平成21年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)
県議会の活動
平成21年12月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
平成21年12月8日(火曜日)
午前10時開議
第1 議案第175号から議案第180号まで(当局説明)
第2 議案第155号及び議案第164号から議案第180号まで(質疑)
第3 一般質問
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会議に付した事件
第1 議案第175号から議案第180号まで(当局説明)
第2 議案第155号及び議案第164号から議案第180号まで(質疑)
第3 一般質問
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出席議員(42人)
1番 泉 正徳
2番 山本茂博
3番 前芝雅嗣
4番 浅井修一郎
5番 吉井和視
6番 向井嘉久藏
7番 門 三佐博
8番 町田 亘
9番 服部 一
10番 平木哲朗
11番 花田健吉
12番 須川倍行
13番 大沢広太郎
14番 谷 洋一
15番 平越孝哉
17番 岸本 健
18番 川口文章
19番 尾崎太郎
20番 藤山将材
21番 新島 雄
22番 山下直也
23番 井出益弘
24番 宇治田栄蔵
25番 多田純一
26番 中 拓哉
27番 角田秀樹
29番 山田正彦
30番 坂本 登
31番 尾崎要二
32番 中村裕一
33番 片桐章浩
35番 藤本眞利子
36番 長坂隆司
38番 小川 武
39番 冨安民浩
40番 奥村規子
41番 山下大輔
42番 松坂英樹
43番 藤井健太郎
44番 雑賀光夫
45番 野見山 海
46番 松本貞次
欠席議員(1人)
34番 原 日出夫
〔備考〕
16番 欠員
28番 欠員
37番 欠員
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説明のため出席した者
知事 仁坂吉伸
副知事 下 宏
知事室長 曽根義廣
危機管理監 森 崇
総務部長 宮地俊明
企画部長 前硲健作
環境生活部長 井口悦治
福祉保健部長 北田佳秀
商工観光労働部長 永井慶一
農林水産部長 下林茂文
県土整備部長 茅野牧夫
会計管理者 雑賀忠士
教育委員会委員長 宮永健史
教育長 山口裕市
公安委員会委員 大桑いく嗣
警察本部長 永松健次
人事委員会委員長 守屋駿二
代表監査委員 楠本 隆
選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 藁科善崇
次長 東岡誠吾
議事課長 上坊 晃
議事課副課長 土井敏弘
議事課課長補佐兼議事班長
田中健司
議事課主任 中尾祐一
議事課主査 保田良春
議事課主査 瀧川泰治
議事課主査 中村安隆
総務課長 佐本 明
調査課長 中井祥之
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午前10時1分開議
○議長(冨安民浩君) これより本日の会議を開きます。
この際、報告いたします。
議案の追加提出がありました。
日程第1、議案第175号から議案第180号までを一括して議題といたします。
議案は、お手元に配付しております。
まず、当局の説明を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいま追加提出いたしました議案第175号から180号は、去る11月30日に議決をいただき、改正した給与関係条例の施行等に伴う所要額を補正するものであり、一般会計で27億5500万円余、特別会計で8500万円余の減額の補正予算を計上しております。
何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(冨安民浩君) 以上で、当局の説明が終わりました。
日程第2、議案第155号及び議案第164号から議案第180号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第3、一般質問を行います。
3番前芝雅嗣君。
〔前芝雅嗣君、登壇〕(拍手)
○前芝雅嗣君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
質問に先立ち、今議会のトップバッターとして質問する機会をお与えいただきました先輩・同僚議員の御配慮に厚く御礼申し上げます。
それでは、早速質問に入ってまいりたいと思います。
初めに、平成22年度当初予算編成方針と新政策についてお伺いいたします。
先月内閣府が発表した月例経済報告によりますと、「景気は、持ち直してきているが、自律性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。」との厳しい認識とあわせて、平成18年6月以来、3年5カ月ぶりに日本経済が緩やかなデフレ状態にあるとの憂慮すべき認識が示されたところであります。
一方、本県に目を転じますと、9月時点の製造工業部門の鉱工業生産指数は平成17年を100として84.0、10月時点の有効求人倍率は0.53倍とともに夏場を境にやや持ち直し傾向にあるものの、依然として低位にあり、一日も早い景気回復を待ち望む県民からすれば一向に明るさは感じられず、忍耐も限界に達しているのではないかと大変危惧しております。
また、先般、自由民主党県議団から知事に対し、立ちおくれている本県社会資本を整備するための公共事業関係予算の増額に関する申し入れをさせていただいたところですが、本県、とりわけ県南部においては、もはや1つの地場産業とも言える公共事業についても近畿自動車道紀勢線の御坊─田辺間4車線化事業の執行停止が閣議決定され、また平成22年度予算概算要求の組みかえでは公共事業費が大幅に削減されるなど、ここ数年来事業量が減り続けている上に、過当競争による近年の受注額の低価格化が拍車をかけ、建設業の経営は極めて厳しい状況となっております。
県では、このような厳しい経済状況のもと、来年度の予算編成に向けた予算編成方針を発表されたところですが、その中で知事は、平成22年度予算は、元気な和歌山の創造に向け、県民の生活に希望と安心をもたらす取り組みに重点投資するとの重点目標を掲げられております。元気な和歌山の創造は、長期総合計画に掲げる将来像であり、知事はかつてこの議場で、「今後は、毎年度の新政策プロセスにおいて、長期総合計画に常に立ち返り、その進捗状況を注視しながら事業の不断の見直しを行うとともに、県政の課題に対する新しい施策を積極的に展開してまいりたい」と述べられておりますが、まさに今こそ長期総合計画の原点に立ち返り、県民が待ち望む地域や経済を元気にする新政策を積極的に展開する必要があると感じているところです。
そこで、以下の2つの点について知事にお伺いいたします。
第1に、予算編成方針で示された「希望」と「安心」という2つのキーワードを目にしたとき、私は、未来への明るい展望を待ち望む県民の切なる願いにこたえようとする知事の決意を感じ、今後の県の取り組みに大きな期待を抱いたところでありますが、知事は希望と安心という言葉にどのような思いを込められたのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
第2に、予算編成方針で示された希望と安心という2つの目標は県民から見てもわかりやすい言葉であると思いますが、肝心なことは、具体的にどのような施策を実行していくかということであると考えるところです。具体的な施策となる来年度の新政策としてどのような取り組みを進められようとしているのか、現時点での知事のお考えをお伺いいたします。
次に、質問項目の2番目、県職員の人事に関する知事の基本的な考え方についてお伺いいたします。
私は、知事が県勢発展のため企業誘致や観光振興に日夜東奔西走していただいていることに対し、敬意を表しております。知事及び職員の方々の努力により、この厳しい経済状況の中、和歌山県への企業進出は徐々にふえており、また紀伊山地の霊場と参詣道の世界遺産登録、串本沿岸海域のラムサール条約湿地登録の効果等もあって、観光においても明るい兆しが見えてきているものと認識しております。
企業誘致や観光振興だけでなく、すべての県の政策は、知事の方針に沿って短期、中期、長期の計画を立て、それぞれ戦略を持って諸施策を実施していくというのが基本であろうと思います。知事みずからがプロモーションに積極的に参加するなど、各方面に御活躍をされているというのは認識しているところでございますが、各種政策、施策を実際に実行していくのは県の職員であり、それぞれの分野に適した人材を配置し、その能力を遺憾なく発揮してもらうことが最も重要であると考えます。
さきの9月議会で自由民主党県議団の中村裕一議員が、がん対策に対する専門分野に熟知した職員の育成について質問した際、総務部長から専門分野に精通した職員の養成に努める旨の答弁がなされたところですが、がん対策という分野のみならず、専門的知識・経験を要する部署は、税財政、福祉、環境、農林水産、建築、土木等、知事部局においても多々あることと思います。
中でも、紀南地域振興のため私も微力ながら懸命に取り組んでいる観光振興、企業誘致といった分野においては専門的知識・経験に加え、人と人とのつながりというものが大変重要な意味を持ってまいります。県の職員に人事異動はつきものではありますが、専門的知識・経験を積み重ねた上に人とのつながりも蓄積した職員を、人事ローテーション上の必要性とはいえ、2~3年の短期間で異動させてしまうのは、県の組織として大きな損失であろうと思います。
特に海外からの観光客の誘致等につきましては、相手先旅行代理店等関係者との人的つながりが非常に重視されるところがあり、相手先と良好な関係を築いている職員については、多少在職期間が長くなっても引き続き県の観光振興のために頑張ってもらうというようなことも必要であると考えるところですが、知事としてどのような考え方のもとに人事を行っているのかをお聞かせいただきたいと思います。
また、在職期間にこだわらず適材適所の人事配置をしていただくとしても、みずから限界もあろうかと思います。県職員としてさまざまな分野の仕事を経験してステップアップしていくためには、どこかの時点で人事異動が必要になるということも理解できるところであります。その際には、後任の人事において適任者を選任するのは当然ですが、前任者が培った人脈を絶やすことのない人的つながりに十分に配慮した引き継ぎが絶対に必要であると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、質問項目の3番目として、漁業振興策についてお伺いいたします。
その第1は、漁業不振の原因と今後の対策についてであります。
漁業は、水産資源の減少、魚価の低迷、漁業者の高齢化に加え、燃油高騰により全国的に厳しい状況が続いております。和歌山県においても、海面漁業の漁獲量は、平成9年と平成19年を比較すると、6万2000トンから3万8000トンに約4割減少し、生産額は410億円から176億円に約6割減少しており、漁業者の高齢化も進み、60歳以上が55%を占めていると聞いております。
紀南地域では、生マグロ水揚げ日本一を誇る勝浦漁港においても、マグロの水揚げが最大であった平成4年の2万4000トンから平成20年には1万1000トンにまで減少してきました。カツオの漁獲量も、近年には好漁時の3分の1程度である1000トン前後の不漁が続いております。また、イセエビの浜値が最も価格の高いときから見れば半額以下になり、養殖マダイは生産原価を割りかねない厳しい状況にあります。
このような状況の中、県では、マグロやカツオを対象とした中層式浮き漁礁の設置などハード対策を実施しつつ、流通、販売のソフト対策として勝浦の生マグロや串本のしょらさん鰹、すさみのケンケン鰹についてプレミア和歌山に認定するほか、水産物流通アドバイザーによる販売指導、イセエビの消費拡大を図る地元イベントへの支援、クロマグロやクエなどの高級魚の養殖や安全・安心なマダイ養殖の推進等の種々の対策を実施していると聞いているところではございますが、そもそも漁業が現在のように不振に陥った原因はどこにあるのでしょうか。また、今後の漁業振興のための対策について、農林水産部長にお伺いいたします。
第2は、水産試験場の取り組み状況と今後の展望についてであります。
串本町にある県の水産試験場は、平成18年度に当時の水産試験場と増養殖研究所を統合し、21世紀にふさわしいこれからの水産業や海の環境保全の研究、都市と農村との交流を深める拠点として整備されたものであります。
建設当時に私が県議会において一般質問を行っており、その議事録を見ると、新しい水産試験場は、水産業を支える地域科学技術の振興を図るため、国の支援のもとナノテクノロジーやバイオテクノロジー分野の研究を駆使して、県独自の戦略的研究開発プランに基づき研究開発を進めながら、産学官が一体となった共同研究にも取り組むとともに、見る、触れる、学ぶ、食べるを基本理念に都市との交流や地域の活性化に寄与できる開かれた研究施設とすると説明されております。
私も、地元の串本町にできる施設でもあり、県の水産業に新風を吹き込んでくれるものとして大変期待したところであります。開設から3年余りの年月が経過したところですが、水産試験場施設開設後の取り組み状況と今後の方向性について、農林水産部長にお尋ねいたします。
第3は、クロマグロ養殖の新規計画の現状と今後の展望についてであります。
県内養殖業は、マダイを中心に串本の浅海漁場、田辺湾等において行われていますが、最近の魚価の低迷等により廃業していく業者が多く、大変厳しい状況にあります。一方、近年、鹿児島県や長崎県ではマグロ養殖が大規模に行われ、生産量が増加しております。本県では、近畿大学水産研究所が串本町において平成15年に完全養殖に成功し、本年には養殖用種苗4万匹の大量生産に成功するなど、マグロ養殖について先進的な研究が行われているところであります。
マグロ類の中でも特にクロマグロについては、乱獲による資源の減少が叫ばれ、国際的なマグロの漁獲枠規制の声が高まる中、本年11月15日には大西洋まぐろ類保存国際委員会──ICCATですが──の年次総会で、2010年の東大西洋と地中海の漁獲枠を2009年と比較し、約4割減の1万3500トンに削減することで各国が合意し、日本の国別割り当て量は2009年の1871トンから2010年には1148トンになってしまうという新聞報道がございました。また、2010年にはICCATの科学委員会が資源調査を実施し、この調査に基づき来年度以降の漁獲枠を自動的に決める新制度の採用も決定されたところであります。
日本は、世界のマグロの約8割を消費するマグロ大好き国であります。日本の消費量の半分はこの海域産であるという現状であり、また台湾、中国を初め世界的にマグロ食用需要が急増していることを考えると、これからの天然マグロ、養殖マグロ関係産業はともに将来大変有望であり、紀南地方活性化の核となり得る産業であると思うところであります。
こうした状況のもと、民間漁業会社が串本町地先でクロマグロの新規養殖に乗り出そうとしているとのことですが、その漁場計画の進捗状況と今後の展望について、農林水産部長にお伺いいたします。
第4は、第3とも関連しますが、県としてのマグロ資源に対する考え方についてであります。
これまで述べたようなマグロを取り巻く世界的な動きがある中、マグロに対する需要がふえればふえるほど資源保護の観点から規制が強化されるものと考えられ、将来的には、大西洋、地中海のみならず、太平洋海域にも規制が及んでくるものと考えるところでございます。
そうしたことが予測される中、日本一の水揚げを誇る勝浦の天然生マグロ、勝浦串本地区での養殖マグロ、世界に誇る近畿大学の完全養殖マグロ等、さまざまなマグロ資源に恵まれている本県として、このマグロ資源の活用についてどのような方向性を持って進めていくのかを農林水産部長にお伺いいたします。
最後に、質問事項の4番目として、2010年トルコにおける日本年に係る県の取り組みについてお伺いいたします。
昨年の12月、この議場において私は、和歌山県議会としてのトルコ共和国訪問の報告とともに、2010年トルコにおける日本年事業に対する県の取り組みについて質問をさせていただいたところではございますが、今回の質問に当たり、最初に、改めてトルコにおける日本年事業について簡単に御紹介させていただきたいと思います。
トルコにおける日本年事業とは、1890年、明治天皇に拝謁したオスマン帝国使節団が軍艦エルトゥールル号での母国トルコへの帰路、串本町沖で台風により沈没、600名余りのとうとい命が失われる一方、69名の乗組員が旧大島村の人々により救出されたという事件から、120年の節目となる2010年を日本とトルコの友好120年と位置づけ開催される事業であり、張富士夫トヨタ自動車会長らが発起人となってできた実行委員会には仁坂知事、田嶋串本町長も賛助委員として加わっております。
また、昨年は、トルコの国家元首であるギュル大統領が来日、串本町へも訪問されるなど、「トルコにおける日本年」を控え、日本とトルコとの友好の機運が大変盛り上がってきている状況であります。
私は、このトルコにおける日本年は、本県にとりましても、トルコ及び日本国内に和歌山を売り出すチャンスだと考えていますが、2010年を目の前に控え、来年9月に予定されているエルトゥールル号の120年慰霊式典まで1年を切った現在、本県としての取り組み状況はどうなっているのか、企画部長にお伺いいたします。
以上で、私の一般質問を終わります。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの前芝雅嗣君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 最初に、予算編成方針と新政策についての御質問についてお答え申し上げます。
