平成22年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(全文)


県議会の活動

平成22年2月
和歌山県議会定例会会議録
第7号
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議事日程 第7号
 平成22年3月10日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第31号から議案第46号まで、議案第48号から議案第59号まで及び議案第61号から議案第83号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 請願の付託
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会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第31号から議案第46号まで、議案第48号から議案第59号まで及び議案第61号から議案第83号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 請願の付託
 第5 休会決定の件
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出席議員(43人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 服部 一
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 17番 岸本 健
 18番 川口文章
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 角田秀樹
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 藤本眞利子
 36番 長坂隆司
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(なし)
〔備考〕
 16番 欠員
 28番 欠員
37番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      森 崇
 総務部長       宮地俊明
 企画部長       前硲健作
 環境生活部長     井口悦治
 福祉保健部長     北田佳秀
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      雑賀忠士
 教育委員会委員長   宮永健史
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員長   大岡淳人
 警察本部長      永松健次
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員  森本明雄
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       藁科善崇
 次長         東岡誠吾
 議事課長       上坊 晃
 議事課副課長     土井敏弘
 議事課課長補佐兼班長 田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      瀧川泰治
 議事課主査      中村安隆
 総務課長       佐本 明
 調査課長       中井祥之
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  午前10時0分開議
○副議長(坂本 登君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第31号から議案第46号まで、議案第48号から議案第59号まで及び議案第61号から議案第83号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 32番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 おはようございます。
 通告に従い、順次一般質問を行ってまいりたいと思います。
 まず1番目に、民主党の道路政策について伺いたいと思います。
 昨年11月12日の夜、御坊市内の国道42号で、下校途中の高校生が横断中に後ろから来た軽乗用車にはねられるという痛ましい事故がありました。自転車は自動車の運転席前部に衝突し、高校生は自転車もろとも20メートルはね飛ばされ、国道に転倒しました。自転車は国道沿いの河川に落下していました。通報を受けた市消防救急隊が高校生を市内の病院に搬送しましたが、頭を強く打っており、意識不明の重体で安否が気遣われていました。しかし、その後、懸命の治療のかいもなく、亡くなりました。わずか18年の短い生涯でありました。
 現場は、信号機のない交差点で、歩道は西側にしか設置されていません。同所を毎日200人近い高校生が通学しておりますが、登下校時に必ず国道を横断しなければなりません。しかも、自歩道になっていませんから、交通量の多い車道を通っています。事故が起こるのも無理はない危険箇所であります。付近では、12月にも自転車を押して横断中の男性が軽自動車にはねられる重傷事故がありました。
 そこで、2月18日、国土交通省近畿整備局紀南河川国道事務所を御坊市、地元区長とともに私も訪問し、両側への自歩道設置をお願いしてまいりました。当然、安藤所長も事故のことは御存じで、すぐにできる対策として、横断歩道と道路照明を設置するべく、公安委員会と協議中であることを教えてくれました。しかし、肝心の歩道設置については、国の平成22年度予算方針で新規採択はないとのことでありました。鳩山総理や民主党の言うコンクリートから人へとは、こんなことかとがっかりした次第であります。果たして国民は、こんなことを期待して政権交代を選択したのでしょうか。
 民主党は、政官業の癒着を打破するため、政策決定過程を透明化して政治主導で公平に決定すると言ってきましたが、事業仕分けは財務省主導の国民の目をくらますデモンストレーションであったことが判明し、実際の予算はほとんど密室で決定され、小沢幹事長にひれ伏したところだけがおこぼれにあずかるという、前近代的な憲法違反の陳情制度をつくっています。
 1月27日に、高速道路紀南延長促進の要望のため上京した市町長に民主党の玉置代議士は、「我が党は道路はやらないとは言っていない。優先順位を見きわめて検討したい」と話したことが報道されています。しかし、さきに公表された平成22年度予算の公共事業の箇所づけでは、全国で大阪と和歌山だけが増額されていないことが明らかになりました。大阪は要望さえしていないのですから仕方がないとしても、和歌山からは全国平均並みの6件も要望しているのに増額なしということは一体どういうことでしょうか。自民党が優勢な本県への当てつけなのか、陳情の仕方が悪かったのか、本県要望箇所の優先順位が全国に比べて低いのか、民主党の国会議員が仕事をしなかったのか、理由がわかりません。
 民主党政権は、発足直後、御坊─南紀田辺間の4車線化を、選挙目当ての決定で事前に業者を談合で決めていたかのようなことを理由に事業停止しました。昨年10月に、御坊─南紀田辺間4車線化復活のため上京した知事や市町村長、県議会の呼びかけに県選出の民主党3代議士は姿を見せず、わざわざお金を使って上京して陳情する必要はないと言われました。その後、各選挙区で地域戦略会議という陳情集会が開催され、高速道路等の要望もあったと聞きますが、結局4車線化は減額措置され、消滅してしまいました。一連の発言は、一体何だったのでしょうか。御坊─有田間の渋滞が休日だけでなく平日の夕方でさえも起きるのを見るにつけ、詭弁で国民を愚弄することは公党のすることではなく、政治家として恥ずかしくないのかと思います。
 ガソリン税暫定税率を実質的にとり続け、道路に使わずにどこへ使ってしまったのでしょうか。鳩山政権のスローガン政治の限界に国民もやっと気がついてきましたが、知事は民主党の道路政策についてどのような感想をお持ちでしょうか。
 次に、行財政改革の効果について伺います。
 県立医科大学では、平成14年度から19年度までの6年間に、国から交付された研究補助金など1億3000万円の不適正支出があり、去る2月25日、関係者51人のうち在職する35人が処分されました。それに先立つ1月12日、医科大学の理事長兼学長選挙が行われ、不適正支出に責任のある幹部が立候補し、教職員の投票の結果、最も不適正支出が多かった医学部長が当選しました。その直後、知事は立候補者全員が不適格であるとして選挙のやり直しを暗に求めました。しかし、最終的には、知事も今後の改善を条件に選挙結果を受け入れたのであります。
 今回の事件の特徴は、県でも以前あった不適正支出がいまだに行われていたこと、最高責任者を決める選挙の立候補者が全員不適正支出に関して重大な責任のある人だったこと、知事の任命権が空洞化しているということであります。また医科大学では、これまでも入札で効率を追求する余り、県民から大きな反発を買うことがありました。一般ごみに混入した注射針が作業員に刺さる事件が2度もありました。
 かつて、法人化の議決に際し、県議会にバラ色の展望が示されましたが、現実はそのとおりになっているのでしょうか。例えば、運営交付金を毎年1%ずつ減額するとの説明がありましたが、県費が軽減された印象はなく、100年後も負担がなくなりません。逆に県との関係は、議会に出る必要がなくなり、法的裏づけのある知事の任命権さえも機能しませんでした。つまり、金は取るけど言うことは聞かんということであります。
 さらに、自主的運営といっても、一連の出来事のように、その基準が県民の常識からずれているとすれば、果たして法人化は有効だったのでしょうか。貧乏な和歌山県が医科大学を経営するのは大変ですから、経費はなるべく安いほうがいいわけであります。しかし、安くなったからといって言うことを聞いてくれないのでは意味がありません。県民は、多少負担してでも自分たちの言うことを聞いてくれる、役に立つ大学であってほしいと思っています。法人化は、県民の役に立つ決定だったのでしょうか。そもそも法人化の制度自体有効だったのでしょうか。
 さて、私の記憶では、同じ時期に指定管理者制度というものも導入されました。昨年の春、持続可能な県政運営のため、広く県民も巻き込んだ激論の末、新行革プランの実施方針を決定しました。その議論の中で、当初の事務局案では廃止対象だったものが、意見や要望の結果、残ったものがあります。その中に、指定管理者制度により運営する施設も幾つかありました。
 そもそも県が直接行っていた業務を行財政改革という美名のもとに指定管理者に委託したものの、業務の必要性がなくなったとき、直営の場合は直ちに組織を廃止して職員を異動させれば終わりですが、指定管理者の場合は、みずから生き残るため業務を拡大し、生き残りをかけた政治的運動を行います。
 例えば、県NPOサポートセンターは、NPO法人わかやまNPOセンターが指定管理者となり、県内のNPOの設立支援を行ってきましたが、県内のNPO設立ラッシュが一段落ついたことから廃止の対象となっていました。しかし、あらゆる手だてを通じた存続運動の結果、存続が決定しました。議会の特別委員会で調査に訪れたとき、存続を要望する利用者の代表の主張は、NPOセンターの仕事は、メンバーが変わらず親切にしてくれるというものでした。それは、NPO設立支援の必要性というよりも、役所へのアレルギーで、日ごろ異動を繰り返し、大した知識もないのに偉そうに指導する姿勢に辟易としているのです。
 同時に、そこには雇用も生まれ、指定管理は簡単にやめられないという印象を持ちました。指定管理者制度のもとでは、一度指定されれば3年から5年程度で更新の入札が行われるものの、ほぼ永続的に指定が続き、やめたくてもやめさせてもらえない反行革性があります。
 関連して、このたび同センターの元役員が次期参議院選挙に立候補されると表明されましたが、幾ら退職したとしても、その地位を利用してあいさつ状を送付するのはいかがなものでしょうか。
 かつて、バブル経済のころ、民間活力を利用して事業を行う第三セクターがもてはやされました。しかし、成功したところはほとんどなく、むしろ関西空港を初め後世の大きな課題となっています。新しい制度がいつも成功するとは限らないのであります。医科大学の法人化、さらには指定管理者制度が本当に行財政改革につながるものか心配するものでありますが、知事の御所見を伺います。
 3番目に、防災対策について伺います。
 2月27日、南米チリ沖を震源とするマグニチュード8.8を記録する巨大地震が発生しました。たび重なる地震を経験し、対策が進んでいる同国でも強い揺れと津波により甚大な被害が出ており、心からお見舞いを申し上げます。
 この地震による津波は、翌日の昼過ぎ、日本にも到達しましたが、幸い大きな被害はありませんでした。当日は、日曜日にもかかわらず早朝に気象庁が津波警報を発令したことから、政府、関係都道府県、市町村では急遽対策会議を招集し、危険地域の住民に避難指示等を出し、海岸線からの退避を呼びかけました。
 今回の津波では、当初、平成16年の紀伊半島沖地震の教訓が生かされ、到達時間、規模が予想されるなど、時間的に余裕があったためか、テレビではライブで各地のいろいろな映像や情報が刻々と提供され、対策が整然と進んでいる様子に大いに安心した次第であります。しかしながら、避難指示や勧告に対し、実際に避難した住民が全国的に少なかったことが、その後、判明しました。
 NHKでは、昭和のチリ津波で大きな被害を受け、今回も3メートルの大津波警報が出された釜石市の様子が放送されました。同市では、避難した人が最大で第1波到着予想時間の午後2時半ごろにわずか6%しかいなかったことが報告されています。さらに、第1波が予想より小さい30センチであったことから、より大きな波高が警戒される第2波、第3波のころには半数が帰り、第5波が到着したころはもうみんな帰ってしまっていたそうです。また、避難しなかった人は、地震動が伴わなかったことから、本当に津波が来るとは思わなかったとか、前回の津波の襲来時は直前に海面が低下したので今回も低下したら逃げようと思っていたなど、およそ科学的ではない理由を挙げ、避難の難しさが浮き彫りになりました。
 果たして、本県ではどうだったのでしょうか。課題等も含め、御報告を下さい。
 さて、私は昨年9月定例会で、企業のBCP、いわゆる事業継続プランの普及について要望しましたが、今回は自治体のBCPについて伺いたいと思います。
 現在、県においてもプラン策定中と伺っておりますが、どの程度進捗しているのでしょうか。また、県内市町村の策定状況についてもお答えください。
 次に、御坊市内の津波対策について伺います。
 現在、日高港では、平成21年度の景気対策により、計画どおりの水深12メートル化のしゅんせつ工事が行われております。そのしゅんせつ土は、わざわざ費用をかけてよそで処理するより、港湾緑地に盛り土して津波・高潮対策にすべしとの地元要望を受け、目下協議中であります。また、日高港のある北塩屋地区では、国道42号線のパラペットの強度についても国土交通省にて調査中であります。
 しかし、肝心の市街地に隣接する旧日高港のある西川河口については、津波対策はほとんど行われておらず、今回のチリ地震では被害はなかったものの、湾内深部の河口付近では津波の波高が高くなり、被害が大きくなることが指摘されています。西川河口については、既に下川大和樋門の遠隔操作化が行われましたが、美浜町並びに御坊市自治連合会からは、河口堰と河川改修の要望が出されています。県としてどのような対策をお考えでしょうか。
 さて、今回の津波では津波が河川を遡上する映像が報道され、河川は、洪水時だけではなく、津波対策としても大切な機能を果たすことが改めてわかりました。日高地方の母なる川、日高川も、歴史的に南海道地震の津波を吸収し、御坊のまちの被害を軽減してきたことでありましょう。現在、その日高川の堤防の強度調査が行われていると聞きますが、その状況を御報告願います。
 また、市内古森地区には霞堤があり、洪水を下流に流すため、そこだけ堤防を低くしています。しかし、霞堤は水害には有効でも、津波襲来時には逆流するのではないかと住民が心配しています。そもそも、椿山ダムが完成し、河床が低下し、川幅が拡幅され、洪水の危険が薄れたと言うなら、ここだけ低くしておく必要はありません。安心・安全のため、ぜひ堤防の整備をお願いするものでありますが、どのような御所見をお持ちでしょうか。
 4番目に、海洋立県を目指して伺いたいと思います。
 先般、同僚の議員とともに、佐賀大学海洋エネルギー研究センター伊万里サテライトを訪問してきました。同サテライトでは、海の表層と深層の温度差を利用して発電する海洋温度差発電のプラントを設置し、その効率化や発電のためくみ上げた海水の淡水化、リチウムの回収等を研究しています。海洋温度差発電は、大規模な火力発電所の代替にはなりませんが、世界じゅうどの海でも安定した発電ができる自然エネルギーで、同時に淡水化もできる複合的なシステムとして、インドを初め多くの海洋国家でプラント建設やプラントを積み込んだ船の建造が始まっています。
 私たち和歌山県では、これまで半島性からの脱却を図ろうと死に物狂いで頑張ってきました。しかし、なかなか容易ではありませんでした。海洋センター訪問をきっかけに、今度はむしろ逆に海に囲まれた半島性を生かした振興策を図ればよいとの考えに至りました。
 幸い、本県には六百数十キロにも及ぶ海岸線があります。しかも、本県の県域である海、すなわち県海とでも言うべき海域は、排他的経済水域まで含めると、とてつもなく広いものであります。悠久の地球の営みは地震や台風のような試練をもたらしますが、実は我々は、地球の大きな恵みにも生かされております。今後、陸上では立地が困難な風力発電も海上立地が研究されています。また、国内消費100年分と言われるメタンハイドレートや熱水鋼床など、海底の資源にも恵まれています。
 海洋開発は、国において海洋基本法がようやく平成19年に施行され、緒についたばかりでありますが、海のない県ではとても取り組めません。県土の半分以上が海に面する本県こそが、長期的視野に立って、これから力を入れていくべきだと思いますが、知事の御所見を伺うものであります。
 5番目に、白浜空港の利用促進について伺います。
 まさかとも言うべき日本航空の破綻により、我が和歌山県唯一の空港の唯一の路線の存続を心配しておりましたが、多くの関係者の御努力により存続が決定したことを率直に喜びたいと思います。かつて、関空の増便要望のため本社を訪問した県議会の先輩たちが、ビルの立派さを非難し、同行した人たちを慌てさせたことがありました。皮肉にもその指摘が当たり、親方日の丸式の経営は独占企業でも命取りになることが証明されました。
 今回、地方空港の存廃をかけて、各県知事が存続要望のため本社に押しかけたものの、けんもほろろに断られたことが報道されました。その意味で、本当に奇跡的に首の皮1枚がつながった東京便であります。
