平成21年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)
県議会の活動
平成21年9月
和歌山県議会定例会会議録
第2号
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議事日程 第2号
平成21年9月15日(火曜日)
午前10時開議
第1 議員辞職の件
第2 議案第132号から議案第151号まで(質疑)
第3 一般質問
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会議に付した事件
第1 議員辞職の件
第2 議案第132号から議案第151号まで(質疑)
第3 一般質問
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出席議員(43人)
1番 泉 正徳
2番 山本茂博
3番 前芝雅嗣
4番 浅井修一郎
5番 吉井和視
6番 向井嘉久藏
7番 門 三佐博
8番 町田 亘
9番 服部 一
10番 平木哲朗
11番 花田健吉
12番 須川倍行
13番 大沢広太郎
14番 谷 洋一
15番 平越孝哉
16番 下川俊樹
17番 岸本 健
18番 川口文章
19番 尾崎太郎
20番 藤山将材
21番 新島 雄
22番 山下直也
23番 井出益弘
24番 宇治田栄蔵
25番 多田純一
26番 中 拓哉
27番 角田秀樹
29番 山田正彦
30番 坂本 登
31番 尾崎要二
32番 中村裕一
33番 片桐章浩
35番 藤本眞利子
36番 長坂隆司
38番 小川 武
39番 冨安民浩
40番 奥村規子
41番 山下大輔
42番 松坂英樹
43番 藤井健太郎
44番 雑賀光夫
45番 野見山 海
46番 松本貞次
欠席議員(2人)
28番 江上柳助
34番 原 日出夫
〔備考〕
37番 欠員
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説明のため出席した者
知事 仁坂吉伸
副知事 下 宏
知事室長 曽根義廣
危機管理監 森 崇
総務部長 宮地俊明
企画部長 前硲健作
環境生活部長 井口悦治
福祉保健部長 北田佳秀
商工観光労働部長 永井慶一
農林水産部長 下林茂文
県土整備部長 茅野牧夫
会計管理者 雑賀忠士
教育委員会委員長 湯川 力
教育長 山口裕市
公安委員会委員長 大岡淳人
警察本部長 永松健次
人事委員会委員長 守屋駿二
代表監査委員 楠本 隆
選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 藁科善崇
次長 東岡誠吾
議事課長 上坊 晃
議事課副課長 土井敏弘
議事課課長補佐兼議事班長
田中健司
議事課主任 中尾祐一
議事課主査 瀧川泰治
議事課主査 中村安隆
総務課長 佐本 明
調査課長 中井祥之
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午前10時0分開議
○議長(冨安民浩君) これより本日の会議を開きます。
日程第1、下川俊樹君の議員辞職の件を議題といたします。
まず、辞職願を職員に朗読させます。
○議事課副課長(土井敏弘君) 辞職願 私儀 このたび一身上の都合により平成21年9月15日に和歌山県議会議員の職を辞したいので許可されるよう願い出ます 平成21年9月14日 和歌山県議会議員 下川俊樹 和歌山県議会議長 冨安民浩様
○議長(冨安民浩君) お諮りいたします。下川俊樹君の議員辞職を許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 御異議なし認めます。よって、下川俊樹君の議員辞職を許可することに決定いたしました。
この際、このまま暫時休憩いたします。
午前10時1分休憩
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○議長(冨安民浩君) このたび、議員を辞職されました下川俊樹君から、あいさつの申し出があります。
下川俊樹君。
〔下川俊樹君、登壇〕(拍手)
○下川俊樹君 一言、お礼を兼ねてごあいさつを申し上げます。
ただいま議員辞職に当たりまして、議員各位の御理解をいただきました。心から感謝を申し上げたいと思います。
なお、冨安民浩議長を初め県議会の議員の皆さん、そして議会事務局の皆さん、仁坂知事を筆頭として県行政に携わる多くの皆さんに、こうして一般質問の冒頭、大変貴重な時間をお与えいただきましたことに、重ねて心から厚く御礼を申し上げたいと思います。
私は、ふるさと新宮に帰って、市長選に転戦をするという決意を最近固めたわけでありますけども、大変ハードルも高くて、厳しい道のりであるということは重々理解をしておるところでございます。
この県議会で培ってきました多くの皆さん方の御支援を心からお願いを申し上げたいと思います。
振り返りますと、昭和58年、父親の後を継いで、この県政に参画をさしていただいたわけでありますけれども、当初「甲子園球児、県政へ」という報道もしていただいた中で、スポーツの世界で鍛えた精神力、そしてやる気を政治の中で力いっぱい発揮をしたいという、本当に若い決意の中で参画をさせていただきました。
今は亡き仮谷志良知事のもとで政治の勉強を一からスタートさせていただきました。仮谷さんには、政治家の心構え、そして自分であろうとする信念に基づいた行動、そして県政が抱える多くの山積した諸問題についても細かく御指導いただいたわけであります。
思えば、仮谷知事の時代に、新大阪のJRの乗り入れもできました。関西国際空港も開港されました。そして、長年の懸案でありました和歌山県立医科大学の移転も紀三井寺に決まって、そしてすばらしいスタートが切れたと思います。
西口知事のときは、議長としてスペインのコンポステラまで出向いて、古道提携を一緒にさせていただいた。そして、熊野遺産、世界遺産としてのこの地域の評価をいただいた。熊野博も、すばらしく完成をしていただいて、多くの日本の方々に熊野の地をアピールすることもできたと思ってございます。
そして木村さん、そして今の仁坂知事さんと、4代にわたる知事のもとで県政に参画をさせていただいたわけであります。
振り返ってみますと、本当によき先輩、よき同僚、後輩の皆さんに人間的に大変恵まれた環境の中で、力いっぱい県政の中で行動ができたと思ってございます。
今回は、その経験をもとに、ふるさとへ帰って、またゼロからのスタートをしたいと決意をしておるところであります。この神聖な議場の中でスタートさせていただいて、この議場から政界を引退するあいさつをさせていただくことを夢見ておったんですけども、やはり新宮の皆さんには大変お世話をおかけして、7期も県政に送っていただきました。
今の新宮市でいいのか、そして、今まで経験したことを、ふるさと新宮市のために力いっぱい帰ってきて頑張んなよという多くの皆さんの情熱に心動いたわけであります。
体はでかいですけれども、大変感受性が強くて、どうもそういう意味では皆さんの意思に沿うのが私の今まで培ってきた政治の中では一番ベストかなという判断をさせていただいたわけであります。
これからふるさとに帰って、全力挙げて、少しでも住みよい、そして皆さんが訪れてくれる地域にするために、新宮市の皆さんと力を合わせて頑張ってまいりたいと思います。
皆さん方にいただいた御厚意、そして友情は、ふるさとに帰っても、これからも皆さんと温かい友好関係を結びながら頑張っていきたいと、そのように考えてございます。
どうか、この議場を去りますけれども、変わらぬお力添え、そして今まで以上よろしくお願いを申し上げて、一抹の寂しさはありますけれども、次に向かってのスタートに力強く頑張る決意を皆さんにお伝えをして、退任のごあいさつにさしていただきます。
本当に長い間ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) 下川俊樹君のあいさつが終わりました。
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午前10時10分再開
○議長(冨安民浩君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
この際、報告いたします。
今期定例会に提出されております議案第132号について、字句の誤りがありました。正誤表をお手元に配付しておりますので、御了承願います。
日程第2、議案第132号から議案第151号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第3、一般質問を行います。
5番吉井和視君。
〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 皆さん、おはようございます。
質問に入る前に、ただいま議員を辞職されました下川県議におかれましては、我々は大変お世話になり、そしてまた、下川県議のたぐいまれなる業績に対して敬意とそして感謝を申し上げたいと思います。下川議員、ありがとうございました。
それでは、質問に移らせていただきます。
まず、今回の総選挙についての我々の反省についてでありますけれども、それよりまず、和歌山民主党県連代表、おめでとうございます。大変な勝利で、今後知事も藤本議員といろいろ相談されて国へ要望活動を行っていただきたいなと、そんなに思います。
それで、私は、今回の選挙については、自民党、大変な大敗を喫したわけであるわけですけれども、それは単に今回の選挙のいわゆるスーパーのチラシのようなサービス合戦に負けたわけでありまして、それで本当に負けた原因はほかにもあるわけであります。
それは、私は常に思っておったわけでありますけれども、自民党ができて既に半世紀ぐらいたつわけなんですけれども、それで立党の精神は何かと、これを自民党が忘れておったというふうに我々反省をするわけであります。
その立党の精神というのは、あの戦後の体制の中から日本国の自立自尊、具体的に言えば、自主憲法制定であったり、自主防衛体制を確立しなけりゃいけないというその責務があったわけでありますけれども、それを何十年もなおざりにしてきた、それが私は大きな敗因の一因であるんではないかと、そのように思うわけであります。
そういう反省に立って、今後自民党は、私は自民党再生というのはそういうことを基本に生まれ変わらなけりゃいけない、そのように思うわけであります。そのことをまず冒頭に私は申し上げたいと、そのように思います。
それで、まず質問の第1点目であるわけでありますけれども、今回、民主党がいろんなマニフェストを掲げて大勝利をおさめた。その数々の政策について、私は、和歌山県の知事として仁坂知事がどのように評価をされ、そしてその政策の1つ1つに対して今後どのように和歌山県政とのつながりを持っていくかということについてお尋ねしたいと、そのように思います。
そしてまた、民主党が掲げた政策の中には、そのまま和歌山県の発展に打撃を与えるものが、私は含まれておるように思うわけであります。その点につきまして、知事のお考えをお伺いしたいと思います。
次に、その政策の中で、ガソリン税暫定税率の廃止、これも大きな問題であろうかと思います。その暫定税率の廃止による道路整備の影響についてお尋ねをしたいと思います。
近畿自動車道紀勢線が田辺まで開通するなど、本県の幹線道路整備は着実に進んでおりますが、まだまだ道半ばであります。県議会としても、本県に必要な道路整備と財源の確保に取り組んできたところであります。
民主党のマニフェストの中にガソリン税の暫定税率の廃止が掲げられておりますが、暫定税率の問題では、一昨年の混乱が思い出されます。当時、ねじれ国会の影響を受けて、昨年3月の末に暫定税率が失効しました。全国の道路整備や国民生活に大きな混乱を招く事態となったわけであります。
本県の立ちおくれた道路整備を進めるためには、道路関係諸税の暫定税率の維持は不可欠であることから、我々県議会は、地方自治法99条に基づく意見書の議決や決起大会の開催、国への要望活動、紀伊半島一周道路行進など、県、市町村、県民一体となってさまざまな取り組みを行ってまいりました。その結果、ようやく暫定税率が維持されたわけであります。
暫定税率が廃止された場合、国、地方合わせて2兆5000億もの減収になるとされております。国と地方の財政の悪化に拍車をかけるとともに、高速道路などの道路整備にしわ寄せが来るのではないかと懸念されるところであります。
道路整備のおくれた本県にとって、紀伊半島一周高速道路や京奈和自動車道を初めとした幹線道路は、東南海・南海地震などの大規模災害に備える命の道であり、地域産業を支える自立の道であります。
本県に不可欠なこれら道路整備の一日も早い実現のため、これまで以上に道路財源の確保が必要な状況の中で、暫定税率の廃止は本県における道路整備に対して悪影響を及ぼすのではないかというそういう懸念がされるわけであります。その点について、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、高速道路の無料化であります。
この高速道路の無料化による道路整備の影響について、私はお尋ねいたします。
民主党は、物流コストと物価を引き下げ、地域と経済を活性化するとして、高速道路の無料化を掲げておりました。
しかし、一方で債務返済に対する財源の問題や受益者負担に反するといった意見、渋滞の増加、フェリーなど他の交通機関への影響など、さまざまな問題も浮かび上がってきております。
また、報道機関が行った世論アンケートで、高速道路の無料化に反対するというそういう声が3分の2を超えていると報道されております。
こうした問題もさることながら、料金収入がなくなることにより、今後の高速道路建設への影響が本県にとって最も重要な問題ではないでしょうか。
料金収入がなくなることで、建設中区間の事業費についても財源の担保がなくなり、本県における海南─有田間の4車線化など、必要な高速道路建設が続けられなくなるのではないかと懸念されております。
このようなことから、暫定税率の廃止と同様に、高速道路の無料化についても、本県に必要な道路整備に悪影響を及ぼすのではないかと懸念されておりますが、知事の御所見をお願いいたします。
次に、地方分権の分権改革について質問をさせていただきます。
地方分権については、私は民主党に大変な期待を寄せております。官僚と真剣に戦って、我々地方が求めてきた地方分権を実行してもらいたい、そのように思うわけであります。
知事も、本会議の冒頭で、これからの日本にはなくてはならぬものであり、新政権のもとで進めていくべきものであると考えておると、そのように言われております。
しかし、国からの分権を待っているだけでは、本当の地方分権は進みません。地方みずからが考え、地方みずから行動することが必要ではないかと考えます。
こういった観点から、現在、関西の府県が、地方から地方分権の突破口を開くそのために、全国に先駆けて関西広域連合の設置を検討していることは、私は大変意義深いことだと評価いたしております。
関西広域連合の設立に関しては、さきの6月県議会の小川議員からの質問に対し、仁坂知事は、最速のケースでは9月議会に関連議案を提案すると──この議会ですね──そういう答弁をされておりましたが、今議会の冒頭では、当初目指しておった平成21年度中の設立にはこだわらず、議会と十分協議して、早期の規約案の上程に向けた準備を進めることになったと説明をされております。
私も、かつて県議会でこの関西広域連合については、県民と情報を共有して、そして県民と十分意見交換をして、和歌山県としての立場あるいは方針を決定すべきだということを質問させていただいたわけでありますけれども、その現時点の議会の状況、県議会、県民への周知度から勘案すれば、今議会に上程されなかったのはやむを得ないと、そのように思うわけであります。
今後のスケジュール、それから今後の方針、そういったものについて、知事のお考えをお伺いしたいと思います。
続いて、市町村負担金の見直しについてお尋ねいたします。
知事は、これまで、地方分権を進めるためには、国と地方の役割分担を明確にした上で、国が責任を負うべき事業は国の財源で、地方が責任を負うべき事業は地方の財源で賄うようにすることができるようにするのが必要であると発言されております。
同じことは、県と市町村の間においても言えるのではないでしょうか。
県がやるべき事業は県の財源で行うべきであります。私ども議会も県当局も、国が行うべき事業に地方の負担を求めております国直轄事業負担金制度の廃止を訴えているわけですけれども、本県も、道路や港湾の整備といった県事業を実施するに当たり、市町村から負担金を徴しております。地方みずからができる分権施策として、この際、市町村負担金の廃止について検討、実行すべきであると考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
