平成21年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(服部 一議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
質疑及び一般質問を続行いたします。
9番服部 一君。
〔服部 一君、登壇〕(拍手)
○服部 一君 ただいま議長より一般質問の許可をいただきましたので、質問に入りたいと思いますが、まず、先ほど勇退されました下川議員さんのごあいさつを拝聴いたしました。県政に大変長い間御尽力をいただきまして、私も個人的にも大変御指導をいただきました。感謝とお礼を申し上げたいと思いますとともに、晴れて新宮市長さんとしてお目にかかるのを楽しみにしております。
さて、過日、衆議院の選挙が行われました。民主党の大躍進であります。敬意を表したいと思います。
いよいよあしたから政権担当に入るわけでありますけども、大変期待をしておる1人でございます。仁坂知事さんともども、今後ともおつき合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
本日は、傍聴に大変多くお越しをいただいております。特に地方道、県道かつらぎ桃山線の期成同盟会の皆さんと、地域づくりに取り組んでいらっしゃいます隣接する紀の川市黒川地区、鞆渕地区の皆さんであります。平種の収穫の時期に入りまして、大変忙しい時期ではありますが、県に対して日ごろのお礼を兼ねて、地元の要請をいただいた私の質問に対してどのような答弁がいただけるか、関心を持って傍聴されております。ひとつ地域に帰って皆さんが反省会の中で、地域づくりにさらに意欲が出るよう期待されてると思います。
では、質問に入ります。
過疎山村僻地の質問を、特に教育長に御答弁いただくつもりなんですけども、ただいま吉井議員から山村対策について質問されまして、それに対して知事さんのほうから答弁をされました。私の質問と教育長の答弁を重ねますと、和歌山県の山村地域の対策はすべて十分だと、このように私思っておりますが、半島和歌山、この山村僻地と呼ばれる地域がたくさんあります。辺地債の適用を受けられる地域が23市町村で187地域があると聞いております。しかも、これからどんどんと少子化が進んでまいりますと、私、あんまりこの表現は好きでもありませんし、行政面では使わないらしいんですけども、この「限界集落」という言葉が出てまいります。先ほど吉井議員も質問の中に申されておりました。
私、皆さんもう既に御存じだと思うんですけども、この限界集落というのはどういうことか、どういう定義かということを調べました。ちょっとインターネットで調べますと、たくさん難しいこと書いてあるんですけども、その中で抜粋をしたいと思います。
限界集落とは、長野大学教授である大野晃先生が平成3年に提唱した概念で、「過疎化などで人口の50%が65歳以上の高齢者になり、冠婚葬祭など社会的共同生活の維持が困難になった集落を指す」とされております。
最近は、この限界集落という呼び方に批判があるようです。住民の気持ちからすれば、非常にマイナスのイメージがあります。住民感情にそぐわないということだと思いますが、公式文書などでは、基礎的条件が厳しい集落、維持が困難な集落といった表現が用いられるそうです。私の地域もそろそろこの限界集落に近づいております。
そういうことで、きょうはそういった山村僻地、和歌山県に大変多いわけなんですけども、その中で、きょうお越しいただいております黒川、鞆渕地域を例に挙げさせていただきまして、この地域づくりというのはどうしたらできていくか、県としてはどういうような手だてをしていくべきかということについて、鞆渕について質問、お聞きをしてまいりたいと思います。
黒川、鞆渕地域という地域については、皆さん御存じの方もあろうと思いますけども、ちょっと鞆渕地域の概略を説明さしていただきたいと思います。
鞆渕地域は、大変歴史の古い地域なんです。高野領の中で鞆渕荘と言われる地域なんです。この鞆渕は、鞆渕村と言われておりました昭和22年の人口が2500人あったんです。これを最高にして、31年の旧の粉河町に合併したときには2000人になってたんです。そうして、紀の川市が誕生した現在、296世帯で人口が687人、700人を切る大変過疎化している状況の地域になってまいりました。
そこで、教育長にお尋ねいたしたいと思います。
今述べたように、人口減少とともに少子化が進んでいるわけなんです。和歌山県のこの山間地域における複式学級に取り組んでいる地域はどのぐらいありますか。
