平成21年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 44番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。
 第1の柱は、中国訪問の報告と、それにかかわった質問です。
 12月4日には山東省代表団が来県され、私もマリーナシティで開かれた歓迎レセプションに参加させていただきました。その前、この秋、日中友好協会和歌山県連合会と海南支部による中国四川省への友好訪問を行い、私はその団長を務めさせていただきました。お手元にその報告のパンフレットをお配りしています。
 日中友好協会は、日中国交回復以前から活動してきました。大変苦労したのは、1960年代、中国で文化大革命なるものが起こったときでした。中国国内で何が起ころうとそれは中国の国内問題ですが、厄介なのは、当時、特定指導者への個人崇拝が求められたことでした。日本共産党も日中友好協会もそれを拒否しましたから、中国との交流はできなくなってしまった。その後、中国共産党も中国政府も、文化大革命とその路線の対外的な押しつけが大きな誤りであったことを認め、私たち日中友好協会も中国と交流できるようになったのでございます。今回は、その関係が正常化して以後、和歌山県連、海南支部合同で企画した第5次訪中団でございます。
 昨年の5月、四川大地震が起こりました。多くの皆さんが支援活動をされましたが、私たちも義援金を募り、街頭カンパを行い、領事館にお届けしておりました。こうした経過もあって今回の友好訪問になったものでございます。
 四川省人民対外友好協会では、秦琳会長などが対応されました。地震へのお見舞いを申し上げるとともに、私たちの協会は侵略戦争への反省に立って日中不再戦の運動を進めていること、また中国側が不当な押しつけをしてきたときも決して屈せず、対等・平等の友好を求めてきたことを紹介し、和歌山の世界遺産を紹介した観光パンフレットや和歌山のおいしい果物のパンフレットもお渡しいたしました。
 その後、震災被災地を視察し、学校訪問したんですが、徳陽市対外人民友好協会、林主任に同行していただきました。この視察地は、震災の後、モニュメントとしてそのままで残しています。広い中国だからできることですが、災害の大きさを実感することができました。同時に、使われている鉄筋が少ないことなど、児童が死亡したことについて手抜き工事だと批判が上がったこともうなずかれるなという感想もありました。
 私たちの訪中は、こうしたいわば野党外交のようなことをしてくるわけでございます。
 ちなみに、4年前の第3次訪中団は杭州を訪問したのですが、このときは、杭州の景勝地である西湖と和歌浦が大変よく似ていること、江戸時代に不老橋周辺の和歌浦は西湖の景観を模して整備されたと言われることを紹介し、この場所が中国の国父孫文と南方熊楠が旧交を温めた地であることを紹介したのでした。
 こうした日中友好交流活動を踏まえて、幾つかお伺いしたいと思います。
 まず、和歌山県としての中国との交流です。
 貿易経済交流相手国としての中国の比重はますます大きくなってきています。県としては、山東省との友好関係を積み上げてこられたことは大変結構なことです。しかし、中国は広い。杭州の西湖と和歌浦との縁など、いろいろある。海南の家庭用品業界などは、上海を初め各地域に進出しています。たまたま本日、遼寧省の代表がおいでになるということで、私もお迎えの会に参加したいと考えています。和歌山県として中国との交流についてどういう可能性を考えておられるのか、知事にお伺いいたします。
 第2に、日中友好団体など民間団体と県行政の関係です。
 県として、国際交流の取り組みとともに、日中友好など国際交流を進める民間団体があると思います。かつては特定の団体だけに助成するという時代もあったのですが、今はそんな時代ではありません。広く国際交流を進める取り組みを応援することが大事ではないかと考えますが、いかがでしょうか。知事への質問です。
 第2の柱は、津波・地震対策の問題です。
 四川省訪問から、防災対策を一層進めなくてはならないと感じて帰ってきました。その後、近畿の議員フォーラム防災分科会に出させていただき、そこでも改めて勉強させていただきました。
 私の地域海南市は、何といっても南海・東南海地震対策の問題が一番心配です。今後30年の間に南海地震が起こる可能性は50%、南海・東南海地震の確率は60%から70%と言われます。同時に起こるかもしれない、別々に起こるかもしれない。どちらか一方が起こる可能性は80%から90%になるでしょう。
 政権交代が行われて公共事業の見直しが行われています。私は、最近、見直してもいい、あるいは見直さなくてはならないものと、絶対に見直してはいけないもののめり張りをつける必要があるのではないかと考えています。見直してもいいものについては後から申し上げますが、和歌山下津港海南地区の津波防災堤防は、絶対に守らなくてはならないと思っています。
