平成22年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 44番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。
 第1の柱は、和歌山方式の学力向上として提案されていることにかかわってであります。
 学力向上というのは、学力テストで追い立てたらいいというものではありません。仁坂知事は、「学力テストの点数を上げる方法を私は知っています。それは、よく似た問題で事前に模擬テストをすることです」という発言をされたことがあります。点数だけを問題にすれば、現場の先生をそんな方向に追い込み、学校現場にゆがみをもたらす。それではいけないということでしょう。これは卓見であると私は思っているわけでございます。
 教育委員会の施策には、「教育の匠」という言葉が出てきます。力量を持った教員から学び、学校と教員の教育的力量を引き上げようということでしょう。
 私は、教職員組合の役員をしていたころ、教育研究集会があれば、できるだけ現場の先生の実践に耳を傾けるようにしました。そこで、「これはという実践をお聞きします」と、私の定番の質問をしたものです。「先生は、そんな子供の見方や教育技術をどこで身につけられたのですか。先生の教員としての生育史を聞かせていただけませんか」、こうお聞きしますと、私の質問を受けて、その教員は語り始めます。「私が教員になって初めて赴任したのは○○小学校でした。気負い込んで子供に向かったのですが、すれ違いで子供がついてきてくれません。そのとき助言してくれたのが先輩のA先生でした。A先生に子供をどう見るかを教えてもらうとともに、A先生が得意にしている人形劇を教育に取り入れることを学び、粘土をこねて子供と一緒に人形づくりに夢中になりました」、まあこんな話が返ってきたものです。これこそが「教育の匠」に学ぶということだと思います。
 しかし、それは学校にゆとりがあってこそできることです。新任教員を支援する初任者研修でも、その基本は、担任している子供たちに責任を持って向き合いながら悩み、試行錯誤し、そのことを周りの先生が支援し、周りの先生から学ぶことにあると思うわけでございます。
 しかし、今学校現場で行われている初任者研修はそうなっているんだろうか。数年前に、文教委員会が地域を回って、地方教育委員会や校長さんたちの御意見を聞かせていただいたことがあります。そこで、ある地域の教育長さんから、新採の研修のあり方について、膨大な資料の提出ということで、それに時間が割かれて大変だという御意見をいただきました。現場の先生方からも、とにかく忙しい、書類に向き合うより子供と向き合いたいという思いが語られます。大事なことは、上からの押しつけでなく、学校現場に自由とゆとりを取り戻すことであると思います。
 先日、和歌山大学の山本健慈学長と懇談したのですが、そこで学長が言われたのは、「受験競争をくぐって和歌山大学に入ってきた学生が教員になれるように心のリハビリテーションをしなくてはならないのが大変です」という言葉でした。今日の社会状況、競争社会の中で、学生が18歳まで生きてきて、人間的未達成の課題を抱えて大学に入ってくる、受験競争を勝ち抜いてくればくるほど、教員になるための大事なものを、ともすれば失いがちになる、それを支援することが大切だという意味でしょう。大変大事な観点だと思いました。その立場からも、教員採用試験に勝ち抜いた皆さんに研修、研修と追い立てるだけでいいのかと思うわけでございます。
 次に、現場の先生を支援する問題として、退職教員を派遣すると言われます。それも1つですが、私は、経験を持った教員が学校の外で学校を支援することができないのかとも考えています。
 最近、NHKで何度か放映された「門真っ子」という大阪の門真市の退職教員の皆さんの取り組みは、学校の休みの日に子供たちの学力補充を含めたサポートをする取り組みです。いい取り組みだと思いました。
 こんなことを踏まえて、教育長にお伺いいたします。
 第1点は、学力向上のために、初任者研修を含めて教員の力量をつける機会を保障するためにどんなことを考えていらっしゃるのでしょうか。
 第2に、和歌山大学の学長とお話しした折も、県教育委員会と連携して和歌山の教育をよくしていくためのさまざまな構想をお持ちのように伺いました。どんなことを進められようとしているのでしょうか。また、知事は最近、山本学長と対談されて──間もなく放映されるそうですが──山本学長は、恐らく私が紹介したようなことも語られたのではないかと思います。どういうふうに受けとめられたのか、お話しいただけたらと思います。