 早速、知事は、着陸料の値下げを表明され、平成22年度予算にも盛り込まれました。ちょうど白浜空港の滑走路改修も始まりました。これを他山の石として、どんな支援策にもまさる空港の利用促進を県民挙げて取り組もうではありませんか。
 そこで、何点か提案を申し上げ、御所見と今後の振興策について伺います。
 まず、特割3についてであります。
 これは、御承知のように、搭乗3日前までに運賃を支払えば割引するというもので、事前に利用予定のある人は割引されるので、お得な感じがします。しかし、多くの観光客は、割引以前にパック旅行などの割引対象者であり、特割を利用すべきビジネス客にとって、3日も前から確定しておくのは実は不便で、関空─羽田便の正規料金より多少安いだけでは結局関空へ逃げてしまって、決して利用促進にはなっていないという指摘があります。ぜひ一度検証していただきたいと思います。
 次に、多様な運航形態について伺います。
 ふだん県民が行くと──北海道へ行くときは関空を利用しますが、実は白浜からでも羽田を経由していけば行けないことはありません。ただ、時間もかかり、運賃も高くつくことから、現実に利用する人はいません。しかし、時間は多少かかっても、もし運賃が関空と変わらないものであれば、利用客がいるのではないでしょうか。北海道からも観光客が呼べますし、同様に他の東日本へも需要が喚起できるのではないでしょうか。タイミングは決してよくありませんが、値下げをしてこそ本当の需要が喚起できると考えますが、御所見を伺います。
 また、九州発四国、白浜経由羽田便なども考えられますが、いかがでしょうか。
 2番目に、空港の経営についてであります。
 欧米では、空港や港湾を一体的に所有、管理するポートオーソリティーという組織があります。単に施設だけを管理するのではなく、区域内のレストランやショッピングセンター、レンタカーなどの経営まで手がけ、その利益でポートセールスを行うそうです。もともと空港など、社会資本だから金もうけする必要がないと言われればそこまでですが、着陸料以外もうかることはすべて民間にやらせておいて、空港振興はすべて税金でやる。やる予算があるうちはいいですが、ないと何もしない、できないではじり貧になると思います。まさに今がその状態ではないでしょうか。
 最近、「産経新聞」では、混迷する地方空港についての特集が組まれ、料金設定により搭乗率を向上させ、空港自体への集客に成功した石川県能登空港の例が紹介されていました。御親切にも記事には、猿まねではうまくいかないことも報告されていましたが、いいことはどんどんお手本にすべきであります。ぜひ白浜空港も、空港経営という観点も採用して空港振興に取り組むべきでありますが、御所見を伺います。
 最後に、日高港の振興について伺います。
 昨年5月、日高港が植物防疫港に指定された記念すべき第1便の木材輸送船が、前日に突然キャンセルされるという事態が起きました。原因は、荷主と振興局との間のあつれきでした。指定に際し、地元から熱心な要望を受け、二階代議士の応援もあり、県当局のお骨折りのおかげだっただけに、まことに残念でありました。
 改めて不調の理由を冷静に考えてみますと、まず日高港には港湾運送業者がいないことが挙げられます。そのため、荷主が荷役はもちろん、役所の許可や使用料の支払い等付随する事務も自分で行わなければなりません。これがかなりの負担になります。さらに、専用の機材が十分でないため、効率のよい作業もできません。そんな状況ながら、港湾振興に役立つよう日高港を利用してくれていた地元木材業者に対し、県の港湾管理当局が木で鼻をくくった対応をしてきたことが原因であります。結局、この企業は、現在、岸和田港からトラックで木材を御坊市内の製材に入荷していますが、こんなことをしていては、とても日高港の振興を図れません。
 そこで、以下、提案と質問をいたします。
 まず、港湾運送業者を育成することが必要と思いますが、どのような御所見か。その際、必要な機材を貸し付けることも必要ではないでしょうか。和歌山下津港のガントリークレーン同様、港湾振興に資する機材であると思います。
 次に、港湾使用料についても、経済の実態や競争力強化の観点に立った見直しが必要ではないでしょうか。具体的には、白浜空港の着陸料減免同様に、瀬戸内海や大阪湾諸港に負けない使用料に見直すことや、荷さばき地の使用料の計算も、現地に職員が出向くような原始的な方法はやめて、伝票による計算や各種手続の電子申請に改善すべきであります。
 さらに、お客様は神様とまでは言わないにしても、せめて利用者に対して使わせてやってるというような態度は改めるべきです。今回のような不調が起きるのは、港湾の利用促進を担当するところと管理するところが別の部署だからで、港湾振興の観点から利用促進担当部局と管理担当部局の一元化を図るべきであると考えます。
 以上3点について御答弁をお願い申し上げます。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、道路問題についてでございます。
 来年度の政府予算案では、道路関係予算が大幅に削減されるとともに、新規採択は行わないとされまして、また先日、近畿地方整備局から示された平成22年度の実施を見込んでいる直轄事業では、県内の直轄事業が期待していた金額からほど遠く、大変残念に思っております。さらに、近畿自動車道紀勢線御坊─南紀田辺間の4車線化事業についても、執行が凍結された状態から、1月末にはとうとう今年度の予算自体が取り消されまして、大変遺憾であります。ここは、2車線路線では西日本最悪の渋滞となってるところでありまして、ぜひ早期に再開を期待したいと考えております。
 高速道路を初めとした道路整備は、これまで都市部から優先的に進められ、本県は取り残されてきております。都市部に先を譲り、やっとこれからという地方の道路整備をやめてしまうというようなことはアンフェアであると思います。これは、正義に反するんではないかと言って知事会のときに鳩山総理に申し上げました。鳩山総理からは、私も正義感はあるという御答弁をいただきましたので、ぜひ今後期待したいというふうに考えております。
 また、本県のように未整備箇所を多く抱える地域では、今後もこれまで同様、必要な箇所から逐次新規事業も採択していただかねばならないと考えているところでございます。
 今後とも、こうしたことを粘り強く訴え、高速道路を初め、本県に不可欠な道路整備が着実に進められるよう働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、医大の問題であります。
 医大の独法化につきましては、大学みずからの権限と責任において、自主的、自律的な運営を行わせるということを目的に、地方独立行政法人法に基づきまして平成18年度に法人化したところであります。これは、あくまで県立大学として県民の税金で運営されるものでありまして、大学運営の大きな方針、方向は県の政策に沿って行われるべきものだと考えております。
 しかしながら、法人化後における昨今の一連の出来事から大学改革の必要性を痛感しているところでありまして、今後、法人と協議をしながら、県民に信頼され、期待される医科大学となるよう大学改革を促してまいります。
 次に、指定管理者制度につきましては、民間活力の導入を目的に、平成15年の地方自治法改正により取り入れられたものでありまして、県におきましては、平成16年度に初めて指定管理者制度を導入して以来、現在40余りの県有施設において指定管理を実施しております。
 指定管理者制度を導入した施設につきましては、これまでの実績を見ると、多くの施設で利用者の増加が見られるなど、適切な管理運営がなされていると考えているところでありまして、今後ともその実績を評価、検証しながら、施設のあり方についても十分検討し、適切に運用してまいりたいと考えております。
 次に、海洋資源でございます。
 これは、本県の振興につなげていくためにも、県も海洋開発に長期的な視野に立って取り組むべきではないかという議員の御提言については、まことにそのとおりだと思います。海という恵まれた地域特性を本県の振興に生かすという観点は、私も大変重要な視点であると考えております。特に、メタンハイドレートや海底熱水鋼床などの海洋資源の利活用につきましては、陸域の資源の乏しい我が国──これは全体ですが──にとって極めて重要な課題であると認識しているところであります。国においても、ようやく調査研究などの取り組みが始まったばかりであることや、開発に多額の資金を必要とすることなどから、県が取り組みを進めるにはまだまだ多くの課題があります。
 このような中、県は、これまでも熊野灘海域において独立行政法人海洋研究開発機構の地球深部探査船「ちきゅう」による地震・津波観測監視システムの構築の調査、あるいはこれに先立つ新宮の、この「ちきゅう」の母港化、あるいは神戸大学発ベンチャー企業のすさみ町での波力発電の新方式開発など、本県の海洋資源を活用した最先端の取り組みが進められてまいりました。
 今後とも、国及び大学研究機関等の動向を注視し、情報収集に努めながら、海を活用した本県の振興策について調査研究を進めてまいりたいと考えております。
○副議長(坂本 登君) 危機管理監森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○危機管理監(森 崇君) 防災対策についての3点についてお答えいたします。
 まず、先般のチリ地震による津波の本県の避難率は0.4%ということで、御指摘のとおり、実際に避難した住民が非常に少なかった状況にございます。今回の場合、警報発表から津波到達までの時間が長く、沿岸住民の方々はテレビ等で得た情報により、さほど大きな津波ではないと思ったと考えられます。しかしながら、東南海・南海地震による津波で大きな被害が想定されている本県にとりまして、避難勧告が出たにもかかわらず避難した人が非常に少なかったということは大きな課題であり、市町村とともに検証してまいりたいと考えております。
 過去の東南海・南海地震の経験や教訓が風化してきている中、体験者の知恵をもっと活用し、津波の恐ろしさを伝え、迅速かつ適切な避難行動が行えるよう、さらなる啓発の充実に努めてまいります。
 次に、災害時における県の業務継続計画、いわゆるBCPの進捗状況につきましては、現在、庁内関係各課から成るワーキンググループにおきまして策定作業を進めております。職員に対する防災対策アンケート調査や各課の非常時優先業務の抽出を行っておりまして、22年度中の策定を予定しております。
 また、市町村への普及につきましては、昨年11月に県が行った調査では、12の市と町が計画の策定や業務継続体制の検討を進めております。災害時に市町村が果たすべき役割が非常に大きく、的確な応急対策や行政機能の維持など、地域住民の安全・安心に直結するものであり、この2月に市町村長を対象にトップセミナーを開催いたしまして、災害時に首長が行う災害対応について議論していただいたところでございます。県といたしましても、市町村の業務継続計画の普及は重要と考えており、今後、積極的に働きかけてまいります。
○副議長(坂本 登君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 日高川、西川の津波対策についてお答えいたします。
 西川河口部の津波対策につきましては、物揚げ場等の港湾施設がありまして、護岸前面での新たな防護施設の築造には課題がございますが、物揚げ場背後の防護施設や隣接する河川護岸のかさ上げ等による対策の可能性について、詳細に検討してまいります。
 次に、日高川堤防の強度の調査につきましては、これまでに西川合流点から御坊大橋間の調査を実施しており、東海・東南海・南海地震規模の地震動に対して、若干沈下するものの、想定津波高に対しては対策不要との結果を得ております。現在、野口新橋下流500メートル地点から若野井堰までの調査を実施しているところでございます。
 霞堤とされております古森地区につきましては、背後地盤高が高く、津波浸水と洪水はんらんのいずれのシミュレーションでも日高川から古森地区への浸水は想定されておらず、洪水時に一部地域で内水の発生が想定されている状況でございます。
 古森地区の堤防整備につきましては、他事業との連携等により連続堤にすることが考えられる一方、堤防を締め切ることについては慎重な検討と十分な地元の調整が必要であると思っております。今後、地元ともよく議論してまいりたいと考えております。
 白浜空港につきまして、議員御提案のさらなる空港料金の値下げについてでございますが、南紀白浜─羽田路線の航空料金値下げ、加えて南紀白浜から羽田経由の乗り継ぎ割引につきましては、まず現在の特便割引7よりも使い勝手のよい、導入予定の特便割引3により利用促進を図ることが第一と考えておりますが、今後、JALの経営状況を踏まえ、提案、御要請をしてまいりたいと考えております。
 次に、白浜経由便の多様な運航形態についてでございますが、南紀白浜経由便の開設につきましては、機材と需要とのミスマッチ、高速性の喪失等のため困難であると考えますが、今後、これ以外の運航形態についても検討、提案してまいりたいと思います。
 また、空港の経営についてでございますが、現在、南紀白浜空港は、滑走路など基本施設を管理します南紀白浜空港管理事務所とターミナルビルを経営する南紀白浜空港ビル株式会社が連携して運用しているところでございますが、今後とも両者を核として、本庁、振興局とも連携を密にして、空港の活性化に努めてまいりたいと考えております。
 議員御提案の港湾運送業者の育成、日高港の振興に関してのことでございますが、港湾運送業者の育成と機材の貸し付けについてですが、現在、県では、市、商工会議所、港湾関連企業などと御相談しながら、日高港における港湾運送業者の育成の可能性を探っているところであります。
 機材の貸し付けにつきましては、港湾運送業者の設立見込みを踏まえまして検討してまいりたいと思います。
 次に、港湾利用手続と使用料についてでございますが、現在、和歌山下津港においてシングルウインドーの電子申請システムを運用しており、今後、日高港の利用状況に応じ、同港への導入を検討してまいります。日高港の使用料については、開港間もない同港の認知を図るために、当面の間、低廉に設定しており、今後ともこの点をアピールするなど、港湾の振興に努めてまいります。
 また、港湾振興の管理の一元化についてですけれども、現在、日高港については、日高振興局において振興の観点も踏まえつつ管理を行っているものでありますが、今後とも議員の御意見も参考にしまして、引き続いて利用者のニーズを把握するなど、本庁と振興局が連携して日高港のさらなる利用拡大に努めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番山下大輔君。
  〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 おはようございます。今議会も張り切って質問さしていただきたいと思います。
 県議会に送っていただいてから、私自身の思いはただ1つ、この県議会では内向きな議論に終始することなく、この元気のなくなってきた和歌山を何としても立て直したい、そういう思いでやってまいりました。今議会でも、その思い、ただ1点持って一生懸命質問、提言さしていただきますので、当局には誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。
 本日、一般質問最終日ということで、ここまで先輩・同僚議員からさまざまな視点で貴重な議論が行われてきました。私の質問とかぶる内容が一部ございましたが、重複した部分はできるだけ削りつつ、かつ、私なりの視点で質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議長の許可を得ましたので、通告に従い、順次質問させていただきます。
 今回は当初議会でありますので、希望の持てる質問、提言としたいと考えていますが、しかし、実際には現在の和歌山県を取り巻く環境は非常に厳しいものとなっています。そこでは、単なる楽観主義ではいけないのであって、厳しい現実をしっかりと見詰め、そこから未来を見通す力が必要とされるのだと思います。真摯な姿勢で現実をしっかりと見詰めて、かつ、健全な危機感を持ってこそ、その打開策も見つかるのだと思います。
 そこで、まず新年度予算案について質問させていただきます。
 提出された新年度の当初予算案を見ると、何とか昨年並みの予算が組め、一安心といったところだと思います。しかし、その中身を改めて確認してみると、自治とは名ばかりの大変厳しい状況にあります。新年度の予算組みで特徴的なのは、全体の予算フレームとして、平成21年度の当初予算からは予算規模自体は拡大しています。しかし、その主な要因を見てみると、歳入部分で自主財源となる地方法人特別譲与税を含む県税収入は、平成21年度では976億だったものが、新年度では851億と大きく毀損しており、125億円のマイナスとなっています。そのマイナス分を、地方交付税、臨財債で159億増加したことで、何とか補える状況となり、昨年度を上回る予算組みが可能となっています。
 しかし、これは地域の自立といった観点から見ると、残念ながら和歌山の場合、政府依存がこれまで以上に高まる結果となり、交付税頼みの体質にさらに拍車のかかる構造が浮き彫りとなっています。特に自主財源で、地域の活力のバロメーターとなる法人2税の過去からの推移と、この新年度の状況を改めて確認してみると、本当に危機的な状況が見てとれます。
 このグラフ(資料を示す)、これは、自主財源、県税収入のうちでも特に重要となる法人事業税と法人住民税の法人2税について、平成元年から今までの推移を見ているものです。ピーク時には428億だったものが、ついにこの新年度では115億の水準まで落ち込む状況となっています。地域活力を図る法人2税、そこには全く稼げなくなっている地域の実情が明らかとなっていて、その規模からも法人2税が100億の水準にまで落ち込んでいることは、未来を見通す上でも相当真剣な危機感を持たなければならない状況にあるのだと思います。
 こういった厳しい現実を直視する中では、過去を懐かしみ、縮小均衡の状況にしがみついているのではなく、今こそ未来に向かって和歌山という地域がどう生き残っていけるのかといったことを真剣に議論し、これまでの常識にとらわれず、思い切った手だてを講じることが必要とされているのだと思います。
 そこで、まず知事に、新年度予算を策定するに当たって、特に厳しい状況となっている自主財源の部分に目を向けて、現状の認識をお伺いしたいと思います。
 あわせて、この状況を打開するには何が必要と考えるか、今後の取り組みについて御所見を賜りたいと思います。
 さて、こういった厳しい状況の中、和歌山の未来に責任を負う私ども県議会としても、外部の環境変化に目をそむけることなく、内向きな議論に終始するのはやめ、過去のしがらみから決別し、これまでの行政運営、その常識から少し外れるようなものであっても思い切って発想の転換を図り、チャレンジをしていくことが求められているのだと思います。そこでは、地域として国内のみならず、世界、特にアジアに目を向けた新たな施策の展開に知恵を絞ることが必要となります。