次に、今議会に上程された補正予算について質問をさせていただきます。
我が国の経済情勢は、生産や輸出が持ち直しているものの、失業率が過去最高となるなど、依然厳しい状況が継続しているところであります。
政府で5月以降の景気判断を3カ月連続上方修正し、6月には事実上の景気底打ち宣言を行っているところでありますが、底打ち感が現実のものとして実感できるほどの景気が回復していると思えない状況であります。
雇用情勢につきましては、7月の完全失業率が5.7%と過去最悪の水準となるとともに、その先行きにつきましても、生産活動が極めて低い数字にあることから、今後一層の悪化が懸念される状況となっております。
県内経済に目を移しますと、和歌山財務事務所が公表しております県内経済情勢報告やハローワークなどの統計を見てみますと、個人消費は低調であり、雇用情勢についても、直近の有効求人倍率は近畿でトップとなっているものの、依然、非常に厳しいものと言わざるを得ない状況となってきております。
また、企業活動については、設備投資が前年を下回る水準であり、企業収益は大幅な減益見込みとされているところであります。しかしながら、企業における生産の減少幅が幾分穏やかになっており、下げどまりの兆候が見られる状況となってきているところであります。
そこで、県においては、昨年末から逐次の景気対策が行われてきているところでありますが、下げどまりつつあるこのタイミングで、景気底上げのためさらなる追加対策を実施すべきであると考えます。
そこで、知事にお伺いいたします。
現下の県内の景気動向や雇用状況を踏まえ、今議会に上程をされている補正予算を編成するに当たって、特別知事が考えたことや、それからそういった県内の状況、予算の特色についてどのように考えておるかお伺いいたします。
また、国の補正予算で措置されました地域活性化・経済対策臨時交付金は、地域の実情に応じて地域経済の活性に資する事業に活用が可能とのことでありますが、今回の補正予算でどのように活用を行ったか、お尋ねいたします。
次に、過疎対策についてお伺いいたします。
現行の過疎地域自立促進特別措置法、いわゆる過疎法が来年3月をもって失効いたします。
昭和45年に初めて過疎法が制定以来、昭和55年、平成2年、さらには平成12年の現行法に至るまで4回の法制定を通じて、約40年間過疎対策が講じられてまいりました。
この間、法に基づき過疎債の活用や国庫補助金のかさ上げなどの支援措置によって、道路や上下水道、公民館、保育所などの公共施設の整備に一定の成果を出してきたところであります。
しかしながら、こうして生活環境の整備や住民福祉の向上が図られたとはいえ、依然として課題が残されております。
加えて、人口減少率の拡大傾向、自治体財政の脆弱な構造など、基本的な問題の解決には至っておらないのが実情であります。
限界集落という言葉が出てきたように、著しい人口減や高齢化によって維持困難な集落が増加し、医療など基礎的な生活条件の悪化、身近な生活交通の不足、生活扶助機能の低下など、安心・安全にかかわる問題がむしろ深刻の度を増しているというのが実態であります。
例えば医療。身近に医師がいないために、受診を我慢せざるを得ない。病院通いは1日仕事。医療費に加えて交通費の負担が重くのしかかってきます。高齢者の運転免許証返上が勧奨されておりますが、過疎地において運転免許証がなくては、生活必需品の調達もままならない状態であります。高齢者のひとり住まいが多くなって孤独死も多く耳にいたします。老体にむち打って精魂込めて育てた農産物が鳥獣被害に遭うといったぐあいでは、涙も出ないような状態であると言わざるを得ません。みんな我慢し、必死にこらえながら生きているのであります。担い手の不足で、祭りなどの伝統行事が姿を消しつつあります。森林の荒廃や耕作放棄地の増加など、もはや看過し得ざる状況になってきております。
このまま手をこまねいていては、まさに集落が消滅し、懐かしい日本の原風景が、麗しき日本の伝統と文化が消え、国土は荒廃してきております。私たちのこの国の形がゆがんでしまうわけであります。過疎対策は、これからも待ったなしの国民的課題なのであります。都会に住む者には、共通の課題でもあるわけであります。
必ずや過疎法を制定し、過疎対策に一定の一歩を踏み出さなければなりません。民主党政権になっても、このことに私は異論があろうはずがないと確信いたします。
新法において、地域指定の問題など幾つもの論点がありますが、基本的な方向として、次のような点に留意すべきであると私は思っております。
第1に、何よりも上からの押しつけではなく、地域住民の主体性を最大限尊重し、それを支援していく仕組みづくりが必要であります。個々の地域の特性、実情に応じたきめ細かな対応が必要であります。
都会と同じ条件にない過疎地には、住民の生活を守っていくための過疎特区と言うべき大胆な規制緩和も必要でありましょう。例えば、この7月に開催されました紀伊半島3県の議会交流会議で話題となりました軽度の疾患は看護師が診療できる、いわゆるナース・プラクティショナーの導入などは、医師不足対策の一助として有効なアイデアの1つであろうと思います。
また、第2点目には、これまで以上にソフトを重視した政策が必要だということであります。
3点目として、市町村の財政基盤の強化と主体的な取り組みを最大限支援する仕組みづくりが必要であると思うわけであります。
いずれにしても、住民主体、市町村主体の小回りのきいたきめ細かな対策が求められていると思うのでありますが、いかがでありましょうか。
そこで、新過疎法に向けて、まず知事は、本県の過疎の現状をどのように認識しておられるのか、お伺いしたいと思います。
その上に立って、新たな過疎対策はいかにあるべきかとお考えか、基本的な考え方をお聞かせください。
さらに、新法制定に向けてどのように国に働きかけていくのか、そういった考え方をお尋ねしたいと思います。
さらに、これまで申し上げてきた過疎の現状に加えて、もっと深いところ、深層の問題を私は指摘したいと思います。それは、地域住民の心の過疎化、心の空洞化の問題であります。
地域の人々が、そこに住む意味や誇りを消失し、前向きの意欲を持てなくなりつつあるのではないかという危惧を私は抱くのであります。絶望感の中で希望を見失いつつあるとすれば、それこそが極めて深刻な問題であります。もはや地域再生の道は閉ざされたというべき危機的な状態と言うべきでしょう。
そうはならないために、我々和歌山県においては、行政は過疎対策に全力を傾注する、そこに住む住民の皆さんに知事は常々申し上げておるように、決して県は見捨てない、行政は見捨てない、ともに地域の再生に向けて頑張ろうではないかという熱いメッセージを県民に発信してもらいたい。ぜひとも全国の先駆けとし、具体的な政策をこれまで以上に知事は積極的に打ち出していただきたい、そのように思うわけであります。新たな過疎対策のスタートの年に向けて、県民に見える形で過疎対策への取り組み姿勢をお示し願いたいと思うのでありますが、知事のお考えをお尋ねいたします。
最後に、過疎対策に関連して、元気なまちづくりプロジェクトについてお尋ねいたします。
私は、地方分権をライフワークとして議員活動を続けてまいりましたが、真の地方分権を確立していくためには、その前提として何よりも地域の経済的自立が不可欠であると考えております。
自主自立の行財政を支えるものは、強固な地域の経済基盤であるからであります。その意味で、知事が長期総合計画にうたった1市町村1産業の推進に注目いたしております。大きな期待を抱いているところであります。
特に、人口減少が進み、過疎化が進展している県内各地においては、1次産業を中心とする経済活動の衰退が目を覆うばかりであります。これが、過疎化に拍車をかける悪循環となっております。
過疎対策を考えるときに、産業振興抜きには考えられないと私は思うわけであります。いま一度、行政の強力なサポートのもとに地域住民の知恵を結集して、それぞれの地域の持てる資源を掘り起こし、最大限活用することによって、地域の特性を生かした新たな産業を育て、地域の活力をよみがえらせる必要があるということは言うまでもありません。
そこで、この1市町村1産業を具現化する施策として、本年度予算に計上されております元気なまちづくりプロジェクトについて、その進捗状況と今後の意気込みについて知事にお伺いいたします。
以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの吉井和視君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、民主党政権への所感についてということでございますが、まずもって多くの国民の支持を得て政権の交代がなされたわけでありますから、新しく誕生する政権を国民としてはまず信頼し、国民のために日本をよりよい国にしていただくことを期待すべきであると思います。
民主党が政権公約で掲げられた政策の評価ということでございますけれども、そのすべてについては、私、和歌山県の知事の任を越えるところもあります。和歌山県民に利益をもたらす、あるいは幸福につながる、そういう観点で期待感を持って注視してまいりたいと考えております。
ただ、そういう観点、すなわち和歌山県民に利益をもたらすのか、幸福につながるのかという観点で申しますと、特に熱心に進めてもらわないといけないということもたくさんあります。
一方、プラスに働くと、評価できる政策であっても、副作用に対する手当てが必要となるものもあります。
また、和歌山のようなおくれた地域だけが切り捨てられないかという心配のものもあります。これは、やりようによってはそういう懸念が顕在化するおそれがあるということであります。
そういう意味で、すべてはこれからの政策展開によっているわけでありますので、和歌山県といたしましては、一般的に言うと、新しい政権には、少子高齢化、過疎化が進行し経済が停滞するなど、多くの解決すべき課題を抱えた本県のような地方を大切にする政策をどうか選択されるように期待しておるところであります。
次に、ガソリン税の暫定税率等への廃止についての評価ということであります。
高速道路の空白地域、これ、全国から見るともうちょっとしかないんですが、こういう道路整備のおくれた本県については、紀伊半島一周高速道路とか、あるいは京奈和自動車道路、そういう幹線道路ネットワークの形成は、県民の将来のチャンスを保障するものとして私は不可欠であると考えておりますので、知事就任以来、そのような道路整備の促進と、そのための道路財源の確保を重点に取り組んでまいりました。
ガソリン税等の暫定税率が廃止されますと、試算では、国、地方合わせて約2.5兆円の減収となります。そういたしますと、厳しい国と地方の財政をさらに圧迫するということになります。
そういう理由で、すなわち財政が圧迫されるという理由で、地方の道路費用が大幅に削減されると、地方にとっても大変です。
また、国の道路費用がなくなっても、これまで大都市部にばっかり先を譲って、本県にやっと順番が回ってきたという紀伊半島一周高速道路とか京奈和高速道路とか、あるいは第二阪和道路とか、そういう残された本県の道路整備をしてくれなくなるおそれもあるということを懸念しております。
このため、こういうことが現実にならないように地方の実情を説明する、あるいはいろんな理屈を説明する、そういうことで情報提供を行いまして、和歌山県が全国の他地域と切り離されるということがないように、政策をうまく組み合わせて、必要な政策、方策を講じていただくように、国に対して働きかけてまいりたいと考えております。
次に、高速道路の無料化による道路整備への影響についてでありますが、議員御指摘のように、高速道路の無料化による交通渋滞や、あるいはフェリーを初めとする公共交通の維持存続といった問題はもちろんのこと、料金収入がなくなるということによって、今後の高速道路建設への影響が一般的に懸念されるところであります。
高速道路建設では、高速道路建設というよりも現在の高速道路の料金によって、この料金収入の2.5兆円で債務返済とそれから道路、つくられた道路たくさんありますが、これの維持管理を行っております。無料化で料金収入がなくなっても、国が債務返済の肩がわりをするということとされておりますが、建設中区間の事業費についても、今後の財源の担保がなくなりますので、このままでは今後の高速道路建設が困難になる。これも懸念があります。
このため、引き続き債務保証とそれから高速道路建設のために、一般財源の投入が必要になると思われますけれども、暫定税率の廃止と同様に、このために必要な財源が確保されるかどうか、これは懸念されるところであります。
和歌山にとっては、紀伊半島一周高速道路のように、国土のミッシングリンク──失われた輪ですね──これを解消し、地方が発展するチャンスを保障するため、また海南以南の全国でも有名な渋滞区間、これの4車線化のように、渋滞解消とか、あるいは交通事故の減少とか、そういうものを図るためには、全国的に取り残されたわずかな地方の高速道路建設は、私は不可欠であると考えております。
したがいまして、今後も紀伊半島一周高速道路、あるいは京奈和高速道路、第2阪和道路初め本県の道路整備が取り残されることのないように、適切な政策をとっていただくことを引き続き強く訴えてまいりたいと考えておりますので、議員各位の御理解と御協力をお願い申し上げたいと思います。
次に、地方分権、特に関西広域連合についてでございます。
関西広域連合の設立時期に関しましては、去る8月4日に、私を含め、関係府県知事等で協議を行いました。各府県での6月議会における審議状況を踏まえ、広域連合で処理する事務について、議会の皆様や県民の皆様の御理解を得るためには、もうちょっと具体的な内容を詰めていく必要があるということから、本年中の設立は見合わせ、早期の規約案上程に向けた具体的な準備を精力的に進めるということを申し合わせました。
今後は、この申し合わせに基づき、事業内容の具体化、費用対効果、あるいは組織人員体制、予算、分賦金の配分の検討など具体的な制度設計を進めまして、議会の皆様と十分に協議してまいりたいと考えております。
その上で、議会及び県民の皆様の御理解を得られましたら、関西広域連合設立に必要な議案を上程してまいりたいと、そんなふうに考えているところであります。
次に、市町村負担金の見直しについてであります。
県事業の市町村負担金につきましては、議員御指摘のとおり、国直轄事業負担金の廃止を私なんかも訴えながら、一方で、県事業に対して市町村から負担金をいただくことは矛盾いたしますので、去る7月14日に開催されました全国知事会議において、国直轄事業負担金制度改革の趣旨を踏まえ、同様に見直すことを我々としても申し合わせております。
しかし、市町村負担金については、国直轄事業負担金と異なり、各県ごとに内容が違いますので、一律に見直すのではなくて、各県がそれぞれの事情に応じて見直すということに知事会ではなっております。
こういったことから、私は、県事業に関する市町村の負担金を、来年度からできれば原則として廃止したいというふうに考えております。
ただし、その中身を見ておりますと、市町村負担金の中には使用料的な性格のものがあります。それから、受益者負担を軽減するために、実は市町村が肩がわり負担をしているものもあります。それから、県と市町村の適切な役割分担ということから、本来財源をとっておられる市町村にお返しすべき事業もあるということも考えております。
そういうような現時点での考えをどうやって最終的にまとめていくかということについては、何といっても市町村からの御意見も伺った上で詳細を決定する必要があると思います。
したがいまして、今後、市町村の御意見を踏まえて、市町村から負担金をいただいている事業ごとに、その内容、性格を分析いたしまして、廃止するもの、例外として存続させるものを整理するとともに、負担金を廃止した場合の県事業の対応等についてもあわせて検討してまいりたいと考えております。
次に、9月補正の考え方であります。
配慮した点や考え方、あるいは地域活性化・経済対策臨時交付金の活用についてということであります。
これについては、さきの6月補正予算では、公共事業等を中心とした過去最大規模の補正予算を編成し、県内の経済及び雇用情勢の急激な悪化に対応したところであります。
実は、県内の仕事のやり方といたしまして、最近、新政策という名前で来年度の政策を1年かけてきっちり検討しようということにしております。したがって、一般論でいえば、補正で対応できるからといって、どんどん検討しないで先送りするということは基本的にやめようということを、実は県内の一般的な考え方にしておるわけです。