昨年3月に策定いたしました長期総合計画に掲げた元気な和歌山の実現に向け、毎年度新政策プロセスを通じて事業の進捗状況をチェックしながら、足らずを補い、進んでいるところを伸ばすというような視点で検討を進めているところであります。
議員のお話にございましたが、私は、就任以来、和歌山を元気にしたいとの一念で今日まで全身全霊で取り組んできました。予算編成方針に盛り込んだ御指摘の希望と安心という2つの方向性は、元気な和歌山を創造するために今何が必要かというような観点から考えた元気な和歌山のための方向性でありまして、22年度新政策の設計思想とも言うべきものだと考えております。
政策が実行され、少しずつでも和歌山がよくなるというふうに皆さんが希望を持ってくださったら、それは和歌山県全体が元気になっていくもとだと考えております。また、それぞれのいろんな点で不安がありますと、これが元気がなくなる。そういう意味で安心ということも元気のもとだというふうに思っております。
現在、この方針に基づきまして、具体化に向けた検討を進めているところでありまして、最終的に議会を初め県民の皆様からいただいた御意見を参考にさしていただきながら、財政の健全化にもこれまた十分配慮して予算を編成してまいりたいと考えております。
次に、来年度の新政策の具体的な取り組みについてでございますけれども、1つ目の柱である県民の希望を開く施策については、地域や県経済を活性化するためには、地域づくりや産業振興を強化することが、まずもって重要と考えております。
たくましい産業をつくる政策として、海外への販路開拓支援など県内企業の競争力を強化する取り組みとか、あるいは生産から加工、流通、販売までを一体的に支援する新農林水産業戦略プロジェクトの取り組み拡大など、足腰の強い農林水産業の育成を進めてまいりたいと考えております。
さらに、学力の向上はもとより心の教育に至るまで、和歌山県としての教育モデルを確立し、しっかりとした人づくりを進めるとともに、新エネルギーの導入やわがまち元気プロジェクトなど、本県の強みを生かした取り組みについても力を注いでまいりたいと考えているところです。
さらに、地域づくりについては、とりわけ過疎対策が、これは喫緊の課題であります。現行の過疎法が期限切れを迎えるに当たりまして、現在国に対して過疎債の延長、総合対策交付金の新設──これはこちらで考えたことでございますが──大胆な規制緩和などを盛り込んだ県独自の政策提案を行っているところでありますけれども、県としても、今地域にお住まいの方の生活を守ることはもとより、定住者の増加につながる条件整備等も含めて、過疎地域に希望の灯をともす、集落の再生に向けた施策を実施していきたいと考えているところでございます。
2つ目の生活の安心を守る施策については、厳しい社会経済情勢の中にあってこそ、まずは県民が日々の生活を送っていく上での不安を少しでもなくしていけるように、市町村とも十分連携してきめ細かな対策を講じていく必要があると考えております。
具体的には、地域の方々が相互に助け合い支え合う社会づくりを目指す地域福祉の推進や、あるいは地域の拠点病院の整備など福祉医療体制のさらなる充実を初め、消費者行政に取り組む市町村への支援、あるいは東南海・南海地震に備えるための防災対策等をより一層充実強化してまいりたいと考えております。
次に、職員人事の基本的な考え方であります。
私は、県職員1人1人の能力を高めるということが一番大事だと思っております。職員を育てていくということが一番大事だと思っております。県の組織は永遠でございます。先輩から後輩へどんどんと能力が高まり、それが伝えられていくということが大事であります。知事が幾らすぐれていても、いつかは去ります。議員もまた同じだと思います。全体の県の職員の資質を高めておかないと、県百年の大計は図れないというふうに考えます。
そのために職員の人事配置も大事でございます。職員の力が最大限発揮され、その時々の行政課題に適切に対応できるように、適材適所と育成が大事だと考えております。育成のためには、広範囲の知識、経験を有する職員だけじゃなくて、特定の分野に深い知識、経験を有する職員の育成も必要であると考えております。
そのため、人事異動におきましても、在職年数等において一律的な取り扱いをするのではなくて、職員の適正を十分見きわめつつ、業務の内容や状況等に応じて柔軟に対応していきたいと考えております。2年間ですぱすぱっとかえるというのが割合慣例でありましたが、私が知事になってからちょっと、だんだんと直しております。
また、人事異動に伴う引き継ぎが、これまた大変大切でございます。そのため、引き継ぎ書をつくってください、その中には自分がそのときに知り合いになった人脈、立派な人、それも全部書いてください、そういうふうに今お願いを職員にしております。そういうことによって、仮に人事異動があったとしても県民サービスの低下を招くことを極小にして、業務を円滑に遂行していく上で頑張っていきたいというふうに思っております。
職員に対しては、業務内容だけじゃなくて、今申し上げましたように、職務上培った人脈などもしっかり引き継ぎをして、それで組織全体で落っこちることがないように、後退することがないようにしていきたい、そんなふうに考えているところでございます。
○議長(冨安民浩君) 農林水産部長下林茂文君。
〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 漁業の振興策についての4点についてお答えを申し上げたいと思います。
まず、第1点目の漁業不振の原因と今後の対策ということでございますが、まず漁業の不振につきましては、ライフスタイルの変貌ということの中で、魚介類の消費の減少という大きな構造的な変化を背景といたしまして、議員お話しのように、水産資源の減少や魚価の低迷、漁業者の高齢化や若年層の魚離れに加えまして、紀南地域におきましては、黒潮の変化等によるカツオの漁獲量の減少などが主な要因ではないかというふうに考えてございます。
こうした厳しい環境に対処するために、県では、平成20年の2月に策定をいたしました水産業活性化アクションプログラムに基づきまして、漁家の所得向上に向けた取り組みを現在進めているところでございます。
具体的には、まず、まき網漁業の船団のスリム化やマグロ、クエの養殖の推進のための経営基盤の再構築、県漁連による低価格魚の加工品の開発や販売等の流通戦略の構築、それからヒラメ、イサキ等の増殖場や漁礁の設置等の水産基盤の整備、それから漁業体験や漁家民泊、朝市等の観光業との連携という4つの柱を基本といたしまして各般の施策を推進しているところでございます。
中でも、まき網、底びき網、それから船引き網などの主要漁業につきましては、資源の回復、また減船を含めた構造改革を進めているところでございまして、今後とも漁業の再生に向けた取り組みに努力してまいりたいというふうに考えてございます。
次に、2点目の水産試験場の取り組み状況と今後の方向性ということでございますが、平成18年度に統合してからこれまでの主な試験研究のテーマといたしましては、梅まだいの肉質改善、それからマダイとヒラメとの複合養殖による漁場環境の保全、それからクエの種苗生産のふ化率の向上等に取り組んでまいってございます。こうした中で、クエの種苗の安定生産が可能ということになってきたことから、水産試験場内に種苗の量産施設を建設するということにしてございます。
また、2カ月先の漁場予測の実用化ということを目指しまして、独立法人でございます海洋研究開発機構とも共同研究に現在取り組んでいるところでございます。さらに、地域に開かれた試験場の取り組みの一環といたしまして、主に小中高校生を対象に地元の魚を使った料理や海藻の分類などを体験しながら学べるくろしおふれあい講座を開設いたしまして、これまで延べ3800人が受講し、好評を得てございます。今後とも、漁業振興の核として地元に密着し、開かれた研究機関として充実してまいりたいというふうに考えてございます。
次に、クロマグロ養殖の新規計画の現状と今後の展望ということでございますが、和歌山東漁協のほうから、ことしの3月にクロマグロの養殖の新規漁場についての要望がございました。これを受けまして、県といたしましては、計画樹立に向けた取り組みを進めてまいってございます。
御承知のとおり、クロマグロの養殖というのは、大規模な漁場を占有することから地元地区あるいはその関係漁業者との調整に時間を要するということがございましたが、このたび漁場の利用についての理解が得られましたので、今後、県として所要の手続を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
県内のクロマグロの養殖につきましては、水温あるいは水質の条件から見まして、田辺市、串本町、太地地先の3海域が適地でございまして、今後とも地域との連携を図りながら本海域におけるクロマグロ養殖を積極的に進めてまいりたいというふうに考えてございます。
最後、4点目でございますが、天然マグロを含むマグロ資源に対する県の考え方ということでございますが、お話しございましたように、クロマグロの国際的な漁獲の規制が進む中で、水産庁といたしましても、養殖用の種苗を含めた太平洋クロマグロの本格的な資源管理への移行ということが示唆をされてございます。
こうした中で、県といたしましては、養殖を進める中ではございますが、本年の5月に、近畿大学を初め、漁協、養殖業者あるいは町、県の関係者で構成いたします和歌山県マグロ推進協議会を設立いたしまして、県産マグロのPRの方法、あるいは養殖技術の開発等について検討に着手をしてございます。将来的には天然養殖種苗の規制も懸念されますので、今後、関係機関とも連携をし、人工種苗による完全養殖の推進に努めてまいる所存でございます。
また、議員お話しのように、天然マグロにつきましては、生マグロ水揚げ西日本一の紀州勝浦産生マグロのブランド化の強化を図るために、本年の3月、東京の築地市場におきまして一般消費者を含めた関係者への試食会を開催するなど、新たな取り組みも進めてございまして、今後とも積極的なPR活動を展開してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 企画部長前硲健作君。
〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) 2010年トルコにおける日本年についてでございますが、日本とトルコの間における長年にわたる良好な友好関係、その礎には、今から120年前、串本町沖で起きましたトルコ軍艦エルトゥールル号遭難事件、そこにおける大島島民の献身的な活動というのがあるという、この歴史的な重みを次の世代に伝えていくことは極めて重要なことであると思いまして、この機会に国内外にそのことを強くアピールしていきたいという考えを持っております。
このため、県におきましては、本年7月に串本町が主体となって組織いたしました日本トルコ友好120周年等事業実行委員会に参加いたしまして、地元主体の事業の具体化に向けまして串本町及び同町内の民間団体の方々とともに検討を進めているところではありますが、これにあわせまして、国で計画しておりますトルコにおける日本年関連事業、いろいろございますが、その中でも串本町とともに積極的にこうしたことをアピールしてまいりたいと考えておりまして、国とも現在協議を進めているところでございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
3番前芝雅嗣君。
○前芝雅嗣君 御答弁、ありがとうございました。知事におきましては、この低迷している和歌山県、何とか浮上させていただきたいと、そのように思います。
何点か要望したいと思うんですけど、トルコにおける日本年の事業でございますが、本当に力強い御答弁をいただきまして、1人の串本町民としましても大変ありがたく、感謝しております。どうか、これからも串本町と協議なさって一生懸命取り組んでいただきますように、よろしくお願い申し上げます。
エルトゥールル号事件に関してですが、串本町のほうでも映画の制作の話が持ち上がっておりまして、地元としても大変期待をしている、そういった今、現状にございます。そういった中で、町長と監督から知事に表敬訪問をしたいという意向を聞いておりますので、公務御多忙かとは思いますが、その節はどうかよろしくお願い申し上げます。
そして、マグロに関する新規事業の養殖計画についてでございますが、地元でも紆余曲折があり、また地元漁民の中でも漁場を失うという漁師の方もたくさんございます。そういった中で、やっぱり雇用や経済波及効果を考え、大所高所に立って計画に賛成してくれた方も多数いらっしゃいます。そうした地元の思いのこもった計画でもあり、ぜひ成功させていただきたいと。実現に向けて県としても前向きに取り組んでいただけるよう御要望しておきます。
そしてまた、この計画が実現した場合、養殖場計画のある場所はラムサール条約登録の湿地の近くにございますので、環境面の配慮というのは大変重要になってくると、そのように思うんですよ。養殖の場合は、えさのやり方等で海底にえさが堆積するなど、海域に影響を及ぼすことも考えられまして、串本町民も、そういうことも一部やっぱり大変不安に思ってる方々もいらっしゃいます。定期的なモニタリング等、環境との共存を図るなど、大変ちょっと配慮が欠かせないと思いますので、県の適切な御指導により、美しい海を守りながら産業を育てることに取り組んでいただきたいと、そのように強く思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
以上、要望を申し上げまして、質問を終わります。
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で前芝雅嗣君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
41番山下大輔君。
〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 おはようございます。今議会も、和歌山再建に向け、希望を持って質問、提案をさせていただきますので、当局におかれましては誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。
議長のお許しをいただきましたので、通告に従って質問させていただきます。
まず、地方分権、地域主権型国家の創造に向けた現状における地方政府の取り組みについて質問さしてもらいます。
政権交代が実現した今、日本は新たな進路を進もうとしています。新たな日本の国づくりといったことでは、特に地方との関係についてもさまざまな議論が噴出し、これまでのやり方が通用せず、現在は暗中模索といったところです。
新たな国づくりに向けて、地方側からは不安や不満も数多く出される状況にはありますが、そんな中、菅直人副総理・国家戦略担当大臣は、「明治維新以来続いた中央集権の改革には10年はかかる。それぐらいの大改革だ」と指摘されています。また、鳩山首相も、「地域主権は改革の1丁目1番地。霞ケ関を解体、再編し、地域主権を確立するのは簡単なものではないが、これまでの政権ではできなかったことの実現に努力してほしい」と、原口総務大臣に改めて強い指示を出されております。それを受けて、原口総務大臣も「新たな体制による、これまでとは違ったアプローチで地域主権を確立させる」と意気込み、そこでは、そもそも中央が決め、地方がそれに従うといった発想を転換する必要があり、国主導ではなく、あくまで地方の意見、提案を受け入れて、あるべき国と地方の姿を描き直すと、基本的には地方の意見を尊重し、重視する姿勢を明確にしています。
そんな中、原口大臣は、主に地方分権改革を担当する非常勤顧問として、大阪府の橋下徹知事や滋賀県の嘉田由紀子知事、北海道の寺島光一郎乙部町長、そして中田宏前横浜市長や東京都杉並区の山田宏区長など、いずれもこれまで改革派の首長として活躍されてきた14人を充てる人事を発令しました。
また、鳩山首相は、先月17日、地域主権戦略会議を立ち上げ、その除幕式では「ここからが本当の意味で地域が頑張っていける国に変えていくスタートだ」と意欲を示し、今後は地域主権戦略会議の設置に伴い、内閣府に地域主権戦略室を新設し、来年の通常国会には関連法案を提出、戦略局に格上げする予定にしています。地域主権戦略局のトップには、もとの北海道ニセコ町長、筋金入りの分権派首長であった逢坂誠二氏が就任する予定です。
これを受けて福岡県知事、麻生渡全国知事会会長は、「地域主権戦略会議は、政治主導による総合的な推進機関で、従来の推進本部より強力になる」と評価、全国市長会の森民夫会長も「地域主権を目指す首相の決意は高く評価する」としています。
いろいろと不安、不満もありますが、地方分権、地域主権といったことでは一歩ずつ着実な歩みが進められるものとなっています。そこでは、地方、それぞれの都道府県においても新たな国づくりに取り組む大改革の時代ですので、単に不満を口にするだけでなく、どれだけ前向きな提言ができるのかが問われています。
さて、その地域主権戦略会議では、今月中旬までに改革の工程表をまとめるよう作業を進めています。当面の改革プランとしては、現行の補助金制度にかわって、念願であった地方が自由に使える一括交付金制度の創設、また、国土交通省の地方整備局、農林水産省の地方農政局など国の出先機関を原則廃止し、地方に移管する、また、あわせて使途を問わず自由に地方債を発行できるような要件緩和も検討すると、早速幾つかのメニューが俎上に上がっています。
さて、そこで今回の質問では、この改革メニューにある国の出先機関の原則廃止について幾つかの提案並びに質問をさせていただきたいと思います。
今、国の取り組みを地方に移管するよう具体的に要請する地方自治体がふえています。
