平成22年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)
県議会の活動
平成22年2月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
平成22年3月8日(月曜日)
午前10時開議
第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第31号から議案第46号まで、議案第48号から議案第59号まで及び議案第61号から議案第83号まで(質疑)
第2 一般質問
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会議に付した事件
第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第31号から議案第46号まで、議案第48号から議案第59号まで及び議案第61号から議案第83号まで(質疑)
第2 一般質問
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出席議員(43人)
1番 泉 正徳
2番 山本茂博
3番 前芝雅嗣
4番 浅井修一郎
5番 吉井和視
6番 向井嘉久藏
7番 門 三佐博
8番 町田 亘
9番 服部 一
10番 平木哲朗
11番 花田健吉
12番 須川倍行
13番 大沢広太郎
14番 谷 洋一
15番 平越孝哉
17番 岸本 健
18番 川口文章
19番 尾崎太郎
20番 藤山将材
21番 新島 雄
22番 山下直也
23番 井出益弘
24番 宇治田栄蔵
25番 多田純一
26番 中 拓哉
27番 角田秀樹
29番 山田正彦
30番 坂本 登
31番 尾崎要二
32番 中村裕一
33番 片桐章浩
34番 原 日出夫
35番 藤本眞利子
36番 長坂隆司
38番 小川 武
39番 冨安民浩
40番 奥村規子
41番 山下大輔
42番 松坂英樹
43番 藤井健太郎
44番 雑賀光夫
45番 野見山 海
46番 松本貞次
欠席議員(なし)
〔備考〕
16番 欠員
28番 欠員
37番 欠員
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説明のため出席した者
知事 仁坂吉伸
副知事 下 宏
知事室長 曽根義廣
危機管理監 森 崇
総務部長 宮地俊明
企画部長 前硲健作
環境生活部長 井口悦治
福祉保健部長 北田佳秀
商工観光労働部長 永井慶一
農林水産部長 下林茂文
県土整備部長 茅野牧夫
会計管理者 雑賀忠士
教育委員会委員長 宮永健史
教育長 山口裕市
公安委員会委員長 大岡淳人
警察本部長 永松健次
人事委員会委員長 守屋駿二
代表監査委員 楠本 隆
選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 藁科善崇
次長 東岡誠吾
議事課長 上坊 晃
議事課副課長 土井敏弘
議事課課長補佐兼班長 田中健司
議事課主任 中尾祐一
議事課主査 保田良春
議事課主査 瀧川泰治
議事課主査 中村安隆
総務課長 佐本 明
調査課長 中井祥之
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午前10時0分開議
○副議長(坂本 登君) これより本日の会議を開きます。
日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第31号から議案第46号まで、議案第48号から議案第59号まで及び議案第61号から議案第83号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
19番尾崎太郎君。
〔尾崎太郎君、登壇〕(拍手)
○尾崎太郎君 議長の許可を得ましたので、一般質問をいたします。
我々自由民主党は、国民の信を失いました。前回の登壇で、これは我が党が保守政党たるアイデンティティーを喪失したことによると述べました。政権政党の座をおりたことは残念ではありますが、そのこと自体は立憲政治の常道であり、むしろ我が党が本来のあり方に回帰するには好機ではないかと考えておりましたが、民主党政治の余りの惨状に、一地方議員にすぎないとはいえ、国の行く末を思えば、政権を失った悲哀より、陛下と国民に対する申しわけなさでいっぱいであります。
「和歌山のため、国のため、一生懸命頑張ります」などと、左右を問わず選挙に出る者はよく叫びますが、民主党政権に歯どめをかけなければ、肝心の国がなくなってしまう、笑うに笑えない状況に陥ることは間違いありません。何となれば、彼らの頭の中にあるのは日本国民ではなく、ニュートラルな市民であり、我々の祖先が営々と築いてくれた、我々が相続し、子々孫々に継承していくべきかけがえのない祖国日本ではなく、単なる居住地としての地域だからです。
このような思想はマルクス主義に特徴的であり、菅副総理や輿石幹事長代行など、もともと左翼陣営にいた人ならばともかく、曲がりなりにもかつては保守陣営にいて自主憲法制定を唱えていた人までもが、こぞって自国の歴史を嫌悪し、皇室をないがしろにし、日本国民の一体感、紐帯を断ち切り、国民精神を瓦解せしめることに殊さら熱心なのはなぜなのか。
かつて、我々もまた、社会党と連立を組むという愚を犯しました。これが今日の自民党の衰退を招いたことは、以前述べたとおりであります。党内左派の一部に社会党にシンパシーを感じていた者がいたにしても、政権に目がくらみ、お互いに渋々手を結んだのが実態でありましょう。
民主党内のかつて保守陣営にいた者たちも、やはり政権のために左翼勢力を渋々受け入れているのでしょうか。小沢一郎氏は、輿石氏や横路氏と、本心には反するが政権交代という大義のためにやむを得ず手を組んでいたのでしょうか。
私は、違うと思います。小沢氏にとって、実は保守こそが仮面であったと思うのです。党における、いや、日本における政治権力のすべてを掌握せんとする今、彼はいよいよその本性をむき出しにしつつあるように思われるのです。
ある人はまた、小沢氏には特定の主義はない、権力の獲得に役立つ主義を主張するだけだと言います。本来、ある目的のため権力は行使されるべきものですが、権力の行使自体、魔性の快感を伴うため、それが自己目的化することも往々にしてあることであり、なかなかに説得力のある見方であります。
なるほど、小沢氏の権力と金に対する執着には並々ならぬものがあります。自民党の金権体質を批判し党を飛び出しておきながら、みずから導入を提唱していた政党助成金を巧妙きわまる手法で取り込み、出どころの怪しげな金を政治資金として洗浄し、その金で巨額の不動産を購入、さらにはそれを他人に貸し収益まで得る。20億円を超える虚偽記載を単なる形式犯だと言い張り、秘書2人が逮捕されれば検察に難癖をつけ、自分が不起訴となるや一転、検察によりみずからの潔白は証明されたとうそぶく。国民の大多数は、小沢氏の説明に納得するはずもなく、幹事長を辞任すべしとしていますが、全くどこ吹く風、恬として恥じず、居直りを決め込んでいます。権力に対する執着、実に並々ならぬものがあります。あっさりと副総裁の座をおりた金丸氏や、選挙に負ければ潔く身を引いてきた歴代自民党総裁と比べても、異常であると言えるでしょう。もっとも金丸氏は、権力の座をおりた途端、脱税で逮捕されましたから、小沢氏はそれを教訓としているのかもしれません。
かつて野中広務氏は、悪魔と呼んだ小沢氏が率いる自由党と連立を組むため、ひれ伏してでもと言いました。多数決原理に基づく民主主義では数は力であることは一面の真理なのですから、希代の実務政治家であった野中氏からすれば、個人的な嫌悪感はこの際抑えてということだったのでしょうが、合従連衡は政治家の常、古今東西、政治とはそういうものであると言えなくもありません。
しかし、小沢氏は、輿石氏の手は喜々として握ったのではないか。輿石氏と小沢氏は非常に深いところで共鳴しているのではないか。小沢氏はむしろ、民主党内の保守色のある連中には、つくり笑顔で手を差し出していたのではないか。その連中も、今や、我先にと小沢氏の手をとるというより足元にひれ伏しているような状況であり、もはやつくり笑顔は必要ないようです。
鳩山首相と小沢氏は、全くの利害損得での結びつきでありましょう。鳩山氏の小沢氏嫌いはよく知られていました。かつて彼は、小沢氏をこう評しています。「自分の主張を遂げるために、民主主義の基本原則を超越、無視してきた部分があって、信奉者が離れていった」。もっとも、鳩山首相はまさに宇宙人、「日本列島は日本人だけのものではない」などと言うのですから、とてもまともな保守政治家であったとは言えませんが、「私見ではありますが、私個人としては憲法を改正し、日本は天皇を元首とする民主国家であるとしなければならないと思います」と発言するところを見れば、宇宙人のほうが無国籍人よりはまだましではあります。
小沢氏が隠れマルキストであることは薄々勘づいていましたが、習近平中国国家副主席来朝の際における、氏の余りにも傲慢な態度を見て確信いたしました。日本国民ならば持っている、ごく自然な皇室に対する敬愛の念が、彼にはみじんも感じられません。2000年にも及ぶ歴史を持つ皇室は、あらゆる高貴なるものの源泉となるもので、それはあたかも生命をはぐくむ大自然のごとくであり、普通の日本国民は人為的にそのあり方を左右することができるなど、ゆめ思いつくことではありません。
たとえ現実政治の中で、合従連衡、手練手管の限りを尽くし、権力闘争に明け暮れることが習い性であるにしても、いや、むしろそれゆえに、いやしくも我が国の歴史と伝統を重んじるというのであれば、我が国の歴史と伝統そのものである皇室に、あれほど無礼な物言いなどできるはずはないではないですか。できるとするならば、彼は日本の歴史、伝統を憎悪するマルキストにほかならないのです。
戦前戦中、帝国陸海軍にはマルキシズムがしょうけつをきわめました。大東亜戦争の敗因は、実にここにあるとする研究者もいます。エリート将校たちは、自分たちが理想国家を制度設計できると考えました。彼らは天皇をいただく共産主義者、社会主義者であったのです。ただし、彼らの天皇は、エリートである彼らがそのあり方を規定するのです。「エリート」を「選挙で選ばれた」と置きかえれば、その考え方は小沢氏そのものであります。
海軍革新将校による五・一五事件や陸軍革新将校による二・二六事件はそのあらわれでしょうし、敗戦により国土が荒廃し、国民生活が破綻すれば、むしろ革命が容易になると夢想する勢力すらもかなりあり、彼らは大戦末期、米国に先んじてソ連に我が国本土を占領させるべく暗躍していたようです。
米国ですらあっと驚く高官がソ連と通謀していたことがソ連の崩壊に伴う機密文書の公開で発覚していますが、マッカーシーのいわゆる赤狩りは、京都大学大学院教授の中西輝政先生らによって我が国でも再評価されてきています。たとえソ連の直接的な協力者ではなくとも、マルクスにかぶれていた陸海軍将校は想像をはるかに超えて多かったのです。
李登輝閣下にお会いしたとき、閣下もまた、若いころマルキシズムに冒されそうになった、危なかったとおっしゃっていましたが、閣下にしてこれですから、マルキシズムの恐るべき伝染力、推して知るべしであります。
東京大学教授の長谷部恭男先生と法政大学教授の杉田敦先生との対談が、1月6日の「朝日新聞」に出ていました。長谷部先生は大学時代の憲法の先生でしたが、おちゃめな先生で、講義はおもしろく、人気がありました。今や先生は、我が国の憲法学会を代表する学者になっておられます。
先生は言います。「重要な国の要人だから会ってほしいというのは、天皇を単に利用価値のある手段としてしか見ておらず、結果的に天皇ないし皇室独自の価値や尊厳を掘り崩してしまう。それは、天皇を利用価値がある、値段がついたものとして見る議論です。役に立つか立たないかの問題として考えないから、天皇には尊厳が備わるのであり、尊厳があるから国の象徴たり得るのです」。
全くそのとおりでありますが、さらに言うならば、小沢氏はまさに皇室に値段をつけた。もし皇室に値段がつかなくなれば──あくまでも小沢氏にとってでありますが──彼は皇室廃止を唱えるのにちゅうちょしないでありましょう。なぜなら彼は、選挙により国権の最高機関たる国会を支配している自分の意思は、主権者たる国民の意思であると信じて疑わない精神の持ち主だからです。
物議を醸した昨年12月14日の記者会見で小沢氏は「天皇の国事行為は内閣の助言と承認により行われる。勉強しなさい」と記者に居丈高に説教していましたが、憲法7条は、「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。」とあり、国事行為を列挙しています。外国の大使及び行使を接受することは国事行為ですが、一般に外国賓客を接遇することは公的行為とされており、国事行為には当たりません。勘違いはだれにでもあり、無学はお互いさまですので、それ自体を批判するつもりはありませんが、天皇もまた選挙で選ばれた自分に服すべきであるとの小沢氏の思想が透けて見えた場面でした。
この記者会見に先立つ2日前、小沢氏は韓国で公演を行っています。今は便利な時代で、You Tubeでその模様を見ることができますが、何と彼は、「神武天皇は朝鮮人だ」と言うのです。その根拠は、江上波夫先生の騎馬民族征服説であるとしています。なるほど、江上先生は著名な考古学者ではありますが、この説には有力な反論が山ほどあり、とても小沢氏が言う「多分歴史的事実」というようなものではありません。
たしか中学生ぐらいのときに、渡部昇一先生の講演会で、若き日の渡部先生が江上先生に「日本の神話に馬に乗った神様が出てこないのはなぜですか」と質問したところ、江上先生は「そうだったかな。出てこなかったかな。困ったな」と絶句していたと聞きました。中学生にもなるほどと思える話でありました。大家の説といえども、それだけで頭から信じ込むことは愚かであると、そのとき学んだのであります。
繰り返しになりますが、無学はお互いさま、小沢氏が考古学に暗くとも批判する気にはなりませんが、彼の発言は、無学をさらけ出したというよりは、韓国の歓心を買うため自分が聞きかじった話を適当に利用したということなのでしょう。そこまでして韓国におもねる理由は何なのか。単なるリップサービスであったのか。小沢氏にとっては、天皇は他国の御機嫌取りの道具として利用できればそれでよいとする程度の存在にすぎないのであります。あるいは小沢氏は、意図的に皇室をおとしめているのかもしれません。なぜなら、マルキシズムの天敵は、長い歴史を持つ権威の体現者たる君主であるからです。
韓国民団がさきの衆議院総選挙において民主党を支援したことは、広く知られています。彼らの応援が民主党の勝利に大いに貢献したことは、民主党の多くの議員が語っています。
このような状況下において、小沢民主党幹事長は、永住外国人への地方参政権付与を韓国で約束してきているのです。民主党は、総選挙におけるマニフェストにおいては、永住外国人への参政権付与について明記しておりません。
赤松農水相は、本年の韓国民団の新年会において、「鄭進団長を初め民団の皆様には、昨年、特にお世話になりました。今農水大臣ですが、その前は選対委員長をやっていたもんですから、全国各地で皆さん方、投票いただけませんが、いろんな形で御支援いただいた。それが308議席、政権交代につながったと確信いたしております。心から感謝申し上げます。その意味で、公約を守るのは政党として、議員として当たり前のことですから、この政権の中で民主党の与党の強い要請のもとで、この通常国会、必ずこの法案──永住外国人の参政権付与法案ですが──を成立させ、皆さん方の期待にこたえていきたいと思います」とあいさつしています。
政策インデックス2007には永住外国人への地方参政権付与について書いてあると言いますが、それではなぜ、今国会で閣僚が必ず通すと意気込む法案をマニフェストに書かなかったのか。それほど重要な法案であれば、政策インデックスにも書いて、マニフェストにも書けばいいではないですか。それは韓国国民との約束であるから、日本国民との約束であるマニフェストには書かなくともよいとでも言うのでしょうか。
この法案は、間違いなく我が国を亡国に至らしめるものであり、日本国民でありながらこのような法案を推進しようとする者は、マルキシズムに侵された者以外ありますまい。特に、日本の永続を願わない外国人は、無論この限りではありませんが。