しかしながら、状況が変化するときにその考え方に固執していては人々の暮らしが惑うばかりでございますので、適宜適切に必要な手は打っていかないといかんということでありまして、6月補正も9月補正の今回の補正予算もそのような考え方で果敢に予算を計上さしていただいているところでございます。
今回の補正予算では、議員御指摘の地域活性化・経済対策臨時交付金を有効活用した県単独事業を中心といたしまして、県内事業者に対する受注機会を確保するために最大限の配慮をすることにより、6月補正予算に引き続き、切れ目のない経済対策を実施することとしたところであります。
なお、投資的経費につきましては、国庫補助事業の積極的な追加等により、平成20年度12月補正から今回補正予算までの累計額で1574億円を確保した結果、平成20年度当初とこれを比較いたしますと、対策を始めてから496億円の増、率にして46%の増となりまして、県内の有効需要を相当創出ないしは下支えしているということができると考えております。
また、地域活性化・経済対策臨時交付金の有効活用といたしましては、防災ヘリにテレビを積んで、その防災の問題の箇所を映すとか、そういうヘリテレシステム、そういうものの充実や、県有施設の耐震化などの安全・安心対策、あるいはがん検診を充実するための検診車の更新などの健康長寿・子育て支援、あるいは地球温暖化等に対応した各種環境対策、経済の底力を蓄えるための産業振興施策、あるいは第70回和歌山国体に向けた設備整備等のスポーツ振興策など、今後県として実施していかなければならない事業を前倒しで実施することによりまして将来へ備えておくということとしたものでございます。
この結果、補正予算の総額は193億円となりまして、さきの6月補正予算に引き続き大規模な補正予算を編成するということにした次第でございます。
どうぞ、御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
次に、過疎対策であります。
過疎地域は、急速な人口減少と著しい高齢化により大変厳しい状況にあるとの認識を持っておりまして、今後もこれまで以上に、特に和歌山県ではこの過疎対策が必要であると考えております。
そのためにも、過疎債の拡充を初めとした市町村への財政支援の充実を含む新過疎法の制定が必須であると考えております。現在の過疎法は今年度で期限が切れますので、ぜひこれは立派な過疎法を改めてつくってもらいたい、こういうふうに考えております。
さらに、基幹集落を中心とする過疎地域において必要な機能が充足されるように、例えば過疎地域を支援する総合対策事業などが必要だと考えております。
また、このような総合対策事業を効果的なものとして実施していくためにも、議員御指摘のように、地域の実情に応じた、一律の押しつけでない、住民の主体性を尊重して、それを支援するといった視点に立って大胆な規制緩和を実施するということが必要であると、地域の実情に応じた制度が可能になるようにするということを実施することが必要であると考えております。
以上3点を今後の新たな過疎対策の3本柱といたしまして、その実現に向け、本年6月以来、国に対して強く提案したところでございます。
なお、今後は、新過疎法の制定に向けまして、県内市町村と連携して決起大会などのさまざまな機会をとらえた活動を行い、3本柱から成る本県の提案実現に向け、強くアピールしてまいりたいと考えております。
過疎法は、これまで議員立法でできておりました。そういう意味では、政府、役人だけではなくて、議員の方々、与野党双方ともに議員の方々の御理解も得なきゃいけないと考えておりますので、県政の議員の方々におかれましても、ぜひ御協力くださいますように、国政議員に対して働きかけをお願いしてくださいますようにお願い申し上げます。
その際には、国に対して強く訴えてまいりますので、県議会の御支援、御協力をお願いしたいと思います。
もちろん、県におきましても、公共交通の空白地をなくす事業とか、あるいは僻地医療体制を堅持する事業とか、さらには災害時に集落が孤立した場合でも通信が確保できるような防災無線の配備などの事業などの施策を実施しているところでありますが、御指摘を踏まえ、現在、来年度に向けてさらなる過疎対策への取り組みについて、新政策の議論をしているところでございますので、これに遺漏なきを期してまいりたいと考えております。
次に、元気なまちづくりプロジェクトについてでございます。
特に農林水産物を中心にして、和歌山県には地域固有の資源、これがたくさんございます。ただ、それを十分生かし切れていないというような部分があって、これまですぐに手をつけた話といたしましては、販売において若干引っ込み思案ではいけないので販売促進に力を入れたりしてまいりました。
しかし、それだけでは不足でございますので、これからは販売のみならず生産にも、それから流通にも、一貫した地域おこしのために地域固有の資源を活用した地域の活性化に取り組むということが必要だろうと考えております。
そのため、本年度から、わがまち元気プロジェクトと、それから新農林水産業戦略プロジェクトという2本の事業を立ち上げ、関係部局が連携をとり、県の総力を挙げて取り組んでいるところであります。
現在、わがまち元気プロジェクトはだんだんと実ってきておりますが、発足しておりますが、九度山町、すさみ町、御坊市、由良町の4市町村で、また新農林水産業戦略プロジェクトは11プロジェクトがスタートしておりまして、県においてはまだまだ多くのものを育てていこうというふうに考えております。
プロジェクトが動き始めた市や町では、行政だけでなくて、地域住民や事業者、関係団体が参画する地域協議会が立ち上がりまして、所得額や生産額、観光客数など、地域が目指すべき目標数値をみずから設定し取り組んでおります。このことは、従来の取り組みにはなかったことと、画期的なことと認識しております。
こうした地域主導型の協議会での取り組みは、プロジェクトの枠組みを超え、より大きな動きとなり、地域の魅力の再発見、さらには地域への愛着や誇りを高める、自力を蓄える、そういうことにつながっていくことと大いに期待しております。
地域資源を生かして新たな産業を興し、地域を元気にする取り組みは、行政だけでなし得るものではございません。地域の人々が主体的に取り組んでこそ、長期総合計画で考える1市町村1産業の実現として結実すると考えております。
この取り組みが他の市町村や事業者にも広がるように、県は総力を挙げて支援してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
5番吉井和視君。
○吉井和視君 知事の市町村負担金の見直し、それから補正予算については、我々自民党県議団も大変評価いたします。後々これからも評価できるように頑張っていただきたいと、そのように思います。
これで、私の質問を終わらせていただきます。
以上。
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で吉井和視君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
9番服部 一君。
〔服部 一君、登壇〕(拍手)
○服部 一君 ただいま議長より一般質問の許可をいただきましたので、質問に入りたいと思いますが、まず、先ほど勇退されました下川議員さんのごあいさつを拝聴いたしました。県政に大変長い間御尽力をいただきまして、私も個人的にも大変御指導をいただきました。感謝とお礼を申し上げたいと思いますとともに、晴れて新宮市長さんとしてお目にかかるのを楽しみにしております。
さて、過日、衆議院の選挙が行われました。民主党の大躍進であります。敬意を表したいと思います。
いよいよあしたから政権担当に入るわけでありますけども、大変期待をしておる1人でございます。仁坂知事さんともども、今後ともおつき合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
本日は、傍聴に大変多くお越しをいただいております。特に地方道、県道かつらぎ桃山線の期成同盟会の皆さんと、地域づくりに取り組んでいらっしゃいます隣接する紀の川市黒川地区、鞆渕地区の皆さんであります。平種の収穫の時期に入りまして、大変忙しい時期ではありますが、県に対して日ごろのお礼を兼ねて、地元の要請をいただいた私の質問に対してどのような答弁がいただけるか、関心を持って傍聴されております。ひとつ地域に帰って皆さんが反省会の中で、地域づくりにさらに意欲が出るよう期待されてると思います。
では、質問に入ります。
過疎山村僻地の質問を、特に教育長に御答弁いただくつもりなんですけども、ただいま吉井議員から山村対策について質問されまして、それに対して知事さんのほうから答弁をされました。私の質問と教育長の答弁を重ねますと、和歌山県の山村地域の対策はすべて十分だと、このように私思っておりますが、半島和歌山、この山村僻地と呼ばれる地域がたくさんあります。辺地債の適用を受けられる地域が23市町村で187地域があると聞いております。しかも、これからどんどんと少子化が進んでまいりますと、私、あんまりこの表現は好きでもありませんし、行政面では使わないらしいんですけども、この「限界集落」という言葉が出てまいります。先ほど吉井議員も質問の中に申されておりました。
私、皆さんもう既に御存じだと思うんですけども、この限界集落というのはどういうことか、どういう定義かということを調べました。ちょっとインターネットで調べますと、たくさん難しいこと書いてあるんですけども、その中で抜粋をしたいと思います。
限界集落とは、長野大学教授である大野晃先生が平成3年に提唱した概念で、「過疎化などで人口の50%が65歳以上の高齢者になり、冠婚葬祭など社会的共同生活の維持が困難になった集落を指す」とされております。
最近は、この限界集落という呼び方に批判があるようです。住民の気持ちからすれば、非常にマイナスのイメージがあります。住民感情にそぐわないということだと思いますが、公式文書などでは、基礎的条件が厳しい集落、維持が困難な集落といった表現が用いられるそうです。私の地域もそろそろこの限界集落に近づいております。
そういうことで、きょうはそういった山村僻地、和歌山県に大変多いわけなんですけども、その中で、きょうお越しいただいております黒川、鞆渕地域を例に挙げさせていただきまして、この地域づくりというのはどうしたらできていくか、県としてはどういうような手だてをしていくべきかということについて、鞆渕について質問、お聞きをしてまいりたいと思います。
黒川、鞆渕地域という地域については、皆さん御存じの方もあろうと思いますけども、ちょっと鞆渕地域の概略を説明さしていただきたいと思います。
鞆渕地域は、大変歴史の古い地域なんです。高野領の中で鞆渕荘と言われる地域なんです。この鞆渕は、鞆渕村と言われておりました昭和22年の人口が2500人あったんです。これを最高にして、31年の旧の粉河町に合併したときには2000人になってたんです。そうして、紀の川市が誕生した現在、296世帯で人口が687人、700人を切る大変過疎化している状況の地域になってまいりました。
そこで、教育長にお尋ねいたしたいと思います。
今述べたように、人口減少とともに少子化が進んでいるわけなんです。和歌山県のこの山間地域における複式学級に取り組んでいる地域はどのぐらいありますか。
鞆渕の地域においては、昭和62年にこの複式学級の歯どめをしようということで、地元の皆さんが里親制度をつくられまして、平成13年には山村留学制度になり、現在に至ってるわけなんです。既に128人が卒業されております。現在は山村留学生は4名と聞いております。今後、和歌山県は、特にこの山間地においてはこういった状況がふえてくると思います。山村僻地の教育についてどのように考えておられますか。
次も教育長さんにお尋ねしたいと思います。
仁坂知事さんは観光立県和歌山を目指されており、また県議会におかれましても、小川議員を委員長とする特別委員会を設置して、観光条例制定に向け、鋭意取り組んでおられるところでございます。感謝を申し上げたいと思います。
和歌山県には、国の指定文化財の国宝や重要文化財がたくさんあります。そこで、さきに述べたように、この歴史の古い鞆渕地区には、国宝、重要文化財がたくさんありますが、その工芸美術品の中で国宝の沃懸地螺鈿金銅装神輿という大きな国宝のみこしを初め、県指定の文化財三神坐像を初め数多くの文化財があります。
平成13年の10月に和歌山県立博物館において、92品の出展のもと、特別展「歴史のなかの“ともぶち”─鞆淵八幡と鞆淵荘─」が開かれまして、博物館開設以来の入場者があったと館長より聞かされました。
当時、準備中に三神坐像が発見されまして、これが国宝級だということで騒がれました。今は県指定の文化財になっているようですが、私は、この国宝や重要文化財の指定を最終どこでどのようにするかということがよくわかりませんが、鞆渕に限らず、文化財の活用というものをもっと観光に利用できないものか。観光立県や地域づくりを目指す中で、こういった文化財をもっと活用する方法がないものかと。例えば、鞆渕の国宝やこの重要文化財を年に1度や2度みんなに公開できないもんか。どのようにしたら、どのようなクリアしたらできるのかお答えいただきたいと思います。
この鞆渕地域は、今述べたように、地域づくりにはもってこいの条件がそろっております。
蛍の時期には、ゲンジボタルの鑑賞に県外からもたくさんの人が訪れ、道路は車で大混雑の状態であります。柿が主産地でありますけども、高冷地を利用してキュウリの栽培、最近はブランド化を進める鞆渕の黒豆――特に今回県単独で予算化していただいた黒豆の枝豆出荷に関するプロジェクトについて対応していただき、地元よりお礼を申し上げてくださいと、こういうことでございます。あとは、地域づくり、リーダーシップと後継者づくりであります。これで、地域づくりの条件がそろってまいりました。
次に、最後です。県土整備部長にお尋ねします。
項目は短いですけども、答弁のいかんによっては長くなることもございます。
和歌山県に地方道と言われる県道は何線ありますか。これからお尋ねする地方道、県道かつらぎ桃山線については、昭和47年に改修に向けて旧桃山、打田、粉河町で期成同盟会が結成されました。38年たってるわけなんです。
紀の川南部中山間ルートとしての主要地方道に位置づけられたもので、紀の川市となった現在も重要県道として位置づけられています。同盟会が結成されて38年という長きにわたっていますが、現在、紀の川市の黒川地区から黒川峠を通り、鞆渕地区への改良を目指しているところであります。神田バイパス、大原口バイパス、黒川バイパスまでは完了しています。そこから、黒川バイパスから鞆渕へ抜けるトンネルの計画がありましたが、今は断ち切れのようになっていますが、これについてはどうなってるんですか。
年々取り組んではいただいておりますが、厳しい財政事情の中でよくわかりますが、毎年毎年同盟会としても改修に向けて陳情を続けているわけなんです。今は事業費も平成の19年には3000万、20年には4000万、そして21年に3000万。平成13年を最後にして、維持修繕のみで大規模な改修工事には至っておりません。指導も受けまして、要請も受けまして、地籍調査も早くということで、前倒しで完了する運びになっています。この路線は難所も多いので、事業費の割に距離は伸びません。地域づくりや、424号から世界遺産高野山までの観光の要因をなす路線でもあります。上も下もほとんど改修されてるわけなんです。何とかしてこの国体の誘致までに、27年までに局部改修だけでも期待したいということについて、部長はどのようにとらまえ、今後どのように取り組んでいくのか、まずお答えください。
1回目の質問を終わります。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの服部一君の質問に対する答弁を求めます。
県土整備部長茅野牧夫君。
〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 県道、主要地方道かつらぎ桃山線の改修についての御質問でございます。
本県の県道、これはトータルいたしまして190路線、その延長は1909キロ。トータルでございます。その改良率は全体で約42%となっております。これは、他府県に比べまして、道路整備、非常におくれている状況でございます。
国や地方の財政、非常に厳しい中で、県内の道路整備に当たりましては、コスト縮減に努めますとともに、選択と集中ということで、優先度の高い箇所から整備を今急いでいるところでございます。
具体的には、高速道路の整備促進はもとより、府県間道路、X軸ネットワーク、こういったものの整備を今最優先で進めておるところでございます。