 海南市では、6月、国土交通省の方もおいでいただいて津波防災シンポジウムが行われました。国土交通省の方からは、津波防災についての海南市民の熱意を受けて、地球温暖化防止に努めることをドゥー・キョートと言うのになぞらえて、津波対策に努めることをドゥー・カイナンと言われるようになる津波対策の先進地にしましょうというお話もあったわけでございます。この事業はどんなことがあっても守らなくてはならないと思っていますが、知事の認識と見通しと決意をお伺いしたいと思います。
 次に、津波防災堤防の事業が進んでも津波はあす来るかもしれません。「逃げ切る!」プログラムの実行が大変大事だと思います。海南市は、大変広い住宅地が、かつての南海地震津波では大きな被害を受けました。その後の埋め立てで湾が狭くなり、一層大きな被害が心配されます。
 以前、県の担当者から、海南市の避難計画は県内でも進んだものですとお聞きしたことがありましたが、その計画では、平地の住民は山手高台に逃げることになっていました。私の事務所は海南市の東山という地域にあります。私が小さいころ、南海地震では2階への階段の上3段を残して水につかった地域です。自治会のお世話をいただいている方は、高台に逃げてくださいと訴えても、とてもそんなところまで行けないというお年寄りが多いと嘆かれます。サポートする若い人も大変少ないわけです。近所の年配の奥さんにどうするのとお聞きすると、「私は近くのK病院に駆け込むつもりやよ」とおっしゃいます。本音と建前の乖離があるわけであります。
 そんな中で、津波から「逃げ切る!」プログラムに盛られている津波避難ビル、暫定的緊急津波避難ビルというものが大変現実的であり、いい考えだと私は思っています。ところが、津波避難、暫定緊急避難ビルの指定がまだまだ少ないのです。近所の奥さんが逃げ込む予定のK病院は含まれていません。ある学校の裏にお住まいの方からは、津波のとき逃げ込めるように裏門のかぎをあけられるようにしてほしいという要望をいただいたことがあるんですが、それもその学校が避難ビルに指定されていなければできないでしょう。
 これは市町村がやればいい問題ですが、県としても、プログラムで呼びかけているわけですから、市町村にもっと積極的な指定を呼びかけるし、公共的な性格を持った建物には協力を呼びかける。そんなに費用をかけなくても本音と建前が一致した逃げ切りができると考えますが、いかがでしょうか。危機管理監にお伺いいたします。
 さらに、近畿のフォーラムでも議論になった1つですが、住宅の耐震補強の問題です。耐震補強といっても、200万円もかけてそんなに補強ができるものではない。命が助かることを中心にして最低限度の補強への補助ができないのか。フォーラムでのコーディネーターの先生も、10万円でもできる補強を技術的にも検討しなければならないと強調しておられました。
 そこで質問ですが、住宅の耐震診断はどこまで進んでいるのか。耐震補強の補助金はどこまで活用するのか。活用を広げるためには部分的耐震に補助ができるようにしなければならないと思いますが、いかがでしょうか。県土整備部長からお答えください。
 第3の柱として、道路を初めとする公共事業についてお伺いいたします。
 民主党政権が誕生し、八ッ場ダムの建設中止など大きな話題になりました。さらに事業仕分けなどを進めていますが、無駄な事業を削るとともに、国民の暮らしに必要な施策まで削ってしまうのではないかという懸念の声も聞かれます。
 そこで、私は、国政レベルでも地方政治の側からも、削ってもよいもの、あるいは急がなくてもよいものと守らなくてはならないものの議論をすべきときが来ていると思います。地方自治体の側からも、急がないもの、削るべきものは洗い出すべきです。それは、地方にいる者が一番よくわかっているからです。同時に、正直者がばかを見ることにならないように、地方から削ることを提案したら、「そうか、そうか」と削られるだけで結局損をしたというようなことにならないように、地方が本当に必要な要望を尊重するという中央と地方の信頼関係が築かれなくてはなりません。
 私は、自分の地域で建設中の道路をぜいたく道路だと批判したことがあります。それは、海南市日方川沿いで拡幅中だった都市計画道路日方大野中藤白線というものでした。1980年ごろ、都市計画道路の線引きがなされた。高度経済成長の行け行けどんどんの時代に引いた線引きをそのまま引きずって、全体の計画が完成する見込みもないのに部分的に当初の計画どおりに進めているということからこんなことになるというのが私の主張でした。その年の5月1日の新聞の1面に報道された「和歌山県 都市計画道見直し 全国で初めて」という施策に私の質問は結びついたというふうに自分では思っています。
