平成22年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(新島 雄議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 21番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 初日の5人目であります。大変お疲れだと思いますが、議長のお許しをいただきましたので、なるべく短く質問をしていきたいと、かように思っております。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 リーダーとはどのような人のことを言うのだろうか。また、リーダーには何が必要かを考えてみたいと思います。
 その昔、時のアメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディは、日本人記者の質問に次のように答えたと聞いております。「大統領、あなたの尊敬する日本の政治家はだれですか」、即座に大統領は「ミスター・ヨウザン・ウエスギ」と答えたと聞いております。今までいろいろな人がいろんな話をし、本にも書いてきました。時代背景や状況、国や地域によっても異なることもあると思います。知事は、本日、我が会派の会長、吉井議員の質問に答え、すばらしい答弁で2期目への出馬を鮮明にされました。ということは、和歌山県のリーダーを選ぶ選挙に再び挑戦するということであります。
 今、世界を見てみますと、いろいろなタイプのリーダーがいます。現在では、アメリカのオバマ大統領、大リーガーのイチロー、また国際オリンピック委員会のジャック・ロゲ会長、FIFA国際サッカー連盟のブラッター会長、各分野に個性豊かなリーダーがたくさんいます。
 ここで、日本の現状を考えてみます。よく言われることが、日本の未来を託すリーダーが強く求められているという言葉であります。これを私の勝手な解釈で具体的に言いかえるとすれば、未来を託すというよりも現状を打破し、将来の私たちの国のあり方をイメージさせ、国民に理解させ、根づかせることのできるリーダーの出現を我々は望んでいるのだろうと思います。
 現在の日本は、経済の足を政治が引っ張っていると言う人もいますし、世界からは、経済も一流ではないと言われています。GDPもアメリカに次いで2位の日本ですが、ことしは中国に抜かれるでしょう。道州制を導入して大胆な改革をするしかないと言う人もいます。いろいろなことが言われている現在、それでも私たちは未来に向かって進んでいかねばなりません。
 そこで、知事に伺います。
 厳しい経済環境の中、和歌山県内の中小零細企業は大変苦しんでいます。こんなときの理想のリーダー像とはどのような人だとお考えですか。お答えをいただきたいと思います。
 次の質問です。
 平成12年の男女共同参画会議の答申には、10年以内に選択的夫婦別姓制度を導入することを求めています。現内閣において審議、採択する動きが加速されているのを見て、大いに問題があるという立場で質問をいたします。
 答申の10年以内が来ました。しかし、決して議論が深まったわけでもなく、極めて少数である特定の主張により形だけ安易に法制化されようとしています。この件について改めて精査する必要があると考えます。
 夫婦が別々の姓を名乗ることに関して違和感を感じるのは私だけでしょうか。私だけだとすれば、私は随分古い人間なんでしょうか。しかし、古い人間であろうと、そこには、少しだけかもしれませんが、意味があることを考えてほしいと思います。
 夫婦別姓のことを考えると、どうしても男女平等や男女共同参画社会などのことを考えてしまいます。女性が社会へ出て活躍することは大いに喜ばしいことと思います。女性には大変すばらしい能力があることも十分認識をしています。
 しかし、余りにも何もかもが男女を一緒に考えてしまうと、おかしな世の中になってしまうように思えてなりません。個々の事例は省くとして、何もそこまでと思うことは多々あります。女性から見て、また男性から見て、男女が力関係で対等になることを目指しているわけではないと思いますし、大半の女性が男性と同じようになることを望んでいるのか大いに疑問のあるところであります。「男は男らしく」、「女は女らしく」、こんな言葉は死語になってしまうのでありましょうか。
 私は、女性が大好きです。女性には女性にしかない、また女性にしかできないたくさんのことがあります。その違いを認識した上で、相手を思いやり、慈しみ愛していくことこそが男女共同の社会ではないかと考えています。
 そこで、質問です。
 ここ10年間、この夫婦別姓に関する議論の深まりはあったと考えているか。今後、県民の意識調査をするつもりはあるのか。また、先祖とは何か、家族とは何か、親子とは何か、そんなことを含め、大きくは国家とは何かを考えるよい機会だと思います。環境生活部長の答弁を求めます。
 3問目に移ります。