去る2月9日、全国都道府県議会議長会主催の永住外国人の地方参政権についての各政党との意見交換会が東京のグランドアーク半蔵門ホテルで開催され、本議会からは冨安議長、吉井議員、前芝議員、花田議員、私の5人が出席をいたしました。各政党の代表は、民主党から今野東民主党副幹事長、自民党からは山谷えり子参議院議員、公明党からは東順治党副代表、共産党からは井上哲士国会対策委員長、社民党からは服部良一党自治体担当常任幹事、国民新党からは亀井郁夫党副代表でありました。
我が党と国民新党以外の政党の国会議員は皆この法案に賛成なのですが、出席していた地方議員は反対、あるいは拙速な法案提出には反対とする者が大半で、会場は異様な熱気に包まれていました。当日は混乱も予想されたのか、事前にアンケートで意見聴取する形式をとっており、議長以外の出席者の質問、意見表明は制限されていて、残念ながら発言の機会はなかったのですが、賛成派の国会議員の発言中はやじが飛び交い──私も微力ながら参戦をしておきましたが──この法案を進めようとする国会議員と、この法案を阻止しようとする地方議員の戦いのように感じたのは私だけであったでしょうか。
全国都道府県議会議長会は、この意見交換会に先立つ1月21日、永住外国人への地方参政権の付与について、拙速に法案提出されるべき案件ではなく、地方の意見を十分聞くように強く求める旨、決議しているところです。この法案の真のねらいは日本解体にあることは明白でありますが、法案の実態を知らない国民が耳当たりのよいへ理屈に幻惑されて、安易にこの法案に賛意を示すこともあるようですので、一応論破しておきたいと思います。
まず、地方と国を峻別できるとする幼稚きわまりない考えでありますが、国は地方を寄せ集めたものではありません。国は地方を規定し、地方は国に影響を与えます。国と地方は相互に依存し、密接不可分な関係であり、あたかも人の体のごとくであります。人は、頭が人でしょうか、手足が人でしょうか、目が人でしょうか。体の部分部分はそれぞれ単独に存在するものではなく、人を成り立たしめるある原理のもとに統合されつつ、人はまた部分に依存しなければ存在し得ないのです。したがって、参政権を地方と国とに分けて考えるのはナンセンスです。
現実的にも、例えば災害対策基本法は、拒否すれば加罰すらできる徴用、徴発の権限を知事に与えていますが、このような総理大臣にさえない強大な権限を握る知事の選任に外国人がかかわるなど、あってはならないことであります。ともすれば地方行政をサービス業ととらえる向きがありますが、適当ではありません。サービス業としての一面も持つものの、地方行政は純然たる統治行為なのです。
憲法15条1項は「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」と定め、93条2項は「地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。」と定めています。
平成7年2月28日の在日外国人の参政権問題の最高裁の判決では、「国民とは、日本国民すなわち我が国の国籍を有する者を意味する」、「地方自治体について定める憲法93条2項に言う『住民』とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味する」としています。参政権は日本国民固有の権利である、93条2項に言う住民とは日本国民のことである、ゆえに外国人に地方参政権を付与することは憲法違反であるとなり、論理的にこれ以外の結論に至ることは不可能です。
ところが、いわゆる傍論部分で、「法律をもって選挙権を付与する措置を講ずることは憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である」、「右のような措置を講ずるか否かは専ら国の立法政策にかかわる」としており、論理的に破綻しています。
民事訴訟法第312条6項は、食い違いがある判決は判決たり得ないとの定めですが、最高裁自身が論理的に破綻した判決を下すというのはどういうわけなのか。そもそも、国の立法政策に対する制限が憲法なのであるから、憲法が禁じた立法が可能とはどういうことなのか。この傍論はまさに暴れる「暴論」でありますが、推進派を勢いづかせたことは間違いありません。
しかし、2月19日の「産経新聞」に、衝撃的な記事が掲載されました。この判決を下した園部逸夫元最高裁判事が、判例拘束力のない傍論部分で外国人に地方参政権を付与することが憲法上禁止されていないと判断したことについて、「在日韓国・朝鮮人をなだめる意味があった。政治的配慮があった」と明言したというのです。
これは一体どうしたことか。最高裁が政治的配慮をするとは、三権分立の精神はどこへ行ったのか。しかも、論理的に破綻を来した傍論の根拠が「無理やり連れてこられて」云々であるとは、やはり無学はお互いさまとはいえ、最高裁判事たるもの、俗説に惑わされることなく、まともに歴史を勉強していただきたいものです。
しかしながら、判決に政治的意図があったにせよ、それを告白するのは相当の覚悟が要るはずです。今このタイミングでの告白は、特別永住者のみならず一般永住者にまで参政権付与をする民主党案が通れば、さすがに国を危うくするとの判断でしょう。ちなみに、園部元判事は、平成9年には傍論を重視するのは俗論であると正論を吐いています。
1月29日の「産経新聞」には、外国人に地方参政権を付与できるとする参政権の部分的許容説を日本で最初に紹介した長尾一紘中央大学教授のコメントが掲載されています。参政権付与法案について「明らかに違憲。鳩山由紀夫首相が提唱する東アジア共同体、地域主権とパックの、国家解体に向かう危険な法案だ」と述べ、現在反省しているとのことであります。過ちては改むるにはばかることなかれではありますが、長尾先生の学説は、かの芦部信喜が支持したのです。国家存亡のとき、長尾先生の勇気に心から敬意を表したいと思います。
実は、大学時代、憲法の講座は2つあり、1つは長谷部恭男先生でしたが、もう1つは芦部信喜先生でありました。芦部先生は、学習院大学の法学部教授時代、既に我が国憲法界の重鎮で、早稲田や中央、東大の友人がその講義を聞きに来るほどの人で、司法試験の憲法の基本書といえば芦部憲法にとどめを刺すと言われています。
芦部先生は、平成6年に長尾説を引用して参政権付与部分的許容説を支持しています。江上先生は古代史を語るには外せない記紀に合わない学説を主張し、芦部先生は提唱者がこれを撤回するに至る学説に依拠して自説を述べられました。やはり、いかに大家といえども妄信をしてはなりません。
また、納税と参政権は全く関連性がありません。世界最高水準の暮らしやすさを実現している我が国に居住する外国人は、納税に見合う反対給付を十分に受けていると言えます。また、参政権を納税にかからしめることは、普通選挙制度を根幹から揺るがしかねません。
人のいい日本人に外国人の参政権を認めさせようとすれば、難しい法理論で説得するよりも、他民族共生社会実現のためとかいう、一見すばらしそうなスローガンが一番有効でしょう。「みんな仲よくやっていこう」は、憲法よりもよほど心に響くのです。実は、これが一番厄介であります。しかし、「愛している」などと軽々しく言う男ほど信用できないではないですか。「友愛」などと、一人前の男がよく言えるものであります。保守政治家はこのような言説に対抗できる言葉を持たなければなりません。
私は未熟ゆえ、そのような言葉を紡ぎ得ませんが、人為的に政策をもって他民族共生社会などが実現できるはずがないことは、今日の国際社会を見渡せば明らかであります。友愛は、現実には何をもたらすのか。
高校地理歴史の新学習指導要領解説書は、領土問題の記述で竹島を明記しないことになりました。せっかく一昨年、中学校の指導要領解説書に竹島が盛り込まれたにもかかわらず、まことに残念であります。これもまた、韓国への友愛でありましょうか。
北海道教職員組合による違法献金事件では、幹部4人が逮捕されました。組合は、金まで丸抱えで民主党議員を当選させ、何を画策していたのか。北教組が組合員の教師に配布した職場討議資料「北教」にはこう書かれています。「文科省が中学校の歴史の解説書に『竹島(独島)の領有権』を明記したことは、侵略、植民地支配を日本が正当化する不当きわまりないものになるのです。歴史事実を冷静にひもとけば、韓国の主張が事実にのっとっていることが明らかなだけに、事は極めて重大なのです」。
国は、実体的には国土と国民によって成り立っています。国土なくして国は成立しないのであり、国土の揺らぎは国のアイデンティティーの喪失に直結します。したがって、国家は領土問題においてはいささかの妥協も許されません。反対に、国家の溶解をたくらむ者にとっては、領土問題に対する国民意識を低下させることは最も効果的な戦略となるのでしょう。竹島を忘れるとき、我々は日本を喪失するのです。
ヒトラーの率いたナチスの正式名称は、国家社会主義ドイツ労働者党。ヒトラーは暴力革命を起こして政権を掌握したわけではありません。当時最も民主的であると言われたワイマール憲法下で行われた何度かの選挙の結果、ナチスは第1党となり、ヒトラーは首相となって、やがてドイツ国会は全権委任法を可決させ、形式的には合法的に独裁は成ったのです。
実は、民主主義は独裁政治と親和的であります。民主主義への無邪気な礼賛は、容易に独裁政治を生み出します。その一里塚である権力の集中は、いつの時代もいつの世も、改革と効率化の美名のもとで行われていくのです。
現在の民主党の小沢氏への権力の集中の様子は、あたかも大津波の前に潮が引いていくがごとくであります。立法府の一員である議員に立法活動を禁じ、1年生議員には選挙活動だけを許し、もって自由であるべき議員の政治活動を制限し、政調会を廃し、事務次官会議を廃し、人事を握り、金を握り、極めて効率的に主権者たる国民の意思、すなわち小沢氏の意思がストレートに国政に反映させる仕組みができつつあります。
彼が支配する民主党議員や官僚に要求することは、日本支配が完成したとき、必ずやこれを国民に要求するでありましょう。既に国民の陳情は、民主党幹事長室に一元化されてしまいました。
伝統や慣習にとらわれず、道徳に縛られず、人間関係のしがらみを意に介さず、煩雑な手続から解放され、理性的に、合理的に国民から委託された主権を存分に行使する民主集中制。完全な権力の集中が成ったとき、潮が極限まで引き切って、何も知らない国民が魚を拾おうと喜んで浜におりたとき、全体主義の波は一気に我が国を覆うことでしょう。そして、恐ろしいことに、小沢ユーゲントたちが喜々として小沢氏に従っているがごとく、国民もまた小沢氏を神のごとく仰ぎ見るようになるのです。
ところで、陛下への習近平国家副主席の謁見が行われた昨年12月15日、鳩山首相は普天間基地移設問題の先送りを決めました。目に見えない亀裂が日米同盟に入ったことは間違いありません。日英同盟の発展的解消と目された4カ国条約が何の役にも立たなかったごとく、日・中・米の正三角形など、国益の観点から何の意味も持ち得ないでしょう。立憲政治と自由主義経済という価値を共有する英、米との離反が大東亜戦争の悲劇を生んだことを忘れてはなりません。この点については、機会があればまた論じたいと思います。
世界の覇権国である米国は、なるほど時に傲慢ではあります。しかし、陛下との謁見時におけるオバマ大統領と習近平氏の態度の違いを見れば、我が国がどちらをより重視すべきか、おのずとわかろうというものです。米国と我が国は、基本的な価値は共有できるのです。
マスコミでは、小沢氏を最高実力者などと呼んでいます。政権与党の幹事長がすなわち最高実力者ではないことは明らかですので、「最高実力者」は小沢氏の独特な立ち位置をあらわす言葉であります。そういえば、鄧小平も最高実力者と呼ばれていました。
幸い、一連の政治資金規正法違反事件は小沢氏のカリスマ性をある程度ははぎ取り、例の記者会見では彼の本性が露呈されました。しかし、油断してはなりません。小沢氏の日本改造計画──これはかつての小沢氏の著作名ですが──を何としてでも阻止し、幾世代にもわたって相続してきたかけがえのない祖国日本を守らなければなりません。
「政治というものは、何らかの新しい社会を創造することでも、既存の社会を抽象的な理想に合致させるべく改造することでもない」とは、英国の政治哲学者オークショットの言葉です。伝統のしっくいに呻吟し、義理・人情に絡めとられ、道徳の前に恥をさらし、煩雑な手続をのろいながら、私は今後とも政治と向き合っていきたいと思います。
そこで、知事にお尋ねいたします。
永住外国人への地方参政権の付与についてどのように考えるか。民主党幹事長室への陳情の一元化について、行政官としてどのように考えるか。また、政治家としてはどのように考えるか。
以上、お尋ねして一般質問といたします。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの尾崎太郎君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、永住外国人への地方参政権の付与についてお答え申し上げます。
この問題は、地方自治体レベルの政治に参加する権限に関する議論であって、国政レベルとは切り離して考えればよいという意見も一部にあるようでありますけれども、私は、参政権は憲法に基づき国民に付与されたものであり、国民とは何かという国家のあり方の根幹にかかわる問題でございますので、地方参政権であっても、そのあり方については国民的な議論が必要だと思います。
現時点では国民の間で熱心な議論が行われているとは言いがたいと思いますので、政府におかれては十分に世論を喚起されてから判断されるべきだと考えております。
次に、陳情の一元化についての御質問でありますが、私はこれまで、単に国にお願いをしてくればいいという安易な考え方で行動したことはありません。和歌山にとって大切な事柄を実現しなければならないような場合には、それが国の責務である場合はもちろんのこと、地方の立場からの提案としても、最も効果的なタイミングで、かつ明確な根拠をそろえて論理立てて説明することを心がけております。県民を代表して国と議論をするというスタンスで行動してまいりました。
したがって、今後とも、本県の利益が損なわれるおそれがある場合、あるいは本県の利益をぜひ実現したいという場合には、国への働きかけを行う必要があると考えております。その場合に、御質問のように、国のほうで一定の手続をとってくれというのでありましたら、その手続にのっとって対応せざるを得ないと考えますけれども、現状のようにルートを統制するということは、私は余り好ましいことではないと考えております。余り統制的なことをすると、当然反発も生ずるでしょうから、決めたほうが損をすると私は考えます。
ただ、個人的には、そういう手続によって、自分自身、和歌山県知事が特に面会を妨げられたというようなことはありませんし、民主党の幹部にも、知事は大いに議論してくれと言われております。また逆に、そのようなことがあったら、すなわち妨げられるようなことがあったら県民が許さないと思います。今後も県を代表して、県民の意見を堂々と主張してまいらなければならないというふうに考えております。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
19番尾崎太郎君。
○尾崎太郎君 質問の中で申し上げましたけれども、地方というのは、もちろん国というものがなくて成り立つものではないわけでありますから、地方のリーダーとしては国のあり方に言及をするというのは、ある意味で当然の責務ではないかと思うんです。地方参政権の問題にかかわらず、東京の石原知事や大阪の橋下知事は、国に対して積極的に提言を、あるいは苦情を述べておられるとこでありますけれども、この外国人の地方参政権についても、何人かの知事は積極的に反対を表明しておられると思います。
これは、日本という国を崩壊せしめて、もっては我々の住む地域社会にも甚大な影響を及ぼすことは間違いないと思いますから、知事におかれてももう少し積極的に発言をいただければなあと思うところであります。
また、地方の陳情の窓口の一元化ということでは、和歌山の知事ですから、和歌山の陳情を戦略的にどう通していくかという観点からいろいろ思い悩むことは当然でありますし、また我々とは少し立場が違うということも理解をいたしますけれども、このことも言いにくそうにではありますけれども、余り好ましくないとおっしゃってるわけでありますから、問題点はこの点については私どもと共有はできているのかなと思っております。
この問題にかかわらず、仁坂知事も積極的にこれからも国政に対して物申す知事であってほしいと要望いたしまして、質問を終わります。
○副議長(坂本 登君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で尾崎太郎君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
