平成21年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)
県議会の活動
平成21年12月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
平成21年12月10日(木曜日)
午前10時開議
第1 議案第155号及び議案第164号から議案第180号まで(質疑)
第2 一般質問
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会議に付した事件
第1 議案第155号及び議案第164号から議案第180号まで(質疑)
第2 一般質問
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出席議員(42人)
1番 泉 正徳
2番 山本茂博
3番 前芝雅嗣
4番 浅井修一郎
5番 吉井和視
6番 向井嘉久藏
7番 門 三佐博
8番 町田 亘
9番 服部 一
10番 平木哲朗
11番 花田健吉
12番 須川倍行
13番 大沢広太郎
14番 谷 洋一
15番 平越孝哉
17番 岸本 健
18番 川口文章
19番 尾崎太郎
20番 藤山将材
21番 新島 雄
22番 山下直也
23番 井出益弘
24番 宇治田栄蔵
25番 多田純一
26番 中 拓哉
27番 角田秀樹
29番 山田正彦
30番 坂本 登
31番 尾崎要二
32番 中村裕一
33番 片桐章浩
35番 藤本眞利子
36番 長坂隆司
38番 小川 武
39番 冨安民浩
40番 奥村規子
41番 山下大輔
42番 松坂英樹
43番 藤井健太郎
44番 雑賀光夫
45番 野見山 海
46番 松本貞次
欠席議員(1人)
34番 原 日出夫
〔備考〕
16番 欠員
28番 欠員
37番 欠員
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説明のため出席した者
知事 仁坂吉伸
副知事 下 宏
知事室長 曽根義廣
危機管理監 森 崇
総務部長 宮地俊明
企画部長 前硲健作
環境生活部長 井口悦治
福祉保健部長 北田佳秀
商工観光労働部長 永井慶一
農林水産部長 下林茂文
県土整備部長 茅野牧夫
会計管理者 雑賀忠士
教育委員会委員 須崎恵美
教育長 山口裕市
公安委員会委員長 大岡淳人
警察本部長 永松健次
人事委員会委員長 守屋駿二
代表監査委員 楠本 隆
選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 藁科善崇
次長 東岡誠吾
議事課長 上坊 晃
議事課副課長 土井敏弘
議事課課長補佐兼議事班長
田中健司
議事課主任 中尾祐一
議事課主査 保田良春
議事課主査 瀧川泰治
議事課主査 中村安隆
総務課長 佐本 明
調査課長 中井祥之
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午前10時0分開議
○議長(冨安民浩君) これより本日の会議を開きます。
日程第1、議案第155号及び議案第164号から議案第180号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
36番長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。議長のお許しをちょうだいいたしましたので、以下、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
まず、和歌山県のがん対策についてであります。
去る10月22日、那賀病院で毎月2回行われています那賀いきいきサロンという、がん患者、家族の方と医療スタッフが加わってお互いの不安や悩みを話し合う場を見学に行ってまいりました。医療スタッフの方が事務局長となって、おいしいコーヒーを飲みながら実際に治療を施す医師のバックアップもいただいて、看護師さんのお話と、それに対する患者さんの真剣な質問、そして患者さんも一生懸命勉強された知識を持っていらっしゃって、熱のこもった、でも雰囲気の和やかな交流会でありました。
患者会代表世話人の石井さんも自分の病気体験を生かして、サロンの中で「同じ病気の経験者として心を閉ざしている人にも話をする場所を与えられたら。だれも来ない日があっても続けていく」と、仲間の患者さんにとっても心強いお話をされています。部屋に入り切れないぐらい、15人を超える方が集まっておられました。
そんながんサロン発祥の地である島根県で、去る9月21日、第1回全国がんサロン交流会が開催され、那賀いきいきサロンからも患者さんお2人と事務局長さんが参加されました。ボランティアスタッフを含め、参加総数約800名、島根県外から約250名もの参加があったそうです。
がんは、島根県における死亡原因の第1位となっており、平成17年度から県独自の事業として島根がん対策強化事業に取り組んできました。国において、平成18年6月、がん対策基本法が成立。同年9月に、島根県議会議員全員の提案により、全国初の条例である島根県がん対策推進条例が制定され、平成20年3月には島根県がん対策推進計画が策定されて、がん予防の推進、がん医療水準の向上、患者支援の3つの柱として総合的がん対策に取り組んでいます。島根県がん対策推進計画策定に係る島根県がん対策推進協議会には4人の患者委員がいて、患者の声を計画に反映しています。
患者支援として定期的な意見交換会の開催、サロンのリーダー育成、がん患者塾の開講など、患者の視点に立った施策が充実しています。平成19年にはお茶とかバナナを買うと消費者が募金することになる企業参加のがん対策募金が始まり、2009年9月末現在、約6億4000万円も集まっているそうであります。
がんサロンは、がん患者や家族などの方々が病院の会議室や保健センターなどに集まってお互いの療養体験を語り合ったり、がん医療の最新情報などを学習したりしています。がんサロンの一番のメリットは、患者さんはサロンでの交流で闘病する勇気をもらい、非常に前向きになることだと言います。
現在、県内に22カ所も開設され、だれでも参加できます。教育機関も積極的にかかわり、島根県立短期大学部看護学科では、1年生の授業の一環として学生をがんサロンに行かせています。つらい思いをしているだけでなく、前向きに取り組む患者さんもいることを知って、当事者の力を信じて、その力を生かすために私たち看護者が何ができるか考えるようになっていると平野教授は指摘しています。
島根県のがん対策は、がん患者とその家族、病院、企業、メディア、行政、議会、教育が一体となった七位一体を基本に進められており、まさに全国的に島根モデルとして注目を浴びています。参加した感想として、人間関係がオープンで、仲間同士の助け合いの大切さを実感したし、患者、医療スタッフが同じ目線でサロンに集えており、垣根がなく、みんな同じ方向を向いていると言っておられました。
さて、質問に移りますが、1、平成19年10月、和歌山県立医科大学附属病院に化学療法センターが設置され、本年10月には和歌山県立医科大学附属病院腫瘍センターが設立されたと聞きます。平成20年3月に和歌山県も和歌山県がん対策推進計画が策定されましたが、これをさらに具体的に実践していくために、これまでの県下の各がん手術件数を踏まえて、がん診療に必要な医師や看護師などの医療スタッフの充実が望まれますが、がん診療連携拠点病院の現状はいかがでしょうか。福祉保健部長、お願いいたします。
2点目に、本県においても6つのがん診療連携拠点病院があります。それぞれに専任の相談員を配置した相談支援センターが設置されていると思いますが、どのような利用状況でしょうか。福祉保健部長、お答えください。
3点目に、和歌山県下においても那賀病院以外に患者会ができている病院もあると聞いていますが、がん患者の皆さんがつらくて悲しい思いを前向きな気持ちに変えて、メンバー同士で情報交換をしながら連携して、その中で患者の声を行政や医療関係者へ伝えていき、ひいてはがん対策を大きく変えていく、そんな力ががんサロンにはあると思います。ぜひ各地の患者会をバックアップしていける患者の目線に立ったがん患者支援を行っていただきたいし、がんサロンの普及に力を注いでいただきたいと思いますが、福祉保健部長、いかがでしょうか。
4点目に、がん予防には何より早期検診が望まれますが、和歌山県がん対策推進計画において5年以内の各がん検診の受診率を50%以上にするという目標値が掲げられていますが、それを実現させるためには企業、団体などの職域検診や住民検診を義務化するような手だてが必要ではないかと思いますが、県のお考えを福祉保健部長、お聞かせください。
2点目に、和歌山県の医療についてであります。
去る11月19日、第6回近畿6府県議員交流フォーラムの医療分科会に冨安県議会議長とともに参加させていただきました。地域医療の維持・再生のための方策をテーマに各府県の議員さんの熱心な取り組みぶり、特に救急のたらい回しによる死亡事故があった府県の危機感を持った熱を帯びたお話も聞かせていただきました。
そこで質問ですが、1つ目、近畿の議員交流フォーラムでも問題点として挙げられていましたが、精神科の救急の問題であります。夜間、精神科で対応できる医者が少ないという県もありましたが、以前、平成13年6月議会において私も精神科の医療について、特に県下の精神科救急医療システムについてお尋ねしたところ、医療圏を紀北、紀中、紀南の3ブロックに分けて、紀北では輪番制を設けて対応しているとお答えいただきましたし、紀北ブロックについては、私も男性の看護師と医療スタッフが不足していることを理由に挙げましたが、県立医科大学附属病院も視野に入れて検討してまいると答弁いただいております。最近の本県の精神科救急医療システムが問題なく機能しているかどうか、そして県立医科大学附属病院の精神科の救急患者の受け入れはどんな状況なのか、福祉保健部長にお伺いいたします。
2点目に、総務省のモデル事業で、10月1日から愛知、奈良両県と大阪市において♯7119に固定電話や携帯電話からかけると、看護師や救急救命士らが症状などを尋ねてくれて、より詳しい診断が、必要なときは医師が相談に加わってくれる救急安心センターができました。病気に急いでいく必要があれば、救急車での搬送が必要と教えてくれ、症状が軽くみずから病院に行けると判断されれば、対象となる診療科のある最寄りの病院を紹介してくれます。急を要さない救急車の出動を抑え、救える命をふやすのがねらいです。
センターが病院ごとの受け入れ状況を一元的に管理し、急病人を短時間で運べる利点も期待できます。総務省も、モデル事業で効果や課題を整理し、全国に整えたいとしています。
和歌山県においては、この救急相談♯7119の導入予定はいかがでしょうか。危機管理監にお伺いいたします。
3点目に、和歌山県においては、医療の充実から言えば、当局や県立医大の御尽力で地域による医療格差は改善されてきているとはいえ、厳然として南北格差はあります。全県的に医療レベルを高めていくためにも、技術的にも人的にも地域的な医療格差を解消していくコーディネートを県当局が指導して行っていただきたい。そのために、全県的に卒業生や研修生のネットワークが持てる和歌山県立医科大学の現場の医療状況を熟知している中堅幹部医師を、保健所のみならず、県行政の、例えば福祉保健部の要職に配置して県の医療福祉行政のさらなる充実を図ってみてはどうかと思いますが、いかがですか。知事にお伺いいたします。
3点目に、COP15とサイクリングについてであります。
去る12月7日、デンマーク・コペンハーゲンにて、2013年以降の温暖化対策を決める国連の気候変動枠組み条約第15回締約国会議、COP15が始まりました。先進国全体が2020年までに温室効果ガスを削減する目標や途上国全体の削減割合を定め、2020年までに世界全体の排出量を減少に転じさせることを目指しています。途上国側も、産業革命以降、化石燃料を燃やしてCO2を吐き出し続けた先進国の歴史的責任があるとして反発しており、現行のアメリカを除く先進国のみが削減義務を負う京都議定書にかわる新議定書の採択が困難な状況も見られています。
そんなCOP15に向けて、京都議定書からコペンハーゲン議定書への流れをつくろうとして、ことし5月に全国9カ所で開催されたのが「デンマーク大使と走ろう、エコサイクリング」大会でした。
和歌山県和歌山市も開催場所の1つとして、和歌山城を起点に、県、市町村の協力のもと、215名がサイクリングに参加いただきました。当日は、デンマーク大使や二階前経済産業大臣、鶴保議員とともに仁坂知事も県幹部職員さんと一緒に、和歌山市長と一緒に走っていただきました。
私も実行委員長として当初からかかわりましたが、CO2削減には自動車のかわりに環境に優しい自転車に乗って、同時に観光アピールも行おうということで市内3コースを設定して1人平均約34キロ走りました。自動車1台当たり1キロにつき約230グラムのCO2を排出、自転車だと1キロにつき約0.7グラムの排出という基準で計算いたしますと、和歌山大会においては、走行距離合計が7262キロ、CO2排出の削減が1670キロという結果が出たわけであります。
そこで質問ですが、1つ目、エコサイクリング大会当日、仁坂知事よりデンマーク首相あてにCOP15会議開催に当たって、デンマーク大使にメッセージを伝達いただきました。今、COP15が開催されておりますが、仁坂知事の和歌山県の環境を守っていこうという強い思いを改めてお聞かせください。
2点目に、平成19年11月10日と11日に和歌山市の片男波と和歌山城を起点に全国サイクリング大会を開催させていただきましたが、これに前後して国交省、和歌山県には、これを契機に紀の川河川敷、沿道を中心にサイクリングロードの整備に大きな御尽力をいただいております。今、和歌山県サイクリング協会ではサイクリングマップを考えております。エコ、観光、そして健康をアピールするサイクリングの振興に寄与できればというものであります。
最近、国交省の和歌山河川国道事務所で紀の川堤防道路現況図というのをつくっていただいております。(資料提示)これ、ちょっとぱーっと伸ばし切れないんですけど、和歌山港から、この紀の川大橋からサイクリングロードに入るわけですね。ここからずうっとサイクリングロードが整備されておりまして、小豆島からもう少し行くと西田井、そこでちょん切れておりまして、ここから県道のほうへ上っていかざるを得ません。そして、今現在、国交省和歌山河川国道事務所でこの和歌山市小豆島から岩出市の大宮緑地公園までのサイクリングに利用できる河川敷道路、そして紀の川市の名手川──ここからずっと行くんですね──この春日川も、いわで御殿のところをちょっと県に整備いただいたことがあります。
ずうっと紀の川、これ、岩出市から紀の川市へ走る。これは北岸も南岸もいろいろバリエーションを楽しんでいただくわけであります。そして、名手川というのが旧那賀町にありますが、ここの河口の東側から妹背橋ですね──ここですかね──ここまでの堤防道路の整備も国交省のほうで御検討いただいております。一部県の区間も御検討いただいてるわけであります。
そして、これが背ノ山から──これはちょっと自分でつくったんですけど──かつらぎ町のほう、これ、ずうっと河川敷ですね。そして、河川敷のほう、小さな川の周囲も県にも御配慮いただこうとしてるんですが、そこからこのかつらぎ町の三谷橋を渡って九度山のほうへ地道を走らせると。そして、慈尊院へ到達するという格好になっております。
那賀高校生徒のマラソンコースとして、折り返しでフルマラソンのコースもとれますし、岩出市方面からの通勤にも好都合だという御意見も多いと聞いております。
また、紀の川市農地課のほうでは、青洲の里からかつらぎ町との市境までの遊歩道工事にことし10月から取りかかっていただいております。紀の川支川部の県管理区間につきましても、御配慮いただいております。
和歌山市から世界遺産の高野の玄関口である九度山町の慈尊院までつながれば、まさに和歌山市から高野の世界遺産へ通じるサイクリングロードができます。その後、エコへつなげるためにJR西日本にお願いをしまして、和歌山市から橋本市まで土日に臨時に一部車両のスペースを提供いただいてサイクルトレインを走らせていただいて、帰りは自転車で帰ってこられる取り組みが実現できればCO2削減に寄与できるのではないでしょうか。
紀の川の支流貴志川の土手は、サイクリングにぴったりの道路が続いております。また、貴志川線の伊太祁曽駅では、この秋からたま自転車としてレンタサイクルを開始して、大池遊園駅から甘露寺前駅近くの平池緑地公園の快適な田園風景を通り抜けて、終点の貴志駅は猫のたま駅長をあしらったデザインに変貌していくようであります。
ぜひ県当局におかれましては、和歌山県の持つ魅力のアピールのためにも、和歌山市から高野の世界遺産につながる紀の川沿線のサイクリングロード整備に、国を初め関係市町とともに取り組んでいただきたいと思いますが、知事、いかがですか。
4点目に、南海電鉄和大新駅(仮称)についてであります。