これに続きます生活道路の整備に当たりましては、生活圏30分圏拡大に資する箇所や、防災上、交通安全上不可欠な箇所など、厳選して整備を進めているところでございます。
そうした中で、議員お尋ねの区間につきましては、過去、トンネル等によるバイパスを検討したこともございましたけれども、事業費、事業効果の面から実現には至っておりません。
しかしながら、当該路線につきましては、御指摘のとおり、通勤や通学、地域の農業などの基本的な生活に必要な路線であり、地元関係者の皆様方からも強い御要望を受けていますことから、これまでも特に交通に支障となっている箇所について対策を実施してきているところでございます。
今後とも、黒川バイパスから鞆渕地内につきまして、地元の方々の御意向をよく聞かせていただきながら、狭隘なところ、線形が不良なところの整備を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 教育長山口裕市君。
〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 過疎地の教育につきましてお答え申し上げます。
本県では、山間地を中心に、小学校では42校、中学校では19校におきまして、豊かな自然を生かした僻地教育の充実に向けた取り組みを進めております。
これらの学校におきましては、学校や地域の特色を生かしたさまざまな取り組みを展開しております。例えば、地域の方々の協力を得てともに行う運動会ですとか、しめ縄づくりなどの体験活動による交流を通しまして子供たち1人1人が大切に育てられております。
また、議員御指摘の鞆渕小学校、中学校を初め県内6地域において、県内外から山村留学生を受け入れていただいております。これは、自然豊かな山村の学校への就学を希望する子供たちを地域の方々の協力のもとに受け入れるものでございまして、人情豊かな人間関係の中で教育的な効果を上げていただいております。
僻地における教育につきましては、教育番組「はばたく紀の国」などで取り上げてまいりましたが、今後とも市町村教育委員会と連携いたしまして、これらの学校の特性を生かしてまいりたいと考えております。
次に、文化財の活用についてお答えいたします。
鞆渕八幡神社の所有いたします主な文化財として、重要文化財建造物の本殿と大日堂、国宝のみこし、県指定文化財の木造八幡三神坐像などがございます。中でもみこしは、数少ない平安時代にさかのぼる美しいものでありまして、大変貴重な文化財であります。
平成13年に県立博物館にて開催されました特別展「歴史のなかの“ともぶち”」では、これら鞆渕八幡神社を初めとする鞆渕地域の文化財が多数展示公開され、大変好評を得たところでございます。
国宝のみこしにつきましては、通常、神社境内に建つ収蔵庫において保管をされ、神社によって大切に管理をされております。秋祭りのときには公開されていると聞いておりますが、保存を第一に考えつつ、より多くの人に見ていただくため、所有者を初め地元の皆様と協議をしてまいりたいと、このように考えます。
以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再質問を許します。
9番服部 一君。
○服部 一君 教育長さんの答弁につきましては、僻地教育について、また文化財の活用ということに、特に知事が挙げる観光立県について、ひとつ御尽力いただきたいと思います。
県土整備部長にお尋ねいたします。
今部長から答弁をされましたけども、担当者がこしらえた大変優秀な答弁書であろうと思います。
あなたがこの和歌山県に着任されて、私、3年と聞いてるわけなんです。私から、先ほど地域づくりについて、この道路がぜひ必要だということで、地元だけやなしに、打田、桃山、かつらぎ町も大いに期待する中で取り組んできたわけなんです。
あんたが就任するようになってから、これ、年々予算が少ないんです。この和歌山県の予算の編成の中で、教育費について362億余り、今年度は予算で12億アップされてますけども、その執行する、あんた、一番の責任者なんです。
私が先ほど申しましたように、この県道の重要性、改修の必要性というのを、実際、部長、あなたが担当課から聞くだけやなしに、この路線を通られたり踏査したことがございますか。
予算を編成していくときに、実際自分が──和歌山県も道路行政、先ほどから言われますように、X軸、いろいろとある中で、この路線1つにかかるわけにもいきませんけれども、予算をつける限り、これ3000や4000万というのをつけていきますと、維持修繕費になってまうんです。地元としたら、ぜひこの局部の改修をしてくれることによって、観光道路としての域にも立つし、地域の活性化あるいは地域づくりに大いに役立つということで、ずっとこれを望んでるんです。
あなたが和歌山県にいつまでいらっしゃるか私知りませんけども、せめてこの地元の熱意というのを何とかしてかなえてあげてほしいんです。
例えば、あなたがもし真剣に取り組んでるとしたら──この3年間に1億投資をしてあるわけなんです。1億をもし1年間に投資をしてあったら、難所の1カ所ぐらい抜けてると思うんです。
今、部長、あなたはこの要望されるこの鞆渕の難所についてどれぐらいの事業費がかかるかということをわかってないと思うんです。
1つの方法として──担当者は歩いてますよ。担当者の説明を聞いて3カ所なら3カ所、これをことし1年は測量します、事業費は何ぼかかりますと、あんたが──国体誘致までという6年間にはひょっとしたら無理やけども──こことここについてはクリアできるだろうという、そういったやっぱり前向きな考え方を持ってくれやんと、また来年も同じことになるわけなんです。
先ほど言いましたように、蛍の鑑賞時期のあの大混雑してるあの状況、地元がボランティアで一生懸命になって対応されてますけども、そういったあの地域が年々限界集落に近づいてくる、歴史が古い、いろんな活性化に向ける材料がそろってるというとこへ、この道路の対応していくということを考えたら、もっとよくなるんです。高野山、世界遺産に通じる道なんです。
もう1つは、今私が申し上げましたように、あんたが来年からどのような形で取り組んでいこうと思うんか、一遍決意のほうを聞かしてくださいよ。
○議長(冨安民浩君) 再質問に対する答弁を求めます。
県土整備部長茅野牧夫君。
〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 御質問についてお答えしたいと思います。
本路線の認識につきましては、当該地域、議員のほうから御説明もございましたけれども、地域の皆様方の通勤・通学、そういった通行、それから黒豆、キュウリ等の農作物、そういった搬出、そういったものについての基本的な生活に不可欠な重要な路線であるというふうに認識しております。
ただ、私、ここをまだ通っておりませんが、振興局から状況をよく聞かせていただきまして、さらにできるだけ近いうちに現地に行っていろいろ検分さしていただきたいと思います。
それから、今後の決意ということでございますけれども、今回議員の御質問の趣旨を踏まえまして、再度この路線につきまして、振興局から状況、地元の御要望等聞きたいと思いますし、その交通状況、地形、地質、それから路線の必要性、それから整備の方向性、そういったものを早急に調査したいというふうに思います。
以上でございます。
○議長(冨安民浩君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(冨安民浩君) 再々質問を許します。
9番服部 一君。
○服部 一君 部長の熱意のほどがわかりました。
私、ここで議員をやらしてもらっていてる間、熱意をどのぐらい示されるか、私見守っていきたいと、このように思います。
ぜひ、先ほど幾つか例を挙げましたけども、早急にやっぱり前向きに取り組んでくださいよ。そして、知事が行事に招待を受けて行ったときに喜んでもらえるようにしてあげてくださいよ。行って苦情ばかり受けるというような状況、あんた、もっと──こんだけ362億余りのその予算編成の予算を持ってる執行者やから、金の1億やそこら、うまく捻出する知恵を出してください。
まあ、要望して質問を終わります。(拍手)
○議長(冨安民浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で服部一君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時24分休憩
────────────────────
午後1時01分再開
○副議長(坂本 登君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
26番中 拓哉君。
〔中 拓哉君、登壇〕(拍手)
○中 拓哉君 皆さん、こんにちは。
けさの下川大先輩のここでのごあいさつを聞き、私もこの議場に参加させていただいて以来、野球の思い出、そのほか、下川先輩とは数々の大切な思い出がございます。その下川大先輩の新宮市長選の御健闘をまず冒頭お祈り申し上げます。
さて、「なかなか頑張る中拓哉」、こう申し上げて、昨年の12月議会からこの4回の議会、続けて一般質問、一般質問では7回目、反対討論2回を含めますと9回目の登壇となります。
折々の政治課題はもちろんのこと、県の施策、事業、それに伴う予算、決算を初め、住民から寄せられるさまざまな意見の代弁者として、知事を含め執行部の皆さんに御質問いたしますので、県民の皆様に御納得いただける誠実な答弁をお願い申し上げます。
それでは、議長のお許しをいただきましたので質疑及び一般質問を行います。
まず初めに、知事の政治姿勢についてお伺い申し上げます。
9月議会招集日の知事のあいさつ、説明を聞いて、少なからぬ落胆を覚えました。と申しますのは、それは知事のあいさつが至って事務的だったからであります。
恐らくやことし一番の大ニュースでありますところの第45回衆議院総選挙の結果が8月30日に判明し、政権交代が確実になりました。それ以来、連日の新聞、テレビ、ラジオのトップニュースは鳩山政権に向けての動向であります。
我が和歌山県本部代表の西博義氏は、公明党近畿ブロックの比例代表の2位に名簿登載され、6期目の当選を果たすことができました。県下の得票は9万2413票、得票率15.66%、絶対得票率10.86%という好成績は、公明党内にあっては全国5位という誇り得る立派な成績をおさめることができました。御支援くださった県民の皆様に厚く御礼申し上げますとともに、猛暑の中、寝食をなげうって献身的に支援活動を展開してくださった党員、支持者、創価学会の同志の皆様に、衷心より感謝申し上げます。
また、仁坂知事には、数回にわたり西博義を励ます会合にも御出席くださり、激励いただきましたことに対しましても感謝申し上げます。
また、公明党が御推薦申し上げた県下3小選挙区の候補者の中で、石田真敏、二階俊博の両氏が議席を死守できたことに対しても、県民の皆様に改めて厚く御礼申し上げます。
さらに、新しく代議士に選ばれました岸本周平、阪口直人、玉置公良のお三方に対しても、その見事な戦いに敬意を表し、本県の発展に貢献くださるものと期待を込めて、お喜びを申し上げます。
加えて、選挙中難しいところを比例区公明党の運動に賛意をお寄せくださり、ともにお取り組みくださいました先輩方に心より厚く厚く御礼申し上げます。
いずれにしましても、二階、石田、玉置の3代議士に加え、大江参議院議員の4名が、うれしいことに、本和歌山県議会出身であることも心強い要因であります。
一方、平成8月10月の総選挙以来、5回目を数える小選挙区比例代表並立制による選挙の事務も、マニフェストの頒布の仕組みが加わるなど、たび重なる法改正で複雑になる中、8月31日未明の比例得票の確定作業に社会民主党、改革クラブ、公明党、日本共産党の2区の集計に一部混乱があったものの、適正に執行なさった選挙管理委員会の皆様の御労苦にも感謝申し上げます。
さて、そこで知事の政治感覚であります。
特別会計を含め194億余の補正予算と新規の制定を含む条例の改定を審議するこの9月議会の冒頭に、現下の経済情勢を述べる前に、まず現下の政治情勢に一言お触れになるのが政治家としての御見識かと思います。
今議会に提案されている補正予算は、6月議会に続き、国の景気対策を受けての予算であります。
一方、あす発足する鳩山内閣では、民主党、社会民主党、国民新党の連立協議が調い、衆参両院で多数を占める、ねじれ解消の政権であります。
伝えられるところでは、麻生内閣のもとで進めてきた切れ目ない景気対策を否定し、未執行の予算は凍結する旨の発言が見受けられます。総選挙の結果は国民の審判ですので尊重すべきものですが、市町村や都道府県といった地方自治体までが政権交代したわけではありません。地方自治体が各種交付金や補助金をルールに基づき受け入れ執行する地方行政を国の一方的な恣意のまま左右できるものなのかどうか、大いなる疑義が発生します。
内容にもよりますが、臨時国会で可決される第2次補正では、組み替えや減額されることになると思いますが、そういったことが成立したとなると、今準備している子育て応援特別手当の給付作業など、大混乱が予想されます。その他の基金も同様であります。既に契約の事務が中止されるなど、地方自治体では混乱が生じております。
新政府は、一刻も早く方針を示すべきですし、公約を実現するにしても、国民生活が平穏に推移しなければなりません。
そこで、知事にお伺いします。
民・社・国政権、とりわけ小沢幹事長、鳩山首相の小鳩政権と称される新政権への評価、また通常なら10月にも示される本県の来年度予算編成方針の行方、さらには数次にわたって取り組んできました経済対策の効果をお述べください。
次に、6月議会でも取り上げました国の直轄事業負担金については、全国知事会も一丸となって取り組まれ、一定の前進が見られたと思いますので、その現状をお示しいただきたいと思います。
また、同じ理屈で、今度は、県が市町村に求めている市町村負担金についてお伺いします。
既に午前中に吉井先輩からの質問もございましたけど、通告しておりましたので、重ねてお伺いします。
直轄事業負担金の根拠法令である道路法や地方財政法では、「負担する」という規定でございます。一方、県条例の市町村に求める負担金では、「負担させることができる」との表現であります。異色の経歴で東大の名誉教授であり政治学者であった蒲島郁夫熊本県知事が市町村への負担金を求めない旨の報道がございました。
本県がおくれた道路の建設促進に向け、負担してでも進めたい直轄事業があるごとく、市町村におかれましても、さまざまな事情がおありでしょう。しかし、和歌山市などが廃止を求めて本県に寄せている要望書にあるような県事業市町村負担金をおやめになるおつもりはおありでしょうか、お伺いします。
次に、県政を推進する上で重要な役割を果たしている「県民の友」についてお尋ねします。
毎月自宅に届く「県民の友」は、住民の皆様に大変喜ばれ、活用されています。今のA4サイズになって保存性も高まり、和歌山市も見習って、この5月からA4サイズとなりました。県民にお知らせすべき情報が多い中、施策、事業を進める部局では、限られた紙面の取り合いであるとも仄聞いたします。
中でも、好評を博しておりますのが知事のメッセージ「県民の皆様へ」であります。私も毎月楽しみに、昨年12月の「県のお金は誰のものか」や、本年2月の「聞く耳を持つ行政を」や、4月の「誰も見捨てないぞ」などは、こうして切り取ってラミネート加工して私の座右に置いております。
そんな折、7月の「やったふり行政」の記事について共感を覚えました。私なら、やったつもりくらいの表現にするところを仁坂知事は「やったふり行政はいけない」と、至って歯切れもよく、小気味がいいのです。パンフレットをつくることで、それでよしとすれば、それは、自分は頑張っていますよと自己弁護するにすぎない、県民の不都合が解消されていなければ、県民のお金を浪費していることとなる、県職員は心せよ、大要そんな趣旨でしたが、さすが即戦力の仁坂知事だと賞賛を惜しみません。
が、しかし、おっしゃることに間違いがなくとも、ちょっと待てよ、このことはあなたの部下に示す訓示であって、貴重な紙面の「県民の友」を使って県民にお知らせするようなことには該当しないのでないでしょうか。知事の座も3年目に入り、そろそろ謙虚さがうせてきた兆しかな、他事ながら気になりましたので、掲載に至るいきさつをお示しください。
続いて、知事のお人柄がしのばれるほほえましいニュースについてお伺いします。
総選挙目前の多忙な中、お盆のころでしたか、新聞で、和歌山県では初めての発見になるシロアナアキゾウムシを仁坂知事が見つけ、県立自然博物館に展示されているとの記事を目にしました。夏休みもたけなわ、宿題の自由研究、自然研究で苦労する子供たちにも夢を運ぶニュースでございました。チョウの専門家とは聞いておりましたが、昆虫全般に造詣の深いことがわかりましたし、忙中閑あり、多忙な知事職をこなし続けるパワーの源泉に触れた気がいたしました。