鞆渕の地域においては、昭和62年にこの複式学級の歯どめをしようということで、地元の皆さんが里親制度をつくられまして、平成13年には山村留学制度になり、現在に至ってるわけなんです。既に128人が卒業されております。現在は山村留学生は4名と聞いております。今後、和歌山県は、特にこの山間地においてはこういった状況がふえてくると思います。山村僻地の教育についてどのように考えておられますか。
次も教育長さんにお尋ねしたいと思います。
仁坂知事さんは観光立県和歌山を目指されており、また県議会におかれましても、小川議員を委員長とする特別委員会を設置して、観光条例制定に向け、鋭意取り組んでおられるところでございます。感謝を申し上げたいと思います。
和歌山県には、国の指定文化財の国宝や重要文化財がたくさんあります。そこで、さきに述べたように、この歴史の古い鞆渕地区には、国宝、重要文化財がたくさんありますが、その工芸美術品の中で国宝の沃懸地螺鈿金銅装神輿という大きな国宝のみこしを初め、県指定の文化財三神坐像を初め数多くの文化財があります。
平成13年の10月に和歌山県立博物館において、92品の出展のもと、特別展「歴史のなかの“ともぶち”─鞆淵八幡と鞆淵荘─」が開かれまして、博物館開設以来の入場者があったと館長より聞かされました。
当時、準備中に三神坐像が発見されまして、これが国宝級だということで騒がれました。今は県指定の文化財になっているようですが、私は、この国宝や重要文化財の指定を最終どこでどのようにするかということがよくわかりませんが、鞆渕に限らず、文化財の活用というものをもっと観光に利用できないものか。観光立県や地域づくりを目指す中で、こういった文化財をもっと活用する方法がないものかと。例えば、鞆渕の国宝やこの重要文化財を年に1度や2度みんなに公開できないもんか。どのようにしたら、どのようなクリアしたらできるのかお答えいただきたいと思います。
この鞆渕地域は、今述べたように、地域づくりにはもってこいの条件がそろっております。
蛍の時期には、ゲンジボタルの鑑賞に県外からもたくさんの人が訪れ、道路は車で大混雑の状態であります。柿が主産地でありますけども、高冷地を利用してキュウリの栽培、最近はブランド化を進める鞆渕の黒豆――特に今回県単独で予算化していただいた黒豆の枝豆出荷に関するプロジェクトについて対応していただき、地元よりお礼を申し上げてくださいと、こういうことでございます。あとは、地域づくり、リーダーシップと後継者づくりであります。これで、地域づくりの条件がそろってまいりました。
次に、最後です。県土整備部長にお尋ねします。
項目は短いですけども、答弁のいかんによっては長くなることもございます。
和歌山県に地方道と言われる県道は何線ありますか。これからお尋ねする地方道、県道かつらぎ桃山線については、昭和47年に改修に向けて旧桃山、打田、粉河町で期成同盟会が結成されました。38年たってるわけなんです。
紀の川南部中山間ルートとしての主要地方道に位置づけられたもので、紀の川市となった現在も重要県道として位置づけられています。同盟会が結成されて38年という長きにわたっていますが、現在、紀の川市の黒川地区から黒川峠を通り、鞆渕地区への改良を目指しているところであります。神田バイパス、大原口バイパス、黒川バイパスまでは完了しています。そこから、黒川バイパスから鞆渕へ抜けるトンネルの計画がありましたが、今は断ち切れのようになっていますが、これについてはどうなってるんですか。
年々取り組んではいただいておりますが、厳しい財政事情の中でよくわかりますが、毎年毎年同盟会としても改修に向けて陳情を続けているわけなんです。今は事業費も平成の19年には3000万、20年には4000万、そして21年に3000万。平成13年を最後にして、維持修繕のみで大規模な改修工事には至っておりません。指導も受けまして、要請も受けまして、地籍調査も早くということで、前倒しで完了する運びになっています。この路線は難所も多いので、事業費の割に距離は伸びません。地域づくりや、424号から世界遺産高野山までの観光の要因をなす路線でもあります。上も下もほとんど改修されてるわけなんです。何とかしてこの国体の誘致までに、27年までに局部改修だけでも期待したいということについて、部長はどのようにとらまえ、今後どのように取り組んでいくのか、まずお答えください。
1回目の質問を終わります。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの服部一君の質問に対する答弁を求めます。
県土整備部長茅野牧夫君。
〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 県道、主要地方道かつらぎ桃山線の改修についての御質問でございます。
本県の県道、これはトータルいたしまして190路線、その延長は1909キロ。トータルでございます。その改良率は全体で約42%となっております。これは、他府県に比べまして、道路整備、非常におくれている状況でございます。
国や地方の財政、非常に厳しい中で、県内の道路整備に当たりましては、コスト縮減に努めますとともに、選択と集中ということで、優先度の高い箇所から整備を今急いでいるところでございます。
具体的には、高速道路の整備促進はもとより、府県間道路、X軸ネットワーク、こういったものの整備を今最優先で進めておるところでございます。
これに続きます生活道路の整備に当たりましては、生活圏30分圏拡大に資する箇所や、防災上、交通安全上不可欠な箇所など、厳選して整備を進めているところでございます。
そうした中で、議員お尋ねの区間につきましては、過去、トンネル等によるバイパスを検討したこともございましたけれども、事業費、事業効果の面から実現には至っておりません。
しかしながら、当該路線につきましては、御指摘のとおり、通勤や通学、地域の農業などの基本的な生活に必要な路線であり、地元関係者の皆様方からも強い御要望を受けていますことから、これまでも特に交通に支障となっている箇所について対策を実施してきているところでございます。
今後とも、黒川バイパスから鞆渕地内につきまして、地元の方々の御意向をよく聞かせていただきながら、狭隘なところ、線形が不良なところの整備を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 教育長山口裕市君。
〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 過疎地の教育につきましてお答え申し上げます。
本県では、山間地を中心に、小学校では42校、中学校では19校におきまして、豊かな自然を生かした僻地教育の充実に向けた取り組みを進めております。
これらの学校におきましては、学校や地域の特色を生かしたさまざまな取り組みを展開しております。例えば、地域の方々の協力を得てともに行う運動会ですとか、しめ縄づくりなどの体験活動による交流を通しまして子供たち1人1人が大切に育てられております。
また、議員御指摘の鞆渕小学校、中学校を初め県内6地域において、県内外から山村留学生を受け入れていただいております。これは、自然豊かな山村の学校への就学を希望する子供たちを地域の方々の協力のもとに受け入れるものでございまして、人情豊かな人間関係の中で教育的な効果を上げていただいております。
僻地における教育につきましては、教育番組「はばたく紀の国」などで取り上げてまいりましたが、今後とも市町村教育委員会と連携いたしまして、これらの学校の特性を生かしてまいりたいと考えております。
次に、文化財の活用についてお答えいたします。
鞆渕八幡神社の所有いたします主な文化財として、重要文化財建造物の本殿と大日堂、国宝のみこし、県指定文化財の木造八幡三神坐像などがございます。中でもみこしは、数少ない平安時代にさかのぼる美しいものでありまして、大変貴重な文化財であります。
平成13年に県立博物館にて開催されました特別展「歴史のなかの“ともぶち”」では、これら鞆渕八幡神社を初めとする鞆渕地域の文化財が多数展示公開され、大変好評を得たところでございます。
国宝のみこしにつきましては、通常、神社境内に建つ収蔵庫において保管をされ、神社によって大切に管理をされております。秋祭りのときには公開されていると聞いておりますが、保存を第一に考えつつ、より多くの人に見ていただくため、所有者を初め地元の皆様と協議をしてまいりたいと、このように考えます。
以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
9番服部 一君。
○服部 一君 教育長さんの答弁につきましては、僻地教育について、また文化財の活用ということに、特に知事が挙げる観光立県について、ひとつ御尽力いただきたいと思います。
県土整備部長にお尋ねいたします。
今部長から答弁をされましたけども、担当者がこしらえた大変優秀な答弁書であろうと思います。
あなたがこの和歌山県に着任されて、私、3年と聞いてるわけなんです。私から、先ほど地域づくりについて、この道路がぜひ必要だということで、地元だけやなしに、打田、桃山、かつらぎ町も大いに期待する中で取り組んできたわけなんです。