1番目、平成26年には6500世帯、約3万人の人口を構想している和大学園前ふじと台でありますが、和歌山市中地区で進められています1日の乗降客数約6000人が見込まれるという和大新駅(仮称)の完成が待たれます。和大新駅の建設工事は、2007年7月に着工、総事業費約33億円をかけて、完成は平成23年度とお聞きしておりますが、現在の進捗状況を教えてください。企画部長にお伺いいたします。
2点目に、私はバス乗り場が自宅のごく近くにありますんで、関空からの飛行機利用の出張にはリムジンバスをよく利用させていただきますが、どの時間帯も結構たくさんの関空利用の乗客がいらっしゃいます。南海電鉄を利用しますと、現在は泉佐野駅での乗り継ぎが必要で、乗りかえ時間の御配慮は十分いただいておるのですが、この和大新駅完成を目途に、時間帯によっては和歌山市駅から直接関西国際空港へ乗り入れできるように直行列車も走らせていただけますよう、南海電鉄のほうへぜひ申し入れを行っていただきたいと思いますが、企画部長、いかがですか。
5点目に、科学技術振興機構(JST)の地域産学官共同研究拠点整備事業についてであります。
国の平成21年度補正予算で、文部科学省から独立行政法人科学技術振興機構(JST)へ695億円の補助金を出して、各都道府県に地域産学官共同研究拠点を整備し、産学官連携の総合的な取り組みを加速することにより地域の特性を生かした産学官共同研究を推進するとともに、研究成果の地域企業への展開を図ろうと、具体的には地域ニーズに合った共同研究や企業の施設、機器・装置の計画に対し、1件5億から30億円のJST施設整備補助金の支援を行うものでした。
本県も和歌山県産学官共同研究プロジェクト推進センター(仮称)整備構想を立て、JSTのほうへ8月以降申請、ヒアリングを重ねていたところ、政権が交代して695億円の予算が263億円程度に減らされ、施設はだめ、地域にシーズのある共同研究に資する機器・装置の計画に対する補助に限定し、都道府県も絞られるという方針変更を行いました。
県当局も県内3大学等関係機関との協議を重ねた上、12月初め、最終要望案をまとめてJSTへ提出したものの、今回選に漏れたことをお伺いいたしました。和歌山県もJSTと鋭意折衝いただいたと思いますが、せっかく本県の科学技術振興を図るために県新技術創出推進条例も9月議会で成立、そして地域にシーズのある全国有数の農産物資源を活用した食品加工などの研究開発のさらなる充実を私も楽しみにしておりましたが、まことに残念でなりません。
そこで質問ですが、1つ目、今回なぜ和歌山県はJST資金獲得に失敗したのか、反省と検証は必要だろうと思います。最終的にどんなテーマ、戦略のもとに要望書を出したのでしょうか。あれもこれもと多岐にわたり過ぎてテーマが絞り切れなかったのではないですか。本県の持つ地域資源やポテンシャルを生かして、地域振興を図れる絶好のチャンスであったのです。ぜひ猛省いただいて、今後の教訓を引き出していただきたいものであります。強く要望させていただきます。
2点目に、行政刷新会議の事業仕分けで、和歌山県において現在進行中の文部科学省の都市エリア産学官連携促進事業も廃止ということになってしまうそうですが、せっかくこの1年間、大学、企業などの協力も得て進めてきた研究事業であります。県におかれましては、この研究の中から実を結びそうなものだけでも選んで継続的な研究を行っていただきたいと思いますが、知事、いかがでしょうか。
以上5点、第1回目の質問を終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、県当局と県立医科大学の交流についてでございます。
県民の健康と生命を守ることは県政の重要な役割であると認識しており、県立医科大学の関係者とは平素から医療現場や医学研究の実情を踏まえた情報交換や協議の機会を十分に確保し、県立医科大学の医療体制のさらなる向上と県の保健医療行政の適切な推進に向けてお互いに大いに協力しているところでございます。
私自身に関しても、多分歴代の知事の中では一番、医科大学の幹部──学長以下としょっちゅう情報交換をして協力していただいているということかなというふうには思います。
特に医師確保とか救急医療とかがん対策などの現に直面している重要課題には、県行政と県立医科大学が一体となって取り組んでいるところであります。
御提案の人事交流については、私はいいアイデアだと思いますが、一方で医師自身が深刻な医師不足下で、そういう中で医師を抜けるかという議論もあります。それから、そもそも行政官をやりたいか、あるいはやることができるか、つまりそういう能力が割合向いてるか、そういう問題もありまして、これは検討課題とさしていただきたいと思います。
いずれにしても、御趣旨を呈して、県立医科大学との連携を積極的に進めてまいりたいと考えております。
次にCOP15についてでございますが、これは、将来の世代によりよい環境を引き継ぐべき理想と経済発展を阻害できないという現実のはざまで各国の思惑が交錯し、難航する交渉を目の当たりにして、この問題の難しさを改めて感じております。ただ、地球温暖化対策というのは人類共通の危機管理でありますので、すべての方がこれに対して力を合わせるべきだというふうに思います。
これからの道のりは決してたやすいものではありませんけれども、よりよい地球環境を未来の子供たちに残すために、本県においても、世界が皆そうでありますが、その自然的・社会的条件を踏まえた地球温暖化対策を推し進める必要があると思います。
このため、今後加速化する国の温暖化対策と一体となって、県内各層における省エネルギー対策や太陽光発電など再生可能エネルギー導入、本県の特性を生かした森林整備による二酸化炭素吸収源対策等を積極的に推進してまいりたいと考えております。これが、エコサイクリング大会で、御指摘のようにデンマーク大使に示した環境と経済が両立した持続可能な低炭素社会の構築という提言、宣言といいますか、それに対する我々の努力になるんじゃないかと思います。できるところは、県を挙げて、すなわち県民が皆協力して積極的に取り組んでいくべきだと思いますし、そのように努力したいと思っております。
次に、サイクリングロードでございます。
近年、健康志向やエコに対する関心が高まっていることから、環境に優しく身近な交通手段である自転車に注目が集まっております。
自転車の利用は、県民の健康増進やCO2の削減にもちろん資するわけでありますが、地域の新たな観光振興のツールとして活用が見込まれるために、県といたしましては自転車の利用促進に努めてまいりたいと思います。
特に最後の観光という面は、これは和歌山にとってはかなりいい玉になるのではないかというふうに思っておりまして、議員御要望の紀の川沿線のサイクリングロード整備につきましては、実は私も内部で検討を命じていたところであります。その結果、ちょっと申し上げますと、御指摘のように既に使える部分がかなりあると同時に、沿線の既存道路の整備状況とか、あるいは実は一部地形がありまして、こういうところで難しいところもあるということもわかっております。本日の御議論をもとに、一層検討に拍車をかけてまいりたいと考えております。
次に、科学技術振興機構のいろいろな振興策であります。
実は、残念ながら、御指摘のように、もともと施設をつくってあげるという不況対策で始まった議論が、新政権になりまして、科学技術の振興のソフト振興になりました。これで、我々はもともと別に施設が要るわけではなかったので、ちょうどこれから和歌山を伸ばしていく、そういう芽をアピールして、それで施設はあちこちに分散さして研究の強化と産業の振興というのに結びつけていこうとして全力を挙げて申請をしたのですが、残念ながら選に漏れた、あるいは漏れる予定であります。発表がされてない可能性がありますので、そう申し上げます。
いろいろ聞いておりますと、つらいところは、もともとすぐれているものは科学技術の見地から選考に入りやすい。ところが、これから和歌山のようにやろうぞと言って、今戦略を立てて大いに頑張って、まだレベルは大したことないというところはレベルが低いということでなかなか受からない。次に出てまいります都市エリア産学官連携促進事業の問題についてもそうでございますが、これについても、地域において技術開発をするということについては、そもそも要らないというのが行政仕分けと。新政権の決定ではまだありませんが、行政仕分けの精神ではあったかなと思います。科学技術になると、常にレベルが一番高いところにしかお金をつけないということであったとすると、本県のようなこれから技術をもとにして地域をおこしていこうというようなことを戦略にしているところは物すごくつらいということであります。
これは本県だけではなくて、実は知事会の共通の危機感になっております。去る11月30日、32道府県の知事と行動を一にいたしまして、地域科学技術振興・産学官連携事業につきまして、次年度以降も事業を継続するように文部科学省に要望するとともに、我々の共通の共同声明を発表したところでございます。
御指摘のように、「和歌山の特産果実と独自技術を活用した新機能食品・素材の開発」というのは、必死で努力した結果、平成23年までの3年間にわたり認めると。これでもって、農林水産業はもちろん、その周辺にいる食品加工業とか創薬をつくる企業とか、そういうのをできるだけ活性化さしていこうというようなことをもくろんでおったんですが、これがちょっと危機に瀕しております。
今後とも文部科学省の動きも注意深く見守る、それから政府全体にこういう政策を切ってしまうというのはやめてもらえないかというようなことをぜひ言っていきたいと思います。議員諸公におかれましては、ぜひ御協力くださいますようにお願い申し上げます。
○議長(冨安民浩君) 福祉保健部長北田佳秀君。
〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 和歌山県のがん対策についての4点にお答えいたします。
まず、がん診療連携拠点病院の現状についてでございますが、県内のがん拠点病院6病院における手術件数は年間約4800件となっております。手術はもとより、放射線療法や化学療法を効果的に組み合わせた集学的治療や緩和ケアの提供を行うため、専門的な知識及び技能を有する医師等の育成・確保に努めているところです。
また、地域におけるがん診療に従事する医師、看護師等を対象とした研修会なども実施し、がん医療に係る人材育成の拠点としての役割も果たしているところです。特に県立医科大学附属病院では多くの職種を確保して、組織横断的なチーム医療を基本とした先進的かつ集学的ながん診療を行うための腫瘍センターがこのたび設置されたところであり、質の高い高度な医療の提供が期待されております。
今後とも、がん拠点病院における医療従事者の育成・確保を積極的に支援し、すべての県民が質の高いがん診療を受けることができる連携体制の整備を進めてまいります。
次に、がん診療連携拠点病院の相談支援センターについてでございます。
県内のがん拠点病院6病院では、専任の相談員を有する相談支援センターを設置しておりまして、患者、家族の療養上の相談に応じるとともに、適切な助言を行っているところです。相談件数は年間約1800件となっており、療養上の相談以外にも、がんの予防、早期発見等に関する一般的な情報や診療機能、入院、外来の待ち時間情報などを必要に応じ提供しているところです。
次に、がんサロンの普及についてでございます。
議員御指摘のとおり、患者の目線に立ったがん患者支援は非常に重要であると認識しております。現在、公立那賀病院を初めとする県内の各がん拠点病院では、患者相互の相談や交流活動に取り組んでいるがん患者団体との連携や協力が進められております。
県といたしましては、各がん拠点病院を中心として、これらの患者団体の活動の輪が広がり、また、がん患者及びその家族が心の悩みや体験等を語り合うがんサロンが普及・定着していくよう支援してまいります。
最後に、がん検診についてでございます。
がんにつきましては、早期発見、早期治療が重要であり、5年以内にがん検診受診率を50%以上にするという目標達成に向けましては、さらなる環境整備が必要であると認識しております。このため、市町村のがん検診体制の充実に向けた所要財源のより一層の充実・拡充及び市町村または医療保険者におけるがん検診実施を法により義務化するということなどにつきましても、国に対し要望してきているところです。
今後とも、がん検診体制の充実に向け、必要に応じ国に対して要望するなど、積極的に取り組んでまいります。
続きまして、和歌山県の精神科救急医療についてお答え申し上げます。
本県では、精神科医療機関が休日・夜間に診療時間を設けていないため、その時間帯における精神疾患の発症・再発に対し、緊急に診察、入院等の医療が必要な場合に対応できる体制を県内3ブロックに分けて整備しております。紀中ブロックは県立こころの医療センター、紀南ブロックは紀南こころの医療センターをそれぞれ基幹病院に指定し、また紀北ブロックにつきましては民間の精神科5病院の輪番制による救急患者の受け入れ体制をとっており、これまで円滑に機能しております。
また、議員御指摘の県立医科大学附属病院の精神科の救急患者につきましては、支援病院として、他の病院では対応できない身体合併症を有する精神疾患患者について、年間約800人の患者を受け入れております。
以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 危機管理監森 崇君。
〔森 崇君、登壇〕
○危機管理監(森 崇君) 救急相談♯7119の導入についてお答えいたします。
この救急相談♯7119は、急を要さない救急自動車の出動を抑え、真に緊急を要する方の要請にこたえることが主なねらいとなっておりまして、出動件数が増加傾向にある救急自動車の適正利用の観点からも有用な仕組みの1つと考えております。しかしながら、その導入につきましては、相談窓口と指令センターとの連携、医師や看護師の確保、また既に実施されている相談窓口との連携などの点において課題もございます。
そうしたことから、本年度から実施されております総務省の救急安心センターモデル事業の効果分析や検証結果などを踏まえ、関係機関と相談しながら検討してまいりたいと考えております。
○議長(冨安民浩君) 企画部長前硲健作君。
〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) 南海電鉄の仮称・和大新駅についての御質問にお答えいたします。
まず、和大新駅建設工事の進捗状況についてでございますけれども、この工事は平成19年7月に工期約5年の計画で着工しまして、現在3年目でございます。これまでに大規模な土木工事はほぼ終了しまして、現在は線路の工事や駅舎の工事に取り組んでいるところでございます。工事は平成23年度末に完成し、平成24年春には駅開業の予定で進んでおりまして、本年11月末の進捗状況はおよそ46%ということになっております。
次に、南海電鉄の関空への直通列車ということでございますが、これまで県議会の皆様方の御協力をいただきながら利便性の向上などを南海電鉄に対し要望してまいりました。その結果、泉佐野駅における連続立体交差事業の完成によりまして、平成17年11月27日のダイヤからは空港線の運転本数の増加とともに、一部の列車を除きまして、同一ホームでのスムーズな乗りかえが可能となっております。
さらに、本年10月4日からのダイヤ改正によりまして、特急「サザン」を平日、土・休日とも32本に増発したことに伴いまして、おおむね30分間隔で運行されるなど、利便性が向上しているところでございます。
このように、こちらの要望を受けて南海電鉄側もいろいろと努力をしてくれているわけでありますけれども、関空への直通列車ということになりますと、莫大な投資を伴う工事を必要とするため、正直なところは現状では難しいと思われますが、御提案の趣旨を南海電鉄にお伝えしまして、引き続き利便性の向上に向けた努力を求めてまいりたいと存じます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
36番長坂隆司君。
○長坂隆司君 御答弁いただきました。
まず、がん対策についてでありますが、現在、本県でもそれぞれのがんに分かれて部会の中で検討が続けられているそうですが、現実にそれぞれのがん死亡率が減少するよう、例えばがん検診についても、頻度の多いがん種についてそれぞれの検診の具体的なアクションをお示しいただくような実効的ながん対策を進めていただきたいと思います。
また、県として放射線治療医とか腫瘍内科医とか、また病理医などの育成について数値目標を持っていただいてもいいんじゃないかなと思います。
「病は気から」と申しますが、お互いに助け合い、励まし合って精神的な支えとなるがんサロンの存在は、これ、大変意義深いものであります。実際、島根県での実践は参考になると思います。本県においても患者支援ということに一層取り組んでいただきますよう、よろしくお願いいたします。
次に、県当局への医大の医師を派遣することにつきましては、他府県においても前例はあるんじゃないかなと思うんです。それと、医療の現場を知っていて、しかも県民医療全体を見通していただくべき県立医科大学附属病院の医師が県行政組織の中で汗をかいて御活躍いただくことは、その医療とも関係する福祉も学んでいただいて、それをまた医大へ持って帰っていただいて役に立てていただくとか、県、医大ともに新鮮なよい刺激も効果も生み出すものと思うからであります。