 そこで、私の今回の質問、提言としては、和歌山の再生を願って、まずは地域再生への具体的な取り組みの1つとして、新たな農畜産業を初めとする第1次産業への取り組みについて、質問並びに提案をさせていただきます。そしてもう1つは、即効性は低いですが、地域再生には欠かせない大きな課題となる人づくり、教育の問題について質問をさせていただきたいと思っています。
 言うまでもなく、資源の乏しい我が国では、人材が最高の資産であり、どうやって人を残すのかといったことは、時間のかかるものではありますが、地域再生を考える上でも何にも増して重要なものと考えています。経営においても至言と言われる「人を残す」。医師であり官僚であり政治家でもあった明治の巨星、後藤新平、その構想する計画の大きさは常人にははかりがたく、比類なきもので、満鉄総裁を歴任し、鉄道院総裁として国内の鉄道整備を一手に引き受けた有能な都市計画家であり、関東大震災後には内務大臣兼帝都復興院総裁として東京復興をなし遂げた地域再生のパイオニアです。
 その後藤は、死の床につく前に、よく次のようなことを人に伝えていたといいます。「財をなすは下。されど財なくば事業保ちがたく。事業を残すは中。事業なくば人育ちがたし。人を残すは上なり」──人を残してこそ地域も変わり、国も変わり、歴史も変わる。和歌山県として、今こそどういう人材を育て、地域にどういう人材を残すのか、そのための教育の仕組みについて改めて問いたいと思います。
 今回は、特に中高一貫校として開校した県立向陽中学の第1期生が高校を卒業するに当たり、よい機会となりますので、幾つかの視点で、和歌山県の教育理念、その姿勢といったことを含め、お尋ねいたします。
 それではまず、和歌山の再生を願って、地方再生の1つの柱として取り上げられる1次産業、中でも特に農畜産業に係る新たな潮流と和歌山県における取り組みについて、質問並びに提案をさせていただきます。
 今、さまざまな形での新しい農畜産業経営が全国で模索されていますが、その中でも特に注目される農畜産業経営に係る金融環境面での再整備について。
 今、農畜産業から生まれる資金需要に対して、その貸し手の主体も多様化する状況にあります。これまでは、農家にとって農林公庫もしくは農協金融が主体となっていましたが、しかし、それでは農協を経由する出荷や資材調達など、実質的には大きな制約を受けることとなり、なかなか既存の経営形態から脱することができません。新たな境地を切り開くためには、地銀を初め一般金融の新たな貸し手の登場が不可欠であり、今、農畜産業経営においては金融環境面の再整備による経営の自由度を高めることが望まれています。
 そういった中で、今、地銀、第2地銀、また一部のメガバンク等でも政策金融改革の流れと、あわせて農業自体を取り巻く環境変化によって農業分野への取り組みが強化されようとしています。そういった中で、今、地銀、第2地銀、また一部のメガバンク等でも、実際にはしっかりと取り組もうとしている。ただ、全国全体の取り組みの流れを見ると、その取り組み姿勢は地域によって非常に大きな差のあるものとなっています。ここ数年を見て、地銀、第2地銀で農業融資を積極的に取り扱い、また、その残高を増加させているのは、北海道、東北、中部、関東、そして九州といった農業生産が盛んな地域が中心です。今後、1次産業の進展には金融環境面の再整備は欠かせない視点となり、新たな金融環境が整わない地域はますます取り残される状況となり、地域間の格差もさらに大きなものとなることが心配されます。
 そんな中、私たちの和歌山県では、これまでどおり公庫や農協金融に頼る傾向が顕著で、そのことによって結果的にはなかなか新たな農業法人も生まれず、新規参入の促進にもつながらず、大きな障害となっています。
 今回の件で、全国の例を調査してくる中では、地銀などからの融資が実現し、その関係性が深まれば、それは金融環境が整うだけでなく、一般民間企業の経営ノウハウが導入されたり、金融機関を媒体としてシンクタンクの活用や、そこから新たな企業とのコラボレーションによる商品開発などといった新展開も期待されます。農畜産業への融資を積極的に行う銀行では、独自の融資商品の拡充を図り、また農畜産商品への販路拡大を支援しようと銀行自身が持つネットワークを積極的に活用し、バイヤーの紹介や商談会の開催を実施するなど好循環が生まれ、新たな農業経営の道を開く大きな可能性が広がっています。
 そこで、農林水産部長にお尋ねしますが、和歌山県では、これまで重要な産業政策として、工業系、商業系、新規事業者などへのさまざまなファイナンスに係るサービスを充実させてきた実績があり、今後は、地域として大きな期待を寄せる1次産業に対する金融サービスについても同様の積極的な取り組みが期待されますが、県として今後どのように取り組まれていかれようと考えているか。
 また、あわせて、これまでの公庫、農協金融などが中心となっていたものから地銀などによる新たな金融環境が整うことのメリットについてどのように考えておられるのか、あわせて農林水産部長から御答弁をいただきたいと思います。
 次に、シンクタンクの活用から、新たな農畜産業戦略の構築。
 今、1次産業、農畜産業の分野において、さらなる発展が期待される中で、幾つかの有力なシンクタンクからさまざまな実践的提案が行われる状況にあります。農業経営は、一昔前は個人農家でも集落共同体による助け合いの構造も有効に機能し、それぞれの農業経営も何とか維持されてきましたが、今は農家の高齢化も進み、後継者も育たない中では、農業経営を維持するにも限界点に達しつつあります。そんな状況において、今、農業分野を21世紀の成長産業にしていこうとする中で、シンクタンクの役割にも注目が集まっています。
 そもそも日本のシンクタンクへの期待は、これまで裏切られ続けてきた過去があります。しかし今、生半可な調査をし、机上の上でレポートを作成するだけで食べていけるような甘い状況にはない中で、シンクタンクの選別も進む状況にあり、地に足をつけ、シンクタンク本来の情報収集力、分析力、そして具体的な解決策を提示し、それをクライアントとともに一緒に実践し、成果を上げるところが少しずつ出てきています。クライアントとともに汗を流し、事業を成功させ、その利益の一部を受け取る成功報酬制などの仕組みも有効に活用した新たなシンクタンクの姿が散見されます。今、改めてシンクタンクの重要性が再認識されつつあります。
 本来、危機を乗り切るためには専門家の知恵が不可欠であり、欧米、アジアの先進諸国ではシンクタンクをフル活用し、産業の成長に、国家戦略の構築にと貢献している状況がありますが、日本ではその価値を見出し切れず、ある意味では宝の持ち腐れとなっている状況があります。
 しかし、今後は、どの産業においてもグローバル化が進む中で、市場競争は一層厳しさを増すものとなり、それに勝ち抜くためには強力な情報収集力と分析力は欠かせません。日本経済と日本の産業を立て直すために、知恵袋としてのシンクタンクの徹底した活用が今改めて求められています。
 農業を初めとする1次産業を伸ばしていくにも、一般企業と同じくマーケティングや広報戦略、財務面での経営革新に取り組むことが不可欠で、そこでは誠実に対応するシンクタンクの力はフル活用すべきです。実際に、有力なシンクタンクと協業し、幾つもの成功事例が生まれる状況も出てきています。
 先日、NHKの「クローズアップ現代」で、シンクタンクとして具体的な提言をし、農畜産業経営の新たな価値を見出されている事例が放送されていました。そこでは、日本総研の創発戦略センターの執行役員で首席研究員の井熊均さんと、その部下となる創発戦略センター副主任研究員で農業クラスターマネジャーの三輪泰史さんが出演されていました。今、農業を初め1次産業の現状は依然として厳しく簡単に解決することのできない根の深い問題も多いですが、しかし、そういう状況下で、できるところから改善していこうとする日本総研の新たな試みに注目が集まっています。農業再生について井熊氏は、「厳しい今の時代にこそシンクタンクの存在意義がある。農業など、本当の社会問題に対する提言がシンクタンクに求められている」として、農業ミドルマン構想といったものを提唱し、実践されています。
 その番組を見て大変感銘を受け、私自身、井熊氏とお会いしたいと、東京千代田区の日本総研本社をお訪ねし、貴重な時間を割いていただき、お話を伺ってきました。日本総研では、提唱している次世代農業コンソーシアムのコンセプトを実証するために、鹿児島県垂水市、宮崎県日南市、大分県九住町などの市町村と連携し、数々の実績を積み上げています。
 その考え方はシンプルで、従来まで生産者に消費者の声が届くことは余りなく、市場のニーズをとらえることができていなかった。また、生産者も自分たちの農畜産物の価値を理解する消費者をつかみ切れていない。そのような問題点を解決するために、日本総研では、農業ミドルマンと呼ばれる生産者と消費者の仲介者を置くことを提言し、新たな農業経営の開拓を始めています。
 そこでは、農畜産業の商品を開発するだけでなく、これからの農畜産業には出口戦略として販売と流通を強化することが必要だと、流通システムの構築まで手がけ、消費の実態に合った生産、ロスの少ない流通、商圏に対応した販売体制を鎖のようにつなぐ仕組み、新たな仕組みとしてサプライチェーンマネジメントを提唱、構築されています。
 そういった中で、和歌山県でも、小規模経営が多い農畜産業については、時代に置いていかれないように、今こそ攻めの農業が求められています。そもそも農業を初めとする1次産業には、今後、特にアジアが世界の経済センターとなる中で、やり方次第では大きな可能性があり、熱い視線が送られています。
 しかし、そのためには、県としてもそれぞれの農家の自己努力に期待を寄せるだけではなく、積極的に外部からの有力なシンクタンクを呼び込み、和歌山の農畜産業経営者との接点をつくり、新たな農畜産業経営の成功モデル、和歌山モデルを構築することが急務と考えますが、これも農林水産部長から御所見を賜りたいと思います。
 続きまして、農畜産業経営の新たな潮流、中国、アジアにおける取り組みについて。
 この1月29日に行われた鳩山首相の施政方針演説において、今後の成長フロンティアとしてアジアを位置づけ、次のように演説されていました。「今後の世界経済における我が国の活動の場として、さらに切り開いていくべきフロンティアはアジアです。アジア諸国と日本の知識や経験を共有し、ともに成長することを目指します。アジアを単なる製品の輸出先ととらえるのではなく、環境を守り、安全を担保しつつ、高度な技術やサービスをパッケージにした新たなシステムを共有し、地域全体で反映を分かち合います」。これは、まさしく今後の農畜産業経営においても的を射た指摘になっていると思います。
 今、アジア自由貿易圏構想が現実のものとなりつつあります。そのポテンシャルは想像を絶するもので、アジア自由貿易圏構想、ASEANを軸とした16カ国の08年度のGDPは世界の約23%に当たり、人口では32億4000万と世界の約5割、半分にも相当する規模となり、世界で例を見ない壮大な市場が今生まれようとしています。日本も、この巨大な自由貿易圏を目の前にして、新たな戦略づくりが急がれるものとなっています。
 今、自由貿易の大波が日本をのみ込もうとする中で、特に国際化におくれている日本の1次産業についても、国内にだけ目を向け、日本国内の生産拠点に縛られるのではなくて、アジアの市場でどう戦うかを真剣に考えるべきときに来ていて、それは、工業製品と同じく、農畜産業に関しても日本の持っている技術、ノウハウを生かして、海外の生産拠点を確保していくことも1つの重要な選択肢となります。
 これまで、我が国の農畜産業におけるアジアとの関係性としては、それは工業製品と同じく、最初は安い人件費を目当てに生産場所を求めるものでした。中国などを初めとしたアジアの各地で安くつくられた食品を日本に逆輸入する形がとられ、そこでは、冷凍ギョーザ問題など、安全面でさまざまな課題も提起されることとなりました。次の段階には、逆にアジア、中国自体を市場としてとらえ、日本から安全・安心、高品質をうたい文句に販路の拡大を図る取り組みが進められています。ここまでが第2フェーズであり、そこから先の対応が今模索される状況となっています。
 次の第3ステージには、さきに鳩山首相が指摘されているように、日本の生産技術、ノウハウなどを強みとして現地化を進め、アジアに進出、アジア向けの商いを考え、収益を生むシステムを新たに構築することが重要な視点となります。
 今、日本が生み出す生産方式、いわゆる日式、日式管理から生産された商品は、中国でも大変な人気となっています。さきにお話しした日本総研も、日本の野菜農家と協力して、野菜工場を中国に持っていき、拠点を設け、日式ブランドを構築する取り組みを進めています。政府も、昨年末に決めた新成長戦略で、食を戦略的資源として、その生産・販売に対して大きな期待を寄せています。
 しかし、日本の政府にも、また地方自治体にも、本気で農業を育てて世界に羽ばたかせる青写真はいまだ描けていません。そこでは、高級な果物や野菜ばかりを売り物と考える戦略だけでなく、新たな取り組みが望まれています。
 そこで、農林水産部長にお尋ねします。
 和歌山県としても、農畜産業に係る技術、ノウハウ、最先端のシステムを持っています。あくまで和歌山での生産を基本としつつも、アジア各地にも現地法人を置き、生産・販売を拡大させていく戦略は非常に有効なものとなります。和歌山本社、中国支社の農業法人には大きな可能性があり、ぜひ県としてもそういった新たなチャレンジを後押しする取り組みを検討していただきたいと思いますが、農畜産業の中国、アジアへの進出について御所見を賜りたいと思います。
 次に、教育問題として、高校実質無償化への対応と、和歌山教育の特徴とも言える中高一貫校への取り組みについて。
 まず、高校実質無償化、公立高等学校授業料の無償化及び高等学校等就学支援金への対応について。
 高校実質無償化は、ことし4月から実施される予定であり、その実行が目前に迫っています。これは国の政策として実施されるものでありますが、その恩恵は、当然、和歌山県の高校生も享受することとなります。生徒や保護者のことを考えれば、混乱なく一刻も早く実施されることが望まれます。そこでは、和歌山県においても、本年4月からの実施に際して、公立高等学校の授業料を無償化し、また私立の生徒の皆さんに対して就学支援金を支給するに当たって、県としても主体的にその制度の具体化を進める必要がありますが、現状における取り組み状況について教育長並びに総務部長から御答弁を願いたいと思います。
 また、今回の高校実質無償化は、県立高校はもちろんのこと、就学支援金が支給される私立高校の生徒にとっても大きな恩恵を受けるものとなり、対象となる3万人を超える高校生、そしてその保護者にとっても大きな関心事となっています。4月から実施される予定ですが、混乱なくスムーズに実施していくためには、県としても現段階でわかっている制度の概要について、できる限り生徒や保護者に広く周知していく必要があると考えますが、教育長並びに総務部長に現在の周知の状況、今後の取り組みについてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 また、あわせて私学における就学支援金について、国における制度の導入後は、これまで県として行ってきた授業料減免事業はどのようになるのか、現状における対応の見通しについて、これは総務部長から御答弁を願います。
 続いて、中高一貫への取り組み状況についてお尋ねいたします。
 この3月1日、和歌山市のビッグホエールにて、県立向陽高校の卒業式が行われました。式には、向陽中の1期生74人を含む313人の卒業生と、現役生徒合わせて約1300人が参加したということです。6年前にこの県議会でも多くの議論があった中高一貫教育で初めての卒業生を送り出すこととなったわけですが、このタイミングで改めて和歌山県が行っている中高一貫教育のあり方について考えてみたいと思います。
 中高一貫校の設置に際しては、その建学の理念として、「6年間の継続した学校生活を有効に活用し、生徒1人1人の個性や創造性を最大限に伸ばすことを目指します」とされていましたが、卒業生を送り出すこととなった今、その思いは達成されているでしょうか。
 義務教育を通じて高校を卒業するまでの学校の役割としては、私自身もこの県議会で何度も議論してきたことですが、そこでは、学校だけの理屈ではなく、学校はあくまで社会に出る準備の機関であり、子供たちが将来、社会に出る状況を見通してその手助けを行っていく、厳しくしつけることで社会性を身につけさせることも含めて、厳しい実社会に出たときに生きる力、生き抜く力をしっかりと養うことが最低限の役割であり、最大の眼目ともなります。
 特に、中高一貫といった形態をとり、県の教育委員会として、より直接的にみずから掲げる理想の学校像を具現化し、初めて送り出した中高一貫の卒業生ですから、県教委の思いが結実した立派な卒業生を送り出せたことと思います。しかし、その送り出した卒業生並びに父兄の方からのお話を何人かから直接お聞きしてまいりました。その中では、よい話もたくさん聞けましたが、反面、幾つかの疑問に思えることも出てまいりました。また、現在の中高一貫校を志望して受験した子供、その御父兄からもお話を伺う中で、現在の中高一貫校のあり方について、改めて確認しなければいけない点も何点か出てきました。
 そこで、今回は、中高一貫を進める取り組みについて、そのあり方自体をもう一度問い直し、望むべき姿といったものについて共通の理解をさせていただきたいと思います。
 まず、私の基本的な立場としては、中高一貫の取り組みは大変結構なものであり、今後もさらに充実さしてもらいたいと思っています。そのためにも、いま一度、そのあり方を問い直すことが必要と考えています。
 そこで、まず中高一貫校における受験に関して幾つかの質問をさせていただきます。
 なお、以下に述べる各項目については、それぞれ教育長から御答弁をいただきたいと思います。
 現在行われている中高一貫校の受験は、入学者選抜と言われています。その選抜状況について、父兄などの一部から、透明度が極めて低く、情報の開示が余りにも少な過ぎるといった指摘があります。現在の県立高校入試と比較する中で、求める生徒像も明らかになっておらず、選抜選考基準の中身としても、その割合として、調査書、学力検査、そして面接について、それぞれどういった割合で評価されているのかも明示されていません。通常の県立高校では情報の開示は進んでいますが、そもそも適性検査が何点満点になっているのかさえも非公表となっていて、作文の評価などもよくわからず、受験する父兄の方からも不信感を持たれる状況となっています。
 そこで、それら選考基準の内容とその考え方について具体的にお示しいただきたいと思います。
 また、そもそも中高一貫校として掲げた理念が入試に結びついているのかも疑問に思います。建学の理念から意欲と適性を見るとされていますが、求める適性とはどういったものなのか。これも具体的にお示しいただきたいと思います。