 第3に、子供の学力を高める、学校を支援する活動で門真っ子の活動というのを紹介しました。こうした活動は和歌山にもたくさんあると思いますが、どういうぐあいに支援しておられるのでしょうか。
 第2の柱として、子供の貧困と教育費の問題についてお伺いいたします。
 日本の教育費が余りにも高過ぎる。このたび高校授業料無償化が実現の運びになったことは歓迎します。県として、留年生についても無償化が実現される。先日の知事の説明は大変よかった。留年生というのはいろいろな事情がある、それを切り捨てるとは何事かという御説明には大変感銘を受けました。すべての施策にこういう観点でやっていただけたらと思います。しかし、これまで授業料免除を受けていた、減免を受けていた本当に苦しい家庭には何の支援もありません。問題の最終解決ではなく、さらに新しい問題が出てくるように思われます。
 1つは、PTA会費を初め、教育費保護者負担の高さが改めて浮き彫りになったことです。
 文部科学省の調査によりますと、授業料以外のPTA会費を含めた納付金、教科書や実験実習材料費、学生服やスポーツウエア、修学旅行費用などは年24万円に上っています。これまでは、PTA会費は高校授業料とセットで徴収されていました。PTAの役員の皆さんは、これから会費等徴収で御苦労なさることと思います。徴収手続をどうするのか。減免基準はどうなるのか。それ以上にPTA会費や学校納付金についての疑問が保護者から出されるのではないかと思います。どういう課題が出てくるのでしょうか。
 次は、貧困から子供を守るという問題です。
 先日、貧困から子供を守るシンポジウムが開かれました。「保健室から見える子どもの貧困の実態」という報告の資料をお手元にお配りしています。特に保健室から、養護教員の目から見ると、非常に子供の貧困の実態がよく見えるという報告でございます。
 1枚開いていただきますと、緑色のページがあって、その最初に和歌山からの報告があります。その次に、埼玉の養護教員の方は、食の問題を中心にして子供の貧困について報告しています。夏休みになると、やせる児童生徒がここ3年ぐらい増加している、こういうことが言われています。それは、給食が1日の栄養源になっている、そういう子供がいるということからくるということです。
 私は、この問題で和歌山市内の養護教員の方からお聞きをしてみました。お弁当を持ってこない子がいる。「どうしたの」と聞くと、「忘れてきた」と言う。子供は、親がつくってくれないとは絶対に言わない。この子供の心情を皆さん、想像していただけると思います。小学校からの申し送りで、給食だけで栄養をとっている子がいる──ここでも話が出ました──そして、友達のお弁当を分けてもらって食べている子がいるともお聞きしました。
 食との関係だけで申し上げましたが、医療との関係、副教材や遠足費用の問題、いろいろあります。子供は、こうした貧困を背負って高校に進学していくわけです。学歴をつけないと貧困の連鎖が起こります。その連鎖を断ち切ろうと子供自身が必死でもがいている実態がシンポジウムでも大学生から語られました。
 単親家庭の女の子が看護専門学校へ入った。奨学金を受けたが、それだけでは生活できないので、アルバイトで体を壊した。今、学校をやめて働きながら奨学金を返している。お金を返してから、また学校に行っている。そういう報告でありました。奨学金というのは、学校を卒業したら安定した収入を得られるから、それで返済すればいいという考え方ですが、今日の状況は、学校を出ても安定した職につけない、収入が少ないので結婚もできないという若者が大量に生み出されているわけでございます。そうした中でどうすればいいのか。
 こうしたことを踏まえて、教育長にお伺いいたします。
 第1に、県教育委員会として、子供の貧困の実態をどう把握しておられるのでしょうか。
 第2は、セーフティーネットとしての就学援助、小中学校ではそれをもっと受けやすくしなければなりません。さらに、県内では小中学校での就学援助受給者が1万297人に達していますが、この子供たちの多くが高校に進学しています。しかし、高校では就学援助はありません。就学援助あるいは給付型奨学金が必要だと考えるわけでございます。また、定時制、通信制の教科書・教材費や補食給食費の補助制度の改悪は高校教育無償化への流れに逆行するものだと思いますが、もとに戻してはいかがでしょうか。
 第3は、学校給食の問題です。私がいる海南市でも、中学校の学校給食が実施されていません。それは市の責任に属することですが、子供の実態や食育基本法、学校給食法の趣旨をもっと理解してほしいという思いがあります。その辺の啓発を県教委のほうからもしっかりやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 以上、教育長からお答えいただきたいと思います。