学芸員が先を越されたと悔しがる、昆虫博士の知事が貢献したとされるグッドジョブ、科学的知見の一端をお述べください。
その上で、さきの恐竜の化石の発見の折にも感じたことですが、理科教育の振興に取り組む本県の中で、こういった新発見と言われるような知見に貢献した人には、何がしかの顕彰をする仕組みを整えるのも大切な視点ではないでしょうか。知事や教育長からの表彰でもよいですし、それが無理なら館長さんからの感謝状など、何ら難しい話ではないように思いますが、いかがでしょうか。
次に、パンデミック・新型インフルエンザ対策についてお尋ねします。
連日の報道でおわかりのように、新型インフルエンザ感染が急速に拡大しております。本県でも、夏休み明けの小中高、保育所、幼稚園などで学級閉鎖や学年閉鎖が相次いでおります。運動会や文化祭の開催にも影響が心配されております。既にどこでだれが感染してもおかしくない状況であります。
医療提供体制の整備を急ぐ上からも、6月議会では、私への答弁で、予算の裏づけも図ったところであるとのことでした。実際、医療現場でも新しい指針のとおり運用され、さほどの混乱もないようです。いたずらにパニックになる必要はありませんが、弱毒性だといって油断することも禁物です。
政府では、ワクチン接種の優先度についてパブリックコメントも実施とのことですが、専門家の間では、輸入ワクチンの安全性への疑問を投げかけられ、素人の私たちには不安がよぎります。
また、ワクチンを打てば大丈夫かのような誤解も横行しています。県会議員なら詳しいだろうと、住民の方からいろいろな問い合わせもございます。例年配布されていた集団インフルエンザ様疾患発生速報なる資料提供も、新型インフルエンザに関しては提供もございませんでした。
県民の健康、命を守るべく県当局に、現下の状況、和歌山県ならではの取り組み、今後の方針、さらには本県の流行の低い理由など、わかりやすくお答えください。
次に、災害対策についてお尋ねします。
これも、衆議院の解散直後の多忙な折のことゆえ、災害の報道を断片的に知るのみですが、山口県防府市の特別養護老人ホームでは、避難勧告が伝わらず、施設の中におったがために犠牲になったり、兵庫県の佐用町では、避難勧告に従ったがために避難途上で犠牲になるという痛ましい事故が相次ぎました。
嘆かわしいのは、いつのときも、予測を超える降雨量が極めて短時間に発生したとするコメントです。一体何のための急傾斜地法や土砂災害防止法なのか、腹立たしさを禁じ得ません。
ここで、1つの事例を紹介します。
今を去る42年前の昭和42年7月、九州西北部、中国地方、近畿地方において最大日雨量300ミリに上る局地的集中豪雨が記録され、甚大な被害がもたらされました。広島県呉市で発生した民家裏山の土砂崩れで家族4人が生き埋めとなりました。あたり一面は泥の海と化し、山肌はえぐり取られ、住民の人たちは茫然と立ちすくむばかりです。
その中を、知らせを聞いて駆けつけた公明党の市議3人と青年党員の1人は、救助活動を開始する。泥土は取り除いても取り除いても後から押し寄せ、大きく枝を張った倒木が作業の邪魔をする。やっとのことで人間1人が入れるぐらいのすき間をあけることができた。中をのぞいた1人が、「いた。奥さんだ」と叫び、手を伸ばし、婦人を助け上げる。「私は大丈夫。奥に子供が。早く子供を」と、狂気のように叫びながら救急車に運ばれていく。そこには22歳の長女が足をはりに挟まれ、身動きできず、はりを動かすたびに苦しそうな声を上げる。救助隊も駆けつけ、ジャッキを入れ、やっとのことで足を抜くことができ、半ば気を失いかけた長女を助けることができた。あと2人だ。しかし、助け出すには穴の中に潜り込まなければならない。雨はますます激しく、刻一刻と危険が迫る。このまま見捨てるわけにはいかんと、市議の1人と消防隊員が穴の中に入っていく。奥のほうから、男の子の弱々しい声がする。「今、おじさんが助けてやるぞ」、励ましの声をかけながら救助作業を進めるが、そのスピードにも増して水かさが増すばかり。必死に努力のかいがあって、首まで水に浸りかかっている6歳の長男を無事救出することができた。もう1人だ。すぐ手の届きそうなところで最後の女の子はうつろな眼でじっとこちらを見ている。「すぐ助けてあげるよ。もう少しの辛抱だ」と声をかけたその直後のことである。ドドドドウ、地響きとともに大量の土砂が崩れ落ちてきたのだ。救出作業中の十数人は土砂にのみ込まれ、現場は一瞬にして修羅場となる。辛うじて逃げおおせた人たちは、友を助けるため、つめもはがれんばかりに素手で土砂をかき分け、ほとんどの人たちは命を取りとめることができた。しかし、消防隊員1人と8歳の先ほどの次女、続いて公明党市議住村七助は帰らぬ人となって、泥の海から掘り出されたのだった。
住村七助、享年51歳。市議2期目の働き盛りであった。食堂を営む彼には、奥さんと8人の子供が残された。この8人兄弟の次男が創価大学で私と同じクラスで無二の親友なのであります。文字どおり大衆とともに語り、大衆のために戦い、大衆の中に死んでいくとの立党の原点のままに実践した、いわば公明党議員のかがみなのであります。
この集中豪雨による呉市の死者88名、兵庫県表六甲の死者92名等の相次ぐ土砂災害を受けて、塩出啓典参議院議員らの尽力で、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律が成立したのであります。
ことしの夏、山口県防府市や兵庫県佐用町で30数名の方が亡くなるなど悲惨な被害を教訓に、本県でも工事のできていない危険箇所があろうかと思いますし、避難誘導体制の見直しも必要かと存じます。その取り組みをお示しください。
次に、国民体育大会関連施設の公共調達についてお尋ねします。
国体と聞けば、38年前の黒潮国体では、海南市の炬火リレーのランナーの一員に選ばれ、市街地を歓呼の声とともに小旗振る声援に包まれながら走った思い出がよみがえります。たしか中学3年生だったと思います。
平成27年開催の第70回国民体育大会の成功に向け、本県も苦しい財政の中、鋭意取り組まれていることと敬意を表します。県民が心一つに団結できるエポックメーキングな催しでございます。
その成功に欠かせないのが、紀三井寺運動公園の競技場や野球場であり、総合体育館であり、秋葉山公園の県民水泳場であります。
木村前知事の事件を反省に改革された公共調達の新制度については、本議場におきましても、先輩各位からたびたびの質疑が交わされましたし、私も2月議会で、発注者である県がミスした折の善後策についてお尋ねいたしました。
その後、国体の主要3施設の公共調達が実施されたのでありますが、それぞれに巨額の予算が伴うビッグプロジェクトかと思います。
いずれも設計業務でありながら、県立総合体育館は、基本設計と実施設計を合わせた条件つき一般競争入札であり、紀三井寺運動公園のそれは、基本計画と基本設計のみの条件つき一般競争入札とし、後に実施設計を同じく条件つき一般競争入札に付するとのことであります。秋葉山の県民プールは、条件つき一般競争入札とはせずに、基本計画と基本設計のみプロポーザル方式としております。それぞれ入札方式が違うのはなぜでしょうか。御説明ください。
また、8月24日、自治会館で行われたプロポーザルの公開ヒアリングには私も出席し、4グループの技術提案を拝聴するとともに、選定委員の先生方からの質問と提案者の答弁もつぶさに聞かせてもらいました。いずれの案もすばらしく、お金があるのならそれぞれのいいところを全部取り上げれば、さぞかしいいものができるだろうなと思った次第です。
元来、プロポーザルとは、示された案を採用するのではなく、設計する人の能力を選ぶとのことですが、8月31日に発表された採用者を聞いて、あけてびっくり玉手箱よろしく、昭和設計・フジ設計特定業務共同企業体とのことでした。本県にとりましては、田辺の県立情報交流センターBig・Uの設計者ではありませんか。
私の記憶によれば、西口知事の当時に総合教育センターとして計画され、設計者とも契約済みであったものを木村知事になった途端にIT総合センターに衣がえして、設計業務は相和技術研究所のものを引き継いだ昭和設計さんがおとりになり、地盤改良の必要性が指摘されていたにもかかわらず無視した結果、地盤工事に入った矢先に地すべりが起こり、4億数千万円もの大金の県費がつぎ込まれたのでした。この際は、指名型のプロポーザルで昭和設計さんでした。
天網恢々疎にして漏らさず、やがて木村前知事と井山何がしはお白洲の身となり、工事を請け負ったゼネコンさんもおとがめの身であります。
この際、昭和設計さんの名誉のために申し述べますが、昭和設計さんが木村知事の事件で罪を問われたわけではございませんし、今回の秋葉山プールでは、指名型ではなく公募型のプロポーザルなのであります。県が指名権を行使した方式であれば、過去の経緯からして、県は果たして指名できたかどうかわかりませんが、公募型なるゆえに、公平性、透明性、客観性を担保する上で、名前を伏せての審査であり、選定委員の先生方には業者のお名前がわからないままとするのがこの制度の建前でございます。そのことを承知の上で確認します。
過去に、県との契約を交わし、受注した中で、かかる経緯があった業者である昭和設計さんを含む共同企業体との契約に問題はありませんか。お答え願います。
次に、補正予算案に提案されております教育費の保健体育費、体育振興費の備品購入費4億1800万円の中で、2年先に完成予定の県立総合体育館に装備する備品が多く計上されております。
トップアスリート育成の観点から、強化拠点施設への備品の配備なら、購入し次第活用できますからいいのですが、まだ影も形もない施設に装備すべき備品のうち、小型のものなら空き倉庫に収納しておけますが、バスケットリング台2500万円や、重量が15トンもあり1辺が12メーターの長さで畳128枚を1つとして収納するとする自動畳畳み機4台で2億9840万円、1台7500万円のこの代物は、備品と称するよりは機械設備みたいな大きなものです。急いで購入する必要があるのでしょうか。国体成功に名をかりて、今のうちに最高品を買い集めてるような印象を持たれませんか。
ビッグホエールでも使うとのことですが、15トンもする機械が4台もアリーナを行き来すれば、床が傷む心配はありませんか。国体開催までの6年間に活用するとのことですが、3億円はいかにも高過ぎませんか。その費用をまだまだ乏しい他の競技のトップアスリート育成に振り向けるほうが、よっぽど有効なのではと思います。強化したくてもお金がなくて困っている競技者はたくさんいるのではないですか。この機材を購入しようとする費用対効果をお示しください。
念のためお伺いしますが、責任ある立場の人が現物を見て検証した上での予算計上でしょうか。お答えください。
以上、何点かお聞きしまして第1問といたします。よろしくお願いします。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの中拓哉君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいまの中議員の御質問のうち、私に答えよということについて答えさせていただきます。
中議員のお話の順番が必ずしも通告順になってなかったんですが、聞いてみましたら、通告順に答えるのが県議会のルールであるということなんで、通告順にやらしていただきます。
まず、知事の政治姿勢ということで、新政権の評価でございますが、先ほど吉井議員の御質問に対してお答え申し上げましたように、多数の国民の支持を得て新政権が発足するわけでありますので、まずは、国民としては新政権を信頼し、いい政治をやっていただくことを期待すべきものと考えております。
一方、私は100万人の県民を預かる県知事であります。新しい政権において、政権公約に掲げた政策が実行されていくことになるのだと存じておりますけれども、特に本県にとって切実なことは熱心に進めていただきたいと思いますし、本県にとってプラスになるなというふうに思うことによりましても副作用が出ることがありますので、それの手当てもきっちりやっていただきたいと思いますし、また、本県の県民にとって、例えば地方としての特色のある本県の県民だけが割を食いかねない政策があると、これは手だてをぜひやってもらいたい、そんなふうに思う次第であります。
これまでの政権下においても、私は随分そういうことをお願いし、またそれまでの政府の政策に反することであっても意見をし、たまには直していただいたということもあります。
したがいまして、今後とも、先ほど申し上げましたような場合がある場合は、新政府に対してよく実情を説明し、よい政策を求めたいと考えております。
特に、一般的に申し上げますと、新しい政権には、少子高齢化、過疎化が進行し、経済が停滞するなどの多くの解決すべき課題を抱えた本県のような地方を大切にする政策にぜひ力を入れてもらいたいと、そんなふうに考えている次第であります。
次に、「県民の友」のメッセージについてであります。
これにつきましては、知事として日々の職務を通じて考えたことなどを県民の皆様にお伝えすることにより、県政を身近に感じ、関心を持っていただきたいという思いで、毎月、頭を絞って原稿をつくって掲載をさしていただいております。
議員御指摘の本年7月号のメッセージ、「やったふり行政」につきましては、議員御指摘のように、標語を唱えたりパンフレットをつくったりするだけで問題を解決した気にならず、戦略的に地道な努力を続けていかなければならないということを、私も含め県職員全体がその思いを強く持たなければならないということを念頭に置きまして申し上げた次第であります。
これをなぜ職員だけに対する訓示でなくて、県民に申し上げたかというふうに申し上げますと、県民の皆様にも、実はその事の本質を申し上げることによって、私も含めて我々の行政を見る目、これをむしろ厳しくしていただいて、それによって我々が常にその目を意識しながら県政を緊張感を持って進めたい、進めなきゃいけない、そういう気持ちで、あえて書かしていただきました。いわば県民の皆様への決意表明の意味を込めて、メッセージとして掲載さしていただいた次第です。したがいまして、最後の語尾は、「せよ」ではなくて「したい」「しなきゃいけないと思う」ということだと記憶しております。
今後とも、県民の皆様に親しんでいただき、メッセージの趣旨をよりわかりやすくしっかりお伝えしていきたい、そんなふうに考えているところでございます。
次に、直轄負担金でございます。
国の直轄負担金については、去る7月14日の全国知事会におきまして、第1に、負担金の対象範囲等は平成21年度から見直す、見直されない場合は21年度分の負担金の支払いはできない、第2に、社会資本整備がおくれている地方に影響が出ないように配慮しつつ、維持管理費負担金は平成22年度から廃止し、将来的には直轄事業負担金制度を廃止すべきこと、第3に、事業の選択、実施等に関して、地方の意見が反映できる制度を直ちに創設すべきことを申し合わせまして、国に要請活動を行いました。
現在、国において検討が行われているところでありますが、民主党は、政権公約において国直轄事業負担金の廃止を明示しておりまして、今後の動向を期待を持って注視してまいりたいと考えております。
次に、県事業の市町村負担金につきましては、国直轄事業負担金の廃止を訴えながら、一方では、県事業に対して市町村から負担金をいただくということは、基本的には矛盾することだと思います。
私は、県事業に関する市町村の負担金を来年度から原則として廃止したいと考えております。
ただし、よく見ますと、市町村負担金の中には、使用料的な性格のものとか、あるいは受益者負担──これは県民の皆様それぞれに負担をしていただくものを軽減するために市町村が肩がわりして負担しているものなど、負担金をいただく合理的な理由があるものとか、あるいは県と市町村の適切な役割分担の観点から、これは市町村にお返しすべき事業だと考えられるようなものもあると考えております。
現時点ではこのように考えておりますが、県が一方的に考えてはいけません。したがって、最終的には市町村から御意見を伺った上で、詳細を決定する必要があると考えております。
今後、市町村の御意見を踏まえて、市町村から負担金をいただいている事業ごとに、その内容、性格をちゃんと分析しまして、廃止するもの、あるいは理由があって例外として存続させるもの、そういうものを整理するとともに、負担金を廃止した場合の県事業の対応等について、これもあわせて検討してまいりたいと考えております。
次に、シロアナアキゾウムシでございます。