 いま1つ、私はこんな大きな道路をつくらなくてもいいと主張してきたのが国道370号阪井バイパスであります。2006年の予算委員会で、阪井バイパスは必要であるし急いでほしいが、現道も使えるのだからバイパスは2車線でいい、しかも傾斜のあるところを道路が通るわけで、幅20メートルを半分にすれば道路設計もしやすくなるという意味のことを申し上げたのですが、その後、海南市議会でも論議されていますが、4車線道路であるために当局も交差部分だけとれば使い勝手は悪くなるとして、バリアフリー法との関係で改善が課題にされています。それでも、計画どおりの用地買収が始まった段階で、私は本来の主張は変えていませんが、しかし、完全に私の思いどおりでなくても、バイパス計画は早く進むことが海南市のためにいいと考えて、大筋では推進をしてまいりました。
 しかし、今、政権交代で状況は変わりました。さまざまな分野で事業仕分けが行われている。改めて4車線が必要なのかどうかを問い直さなくてはならないと思います。
 そこで、質問です。
 第1点、地方として国から予算をたくさんとってくればよいということでなく、実情がわかっている地方の側から精査する、無駄を削る、そして、正直者がばかを見るということのないような地方と政府の信頼関係をつくれるように政府に対しては要求していくということが必要だというのが私の考えですが、知事はどうお考えでしょうか。
 第2点、削ってもいいものと守らなくてはならないもののめり張りをつけていく。その中で、阪井バイパスは2車線でもいいと私は考えるものですが、知事も、もう一度そのことについて検討をお命じになってはどうかと考えますが、いかがでしょうか。
 第3に、公共事業の精査が求められる時代には、1.5車線道路という考え方が大事だと思います。都市計画道路の見直しということは今も生きているのでしょうか。どういう見直しが検討されているのでしょうか。県土整備部長にお伺いいたします。
 さらに、国道42号海南市から有田へのバイパス道路、400億円かけて10年かけて実現することを目指していました。私はその推進の立場ですが、果たして計画どおりに進むのでしょうか。これがさらに大きく延びるとしたら、完成したとき交通量がどうなっているかわかりません。
 海南から有田への交通で言いますと、阪和自動車道海南─有田間は近く4車線化が完成します。有田から先はまだ時間がかかるでしょう。国道渋滞を少しでも緩和するために、ここに完成した社会資本を最大限に活用する道は何か。それは、4車線化実現と同時に海南─有田間を無料化することだと思います。私は、高速道路などの無料化を急ぐべきではないと思っています。しかし、特定の道路を選択的に無料化することはやったらいい。その典型的なものが海南─有田間だと思います。しかも、それは前原国土交通大臣が言っていることとも矛盾はしない。攻勢的に建設的な提案をしていくべきだと考えるものですが、いかがでしょうか。知事のお考えをお伺いいたします。
 第4の柱は、亀の川水系河川整備計画と、その周辺の治水対策であります。
 先月、海南市の亀の川をよくする会で、県政おはなし講座を利用して亀の川の改修計画の説明をいただきました。自治会の役員さんや亀の川の治水に関心を持っている方の参加がありました。県政おはなし講座というのは大変いい施策だと思っています。
 ちょうど先月11日の集中豪雨の直後でしたので、切実な浸水問題についての実情が出されました。海南市では、室山団地や岡田地区が浸水で通行禁止になったのです。それは、一部県管理になっている大坪川の水が亀の川に十分流れないという問題でした。そのことを踏まえて県土整備部長にお伺いいたします。
 亀の川水系河川整備計画で、岡田地区、室山団地、紀三井寺団地などの浸水問題はどう解決される見通しをお持ちなのでしょうか。また、それ以前に岡田地区、室山団地を流れる大坪川の排水の改善が急がれます。排水機場や遊水池など、大坪川のはんらん対策を急ぐ必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 最後に、教育問題、学校規模と学力、そして部活動での通学区弾力化の問題にかかわってお伺いしたいと思います。
 義務教育ニュービジョン研究会報告というものが出されています。そこでは、中学校は1学年3学級、小学校は1学年2学級が適正規模だとして、統合を推進することを提言しました。私はこのような統合ありきの方向に誘導することには批判しますが、余りにも学校規模が小さくなってしまった学校では、もう少し大きな集団の中で子供に学校生活をさせたいという要望も出てきます。小規模学校のメリット、デメリットなどを示した上で、学校統合は保護者、地域住民の合意で進めなくてはなりません。
 そこで、子供の学習にとってどの程度の学校規模が一番いいのだろうか。県教育委員会は毎年学習状況調査を実施して、その正答率を学校ごとに公表してきました。そのことについては、私は批判をしてきました。学校間の差別化などいろんな問題を起こすのではないかと今も心配し、しかし、現にデータは公表されているわけですから、そのデータを使って私なりに検討してみました。