35番藤本眞利子君。
〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行います。
まず、本年度予算における県財政の影響についてお伺いをします。
政権がかわり、初めての予算審議でありますが、平成22年度予算が3月2日に予算委員会を通過し、参議院に回りました。国において、予算編成の基本理念として、「コンクリートから人へ」「新しい公共」「未来への責任」「地域主権」「経済成長と財政規律の両立」が示され、今後の経済運営に当たっては国民の暮らしに直結する名目の経済指標を重視するとともに、デフレの克服に向けて日本銀行と一体となった、強力かつ総合的な取り組みを行うとしています。
22年度予算のポイントが内閣府から出されています。この中で特徴的なことは、地方が自由に使える財源をふやすためと、平成11年以来11年ぶりに地方交付税交付金等が1.1兆円増額されたということであります。これを受けた形で、22年度当初予算において地方交付税、臨時対策債は159億円の増となっており、数字で見る限りでは県の地方交付税は増額されています。私は、これは地方で必要な予算を地方が使えるようにとの措置であると受け取っていますが、このような国の予算配分が県財政にどのような影響があるのか、お伺いをします。
また、切れ目のない経済対策ということで、経済危機対策として14の交付金が基金として積み上げられています。それ以前にも平成20年度に、生活対策及び生活防衛のための緊急対策に伴う交付金として、20年度の第2次補正で積み上げられている2つの基金を含めると16の基金が積み上げられているといった状況です。経済対策に伴う基金では、平成21年度の積立額は282億8054万円、そのうち執行された額は35億9009万円であります。積立額13%弱の執行率であります。また、生活防衛の交付金は49億3125万円、執行額8億7075万円、18%余りの執行率であります。
さて、両交付金とも国の緊急対策でありますので、速やかな対応と予算の執行が欠かせないと思いますが、昨年度を見る限りでは十分に生かし切れていないというふうに思われます。
そこで、昨年度の執行率が低くなったと思われる重立った理由をお聞かせください。
また、経済危機対策の交付金では、今年度、そのうちの152億5900万円余りが予算に計上されているところです。生活防衛の交付金は今年度で22億4591万円余りが計上され、合計175億491万円となりました。これらのほとんどの交付金は事業期間が3年間ということですので、残り合計153億7933万円余りは来年度の執行に引き継がれます。今年度も基金として積み立てられた交付金は、2つ合わせて175億491万円でありますが、昨年度の執行率では到底使い切れないのではと危惧をしています。
これらの基金はしっかり運用していただき、少しでも和歌山県の経済の活性化につなげていただきたいと思いますので、今年度の執行に係る計画と見通しについてお伺いします。
次に、DV対策についてお伺いをいたします。
昨年10月18日より、カナダの中央に位置するカルガリー市において、DV対策及び児童虐待問題、及び教育問題についての調査をしてまいりました。先ごろ、冬季オリンピックがカナダのバンクーバー市で開催され閉幕しましたが、カルガリー市も1988年にオリンピックが開催された町として有名であります。
カルガリー市は人口110万人、カナダでは3番目に大きい都市であります。カナダは地下資源に恵まれた国でありますが、カルガリー市のあるアルバータ州も石油が採掘されています。カルガリー市はアルバータ州のビジネスの中心を担う都市であり、活気に満ちた都市でありました。
州によっては言語、教育制度、税金とすべてに違っている国でありますが、カルガリー市の所在するアルバータ州は、広大な面積を有し、ロッキー山脈の豊かな自然に恵まれた、日本からも大勢の観光客が訪れる州でもありました。
最初に私たちが訪問したYWCAは、教育関係や福祉関係のさまざまな施設を運営する団体です。今回はYWCAの運営するDV被害者のためのシェルターの現状を調査しました。
カルガリー市には、YWCAの運営するシェルターが2カ所あり、1つは公にされていますが、もう1つは場所の所在がわからないようになっていました。それぞれ40床のベッドが用意されており、外部からは侵入できないように配慮されていました。
スタッフは30人、24時間体制で相談活動をされており、3週間受け入れた後、生活支援を行うため、長期滞在の施設も用意されているとのことでした。
子供を連れて避難することも多いため、子供のための心温まる準備がされていました。プレールームはもちろんですが、心のケアができるよう、1人1人におもちゃやお人形が用意され、安心して過ごしていいんだよというメッセージが伝えられていました。
きょう、この壇上に持ってきたのはこの人形(現物を示す)、ウォーリードールといいまして、子供たちの悪い夢や心配なことをこの袋に閉じ込めて、もう安心していいよというメッセージをこのお人形に託して1人1人の子供たちに贈っているという、そういった人形です。これは、シェルターの活動に協力するボランティアの人たちが、1つずつがお人形が違っていますし、こういう袋も違っているというふうなことで、手づくりでこういうふうなお人形を作成して、つくって子供たちに渡すというふうな寄附をしてくれているというふうなことでありました。シェルター全体がDV被害者を温かく迎えるといった空気を感じました。
その後、DV被害者への対応をすべてワンストップで行うことのできるホームフロントという機関に移動し、詳しくお話を聞くことができました。
ここでの仕事は、各施設や団体をネットワークで結び、どこの地域からでも受け入れることのできる体制が整えられておりました。長期の居住の世話、それから子供の教育の保障、仕事の問題、裁判の手続、カウンセリング等々、きめ細かくコーディネートし、24時間体制で24人のスタッフが被害者の支援を行っていました。
警察の役割も大変大きく、警察にはDV被害者専門の窓口があり、迅速に対応できるようになっており、裁判所にもDV専用の裁判所があり、連携しながら対応しているとのことでした。
日本でも、DVは当事者間の個人的な問題とか家庭内の問題とされ、殴られた妻が警察に通報しても、警察も「法律は家庭に入らず」、「民事不介入」の原則に縛られ、妻が重症を負うか死亡しない限り捜査が開始されないということが過去多々見られました。
その後、反DV運動の広がりにより、1995年の第4回世界女性会議を契機とする政府の「男女共同参画2000年プラン-男女共同参画社会の形成の促進に関する2000年度までの国内行動計画」において、初めて女性に対する暴力の根絶が盛り込まれるに至りました。
2001年4月には、議員立法により配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止法)が成立、2001年10月から施行されています。その後、2004年、2007年と2回改正され、今に至っています。そういった経過を経て、DV問題が人権侵害の問題であるという認識がようやく定着してきたように思います。
県では、売春防止法の規定による行政機関と、DV防止法に伴う配偶者暴力相談支援センターとしての役割の2つの機能を合わせた子ども・女性・障害者相談センターがすべての問題の相談窓口になっており、課長以下5人の職員と、各振興局に1名の女性相談員が配置されています。
本年度の総相談件数は、1月末日の実件数で2950件を超えており、その3割がDV相談であるという実態であります。一時保護をした場合でも、その88%はDVによる被害者であるという実態です。
DV問題は、外からは見えにくい構造になっています。身体的な暴力があっても、よほどのことがない限り救助を求めてこないと思われますので、相談件数は氷山の一角であると考えられます。DVである心理的暴力、経済的暴力、性的暴力、脅迫、威嚇、強要、社会的隔離等々を含めると、被害の実態は膨大なものと考えられます。
視察をさせていただいたカルガリー市では、シェルターと一時保護、またその後の継続した支援体制が確立していましたが、日本とカナダを比較してみると、取り組みに大きな差があると感じました。カナダのDV被害者への手厚い対応は、暴力に対峙する姿勢、その違いが大きいのではと感じました。
DV問題は自分には関係ないと思われる方が多いのですが、子ども・女性・障害者相談センターでお話をお聞きすると、虐待や暴力の相談件数の多さと、実際に、被害者の子供や女性の多さ、深刻さに愕然とします。また、その最前線で対応されている職員の皆さんの多忙と深刻さも半端ではなく、そのような勤務実態が他の部署の皆さんとの共通理解になっていないことも問題だと感じます。
相談窓口の明確化、県内市町村との連携、警察を含めた庁内連携、関係機関や団体とのネットワーク、警察の対応、DV被害者の生活再建における相談、手続等のワンストップサービス等々の取り組みが不可欠だと考えます。また、必要に応じて人員の配置や民間との協働も必要と考えられます。
そこで、DV問題への取り組みの現状についてお聞きをします。
また、DV被害者支援について対応はどうなっているのでしょうか。DV防止法では、市町村に対して基本計画の策定を努力義務としていますが、私は、緊急避難等の問題もあり、基本計画は必要であると考えますが、県として今後どのようにされていくのか、見解をお聞きします。
また、DV被害の実態を調査する必要があると考えますが、その点について県の見解をお伺いします。
また、警察が大変重要な役割を負っています。警察の対応をお伺いします。
次に、和大新駅の進捗状況についてお伺いします。
和大新駅──仮称ですが──整備事業については、一昨年の12月議会でも質問させていただいています。国が8億円、県市ともに5億円、駅周辺土地区画整理事業組合で15億円、総事業費33億円の事業であります。平成24年4月に開業予定となっています。
先日も、その様子を見てまいりました。片側の線路のつけかえも終わり、新しい駅の骨格ができてきていました。駅前広場の整備はまだ着手されていませんが、場所の確保はほぼされていました。大型店舗の進出も予定されており、和歌山市や県にとっても夢のある大型プロジェクトであると思います。
仮称・和大新駅からショッピングモールをくぐり、そこに広がる町並みや大学への道を行き通う人たちの姿を想像すると、何だか楽しい気分になってきます。平成27年度開通予定の第2阪和の仮称・ふじとランプが完成し、大阪とのアクセスが良好になれば、可能性はさらに広がると考えます。平成23年4月には、仮称・ふじと台小学校も完成の予定であります。
さきの知事答弁においても、和大新駅の位置づけとそれに伴うまちづくりについてお聞きしたところ、「和歌山市北西部の交通の利便性向上に大変重要な役割を果たす。和歌山市のお話をお聞きしながら、新駅の整備効果が早期に発現できるよう対応してまいりたい」との答弁でありました。
そこで、県としてこの仮称・和大新駅の整備についての現在の進捗状況についてお伺いをします。
最後に、観光行政についてお伺いします。
和歌山県観光立県推進条例が4月から施行されるということで、小川武座長のもと、私も委員としてこの条例制定にかかわらせていただき、さまざまな観光分野の皆さんの御意見をお聞きする機会を得ました。大変貴重な経験だったと感謝しています。条例制定により、県としての観光立県としての外枠ができたというふうに思います。
さて、国においても平成20年10月1日に観光庁が発足しており、我が国の観光立国に向けての推進体制を強化するための諸施策が示されています。今後は国の動きを勘案しつつ、和歌山県としても観光振興計画が策定されていくものと考えます。
そこで、まず人材の育成についてお伺いします。
観光立県和歌山として重要なことは、観光立県を担う人材づくりであると考えます。和大にも観光学部ができましたが、観光系学部・学科を設置している大学は近年急増しており、1992年度には240人程度であったものが2009年度には4400人余りへと、約20倍に拡大されています。本県の和歌山大学観光学部も、国公立では3校ということでありますが、その大学の1つです。卒業生をまだ輩出していないということもありますが、卒業生が和歌山県の観光分野で活躍していただけるよう切に望むものであります。
しかし、今のままでいくと、その確率は大変小さいように思われます。全国的に見て、現状では観光学部の卒業生の進路は、観光関連分野に就職している率が約23%と大変小さいからです。和歌山大学の観光学部も、その例外にはなりにくいのではというふうに考えます。観光を学んでも就職につながらないという現状では、優秀な人材が大学に集まることも、そこから優秀な人材が輩出されることも難しいと考えます。和歌山大学で学んだ学生が和歌山県の観光のために働きたいと思えるような支援も、必要ではないでしょうか。
先日、観光振興について和大観光学部副学長の小畑教授にお話を聞く機会があり、今の観光学部の様子などもお伺いできました。小畑教授とは、一昨年近露で行われた近露まるかじり体験で御一緒になった御縁で、そのときは御夫妻での参加でしたが、昨年のこのまるかじり体験のイベントでは、20人余りのゼミ学生と参加をしたというふうにおっしゃっていました。
教授は、近露まるかじり体験のイベントは、着地型観光を進める上で大変重要な意味を持っているというふうに言われています。
まず、地域おこしというのが根っこにあって、中辺路という村のすべての家や関係者以外の普通の人が参加している、和歌山県でも進めようとしている着地型観光は、地域を元気にすることなしに成立しないというふうに言われています。ことしゼミ学生を参加させたのは、そういった地域おこしに積極的にかかわることで見えてくることを学生とともに学問的に体系化していきたいからだというふうにお話をされていました。
そういったお話をお聞きするにつれ、和歌山に残って働く人材を育てるためにも、地域や関係機関でのインターンシップを受け入れるなど、和歌山大学との連携を積極的に推進する必要もあるというふうに思います。
観光振興課のほうからは、毎年、観光客数やそのうちの宿泊数、日帰り客数の統計が示されています。それに伴う経済効果、波及効果にも言及されており、貴重な統計であります。それに加え、1回の観光でどの地域を何回訪問したか、目的やきっかけ、満足度、もう一度見てみたいといった観光客のニーズを読み取るための以上のような調査も、数年に1回されているとお聞きしています。
しかし、入り込み客数というようなことがよく言われますが、この数も統計的に統一されたものがなく、それぞれの観光地でばらばらのカウントをとっているといった現状だとお聞きしています。今後、観光の学問的統計や調査統計を蓄積していくということも含め、和歌山大学や関係機関、企業などとどのような連携をされていくのか、お伺いします。
次に、近露まるかじり体験の1つの体験に熊野古道を語り部と一緒に歩くというイベントがあるのですが、リピーターをつくるためにも語り部の養成は重要な要素であると思います。観光を支えるために、案内業務は大変重要です。
現在、地域ごとにNPO等が案内業務を語り部という形で請け負っているところがたくさんありますが、語り部の育成はこれから欠かせないものだと思います。
また、諸外国からの受け入れには通訳案内士の養成が欠かせないと思います。通訳案内士は語学力や日本の歴史、地理、文化等を正しく伝える任務があるため、その資格取得は大変難しい現状であります。しかも、通訳案内士は大都市圏に集中しているため、本県のような地方にはいらっしゃらないのが現状です。
これを地域に限定した地域限定通訳案内士の養成を行っている県──2008年度現在では6都道府県が実施している──もあります。また、アジアからの観光客が急増している中、アジア言語の有資格者をふやすことも喫緊の課題であると考えます。通訳案内士の養成については、国のほうでも資格要件の緩和や仕事の需要をふやす等の対応を考えているとのことですので、その動向を見る必要もあるかと思います。
そこで、県としては語り部の養成や海外からの観光客の対応についてどのようにお考えなのか、お伺いします。
地域の観光振興策を立案実施するため、地域の魅力をいかんなく発揮させる地域に根差した人材、その地域に精通し、従来の観光名所や旧跡以外に旅行者のニーズにマッチした観光資源を発掘、商品化できるような人材も必要です。
県では、観光部門の職員の配置については通常のローテーションで実施していると認識しているのですが、短期間で職員が交代する現状では、観光施策を専門とする職員を育成することは大変難しいと考えます。県の観光を支えるためにも、観光振興や地域施策に特化した人材が必要だと考えます。