私は、もともと昆虫好きであるということに加えまして、昆虫を見に行ったり、とりに行ったりいたしますと、和歌山県下、公務ではなかなかめったに行けないような、そういうところにもかなり行くことができます。
そうしますと、地方の自然のすばらしさとか、あるいはたまには問題点とか、あるいはさっき服部議員が御指摘にありましたような地方の道路の問題点とか、あるいは人々の暮らしがどんなになってるかとか、結構よくわかるところがあります。
とりわけ、鳥獣被害にいかに苦しんでいるかとか、そういうことについては、常に認識を新たにするところであります。
また、飲み物を買いに行くお店とか、ボランティアでトイレ掃除をしてくださっている人とか、たまにそういう人とお話をする機会がありまして、そういうことで、またいろいろな気持ちもわかることがあります。
あんまり暇はないんですけれども、暇があればこういう意味で行かしてもらいたいと思っております。
そういう5月、機会がありましたので、古座川にカミキリムシの採集に行きまして、小森川地区でシイの花を網ですくっておりますと、白いやや大型のゾウムシが入っておりまして、これは見たことないなあというふうに思いまして採集しました。
後日、自然博物館に標本を届けて、同定といいますか、「名前、何でしょうね」というふうに申し上げたところ、県内では未発見であったシロアナアキゾウムシであるということを教えていただきました。
私は、実は何の知見もないわけでありまして、お褒めにあずかることは何一つございませんので、面映ゆい次第なんですが、ただ結果として、貴重な種類の発見がたまたまできまして、科学的な知見の集積に──これは和歌山県としてですね──貢献できたといって喜んでおります。
また、同じようなことは、御指摘のように、県内で、小学生による新種の甲殻類化石の発見とか、大学院生による滄竜の化石の発見などが続いております。
こうした発見者に対する表彰につきましては、議員と全く同感でございますので、今後、教育長等々と御相談申し上げてまいりたいと考えております。ただし、私が欲しいわけではございません。
次に、数次にわたる経済対策の効果についてお答え申し上げます。
世界的な景気後退の影響を受けまして、県内の経済・雇用情勢、急激に悪化する中、昨年末以降、本県といたしましても、所要の緊急対策を迅速かつ機動的に実施したつもりでございます。
なお、これらの対策を実施した後の4-6月期における県内経済は、ある研究機関の分析によると、依然として厳しい状況にあるものの、一部に下げどまりの動きも見られるようになってきたというふうに指摘されています。
また、6月には、県内景気の底割れを防止するため、過去最大規模の補正予算を編成するとともに、経済対策の効果を早期に発現させるために、事業の早期執行に心がけているところでございます。
しかしながら、6月補正予算の成立後間もないことから、その効果が目に見えた形で県内景気や雇用情勢に反映されるまでには、いましばらく、やはり時間を要するものと思われます。6月補正予算における経済対策の効果が早期かつ最大限に発現するよう、引き続き事業の早期執行に努めてまいりたいと考えておりますし、その効果を減殺させないように、改めて9月補正予算も提出さしていただいたところであります。
次に、平成22年度の予算編成方針ということでございます。
これにつきましては、現在は、国においては新政権発足後、概算要求基準にかわる新年度予算編成の新たな指針を策定するとの報道がなされているところであります。
新政権下での政策の見直し内容には、国庫補助金の一括交付金化や、あるいは法人税等の見直しに伴う地方交付税への影響、軽油引取税等の暫定税率の廃止など、地方財政に影響を及ぼしかねない要素も含まれておりまして、その見直し方針の行方が、期待もありますが、懸念もあるところであります。
いずれにいたしましても、本県の平成22年度の予算編成に当たりましては、これから我々は考えていかないといけない。現在、新政策プロセスをやっておるんですが、その最後の段階として予算編成をやっていかないといかんということでありますが、現時点においてはどうかということでお答え申し上げますと、まだ不況もまだまだでございます。したがって、現下のこのような経済情勢に対応する施策をちゃんとやらないといかん。それから、底力を蓄えるような施策、将来の発展に結びつくような施策もちゃんとやらないかん。それから、県民の安全・安心施策もきちんとやらないかん。
そういう本県の抱える課題に対応する重要施策については、限られた財源を重点的かつ効率的に配分し、県民サービスの低下を招くことのないように努めなければならないと考えておりますし、同時に、和歌山県が破綻してはいけませんので、したがって、新行財政改革推進プランの着実な実施もまた念頭に置いて編成していかないといけないと思います。
このため、御指摘のように、国の政策は県の財政、予算に大きな影響を及ぼしますので、県といたしましては、平成22年度の予算編成方針に必要となる情報収集を積極的に行うとともに、必要となる財源が安定的に確保されるように、新政権に強く働きかける必要があると考えております。
○副議長(坂本 登君) 福祉保健部長北田佳秀君。
〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) パンデミック対策、新型インフルエンザ感染の現況と抑止策についてでございます。
まず、和歌山県における感染状況についてお答え申し上げます。
本年7月24日の感染症法施行規則の改正に伴い、新型インフルエンザ発生数の全数把握は行っておりませんが、現時点の県指定医療機関当たりの発生数は1.28となっております。全国平均の2.62に比べ、本県の状況は比較的低レベルにあり、新型インフルエンザによる死亡者も確認されておりません。
本県においては、4月末に新型インフルエンザが海外で確認されて以降、県内各地域の保健所等による24時間の相談体制と、医療機関における発熱外来での迅速な診断、治療を中心に弾力的かつ機動的に対策を進め、感染の拡大防止に努めてきたところです。この間の関係機関との緊密な連携による取り組みが、全国よりも比較的低レベルの発生状況につながったものと考えております。
しかしながら、指定医療機関当たりの発生数は本県でも増加傾向にあり、既に流行開始の目安とされる1.0を超えているところです。
また、新学期開始後、9月14日までの高等学校における学級閉鎖等が28件、患者数214人と報告されるなど、今後さらなる感染拡大が懸念されます。
そうしたことから、今後とも県民の健康と社会経済活動への影響を最小化させるため、医療体制と相談体制の確保、感染拡大の防止、情報の提供について、市町村、関係機関と連携して、総力を挙げて取り組んでまいります。
特に、基礎疾患を有する患者や妊婦、小児患者等の重症者を受け入れる医療機関を確保することが重要であると認識しており、9月1日現在、48病院、279病床で受け入れが可能となったところです。
引き続き、今後の感染拡大に備え、医療機関や関係団体と連携しながら、さらなる病床の確保に取り組んでまいります。
また、抗インフルエンザウイルス薬につきましては、既にタミフル8万8000人分を備蓄しており、平成23年度までにタミフル9万8000人分、リレンザ1万400人分を追加備蓄することとしております。
今年度分につきましては、9月末までに備蓄が完了し、さらに次年度分のリレンザの前倒し購入も計画しているところです。
なお、インフルエンザ予防や重症化防止のためのワクチン接種につきましては、現在国で検討されている優先順位に基づき、計画的に接種できる体制を医師会、病院協会等の協力をいただきながら構築してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 危機管理監森 崇君。
〔森 崇君、登壇〕
○危機管理監(森 崇君) 災害対策として、他府県の被害状況からの教訓と今後の対策についてお答えいたします。
山口県防府市において発生した土砂災害を契機といたしまして、県内の災害時要援護者施設のある土砂災害危険箇所193カ所の緊急点検を実施するとともに、和歌山地方気象台と連携いたしまして、市町村への土砂災害警戒情報の伝達訓練を実施いたしました。緊急点検の結果、いずれの箇所においても、直ちに土砂災害が発生する可能性の高い前兆現象はありませんでした。
また、8月10日付で、危機管理監、福祉保健部長、県土整備部長の連名で、市町村長に対し、災害時要援護者関連施設への連絡体制の整備の徹底及び消防団や近隣居住者等と連携した関連施設の避難誘導体制の整備について通知したところでございます。
さらに、市町村防災担当者会議を開催し、避難勧告等の判断基準の点検や、国のガイドラインに基づいた避難勧告等の判断基準の策定、災害の特性や状況に応じたよりきめ細やかな避難方法の周知を行うよう要請したところであります。
県といたしましては、引き続き国、市町村と連携を図り、防災体制の確立に努めてまいります。
以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 県土整備部長茅野牧夫君。
〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 国民体育大会3施設の入札方式の違いについてでございます。
まず、設計業者選定の選定方法の違いについてお答えいたします。
紀三井寺運動公園と仮称・県立総合体育館は、特別な提案は必要といたしませんので、条件つき一般競争入札を採用いたしました。一方、秋葉山公園県民水泳場、これにつきましては、風致地区内にございまして、景観や環境を特に重視するとともにデザインや維持管理に対する配慮が必要であり、高い技術力や経験を持つ設計者を選定するため、プロポーザル方式を採用したものでございます。
次に、設計業務の範囲の違いでございます。
紀三井寺運動公園と秋葉山公園県民水泳場は、公園と施設の利用形態や国体開催時の計画等を考慮して、全体計画を立てて、周辺住民や関係機関と協議を経てから実施設計を行う必要があるために、先に基本計画と基本設計を発注しております。それから、仮称・県立総合体育館につきましては、体育館等の設計事例が多くあり、早期完成を図るために、基本設計と実施設計を一体で発注したものでございます。
なお、今回のプロポーザルで選定されました設計業務共同企業体の代表構成員である設計業者は、過去に地盤沈下が発生した県有施設と同じ設計業者であります。しかしながら、当時地盤沈下の原因等について検証を委託した独立行政法人建築研究所の調査報告書に基づき、県といたしましては、設計業者に責任を問うことはできないと結論づけたものでございます。
また、今回のプロポーザルにつきましては公募型であり、選定委員をすべて外部委員に委託し、応募者の名前を伏せた上で公開ヒアリングを行うなど、公平性、透明性に配慮して適切に実施したものであり、選定された共同企業体と契約することについては、問題がないと考えております。
以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 教育長山口裕市君。
〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) トップアスリート育成事業に係る備品購入についてお答えいたします。
議員御質問の仮称・県立総合体育館への電動収納柔道畳やバスケットリング台などの導入につきましては、他府県の導入状況や主な利用者であります各種関係団体の意見を参考にし、総合的に検討してまいりました。
例えば、他府県の体育館や武道館で一般的に見られるように、柔道畳やバスケットリングを常設した施設にするよりも、広く県民が多目的に利用できる施設とすることが望ましいという考えから、設置、撤去、収納が容易な電動収納柔道畳やバスケットリング台を導入することといたしました。
本備品は、床を傷めることなく機器の移動が容易であり、当該施設のメインアリーナや隣接するビッグホエールでも国体の選手強化やその他の大会用にも使用できるなどの利点がございまして、何よりもアリーナが多目的に利用できるということから、費用対効果の観点からも公共の体育施設として導入することが適切であると判断した次第でございます。
なお、調査した専門の職員や導入団体からの聞き取りによりますと、利便性が高く、信頼できる製品であると聞いておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
26番中 拓哉君。
○中 拓哉君 再質問さしてもらいます。
今月も知事のこの「思考停止社会」の御本紹介いただきまして、私も勉強したいと思います。
さっきの件も、やったふりではだめなんだよということを言うてるので、県民の皆さん、そういうつもりで見てくださいと、また私も言うてくださいと、そういう表現があったら至っていいんですけども、ちょっとしり切れトンボだったもんで申し上げました。
県工事負担金のことでございますが、和歌山市の市会議員してるときに、さんざん、県からこんな負担金求められてどうもならんと、県会行ったらそのこともただしてくれと、和歌山市選出の議員としては働きをさしていただいてるところでございます。
それで、廃止されるのはええんですけど、金額がお幾らぐらい穴あいて、これから市町村と詰めていくんでしょうけども、どんな影響があるのかな。もし今の時点でわかる範囲であればお答えいただきたいと思います。工事がおくれてしまうんか、工事はおくれへんで、県がかぶってやるんか、そんなところをお願いしたいと思います。
防災のほうは、今回のゲリラ雨、いつも「問題ありません」、しかし何かあったら、「いや、予想を超える雨やった」何やかんやということが後で聞かされるんで、それは難しいかわかりませんけども、やっぱり予測される最大のことを心配しながら行政は取り組んでもらいたいし、やっていただきたいと思います。
また、先ほどの県有施設のことにもよるんですけども、プールのことなんかでも、提案聞きましたら、4つの提案の中では、防災拠点にしますよ、プールの水というのは物すごいプールの水量があるんですから、飲める水ですし生活配水にも使えますし、防災拠点にできるんですよ、あるいは防災教育の場ともできるんですよ、あるいはこのほかの会議室なんかも貸し館にしますよ、そんなことの提案がいっぱいありました。あるいは、今の時代ですから、環境負荷しない地熱利用したいとか、CO2減らすんやとか、中では、水中シンクロナイズドスイミングでしょうか、あんなんも下から見れるような提案もあったように思います。また、防災拠点という意味では、備蓄倉庫にしますよ、こういうこともありましたんで、今はどうしても防災計画つくれ言うたら市町村につくらして、県はそのままなんですね。だけど、県有施設をつくるときに、市町村に独自に考えさした中とは別に、県もこんなんつくるから、ここも防災拠点の1つになるぞというふうなことを提案して、二重行政をなくしてもらいたい。これは要望でございますけども、新しく県有施設つくるときは、そんな視点で見てもらいたいと思います。
今度、茅野さんのほうでしょうかね、新しく次にプールを進めるときに、先ほど申し上げたいろんな4つの設計会社さんから提案がございました。こういう提案も当然僕は尊重されるべきやし、中には、メタボ解消のために健康促進の市民に講座を開いて使えるようなこともあるんですよってなこともございましたんで、その点を今の昭和設計さんに、これからいろいろするときは、前に迷惑かけられたこともあるんですから、信頼回復のためにも、多少いろいろ言うてもうて、ええのつくってもらいたいなと思いますので、そういうお考えがあるかどうかお尋ねします。
また、昭和設計さん、今、基本のほうやってるんですけども、これから実施になっても参加できるんかどうか、そういう点をちょっと確認したいと思いますので、お答えください。
畳の問題です。
僕は、行ってきたんかいと。3億も使うんですから、1台7500万もする機械を、床は大丈夫やということを聞いてきたとか、カタログもうてしてるとか、そんなことはいいんですけども。例えば僕が、子供が自転車買う、バイク買う、あるいは車買うといったときはやっぱり見ますよ、どんなもんか。お金出すんやもん。7500万の4台も買うというて、見てきたんかどうかということなんですよ。そこの点をお答えください。
先ほど教育長の答弁では、ええもんやと、非常にええもんやと、これは畳んだりするから使えてええんやと、ほかの競技にもええんや。ええんや、便利やということはわかりましたけど、それが3億の投資に見合うものかどうかということの説明はなかったように思います。BバイCというんですか、そういう点のところをきっちりお答えしてもらいたいし、まず維持管理も心配です。どんな機械か知りませんけども、後のメンテでまたお金かかっていくんだったらどうかなということもありますんで、その点、維持管理なんかどんなことなんか、お答えください。