 お手元にグラフがございます。中学校の適正規模と言われる3学級というのは、35人学級として、71人おれば3学級になるわけです。これが適正規模とされています。私は、1学年25人未満、25人から70人まで、それから適正規模と言われる3学級、71人以上──もちろんこれは小集団の学級があったりいろいろありますが、大まかな話です──3つに区分をして、中学校2年生の英語、数学、国語で正答率を示したものをお示ししました。県立中学校、附属中学校は、これは特別扱いで別にしています。
 グラフによりますと、どの教科を見ても、適正規模と言われる3学級の中学校よりも小規模の中学校のほうが教科学習の到達度が高いことがはっきりと示されます。もちろん、教育の評価は教科学習がすべてではありませんが、しかし、そのことが大きな部分を占めることも否定できません。小規模学校では、学校としてのまとまりとともに1クラス20人というような小規模学級が多くなっていることも、こうした結果につながっていると思います。
 こうした学校規模と学力の関係についてどう認識しておられるでしょうか、教育長にお伺いいたします。
 ところで、小規模校の中学校で悩みとなり、また保護者からも不満として出されるのが、部活動、特に運動部活動が十分にできないという問題です。中学校時代のスポーツは特定のスポーツに特化しなくてもいいという考えもありますが、できればやりたいというスポーツはできるだけ希望をかなえてやりたいという思いもあります。
 しかし、県教育委員会がこのたび導入した部活動のために義務教育の学区を弾力的に運用するという指針には大きな懸念を抱くものです。指針の一部がひとり歩きして、比較的小さい中学校が一気に過少規模の中学校になってしまうというようなことが起こり得るのではないか、教育全体に大きなデメリットを生みはしないかと心配しています。むしろこうした問題は、個々の学校の枠でなく、社会体育としての地域のスポーツクラブでその要望にこたえるなどしていったほうがいいのではないか、あるいは学校管理下の部活動にしても幾つかの学校の連携で対応できないのだろうか、そういうことを考えるわけですが、いかがでしょうか。教育長にお答えお願いします。
 以上で、私の第1回目の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 御通告に従いまして、私に答えよということでございました点について申し上げたいと思います。
 まず、第1に中国の関係でございます。
 中国は長年にわたりまして高度経済成長を続けております。また、昨年からの世界経済危機からも比較的早く立ち直り、かつての世界の生産基地から世界経済を牽引する大消費地へ変貌を遂げていってもらいたいなという流れであります。
 県では、友好提携先である山東省における本県企業と現地企業との商談会を継続して支援しているほか、県産食品の有力な輸出先として上海や香港で展示や販売の促進を行うとともに、中国から本県への観光客誘致にも積極的に取り組んでおります。
 今後とも、本県と友好提携を締結している山東省はもとより、中国との経済的結びつきをさらに強化するとともに、日本のよき隣人としてさらに友好を深めていきたいと考えております。
 次に、津波対策でございます。
 海南地区の津波対策事業につきましては、本地区は公共機関や主要な産業が集結し、津波による被害が甚大で復興の長期化による県経済への影響が大きい地域であることから、津波浸水対策は、議員同様、重要な事業であると認識しております。
 県といたしましても、今後とも予定どおりこれが進みますように国に対して強く働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、道路の関係でございます。
 まず第1に、地方の側から経費節減を積極的に提案してはどうかということでございますが、当県に関しましては、地域に合った無駄のない計画とすることは、これは当然でありまして、幅員、構造の検討、精査を行い、コスト縮減を図った上で国へ予算要求をしております。すなわち、ひょっとしたらどこかでそうかもしれないと世の中で言われておりますが、補助金につられて無駄な公共事業をお願いするとか自分がやるとか、そういうことはないようにしております。
 また、コスト縮減した経費については、実は制度的にも当該箇所や県内の他の箇所の事業促進が図られるようになっておりまして、それに努めております。
 今後とも、財政状況が厳しい中、実情がわかっている地方が計画を策定する際には無駄な部分が生じないように精査をして、県民にとって一番必要な事業をより効率的、効果的に推進するよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、阪井バイパスでございます。
 本県については、御承知のように財政状況が厳しい。どこでもそうでございますが、高速道路はもとより、府県間道路、内陸骨格道路などの幹線道路について、選択と集中により重点的に整備を進めなきゃいけないということでございます。