そこで、県として観光専門職を置く考えはないのか、お伺いします。
次に、観光資源の整備についてお伺いします。
先ごろ、金沢市のほうに観光行政について視察に行ってまいりました。金沢市は戦災に遭っていないため、古い町並みが残り、新しい町並みとうまく溶け合った観光資源に恵まれた町でありました。金沢駅は、おり立つと目の前に歓迎の言葉が掲げられており、近代的ながら、おもてなしの心があらわれているような駅のたたずまいでありました。城跡を中心に官公庁や商店街が広がり、市役所の隣に21世紀美術館があり、観光客で大いににぎわっていました。市役所隣の県庁が郊外に移転し、その跡地は芝生を敷いた公園に、古い県庁は建物の古い様式を残しつつ、全面ガラス張りで城跡の美しい石垣が見える建物に生まれ変わるとのことでした。県の職員さんの話では、城跡の石垣は石川県、金沢市にとってもすばらしい観光資源ですと説明を受けました。
さて、県都である和歌山市にも、和歌山城というすばらしい平山城があります。市内のどこからでもながめることのできる和歌山城は、全国でも有数のすばらしい城であると思います。和歌山城のお城沿いを散歩する市民の姿をよく見かけますが、お城は和歌山市民や県民にとって大変身近で生活に密着したものだと思います。和歌山城の南側を通る三年坂は名前も美しく、その前の道路も整備され、それに続く県立美術館も、金沢の21世紀美術館に負けないすばらしい景観を誇っています。
しかし、和歌山駅や市駅の現状は、お城を初めとする和歌山市のすばらしい観光資源を積極的に紹介することもないようなありさまです。また、そこに行くためのバスの案内も不親切な状況で、初めて和歌山を訪れた皆さんにおもてなしの心が伝わるような、そういった風景になっていません。ましてや、和歌山県の観光地への誘導も薄いように思います。
和歌山県の玄関口である和歌山市の観光の振興なくしては、県全体の活力につながっていかないと考えます。県として、和歌山市のこういった観光資源の現状をどのように認識しているのか、和歌山市との関係も含め、今後どのように観光振興を進めるべきだと考えるか、所見をお伺いします。
次に、観光立県として県民総参加による観光振興に取り組むために、自分たちの住むこの和歌山の歴史を知り、郷土愛をはぐくむ教育は大変重要なものと考えます。
先日、有田川のウ飼いのお話をお聞きしました。有田の皆さんは御存じかと思いますが、今現在、鵜匠が4人しかいないということです。有田川のウ飼いは大変歴史が深く、長良川のウ飼いは有名ですけれども、有田のほうが古いとお聞きしました。しかも、商業化された長良川に比べ、有田川のウ飼いは2月にウを捕まえ、5月まで仕込み、6月から9月までウ飼いをした後、そのウは自然に放つというふうなことだそうです。長良川では一度仕込むと飼いっぱなしだということですので、比べると有田のウ飼いがどれほどすばらしいかがわかります。有田のウ飼いが商業化されなかったということは、反面、商業化が苦手な県民性ということも言えるかと思います。
しかし、このような観光資源はこれからも大事に育てていかなくてはなりません。地域地域に伝わるすばらしいわざや歴史を子供たちに伝えていく、意識的に人材をつくっていく必要があると思います。それぞれの地域に伝わる郷土の歴史をどういう方法でどういう機会に伝えていくのか、また郷土に誇りを持つ子供を育てるためにどのような教育をされていくのか、これは教育長にお聞きします。
以上で、一般質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの藤本眞利子君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、地方交付税の増額による県財政への影響についてお答え申し上げます。
地方交付税の動向につきましては、厳しい経済状況のもとで、地方税や地方交付税の原資である国税5税の大幅な減収が見込まれる中、本県のみならず、全国の地方公共団体が大きな関心を持って注目していたところでございます。
平成22年度の地方交付税総額が1兆円規模の別枠加算により増額されたことは、地方の厳しい財政状況に対し配慮がなされたものと評価しているところでございます。
平成22年度当初予算につきましては、景気の低迷による県税収入の大幅な減少や社会保障関係経費の増加など、県財政を取り巻く非常に厳しい環境の中、地方財政対策を踏まえた財源対策や行財政改革の着実な実施などにより、収支不足額を新行政改革推進プランの目標額を下回る31億円に抑制する一方、県民の方々の不安を取り除く安全・安心の政策と、次の時代のための希望の種をまく政策を積極的に展開するために必要な予算を確保することができたものと考えております。
もちろん、この予算編成に当たりましては、無駄を省き、切り詰められるところは最大限そうする一方で、必要と思うところは果断につけるという県当局挙げての血のにじむような努力もありましたが、現政権における地方交付税の増額と、もう1つは前政権のときにいただきました各種基金を有効活用できたことも大いに助けになったところでございます。
○副議長(坂本 登君) 総務部長宮地俊明君。
〔宮地俊明君、登壇〕
○総務部長(宮地俊明君) 国の経済危機対策に伴う交付金等を積み立てた基金の活用についてお答え申し上げます。
平成21年度の基金執行額につきましては議員御指摘のとおりでありますが、経済危機対策関連基金約283億円は、平成21年度国補正予算に係るものでありまして、県といたしましては、国の内示にあわせ、6月補正から順次9月、12月、さらには当2月議会において基金積み立てを行い、事業執行可能額を順次取り崩して執行してまいりました。
その中には、国による事業計画承認後、2月議会において積み立てを行い25年度まで執行するものや、事業開始が21年10月以降で23年度まで執行するもの、あるいは21年度の執行額はゼロでも交付先が決定しており全額を22年度に執行するものなど、それぞれの基金によりまして事業開始時期や事業期間が異なることが21年度の執行率の要因と考えております。
平成22年度の予算につきましては、各基金の所管部局におきまして、県がみずから執行するもの、市町村や事業者に交付するものなどを合わせ所要額を見積もり、予算計上したものでございます。
それぞれの基金の設置目的を十分に踏まえ、適正かつ計画的に執行することによりその効果が最大限発揮できるよう、今後とも努力してまいりたいと考えております。
○副議長(坂本 登君) 福祉保健部長北田佳秀君。
〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) DV対策についての2点にお答えいたします。
まず、取り組みの現状についてでございます。
県では、昨年4月、DV対策の基本計画を改定し、配偶者等からの暴力を容認しない社会の実現を目指し、主として啓発、相談、保護、支援の観点から、関係機関とのネットワークのもと取り組んでいるところでございます。
具体的には、暴力を許さない意識の醸成をテーマとする教育や啓発を行うとともに、被害に悩む女性には安心して相談できる環境が必要であることから、子ども・女性・障害者相談センター、男女共生社会推進センター、各振興局などにおきまして、電話や面接による相談業務を行っております。
また、緊急時の避難が必要となる重篤なケースでは、一時保護から、その後の生活再建に至る支援を行っております。
しかしながら、議員御指摘のとおり、近年DV被害者からの相談件数が大幅に伸び、平成20年度では行政関係機関だけでも1000件近くに上るなど、より一層のDV対策の強化が重要であると認識しております。
次に、今後の対応についてでございますが、DV対策は単一機関のみで支援を完結するということは困難な場合が多いことから、多様な関係機関が連携し、切れ目のない支援が実施できるよう、行政、警察、民間団体等で構成する現有のネットワークのさらなる充実強化に努めてまいりたいと考えております。
また、住民に身近な存在である市町村では、きめ細かなDV対応が求められますので、その行動指針となる基本計画の策定や体制の整備など、地域の実情に応じた連携協力を働きかけてまいりたいと、そのように考えております。
以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 環境生活部長井口悦治君。
〔井口悦治君、登壇〕
○環境生活部長(井口悦治君) DV対策のうちの3点目の実態調査についてでありますが、DVに関する実態調査につきましては、直接の調査ではありませんが、平成18年度に実施した男女共同参画に関する県民意識調査の中で、関連項目としてDVに当たる行為について調査をいたしました。
この中では、夫婦や恋人間で身体を傷つける可能性のあるもので殴る行為を88.7%の方がDVに当たると答えているのに対し、何を言っても無視し続けるという行為がDVに当たると答えた人は29.3%にとどまっております。身体的暴力以外の暴力について、認識が低いという結果が出ております。
こうしたことから、DVに対して正しく認識してもらうため、あらゆる機会をとらまえて意識啓発に努めております。
なお、実態調査につきましては、内閣府が平成20年度に実施した男女間における暴力に関する調査によりますと、女性の約4人に1人が配偶者から身体的暴行を受けた経験があるという調査結果が出ており、県といたしましても、今後、男女共同参画に関する県民意識調査を行う際、調査項目を検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 企画部長前硲健作君。
〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) 仮称・和歌山大学新駅の進捗状況についてお答えいたします。
新駅の整備は、現在、工期約5年のうちの3年目で、駅舎の東半分の建築工事や下り線の電気・信号関係の工事が進められておりまして、本年1月の進捗状況は50.3%となってございます。
22年度におきましては、現在の下り線を新しい路線に切りかえ、駅舎の西側部分の工事に取りかかることを予定しており、このまま順調に工事が進めば平成23年度末完成、平成24年春には駅開業という予定になってございます。
今後も、関係機関と連絡を密にしながら工事の進捗を図ってまいります。
○副議長(坂本 登君) 商工観光労働部長永井慶一君。
〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 観光振興についての3点の御質問につきまして、一括してお答えさせていただきます。
まず、人材の育成について、和歌山大学や関係機関、企業とどのように連携しているかについてでございますが、県では、平成20年4月、和歌山大学、県観光連盟との3者で観光に向けた相互連携に関する交流協定を締結し、和歌山大学とは観光カリスマ講座の開催、観光統計調査での共同研究、民間企業とは観光学部の学生のホテル、旅行会社でのインターンシップを行うなど、産学官共同で諸事業に取り組んでいるところであり、今年度以降も引き続き連携を深め、実のある事業を展開してまいりたいと考えてございます。
次に、語り部の養成等についてでございますが、国の内外から訪れた方々に本県の歴史や高野・熊野の精神文化等を御理解していただくため、語り部や通訳案内士の果たす役割は非常に大きいものと考えております。
このため、語り部の養成に関しましては、各語り部団体が実施する自主研修への支援や訪問客の安全対策、話し方等を内容とする基礎研修を実施しているところであります。
また、通訳案内士につきましては、通訳案内士の偏在やアジア言語の通訳案内士の不足などの課題もあることから、地域の実情に合った通訳案内士制度となるよう働きかけるとともに、地域特性に精通した通訳ボランティアガイドの方々と引き続き連携しながら、外国人観光客へのおもてなし力を向上させてまいりたいと考えてございます。
次に、観光専門職についてでございますが、観光振興の業務につきましては、専門性が非常に高いことから、平成19年に財団法人わかやま産業振興財団に観光産業プロジェクトマネージャーを配置し、例えば、那智勝浦町での町並み博覧会や熊野古道関連商品の造成など、民間ノウハウを生かした観光振興に取り組んでございます。
議員御提案のとおり、観光振興の業務におきましては、観光事業者やマスコミなどとの人的なつながりや、本県のそれぞれの地域の特性や魅力に十分に精通することが必要であることを踏まえ、今後とも専門職のあり方につきまして検討を進めてまいりたいと考えてございます。
次に、和歌山市の観光資源に対する所見についてでございますが、県全体の観光振興にとりましても、本県を代表する観光地の1つである和歌山市観光の活性化は非常に重要であると認識してございます。
和歌山市には、議員御指摘の和歌山城を初め、万葉の昔から景勝地として親しまれる和歌浦などの奥深い歴史文化、海洋レジャーでにぎわうマリーナシティ、磯ノ浦、加太、友ヶ島などの豊富な自然というすばらしい観光資源を有してございます。
今後とも、こういった観光資源を生かした商品造成やその情報発信など、和歌山市の観光振興の進め方につきまして、市並びに関係機関と十分議論を深めながら取り組んでまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 教育長山口裕市君。
〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 郷土への誇りを持てる子供の育成についてお答えいたします。
本県には、全国に誇るべき自然環境や歴史、文化など、すぐれた財産がございます。子供たちがこれらのよさを深く学び、ふるさとへの愛着を高め、郷土を誇りに思う態度を育成するよう、これまでもふるさと教育を推進してまいりました。各学校では、社会科や総合的な学習の時間などで地域へ出かけ、探究活動を行ったり、また地域の方を招きまして直接話を聞いたり、地域に伝わるすばらしいわざを学ぶなど、体験活動を行っております。
県教育委員会におきましては、昨年度、9年ぶりにふるさと教育副読本「わかやま発見」を改訂するとともに、今年度は子供たちの地域への興味関心を高めるため「わかやま何でも帳」を作成いたしまして、ふるさと教育の充実を図っているところでございます。
また、これらのふるさと教育関係資料や取り組み事例を教育委員会のホームページ等で広く紹介をしております。
今後とも、子供たちに郷土和歌山への誇りや自信を持たせる取り組みを一層推進してまいります。
○副議長(坂本 登君) 警察本部長永松健次君。
〔永松健次君、登壇〕
○警察本部長(永松健次君) 警察における配偶者からの暴力、いわゆるDV事案への取り組みについてお答えいたします。
警察におきましては、被害者の安全確保を第一に積極的な対応を図っているところであります。DV事案につきましては、過去5年間に平均210件余りの相談を受理しておりまして、昨年は260件に上っております。
このように、相談により認知することが多いDV事案に対しましては、警察本部生活安全企画課と各警察署にDV対策の専務係を配置し、緊密な連携のもと組織的な対応を行っているところであります。
具体的には、被害者の意向を踏まえ、加害者に対して厳しく指導・警告することはもちろん、被害者には今後の危険性を十分に理解させ、被害届の提出を促し事件検挙を図っているほか、裁判所の保護命令制度の教示を含めた指導・助言を行っております。
昨年は、保護命令違反や暴行、傷害等で21件のDV事案を検挙したところであります。また、県の子ども・女性・障害者相談センターや市町村等の関係機関と情報を共有するなど連携を密にしまして、その後の被害者保護対策にも努めているところであります。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
35番藤本眞利子君。
○藤本眞利子君 答弁をいただきましたので、2点、要望を述べたいというふうに思います。
まず、基金についてであります。
経済危機対策に伴う基金のうち、緊急雇用創出事業臨時特例交付金、それとふるさと雇用再生特別交付金、この額面が最も大きくて、雇用に関して結果を出すということが求められていると思います。
しかし、他の基金と比べて雇用を生み出すというのは大変難しい、担当課の方に聞くまでもなく難しいんじゃないかと想像しています。
緊急雇用創出事業臨時特例交付金、これは非正規の労働者とか中高年の失業者に対して、短期の雇用、就業機会の創出、提供及び人材育成のための事業を実施するというふうにありまして、40億余りの予算が積まれています。
