平成21年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
質疑及び一般質問を続行いたします。
44番雑賀光夫君。
〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。
9月4日に海南市で仁坂知事が参加される県行政報告会が開かれ、私も出席させていただきました。知事とは意見が違うこともありますが、こうした報告会を開いて県民と直接対話する場を持つことは大変よいことでございます。いいお話もたくさんございました。レジュメの中で「暫定税率廃止騒ぎ」というような表現があって少し気にはなったんですが、まあ目くじらを立ててどうこう言うこともないでしょう。
質疑の時間が少なかったのですが、大雨の降った場合の浸水の心配だとか、県道秋月海南線の拡幅だとか、身近な要求が出席者から出されたのが特徴でした。特に秋月海南線について、知事は「しっかりとお聞きしました」とお答えになりました。多分そのときは、どこのことかよくわからなかったと思いますが、それはそれでいいんです。担当者に聞かれて今は頭に入れてもらったらいいわけで。地域の懸案、大変強い要望でございます。こういう声をしっかりとお聞きになることに重点を置いて、行政報告会を開かれたらもっとよかったのかもしれません。
以上、感想でございます。もし知っていたら失礼いたしました。
さて、本論でございます。質問の第1は、政権交代選挙の結果をどう受けとめるかという問題でございます。
長い自民党を中心にした政権が倒れ、本日、民主党を中心とした内閣が組閣されます。歴史を画する選挙であったと言っても言い過ぎではないでしょう。事は国政の問題ではありますが、私たち県政に携わる者としても、この政治の激変をいろいろな面から考える必要があると思います。
まず第1に、このたびの政権選択選挙に示された民意をどう受けとめるかという問題です。多くの論者が一致しているのは、この選挙で吹いた風は現政権の政治は終わりにしたいという政権交代の風であって、民主党政策が必ずしもすべて国民から支持されているわけではないということでございます。
私は、これまで、雇用や社会保障など国民生活を犠牲にして財界の大もうけの応援、その横暴を許してきた政治、アメリカとの軍事同盟絶対の政治が国民から見放されたと思います。私たちはその根本を改め、大企業から応分の税金を払っていただく、アメリカへの思いやり予算を聖域とせずメスを入れることができる共産党の役割を訴え、政権交代のあらしの中でも現有9議席を維持することができました。そして、政権交代したことは一歩前進、新しい政治過程がこれから始まると評価しています。
これまでの政治への反省から、生活保護費の母子加算復活、後期高齢者医療制度廃止、労働者派遣法抜本見直し、障害者自立支援法の応益負担の見直し、高校授業料無料化など、国民の切実な願いが民主党のマニフェストにも取り込まれたことは大変いいことで、その実現に私たちも全力を挙げたいと思っています。
そこで、知事にお伺いいたします。
知事は、このたびの総選挙で政権交代の風がなぜこんなに大きくなったとお考えでしょうか。閉塞感ということも言われていますが、国民がなぜ閉塞感を感じたのでしょうか。そして、国民の皆さんの声をどう受けとめ、県政にどう生かしていかれるのでしょうか。
第2にお伺いしたいのは、この選挙の過程で生まれた政策の競い合いの功罪です。
自民党も国民の声に大変敏感になって、薬害肝炎の問題や原爆被爆者認定の解決へと動きました。また、国民の願いが民主党のマニフェストにも取り込まれるなど、政治が民意に敏感になったことは大変結構なことだと思います。しかし、心配するのは、国民の目先の利益だけで人気を得ようとする政策が生み出しているゆがみの問題です。定額給付金もその1つですが、いま1つ、自民党も民主党も競った高速道路料金引き下げの問題について考えてみたいと思います。
高速道路の一部を1000円に引き下げるという政策を実施したのは自公政権でした。新しい民主党政権はそれをさらに推し進めて、高速道路無料化をマニフェストに掲げています。
高速道路料金引き下げは、利用者には喜ばれるでしょう。しかし、その結果何が起こったのか。高速道路の渋滞が起こりました。南海フェリーの経営がやっていけなくなって、県として補正予算を利用して期限を切った支援でしのいでいるという状態です。高速道路が渋滞すればCO2排出がひどくなる。渋滞を解消してさらに高速道路を拡張し続けるのでしょうか。