先月の11月2日、大阪府の橋下知事は、国直轄事業負担金制度に関する全国知事会のプロジェクトチームのメンバーとして、前原誠司国土交通大臣らと意見交換した際に、「負担金をなくすだけで国が直轄事業を全部握ったら地域主権にはならない」と強く訴え、国の出先機関の廃止とともに直轄事業自体を地方に移譲するよう強く訴えています。
また、11月4日には、政権交代後初めての近畿ブロック知事会議が京都で開かれていますが、そこでは、国の出先機関の廃止について、京都府の山田啓二知事は「地方が主張しなければ地方の求める形にはならない」、また、大阪府の橋下知事も「近畿地方整備局などの国の出先機関の原則廃止については、国に残す事業や各府県や民間に移管する事業など、廃止後の具体的な仕分けを各府県が連携して地方から率先して提案していくべき」と強く指摘されています。また、この一連の作業、国への働きかけについては、「ことしから来年早々にかけてやっていく」と、座長を務めた山田啓二京都府知事も早期に着手することを明言し、あくまで、国に残す事業や府県に移管する事業の仕分けについては国の出方をうかがうのではなく、地方独自で具体案づくりを進めるとしています。
そこで質問ですが、今、地方分権に係る具体的な動きとして、国がみずからの役割を規定するといったことを待っていたのではなかなか前には進まない状況がある中で、現在、地方側から積極的に国の権限、役割を地方に移すよう働きかける状況があります。そこで、まず国の出先機関の地方への移管について、知事の基本的なお考えをお示しいただきたいと思います。
また、国の出先機関の移管については、本県でも独自にそのあり方を検討し、地域にとって不利益をこうむらず、メリットを最大化する事務移管を戦略的に考えることが必要です。そこでは、和歌山なりの考えを早期にまとめ、積極的に情報発信、外部に伝えていくことが特に重要となると考えますが、情報発信の重要性について知事はどのように考えられるか。
また、現状、国の出先機関の地方への移管について、さまざまな省庁の幾つかの出先機関がありますが、それらをどのような形で受け入れるのか。それが和歌山県として一番大きなメリットが得られるのか。例えば、和歌山県内に設置されている事務所とあわせて、県外に置かれていながらも和歌山に大きな影響のある近畿地方整備局、近畿地方農政局、近畿経済産業局などについて、具体的な和歌山への受け入れイメージを持っておくことが必要だと考えます。どことどこの国の機関を和歌山県として受け入れ、概算でどれぐらいの予算規模を和歌山県の予算として組み入れることが必要と考えるか、できるだけ具体的に知事のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
続きまして、事業仕分けから考える行政の見える化への取り組みの重要性について。
「見える化」って、ちょっと言葉でもう簡単なんですけど、見てもうたほうがわかると思いますんで。(パネルを示す)見える化──各分野で、これは企業経営の中でも言われます。トレーサビリティ、見える化というのは、実は事業仕分けでは、時間が短いとか中身の審議は不十分じゃないか、いろんな御指摘もございますが、実はそういった個々の指摘よりも今回の事業仕分けの意義の本質というのは、見える化ということだと私自身は考えております。
先日、これまでのニュース、ワイドショーなどでも連日報道され続けてきた9日間の事業仕分けが終了いたしました。テレビを初め、インターネットなどでも中継され、世論の注目を随分集めてまいりました。今回の事業仕分けについては、仕分け人の人選から始まって、判定基準の問題、また科学技術振興など中長期の視点を欠くことなどについてさまざまな賛否の声が上がりましたが、基本的に政府は来年以降も事業仕分けを実施する考えだということです。
今回の事業仕分けについては、お茶の間でも、居酒屋でも、ホームレスの車座談義でも話題に上った、日本で初めて政治、税金の使われ方が日常会話の話題になったと新聞紙上でも指摘されるように、私自身は、基本的に国民に予算が見える形になり、これまでは財務省と各省が水面下で繰り広げられてきた、ある意味お手盛りの予算折衝を公に見える形にしたその成果は大きく、特にこれからの日本にとって非常に意義のあることだと思っております。
これからの日本は、人口減少、少子高齢化の強烈な波を受け、しかも人口の構成比から考えても若い働く世代が大きく減少していく時代を迎える中では、その影響は地方にこそ顕著にあらわれ、これまでの右肩上がりの時代からは確実に頭を切りかえなくてはなりません。そういった時代には、行政運営においても、新たな施策をどんどん積み上げることはできず、逆にこれまでやってきた施策、サービスも整理していかなくてはならない状況となり、そこでは、単に緊縮型の運営をやっているのではなく、選択と集中で切るべきものは思い切って縮減し、伸ばすべきところは思い切った予算もつけていくことが必要であり、それこそ行政手腕が問われるものとなります。そういったことを実現していく前提には、きっちりと国民、県民の皆さんに納得してもらい、理解してもらうことが重要で、当事者としての認識の共有が必要不可欠となります。
これからの時代には、今回の事業仕分けのような政策決定、予算策定のプロセスの透明化は避けては通れないものとなります。こういった問題を今回、事業仕分けの事務局を務めた加藤秀樹さんが代表を務める構想日本──私も会員ですが──その構想日本を初め、私自身、さまざまな政策の勉強会で何度となく議論してまいりました。そんな中、地方政府、地方自治体において大阪などではいち早く取り組みを進めています。
昨年の議会でも指摘、提案さしていただきましたが、大阪府ではいち早く政策決定プロセスの透明化に取り組み、現在も続けています。さらに、大阪府では、橋下知事が進める財政再建プログラムが期限切れとなる2011年度以降の新たな財政再建策を検討するための改革プロジェクトチームを12月1日付で設置し、そこでの議論では、大阪府の行政サービスが他の都道府県と比べて過剰なのか足りないのか、それを府民にはっきりわかる形で示していくと、知事自身が新たな行政運営、地域運営の透明化を宣言しています。
今後の行政運営、地方政府のガバナンスにおいて、見える化といったことは非常に重要な取り組みとして注目されるものと思いますが、和歌山県としてもぜひ積極的な取り組みが望まれるところです。
そこで、知事にお伺いいたしますが、今回国で行われた事業仕分けの意義とはどういったものとお考えになるか。また、この事業仕分けの有効性といったことについて知事の率直な御意見をお聞かせ願いたいと思います。
また、実際に事業仕分けを導入するかどうかは別にして、そもそも政策決定のプロセス、予算査定のプロセスの透明化、行政の見える化の推進、そこから県民との問題意識の共有といったことについては、これからの時代、財源不足が恒常化していく中では欠くことのできない行政運営の手法になると考えます。私自身、昨年も提案しましたが、形はどうあれ、和歌山県でも政策決定、予算策定のプロセスの透明化はぜひとも早期に取り組む意義のあるものと思いますが、知事の御認識をお伺いいたします。
続きまして、関西国際空港に係る県の対応についてお伺いいたします。
現在、関西国際空港を取り巻く環境は大きな転換点を迎えています。先日、前原誠司国土交通大臣が羽田空港を国際拠点のハブ空港と位置づけたことで、関西国際空港の活性化策が見直しを迫られる可能性が出てきています。また、関空では、国からの補給金を原資に韓国仁川空港などと比べて割高な着陸料を含む空港利用料を抜本的に見直す方向で検討に入っていましたが、しかし、さきの行政刷新会議、事業仕分けの中で、伊丹を含めた抜本的な解決策が得られるまでは政府補給金を凍結するといった判定を受けるものとなりました。これにより、現状まで進められてきている関空再生計画も国の支援の前提が崩れかねない状況となり、その成り行きが心配されるものとなっています。
まず、行政刷新会議の取り組みを確認してみると、関空の補給金が俎上に上げられたのは、11月16日に行われた事業仕分けでした。(資料を示す)これがそのときの資料ですが、インターネット等でもダウンロードできます。国土交通省が来年度の概算要求に盛り込んだ関空への補給金160億円が議論の対象とされていました。議論の中身としては、補給金は延命策でしかない、毎年入れることが逆に抜本的な改革を遠ざけている、巨額の税金で一時的に着陸料を引き下げて、それで本当に需要がふえるのかなど指摘されていたようです。
1兆円を超える有利子負債の金利負担を軽減するための160億円の補給金について14人の仕分け人の判定は、廃止が2人、凍結9人、縮減3人となり、このグループでの結論は凍結ということでした。この凍結を解くためには、従来の対症療法ではなく、伊丹空港や神戸空港も交えた抜本的な経営改善策を示すことが絶対条件とされています。
これを受けて地元の反応はさまざまで、関空会社の福島伸一社長は、「非常に残念。政府には国家戦略に基づき、満額を認めていただくよう強く要望する」としていますが、一方、大阪府の橋下知事などは、「大歓迎。補給金の凍結は、長期的に見れば関西のためになる。これでやっと国も地元も目を覚ますでしょう」とカンフル剤としての効果を期待した逆説的な発言をされています。
私自身も、事業仕分けで指摘された関空不振の背景には、関西圏全体の空港過剰問題があり、それを放置したまま補助金をつぎ込んでも問題の先送りにしかならないという判断は妥当なものと思います。今回の機会をとらえて、この関西圏での空港の整理統合を決断することは、和歌山にとってはもちろんのこと、関西全体にとっても非常に大切なことと考えます。
ここで、和歌山県としても、これまでは避けてきた関空に係る本質的な議論、伊丹廃止を含めた今の関西における空港整備の全体構想、和歌山ビジョンを明確にすべき段階に来ていると思います。補給金が最終的に予算案に盛り込まれるのかは財務省の予算査定となりますが、もうこの年末と目前に迫っていて、そこでは和歌山県なりの構想を思い切ってぶつけるのは今がラストチャンスとなります。
これまでの和歌山県は、関西国際空港に対して県民の税金をつぎ込み続けてきています。昨年までの累計で出資金として66億9000万、貸付金として16億4000万、1期工事の負担金54億4000万、2期工事の負担金83億3000万、そしてプロモーションなどの経費として関空促進協議会へ1億6000万円の血税をつぎ込んできています。しかし、このままではこれまでの税金投入も無駄となり、将来の和歌山県民に大きな禍根を残すことにもなりかねない状況です。ここらで和歌山県としても今後の展開を見通して、これまでの努力を無駄にしないためにも、また税金をつぎ込んできた責任としても、しっかり物を言っていかなくてはいけないのだと思います。
そこで知事に質問ですが、まず今回の事業仕分けの結果を聞いて率直な感想をお聞かせ願いたいと思います。また、仮に来年度からの補給金160億円がなくなった場合、県として関西国際空港がどのような事態になると想定しているか。あわせて、国からの補給金がなくなった場合、大阪府では関空関連の予算を凍結するといったことも検討されているようですが、和歌山県はどういった対応を考えているか、御所見を賜りたいと思います。
続けて、この関空問題で、最重要の指摘となります伊丹空港廃止に向けた和歌山県の姿勢についてお尋ねいたします。
伊丹空港への対応としては、これまで和歌山県としては、関空から受けるメリットが他の近畿府県よりも大きく、そこでは地域エゴととられないためにも伊丹空港に係る露骨な発言は控えてきていますが、しかし、私は、事ここに至っては、はっきりと伊丹のあり方についても言及すべきタイミングに来ていると思います。伊丹空港に隣接する自治体は、今になってこれまでのいきさつを抜きにして伊丹空港存続の運動を強化し、ややもすると、伊丹を廃止すること自体が道理の通らない理不尽なものに聞こえるような全くおかしな発言まで出てきています。そこでは、我々も関空の整備に至る経過を改めて確認しつつ、関西広域に係る利益の最大化といった視点から、和歌山県なりに堂々と伊丹廃止の妥当性について声を大にして訴えるべきと思います。
まず、これまでの伊丹空港の開港から今日まで、皆様も御存じかと思いますが、改めて簡単に振り返ってみたいと思います。
現在の大阪国際空港は、1939年、昭和14年に大阪第二飛行場として開設されました。戦後、一時的に連合国軍に接収されたときに伊丹エアベースと名づけられたことが現在の通称伊丹空港となっています。日本への返還後、1958年に大阪空港として新たに開港、翌59年には第一種空港として国際路線を開設し、大阪国際空港と改称されました。1964年からジェット機が乗り入れを始めたのを契機に、伊丹周辺地域では環境・公害問題が大きな社会問題となり、1964年10月には大阪国際空港騒音対策協議会が発足し、1967年には公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律いわゆる騒防法が制定され、伊丹の騒音に対して国が補償する長い歴史がスタートすることとなります。周辺住民、周辺自治体の反対運動は激しさを増していき、1973年には、伊丹市が大阪国際空港撤去都市と宣言するところまで行っています。
こういった一連の反対運動の激化から、運輸省はこれ以上の衝突を避けるため、関西圏での新空港開設を検討することとなり、その際、そもそも前提条件として、あくまで新空港開港に伴い伊丹空港は廃止される予定となっていました。しかし、いざ新空港ができるという現実を突きつけられると、周辺自治体では経済的利益の損失を恐れる声が大きくなり、それまで伊丹廃止を声高に叫び、その対策費を国から享受してきた多くの自治体、市民は姿勢を反転させ、逆に存続運動を始めるようになります。
1968年から新空港開設の正式な調査がスタートし、当初は淡路島、神戸沖、播磨灘など候補地が上がっては消えていく中で、結局、1974年に新空港建設地として泉州沖が決定され、沖合5キロに世界初となる本格的な海上空港を建設、騒音に加えて大気や海上汚染など環境問題に配慮し、24時間運用可能な国際拠点空港を築き上げる壮大な国家プロジェクトがスタートしました。
その後、泉州地域を初め、和歌山など周辺自治体の理解、協力を得て1994年に関西国際空港が正式に開業、さらに24時間運用のための第2滑走路が建設され、現在に至っています。
反対運動の現況としては、伊丹空港廃止、撤去を強く要望してきた大阪国際空港騒音対策協議会は平成17年に、時代の要請を受けてといった理屈で、その名称から「騒音」といったかなめの言葉を簡単に外して大阪国際空港周辺都市対策協議会に名前を変え、今や堂々と伊丹空港存続を声高に叫んでいます。しかも一方で、昨年から減額されたとはいえ、国からの税金支出となる騒音対策費についても、今でもそれを受け取り続けている現実があります。
ちなみに、これまで騒音対策費として国から周辺自治体に投入された税金は、昨年までで総額、何と6755億円にも上っており、通常なら新しい空港が1つ、2つできるぐらいの金額を享受してきています。
こういった状況を改めて確認して、やはり本当に理屈が通らないと思いますし、ほとほと情けなく思いますが、関空が危機に際している今、伊丹空港廃止以外には結局手詰まりとなる可能性が大きい中、今後は和歌山県の戦略としても伊丹空港廃止に向けてしっかりとした姿勢が必要になると考えます。
そこで知事にお尋ねいたしますが、まず、伊丹空港のこれまでの経過を見て率直に知事はどのように感じられるでしょうか、お聞かせください。
また、私はこれまで、関西圏全体における空港整備についてその理想とするあり方を和歌山独自に描くべきと、この議会で何度も提案してまいりました。県としても構想をまとめていただいているものと思いますが、そこで伊丹が廃止になった場合の関西圏全体のメリット、関空のメリットをどのように考えているか、あわせて御答弁いただきたいと思います。
また、基本的に私は、関西圏全体の未来の発展のためにも、今こそ伊丹空港廃止の道筋をつけるべきときに来ていると思います。今回の事業仕分けの議論でも、基本的には、関空は西日本の国際拠点となるハブ空港といった位置づけで、その価値は認められるものとなっています。あくまで予算凍結の理由は、伊丹空港廃止を含めた抜本的な改善策を検討すべきだということで、結論を先送りさせないということです。伊丹廃止に向けて和歌山県としてもはっきり発言していくべきと考えますが、知事の御認識を賜りたいと思います。
次に、観光医療を初め、新たな観光、集客への提言について。
これまでも観光医療といったことで和歌山の気候風土、自然条件などの地域資源を最大限に生かした新たな観光集客の取り組みを提言してきましたが、今回改めてメディカルツーリズム、ヘルスツーリズムの取り組みについてアジア市場、特に中国にフォーカスして強化する提案をさせていただきたいと思います。
「健康」「観光」「環境」は、今の時代、3K、時代のキーワードとなっています。現在の鳩山政権においても、前原国土交通大臣は、特に観光の取り組みに力を入れたいと、事あるごとに指摘もされています。そんな中、とりわけ健康と観光を組み合わせたヘルスツーリズムは、新たな観光商品の1つとしてその有効性は強く指摘され、今後ますます期待される分野となっています。
そもそも古来から、観光、旅行には人をいやし、健康にする力があることは知られています。温泉療法、運動療法、森林セラピー、アロマセラピー、アンチエイジングのための長寿食事療法など、旅するときには五感を働かせることで人にいやしを与えることができます。観光を通じて健康を取り戻したい、維持したいといった欲求は、特に富裕層が爆発的に増加している今の中国では大きなものとなっているようです。
先日、和歌山県、山東省の友好提携25周年を記念する行事に私自身も参加させていただき、青島、済南を訪問させていただきました。訪問団の件については、あす、向井先輩議員のほうから詳しく御報告いただけるということですので、ここでは詳しく述べませんが、やはり今の中国は一見にしかずであり、今回の訪問でも多くのことを気づかされ、また新たなビジネスチャンスといったことについても体感してまいりました。