 今から12年前、平成10年に質問をしました。そのときからは状況が変わっていますので、現状を踏まえて質問をし直します。
 当時は貴志川線も南海電鉄が運行しておりました。現在は、ネコのたま駅長で知られる和歌山電鐵が貴志川線を運行しております。この和歌山電鐵は、南海電鉄が赤字路線で廃線を打ち出した路線を買い取り、県・市の協力を仰ぎ、話題を振りまきながら、厳しい中でも順調に営業を行っております。
 このたび、駅舎の改築と架線電圧を充実させると聞いております。となると、和歌山市駅とJR和歌山駅の間が運行できるようになると思うのですが、この間の線路はJRの所有であります。市駅に関しては南海電鉄の所有であります。多少の問題があろうとは思いますが、公共交通機関という立場を考えれば、県民、市民のため利便性が向上するものと考えますし、営業的にも必要な事業であると考えます。
 和歌山市議会でも議論になり、何とか運行できないものかと期待されています。ただ、公共性と利便性を追求するものの、事故対策や安全性を無視して実行するものではないことも現実ですので、申し添えておきます。
 そこで、私は担当部局にお願いをして、南海電鉄、和歌山電鐵、そしてJRの3者がこの件に関してどのような考えを持っているのか、どのような取り組みをしているのか、今後どのような対応を考えているのかなど調べていただくようお願いをいたしました。
 その返事に関しては御答弁いただくとして、聞くだけでは何もなりませんので、県当局として3者に対し、問題点を解決し運行できるよう申し込みをして積極的にかかわっていく姿勢をあらわしてほしいと思います。企画部長の答弁を求めます。
 最後の質問です。和歌山県にカジノ・プラス・エンターテインメントを誘致する考えがあるのかないのかをお尋ねいたします。
 和歌山県は早くからこの問題に取り組み、研究会の立ち上げにも、全国5県とともに最初から活動を進めています。その後、各都道府県がカジノ・プラス・エンターテインメントに対してさまざまな発言をし、取り組みを見せています。最近では、大阪府などもどうしても誘致したいとの発言をしています。そんな中で、近ごろの和歌山県はこの件に関する発言は大変少なくなっているように感じます。継続している行政の中にあってそれを見るにつけ、少し寂しさを感じますし、常に先を越されている感はぬぐえません。
 カジノとエンターテインメントには、ホテル、劇場、ショップなど、附随する施設がたくさん必要であります。ディーラーやセキュリティーの専門分野以外に働く人も必要となります。日本各地から、また世界各国から観光客が来店するものと考えます。
 では、和歌山県にこれができたならばどうなるのか。過去に、和歌山地域経済研究機構が立地場所を観光客の多い温泉地と想定して経済波及効果を試算しているものがあります。それによりますと、年間55万人、1日平均1500人の人が来場した場合、直接の効果は年間129億円、誘発雇用人口は2630名、経済波及効果は200億円になるとの試算があります。これは、あくまでも机上の計算であります。うのみにするわけにはまいりませんが、和歌山県にできるとなれば、かなりの経済波及効果があるというのは事実だと思います。
 そこで、知事に伺います。
 和歌山県にカジノ・プラス・エンターテインメントができればとの仮定で、いま一度この問題について和歌山県の立場や考え方を示すとともに、デメリットも含め、今後どうしていくお考えなのかをお示しいただき、お答えください。
 以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの新島雄君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、理想のリーダーとはという御質問でございますけども、和歌山県知事に求められるものは何かという観点でお答え申し上げたいと思います。
 理想の知事とは、議員の御質問にもございましたように、将来の和歌山県のあり方を県民の皆様に示し、その将来像を実現するための具体的な行程を明らかにして、県議会を初め市町村、県民の皆様と一丸となって目標達成のために頑張り、それに導いていく、そういうような知事であると考えております。そのためには、熱いものがないといけません。私は、そのような知事に一番必要なものは、愛情だと思っております。やはり和歌山県を愛していなければ和歌山県を元気にすることはできないというふうに思います。
 ただし、愛情だけあって、それだけであると、「頑張るぞ」とかけ声だけかけてもうまくいかないこともあります。そのときは、今何が問題なのかを見抜く洞察力と、その問題を解決する処方せんを描く構想力がなくてはならないと思います。それがなくて、かけ声だけかけて「命をかけて頑張るぞ」と言っていても、県の職員も県民の皆様もなかなかついていけないし、頑張れないというふうに思います。
 そして、やっていることが間違いでなければ、すぐに成果が出なくても、飽きず、うまず、緩まず、やり続ける持続する意思が必要だと考えております。
