が得られる、こういう仕組みを構築することも可能であります。環境先進県を目指している和歌山県としては、ぜひとも取り組んでいただきたいテーマの1つだというふうに思います。
 国内クレジット制度を活用すれば、大企業でなくても中小企業や農林業の分野で二酸化炭素排出削減が可能となりますし、資金を得ることもできますから、県内の中小企業者の皆さんにとっても利点がありますし、何よりも京都メカニズムのクレジット購入のために外国に流出している資金を国内に回帰させることができますから、和歌山県としても国益を守る活動、これを行えることになります。
 現在、排出削減の方法は29件あります。主なものを言いますと、ボイラーの更新、バイオマスを燃料とするボイラーの新設、ヒートポンプの導入による熱源機器の更新、空調設備の更新、照明機器の更新など、初期投資が必要なんですが、比較的導入が容易なものもこの中にはあります。
 ところが、平成22年6月現在、国内クレジット制度で認証を得ている、または認証が得られる予定の和歌山県内の中小企業はわずか5件であります。全国の府県としても比較的少ない地域となっております。進まない理由として考えられることは、制度が十分に認知されていないこと、それから、案件化から事業計画策定までの支援体制がわからない、こういったことが考えられようかと思います。中でも、審査費用の支援があること、排出削減事業計画の無料作成の支援の仕組みがあること、この辺を認識していただけたら、参加を希望する中小企業の皆さんも出てこようかというふうに思います。
 今後、環境先進県を目指すのであれば、環境保全と資金を得ることができる、この仕組みである国内クレジット制度にぜひ和歌山県として力を入れていただきたい、このように思っているところでありまして、最後に環境生活部長に答弁をお願いしたいと思います。
 和歌山県として国内クレジット制度の活用をどのように考えているでしょうか。また、国内クレジット制度の認証をこれから推進させるための施策を講じる必要があるかなというふうに思いますが、これからの和歌山県としての展開についてお答えをいただきまして、私の一般質問とさしていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌の浦についてでございますけれども、このたび開催されました文化審議会において和歌の浦を名勝に指定するよう答申され、大変喜んでいるところでございまして、これを機に、ぜひとも和歌の浦を積極的に売り出してまいりたいと考えております。
 和歌の浦は、議員お話しのとおり、古くは聖武天皇行幸の際、同行した宮廷歌人山部赤人が「若の浦に潮満ち来れば」と詠んだ、当時の都の人のあこがれの地でありまして、時を経た今も日本を代表する景勝地であると思います。また、紀州東照宮や三断橋、それから海禅院多宝塔など、紀州徳川家ゆかりの建造物が残る歴史文化の地でもあります。
 議員から色をつけるというお話がありましたが、私が思いますに、万葉と徳川かなというふうに思います。いずれも歴史的景観を守り、これをアピールしていくということが観光にもつながると考えます。
 私も、以前、地元の方々に和歌の浦を御案内いただきましたときに、改めてこの身近にあるすばらしい景観、文化遺産的な価値を改めて認識いたしまして、これを守っていく必要性を痛切に感じました。そうした思いを持って、本年3月に文化審議会の審議委員の方々が視察にお見えになったんですけども、私も現場に赴きまして、委員の皆さんに一生懸命説明をさせていただきました。
 また、和歌の浦を愛する地元の方々が、日ごろから清掃や、それからトイレ手入れとか、あるいは美観整備、さらには妹背山徳川期伽藍復興事業に取り組まれておりまして、その活動、御努力に感謝申し上げますとともに、そうした地元の皆さんを初め、和歌山市や関係団体とも十分連携しながら、多くの観光客に訪れていただけるよう、長い歴史に裏づけられた和歌の浦の魅力を積極的に発信していきたいと考えております。
○副議長(坂本 登君) 商工観光労働部長岡本賢司君。
  〔岡本賢司君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本賢司君) 名勝に指定されることとなった和歌の浦の観光振興についてでございますが、県ではこれまでも、和歌の浦を初め県内万葉ゆかりの地を訪ねる紀伊万葉の旅を提案し、ガイドブックやウオークイベント等を通じて誘客に努めてきたところでございます。
 今回の名勝指定は、まさに和歌の浦を売り出す絶好のチャンスととらまえてございまして、地元和歌山市や地域住民の皆さんとも十分連携しながら、紀伊万葉を初め、周辺の東照宮や天満宮、紀三井寺、養翠園等を含めた和歌の浦を風光明媚な歴史文化エリアとして、また、海水浴やヨット、ウインドサーフィンといったマリンレジャーが楽しめるエリアとして、さらにはとれたての新鮮な海の幸を味わうことのできるグルメなエリアとして、マスコミや旅行会社に対しさらに積極的にPRし、和歌の浦の観光振興につなげてまいりたいと考えております。
 次に、中国への観光施策についてでございますが、県では中国を本年の観光振興の重点国としてとらまえており、個人ビザ取得要件の緩和、上海万博への出展、山東省や遼寧省との友好関係を生かしてプロモーション活動を強化することにより、中国からの観光客数の増加を目指してまいります。
 議員からお話のありました東北三省でのプロモーション活動につきましては、今後、関西国際空港との定期直行便を有する遼寧省、黒龍江省、吉林省を主なターゲットとしまして、観光関係事業者とともに、議員御指摘にございました温泉やパンダを初めとして、温暖な気候、豊かな自然など、和歌山の魅力を盛り込んだ旅行商品の造成及び販路開拓に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 道路案内板についてでございますが、本県では法令等にのっとり、できるだけわかりやすい案内標識や補助標識を設置しております。
 議員御指摘の県外から来られる皆様の視点から、和歌浦への道路案内標示に関しましては、道路標識による方法やほかの方法も含めまして、できるだけわかりやすい案内方法はないかなどについて、関係機関とも協議をしながら検討してまいりたいと思います。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 環境生活部長保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 国内クレジットについての御質問でございますが、国内クレジット制度につきましては、議員御指摘のとおり、中小企業等における温室効果ガス排出削減の取り組みを推進するとともに、これまで海外からの京都メカニズムクレジット購入に充てられていた大企業等の資金を地域への投資に振り向ける制度として、とりわけ中小企業比率の高い、また環境先進県を目指す本県にとりましても、非常に意義があるものと考えてございます。
 県内における国内クレジット制度の活用促進につきましては、事業者の皆さんに、制度そのものはもちろん、国が実施している計画作成等に係る支援制度、また審査等に係る経費助成制度などについても広く知っていただくことが重要であります。
 このため、近畿経済産業局や商工会議所等と十分に連携を図りながら制度説明会を開催するほか、産業別担当者制度を活用するなどして、適応事例の掘り起こしなど、国内クレジット制度の普及に努めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 国の名勝指定和歌の浦の活用のうち、第1区地域内の保全につきましてお答え申し上げます。
 和歌山県教育委員会では、今年度から、幅広い人々の意見を聞きながら保存管理計画を策定することとしてございます。この保存管理計画に沿って、景観や歴史的建造物の保全を行ってまいりたいと考えます。また、説明板の設置につきましても、庁内関係機関と協議してまいります。
 続きまして、策定委員の選定についてでございますが、委員会は学識経験者や地元連合自治会、関係行政機関で構成することになってございまして、また、和歌の浦で活発に活動されている民間団体の方々から幅広く御意見を求めるために、部会組織の設置についても検討しているところでございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。

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