事務的なハードル、本当にいろいろあると思いますけど、ぜひ御一考いただきたいと思います。
COP15につきましては、和歌山県は森林王国、それこそCO2の排出権で商売できるような県であります。県外、国外に向けた環境への取り組みのアピールを積極的に行うその1つのツールとしてサイクリングをさらに振興することは、CO2削減にも大変効果的だと思います。その意味でもサイクリングへのさらなる御理解、御支援をよろしくお願いいたします。
それと、JST事業でありますが、和歌山県の要望が選に漏れたこと、それも近畿で1県だけ落とされたというようなことが今回実に残念で、自分自身、腹立たしくもあるわけであります。この近畿6府県でバイオの取り組みが唯一おくれた県でもありまして、それなら和歌山県の持つこの全国有数の農産物資源、特に果実を活用してアグリバイオを振興していくと。これはもう和歌山県にとりまして、まさに今後の飛躍の命運を握ってるのではないかと思っております。ぜひ今回の失敗を厳しく検証していただいて、立ちおくれている本県の科学技術振興に戦略を立てていただいて取り組んでいただきたいかなと思います。あと、また経済警察委員会のほうで質問さしていただきます。
以上、要望さしていただいて、私の質問を終わります。
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
11番花田健吉君。
〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 ただいま議長のお許しを得ましたので、一般質問をさせていただきます。
新政権が発足して、はや3カ月が過ぎました。政権与党の民主党は、衆議院議員総選挙の際、マニフェストを掲げ国民の皆さんといろいろ契約されましたが、その契約がどのように履行されるのか、大変注目しているところであります。
まず、「コンクリートから人」へを合い言葉に地方の声を全く無視し、御坊─田辺間の高速道路4車線化の予算凍結や全国の143カ所のダム建設の一方的な計画の見直し、さらにガソリン税の暫定税率の廃止による地方の道路整備等の公共事業の削減を行うなど、世界不況からようやく立ち直りの兆しの見えた地方経済の回復に大きな打撃を与えるのではと大変危惧をいたしております。
次に、外交・防衛問題に目をやりますと、日米安保条約の根幹にかかわる沖縄の米軍基地の移設問題に対する政府の決断の先送りが、日米の信頼関係に大きな影を落とそうとしています。さらに、世界の各国から大変歓迎されていたソマリア沖の自衛隊による給油支援を法律の期限が切れる来年1月で廃止することが決まり、我が国の国際貢献に対する世界の評価が大きく揺らぐと同時に、日本の貨物船の安全運航の確保も極めて不確かな状況に置かれます。
自衛隊にかわり、政府は誘拐やテロ多発地帯のアフガニスタン、パキスタンへ民間組織を派遣しようとしております。さらに、湾岸戦争時に小切手外交とやゆされたときと同じように、4500億もの巨費を投じることにより各国の非難をかわそうとしております。
また、国家の根幹にかかわる教育関係では、全国学力試験の変更や教員免許更新制度の廃止など教育制度を見直す等、日教組の主張に同調する政策転換がなされました。政府・与党の民主党や社民党が国旗や国歌について明確な立場をとってない中、卒業式や入学式が行われる学校現場で混乱しないよう、改めて強く対応を求めるものであります。
そして、このたびの総選挙で国民から最も注目を浴び、自民党が惨敗した大きな要因となった私たちの生活に直結する子育て支援、高速道路の無料化、ガソリン税の暫定税率の廃止、後期高齢者医療負担の撤廃、高校授業料の無償化、農業所得保障、そして最低賃金を1000円に引き上げる等、公約は履行されるのか注目しなくてはなりません。
これらの多くの事業を行うとなれば、当然多額の予算が必要となります。当初、無駄な事業を見直し、霞ケ関の埋蔵金を掘り出すと大変な勢いでしたが、マニフェストを実現しようと思えば来年度概算要求が95兆円にも膨らみ、ことしの税収が37兆円を切る見通しからすると、事業仕分けによる事業費を削減しても厳しい予算編成になると考えます。
自公政権を批判し、赤字国債はこれ以上発行しないと公約したのですから、未来の子供たちにツケを回すことのないようにマニフェストを実行していただきたいと思います。
しかし、政府の事業仕分けチームが、「無駄だ。無駄だ」と声を荒げる姿が連日テレビで放映されていましたが、無駄と言われ削減される事業の中には、地方の経済や地方に住む人々の生活に大きな影響を及ぼす事業も数多く含まれ、知事初め、経済界、医師会、ノーベル賞受賞者やオリンピック選手に至るまで、不安と不満の声が出ております。
また、最近、新政権は、財源確保が困難になると、マニフェストには掲載していなかった環境税の導入や、たばこ税の大幅増税を検討する案まで飛び出しました。もし仮に環境税が導入されれば、暫定税率の廃止と相殺されるにとどまらず、車を持たない方や寒冷地にお住まいの方にとっては増税になります。
また、たばこ税の増税は、健康促進というもっともらしい理屈を振りかざし、選挙公約の財政支出の帳尻合わせを喫煙者に負担させようとしております。
現政権は、本当に経済や国民の生活が見えているのか。特に地方の経済や生活の現状を知っているのでしょうか。政権保持のためだけのパフォーマンスをしてるのではないかと疑いたくなります。
和歌山県のような公共事業が及ぼす経済的影響力の高い地方の経済にとって、公共事業の削減はあらゆる産業に波及し、県経済に壊滅的打撃を与え、地域社会にも悪影響を及ぼし、雇用不安を招き、地方の消費力を衰退させ負の連鎖を引き起こし、さらなる消費の低下を招く、まさに地方経済はデフレスパイラルに入ろうとしております。いや、もう既に入っているのかもしれません。
ある建設会社では、今後仕事が少なくなるので、2割社員を削減するか、2割給料を減らすか、社員の皆さんに相談したそうであります。社員の皆さんは、それぞれの家庭にはそれぞれの生活があるのだから2割給料カットのほうがいいと話し合ったそうであります。紀南地方の建設業界は若い子育て世帯が多く働いておられ、失業することはもちろんのこと、給料の2割カットは20万円の給料であれば4万円減るということで、子育て支援2万6000円をもらってもマイナスになってしまうと言っておられました。
失礼ながら、勤務先が安定した都会の大企業の社員や公務員の方々は、子育て支援や高校授業料無償化、高速道路無料化、ガソリン税の暫定税率の廃止等公約が実行されれば、実質家庭の収入がふえるわけでありますが、反面、地方の経済や中小企業、そして地方の生活は冷え込む一方であります。師走を迎え、大変冷たい年越しになるのではと心配をしております。
そこで、知事に幾つか質問をさせていただきます。
1番目に、高速道路の4車線化の凍結についてお考えをお聞かせください。
交通渋滞の解消はもとより、記憶に新しい近畿大学の学生が1度に数人もお亡くなりになった対向車との正面衝突事故は、私たちに大きな衝撃を与えました。対向車線から突っ込んでくる防ぐことのできない車の恐怖はだれもが感じているところであり、この危険性を政治家が放置し続けることは許されません。4車線化が決定していた御坊─田辺間で今後正面衝突によってとうとい命が失われたとき、4車線化を凍結した民主党はどんな責任を負うのでしょうか。また、言い尽くされていますが、高速道路は、病気のとき、緊急搬送により命を守る道であり、また生活を支える産業の道であり、観光の道であり、さらに災害時の救急物資等の搬入に大変重要な道路であり、その4車線化は必要不可欠でありますが、残念ながら、民主党政権によって凍結されてしまいました。
知事も、先般、政府に対し4車線化の凍結解除を強く談判していただいておりますが、改めて今後の対応と決意をお聞かせください。
また、藤井財務大臣は、揮発油税と地方揮発油税に上乗せしている暫定税率を来年4月1日から廃止すると表明されました。実現すれば25円余りガソリンが安くなるのですが、その反面、地方の道路財源の予算が大幅に削減され、私たちの生活道路の整備が大きくおくれ、さらに建設そのものが困難な状況になるのではないかと心配をしております。
そこで、県土整備部長にお伺いをいたします。
我が県の財政も大変厳しいわけですが、全国レベルよりかなりおくれている道路整備の現状をかんがみ、今後道路整備をどのように進めていくのですか。また、公共事業の急激な減少に伴う建設業界に対してどのような施策が可能なのか、お考えをお聞かせください。
このまま公共事業が大幅に削減されますと、建設業を営む会社が次々と廃業、倒産することも当然予想されるわけでありますが、そうした最悪の状態が起こった場合、そこで働く従業員の皆さんや関連企業の連鎖倒産等により離職された方々の再就職について、今から万全の対策を整えておかなくてはならないと考えますが、商工観光労働部長の御所見をお伺いいたします。
また、本則である揮発油税や地方揮発油税、合わせて一般にはガソリン税と呼ばれておりますが、この税金が廃止になるわけではありません。一般財源化してしまったとはいえ、地方に住む私たちは、都会に住む人より3.6倍もガソリンを消費し、過去も、そしてこれからもガソリン税は払い続けるのですから、当然、地方道路の整備をしてもらう権利は我々にあると思います。今後、政府に対し、地方の道路整備の正当性と必要性を強く訴えていかなければならないと思いますが、知事の御決意をお伺いいたします。
次に、高速道路無料化についてお伺いいたします。
民主党のマニフェストには、全国すべての高速道路を無料化すると書かれていました。しかし、このたび、政府は一律に無料化しない場合もあると言い出しました。報道によると、諸説入り乱れておりますが、渋滞路線はさらなる渋滞を呼ぶので見送るとか、最近は本州を除く北海道や九州を無料化にするとの案が出ました。また、先般、前原国土交通大臣は、本州でも一部無料化も検討するというような新聞報道もなされております。
以上のようなことが本当に行われれば、本県にとって大変なことが予想されます。まず、我が県と競合関係にある近畿の観光、温泉地との交通費の格差が生じるかもしれません。阪和道路は、西日本屈指の渋滞箇所を幾つも抱えているからであります。これは我が県の中でありますが。阪和道路は、近隣の観光地を結ぶ高速道路が無料化され、本県の阪和道路が無料化されなかった場合、白浜や勝浦等の観光地への誘客に対する影響は甚大であると考えます。また、北海道や九州だけが無料化されても、少なからず影響があると考えられます。
高速道路が土日1000円になったとき、南海フェリーの利用者が半減したときと同じように、和歌山県へお越しいただく観光客が減ることが予想されます。もし高速道路が国内で有料地域と無料地域ができれば、それでなくても厳しい地域間競争を強いられている県内観光地のホテルや土産物の販売店や飲食業はもとより、あらゆる関連業界にも影響が出ます。特に輸送コストにおいて大きなハンディを負うことになるトラック業界等に及ぼす経済的打撃は、はかり知れないと思います。
無料化されるのなら全国一律、一斉でなければ正当な地域間の競争原理を著しく阻害し、企業にとっても利用者である一般国民にとっても不平等、不公平でありますし、そんな状況を政府が施策によってつくることは許されません。
私は、和歌山県のように高速道路の未整備による経済的格差が生じている地域には、格差解消のため一刻も早く高速道路建設は必要であると考えますし、また多くの有識者が唱えているように、無料化は大渋滞によりCO2の排出量の増加につながり、地球温暖化にも影響を与え、さらには利用者の不便や不利益を考えると、無料化は基本的に絶対反対であります。
しかし、今後、政府が高速道路無料化の議論を本格的に始めたとき、反対だからといって放置しておくことはできません。我々は、観光地や地場産業を守るため、阪和道路の無料化を強く要望しなければならないと考えます。今後、知事は政府の高速道路無料化の議論を注意深く見守り、県内企業や県民が不平等、不公平にならないよう迅速に厳しく対処していただきたいと思いますが、知事のお考えをお聞かせください。
次に、私の地元の切目川ダムの建設についてお尋ねをいたします。
現在、切目川ダムは、国道425号の道路のつけかえも順調に進捗し、ことしはダム予定地の上流に仮排水のトンネル工事が発注されると聞いております。最近多発する集中豪雨や大型台風が切目川流域を襲うことを想像すると、町民の生命と財産を守るため、一刻の猶予も許されないと考えます。
しかし、前原国土交通大臣は、全国143の国直轄ダムや補助ダムの中止や見直しを表明されました。前原大臣は、ダムを中心とする河川整備をリセットし、日本人がこれから持続可能な生活をしていくために河川整備がどうあるべきなのかを根本的に考え直すと表明されておられます。民主党のマニフェストでも、ダム建設をやめて、森林の整備や護岸の整備で保水や土砂流出防止機能を高める緑のダム構想を掲げています。
間伐促進による森林整備や環境に優しい自然と調和した多自然型河川整備は、随分前から積極的に取り組んでおりました。
かつて昭和20年、30年代、まだ全国的にダムや護岸整備、治山・治水対策が十分行われていなかったころ、日本に大型台風が来ると「一吹き1000人」と言われた時代もありました。一吹き1000人とは、室戸台風や伊勢湾台風のときに1000人以上の方々がお亡くなりになったからであります。現在でも、中国や東南アジアに台風が直撃すると1000人、2000人単位の犠牲者が出ています。しかし、現在の日本では、過去最大級の台風や集中豪雨が来ても犠牲者が数人、多くて十数人と格段に少なくなりました。
しかし、ことし8月に兵庫県佐用町が台風9号による豪雨で18人の死者と2人の行方不明者を出しました。亡くなられたほとんどの方が堤防決壊により濁流が自宅や車をのみ込み、水死したのでありました。心から御冥福をお祈りいたします。
しかし、全国的に見ますと水害による被害が大きく減少しているのは間違いなく、全国の河川にダムをつくり、護岸を整備し、治山・治水対策をしてきた結果であり、その効果を疑う余地はありません。
私のふるさと美山にも椿山ダムが昭和63年に完成しましたが、それまでは台風が来るたびに流域で道路や畑が洪水で流され、被害を受けていました。
小学校のころ、日高川にかかる地元の橋が台風による増水で流されました。新しい橋が完成するまで渡し船で川を往来し、不便な生活をしていました。しかし、椿山ダム完成後、下流ではそのような被害にほとんど遭っていません。
水質保全や動植物の生態やその他の環境にも配慮しなくてはなりませんが、現在政府が行おうとしているダムの建設の議論は廃止、見直しありきで拙速過ぎると思います。大型台風や集中豪雨のときの洪水の脅威や恐怖を全く経験してない、まさしく今あるダムに守られた生活の中で暮らしている方々の議論であります。また、逆に、雨が降らない渇水期の水不足による農業用水や生活水に及ぼす影響も忘れてはなりません。
過去、私たちの先人が苦労して災害から国民の生命と財産を守るため努力してきたことを何の検証も議論もせずに、前原大臣は、「ダムは無駄」「公共工事は不必要」の一言で切り捨てようとしています。切目川ダムについても当然予算的な影響が出ると考えられますが、もし補助金が凍結されたり補助率が下げられたりした場合でも切目川ダムは県が責任を持って完成していただけるのですか。県土整備部長にお伺いをいたします。
また、ダム完成予定年度は平成26年度と伺っています。ダムの完成が予算の削減により大幅におくれ、その後大型台風や集中豪雨による大洪水が起こり、とうとい命や財産が犠牲になった場合、住民感情として単なる自然災害の一言では片づけられないと思います。
切目川ダムは、流域の住民の生命と財産を守るため幾多の困難を乗り越え、地元住民の皆さんの深い御理解のもとようやく着工し、水没する住民の方々も住みなれたふるさとを離れ、すべて立ち退かれました。もしダム建設が中止や大幅に完成がおくれた場合、その後の大水害に対し、地域住民は損害賠償責任を追及するかもしれません。もう自然災害とは言えなくなるのですから。
政治は、県民の生命と財産を守るのが究極の目的だと考えますが、切目川ダムの完成に向けて知事のお考えをお聞かせください。
次に、障害者年金の支給を受けている母子家庭では児童扶養手当がもらえないということについてお伺いをいたします。
児童扶養手当は、離婚や死別により父親と生計が別々になっている子供について、18歳になった年度末までその子を養育する世帯に所得に応じて月額4万1720円まで支給されます。ところが、母子家庭の母親が不慮の事故や病気により障害年金の受給者になると、児童扶養手当と障害基礎年金の併給は認められないということで、障害基礎年金の子供加算に変更されます。これは一律月額1万8991円になります。
