平成21年12月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


県議会の活動

平成21年12月
和歌山県議会定例会会議録
第6号
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議事日程 第6号
 平成21年12月11日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第155号及び議案第164号から議案第180号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 請願の付託
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会議に付した事件
 第1 議案第155号及び議案第164号から議案第180号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 請願の付託
 第5 休会決定の件
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出席議員(42人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 服部 一
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 17番 岸本 健
 18番 川口文章
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 角田秀樹
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 片桐章浩
 35番 藤本眞利子
 36番 長坂隆司
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(1人)
 34番 原 日出夫
〔備考〕
 16番 欠員
 28番 欠員
 37番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      森 崇
 総務部長       宮地俊明
 企画部長       前硲健作
 環境生活部長     井口悦治
 福祉保健部長     北田佳秀
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      雑賀忠士
 教育委員会委員長   宮永健史
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員長   大岡淳人
 警察本部長      永松健次
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       藁科善崇
 次長         東岡誠吾
 議事課長       上坊 晃
 議事課副課長     土井敏弘
 議事課課長補佐兼議事班長
            田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      瀧川泰治
 議事課主査      中村安隆
 総務課長       佐本 明
 調査課長       中井祥之
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  午前10時0分開議
○副議長(坂本 登君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第155号及び議案第164号から議案第180号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 1番泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕(拍手)
○泉 正徳君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問をさせていただきます。
 先日は、知事の県行政報告会に参加をしまして、1時間余り知事の今までの歩みとこれからの思いを聞かせていただきました。シナリオの決まったタウンミーティングではなくて、教育や林業の質問もあり、有意義な時間だったと思います。知事は、自身が進行も務め、言葉遣いの端々にも気を使いながらの報告会だと思いますが、次回はできれば自分の思いをもっと前に出して、重点施策などのポイントを絞って話をされていただくと、もっといいのではないかと感じました。もし少しでも参考になれば幸いです。
 報告会でも参考資料を用意して何点か具体的に説明もされていましたし、新行財政改革プランについても一部は報告会で伺いました。そこで、行財政改革について、このプランの推進担当である総務部長にお伺いをします。
 和歌山県の将来を見据えた新長期総合計画を策定するための参考資料として、平成19年9月には県の今後10年間の長期財政収支見通しについて試算が行われました。この試算では、単年度収支不足は平成19年度末の151億円から平成24年度末には318億円となり、財政調整基金と減債基金は平成19年度の191億円の基金残高が平成24年度末には892億円の赤字になるという結果が出ていました。
 そこで、単年度収支が慢性的に不足する状況を改め、長期総合計画における各施策実行のための新行財政改革推進プランを策定し、持続可能な財政構造への転換が必要だと、平成24年度までの5年間の目標を定めて現在このプラン推進に取り組まれています。人件費の削減、事務事業の見直し、投資的経費の抑制、公債費負担の軽減で歳出削減を図り、県税収入の確保、県債の活用、未利用県有財産の処分、その他の使用料や手数料の見直しで歳入の確保に努めることにより、1377億円の改善効果を見込み、平成24年度末には単年度収支不足をなくするというものです。
 また、県財政への影響が懸念される特別会計や県が債務保証、損失補償をしている外郭団体への対策にも言及しています。
 この新行財政改革推進プランでは、単年度収支の赤字が解消され、平成24年度末に財調・減債基金残高が22億円という結果です。この試算には、平成20年1月に更新された「日本経済の進路と戦略-参考試算」の経済指標を用いて計算されていますが、内閣府の試算でもリスク推計、成長推計など4つのシナリオが想定されており、県のシナリオもこれらを参考に策定されているものと思います。
 しかし、内閣府では平成20年1月に出したこれらの試算結果を同年7月にはもう下方修正しています。その後も日本経済情勢に回復基調は見られず、国や地方自治体の財政は逼迫しています。先日の新聞でも、大阪府など8道府県が特定目的基金から一般会計に複数年にわたる借り入れを行っており、中でも5道府県は返済計画もなく、返済が事実上困難な状態であるという報道がなされていました。どの自治体も厳しい財政状況にあるということのあらわれです。地方自治体にとっては、臨時財政対策債なども後年度負担が強いられるものであり、また、政府は多額の税収不足で来年度予算編成にも苦慮している状況です。地方交付税や補助金など、国の財政支出に依存する割合の多い和歌山県の財政にも、国の税制や予算の動向は大きな影響を与えるものと推測します。
 今回の新行財政改革推進プランでは、末尾にこう書かれています。「本プランで想定していない状況、例えば、何らかの制度改革により地方財政が一層困難に陥るようなことが生じたり、社会保障制度の改変によって地方負担が急激に増加する等、社会状況の著しい変化が発生した場合には、本プランについても臨機応変な見直しが必要となる。」と記されています。
 財政が今まで以上に厳しくなることが予想される現状で、県民サービスの低下を防ぎ、長期総合計画にある各施策を進めていくためには、来年度は3年目を迎えようとしている新行財政改革推進プラン推進に向けての取り組みは現状のままでよいのか、総務部長の所見をお聞かせください。
 次に、職員の適正配置について伺います。
 先日の前芝議員からも人事配置についての質問があり、知事は職員の専門性、技術や職務の継承の大切さと資質の向上を目指すと答えられ、適材適所で対応すると答えられていましたので、私からは少し視点を変えてお伺いします。
 今回の推進プランの中でも人件費総額の削減は、歳出削減の大きな柱であります。国では行政改革推進法が施行され、平成18年6月、国の行政機関の定数純減について閣議決定し、18年度から22年度までの5年間で国家公務員の数を5%以上純減するという目的を設定しました。
 また、5年間で地方公務員も4.6%以上純減するよう地方公共団体に要請し、協力するとされています。県でも「徹底した業務の見直しを実施することにより、業務委託の推進や指定管理者制度の導入など民間活力を積極的に活用するとともに、市町村への事務・権限移譲を進めることで、業務の削減・簡素化と行政サービスの質の保持・向上を図る。また、本庁及び地方機関のあり方を常に見直すことにより、簡素で効率的な組織機構を構築し、適正な人員の配置に努める」とあり、職員数を平成24年までには全職員の6.1%、990人の削減を図る計画となっています。
 この計画の中でも一般職員は24年度までに10%を超える人員の削減が図られるわけですから、職員の立場からすれば相当な覚悟が必要だと、そういうことです。「かごに乗る人、担ぐ人」と申します。できるだけ均等なノルマで職務が遂行できるような体制づくりが必要です。
 数値化をして説明を試みようと思いまして、私は各部門の人員配置と予算の歳出額に相関関係がないかと平成10年を基準に平成15年と20年のデータを調べてみました。かなり乱暴な指標の作成とお許しをいただきたいと思いますが、県全庁の仕事量を単純に平成10年の各部門の歳出額イコール仕事量と置きかえ100%とする。職員数も平成10年の人員を100%と仮定して計算をしてみますと、平成15年に仕事量に比べて職員数の減った部門が2つありました。仕事量を人数で割って全体の数値を出してみますと、平均で101%で最高が140%、最低は64%。わかりやすく言いますと、5年間で仕事量と職員数の比率は県庁全体では101%と変わらなかったが、ある部門では1人が1.4倍に仕事がふえて、ある部門では6割近くに仕事が減ったということです。
 平成20年も同じ方法で計算してみますと、全体の平均が93%、10年前に比べて1人当たりの仕事量は減っているということですが、最高が164%、最低72%であり、平成15年に比べて民生と商工の2つの部門を除く各部門間の数値は平均化されてきていますが、ここでも100%を超える部門は民生と商工、特に民生に係る部門では平成10年に比べて仕事量が1.6倍になったということです。言いかえれば、平成12年の介護保険法の導入や高齢者の増加、障害者施策など、近年は医療、介護、福祉といった分野でのサービスが増加し、また地域経済の低迷により中小企業対策などの施策が必要となるなど、行政サービスにも質、量ともに変化が見られるということです。
 最初でも断っているように、一概に歳出額イコール仕事量というのはかなり乱暴な見方で適正でないかもしれませんし、人数だけが問題でないということも承知していますが、できるだけ職員の負担を分け合い、県庁が1つになって県民サービスの向上に努めるのが、職員のやる気や職場への帰属意識、連帯意識によい影響を与え、結果的には県民サービスの向上につながることだと考えますが、職員の適正配置に対する総務部長のお考えをお聞かせください。
 次に、職員の健康管理について伺います。
 役所の仕事が単純に数値化できないのは先ほども申し上げました。職員にとっても業務を遂行するためには、事務作業以外にも目に見えない業務を進めるための課題が多く含まれています。職員個人の能力や資質、同僚や上司との人間関係、また仕事上での国や市町村への対応、県民と直接接する機会の多い職員は県民との対人関係など、これらを数えると枚挙にいとまがありません。