 このバイパスが2車線で十分だという御意見につきましては、一般論として言うと、それが客観的にもそのとおりであるということになれば、過去の行きがかりなどにこだわることなく計画を見直すことをちゅうちょするものではありません。
 しかしながら、本件については、現実に計画交通量がパイバスと現道を合わせまして2万台以上であるということが計算上出ております。したがいまして、渋滞することのないよう、バイパスには4車線がこれは必要だというふうに判断しているところでございます。
 なお、整備については、海南市や紀美野町及び市町議会など地元からも機会あるごとに要望をいただいておりまして、できるだけ早く供用が図られるように引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、阪和自動車道の海南─有田間を無料化してはどうか、こういうことであります。
 4車線化が実現する阪和自動車道海南─有田間を無料化にして国道渋滞緩和をすべきだと。御指摘のとおり、今般の公共事業費の削減方針によりまして、有田海南道路の整備の進捗については実は正直申しまして大変懸念しているところでございます。
 有田海南道路は国道42号の渋滞対策のために計画されたものでありまして、その渋滞は、主として有田市周辺から海南市、和歌山市へ至る比較的距離の短い交通によって生じております。阪和自動車道は旧吉備、有田川町を通っておりまして、そういう意味では、議員御提言の阪和自動車道海南─有田間の無料化による渋滞緩和効果には、有田市に関するとしますと、有田市と有田インターが離れているために、現道の国道42号から阪和自動車道へ回り込む交通はある程度見込まれるものの、有田海南道路の整備が不要になるほどの渋滞緩和効果は期待できないなというふうに思います。
 また、私どもが望んだとしても、現在の国土交通省の幹部、政策を行っております方々は、非常に原理原則論を重んずるかたい政策方針に立っていると私は思っています。しばらく一部だけ無料にしてくれというような柔軟な発想はなかなか通りにくいんじゃないかなというふうに私は思います。
 このことから、阪和自動車道海南─有田間の無料化によって国道42号の渋滞緩和を図るという御提言につきましては、ただいま引き受けと言えない状況でございます。
○議長(冨安民浩君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) 民間団体が行う国際交流に対する支援についてでございます。
 本県の国際交流を進めるに当たりましては、民間交流団体の役割は非常に重要であると考えておりまして、県としてもこれまでさまざまな形で協力を行ってまいりました。
 例えば助成措置としては、昨年度から公民連携のための補助制度を設け、中国を初め世界各地と交流する民間団体の事業のうち、特に効果が大きいと思われる事業を選定し、補助を行っております。
 今後も、こうした補助事業を初めノウハウや情報の提供など、県としてできる限りの必要なサポートを行いながら、さらに民間の国際交流を活発にしていきたいと考えております。
○議長(冨安民浩君) 危機管理監森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○危機管理監(森 崇君) 津波避難ビルの指定についてお答えいたします。
 津波からの避難につきましては、高台などの安全な場所に避難することが原則でございますが、議員御指摘のとおり、津波が到達するまでに浸水想定区域の外へ避難することが困難な場合もございます。浸水想定区域内に一時的に緊急避難することができる津波避難ビルなどを指定しておくことは大変重要であると考えております。
 県では、昨年4月、津波から「逃げ切る!」支援対策プログラムを策定し、津波避難困難地域の解消を目指して避難ビルの指定や避難タワーの整備などを進めているところでございます。現在、県内の沿岸市町では避難ビル96棟、暫定的緊急避難ビル30棟を指定しており、このうち海南市は避難ビル8棟を指定しております。
 県と沿岸市町は、毎年多くの住民に参加いただき、津波避難訓練を実施しておりますが、その訓練結果の検証も踏まえ、避難ビル等の追加指定について沿岸市町に働きかけてまいります。
○議長(冨安民浩君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 住宅の耐震診断、耐震補強の進展を図るための施策についてでございますが、昭和56年5月以前に建築されました木造住宅に対しまして、平成20年度までに耐震診断は7231戸、耐震改修は315戸にそれぞれ補助を実施してきております。
 事業内容につきましても、広く県民の方に御利用いただけるよう、制度の充実に努めております。具体的には、倒壊しないとされる基準まで改修を行った工事費に対して補助することはもとより、その基準に至らないまでも人命優先という考えから、避難を重視した基準を満たす改修工事費に対しても補助できるよう、対象を広げてきたところでございます。