今回提案させていただくものは、中国訪問中に私たちの案内役をしていただいた元済南市の外事弁公室に勤務されていた王勇さんから勧められた中国人を対象とする観光旅行についてです。王氏からは、和歌山県でも大きなメリットのある取り組みになると思うので、ぜひ具体的に検討すればよいのではないかと貴重なアドバイスをいただきました。
王氏は、もともと山東省済南市、外事弁公室で日本担当として仕事をされていて、私との出会いは8年前、私が市議会議員当時、和歌山市と済南市が姉妹都市で、その交流事業のため済南市へ伺った際にお世話をしてくれたのが彼でした。その王氏は、2001年、青島中国旅行社にヘッドハンティングされ、今回の和歌山県の友好訪問の担当者として再会することとなりました。
彼が勤める青島中国旅行社は1958年に設立された歴史ある旅行社で、この2008年からは青島市政府が運営する青島華通国有資本運営グループに組み入れられ、正社員130名の青島最大の旅行社となっています。
その王氏と現在の中国人の旅行ニーズ、動向といったことをお話しする中で、私たちがこれまで取り組んできている観光医療に対する大きな可能性について改めて指摘されるものとなりました。今後、日本への個人旅行が解禁された中国では多くの旅行需要が生み出される、そこでは、特に和歌山などの地方は新たな付加価値をつけた旅行商品をつくらないといけない、それができれば大きな成果が期待される。その一例として、この12月中旬に王さんが実際に主催する中国人の日本向けツアーの内容を御紹介いただきました。
王さんが今回担当するのは、まさに観光医療の商品であり、それは青島中国旅行社としても初めて扱うツアーだということです。定員は20名でしたが、山東省以外からも申し込みが殺到したということです。参加する人は30歳から45歳までのまだ若い企業経営者や資産家などの富裕層で、12月の16日に上海を出発し、17日に東京で人間ドック、PET検査を受けてから20日までは観光。訪れる観光地としては定番の富士山や箱根をルートに入れて、高級ホテルに宿泊。ツアー代金は日本円で1人50万円程度という高額な旅行商品だということです。
王さんの話で特に印象的だったのは、日本向けの旅行で観光医療は今後ますます盛んになるだろう、その理由としては、中国にも同様の検査を受けられる環境はあるが、しかし、日本には中国にない特別な信頼感があるということでした。医療でも日本は中国の先を行く先進国であり、経験値も高く、中国で同じような最先端の医療機器を導入しても信頼性が乏しく、診断の結果についても不信感があるということでした。日本は厳密で正確といった国としてのイメージがあり、それこそが日本の強みでありブランドとなっていると指摘されました。
また、この人間ドック、PET検査などを含む観光ツアーを誘致する利点としては、一度検査して終わる話ではなく、その人の健康状態を継続的に見ていく必要があり、一度このツアーに参加すると毎年参加してくれる可能性があり、リピーターの確保が容易であるということでした。
こういった旅行商品は全国でも幾つかの取り組みが進められていて、この関西圏でも大阪府などは、MRIなど医療設備が整った病院が多い大阪の特徴を生かし、アジア客向け人間ドックツアーを企画し、特に中国の沿岸部に住む30から50代の富裕層をターゲットにして1泊2日の健診に、有馬温泉での保養や大阪市内での買い物を組み合わせた旅行商品づくりを進めています。今後は府内各病院でも受け入れ態勢を整備し、また大阪府としても通訳などを用意し、バックアップしていくということです。
そもそも中国人の観光客の市場としては、2006年に前年比11%増の3450万人となっていて右肩上がり、その消費額は300億USドル、3兆円に迫る市場となっています。中国人の海外旅行による平均消費額は、旅費、宿泊費を除き一旅行当たり2913USドル、約25万円となっていて、大半がショッピングで消費されています。中国の金融資産100万ドル以上の人口は34万人で、これも右肩上がり。その富裕層にとって、近年、旅行への関心が急激に高まっており、旅行に関心の高いスーパーリッチの市場でも毎年8%前後で拡大していくと見込まれていて、アジアでの観光爆発を誘引する核となると言われています。
今こそ和歌山県としても、山東省との友好関係を単なる親善交流だけに終わらせずに、和歌山への観光客の誘致にも積極的に活用すべきと考えます。これまでの交流でお互いの信頼関係を地道に築いてきているわけですから、今回はぜひ王さんの提案に耳を傾け、これまで私たちも取り組んできている観光医療といった概念の延長線上にPET検査や人間ドックなどの付加価値を和歌山観光に組み合わせ、中国からの集客を図る取り組みを強化していただきたいと思います。
そこで質問ですが、まずアジア、特に中国の富裕層などを対象とした観光旅行の商品としてMRIやPET検査、人間ドックなどの予防医療を組み込む取り組みについてどのように考えるか。また、そういったものを具体的に商品化していく場合、和歌山における可能性をどのように考えるか。また、このような旅行商品を和歌山で考える場合には、県内の病院、医師会などとの連携が欠かせません。これは観光交流課だけで取り組めるものではなく、庁内でのワーキンググループづくりを初め、作業を進めてもらうことが必要だと考えます。また、あわせて、できるだけ早期にモデル事業をつくって取り組んでいただきたいと考えますが、商工観光労働部長より御所見を賜りたいと思います。
最後に、新たな観光集客といった同じくくりの中で、Jリーグチーム、ヴァンフォーレ甲府のキャンプの誘致についてお尋ねいたします。
Jリーグチーム、ヴァンフォーレ甲府の合宿誘致がほぼ決定に近い段階となっている中で、県の対応について幾つかの提案並びに質問をさせていただきます。
プロスポーツのキャンプ誘致は、全国的にも多くの自治体が、特に観光を重視する地域では相乗効果を期待する声が多く、激しい誘致合戦が繰り広げられています。
プロスポーツのキャンプは、通常、観光シーズンのオフの時期に行われることが多く、観光客の入り込みを平準化したい多くの観光地にとっては願ってもないチャンスとなります。特にサッカーJリーグのキャンプは、1年のうち1月と6月がキャンプシーズンとなり、和歌山観光にとっても非常に都合がよく、受け入れやすい環境にあります。また、サッカーのJリーグの場合は地域主義をとっていて、地元のテレビ局、ラジオ局による熱烈な応援もあり、オフシーズンのキャンプなどは地元のテレビ局のクルーも同伴することも多く、そこではチーム状況のリポートが毎日のように伝えられ、広告効果としても大きな成果が期待できます。
今回のヴァンフォーレ甲府は、日本テレビ系列のYBS山梨放送が地元チームとして応援していて、そこではスポーツ番組、またニュースとしても和歌山の紹介を含めてキャンプ情報を放送してくれることが期待されます。
さて、こういった地域への貢献を期待して、全国でも多くの自治体がプロスポーツのキャンプ誘致を積極的に行っています。例えば宮崎県などでは、合宿誘致について県を挙げて取り組み、成果を上げています。読売巨人軍の宮崎キャンプは有名ですが、プロ野球だけでなく、プロサッカー、JFL、実業団野球、実業団陸上部等の合宿誘致を積極的に推進し、それにあわせて天然芝の球場や雨天時の屋内練習場、宿泊施設等の整備を行い、全国的にも認知される状況となっています。
ちなみに、昨年春季の経済効果は、宮崎県の試算で125億円となっています。そのほか、最近キャンプ地として有名になったところでは、北海道網走市などは道と市が協力し、行政主導のキャンプ誘致を成功させています。現在、夏には実業団ラグビーチームを初め、約1000人が訪れ、経済効果は5億2000万円ということです。また、長野県でもラグビー合宿で有名な菅平では、芝生のグラウンド6面、公認陸上競技場を完備したサニアパークを整備し、最近はサッカー、陸上競技を含む年間約1300チームが訪れるものとなっています。
そういった中で、今回、和歌山にもチャンスが来ました。株式会社ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブ、通称ヴァンフォーレ甲府が来年1月18日から29日の間、和歌山でキャンプをしていただける可能性が高いものとなっています。
このヴァンフォーレ甲府というチームは、1999年から開始されたJリーグにおいて、当初はJ2からスタートし、2000年にはクラブ存続の危機を迎えたが、地域一丸となって乗り越え、2005年にはJ1の入れかえ戦を制し、2006年から2年間J1の舞台で活躍されています。2008年には、残念ながらJ2に降格してしまいましたが、現在、J1復帰を目指して健闘されています。
また、このチームの代表取締役社長の海野一幸さんは、今のJリーグでカリスマ的な経営者として知られ、Jリーグ全体のチェアマンにもふさわしい人と評価される人物で、今回の合宿が決まれば和歌山にも来られる予定となっていて、講演等をお願いできる可能性があります。
さて、今回の件でここまで来るには多くの人にお世話になりましたが、それは、日ごろから地道な努力をされている縁の下の力持ちがあって初めて実現した話です。このキャンプ誘致の一番の功労者は、特定非営利活動法人NPOのミラグロッソカイナンスポーツクラブの副理事長、森下勇人さんです。
森下さんは、生まれ育ちは海南ですが、高校から東京の帝京高校に行き、名将小沼監督のもとでサッカー人生を歩まれました。その人柄から多くの人に慕われ、今や全国にサッカー関係の人脈を持ち、また家業を継ぐために地元に戻った後もボランティアで長年にわたって熱心に地域の子供たちに世界を目指すサッカーを教えてきています。
その彼から、東京にあるコラボという会社を御紹介いただいたのですが、このコラボという会社は、Jリーグを退団した若い選手のセカンドキャリアをつくろうと設立された会社で、その社長さんも和歌山海南出身、森下さんの同級生で鈴川純二氏が引き受けられています。
今回のキャンプ誘致を実際に現場サイドで進めてくれたのは、帝京高校で森下さんの4つ下のキャプテンを務め、そのコラボで中心的な役割を担い、現在のJリーグでも多くの有名選手から絶大なる信頼を集めている日比さんという方です。この日比さんが和歌山に来られたときに私も御紹介いただき、いろいろと話をし、そこでは和歌山の環境を説明し、ヨットのナショナルトレセンが誘致された話などをしている中で、Jリーグのキャンプを考えてもらえないかとお願いしたところ、実際に候補チームに和歌山を御紹介いただき、現地視察をしていただけるところまでとんとん拍子に話を進めてくれました。
今回は森下さんの御紹介から多くの人の出会いをいただき、今回のキャンプ誘致を進めることになっていて、本当にありがたく、この場をかりて心からお礼を言いたいと思います。また、現地視察では、私自身は中国出張が重なり同行できなかったのですが、マリーナシティのロイヤルパインズホテル様にも御無理をお願いし、破格の条件を出していただきました。また、県のスポーツ課も誠心誠意御案内いただき、特に日比野課長御自身も大学までサッカー選手として活躍された経歴から、共通の知人などもあって話を盛り上げていただけたようです。
このようにたくさんの方の力を結集して、今回のキャンプ誘致が進められているわけですが、和歌山県としても、今後、国体を契機として、県の多額の税金を投入して多くのスポーツ施設が整備されることとなります。その投資をしっかりと将来に生かしていくためにも、今後はプロスポーツのキャンプ誘致などは欠かせないものとなります。
そこで、今回のヴァンフォーレ甲府のキャンプ誘致に係る過程で幾つかの課題も見えてきましたので、そういった話も含めて知事並びに教育長に質問並びに提案をさせていただきます。
まず、プロスポーツチームのキャンプ誘致について、その地域におけるメリットを県としてどのように考えるか、知事の御所見を賜りたいと思います。
また、今回キャンプ誘致を実現させるために何らかの助成をできないかと県の制度を調べてみたのですが、対応できそうなものがありませんでした。よく似た性格のもので、和歌山県観光連盟のコンベンション開催助成金制度というのがありましたが、担当課からお話を伺うと利用できないということでした。これでは他の自治体での取り組みと比較しても余りにもお粗末で、もう少し体制を整備する必要があると考えます。今後、県でもキャンプ誘致のインセンティブとなる助成、補助の制度については早急に整備してもらいたいと考えますが、知事の御所見を賜りたいと思います。
また、プロスポーツチームのキャンプが誘致された場合には、これは地域の子供たちにとってもまたとない機会となり、地域への貢献が期待されます。スポーツクリニックなどを開催して、競技スポーツのトップ選手と地域の子供たちが触れ合える環境をつくる、そういった体験は子供たちにとっても大きな財産となりますが、教育長に、地域における特に子供たちとの交流の意義、また、どういった取り組みが具体的に可能か、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
2点目、先ほど知事と言いましたけれども、答弁は商工観光労働部長のほうからお願いしたいと思います。
以上で、私の1問目の質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの山下大輔君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、国の出先機関の地方移管の問題でございます。
私は、地方分権とか地域主権とか大変大事でありまして、現在の立場だけじゃなくて、もともといろんな意見はたくさん持っております。人後に落ちないと思います。その中でも、前政権の中でも、どうもこの出先機関の地方移管あるいは解体あるいは廃止、そういうものにだけ脚光が浴びているのはちょっと変だなあという感じはしております。もっと大切なことがたくさんあるじゃないかというふうに思うんですが、御質問ですので、お答え申し上げたいと思います。
この問題については、大事なことが3つあると思います。第1は国と地方の役割分担の明確化、第2は財源の確保、第3は人の取り扱いであります。こういうことをきっちりしないと、地方への押しつけになったり、あるいは、例えば大阪のかわりに東京になっちゃったという一極集中が加速するなんていう結果になってしまうということにもなりかねません。
「地方にできることは地方で」とよく言われますけれども、大切なのは、できるとかできないとかいう話じゃなくて、責任を持ってだれがやるべきかということではないかと思います。まず、国が責任を持つべきことは何かということをきちんと整理した上で、それ以外の事務、権限等は全部地方に移管すべきだと思います。
国が責任を持つべき範囲、ある意味ではこの国の形というのは、本来的には国全体で議論して決めるものだと思いますし、鳩山総理が所信表明演説で明言されましたように、活力に満ちた地域社会をつくるため、国が果たすべき役割は率先して果たすべきだということだと思います。
しかしながら、最近の政府の動向を見ておりますと、地域主権の名のもとに国が責任を負うべきものまで安易に地方に押しつけられるのではないかなあという心配も私自身はちょっとしておりまして、本県としては、何が国が責任を負うべき分野なのかということを積極的に国に申し入れていきたいと考えております。
具体的に、例えば1つ申し上げますと、高速道路を初めとする幹線道路網の整備というのは、地域間の競争条件を整えるという観点だけではなくて、国土を有効に使って日本というものの国際競争力を高めるという観点からも、これは国が最後まで責任を持つべきだと思っております。地方で勝手にやりなさいというようなものではないと思います。社会保障などもそうだと思います。
議員御指摘の近畿に所在する出先機関の事務権限についても、国が責任を負うべき分野の明確化を図った上で、それ以外の事務は必要な財源をちゃんとつけた上で地方に移管すればええと思うんです。その際、府県単位では移管できないような事務については、広域連合で受け入れればよいというふうに思います。橋下知事はこういった趣旨で広域連合での出先機関の受け入れを提案しているのだと考えております。
今後、全国知事会や近畿ブロック知事会において国の出先機関の事務の仕分けを行うことになっておりますので、こういった観点から本県の意見を発信してまいりたいと思います。
最後に、地方移管される事務を担当している国家公務員の処遇の問題については、私は基本的には、地方に事務移管されるからといって、国の職員を簡単に引き受けることはできないというふうに発言をしております。地方と比べて国の職員の数の見直しは進んでおりません。本県でも、新行財政改革推進プランに基づき、血のにじむような気持ちで11.7%の職員を削減しようとしているところでございます。そういうことですから、まず国において行政改革をきっちりと行うべきであると考えております。そうでなければ行革に伴う痛み、つらいことだけを地方に押しつけるということになるわけであります。
次に、事業仕分けでございます。
事業仕分けから考える行政の見える化─ちょっと漢字を当てておもしろいなあというふうに思いますが─への取り組みの重要性についてでございますけれども、今回国で行われた事業仕分けについては、政権交代に伴ってこれまでの政策を点検し、それを予算編成に生かしていこうというものであると理解しております。
改革をしようとするときは、こういう何らかの形のリシャッフルというのは有効であり、かつ必要であるかと思います。また、これにより、これまで継続されてきた事業等のあり方について、まさに見える化で国民の関心を集め、大いに議論されたということは意味のあることだと考えております。
次に、政策決定や予算編成のプロセスの透明化を図るべきではないかという御質問でありますが、私は、知事就任以来、できるだけ県民の皆様にわかりやすく県の考え方をお知らせし、より多くの県民の声を聞くことを心がけ、そういう意味で1つ1つ真摯に、まさに見える化をやってきたつもりでございます。