その中で、高校生の未就職者を対象に、働きながら就職活動を続けられる機会を創出するということで、県及び教育委員会にアルバイト職員という形で臨時に雇用するという予算が今回計上されているわけです。この点について、ちょっとやり方が簡単過ぎるの違うかと思ったので当局にお聞きしますと、その間に何とか就職できるように最大の手だてをするというふうなことですので、今後の経過を見守っていきたいというふうに思います。
短期間で大きな予算が動きますので、この事業も含め、職を求めている人が一人でも多く雇用につながるというふうな取り組みを期待したいというふうに思います。
もう1点はDVの問題でして、非行や犯罪にかかわる青少年の8割から9割は、家庭での暴力を体験しているというふうに言われています。DVの加害者は圧倒的に男性が多いわけですけど、夫から妻への日常的な暴力というのは、これは児童虐待にも深くかかわっております。生育時の暴力というのは子供の心と体に大きな影響を及ぼしますので、それが非行とか犯罪につながっていくということも容易に想像できるというふうに思います。
人というのは、やっぱり認められて自尊感情がはぐくまれるということがすごく大事なことでして、虐待やDVの家庭で育てられたとしても、その後の支援とか、それからだれか相談する人がいるということで、犯罪率というか非行率が非常に低くなるというデータも出ています。そういった意味では、DVの取り組みというのは本当に個々人の小さな問題ではなくて、日本全体の社会問題だというふうに思います。
あと、DV被害者の女性というのは、本当に経済的能力というか、経済的に苦しいことが多くて、保護された後も生活面で本当にさまざまな問題を抱えてしまうわけです。子供がある場合はもうさらに状況は厳しく、苦しくなっていきます。一たん社会に出た後も、その支援が継続されるということが求められておりまして、だれかに相談できるという環境があるのとないのとでは、もう状況が大きく変わってきます。そういうことでは、生活面での相談ももちろんですけど、暴力によって傷つけられた心の問題というのは本当に長い時間が必要だというふうなこともありますので、今度、そういった、保護した後の支援というのを継続できる民間団体の育成が求められているんじゃないかなあというふうに思います。
県としても、相談者の育成や民間団体との連携をさらに深めるというふうにもおっしゃっていただいていますので、さらに取り組みをお願いして質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(坂本 登君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤本眞利子君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時34分休憩
────────────────────
午後1時1分再開
○議長(冨安民浩君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
18番川口文章君。
〔川口文章君、登壇〕(拍手)
○川口文章君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問させていただきます。
政権交代した中で、政策面においても経済面においても国と地方が混乱している中で、今議会において知事が出馬表明されましたことは、元気な和歌山を実現するために、山積した課題にみずから積極的に立ち向かうため、2期目の県政を担当する勇気を表明していただいたことに、大いに評価するものでございます。
まず、質問に先立ちまして、県道泉佐野岩出線の完成について御礼を申し上げたいと存じます。
この3月3日に、仁坂知事のおかげをもちまして、私の地元である南北の骨格道路となる泉佐野岩出線の和歌山県側の4車線化が完成し、供用が開始されました。泉佐野岩出線は岩出市民が長年待ち望んでいる道路でございまして、私の地元である南北道路につきましては、3月3日をもって供用開始がされました。泉佐野岩出線は長年待ち望んでいた道路であり、県の御努力に敬意を表しますとともに、厚く御礼を申し上げたいと存じます。まだ和歌山県側の南伸と大阪側の一部が残されておりますが、早期完成を期待しているところでありますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。
また、根来山一乗閣の修復保存につきましては、岩出市との協議が進められ、新年度で文化財調査と実施設計に着手されるとのことであり、岩出市民の期待におこたえいただきましたことに御礼を申し上げます。
なお、2月28日に予定してございました行政報告会が、チリ地震による津波警報が発令され、延期になったことは非常に残念でございますが、自然災害の危険に対応するために当然であると思っております。岩出市民の皆様は、ぜひとも知事の県政報告をお聞きしたいとの要望がございますので、ぜひとも日程調整の上、開催されますようよろしくお願い申し上げます。
それでは、質問に移ります。
さて、昨年9月に民主党政権が発足し、年末には鳩山政権下で初めての国の予算編成がなされました。予算編成に先立ち、12月15日に予算編成の基本方針が閣議決定されましたが、その中で、「コンクリートから人へ」という基本理念の名のもとに公共事業を大幅に削減する方向性が盛り込まれ、私は、国の予算、特に公共事業予算は一体どうなるのか、またそれが本県にどう影響するのか、大いに危機感を持った次第であります。
長引く景気の低迷で景気や雇用といった生活を支える基盤が揺るぎ、大多数の国民が日々の暮らしに大きな不安を抱えているこの時期に、景気刺激効果の高い公共事業を削減することが果たして本当に我が国の発展につながるだろうかと私は大いに疑問を抱きつつ、その一方、削減といえどもわずかな削減にとどまるのではないかと淡い期待を持って政府予算の編成過程を見守っておりました。
しかしながら、その結果は、子ども手当や高等学校の無償化など、マニフェストに掲げられた政策が予算に盛り込まれる一方で、公共事業予算は総額で5兆7700億円と前年度の7兆700億円から1兆3000億円程度の減額、率にして18.3%の減と、信じがたいような大幅な削減となりました。こうなると、本県への影響が心配であります。
私は、和歌山県がこれまで他の地域に比べましておくれをとってきたのは、本県が紀伊半島という国土幹線軸から離れていたところに位置するというハンディキャップを克服し切れなかったからだと思うわけであります。そして、そのハンディキャップを克服するためには道路ネットワークの構築がぜひとも必要であり、企業誘致を進める上でも、また大規模地震に備える上でも欠かせないものだと考えております。
県の長期総合計画においても、「にぎわいと交流を支える公共インフラを整備する和歌山」を大きな柱として位置づけ、その中に高速道路ネットワークを初めとする道路網の整備を推進していくことが書かれてございます。しかしながら、このように国の公共事業予算が大幅に削減されると、計画に掲げた目標の実現が困難になるのではないかと心配しているところであります。
このような公共事業予算、とりわけ道路のお話をさせていただきましたが、私が申し上げたいのは、予算などの国の動向によって、本県に対してほかにもさまざまな影響が出てくるのではないかということであります。
仁坂知事は、これまで新政策プロセスを進める中で、県の抱える課題を解決していくために、国に要望すべきことは要望し、県が要望できることで解決できるものは、財源の兼ね合いも見ながら県として対応できるかどうか判断し、対応されるという趣旨のお話をされてきました。実際に、国の要望については、県民の先頭に立って県の立場からの意見を堂々と訴えられてきましたが、そのような仁坂知事の姿に県民は大いにエールを送ったのではないでしょうか。
そこで、知事にお伺いいたします。
1点目に、平成22年度当初予算において国の公共事業予算が大幅に削減された中で、本県の予算においてどう対応されたのか、お伺いいたします。
2点目に、今後、新政権が掲げたマニフェストが段階的に実行されれば、公共事業が今後さらに削減されるなど、本県にさまざまな影響が出てくるのではないかと大いに危惧するところですが、知事はこの国の動きに対して、国への要望など、どのように対処していくお考えであるか、お伺いをいたしたいと存じます。
次に、2番目の県管理河川の改修計画について、県土整備部長にお伺いいたします。
私は、平成20年9月議会で一般質問さしていただきましたが、異常気象による集中豪雨、特に近年のゲリラ豪雨は予想できない雨量が、農地の宅地化が相まって雨水の到達時間が予想できないほど早く、あっという間に浸水対策を立てる間もなく床下・床上浸水するのが現状であります。
和歌山県で最近の集中豪雨の例を言いますと、昨年の11月11日未明、和歌山県で観測史上最大の雨量を記録してございます。和歌山市では、午前3時から4時までの1時間に119.5ミリの降水量を記録しており、観測史上最大となり、市内各地で道路の冠水、床上浸水が相次ぎ、降り始めてからの総雨量は256ミリを記録いたしました。岩出市にあっては、国土交通省船戸出張所の観測では、午前3時から4時に53ミリ、4時から5時に51ミリ、5時から6時に53ミリが降り、3時間の総雨量は157ミリで、時間雨量は平均して52ミリを観測されております。
岩出市には、県の管理河川である住吉川と根来川があり、豪雨のたびに河川が短時間に増水し、市民の生命と財産を危険にさらしているところであります。根来川につきましては、平成21年度和歌山県水防計画書では、紀の川水系根来川の重要水防箇所に重要度Aとして両岸1124メートル、危険理由は堤防高と位置づけられてございます。住吉川につきましては、重要水防箇所、重要度Aとして両岸2900メートル、危険理由は堤防高に位置づけされてございます。
県土整備部長から「重要水防箇所を市町村と連携を図り早急な対策により地域住民の不安解消に努めてまいります」との答弁をいただいておりますので、一般質問することを差し控えたかったのでありますが、岩出市はもとより地元住民の皆様の強い要望もあり、あえて質問させていただきます。
まず根来川でありますが、平成20年5月25日の集中豪雨によって崩壊した現場の状況は、知事はすぐさま視察されました。現在、復旧されましたが、上流部についても引き続いて拡幅工事を進めてまいりますとのことでありますが、年度計画的な改修計画はどのようになっているのでしょうか。
次に住吉川についてでありますが、平成20年5月25日の集中豪雨によって崩壊した護岸の復旧はされました。(資料を示す)この資料写真は、20年の被災状況を岩出市吉田地区の方から提供があった被災写真でありますが、昨年11月も同じ状況の浸水、農地の冠水がありました。また、県道小豆島岩出線が冠水し、通行どめになることがたびたびでございます。この資料提供の写真をごらんいただきたいと存じます。
そこで、私が現場を調査いたしましたところ、不思議に思うことは、この住吉川の支流で県管理河川である相谷川に、この資料写真のとおり、地元では通称で越流堤ということで呼んでおりますが、この越流堤がこの写真のとおりあることであります。この写真をごらんいただきますと、通常の越流堤の写真、それから洪水時の越流堤の写真であります。このとおり、非常に大きい流量がこの吉田地区に流れ込んでいるのであります。
この越流堤につきましては、河川堤防──相谷川でございますが──堤防を切り下げて水量を減らすための対策であると思いますが、どうしてこのような越流堤がつくられたのでありましょうか。この越流堤は、資料写真のとおり、河床と越流堤の高低差は約50センチ、水量調整のための洗堰もゲートもございません。越流堤の幅は約10メートルございまして、堤防から70センチ程度切り下げられてございます。集中豪雨のときは、50センチ以上の増水によって自然に越流堤から吉田地区に流れるような水系になっております。岩出市吉田地区の浸水被害の原因は、この越流堤だけではありませんが、資料写真のとおり、浸水被害の大きな1つの原因となっております。
もちろん岩出市としては、県当局に要望するだけではなく、市の責任でしなければならないことは当然ではあります。岩出市は、平成21年度に岩出市全域の排水対策計画を策定して、平成22年度から計画的に進めていくということを聞いてございます。岩出市と早急に協議をされまして、吉田地区、中島地区、中黒地区の不安解消に一日も早く計画を進めていただきたいと存じます。
これらのことを踏まえまして、県土整備部長にお聞きいたします。
まず1点目に、県管理河川である根来川、住吉川が紀の川水系河川の水防重要箇所の重要度Aに指定されており、今後とも治水効果の早期発現を考慮しつつ河川改修を進めてまいりますとのことでありますが、現状をどのようにお考えなのか、お聞きいたします。
2点目に、根来川の今後の整備計画についてお聞きいたします。
3点目に、住吉川について、支流相谷川に設置されている通称・越流堤の問題を解決するために住吉川の改修計画を一日も早く上流に延伸することが不可欠だと思いますが、今後の住吉川の整備計画について、また通称・越流堤の対策についてお聞きいたします。
3番目に、中高一貫教育校について教育長にお伺いいたします。
私は、平成20年9月の一般質問で、既設校の教育内容やそのあり方について、「一定の時間をかけて評価、分析を行います。その結果を踏まえて、地元市町村や保護者、学校関係者等の意見を幅広く多角的に伺うとともに、地域の実情やニーズ等を勘案し、未設置の地域について総合的に検討する」との御答弁をいただいております。
教育長は、岩出市、紀の川市から那賀地域に中高一貫教育校の設置についての要望が出ていることは既に御承知のことと存じます。私も、毎年、入試の時期になりますと、地元の保護者の方から、「那賀地域には公立高校が3校もあるのに、どうして中高一貫教育校がないのですか。県の教育委員会はどう考えているのか」といつも聞かれております。私は、「今、教育委員会で検討していただいておりますのでもう少し時間を下さい」と答えておりますが、いつまでもこのようなことでは保護者の皆様は納得されないと思っております。
そこで、平成21年度の「和歌山県統計年鑑」で調べましたところ、那賀地域での人口は、平成20年10月1日現在の常住人口は11万8593人、平成20年5月1日現在の小学校は25校、学級数は296学級、児童数にして7806人であります。小学校数、学級数、児童数は和歌山県全体の10%から15%を占めており、和歌山県下の中高一貫教育校は、地理的に見ても那賀地域に設置されていないのはどうしてでしょうか。
また、和歌山県長期総合計画の「今日的な教育課題への対応」の中で、「少子化や教育ニーズの多様化への対応」では、「子ども一人ひとりの適性に応じた教育を展開するため、中高一貫教育の在り方などを検討し、魅力ある学校づくりの充実に努めます」との方針が出されており、「市民性を高め、郷土への愛着を育む教育など元気な和歌山の未来を拓く人づくりへの協力を求めます。また、このための支援を充実します」と締めくくっております。
このような方針が出されておりますが、全県的なバランス、地域の状況を把握し、教育長が御認識のとおり、岩出、紀の川両市長が要望していることは、那賀地域の保護者の皆様が要望しているのであります。なぜ保護者は中高一貫教育を要望するのかを考えたことがありましょうか。児童が希望して一貫教育を受ける場合には、公立か私立一貫教育校のある和歌山市か橋本市に通学しなければならず、幼い児童生徒にとっては非常な負担となっております。
そこで、教育長にお伺いいたします。
まず1点目に、市町村の教育委員会の意見を聞かれたのか、また、教育現場で議論されたのか、その意見をもとに教育委員会で議論されたのか、その内容についてお答えをいただきたいと存じます。
2点目に、県立中学校出願者数と倍率、出願者数の中で那賀地域からの出願者数、また私立中学校の出願者数と倍率についてお聞きをいたします。
最後に4番目、県職員の心の病についてお伺いいたします。
昨年10月に県が公表した平成20年度の人事運営状況によりますと、平成20年度において心身の故障によって休職となった県職員は延べ207人となっております。平成19年度より16名増加となってございますが、その中で特に私が憂慮しておりますのは、職員の心の病の増加であります。