私は、道路整備がおくれている和歌山県が国に対して道路整備を求めることを否定はしません。しかし、交通政策で私が重視したいのは、できる限りエネルギー効率のいい電車、乗り合いバス、船舶など、公共交通にシフトすることだとこれまでも申し上げてきました。ところが、自民党と民主党の高速料金引き下げ競争は、それとは全く逆のことをやっている。自家用車利用者の目先の利益におもねて、交通体系や環境問題についての政策を欠いていると思います。
知事にお伺いいたします。
高速料金引き下げの結果、南海フェリーは採算がとれなくなってしまった。県は現在行っている補助金の支出をいつまで続けていくことができるのでしょうか。知事は国の補助を求めていますが、その見通しはどうでしょうか。私は、根本は交通政策なしの場当たり的高速料金引き下げに問題があったと考えますが、知事のお考えはいかがでしょうか。
質問の第2、道路整備にかかわる交通安全対策についてお伺いします。
海南市東部から紀美野町へのバイパス道路が野上厚生病院まで供用されるようになりました。海南市から紀美野町に入ったばかりのところに交差点ができました。近所の皆さんは、「この道路が開通したらこの交差点で事故が起きる」と言っておられる。早速、県海南工事事務所に電話を入れ、一たん停止を強調するような標示をとお願いしました。開通した後も、何度も安全対策を要望しました。そして、7月15日の朝、40歳ぐらいの女性が単車で乗用車と衝突して亡くなったのです。すぐに警察本部と連絡をとりました。
その日の午後、たまたま国道370号推進協議会がありましたので、私は、その事故のことで安全対策が後手に回っていることを指摘しました。藤山県議、尾崎県議も同席しておられましたから、私の発言を私よりもっと強い言葉でフォローしていただきました。
その後、私はお花を持って事故現場に向かいました。そこへ私の携帯の電話が鳴ります。県警からです。「公安委員会では手続が済んで、一たん停止の標示を業者に発注しています」、こんな電話です。私は、「ああ、もう数日早かったら」とため息をついたことでした。
地域の皆さんは、よくおっしゃいます。「大きな事故でも起こらないと、警察も行政も動かんよ」。私は、「そんなことはないですよ。手続を急いでもらってるんです」、こう説明をしてきたんですが、今度も言われそうです。「それ見たことか。人が死んだら3日後に一たん停止を書いてきたやないか」、こういうふうに言われそうでございます。
そこで、警察本部長にお伺いいたします。
第1に、新しい道路が供用される場合、その前に安全について検討し、供用と同時に一たん停止が必要なら、その指定標示を行うことができないのか。今後、このたびの事故を教訓に徹底されてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
第2に、一たん停止の標示を、定例の公安委員会の会議を待って認可しなくてはならないものなのか。一たん停止などについては現地警察に権限を移譲し、速やかな対応をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
第3の質問は、医療トラブルにかかわってお伺いいたします。
NHKテレビで医療過誤の裁判のことが放映されました。串本の方の事例でもあり、途中からでしたが、視聴いたしました。私自身が医療過誤の問題で相談を受けており、どうしたものかと思いあぐねているという事情もありました。
その終わりのほうで女性の弁護士の方が「こういう裁判ではなく、医療機関が説明責任を果たしていったらいいんですが」とおっしゃっていたのが大変心に残ったわけでございます。
私が相談に乗って解決しあぐねている問題というのは、ある整形外科の問題です。無理なマッサージをされたと言われます。訴えられた方が元院長先生に手紙を出しました。「昨年9月20日、救急車でお世話になり、あれから1年近くなりますが、毎日痛く、うずきに耐えるのに頭がおかしくなってきました。つえにすがって歩いても10分とはもたず、夜はぽんぽんにはれ、ひざから下が足先までパイプが入っている状態がずっと続きます。もう限界です。先生、助けてください」。私は、この手紙を添えて円満解決が得られるように事務長さんに何度もお電話し、納得のいくような説明をしてあげてくださいとお願いしました。
その後、訴えの方からの手紙です。「昨年先生にお願いした病院の件ですが、2カ月たっても病院の事務長さんから連絡がありません。先生からもう一度交渉してください」。