また、これ、入札どうするんですか。聞けばもうフジタス工業1社しかつくってないやつですよね。これをやっぱり知事が新しくつくった公共調達のルールによれば、これ、3500万超えますから、国際ルールにも基づかなあかんのですね。世界から門戸を開いて買うてもらわなあかんのですけども、同等品というふうな形で門戸を開いて、競争原理は働くのかどうか、その点お聞かせいただきたいと思います。
それで、どう思ても4億、今回予算要求してて、3億がこれで使われてまうんですね。費用対効果の答弁皆かわかりませんけども、ほかの競技でやっぱり充実してもらいたいというとこあると思うんですよ。アスリート育成において、ちょっとしたことで随分伸びるんじゃないかというように思いますんで、その点をお答えいただきたいと思います。
以上、再質問といたします。
○副議長(坂本 登君) 再質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 市町村負担金の金額でございますけども、先ほど幾つか申し上げましたような要素がいろいろ入ってるお金で、かつ市町村から負担金という名前でいただいてるということで集計をした数字でございます。したがって、これ全部廃止するかどうかはわかりません。29億6900万円というのは、21年度当初予算における市町村負担金をいただきたいなあと我々が予算化した数字でございます。
○副議長(坂本 登君) 県土整備部長茅野牧夫君。
〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 国民体育大会の施設についての再質問にお答えいたします。
プロポーザルにおいて提案がありました事項、例えば今、議員御指摘のような、災害時の施設利用、プールの水の緊急用の飲料水への利用、会議室の利用等々、提案につきましては、関係機関と協議を行い、効果がありかつ実行可能なものにつきましては採用できるように努めてまいりたいと思います。
それから、実施設計に参加ということでございますけれども、まだ実施設計の手続は開始しておりませんけれども、一般論ではございますけれども、入札に参加することは可能でございます。
以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 教育長山口裕市君。
〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) この折り畳みの柔道畳につきましては、私自身が直接に見聞する機会を残念ながら得ておりませんけれども、これを実際に見て経験をしてきた職員は、私以上に、柔道の専門家でありますし、有能な職員でございます。
また、この畳につきましては、装置につきましては、財団法人和歌山県柔道連盟の複数の関係者がこの上で直接試合をし、監督として間近に見聞してきておりますので、信頼性は間違いがないというふうに考えております。
次に、投資に見合うかどうかということでございますが、単純に金額的に比較することは難しいわけでございますけれども、この備品だけではなくて、高額投資をして建設をされますこの総合武道館のスペースが、一部の競技だけではなくて、より多くの競技者あるいは県民の方々に利用いただけるというメリットのほうが私は大きいというふうに考えてございます。
3つ目に、メンテナンスにつきましては、この備品の維持管理に要する経費につきましては、導入済みの施設のほうで確認をいたしましたところ、潤滑油の注入ですとか、器具の微調整等のほかには多額の経費はかからないというふうに伺っております。
なお、つけ加えますと、この器具の耐用年数はほぼ30年ぐらいというふうに聞いております。
それから4つ目に、入札に当たっての問題でございますけれども、これは、私どもは仕様書のほうに同等品と記載してお願いをするように予定をしております。
以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) この際、申し上げます。
所定の時間まで、残り2分であります。
再々質問を許します。
26番中 拓哉君。
○中 拓哉君 私、質問は13分あるんですけど、答弁の関係でそうなりました。もう簡潔に聞きます。
7500万ということが予算上がってますけども、教育長のほうで、ほかの施設で幾らで入ったかというぐらいのことは確認してますか。私、議会事務局にお尋ねして調べてもらったら、あるとこは6000万やったし、一回り小さいやつは2400万やったし、私立学園で導入してるのは、ちょっと仕組みは違いますけど4000万円でした。どうも7500万1台というのは、これを4台も買うというのは解せませんので、そこのところ、改めて答弁ください。
○副議長(坂本 登君) 教育長山口裕市君。
〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) お答えいたします。
同じメーカーの同じような折り畳み式でありましても、自動で操作をするものと、それから空気圧を使って操作をするものとがございます。その関係で価格に相違がありますけれども、私どもとすれば、できるだけ少ない人数で短時間に転換がしやすい、そういう器具を選びたいということで、この器具になってございます。(「値段」と呼ぶ者あり)
値段は、愛知県立体育館は8機入れておりまして4億6000万円、兵庫県立武道館は4機械を入れて4億5000万円、渋谷教育学園は78畳の1機で4000万円、墨田区総合体育館が4機入れまして2億5000万円、静岡県島田市総合体育館は1機で4000万円ということで、これは方式にかなり違いがございます。
以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 以上で、中拓哉君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
35番藤本眞利子君。
〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 まず冒頭に、朝ごあいさつをいただいた下川議員の御健闘と御健勝をお祈り申し上げたいというふうに思います。
議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
本日4人目ということで、最後になりました。お疲れのことと存じますが、しばらくの間、御清聴よろしくお願い申し上げます。
さて、第45回衆議院選は、政権交代という歴史的な結果をもたらしました。民主党は480議席のうち308議席を獲得し、和歌山からも、県会から出馬をした玉置さんを初め、岸本、阪口、すべての選挙区から民主党国会議員を誕生させることができました。これも、県民の皆さんお1人お1人の日本の政治を変えてほしいという大きな意思のあらわれであると思います。県議会の場をおかりして、支援をいただいた県民の皆さんに心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。
さて、小泉構造改革から8年、郵政選挙から4年が経過し、その間、働く人たちの3分の1が非正規雇用となり、200万以下で働く人がふえ、格差社会が広がりました。所得の格差が地域の格差や教育の格差にまで広がったこの日本の社会を何とか変えてほしい、政治を変えてほしいという県民や国民の思いが、民主党に任せてみようといった結果につながったと認識しています。
また、おととしの参議院選挙で民主党を含む野党が第1党となった結果、官僚の天下り問題や無駄遣いの問題がはっきりとわかってきました。消えた年金、消された年金の問題も判明し、政府・与党への大きな不信感が政権を交代させようという流れになったものと考えます。
政権が変わりました。10日には民主、社民、国民新党の3党連立政権合意も発表され、あすにはいよいよ新しい内閣が発足します。しかし、無駄の削減、社会保障、税金の見直し、農政、温暖化対策、郵政民営化問題など、さらには地方分権など、数えるだけでも多くの課題が山積しています。どれ1つとっても重要なものばかりであります。ここは手綱を緩めることなく、しっかりと取り組んでいかなければならないと考えます。
来年度の概算要求は白紙に戻ります。また、麻生内閣が成立させた9年度補正予算約14兆円のうち、4兆円程度の執行を中止し、予算の内容を組み替える第2次補正予算案を秋の臨時国会に提出する方針であるというふうにもお聞きをしています。
吉井議員、中議員の答弁と重なる部分もあると思いますが、改めて知事にお伺いします。
民主党が政権与党となりました。中央の政治が大きく変わります。知事としてどのような感想をお持ちなのか、お伺いします。
また、今後県政を運営するに当たっての国政への対応についてお伺いします。
次に、女性の雇用についてお伺いします。
現在、男女がお互いに人権を尊重しつつ、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女平等社会の実現が求められています。意欲や能力のある女性が活躍できる職場環境は、企業の活性化や生産性の向上、多様化する市場での競争力を発揮するためにも重要です。
さきの2月議会でも、男女共同参画社会の実現に向けて、女性の雇用問題についてお伺いしました。国の2008年度女性の参画加速プログラムも発表され、意識改革、ワークライフバランスの実現、女性の能力開発、能力発揮に対する支援に取り組む方針も確認いたしました。
2月議会では、県としては、女性が働き続け能力を生かせるよう、その普及に努めている、女性の労働に関する意識改革のためには男女間の固定的な役割分担意識の見直しをさらに進め、1人1人の能力が十分発揮できる職場風土づくりが重要であると考えているという答弁がございました。
一昔前には、行政においても女性差別が当たり前のような時代がありました。和歌山市役所では、共働きをしている場合、一方が管理職になった場合に──主に男性ですが──一方はやめなければならないという慣習が残されており、女性がやめていったという過去の事実がありました。明文化されてはいなかったようですが、そういったことが平然と行われていました。
男女雇用機会均等法が昭和61年に施行されてから20数年が経過、平成19年には、これまで事業主の努力義務となっていた募集、採用、配置、昇進について、女性に対する差別が禁止され、現在では一昔前のような性別による差別的な取り扱いは、表面的には見えにくくなっていると思っていました。
しかし、先日、知人から、職場結婚をした場合どちらかがやめなければならないといった慣習が残っている職場がいまだにあるとお話を聞き、驚愕しました。さすが職務規律などには明記していないとのことですが、過去から慣習として、職場結婚をした場合、どちらかがやめなければならないことになっているというのです。今までもそういったことが行われてきたということでした。直接の上司から暗にやめることを求められ、応じなければさらに圧力をかけられ、職場でいたたまれなくなってやめるという状況に追い込まれていく。最初は働き続けたいと意思を伝えたにもかかわらず、あの手この手で圧力をかけられた末、幾つかの条件を提示され、女性のほうがやめるという結論を出したということでした。
法律はあっても、現実問題として職場の人間関係等が複雑に絡み、女性が働き続けることの障害になっているということを実感しました。
そこで、働きたくても働き続けられない女性がいるということについてどう考えているのか、また性別を問わず働き続けられる職場環境を整備するためにどのような取り組みを行っていくのか、商工観光労働部長にお伺いします。
次に、熊野牛の振興についてお伺いします。
和歌山県では、熊野牛やうめどりのブランド化を進めながら、その販路開拓にも多大なる努力をされています。また、先ごろは、プレミア和歌山ということで、大都市圏に向けて積極的な売り込みをされていることについて、大いに評価をしているところです。
しかし、和歌山で生み出されるブランド商品の熊野牛、その生産者は家族経営の小規模畜産農家が主体であります。
5月の終わりに、熊野牛子牛市場を視察してきました。家畜市場は、昭和43年、県農協連が田辺市元町に子豚市場として開設したのが発端で、平成6年からは子牛市場も併設され運営されてきたということであります。平成12年、県農協連が家畜市場からの撤退を表明し、田辺家畜市場の廃止を申し出たのですが、すぐには子牛市場を開催できる場所が見当たらないため、平成17年まで同じ場所で開催してきたとお聞きをしています。
その間、県農協連は、紀南畜産事業所を閉鎖、農協連が開設した子牛市場は、完全に熊野牛産地化推進協議会に運営を移行されたとお聞きしました。
平成17年からは、紀南農協から堆肥製造施設を借用して子牛市場を開催しているといった状況であります。
当日は、90頭余りの子牛の競りが行われていましたが、場所が手狭なためぎゅうぎゅうで、少し危険な場面もあり、これはこれはと感じました。最近は、入場頭数も増加をしてきているとのことでしたので、周辺も、子牛を運搬してきたトラックや、農家や購買者の車で混雑していました。もともとが堆肥施設なので、競り場も狭隘で、隣の業者さんとの距離が近過ぎて、値段をつけるには適切な環境とは言いがたいといった状況でありました。
1キロ1000円ぐらいつかないと採算が合わないということでしたが、キロ1000円もつかない子牛もあり、畜産農家にとっては厳しい状況だなあと実感しました。
それでも、若手の経営者が育っており、畜産業界、熊野牛の業界にとっても頼もしいと同時に、畜産の将来をどのように描いていくかが大きな課題となっています。
そこで、農林水産部長にお伺いします。
畜産振興を進めるために、生産、肥育、販売まで一貫した市場にしなければなりません。そのためには、県として積極的な取り組みが求められています。畜産振興を進める上で、場当たり的な対応ではなく、将来を考えた対策が求められています。
まず、子牛市場ですが、堆肥製造施設を利用して今後開催するには無理があると思います。狭隘ですし、危険だと思います。
ここに、熊野牛産地化推進協議会の生産者、購買者の皆さんより、移転についての請願署名が上がっています。ただ、移転については、場所の確保が難しいといった状況も承知しておりますので、県としてこの子牛市場の移転についてどのように考えているのか、御見解をお伺いします。
また、今後、熊野牛の振興を図るためには、先ほど入り口から出口までと言わせていただきましたが、生産者並びに関係者が一丸となって推進していく必要があると思います。
そこで、和歌山県の熊野牛振興の将来をどのように考え、どのように具体的に対応するのかお聞きをします。
4番目にですが、最後ですが、がん対策についてお伺いします。
2006年6月、与野党一致で成立した国のがん対策基本法、それに基づき、がん対策基本計画が策定されました。その当時、民主党の山本孝史参議院議員──故人でありますが──胸腺がんに侵されながらも、みずからのがんを告白し、早期成立を訴えていた姿をテレビ等で見た方も多いと思います。
本県でも、基本法に基づき、平成20年度より平成24年度までの5年間を対象として、がん対策の総合的かつ計画的な推進を図るということで対策が行われています。
しかし、日本人の2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで死亡しています。私の父も、ことし3月、がんで亡くなりました。約2年余りの闘病生活では、医大の先生方を初め、多くの皆さんにお世話になりました。また、葬儀の際には、先輩、同僚議員初め、当局の皆様にも弔問や御弔電をいただきました。議場からではありますが、この場をおかりしてお礼を申し上げます。
近年、がんで亡くなる方が多く、特に若くお亡くなりになったとお聞きすると、早期に発見できなかったのか、何かよい治療法はなかったのかと思わずにはいられません。
和歌山県におけるがん患者の死亡率は、全国的に見てもかなり高い位置にあります。国立がんセンターがん対策情報センターの資料の、働き盛りの75歳未満のがん年齢調整死亡率によると、がんで死ぬ人の割合が最も高い県は103.7の青森ですが、和歌山県も97.4ポイントと、がんで亡くなる方が3番目に多いという結果になっています。最も低い長野県72.7ポイントとでは24.7ポイントの差となっています。死亡率にどうして地域によっての差が出るのか。何が原因なのでしょうか。
がんの死亡率は、生活習慣だけでなく、早期発見、適切な医療など、さまざまな要因が影響していると考えられます。大きく分けて、がん予防力、がん検診力、医療がうまく機能しているのかを見るがん医療資源機能力と、3つに分けて各県の水準を偏差値であらわしたランキングを、東京医科歯科大学大学院医療経済学分野、井上裕智氏が発表しています。きょうは資料で皆さんにお配りをしていると思いますが、がんで死亡率が一番低い長野県と和歌山県とを比べ、その違いからヒントを得たいと考えました。