 第3の柱として、地場産業への支援についてお伺いいたします。
 海南・海草地方は地場産業が多い地域です。家庭日用品業界は全国シェアの85%を占める。また、下津を中心にした内航海運業は、県下の半数の事業者、船舶がここに集まっています。こうした地場産業を活性化するための施策についてお伺いいたします。
 第1は、事業資金の問題です。私も、地元民主商工会から要望いただき、融資の問題で一緒に関係方面に相談に行かせていただきます。一昨年末からの経済金融危機と経済対策のもとで、中小業者への資金繰り支援などは確かに進んでいる面があると感じていますが、金融支援はどのように進んでいるのか、お答えください。
 第2は、それでもなかなか利用できないと悩んでいるという話もお聞きします。例えば、成長サポート資金というものがあります。経営革新計画や地域資源計画などを作成して認定を受けるなどした場合、年金利1.8%以内で融資が受けられる。しかし、私に話した方は、「制度が使いにくい。設備資金の場合は融資期間は7年以内だけれども、貨物船を建造した場合は、減価償却は税法上14年。実際は20年は使います。もう少し長くなりませんか」と言われます。成長サポート資金を初めとする設備投資のための資金について、融資額、融資期間はこれ以上延長・拡大することはできないのでしょうか。
 第3に、県としては、成長サポート資金を含めて、新製品の開発、受注開拓など、経営革新とセットで地場産業を支援するメニューをお持ちと思います。こうした支援策はハードルが高いのではないかという話も業者の皆さんからお聞きするときがあるんですが、さまざまなメニューを業者の皆さんが使いやすいように知らせていく、アドバイスをしていくということが大事だと思いますが、いかがでしょうか。
 第4に、公共事業にかかわって幾つかお伺いいたします。毎年、予算議会では工事箇所表というものが配られます。その幾つかについてお伺いいたします。
 第1は、海南市JR黒江駅の南を通る岩出海南線の拡幅であります。
 初めは、小規模道路改良事業でしたが、数年前から県の補助事業となり、工事の進捗が期待されます。今、この近くのJR黒江駅ではバリアフリー化の工事に入っています。バリアフリーの観点からも、すぐそばにある岡田踏切の改善が求められます。歩道をつけようとすれば、踏切の幅を広げなくてはならないと思います。以前、こうした場合にはJRとの折衝は難しいと聞いたことがあるんですが、JRの協力は最近は得られるんでしょうか。見通しはいかがでしょうか。
 第2は、日方川整備についてであります。
 東橋のかけかえが終わり、工事が進んでいますが、河川改修のために立ち退きいただいた土地が10年ほど放置されていることなどあって、どう進んでいるのだろうという声がございます。また、この上流の重根地域は、大規模な区画整理で農地の宅地化が進んでいるだけに、大雨で水量がふえることも考えられます。改修を急いでほしいという声がございます。こうした声にこたえる立場から、今後の計画、完成予定などお示しください。
 第3は、新しく予算がついた秋月海南線であります。
 9月に知事が海南に来られた行政報告会でも要望があったもので、知事もよくお通りになって改善の必要をよくわかっていると言っていただいた道路です。ただ、相当大がかりなことをしなくてはならない第一歩であります。どういう構想をお考えなのでしょうか。
 第5の柱として、テレビ放送の地上デジタルへの移行であります。
 地上デジタルの問題については、何度も取り上げてきました。アナログ放送が終了する来年の7月24日が近づいてくると、ますます心配になってきます。担当課は、地域に出向いて説明会を開いてくれています。私も、2月15日に海南市岡田で開かれた説明会に参加させていただきました。地上デジタルへの移行は国が勝手に決めた問題であり、それへの対応に県は大変苦労してくれているわけです。しかし、地域の人々にはそのことがわかりにくいだろうと心配しました。しかし、私が参加した会場では、参加者からは国やNHKの対応への不満が出されましたが、県の担当課が苦労していることがよく理解されたと思います。それでも、地域でどう対応するかは大変です。岡田という地域は、地域でまとまって共聴を導入するならやりやすい地域だそうですが、それでもまとまりをつくるのは大変です。既に、インターネットや電話で光ケーブル系のものを利用している家もあるからです。
 そこで、企画部長にお伺いいたします。