昨年度は、新行財政改革推進プランの初年度でありました。この新行財政改革推進プランをつくるときにも何度もプロセスを発表して、それで意見を聞きながらやってまいりました。それで、県の総意としてそういうことができたので、今度はそれを実行せないかん。それの初年度でございます。で、御承知のように、10億円ずつ毎年削っていかないとちゃんとしたつじつまが合わないというふうになっております。そのために行革をせにゃいかん、県有施設、外郭団体、補助金の見直し等、こういうものを実施しなきゃいけないということなんで、まず行政改革を担当する事務局案、これを私の結論を得る前に発表してもらいました。その政策的な見地からの必要性の検討を1年間かけて行って、それで結論を出したわけです。
その間、県議会でも御審議いただきましたし、県民からの意見もたくさんいただきました。俎上に上った各政策のサポーターから机の上にこんな山と積まれるほどの反対の御意見もいただきました。賛成も少しありましたが。そういう意味で、和歌山の場合、目に見える化をやったわけですが、プランを実施するというときに、財政が破綻しないようにという共通の座標軸があったと思います。そういう意味では、和歌山の場合は国がやっているのよりももう少し理論的だったかなという感じはするんですが、そういう検討を加えた上で見直し案を検討したわけであります。
さらに、毎年度の県の政策形成におきましても、毎年、新施策を部内で議論しております。その新政策の議論の節々で公表いたしまして、それをもとにいたしまして、一般の意見はもちろんのこと、例えば市町村長の懇談会を開催して市町村の立場からの御意見をいただいたりして修正をしたり、さらに拡大をしたりするということをやっておるわけであります。
私は、県がやるべきことは、こうしたさまざまな工夫を踏んだ上で行政内部で真摯に検討を重ね、県としての責任のある成案をまとめて県民にお示しすることであって、その成案について十分に説明責任を果たしていくことだと考えております。
それを、申し上げました以上に議論の過程をオープンにする。例えば、知事と部内で議論しているところをテレビで映すとか、そういうことをいたしますと、俗な言葉でございますが、カメラ目線になりまして、それで、あるいはええ格好をする、あるいはひょっとしたら言いたいことも我慢しちゃうということになってはならないというふうに思います。したがいまして、現実の問題として多少無理があるというふうに思いますので、来年度の新施策につきましても、今後、国の予算編成の動向や地方交付税、税収などの歳入見通しを踏まえながら、十分な内部検討を経て責任のある当局案を作成し、そして県民の代表である議会にこれを御審議いただくのが筋かなというふうに考えておる次第でございます。
次に、関西空港に関してでございます。
これの事業仕分けの結果についての感想ということでございますが、これは、概算要求において、関西国際空港に対する補給金が従来の90億円から160億円に増額されておりました。ある意味では期待しておりました。さきの事業仕分けにより補給金が、言葉だけ言えば凍結ということになりました。長期的に見ると、それは、まさに仕分けのときに書いてありましたように伊丹空港を含めた抜本的な解決策を考えるためのということでございますので、その解決策を考える上ではいい機会となったと私も思います。
ただ、現実の問題から考えますと、その解決策が出るまで補給金がなくていいかというと、これはつらいわけであります。したがって、つなぎの意味として補給金を続けていってほしいなあというふうに思っております。
山下議員は引用されませんでしたけども、橋下さんの声明文には、実は同じことが書かれています。新聞報道ではそこは書かれなかったのでございますが、現実の問題としては、しばらく検討が済むまでの間は補給金は必要であるぞよというふうに書かれていることを、よその県でございますが、一言だけ御報告しておきたいと思います。
そこで、関空会社では、国際拠点空港としての競争力強化策として、ことし10月から新規就航、増便に対して着陸料割引の拡大を行っております。例えば、私もイタリアに行って、関西全体のためにアリタリア航空の増便を頼めないかというような運動もしましたし、全員でいろいろ運動をしております。幸い、この冬のダイヤでは、アジア方面を中心に国際旅客線の増便の動きもあります。これを可能にするように、補給金160億円を活用して、既存便の国際線着陸料の割引等も考えてるというふうに聞いております。
補給金がなくなりますと、財務構造のさらなる悪化はもとより、こういうプロモーションに使う前向きのためのいろんな仕事がなかなかできなくなっていきます。そういう意味では、抜本的改善を待たないうちに関西空港の競争力がさらに低下するということを恐れるわけであります。
大阪府が予算を凍結した場合の対応ということでございますが、私は、そういうことがというよりも、その前提として補給金がなくなってはならんというふうに思います。なくなってることを想定して、それで大阪府が、じゃ凍結するということを想定してということはなかなか答えにくいんですけれども、関係府県と連携して関空が盛り上がっていくように何とか相談をしてまいりたいと考えています。
伊丹空港の問題でありますが、これまでの経過を見ての感想ということでありますが、伊丹空港を含めた3空港のあり方についての議論の必要性は感じております。伊丹空港の環境問題から関西国際空港が伊丹空港の廃止を前提に建設されたという過去の経緯は大変大事なことでありまして、これを忘れたかのごとく伊丹空港の機能強化を唱える意見があることについても、また、そういうことにくみしてしまった国の政策が行われてきたということも、私は率直に申し上げますと、どうよという気持ちでございます。
次に、伊丹廃止によるメリットあるいはデメリットについてはさまざまな議論の余地があると思いますが、私は、関西国際空港の機能強化を図り、関西国際空港を国際ハブ空港として発展させるということを大事に考える、これが一番大事な視点で、長期的にはこれこそが関西の発展につながるものと、これは和歌山県だけではなくて、関西全体のためだと確信しておりまして、これを主張してまいりたいと思います。
伊丹廃止に向けた和歌山県の姿勢はどうかということでございます。
9月の関西3空港懇談会において、橋下大阪府知事からの提案で、伊丹空港の廃止を含めた長期ビジョンを1年程度かけて議論していくこととしておりますが、県としては関西及び和歌山の発展につながるよう、今申し上げましたように関西国際空港の活性化、国際ハブ空港化を強力に主張してまいる所存でございます。
次に、プロチームのキャンプ誘致に係る地域メリットについてでございますが、スポーツ合宿はリピート性が高く、長期滞在につながるなど、県内宿泊施設の稼働率アップを初めとする経済的な波及効果も、あるいは教育効果も、いろんな面でいいところがあると思います。また、豊かな文化や自然、そういう本県の魅力を知っていただく絶好の観光のPRの機会とも考えております。
実は、国体の施設、これをつくる、それをどこの市町村で、どういうスキームでやるかということをほぼ1年かけて、ちょうど1年ぐらい前まで検討してきたわけでございます。そのときも、重要な視点は、単に国体を実行するということじゃなくて、その後もずうっとスポーツ合宿によるまちおこしに役立たせるような、そういう見地からいろいろ考えてやっていただいたわけであります。
既に、特に先進的な市町村では、こういうことについて積極的な誘致活動も行われております。それを後押ししようと考えまして、本県では職員が努力をしてくれて、各種スポーツ施設や宿泊施設あるいは医療機関など合宿に必要な情報を1つにまとめた「スポーツ王国わかやま合宿ガイド」をつくりまして、京阪神への近接性、温暖な気候という本県の持つメリットを生かしたスポーツ合宿の誘致に努めているところであります。
このたび本県がJリーグに所属するプロサッカーチームのキャンプ候補地として選考されておりますことは、大変歓迎すべきでありまして、このチャンスを生かすとともに、もっとこの動きを加速してまいりたいというふうに考えております。
○議長(冨安民浩君) この際、申し上げます。
所定の時間まで残り2分強であります。答弁は簡潔にお願いいたします。
商工観光労働部長永井慶一君。
〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) まず、アジアの富裕層を対象とした観光旅行に人間ドック等の予防医療を組み込む取り組みにつきまして、1、2、3、まとめてお答えいたします。
議員御提言の人間ドックなどを組み込んだ旅行ツアーは、健康志向が強まっている中国の富裕層の方々にとりましては、付加価値の高い旅行商品となるものと考えてございます。また、本県のすばらしい自然景観や温泉、多彩な食文化などと医療サービスとをうまく組み合わせることで魅力的な観光メニューとなり、本県へのより一層の誘客が期待できるものと考えております。
なお、その実施に当たりましては、医療通訳の確保などの受け入れ体制の課題もありますが、今後、早急に関係機関と協議に入りたいと考えております。
次に、キャンプ誘致のインセンティブとなる助成制度の整備についてお答えをさせていただきます。
プロスポーツのキャンプ誘致につきましては、議員御提案のとおり、コンベンション開催の助成も1つの方策ではありますが、プロチームのキャンプ地選定に当たりましては、施設や設備のレベルを重視したキャンプ地の選定が行われていると聞いております。また、そのことに加え、市町村が主体となった地域全体での誘致活動やキャンプ運営へのサポートも実現への大きな牽引力になるものと考えられております。
このため、県としましては、今回の経験を踏まえ、関係市町村との役割分担を明確にしながら、本県がプロスポーツのキャンプ地として選ばれるよう適切な支援策を検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 教育長山口裕市君。
〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) プロスポーツチームのキャンプ誘致についてお答えいたします。
議員御指摘のプロスポーツチームの本県でのキャンプ誘致につきましては、子供たちが一流のプレーを目の当たりにすることによりまして、夢や感動を与え、スポーツに対する高い目的意識を醸成し、運動、スポーツの苦手な子供たちにも運動習慣をはぐくむそういった効果が期待できます。
また、国体開催に向けて「わがまちのスポーツ」の振興や住民の意識を高める意味でも期待できるとともに、教育的見地からも効果的でございます。キャンプ期間中には、一流の選手やコーチによるスポーツ教室の開催や指導者の資質向上のための研修会などの開催が可能でありまして、主体となります市町村や関係団体と連携・協力し、誘致促進に努めてまいります。
以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 所定の時間が参りましたので、以上で山下大輔君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時46分休憩
────────────────────
午後1時1分再開
○副議長(坂本 登君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
22番山下直也君。
〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 議長のお許しをいただきましたので、質問に入ります前に、今、壇上にこうして立ち議場を見ましたときに、28番江上柳助議員の席に白い花が飾られております。これを見、経済警察委員会で御一緒させていただき、また同世代でもありましたゆえ、元気に発言をし、活動されておられました江上議員の姿が今も思い出されるわけであります。改めまして、この場をおかりして江上議員の御冥福をお祈り申し上げます。
それでは、議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきたいと思います。
今回は、関西国際空港の問題について、通告に基づき、4項目にわたり質問をさせていただきたいと思います。なお、私は今回あえて、ある理由をもって質問をさせていただきたいと考えておりますので、先輩・同僚議員の皆様、また知事初め県当局の皆様、何とぞ意のあるところをお酌み取りいただきまして、これから行います私の質問をしばしの間、御清聴いただきたく、よろしくお願いを申し上げます。
質問に入ります。
今、地方にとって公共インフラの整備のあり方が大きな転換を余儀なくされ、混迷しようとしているところであります。そんな中、11月30日午後2時より和歌山県自治会館におきまして、市町村長会や市町村議会議長会、さらには社団法人和歌山県バス協会、社団法人和歌山県観光連盟、社団法人日本青年会議所和歌山ブロック協議会など、県下の諸団体を代表される方々が集まり、仁坂和歌山県知事、そして県議会より冨安議長を初め議連の会長でございます門議員、町田議員、そして全会派の代表者が出席をいたし、近畿自動車道4車線化などの道路整備を促進する和歌山県民大会が開催され、多くの県会議員の皆様方の出席のもと、道路整備促進を求める決議がなされました。
そして、この県民大会を受け、12月3日には東京において県選出衆参国会議員への道路整備の促進を求める要請活動にも、私も参加をさせていただきました。ただ、その席上、本県選出の民主党の3名の衆議院議員がそろって欠席をされておりましたことは、まことに遺憾でありました。一体なぜなのでしょうか。正直、寂しい思いをいたしました。当日、この要請活動に参加されていた熊野の女性からこういう発言がありました。「私たちはぜいたくな道は要らない。ただ、そこに暮らす者として普通の道が欲しいだけ」との発言がなされましたが、この言葉は私の胸を打ちました。
国、地方の違いはあれど、また与党、野党の違いはあれど、党派を超えて、政治家はまず地元の声を聞くということが基本であり、大切であると思います。県民から選ばれた政治家ならば、できるできないは別にしても、和歌山県が抱える大きな課題に対し、和歌山県代表の国会議員として堂々とこの場に出て、県民の皆さん方の意見を聞いていただきたかった。私は、素直にそう思いました。
いささか生意気なことを申し上げましたが、このように道路整備に対する県民の強い思いが県、市、経済団体一丸となった活動として取り組まれておりますし、それだけに、この先、和歌山県にとって今回のことは1つの将来に向けた不安材料になってしまったのではないかな、そのように感じますが、皆様方はいかがお感じになりますでしょうか。
さて、本題に入ります。
今、道路の話をさせていただきましたが、もう1つ傍観してはならない大切な問題が出てまいりました。それが関西国際空港問題であります。県議会の一般質問において、この関空建設に関連し、コスモパーク加太問題等について幾度かこの議場において県の見解をお聞きしてきた経緯があります。そして、これらのことはすべて関空に関する大きな課題であったことだと今も認識をいたしております。
以上のことから、今回の一般質問を関空問題に的を絞り取り上げた次第でありますので、御理解をいただきたいと思います。
質問を続けます。
午前中、真わかやまの山下大輔議員から質問がなされ、また私の質問の後、公明党県議団の角田議員からも質問がなされるようにお聞きをいたしております。関西国際空港の行方は今後の和歌山県の浮沈に大きくかかわってくる課題でもあり、県民にこのまま負の遺産を残すのか、それとも結末をプラスに変えていくのか、党派を超えて同じ課題に注目をいたし、今議会において3名が質問をすることは、県域を守るといった観点から志を同じくし、いかに大切で大きな問題であるかということをまさに認識を一にしていると、ある種、力強く、うれしくも感じる次第であります。
さて、関西国際空港は、皆様御承知のとおり、1994年9月4日に日本で初めて旅客、航空貨物の両方の24時間運用される空港として華々しく開港いたしました。ことしで15年目を迎えた本年9月には、旅客ターミナルビル4階の国際線出発ロビーにて記念式典が開かれ、福島社長から累計利用者数が2億6000万人に上ったことが披露され、さまざまな思い出やドラマも見守ってきたと思うと感慨深いとのあいさつがあったと聞いております。
しかし、16年目のスタートを切ったお祝いムードとは裏腹に、関空を取り巻く環境は「極めて厳しい」の一語に尽きる状況であります。
世界的な不況の影響を受けた国際線利用者数の低迷、相次ぐ路線廃止や減便、10月12日には前原国土交通大臣と橋下大阪府知事との会談での中、羽田空港を24時間運用の国際ハブ空港として優先整備との発言や、さらに政府行政刷新会議が11月16日に行った事業仕分け作業での関西国際空港会社への補給金約160億円の凍結、そして、大臣は事業仕分けで補給金計上の前提とされた関西3空港問題の抜本的解決策を年内にまとめるのは不可能との見方を示されたのであります。
特に国の補給金160億円の凍結に対しましては、午前中にも質問があったとおり、仮に来年度補給金160億円がなくなった場合、県として関西国際空港がどのような事態になるかという質問に対し、知事から以下の答弁がございました。補給金を凍結することはまことに遺憾である、しかしながら、長期的に見れば伊丹空港を含めた抜本的な解決策を考える上ではいい機会となった、つなぎとして補給金はつないでほしい旨の答弁があったことと思います。ごもっともだと感じます。
ここでいま一度思い起こしていただきたいことがございます。そもそも関西国際空港は、大阪国際空港いわゆる伊丹空港が都市部にあり、騒音等の問題により近隣の市町から廃止の要求が起こっていたこと、発着便数やジェット機の離着陸の制限、夜間の離着陸禁止という国際空港としては致命的な欠陥を抱えていたことを受け、伊丹空港を廃止し、騒音問題もクリアし、24時間運用可能で航空需要にも十分対応のできる複数の滑走路を備えた国際ハブ空港を国策として泉州沖に建設することとなり、1994年に開港されたものであるということは言うまでもないと思います。私が今さらここで声を大にして言うのもおかしいかもしれませんが、関西国際空港の原点は、まさにここにあるのであります。