そこで、私は、県庁医務課にも相談に乗っていただいたのですが、ことしの3月に次のような手紙です。「事務長さんから呼び出しがあって、2月に訪問しましたが、1カ月たっても何の音さたもなく、県医務課に相談すると電話で尋ねてみたらとのことでしたので電話しましたら、『書面にて返事します』とのことで、こんな書類が届きました。こんなだったらもっと早くできるのにとつらい気持ちになりました。書面のコピーを同封します」。
事務長名の文書が添付されています。「当初の入院の目的である骨折自体は治癒いたしました。現症は骨粗しょう症・骨萎縮・下肢筋肉低下等によるものと思われます。これらは容易に治療の効果を上げることのできるものではありません。決して治療過誤によるものではありません」云々。
この間の対応は事務長さんなどが対応されたようで、院長なり医師が対応して患者さんの体をもう1回診たり、カルテやレントゲン写真を取り出して医療的説明をすることはしていないようでございます。
この問題が医療過誤であったのかどうか、それは断定できません。しかし、もう少し血の通った対応があってもいいのではないかと思わないではいられません。専門家を含んだ行政機関が話し合いの調停に入って、できるだけ円満に解決、こういうことはできないんだろうか。
そこで、福祉保健部長にお伺いいたします。
第1、医療トラブルについて、県としてどういう相談窓口を開いておられるのでしょうか。相談の件数、相談への対応はどうなのか。医療機関との話し合いを取り持つことまでできるのかどうか、お伺いしたいと思います。
第2に、医療トラブルについて、医療機関と訴える側の間に入れる専門家を含んだ第三者機関があればいいと思うんですが、いかがでしょうか。
質問の第5番目は、障害児教育、最近は特別支援教育と呼ばれているものについて幾つかお伺いいたします。
先日、ある小学校の特別支援学級の様子をお伺いいたしました。その学級は児童数が8人、それが1年生から6年生まで広がっています。普通の学級だったら2学級に分かれるのに、特別支援学級では学年というものが認められないので1学級なんだそうです。大変です。
また、学校現場で大変だとよく言われるのは、障害の多様化と言われる問題です。学習障害(LD)ということが言われ始めたのは15年ぐらい前だったでしょうか。そのころは当時の文部省もこうした問題への認識が薄く、こうした子供を持つお母さん方が運動を始められたように思います。その後、文部科学省レベルでは、平成13年に「21世紀の特殊教育の在り方について」という報告がまとめられ、障害の重度・重複化の問題とともに、学習障害、注意欠陥・多動性障害などの問題に言及しました。また、翌年の平成14年の全国調査で、いわゆる気になる子が全児童の約6.3%に上ることが明らかにされました。そして、平成16年には発達障害者支援法が国会で全会派一致で可決されました。
このように、15年ほど前に比べて文部科学省の認識も進み、発達障害が認知されるという点では大きな前進があったと思います。
そこで、教育長にお伺いいたします。
発達障害への学校現場での取り組みはどう進んできているんでしょうか。教育委員会の学校現場への取り組みの支援はどうなっているんでしょうか。
ところで、それにふさわしい学校現場への定数などの人的配置は進んでいないように思われます。さきに申し上げた小学校1年生から6年生まで広がる8人の多学年の支援学級、その定数について今後の考え方、またさまざまな発達障害児への対応のための人的措置について教育長のお考えをお伺いしたいと思います。
もう1つは、支援学校の児童生徒数が膨れ上がり、マンモス化している問題です。
紀伊コスモス支援学校で言えば、約10年間に児童生徒数が128人から228人に急増しているとお聞きしました。こうした状況を生み出している1つの要因は、支援学校関係者の努力もあって、保護者の皆さんの支援学校への信頼と期待が高まっていることがあると思います。さらに、障害の多様化もあって、マンモス化ということが大きな問題になっているんだろうと思います。
私も、先日、紀伊コスモス支援学校にお邪魔してお話を聞かせていただきました。教室が足りないので大変苦労していらっしゃる。支援学校関係者の皆さんは、新しい支援学校建設を求めて署名を集めていらっしゃいます。教育委員会としてこの現状をどう認識しておられるのか、どう解決されるのか、教育長にお伺いいたします。
最後に、質問の第6として、罪のない人が犯罪者にされる冤罪問題を取り上げます。
自白を強いられて有罪判決で17年間獄中におられた足利事件の菅家さんの問題は、大変ショックでした。何もしていない人間が、ある日、犯罪者に仕立てられ、自白を強要され、17年間獄中につながれた。DNA鑑定の新しい技術で無罪が証明されなかったらと思うと、寒気がします。