 そこで、ここでも職員の精神面への負担と病気休暇者の数に相関関係はないかと数値化を図るために、病気休暇者と休職者の数の推移を調べてみました。知事部局で病気休暇者のうち、精神性疾患により休暇をとる職員の割合が平成19年度に比べて平成20年度は1.5倍近くにふえています。また、今回の病気休暇者の数は30日以上の病気休暇の取得者を対象にしていますので、30日以下の休暇をとった職員や休暇をとらなくても精神的にも身体的にも本人が異常を感じている人はかなりの人数ではないかと推測されます。
 一般の人から見れば、社会では経済不況や産業構造の変化による失業者の増加や賃金カットなどで県民が苦労しているのに、自分たちを取り巻く環境に比べて公務員は恵まれていると感じている人が少なくないのは事実だと思います。しかし、公務員という職業ゆえに家族や友人にも相談できずに、精神面でストレスやダメージを受けている人は少なくありません。休暇取得により他の職員への負担がかかるなどの問題も発生し、職場では業務遂行に大きなマイナス要因となります。
 例えば、単純にお金に換算しますと、昨年度の病気休暇者約100人の平均給与月額50万とすれば、100人掛ける50万円で1年間に5000万円の金額が必要となり、業務の代行のための臨時職員の配置やその他の金額支出を考えると、1億円近い金額が財政を圧迫しているという理屈になります。
 このようなことから、できるだけ職員が元気で仕事ができる職場環境をつくることが県行政にとっても大きなメリットとなります。職員の健康管理やメンタルケアにどのように取り組まれているのか、総務部長にお伺いします。
 次に、和歌山県観光立県推進条例について知事にお伺いします。
 議員提案条例として和歌山県観光立県推進条例が今議会に提案されています。観光は単に観光産業だけではなく、農業、林業、漁業、製造業、サービス業など広い分野にわたるすそ野の広い産業であり、その振興は交流人口を拡大させ、地域経済の活性化や雇用の増大をもたらすものであると位置づけ、国内外に誇れる魅力を行政、県民、事業者が一体となって観光振興に取り組む必要があるとうたっています。
 小川座長を中心に全会派選出の10名の委員で条例検討会が構成され、現地に出向いて市町村長からの意見聴取や、学識経験者や観光関係団体など各界からの御意見や多くのパブリックコメントもいただき、検討会も9回に及ぶ議論を重ねて条例案の内容充実に努めてまいりました。県民総参加で観光振興に取り組むことを基本理念として、県、県民、観光事業者、観光関係団体それぞれの責務や役割、市町村との連携協力について規定しています。県は基本方針に基づき、観光振興に関する施策を総合的に策定し、実施するものと規定しております。
 そこで、知事にお伺いします。
 条例ができても実行に移すには、情報発信やイベントの開催、地域の魅力を引き出すための企画などのよい仕掛けと、また、関係団体の連携を深め、観光振興を図るための組織、体制づくりの仕組みが大事であると考えます。特に、中心となる県庁の体制づくりを再度きっちりと示し発信することで、県民総参加という熱意が関係者や県民に対しても大きなインパクトを与えるものと考えます。観光振興にかける知事の決意をお聞かせください。
 次に、本条例案にも和歌山県の豊かな資源や神道、仏教、修験道などの多様な信仰にはぐくまれた世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に代表される貴重な歴史や文化などの特色が書かれています。和歌山の精神文化や心のいやしなどのよさを伝える観光振興には、語り部や観光ボランティアガイドを活用した観光振興は不可欠です。
 しかし、語り部や観光ガイドは組織の規模も小さく、また予算などの運営面でも苦労しながらグループを維持しているというのが現状で、地域によっては行政や観光協会などとの連携も進まず、スムーズな運営に支障を来しているところも見受けられます。語り部組織が独自で行政や観光協会、また、語り部相互の連携を図り、情報交換などネットワークの構築をするには限界があります。和歌山県の人的な地域資源であり、彼らの蓄積された知識や経験を十分に生かせるように、観光協会との連携などにも県や市町村が協力してあげて、語り部の活躍できる場をふやすことが観光立県を目指す上で不可欠だと思います。語り部等の連携が図れるような体制づくりと観光振興への活用について、商工観光労働部長にお伺いします。
 もう1点は、語り部や観光ボランティアガイドの養成についてお伺いします。
 今回の基本方針にも郷土の自然、歴史、文化などの学習機会の提供、大学などと連携した人材の育成や伝統文化の担い手の育成など、もてなしをする側の技術の向上を目指した条例案となっています。
 今までも語り部1人1人が得意分野で知識を深め、経験を生かして行動されていることは言うまでもありません。また、古道などの景観の保護や危険な箇所の報告など、古道のパトロール的な語り部の情報提供は行政にとっても欠かせません。今まで以上の観光振興を図るためには、今後は、語り部の高齢化や後継者不足が問題となっているグループもあり、語り部の養成は常に行わなければならない課題でもあります。知識や技術の向上とともに、歩行中のけがなどに対する応急処置などの習得も必要となるでしょう。和歌山の特色ある観光を推進するには、語り部という知的インフラ整備は重要な課題です。
 しかし、さきにも申し上げましたように、運営面や資金面でも厳しい状況にある、また、各語り部グループでの研修や語り部の養成には限りがあります。今後の語り部の養成について、商工観光労働部長にお伺いします。
 次に、治水対策について、県土整備部長にお伺いします。
 ことしの7月に田辺市周辺を襲った集中豪雨は、地域によっては総雨量が400ミリを超え、田辺市内の古尾、稲成地区では床上浸水41戸、床下浸水89戸という大きな浸水被害を受けました。今回は満潮時と河川の増水時が重なったことも被害を大きくした原因だと思いますが、当日の稲成川でも堤防の天端いっぱいまで水位が上がり、多くの水路でも流入する水の量は予想された流水断面をはるかに超えていたのではないかと感じ、自然の怖さを改めて知らされました。
 その一方で、広くは語られていませんが、大きな山腹崩壊に見舞われた高尾山を源とする谷や上秋津の右会津川支流では、建設済みの砂防ダムや谷どめなど、その抑止力が十分機能を果たしているのではないかと感じられる箇所も見受けられました。そういう意味で、自然災害から住民を守るために計画された公共工事の効果も確認できました。「コンクリートから人へ」と言われていますが、コンクリートは住民にとって大事な味方だったのです。
 そこで、まず、浸水について今後どのような対策を行っていくのか、お聞かせください。
 また、先日の和歌山市周辺での集中豪雨は、市街地の冠水や冠水による交通渋滞、通行どめなどで、市民の生活に大きな影響や被害をもたらしました。仮にも県都である和歌山市の機能が麻痺するわけですから、重く受けとめなければなりません。下水道や河川では計画時点で予想した雨量を超えていたのではないかと思われます。今後もこのような集中豪雨はいつ発生しても不思議ではありません。このような想定を上回る規模の雨に対する治水対策についてお聞かせください。
 以上、壇上よりの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの泉正徳君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県観光立県推進条例案について申し上げます。
 私も、観光振興は本県の経済発展や地域振興につながる重要な施策と位置づけておりまして、県内のすばらしい観光資源を国内外に積極的にアピールし、誘客するためのさまざまな取り組みに今までも努めてきたところであります。そうした中での今議会においての議員の皆様の御提案で上程されている和歌山県観光立県推進条例案は、本県の観光振興にとって非常に心強い応援になるものと考えております。
 今後は、条例の制定を契機として、県議会はもとより、県民並びに関係団体との連携を図りながら、知事である私が先頭に立ちまして、全庁を挙げた観光振興推進体制の充実に努めるとともに、和歌山県観光振興アクションプログラムを充実させ、和歌山を売り出す、招く、もてなすを柱としたさまざまな情報発信や地域の魅力を引き出す企画などをより積極的に展開することで、条例が目指す観光立県和歌山の実現に努めてまいります。
 観光だけではありませんけれども、和歌山県が力強く前に進むためには県民総参加の必要があると考えております。観光の分野におきましては、県のみならず、市町村はもちろん、各地の観光協会、旅館、ホテル、交通業者あるいは地域の旅行会社、寺社・仏閣、語り部、ボランティアの方々、たくさんの方々が、皆が、県を中心として前向きに進まなければならないと考えております。
 その際、そういった広範な県民のよりどころとして、条例が上程され議論されていて──私は成立すると思いますが──成立するということはすばらしいことだと考えております。
○副議長(坂本 登君) 総務部長宮地俊明君。
  〔宮地俊明君、登壇〕
○総務部長(宮地俊明君) 行財政改革についてのお尋ねに対し、お答え申し上げます。
 新行財政改革推進プランにつきましては、持続可能な財政構造の確立を目指し昨年3月に策定し、組織、人員の見直しや事務事業の見直し等に取り組んでいるところでございます。
 本県の財政収支は、昨年来の景気低迷などによりまして県税収入の減収が予想されるなど、依然として厳しい状況にあると認識いたしております。一方、国におきまして、地方交付税などの地方財政制度や社会保障制度等、本県財政に大きな影響を及ぼす制度や施策の見直しについて議論がなされており、今後その動向を注視し、行財政運営に当たる必要があると考えております。
 県といたしましては、新行財政改革推進プランの基本方針である基金の大幅な取り崩しに頼ることなく、財政収支が均衡する状態の実現を図るため、引き続き全庁を挙げてプランの推進に取り組んでまいる所存であります。
 次に、職員の適正配置につきましては、新行財政改革推進プランに基づき、人件費総額の縮減を図るため職員数の見直しを進めており、その実施に当たりましては、業務委託の推進や指定管理者制度の導入など、業務の簡素化、効率化を図りながら県民サービスの低下を招かないように取り組んでいるところであります。
 職員の配置に当たりましては、限られた人員を有効に活用するため、業務量や業務の質について十分勘案し、職員の能力を最大限に発揮できるよう適材適所の配置に今後とも努めてまいりたいと考えております。
 次に、職員の健康管理につきましては、職員自身それぞれが健康の保持等に努めておりますが、県といたしましても、定期健康診断を初めとして職員の健康の保持増進に努めているところであります。特にメンタル面の対策につきましては、予防策といたしまして職員研修所における一般職員から管理職員までの研修等を通じ、メンタルヘルスの基礎知識等の習得や気軽に職員が管理職等に相談できる職場環境づくりに努めているところであります。また、状況に応じ、県が委嘱しておりますカウンセラーによるストレス相談の積極的利用や外部の専門医療機関の受診を勧めるなど、早期対応にも努めているところであります。
 今後もメンタルヘルス対策指針等の作成やストレス相談の機会をふやすなど、職員の健康の保持増進並びに行政サービスの維持向上を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 議員御質問の語り部の2項目につきまして、お答えさせていただきます。
 語り部は、本県の自然や歴史文化を訪れた観光客に直接伝えるという重要な役割を担ってございまして、これら語り部を活用した本物志向のツアーが人気となってございます。特に本県は、日本人の精神文化を象徴する文化遺産として、世界遺産に登録されている高野・熊野を有しており、その魅力を訪れる人々の心にしみ入るように伝えることが語り部のよさであると考えてございます。
 一例を申し上げますと、本年7月以降、語り部を中心とした企画ツアーが挙行され、8000人を上回る参加者があり、来年には第2弾のツアーが予定されてございます。県といたしましては、今後とも語り部と連携し、悠久の歴史文化や豊かな自然の魅力を生かした地域密着型ツアーを造成し、新たな観光客の開拓に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、語り部の養成についてお答えさせていただきます。