 また、これはそれぞれの県立中高一貫の学校のパンフレットになるんですけれども(資料を示す)、それぞれこの中身を確認してみますと、一貫校のパンフレットに書かれている説明では、「教科テストのような学力検査ではありません」とそれぞれ明確にうたわれていますが、それではそもそも教科テストではない学力検査とは何か、どういった定義を持たれているのか、お示しください。そこには、文部科学省から何らかの指導があるのでしょうか。あわせてお答えいただきたいと思います。
 また、入学選抜のテスト自体も、私自身拝見させてもらいましたが、イラストなどは多用されていますが、実質的には学力検査の問題と変わらないように感じました。あくまで適性検査の域を出ておらず、これは学力検査ではないという何か具体的な説明があればお聞かせ願いたいと思います。
 続けて、今春初めて一貫校の卒業生を送り出す中で、その総括となる幾つかの質問をさせていただきたいと考えております。
 まず1点目として、6年間の一貫教育を行った上での成果といったものについてどのように考えておられるか、お答えください。
 次に、そもそも中高一貫校として子供を預かるに当たっては、建学の理念、目標といったものを掲げられていましたが、その目標達成度はどれぐらいと考えておられるか。
 あわせて、生徒を預かって6年たった今、どういった思いを持たれているか。新入生として迎え入れてからこの6年間を振り返って、難しかった点や非常にうまくいったと思われることなど、率直にその思いをお聞かせ願いたいと思います。
 また、中高一貫教育を評価する場合に、県の教育委員会としてどういった視点、基準で評価しようとされているのか。例えば、進学の状況、生徒からのヒアリング、自己実現ができているのか、個性が伸ばせているのかなど、評価の基準をどこに置こうとされているのか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
 また、高校進学段階での状況について、向陽中学校の入学に際しては、理系の環境科学科ということですが、高校への進級段階で他学科への変更、他高校への進学など、どういった状況となっているのか、具体的にお示しください。
 あわせて、ここまでお聞きした内容を含めて、県立中高一貫教育の今後の課題といったことについてどのようにとらえられているのか、お聞かせ願いたいと思います。
 私は、これまでこの中高一貫の取り組みを議論してくる中で、公教育の多様性を確保し、子供の個性を伸ばすものであれば、もっとさまざまな特色を出した一貫教育を検討することが必要で、そこでは工業系、商業系、またスポーツ専攻といったものについても中高一貫を検討すべきと何度か提言させていただいてきています。
 現在ある高等学校の特色を生かして、例えば、和歌山工業を物づくりマイスターの養成校とする中高一貫の実現、また県和商などでは、起業家、アントレプレナーの養成校、また和歌山北高校などはスポーツ強化校となっていますので、その特徴を生かした中高一貫による環境整備など、それぞれに明確な特色を持たせて子供に選択肢を与えていく、そういったことが実現すると、そこでは決して勉強といった一元化された価値基準ではない学校選択が行われ、その中で胸を張り、自信を持ってそれぞれの学校に入学していくことが期待されます。
 公教育による工業、物づくりの専門の中高一貫などは全国にも例のないもので、もし実現すれば和歌山県が新たな中高一貫のあり方を示し、他の先駆けとなって新しい公教育の扉を開くことが期待されます。ぜひ御検討願いたいと思いますが、改めて教育長の御所見をお伺いしたいと思います。
 あくまで、県民の皆様からかけられる県立中高一貫教育への期待は非常に大きいものがあります。そこでは、入学に際しても、私学の単なる受験システムではなく、理想とする人材を育成するための和歌山教育にふさわしい選抜方法でないといけないのだと思います。どういう人材をこの和歌山に残していきたいのか、そういうことを和歌山教育がしっかりと理念として提示し、その中で選抜方法自体も考えていく。
 現在の中高一貫校で預かる子供さんは毎年400名程度ですが、受験するのはその3倍から4倍で、今年度は和歌山県下で1400名もの受験生が挑戦されています。それらが単なる学力選抜の受験競争をしてしまうと受験の低年齢化につながり、その規模も1400名ともなると子供たちの育つ環境にも大きな影響を与え、小学校教育そのものをゆがめてしまう心配があります。そこでは、単なる受験競争に走らせない、子供がどうあるべきかといった県教委の理念に沿った透明性のある、よりよい選抜のあり方も考えていかなくてはなりません。
 そういったことも踏まえて、今後、和歌山教育の1つのシンボルともなる中高一貫への取り組みで、これをさらによりよいものとするために、これまでの6年間の検証、分析、そして改善といったことを進めていかなくてはならないと思いますが、そういった作業をどのように進めようと考えておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
 また、具体的に、検討委員会のようなものをつくるとすれば、どういったメンバーで、その人選はどのように行おうと考えているのか、あわせてお聞かせください。
 以上で、私の1問目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの山下大輔君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員の数多い質問の中で、私に答弁せよという通告を受けてるものに関しまして御答弁申し上げます。
 新年度予算における自主財源に対する現状認識と、現状を踏まえた今後の取り組みでございます。
 議員御指摘のとおり、平成22年度当初予算では、一昨年来の景気低迷によりまして自主財源の根幹をなす法人関係税を中心とした県税収入が大幅に減少する見込みであります。このような厳しい社会経済情勢だからこそ、県民の皆様の幸せ、地域や経済の活性化といった本県の発展を常に追い求め、次の時代のための希望の種をまく、積極的な政策を展開することが必要と考えております。
 このため、平成22年度においても、先駆的技術開発や販売促進を切り口とした産業の活性化、本県の恵まれた資源をフル活用いたしました観光振興、あるいは農業振興、成長を支える道路ネットワークの整備などの施策をさらに進め、これまで進めてきた企業誘致やわがまち元気プロジェクト、新農林水産業戦略プロジェクトなどの取り組みとあわせて、県経済の活性化につながる施策を全庁挙げて推進することとしております。
 私は、これらの政策が苦しい中にあっても芽を出し、花を咲かせるようになれば、企業や地域が活性化し、それが県民所得の向上にもつながり、ひいては県財政にも還元されるのではないかというふうに考えて、こういう政策について全力を挙げて取り組むものと考えている次第でございます。
○副議長(坂本 登君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 農畜産業の新たな潮流と和歌山県の取り組みについての4点についてお答えをいたします。
 まず、農業を取り巻く金融環境についてでございますが、本県での農業関係への融資につきましては、運転資金や設備投資などで一部銀行等の利用がございますが、大部分は、お話ございましたように農業協同組合が担っているのが現状でございます。
 しかしながら、近年、牛や豚などを担保といたしました融資が可能な動産譲渡登記制度が始まったことや、農商工連携の取り組みが進みつつあることから、銀行等が農業を有望なビジネスとしてとらえ、全国的に融資が拡大してございます。また、県内におきましても農業分野への融資に関心が高まっているというふうに聞いてございます。
 こうしたことから、国におきましては、来年度から銀行等が農業融資を行う場合には、独立行政法人でございます農林漁業信用基金の保険が適用されるように制度改正が予定をされてございまして、十分な担保を準備できない農家でございましても借り入れが容易となるということでございます。このことは、資金調達方法の多様化に加えまして、銀行等が持ってございます経営ノウハウを活用する機会がふえますし、6次産業化や法人化を考えている農家にとりましても有意義であるというふうに考えてございます。
 県といたしましても、新しい保険制度の周知を図るとともに、農家が銀行等を活用できる環境を積極的に整えてまいりたいというふうに考えてございます。
 次に、シンクタンクの力を動員した新たな農畜産業経営の和歌山モデル構築についてでございますけれども、本県農業は、御承知のように、担い手の高齢化、耕作放棄地の増加に加えまして、農産物の価格低迷などによりまして大変厳しい状況に置かれてございます。このため、本県といたしましては、地域農業の担い手を育成するために法人化を推進し、企業的経営を行う農家を育成するとともに、広く農業外部にも目を向けまして、農業に関心のある企業の参入も視野に入れて取り組んでございます。
 一方、消費の低迷が続く中ではございますが、県産品の販売促進を全面的に押し出した販売促進戦略アクションプログラムを策定するとともに、本年度から新たに生産、加工、流通、販売に総合的に取り組む生産者を支援する新農林水産業戦略プロジェクトを実施するなど、新たなアグリビジネスの積極的展開に努めてございます。
 議員御提案のように、新たな農業ビジネスを展開するためには、シンクタンクの持つマーケティングなどの専門知識を農業に活用することも大切でございますので、今後、そうしたノウハウをフルに活用しながら、異業種との交流などにもこれまで以上に取り組み、地域農業の活性化につなげていきたいと考えてございます。
 4点目の中国、アジアへの進出についてでございますが、農業分野におきましても、アジア全体を1つの経済圏としてとらえまして、日本の商社や企業が資本や技術力を駆使して海外で農産物を生産から販売まで手がけるなど、農業のグローバル化の動きがあることも承知をしてございます。また、発展途上国における目覚ましい経済発展、あるいは人口増加によりまして、今後、世界的な食料不足ということも懸念されるといった問題もございます。
 こうした中で、国におきましては、国民食料の安定供給という観点から自給率の向上に努めているところでございまして、県といたしましては、食料生産の一翼を担う中で、地域農業、地域特性を生かした本県農業を推し進めていくことも重要であると考えてございます。
 議員お話しのように、グローバル化が進む中で中国やアジアへの進出も選択肢の1つであると考えてございまして、今後、アンテナを高くし、海外情報などの収集に努めながら、県内におきまして新しくチャレンジに意欲を燃やす農業者や法人の方等がございましたら、必要な情報の提供、また関係機関とのコーディネーター役を果たすなど、できる限りの支援を行ってまいりたいというふうに考えてございます。
○副議長(坂本 登君) 総務部長宮地俊明君。
  〔宮地俊明君、登壇〕
○総務部長(宮地俊明君) 私立高校生に対する高等学校等就学支援金制度の県としての取り組み状況につきまして、一括してお答えいたします。
 この就学支援金制度につきましては、生徒が在学する学校を通じまして、県に受給資格認定を申請し、県は資格認定した者に対し、当該学校設置者が代理受給する方法で支援金を支給することとなっております。これら制度内容は、現在国会で審議されております法案及び政令等で定められることとなっております。
 県といたしましては、平成22年4月から制度が円滑に実施できるよう国から情報を収集するとともに、各学校設置者に対しましては、2月下旬に説明会を開催し、現時点での制度概要について周知し、学校における事務体制の準備をお願いしたところでございます。
 今後、詳細が決定次第、学校及び生徒、保護者へ周知を行うなど、制度が円滑に実施できるよう努めてまいります。
 次に、私学に対する県としての授業料減免の取り組みについてお答えいたします。
 私立学校につきましては、就学支援金制度導入後におきましても、なお授業料負担が残ります。県といたしましては、家計急変等により授業料負担が困難となり生徒が修学を断念せざるを得ない事態にならないよう、国の就学支援金に加え、授業料減免補助を実施することといたしております。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教育関係、まず県立高等学校授業料の無償化に関する取り組み状況についてお答えいたします。
 現在、国会で公立高等学校授業料の無償化等に係る法案が審議されているところでございますが、当該法案の成立後、制度の対象外である専攻科を除いて卒業を目的として学ぶすべての生徒について県立高等学校授業料の無償化を円滑に実施できますよう、関係条例の改正案と授業料無償化を織り込んだ当初予算案を今議会に提出させていただいてございます。
 また、授業料を無償化するに当たり、授業料と合わせて納付をいただいておりますPTA会費等の口座振替に係る収納方法などにも影響がございますので、各学校においてPTAと相談しながら対応を進めるなど、4月から混乱を来すことのないよう、各学校と連携をとりながら事務を進めているところでございます。
 また、制度の周知に関しましては、県立高等学校の在校生と保護者へは各学校を通じて行い、また進路選択にもかかわることでございますので、各市町村教育委員会に対しまして情報提供を行うなど、4月からの授業料の無償化実施について万全を期すよう準備を着々と進めているところでございます。
 次に、中高一貫校の取り組みについて、まず県立中学校入学者選考についてお答えいたします。
 県立中学校の入学者選考につきましては、国から示された方針では、学力試験を行わず、学校の個性や特色に応じて多様な方法を適切に組み合わせることが適当とされております。このようなことから、本県では、個人面接や作文、小学校で学んだ基礎的な力に基づき、自然や身近な事柄について考えさせたりまとめさせたりする適性検査を行っております。これらの結果をもとに、各学校の特色や生徒像に照らして、志願者1人1人の意欲や適性等を多面的、総合的な観点から判断し、選考を行っております。これまで適性検査の内容や作文題、解答例につきましては公開しておりますけれども、点数化できない検査等があることや過度の受験競争を懸念する中で、その配点や選考基準等は公表しておりません。
 議員御指摘の公表のあり方につきましては、今後さらに信頼性を高められるよう検討してまいりたいと考えます。
 次に、中高一貫教育の成果と課題等についてでございます。
 今春1期生が高等学校を卒業いたしました県立向陽中学校、高等学校におきましては、6年間一貫した計画的、系統的な学習を展開いたしまして、その中で、生徒は学習への自発性や自分の考えを豊かに表現できる力などを身につけてまいりました。また、環境教育など、個性をはぐくむさまざまな教育活動を通しまして、自分の進路や生き方を考え、その具現化に向け努力する生徒が確実に育っております。
 このような生徒の状況から、開設当初に目指した生徒の育成に関しては、おおむね達成できていると学校長から伺っておりますし、私自身も発表会等での生徒の様子からそのように感じております。
 学校におきましては、6年間を通して教え合い、学び合う集団の中で、スーパーサイエンスハイスクール事業で導入された実験理科やディベート等を通しまして学習意欲が高められ、主体的に取り組む態度が育ってきております。しかしながら、中学校と高等学校をつなぐ授業にはまだ研究の余地がございますし、また発達の段階の違う子供たちの運動部活動については、御要望に十分こたえられていない面もあると考えております。
 中高一貫教育における評価基準につきましては、議員御指摘の進路状況や自己実現などを含め、入学者や保護者の期待にどうこたえているかなど、さまざまな観点から分析し、総合的に評価していかなければならないと考えております。
 高校進学段階の状況についてでございますが、向陽中学校から向陽高等学校への進学は、転居や将来の進路の関係などやむを得ない事情による他校への進路変更は、1期生で2名、3期生で3名の生徒でございました。また、学科変更につきましては、それを認めておりました1期生に限って2名でございました。なお、2期生は全員向陽高等学校に進学をいたしております。
 中高一貫教育に対しては、各方面からも、施設等の課題、市町村立中学校への影響や工業系、商業系、スポーツ系への接続、多様な生徒へのニーズの対応など、中高一貫教育のあり方について、検討課題としてさまざまな御意見、御指摘をいただいております。これを受けまして、中高一貫教育による成果と課題等について検証を進めるため、昨年5月に、多角的な面から御意見をいただけるよう、中高一貫教育に見識のある大学教授や県立中学校設置地域の教育委員会及び公立中学校の代表、県立中学校の管理職等による中高一貫教育協議会を設置いたしました。
 現在、県立中学校を設置した地域の教育委員会や学校関係者等から聞き取り調査を行い、県立中学校の状況把握とあわせて、そのあり方について評価、分析を行っているところでございます。
 今後、地元の中学校の状況や市町村、学校関係者等の御意見、御要望を踏まえ、検証をさらに進め、その結果等をもとに、きのくに教育協議会においてさらに協議を行っていただき、県立高等学校再編整備計画の第2期(後期)実施プログラムの中で、今後の県立中学校のあり方や設置についての方向性を示してまいりたいと考えます。
 中学校における物づくりの専門性を生かした一貫教育は、個性を伸長させると同時に、小学校6年生の時点で工業という特定の分野を選び、6年間を継続するといったことが子供さん自身の負担にならないかという懸念もございます。こうしたことも含めまして、今後もさまざまな観点から検討してまいりたいと考えます。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
 41番山下大輔君。
○山下大輔君 御答弁いただきました。それぞれに誠意ある御答弁をいただけたと思います。
 本当に和歌山を何とか立て直したいという思いで、私自身、県議会へ送っていただいてからこれまでやってまいりました。その基本としては、やはり弱い立場の人をどんなに守っていけるか。それは子供であり、高齢者であり、和歌山に育つそういう子供たちの将来ということを考えても、本当に希望の持てる地域にしていかないかん。ただ、和歌山の状況としては、最初にもお話ししたように、なかなかやっぱり厳しい状況になってると。仁坂知事を先頭に、本当に県当局も努力していただいてると思いますが、さらに、これまでの常識にとらわれず新たなチャレンジということも今真剣に取り組まないかん時代やと思いますので、ぜひ本日質問した項目も含めて、今後、取り組みを強化していただきたいと思います。