例を挙げると、健常者の母子家庭のお母さんが働いて月収10万円あった場合、児童扶養手当、月分4万1720円の支給になるので、14万1720円の家庭内収入があります。このお母さんがある日、交通事故で1級身体障害者になり働くことができなくなり、障害基礎年金受給者になると、障害年金が月額8万2508円支給されますが、自動的に児童扶養手当は打ち切られ、かわりに障害年金の子供加算として月額1万8991円の支給になり、家庭内の収入は10万1499円となってしまいます。
厚生労働省の見解は、昭和60年の法改正により、母子福祉年金の補完制度から母子家庭の生活の安定と自立の促進を通じて児童の健全育成を図ることを目的とする社会福祉制度に改められましたが、依然として年金の補完制度として取り扱われているので、社会保障の二重給付を禁止している法律のため支給できないとのことであります。それでも親子2人が年収121万8000円で十分に生活できるのであれば問題はありませんが、障害者になってしまうと病院に通う交通費やその他の経費が必要となり、元気な人以上に出費もかさみ決して楽な暮らしとは言えません。また、障害者の方が子供を出産した場合も同様であり、母子家庭になっても児童扶養手当は支給されていません。
そこで、ことし、和歌山市はこのたび差額分を市が支給することになりました。対象者は21名で、支給申告者は、そのうち7名だそうであります。他の県下29市町村においても対象者はごくわずかだと思いますが、現在どのような状況にあるのかお伺いをいたします。
また、県内で和歌山市民と他の市町村民との間で格差があってはならないと考えますが、今後このようなケースが起きたとき、当局はどのように対応されるのか、あわせて福祉保健部長にお伺いをいたします。
私は、単純に、健常者の母子家庭には児童扶養手当を支給されるのに障害者の母子家庭には支給されないのは不公平だと考えたのですが、当局からよく説明をお聞きいたしますと、手当と年金の併給禁止についてはさまざまなケースが想定され、一概に言えないケースもあることがわかりました。それならば、障害年金の子供加算額を児童扶養手当限度額まで引き上げるほうが一般的に理解しやすいと思うようになりました。この制度について、知事の御感想をお伺いいたします。
次に、教育長にお尋ねいたします。
まず、今年度から始まった教員免許更新制度の廃止についてであります。
最近、ごく一部ではありますが、教員の質の低下が取りざたされるようになりました。教員による児童ポルノがインターネット上に掲載される事件や、児童買春やわいせつ行為、飲酒運転等によるひき逃げ事件等、報道されるたびに国民の信頼が失われてきました。不祥事を起こした先生を信じて教わっていた子供たちや保護者の気持ちを考えると、やるせない思いに駆られます。
大多数の教職員はまじめで誠実で勤勉な方がほとんどであることはよく承知しているのですが、不登校の教師や授業をうまくできない教師の話を身近で聞くこともあります。子供や保護者は、私立の学校に行く以外は学校や教師を選ぶことはできません。それだからこそ教師の質が保証されなければなりません。当たり外れがあってはならないのです。教えてもらう教師のよしあしは、その子供の人生に大きな影響を与え、未来まで変えてしまう可能性も含んでいるのです。すばらしい教師との出会いで大きく伸びる子もいますが、逆に不登校やひきこもりになる子供もいます。
「教育は国家百年の計」であると申しますが、我が国も優秀な教員を確保するために人材確保法を制定し、教師の給料も一般公務員よりも高くし、広く優秀な人材を求めています。
しかし、一部の教職員であるにしろ、いろいろな事件や不祥事が頻繁に報道されると、学校現場はどうなっているのかと問題視されるようになり、国民世論の高まる中、安倍政権は教員免許更新制度を導入いたしました。更新制は10年ごとの免許更新を義務づけ、対象者は大学などで30時間以上の講習を受講しなくてはならず、不合格が続けば免許が失効されるという制度であります。
しかし、免許更新制度は、わずか2年で廃止されることになりそうであります。文部科学省の鈴木寛副大臣によると、教員免許更新制度は、講習の目的が不適格な教員の排除なのか、教育力の向上なのか趣旨が不明確だと批判しています。私は、不適格教員の排除も教育力の向上も、学校現場にとって両方とも大変大事な事柄だと思うのですが、間違っているのでしょうか。
そして、先般、川端文部科学大臣は、免許制度自体を見直し、現役教員が教職大学院で学び専門免許状を受け取る新しい研修制度に移行する方向で検討中だそうであります。また、大学院2年間を義務化とし、教員養成期間を6年に延長する方針も述べられていました。賛否はあるでしょうが、6年制になれば教育学部に通う生徒や家庭にとって新たな経済負担となるでしょう。それよりも私は、採用試験に合格して最低1年ぐらいは教師としての適性を見る研修期間を設けるほうがより現実的だと思います。一般の会社でも3カ月や6カ月間は正社員として採用しないで、研修期間を置きます。採用後も、子供たちに興味を持たせる授業、的確な生徒指導等、教員が時代のニーズや変化の激しい時代にあって知識や技能を身につけることは、当然のことであります。しかし、現時点での緊急の課題は、保護者と学校、子供と教員の間の信頼関係をどのようにして構築するのかが大きな問題であると考えます。
そこで、教育長にお伺いいたします。
文部科学省によると、都道府県と政令市の教育委員会が昨年度指導力不足と認定した公立小中高などの教員は306人だそうであります。私はもっと多いのではないかと感じるのですが──指定された時点でもうやめられる方とか、この講習を受けないでもう退職される方もいらっしゃるとお聞きしておりますので、306人だそうであります──指導力不足というのは、学習指導、生徒指導、学級運営が適切にできない教員だそうであります。昨年度から法律で県教委に指導改善研修の実施が義務づけられていますが、その現状と効果についてお聞かせください。
また、免許更新制度が廃止された場合、本県の教員の質の確保、向上について県教委としてどのように取り組まれるのか、お聞かせください。
次に、現在行っている小学校6年生と中学校3年生を対象にした全国学力・学習状況調査、いわゆる全国学力テストについてお伺いをいたします。
川端文部科学大臣は、来年度から全員参加ではなく、抽出方式に変えると表明されました。そして、実施予算も、事業仕分けにより削減すると報じられていました。このテストは、昭和36年から39年度に中2、中3生全員を対象に実施いたしましたが、当時、日教組などの反対運動や一部学生のボイコットなどが起こり、昭和40年度から全員から抽出に転換し、その2年後にはテスト自体が中止となりました。
その後の日本を考えますと、40年代から高度経済成長を支えてきたのは、当時の学校教育の現場が優秀な人材を世に送り出していただいたからであり、高く評価するものであります。しかし、昨今の世界各国の子供たちの学力と我が国の子供たちの学力レベルを比較すると、少し低くなってきているのではないかと問題視され始めました。
そこで、安倍内閣は、平成19年度、43年ぶりに小学校6年生と中学校3年生の国語と算数・数学の2教科で全国学力テストを復活させました。文部科学省は、復活して3年で各自治体が客観的データに基づき学力向上に取り組む流れが出てきたと分析しています。
成績不振だった大阪府の橋下知事はリーダーシップを発揮し、市町村の教育委員会にテストの結果を公表するよう教育委員会に迫りました。教員にとっては大変プレッシャーとなる学力テストではありますが、大阪府はことし小学校6年生の成績が上がり、成果があらわれました。全員試験は、子供たち1人1人の学力や弱点について客観的な情報が学校や教師にフィードバックされ、それが子供たちのきめの細かい指導に生かされると言われています。
一昨年、この学力テストが再開され結果が発表されたとき、衝撃的な事実が報道されました。何と福井県が全国トップ、続いて秋田県や東北の各県、北陸、山陰もそれに続いたのであります。県の規模からして和歌山県と同じくらいの規模の地方の県ばかりが上位を占めました。それまで、我が県の子供たちの学力レベルが全国的に見てどの程度なのか全く情報としてありませんでした。そこで、当時、議長をされていた中村裕一先生と企業誘致の先進県としても知られていた福井県にお伺いすることになっていましたので、福井県教育委員会を訪問いたしました。
そこでお聞きしたことは、福井県は国が昭和36年に学力テストを始めるずっと以前、昭和26年から県独自で学力テストを行っているとお聞きいたしました。当然、国が廃止してからも県独自にテストを続け、その結果を学校現場にフィードバックし、教育評価等に生かしてきたとお聞きいたしました。このことを実現できたのは、福井県の教職員組合が他府県と異なっている点も述べられていました。
教職員はもちろんのこと、校長先生も教頭先生も教職員組合に加入され、加入率は9割を超え、組合活動よりも互助会的な性格が強く、教育委員会とも余り対立することがないそうであります。まさしく、教育委員会と学校管理者と教職員が一体となって子供たちの学力向上に御努力されたことが43年の時を超えて今日の成果となったのだと思います。
また、あいさつ運動や朝食を必ずとることなど、保護者と一緒になって子供たちを育てていることもお聞きしました。統計をとると、朝御飯を食べてくる子供と食べてこない子供とでは学力的にも体力的にも差が出ているとお伺いいたしました。ことし体力診断でも福井県はトップであり、当時のことが図らずも証明されました。このように頑張っている子供たちが、ひいては企業進出促進の一要因かもしれないと分析されていました。
もう1県、秋田県もすべての科目で上位でありました。秋田県の学習状況調査は、各小中学校において自校の実態や課題をより的確にとらえ、目標に準拠した研究や授業改善に生かすなど、指導方法改善のための資料として提供するため、平成14年度から実施しているそうであります。小学校4年は国語、算数、理科3教科、5~6年は国語、算数、理科、社会の4教科、中学校は国語、数学、理科、社会、英語の5教科で実施されています。
県教委によると、全国学力テストの好結果は、学校教育を中心に家庭や地域の教育力及び県内大学からの協力などの成果が総合的にあらわれたものととらえておりますが、学力テストによる学習状況調査結果の活用もその一要因となっていると分析されています。それぞれの学校に、集計結果を分析し、改善策等を検討し、指導方法等の工夫に生かし、積極的に活用し、個に応じた指導方法の工夫・改善を一層進め、児童生徒1人1人の学力向上を図ると述べられています。
この上位2県から本県も学ぶべきところがあるのではないかと思います。我が県においても、平成15年度から県独自で秋田県と同様の学力テストを行ってきました。しかし、県内比較はできても全国レベルを図ることはできませんでした。ようやく全国学力テストにおいて我が県の小中学校やクラスの学力がどの程度のレベルなのか、学校や教師が客観的に把握でき、その結果を積極的に活用し、子供たちの学力の向上を図る体制ができつつあると思っていた矢先、抽出試験になると聞き、大変残念であります。
そこで、教育長にお伺いをいたします。せっかく始めた学力テストなのですから、和歌山県は独自で今後も継続して行い、結果を学校にフィードバックする体制を維持してはどうかと考えますが、教育長の所見をお伺いいたします。
次に、県立中学校のクラブ活動についてお伺いいたします。
県立中学校が向陽高校に併設され、はや6年目を迎えます。その後、幾つかの地域に県立中学校も設立されました。6年間一貫教育をすることによる教育面のメリットも評価するところでありますが、独自の体育施設を持たないため、クラブ活動に支障を来していることも現実として問題視され始めました。県立中学校のクラブ活動については、当初から問題点を指摘されていたのですが、5年たった現在、教育長のお考えと今後の対策についてお伺いをして、1問目を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの花田健吉君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、高速道路4車線化の凍結についてでございます。
議員御指摘のとおり、近畿自動車道紀勢線御坊─南紀田辺間は、増加する交通量への対応や多発する交通死傷事故の解消のため、第4回国幹会議で4車線化が決定されるとともに、平成21年度補正予算で事業化されました。
しかしながら、10月16日の閣議決定で4車線化事業が執行停止されたことは遺憾と言わざるを得ず、早速、前原国土交通大臣や馬淵副大臣らと面会し、4車線化の必要性、緊急性を説明し、速やかな事業着手を訴えました。特に馬淵副大臣からは、凍結はこの工事が不必要というからではなくて、これまでの高速道路の建設の意思決定システムや整備メカニズムがおかしいと思うので、一たん凍結して全面的に再検討するためであるという議論をいただきました。それから、前原大臣も、国幹会議の結論は尊重するとは言っておられます。
私からは、この区間については、全国の渋滞区間、交通量の多い区間を上から順番に並べてベストテン中──ベストというかワーストテンですね──6つも入るという物すごいところであるなど実態をよく説明して、検討のために何カ月も何年も待たされてはたまりません、地方の生活は待ってくれません、どんなメカニズムであったとしても、だれが決定したとしても、ここはやらなければならないところだったんじゃないですかと、それならば一日も早くやってほしいというようなことを強く建議をいたしたところであります。
県議会におかれましても、全員協議会を開催し、全会一致で速やかな事業着手を求める緊急決議がなされ、政府に要請していただきました。また、先日は、市町村長や県内の経済団体など22団体で構成する実行委員会により和歌山県民大会が開催されまして、大変多くの皆様がお集まりになりました。そこで、4車線化を初めとする県下の道路整備の必要性を訴える決議がなされ、県知事も全力を尽くせと改めて要請されたところであります。それをもとにいたしまして、私も冨安議長も、並びに実行委員会の皆様も県選出国会議員にも強く要請したところであります。引き続き御坊─南紀田辺間の4車線化事業が速やかに着手されるように、政府に対し強く訴え続けていきたいと考えております。
次に、地方の道路整備を推進する正当性と必要性を政府に対して強く訴えるべきだと。まさに議員の御指摘のとおりであると私は思っております。
和歌山県民は、現在、東京都に比べ3.6倍の揮発油税を負担しております。しかしながら、高速道路などの幹線道路は都市部から優先的に整備されてきました。特に大きなお金を投下しなけりゃいけないものですから、どうしても東京都など、そういうところへの道路投資が大きくなりました。
例えば、東京オリンピックが終わった昭和40年ですら──多分その前、データはとれないんですが、もっとすごいと思いますが──当時の東京の人口をはるかに上回る道路投資が東京になされていました。その間、例えば和歌山はいわば待たされておりまして、待っている多くの期間、相対的に多くの費用を負担してきたということではないかと思います。やっと順番が回ってきつつあるということで、この動きを加速してやれと思いまして、知事就任以来、本県の高速道路を初めとした幹線道路整備を働きかけてまいりました。これが途中で責任を放棄されたり、これ以上おくれることがないように、今後とも国に対して強く訴えてまいりたいと思っております。
先日の政府主催全国知事会議の場でもたまたま発言をする機会がありましたので、政治は正義が大切である、そのためにはアンフェアになるといけない、やっと順番が回ってきた本県のような実は未整備の地域の高速道路を途中でやめてしまうようなことは明らかにアンフェアであるので、最後まで国が責任を持って整備すべきであるということを鳩山総理に対して訴えたところであります。総理も、私も正義感は持っていますというふうに答えられました。
引き続き紀伊半島一周高速道路や京奈和自動車道を初めとする本県の将来の発展に不可欠な道路整備が着実に進められるように、新政権に対しても訴え続けてまいりますので、議員各位のより一層の御支援、御協力をお願い申し上げたいと思います。
次に、高速道路無料化の議論における県の対応でございます。
高速道路の無料化については、料金収入がなくなることによって今後の高速道路建設への影響が懸念されるところであることは、議員御指摘のとおりであります。そうなると、既に整備が十分のところだけが相対的に、俗な言葉で言うと得をして、それで本県のようなこれからのところは損をするということになるわけであります。
一方で、議員御指摘のとおり、無料化には観光客の増加とか、あるいは貨物輸送のコスト低減などのメリットもあり、無料化される路線とされない路線に仮に分かれる中で本県が不利な状況に置かれることがあると困るというふうに思います。そういう意味で、全力を尽くして不利な状況に置かれないようにしたいというふうに思っております。
今後も、無料化の対象範囲等について国の動向をよくよく見ながら、現在も手は打ちつつあるんですけれども、必要に応じてさらに国に働きかける等、迅速かつ適切に対応してまいりたいと考えております。
次に、切目川ダム完成に向けた知事の意気込みを述べよということであります。