 また、施工業者向けの講習会の開催とあわせまして、新しく開発された耐震金物などを利用した安価な工法の普及にも努めているところでございます。
 さらに、耐震診断から改修につなげるために、今年度から改修設計費に対して13万2000円を限度として補助するとともに、高齢者の方などに対して個別の相談や改修計画の提案を行う耐震改修サポート事業を無料で実施しているところでございます。
 耐震改修工事費につきましては、各種条件にもよりますが、90万円の改修工事を行った場合、国、県、市町村の補助金を除きますと、議員お話しの10万円にはなりませんけれども、19万7000円の個人負担で改修が実施できる制度となっております。
 今後とも引き続き、住宅の耐震化に努めてまいりたいと考えております。
 次に、1.5車線道路についてでございます。
 従来の道路事業では、全国一律の構造基準で、必要以上の幅員や規格での道路整備が見受けられました。このために、地域の地形や交通量などの実情に応じた基準で道路整備を行う手法として、交通量の比較的少ない中山間部では、これまでの2車線での改良を改め、2車と1車を組み合わせた1.5車線的道路整備に取り組んでいるところでございます。現在、県内では、補助事業で国道371号、県道高野口野上線など4路線6カ所、また単独事業でも57路線69カ所でこの1.5車線的整備を行っているところでございます。
 このような整備は、限られた財源の中でコスト縮減や効果の早期発現などの観点から有効であると考えておりますので、今後も引き続いて進めていきたいと考えております。
 次に、都市計画道路の見直しについてでございますが、人口減少を初めとする社会情勢の変化の中で地域の実情に即した道路整備を進めることが必要であると考え、本格的な見直しに着手しているところでございます。
 見直しに当たりましては、都市計画道路を有するすべての市町に対し、県として見直しの参考となるカルテなどの資料を提供して、現在、市町村において検討されているところでございます。
 今後、具体的な見直しに当たりましては、まちづくりの主体である市町の考え方と十分に調整をいたしまして、市町と連携した上で具体的な見直しの作業を進めていくことと考えております。
 それから、亀の川水系河川整備計画と大坪川の排水対策についての御質問でございます。
 亀の川の河川整備は、下流から順次河道拡幅や河床掘削を進めております。現在策定中の亀の川水系河川整備計画では、時間雨量約60ミリを目標として、今後30年間で河口から紺屋橋までの間約4.8キロの河道拡幅や河床掘削を進める計画を検討しております。
 同計画では、亀の川の本川について、現在の約2倍の洪水を安全に流すことができます。沿川に岡田地区、室山団地等を抱える支川大坪川につきましても、同計画により本川合流点付近の洪水時の水位が最大で約80センチ下がることから、排水も現状より改善するものと考えております。
 また、大坪川につきましては、現在、海南市と連携して流域内において小学校、公園等を利用した貯留施設などの整備を検討しておりまして、今年度から事業化されているところです。
 なお、排水機場につきましては、河川計画との整合、下流への負荷等の課題がございますが、海南市から具体的な計画の提案があれば河川管理者として協議に応じてまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(冨安民浩君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 小規模中学校と学習、部活動の問題についてお答えいたします。
 和歌山県検証改善委員会におきまして全国学力・学習状況調査の結果を分析、研究した報告では、中学校においては4学級以上の学校において、全国平均正答率を下回る学校が国語A、B問題及び数学B問題で約9割あることに注目する必要があると指摘をされておりまして、また、校種や教科により違いはありますものの、適正規模を下回る学校で全国平均正答率より必ずしも低いとは言えないという結果がうかがえます。
 適正規模化につきましては、当該地域の将来について保護者や地域住民と行政がさまざまな観点から十分協議を重ねていただき、その中でよりよい学校のあり方について合意を形成していくことが大切であると考えてございます。
 次に、中学校の部活動につきましては、これまでも子供の希望するスポーツ種目を実施できるよう、外部指導者の積極的な活用、複数校による合同運動部活動等の取り組みを促進してきているところでございます。
 去る9月3日に県教育委員会が策定いたしました中学校の通学区域の弾力的運用に関する指針は、これらに加えて、地域のスポーツクラブにおける活動によっても、あるいは小学校時代に継続していたスポーツ種目を中学校で継続できない場合や全国大会等で優秀な成績をおさめた小学生が専門的な指導が思うように受けられない場合に限り、通学区域の弾力化を市町村教育委員会において検討を願うものでございます。