 まず、農畜産業の取り組みについて、先日ちょっと資料が出てまして、日本政策金融公庫が先月2月19日に発表した平成21年の農業景況調査によると、平成21年度の農業景況DI(動向指数)がマイナス17.4となり、前年より大きく低下していると。平成8年の調査開始以来2番目に低い水準となり、ことし平成22年の見通しについても、マイナス12.8と大幅なマイナスの見通しとなっています。こういう状況というのは、国内のデフレ環境が簡単に収束しない見通しの中では、ただでさえ厳しい農業を取り巻く環境はさらに悪化することが見込まれています。国内に目を向けるだけの農畜産業に残念ながら希望は持てないのが現実だと思います。
 そういった中では、今後は世界、アジアに対して新たな形での挑戦が大切な取り組みになると思いますので、本日お答えいただきましたように、ぜひ県としても、ファイナンスの環境整備、シンクタンクの活用、そしてアジア、中国市場への挑戦ということは、これは一貫した質問にさしていただいておりますので、それぞれ真剣な取り組みをお願いしたいと思います。これは要望にしておきます。
 それと教育。中高一貫の取り組みについて、教育長からそれぞれの質問に対して誠意ある御答弁はいただけたと思います。
 ただ1点、どうしても気になる点がございまして、それは、私自身がこれまで中高一貫校で多様性のある中高一貫というのを実現させてもらいたいと。実は、子供の個性を伸ばすとか多様性とかと言葉ではよく言うんですけれども、そういう環境が教育の世界でなかなかつくられていない。子供の個性を本当に伸ばすためには、子供の特徴を伸ばして生き抜く力をしっかりと学校の間につけさせると。そのためには、いろんな視点で子供を伸ばすような取り組みというのが必要やと。その中では、今回指摘しました工業、物づくり、商業、商売人、起業家というものをつくっていくような学校、またスポーツはスポーツが得意で、そういう中高一貫のあり方というようなことをそれぞれ中高一貫の取り組みの中でもしっかりと位置づけられてこそ、和歌山教育として本当に魅力ある環境というのがつくれるんだと思っています。
 そういった点では、残念ながら、今回の答弁では、結局、いろいろおっしゃられましたけれども、検討していくということでございました。やるとはなかなかお答えになりにくいというのは重々承知しておるんですけれども、ただ、検討ということであれば、これまでの答弁の内容の域を出てませんので、もう一度だけ教育長に、その多様な公教育の一貫校をつくっていくということに対しての有効性というものについて、教育長として、すぐつくれるということは別にして、その有効性、重要性というものをどう感じているかということだけ、もう一度お聞きしたいと思います。
 教育長への再質問を1点として、私の再質問を終わらせていただきます。
○副議長(坂本 登君) 再質問に対する答弁を求めます。
 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 御質問につきまして、ストレートにお答えすることになるかどうかとは思うんですけれども、子供たちの多様性にこたえるには2つの道がありまして、1つは、多様な学校をつくってこたえていくという方法と、フィンランドの方式などは学校間は余り差をつけずにそれぞれの学校の中で多様な子供たちの個性に応じていくという2つの方法がございます。そのどちらの方向が本当に子供たちの個性を伸ばしていくことにつながっていくのか。日本の場合は、恐らくそのミックスでやっていると思うんですけれども、その中でどのようなバランスをとっていくことが子供たちにとってより望ましいことかといったことについて、本当に慎重に考えて進めていきたいと思っておりまして、直接お答えになったかどうかというのは心配でございますけれども、私の考えを述べさせていただきます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再々質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 以上で、山下大輔君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時38分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○議長(冨安民浩君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 26番中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕(拍手)
○中 拓哉君 皆さん、こんにちは。
 2月定例会の一般質問も最終日を迎え、いわゆるラス前の登壇となりました。平成19年春の県議選に当選させてもらって以来、はや3年、残る任期も1年となりました。「なかなか頑張る中拓哉」とキャッチフレーズを掲げ、一般質問8回、討論2回、この前、補正予算の質疑1回、数えれば11回目の登壇となります。折々の政治課題はもちろんのことでございますが、県の施策・事業、それに伴う予算、決算初め、住民の方から寄せられるさまざまな声の意見の代弁者として、知事を初め関係執行部の幹部の皆さんに質問いたしますので、県民の皆さんに御理解、御納得いただけるような誠実な答弁を期待いたします。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、質疑及び一般質問を行います。
 まず初めに、知事の政治姿勢についてお伺いします。
 一般質問の初日、吉井先輩の質問を受け、知事は3年余りの実績を示し、緒についた改革を進め、元気な和歌山を実現するため引き続き県政をリードしたいとして、力強く出馬の表明をしたのであります。平素から奥ゆかしいあなたにしては、頼もしい演説でありました。翌6日の新聞にも大きく報道された記事を読み、また、そこに挟まれていたチラシを何げなく見ておりましたら、スーパーの売り出しのチラシに、あなたのにこやかな写真とコメントが載っておりました。このチラシは、和歌山食品フェアを紹介するものであって、決して仁坂知事を宣伝するためのものではありませんが、その余りのタイミングのよさに、選挙戦術としても上手なもんやなと苦笑いしたものでございます。
 さて、平成18年暮れの知事選の選挙公報に、あなたは、ふるさと和歌山を元気にする5つの目標として、1つ、職づくり、人づくり、地域づくり、2つ、談合をなくし清潔で透明な県政を実現、3つ、安心・安全の確保、4つ、和歌山の美しさを生かした観光の振興、5つ、楽しい和歌山の実現を掲げております。
 キャリア官僚として次長まで勤め上げ、ブルネイ大使としては現地の邦人のみならずブルネイ国民からも敬愛され、日本貿易会の専務理事に就任間もないあなたが、ふるさとの危機を救う即戦力の救世主として知事選に挑んだのであります。さぞかし勇気の要った決断であったと思います。
 当時、出馬宣言したあなたは、その足で自民党県連や公明党県本部を訪ね、私がおりました和歌山市議会公明党の控室まで推薦依頼を携え、あいさつに見えました。そのとき、初めてあなたのけいがいに接した私は、公明党の推薦決定を踏まえ、力いっぱい応援いたしました。当時のやらんかなの意気に燃え、高揚し、緊張した姿から見れば、今議会で再出馬を宣言したあなたの姿には、余裕と自信をかいま見た次第です。
 その後、政党へ推薦を求めるのかとの報道陣の問いに、政党に限らず、すべての方々、すべての組織から応援を得たいとするコメントにも、その自信のほどがうなずけるのであります。まずは御健闘祈ります。
 先ほど紹介しましたあなたの選挙公約は、「ふるさと和歌山を元気に」であります。初めて臨む19年2月議会での施政方針とも言うべき議会での説明では、和歌山元気づくり予算の船出ができたと自負し、「元気」の言葉は7回使っております。2年目の20年2月の議会のそれでは、長期総合計画のタイトルにも「未来に羽ばたく愛着ある郷土 元気な和歌山」と掲載し、「元気」なる表現は6回述べております。3年目の21年2月議会のそれでは、国庫補助事業での不適正経理のおわびとともに、緊急経済対策の取り組みを示し、元気な和歌山をつくるとして、「元気」との言葉は6回使っております。そして、改選を迎えることし、22年の4回目の当初予算を審議する今2月議会における知事説明を拝聴するに、「明日の和歌山を拓く希望の政策」と「今日の暮らしを守る安心の政策」に変わり、「希望」が4回、「安心」が7回も出てくるのに「元気」は1回のみであります。心なしか演説のトーンにも元気がございませんでした。
 政治家は、体が資本、言葉が命であります。選挙時の公約に「元気」を掲げ、毎年の予算に実現させたと説明しながら、今予算の説明から抜け落ちたのはどうしてでしょうか。禅問答のようなことにならないよう、わかりやすくお答えください。
 次に、公立大学法人和歌山県立医科大学についてお伺いします。
 昨年11月10日、会計検査院の公表を受け、和医大の理事長から文部科学省所管の科学技術試験研究委託事業の研究費に、平成15年度から19年度にかけて総額1370万もの預け金による不適正支出があり、このほかにも科学技術総合研究委託事業の研究委託費と科学研究費補助金についても調査中との発表とともに、理事長直轄の内部監査室配置などの再発防止策を講じた旨、理事長から資料をいただきました。
 続いて、本年2月25日に、かねて調査中であった平成14年度から19年度にかけての科学研究費補助金や委託事業の研究費について、関係者を処分した旨の発表がありました。件数141件、1億2145万、51名のうち退職者16名を除く35名を処分し、随時速やかに返還するとのことであります。恐らく大学が立てかえて、その後、本人たちから返してもらうことになるのでしょう。
 腰痛のスーパードクターとして吉田先生がテレビで紹介され、板倉先生がラジオでわかりやすく病気の解説をするなど、象牙の塔に閉じこもることなく、和医大は市民に開かれた大学との印象を持ち、南條学長も議会で医学界で評価されている大学の取り組みを講演してくださるにつけ、誇らしく思っていただけに、今回の不祥事は少なからぬショックを受けました。中でも、病気の男の子を温泉地に案内し、医大生が一緒におふろに入り、介護をしたところ、初めて男ぶろに入れたと喜び、お母さんからは泣いて感謝されたお話など、今思い起こしても胸にじんときます。
 このたびの不祥事の報道を受け、改めて地方独立行政法人について勉強しました。国の個別法である国立大学法人法においても、教育研究の特性に常に配慮することが求められるごとく、公立大学法人にも教育研究の特性や大学の自治の尊重が求められています。この法律の71条2項に、「大学の学長となる公立大学法人の理事長の任命は(中略)当該公立大学法人の申出に基づいて、設立団体の長が行う」とあり、その3項には、その申し出はその大学の選考機関の選考に基づき行うとあり、さらに、その申し出は、定款で定めた選考機関の代表者で構成する会議の選考に基づき行うと規定しています。
 そこで、和医大の定款を見ますと、第10条に、法人の役員や職員以外の者を含む委員5人で、経営審議会や教育研究審議会の委員をもって理事長選考会議が構成されております。さらに、その定款を受けて理事長選考規程が置かれ、理事長候補者の選考手続がそこに定められておりまして、班長以上の事務局職員や課長補佐以上の技術職員を含む教授、准教授、講師、助教、工学技士長の方々の投票有資格者たちの意向投票の過半数をもって理事長候補が決まる仕組みとなっています。理事長選考会議で決まった1人を速やかに知事に申し出て、その申し出に基づき、設立団体の長、つまり仁坂知事が任命する運びとなるのです。ありていに言えば、1400人足らずの職員のうち、役付医大教職員432人の投票で決まるわけであります。
 ところが、意向投票の行われた1月12日、時を置かず、「新年明けましておめでとうございます」との書き出しで、3候補の人物月旦があり、まさしく春秋の筆法をもって、あなたは関係者に熟慮再考を求めたのであります。大学というヒエラルヒーに、公選の知事として一石を投じられたその勇気に拍手を送りたいと思います。また、二元代表制の同じく公選の議員として、私も勇気を出して質問、お尋ねしたいと思います。
 地方独立行政法人法第71条6項では、学長となる理事長の選考は「人格が高潔で、学識が優れ、かつ、大学における教育研究活動を適切かつ効果的に運営することができる能力を有する者のうちから行わなければならない」と規定し、和医大が定めた理事長選考規程第3条にも、理事長候補者の選考は、人格が高潔で、学識に優れ、かつ、和歌山県立医科大学における教育研究活動を適切かつ効果的に運営することができる能力を有する者のうちから行うものとするという選考基準を設けております。法律と和医大規程の違いは「学識が優れ」と「学識に優れ」、つまり、法律は主格助詞である「が」を使い、規程のほうは修飾格助詞である「に」を使っていることの違いだけであります。
 和医大の投票有資格者による意向投票の結果は、国民の税金をもって行われる研究費において不適正な経理をしたとして処分を受けた事実からして、この意向投票の結果はふさわしいとお考えかどうか。公立大学法人の選考機関の申し出に基づき、設立団体の長が行うとする現行法の中で、今回の事態を受け、学問の自由を保障し、教育研究の特性を重んじ、大学の自治を尊重しつつも、県民の福祉の増進を図る設置者として、県民の意向が反映できる定款や規程の整備、さらにそれらに準ずる何らかの仕組みを考えるおつもりのありやなしや。
 一方、5年以下の懲役刑まで設けている補助金適正化法違反の重大性にかんがみ、地方独立行政法人法第89条の違法行為の是正措置を命じる規定を適用するお考えはおありでしょうか。
 あなたが出された2通目の2月12日の手紙には、不名誉、私物化、学内対立との3つの懸念に対し、5点について新理事長の所信を得たとあります。この71条の条文からは、知事は裁量権の踰越も濫用もしようのない、いわば羈束行為としての任命権者なのですから、新理事長との間で交わされた和医大改革を実行あらしめるには、大学の運営に関与できない現行法の中で改革の遂行を厳しく見守り、適切に指導していくとするあなたの思いを担保するのなら、知事の権限として定める89条の違法行為の是正措置命令しかないのではないですか。まさか、100名からの県の派遣職員を引き揚げたり予算措置で担保するわけにもいかないでしょう。手紙にあるようなえんきょくな表現でなく、簡明直截にお答えください。
 次に、太陽光発電についてお尋ねします。
 知事の提案理由の説明でも触れていましたし、地球温暖化対策のうち太陽光発電の件ですが、福祉環境委員会の審議の都度、部長から、Big・Uや県立図書館など県有施設にソーラー発電設備を設置するとの説明を受け、今後も推進する旨の答弁がございます。それで、これから建設する施設はどうなのかとお聞きしても、施設建設をしようとする担当部署の判断ですとのお答えでした。そして施設の利用が始まり、数年たって環境生活部がソーラーを乗せに来ておるのです。「はあ?」と思いませんか。国体の成功に向け、整備しようとする新総合体育館、秋葉山のプール、紀三井寺の競技場、野球場、これから建設しようとする御坊の警察署、既に着手している紀北分院、子ども・女性・障害者相談センターの体育館などへも、後になって環境生活部が設置することになるのではないですか。
 太陽光発電装置の設置は、例えばバリアフリー法のように法律で義務づけないとできないことでしょうか。地方自治法138条の3には、「執行機関は、長の所轄の下に、執行機関相互の連絡を図り、すべて、一体として、行政機能を発揮するようにしなければならない」とあり、そもそも最少の経費で最大の効果を上げるのが基本であります。太陽光発電の導入が温室効果ガスの削減に寄与し、地球温暖化対策の柱とするなら、施設の使用目的に支障のない限り太陽光を利用するとの方針をお決めになったらどうでしょうか。仁坂知事、お答えください。
 次に、包括外部監査についてお聞きします。
 平成7年1月17日の阪神・淡路大震災の山陽新幹線が運行できていない日に、三重県の監査委員事務局が山陽新幹線を利用して出張したとする空出張が象徴するごとく、落語のネタになるようなことが全国の自治体で噴出し、平成9年6月の法改正で設けられた制度がこの包括外部監査です。平成11年から始まり、21年度で都合11回、1億7800万円を和歌山県では要しました。さて、その効果やいかんと思い、改めて勉強しました。
 取り上げられた案件は多岐に及び、報告書を読むのも一苦労ですが、かつて監査結果の報告書に、作成した監査人の氏名を明記すべきと指摘し、改善してもらった経緯があります。公認会計士から指摘された事項のその後の措置状況を調べようとしたところ、そもそも扱う部署のないことに気がつきました。
 そこで、丹念に条文を読み込むと、包括外部監査人は、監査結果の報告を議会、知事、監査委員、そして監査した関係委員会やその委員に提出し、監査結果の報告を受けた議会、知事らは、監査結果に基づき措置を講じたときはその旨を監査委員に通知し、通知を受けた監査委員は、当該通知に係る事実を公表しなければならないと規定されています。また、監査委員は、包括外部監査人の監査結果に必要があると認めるときに、議会や知事らにその意見を提出できるとあります。
 つまり包括外部監査人は、自分でテーマを決め、ひたすら監査し、結果をまとめ、報告しても、指摘を受けた関係部署や機関は、措置を講じたときのみ監査委員に報告すればいいのであって、措置を講じず放置したところで何らおとがめはございません。監査委員も、包括外部監査人の監査結果に関して意見があれば、その意見を議会や知事らに提出するわけですから、意見を述べなければならないとするような法的な拘束は受けません。
 その分、議会がやればいい、そのための議員じゃないかと言われれば、そのとおりとうなずくほかございませんが、22年度の議案にも、和中先生との契約、議案第62号が提案され、1134万円を使うわけですから、何らかの効果的な方策を考えませんか。包括外部監査人から指摘された事項について改善措置を講じるべく、その進行を管理する部署を明示ください。
 次に、公共調達制度についてお伺いします。
 仁坂知事の選挙公約でもあった談合をなくすは、見事実現しました。毎月まとめてくださっている監察査察監からの報告を見ても、談合、入札に関するもの、該当なしが続いております。幾つかの試行錯誤を経て定着しつつあるやに評価したいところでありますが、昨年の2月議会で指摘したごとく、担当職員の人為的なミスも散見されます。職員にとってはミスで済んでも、県民や、ましてや業者にとっては死活問題にも発展します。幾ら善管注意義務や職務専念義務に違反してないといっても、たび重なれば、やはり制度に欠陥があるのではないでしょうか。そこを疑うべきです。職員の健康管理の上からも、オーバーワークには意を注ぐべきです。また、問題点が浮かび上がっているのなら速やかに改善すべきです。
 端的にお尋ねします。
 1つ、標準型総合評価落札方式における低入札調査で、入札から決定に至るまでの日数の最長と平均日数、落札予定日の変更回数の最長とその平均回数、落札率の最高と最低及び平均。
 2つ、調査に時間を要する事由の主なもの。
 3つ、事情聴取に際し、県が適正と考える積算内訳書の算出根拠の正当性を調査対象者が求めた場合、こたえるべきではないですか。
 4つ、新制度の運用開始以来、入札公告の取りやめ件数と入札経過書の訂正の件数。