 語り部には、地域の歴史文化はもとより、自然の生態や安全対策など幅広い知識が必要となってございます。このため、県では語り部を対象に観光客の安全対策などの基本的な研修を行うとともに、各語り部団体の自主研究に対し支援を行ってございます。
 しかしながら、議員お話にもありましたように、語り部の高齢化などさまざまな課題もございますので、今後とも県、市町村、観光協会、語り部団体等の相互の連携をさらに強化し、貴重な地域資源である語り部の養成に積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○副議長(坂本 登君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 田辺市古尾、稲成地区の浸水対策についての御質問でございます。
 7月の集中豪雨における田辺市古尾、稲成地区での浸水被害は、左会津川の溢水と宅地側の内水のはんらんの両方によるものでした。そのため、県では、溢水対策として左会津川の旧会津橋から切戸橋までの右岸600メートル区間の堤防整備を早期に完了させるように進めており、田辺市ではポンプ場等の内水はんらん対策を進めることとして、県と市が連携して被害の軽減を図ることとしております。
 次に、想定を上回る規模の雨に対する治水対策の御質問でございますが、11月11日未明に和歌山市周辺を襲いました集中豪雨は、最大時間雨量で122.5ミリと記録的なものでございました。和歌山市内の河川や下水道の計画は、下水道については時間50ミリ程度、主要河川では時間70ミリ程度の雨量を想定しておりまして、今回の集中豪雨は計画をはるかに上回るものでした。
 今回のような集中豪雨に対して、すべてハード整備で対応するのは社会的にも経済的にも負担が大きく、現実的ではありません。そのため、ハード整備を着実に進めるとともに、人的被害の回避、軽減を初めとする減災対策として、的確かつ迅速な情報提供等ソフト面での対策に取り組み、県民の安全確保に努めることが重要な課題となっております。
 具体的には、急流部の親水施設10カ所への警報装置の設置、インターネットや携帯電話での雨量、水位等の情報提供を行っているほか、地上デジタル放送で地域ごとに災害情報を配信できるようなシステム整備を行っております。
 また、国と県において、大雨が降った場合に想定される浸水状況を21の河川で公表しておりまして、これを受けて24の市町で洪水ハザードマップを作成し、避難に役立つ情報を住民に周知しているところです。
 県としては、今後ともこのようなハード、ソフト両面の治水対策を進めて、浸水被害の軽減に努めてまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
 1番泉 正徳君。
○泉 正徳君 1点だけ要望しておきます。
 先般、ちょうどICOMOSの会議で知事がおみえになりまして、その中でいろんなお話をしましたときに、静岡県の知事であります川勝平太さんはなぜ静岡県の知事になったのかと、そういう議論になりまして──彼は「富国有徳論」という本を出されています。富士はすばらしい山だ、富む国をつくって侍のような気概のある国にしたいんだと、そういうやはり高い志を持って知事になられたんだと思います。
 多分、仁坂知事も同じような志を持って、現在知事の職責をされてると思うんですが、そういうことをぱっと、できれば思い切り表に出して、そしてまた、先ほど言いましたように、我が県の推進力である職員、我々ももちろん責任のある立場でありますから、やはり「隗より始めよ」、みんなをできるだけ均等にして、和歌山県の発展を望むものであります。その点だけ、1点だけ要望して終わります。ありがとうございました。
○副議長(坂本 登君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で泉正徳君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番藤井健太郎君。
  〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。
 経済情勢への対応と新年度予算編成方針について、知事並びに担当部長にお尋ねをいたします。
 まず、年末、年度末に向けての対応です。
 一昨年は重油、ガソリンなどの燃油高騰問題が、昨年はアメリカ発の金融危機が日本経済に打撃を与え、本県の地域経済にも深刻な影響をもたらしました。この間、政府は数度の経済対策を打ち出し、輸出依存の経済構造から内需主導へとかじを切りかえることを掲げましたが、内需主導型経済の牽引役とも言える安定した雇用の確保と賃金水準の引き上げは実現できず、逆に雇用も賃金も落ち込みを続け、ことしも年末を迎えることとなりました。
 本県の有効求人倍率は平成19年度の0.9倍から落ち込みを続け、ことしの10月には0.53倍に、労働者の給与総額も平成17年から下がり続けている状況となっています。購買力、消費力が冷え込んでいくようでは内需を喚起することもできず、中小事業者の売り上げの大幅減少へとつながってきています。
 日本経済を立て直していくためにも、暮らしと雇用の立て直しが急務の政治課題と考えられますが、県政の場では年末、年度末を迎えて県民生活、地域経済を下支えしていく緊急対応が求められているところです。
 知事は、今議会の冒頭に現下の経済情勢への対応として、中小企業を取り巻く環境や雇用、所得環境については懸念要因が払拭し切れない状態が続いており、中小企業に対する一層の資金繰りを行っているところであり、国の動向も踏まえながら、年末、年度末に向け、必要な施策を機動的に講じていくと言われておりました。深刻化する中小事業者の経営や県民生活をどう守るのか、その基本的な考え方と幾つか具体的な中身についてお尋ねをいたします。
 1つは、中小零細事業者への万全の対応をお願いしたいということです。
 県は、緊急経済対策本部において取り組みの強化を進められているところですが、中小零細事業者の資金需要や経営の維持に対して、万全の対策となるようきめ細かく心して取り組んでもらいたいと思います。
 県内のほとんどの産業で、中小零細になればなるほど売り上げの大幅減が見られます。保証協会の保証を受け、借りかえ融資を受けたものの、売り上げの大幅減少で返済のめどが立たないといった事業者もあります。さらに、保証協会の保証も得られないという事業者も現実にあります。取引先の倒産や発注の減などに対する資金繰りへの一層の支援を強めることや、年末を控えて、先ほど施行された返済猶予など条件変更への金融機関の努力義務を課す金融円滑化法を、当面の危機を乗り切るためにも、生きたものとして有効活用していくことが求められています。
 県として保証協会や金融機関に特段の配慮を求める要請を行ったと伺っていますが、事業者にとって万全のものとなるように一層の努力をしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
 2つ目に、長期失業者など当面の生活に困窮する人への生活支援の手だては万全になっているのでしょうか。県民生活にも厳しいものが見られます。県民1人とて路頭に迷わすことのないように取り組みを強めていただきたいと思いますが、どのように考えておられるのか。以上、知事にお尋ねをいたします。
 具体的な問題への対応について幾つか関係部長にお尋ねします。
 ハローワークのワンストップサービスについて。
 仕事、住まい、生活の総合支援窓口を試験的に設置する「ワンストップ・サービス・デイ」が11月30日、17都道府県77カ所のハローワークで取り組まれました。国は一括して解決するためとして、ハローワークの職業紹介、職業訓練に加え、公営住宅への入居、納税や生活保護、社会福祉協議会の生活資金、保健所による心のケア、弁護士の法律相談など関係機関が1カ所に集まり実施したものですが、和歌山では取り組まれませんでした。和歌山労働局でも実施について検討されていたようですが、県としてこの取り組みについてどう対応してきたのか、また今後どうしていくのか、お尋ねいたします。
 県の総合相談活動について。
 県は緊急経済対策として、また日常的には県民相談の窓口を開いていますが、年末、年度末に向けて生活に困窮する人の総合的な相談に乗れるように、関係部局や国、市町村など関係機関との連携も密にとりながら、相談者の立場に立った相談活動を強めてもらいたいと思います。相談者が気軽に訪ねることができて、解決に向けての道筋への展望を持てるような、県に相談に来てよかったと思ってもらえるような相談活動を期待したいと思うが、いかがでしょうか。
 生活福祉資金の活用についてです。
 国、県の資金を原資として、収入が少なく必要な資金がほかから受けることが困難な世帯に融資をする社会福祉協議会の生活福祉資金制度があります。これまで失業者に月20万円以内で融資をする離職者支援資金、一時的に生活の維持が困難となった人につなぎ資金として5万円以内を融資する緊急小口資金などの制度がありましたが、利用者はほとんどいないという状態が続いておりました。
 ことしの10月から生活福祉資金の貸付内容が4種類に整理・統合され、資金の必要性に応じて融資限度額をふやし、比較的弾力的な運用が可能となりました。また、貸付利率も3%から1.5%への引き下げ、緊急小口資金は枠が10万円に拡大し、保証人を必要としないなど条件緩和も行われたところであります。借りたお金は返さなくてはなりませんが、以前の制度に比べるとはるかに利用しやすくなりました。
 今日までの利用状況はどのようになっているのか。有効活用が望まれるところですが、どう活用していくのか。制度の周知はもちろん、審査期間の短縮など、すぐに用立てることのできるように取り組んでもらいたいと思いますが、どのように取り組んでいくのか。
 新年度予算編成方針について、知事にお尋ねをいたします。
 知事は、新年度の予算編成方針について、県民に希望と安心をもたらす取り組みを重点に進めると言われています。大変タイムリーなテーマであり、ぜひともその実現を強く望むものであります。
 一般質問初日の答弁で、知事は「元気な和歌山を創造するのに今何が必要か。それは少しずつでも和歌山がよくなるという希望を持ってもらうこと。そして、いろんな不安があると元気も出なくなる。元気な和歌山にしていくために今希望と安心が求められている」というような答弁をされていたように思います。知事の基本的な理念について、私なりにもう少しお尋ねをしておきたいと思います。
 そもそも地方自治体の行う行政は、住民の暮らしの擁護、福祉の増進であります。そのために日常生活の安全・安心を確保することは、最大の責務でもあります。この実現は、住民が地方行政に期待を寄せ、信頼できる自治体にしていくためにも欠かせない課題でもあります。したがって、希望と安心は決して一過性のスローガンではなく、自治体行政の根幹となるものであり、片時も忘れることなく、常に目指していくべきテーマであると考えます。
 知事の言う県民生活における希望と安心とはどのような内容、どのような状態が実現できることを指して言っておられるのか。新年度だけの重点テーマに終わらせてはならないものと考えますが、どの程度までの成果を考えて政策の組み立てを考えておられるのか、お尋ねをしておきたいと思います。
 今日、生活の貧困、格差の拡大が進む中で、生きていくのが精いっぱいという状況に置かれている県民の方が多くなってきていることに心を痛めます。私のところへ生活相談に来られた方で、大学を卒業し就職したがうまくいかず、職を幾度となくかえ、家庭も行き詰まって崩壊をし、現在ひとり身で古新聞、雑誌などの古紙回収をしている40歳代の男性がいました。回収車のレンタルが1日500円、ガソリンなど消耗品は自分持ちとなっていて、新聞紙の引き取り価格がキロ6円、雑誌が4円、今は暫定価格として新聞紙は7円で引き取ってもらえるということですが、1日回っても3000円から4000円ぐらいにしかならず、生活が成り立たないということでした。