 また、指針には、通学区域の弾力的運用に当たって、小規模校への配慮などを踏まえ、画一的な導入ではなく、地域の実情に応じて検討することも明記しているところでございます。
 以上です。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
 44番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 どうも御答弁ありがとうございました。
 中国との交流問題で、私、言い間違いしまして、企画部長に答弁していただくところを知事と申し上げたみたいで、失礼いたしました。
 これはもうこれでいいんですが、幾つか要望を申し上げたいと思います。
 津波対策の問題です。これは、知事のお考えもあの堤防は大事だということで、積極的に進めていただけますように、これは一日も早くできるようにお願いしたいと思います。
 それで、津波避難ビルの問題ですが、前向きに進んでいるようで、指定が少ないと申し上げたんですが、海南市で聞きましたら、最近、恵友病院と石本病院という2つの病院が津波避難ビルの指定を受けていただいたということもお聞きしました。これ考えてみましたら、病院にとっては、津波が来たときは自分とこの対応も大変なんです。そのときに津波避難ビルというものを引き受けて、そして地域の皆さんの命を助けるということを引き受けますよということを受けていただいた。私は大変ありがたいことだというふうに思っています。これ、固定資産税をまけてあげることなんかできないのかと言うたら、そんなものありまへんで、これはもう地域の互助でございますという話でございます。しかし、大変ありがたいことだと。
 しかし、これは金銭的なメリットじゃなくて、そういう津波避難ビルを受けることがいわばステータスになる。そういうことで病院の社会的評価が高くなると、そんなことでそういうものを受けましょうというところが広がっていったら大変うれしいなというふうに思っています。そういう点で、これからそういう評価もしながら市民への広報もしていただいたらと思っています。
 それから、公共事業の問題で、正直者がばかを見ることのないようにという、ちょっと変わった言い方で質問をしまして、普通、なかなかこういう場で言わないような言い方かもしれませんが、答弁では、和歌山県でやってきたことは前から選択と集中でやってますと、だから無駄なことはしてませんと、こういうことを当然お答えになるんだと思うんですが、しかし、私は自分が一番よくわかっている海南市の中の問題で、これは少しもうちょっと何とかしてもええんではないかということを言うてるわけで、有田、日高の問題をちょかちょか言いに行くことはしませんが、自分の一番わかってる足元の問題で──実は政治家って余り自分の足元のもので、そんなにぜいたくしてもらわんでもええよと余り言わないものなんですが、しかし私、それが大事だと思ってるんです。
 こんな問題があるのは海南だけなのか、あるいは考えてるのは私だけなのか。恐らく私はそうではないだろうと思います。きょうはもうそれ以上答弁を求めませんけどね。しかし、1つ1つ精査してみると、まだ私もほかにも例を挙げられますけど、あんまり中途半端に挙げたら誤解を招きますから、もう言いませんけども、しかし、いっぱいいろいろあるわけです。そういう点でひとつ──しかし、そういうものがぜいたくだよと言うたら正直者がばかを見ることのないようにという関係が必要だと、こういうことを申し上げたんですけども、きょうはそこまでにしておきます。
 その中で、阪井バイパスの問題ですね。この問題では、一たん決めた計画であっても、それが見直すべきだということになったら見直すにやぶさかでないと、こういう答弁をいただいたのは大変ありがたいと思っているんですが、ただ、現時点では4車線は必要だと、2万台の交通量だと、こういうことでそういう判断をしていると、こういう御答弁で、現在は当然そうだと思うんですけども。
 ただ、ここには2つの問題がありまして、1つは、現道を閉鎖して4車線の道路へ皆車が行くわけではないという問題です。現道は確かに非常に狭い、2車線も完全にできない道路ではありますけども、しかし、2万台は今、曲がりなりにもその道を通ってるわけです。そこへもう1つバイパスをつくるのに本当に4車線が要るのかどうかという問題が1つございます。もちろん、多少はその交通がふえてくるというのもあるかもしれません。
 もう1つの問題は、地域の皆さんがおっしゃるのは、交通量の調査を──阪井バイパスに該当する、そこに平行する場所では交通量調査ができていない。阪井バイパスへ入る少し前のあたりで、大部分はそれは阪井バイパスの渋滞の問題のところへ流れ込むんですというふうにおっしゃるんですが、しかし、その場所では調査をしていないので一遍調査してもらいたいという要望もありますので、そういうことも含めてひとつ御検討をお願いしたいと思っています。