 5つ、これらの行為の理由も明示すべきではないですか。
 6つ、平成21年度国債流下第2号─8紀の川流域下水道(那賀処理区)貴志川幹線管渠(推進)工事について、入札経過書訂正の内容及び理由をお示しください。
 次に、教育委員会にお尋ねします。
 去る2月5日、せがれの大我が通う和歌山高校生徒の作品展があり、県民ギャラリーに足を運び、油彩画、日本画、陶芸、書道、華道、写真、音楽など、生徒さんの力作を鑑賞しました。育友会の役員も作品を出すように言われまして、かつて陶芸を出品したことがあり、今回も書を出そうかなと思いましたが、余りの稚拙さに恥じ、あきらめました。
 そんな後ろめたさを抱えながら、職員・育友会の展示室に入ると、「ひびき」と題する滝を描いた鮮やかな日本画が目に飛び込んでまいりました。作者は、元校長でもある、何とおらが教育長、山口裕市氏ではありませんか。柔道の猛者とは、おうわさはかねがね聞き及んでおりましたが、画才にも長じておられたことをお見それいたしました。
 武人のみならず文人でもある山口教育長にお伺いします。
 高校無償化を控え、法案審議の成り行きにも目が離せない昨今でございます。今議会では、議案第58号として、使用料・手数料条例の改正がございます。条文上はいとも簡単に、別表1の1授業料(1)高等学校ア全日制1人につき年額11万8800円を削るのです。たちまち、この削除によって、今まで高校の授業料を根拠として定めてきた高等看護学院、なぎ看護学校、産業技術専門学院、農業大学校の授業料の積算根拠を失ってしまうのであります。私どものように3月に卒業した子弟を持つ保護者からすれば、今回の授業料無償化はうらやましい限りでございます。
 長年、小・中・高のPTAの役員を務めてきた経験から、気になる点を申し上げます。
 県立高校では、年額11万8800円の授業料と空調設備使用料5000円を超えない範囲で今まで保護者は納めてきました。昨年の議会でも取り上げましたが、年額およそ12万円を12で割って、4月から均等に納め、1月だけ1、2、3月分の合計を納めます。1月に3カ月分をまとめて徴収するのは、この場での答弁では、卒業する3年生が未納となるのを防ぐためだとのことでございました。現実には、授業料、空調料に加え、PTA会費や学校施設運営費などの名目で2000円から3000円上乗せされ、口座引き落としされております。これらの資金は、専ら校長のもとに管理され、PTA役員と相談、了解の上で生徒たちの教育に使われております。
 ところが、高校授業料を徴収しないことになると、月々授業料と一緒に納めてもらっているこれらの学校納付金の口座振替の仕組みでは手数料負担がかさみ、銀行の協力が得られません。せがれが卒業するからといって放置するわけにもいかず、今後の高校の運営からすれば大きな心配なのであります。教育委員会が真剣に悩んでくれればいいのですが、その担当の部署もなく、各学校の問題だとしてにべもございません。本来は、高等学校管理費で予算措置をすべきものと思いますし、そのことをここでも強く迫りたいのですが、建前のきれいごとでは済みません。北海道教職員組合のように、主任手当を寄附してくださればいいのですが、これも当てにできません。
 間もなく入学説明会が開かれ、保護者の方々にお願いするわけですが、学校運営に欠かせない学校納付金の納付を担保する条例化なり、教育長コメントなり、現場の校長先生や事務長、PTAの方々が保護者にもっともだと納得していただけやすくなるようなサポート策をお示しください。
 一方、PTA活動の有用性は論をまちません。生徒たちのため、高校の食堂も経営し、学校行事にも協力し、保護者同士の親睦を図りつつ学校の発展に貢献しております。山口教育長が造詣の深い市民性の教育振興には中核となる組織であります。県立高校PTA活動の現況、PTA会費を初めとする学校納付金の年間の収入、支出、繰越額の総額と生徒1人当たりの平均納付額をお答えください。
 最後に、21年度最終補正の質疑でも取り上げました電動柔道畳、いわゆる柔道畳自動畳み機について簡潔にお聞きします。
 さきの質疑の答弁では、平成19年4月に国際柔道連盟審判規定による畳のサイズが既に128畳から112.5畳に改正されているとのことですが、昨年9月に予算化するなら、その時点で確認しておくべきではありませんか。幾ら国の経済対策のお金とはいえ、税金に違いはありません。
 また、一般競争入札の制度で調達するのだから公正だといっても、メーカーが1社で、その製品を扱う発売元があり、県下の販売代理店が1社であれば、商慣習に照らして考えれば応札するのが1社のみで、その応札金額が県の示す予定価格を上回り、落札者なしとなっても、唯一の応札者がその金額を応札し続ければ、今度は県が予定価格を引き上げない限り入札不調が続くだけではありませんか。つまり、形式だけの一般競争入札となり、競争原理は機能しません。最少の経費で最大の効果が上がるよう、公正で確実な契約方法はございませんか。会計管理者、お答えください。
 5年後の国民体育大会の成功に向け、今後、県民の機運を盛り上げ、寄附も仰がなければならないのですから、指弾を受けることのなきよう、気持ちよく選手が競技に専念できるよう、県民も心から国体を心待ちにできるよう、準備怠りなく、失敗なさらないことをこいねがい、第1問といたします。御答弁、よろしくお願いします。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの中拓哉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、私の政治姿勢についての御質問にお答え申し上げます。すぐれて「元気」についてでございます。
 「元気な和歌山の創造」は、いわば仁坂県政の基軸のテーマとして、私の立候補のときのキャッチフレーズでもありましたし、長期総合計画で掲げた理念でもあります。この基本姿勢、信念は揺るぎないものでありまして、いささかも変わっておりません。
 私は、この目標に向かって邁進しているわけでありますけれども、毎年度の政策形成においては、変動する社会経済情勢を踏まえながら、その時々の喫緊の課題や問題意識に基づいた政策のベクトルを指し示す必要がありまして、それを具体的かつわかりやすく指し示すということで、平成22年度の場合は希望と安心というのが、今、一番元気を達成するときの問題意識ではないかということで、新政策のテーマにしたわけです。
 21年度については、緊急性を要する大不況というのが来ましたので、「緊急対策」、「底力を蓄える政策」、それから「安全・安心対策」という3つのベクトルを指し示したわけであります。で、長期的視野に立脚いたしまして、かつ、このように機に臨み変に応じながら、毎年度の状況に応じて施策の選択と集中を行いまして事業を立案し、予算を編成していく、その着実な積み重ねの結果として元気な和歌山を実現していく、それが私の進めている新政策のプロセスでありまして、今も、そしてこれからも「元気な和歌山の創造」という基本姿勢を堅持し、空元気とか、あるいは言霊信仰とか、そういうものにならないように県勢活性化に全力を傾注してまいりますので、どうぞ議員各位の御理解と御支援をお願い申し上げたいと思います。
 次に、和医大の件であります。
 公立大学法人和歌山県立医科大学における不適正経理及び学長となる理事長選考についてお答え申し上げます。
 まず、理事長の選考について申し上げます。
 理事長に選考されました板倉教授が不適正な経理処理を行い、これによる処分を受けたことは非常に残念なことであります。その結果、その理事長については再考をしたほうがいいんじゃないかというような大学人に対する再考要請を私はしたところでありますけれども、一方、その中でも語っておりますように、学問的業績、また教育者としての実績、さらには人物識見でも、これはそういう点では申し分ない立派な、和歌山県立医科大学を代表するような方であるということは、昔も今もそう思っております。
 板倉教授からは、全学を挙げて地域医療の充実に取り組むこと、それから大学の自治を守りつつも県民の声がきちんと反映されるような意思決定システムの構築等の改革に県と協力して取り組むこと等について所信の表明を得ましたので、私としては、板倉教授と同教授を選ばれた大学の皆様の意見を尊重することにいたしました。
 また、県民の意向が反映できる仕組みについてでありますが、今回の一連の出来事を受けて、設置者である県、そして県民の意向がきちんと反映されるような改革の必要性を痛感したところでございます。新体制発足後、早急に大学と協議しながら、設置者である県、そして県民の意向が反映されるようなシステムの構築等、大学改革を強く促してまいります。
 次に、県立医科大学において行われていた不適正経理処理については、地方独立行政法人法第89条、御指摘のこれを踏まえまして、大学に対し徹底した再発防止策を講じるよう強く求めております。
 現在、物品検収の徹底や内部監査体制の充実強化などの取り組みが進められているところでございます。今後も、大学がこれらの再発防止策を確実に実行するよう厳しく見守り、また適切に指導してまいりたいと考えております。
 次に、太陽光発電推進の全庁的取り組みであります。
 県有施設への太陽光発電装置につきましては、物理的な設置可能性、施設整備改修スケジュール等の兼ね合い、県民への普及啓発効果や活用できる国の支援制度等を総合的に勘案して対象施設の選定を行っております。
 先日完成いたしました県庁東別館を初めとして、来年度までには、スクール・ニューディール構想や地域グリーンニューディール基金等を活用した県立学校、研究機関等への設置が完了する予定でありまして、その設置箇所を大幅にふやしております。また、このことにつきましては、昨年来、県の方針としてこういう方向で、例えば補正予算をお願いするとか、新政策で予算をお願いするとか、そういうことについても説明を加えているところであります。
 議員御指摘の施設の使用目的に支障のない限り太陽光を利用するとの方針につきましては、温暖化対策を推進する観点から重要であり、そのように考えて、1つ1つの施設について実態に応じ努力をしているところであります。このため、日照時間が長いという本県の地域特性に適した太陽光発電の国体関連施設など県有施設への導入については前向きに取り組んでまいりたいと、そういうふうに考えているところであります。
○議長(冨安民浩君) 総務部長宮地俊明君。
  〔宮地俊明君、登壇〕
○総務部長(宮地俊明君) 包括外部監査についての御質問にお答えいたします。
 毎年度末に報告を受けた各所属や各団体におきまして改善すべき事項について、例えば財産管理に関する指摘や公社における会計処理の誤りなど、適正かつ速やかに対応してきているところでございます。また、各所属が当該監査の結果に基づきまして措置を講じたときには、その旨を監査委員に通知し、監査委員は当該通知に係る事項を公表することとなっております。
 今後とも、包括外部監査による指摘事項に対する各所属の改善への取り組みにつきましては、行財政改革推進の視点で総務部が中心となってしっかりと進行管理を行ってまいります。
○議長(冨安民浩君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 公共調達制度に関しまして、6点、御質問にお答えします。
 まず、低入札調査で入札から決定に至るまで所要する日数等についてでございます。
 この調査の対象となりました件数ですが、予定価格1億円以上が対象となった平成20年12月以降平成22年1月末現在で24件ございます。これらの入札から落札決定に至るまでの日数は、最長で50日、平均29日です。次に、落札予定日の変更回数ですが、最大3回、平均1.25回です。さらに、落札率は最高で94.5%、最低で70.5%、平均で81.9%となっております。
 続きまして、調査に時間を要する事由の主なものについてでございますが、低入札調査では応札者の見積もり等が設計内容に適合しているかどうか、必要な経費が計上されているかどうか、下請業者や資材納入業者の見積書が反映されているかどうか、こういった点について審査をするものでございまして、応札者の見積金額が適正かどうか、説明資料を求めております。しかしながら、県が応札者に対して追加で必要な資料を求める場合に、その提出に時間を要している場合があるのが実態でございます。また、それが重なった場合には、さらに時間を要する場合もございます。
 次に、事情聴取に際しまして、調査対象者が求める質問に対して県がする説明についてでございますが、公共工事の応札に当たりましては、応札者は入札公告に添付されております積算内訳書、特記仕様書、こういった設計図書から工事目的物を完成し、県に引き渡すまでに要する費用を計上することとなっております。その際、応札者は発注者に対しまして、積算内訳書の算出根拠などについて不明な点がありますれば質問できることとなっております。そのときの回答については、入札情報システムに掲載し、皆様にわかるよう周知に努めております。
 なお、県が行う低入札調査における事情聴取については、応札者が実施する工事内容が過度に安価になっていないか、安全性や品質が確保されているかどうか、こういった観点で調べることを目的としておりますので、その点、御理解いただきたいと思います。
 次に、入札公告の取りやめ件数と入札経過書の訂正件数についてでございますが、新制度運用後、平成22年1月末現在で入札公告件数は6315件ございます。そのうち、取りやめたのは229件、入札経過書を訂正したのは24件ございます。
 次に、これらの理由の明示についてでございますが、平成21年9月25日から入札公告を取りやめる際に、入札公告の内容に誤りがあった、技術資料作成要領の内容に誤りがあった、設計図書に不備があった、こういった取りやめ理由を明示することといたしております。また、入札経過書の訂正につきましても、正誤を記載し、修正内容を明確にすることとしております。
 今後とも、各発注機関においてチェック体制の一層の強化徹底を図り、入札公告の取りやめなどの減少に努めてまいりたいと思います。
 最後ですが、入札経過書訂正の内容とその理由についてでございます。
 那賀振興局建設部の発注工事におきまして、予定価格を超えた入札に対し、誤って総合評価を行い──誤ってと申しますのは、予定価格を超えてますので、必要がないという意味ですけれども──その入札経過書に評価書を記載しておりました。これは、総合評価落札方式実施要綱第10条2項、予定価格の制限の範囲内の価格で入札しない入札者については総合評価を行わないという記載があるにもかかわらず、手続上、誤ったものでありまして、発見後、直ちに入札経過書の訂正の措置を講じたところでございます。
 このような手続上の誤りで入札経過書の訂正に至り、結果的に制度の信頼性を欠くこととなり、大変申しわけなく思っております。今後は、今回の事例の周知徹底を図り、こういった誤りがないようにチェック体制を強化いたしますとともに、再発防止に向け、私ども関係する職員の意識向上に努めてまいりたいと思います。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 会計管理者雑賀忠士君
  〔雑賀忠士君、登壇〕
○会計管理者(雑賀忠士君) 一般競争入札が不調となった場合についてでございます。
 地方自治法施行令では、再度の入札に付し落札者がないときには随意契約によることができる旨が定められてございますので、その方法により調達することとなります。また、現行の制度のもとでは、競争性、透明性、経済性等に最もすぐれた一般競争入札による契約方法が最適と考えております。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) PTA会費を含む学校納付金についてお答えいたします。
 県立高等学校の各PTAでは、学校、家庭、地域の連携・協力などに関する講演会や懇談会の開催、PTA新聞等を通じた会員への広報活動が行われているほか、ネット犯罪への対応など、生徒の健全育成や卒業後の進路対策に関する活動等が実施されておりまして、PTA会費等の学校納付金は、こういったPTA活動以外にも、保護者の御理解を得ながら、さまざまな面からよりよい教育環境づくりのために活用されているところでございます。
 また、PTA会費等の学校納付金の現況につきましては、平成20年度で県立高等学校全日制を例にいたしますと、前年度繰越額を含んだ収入額は県全体でおよそ6億円程度であり、支出額はおよそ5億円程度で、次年度への繰越額は約1億円程度と推計されます。
 なお、生徒1人当たりの納付額では、全国平均が約3万3000円程度であるのに対しまして、本県では約2万3000円程度と伺っております。
 PTA会費等の学校納付金は、その趣旨からも条例に位置づけるということ等にはなじまないものと考えておりますので、今後も引き続き保護者の皆様に御理解をいただけるよう、それぞれの学校及びPTAにおきまして十分に説明責任を果たさなければならないと考えております。
 次に、電動収納柔道畳についてお答えいたします。
 国際柔道連盟審判規定による試合場の規格が平成19年4月に128畳から112.5畳に改正されておりますが、いまだに全日本柔道連盟審判規定については改正されておらず、今もなお国内においては暫定的に国際規格、国内規格とも利用が可能な状況となってございます。
 昨年の9月議会での予算承認後に仕様書を作成し、県柔道連盟を通して全日本柔道連盟に発注前の最終確認をしたところ、今後新たに整備する場合は国際規格の導入が望ましいとの指導をいただいたというところから、県といたしましても、国際規格である112.5畳の電動収納柔道畳の導入を決定したところでございます。
 日ごろから、中央競技団体からの情報収集につきましては、県の競技団体等を通じて徹底するよう指示しておりまして、今回御承認いただきました電動収納柔道畳の導入につきましても、特に高額な備品を購入するという認識のもと、情報収集の努力をいたしたところでございますが、なお十分でなかった点については反省しなければならないと思っております。
 なお、国体開催を5年後に控え、今後は中央競技団体への情報収集はもとより、県内の競技団体等ともより連携を密にするなど、情報の収集に努めてまいりたいと考えます。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
 26番中 拓哉君。
○中 拓哉君 それぞれ御答弁ありがとうございました。
 「元気」のことについては、知事が初めて選挙に臨んだときのことがやっぱり印象に残ってますし、和歌山を元気にするんだというのが非常に簡潔な言葉でしたですし、あのとき、木村前知事のことがあって遠くの親戚からも冷やかされたり、そういった中で非常に象徴的な言葉やったもんですから。で、3年言い続けてきたもんやから、やっぱり取り上げてやっていくことが政治家としては政治の道じゃないかな。また、何となく企画とかそういう方々が工夫を凝らして、「希望」とか「安心」とかというところをつくったように思うたもんですから、お尋ねしたような次第でございます。