 そこで、生活保護の申請をして、現在は保護を受けながら古紙回収の仕事を続け、もっと収入のあるほかの仕事を探す日々を送っています。しかし、職をかえ続けてきた本人ができるような仕事はアルバイトぐらいしかなく、それでは現在の収入と余り変わらず、先の展望が見えないと言われています。ワーキングプアから抜け出せない現実がここにはあります。
 また、夫からの暴力に耐えかね5歳の子供を連れて家を飛び出したものの、行く先もなく途方に暮れて相談に見えられた人ですが、子供は児童相談所を通じて里親にお願いをして、本人の住む住宅を確保し、そこから生活保護の申請を行い、保護を受けながらできる仕事を探しました。ようやく介護事業所での仕事が見つかり、現在は保護の廃止を申し出て、働きながらヘルパーの資格取得を目指しています。生活の自立と再建への展望が開け、その結果、来年春には子供を引き取れる話へと進み、今は希望が見えてきたと喜ばれています。しかし、現在の生活保護費より少し上回るだけのホームヘルパーの収入だけでは、この先大変厳しいものが予想されます。
 以上はほんの一例ですが、このような経験を通じて思うことは、希望と安心を実現するためにも、努力すれば報われる社会、何度でも立ち上がることのできる社会であること。病気、失業、不慮の事故、災害などから県民生活を守るとともに、生活の再建を進めることができること。そのための支援の仕組みが県行政としても整備されていることが大事ではないかと思います。権限の範囲内となるでしょうが、どこまで到達したのかを絶えず検証して、施策の整備と拡充を目指していってもらいたいと思います。
 新年度福祉医療制度への取り組みについてお尋ねをいたします。
 県の単独医療費助成制度として、重度の心身障害児者、乳幼児、ひとり親、67歳から69歳までの高齢者を対象に医療費の窓口での一部自己負担金を所得制限の範囲内で助成を行い、県民福祉の増進に貢献をしています。
 県が昨年3月に策定した新行財政改革推進プランの中で、歳出削減を図る事務事業の見直しの中に、この福祉医療制度への補助対象として、訪問看護療養費と精神障害者を加えることとあわせて、新たに一定額の自己負担金を徴収することが検討課題とされ、議論が続けられ、現在は現行の制度での運用がされております。
 ことしの2月議会で、私は福祉医療制度に新たに自己負担を導入するとした行革方針の凍結もしくは撤回を求める質問に対して、知事は「景気が悪くなっていくと県財政は苦しくなっていくが、助成の対象になっている人に負担を課すのも苦しくなってくる。その苦しさを理解する県政でありたい」と答えられていました。知事は、新年度の予算編成方針の中で行財政改革を着実に進めるとも言われていますが、県民の所得が減少していくもとで医療、福祉に対する負担が増大するようでは、県民の生活の安心は確保できません。財政状況に余裕があるとは決して思いませんが、福祉医療制度の拡充の方向こそが求められています。
 そこで、新年度、福祉医療制度についてどのように考えているのか。現在の制度内容で継続していく考えなのか。福祉医療制度の重度心身医療の助成対象に自立支援医療として一元化された精神疾患を加えることを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、災害対策について、担当部長にお尋ねをいたします。
 風水害からの生活と営業の再建支援についてです。
 11月11日未明、和歌山市を中心に紀北地域への集中豪雨は記録的な雨量となりました。和歌山市では1時間に120ミリ、3時間雨量が221ミリといずれも観測史上最高の雨量を記録し、とうとい命をなくされた方を初め、これまでにない多くの世帯が床上・床下浸水の被害を受け、生活と営業の再建に多大の苦労がありました。とりわけ高齢化が進む中で、年金に頼るひとり暮らしの高齢者で被災された方の心労は、いかほどであったでしょうか。中には、もうここには住みたくない、このように訴えられる方もありました。
 あってほしくはないことですが、広域で大規模な災害ならば、国の災害救助法や被災者生活再建支援法の適用ともなりますが、今回の場合はその適用とはなりません。
 近年、集中豪雨による局地的な災害が頻発する傾向にありますが、法の適用とはならない災害に対する県民の生活と営業の再建を支援する手だての整備が求められているのではないかと思います。とりわけ低所得の高齢者、障害を持つ人など災害時援護を要する被災者への手だてについて、支援策を確立しておくことが求められているのではないでしょうか。
 知事は、台風18号被害、11月11日の集中豪雨などの風水害に対して、県としても一日も早い復旧に向け取り組んでいくと言われていますが、これは土木事業を中心とした災害復旧事業、ハード面での事業を主に指していると思われます。県民生活や営業の再建支援というソフト面での支援も同時に必要なのではないでしょうか。
 そこで、担当部長にお尋ねをいたします。
 生活と営業を再建する支援策として、どういう施策が準備をされているのか。県独自の施策としてはどのようなものがあるのか。
 県に和歌山県災害見舞金支給に係る内規があると聞いております。自然災害により家屋が全壊したときは1万円、半壊したときは5000円、住宅が床上浸水したとき5000円、死亡者が生じたとき5万円、負傷者が生じたとき5000円と支給基準と金額を定めています。今回多くの被災者を出した床上浸水の場合では、5000円と畳1枚分にもならない金額です。この20年間、金額は変わっていないということです。拡充が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
 また、国の法律の適用にならない被災者に対して、生活を再建していくための支援策と言えるにふさわしいものとしていくために、例えば、被災者生活再建支援基金なるものを造成して被災者救援の準備を進めていくことも1つの方策だと思いますが、いかがでしょうか。
 家具の転倒防止対策についてお尋ねをいたします。
 風水害対策とともに、地震対策も着実に進めていかねばならない差し迫った課題となっています。県では地震防災対策アクションプログラムを策定し、短期、中期、長期に整備する課題がまとめられ、必要に応じて見直しがされ、進捗状況について進行管理がされています。大規模地震への備えとして、また県民の命を守る取り組みとして建物の耐震化、津波対策などさまざまな課題がある中で、以前にもこの場で取り上げさせていただきましたが、家具の転倒防止対策の普及の緊急性についてお尋ねをしたいと思います。
 三重、和歌山、徳島、高知の4県共同で地震・津波県民意識調査が3年ごとに行われています。第2回目の調査報告が昨年3月に行われました。来年は第3回目の調査を行うこととされています。その中で家具類の固定についての調査も行われています。全部または大部分固定している人は4県平均で5.5%、一部のみ固定している人は29.8%という結果が報告されています。本県で見ると、全部または大部分固定している人は6%、一部のみ固定している人は30%となっていて、ほぼ4県平均並みとなっております。
 ちなみに防災先進県と言われる静岡県は、全部または大部分固定している人は10%、一部固定している人は52.7%と、60%を超す人が家具の固定対策を始めているということです。
 本県ではその半分ほどの到達ですが、前回調査時から比べると、家具の固定対策を始めた人は10%も伸びており、急速に普及しつつあることがうかがえます。ちなみに私の家もほぼ固定しているという部類に入るのではないかと、そういうふうに自負をしておりますが、家具の固定に多少の手間はかかりますが、費用的にはわずかの金額で済み、地震の際の脱出を容易にすることや負傷を軽微なものとすることの効果は絶大で、極めて有効な地震対策であると言えます。また、家具の固定がどれだけ行われているかは、地震対策に対する真剣さを推し量る重要な指標ともなります。活動期に入ったと言われる大規模地震への備えは急務の課題であって、さしたる費用も時間もかからずに手短にできる対策として、家具の固定を一気に普及するための対策の強化を求めたいと思います。
 そこで、お尋ねをいたします。
 家具の転倒防止対策をどのように位置づけているのか。保育所、幼稚園、学校などの公共施設での転倒防止対策は万全か。個人住宅への転倒防止対策をどう進めていくのか。とりわけ高齢者、障害者など援護を必要とするお宅への対策をどう進めるのか。県補助制度の拡充と防止対策の普及に向けて一層の努力を求めたいと思います。
 最後に、国民健康保険の医療費一部自己負担金についてお尋ねをいたします。
 平成18年の2月議会で県民の医療保障の充実を求める観点から、国民健康保険の保険料滞納世帯への対応として、通常の被保険者証にかわって資格証明書や短期の被保険者証の発行がふえていること、地方税回収機構に保険料の滞納処分を移管する問題点とあわせて、国民健康保険法に規定する医療費の一部自己負担金、現在、就学前まではかかった医療費の2割、69歳までは3割、74歳までは1割となっている一部自己負担の減額について、県内での適用を進めていくべきではないかという趣旨の質問をいたしました。
 当時の福祉保健部長からは、県として医療費の自己負担の軽減が適切に行われていくよう助言をしていくという答弁があって、市町村にもその旨が通知をされました。今日の経済情勢のもとで、保険料と医療費の自己負担金の支払いが困難となる家庭の増加が懸念されます。資格証明書や短期被保険者証の発行がさらに進み、県民が医療を受ける機会を失することにつながらないか。そのことが県民の健康破壊や重症化を招き、医療費のさらなる高騰と社会全体としての活力が失われることにならないか危惧するところであります。
 資格証明書世帯にあって、中学生までには短期の被保険者証の発行がされるようになりましたが、高過ぎる保険料の引き下げ、無保険問題、一部負担金の軽減が依然として課題となっています。
 一部負担金で言いますと、国民健康保険法44条の一部負担金減免制度の活用が求められます。自己負担金の支払いの困難さは、医療機関窓口での未収金となってあらわれてきています。医大附属病院に未収金の状況を聞いてみますと、ことしの11月末現在で21年度に発生している未収金は入院、外来合わせて1504件、3017万円あり、この10年間の累計では約5000件、1億8000万円になっていて、現在督促を進めているということです。
 折しも、ことしの7月1日付で「生活に困窮する国民健康保険の被保険者に対する対応について」という通知が厚生労働省から出されました。その内容は、増大する医療機関の未収金問題の解決、未然防止を前提として、一部負担金減免等の適切な運用、生活保護等の相談、無料低額診療事業の情報提供など具体的な推進を都道府県及び政令指定都市に指示をし、各都道府県においてモデル事業をことしの9月から来年の3月までの半年間に実施するとなっています。県には、社会保障としての国民健康保険が県民に必要とする医療を保障していく、それを推進するという立場からの努力が一層求められているのではないでしょうか。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 県の一部負担金の減免についての基本的な考え方と今後の取り組みはどうか。
 県は、一部自己負担金の適切な実施についての通知を市町村に出しましたが、現在、減免の規定を設けている市町村と申請受付数、減免の実施状況はどのようになっているのでしょうか。
 国、県の市町村国保への一部負担金減免に対する財政支援をどうしていくのかという問題です。現行の制度で実施をするならば、市町村は国民健康保険の特別会計の中からの財源捻出を余儀なくされ、国保の運営を一層厳しいものとしていくことになります。国民健康保険の安定した運営のための財政支援の責任は、第一義的には国にあります。県には、市町村への適切な助言と援助が求められているところです。国に対してしっかりと働きかけていってもらいたいとも思います。
 以上、お尋ねいたしまして、私の第1問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、厳しい経済情勢を踏まえた年末、年度末への対応についてお答え申し上げたいと思います。