一方、国費投入を抑止するため民間活用の方式が採用された結果、現在1兆円を超える有利子負債を抱えてしまい、割高な空港使用料により航空会社が利用しにくい状況になっていること、また伊丹空港の存続が影響した結果、旅客、貨物の実績が当初想定した予測を大幅に下回っていることなど、国の航空行政の混乱が引き起こしたものでもあると思います。
国策として関西国際空港の建設を決定しておきながら後の責任を放棄する国土交通省の失政と、伊丹空港周辺の11市でつくる大阪国際空港騒音対策協議会いわゆる11市協議会の「廃止」から一転「存続」へという、経済的損失が大き過ぎるとはいえ、甚だ今さらながら地域エゴと言わざるを得ない状況が現在の結果の大きな要因の1つではないかと考えております。
現に私は、大学時代、豊中に住んでおりましたが、当時、伊丹空港の問題につきましては、地元の方々は「出ていってほしい」という声ばかりでありました。それが今ではどうでしょうか。余りにも理不尽ではないでしょうか。加えて当初は神戸沖との案もあったようでありますが、環境問題から反対が起こり、結局のところ、現在の泉州沖に決まったわけであります。そしてまた、2006年には神戸空港が開港し、関西3空港の時代に入ってしまい、余りにも無計画な状態と言わざるを得ない状況になってしまったのではないでしょうか。
一方で、本県はこの国家プロジェクトに協力するため、土取り事業など、いわば関空建設に協力をいたし、負の遺産とも言うべき本年11月末現在で約483億円という多額の借金を土地開発公社が背負っている状況になっており、加えて土取り跡地はカゴメ株式会社の誘致のみ。過去幾度となくこの議場にて、先輩の渡辺勲元県議や和田正人前県議、森正樹前県議、また小川武議員、尾崎要二議員や、最近では同僚の泉議員などから、多くの議員の皆さん方からこの関西国際空港の問題について質問がなされ、指摘がされてきたわけであります。
とりわけ、先輩の森正樹議員につきましては、再三にわたりハブ空港を仁川にとられてしまうではないかというような質問が繰り返し行われました。ハブ空港を韓国の仁川空港に持っていかれ、当初期待していた機能を関西国際空港が果たせていないという、いわば先ほど申し上げた点と今私が述べた点の二重の苦しみを味わっているのが現在の関空と和歌山県の関係であると感じます。
ここに1冊の本を持ってまいりました。「ナベやんの関空物語」と題した本であります。この中には、昭和51年7月に和歌山県議会に関西新国際空港特別委員会が設置されたとか、それ以降、開港に至るまでの経過等が延々とこの中に書かれているのであります。そして、政治家の仕事は何か、次の世代のために希望の持てる社会の展望を開かなければならないと書かれてありました。まさにそのとおりであると思います。
関西空港は、当初、本県にとって果たすべき役割は大と期待をいたしスタートしたのに、今この状態は一体どういうことなのでありましょうか。現状をかんがみ、これからの関空のあり方や本来のあるべき姿をもう一度この際考えていくべき大切なときを迎えていると感じるのは、私だけではないと思います。
そこで、改めて関西国際空港の役割と現状について、知事は今どのように考えておられるのでしょうか、お伺いをいたしたいと存じます。
次に、先般、関西、伊丹、神戸の各空港の利用方法を考える関西3空港懇談会の幹事会が11月30日に大阪市内にて開かれ、3空港の一元管理を12月14日に予定されております懇談会で提案することを固めたとの報道がなされました。この懇談会は、大阪府や兵庫県、神戸市、国土交通省や地元経済界など12団体で構成されており、もちろん、当和歌山県も入っております。
懇談会が目指す一元管理は、資産や財務を一緒にする経営統合ではなくって、滑走路などの共同運用を想定しており、伊丹と神戸を関西国際空港株式会社に管理させるという案も浮上しております。また、行政刷新会議のワーキンググループは、160億円の補給金の凍結を解除する条件として、関空と伊丹との競合問題などの解決を求めております。
一元管理案はプラスに作用することには間違いないと見られておりますが、しかし、この先議論が深まってくれば、当然、対立点も出てくるであろうし、現に大阪府知事の橋下氏は、2035年の伊丹廃港などを条件に関空と伊丹を一体管理する案を打ち出し、一方、兵庫県知事の井戸氏は、3空港の一体運営を訴えているが、同時に伊丹の有効活用を求めており、とても同じ方向を向いているとは言いがたい状況であり、加えて先般、11市協に加盟する自治体、そのうち大阪府池田市の倉田市長は橋下知事の案に賛同、伊丹廃港案を示されております。
そんな中、今、関西広域連合の設立に向けて関係府県で議論が本格化しようとしており、地方分権が叫ばれている中、自主自立の関西を実現するため、この関空問題は避けて通れない課題であり、まさに地方主導による広域課題として、まず関西が一丸となって解決に取り組まなければならない問題の大きな1つではないのでしょうか。
そこで、知事にお尋ねをいたします。
関西3空港懇談会において、和歌山県としてどういう立場をとり、どういう主張をなされていくおつもりなのか。これについてお伺いをいたします。
次に、今後の関西国際空港の国際ハブ空港に向けた取り組みについてであります。
関空問題は、大阪周辺に関空、伊丹、神戸と3空港が乱立をし、限られたパイをめぐる競争は激しく、中心部から遠い関空は不利な状況であるのは事実であります。また、関空の再生には有利子負債の削減が欠かせない、関空が多額の借金を抱えたのは、そもそも民活方式で用地を造成したからだとも言われておりました。また、補給金は延命策にすぎず、抜本的な解決にはならないのではないか、本来は国策として、国際ハブ空港を計画した国が責任を持って借金の一部を肩がわりせざるを得ないのではないかなどと考えられます。
ちなみに、関西地域の経済力は、人口でオーストラリアを上回り、GDPで韓国に匹敵をしており、また関西には京都、奈良、大阪、神戸、そして和歌山県も含め豊富な観光資源もあり、関空は国際ハブ空港のポテンシャルについては十分あるというふうに考えられます。
今お示しをしたハブ空港の成功例として引き合いに出されます韓国の仁川空港も、当時は民間活力を生かすプロジェクトとしてスタートをいたしました。しかし、開港前の空港の社長が予測されていたとおり、多額の借金に苦しんで、当初は厳しい経営を余儀なくされ、その後、韓国政府は仁川空港に財政支援をいたし、やがて着陸料を引き下げることができ、競争力をつけ、現在のアジアのハブ空港としての位置づけを確立したということであります。
私は、今、仁川空港について、ハブ化の成功という華やかなところだけに目を奪われがちになっているのではないかなというふうに考えます。今だんだんお話をいたしましたように、実はその裏で、緻密な国家戦略のもと、努力と勉強を重ね、成功へ持ってきた。だとするならば、関空も同じことが言えるわけであり、これから一日も早く地道な努力と知恵を絞り、いい関西空港をつくっていただきたい、私はそのように考えます。これからでも決して遅くはない。関空を当初より計画していた日本の第2の国際ハブ空港として位置づけるよう国に求め、国策として関西空港を立て直していくべき、私はそう考えます。
そこで、知事にお伺いをいたします。
今後の関空のハブ空港に向けた取り組みについて、県としていかに進めていかれるのか、また関西空港の機能強化についてどう進めていくおつもりなのか、お伺いをいたします。
最後に、和歌山にとって関西国際空港を今後県勢浮揚にどうつなげていくのかについてお尋ねをいたします。
日本で唯一、長距離滑走路を備え、完全24時間運用可能な世界標準空港である関空に最も至近距離にある和歌山県としては、この関空のインパクトを有効に活用していく必要が今もあると思います。さきにも言いましたように、大阪府知事の橋下氏は、2035年の伊丹空港の廃止や、その跡地を特区制度を活用した国際都市や、それから新線──新しい線ですね──なにわ筋線の計画、また梅田から関空のリニア構想等、具体的にさまざまな関空利用促進策などを打ち出しておられます。
本県では、昭和61年に関西国際空港の立地に伴う波及効果を積極的に活用し、県勢の活性化を図るために関西国際空港関連地域整備計画(7プロジェクト・3軸計画の推進)を策定し取り組んできたことは、皆さんも御承知のとおりだと思います。
昨年、平成20年4月に策定をいたしました和歌山県長期総合計画を見ますと、次のように書かれております。「関西国際空港は、第2滑走路がオープンし、離着陸に最小限必要な施設による限定供用ではあるものの、日本初の世界標準空港になりました。 関西国際空港がアジアそして世界のゲートウエイにふさわしい機能を発揮し、さらに広域的な道路網と結節されることにより、空港から至近距離に位置する本県経済の発展にとって大きなメリットをもたらすことになります」と関西国際空港のポテンシャルを位置づけ、「関西の自治体や経済界と一体となって、関西国際空港の機能を拡充するため旅客ターミナルビル等の2期事業を推進するとともに、エアポートプロモーション等による国際線・国内線の拡充や利用促進に努めます。 また、関西国際空港が至近距離にあるメリットを活かし、国内外の観光客の誘致や企業誘致、農作物をはじめとする県産品の輸出等を行うとともに、公共交通機関の接続向上や府県間道路の整備などアクセスを強化します」と、その将来像に向けた取り組みを記載しております。
関空開港15年、いま一度原点に立ち返り、和歌山県と関西国際空港を県勢浮揚にどうつなげていこうと考えておられるのでしょうか。知事のその御意見をお聞かせいただきたいと思います。
以上、質問を4点にわたり申し上げてきたわけでございますけども、何とぞ、私の質問の冒頭申し上げましたとおり、意のあるところをお酌み取りいただきまして心ある答弁をお願いいたし、私の第1問を終わらしていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの山下直也君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 関西国際空港問題についてお答え申し上げたいと思います。
関西地域の自立的な発展のためには、首都圏空港と並ぶ日本第2の国際ハブ空港が不可欠であり、関西において唯一、国際ハブ空港となり得るのは関西国際空港であることは言うまでもありません。したがって、これを伸ばしていくということは、和歌山が近いとか、よそが遠いとか、そういう問題ではなくて、関西全体の復興のためのまさに一番大事な条件であるというふうに思っております。
また、この空港ができたときの経緯、それから今までの皆さんの御努力、そういうような原点を踏まえてすべての人が考えていかなきゃいけないということも、また事実であるかと思います。
しかしながら、昨年からの世界的な景気後退あるいは新型インフルエンザで人々が少し不安を持った。JALの経営危機などの影響によって関西国際空港の離発着便が減少してまいりました。その中で、関空会社の中間決算は辛うじて6億円の黒字でありましたけれども、ここ数年間ずっとだんだんよくなってきておったのに、通期見通しでは27億円の赤字というふうに発表されておって、大変厳しい状況にあります。
そうした中、いろいろな議論はあると思いますが、補給金が凍結されるべきだというような事業仕分けがなされましたけれども、これについては大変な問題になるなというふうに思います。
関西国際空港の経営に大きく影響を与えているのは、議員御指摘のように、1兆1200億円の長期債務であります。これについては、これまた原点に戻って考えれば、本来国の責任において財務構造の抜本的改善がなされてしかるべきであったと、あるいはこれからそうされるべきであるというふうに思います。
また、これは仕分けのときにもありましたが、3空港の根本的なあり方の検討ということも必要であろうかと思います。ただ、それまではもう何もしないというのも、関西空港のこれからの発展を考えると大変危険なことであると思いますので、それまでの間はつなぎとして補給金の継続が必要であるというふうに考えます。
本年9月から私もメンバーとなりました関西3空港懇談会において、これをちょっと付言いたしますと、本来和歌山県と知事がメンバーでなかったというのはおかしいと思いますが、いろいろ議論をしておりましたところ、メンバーに入れていただきましたが、その懇談会において、伊丹空港を含めた抜本的解決策の合意に向けて全力を尽くしてまいりたいと考えております。
それから2番目でございますが、関西3空港懇談会における本県の立場でございます。
これは、関西国際空港のハブ&スポークス機能の強化を図るため──これが大事だと思いますが──特に国内線の減便が続く現状からも、国内長距離路線や主要都市への路線を、これは前々からの約束どおり伊丹から関空にシフトすべきであると、関空をなくすというのはとんでもないというふうに考えております。
また、一元管理という議論があります。これについては、手法、内容等、議論していく課題がたくさんあると思いますけれども、関西国際空港の国際ハブ空港化にとってプラスとなるような形での一元化を図っていくべきだというふうに考えております。
何よりもその懇談会で私が申しておりますのは、繰り返しになりますが、和歌山がどうだとか、兵庫がどうだとか、大阪がどうだとかいうんじゃなくて、全部の関西で考えたときに、関西が国際ハブ空港を持っていないというのはとんでもない弱みになるわけだから、これを盛り立てるように、これの活性化のためにいろいろな手段を労して力を合わせるべきだ、それを第一に据えるべきだ、すべてはそこから始まる、そういうふうに私はその場でも主張しているし、今もそう思っております。
次に、関西国際空港が真の国際ハブ空港となるにはどうしたらいいかということだろうと思いますが、高コスト構造の抜本的な改善あるいはアクセスの利便性向上など、根本的な問題を解決し、仁川空港、上海空港を初めとするアジアの空港との競争に勝ち得る着陸料等の条件整備を行う必要があると考えております。
このため、今秋より関西国際空港全体構想促進協議会と関空会社が共同で新規就航便については実質無料となる施策を行っているということから、実はこの冬のダイヤではアジア方面を中心に国際旅客便の増便、すなわち若干の巻き返しの動きも出てまいりました。
国際ハブ空港が大事だ、このままでは外国の空港がそうなってしまって、日本が中心ではなくなるぞという点については、この協議会で申し上げるだけではなくて、実は国土交通省関係──新政権になってもいろいろ話をさしていただいておりますけれども、そのときにもいろんな資料を持っていって、仁川がこうなっておるぞとか、それから、このままでは日本が全部仁川のスポークスになってしまうじゃないかとか、そういうことを一生懸命力説して、新政権にも頑張ってもらいたいというふうに思っているところであります。
4番目に、関西国際空港が開港して15年を見てまいりますと、例えば本県を訪れる外国人の宿泊者数や出国者数の増加、県農産物の輸出増加等、県のグローバル化に一定の成果があったと考えます。それから、何よりも、これまでの成果があったという結果ではなくて、我々にチャンスを保証する、そういう非常に重要なものになっているというふうに思います。昨年、桃を台湾にというような実験をやってみましたが、そういうことが可能になるのも関空があっての話であります。
今後、関西国際空港のハブ&スポークス機能が充実し、アジア、そして世界のゲートウエーにふさわしい国際拠点空港となることで、関西国際空港が持つ輸送機能を活用した、今申し上げましたような農産物の輸出拡大や、あるいは中小企業の海外展開、海外と組んで事業を伸ばそうと、どんどん売ろうと、あるいは国際交流の増進、人と物の流れを拡大するということを通じて県勢発展につながるようにしていきたいと思っております。
空港があったからといって、こういう努力を一方でいたしませんと、これまた宝の持ち腐れになるわけでございますので、いろいろ問題のある関空ではございますが、ぜひこれをうまく利用して頑張っていくべく、これまた他の政策も動員してまいりたいと思っております。県議会の皆様と連携して総合的に取り組んでまいりたいと、そんなふうに考えております。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
22番山下直也君。
○山下直也君 ただいま知事から御答弁をいただきました。そこで、私は、今こう思います。関空がいろんな意味で浮沈の瀬戸際に立たされているのは、これはもう事実であろうかと思います。関空をつくる時点から協力をいたし、また知事の御答弁にもありましたように、少なくとも開港以来、観光を初め関空の恩恵を享受し、関空を活用しながらの県勢浮揚等を行ってきた和歌山県にとって、この問題は見過ごしができない大きな課題の1つであるという、そういうところはやはり一緒であろうかと思います。
言い過ぎかもしれませんが、言うなれば関空が疲弊をすれば和歌山県の発展への道を1つ失ってしまうことになるんではないか。そういう点でいまだ和歌山県の、少し知事に対しては失礼な言い方になるかもしれませんが、明確なメッセージが今日まで発信されていなかったのではないかなというふうに思いました。今、知事の答弁を聞いておりまして、いろいろ考えておられるというのは理解をするところであります。
昭和49年、航空審議会答申にある関西国際空港の機能が十分に発揮されるようになった時点で大阪国際空港、すなわち伊丹空港を廃止することを前提にするとの内容があり、これは首尾一貫した正論と考えるわけであります。神戸空港まで誕生した現在、このまま行けば関空の存在意義が確実にぼかされてしまう。現に関西経済同友会の山中代表幹事──南海電鉄の会長さんでございますが──関空のハブ化のためには神戸空港を廃止すべきとさえ主張をしておられるわけであります。