切目川ダムは、水害の頻発する切目川沿川地域の生命と財産を守るとともに──これは治水でございます──印南町水道用水の安定確保と切目川から取水する農業用水の安定化を図るものであります──これは利水であります。地域の安全・安心と発展のために必要不可欠な事業として県が実施しております。これは県の事業であります。また、現時点までに水没する高串地区の方々にいろいろお願いを申し上げて移転に御協力いただくなどしておりますことは議員御指摘のとおりでありまして、ほとんど100%の補償が、実は完了して、御協力をいただいております。本年度より本体工の一部である仮排水トンネル工事に着工することにしておるところであります。
今後、切目川ダムの平成26年度完成──これは今の目標であります──に向けて事業を進めるためには、当県の財政事情も考えると、国からの補助金を引き続きぜひいただきたいと、私どもは思っております。
しかしながら、補助金のあるなしで県の当ダムの必要性の判断が変わることはありません。他県ではそういうところもあるようですが、当県ではそんな変な考えは初めからございませんで、県民の安全が国の言いなりになるということではあってはいかんと思っております。困難も予想されますが、完成に向けて頑張りたいと考えております。
次に、児童扶養手当と障害年金の子供加算の額が異なることについての感想ということでございます。
私も、議員の御指摘を拝聴しておりまして、児童扶養手当を受給されていたひとり親のお母さんが障害を負われた、余計不利になる、そこで障害年金を受給することになったところで従前の児童扶養手当と比較して全体としては少ない子供加算額しか受給でなくなるということで、御本人には非常に納得しがたいものがあるという議員の御指摘は、そのとおりだと思います。
また、このような事態となる方が少ないということで、ついつい見逃されがちとなりますけれども、人数の多少にかかわらず、制度は制度なんで、本当に支援を必要とされてる方々には真摯に耳を傾け、何らかの手だてはできないものか考える必要があると思っておりまして、議員のそういう点からの御指摘はまことに立派なものがあるというふうに思います。
不公平感を解消するためには、障害基礎年金制度そのものを変更する、あるいは障害基礎年金制度の子供加算額を議員御指摘のように児童手当の限度額まで上げるとか、あるいは手当と年金の併給禁止の緩和をもうちょっとやってもらうとか、いろいろなやり方があると思いまして、現実的には不都合がなくなるようによく議論してみたいと思います。
もちろん、制度のことですから、議員も先ほど言っておられましたように、よくよく考えてみると、例えばこうするとああなるとか、そういういろいろな議論があると思います。しかしながら、真摯に努力を申し上げまして、御趣旨を呈するように努力したいと考えております。
○議長(冨安民浩君) 県土整備部長茅野牧夫君。
〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 暫定税率廃止に伴う道路事業への影響についてでございます。
揮発油税等につきましては、今年度より一般財源化されておりまして、暫定税率の廃止による減収が直接道路財源の削減につながるものではないというふうに考えております。
しかしながら一方で、来年度予算の概算要求では道路関連の予算が大幅に削減されておりまして、今後の道路整備に関し予断を許さない状況でございます。このため、今後も国に対しまして、おくれている地方の道路整備の必要性とそうした地方への優先的な予算配分を強く訴えるとともに、県事業において県財政の厳しい中、整備効果の早期発現が図られますよう、引き続き選択と集中による整備を進めてまいりたいと考えております。
次に、公共事業削減に伴う建設業への対応についてでございます。
建設業は、和歌山県の基幹産業として地域の社会資本整備を担うとともに雇用の場として大きな役割を果たしており、最も重要な産業の1つであると認識しております。このため、昨年6月から導入した新公共調達制度において、県議会を初めさまざまな関係者の御意見をお伺いしながら、よりよい制度となるよう、最低制限価格の適用範囲を拡大したり、総合評価方式における企業の実績評価を廃止するなど、適宜見直しを実施してまいりました。
一方、公共事業全体についてですけれども、昨年度の補正予算と本年度の当初予算、6月補正予算、これを合わせますと対前年度比で1.4倍の事業量を確保して景気対策、雇用機会の拡大、社会資本整備の促進に努めております。さらに、上半期の積極的な前倒し発注に努めておりまして、上半期の工事発注金額は331億円、対前年度の同期に対しまして1.5倍の工事量となり、現下の厳しい経済・雇用情勢に対し、少しでも対応できるように努めているところでもあります。
今般、建設工事に係る最低制限価格につきまして、従来の国土交通省の算定式に準拠しておりましたけれども、主として県が実施する中小規模の工事の実態と乖離が見られますことから、算定式の適正化も図ったところでございます。
今後とも、皆様の御意見をお伺いしながら、必要に応じまして、よりよい制度となるように引き続いて検討してまいりたいと考えております。
それから、ダム事業の見直しに係る切目川ダムの建設事業への影響についてでございます。
国は、道府県が実施しておるダム事業の平成21年度における事業の進め方につきましては、知事の判断を尊重するとしております。
切目川ダムは、洪水による被害を防止する治水の観点と、印南町の水道や農業用水の安定化を図る利水の観点から事業を進めております。
具体的には、治水の観点では、家屋の浸水176戸、約30億円の被害を出した昭和63年の洪水と同規模の洪水に対して、ダムの地点で毎秒120立方メートルの洪水調整を行うことにより、河川改修とあわせまして下流域の洪水はんらんを防ぐことができます。
また、利水の観点では、印南町の水道水源としまして、将来必要量の約5分の1を安定水源化するほか、水田、畑合わせて約400ヘクタールに対する農業用水の取水を安定化することができます。
このように、切目川ダムは治水、利水上必要不可欠な重要な事業として実施しているものでございまして、本県としては事業を継続する必要があると考えております。
一方、国は、平成22年度における個別のダムの事業の進め方に関する基本的な方針について、政府予算案の提出時までに明らかにするとしております。切目川ダムが補助事業として継続となるのか、あるいは検証の対象となるのかは現時点では明らかではありませんけれども、御質問の補助金が凍結されたり補助率が下げられたりした場合についても、財政的な制約上、完成までに時間を要することになるかもしれませんけれども、先ほど県知事答弁のとおり、本県としましては、事業を継続の上、完成させるものと考えております。
以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 商工観光労働部長永井慶一君。
〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 連鎖的に廃業・倒産した企業の従業員の再就職支援についてお答えさせていただきます。
長期的な不況のもと、雇用情勢は大変厳しい状況にあると認識しており、今後とも建設業を初め各産業において多くの方が余儀なく離職されるのではないかと大いに懸念してございます。そうしたことから、転職に必要な技能や知識を習得し、早期に安定的な雇用に結びつけられるよう、県といたしましては、スキルアップにつながる職業訓練を実施しているところであり、今年度は実施規模を大幅に拡充したところでございます。
今後とも、新たな離職者に対し、雇用のセーフティーネットとして十分な訓練機会を確保し、ハローワークなどと連携しながら効果的な就職支援に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(冨安民浩君) 福祉保健部長北田佳秀君。
〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 児童扶養手当と障害年金との併給禁止に関連して、県下市町村の状況と今後の対応についてでございますが、和歌山市が創設した母子家庭等福祉手当に該当する事例があるかどうか、他の市町村において調査したところ、議員御指摘の事例もあると思われますが、その場合の多くは、ほかに収入があるか、あるいは生活保護制度などを活用していると考えられ、そのような事例についての報告は現時点では受けてはございません。
県といたしましては、和歌山市における制度の利用状況を調査するとともに、他の市町村の意向の把握にも努め、今後の対応を検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 教育長山口裕市君。
〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) まず、指導が不適切な教員の指導改善研修の現状と効果についてでございますが、本県では、平成16年度から指導が不適切な教員の人事管理システムをスタートさせまして、県教育センター学びの丘で指導や研修を行っているところでございます。
議員御指摘の306人という人数は、文部科学省が発表した、平成20年度研修によって指導の改善が見込まれる教員として全国で認定された人数でありまして、本県はそのうち2名となってございます。
この2名の教員につきましては、1年間の指導改善研修を実施しまして、研修終了後、1名は研修の成果により学校に復帰、1名は依願退職となってございます。今後も教員の指導状況の把握に努めまして、指導に課題のある教員に対し適切に対応してまいりたいと考えております。
また、教員免許更新制につきましては、廃止を含めた見直しをするとの報道がなされているところでございます。本県といたしましては、教員の資質能力の保持と向上のための研修は極めて重要であり、国の動向を注視しながら研修のあり方について検討していく必要があると考えてございます。
全国学力テストにつきまして、本県では平成15年度から和歌山県学力診断テストを実施してまいりましたが、本年度から2年間は休止をし、これまでの分析結果等を活用して各学校の指導の工夫改善に関する施策を実施しているところでございます。
また、国においては平成22年度の全国学力・学習状況調査について抽出調査を行うと聞いておりますが、県といたしましては、今後も学力の地域間格差をなくし、児童生徒1人1人の学習状況の改善を図るため、これまでのような悉皆調査の継続が必要であると考え、国に要望してまいります。
このことも含め、今後の実施については、国の動向を踏まえ、市町村教育委員会と連携を図りながら、各学校の教育活動の充実につながるような学力調査のあり方を検討してまいります。
次に、県立中学校の運動部活動についてでございますが、議員御指摘のとおり、施設面等についての課題が生じていることは認識してございます。そうした中、中学生と高校生とが合同で練習をするなど、さまざまな工夫を凝らしながら実績を上げている例もございます。今後とも中高一貫教育のメリットを生かしながら、生徒のニーズに対応した特色ある運動部活動の充実に取り組んでまいりたいと考えます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
11番花田健吉君。
○花田健吉君 知事のそれぞれの決意と思いをお伺いいたしました。
ことしの冬は、私たち地方にとって大変冷たい、寒い冬になることが予想されますが、細心の注意で知事もひとつ見ていただきたい。
知事は一高、東京大学の御出身ですが、与謝野鉄幹の三高の寮歌というのがあり、御存じだと思います。ちょっと御紹介──皆さんも知ってると思いますが、「妻をめとらば才たけて みめうるわしく情けある 友を選ばば書を読みて 六分の侠気四分の熱」と、こうあるわけですけども。(「うまいな」と呼ぶ者あり)ありがとうございました。御清聴いただきありがとうございました。
やはり知事は、私たち県民にとって本当の信頼すべき友で、「県民の友」というのも出てますが、本当に知事、私たちは信頼しております。その知事が「書を読みて」というのは、大変勉強されて熱心だということは、もう県民皆知ってるんです。でも、「六分の侠気四分の熱」──侠気というのはやっぱり男気、強きをくじき弱きを助くる男気、これがやはり必要ではないか、そのように思っております。
ですから、我々は、「知事を選ばば書を読みて 六分の侠気四分の熱」、そういう知事を私たちは信頼してついていきたいと思いますので、今後とも和歌山県民のために、県民の生活を守るために頑張っていただきたいと思いますので、要望いたしまして終わりたいと思います。ありがとうございました。
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で花田健吉君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時48分休憩
────────────────────
午後1時2分再開
○副議長(坂本 登君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
40番奥村規子君。
〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、5つの項目について質問させていただきます。
1つ目は、後期高齢者医療制度についてお尋ねをいたします。
新政権は、後期高齢者医療制度について、新制度ができるまで廃止を先送りするという態度を示しました。制度が実施され、1年8カ月を経た今でも多くのお年寄りの皆さんが「なぜ年齢で区別するのかわからない」と疑問や不満、怒りの声がおさまりません。年をとったら医療費がかさむのは自然の成り行き、それを病気する老人は悪いように言われて、経済的にも精神的にも生きる力を奪うものだと抗議の声を上げています。不服申し立ては、昨年は県で86件、全国で1万398件に及び、ことしは県で71件あります。
そもそも、この制度の根拠となる法律は高齢者の医療の確保に関する法律で、その目的は第1条に、「この法律は、国民の高齢期における適切な医療の確保を図るため、医療費の適正化を推進するための計画の作成と保険者による健康診査等の実施に関する措置を講ずる」とあり、医療費抑制が最大の目的になっています。
もとの制度であった老人保健法は第1条に、「国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保を図るため、疾病の予防、治療、機能訓練等の保健事業を総合的に実施し、もつて国民保健の向上及び老人福祉の増進を図ること」となっており、高齢者の健康の保持、適切な医療の確保を目的としたものでした。これを後期高齢者だけの別枠の保険をつくり、医療費の抑制を図る、こういう仕組みに変えたものです。これは人権を無視した世界に例のない悪法と言わざるを得ません。こういった悪法のもとで、これ以上国民の犠牲を広げることはすべきでないと考えます。
また、このまま継続すれば、保険料は2年ごとに際限なく上がっていきます。来年度は全国平均で約12%も保険料が上がるという事態となっています。国民の立場に立つならば、すぐにやめるべきです。
さらに、この制度にはほかにも問題があります。保険料滞納者への制裁として保険証を取り上げるとしていることです。1年以上の滞納者には正規の保険証は出さず、短期証や資格証に切りかえるというものです。
和歌山市で保険料の滞納で短期保険証が発行されている方の状況を聞きました。
ひとり暮らしの88歳のAさんは満州からの引揚者で、年金の掛金が捻出できず、年金はありません。後期高齢者医療制度が始まるまでは息子さんの保険に入っていたので保険料を納める必要がありませんでした。この制度になってからは保険料の負担をしなければいけないということがわかりませんでした。その結果、滞納状態になっており、短期保険証にも気づいていませんでした。今は滞納分も納め、通常の保険証を手にして月々の保険料も納めています。しかし、住居や水・光熱費以外の生活費は息子からもらう2万円で賄っており、日々の生活には大きな負担になっています。食費に通院費、介護保険料など、2万円でやりくりしなければなりません。往診で入院を勧められても応じようとしません。Aさんは、「最近、何のために生きてるんかなあと思うようになってきた」と言います。
また、Bさんは、75歳の誕生日が来て、前期高齢者の妻と別保険になりました。年額40万円の年金の妻に5万円の国保料、Bさん本人には10万円の保険料がかかりますが、年金を担保にした借金の支払いにも困り、保険料を滞納しています。
特養施設に入所しているCさんも、自営の仕事をしていました。無年金で短期保険証が発行されていました。
79歳のDさんは、病院に入院中です。息子さんと孫の3人暮らしで、入院費は何とか工面できるということでしたが、本人は無年金です。
いずれの方も、ぎりぎりの生活状態です。そのため、保険料が払えない、あるいは家族とは別の保険になったことに気づいていない方もいました。