しかし、冤罪事件は遠くの話ではありません。ことしの1月15日の「朝日新聞」で無罪判決が報道された松本和也さんの事件です。多分きょう傍聴席にいらっしゃるのではないかと思うんですが。松本さんは海南市の航空関係の会社を経営していて、海南民主商工会の会員でした。事業関係の争いがあり、会社を荒らされて警察に届け出たが、捜査してくれないと、3年前に民商に相談に来られました。私も一緒に捜査要請に行きました。ところが、その松本さんが相手から詐欺罪で告訴されたのです。郷里の三重県松阪市の警察で逮捕され、400日間拘束されました。体を壊し、吐血するぐらい何回も自白を強要されたと言います。それでも松本さんは虚偽の自白を拒否して頑張ったのだそうです。
検察側証人だった人が良心の痛みに耐えかねて、「うその証言でした」と証言を覆して無罪をかち取り、検察は控訴できなかったのです。そうでなかったらどうなっていたでしょう。冤罪事件の怖さを痛感いたしました。
足利事件で菅家さんの問題は全国に大きく報道されただけに、国民的規模でその検証が始まっていると言えます。今月24日には、県弁護士会が主催して、菅家利和さんをお招きした集会も開かれるようです。
しかし、私が申し上げている松本和也さんの事件は、無罪判決があったという新聞報道がありましたが、ほとんど知られていません。私自身、松本さんがどんな目に遭ったのかについて、国民救援会海南支部総会とあわせて松本さんの報告を聞き、初めて知ったのです。
松本さんは書いています。「松阪警察署にて128日間、接見禁止で留置され、厳しい取り調べと自白強要され、苦しめられました」。「おまえは初犯やで。やったと言えば帰れるぞ」、「おまえは孤立無援や。だれも助けてくれないぞ」、「家族や子供に会いたいやろ。早く認めて楽になれ」。まだまだあります。紹介し切れません。
ここは国会ではありませんから、三重県の警察や検察の責任を追及することはできません。しかし、さきに申し上げましたように、松本さんは告訴された相手側を、会社を荒らされたと海南警察署に先に訴えているのです。訴えを受けとめて三重県警と共同捜査していたら、三重県警も、うその証言で松本さんを逮捕し400日も取り調べることにならなかったのではないかと、捜査の中身を知らない素人の考えですが、思ってしまうわけでございます。
そこで、警察本部長にお伺いいたします。
第1点、松本さんが証言している取り調べの実態は、足利事件の菅家さんの問題も公になっている中では十分あり得る話と考えなくてはならないと思いますが、警察の取り調べに今どういうことが問われているとお考えでしょうか。
第2点、松本さんの事件で和歌山、三重両県警での連携した捜査が行われたのでしょうか。また、松本さんの無罪、松本さんの告訴の偽証が明らかになった現在の段階で、松本さんの被害届についてどう扱われるのでしょうか。
以上で、私の第1回目の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、行政報告会に御出席いただきまして、ありがとうございました。
1つだけ、その場で出ました県道秋月海南線につきましては、私は多分、ひょっとしたら20回ぐらい走っておると思いますので、よく存じております。狭い道で、しかも、あそこに頼るところが非常に大きいので、これを何とかせないかんというのは宿題になっているということはよく存じ上げております。
ところで、御質問でございますけれども、政権交代選挙に示された民意をどう受けとめ、県政にどう生かすかということでございます。
私は、昨日も御答弁申し上げましたように、たび重なる政府側の不祥事に加えまして、それまでの政権が取り組んできた政策が100年に1度と言われる経済危機に伴う失業者の増加とか、所得格差の拡大とか、あるいは地域産業の疲弊などに起因する経済面、生活面での不安感、閉塞感を払拭するには至らず、多くの有権者がこういった現状を、政権をかえることで打破したい、そういうふうに考えた結果であろうと考えております。
県政においても、県民の皆様が望んでいることは、私は基本的に同じであると考えております。和歌山県は、近年、栄えてきた東京や、あるいは発展の著しい地方ならばともかく、経済的にも、あるいはいろいろ社会的にも閉塞感に悩んできた、そういうような苦しんできた地域だと思います。また、前知事の逮捕等々いろんな不祥事がありましたので、行政の不信感もあったと思います。