このような事態を今もって、くどいようでありますけれども、開発公社の抱えておる債務の問題があるわけでありますけれども、和歌山県はそういう大きなものも背負いながらの闘いでありますので、やはり見過ごしていってはいかんのではないかなと、このように思うわけであります。
あんまり好きな言い方ではありませんけれども、かつて関空ができれば和歌山県は扇風機の裏側となる、そのような後ろ向きな意見があったのも事実であります。しかし、今では和歌山県民は関空の恩恵を受け、今、知事答弁にありましたように、その恩恵を享受しているのではないかということでありますので、例えばそれが企業誘致であったり、インフラの整備であったり、海外観光客を本県へ誘致をしていると。観光客が和歌山にたくさん入ってきている、その数字はふえているじゃないかと。和歌山の将来ビジョン、関空の存在抜きではこれらのことは全部私は考えられなくなってしまうのではないかなと。だから、それだけ大切なんだということでこだわったわけでございます。
したがいまして、その関空が危ない今こそ、国においても、これもまたしつこいなあと言われるかもわかりませんが、党派を超え、県においても私たち議会も、そして県当局も地元経済界も道路整備の促進を求める要請活動と同様に、やはり歩調を合わせて一致団結して行動すべきときではないかなと、そのように思うわけであります。そのために今我々は何をすべきなのかと、それぞれの立場において考えることが大切なわけであります。
前回、道路のことで東京に行かしていただいたときに二階衆議院議員から、例えば県議会のほうで1つにまとまるんならば──もちろん全会派の代表が行っていただいたわけでありますから、まとまるわけでありますけれども──意見書や、それから請願等をどんどんやっぱり国に対して上げてくるべきだという指摘がございました。そのとおりだと思います。我々もこれから懸命にこのための努力をする覚悟でございますので、どうか、県当局におかれましてもなお一層の御努力をお願い申し上げ、将来、この関西空港ができてよかった、その空港に和歌山県も大いに寄与することができた、これは和歌山県にとって誇りであるという結論が出ますように最大の努力をお願い申し上げ、要望といたし、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山下直也君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
27番角田秀樹君。
〔角田秀樹君、登壇〕(拍手)
○角田秀樹君 ただいま、先輩の山下議員のほうから故江上議員に対しまして過分なる、また御丁重なるお言葉をいただきました。心より御礼を申し上げます。ありがとうございました。
それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさしていただきます。
初めに、関西国際空港の今後について知事にお伺いをいたします。
本日午前と、そしてただいま午後で関空問題について既に多岐にわたり、るる論議が尽くされておりますので、なるべく重複を避けまして、2点に絞りお伺いをいたします。
去る12月の1日の新聞報道によりますと、国土交通省や地元自治体、経済界などでつくる関西3空港懇談会が関西国際空港、大阪空港、神戸空港の3空港の一元管理を目指す方向で合意したという記事が掲載されておりました。大阪府の橋下知事は府庁で、伊丹空港廃止については多数決に従う旨のコメントをし、さらに何のための一元管理であるのかを明確にすべきであるとも述べられておりました。
このたびの3空港一元管理については、政府の新政権による事業仕分けで、関空会社に対する補給金160億円の凍結という事態を受け、関西圏域で航空体制を維持保全するためにとられた措置ではないだろうかというふうに思います。私個人としましては、今こそ関西は1つであると、強いそういう決意で臨まなければならない事態に入ってると思います。知事の御所見をまずお伺いしたいと思います。
次に、1958年に開港いたしました大阪伊丹空港は既にもう50年経過し、今日までたび重なる騒音対策がなされてきたことは、もう皆様も御承知のとおりであると思います。その地域住民の健康対策等、抜本的解決策に実は関西国際空港というものの計画がなされました。
関西国際空港は、24時間発着可能なハブ空港として、将来の展望を視野に入れ、1994年、平成6年9月の4日に開港し、現在に至っております。多くの先輩議員が関西国際空港事業の推進に尽力をされた経緯につきましては、先ほどの山下先輩議員からもお話があったとおりでございます。皆様も御承知のとおりであり、また、今後もこの関西国際空港を起爆剤にしながら和歌山県勢の発展のために尽くしていきたい、こういう思いであります。
また、先日、12月4日の報道によりますと、「航空自由化、日米合意へ」と、両国を結ぶ路線や便数を自由に設定できるようにするオープンスカイ協定が近く政府間で締結されるようであるという記事が目に入ってまいりました。そうなりますと、2010年以降、本格的な競争時代に入り、現行の羽田・成田空港の発着枠は飽和状態であるため、関西国際空港のいよいよ出番到来であると思います。
また、運航地点の制約がなくなれば、関西国際空港を中心としたマーケットの広がりに期待が非常に高くなると思われます。関西国際空港の利活用と今後の利用促進について、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、第2阪和国道の整備についてお伺いをいたします。
本年当初の予算委員会にて質問をさしていただきましたが、昨今の道路建設に対する政府・与党の基本的なスタンスと地元和歌山県選出の民主党国会議員との微妙な食い違いを危惧するものであります。改めて、今議会で第2阪和国道建設についての重要性を論じておきたいと思います。
平成27年に2巡目の和歌山国体が予定され、県民総参加型で成功を願う1人でもあります。メーン会場となる和歌山市への交通アクセスについては、特に大阪府との府県間道路である第2阪和国道は本県の表玄関に位置し、国体開催まで全線供用を強く望むものであります。
現在、紀の国大橋も平成15年に暫定供用され、中心市街地への交通渋滞の緩和が図られておられます。朝夕のラッシュ時も比較的スムーズに通行できるといった声をたくさん私どももお聞きしております。
先日、大阪に向かう際、孝子峠を過ぎ、あの深日のロータリー付近から混雑が始まり、結局、箱の浦の交差点まで約1時間かかりました。箱の浦ランプ付近を見ますと、橋梁の下部の工事が進んでおりまして、改めて全線の早期完成を強くその場で願ったものであります。
また、少し話は変わりますが、先日、ある食品関係のオーナーと懇談する機会がございました。そのオーナーの話に、今、日本全体の景気が悪い中、特に乱高下が激しく、景気が落ち込んでいるのは中部地域であると。そして、次に関西であると。しかし、そのオーナーは、比較的に安定しているのは、実は関東であると。いろんな要素はあるとしても、関東平野に日本の人口の約2割が集中しており、まず、何といっても一番の要因は、実は地形そのものにいわゆる利点があるんであるという、こういうお話でございました。
東京を中心に、周辺の自治体との境は平地であります。神奈川、千葉、埼玉とも関東平野の一部であり、また平たんな地形でつながり、まちとまちとの境がないのと同じであります。したがって、時間のロスも生じてきませんし、人口密度も高く、効率よく商いができ、人、物、文化、情報といったことを常に共有し、発展をなし得てきたという、そういった話でございました。
そういう観点から考えると、和歌山から大阪に行くにしても、山合いを通過し、また人口密度の薄い箇所を通らなければなりません。したがいまして、一刻も早く幹線道路の開通が必要であり、時間短縮は命題でもあります。
今、国体開催に向け第2阪和国道の整備事業については、県勢浮揚に必要不可欠な施策であると思いますので、この件につきましても知事の御所見をお伺いいたします。
次に、南海和歌山市駅のバリアフリー化についてお伺いをいたします。
南海和歌山市駅は、和歌山市の西の玄関であります。駅バリアフリー化は、他都市からお越しになられる観光客はもちろんのこと、エレベーターの設置やオストメイトの設置等、障害を持った方々の観点に立ち、公共機関の使命を実は実感していただきたい、こういうことを思います。
予算委員会でも質問をさしていただきましたが、平成27年に秋季国体競技が本県で行われます。終了後、全国障害者スポーツ大会も開催が予定されております。県内の公共交通機関を利用される方も多いと思われます。JR和歌山駅に次いで1日の乗降客数が多い南海和歌山市駅がバリアフリーになっていないことが今後の問題であります。
昨年9月の17日に和歌山市民会館で、和歌山市の主催で人権教育講座が開催されました。その折、講師として招かれた方は、車いすのダンサーとして大変有名な方で、開演開始、開口一番、「南海和歌山市駅を利用してここに招かれましたが、和歌山の玄関口とも言える主要な駅に実はエレベーターが設置されていないのに驚いた」と話されたようであります。参加されていた女性の方から私どもに、「本当に和歌山市駅は障害の持った方には利用しがたい駅である」と言われました。
JR和歌山駅が東の玄関駅であるならば、南海和歌山市駅は西の玄関駅であると言っても過言ではありません。一日も早いバリアフリー化を望むものであります。このバリアフリー化につきまして、企画部長にお伺いをいたします。
次に地方道路整備について、特に小規模道路改良事業についてお伺いをいたします。
紀の川市、旧粉川町、静かな農業地域では、今、柿やミカンの収穫で繁忙をきわめております。他にキウイ、またイチジク等といった果樹が盛んな地域でもあります。
先日、私の古い友人からお誘いがあり、上鞆渕の赤沼田というところに行ってまいりました。「初めての人はこちらには絶対来れないので迎えに行くから」ということで、その友人は軽トラで迎えに来て乗せてもらい、家まで案内してもらいました。しばらく赤沼田の現状についていろいろとお話をお聞きし、問題となっている現場にも足を運ばせていただいたところであります。
その友人は、現在61歳で、団塊の世代で昭和23年の生まれ。麻生津小学校、そして麻生津中学、粉河高校を卒業し、そして社会人になり、日本旅行に入社いたしました。
本人が言っていましたが、初めて天王寺という都会暮らしで駅で勤務し、そこで彼は最初に驚いたことは、新聞の朝刊という言葉の意味がわかったと、こういうふうに言っておられました。というのも、ここの、もともと住んでおりました赤沼田では、朝刊は決まってお昼の正午きっかりに配達されたからであります。実に、朝に新聞が配達されたことは、彼にとってはカルチャーショックであったようであります。続いて、彼は真剣な顔をして、「そのときは本当にびっくりしたよ」と。「今でも和歌山県下では交通の不便な地域においては、結構郵便配送で新聞が配達されているようである」とも言っておられました。
そして、近年、都会暮らしの現役を引退して、生まれ故郷の赤沼田に第2の人生を送るために県農業大学校社会人コースに入学し、8カ月間農業の勉強をし、修了書をいただき、現在、おじさんの残した畑を譲り受け、果樹農家として地域の活性化、また発展のために日々頑張っております。いわゆるIターンであります。
また、同僚の方や知り合いの方がいつでもこの地域に来られたら、いやしの場を提供しようという考えで、また自然を満喫してもらおうというそういう考えで自宅を改築し、地デジ対応やカラオケセットも備え、四季折々の工夫を凝らし、参加者に本当にこの地でひとときの楽しい時間を過ごしてもらいたいと、多くの友人を現在招いておられます。ここで田舎のよさを実感していただき、帰って赤沼田のよさを広めてもらいたいと、こういうふうにも言っておられました。
私も、夕時、赤沼田からの紀の川を見渡す光景は最高でありました。そういった生活を続ける中、生まれ育ったふるさとの現状や、今、自分たちの目的に対する疑問と今後の課題について考えるようにもなったと言われておられました。
それは、道路の未整備であります。このふるさとを離れ、約40年もの歳月がたった今日、地元の県道は依然未整備箇所が多く、一番困ったことは、ここ近年、観光を目的に訪れる人が多くなったことであります。
本来ならば観光客が多く来られることは大変結構なことではありますが、マイカーで訪れる人がカーナビを頼りにこちらに来られる方が多く、特に冬の時期、路面が凍結し、車が立ち往生し、近くの住民の助けを求め、たびたび家に駆け込んでくるという、こういう始末であります。高野山へ続く7つの町石道の1つも中にはあり、途中には弘法の水といった名所もあります。また、赤沼田の山頂付近には温泉があり、利用客が結構多く訪れる名所にもなっているからであります。めっけもん市場で買い物をし、また紀の川を挟み華岡青洲先生の記念館を見学し、その帰りに訪れる、そういった方々も多いとお聞きいたしました。
そこで、以前から地元住民の皆さんが再々県に対し要望をしています麻生津峠までの道路改修を早急に完成していただきたい。聞くところによりますと、以前、木村前県知事がこの地を訪れ、公民館に集まった住民に対し、ここの地域の道路整備は早期に峠まで工事を完了するという、こういう言葉を地元の皆さんは忘れてはおりませんと、友人は言われておられました。
地域住民の長年の悲願であり、生活道路として、また観光に訪れたお客様に安心して通行を提供できる道路整備が急務であり、整備されればこの地域は小学校に通う子供たちも現在おります。また、高齢者の方が病院に行く足となるコミュニティーバスの運行も可能となります。早期に改良を願うものであります。
一方また、先日、うれしいニュースが入ってきました。それは、JA全中・各都道府県中央会と日本放送協会いわゆるNHKが主催する日本農業賞。同賞は、意欲的に経営や技術の改善に取り組み、地域社会の発展にも貢献する農業経営者と生産組織を表彰するもので、今回で第39回目を迎えるということであります。和歌山県の代表として、個別経営部門に紀の川市の風呂谷史郎さんが選ばれました。風呂谷さんは、私の友人とも親しく交流があり、もともと東牟婁の古座町の御出身でおられまして、現在、この赤沼田に移住をされ、柿やキウイを中心に栽培し、意欲的な農業形態を実践されております。全国大会でぜひ優勝をしていただきたいと願う一人でもあります。
このように、地元に帰り農業を基調に活性化を願う人や、農業革新に日々努力を重ね地域の発展を願う人たち、また従前より暮らす方が元気な地域にと努力を重ねている、こういった場所に血の通った行政執行が望まれます。そのことが過疎集落への歯どめをかける方策の1つでもあり、崩壊してからでは手おくれであると私は思います。今の段階で食いとめることが最重要課題で、勤労意欲はまだ残されているこういった地域に対する支援策は、最も重要ではないかというふうにも考えます。
県下には、このような地域がたくさんあることについては、私自身もいろんな形でお聞きをしております。県当局も十分把握をされているとは思いますが、県単独事業で、限られた予算内で行っておる予算配分も慎重になっていると思われますが、しかし、小規模道路改良事業に重点的に予算を投下することも大事であります。
このような農業経営改善に対し積極的に取り組み、地域おこしに心血を注がれている方や、またIターンの彼のように、都会の方に和歌山県の地域のよさを発信しようと取り組みをなされている現実を目の当たりにすれば、地元の要望に誠実にこたえるべきであると思います。
以上のことから、地方道路整備について県土整備部長にお伺いをいたします。
次に、食品表示適正化の取り組みについてお伺いをいたします。
この時期、年末商戦が近づき、消費者の食品安全に対する関心度も高くなる時期。昨今、中国製冷凍ギョウザ問題や産地偽装問題、いわゆるお米の関係等といった社会的事件も後を絶たないのが現状であります。2年前の2007年12月の28日、千葉市内の食品店で購入した中国製冷凍ギョウザを食べた2人が嘔吐し、1人が入院したことがきっかけで、翌年の2008年、兵庫県でも同症状を訴え入院といった事件がきっかけに消費者の側も非常に敏感になったことも事実であります。
食の安全を提供することが生産者としての責務であります。我が公明党県議団も、今は亡き江上団長を筆頭に、すぐさま2008年2月の8日、当時の原副知事に対し、県内の食品販売業者に対し安全性を確保する申し入れをいたしました。
こういった事件が続くことにより、日本の食品表示制度について、本当に消費者の権利が守られているのかといった疑問を感じている方も少なくないと思います。
現在、最も消費者の要望が強いのが、加工食品の原料原産地表示であります。多くの加工食品の場合、原料の原産地が表示されていません。製造したのは国内の企業でも、原料は中国やアメリカなど外国から輸入されたものというケースが大半を占めるようになりました。加工食品になりますと、原産地表示が必要でない場合もあることから、100%輸入の原料からつくられていても原産地がわからないのが現状であります。
私は現行の制度をすべて否定するものではございませんが、消費者が安心して購入した食材を提供・販売される業者の意識を高めていただきたいと思うわけでございます。法律が不十分な点もあると思われますが、このような状況にあっては、適正な食品表示に向け、事業者に対する指導など、日ごろから取り組むことが重要であると考えます。
そこで、食品表示適正化に向けた県の取り組みについて環境生活部長にお伺いをいたします。
最後に、介護保険に関する諸問題についてお伺いをいたします。
今、介護の充実は待ったなしであると言われ、2025年には高齢者人口が3500万人に達し、高齢化率が約30%にも上ると予測されています。社会問題にもなってきている老老介護、また介護難民など、多くの課題が山積し、今まで以上に介護施策の重要度は増してきます。今後は実情に合った介護サービス提供が求められています。