 今申し上げました愛情、洞察力、構想力、持続する意思、こういうものを持って県民の皆様に未来への希望を抱かせる、そういう知事になりたいというふうに、それを目指して頑張っていきたいと思っております。
 次に、カジノ・プラス・エンターテインメントについてでございます。
 議員御指摘のとおり、経済波及効果や雇用創出効果が、これは期待できます。地域活性化につながる有効な手段の1つと私は考えております。
 これについてよく研究をしようということで、実は少しずつ熱意が知事の間でも冷めておるのですが、松沢神奈川県知事と仲井眞沖縄県知事と私と3人で勉強しようということで、この間、それを松沢さんが代表で発表したところであります。
 しかしながら、一方、これはもちろん勉強の1つではあると思うんですが、青少年に悪い影響を与えないかとか、あるいは犯罪組織の資金源にならないかとか、ギャンブル依存症の方がふえないかなど、懸念される問題もございますので、これらをうまく克服することも重要であると思っております。私は、これを上手に隔離をする、一般の普通の市民生活と隔離する、それとともにうまく管理をする、そういうことで克服できるのではないかというふうに思っております。
 そのため、国における法制化の動向を見きわめつつ、県民の方々の理解など、誘致に向けての諸条件の状況を踏まえながら前向きに取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。
 先ほど申しました神奈川県や沖縄県などと今後とも連携をいたしまして、海外の事例も参考にしながらよく勉強し、カジノ実現に向けた課題や方策、さらに地方にとって望ましいカジノ制度の仕組みなどを研究するとともに、県民の方々へのカジノに対する正確な知識あるいは情報の提供、そういうものをやってまいりたいと考えております。
○副議長(坂本 登君) 環境生活部長井口悦治君。
  〔井口悦治君、登壇〕
○環境生活部長(井口悦治君) 新島議員の選択的夫婦別姓制度についてお答えを申し上げます。
 男女共同参画を推進するためには、社会における制度や慣行が男女どちらかに不利な影響を及ぼすことのないよう配慮することが必要ですが、選択的夫婦別姓制度の問題は、議員御指摘のとおり、国民生活に広く深くかかわるテーマであり、男女の平等や社会参画といった観点だけでなく、これまで日本が培ってきた文化、家族や親子のあり方など、さまざまな角度からの国民的議論が必要であると考えるところであります。
 内閣府において、平成8年、13年、18年と3回にわたり家族の法制に関する世論調査が行われていますが、平成18年に実施した世論調査では、選択的夫婦別姓を導入しても構わないという答えが36.6%、現行制度を改める必要はないという答えが35.0%であり、なお国民の意見は分かれている状況にあると言えるものと考えております。
 2月19日に法務省が選択的夫婦別姓制度を含む民法改正案概要を示したとの報道がありましたが、今後、平成23年ごろ行われるであろう内閣府の世論調査などによる国民の意識の動向を踏まえながら、国における動きを注視してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) 南海加太線と和歌山電鐵貴志川線の相互乗り入れにつきましては、平成10年の6月議会で当時の企画部長が答弁しておりますように、架線電圧の違いでありますとかATSなど運転保安設備の違い、その他運転に必要な設備改良などのハード面の問題点が多く、その解決には相当の経費を要するものと聞いております。
 このうち架線電圧の違いにつきましては、議員お話しのとおり、和歌山電鐵が今年度から3カ年計画で総事業費約4億円の昇圧工事に着手しておりまして、完成すればこの点については解決することになります。
 そこで、議員御質問の鉄道事業者の考えなどについてでありますが、和歌山電鐵にありましては、まずは貴志川線沿線の魅力向上に努め、経営基盤を固めることが先決であると、さらに南海電鉄におきましては、貴志川線を撤退した経緯もありまして、具体的な検討は行ったことがないと、JR和歌山支社は、運行管理など乗り入れに対する安全対策などについて検討する必要があると、そういうことであり、加えて各社とも採算性の問題を指摘しております。
 しかしながら、各社とも協議には応じるということでありますので、今後、和歌山市とともに鉄道事業者と話し合っていきたいと思っております。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 以上で、新島雄君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は3月8日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時53分散会

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