厚生労働省が明らかにした短期保険証の発行数は、平成21年10月1日時点で全国2万8000件を超え、当県では507件もありました。12月1日時点では387件となっています。こうした短期保険証の発行を繰り返した後、資格証が発行されるとなれば、大変な問題です。どんなに年金が少なくても、無年金でもすべての高齢者に保険料を課し、その結果払い切れない低所得の人たちの医療を奪う危険性のある制度は「うば捨て保険」と言われても仕方がないと思います。高齢者からの保険証の取り上げは直ちに命にかかわる問題となります。だからこそ、前の老人保健法では保険証を取り上げなかったのです。
厚生労働省は、10月26日、全都道府県にあて、資格証の発行には悪質な人に限るということで、厳格を期すように通知を出しています。悪質かどうかの見きわめを自治体ができるのか、大変疑問に思います。他県には制度の理解ができずに滞納していた人が悪質とみなされ、無保険状態になっていたという事例もあります。
そこで、福祉保健部長にお尋ねいたします。
後期高齢者医療制度の開始から1年8カ月たちました。県民の皆さんの反応をどのように受けとめ、制度の問題点をどのように考えていますか。また、短期被保険者証、資格証明書発行に当たって、被保険者への対応はどうなっていますか。払えるのに払わない悪質な滞納者をどのように見分けるのでしょうか。資格証明書は発行しないようにすべきではないでしょうか。福祉保健部長、お答えください。
次に、知事にお尋ねいたします。
新政権は新制度を検討するとして廃止を先送りにしていますが、世界に例のない差別法であり、直ちに廃止して老人保健制度に戻すべきと考えます。これが高齢者の願いであり、生きる希望です。この制度の廃止をどのように受けとめているか。直ちに廃止するよう国に意見を上げる考えはないでしょうか。お答えいただきたいと思います。
2つ目は、障害者自立支援法についてお尋ねいたします。
2006年4月から障害者自立支援法が施行されました。福祉サービスや自立支援医療に導入された原則1割の応益負担がこの制度の根本的な矛盾、欠陥であることがますます明らかになっています。障害者が人間として当たり前の生活をするために必要な支援を益などとして負担を課すという応益負担は、憲法や福祉の理念に反すると考えます。重い負担のためにサービスの利用を抑制せざるを得なくなった障害者の方もいます。事業所に対する報酬単価の引き下げや日払い化で施設、事業所の経営は苦しくなり、廃園に追い込まれた施設もあります。「福祉は人」なのに、福祉労働者の離職や労働条件の悪化が深刻になっています。政府も利用料軽減等を含む特別対策緊急措置を実施せざるを得なくなりました。
新政権が誕生し、鳩山首相が10月、国会の所信表明で障害者自立支援法の廃止を公約しました。長妻厚労相も、障害者自立支援法廃止と当事者の参画のもとで新法づくりをしていくことを約束しました。障害者の皆さん初め、県民の多くの皆さんの運動が実を結んだのだと思います。
しかし、ここに来て新政権は公約実現の困難さを強調するようになってきており、障害者施策についてもサービス利用料の応益負担の廃止やサービス事業者の収入源である報酬単価の引き上げ、障害者施設の経営悪化を招いている報酬の日割り単価の見直しなど、切実な願いに反して先送りの姿勢が見られます。
長妻厚労相は、4年間で応益負担から応能負担に変える新制度を創設すると説明しています。しかし、新法の実現を一日も一刻も早くというのが皆さんの願いではないでしょうか。障害者や家族は、食事やトイレなど障害者が生きていく上で不可欠な支援を益とみなして利用料を課す負担は、憲法違反だと裁判まで起こしています。障害者の福祉や医療は本来無料であるべきです。県としても、障害者の苦しみを改善する緊急対策を国に求めるべきだと思います。
そこで、福祉保健部長にお聞きいたします。
応益負担についてどのようにお考えでしょうか。また、就労支援B型の施設に働く職員は、「報酬が日払い制のため、利用者の顔がお金に見えてくることがある。こんな状況ではニーズに応じた支援が難しい。月払いに戻してほしい」と切実に訴えています。日割り計算による施設運営の影響をどのようにお考えですか。福祉保健部長お答えください。
次に、3つ目の高校生の雇用対策の強化についてお尋ねいたします。
国民生活の危機はますます深刻になり、失業率、有効求人倍率も史上最悪水準を記録しています。このような中で、当然、高校生初め新規卒業生の就職も厳しく、和歌山労働局の10月末時点の状況調査では、高卒生の求職者1756人に対し求人数は1167人、昨年より34%も減っています。製造業などが大きく減り、県内企業も県外企業も減少しています。求人倍率は0.66、就職内定率は県合計で55.6%、昨年同時期に比べ11.3ポイントも下がっています。女子は特に厳しく、10月末で48.6%と、半分以上が決まっていません。
ことしの春の高校卒業生は、216人が就職できませんでした。来春は、それより厳しい状況が予想されます。就職を希望する高校生が、就職できないまま卒業していかなければならない、卒業と同時に失業という事態は、日本社会、和歌山県の未来にかかわる重要な課題です。高校現場や保護者の皆さん初め、関係者の皆さんも心を痛め、それぞれの立場や、従来にも増して連携をしながら就職を希望するすべての高校生に就職保障できるようにと必死に努力されています。
このような中で、高校生と直接対応する進路就職担当者も過重勤務になっています。補助教員の配置など、予算措置をすることなど県としても特別な対策が必要と考えます。新規卒業予定の高校生の就職内定状況と対策について、教育長にお尋ねいたします。
次に、商工観光労働部長にお聞きいたします。
来春の高校新卒者の就職環境が厳しさを増している中、幾つかの県ではさまざまな対策が講じられようとしています。京都府では来年4月から高校新卒の未就職者を直接雇用し、職業訓練を受けてもらう支援事業を始めると発表しています。新潟県では医療介護分野に就職しやすくするなどの追加支援策を発表し、宮城県では高校生を採用する企業に、1カ月のみですが、1人15万円の奨励金を支給するとしています。
卒業後の未就職者への支援は、県としても緊急に取り組むべき事項であると思いますが、どのような対策を考えておられますか。商工観光労働部長にお尋ねいたします。
次に、4つ目の項目です。保育所の充実について、福祉保健部長にお尋ねいたします。
22年度の県の新政策の基本方向として、県民生活に希望と安心をもたらす取り組みを重点と打ち出されています。そして、生活の安心を守る施策の展開の中の1つに子育て支援の充実が掲げられています。
今、経済的格差による子供家庭の貧困が進んでいる中、先日、新政権がOECDが発表しているものと同様の計算方法で、日本の相対的貧困率及び子供の相対的貧困率を算出しました。最新の相対的貧困率は、2007年の調査で15.7%、子供の相対的貧困率は14.2%と発表しました。2006年に経済開発協力機構OECDが、OECD諸国の中で日本の相対的貧困率はアメリカに次いで高く、15.3%であると指摘し、貧困という問題が改めてクローズアップされるようになりました。OECDの調査では、2005年の日本の子供の貧困率は14.3%と報告されています。
子供の貧困は、子育ての場である家庭環境の貧困であり、不健康、体力の低下、学力の低下、虐待を受けるなど、さまざまな問題を生む背景になっています。それは、子供の希望、意欲、やる気を奪い、生きる力を奪っていくものです。子供家庭への福祉にとって、最大の克服すべき問題ではないでしょうか。そういうことからも子育て支援のより一層の充実が求められています。
中でも子供の豊かな発達を支え、県民のさまざまな保育要求にこたえるなど、保育所の果たしている役割は大変大きいと思います。子育て支援において大きな役割を担う保育所の充実・整備が必要です。
そこで、福祉保健部長にお尋ねいたします。
和歌山県の保育の現状をどのように把握していますか。保育の質の向上に向けて取り組んでいることは何ですか。以上、お答えください。
最後に、5つ目の項目です。紀州材の販路拡大に向けた家づくり支援について、農林水産部長にお尋ねいたします。
県土の7割を占める森林は、かけがえのない役割を持っています。森林を守り育てることは、県土を守ることにとどまらず、地球環境の保全という課題への大きな貢献でもあります。そのためにも、もう一度林業そのものが産業として再生することが必要であると考えています。
森林県である和歌山にとって林業は、製材加工から住宅、家具等への利用まで、広いすそ野を持った産業です。また、低炭素社会に向け、バイオマス燃料を初めとして大きな可能性を持った産業であり、まさに地域経済と地域社会を支えることのでき得る産業です。
私は、林業が産業としてすばらしい潜在力を持っていると考えています。森林の保全整備から木材が広く利用していただける環境整備に至るまで、本腰を入れた振興を図ることが大切だと考えています。現在、間伐などの森林整備や路網整備、機械化など、川上側への支援を強めながらも、今後は川下側の木材利用、いわゆる出口部分の施策の充実も必要であると考えております。
そこで、木材の需要先と言えば何といっても住宅建築用資材としての利用がメーンになると思います。そんな中で、県では平成13年度から紀州材の利用を促進するため、紀州材を使用した家づくりに対し、1平方当たり2万円、1軒当たり最高20万円を限度として支援しているところであり、その申し込みは年々増加し、事業開始時に154件であったものが、本年度は406件と事業創設時に比べ約2.6倍にもなったと聞き、反響の大きさをあらわしているものだと感じているところです。
しかしながら、家づくり支援事業は当初予算の範囲内で執行されており、毎年予算額を超える申し込みがあることから抽せんで採択を決め、本年度分についても、先日、抽せん会が行われたと聞いています。せっかく紀州材で家を建てても、結果的に支援を受けることのできる方とそうでない方がいるということは非常に残念なことであります。私は、地域の木材がその地域で利用されることは、林業の再生のみならず運搬による二酸化炭素の排出削減など、地球環境保全の観点からも重要であり、県内での需要拡大施策として思い切って予算を振り向け、家づくり支援の拡充をすべきだと考えますが、農林水産部長のお考えをお伺いいたします。
以上で、第1回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 後期高齢者医療制度についてお答え申し上げます。
高齢化に伴い医療費の一層の増大が見込まれる中、この制度は、国民皆保険制度を将来にわたり維持するため、若年世代と高齢者でともに支え合う制度として、そういう思想のもとに設けられたものと認識しております。
一方、高齢者を年齢で区分し、医療費増加に比例して保険料が増加するなどといった問題点が各方面から指摘されたことを踏まえ、国においては平成25年度の施行に向けて、後期高齢者医療制度廃止後の新たな制度のあり方について検討が開始されたところであります。
新政権は、他の制度は拙速とか言われるようなスピードで判断をどんどんしておられますが、本件は、平成25年度の施行に向けてじっくり検討をしておられます。これは、本件のような根幹にかかわる、特に保険制度みたいなものは大変難しくて、こちらを立てればあちらが立たんとか、そういうことになるということをよく考えられて、また、たび重なる拙速な制度の見直しは、被保険者の方々と、それからそれを実施する地方行政に、あるいは地方財政に不安と混乱を招くことが懸念されるためであると思います。十分な検討と準備を行った上で新制度に移行する方針とされたものと理解しております。
県といたしましては、県民の信頼が得られる制度となるように、この検討の国の動向を注視するとともに、必要に応じて国に働きかけてまいりたいと考えております。
○副議長(坂本 登君) 福祉保健部長北田佳秀君。
〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 後期高齢者医療制度の2点についてお答え申し上げます。
まず、後期高齢者医療制度につきましては、制度発足当初、被保険者証や保険料の賦課徴収に関する問い合わせや意見を多数いただきました。窓口である後期高齢者医療広域連合と市町村からは、最近は保険料等に係る問い合わせ以外、制度に対する苦情や意見はそれほど多くはないというふうに聞いてございます。
この制度につきましては、各方面から問題点が指摘されてきたことは承知しておりますが、昨年6月以降、新たな保険料軽減措置の追加や年金からの特別徴収制度を口座振替との選択制へと見直すなど、きめ細かな改善策が実施され、県内の情勢といたしましては、おおむね制度が安定してきた段階にあると考えております。
次に、短期被保険者証の交付につきましては、保険料滞納者に対する納付相談の機会を確保するための制度であることから、保険料の分割納付など、その方々の収入や生活状況に応じた相談指導を行うよう市町村を指導しております。
また、資格証明書につきましては、交付に当たり滞納者の生活状況を電話や個別訪問等により市町村が十分に把握した上で、後期高齢者医療広域連合が交付することとなっております。
現在、資格証明書の交付実績はございませんが、国においては原則として交付しないことを基本的な方針としております。県といたしましては、国の方針を踏まえ、後期高齢者医療広域連合に対し、資格証明書の交付により必要な医療を受ける機会が損なわれることがないように厳格な運用の徹底を指導しております。
次に、障害者自立支援法に関する2点についてお答え申し上げます。
まず、応益負担につきましては、障害のある方もサービス利用量に応じた負担と食事等の実費を負担していただき、持続可能な仕組みとなるよう導入された制度であります。しかしながら、この制度改正が抜本的であったことから、国に対し利用者負担の見直しを要望してきた結果、大幅な負担軽減がなされたところであります。
国におきましては、障害者自立支援法は廃止し、利用者の応能負担を基本とする総合的な制度が検討されているところであります。県といたしましては、持続可能な仕組みになるとともに、ニーズに応じた適正な制度として障害のある方が地域で福祉サービスを選択、利用できるようになることが重要であると考えております。
次に、報酬の日割り計算による施設運営への影響についてでございますが、障害者自立支援法の施行により、利用日数にかかわらず計算される月額方式から日割り計算による日額方式に改正されたことから、通所施設等において収入が減少いたしました。この収入の減少による施設運営への影響が大きかったことから、国において、定員を超えての受け入れや通所施設の開所日数をふやすなど、弾力的な措置が講じられるとともに、法施行前の報酬額の9割が保障されております。
また、本年度から5.1%の報酬単価の引き上げが実施され、施設運営は改善してきたものと考えておりますが、引き続き円滑な施設運営ができるよう支援してまいります。
次に、保育所の充実についての2点にお答え申し上げます。
まず、保育所の現状についてでございますが、保育所は、子供の最善の利益を考慮し、その福祉を積極的に増進することに最もふさわしい生活の場でなければならないという理念に基づき運営されるべきものと考えております。
県所管の保育所の現状につきましては、そのような観点に立ち、毎年実施している指導監査の中で、その運営等について詳細かつ的確な把握に努めております。また、施設に改善すべき事項があった場合には厳正に指導しており、改善の確認等も速やかに行っております。
次に、保育の質の向上についてでございます。
保育の質の向上を図ることは、まさしく保育所という現場で頑張っていただいている方々の取り組みいかんにかかっており、そういう意味からも県では職員の研修には力を入れてございます。
特にすべての研修を幼稚園・保育所職員合同研修として、経験年数別、担当業務別などで実施しており、このことは就学前の児童の教育と保育に携わる職員同士が情報を共有し、専門性をさらに磨くことにつながっていくものと考えております。
そのほかにも食育を推進するための研修や、県職員が直接保育所に赴く研修を実施するなど、現場と一体となって取り組んでおります。
なお、各保育所の設置主体に対し外部評価の導入なども働きかけており、このような取り組みも保育の質の向上に役立つのではないかと考えております。
以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 商工観光労働部長永井慶一君。
〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 高校卒業生未就職者への支援策につきましてお答えさせていただきます。
高校生の就職支援につきましては、卒業時までの就職支援を最重点に、関係機関と連携しながらさまざまな対策を講じておりますが、議員御指摘のとおり、高校生を取り巻く雇用環境は例年以上に厳しいため、多くの生徒が卒業時において未就職となるのではないかと大いに心配しております。
このような生徒に対しましては、ジョブカフェ・わかやまに緊急雇用創出事業臨時特例基金を活用したコーディネーターを追加配置し、ハローワークや教育委員会の就職支援員等との連携強化のもと、カウンセリングや企業訪問等を実施しながら対応してまいりたいと考えてございます。