したがって、和歌山を変えること、これが私に課せられた任務だと考えておりました。したがって、そのために不祥事をなくして信頼できる県政を確立するために努力をしてまいりました。また、少子高齢化とか過疎化とか、そういうものの進行、経済の停滞など、特に和歌山は取り残されて停滞してきたつらい現状がございますので、それを少しずつでも変えて県民の皆様が将来への展望を持っていただくことができるような県政づくりを努めてまいった次第であります。
このような現状打破は、今、始まったばかりであります。やめてしまうことはできませんし、頑張って持続をしていかないといかんと思います。しかし、肝心の県民に理解してもらえないと力が発揮できません。それにそのやり方も独善的ではいけません。不断に改善すべきところは直していかないといかんわけであります。
そういったことから、行政報告会などを通じ、県の取り組みをできるだけわかりやすくお伝えするとともに、それをもとにして県民の皆様から御意見をいただいて、またそれを県の施策に生かしていくということを粘り強く続けてまいりたいと考えております。
次に、政策の競い合いというお話でございましたが、高速料金引き下げとフェリーの問題、こういうことでございます。
私は、高速道路料金の値下げ、あるいはこれを究極的に突き詰めると、ひょっとしたら無料化ということになるかもしれませんが、国民あるいは県民の移動や物の輸送、観光などのコストが下がり、その限りにおいてはプラスに評価すべきことだというふうに思います。しかし、高速道路料金の値下げのためには、その財源としての税金が投入されているわけで、国が本来そうした政策をとるときには、国の責任でやった政策ですから、他に与える影響を考慮して必要な施策を講じる必要があるわけであります。
現に、高速料金の引き下げによって、和歌山県が非常に大事にしております南海フェリー、これはあんまり実現しておりません第2国土軸の唯一の手がかりというような形なんですが、徳島と和歌山を結ぶ大事な公共交通路であります。これが経営としては危殆に瀕するということになっております。
政府の首脳によって決定されたものについては、政府の資金によって行われたわけですから、それならば競争条件を同一にするということもまた政府の責任ではないかと、そういうことを国土交通省を中心にして訴えてまいりました。
その中では、例えば事務次官や担当局長に──当時のでありますが──自分の業界を守るということは国土交通省やそういう中央官庁の本来の仕事ではないか、それが政府の施策によって行われたものならば、その施策を少し直して改善をして、自分の業界を守るために必要なことをするのがあなた方の務めではないかというふうなことも申し上げました。しかしながら、なかなかそういうふうには実施されなくて現在に至ってる次第であります。
これを放置しておきますと、和歌山県や徳島県は特に打撃を受けます。したがいまして、和歌山県民、徳島県民が許してくれる範囲内において競争条件を同一化するように近づける──これは完全ではありませんけれども、近づけるように支援を行っているところであります。
今回のこの高速料金の無料化の問題も、また次に議論になるようであります。鳩山さんは、官僚任せにはしないというふうにおっしゃっていらっしゃいますので、こういう1つの政策をやったら何がどういうふうにして悪影響が出てくるかということも全部考えて、それで立派な政策をしていただいて、2度と南海フェリーだけが泣くというようなことがないようにしてもらいたい、そんなふうに考える次第であります。
○副議長(坂本 登君) 福祉保健部長北田佳秀君。
〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 「医療トラブルの解決のために」の2点にお答え申し上げます。
まず、医療トラブルの相談体制と相談の実態についてでございますが、県では医務課及び各県立の保健所に医療安全相談窓口を設置し、患者やその家族からの医療に関する相談に対応しているところでございます。直接医療機関との話し合いの場を取り持つことは行っておりませんが、患者と医療機関とのコミュニケーション不足によると思われるような場合は、医療機関に対し、相談者に十分な説明を行うよう助言しております。
また、医療過誤等の疑いがある場合の法的な相談につきましては、月2回、無料の弁護士相談を行っているところです。
平成20年度の医療安全相談窓口への相談件数は519件あり、そのうち医療内容の疑義等に関する相談は107件、また弁護士相談の件数は46件となっております。
次に、裁判によらない第三者的な調停機関につきましては、高等裁判所が所在する地域の弁護士会が医療の分野においても裁判を行わずに問題を解決する裁判外紛争処理を進めていると伺っております。今後、その処理状況を見ながら、和歌山弁護士会等に働きかけてまいりたいと考えております。