 議員御指摘を待つまでもなく、多くの県民から景気が悪くてとても苦しいという声が現にたくさん聞こえてまいります。また、具体的に聞いていないもっともっと多くの方々の声も聞こえるような気がいたします。
 まず初めに、中小零細事業者への対応についてでございますが、県では国の緊急保証制度──これは昨年末からなんですが、県融資制度の新設、拡充を行い、昨年11月からの1年間で中小企業者の方々に過去最大となる1000億円を超える県融資制度の御利用をいただいております。
 また、本年10月から貸出金利をもう一段引き下げるなど、中小企業者の金利負担の軽減を図り、より一層の資金繰り支援を行っております。
 さらに12月1日に発表いたしましたが、県制度を円滑に使っていただいて、お助けできるものについては漏れなくお助けしようということで、年末対策を指令したところであります。その際、県庁の中にじっと待って座り込んでおるとわからないことがたくさんあると思います。その結果、救うことのできるはずのものも救えないようでは大変申しわけないというふうに思いますので、今養成中の産業別担当者による企業訪問の強化とか、あるいは中小企業支援施策説明会の開催などを通じて、中小企業者に対する県支援策の周知徹底あるいは場合によってはお勧め、そういうことを行うとともに、11月30日に成立しました中小企業等金融円滑化法の趣旨も踏まえ、中小企業向け県融資制度の取扱金融機関及び県信用保証協会に対し、返済猶予等既往債務の条件変更など、より一層柔軟に対応するよう要請したところであります。
 県内中小企業者の資金繰り支援は、県経済の活力、浮揚のための重要施策であると認識しておりまして、年末対策はもとより、今般発表された国の緊急経済対策に盛り込まれた金融支援策を踏まえ、厳しい経営環境にある中小企業の皆さんを引き続き積極的に支援してまいりたいと考えております。
 次に、生活困窮者への支援でございます。
 厳しい経済・雇用情勢の中で、年末、年度末を迎えるに当たり、生活に困窮されている方のことを大変危惧しているところでございます。県民1人1人が安定した生活を維持し、路頭に迷わないように国や県の施策を総動員して対応してまいりたいと考えております。
 私としては、失業者、低所得者の困難さ、苦しさが増しているのではないかと心配しておりまして、例えば、セーフティーネット施策の大きな柱である生活福祉資金の貸付制度──これは前政権のときにできた制度なんでございますが──これの抜本的見直しがありましたので、低所得者等に対して効果的な支援策を講じてまいりたい、使っていただきたい、そんなふうに思っております。
 そのほかにも、既にございましたさまざまな施策があります。就職のあっせん、生活支援の給付・貸し付け、生活保護などの困窮者に真摯に対応していくことが肝要でありまして、ハローワーク、市町村など関係機関との連携を一層密にして、その施策を有効に活用してまいる所存であります。
 次に、新年度予算編成方針ということで、希望と安心についてということでございます。
 予算編成方針の基本理念として発表された希望と安心ということでございますが、まず希望につきましては、政策が1つずつ効果を持って、県民が「あすはきょうよりいいかもしらん」というふうに考え、それを信じて頑張ろうと考えるような、そういう政策をしようというふうに考えておるわけです。
 それから、将来及び現在に不安があるために人々の元気が出てきにくくならないように、肝心なところは不安を払拭できるような、そういう政策をしようということでございます。それが長期総合計画で将来像として私どもが描きました「元気な和歌山」を実現していくことになるんだと、そういうことを考えております。いわば長期総合計画実現のために22年度政策を考えていくときの現下の状況を踏まえた設計思想というべきものだと考えております。いろいろな制約があります。財政等々ありますが、この考え方に沿ってこれから予算編成に努めてまいりたいと考えております。
 また、議員の御質問にありました新年度だけの重点テーマに終わらせてはならないとの御意見につきましては、私も同感であります。そのような考えから長期総合計画で描いた将来像の実現に向け、「元気な和歌山」を創造していくために、全庁で今何をなすべきかを考え、毎年度、新政策プロセスを通じた検討を行っているところでございまして、ことしの設計思想として希望と安心ということを焦点に当てていこうというのもこのプロセスの中で出てきた話でございます。この2つの設計思想は、当然、大変大事な話だと思いますので、こういう考え方をずっと持ち続けながら頑張っていかなけりゃいけないというふうに考えております。
 次に、福祉医療制度でございます。
 重度心身障害児者やひとり親家庭等を対象といたします県単独医療費助成制度につきましては、県議会を初め市町村長及び関係団体の皆様からの御意見を十分踏まえまして、本制度を見直しすることなく、今年度においても継続することといたしました。
 ちょうど今、中央政府で仕分けなどがありますが、いわば仕分けというのを別の形で行って、皆さんから大変きつい意見もいただいて、それで最終的に判断をして存続ということにしたわけであります。
 新行財政改革推進プランにおいては、財政状況を考慮しつつ引き続き見直しを検討していくこととしておりますが、県単独見直しというのは、推進プランをやめるというんじゃなくて、その中身をいつも考えながら実行のための政策を見直していかなきゃいけないということでありますが、県単独医療費助成制度の必要性は認識しておりまして、一度大議論をした後でございますから、また現下の厳しい財政状況ではあるものの、一方、現下の厳しい経済情勢でありますから、新年度においても現行制度を維持してまいりたいと私は考えております。
 また、精神障害のある方々を助成対象に加えることにつきましては、その県単独医療費助成制度を持続可能なものにしなければいけませんので、その関係から現行の対象者を含めた制度全体の中で総合的に検討してまいりたいと、そんなふうに考えております。
○副議長(坂本 登君) 福祉保健部長北田佳秀君。
  〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 年末、年度末に向けての対応のうちの2点についてお答えいたします。
 まず、ハローワークのワンストップサービスについてでございます。
 年末、年度末を迎え、職業紹介、生活支援等の相談窓口を設ける「ワンストップ・サービス・デイ」の実施につきましては、国の要請のもと去る11月30日に17都道府県215市町村の参加により試行されたところです。その結果を踏まえ、現在国におきましては、年内に実施地域を拡大しての開催を目指すこととしております。県といたしましても、今後、和歌山労働局、和歌山市、県社会福祉協議会等の関係機関と連携し、年内開催に向け取り組んでまいります。
 次に、生活福祉資金の活用についてでございます。
 生活福祉資金貸付制度の見直しにつきましては、本年10月1日より、借りやすく貸しやすいという制度に改め、失業者等の生活再建に必要な費用等を貸し付ける総合支援資金の創設を初め、連帯保証人要件の緩和、貸付利率の引き下げ、さらには償還期間の延長などを行ったところでございます。
 この制度の見直しによりまして、11月末現在の貸付件数が25件、貸付金額が1845万円となっておりまして、従来に比べまして大幅に増加してございます。今後、この資金の貸し付けが必要と判断された場合には、速やかに実行できるよう、実施主体である県社会福祉協議会を指導してまいりたいと考えてございます。
 続きまして、風水害からの生活の再建支援についてでございます。
 台風18号におきましては床上浸水等の被害はなかったものの、11月11日の豪雨による災害では、和歌山市、海南市、紀の川市及び岩出市の複数自治体にわたり600戸を超える床上浸水の被害が生じたところです。
 今回の災害により、国の災害弔慰金の制度が適用される見込みとなっており、県の災害見舞金制度も、少額ではありますが、活用する予定でございます。災害見舞金制度の見直し及び基金創設につきましては、今後検討してまいりたいと考えております。県といたしましては、生活福祉資金貸付制度等の利用により、一日も早く安心できる生活を取り戻していただきたいと存じます。
 続きまして、国民健康保険の医療費一部自己負担の減免についての3点にお答えをいたします。
 まず、減免についての基本的な考え方と今後の対応についてでございます。
 国民健康保険法第44条により、保険者は、特別の理由があり一部負担金を支払うことが困難であると認められる被保険者につきましては、一部負担金の減免措置をとることができると規定されており、適切に運用されることが重要と考えております。
 本県では、有田市が本年9月より、国民健康保険における一部負担金の適切な運用に係るモデル事業に取り組んでおり、平成22年度中には、当該モデル事業の全国的な結果を踏まえ、一部負担金減免に係る運用基準が国から示される予定となっております。
 県といたしましては、この運用基準に基づき、市町村において一部負担金減免制度が適切に運用されるよう指導してまいりたいと考えております。
 次に、市町村の実施状況についてでございます。
 現行の一部負担金の減免措置につきましては、減免に必要な国による財政支援制度がなく、また一部負担金を支払うことが困難であると判断するための運用基準も国から示されていないため、県内では独自の規定を設けているのは2市1町の保険者であり、平成20年度の減免実績は1町で免除1件となっております。
 次に、減免に対する国、県の財政支援についてでございます。
 市町村国民健康保険の一部負担金の減免につきましては、市町村保険者が財政負担を行っております。県といたしましては、平成22年度中に国から全国統一的な運用基準が示される予定となっておることから、一部負担金の減免実施に必要な財政支援を他府県とも連携しながら国に要望してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 年末、年度末に向けての対応のうち、総合相談活動についてお答えさせていただきます。
 昨年12月の緊急経済対策本部の立ち上げと同時に、資金繰りや生活困窮、失業などお困りの方々の相談に応じる場として、本庁と各振興局ごとの相談窓口及び相談内容別の個別相談窓口を設置してございます。開設以来、中小企業者や県民の皆様方から700件を超える相談に対応してございます。
 しかしながら、本県経済は依然として厳しい状況にあることから、今月1日、年末対策として、産業別担当者による企業訪問の強化や支援施策説明会の開催などを通じ、中小企業者に対する県の支援策の周知を図るとともに、29日及び30日に年末相談窓口を開設することなどを発表し、その取り組みを強化したところでございます。
 商工団体や金融機関などにおきましても年末に向けて相談窓口が開設されているところでございまして、これらの関係機関とも連携しながら総合的な相談体制をつくり、中小企業者や県民の皆様がこの苦境を乗り切れるように、きめ細かく対応してまいりたいと考えてございます。
 次に、風水害からの営業の再建支援についてでございますが、先日の和歌山市を中心とした記録的な集中豪雨により、工場、事業所が床上・床下浸水の被害を受け、経済環境の厳しい折、さらに深刻な状況になったのではないかと危惧してございます。
 県といたしましては、中小零細事業者の皆様が御利用しやすい長期、低利な設備資金、運転資金として振興対策資金あるいは小企業応援資金などの融資制度がございまして、金融機関などとともに、その利用拡大を図ってまいりたいと考えてございます。
 そのほか、今回の被害などにより売り上げ減少した中小企業の皆様方には、緊急保証関連融資制度といった今時の不況対策資金もございますので、金融機関などと連携しながらきめ細かな対応を行ってまいりたいと考えてございます。
○副議長(坂本 登君) 危機管理監森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○危機管理監(森 崇君) 家具の転倒防止対策についてお答えいたします。
 震災対策について、被害を軽減するためには、議員御指摘のとおり、家具などの転倒防止対策が大変重要であると認識してございます。