 第1点、難視聴家庭というものは、和歌山県で現時点でどのぐらい残されているのでしょうか。海南岡田でやられたような説明会は、これまでどの程度開かれたのでしょうか。難視聴地域をカバーできているのでしょうか。そこではどんな声が出されているのか、お聞かせください。
 第2点、いよいよ正念場に入っていく今、特に心配するのは、地デジ完全移行までに難視聴解消が完了しなかった地域に対して衛星による措置がされ、チューナー等が無償配布されると聞いていますが、漏れなく配布されるのでしょうか。また、移行直前に難視が判明した地域への対応はどうなるのでしょうか。
 最後に、津波防災問題についてお伺いします。
 12月県議会でもこの問題を取り上げ、海南港沖の津波防災堤防の完成を急ぐことをお願いし、津波から避難する問題で行政の建前と住民の本音が乖離しているということを申し上げ、そして「逃げ切る!」プログラムにある津波避難ビルの評価をいたしました。その後、佐用町での大雨被害で避難した方がはんらんした溝に流されるなどの被害に遭われたということは、津波と大雨の違いはありますが、重要な教訓だと思います。
 1月17日、阪神大震災の日には、海南市で避難訓練が行われ、私も参加しました。私が出向いたのは海南第一中学校の近くですが、この学校は暫定避難ビルにも指定されていません。しかし、住民の皆さんは裏口の草刈りをし、車いすが通れるように整備しています。さらに、参加者のお1人が、連れてきたおじいちゃんに言っているんです。こんなことを言ってました。「きょうは訓練やからここに来たけども、本当に津波が来たときはうちへ逃げてきてよ」。そのお宅は3階建てのしっかりした建物なのです。市民の本音と心構えはいろいろでございます。本音と建前の乖離、その中でも現実的な避難を考えてる市民の姿を見ました。しかし、それがそれでいいのかどうか、専門的な立場からも検討しなければなりません。
 そんなことも踏まえて、先日のチリ大地震に伴う津波で海南市でも避難勧告が出されましたが、避難された方が極めて少なかったことがあります。このことをどう考えるべきでしょうか。危機管理監のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 そしてもう1つ、津波防災堤防にかかわって、この堤防が完成すると津波がはね返されて塩津・戸坂方面に波が押し寄せるのではないかという心配がありますが、そのシミュレーションや対策はされているのでしょうか。県土整備部長にお伺いいたします。
 以上で、私の第1回の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 多くの御質問の中で、私に御指名いただいております和歌山大学の学長との対談につきまして申し上げたいと思います。
 山本学長のお話では、今の学生たちが成長する過程で、学長のお言葉そのものなんですが、言葉遣いとして「群れと、その中で起こるトラブルを経験していない。そのために、人間関係やコミュニケーションに問題を抱えている学生が多い」というようなお話がありました。大学ではそうした学生に対してさまざまな取り組みをされているそうでありますけれども、その大学へ送り出すほうの立場、すなわち初等・中等教育のほうに責任がある立場から申し上げますと、改めて、確かな学力と豊かな人間性と健康・体力の3つの力を育成する、すなわち生きる力を高める教育を進める必要性を感じたところであります。
 確かに、受験に関する学力も必要でありますが、これからの変動の激しい社会を生き抜くためには、自分で課題を見つけ解決をする、そういう能力や、仲間と協調し相手を思いやる心、また、たくましく生きるための健康・体力を育成することがより大切であります。郷土和歌山を愛する心とともに、こうした生きる力をより一層育成していかなければならないと考えております。
○議長(冨安民浩君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 地場産業への支援についての3項目につきまして、まとめてお答えさせていただきます。
 まず、地場産業への金融支援についてでございますが、一昨年秋の世界金融危機に端を発する未曾有の経済不況の影響を受け、県内中小企業の方々も大変厳しい経済環境にあると認識してございます。
 県としましても、一昨年11月に国の緊急保証制度を踏まえ、いち早く再度の借りかえを可能とした独自の資金繰り安定資金、緊急対策枠等の資金を新設・拡充し、平成20年度には過去最高となる815億円を超える県制度融資の御利用となり、一定の資金供給につながったものと考えてございます。
 平成21年度におきましても、国の景気対応緊急保証制度に基づき、先般、経営支援資金・景気対応緊急枠に新たに設備資金を資金使途に加えるなど、中小企業の皆様方の資金需要に適宜適切に対応しているところでございます。