現在、県では、一昨年3月に策定された新行財政改革推進プランの実行中でありますが、このプランでは、非常に厳しい財政状況の中、県民サービスの低下を招くことなく、持続可能な財政構造の確立を目指しております。人件費総額の縮減については、計画期間全体で職員数990人、6.1%、知事部局においては職員数480人、11.7%もの人員削減を行うこととされております。人員削減に当たっては、業務委託の推進や業務の簡素化、効率化によって行うとされております。新行財政改革推進プランは確実に実行し、職員には少数精鋭で県勢の発展に活躍していただかなければなりません。このプランの実行なくして、同時に策定された和歌山県長期総合計画が示す将来像「未来に羽ばたく愛着ある郷土 元気な和歌山」の実現はかないません。
しかしながら、これだけの人員削減を行うとなると、現実の課題として、やはり職員には質、量ともに大きな負荷がかかってしまっているのではないでしょうか。その負荷が原因で職員は疲弊し、心の病となり、休職となってしまう。職場として、ただでさえ忙しい状況の中で貴重な戦力を失い、さらに負荷が増大し、周囲の職員も疲弊してしまうという悪循環に陥って休職者がふえてしまっているのではないかと心配しております。
行革プランの実行、本県の将来像の実現のためにも、職員の心のケアができる職場環境を整えることは大変重要なことと考えますが、当局ではどのような対策を進めておられるのか、総務部長にお尋ねいたします。
以上4点について誠意ある御答弁をお願いし、1回目の一般質問といたします。ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの川口文章君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、国の公共事業予算の大幅削減に伴う本県への影響についてお答え申し上げます。
議員御指摘のとおり、国において平成22年度の公共事業予算が大幅に削減された結果、本県の成長にとって不可欠な道路ネットワークの整備を初めとした公共事業について、これまでのような事業量を確保することが困難になることも想定されます。
平成22年度当初予算の編成に当たりましては、国の状況等の把握に努め、見込み得る限りの予算措置を講じたところでございます。また、平成21年度予算におきましても、国に対して積極的に要望等を行った結果、道路や農道、土地改良事業などの公共事業の追加配分が認められたため、2月補正予算に計上し、22年度当初予算と合わせて事業量の確保に努めたところでございます。
次に、今後、国の動きに対して県としてどう対応するかということでございます。
川口議員の御質問の中で、本県の発展に道路ネットワークの構築が不可欠であるという趣旨のお話がありましたが、私もまさに同じ思いであります。知事就任以来、道路ネットワークの構築を県政の重点課題と位置づけ、取り組んでまいりました。
さらに、国への働きかけについても、特に道路に関しては、3年前には、国の道路の中期計画の策定が予想されましたので、これに対して理論づけをきちんとしとかないといけないということで、国に対しても発言力のある有識者を交えた道路懇談会を設置し、道路整備がおくれた地方の立場から道路整備の必要性を理論的に訴えまして、国に紀伊半島一周道路の建設を認めてもらった経緯があります。さらに2年前、暫定税率が期限切れとなった際にも、道路整備とその財源確保の必要性を訴えました。このように、議員各位や県選出国会議員のお力添えもいただきながら、国に対して積極的に県の考えを主張してきたところであります。
また、道路の問題に限らず、国との関係で必要なことは、その都度、県民を代表する立場の知事として、県の意見や提言を積極的に主張してまいりました。例えば、県立医科大学の定員に関しても、地域医療を支える医師が不足し、地域医療が崩壊しかねない危機的な状況を打開するために、本県が独自に国へ働きかけた結果、それまでの閣議決定を覆して、厳しく抑えられてきた医学部の定員増を国に認めさせることができました。
このように、県民の利益が損なわれる場合や本県の利益をぜひ実現したいという場合には、今後とも、これまでと同様に憶することなく県の意見を堂々と主張してまいりたいと考えております。単に要望あるいは陳情ということだけではなくて、国の立場に立ってみても和歌山県の要望を受け入れなければならないという理論的な根拠も示しながら今後とも活動してまいりたい、そんなふうに考えております。したがいまして、議員各位の御理解と御支援を賜りますようによろしくお願い申し上げます。
○議長(冨安民浩君) 県土整備部長茅野牧夫君。
〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 県管理河川の整備についてお答えいたします。
まず、根来川、住吉川、この現状認識につきまして、議員御指摘のとおり、両河川とも重要水防箇所に位置づけられておりまして、計画上の洪水に対して流下能力が不足している現状にございます。そのような状況の中で、両河川の沿川地域では、議員提供資料にありますように、家屋の浸水や道路冠水等が昨年の11月にも発生しておりまして、地域の方々の不安が高まっているのではないかと危惧しております。また、岩出市吉田地区に関しましては、住吉川上流部の通称・越流堤が浸水対策上の課題の1つとなっているということも認識しております。県としましては、根来川、住吉川の整備を早急に進め、住民の方々の不安解消に努める必要があるものと認識しております。
次に、根来川の整備についてでございます。
現在、山田川合流点から藤崎井用水路までの400メートル区間の整備を促進することとし、護岸補強を兼ねた河道拡幅工事を進めております。今年度末までに、山田川の合流点から後明橋までの約340メートル区間の河道拡幅工事を完了させる見込みです。また、藤崎井用水路より上流区間の整備につきましては、藤崎井用水路より下流区間の整備完了後に進めるように考えておりまして、現在、現況流下能力を再度検証して、河川整備の進め方を検討しております。さらに、藤崎井用水路より上流区間では、昨年11月の集中豪雨でも護岸の被災を確認しておりますので、被災箇所の早期復旧に加え、護岸の老朽化や河床洗掘の状況を点検し、護岸修繕等、必要な対策を速やかにしてまいりたいと考えております。
次に、住吉川の整備、特に住吉川上流に設置されております通称・越流堤の対策につきましてお答えいたします。
住吉川の整備は、紀の川合流点から国道24号までの区間の事業進捗を図っております。今年度は、たかの橋から上流に向け約180メートルの区間の護岸工事に着手しており、地元の方々の御協力をいただきながら、引き続き早期完了に向けた整備を進めてまいります。
議員御指摘、通称の越流堤の対策につきましては、河川整備は下流から順番に進めていくということが原則でありますので、越流堤より下流の住吉川の流下能力が小さい現状では、越流堤をかさ上げすることは難しいと考えております。このため、国道24号より下流区間の整備を急ぐとともに、国道24号より上流区間につきましても、下流区間の整備完了後、速やかに事業着手できるよう、具体的な整備手法の検討や地元の調整を進めてまいります。
なお、現在、岩出市において排水計画を検討されているということも承知しておりまして、国道24号上流区間への事業着手までの間につきまして、岩出市や地元とも調整の上、必要な維持管理等を行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 総務部長宮地俊明君。
〔宮地俊明君、登壇〕
○総務部長(宮地俊明君) 職員の心のケアについてお答えいたします。
議員御指摘のように、心身の故障により貴重な戦力である職員を欠くということは、県政にとって大きな痛手であると考えており、職員が心の病に陥らないよう、その対策を実施しているところであります。
まず、予防策といたしましては、新規採用職員研修、新任所属長研修等、さまざまな研修の機会をとらえ、すべての職員に心のケアの基礎知識と対応策を習得させる研修を行っております。また、メンタルヘルスの啓発用冊子を各所属に配布するなど、気軽に職員が相談できる職場の環境づくりに努めているところでございます。
次に、心の病が疑われる職員につきましては、管理職の指導により、産業医の健康相談や、2名のカウンセラーにより毎月実施しているストレス相談の積極的活用、あるいは専門医療機関の受診を勧めるなど、早期対応にも努めているところであります。現在、職場への復帰支援も含めましたメンタルヘルス対策指針等の作成を進めているところであり、今後も職員が健康で県勢発展の担い手として活躍できるよう、総合的な心のケアができる職場環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
○議長(冨安民浩君) 教育長山口裕市君。
〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 中高一貫教育校につきましてお答えいたします。
県立高等学校再編整備計画の第1期実施プログラムに基づきまして、併設型の県立中学校を5校設置しており、平成16年度に設置して以来、今年度初めて高等学校の卒業学年を迎えたところでございます。
併設型の中高一貫教育校の設置に当たりましては、議員からもたびたび御質問いただいておりますように、岩出市長、紀の川市長などからも設置に対する御要望や御意見をいただくとともに、設置した地域にありましては、県立中学校の状況や設置後の課題等につきましても、さまざまな御意見、御要望をいただいてございます。
このような中、中高一貫教育による成果や課題等について検証を進めるため、昨年5月に、有識者や県立中学校設置地域の教育委員会及び公立中学校の代表、県立中学校の管理職等による中高一貫教育協議会を設置するとともに、県立中学校を設置した地域の教育委員会や学校関係者等から聞き取り調査を行い、県立中学校の状況把握とあわせて、そのあり方について評価、分析を行っているところでございます。
昨年11月の協議会では、各地域の現状を踏まえた検証を行うとともに、今後の状況やニーズ等を含めた中高一貫教育に係るアンケート等の調査のあり方を検討し、来年度の実施に向け、現在準備を進めてございます。
県立中学校の状況といたしましては、先般、平成22年度の入学者選抜を終えたところでございますが、ここ3年間の県立中学校の状況を見ますと、志願者が毎年1500名程度で倍率3.8倍程度となっております。このうち那賀地方からは150名程度の志願者であり、県立中学校に対してのニーズを示すものと考えております。また、私立中学校については、県全体の志願者が1800名程度で2.5倍の倍率と関係課から聞いてございまして、本県の中高一貫教育へのニーズには高いものがあると認識をしてございます。
今後、設置後の地域の状況の検証をさらに進め、その結果等をもとに、きのくに教育協議会において協議を十分に行っていただくとともに、那賀地方を含め、県立中学校の未設置の地域から協議のお申し出があれば、ともに考えてまいりたいと存じます。これらを踏まえまして、地域の実情等を総合的に勘案し、県立高等学校再編整備計画の第2期後期の実施プログラムの中で、県立中学校のあり方や設置についての方向性を示してまいりたいと存じます。
以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
18番川口文章君。
○川口文章君 御誠意ある御答弁、ありがとうございました。
知事におかれましては、1期目を振り返り、再生を軌道に乗せ、元気な和歌山を実現するために一刻の猶予もなりませんとして、改革続行への決意で出馬表明されたとの報道がございました。私も、私の立場で自民党県議団の1人として支えてまいりたいと思いますので、元気な和歌山の創造によろしくお願い申し上げたいと存じます。
2点目の県管理河川、根来川、住吉川の整備については、いつ起こるかわからない集中豪雨の不安を御認識とともに、公共インフラ整備は道路整備も重要でありますが、生命・財産を脅かす河川の整備も重要であると思いますので、早急に年度計画を策定し、県民だれもが安全・安心な生活ができるように、早急に整備計画の見直しに対応されるようお願い申し上げたいと存じます。
3点目の中高一貫教育校についてでございますが、ただいまお答えいただいた数字でもおわかりのように、那賀地区への中高一貫教育校を設置の要望が強いこと、また県下の配置状況をよく御検証いただき、設置に向けての方向性を出していただきたいと存じます。
4点目の心の病対策につきましては、政策を進める上で非常に大事なことでありますので、さらなる職場の環境改善に努めていただきたいと存じます。
以上要望として、私の一般質問を終わります。
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で川口文章君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
44番雑賀光夫君。
〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。
第1の柱は、和歌山方式の学力向上として提案されていることにかかわってであります。
学力向上というのは、学力テストで追い立てたらいいというものではありません。仁坂知事は、「学力テストの点数を上げる方法を私は知っています。それは、よく似た問題で事前に模擬テストをすることです」という発言をされたことがあります。点数だけを問題にすれば、現場の先生をそんな方向に追い込み、学校現場にゆがみをもたらす。それではいけないということでしょう。これは卓見であると私は思っているわけでございます。
教育委員会の施策には、「教育の匠」という言葉が出てきます。力量を持った教員から学び、学校と教員の教育的力量を引き上げようということでしょう。
私は、教職員組合の役員をしていたころ、教育研究集会があれば、できるだけ現場の先生の実践に耳を傾けるようにしました。そこで、「これはという実践をお聞きします」と、私の定番の質問をしたものです。「先生は、そんな子供の見方や教育技術をどこで身につけられたのですか。先生の教員としての生育史を聞かせていただけませんか」、こうお聞きしますと、私の質問を受けて、その教員は語り始めます。「私が教員になって初めて赴任したのは○○小学校でした。気負い込んで子供に向かったのですが、すれ違いで子供がついてきてくれません。そのとき助言してくれたのが先輩のA先生でした。A先生に子供をどう見るかを教えてもらうとともに、A先生が得意にしている人形劇を教育に取り入れることを学び、粘土をこねて子供と一緒に人形づくりに夢中になりました」、まあこんな話が返ってきたものです。これこそが「教育の匠」に学ぶということだと思います。
しかし、それは学校にゆとりがあってこそできることです。新任教員を支援する初任者研修でも、その基本は、担任している子供たちに責任を持って向き合いながら悩み、試行錯誤し、そのことを周りの先生が支援し、周りの先生から学ぶことにあると思うわけでございます。
しかし、今学校現場で行われている初任者研修はそうなっているんだろうか。数年前に、文教委員会が地域を回って、地方教育委員会や校長さんたちの御意見を聞かせていただいたことがあります。そこで、ある地域の教育長さんから、新採の研修のあり方について、膨大な資料の提出ということで、それに時間が割かれて大変だという御意見をいただきました。現場の先生方からも、とにかく忙しい、書類に向き合うより子供と向き合いたいという思いが語られます。大事なことは、上からの押しつけでなく、学校現場に自由とゆとりを取り戻すことであると思います。
先日、和歌山大学の山本健慈学長と懇談したのですが、そこで学長が言われたのは、「受験競争をくぐって和歌山大学に入ってきた学生が教員になれるように心のリハビリテーションをしなくてはならないのが大変です」という言葉でした。今日の社会状況、競争社会の中で、学生が18歳まで生きてきて、人間的未達成の課題を抱えて大学に入ってくる、受験競争を勝ち抜いてくればくるほど、教員になるための大事なものを、ともすれば失いがちになる、それを支援することが大切だという意味でしょう。大変大事な観点だと思いました。その立場からも、教員採用試験に勝ち抜いた皆さんに研修、研修と追い立てるだけでいいのかと思うわけでございます。
次に、現場の先生を支援する問題として、退職教員を派遣すると言われます。それも1つですが、私は、経験を持った教員が学校の外で学校を支援することができないのかとも考えています。
最近、NHKで何度か放映された「門真っ子」という大阪の門真市の退職教員の皆さんの取り組みは、学校の休みの日に子供たちの学力補充を含めたサポートをする取り組みです。いい取り組みだと思いました。