 保育園、幼稚園、学校等における転倒防止対策の状況は、一部固定も含めますと固定実施施設数は約6割となっております。また、県庁舎の転倒防止対策につきましては、平成20年度から庁舎の耐震化にあわせて計画的に実施しているところでございます。
 個人住宅対策につきましては、「県民の友」やパンフレット等で啓発してまいりましたが、固定方法がわからないとか、どこで相談すればいいのかなどの声も依然として多くございまして、そのため、本年11月からふるさと雇用再生事業を活用して、専門業者による家具転倒防止講習会を実施しております。
 さらに、来年1月からは、高齢者世帯等の固定作業を実施できる人材育成のための技術講習会も開催する予定です。今後とも、家具固定率を引き上げるための対策に取り組んでまいります。
 また、要援護者への対策でございますが、県におきましては、一部の市町に対し、補助金や緊急雇用創出事業臨時特例基金で支援しておりますが、今後さらに多くの市町村でも実施するよう積極的に働きかけてまいります。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
 43番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 要望にとどめておきたいと思うわけですが、知事のほうから年末、年度末に向けて大変な苦境に立ち入ってる中小零細事業の皆さんですね、漏れなくお助けをするというお話があったり、生活に困窮する県民の皆さんを路頭に迷わせないと、そういう意気込みはよしとしておきたいと思うんです。
 しかし、実際に保証協会の保証もとれない、それからお金を借りたくても借りる体力がないというところまで、今もうどん底といいますか、あとはもう廃業しかないんじゃないかというようなところまで陥っている事業者の方というのは、実にたくさんいらっしゃいまして、私も大変苦慮してることが多いわけですが、そういったところもやっぱり漏れなくお助けするという心意気をぜひ現実のものとして、年末、年度末、安心をして年越しができるという状況にぜひしていただきたいと。
 新年度は希望が持てるようにというふうにお願いしたいと思うんですが、金融円滑化法なんかも金融機関の努力義務ということになっておるわけでして、実際に私、金融機関に足運んで何度か話をして、返済を猶予してもらうということもしてもらったことがあるわけですが、しかし、その次はもう借りられないということになってくるわけですね。だから、そういうことも含めて、当面この時期を何とか乗り切って、そして新年度には新たな展望が開けるというような、これは県だけでするというのは大変難しいことではあろうかと思うんですが、国、市町村と連携をとりながら、そこの目と構えは忘れずにぜひやっていただきたいと思います。
 被災時の生活再建の問題なんですが、営業再建では融資しかないという話ですよね。被災を受けて、今、ただでさえ売り上げが減ってるのに、ボイラーとか機械がつかってしまって使えないと、それを借りかえないと商売ができないというような方もたくさんいらっしゃるわけでしてね。生活再建支援のための見舞金であるとか支援制度を独自につくってほしいという質問を今回したわけですが、拡充に向けてとか基金の設置については検討していきたいというような御答弁でありましたけども、そういう中でせめて被災したときは心配することがないというような県の姿勢もぜひ新年度に向けて示していっていただきたいと、このことを強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。
○副議長(坂本 登君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤井健太郎君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時25分休憩
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  午後1時0分再開
○議長(冨安民浩君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 23番井出益弘君。
  〔井出益弘君、登壇〕(拍手)
○井出益弘君 大変お疲れかと思います。最後の大トリの一般質問ですので、どうか、お疲れかと思いますけど、心を込めてお訴え、あるいは議論をしたいと思いますので、当局におかれてもひとつよろしく答弁のほどお願いします。
 まず1番目に、政権交代後の和歌山県として。
 政府に対する県民の代表、和歌山県知事の要望活動について、取り組み、大変御苦労な形になっておるように思いますけど、お尋ねいたします。
 政権交代後の国への要望活動について、8月の総選挙で政権交代が実現し、その後、12月定例議会でも、9月定例議会でも冒頭に質問に立った自民党県議団、今回もそうですけども、吉井議員や山下直也議員、幾人かの議員から知事に対して、政権交代後について知事の所見などを問う一般質問がありましたが、私は今回、さきに民主党から示された要望、陳情の一元化の問題に絞ってお尋ねしたいと思います。
 「民主陳情を一括管理」という記事が新聞に掲載されたのが11月3日のことでした。記事によると、その前日に民主党本部で役員会が開かれ、国会議員に政府との接触を禁ずる一方、県も含めて自治体や団体からの要望、陳情は民主党の幹事長室が一元管理するとの方針が決定されたとの内容でありました。私はこの記事を見て、地域主権を看板に掲げた政党が本当にこんなことを言っているのかと目を疑いました。このことは言いかえれば、国と地方という行政組織の間の問題に特定の政党が割り込んで、特にお願いをしたいことがあるならば、それ以前にうちの党にお願いに来なさいという話であり、こんな理不尽な話はないと思います。
 政権交代前の自由民主党と公明党の連立政権時代には、結果として要望におこたえできなかったことも多々あると思いますが、それは連立政権が責任与党として国のすべてのことに責任感を持って対応してきたからであり、このような党内部の方針を地方や団体に押しつけ、党を通さねば政府に意見を言わせないといったことは断じてなかったと思います。
 そこで、知事にお尋ねします。
 私は、国政に対する地方からの要望や陳情は、言いかえれば国民の声、県民の声だと思います。その国民の声を特定の政党を経由しなければ国、政府に届けられないといった事態はあってはならないことだと思いますが、この方針を受けて、県として今後どう対応されるのか、知事のお考えをお尋ねいたします。
 次に、先日、知事、県議会、市町村長、県民の団体代表、多くの県民の代表的な皆さんで、和歌山県民の悲願であった開通目指して工事中の主要幹線道路にストップがかけられたことに大変心配をして、このことも今議会でも同僚議員から話がありましたが、大変取り組みに対して、我々も一体化して、議会も一体化して知事と行動をともにするためにも知事のお考えを聞かしていただきたいと思うところであります。
 2番目に、和歌山県の幹線道路整備と関西大環状道路について、県土整備部長にお伺いいたします。
 1つ目には、第2阪和国道と京奈和自動車道の予算確保についてであります。
 和歌山県交通網の大動脈である第2阪和国道と京奈和自動車道は、6年後の和歌山国体までに開通させるために取り組んでいるところでありますが、この2路線は紀北地域だけでなく、県経済の発展、また県都和歌山市経済の浮揚にとっての悲願の道路でもあります。
 しかし、来年度の概算要求では公共事業は大幅にカットされ、今後の事業の進捗のおくれが危惧されているところであります。
 まず、まだつながっていない第2阪和国道の府県境部と京奈和自動車道について、平成22年度の国予算要求の現状はどうなっているのかお尋ねしたいと思います。
 また、この2路線の早期整備を国に対し訴える必要があると考えますが、予算確保に向けた今後の取り組みについて、県土整備部長の考えをお聞かせ願います。
 2番目に、京奈和自動車道と第2阪和国道を連絡する道路について、知事にお尋ねします。
 京奈和自動車道から第2阪和国道、さらには加太から湾岸道路までを結ぶことが必要であり、この連絡道路をつくることでコスモパーク加太の立地条件もよくなると考えます。予算厳しい中、第2阪和国道、京奈和自動車道など事業を進めておりますが、この2路線をつなぐ道路は将来的にぜひとも必要であると考えます。
 そこで、将来のことを見据え、京奈和自動車道と第2阪和国道の2大動脈をつなぐバイパス的道路について、今からでも関心を持って先を見た取り組みをすべきだと考えますが、知事の御所見をお聞かせ願います。
 3番目に、緊急を要する治水事業についてであります。
 まず、鳴滝川についてお聞きします。
 去る11月11日未明の豪雨により、和歌山市周辺で数多くの家屋浸水が生じ、和歌山市有功地区では1名のとうとい命が失われ、50戸を超える家屋浸水が発生しました。鳴滝川の河川改修は、合流点処理や水道橋かけかえ等の国の事業と県の事業により進められている状態であります。また、和歌山市の有功ポンプ場にはまだポンプが据えつけられていない状況にあります。
 そこで、国、県、市による鳴滝川治水対策の完了見込みはどうなっているのか、県土整備部長にお伺いします。
 次に、これも一部関連があるんですけども、紀の川大堰について。
 地元では、洪水時の放流阻害となっていた新六箇井堰をなぜ先に撤去しなかったのか、残った左岸側の撤去はどうなっているのか、堰をあれだけ早く撤去してほしいと地元で要望していたのに、人災みたいな気がして亡くなった人に気の毒に思うという声が強く地元では出ております。新六箇井堰の撤去の見通しを県土整備部長にお伺いします。
 次に、七瀬川についてお尋ねします。
 本年6月の議会で京奈和自動車道建設に伴う七瀬川への洪水流出の影響について、本年度国で調査を行って、その後地元説明を行う旨、答弁がありました。その進捗状況と今後の予定について県土整備部長にお伺いします。
 また、七瀬川については今年度補正予算を含めて4.2億円の予算を投入していますが、今後の進捗の見通しについてもあわせて県土整備部長にお伺いします。
 ただいま述べましたこの3点、鳴滝川、紀の川大堰、七瀬川については、この政権交代により、こんな大変な事業、至急やっていただかなあかん事業なのに、何か、とめられるんじゃないかと、あるいはずっとおくれるんじゃないかという地元の大変心配をしております声が多いものですから、このたびまた行わせていただいたわけです。
 4番目に、コスモパーク加太についてお伺いします。
 関西国際空港土取り跡地のコスモパーク加太は、24時間運営の国際空港整備という国策に寄与するとともに和歌山に新たな市街地が形成されるという計画に、国民こぞって期待したものでありました。社会経済情勢が激変したという事情もありましたが、計画は夢破れ、和歌山地方裁判所での調停を経て、現在の土地開発公社再建スキーム、コスモパーク加太の整備スキームが決定されたことは記憶に新しいところであります。
 現在、県土地開発公社はコスモパーク加太だけで483億の負債を抱え、県も当初265億の債務保証──現在は231億と減少していますが──多額の債務保証を負っております。私はこのコスモパーク加太の現状を憂い、今まで幾多の利用・活用提案を行ってまいりました。その中で、かつては区域全体をあらわすパンフレットすらない時期もありました。それはコスモパーク加太をどうするか暗中模索していた時期と重なるため、やむを得ない部分もありましたでしょうが、驚いたものです。今では企業誘致活動がなされていることとは承知しておりますが、その中で気にかかっていることを幾つか申し上げます。
 コスモパーク加太に関するパンフレットや資料を拝見すると、「貸したい土地、売りたい土地」といった観点で作成されているのではないかと思うのであります。本来ならば相手が「借りたい土地、買いたい土地」と思うような情報提供をしなければ効果的でないと考えます。これは単なる言葉の遊びではなく、情報の需給関係のミスマッチが起こることの不幸を心配しているのであります。この土地を相手が求めに来る時代ではありません。幹線道路の状況や上下水道のインフラ整備等の多くの情報を限られたスペースの中でどう表現するのか難しい部分ではありますが、視点を変えた資料づくりが必要かと思います。企画部長のお考えをお聞かせいただきます。