 次に、成長サポート資金などの普及、融資枠拡大、融資期間延長についてでございますが、県の制度融資につきましては、中小企業の皆様方の資金需要などを踏まえ、毎年、制度の見直しに取り組んでございます。新年度の制度改正では、厳しい経済情勢を乗り切り、将来の景気回復に向けての競争力、成長力の強化を支援するため、設備資金や新規開業のための資金といった、いわゆる前向き資金の拡充に取り組んでございます。
 議員御質問の成長サポート資金につきましても、近隣府県の状況なども参考にしながら、設備資金の融資限度額を5000万円以内から1億円以内に引き上げるとともに、融資期間を7年以内から10年以内に延長することとしてございます。また、振興対策資金につきましても、設備資金の融資限度額を5000万円以内から1億円以内に引き上げるとともに、耐用年数が10年を超える減価償却資産の取得について、融資期間を建物取得と同じく15年以内とする見直しを行うこととしてございます。これらの制度見直しにつきまして、報道機関への資料提供や関係機関等への説明会などを通じて、県内中小企業の皆様方により一層御利用していただけるよう、周知徹底を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、地場産業の支援メニューにつきましては、県内企業の事業段階、課題に応じ、融資制度の活用、経営革新計画の認定、新技術・新商品の開発、販路開拓に対する補助を行うとともに、地域資源の活用や農商工連携による新たな取り組み、新製品の開発等についても支援を行ってございます。
 これらの支援策につきましては、企業の目線に合わせて、その内容や要件、基準などをわかりやすく説明し、御理解していただくことが大事であり、「県民の友」初め、産業別・企業別担当者制度による情報提供、さらには各商工会、商工会議所等の経営指導員の活用や財団法人わかやま産業振興財団による支援情報の提供など、幅広く行っているところでございまして、今後ともより一層、積極的かつ機動的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) まず、県道岩出海南線の拡幅についてでございます。
 現在、JR紀勢線より東側において歩道設置のための用地取得と工事を進めております。
 議員御質問の踏切拡幅を含めた歩道設置につきましては、沿道の方々との調整を行っているところですので、これを早急に行った上で、JRとの協議を初め整備を促進してまいりたいと考えております。
 次に、日方川整備の計画と進捗についてでございます。
 現在策定中の日方川水系河川整備計画では、今後約20年の間で、河口から神田橋までの間、約1.5キロメートルの河道拡幅や河床掘削を進める計画を検討しております。現在は、下流部で最も流下能力の低い大橋から神田橋までの560メートル区間の整備を重点的に進めており、本年2月に大橋から東橋までの約280メートル区間の河道拡幅工事が完了し、来年度より東橋から神田橋までの区間の河道拡幅工事を実施することとしております。
 県道秋月海南線につきましては、海南市且来地内のくも池周辺約1.3キロメートル間で整備を行ってまいりました。
 未改良区間の海南市且来地内から和歌山市との境界までの約1.4キロにつきましては、昨年、地元の皆様方から道路拡幅の強い要望を受けております。この区間は交通量が多く、狭隘な部分が特に交通の支障となっておりますので、対策が必要と考えております。事業を進めるためには、人家の連檐している区間の家屋移転や用地協力が必要となりますので、海南市や地元の皆様方と御相談しながら、特に狭隘な部分から順次整備を進めてまいります。
 津波防災対策、海南地区の津波対策の効果についてでございますが、詳細な津波シミュレーションを現在国土交通省において実施中であり、その中で塩津・戸坂方面に与える影響についても把握されるものと聞いております。県といたしましては、その結果を踏まえて、必要に応じた対応を国に対して働きかけてまいりたいと思います。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) テレビ放送の地上デジタルへの移行についてお答えをいたします。
 まず、難視聴対策の進捗状況についてでありますが、県が独自に作成している県難視解消ナビゲーターによりますと、対応方法が未定の箇所は172箇所、1万300世帯となっております。また、県による難視地域での説明会といたしましては、32回、約900名の御参加をいただき、開催をしてきております。そのほか、市町村の協力を得て個別に対応いただいている地域も数多くございます。