一方、本県は、全国を上回る速さで進行する少子高齢化により、平成20年には高齢者人口比率は25.3%と、4人に1人が65歳以上の高齢者となり、平成32年には3人に1人が65歳以上の超高齢化社会を迎えると予測されています。
そこで、わかやま長寿2009の策定では、高齢者の方が地域で健康で安心して暮らすことができ、たとえ介護や生活支援が必要となっても社会全体で支え合う豊かな長寿社会の実現を目指しています。平成11年度に策定されたわかやま長寿プラン2000を、平成14年には介護保険制度導入以来の実績を踏まえわかやま長寿プラン2003を策定し、また平成17年には介護保険制度改正を踏まえ、わかやま長寿プラン2006を策定されています。
介護保険制度は法律施行後9年経過し、団塊の世代が高齢者になる平成27年、2015年の高齢者介護を視野に置き、予防重視型システムへの転換、新たなサービス体系の確立、サービスの質の確保・向上など、さまざまな改革が行われてきました。現実、この9年間で予測以上の高齢化が進み、現場ではいろいろな実情を抱え、介護保険の運用についても数多くの貴重な御意見をいただきましたので、以下、質問をさしていただきます。
第1点目は新たな要介護認定制度の実施状況について、2点目は施設入所待機者数の状況及び認知症高齢者の入所施設の整備促進について、3点目は増加する老老介護への対応について、4点目はいわゆる介護タクシーの利便性の向上について、以上4点、福祉保健部長にお伺いをいたしまして、第1問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの角田秀樹君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 通告に従いまして、私に答えろという点についてお答え申し上げます。
関西は1つという考え方で関西国際空港問題に取り組むべきとの御意見でありますが、まさにそのとおりでありまして、関西国際空港を国際ハブ空港として発展させることが、長期的には関西の、それからひいては日本の発展につながると確信しております。
御指摘がありましたオープンスカイ政策でありますが、これは、そういう意味では関西国際空港がこれからいろいろなプロモーションあるいは誘致をやっていくときに役に立つ面もあるんですが、しかしながら、どこにでも行ってもよろしいというところもありまして、そういう意味では、例えば羽田の枠があくとそこに行ってもいいのかとか、そういうふうにもなってしまう両刃のやいばみたいなところもあります。そういう意味で、そういう中でこそ関空はまず抜本的な考え方を確立し、その上で、後で申し述べますようないろいろな活動も熱心にやっていかないかんということではないかと思います。
関西でこういう国際ハブ空港を目指せるのは、唯一、関西国際空港であります。したがいまして、今いろいろ議論があります一元管理の問題についても、関西国際空港にとってプラスとなるようなスタンスでこういうことを考えていかないといかんのだということで関西3空港懇談会に臨んでまいりたいと考えております。
また、関西国際空港の利活用、利用促進につきましては、関係府県、経済団体、関空会社などと連携して、関西国際空港への集客、就航促進、アクセス対策、旅行商品の造成など、さまざまな取り組みを行っておりますし、もっと強化していきたいと思います。
関空会社では、関空島への集客のための見学ツアーや各種イベントが開催されております。また、現在、出国エリア内の増床工事により免税店やサービス施設の充実を図っていることは、御利用の皆様よく御存じのことと存じます。
就航促進ということでは、先日、私もイタリアの航空会社を訪問いたしまして、若干口角泡を飛ばして一生懸命誘致をしましたが、なかなか容易ではないなあということも少し実感しました。
一方、一昨年、私、山東省に訪問さしていただきましたときに出た案件で、済南と関空の間に定期便を飛ばしたいという山東省側の御意向がありまして、それを側面から援助申し上げてまいりましたけれども、ようやくその就航が決まるという発表がありまして、少しうれしい気持ちがあります。成果も少しずつ出ております。努力すれば報われていくんじゃないかという気もいたします。
航空会社に対する着陸料の軽減とか、あるいは関空就航へのインセンティブ向上なども図っておりますけれども、特にこの秋から着陸料がゼロになるような仕組みを導入した結果、この冬ダイヤでは外国航空会社の便数が増加をするというようないいニュースも入ってきております。
関西国際空港を取り巻く環境には、大変厳しいものがあります。この議場でも議論がたくさんあったところでありますが、関西国際空港を盛り立てるために、さまざまな取り組みを関係団体と連携して続けていく必要があると考えております。
次に、第2阪和国道の整備についてでございますが、この道路は和歌山市から阪南市に至る地域高規格道路でありまして、和歌山市から関空を初めとした大阪方面へのアクセス強化や、現在のちょっと嫌になるような国道26号の渋滞緩和など、その果たす役割は極めて大きい道路であると認識しております。
現在、大阪側の阪南市箱の浦ランプから和歌山側の大谷ランプまでの間が事業中であります。事業をするということになってるわけです。その中でも特に府県境部については、就任後、国に対して強く働きかけた結果、和歌山岬道路という名前で平成19年度に新規採択されまして、今後、用地取得、さらには工事着手への事業の進捗を国にお願いしているところであります。
ところが、道路事業予算については非常に厳しい状況にあるのは、皆様も御承知のとおりであります。来年度のもくろみということで、先日、11月27日になりますか、近畿地方整備局から来年度の県内の直轄事業──これは国がやる、この第2阪和も一級国道ですから──国がやることになっておるわけですが、これの概算要求額が内々示されました。内々といっても発表をしていますが。本県の想定よりもこれが随分と下回っておりまして、この第2阪和についてもほとんど我々の想定を──ほとんどというよりも全くかけ離れた少ない予算しか考えていないということでありました。それは到底承服できるものではないと、考え直してくれということで申し上げたのですが、こうしたことから、第2阪和国道についても、今後より一層の危機感を持って、大阪府との連携はもちろんのことでありますが、国に対して早期完成、早期供用、これをこれまで以上に強く働きかけていかなきゃいけない、そういうふうにしようというふうに思ってるところであります。
○副議長(坂本 登君) 県土整備部長茅野牧夫君。
〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 地方の道路整備についてお答えいたします。
県内の道路整備に当たりましては、国や地方の財政状況が厳しい中、コスト縮減に努めますとともに、選択と集中をしまして箇所数を減らし集中的に投資することにより、事業効果を早く出すために優先度の高い箇所の整備を急いでいるところであります。
具体的には、高速道路の整備促進はもとより、府県間道路やX軸ネットワークなどの幹線道路の整備を最優先に進めております。さらに、これに続く生活道路の整備に当たりましては、生活圏30分圏域の拡大に資する箇所、防災上、交通安全上不可欠な箇所、こういった箇所を厳選して整備を進めているところでございます。
議員御指摘の小規模道路改良事業につきましては、事業規模が小さく、特に交通に支障がある箇所を対象として、県単独事業で今年度は85カ所、予算23億6000万円で実施しております。
これまで、幹線道路の整備を優先的に早期に完成させて、その後生活道路等の整備を重点化するという方針で進めてまいりました。今後、幹線道路に係る国の道路予算が厳しいことも予想され、生活道路等である小規模道路改良事業について、これを大きく増額するのは難しいのではないかというふうに思っております。しかしながら、生活道路等の整備につきましては、議員御指摘のとおり非常に重要なものと認識しております。
今後とも、地元の意見を十分に聞きながら重点化も図り、狭隘なところ、線形が不良なところから優先的に整備を進め、地元の要望におこたえしたいと思いますので、何とぞ御理解のほど、よろしくお願いいたします。
○副議長(坂本 登君) 企画部長前硲健作君。
〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) 南海和歌山市駅のバリアフリー化についてお答えをいたします。
南海和歌山市駅のバリアフリー対応につきましては、現状としてはエレベーター、エスカレーターが設置はされておるんですけれども、なお一部で駅員の介助が必要という議員の御指摘のとおりでございまして、完全なバリアフリー対応になっていないということで、これまでも南海電鉄に対しまして早期の整備を働きかけてまいりました。
こうした県の申し入れに対しまして、このほど南海電鉄から、今年度中に駅の改良計画を策定すると、その後、その計画に基づいて改良工事とあわせてバリアフリー化もやるという、そういう予定と聞いておりますので、今後とも引き続きその着実な実施を働きかけてまいりたいと思っております。
○副議長(坂本 登君) 環境生活部長井口悦治君。
〔井口悦治君、登壇〕
○環境生活部長(井口悦治君) 5点目の食品表示適正化への取り組みについての御質問にお答えをいたします。
食品表示は、消費者の食品選択に資するとともに、飲食による危害発生防止のため、大変重要な情報であります。また、食品関係事業者にとりましても、適正な食品表示を行うことは責務であり、消費者の信頼を得る上で大切な要因であると考えてございます。
このため、県では、関連する法律が食品衛生法やJAS法など多岐にわたりわかりにくいという事業者の意見を踏まえ、平成19年度より食品表示ワンストップサービスとして相談窓口の一元化を実施しているところであり、年間1000件を超える相談に対応しているところでもあります。
さらに、昨年度からそれぞれの事業所における食品表示推進者を育成するための講習会を実施し、食品表示に関する主な法令を網羅的に解説するとともに、法令遵守の徹底のための講習も行い、現在までに約1100名が受講していただいております。
また、保健所が実施する食品衛生監視にあわせ、通年で食品表示の監視・指導を実施しており、特に12月は食品の流通が多いことから、年末一斉取り締まりとして強化を図っているところでもあります。さらに、関係機関や食品表示ウォッチャーから寄せられた情報をもとに、必要に応じ事業者に対して適正表示の指導を実施するなど、不適正表示の排除に努めているところでもございます。
今後とも、これらの相談、啓発、監視、指導などにより食品表示の適正化を推進してまいりたいと考えております。
なお、議員御指摘のように、加工食品につきましては、JAS法に基づき、農産物、漬物などの4品目と20の食品群を除き、原料原産地表示が制度上不要となっておりますが、現在、消費者庁において加工食品の原料原産地の表示の拡大について検討中と聞いております。今後拡大されるようであれば、事業者に対する指導など、適切な対応に努めてまいります。
以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 福祉保健部長北田佳秀君。
〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 介護保険に関する諸問題の4点につきましてお答え申し上げます。
まず、新たな要介護認定制度の実施状況についてでございますが、本年4月の認定基準の見直しに当たりまして、利用者等から必要なサービスが受けられないのではないかという不安の声が多く寄せられました。このため、認定を更新する際、本人の希望により従前の要介護度を継続することができるという経過措置が講じられ、また、国の検討会において4月以降の認定の実施状況について検証が行われたところです。その結果、非該当者及び軽度者の割合が見直し前と比べ増加していることが判明したことから、再度見直しが行われ、10月以降に申請された方から順次新たな基準で認定が行われております。
こうした状況から、現時点ではおおむね認定基準の問題は改善されたものと承知しておりますが、10月以降の認定の実施状況につきましても、再度国において検証が行われる予定となっております。
次に、施設入所待機者数の状況及び認知症高齢者の入所施設の整備促進についてでございますが、県内の特別養護老人ホームに入所を希望する在宅の待機者数は、本年3月末現在2468人となっており、前年度より96人の増加となっております。
また、認知症の方が入所できる施設につきましては、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム等がございますが、特に問題行動の著しい認知症高齢者の処遇を行う認知症専門棟を有する介護老人保健施設も県内に8カ所整備されております。
認知症の方も含めて施設に入所を希望する高齢者が年々増加していることから、わかやま長寿プラン2009に基づく計画的な整備を進めるとともに、経済危機対策に基づく介護基盤の緊急整備も実施しながら、今後も着実に受け入れ施設の整備を促進してまいりたいと考えております。
次に、増加する老老介護への対応についてでございます。
本年3月末における県内の夫婦ともに高齢者の世帯数は4万4306世帯で、全世帯に占める割合は10.4%となっており、高齢者が高齢者を介護する、いわゆる老老介護は今後ますます増加していくものと考えております。
このような世帯では、脆弱な家族介護力等により急激に要介護状態が悪化しやすいことに加え、介護する高齢者にも心身ともに過重な負担がかかるおそれがあります。そのため、地域の高齢者の総合相談等を行う市町村の地域包括支援センターが福祉関係機関や介護サービス事業所等と連携しながらその状況の把握に努め、適切な介護保険サービス等につなげていくことが肝要であると考えております。
県といたしましても、地域包括支援センターの充実を支援するとともに、でき得る限り住みなれた地域で安心して生活を送ることができるように、在宅介護サービスや生活支援サービスの充実に努めてまいります。
最後に、いわゆる介護タクシーの利便性の向上についてでございますが、介護保険制度では、ホームヘルパーが要介護者に対し通院等のための乗車または降車の介助を行った場合、保険給付の対象となっております。要介護者の家族が車両に同乗する場合の保険適用につきましては、適切なケアマネジメントに基づき、保険者たる市町村が個別具体的に判断されるものと考えております。
なお、市町村間で判断にばらつきがあるという声も聞いておりますので、今後その状況を把握した上で、必要に応じ助言してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
27番角田秀樹君。
○角田秀樹君 知事並びに関係部長より丁寧な答弁をいただきまして、ありがとうございました。一部順番が変わりましたが、おわび申し上げます。
この生活道路という観点で、確かに大きな高速道、また高規格道路、幹線道路、こういったものもすべては必要なんですが、この紀の川市の赤沼田というのは、本当に私自身も、その現場に行かしていただいていろんな状況のお話を聞く中、本当に気持ちのいい方がたくさんいてるなと。
今回質問をさしていただくということで、前知事のお話も一部引用さしていただきましたが、たまたまそこへお越しになった当時に知事が約束をされたと。それをいまだにずうっと、皆さん待ち望んでるんですね。今の現仁坂知事にそれをどうこうという話じゃないんですが、やはり和歌山県の行政のトップが住民の皆さんにお約束をしたと。これはやっぱり非常に大事ではないかなと。要するに、速やかに、やっぱり履行していこう、たとえ少し時間はかかっても履行していこうというこの部分で、今現在、担当部の道路関係の方が一生懸命行ってはいただいておりますけれども、本当にあそこの7つある1つの町石道をずうっと回ってまいりましたが、非常にいいところでございます。一度知事も御招待したいというふうに思っておりますが。
そういったところで、要するに、そこに1つ生活道路を整備することによって、限界集落とか言われるように、いわゆるそういったものの回避ができるんじゃないかなというふうに私は非常に感じました。だれか1人中心になる方がそこでそういう、村おこしでないんですけども、そういうことを発想していただいたら、またたくさんの皆さんもお集まりになっていただけるんじゃないかなというふうにも思いましたし、その中には、最低限の対向できるような、そういう道路整備が必要になってこようかというふうにも思っております。どうぞまた、予算がかなり厳しいという部長の御答弁ではございましたが、集中と選択をしていただいて、何とぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
あと、南海電鉄の和歌山市駅の件なんですが、確かにエレベーターとか、今、エスカレーターという話がございましたが、実際にプラットホームにはエレベーターはないんですよ。エスカレーターしかないんです。エスカレーターは車いす対応のエスカレーターであり、そこに複数の車いすの方が一遍におりてきたら順番待ちせな、あそこは利用できないという、こういう駅舎であります。
和歌山県下でもほんまに乗降客数が2番目に多いという、こういう和歌山市駅に、入り口のところで、改札口まではエレベーターはありますが、その駅構内のプラットホームにはないというのでありまして、どうか済みませんが、またどうぞ当局におかれましては早急に設計をしていただいて、そして駅の改修も含んで、障害者に優しい、そういうまちづくりの一端に一助していただければなというふうに思います。
以上で、要望という形でさしていただきます。ありがとうございました。
○副議長(坂本 登君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で角田秀樹君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時25分散会