 次に、環境対策、エコ燃料使用の推進について、知事にお尋ねいたします。
 多くのバイオマス燃料の製造精製技術の中で特に環境にすぐれたものの推進についてということで、このたびは質問をさせていただいたわけです。
 私は、福祉環境委員会で先般、沖縄県うるま市のエコディーゼル燃料──バイオディーゼル燃料(BDF燃料)の種類の1つでありますけども──エコディーゼル燃料の取り組みについて視察を皆さんと行ってまいりました。それは、うるま市のバス会社が原油高騰によります赤字が膨らんで苦しんでおり、当市では家庭やレストランから出る廃油をリサイクルし、安い燃料をつくろうという取り組みが事の始まりでありました。
 その燃料とは、バイオ燃料BDFと少し違ったEDFというものでありまして、これは、Eというのは、なぜBDFじゃなくてEDFかというと、エコというのを頭文字に使ってエコ・ディーゼル・フューエルと。バイオ・ディーゼル・フューエルじゃなくて、バイオ燃料の一種ですけども、特にエコという頭文字を使ってエコ・ディーゼル・フューエルと。BDFとEDFの違いなんですけども──というもので、使用済みのてんぷら廃油等、これを3、それで灯油を7の3対7で混合し、触媒、これは何か「魔法の粉」と言っておりましたけども、これを入れて攪拌するだけで軽油と同等のカロリーを持ち──普通は廃油とまぜるとカロリーが下がるんじゃないかと思うんですけども──同等の軽油と同じカロリーを持ち、燃焼後の排煙は黒煙状ではなくクリーンな排煙で地球温暖化にも大きく効能あるという、数カ月前に「ガイアの夜明け」のテレビ番組で見たものでありました。バス会社は、今では廃業から救われたようであります。
 私は、環境の観点から見てこれは非常によい取り組みであり、ぜひこうした取り組みを和歌山県でも普及できたらと考えております。ただし、廃食油を大量に確保する困難な面もありますので、やはり廃食油を回収する方法なども県であるいは市町村でも取り組んでいただくとともに、ジャトロファという植物油の──実のなる植物ですけども──ジャトロファなどの植物資源から燃料を製造するということがわかったので、本県の気候条件などを照らし合わしていろいろ勉強してみたんですけども、温度差がやはり和歌山の場合は山に植えたりすると、余り寒いところではやっぱり育ちが悪いということで栽培が難しいようであります。
 そこで、知事にお伺いします。
 県として新たなエコ燃料の植物資源を何か開発できないのか。例えば、この視察に沖縄へ行ったときは、沖縄のトウキビ、砂糖をとった後のかす、そのかすからまた燃料を再生するということで今一生懸命研究をしておりまして、間もなく実用化されるということでありました。
 また、国としてもエコ対策に効き目のある、効力があるものを研究開発することが大変必要だという事態に直面している今日、世界、そして日本の現状を考えるとき、地球温暖化や黒煙を出して大気汚染や健康障害の原因ともなっているディーゼルエンジン等の排ガスが、この魔法の粉でほとんどクリーンな排ガスになるならば、まさに救世主と言えるものであります。
 しかし、このEDFについて、他のBDFと同じ軽油引取税率で課税されている現状では、やはりこれは同じディーゼルエンジン燃料として使うんだったら、今の店で売ってる軽油を、ガソリンスタンドで売ってる軽油を買う。それかもうこのBDFの廃油を使った分で、同じく煙が出るけども、その廃油を使ってるということの分が幾分か自分とこで、車で外を走らなかったら、自分とこの発電機とか敷地内で使うんだったら、煙出るけども、BDFの植物の廃油を使えると。
 だけど、これはやはり環境に対しては、リサイクルとしては有効なものでありますが、環境対策には私は、やはり煙が出るんですから、黒煙が出るんですからよくないんじゃないかと。よくないというよりか、リサイクルとしては効き目があるかと思いますけども、だけど、このEDFというエコに大変効き目のある燃料というのをつくるためには、やはりリッター当たり普通のスタンドで買うやつとか、あるいは再生したBDFとかよりももっと高くつくわけです。ですから、それは本当に資金力のある業者とか、あるいは資金力のある方が環境のことを考えて、高くつくけども、その燃料を使おうと思ってくれれば、それはいいんですけど、なかなか私も厳しい状況じゃないんかなと。それを使っていただくのをただ推進、使うてくださいと言うだけでは難しいんじゃないかなということも考えます。
 こうした現状を踏まえ、県としてもバイオ燃料の推進についての普及啓発などを積極的に取り組み、進めるべきだと考えます。さらに、研究費、設備投資費への助成についても国に対して増額要求、要望など必要であると考えます。
 昨年、大阪府排ガス規制対策で和歌山県トラック協会の皆様が、今年1月1日より大阪府排ガス規制が実施されるということになりましたので、このままでは大阪に乗り入れできないという、排ガス規制をクリアできないというトラックが約1000台ほどありました。その1000台について、トラックを改造もしくは買いかえをするという必要に迫られたわけですけども、このときに仁坂知事が1億円という予算をトラック協会に補助、助成していただいたということで、本当に排ガス対策として大阪へこれ約1000台の和歌山のトラックが対応できるようになったと。それで、トラック協会の基金としての2億円と、知事のほうから、県から助成していただいた3億円でこの1000台というのも助かって、本当に感謝をしておりました。
 それで、私がそういうこともありましたものですから、県のトラック協会の和歌山支部長にクリーン燃料の推進の相談に行きましたところ、早速、沖縄に出向き、協会としても対応を考えたいとの御返事をいただきましたが、助成金については多くの窓口がありますが──国のほうでいろんな窓口があります。環境省、農林省、経産省、それからあとそういう外郭団体、いろいろ分けて4つぐらいあったと思いますが、それで申し込みのことを私も聞いてみたんですけども、この助成金についての多くというか、もう全部というぐらいが、募集後すぐに予算終了、予算切れで来年の募集まで待ってくださいとのことでありました。なかなか私も「何とまあ、こんなときにこんないいことをしようとするのに予算切れってあかんな」と思ったわけですけども、経済産業省関係の知識では特に豊富な仁坂知事に環境対策、エコ燃料使用推進につき、国に対して働きかけなどをしていただきたいと考えますが、御所見をお伺いします。
 最後の項目ですけども、和歌山県国体の施設整備についてお伺いします。
 現在、クレー射撃場建設のための候補地として現地調査の進行中でありますと聞いておりますが、鳥獣害捕獲の研修施設として約3億円、国費で射撃場建設に予算措置がなされたのは和歌山県が今回初めてであります。そして、仁坂知事にも県として予算対応をしていただきましたこと、大変感謝をしております。
 私は、有害鳥獣捕獲での狩猟事故防止の研修や国体やオリンピック選手を目指すスポーツ選手の県民の夢としての射撃場は、設備的にほとんど同じものをつくればよいのだからということで、これは猟友会射撃の練習場、そしてまた国体やオリンピックの射撃の練習場、同じ機械を使って同じ場所でこれはできるものですから、たまたま予算が農林水産省──文部科学省でのこの射撃場の費用はなかなか出しにくいということでしたので、今回農林水産省からということで出していただいたのでありますが、和歌山県クレー射撃協会の会長に着任以来、この約3億円つけていただくのに随分運動をしまして8年ぐらいかかったと思います。
 ことしの7月に国の予算がついた。そして、このついた後、県関係者からは何の相談や連絡もなくなり、それまでは非常にああでもない、こうでもないと言われていたんだけども、予算がついてから何の相談もなくなり、この質問を通告した3日前からクレー射撃場施設についての一部の説明を聞くと、全く困難なことに直面しているようであります。
 農林の予算でつくるのだから、教育予算でないため猟友会とクレー射撃協会とは別かもしれませんが、建設後の使用運営はどちらも使えるようなものなのであるし、土日、祭日はできるだけ大会を計画して近畿や全国から大会を誘致し、安全研修や射撃技能の向上はもとより、利用者確保にも大変な努力を覚悟してやらなければ、取り組まなければ、この施設は後々運営していくことが不可能だと思います。
 利用者確保には、施設の規模あるいは遠方よりの大会規模の、来ていただく招客にはかなりの宿泊施設等も関係することから、最低必要数の利用者数が不足の場合、一定以上の客が来ても撃てないというか──現在射面が1面、トラップ1面とか私は聞いておるんですけども、スキート1面と。だけど、それやったらなかなか大会はやっぱり2面なかったら無理であります。そんなこともあって、ぜひ2面にしてほしいなというふうなことも今話をお願いすることになってきておるんですけども、最低必要数の利用者数が不足の場合は、県として今後とも助成をしていただかなかったら運営は不可能だと考えます。助成が不可能な場合は、根本的に再考しなければならないと考えます。いずれにせよ、出費が伴うことで、これを余りあと足らん分を市町村で出せということは、なかなか今、この時期に難しいんじゃないかと思います。
 しかし、この有害鳥獣とか6年後の国体を考えるならば、あるいは将来のことをずっと考えるならば、県として、知事として決断をしていただきたいという時期に来ていると思います。心より知事の建設に向かっての決断を切望いたしますとともに、知事の心を込めた誠意のある答弁をお願いしたいと思います。
 以上で、1問目終わります。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの井出益弘君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、今後の国への要望活動についての御質問でございますが──一般的に国への「陳情」あるいはたまに「要望」とよく言われておりますけれども──どうもその陳情というのは常に国が上でほかは下々という感がありまして、あんまり好きな言葉ではありません。また、私はこれまで単に国にお願いしてくればいいと、行くだけというのは安易な考え方で余り行動したことはありません。
 また、すがりついたら何とかしてくれるというものでもありませんし、国会議員に頼めば必ずうまくいくというものでもありませんし、政治的圧力をかければよいといったものではありません。
 国でも県でもちゃんとした政権は、どこでも説明責任を果たしながらやっていかないといかんわけですから、それができないようなものはなかなか認めてくれないし、また、それを逆に言っていくことによって認めてくれることも多々あるということだと思います。
 和歌山にとって大切な事柄を実現するということが大事でございますので、どういう理屈でどういう材料を出せばかなえてくれそうかということを考えて行動しないといかんと思います。そのため、例えば国の責任でこれは絶対やらなきゃいけないんだとか、地方の立場からの提案とか、そういう本県の利益が損なわれることのないよう、県民を代表して国と議論をするというスタンスでこれまでも臨んできたところであります。
 したがって、今後も本県の利益が損なわれるおそれがある場合、あるいは本県の利益をぜひ実現したいという場合には、国への働きかけを行う必要があると考えておりまして、その際、県選出の国会議員にもぜひ側面から応援をしてもらいたいと思っております。そのためには、日ごろから情報交換をしておかなきゃいけないということではないかと思います。
 また、その際に決められた手続をとる必要があるのであれば、その手続にのっとって対応いたしますけれども、御指摘があるように、そのルートを統制するというのはあんまり好ましいことではないと私自身は思っています。ただ、個人的にはこういう手続によって自分自身が特に妨げられたというようなことはないと思っておりますし、逆にあったらそれは県民が許さないということではないかと思います。