 説明会などでは、住民の皆様から、「私たちはデジタルに変えてくれと言った覚えはない。何でお金を出さなければならないのか」とか「負担が高い」などの声を多くお伺いするわけでありますけれども、移行まで時間がないことから、住民の皆様の負担をできるだけ軽減できる方法を、対応方法を提案させていただきながらテレビ難視をなくすため早急な対応をお願いし、御理解をいただけるよう努めているところでございます。
 次に、セーフティーネットなど、大詰めでの問題についてでありますが、暫定的難視対策における衛星放送のチューナー等の無償配布を受けるためには、国が認めた難視地域として地上デジタル放送難視地区対策計画に掲載され、当該地域の難視対策が平成27年3月までに完了すること等の条件を満たし、地デジ難視対策衛星放送対象リスト、いわゆるホワイトリストに掲載される必要があります。
 そういったことから、県としては、新たな難視地域を確定させるため独自の受信状況調査を進めておりますが、こうして把握した難視地域を対策計画に含め、地デジ移行直前に判明した新たな難視地域も適時迅速にホワイトリストに掲載するよう、先日も知事が総務省に強く申し入れをしたところでございます。県民の皆様がテレビを見られないということのないように、今後とも円滑な移行に向けて、きめ細かな対応に努めてまいりたいと考えております。
○議長(冨安民浩君) 危機管理監森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○危機管理監(森 崇君) 津波防災対策のうち避難対策の本音と建前の問題でございますが、指定避難所へ避難することが原則でありますが、その場の状況により近くの建物などに避難するという選択肢もあり得ると考えております。このことにつきましては、佐用町の被害などを教訓にし、住民参加のもと、現実的な検討を進めていく必要がございます。
 さて、チリ中部沿岸を震源とする地震による津波に係る避難状況につきましては、県内沿岸市町で約10万2000人に避難勧告等を出し、そのうち避難所に避難した方は442人となってございます。ちなみに、海南市では約2万人を対象に勧告を出し、32人が避難いたしました。県といたしましても、警報発表後、直ちに沿岸市町に対し防災行政無線や広報車などによる避難等の警戒広報の実施を要請するとともに、防災ヘリや県警ヘリの出動により警戒の呼びかけを実施したところでございます。
 しかしながら、御指摘のとおり、避難勧告が出たにもかかわらず避難した方が少なかったということは、大きな課題だと考えております。避難しない理由として、今回の場合、警報発表から津波到達までの時間が長く、沿岸にお住まいの方々は、テレビなどで得た情報により自己判断されたり、また、過去に避難勧告が出ても災害が起こらなかったじゃないかなどの理由で避難しなかったのではないかとも考えられるわけでございます。
 津波からの避難行動を促すためには、地域の防災リーダーなどが隣近所に避難を呼びかけながら避難することが肝要でございまして、今後、津波からの避難行動について市町村とともに検証していくとともに、迅速かつ適切な避難行動を行うよう、津波の恐ろしさなどについてさらなる啓発の充実に努めてまいります。
○議長(冨安民浩君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教育関係のうち、まず、教員が力量をつける機会についてお答えいたします。
 教員の資質向上につきましては、喫緊に必要とされている内容や経験年数に応じた研修を行いながら、同時に各学校で教員が子供たちと向き合い、同僚と相談しながら実践的に資質を高めることが大切であると考えております。このため、各学校におきましては研修の充実を図るとともに、県といたしまして、今年度、子供と向き合う時間を確保するため、会議や調査等の精選や学校と教育委員会との情報の共有化の推進などにつきまして、学校マネジメント支援に関する調査研究を進めており、今後、その成果を県内に広めてまいります。
 また、教育センター学びの丘の研修事業につきましても、その内容の充実や報告書等の効率化を図るとともに、新規採用教員の研修では、初年度に学校を離れて行う研修の日数を減らすなど、見直しを行っております。
 今後とも、市町村教育委員会等と連携しながら、効果的な研修や学校マネジメントの機能の充実等を進め、教員の資質向上に一層努めてまいります。