県といたしましては、患者と医療機関が信頼関係を構築できるよう、医療安全相談、医療情報の提供の充実に努めてまいります。
以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 教育長山口裕市君。
〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 障害の多様化と特別支援教育についてお答えいたします。
県内の小中学校では、特別支援教育を推進するための校内委員会の設置や、障害のある児童生徒1人1人について指導の目標や内容、配慮事項等を示した個別の指導計画を活用するなど、1人1人の実態や教育的ニーズの的確な把握に基づく継続的な指導・支援を行うため、校内体制の整備を進めております。また、県教育委員会では、こうした子供たちへの指導・支援のより一層の充実を目指しまして、平成20年度に具体的な指導の手だてやポイントをまとめました発達障害児指導事例集を作成し、県内すべての学校でその活用を図っているところでございます。
次に、小中学校における特別支援学級の人的支援についてでございますが、特別支援学級は、知的障害、自閉症・情緒障害など、障害の種類に応じて設置をし、国の基準で1学級の児童生徒数が8人と定められておりますので、同一障害種別の場合は学年を超えて1学級編制となってございます。ただし、本県では、6人以上の学級に対しましては、非常勤講師を配置しております。また、平成18年度からLD(学習障害)等の通級指導教室を開設し、現在各地方に1教室ずつ、合計8教室を設置しております。
なお、学校における日常生活動作の介助や、発達障害を含む障害のある児童生徒に対して学習活動上のサポートを行う特別支援教育支援員の配置につきましては、市町村教育委員会において措置されるよう引き続き指導・助言を行ってまいります。
最後に、特別支援学校の過大規模化についてでございますが、紀伊コスモス支援学校、紀北支援学校におきましては、本年度も200名以上の児童生徒が在籍しており、過大規模化の傾向にあると認識しております。現在、紀北支援学校については、校舎の増改築に取りかかっているところでございますし、特に紀北地域の過大規模化を解消する方策につきましては検討を行っているところでございます。
以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 警察本部長永松健次君。
〔永松健次君、登壇〕
○警察本部長(永松健次君) まず、一時停止等の交通規制の実施についてお答えをいたします。
交通規制を実施する場合は、道路の状況、交通流量などの実態調査を行い、規制場所や種別に応じて道路管理者との協議や地域住民等の意見を聞くなど事前調整を行って、その必要性を十分検討した上で実施するように努めております。今後も交通規制を必要とする箇所につきましては、関係者と協議し、できるだけ早く対応するように努めてまいりたいと考えます。
また、道路交通法によりまして警察署長が行うことのできる交通規制は、例えば道路工事、祭礼、がけ崩れによる通行どめなど、一時的なものに限られておりまして、通常の交通規制につきましては公安委員会が行うこととされております。
なお、公安委員会の行う交通規制のうち、一時停止等の定型的なものにつきましては、規制実施までの期間短縮を図るため交通部長の専決となっておりますので、今後とも迅速な実施に努めてまいりたいと考えております。
続きまして、冤罪問題についてお答えをいたします。
議員御質問の1点目、いわゆる足利事件を受けて警察の捜査にどういうことが問われているかということにつきましてお答えをいたします。
足利事件の捜査上の問題点につきましては、現在警察庁において検証中であり、再審裁判も予定されておりますので答弁は差し控えさせていただきますが、いずれにいたしましても、和歌山県警察といたしましては、法と証拠に基づき、引き続き適正な捜査を推進してまいりたいと考えております。
次に、2点目の御質問の三重県警察と連携した捜査の有無及び現段階での被害届の取り扱いについてお答えをいたします。
三重県の事件につきましては、三重県警察が告訴に基づいて捜査をしたものと承知しておりますが、海南警察署に申し出られました事案とは全く別事件であり、三重県警察から和歌山県警察に捜査の連携についての要請はございませんでした。