また、将来の安定的な就職につなげるためにも職業訓練の実施は重要な事項であり、今般、政府の追加経済対策に盛り込まれた高校新卒者の職業訓練制度について情報収集を図るとともに、その活用を図ってまいりたいと考えてございます。
○副議長(坂本 登君) 農林水産部長下林茂文君。
〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 紀州材の販路拡大に向けた家づくり支援の拡充についてでございますが、議員お話しのように、平成13年度から県単独事業として乾燥紀州材を利用した木造住宅の建設に対しまして、20万円を限度とした助成を行ってございます。
これまで申込者数につきましては、年々増加しておりまして、本年度は約2倍の406名の申し込みとなってございます。
県といたしましては、厳しい財政事情の中ではございますが、今後とも木材の関係者、建築・設計関係者等の意見も聞きながら紀州材を活用した家づくり支援に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○副議長(坂本 登君) 教育長山口裕市君。
〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 新規卒業予定の高校生の就職内定状況と対策についてお答えいたします。
雇用状況の悪化に伴いまして、昨年に比べてさらに本年の就職状況は極めて厳しく、今後、就職が決まらずに卒業する生徒ややむなく進学へと進路を変更する生徒がふえる可能性があると懸念しております。
県教育委員会では、和歌山労働局及び県労働関係部局等と連携をし、さまざまな対策を講じているところです。経済5団体に対する求人要請につきましても、7月に続いて10月に重ねて行いまして、雇用拡大の協力を強く要望してまいりました。
また、就職が内定していない生徒に対しては、企業の合同面接会の機会をふやし、11月から県内各地で計6回開催しているところです。さらに、高等学校の就職担当教員等とハローワークやジョブカフェにおいて就職支援に携わっている支援員との連絡会議を設置いたしまして、就職関連情報を共有するとともに、こうした支援員等の協力を得て生徒1人1人の希望を丁寧に聞き、求人情報と照らしながら手厚く支援する体制を整えているところです。
議員御指摘の就職を支援する人の配置につきましても、前向きに検討してまいりたいと考えております。
今後とも1人でも多くの生徒の希望がかなうよう、各学校とともに全力を挙げて取り組んでまいります。
以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
〔「ございません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
40番奥村規子君。
○奥村規子君 答弁をいただきました。それで、後期高齢者医療制度について再度質問をさせていただきたいと思いますが、先ほど事例でAさんと申し上げましたが、その方のことをもう少し知っていただきたいと思います。
Aさんという方は、88歳で、女性の方です。現在はひとり暮らししてるわけですけども、若いとき、20歳過ぎのころから台湾のほうに渡り、そして広東に行き、軍の賄いをしながら生活をして、その後、終戦を迎え、そのときには大変な思いをされたわけです。当時は固まりで──1人1人じゃなくって、この方の場合は11人ほど固まって、夜も含めて逃げたわけですけども、そのときに生まれたての子供も一緒だったんです。同じその11人の固まりの中でも、集団の中でも、そういう小さい子供を抱えながら逃げ回ったと言われていました。そして、子供が泣くので川に捨てたということを言われてるんです。それは一緒に逃げ回っていた人たちの中で、子供が泣くとみんなにも危険が及ぶので川に捨てざるを得なかったと、そういった経験をされ、自分の子供は幸いにおとなしかったので、泣くことがなかったので助かったと。そういった経験をしながら生き延びて、戦後をずっと過ごしてきたその方が、今、歩けるうちに、紀の川まで歩けるというふうに言われています。そして、その大変な中で、死ぬことさえ、寝たきりになったらできないのでというようなことも言われていました。
先ほどは無年金でと言いましたので、息子さんからの2万円のお金で何とかやっているので、こういう生活保護の制度もありますよという話もしたんですけども、その2万円を持ってきてくれる息子さんとの関係がそれで切れてしまうんじゃないかと、そういう思いで、それでもその2万円を持ってきてくれるので、息子が家に訪ねてきてくれると、そんな思いで過ごしてるその方を本当に──知事は先ほど社会保障で、こういったことを皆さんが負担していくということでは、あちらが立てばこちらが立たず──こちらが立たないんですよ、この高齢者の本当に大変な人が。そういう思いでやはりせっかく──これを廃止するというふうになってるこの制度に対して、私は知事がどんなふうに思われてるのかを問いたかったわけです。
その点で──こういったお年寄りは別に特別なお年寄りではないと思うんです。この方のことをどう思われるのかを再度質問したいと思います。
それと、福祉保健部長にもう一度お尋ねするんですが、こういう方たちが短期保険証を受け取るわけです。先ほど、短期保険証になった人に丁寧な相談とかそういったことでお話しされていましたが、短期保険証を発行しなければいけない時点で、この方たちの本当に非課税とかいろんな状況、税金の納めてる状況やいろんなことがわかると思うんです。そのときになぜやっぱりきちっと相談や──それでまた、いろんなことを本当にお話しできるチャンスでもあると思うんですが。
今先ほどの中でも300何人ほど現在あると。これもわかっていることだと思うんです。だから、資格証を発行するということで、悪徳かどうかでない──悪徳でお金を持ってる人は、もう払わなかったら、お金を持ってるんだから医療にもかかれる可能性が高いと思うんですけど、この仕組みはやっぱりそういった所得が厳しい人たちに対しても非常に冷たい制度だということを私は感じているんです。
そういう意味でも、ぜひこの資格証は、特に大変な人には発行しない。和歌山県としてもやっぱり発行しない。また、短期保険証の場合は、発行する前にやはり丁寧に相談して、何らかの支援もそれと同時に考えていくということで、非常に温かい政治になっていくんじゃないかと思うんです。
私は、知事の県政報告会というところにも行かせていただいたんですけど、やっぱり先ほども、政治は正義でなくっちゃいけないと言われたその思いを、社会保障制度をよくしていくという中でも厳しい暮らしを、この雇用が大変な中でも一層厳しい状況になってると思うんです。そこへぜひ心を寄せていただいて、こちらが立てばあちらが立たずじゃなくって、立たないその状況の中で支援をぜひしていっていただきたいなと思います。
再質問は、先ほどの短期保険証の発行のあり方、それについてぜひ答弁いただきたいのと、この女性がこんな思いをしてるこの状況に対して知事がどう思われるのか、ぜひ答弁をよろしくお願いしたいと思います。
○副議長(坂本 登君) 再質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 今の奥村議員の再質問にお答えしたいと思います。
奥村議員が言われたそのAさんという方に対する同情とか、あるいはその方を何とか救ってあげたいなとか、そういうような気持ち、それから一般に言えばこういう方がいろんな事情でたくさんいらっしゃるのを何とか全体として泣く人がないように、見捨てないようにするということが大事なことであって、それをどうやって何とかしていくかなということを考えようという意味においては、私は奥村議員に落ちるものではないというふうに思います。
ただ、政治とか行政とかいうのは、それをどういう制度によって救い、その制度をつくることによって、ある目的を達するときに他の目的、例えば増税になったり、ほかの負担者の方が不公平だと思われることのないような、そういう制度をつくることによってできるだけ多くの人を助けるというのが多分政治の提要であるというふうに思います。それが私のような立場にいる人、それから奥村議員のような議員さん、あるいは、もっと言うと国政をあずかる、本県で言えばそのとおりですが、そういう方々が本当に真摯に考えなきゃいけないことだというふうに思うわけでございます。でございますので、私は先ほどのような答弁をさしていただいたということでございます。
○副議長(坂本 登君) 福祉保健部長北田佳秀君。
〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 短期被保険者証の議員御指摘のような被保険者への対応についての再質問にお答えいたします。
短期被保険者証の交付につきましては、その交付前においても市町村が滞納者の方と納付相談を行うということが必要と考えております。私どもとしても、市町村が滞納者の収入や生活状況を把握し、保険料の分割納付など、その方の状況に応じた適切な納付相談に努めた上で短期被保険者証を交付するよう市町村と後期高齢者医療広域連合を指導してまいりたいと、そのように考えております。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再々質問を許します。
40番奥村規子君。
○奥村規子君 あと、要望だけさせていただきます。
高校生の来春卒業される方の、非常に厳しいということではおっしゃってくださったんですが、私も娘が就職するときには本当にいろいろと悩んだり、就職状況の中で十分選択できるとか、そういうことではない状況もある中で、今、親御さんの気持ちとか保護者の皆さんというのも大変な思いを、何よりも当人が大変な思いをしていると思うんです。
そういった中で、先ほど答弁の中でも、関係者の皆さん、できるだけ全力をかけてとおっしゃってくれたんですが、この高校生というのは、教育委員会の進路状況という中でも、和歌山で就職するという方が本当にたくさんいらっしゃるんですね。ここでは和歌山県69.5%って──20年度ですけども──書かれてる中で、これから本当に和歌山を背負って、和歌山で開いていく貴重な人材の方をぜひ、私は、できるだけ多くではなくて、1人1人を大切にするということではやっぱり100%何とか就職ができるように、そういうことをぜひ県挙げて力を注いでいただきたいなあと強く思います。ぜひよろしくお願いしたいなあ。
以前、京都での知事をされた方が「15の春は泣かせない」と、全員高校入学のことをそういうふうに言われた中で、本当に全員、18歳の子供を泣かせないというつもりでぜひ取り組んでいただきたいなと切にお願いいたします。
もう1つは、自立支援法の中で、ことし単価、報酬が引き上がったりして改善してる部分もあるということも言われたんですが、実際、先ほどの質問の中にも、働いている人の中で、確かにまだまだ実感できない、もともと非常に賃金が低かったところに改善されたというところはあると思うんですけど、やはり今の改善された中でも大変な状況ということでは、ぜひ実態をつかんでいただきたいなあというふうにまた思います。
ぜひよろしくお願いして、再々質問を要望としてよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○副議長(坂本 登君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で奥村規子君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
9番服部 一君。
〔服部 一君、登壇〕(拍手)
○服部 一君 議長より許可をいただきましたので、一般質問と質疑1件をさしていただきたいと思います。
質問に入ります前に、欧州のトッププロモーションの御報告をさしていただきたいと思います。7日間を簡潔にわかりやすくまとめましたので、余り時間がかかりませんので、御清聴、よろしくお願い申し上げます。
去る10月19日から25日まで、仁坂知事を初め、坂本副議長、観光、食品関係の民間事業者の皆さんと一緒にフランスのパリ、イタリアのミラノ、そしてローマを訪問し、本県の観光と物産のプロモーションを実施するとともに、関西国際空港の関西空港株式会社の方々と関西空港のエアポートプロモーションも実施してまいりました。
10月19日、昼ごろに関西国際空港を出発し、直行便で約12時間半でフランスのパリに到着しました。
まず、20日の午前には、食品関係企業6社とともにパリの日本食材店イセを訪問いたしました。イセは、ミシュランの星つきシェフも通う高級日本食材を取り扱うお店で、黒田社長からパリでの日本食材の動向や商品取り扱いの方針などを聴取した後、参加企業は、持参した商品を説明するとともに、実際に試食・試飲をしていただき、個別の商談を行いました。
次に、ジェトロ・パリ・センターを訪問し、フランスの経済、貿易、投資の状況についての説明を受けました。フランスでは日本食のお店が大変人気で盛んでオープンしており、フランス料理にしょうゆやポン酢を使うシェフも多くなってきているとのことでした。また、ビジネスはターゲットを定めて行うのが効果的といったアドバイスもいただきました。
夕刻からは、齋藤大使を初め、現地の日本大使館の皆さんの御協力を得て、パリ市内の大使公邸を会場に、本県の観光物産プロモーションを実施いたしました。各界からの招待客約140名の出席のもと、仁坂知事からパワーポイントを使用したプレゼンテーションが行われました。和歌山へのアクセスの説明の後、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」を初め県内の特色ある温泉や海岸、そしてすばらしい旅館など、和歌山県の観光の魅力を語っていただくとともに、果樹やジュース、梅酒や梅干、しょうゆなどの県産品やクエ等を初めとする海の幸など、観光と物産の魅力について説明いただきました。
レセプションでは、県産品を使用した料理や飲み物が提供されるとともに、同行した観光事業者や食品事業者がブースを設け、観光資源や県産品の展示、試食・試飲を行い、本県からの参加者が力を合わせて観光地としての和歌山県の魅力、そして県産品の魅力を大いにアピールし、出席された方々に大変好評をいただきました。
翌21日の朝には、知事、食品事業者の皆さんとともに、パリ市内に数箇所あるマルシェ──市場です──高級住宅街にあるマルシェ、プレジダンマルシェを視察いたしました。新鮮な果実や野菜、魚介類のほかにフォアグラやチーズ、ウサギの肉などといったフランスならではの食材も豊富に並んでおり、多くの人が買い物をしていました。
その後、世界的に有名な出版社であるミシュラン社を訪問し、ガイドブック部門の最高責任者に面会しました。ミシュラン社の「グリーンガイド」と呼ばれる旅行ガイドブックはヨーロッパ全域で大きな影響力があり、現在、本県の高野山が最高の3つ星評価、熊野が2つ星の評価を受けているところです。
その後、1852年創業──約157年前ですが──世界最古と言われている百貨店ル・ボン・マルシェの食品館を視察いたしました。パリで食品専門館を持っている百貨店はここだけとのことで、スイーツ、果物、生ハム、魚介類、ワイン、調味料等、あらゆる高級食材がそろっていました。
また、午後は、1958年創業──約51年前で──フランスのスーパーマーケットチェーン、カルフールの郊外店を視察いたしました。カルフールは世界各国に展開しており、世界第2位の売り上げを誇り、店内には衣類から雑貨、食品まで数多くの商品が販売されていました。販売されていた果物の種類も豊富で、ほとんどがフランス国内産またはEU地域内産のものでした。
その後、夕方からパリからミラノに移動しました。ミラノでは、食品事業者の皆さんとともに、まずジェトロ・ミラノ・センターを訪問し、ミラノの経済、政治動向についてのブリーフィングを受けました。イタリアと日本の輸出入の関係を見ると、全体がマイナス成長の中、加工食品、飲料等は輸出で12.2%の増、輸入で8.3%の増となっているとのことでした。
次に、ミラノでの日本食の動向調査と訪問団各社の商品紹介のため、現地の高級百貨店ラ・リナシェンテを訪問し、食品購買担当部長との意見交換等を行いました。ミラノの百貨店で食品フロアを持っているのはリナシェンテだけで、食品にも力を入れているとのことで、食品フロアには回転ずしのコーナーもありました。また、現地のスーパーマーケット、スタンザも訪問し、店舗の視察や店長、購買担当者との意見交換を行いました。現在、日本食材は取り扱っていないとのことでしたが、将来を見据え、県産品のPRをしてまいりました。
夕刻からは、東総領事を初め、現地の在ミラノ総領事館の皆さんの全面的な御協力のもと、総領事公邸を使用させていただき、約40名の招待者の御参会のもとで本県の観光、物産プロモーションを開催いたしました。今回の訪問で、イタリアのアッシジ市と文化・観光相互促進協定を締結された高野町長も参加され、本県の観光と物産のPRを行いました。
イタリアでの本県の認知度の向上はまさにこれからであると感じられましたが、多くの方が知事の説明にも真剣に耳を傾け、本県からの参加者に熱心に質問するなど、和歌山県に対する興味を強く抱かれたように見受けられました。