 それから、4車線になる自動車道を無料化という問題で、私もそれで渋滞が解消するなんていっこも言うてないし、とにかく今でも10年かかる。それを知事も、さらに予算がつけられなくて延びるんではないかと心配もしておられると。それだったら、ちょっとでも渋滞を緩和するために4車線をその間無料にしたらどうかと。事実、高速料金の引き下げしたときは、多少はやはりそちらのほうへ回って交通量は減ったわけですから。
 ですから、今、知事のほうから国の役人は頭がかたいんでという話もございました。恐らくそうでしょう。しかし、やっぱり原理原則ばかりなのでという話もございまして、そういう話を率直に言うてくれるのは大変ありがたいことなので、やっぱり今、政治が大きく変わり、いろんなことを見直すときには、その官僚がかたい頭でとまってたら困るわけですね。ですから、「おまえ頭かたいやないか」と、やっぱり知事が行って言うてやるぐらいのことをしてほしい。そして、予定どおりにうちが欲しいだけの予算をようつけんのやったら、せめてそのくらいのことを先にやれよというぐらいのことをやっぱり言うていただきたいなというふうに思います。これも要望にしておきます。
 それから、教育の問題です。
 学校規模と学力の関係という問題は、教育長からの御答弁は、私は県の調査でデータをつくってみたんですが、別に今度は、国の調査のほうで教育委員会が分析されている調査でも同じ結果が出ますということですね。大きな学校で国語で正答率が低い、小さい学校も低いわけではないということですから、結局、私が申し上げたものを別のデータを使って同じ結果が出ていますと、こういうことをおっしゃっていただけたわけで。ですから、その点では、もちろん学校規模が小さいのがどういうことで学習到達にプラスになっているのかというのは、学級規模の問題もあるでしょうし、いろいろ分析もせななりませんけども、大くくりで言うとお互いに共通の認識になったと思います。
 その点から言いましたら、これから適正規模でないからどうこうというのは余りそれは通用せんだろうし、むしろ過大規模の中学校を分割してほしいという要望も地域にはあります。ニュービジョンの研究会の報告では、それは過渡的、地域的な問題なので、余り県の教育委員会はタッチしないということになっているんですが、やっぱりそういうことこそやらなくてはならないんではないかというふうに思っています。とにかく事実としては共通の認識になりましたので、そのことをぜひとも教育施策に生かせるようにしていっていただきたいと思っています。
 問題は、部活動の弾力化の問題で、いろいろ配慮するというふうに言われたんですが、しかし、制度というのはつくったらひとり歩きすることが大変心配なんです。実はきょう、県立中学校の問題についても、さきに質問がありました。全然別の問題なのに性格が似てるのは、例えば、県立中学校ができるときに、県立中学校ができたら、恐らく親御さんの中にはその学校へ行かせたいという子供が大勢出るでしょうと、人気は出るでしょうと、そのとき、私言うたんです、反対だけども。それは、行きたい子は行きたいということが出るけども、しかし、そのことが公教育全体にゆがみをもたらすのではないか、それが心配だから反対だというふうに県立中学校のときに言うたわけで。
 今度、実は問題の性格がよく似てるのはそういう点でして、確かに部活動をやりたいという子供、その子供自身は大きな学校へ行ってやれたほうがいいと、その子供の願いはかなえてやりたいという問題はあっても、そこでそういう制度をしいて、そしてどうぞというふうになると、いろいろ配慮をしても、やっぱり小規模の中学校からがさっと大勢別の学校へ子供が連れていくというようなことが起こってきたら、もとの学校のほうは維持できなくなるというような、自由化という問題はそういう性格を持っていますね。
 学区撤廃もそういう性格を持っていますが、一部の子供については自由に行けていいよというふうに見えて、それは結構なことだと見えますけども、しかし、そのことが教育全体を見るとゆがみをもたらす。しかも、私も教育改革に拙速は禁物だと。とにかくやった後に後戻りはできないから、よっぽど慎重にせなならんというふうに申し上げてきたわけですけども、その点、私はやっぱり大変心配いたします。
 これから現場の先生方とも話し合いをする機会を持つような話も聞いておりますので、ひとつ学校現場で既に、こういうことを制度として出さなくても、その以前にいろんなこともそんなことで起こってるような話も聞きますから、十分現場の実情を聞いて慎重にやっていただきたいということを要望として申し上げておきたいと思います。
 以上で、私の発言を終わります。どうもありがとうございました。
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時45分休憩
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