 次に、和歌山大学との連携に関しまして、県教育委員会では地元教員養成大学である和歌山大学との間で、平成11年度から連携協議会を組織し、教員養成や研修機能の向上、地域の教育の充実を目指してさまざまな取り組みを進めてまいりました。その成果をより発展させるため、平成17年度から新たな共同・参画事業としてジョイント・カレッジを設置し、両者の連携を幅広くさまざまな形で広めるとともに、深めてきております。
 昨年の連携協議会設置10年を契機として、連携から協働へということで積極的な協力体制を構築し、子供を中心に据えた和歌山の教育力の向上に取り組んでまいりたいと考えます。
 次に、議員御指摘のように、地域住民のボランティアによる子供たちの学力補充の取り組みは、学校教育を支援する活動として大変意義あるものと考えております。本県におきましても、平成19年度から放課後や週末等に小学校の余裕教室や公民館等におきまして、子供たちの居場所である地域ふれあいルームを全県的に開設し、その中で退職教員などの地域人材を活用した学習アドバイザーを配置することで子供たちの学習活動をサポートしているところでございます。
 今後とも、地域共育コミュニティの取り組みを生かしながら、外部人材を多様な形で活用し、子供たちの学習を支援する取り組みを進めてまいります。
 次に、PTA会費や学校納付金等に関しまして、保護者の御理解を得ながらPTA総会で決定をいただき、学校教育の充実のためにも御協力をいただいているところでございます。授業料無償化後も、各学校において保護者等からのさまざまな御意見、御質問に関して、一層説明責任を果たしていかなければならないと考えております。
 次に、子供の生活面等の把握につきましては、学校現場におきまして、学級担任が学校での子供の様子や家庭訪問を通じて個々の児童生徒についての状況を把握し、適切な助言に努力をしているところでございます。
 市町村の就学支援制度の対象者数が増加傾向にあることから、経済的な理由により就学が困難な状況にある児童生徒の対応について、学校現場でのよりきめ細かな取り組みが大切であると考えております。また、家計における授業料以外の教育に要する経費負担の軽減に関しましては、給付型奨学金などを含めて高校生に対する就学援助の制度化を国に働きかけており、今後も引き続き要望してまいります。
 なお、定時制、通信制生徒対象の修学支援制度につきましては、支援が真に必要な生徒を対象とする制度変更を行ったものでございますので、御理解をお願いいたします。
 県教育委員会といたしましては、就学援助制度の趣旨にかんがみ、実情に合った事業の実施並びに制度の周知について引き続き市町村教育委員会に助言するとともに、教職員に対して担当者会議や研修の機会を通じて啓発や情報提供を行ってまいります。
 次に、中学校学校給食の普及についてお答えします。
 平成21年度に改正されました学校給食法におきまして、学校給食は、食育の観点から児童生徒の心身の健全な発達に資し、食に関する正しい理解と適切な判断力を養う上で重要な役割を果たすものとして位置づけられております。このようなことから、学校給食の普及推進のため、各地方における学校給食研究大会の開催を通じ、また研修会等を実施することで従前より啓発してまいりましたが、今後も設置者である市町村教育委員会と連携し、学校給食への理解と普及に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
 44番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 大分欲張ってたくさん質問したんですが、御答弁ありがとうございました。
 幾つか要望だけ申し上げておきたいと思います。
 学力向上の取り組みは、「教育の匠」という大変味のある施策で、そういうことがあったので、もう少しそういう味の出るような答弁も欲しかったんですが。しかし、その「教育の匠」から学ぶためには、やっぱり学校にゆとりが必要だと。それも、できる範囲の中で教育委員会でも意識をして、いろんなことを精選し、あるいは初任者研修についても、学校から離れる日が余り多くならないように努力をしておられるということは話されました。本当に学校にゆとりを生み出すためには、やっぱり30人学級や教職員の大幅な増員が必要なんですが、そういう点もこれから一緒に進めていっていただきたいと思います。
 それから、子供の貧困の問題ですが、これが私が今度一番力を入れたところなんですが、就学援助を高校まで延ばす問題、それから給付型奨学金を実現するということ、これはもちろん国に要望するということなんですが、そういうことが表明されたことは大変大事だというふうに思います。今、高校の授業料無償化になった段階で、この課題が非常に明らかになってきた。やっぱりこれを──子供の問題というのは、もう行政も議会も、あるいは党派も関係ありませんので、一緒になってこれは実現するようにやっていっていただきたいと思います。