あんたが就任するようになってから、これ、年々予算が少ないんです。この和歌山県の予算の編成の中で、教育費について362億余り、今年度は予算で12億アップされてますけども、その執行する、あんた、一番の責任者なんです。
私が先ほど申しましたように、この県道の重要性、改修の必要性というのを、実際、部長、あなたが担当課から聞くだけやなしに、この路線を通られたり踏査したことがございますか。
予算を編成していくときに、実際自分が──和歌山県も道路行政、先ほどから言われますように、X軸、いろいろとある中で、この路線1つにかかるわけにもいきませんけれども、予算をつける限り、これ3000や4000万というのをつけていきますと、維持修繕費になってまうんです。地元としたら、ぜひこの局部の改修をしてくれることによって、観光道路としての域にも立つし、地域の活性化あるいは地域づくりに大いに役立つということで、ずっとこれを望んでるんです。
あなたが和歌山県にいつまでいらっしゃるか私知りませんけども、せめてこの地元の熱意というのを何とかしてかなえてあげてほしいんです。
例えば、あなたがもし真剣に取り組んでるとしたら──この3年間に1億投資をしてあるわけなんです。1億をもし1年間に投資をしてあったら、難所の1カ所ぐらい抜けてると思うんです。
今、部長、あなたはこの要望されるこの鞆渕の難所についてどれぐらいの事業費がかかるかということをわかってないと思うんです。
1つの方法として──担当者は歩いてますよ。担当者の説明を聞いて3カ所なら3カ所、これをことし1年は測量します、事業費は何ぼかかりますと、あんたが──国体誘致までという6年間にはひょっとしたら無理やけども──こことここについてはクリアできるだろうという、そういったやっぱり前向きな考え方を持ってくれやんと、また来年も同じことになるわけなんです。
先ほど言いましたように、蛍の鑑賞時期のあの大混雑してるあの状況、地元がボランティアで一生懸命になって対応されてますけども、そういったあの地域が年々限界集落に近づいてくる、歴史が古い、いろんな活性化に向ける材料がそろってるというとこへ、この道路の対応していくということを考えたら、もっとよくなるんです。高野山、世界遺産に通じる道なんです。
もう1つは、今私が申し上げましたように、あんたが来年からどのような形で取り組んでいこうと思うんか、一遍決意のほうを聞かしてくださいよ。
○議長(冨安民浩君) 再質問に対する答弁を求めます。
県土整備部長茅野牧夫君。
〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 御質問についてお答えしたいと思います。
本路線の認識につきましては、当該地域、議員のほうから御説明もございましたけれども、地域の皆様方の通勤・通学、そういった通行、それから黒豆、キュウリ等の農作物、そういった搬出、そういったものについての基本的な生活に不可欠な重要な路線であるというふうに認識しております。
ただ、私、ここをまだ通っておりませんが、振興局から状況をよく聞かせていただきまして、さらにできるだけ近いうちに現地に行っていろいろ検分さしていただきたいと思います。
それから、今後の決意ということでございますけれども、今回議員の御質問の趣旨を踏まえまして、再度この路線につきまして、振興局から状況、地元の御要望等聞きたいと思いますし、その交通状況、地形、地質、それから路線の必要性、それから整備の方向性、そういったものを早急に調査したいというふうに思います。
以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再々質問を許します。
9番服部 一君。
○服部 一君 部長の熱意のほどがわかりました。
私、ここで議員をやらしてもらっていてる間、熱意をどのぐらい示されるか、私見守っていきたいと、このように思います。
ぜひ、先ほど幾つか例を挙げましたけども、早急にやっぱり前向きに取り組んでくださいよ。そして、知事が行事に招待を受けて行ったときに喜んでもらえるようにしてあげてくださいよ。行って苦情ばかり受けるというような状況、あんた、もっと──こんだけ362億余りのその予算編成の予算を持ってる執行者やから、金の1億やそこら、うまく捻出する知恵を出してください。
まあ、要望して質問を終わります。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で服部一君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時24分休憩
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