また、梅酒やジュース、しょうゆなど、各社の商品に興味を示す来場者も多くいて、輸出の可能性を感じたところです。この地でも参加者の評判は大変よく、まさに成功であったのではないかと思います。
23日早朝にはミラノからローマに移動し、到着後はすぐに関西国際空港株式会社の方々とともにアリタリア-イタリア航空本社を訪問しました。ミスター・ジョルジオ・カレガーリ上級副社長と会談を行い、イタリアから関西空港への直行便の増便等について協議をいたしました。
その後、コロッセオなどの世界遺産、ローマ歴史地区等を視察いたしました。その日はローマ市内はゼネストで、道路は大変混雑しておりましたが、いずれの観光地もたくさんの観光客でにぎわっていました。
さらにローマでは、イタリア政府観光省官房長官のミスター・カルロ・モディカ・デ・ハモク氏を訪問し、和歌山県の魅力について、また関西とイタリアの間で相互交流が進んでいることや、日本とイタリアとの相互観光交流の将来について活発な意見を交換してまいりました。
今回の欧州訪問は5泊7日で、フランスとイタリアの3都市を訪問するという大変強行なスケジュールでした。しかしながら、現地の大使館、総領事館の皆様を初め、多くの関係者の御協力のおかげで当初の目的であった本県の観光と物産のPR、そしてイタリアを代表する航空会社であるアリタリア-イタリア航空に対するエアポートプロモーション等をすべて成功させて帰国することができ、本当に実りの多いものとなりました。今回の訪問が今後さらに多くのお客様をフランス、イタリア両国から和歌山県へお迎えするきっかけになるのではないかと考えております。
大変強行なスケジュールの中でありましたけども、仁坂知事のバイタリティーと熱心さには感心をいたしました。水を得た魚のごとく、さすがミラノに3年、そしてブルネイで大使として務められただけあって、大使館や領事館では通訳なしで流暢で堪能であろうと思う英語でやりとりをするので、副議長とともに大変退屈な時間を過ごしました。
では、質問に入ります。
男女総合優勝を目指しての2巡目の和歌山国体に向けての取り組みと課題について、山口教育長にお伺いします。
年が明けますと、中丸5年余り。男女総合優勝を目指して、仁坂知事さんや県民の大いに期待するところであります。山口教育長を初め、国体準備課や関係者皆さんの施設づくりや選手の育成、指導に向けて本格的な取り組みに入られてるということで、大変期待と感謝をするところでありますが、果たして今の状況からいきますと、男女総合優勝をねらえるかなというちょっぴり不安もあるわけなんですけども、1回目の和歌山国体の男女総合優勝、団体・個人の成績もその後かなり上位であったわけでありますけども、どうしてか最近は最下位に近い位置で安定をしております。何でかなということも考えるわけなんですけども、しかし、これからの5年間頑張れば何とかなるだろうと期待をしております。
そこで、男女総合優勝を目指すとともに、国体後も競技力の向上を維持していくためにどうしたらいいかということについて4点ばかりお伺いしたいと思います。
今、現役の選手の方は、5年後は恐らく体力も落ちてくるだろうと考えられます。そこで、素質のある人材を発掘して指導していくということが必要になってくると思います。そこで、小中高の生徒の一貫指導の体制や組織づくりをしてはどうかと思うのでありますけども、これについてお考えをお聞かせください。
また、各競技における実力のある人材を確保する方法についてもお聞かせいただきたいと思います。
人材を確保しても、指導者の確保もしなければならないと思います。せっかく人材を発掘しても、今の学校の先生方においては専門的な指導のできる方が少ないように、私、思います。あらゆる角度から検討して教員の採用をしてはどうかと思うのですが、これについて考え方をお聞かせください。
また、技術を持ったOBの方にも大変お世話になってると思います。今後、そういったOBの方々や企業との連携を持って、力をかしていただくという考え方も方法もあるでしょう。こういったボランティアを中心にしてお世話をいただくOBや関係者に対しての、機会があれば検証ということを考えてもいかがと思います。
男女総合優勝を目指すのはまず目標でありますが、子供たちの体力づくり、競技力の向上は、学力の向上や健全育成につながり、よい幸福づくりや郷土愛につながってくるものです。教育長の2巡目和歌山国体男女総合を目指しての意気込みをお聞かせください。
次に、1件質疑をさしていただきます。
内航フェリー──南海フェリー利用促進事業について3点ばかり知事さんにお聞きしたいと思います。
内航フェリー、この南海フェリー利用促進事業についてですけども、今回の補正で、総務企画費の交通対策費で南海フェリー──に対して6000万円の負担金が提案されております。私はこの提案に対して反対するわけではありませんけれども、6月の補正で国の経済対策の交付金を活用して1億円の補助金が可決されたわけなんです。今回は一般財源から6000万円を補助するということなんです。この南海フェリーとしては、高速道路料金の無料化に対抗して、乗用車、あるいは徳島、和歌山のナンバーに対して1000円に値下げをして苦境に入ったような話を聞いておりますけども、いろんな相談をする中で、3者で委員会が構成されてると、私、聞いております。経営の内容も聞きながらの相談であったと思うんですけども、この6月の補正の1億、今回の一般財源からの6000万の負担金に至る経過についてひとつお聞かせをいただきたいと思います。
次に、この補正の予算と期間の延長についてであります。
社会実験として、この1億円を平成21年の7月の18日から22年の1月3日までの期間として、乗船においては随分と効果があったということでありますけども、観光の集客については最終どのような効果があったかということは、これはなかなかはじきにくいだろうと、このように思います。しかし、この新聞の報道によりますと、1億補助したのがどうやら1月の3日までに底をついてしまうと、こういうような記事が載っておりました。
そこで、この期間を延長して3月末までと、こういうことになるわけなんですけども、この点について延長をしていくという相談がどのような形でされたのか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
3点目なんですけども、今後の見通しについてなんです。
新聞の報道によりますと、南海フェリーの営業部長さんは、「延長はありがたいことでありますけども、高速道路料金の無料化が来年度以降されたら打つべき手がない」と、こういうようなコメントをこの新聞にされてるわけなんです。公共交通機関の存続は必要であると考えますけども、我が和歌山県の大変厳しい財政の折、観光立県を目指して取り組んでいると、状況からしまして。この観光客の受け入れや、主要地からこの目的地へのアクセス道路やこの施設の整備、私、まだまだ必要だと思うんです。端的に言いますと、よそごとやないんやないかというような気がするんですけども、この今後の見通しについてお答えをいただきたいと思います。
再質問はしませんので、1件要望をさしていただきたいと思います。
実は、JR和歌山線の活性化検討委員会がここ7~8年前に発足されてると思います。現在も存続をしてるわけなんでありますけども、そもそもこの担当は総合交通政策課が担当されてると思います。そもそもの発端は、このJR和歌山線のその当時の現状を見ますと、年間9億円の赤字が出てると。貴志川線においては5億の赤字だと。特に和歌山線においては99%税金を払う県民が乗ってるということの中で、何とかこの赤字解消と将来に向けての存続をやっていこうと、こういうことで和歌山沿線の自治体によって発足したわけなんです。
この運営については、自治体が負担をしているわけなんです。幸いにしてその貴志川線については、和歌山電鐵が乗ってきてからが、大変会社のアイデアがあるのか、経営がうまいんか、たまちゃんの駅長の人気があるのか、大変躍進をしてると、こういう状況なんです。今後、この検討委員会を通じて和歌山線の活性化を目指していくということになりますと、大変、それぞれの自治体の、駅に対する意見なりアイデアなり要望が出てきてるわけなんです。ところが、まだ何ひとつ実現ができたという状況になってはないわけです。そこへ、県として総合交通政策課が参画をしてるわけなんです。
そういうふうな状況からして、主導性もあり、アイデア、意見も言うという状況の中で、せめて少しの負担金を同じように出して主導性を持った参画をしてあげてはどうかなと、私、こういう考え方をするわけなんです。
この南海フェリーの6000万円についても質問さしていただいたというのは、よそごとでないんやないかという裏には、この和歌山線の沿線のやっぱり観光に向けた集客の条件というのはたくさんあるわけなんです。500万ずつ予算をつけたとしたら、30年やれるわけなんです。各自治体からも負担をする中で、JRとともにやっていけばこの1つの在来線の将来の存続ということが可能になってくると思います。ぜひ知事、そんな一遍にようけ出さんでもええさかいに、まあひとつ考えてみてください。この対応についてまた機会があったら質問をさしていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの服部一君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 内航フェリーの利用促進につきましてお答え申し上げたいと思います。
まず、南海フェリー株式会社が運航しております和歌山徳島航路は、和歌山と徳島を直接約2時間で結ぶ重要な移動、輸送手段であるとともに、災害発生時の緊急輸送手段の1つとして、また地球温暖化の防止に有効な──モーダルシフトと言うんだそうですが──そういうものの受け皿として非常にすぐれた公共交通機関であり、今後も継続してその航路の維持、活性化を図っていかなければならないものであると考えております。
考えてみますと、四全総のときから第2国土軸という議論がありました。実は何ひとつ実現してないんですが、その最後のよりどころが、あるいは辛うじて残っているよりどころが、実はこの南海フェリーだと考えております。和歌山にとってはぜひ守らなきゃいけない大事な手段だと思います。
その和歌山徳島航路につきましては、昨年、燃料高がありました。それから、その後、経済危機がありました。こういうものを企業努力で乗り越えてきて、あるいは乗り越えようとしているわけでありますけれども、本年3月から実施されました高速道路料金の大幅な割引で多大な影響を受け、結果として航路の存続自体が危惧される状況となりました。
高速道路料金の値下げは、国民の移動の促進や物流コストの低減などを目的に行われたものであって、そのこと自体は景気対策等々から考えると有効という議論もあるかと思いますけども、これまで一定の条件のもとで競争していたフェリー事業者などにとりまして、一方的な競争条件の変更ということになるわけでございます。
本来、国はこのような政策を実施するときには、他の交通事業者に与える影響を考慮して、均衡を保てるように一定の施策を実施することが必要であると思います。私は、昨年末に高速道路の大幅割引が伝えられたときから、これはフェリー等が大きな影響を受けるぞと思いまして、近畿ブロック知事会の活動や、あるいは自分自身の上京の機会があるごとに、国による均衡ある施策の実施を強く訴えてまいりました。ちょっと激しく強く訴えてまいりました。
しかし、国による効果的な施策は実施されることはございませんで、ゴールデンウイークのフェリーの利用状況も大変よくないというものでしたので、緊急避難的に徳島県と共同で、社会実験という手法で航路の利用促進事業に取り組みました。
現在、この事業は、一部乗用車を対象に高速道路が1000円となる土日祝日に実施しておりまして、事業がスタートした7月18日から11月30日までの乗用車の利用が前年比で152%になるなど、高速道路料金とのイコールフッティングを図ればフェリーの需要は非常に大きいと改めて認識したところでございます。とは言いましても、利用促進事業の対象外であるトラックなどは依然として利用が低迷しておりまして、安心できるところまで来たという状況には至っておりません。
また、この計算上、3分の1は事業者に負担さしておりますので、したがいまして、売り上げがふえたけれども利益は減るということに当然なるわけでございます。
こういう状況の中で政権が移り、さらに高速道路料金を無料にするという議論が行われております。無料化ということになりますと、フェリーや他の公共交通もさらに大きな打撃を受けるということは自明のことですから、私は現政権に対しても国の均衡ある施策の実施を要請いたしまして、あわせて当面の支援策について働きかけてきたところであります。
さはさりながら、高速道路の割引は今年度中は続けられる見通しでございますので、先ほど申しましたように、大変、ある意味では成功しまして、お金が実は予想よりもたくさん要るということになりました。そこで、議員の皆様の御賛同を得て、現在行っている実験を何とか3月末まで延長して航路の維持を図ってまいりたいと考えているわけでございます。
一方、新年度からは新しい政権がすべて責任を持って、これはもう一から企画をしてするということになります。無料化の議論も、依然としてどこをどうするんだというような議論がありまして、それについては午前中の審議で御議論があったところであります。それに対しては、当然、今後出てくる、いわば今回のような副作用もちゃんと手当てをすべきだというのは原則論だと思います。そういうことを実は政権が発足してもうすぐに何度も最高責任者の方のところへ行って提言をしています。お答えは、それはよくわかっておると。そういうことも踏まえて社会実験をしたいというようなことでございましたので、これはぜひそうしてもらいたいと期待しているところであります。
○副議長(坂本 登君) 教育長山口裕市君。
〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 2巡目国体に向けた取り組みと課題についてお答えいたします。
まず、一貫指導の体制・組織づくりにつきましては、従前より実施のハイスクール強化校指定事業に加えまして、平成18年度には小学生を対象にゴールデンキッズ発掘プロジェクトを、また中学生を対象にジュニアハイスクール指定事業を立ち上げまして、一貫指導の体制づくりに努めてまいりました。
また、小中学校に部活動のない競技種目等につきましては、各競技団体において小中学生を拠点施設に集め、きのくにジュニアトレーニングセンター事業を実施して競技力の向上に努めてございます。
今後、さらに小中高校の優秀指導者の養成確保に努め、より一層の一貫指導体制の推進を図ってまいりたいと考えております。
また、教員採用検査におきましては、教員としてすぐれた資質を持つ方を確保するため、さまざまな工夫をしてまいりました。その1つとして、本年度からスポーツ、芸術分野においてすぐれた実績、成果をおさめる過程で培った意欲や行動力、精神力を評価するための選考を実施しております。この選考により、すぐれた人材の確保が行えるものと考えております。
また、黒潮国体におきましては、体育指導員が中心選手として活躍するとともに、終了後も本県の高い競技レベルを長く維持する上で大きな役割を果たしてきたことは、御承知のとおりでございます。
体育指導員につきましては、平成14年以降募集停止になっておりまして、現在、企業等に協力を依頼するとともに、教員採用検査に特別選考を導入しまして、その中で優秀競技者の確保に努めているところでございます。
県教育委員会といたしましては、来る和歌山国体での男女総合優勝に向け、議員御提案の競技力向上を視野に入れた人材確保の方法について、今後、関係部局と協議しながら研究してまいりたいと考えます。
小学生年代の指導につきましては、議員御指摘のとおり、子供たちを育成する中で、学校のみならず、地域において育成することも重要な方策であると考えております。本県では、現在、いつでも、どこでも、だれでもがスポーツに親しむことができる総合型地域スポーツクラブを育成しております。現在創設されている総合型クラブはまだ楽しみ志向、健康志向などのクラブが多いものの、本来はジュニアの一貫指導を行うことのできるクラブとしても期待されているものでございます。
今後は、6年後の和歌山国体を見据え、ジュニアからの一貫指導による競技力向上に向けた地域スポーツクラブと協議団体とが個々に取り組んでいるジュニアスポーツクラブを組織化する方策等について、議員御提案の地域のスポーツ指導者に対する顕彰制度も含め、検討を進めてまいりたいと考えます。
最後に、第70回国民体育大会での男女総合優勝の獲得に向け、競技団体の組織強化、指導者の資質向上、競技者の育成強化、企業等の支援・協力等の競技力向上施策を計画的、継続的に展開いたしまして、元気な和歌山を全国に発信できるよう取り組んでまいりたいと考えます。
以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 以上で、服部一君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時25分散会