こんなことを踏まえて、教育長にお伺いいたします。
第1点は、学力向上のために、初任者研修を含めて教員の力量をつける機会を保障するためにどんなことを考えていらっしゃるのでしょうか。
第2に、和歌山大学の学長とお話しした折も、県教育委員会と連携して和歌山の教育をよくしていくためのさまざまな構想をお持ちのように伺いました。どんなことを進められようとしているのでしょうか。また、知事は最近、山本学長と対談されて──間もなく放映されるそうですが──山本学長は、恐らく私が紹介したようなことも語られたのではないかと思います。どういうふうに受けとめられたのか、お話しいただけたらと思います。
第3に、子供の学力を高める、学校を支援する活動で門真っ子の活動というのを紹介しました。こうした活動は和歌山にもたくさんあると思いますが、どういうぐあいに支援しておられるのでしょうか。
第2の柱として、子供の貧困と教育費の問題についてお伺いいたします。
日本の教育費が余りにも高過ぎる。このたび高校授業料無償化が実現の運びになったことは歓迎します。県として、留年生についても無償化が実現される。先日の知事の説明は大変よかった。留年生というのはいろいろな事情がある、それを切り捨てるとは何事かという御説明には大変感銘を受けました。すべての施策にこういう観点でやっていただけたらと思います。しかし、これまで授業料免除を受けていた、減免を受けていた本当に苦しい家庭には何の支援もありません。問題の最終解決ではなく、さらに新しい問題が出てくるように思われます。
1つは、PTA会費を初め、教育費保護者負担の高さが改めて浮き彫りになったことです。
文部科学省の調査によりますと、授業料以外のPTA会費を含めた納付金、教科書や実験実習材料費、学生服やスポーツウエア、修学旅行費用などは年24万円に上っています。これまでは、PTA会費は高校授業料とセットで徴収されていました。PTAの役員の皆さんは、これから会費等徴収で御苦労なさることと思います。徴収手続をどうするのか。減免基準はどうなるのか。それ以上にPTA会費や学校納付金についての疑問が保護者から出されるのではないかと思います。どういう課題が出てくるのでしょうか。
次は、貧困から子供を守るという問題です。
先日、貧困から子供を守るシンポジウムが開かれました。「保健室から見える子どもの貧困の実態」という報告の資料をお手元にお配りしています。特に保健室から、養護教員の目から見ると、非常に子供の貧困の実態がよく見えるという報告でございます。
1枚開いていただきますと、緑色のページがあって、その最初に和歌山からの報告があります。その次に、埼玉の養護教員の方は、食の問題を中心にして子供の貧困について報告しています。夏休みになると、やせる児童生徒がここ3年ぐらい増加している、こういうことが言われています。それは、給食が1日の栄養源になっている、そういう子供がいるということからくるということです。
私は、この問題で和歌山市内の養護教員の方からお聞きをしてみました。お弁当を持ってこない子がいる。「どうしたの」と聞くと、「忘れてきた」と言う。子供は、親がつくってくれないとは絶対に言わない。この子供の心情を皆さん、想像していただけると思います。小学校からの申し送りで、給食だけで栄養をとっている子がいる──ここでも話が出ました──そして、友達のお弁当を分けてもらって食べている子がいるともお聞きしました。
食との関係だけで申し上げましたが、医療との関係、副教材や遠足費用の問題、いろいろあります。子供は、こうした貧困を背負って高校に進学していくわけです。学歴をつけないと貧困の連鎖が起こります。その連鎖を断ち切ろうと子供自身が必死でもがいている実態がシンポジウムでも大学生から語られました。
単親家庭の女の子が看護専門学校へ入った。奨学金を受けたが、それだけでは生活できないので、アルバイトで体を壊した。今、学校をやめて働きながら奨学金を返している。お金を返してから、また学校に行っている。そういう報告でありました。奨学金というのは、学校を卒業したら安定した収入を得られるから、それで返済すればいいという考え方ですが、今日の状況は、学校を出ても安定した職につけない、収入が少ないので結婚もできないという若者が大量に生み出されているわけでございます。そうした中でどうすればいいのか。
こうしたことを踏まえて、教育長にお伺いいたします。
第1に、県教育委員会として、子供の貧困の実態をどう把握しておられるのでしょうか。
第2は、セーフティーネットとしての就学援助、小中学校ではそれをもっと受けやすくしなければなりません。さらに、県内では小中学校での就学援助受給者が1万297人に達していますが、この子供たちの多くが高校に進学しています。しかし、高校では就学援助はありません。就学援助あるいは給付型奨学金が必要だと考えるわけでございます。また、定時制、通信制の教科書・教材費や補食給食費の補助制度の改悪は高校教育無償化への流れに逆行するものだと思いますが、もとに戻してはいかがでしょうか。
第3は、学校給食の問題です。私がいる海南市でも、中学校の学校給食が実施されていません。それは市の責任に属することですが、子供の実態や食育基本法、学校給食法の趣旨をもっと理解してほしいという思いがあります。その辺の啓発を県教委のほうからもしっかりやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
以上、教育長からお答えいただきたいと思います。
第3の柱として、地場産業への支援についてお伺いいたします。
海南・海草地方は地場産業が多い地域です。家庭日用品業界は全国シェアの85%を占める。また、下津を中心にした内航海運業は、県下の半数の事業者、船舶がここに集まっています。こうした地場産業を活性化するための施策についてお伺いいたします。
第1は、事業資金の問題です。私も、地元民主商工会から要望いただき、融資の問題で一緒に関係方面に相談に行かせていただきます。一昨年末からの経済金融危機と経済対策のもとで、中小業者への資金繰り支援などは確かに進んでいる面があると感じていますが、金融支援はどのように進んでいるのか、お答えください。
第2は、それでもなかなか利用できないと悩んでいるという話もお聞きします。例えば、成長サポート資金というものがあります。経営革新計画や地域資源計画などを作成して認定を受けるなどした場合、年金利1.8%以内で融資が受けられる。しかし、私に話した方は、「制度が使いにくい。設備資金の場合は融資期間は7年以内だけれども、貨物船を建造した場合は、減価償却は税法上14年。実際は20年は使います。もう少し長くなりませんか」と言われます。成長サポート資金を初めとする設備投資のための資金について、融資額、融資期間はこれ以上延長・拡大することはできないのでしょうか。
第3に、県としては、成長サポート資金を含めて、新製品の開発、受注開拓など、経営革新とセットで地場産業を支援するメニューをお持ちと思います。こうした支援策はハードルが高いのではないかという話も業者の皆さんからお聞きするときがあるんですが、さまざまなメニューを業者の皆さんが使いやすいように知らせていく、アドバイスをしていくということが大事だと思いますが、いかがでしょうか。
第4に、公共事業にかかわって幾つかお伺いいたします。毎年、予算議会では工事箇所表というものが配られます。その幾つかについてお伺いいたします。
第1は、海南市JR黒江駅の南を通る岩出海南線の拡幅であります。
初めは、小規模道路改良事業でしたが、数年前から県の補助事業となり、工事の進捗が期待されます。今、この近くのJR黒江駅ではバリアフリー化の工事に入っています。バリアフリーの観点からも、すぐそばにある岡田踏切の改善が求められます。歩道をつけようとすれば、踏切の幅を広げなくてはならないと思います。以前、こうした場合にはJRとの折衝は難しいと聞いたことがあるんですが、JRの協力は最近は得られるんでしょうか。見通しはいかがでしょうか。
第2は、日方川整備についてであります。
東橋のかけかえが終わり、工事が進んでいますが、河川改修のために立ち退きいただいた土地が10年ほど放置されていることなどあって、どう進んでいるのだろうという声がございます。また、この上流の重根地域は、大規模な区画整理で農地の宅地化が進んでいるだけに、大雨で水量がふえることも考えられます。改修を急いでほしいという声がございます。こうした声にこたえる立場から、今後の計画、完成予定などお示しください。
第3は、新しく予算がついた秋月海南線であります。
9月に知事が海南に来られた行政報告会でも要望があったもので、知事もよくお通りになって改善の必要をよくわかっていると言っていただいた道路です。ただ、相当大がかりなことをしなくてはならない第一歩であります。どういう構想をお考えなのでしょうか。
第5の柱として、テレビ放送の地上デジタルへの移行であります。
地上デジタルの問題については、何度も取り上げてきました。アナログ放送が終了する来年の7月24日が近づいてくると、ますます心配になってきます。担当課は、地域に出向いて説明会を開いてくれています。私も、2月15日に海南市岡田で開かれた説明会に参加させていただきました。地上デジタルへの移行は国が勝手に決めた問題であり、それへの対応に県は大変苦労してくれているわけです。しかし、地域の人々にはそのことがわかりにくいだろうと心配しました。しかし、私が参加した会場では、参加者からは国やNHKの対応への不満が出されましたが、県の担当課が苦労していることがよく理解されたと思います。それでも、地域でどう対応するかは大変です。岡田という地域は、地域でまとまって共聴を導入するならやりやすい地域だそうですが、それでもまとまりをつくるのは大変です。既に、インターネットや電話で光ケーブル系のものを利用している家もあるからです。
そこで、企画部長にお伺いいたします。
第1点、難視聴家庭というものは、和歌山県で現時点でどのぐらい残されているのでしょうか。海南岡田でやられたような説明会は、これまでどの程度開かれたのでしょうか。難視聴地域をカバーできているのでしょうか。そこではどんな声が出されているのか、お聞かせください。
第2点、いよいよ正念場に入っていく今、特に心配するのは、地デジ完全移行までに難視聴解消が完了しなかった地域に対して衛星による措置がされ、チューナー等が無償配布されると聞いていますが、漏れなく配布されるのでしょうか。また、移行直前に難視が判明した地域への対応はどうなるのでしょうか。
最後に、津波防災問題についてお伺いします。
12月県議会でもこの問題を取り上げ、海南港沖の津波防災堤防の完成を急ぐことをお願いし、津波から避難する問題で行政の建前と住民の本音が乖離しているということを申し上げ、そして「逃げ切る!」プログラムにある津波避難ビルの評価をいたしました。その後、佐用町での大雨被害で避難した方がはんらんした溝に流されるなどの被害に遭われたということは、津波と大雨の違いはありますが、重要な教訓だと思います。
1月17日、阪神大震災の日には、海南市で避難訓練が行われ、私も参加しました。私が出向いたのは海南第一中学校の近くですが、この学校は暫定避難ビルにも指定されていません。しかし、住民の皆さんは裏口の草刈りをし、車いすが通れるように整備しています。さらに、参加者のお1人が、連れてきたおじいちゃんに言っているんです。こんなことを言ってました。「きょうは訓練やからここに来たけども、本当に津波が来たときはうちへ逃げてきてよ」。そのお宅は3階建てのしっかりした建物なのです。市民の本音と心構えはいろいろでございます。本音と建前の乖離、その中でも現実的な避難を考えてる市民の姿を見ました。しかし、それがそれでいいのかどうか、専門的な立場からも検討しなければなりません。
そんなことも踏まえて、先日のチリ大地震に伴う津波で海南市でも避難勧告が出されましたが、避難された方が極めて少なかったことがあります。このことをどう考えるべきでしょうか。危機管理監のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
そしてもう1つ、津波防災堤防にかかわって、この堤防が完成すると津波がはね返されて塩津・戸坂方面に波が押し寄せるのではないかという心配がありますが、そのシミュレーションや対策はされているのでしょうか。県土整備部長にお伺いいたします。
以上で、私の第1回の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 多くの御質問の中で、私に御指名いただいております和歌山大学の学長との対談につきまして申し上げたいと思います。
山本学長のお話では、今の学生たちが成長する過程で、学長のお言葉そのものなんですが、言葉遣いとして「群れと、その中で起こるトラブルを経験していない。そのために、人間関係やコミュニケーションに問題を抱えている学生が多い」というようなお話がありました。大学ではそうした学生に対してさまざまな取り組みをされているそうでありますけれども、その大学へ送り出すほうの立場、すなわち初等・中等教育のほうに責任がある立場から申し上げますと、改めて、確かな学力と豊かな人間性と健康・体力の3つの力を育成する、すなわち生きる力を高める教育を進める必要性を感じたところであります。
確かに、受験に関する学力も必要でありますが、これからの変動の激しい社会を生き抜くためには、自分で課題を見つけ解決をする、そういう能力や、仲間と協調し相手を思いやる心、また、たくましく生きるための健康・体力を育成することがより大切であります。郷土和歌山を愛する心とともに、こうした生きる力をより一層育成していかなければならないと考えております。
○議長(冨安民浩君) 商工観光労働部長永井慶一君。
〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 地場産業への支援についての3項目につきまして、まとめてお答えさせていただきます。
まず、地場産業への金融支援についてでございますが、一昨年秋の世界金融危機に端を発する未曾有の経済不況の影響を受け、県内中小企業の方々も大変厳しい経済環境にあると認識してございます。
県としましても、一昨年11月に国の緊急保証制度を踏まえ、いち早く再度の借りかえを可能とした独自の資金繰り安定資金、緊急対策枠等の資金を新設・拡充し、平成20年度には過去最高となる815億円を超える県制度融資の御利用となり、一定の資金供給につながったものと考えてございます。
平成21年度におきましても、国の景気対応緊急保証制度に基づき、先般、経営支援資金・景気対応緊急枠に新たに設備資金を資金使途に加えるなど、中小企業の皆様方の資金需要に適宜適切に対応しているところでございます。
次に、成長サポート資金などの普及、融資枠拡大、融資期間延長についてでございますが、県の制度融資につきましては、中小企業の皆様方の資金需要などを踏まえ、毎年、制度の見直しに取り組んでございます。新年度の制度改正では、厳しい経済情勢を乗り切り、将来の景気回復に向けての競争力、成長力の強化を支援するため、設備資金や新規開業のための資金といった、いわゆる前向き資金の拡充に取り組んでございます。
議員御質問の成長サポート資金につきましても、近隣府県の状況なども参考にしながら、設備資金の融資限度額を5000万円以内から1億円以内に引き上げるとともに、融資期間を7年以内から10年以内に延長することとしてございます。また、振興対策資金につきましても、設備資金の融資限度額を5000万円以内から1億円以内に引き上げるとともに、耐用年数が10年を超える減価償却資産の取得について、融資期間を建物取得と同じく15年以内とする見直しを行うこととしてございます。これらの制度見直しにつきまして、報道機関への資料提供や関係機関等への説明会などを通じて、県内中小企業の皆様方により一層御利用していただけるよう、周知徹底を図ってまいりたいと考えてございます。
次に、地場産業の支援メニューにつきましては、県内企業の事業段階、課題に応じ、融資制度の活用、経営革新計画の認定、新技術・新商品の開発、販路開拓に対する補助を行うとともに、地域資源の活用や農商工連携による新たな取り組み、新製品の開発等についても支援を行ってございます。
これらの支援策につきましては、企業の目線に合わせて、その内容や要件、基準などをわかりやすく説明し、御理解していただくことが大事であり、「県民の友」初め、産業別・企業別担当者制度による情報提供、さらには各商工会、商工会議所等の経営指導員の活用や財団法人わかやま産業振興財団による支援情報の提供など、幅広く行っているところでございまして、今後ともより一層、積極的かつ機動的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 県土整備部長茅野牧夫君。
〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) まず、県道岩出海南線の拡幅についてでございます。
現在、JR紀勢線より東側において歩道設置のための用地取得と工事を進めております。
議員御質問の踏切拡幅を含めた歩道設置につきましては、沿道の方々との調整を行っているところですので、これを早急に行った上で、JRとの協議を初め整備を促進してまいりたいと考えております。
次に、日方川整備の計画と進捗についてでございます。
現在策定中の日方川水系河川整備計画では、今後約20年の間で、河口から神田橋までの間、約1.5キロメートルの河道拡幅や河床掘削を進める計画を検討しております。現在は、下流部で最も流下能力の低い大橋から神田橋までの560メートル区間の整備を重点的に進めており、本年2月に大橋から東橋までの約280メートル区間の河道拡幅工事が完了し、来年度より東橋から神田橋までの区間の河道拡幅工事を実施することとしております。
県道秋月海南線につきましては、海南市且来地内のくも池周辺約1.3キロメートル間で整備を行ってまいりました。
未改良区間の海南市且来地内から和歌山市との境界までの約1.4キロにつきましては、昨年、地元の皆様方から道路拡幅の強い要望を受けております。この区間は交通量が多く、狭隘な部分が特に交通の支障となっておりますので、対策が必要と考えております。事業を進めるためには、人家の連檐している区間の家屋移転や用地協力が必要となりますので、海南市や地元の皆様方と御相談しながら、特に狭隘な部分から順次整備を進めてまいります。
津波防災対策、海南地区の津波対策の効果についてでございますが、詳細な津波シミュレーションを現在国土交通省において実施中であり、その中で塩津・戸坂方面に与える影響についても把握されるものと聞いております。県といたしましては、その結果を踏まえて、必要に応じた対応を国に対して働きかけてまいりたいと思います。
以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 企画部長前硲健作君。
〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) テレビ放送の地上デジタルへの移行についてお答えをいたします。
まず、難視聴対策の進捗状況についてでありますが、県が独自に作成している県難視解消ナビゲーターによりますと、対応方法が未定の箇所は172箇所、1万300世帯となっております。また、県による難視地域での説明会といたしましては、32回、約900名の御参加をいただき、開催をしてきております。そのほか、市町村の協力を得て個別に対応いただいている地域も数多くございます。
説明会などでは、住民の皆様から、「私たちはデジタルに変えてくれと言った覚えはない。何でお金を出さなければならないのか」とか「負担が高い」などの声を多くお伺いするわけでありますけれども、移行まで時間がないことから、住民の皆様の負担をできるだけ軽減できる方法を、対応方法を提案させていただきながらテレビ難視をなくすため早急な対応をお願いし、御理解をいただけるよう努めているところでございます。
次に、セーフティーネットなど、大詰めでの問題についてでありますが、暫定的難視対策における衛星放送のチューナー等の無償配布を受けるためには、国が認めた難視地域として地上デジタル放送難視地区対策計画に掲載され、当該地域の難視対策が平成27年3月までに完了すること等の条件を満たし、地デジ難視対策衛星放送対象リスト、いわゆるホワイトリストに掲載される必要があります。
そういったことから、県としては、新たな難視地域を確定させるため独自の受信状況調査を進めておりますが、こうして把握した難視地域を対策計画に含め、地デジ移行直前に判明した新たな難視地域も適時迅速にホワイトリストに掲載するよう、先日も知事が総務省に強く申し入れをしたところでございます。県民の皆様がテレビを見られないということのないように、今後とも円滑な移行に向けて、きめ細かな対応に努めてまいりたいと考えております。
○議長(冨安民浩君) 危機管理監森 崇君。
〔森 崇君、登壇〕
○危機管理監(森 崇君) 津波防災対策のうち避難対策の本音と建前の問題でございますが、指定避難所へ避難することが原則でありますが、その場の状況により近くの建物などに避難するという選択肢もあり得ると考えております。このことにつきましては、佐用町の被害などを教訓にし、住民参加のもと、現実的な検討を進めていく必要がございます。
さて、チリ中部沿岸を震源とする地震による津波に係る避難状況につきましては、県内沿岸市町で約10万2000人に避難勧告等を出し、そのうち避難所に避難した方は442人となってございます。ちなみに、海南市では約2万人を対象に勧告を出し、32人が避難いたしました。県といたしましても、警報発表後、直ちに沿岸市町に対し防災行政無線や広報車などによる避難等の警戒広報の実施を要請するとともに、防災ヘリや県警ヘリの出動により警戒の呼びかけを実施したところでございます。
しかしながら、御指摘のとおり、避難勧告が出たにもかかわらず避難した方が少なかったということは、大きな課題だと考えております。避難しない理由として、今回の場合、警報発表から津波到達までの時間が長く、沿岸にお住まいの方々は、テレビなどで得た情報により自己判断されたり、また、過去に避難勧告が出ても災害が起こらなかったじゃないかなどの理由で避難しなかったのではないかとも考えられるわけでございます。
津波からの避難行動を促すためには、地域の防災リーダーなどが隣近所に避難を呼びかけながら避難することが肝要でございまして、今後、津波からの避難行動について市町村とともに検証していくとともに、迅速かつ適切な避難行動を行うよう、津波の恐ろしさなどについてさらなる啓発の充実に努めてまいります。
○議長(冨安民浩君) 教育長山口裕市君。
〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教育関係のうち、まず、教員が力量をつける機会についてお答えいたします。
教員の資質向上につきましては、喫緊に必要とされている内容や経験年数に応じた研修を行いながら、同時に各学校で教員が子供たちと向き合い、同僚と相談しながら実践的に資質を高めることが大切であると考えております。このため、各学校におきましては研修の充実を図るとともに、県といたしまして、今年度、子供と向き合う時間を確保するため、会議や調査等の精選や学校と教育委員会との情報の共有化の推進などにつきまして、学校マネジメント支援に関する調査研究を進めており、今後、その成果を県内に広めてまいります。
また、教育センター学びの丘の研修事業につきましても、その内容の充実や報告書等の効率化を図るとともに、新規採用教員の研修では、初年度に学校を離れて行う研修の日数を減らすなど、見直しを行っております。
今後とも、市町村教育委員会等と連携しながら、効果的な研修や学校マネジメントの機能の充実等を進め、教員の資質向上に一層努めてまいります。
次に、和歌山大学との連携に関しまして、県教育委員会では地元教員養成大学である和歌山大学との間で、平成11年度から連携協議会を組織し、教員養成や研修機能の向上、地域の教育の充実を目指してさまざまな取り組みを進めてまいりました。その成果をより発展させるため、平成17年度から新たな共同・参画事業としてジョイント・カレッジを設置し、両者の連携を幅広くさまざまな形で広めるとともに、深めてきております。
昨年の連携協議会設置10年を契機として、連携から協働へということで積極的な協力体制を構築し、子供を中心に据えた和歌山の教育力の向上に取り組んでまいりたいと考えます。
次に、議員御指摘のように、地域住民のボランティアによる子供たちの学力補充の取り組みは、学校教育を支援する活動として大変意義あるものと考えております。本県におきましても、平成19年度から放課後や週末等に小学校の余裕教室や公民館等におきまして、子供たちの居場所である地域ふれあいルームを全県的に開設し、その中で退職教員などの地域人材を活用した学習アドバイザーを配置することで子供たちの学習活動をサポートしているところでございます。
今後とも、地域共育コミュニティの取り組みを生かしながら、外部人材を多様な形で活用し、子供たちの学習を支援する取り組みを進めてまいります。
次に、PTA会費や学校納付金等に関しまして、保護者の御理解を得ながらPTA総会で決定をいただき、学校教育の充実のためにも御協力をいただいているところでございます。授業料無償化後も、各学校において保護者等からのさまざまな御意見、御質問に関して、一層説明責任を果たしていかなければならないと考えております。
次に、子供の生活面等の把握につきましては、学校現場におきまして、学級担任が学校での子供の様子や家庭訪問を通じて個々の児童生徒についての状況を把握し、適切な助言に努力をしているところでございます。
市町村の就学支援制度の対象者数が増加傾向にあることから、経済的な理由により就学が困難な状況にある児童生徒の対応について、学校現場でのよりきめ細かな取り組みが大切であると考えております。また、家計における授業料以外の教育に要する経費負担の軽減に関しましては、給付型奨学金などを含めて高校生に対する就学援助の制度化を国に働きかけており、今後も引き続き要望してまいります。
なお、定時制、通信制生徒対象の修学支援制度につきましては、支援が真に必要な生徒を対象とする制度変更を行ったものでございますので、御理解をお願いいたします。
県教育委員会といたしましては、就学援助制度の趣旨にかんがみ、実情に合った事業の実施並びに制度の周知について引き続き市町村教育委員会に助言するとともに、教職員に対して担当者会議や研修の機会を通じて啓発や情報提供を行ってまいります。
次に、中学校学校給食の普及についてお答えします。
平成21年度に改正されました学校給食法におきまして、学校給食は、食育の観点から児童生徒の心身の健全な発達に資し、食に関する正しい理解と適切な判断力を養う上で重要な役割を果たすものとして位置づけられております。このようなことから、学校給食の普及推進のため、各地方における学校給食研究大会の開催を通じ、また研修会等を実施することで従前より啓発してまいりましたが、今後も設置者である市町村教育委員会と連携し、学校給食への理解と普及に努めてまいります。
以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
44番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 大分欲張ってたくさん質問したんですが、御答弁ありがとうございました。
幾つか要望だけ申し上げておきたいと思います。
学力向上の取り組みは、「教育の匠」という大変味のある施策で、そういうことがあったので、もう少しそういう味の出るような答弁も欲しかったんですが。しかし、その「教育の匠」から学ぶためには、やっぱり学校にゆとりが必要だと。それも、できる範囲の中で教育委員会でも意識をして、いろんなことを精選し、あるいは初任者研修についても、学校から離れる日が余り多くならないように努力をしておられるということは話されました。本当に学校にゆとりを生み出すためには、やっぱり30人学級や教職員の大幅な増員が必要なんですが、そういう点もこれから一緒に進めていっていただきたいと思います。
それから、子供の貧困の問題ですが、これが私が今度一番力を入れたところなんですが、就学援助を高校まで延ばす問題、それから給付型奨学金を実現するということ、これはもちろん国に要望するということなんですが、そういうことが表明されたことは大変大事だというふうに思います。今、高校の授業料無償化になった段階で、この課題が非常に明らかになってきた。やっぱりこれを──子供の問題というのは、もう行政も議会も、あるいは党派も関係ありませんので、一緒になってこれは実現するようにやっていっていただきたいと思います。
同時に、学校給食についても、今非常に大事な課題になっている点が、前向きの答弁をいただいて、どうもありがとうございます。これは市町村がやることですが、私どもも働きかけていきたいと思っています。
それと、地デジの問題です。これはどこへ行っても、「テレビ見れんようになるんかい。どうなるんよ」という話を聞かれるわけで、これは前からも言われてるように、国が勝手にやった問題で、県は大変御苦労なさっていただいてるということでございます。
企画部長が答弁いただいて、2つのことが重要やと思いました。1つは、見られないかどうかということを確認して、見られないということがあったらすぐに市役所へも言うていくと、そして県にも連絡してもらうということで、対策をするということを早くやらないと、際になって言うたらあかんという問題を1つ言われました。もう1つは、セーフティーネットとして衛星放送ということがあるんですが、これも事前にホワイトリストに掲載される必要があるということで、早く申しておかないと間に合わないということも言われました。
住民の皆さんに聞かれた場合は、そのことを特に、私どもも住民の皆さんにお伝えしていきたいと思ってるんですが、そして、混乱が起こらないように協力していきたいと思ってるんですが、どうにもならないときには、国に対して延期を求める場合が必要な場合もございます。それは今の段階ではないと思うので、来年の2月あたりで、これはとても間に合わないから、知事、ちょっと国に対して延期を求めてくれというふうにならないように今から一緒に頑張っていきたいと思いますけども、場合によってはそういうことが起こり得るかもしれません。その場合は、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
最後に、津波避難の問題です。
この問題は、私も確定的な答えを持ってるわけじゃないので、これから研究していただきたいという問題なんですが、津波注意報や警報が出たのに釣りをやめないとかサーフィンをしているとか、こういう不心得は、もうこれは論外です。これはもう文句なしに論外ですが、しかし、海南市で2万人以上の避難勧告が出されたけれども、避難したのは30人だけだったということをどう見るのか。これを釣りやサーフィンと同じように見るわけにもいかないというふうに思います。
テレビを見ると、津波問題の専門家が「避難勧告があるのに避難しなかった。津波警報が解除されていないのに自宅に帰る人がいたのは問題だ」、こう指摘されます。そのことは正しいんでしょう。しかし、私は海南市で避難訓練にも参加をして、そして避難してほしいけれども、ここで死んだらいいといって避難してくれないんだという自治会や防災組織の役員さんのお話を聞きます。
また、1軒1軒訪問したときにお会いした寝たきりのおばあちゃんを思い浮かべながら、まず、あのおばあちゃんに真っ先に避難してもらわなくてはならない、しかし、あのおばあちゃんを含めて2万人が避難するということはどういうことなのかということを、私はリアルにそのことを考えることができます。大変なことです。それを一体どうするのか。それは、もっともっと現実的な避難の方法を緻密に計画しないと、空文句になるんではないかと思います。でも、空文句になると批判をしていて逃げなかったらいかんので、それでもまず逃げることなんですが。
そして、これは行政だけでできるものでないし、地域防災組織も主体にならないとできません。そういう中で、私は津波避難ビル、そういうものをふやすことがまず現実的でないかというふうに申し上げてるわけですけども。きのうもNHKのテレビで、長周期の地震が起こった場合の高層ビルの問題、そしてそれが地下のビルを支えている柱が折れることがあるんだという話を、ちょうどきのうの夜の10時ぐらいに放映しておりました。
そういうことを見ながら、私は、この津波の対策の問題というのは、まずとりあえずは、今やられている枠の中でとにかく逃げなくてはいけないことを住民の皆さんに訴えていくわけですけども、同時に、さまざまな効果的な逃げ方、そういう問題をやはり最新の科学の知見にも照らしながら研究していくことが大変大事な課題になっているんではないかということを改めて感じましたので、こんなことを申し上げたわけでございます。
以上、要望でございます。どうもありがとうございました。
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時32分散会