 ソーラーもぜひ進めていただきたいと思います。例えばバリアフリー法なんか、法律ができたらいろんな形で各施設は必然的にしていかなあきませんよね。ところが、ソーラーはまだそこまでいってませんもんですから、結局、県庁のてっぺんや県民図書館や、そういう象徴的なところ、後でつけにいかんなん、これが現状やと思います。しかし、この先CO2を減らす上で重要やというんであれば、各部署はお金かさむの嫌かわかりませんけども、県の方針──一体として取り組まなあかんという知事のもとでいく上においては、そういう方針を決めたらいいのになと思ったんです。
 外部監査については、もうかれこれ2億円ぐらい使っておりますし、先ほど宮地さんの答弁でも、必要を講じたときは講じたと言いに行くんですね。だから、言われたことが、しり食らえ観音で、勝手に公認会計士、言うてらよということであれば、いつまでもそうなりますんで、それがおかしいんじゃないかということを問題提起したわけでございます。ぜひよろしくお願いします。
 低入調査です。茅野さんから御丁寧な答弁いただきました。しかし、この運用の中で、私ら県会議員やっておりまして話聞いてよと言われるのは、結局日にちがかかる。業者としたら一生懸命勉強して出したんや。それで呼んでくれる。ぜひ落札したい。また指摘を受けた資料を整えた。一生懸命説明できるように頑張った。で、説明した後で、そもそもおまえとこはこれこれがあかんのやと言うて、説明した事情と違うところでアウトと言われると。ほな、はなからもう呼ぶなよと、こういうことなんですね。そういう事例があります。
 また、その書類を見てたら、予定価格オーバーしてるのに何で点数つけてんのよ、意地悪く見たら、県はもうはなからそういう点数持ってるん違うんかい、一々ほんまに見てくれてんのかいって、こういう不信にも及びます。正誤表を出してると言いますけど、どこ間違うたかわかりません。だから、どこどこの箇所が間違ったから訂正したんやということをやっぱりきっちり説明するのが県の責任じゃないかなと思います。
 また一方、これは県ばっかり責めるわけにいきません。県の担当者も一生懸命やってくれてると思います。一生懸命やってくれててオーバーワークになってるんであれば、もうちょっと簡便な形ですっきりするように改善してあげてほしい、そのように思います。
 今度反対に、説明したときに、一生懸命説明した。県は違うぞと言う。何が違うんか。正解は何だ。「正解を言うてくれてこそ、私どもは勉強して、次にまた計算の仕方が間違うてあることがわかる。正解を言うてくれなんだら、次、幾ら勉強しても同じ間違いをする。業者の育成になりますか。そこら、中さん、一遍聞いてくださいよ」、こういうことでございましたんで、お尋ねした次第でございます。
 私どもは──県の職員も私どももそうですけど、ちゃんと21日来たら給料くれます。しかし、業者の人は、その仕事をとるかとらないかによって生殺与奪を握られてるわけですから、公正で透明な行政の執行をこの際お願いしたいと思います。
 今度は、学校納付金です。
 教育長の答弁はそういうことかもわかりませんけども、私が勉強する限りは、地方財政法27条の3に禁じておりますのは、学校の施設の建設事業費を住民に負担求めたらあかんと、こうなってるんですよ。建設費だけなんですよ。学校運営費なんかについては別にあかんと禁じておりません。
 また一方、学校教育法5条を見ましても、学校の設置者はその経費を負担せなあかん。これは当たり前ですわな。ということは、高等学校の設置者である県が、高等学校の運営費はずっと見なあかんわけです。ところが、見れてないから、皆保護者がその分応援してるというか、かぶってるというか、そういうことなんです。
 それで、特に問題なかったらいいんですけども、今回、授業料を月々納めてたやつが授業料を取らなくなりましたから、そういう学校運営費だけ1000円、2000円、多いとこは3000円でしょう。これを集められないから、PTAなり学校長が困ってるわけです。そのときに当然、おっしゃるように、建前のように説明したらええんや、了解得たらええんや、こういうことですけど、この了解が得られにくいんですよ。大変なんですよ。
 だから、教育長が何かサポートしてくれて、僕からしたら条例つくってくれて──条例つくれないわけじゃありませんから、条例で、今回削ったところに、学校運営費、高等学校、1人につき年額2万円とか2万5000円とか、そういうことを書けば根拠があるわけですから、保護者の方々にもお願いできるし、学校にも迷惑かけないというか、学校の運営もスムーズにいくんじゃないかな。それが、できないんであれば、ちゃんと県費で各学校にいろんな費用は見るべきやと思います。
 そういう問題が噴出されてきますんで、もう一度、教育長、保護者や学校長が、これを保護者に協力求めるときに、何らかの、教育委員会といいますか、山口さんがコメントする形でもいいですから、サポートしてもらいたい。このように思いますので、その点、おつもり、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
 和医大の件、知事のお手紙には私も感銘いたしました。なかなかこういう和医大のような閉鎖的な社会といいましょうか、医局でもって力を発揮して、それぞれ研究をやってる。それはそれでいいことなんですよ。そのことを否定するわけじゃありませんけども、そういった中で一石を投じたということについては尊敬も申し上げます。
 その中で、知事の手紙には、新理事長の板倉先生──先ほどは申し分のない、かねてから立派な方やと思っていると、こういうことでしたね。では、あのお手紙に書いてた、「望ましくない」という表現を使われておりましたね。あるいは「時期を選んだらどうですか」と、こういうふうに書いてました。
 この点についての説明がないように思いますんで、お答えいただきたいのと、そもそもそういった、知事は3人の方々、候補者それぞれについて時期を選べと、あるいは潔く云々ということがございました。そういった方しか出なかったという、僕は医大についてちょっと残念なんです。もうちょっと立派な方が推薦人10人集めて立候補してくださってたらいいのにな。この3人しか選択肢がなかった。こういうところを疑問に思うんで、結局、候補を選ぶ基準、投票の基準は、人格が高潔で学識がすぐれ、大学の教育研究活動に適切、効果的な運営能力を有する者と、こうやって選ばなあかんのに、果たしてこういった補助金の不正をした方が、あるいはそれを管理監督できなかった方が人格が高潔で学識にすぐれ、適切な運営ができる人と言えるんかなと、こう思ったんです。
 もう1点は、県の職員さん、あそこで働いてますね、派遣で。県の職員さんは、平成7年に和歌山県が大騒ぎしてえらい目に遭うたことをわかってるわけです。つけかえやの、買いかえやの、預けやのということは。それで、先輩方の分を払わされてきたとわかってるわけですね。その事務を知ってる人が医大へ行ったときに、疑問を持って、つけかえやら預けやら普通はしそうなもんやのにやってないかの、やってあるんやったら直さなあかんの違うかのと、この勇気が僕は何で職員さんにないんかな。あそこへ行って仕事するのに、県庁で大騒ぎした経験持ってたら、ちょっと勇気出して「改めませんか」と言うておったら、今回のような事態は防げたんじゃないか。そのようなことも思うわけでございます。
 で、もともとに戻りまして、指導するという表現ございました。しかし、どこを読んでも指導する根拠はありません。関与するな、自主性に任せろ、事後評価でいけ、事後評価でうまいこといってなかったら中期計画の目標を変えたり定款変えたり、そういったことは県議会も多少コミットできますけども、日ごろの運営は、朝も中村さん、先輩言うてましたけど、やっぱりお金渡すだけで、どうぞ頑張ってよと、成果上げてよしかないんですよ。そんな中で、先ほどのように促すとか厳しく見守る、ここまでは言えたとしても、指導するというところまで言えないんじゃないかな。指導すると言うんであれば、やはり88条を使って、是正命令という権限を使わないことには是正されない、できていかないんじゃないかな、このように思ったんで、もう1点、その点お答えいただきたいと思います。
 文科省も、返してくださいよではありません。返還命令です。そうやって行政は動くと思いますんで、その点、お答えいただきたいと思います。
 以上です。
○議長(冨安民浩君) 再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、板倉次期理事長の人物に関してでありますけれども、私がお手紙の中でも書いてありますように、人格については別に問題はないけれども、しかし、現実に不適正経理を行ってしまった。行ってしまったということについては事実だし、その量も結構大きいわけですから、したがって、それ自体として問題であるということに加えて、名前等々からくる、つまり不適正経理とか、そういうような名前からくるところの悪意とか、そういうことについても、きっと世の中の人は、それを想像して和歌山県に対していろいろな不名誉なことを、和歌山県にとって、あるいは和歌山県立医大にとって不名誉なことを思うに相違ないと。それを恐れたもんですから、人物については問題はないと思うけれども、だけど時期を選んだらどうですかと、一度きちんと反省をして、しばらくたってからまた再起を期したらどうですかというようなことを私は申し上げたわけであります。
 しかしながら、一方では、そのときも書いてありましたように、それから、実はそれは手紙で書いただけじゃなくて、選挙になりましたので、とうとう願いがかなえられなくて選挙になりましたので、しばらくは選挙妨害はしちゃいかんと思って黙っておりましたけれども、その前も直接あるいは間接に本人に届くような形で──直接というのはちょっと間違いですが──間接的に本人に必ず届くような形で、そういうふうにしたらどうですかということは、助言は申し上げたつもりであります。しかしながら、それは聞いてくれなくて、それで選挙になった。で、しばらくは黙っておった。それで、やっぱりきちんと物は申しとかないといけないんで、大学人として、皆さんはそれでいいんですかということを申し上げた。
 しかしながら、大分議論があったようでありますけれども、最終的には大学の中で再選挙をしようとか、考え直そうとかいうところが多数になることはなかったので、しばらく時期を置いて、したがって、それでは次のステップに入りましょう、こういうものを放置する、あるいは、たとえ私が設置者として、設置者であるにもかかわらずいろいろリコメンドをすると、それが内容にかかわらず大学の自治に反するというような発言をする方もいましたから、そういうことでは、仮に、例えば地域医療にもう少し手を抜きたいなどという大学の意思ができてきたら、それに対して制肘することは難しくなりますから、そこのところは大学の意思決定システムについても、もう少し県民の意向を踏まえた、県当局がきちっと関与できるようにしたらどうだというふうに今は思っておりまして、板倉さんもそれについては協力しましょうということでありますので、それじゃ板倉理事長ということで、大学の総意を──大学人の総意ですね──尊重しましょうかというふうに今思いまして、また2回目のお手紙をお書きしたところなんであります。現在はそんな状況でございます。
 それから、第2点目の法律の援用でありますけれども、これは、もちろん和医大が全く言うことを聞かない、あるいは我々として不満足なことしかしないということであれば、それを、伝家の宝刀を抜いて法律に基づく措置を求める、命令するということは当然あっていいと思います。ただ、今のところ、和医大の方々も大変反省をしておりまして、我々に協力をして、いろんな再発防止のための仕掛けを工夫してくれています。当分はそれで、その方向でよろしいんじゃないか、法律的な、要するに要式行為と私ども申し上げますが、要式行為をとる必要はないんじゃないかと思いましたので、そういう状態で今いるわけでございます。
○議長(冨安民浩君) この際、申し上げます。
 所定の時間が迫っておりますから、答弁者は簡潔明瞭にお願い申し上げます。
 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) PTAの皆様方には、日ごろから教育のために大変大きなお力添えをいただいておるところでございまして、議員の御意見は、このPTA活動のベースになる会費について御心配いただき、また応援いただく大変ありがたい御意見であるというふうに思います。ただ、制度的には、これを条例、規則で決めるというのは、PTAの独立性を侵すことにもなるというふうにも思いますので、今後とも……(「いや、違うんや」と呼ぶ者あり)PTAと──今PTAの事務局と十分相談をしておりまして、各学校でだれがどう説明をしていくか、会費の徴収方法をどうするかというようなことについて綿密な打ち合わせをしているところでございます。
 今後とも、PTAと連携をしてサポートに努めまして、議員のお気持ちにこたえていきたいというふうに考えます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 所定の時間まであと1分でありますが、再々質問を許します。
 26番中 拓哉君。
○中 拓哉君 知事、わかりました。ぜひ、私らも県議会でできる権限は、定款の変更とか計画の変更とかそういったこと、あるいは極端に言うたら解散するときとか、そういうところしかないもんですから、本来は自主性にゆだねて、私も患者としてお世話になって治してもうた経緯もあります。感謝してます。医大には頑張ってもらいたいと思います。そういうことの環境が整うように、やはり自浄能力を発揮してもらいたいな、そういうことをこいねがいます。
 教育長には、もう理屈でそれしか言えないのはわかりますけども、お金使われてる実態は何もPTAだけじゃないんですよ。ほとんどやっぱり学校のほうに協力してるんですから、そこをもっと真剣に悩んでいただいて、県下の高校運営が1年間支障のないようにお願いしたい。こういうことをお願いしまして要望といたします。
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中拓哉君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 7番門 三佐博君。
  〔門 三佐博君、登壇〕(拍手)
○門 三佐博君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 去る3月5日から4日間にわたりまして、本会議場におきまして一般質問が行われましたが、各議員の方々から、それぞれの地域の抱えてる諸問題や県政全般について、将来の展望など幅広い課題につきまして、提言を交えて、知事初め県当局の意見をただされました。私も、皆様方の質問を聞かせていただきまして、また答弁も聞かせていただきまして、大変勉強になりまして、感銘をいただいた次第でございます。
 私ども県議会議員は、選挙において選挙民の皆さんの負託にこたえ、議会において発言することが大きな使命であることは言うまでもございません。私も、この議会を通じまして、住民の声を代表する形で知事や関係部長に質問させていただきますので、適切な御答弁をお願い申し上げます。
 さて、仁坂知事におかれましては、先ほどの本会議におきまして、我が自由民主党の県議団、吉井和視会長の質問に答え、「和歌山県勢の発展のため改革はやめられない」と力強く再出馬の表明をされましたが、私も仁坂知事の日ごろまじめでひたむきに県政のために取り組んでこられた姿勢を高く評価いたしまして、及ばずながらでございますが、微力を尽くして御支援をさしていただく決意でございます。
 中国山東省の友好促進強化につきまして、報告とお尋ねいたします。
 関西国際空港と中国山東省の済南遥墻国際空港の間に山東航空の定期便が就航したことに伴い、下副知事を団長に、冨安民浩議長、松本貞次議員、中村裕一議員と私から成る訪問団及び関西経済連合会、関西国際空港株式会社などから、県内経済団体や企業の方々、総勢50余名が山東省を訪問いたしましたので、その訪問の概略を、質問に先立ち、皆様方のお許しを得まして、私が代表して御報告させていただきます。
 まず、3月2日、関西国際空港において開催された山東航空主催の初便記念セレモニーに参加しました。その場には、下副知事はもちろん、在大阪中華人民共和国総領事館から鄭総領事、関西経済連合会から奥田専務理事、関西国際空港株式会社から福島社長などが出席され、定期便就航を盛大にお祝いすることができました。
 その後、山東航空機で済南市へ赴いたわけではありますが、関西国際空港を飛び立ってからわずか3時間ほどで済南市に到着いたしました。今までは北京経由、あるいは青島経由でほぼ1日がかりで済南市を訪問していましたことを思うと、直行便の就航がいかに大きな意味を持つか肌で感じた次第でございます。
 済南市では、まず山東省の才利民副省長を初めとする省幹部の方々と会談いたしまして、両県省の観光、新エネルギーや薬品などに代表される新産業の振興、環境分野では国際協力などにつきまして、今後ますます交流を盛んにしていくことに合意いたしました。
 翌3日には、まず山東航空本社を訪ね、張幸福山東航空会長などにお会いいたしまして、定期便開設のお礼を述べるとともに、今後の増便のお願いもいたしました。今回同行していただきました関西経済連合会の田辺理事や関西国際空港株式会社の島田常務からも、韓国のGDPに匹敵する経済規模を持つ関西地域の特性や、日本の空港の中で中国路線の就航都市数が最大である関西国際空港の重要性などを御紹介いただきまして、和歌山県を含む関西地域と山東省の連携を強く訴えてまいりました。
 また、その後、済南市人民政府を訪れまして、陳先運済南市副市長との会談も行い、ここでも定期便就航のお礼や今後の増便のお願いをいたしましたところです。
 それから、今回の訪問の機会を利用して山東省の科学院の視察もあわせて行ってまいりましたが、ここは、本県と山東省の友好提携10周年を記念して、和歌山県から山東省に贈呈したバイオテクノロジー関係の農業研究機材が14年を経た今も研究に活用されております。これらの機械が山東省科学院の生物研究部門設立の基礎になったとのことであり、今までの交流がこのような具体的な形で結実していることを目の当たりにいたしまして、大変うれしく感じました。
 また、移動の途中で、昨年10月に山東省で行われました日本の国体に当たる全国スポーツ大会で利用されました競技施設も見学する機会を得ました。6万人収容の大変立派なスタジアムや体育館、屋内プールなどが建設されておりました。近くには外資系ホテルも新たにできており、中国のスポーツ振興への取り組みと、それを支える力強い経済発展を実感したところであります。
 空から眺めますと、山東省は一面の雪景色でした。済南市はまだたくさん雪が残っておりまして、和歌山に比べるとやはり寒さが厳しく感じられましたが、お迎えをいただきました山東省や済南市、山東航空の皆様には、その寒さを忘れるほど熱のこもった対応をしていただき、大変感激いたしました。
 今回の私たちの訪問を契機に、和歌山県と山東省の関係がより一層緊密なものになることを祈念し、報告を終わりたいと思います。