 同時に、学校給食についても、今非常に大事な課題になっている点が、前向きの答弁をいただいて、どうもありがとうございます。これは市町村がやることですが、私どもも働きかけていきたいと思っています。
 それと、地デジの問題です。これはどこへ行っても、「テレビ見れんようになるんかい。どうなるんよ」という話を聞かれるわけで、これは前からも言われてるように、国が勝手にやった問題で、県は大変御苦労なさっていただいてるということでございます。
 企画部長が答弁いただいて、2つのことが重要やと思いました。1つは、見られないかどうかということを確認して、見られないということがあったらすぐに市役所へも言うていくと、そして県にも連絡してもらうということで、対策をするということを早くやらないと、際になって言うたらあかんという問題を1つ言われました。もう1つは、セーフティーネットとして衛星放送ということがあるんですが、これも事前にホワイトリストに掲載される必要があるということで、早く申しておかないと間に合わないということも言われました。
 住民の皆さんに聞かれた場合は、そのことを特に、私どもも住民の皆さんにお伝えしていきたいと思ってるんですが、そして、混乱が起こらないように協力していきたいと思ってるんですが、どうにもならないときには、国に対して延期を求める場合が必要な場合もございます。それは今の段階ではないと思うので、来年の2月あたりで、これはとても間に合わないから、知事、ちょっと国に対して延期を求めてくれというふうにならないように今から一緒に頑張っていきたいと思いますけども、場合によってはそういうことが起こり得るかもしれません。その場合は、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 最後に、津波避難の問題です。
 この問題は、私も確定的な答えを持ってるわけじゃないので、これから研究していただきたいという問題なんですが、津波注意報や警報が出たのに釣りをやめないとかサーフィンをしているとか、こういう不心得は、もうこれは論外です。これはもう文句なしに論外ですが、しかし、海南市で2万人以上の避難勧告が出されたけれども、避難したのは30人だけだったということをどう見るのか。これを釣りやサーフィンと同じように見るわけにもいかないというふうに思います。
 テレビを見ると、津波問題の専門家が「避難勧告があるのに避難しなかった。津波警報が解除されていないのに自宅に帰る人がいたのは問題だ」、こう指摘されます。そのことは正しいんでしょう。しかし、私は海南市で避難訓練にも参加をして、そして避難してほしいけれども、ここで死んだらいいといって避難してくれないんだという自治会や防災組織の役員さんのお話を聞きます。
 また、1軒1軒訪問したときにお会いした寝たきりのおばあちゃんを思い浮かべながら、まず、あのおばあちゃんに真っ先に避難してもらわなくてはならない、しかし、あのおばあちゃんを含めて2万人が避難するということはどういうことなのかということを、私はリアルにそのことを考えることができます。大変なことです。それを一体どうするのか。それは、もっともっと現実的な避難の方法を緻密に計画しないと、空文句になるんではないかと思います。でも、空文句になると批判をしていて逃げなかったらいかんので、それでもまず逃げることなんですが。
 そして、これは行政だけでできるものでないし、地域防災組織も主体にならないとできません。そういう中で、私は津波避難ビル、そういうものをふやすことがまず現実的でないかというふうに申し上げてるわけですけども。きのうもNHKのテレビで、長周期の地震が起こった場合の高層ビルの問題、そしてそれが地下のビルを支えている柱が折れることがあるんだという話を、ちょうどきのうの夜の10時ぐらいに放映しておりました。
 そういうことを見ながら、私は、この津波の対策の問題というのは、まずとりあえずは、今やられている枠の中でとにかく逃げなくてはいけないことを住民の皆さんに訴えていくわけですけども、同時に、さまざまな効果的な逃げ方、そういう問題をやはり最新の科学の知見にも照らしながら研究していくことが大変大事な課題になっているんではないかということを改めて感じましたので、こんなことを申し上げたわけでございます。
 以上、要望でございます。どうもありがとうございました。
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時32分散会

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