また、本県警察において受理いたしました告訴につきましては、慎重かつ適正に捜査を遂げた上で既に検察庁に送付しております。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
44番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 御答弁、ありがとうございました。
知事の行政報告会で知事の顔を見ながらお話を聞いていて、多分どこの道のことを聞かれたんかわからんままに言うてるやろうなというふうに思ったんですが、大変よく知っていたとは失礼いたしました。知事は、知っていたらそのことに一席ぶちたくなるほうなんですが、時間の関係もあってそういうことをされずに簡潔にされたのは大変立派だったと思います。失礼いたしました。
交通安全対策の問題でございます。
ただいまの答弁によりますと、私がこうしなければならんのではないかということは、建前として、それは全部できてるよということが答弁の中身でございます。ところが、実際には、あそこで住民の皆さんがいらいらしてるのに、それへの対策がおくれたのはなぜかということです。
必要性を十分検討した上で実施すると言うけども、いつも、道路がもう供用されるというふうになったときには、道はちゃんとできてるのに、まだ入ってはいけません、入ったら危ないですというふうに道に入らさないようにしたままで大概半月ぐらい置いてるわけですね。その前から協議をしていろいろやってれば、供用開始したときには本当に一たん停止が必要だったらもう線は引けるわけです。ところが、実際には、そういうことを事前に協議することになっていますと言うけども、実際に起こっている状況というのは、供用開始してから協議が始まってるというようなことがあるわけです。
こんな問題、ささいな問題でして、そんなことを本会議の場でわざわざやらんなんのかというふうに言われるような問題でもあるんですけども、しかし、地域の住民の皆さんは、それをいらいらしてる。言うてもなかなかせんやないかと、うんざりしてる。ですから、あえてきょうは本会議という場で言わしてもうたわけです。
再質問はいたしませんが、これは道路管理者の側からも、もうじき供用開始するよといったら早い目に警察へ連絡をして協議をしなければならないという、警察だけの問題でもないと思いますが、よろしくお願いしたいと思っています。
それから、特別支援教育の問題です。
発達障害の問題、事例集をつくってやっていますという答弁があって、私もこの質問の準備をしながらいろいろお話を聞かしていただいて、こういう事例集というものを今初めて見させていただきました。
私は、15年ほど前にお母さんたちから、「先生たちももっと勉強してください」というふうに言われた。あの15年前に、この「LD」という言葉が使われ始めたころに、私たちがやっていた教職員組合のほうでこの問題の学習会をやったときに、参加されたお母さん方から、文部科学省でもこういうものはまだありませんから、「先生、こんなものを使って勉強してください」というふうに訴えられて、私も初めてそんなパンフレットを買ったことを今思い出してるんですが、そういうお母さんたちの一生懸命の運動が文部科学省を動かし、そして教育委員会でもこういうものをつくるところまで来たんだなというふうに思いながら見させていただいています。
そんな中で、いろいろな形で定数の配置もやられている話もあるんですが、1年生から6年生まで広がった、そして8人もいる学級、大変です。文部科学省の基準、定数法の上で言うと8人までは1つの学級ということで、これは動かせないんですが、そして、教育委員会のほうでいろんな形の、講師だとか介助員とかいろいろなものをつけていただいてるんですけども、やはり文部科学省に対しても、普通で言うと、普通の子供だったら1年から6年まで広がった学級というのはないわけですから、それで、この障害を持った子供だって1年生と6年生とすごく発達段階が違うわけですから、8人もいたら2つの学級に分けられるように、これは国に対しても働きかけをしていっていただきたいと思っています。
そして、再質問についてお聞きしたいんですが、教育長の答弁の中で、市町村教育委員会で配置されている特別支援教育の支援員というものが市町村のほうで置かれていると聞いたんですが、これは、どのくらい置くことができて、またどのくらい置かれているのか、その辺のことを少し教えていただきたいと思います。
それから、難しい問題なんですが、冤罪の問題です。