 現に、特定の政党の名前を挙げて申しわけありませんが、民主党の筆頭副幹事長と議論したときは、知事はどんどんと言ってくださいと、どんどん議論してくれたらいいんだというようなことを言っておられましたので、そのように県を代表して意見を臆することなく国に対して主張してまいらなけりゃいけないのではないかと、そんなふうに思っております。
 それから次に、京奈和自動車道と第2阪和国道を連絡する道路についてでございますが、本県のみならず関西全体の発展に寄与する関西大環状道路の一部として位置づけられた道路であるというふうに認識しております。
 しかしながら、現在はこの京奈和自動車道と第2阪和国道そのもの、これを一刻も早く供用することに全力で取り組んでいるところでありまして、なかなかそれは容易ではないというか、環境が余り好適なほうに動いてはいないという状況であります。したがいまして、御指摘の京奈和自動車道と第2阪和国道を連絡する道路の検討につきましては、両路線の事業の進捗や高規格幹線道路に係る国の動向を見ながら今後の課題とさしていただきたいと考えております。
 次に、再生可能なバイオマスを原料とするバイオディーゼル燃料などのエコ燃料の導入につきましては、温暖化ガスの排出量の削減により地球温暖化防止に貢献するものとして、日本を初め世界各国で取り組みが進んでいるところでございます。
 県内でも既に国の補助制度などを活用いたしまして、廃食用油からバイオディーゼル燃料を製造している事例もございます。議員御提案のエコディーゼル燃料についても、非常に興味深いものがあると考えております。
 また、そのほかの例としては、特に沖縄の例もありましたが、和歌山県では特に森林、林業を活性化するという目的もあります。そこで、間伐材を使ってこれをチップとして石炭火力ボイラーにくべるとか、あるいはパウダーにして石油燃料ボイラーにくべるとか、こういうような実証的な研究開発にこれまた国のお金を引っ張ってきたりして、努力をしているところでございます。
 これらを含めて、バイオ燃料としての植物資源の活用につきましてはまだまだ研究段階にあると聞いておりますので、情報収集に努めて積極的に臨んでいきたいと考えております。
 地球温暖化防止対策に資するバイオ燃料の普及は、このように大変重要なことでございますので、議員御指摘のとおり、県としても私自身といたしましても、啓発に努めるとともに、この一層の推進を国に対して働きかけてまいりたいと存じております。
 次に、和歌山国体の自前のクレー射撃場ということでございます。
 県内に現在基準を満たす施設がない中で、これまでこれを一番初めにクレー射撃場は県外でと申し上げましたことをやめて、県内につくるというような事業を実施するということについては、前会の議会でも4つ条件を申しました。国からの補助金の活用、地元市町村の応分の負担、それから市町村による住民同意の取りつけ、運営主体の存在、こういうものが必要であり、このうちどれ1つでも欠けるとなかなかできないということを申し上げてまいりました。
 こうした中、議員の御尽力により、有害鳥獣捕獲のための射撃訓練施設が国の鳥獣害防止総合対策事業において新たにメニューとして予算措置がなされ、その後本県での実施について国に働きかけた結果、国からこの予算措置をいただけそうだ、第1の条件として、そういうことをいただけそうだという感触がございました。
 これを受けて、県では専門家の意見も聞きながら、国体基準を満たすトラップ射撃、スキート射撃各1面を含めた鳥獣害捕獲の訓練施設として基本構想の作成に着手したところであります。
 その中で重要な鉛対策や防災対策については、環境省の射撃場に係る鉛汚染調査・対策ガイドラインや総理府の指定射撃場の指定に関する内閣府令などに基づき検討を加えるなど万全を期したことから、当初の予定よりも広い用地が必要となってきておるわけでございます。
 こうした基本構想の具体的な内容につきまして、11月に入りまして手を挙げている湯浅町や猟友会等の関係団体にお示しし、新たな用地の確保や維持管理等について責任を持って対処することができるかどうか改めて伝えたところであります。時間的な余裕は余りございませんので、今後、市町村の動向や関係団体等の意見を踏まえながら、4条件が達成できるかどうかも見つつ、取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(冨安民浩君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 第2阪和国道と京奈和自動車道についてお答えいたします。
 まず、第2阪和国道の府県境部の和歌山岬道路につきましては、平成19年度に事業着手し、現在、地元設計協議等を進めているところであります。しかしながら、先日、近畿地方整備局から示された平成22年度の概算要求額が大阪側も合わせまして5億から6億であり、今後用地取得など事業の本格化を迎えるにもかかわらず、本県の想定を大きく下回っており、非常に厳しい予算となっております。
 次に、京奈和自動車道につきましては、高野口インターチェンジから(仮称)打田インターチェンジまでの紀北東道路で、ほぼ全線で工事進捗を図っているところでございます。
 また、(仮称)打田インターチェンジから和歌山ジャンクションまでの紀北西道路では用地取得を進めますとともに、紀の川市においてことしの6月に工事着手というふうにするなど、今年度は京奈和自動車道全体で補正予算も合わせまして約198億の予算で事業の進捗を図っているところでございます。
 しかしながら、国体までの完成のためには今後さらに毎年200億を超える予算が必要でございますが、近畿地方整備局から示された平成22年度の概算要求額では、137億から169億と大幅な減額となり、和歌山岬道路と同様、厳しい予算となってございます。
 今後、県としては、両路線の早期供用に向けまして、大阪府を初め、奈良県、京都府との連携はもちろんのこと、これまで以上に危機感を持って、国に対しまして必要な予算の確保を働きかけてまいりたいと思っております。
 次に、緊急を要します鳴滝川、紀の川大堰、七瀬川の治水事業についてでございます。
 1点目、鳴滝川の治水対策につきましては、国において紀の川との合流点の処理及び水道橋のかけかえ、県におきまして水道橋から鳴滝橋までの河道拡幅及び河床掘削、和歌山市のほうで有功ポンプ場の整備を行っているところでございます。
 和歌山市からは、平成21年度中にポンプを据えつけて、平成23年度当初より一部供用を開始するというふうに聞いておりまして、国、県両方でそれに間に合うように平成22年度までに紀の川の合流点から鳴滝橋までの整備を完了させる予定にしております。
 2点目、紀の川大堰の建設に伴います新六箇井堰撤去につきまして、国は平成20年の7月に工事発注をして、既に右岸側の半分を撤去しております。残る左岸側の半分の撤去につきましては、国から間もなく工事に着手し、平成21年度末までに撤去を完了する予定であるというふうに聞いております。
 3点目、七瀬川につきましては、現在紀の川合流点から鴨居川合流点までの1600メートル区間の用地取得を進めておりまして、今年度末までに用地取得率63%にまで進捗させる見込みでございます。来年度以降の補助事業予算は厳しい状況が予想されますけれども、県としては七瀬川の河川改修に重点配分して、平成22年度より下流部の護岸工事に着手したいと考えております。
 なお、京奈和自動車道建設に伴う七瀬川への洪水流出の影響につきまして、国のほうから現在、現地調査、排水計画の検討などを行っており、今年度末を目途に調査を終えて、その後調査結果を地元に御説明さしていただきたいというふうに聞いております。
 以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) コスモパーク加太の利活用につきましては、関係部局と連携を密にしながら企業誘致等に取り組んでおるところでありますけども、その重要なツールとしてのパンフレット、資料は、企業など相手方が必要とする情報を的確に提供することが重要であるということは、まことに議員御指摘のとおりでございまして、議員を初め関係各位の御助言をいただきながら、さらなる工夫改良を重ね、より効果的な情報提供ができるように取り組んでまいります。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
 23番井出益弘君。
○井出益弘君 射撃場のことだけちょっと。
 もう一息というか、知事も非常に困ってるかと思うんですけども、スポーツ射撃はもとより、有害鳥獣捕獲や狩猟の練習、研修施設として国内各都道府県の射撃場はすべて国よりの負担金、助成金はなかったことを考えますと、今回の国より約3億円の予算が措置されたのを、先ほどから知事が4つの条件と言われました、その4つの条件の一番難しい市町村が困難とする地元市町村の応分の負担というのを──これはなかなかこの話になると、また私も「ベニスの商人」みたいなことを言われるという。肉切ってもええけど、血を一滴も流すなという話みたいな──今、非常に市町村に応分の負担と言われるのは厳しいんじゃないかと。もうそれで候補地へ来てほしいと思うておる市町村もへたってしまうんじゃないかと。
 それで、私はこれ知事に、こちら側のは要望の立場やからちょっと見解が違うかわからんけど、この3億円というのはもともと国から都道府県には過去においていっこもなかった、射撃場には補助というのはなかったんやから、この3億円、市町村が出したと思ってくれて──これ同じお金なんですから──本当に地元市町村の応分の負担が3億円あったというぐらいに考えていただいて。また、射撃場は有害鳥獣被害が毎年何億円とも和歌山県は出ている県、そしてまた狩猟や有害鳥獣捕獲の出動中の方が重大事故で昨年2人、大変な災害に遭われて、1人は亡くなったと。また、本年も1人、亡くなってないけど重大事故になっております。人間を動物と間違って撃ってしまったというのがもう3つとも。だけど、ほかにも事故がいっぱい出ております。
 ですから、和歌山県は猟友会3000人、奈良県は1000人、そして射撃場がないのが奈良県と和歌山県だけやと言われる中で、和歌山は3000人あるんやから、あるいはまた、6年後、和歌山国体があるということがもうわかっておるんやし、もし中止となれば、私らも射撃もあかんなと思うけど、6年後の和歌山国体を考えるときに、県外の施設を整備して多額な借料、借り賃を払って開催するというようなこと、知事はもう県内でということをやはりかなり積極的にお示ししてくれてるようになったのでありがたいですけど、これ県外でといったら本当に大変なお金の出費になってしまうから、そんな県外でお金を使ってこの射撃場をどうこうというのは国体の開催の意味も問われかねません。ぜひ和歌山県の将来を考えて、この機会、国体が来るあるいはいろんな3億ついたというこの時期に県としても積極的な対応をお願いしたい。これは強く知事にお願いして、私の質問を終わります。
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で井出益弘君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
 議案第155号及び議案第164号から議案第180号までは、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
 次に日程第4、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
 なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、御了承願います。
 お諮りいたします。12月14日及び15日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 御異議なしと認めます。よって、12月14日及び15日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、12月16日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時49分散会

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