 それでは、質問をさせていただきます。
 済南との定期便就航により、和歌山県と山東省の人的交流はますます活発になると思われます。今回は県内観光関連業界の方々とも御一緒させていただきまして、山東省旅遊局の方々とお話をする機会がありましたが、山東省から観光客増加も大いに期待されるところであります。また、文化や経済貿易でも山東省との関係をさらに強化していくことは大変重要だと思います。
 このような状況のもと、和歌山県として、今後の山東省との交流にどのような取り組みをされていかれるのか、知事にお伺いいたします。
 次に、県立医科大学紀北分院の開院後の取り組みについて要望させていただきます。
 伊都地方では、長年にわたる大きな課題でありました、私の住んでおりますかつらぎ町妙寺に設置されています県立医科大学紀北分院の改築による充実につきましては、仁坂知事が就任直後の御英断によりまして建設されることになり、平成19年度から工事に着工いただきまして、足かけ4カ年がかりで、関係皆様方の多大な御尽力によりまして工事も着々と進行され、おかげさまで本年の10月ごろには新装開院ができる運びと伺っています。病気で御入院中の方々や通院されてる方々、地域の皆様方からは、一日も早い開院が期待されています。多額の県費を投入していただくなど、種々御尽力賜りました県当局に深く感謝いたします。
 開院後の診療機能については、1、総合診療、2、緩和ケア、3、脊柱・脊髄(スパイン)センターとなり、プライマリーケアの提供として内科を中心とした総合診療がうたわれていますが、目下、内科医師の不足や一般外科、産婦人科の廃止などにより、地域の方々からは大変不安がられております。
 先日、伊都医師会長の横手英義先生の御意見を伺ってまいりましたが、この地域は高齢者も多く、さらに高齢化が進むものと見られていますので、高齢化対策、夜間・休日の救急医療体制の確立が急務であるということも伺いました。また、紀北分院をよくしていこうとして設立されました女性を中心とした民間ボランティア団体である「あすなろ会」という会がございますが、ここの会員の方々も、平素、入院患者の方々に激励をいたしましたり、周辺花壇の手入れなど、熱心に紀北分院をよくならすために取り組んでいただいておりますが、この方々や地元自治会からも外科の科を復活していただきたいという強い要望もいただいております。
 それで、次の点について前向きなお取り組みをいただきたく、強く要望いたします。
 1つ、開院後の充実について、2、高齢者対策について、3、夜間・休日救急医療体制強化について、4、外科の復活につきまして、県及び和医大当局の御尽力をお願いいたします。
 私は、県議会議員に当選させていただいて以来、地域の発展は道路の整備充実にあるということを常に念頭に置いて取り組んでまいりました。皆様方の御尽力をいただきまして、おかげさまで地元の道路も大分よくなってまいりましたが、まだまだ地域の要望が実現できないことも多く、道路の整備について知事に質問させていただきます。
 昨年の8月31日の衆議院議員選挙におきまして自民党の敗北により政権が交代し、新政権は「コンクリートから人へ」といったキャッチフレーズを掲げている中、初めての編成となった国の平成22年度の公共事業予算について、大幅な削減が予想され、道路事業予算においては非常に厳しい状況と聞いております。そうした中、幹線道路ネットワークを初めとして、まだまだ整備の必要がある本県の道路整備に対する現状や今後の見通しなどについてお伺いいたします。
 まず、京奈和自動車道の整備についてでございますが、和歌山県の成長、発展のために、特に紀北地方には不可欠な道路ネットワークであると考えております。平成19年に奈良県境から高野口インターチェンジまでの橋本道路が全線供用され、奈良県内での五條道路併用とあわせ、時間短縮や国道24号の渋滞緩和など、顕著な整備効果があらわれているところであります。
 現在、高野口インターチェンジからかつらぎ町や紀の川市の至るところで工事が目に見えて進んでいる状況であり、この道路整備の推進に尽力してきた1人として、ようやくここまで進んできたのかなと喜んでいるところでございます。
 引き続き、道路の効果が最大限に発揮されるためには、平成27年の国体開催時までの全線開通が重要であると考えておりますので、京奈和自動車道の整備の現状と今後の見通しについてお伺いします。
 2点目としまして、国道480号鍋谷峠道路及び県道那賀かつらぎ線についてでございますが、国道480号は大阪府と伊都・那賀地方を結ぶ府県間道路であり、その早期整備は地域住民にとって長年の悲願でもあります。仁坂知事就任以来、国交省、また大阪府等へ大変足を運んでいただいて御尽力賜りまして、平成20年度に府県間3700メートル余のトンネルを含む鍋谷峠道路が国交省において直轄権限代行事業として新規採択され、また、ことしの1月21日には、県において事業中でありました平道路が完成するなど、国道480号は最近著しく進捗してきております。今後、鍋谷峠道路促進についての取り組みについてお伺いいたします。
 このような状況の中、鍋谷峠道路が完成すると那賀かつらぎ線の重要性はますます高くなり、交通量も大幅に増加すると思われますが、現状では幅員が狭く、車両の対向が困難であるため、一日も早く当該路線の抜本改良が必要と考えますので、今後の整備につきまして、そして見通しにつきましてお伺いします。
 3点目といたしまして、高野山環状道路についてですが、高野山は、年間120万人以上もの参拝客や観光客が訪れる本県で誇れる宗教と観光のまちであり、平成16年7月の世界遺産登録を契機に外国からの来訪者も急増しております。
 交通手段につきましては、南海電車でケーブルカーを乗り継いでのアクセスもありますが、大多数の方は車や観光バスで来訪しております。高野山に至る道路としては、国道370号、371号、480号等があり、幅員が狭く急カーブが連続しているため、従来より県におきまして、国道370号花坂拡幅や国道480号の花坂─大門拡幅等、改良事業に取り組んでいただいてるところであります。しかし、高野山内中心部につきましては、幹線道路である国道371号、480号が通っていることから、交通が集中し、大型連休等の休日には激しい交通渋滞が発生しております。さらに、高野山が信仰の聖地、世界遺産として静寂な環境にそぐわない状況にもなってきております。
 また、高野町を初め地元の関係機関を代表する方々から、こういった状況を説明し、今後、高野町が進めるまちづくりを行うためにも、平成27年の高野山開創1200年記念大法会に対し、金剛峯寺を初め関係機関が今準備の真っ最中ですが、この大法会に対応できる交通環境や宗教観光都市として静寂な地域の確保にどうしても環状道路の整備が必要であると、先日来、町関係の方々が知事に訴えたと聞いております。
 そこで、この高野山環状道路に対する知事の御認識と今後の整備についてお伺いします。
 次に、農業問題についてお尋ねいたします。紀の川流域の基幹品目である柿の振興についてお尋ねします。
 柿産地では、今ちょうど農家の皆さんが、ことしの柿はいい果実になるようにと剪定作業などに忙しい日々を送っているところであります。そんな中で、今、農家の皆さんはなぜか元気がないような感じがいたします。話を聞いてみますと、柿の販売価格がこの10年ぐらい低迷が続いておりまして、昨年では市場価格キロ当たり200円を切るような状態で、肥料や農薬の生産資材の高騰もあって採算がとれないとの、一部収穫するのもあきらめたといった農家の話もありますが、このような窮状は、本年2月15日付「産経新聞」県版、「ズームアップ2010」、「“三重苦”で活路模索」との見出しで掲載されておりました。
 本県の主力果実である梅、桃、ミカンも同じような状況であり、仁坂知事も、これまで行われました県行政報告会で、こうした農家の悲鳴にも似た声を聞かれたことと存じます。一体どうしてこうなってきたんでしょうか。
 確かに、一昨年のリーマンショック以来、消費不況が続いており、安いものしか売れないと言われ、果実についても買い控えの傾向が強まり、価格低下を招いております。現在、景気も一部に持ち直しの傾向が見られるといった新聞報道もありますが、農業はまだまだ厳しい状態が続いております。また、米などの必需品と違って嗜好品として位置づけられている果実は、買わなくても済むといったことも原因の1つではないかと思っております。
 こうした中で、農家の皆さんは価格の高い9月中にできるだけ出荷しようと、暑い中、環状剥皮などの作業に汗を流しており、また地元農協においては、高品質な果実を出荷していくために糖度を測定できる光センサーを備えた選果機や選果場の導入も計画しているところであり、さらに幅広い販路を確保するため、柿の加工品づくりや輸出などの農家の努力を得ながら、今考えられる対策を打っております。光センサーを備えた選果機は非常に高額な機械でありますが、こうした選果機を持たないと市場で評価がされないと言われ、農家負担も伴って厳しい家計に拍車がかかるということも懸念されてるところであります。
 国の農政も、米の戸別所得補償に予算の重点が置かれるなど、大きく転換したわけでありますが、本県のような果樹県にとって本当に必要な選果場整備のための補助金が事業仕分けの中で縮減されるという事態も生じておりまして、この中で、県では補助金の確保のために大変御苦労いただいておりますが、もし補助金が十分確保できなかった場合、地元にどのような影響が出るのか心配しております。
 最初に申し上げましたとおり、紀の川流域の柿は全国生産量の2割を占める地域の基幹産業であります。柿産業の発展をなくしてこの地域の発展はないと思っております。
 そこで、農林水産部長にお尋ねいたします。
 こうした情勢を踏まえて、地域の柿販売のための対策、柿振興のための対策として、県としてどう打っていかれるのかお聞かせ願いたいと思います。
 以上で、一般質問を終わります。皆様、御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの門三佐博君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、今回、関西国際空港から山東省、済南市への定期便就航に当たり、山東省を訪問されました議長を初め議員の方々並びに県民の皆様方に、両県省のきずなをさらに強くしていただきましたことについて、この場をおかりして厚く御礼申し上げたいと思います。
 考えてみますと、平成19年11月に、当時の中村議長以下、多くの議員の方々と御一緒して山東省を訪問さしていただきまして、その際に先方の姜省長からこの件についてお話がありまして、私も微力ながら国交省などへの地ならしなどに協力をした覚えがありまして、非常に感無量の気持ちがあります。
 山東省との交流につきましては、昭和59年の友好提携締結以来、訪問団の相互派遣等の交流を行ってまいりました。先ほど申しました平成19年の訪問時には、和歌山県・山東省友好交流関係の発展に関する覚書を締結いたしまして、環境、経済貿易等、さまざまな分野において実質的な交流を進めております。中でも観光につきましては、昨年の12月に山東省旅遊局との間で観光交流促進のための覚書を締結いたしまして、両県省の観光関係者が相互に訪問を行うなど、具体的な取り組みも始まっており、今回の済南市との定期便就航は、特に観光面のメリットが期待されるところであります。
 御承知のとおり、中国経済は、一昨年のリーマンショック以来、世界経済が停滞状況にある中で、そのショックからいち早く脱却し、着実に成長を遂げてきております。こうしたエネルギーを取り入れまして、本県の成長につなげるために、今後も幅広い分野で庁内関係課が緊密な連携を図りながら、民間企業や団体とも手を携えて山東省との関係をより一層深めてまいりたいと考えております。
 次に道路関係でございますが、まず第1に、京奈和自動車道の整備についてでございます。
 高野口インターチェンジから打田インターチェンジまでの紀北東道路では、ほぼ全線で工事が現在推進されておりまして、残る用地についても用地取得に必要な事業認定の手続が進められており、かつらぎインターチェンジにつきましては平成23年度、打田インターチェンジについては平成24年度の供用を目標に、国において事業が進められております。また、打田インターチェンジから和歌山ジャンクションまでの紀北西道路では、用地取得が進められているとともに、紀の川市において昨年6月に工事着手がされるなど、事業の推進が図られているところでございます。
 しかしながら、国の来年度予算、これは非常に厳しい状況でございまして、県としては、今後もぜひ平成27年度までの全線供用に向けまして、国に対して必要な予算の確保を働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、国道480号鍋谷峠道路及び県道那賀かつらぎ線の整備についてでございます。
 国道480号鍋谷峠道路及び県道那賀かつらぎ線の整備につきましては、大阪府との連携交流を強化いたしまして、紀北地方への企業誘致や世界遺産である高野山へつながるルートとして非常に重要な道路と認識しております。
 まず、鍋谷峠道路につきましては、平成20年度に直轄権限代行事業として新規採択されて以降、用地取得や工事着手に必要な測量、設計、これが進められております。県としては、早期整備に向け、用地の取得やトンネル工事の着工へと、さらなる事業進捗が必要だと考えておりまして、今後も大阪府と連携し、国に対して必要な予算確保と円滑な事業推進を働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、県道那賀かつらぎ線につきましては、議員御指摘のとおり、国道480号の鍋谷峠道路や大阪側の父鬼バイパスが供用されますと、国道24号へ連絡し、さらに高野山へ至るルートとして今後交通量が大幅に増加することが予想されます。したがって、抜本的な改良が必要になっているわけであります。このため、この道路の整備について今議会に補正予算を計上さしていただき、事業着手することといたしまして、今後、地元や関係機関との調整を密にしながら、この早期整備に努めてまいります。
 次に、高野山の環状道路整備についてでございますが、高野山内の国道371号、480号については、山内の幹線道路でありながら、同時にX軸ネットワークを形成する県内全体の幹線道路でもあります。このため、御指摘のとおり、観光シーズンには著しい渋滞が発生することもありますし、それから、場合によっては木材を積んだトラックが県南部のほうからずっと北上して山内を通過するなど──これは高野山の観光とは全く関係ないわけでありますが──高野山にふさわしくない交通環境となっているわけです。また、大型車の通過や渋滞による排気ガス対策など、世界遺産地域における自然環境の保全対策も必要となっております。
 そうした中、高野町を初めとして地元関係機関を代表する方々から、高野山の静寂な環境の確保、安心・安全なまちづくりなど、さらに平成27年の開創1200年を機に高野山環状道路の整備を求める強い要望もいただきました。こうした御要望を踏まえ、高野山内の幹線道路にかわるバイパス道路については、山内から通過交通を迂回させることによる交通渋滞の緩和や、世界遺産地域としての環境保全、さらに今後の高野町のまちづくりに必要であるため、補正予算で事業着手さしていただいたところであります。
 今後、具体的な計画について、地元の皆様の御意見を伺い、関係機関とも調整した上で早期整備に努めてまいりたいと考えております。
○議長(冨安民浩君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 農業問題、とりわけ紀の川流域の基幹作目である柿の振興についてでございますが、本県では、刀根早生という品種の産地化によりまして、柿の生産が飛躍的に拡大をし、全国に誇り得る日本一の柿産地が形成をされてございます。こうした産地の維持拡大を図るために、県のかき・もも研究所を中心に、生産者や地元JAなどで構成をしてございます柿研究協議会等との連携を図る中で、9月出荷が可能で市場価格が高い中谷早生等の極わせ品種への転換や、刀根早生の環状剥皮、マルチ、また摘葉の3点セットと言われる早期着色対策によりまして出荷の平準化に努めているところでございます。
 今後は、このような前進出荷対策に加えまして、極わせ品種の大玉化や、11月以降の新品種の導入の検討を進めるとともに、改植による産地の若返りや省力化のための園地整備を推進し、将来を見据えた活力ある産地の育成に努めてまいりたいと考えてございます。
 一方、高品質果実の安定供給と流通の合理化を図るため、順次選果場が整備をされてきてございますが、現在、かつらぎ町にございます5つの選果場を1カ所に統合整備が進められつつございますが、県といたしましても、事業予算の確保に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えてございます。
 また、販売対策につきましても、これまで生産者団体と連携をし、トップセールスやマスメディアを通じたブランド力の強化、量販店等との協働によるフェアの開催、さらには東南アジアなどをターゲットにいたしました国際見本市や現地百貨店でのフェアなどに取り組んできてございます。
 今後とも、こうした選果場の統合整備などを契機にいたしまして、生産者団体と一体となって、さらに販売数量の拡大、あるいは取引の継続化に向け積極的に取り組み、柿を基幹とした産業としての農業の振興に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 以上で、門三佐博君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
 お諮りいたします。議案第1号から議案第16号までは予算特別委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次に、議案第31号から議案第46号まで、議案第48号から議案第59号まで及び議案第61号から議案第83号までは、お手元に配付しております議案付託表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
 次に日程第4、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
 なお、委員会の会場はお手元に配付しておりますので、御了承願います。
 お諮りいたします。3月11日、12日、15日及び16日は委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 御異議なしと認めます。よって、3月11日、12日、15日及び16日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、3月17日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時37分散会

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