足利事件については、「答弁は差し控えたい」。それもやむを得ないかと思いますが、警察というものは大きな権力を持っている。市民の安全を守るために、犯罪から私たちを守るために警察には大きな権力を持っていただいてるわけですが、それが間違って行使されたときには大変な人権侵害を起こすことになる。それは警察だけの話ではありません。これは、権力、権限を持たされている人間は常に自戒しなければならない問題だと思います。
そして、松本さんが最初に被害届を出したことについては──松本さんの被害届について新たに検察庁にもう送付した。そして、慎重かつ適正に捜査を遂げて検察庁に送られた。こういうことですので、それはもう信頼をしたいと思います。
そして、三重県との共同捜査はなかったようで、これが殺人事件でもあったら共同捜査本部でも置かれたんでしょうけども、三重の県警からいうと、たくさんある事件の1つにすぎなかったのかもしれません。そして、警察の側から言えば、起訴されても、それは裁判によって無罪になることもあるよというのは、そう珍しいことでもないかもしれません。しかし、訴えられた者はたまったものではありません。400日間拘束されて、自白を強要されたと訴えておられるわけです。自白の強要をわきに置いても、無罪をかち取ったといっても、周りからは務所帰りという目で見られる場合もあるでしょう。生活はどうしていったらいいのか。
刑事訴訟法という法律を見てみたんですが、1日の保障というのは1万2500円以下となっていますから、400日入れられても500万円ではたまったものではありません。和歌山県の警察本部の責任ではありませんが、松本さんは半ばそういう権力からの被害者でございます。こういう方が、私の訴えをもうちょっと三重県警と一緒になって捜査してくれていたら、三重県警ももう少し早くその偽証に気がついて──私がこんな400日もこんな目に遭わされんでも済んだんやないかという気持ちを持たれることもよくわかると思います。松本さんがまたいろいろなことで和歌山県警のほうに行かれた場合は、私もできるだけついていこうと思っていますけども、やはり前の問題がどうして立件できなかったのか、和歌山県警察でここまで調べたんだという、できる限りのことはやっぱり説明してあげてほしいというふうに思います。
以上で、私の第2回目の質問を終わります。
○副議長(坂本 登君) 再質問に対する答弁を求めます。
教育長山口裕市君。
〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 特別支援教育支援員の県内での配置状況でございますが、これは小中学校に1校1名を100%といたしまして、全県的には配置率45%というふうになっております。本年5月1日現在では、小中学校で190名が配置されておりまして、前年度比プラス10.1%ということで各市町村にも御努力いただいておりまして、これの拡充をお願いしているところでございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再々質問を許します。
44番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 ありがとうございます。
この支援員というのは、結局、交付税措置されていて、それで、それを置くかどうかは市町村が判断するわけですね。だから、この交付税措置という問題はいろんなところで出てくるんですが、これは、教育の場合に、本来教育に使うべきだというので交付税措置されたものが教育に使われない場合があるということで、私どもは以前そういうことを調査しまして、市町村の教育費の交付税措置がどれだけやられているか、市町村の教育差がどうかということを分析して、昔、十数年前に100億円足りないということを言うてビラにしたことがあるわけです。
今度の場合も、本当にその学校で必要がない場合は要らないわけで、必要な場合は置いたらいいわけですから。だから、45%やから一概に少ないとか多いとか簡単には言えませんけども、やはりそういうことが置けるだけの措置があるということがきょうはわかりましたんで、私も市町村の議員とも一緒に実情も聞かしてもうて、それで本当にそういうものが必要やったら置いてもらえるように市町村へもお願いしていきたいと思っていますので、県の教育委員会でもそういうものが十分使えるように市町村の教育委員会とも連携をしていただきたいと思います。
以上で、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○副議長(坂本 登君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時54分散会