まず、がん予防力という点で、予防力ランキングでは、長野が2番の69.7%、和歌山が47.1%で31番であります。22.6ポイントの差が出ています。がん検診力ランキングでは、長野県は67.26%で2番、和歌山県は36.15%で43番であります。このように予防力や検診力になぜこれほど差が出てしまうのか、その取り組みを長野県に行って調べてきました。
予防への取り組みとしては、保健指導員の活動が挙げられます。長野県の保健指導員等の活動は、昭和10年代の後半からの結核、赤痢等の伝染病や、乳幼児の死亡の多い戦争中の劣悪な環境の中で、昭和20年に生まれています。当時の保健婦が孤軍奮闘している姿を見ていた地域の主婦たちが、少しお手伝いをしようと自主的に呼びかけ運動を始めたことがきっかけです。
その活動の中で、自分たちの健康を守るためには自分たちがまず学習することが大切だと気づき、学習する機会をつくろうと、自主的学習の場として保健活動を開始したのが始まりだそうです。
昭和46年には、地域住民の健康増進に寄与するため、長野県国保地域医療推進協議会が設置され、当時、長野県が日本一の脳卒中多発県であり、何とかしなければいけないと、保健婦、保健指導員等によって、冬季室温基礎調査や食事の塩分濃度の調査を行いました。
この取り組みは、県下の市町村を巻き込み、保健指導員等の組織化が推進されました。順次、全県的な広がりを見せ、現在はほぼ全市町村に組織されています。
現在、保健指導員の数はおよそ1万3000人余り、幅広い年齢層の方、さまざまな職業の方が参加しています。保健指導員になると、成人保健活動への取り組みや研修会、講習会への参加、健診やがん検診の受診のお勧めなど、日常活動をされています。保健指導員等の経験者が1973年以降に限定しても、県全体で20万人以上になる計算になります。この膨大な数の経験者が長野の健康を支えています。
長野県は、医療機関にかかる人が少なく、入院期間が短い、医療費も全国最低水準ということにもあらわれていると思います。
また、長野県の長野市では、各種検診の費用について、和歌山市と比較をしてみますと、個人負担が少なくなっています。まず、40歳以上は1000円で特定健康診査を受けられます。基本健康診査と大腸がん検診、肝炎ウイルス検診が含まれています。胃がん検診は900円、和歌山市では3000円です。肺がん検診の胸部エックス線直接撮影は無料であります。和歌山市では1000円の負担となっています。
このように検診料負担の軽減も検診率を引き上げる大きな要因になっていると思います。早期発見がふえれば、医療費も減り、本人の負担も軽くなります。
また、啓発の部分では、検診に対するお知らせがわかりやすくて、すべての世帯にきちんと届けられているというのも効果が大きいと考えます。
和歌山県でも検診率の高い太地町にお話をお伺いすると、長野県と類似の取り組みがありました。保健指導員と同じような役割の健康づくり推進員さんが各区町単位で活動されており、がん検診の申し込みの配布と取りまとめをしているとのことで、また費用が一律に500円ということで安価に設定されていることもわかりました。和歌山県に住みながら、市町村によってがん対策に取り組む内容も個人の費用も違っています。
そこで、福祉保健部長にお伺いします。
がん患者さんにとって、入院費や手術代、その後の治療代なども含めると個人負担は大変大きいものです。これは、がん患者さんだけの問題ではなく、医療費の抑制といった観点からも、がん対策については本腰を入れた取り組みが求められています。
がん予防や検診率の引き上げは、直接的には市町村の取り組みにお願いする部分も大きいと思います。しかし、県として県民の健康を守るといった観点からも果たすべき役割も大きいと思います。
がん予防について、長野県や太地町の取り組みを紹介しましたが、県として、今後どのような対策を行うのか、また早期発見のためにも全県的に検診率の引き上げをどのように講じるのか、お伺いします。
また、がん対策の大きな課題として、より適切な対応をするためにも、地域ごとにがんの種類や年齢などの状況を調べる必要があると考えますが、県として、地域ごとの調査は進んでいるのかどうかお伺いします。
最後に、がん医療にかかわって、医療資源と言われる診療所や病院、がん専門医、がん専門認定看護師などの治療や再発予防に当たる場所や人材はあるのかといったことが問われます。
私の友人で、乳がんの手術をしなければならないと診断されたのですが、ベッドも満床、手術も2カ月待ちという状況でした。診断されてもすぐ対応できないケースも多いとお聞きしています。
そこで、がん対策として、診療所や病院は十分にあるのか、診断から手術ということでは連携した治療は行われているのか、お伺いします。
また、がんに対応できるがん専門医や術後の緩和ケアの看護師等がもっと必要と考えますが、人材の育成は行われているのか、がん医療にかかわる取り組みの状況についてお伺いします。
以上で、第1問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(坂本 登君) ただいまの藤本眞利子君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 政権交代の感想についてでございますが、多くの有権者が、たび重なる政府側の不祥事に加え、100年に一度と言われる経済危機への不安感とか、あるいは地域経済の疲弊による閉塞感などさまざまな閉塞感を、政権をかえることで打破できるのではないかと考えた結果であろうと考えております。
マスコミなどは、政権にいるほうにいつも厳しいものでありまして、発足もしていない政権に、もういろいろと言っておるようであります。
しかし、国民の多数の支持により発足した政権には、まずもって信頼と期待を持って対処しなければ国民としてはいかんというふうに私は思います。
新しい政権には、このような期待にこたえて、官僚任せではなくて、政策的意図を持って日本を再活性化してほしいと思いますが、特に少子高齢化、過疎化が進行し、経済が停滞するなど多くの解決すべき課題を抱えた本県のような地方を大事にする政策をぜひ熱心に選択し、やってもらいたいというふうに期待しているところであります。
次に、今後の国政への対応についてでございますけれども、和歌山県民の幸福に責任を持っていると考えております和歌山県の知事は、政府の下請でも一員でもありません。これまでも医科大学の医師定数の増員とか、あるいは地デジの難視聴対策とか、高速道路の1000円化等に伴うフェリーの支援など、国の政策によって和歌山県民が不利益を受けている場合には、政府の責任だと言って政府に対して意見を申し上げてまいりました。
その中で、閣議決定を覆してもらってうまくいったケースもありますし、それから耳ざわりなことを何度も議論さしてもらったりもしてまいりました。
新政権に対しても、よく事情を申し上げ、和歌山県のために理解してもらうような努力を同様にしてまいりたいと考えております。
議員にもぜひ応援していただきたいと考えております。
○副議長(坂本 登君) 商工観光労働部長永井慶一君。
〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 女性の雇用についての御質問にお答えさせていただきます。
議員からお話のございました、結婚を機に退職せざるを得ないといった慣習につきましては、男女雇用機会均等法などに大いに反する行為であり、働く意思や能力のある人から雇用の場をなくさせるようなことは決してあってはならないことだと強く思ってございます。
県といたしましても、固定的な性別による役割分担意識や古い慣習などの改善を図るべきだと考えており、この10月から県内各地で開催する企業における人権研修会での重要なテーマとして取り上げてまいりたいと考えてございます。
また、気軽に相談できる窓口を労働センターに設置してございまして、そうした状況を把握した場合には、指導権限等を有する和歌山労働局に情報を提供し、緊密な連携のもと、その是正に努めてまいりたいと考えてございます。
いずれにしましても、性別を問わず働き続けることができる職場環境を整備するためには、男女雇用機会均等法の遵守、育児、介護休業等の普及促進が極めて重要であり、セミナーや中小企業労働施策アドバイザーを通じて、さらなる徹底を図ってまいりたいと考えてございます。
○副議長(坂本 登君) 農林水産部長下林茂文君。
〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 熊野牛の振興に関する2点についてお答えをさしていただきます。
まず、今後の子牛市場の運営についてでございますが、熊野牛の振興にとりまして、競り販売を行う子牛の市場は重要でございまして、平成6年の開設以来、県としても開催の準備から運営にわたりまして積極的にかかわってきてございます。
また、平成17年に移設をいたしました現在の市場におきましても、施設の整備や電動競り機の設置などに対し、助成を行ってきたところでございます。
現在、出荷頭数や購入者の増加によりまして市場自体が手狭な状況になってきており、生産者からの移転要望があることも十分承知をいたしてございますが、移転となりますと、まとまった用地の確保、また周辺住民の理解等も必要でございますので、難しいものがあるというふうに考えてございます。
こうした中ではございますが、熊野牛産地化推進協議会及び関係市町村との間で現有施設の整備充実、また開催回数をふやすなどの対応について協議を重ねているところでございます。
今後、より一層熊野牛産地化推進協議会と連携を密にしながら、効率的、安定的な市場運営ができるよう、県としての役割を果たしてまいりたいというふうに考えてございます。
次に、熊野牛の生産振興についてでございますが、県といたしましては、熊野牛を本県の中山間地域におきます地区産業の柱と位置づけてございまして、生産農家に対し、これまで病気予防のための巡回、あるいは濃密な経営指導、また優良精液の活用による肉質の向上、さらには子牛市場への輸送経費に対する助成、販売価格の低下に伴う経営補てんといったことなど、総合的な取り組みを行ってございます。
今後、さらにこうした取り組みを一層進めるとともに、新たな農商工連携による加工品づくりなども視野に入れながら、本県特産和牛である熊野牛の積極的な振興を図ってまいりたいと考えてございます。
○副議長(坂本 登君) 福祉保健部長北田佳秀君。
〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 和歌山県におけるがん対策の推進についての3点にお答え申し上げます。
まず、がんの予防と検診状況についてでございます。
がんの予防につきましては、禁煙、適正飲酒、運動習慣の確立、食生活の改善などが肝要と認識しており、県内各地域の特性を踏まえ、がんを含めた生活習慣病予防に資する健康づくり活動を推進してきたところです。
特に、生活習慣の改善には、県民の主体的な取り組みが重要であることから、各地域の地域食育連携協議会において、健康づくり活動の中心的役割を担う地域・職域リーダーの育成を進めているところです。
引き続き、このような地域ぐるみの県民参加型健康づくり活動を進めてまいります。
次に、検診の状況につきましては、県内市町村の各がんの平均検診受診率は、例えば平成19年度の肺がん検診で29.5%であるなど、総じて全国平均を上回っているものの、さらなる受診率の向上に向けては、未受診者の掘り起こしなどを図る必要があります。
そのため、がん検診の実施主体である市町村においては、住民の代表である健康づくり推進員などによる受診勧奨に取り組んでおり、県におきましても、一定期間がん検診を受診していない県民を対象に、休日における検診実施などの促進事業を実施しております。
今後とも受診率向上に向け、これらの事業とあわせ、広報、啓発活動にも積極的に取り組んでまいります。
次に、がんの調査についてでございます。
がんの種類や発症年齢、治療状況などの情報を把握することは、適切な対策や医療の確保を図る上で重要であると認識しております。
県におきましては、平成19年から県内のがん診療連携拠点病院6病院において、がんの発生状況や治療情報などを集積、解析する院内がん登録を進めているところであり、本年度から、これらの拠点病院以外の病院においても、がん登録を実施することとしております。
今後とも、県立医科大学を初めとするがん診療連携拠点病院、県医師会、病院協会などの協力をいただきながら適切ながん登録のあり方について検討を進めるとともに、国における地域がん登録に係る法整備と予算の動向を注視しながら、がん登録を推進してまいります。
最後に、がん医療に係る取り組みの状況についてでございます。
まず、がんに関連した医療機関の状況や連携体制につきましては、県内のがん診療連携拠点病院6病院を地域医療ネットワークの中核と位置づけ、患者に対する相談支援機能の充実を図りつつ、質の高いがん医療を提供することにより、がん患者の紹介、相談、診断から専門的治療、緩和ケアに至る一連の医療体制が確保されているところです。
次に、がんに対応できる人材の育成につきましては、手術、放射線療法及び化学療法を効果的に組み合わせた集学的治療や緩和ケアを提供する医師、看護師、薬剤師などの専門的な人材については、県立医科大学を中心とする研修等を通じ、人材育成を図っているところです。
特に、全国的に取り組みのおくれた緩和ケアにつきましては、国の基準による専門研修を修了した医師は本年6月末で126人となり、人口10万人当たりの修了者数は、全国で3番目となっております。
また、看護師、薬剤師などの医療従事者に対する緩和ケアの研修は、各拠点病院が中心となり、計画的に実施しているところです。
以上でございます。
○副議長(坂本 登君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(坂本 登君) 再質問を許します。
35番藤本眞利子君。
○藤本眞利子君 御答弁をいただきました。
何点かについて要望申し上げます。
まず、女性の雇用に関して、男女雇用機会均等法等の法整備は確かに進んできました。しかし、さきの2月議会でも今議会でも現実問題として、女性の雇用、待遇など労働条件の改善がなかなか進まない状況を訴えました。
県として、セミナーとか中小企業労働施策アドバイザーを通じてさらなる徹底を図っていきたいとの答弁でありますが、法律に違反した場合の罰則規定等が明確に示されていないため、事業者には通り一遍の話として聞き流されているのではないかというふうに思って、歯がゆい思いをしています。
今回、知人からお話を伺い、このようなことが二度と起こることのないようにしていかなければならないというふうに考えます。県としても、さらなる取り組みをお願いします。
次に、熊野牛の振興についてであります。
県として、熊野牛の生産振興について、子牛市場は重要な役割を果たしていると認識されていると思います。
本日は、熊野牛産地化推進協議会の皆さんも傍聴にお越しをいただいています。
子牛市場の移転問題については、明快な答弁いただけませんでしたけれども、県としても、熊野牛産地化推進協議会との連携を密にしながら役割を果たしていきたいとのことですので、今後、熊野牛をどのように振興させていくかといった観点で、子牛市場の問題に取り組んでいただきますようにお願いいたします。
最後に、がん対策についてです。
先週の11日、がん征圧全国大会、知事もごあいさつをされましたけれども、県民文化会館で行われました。
私も行ってまいりまして、対がん協会の会長さんの垣添さんからは検診率50%を目指すというお話があった後に、日本対がん協会のほほえみ大使のアグネス・チャンさんの講演がありまして、みずから乳がんを罹患した体験をもとに講演をされました。同じがんに侵されても、早期に発見していれば、手術した後、治療を継続しながら、皆さんにこういうふうにお話をさせていただくこともできるけれども、同じがんに侵されても、発見が遅かったために亡くなられた方もいらっしゃるということを訴えられていました。
つらかったであろうその御自身の体験を隠すことなくお話をされるアグネスさんの姿勢に、私も勇気と感動をいただきましたけれども、聞いていた皆さんも涙をする、そういった姿を見ることができました。
県民の皆さんも、検診することはもうとっても大事だというふうに思っていると思うんですけれども、検診に行きやすい環境を整えるということがやっぱり肝心だなというふうに思います。
市町村がというふうなところもあるんですけれども、県当局としては、そういった牽引役を果たしていただきたいというふうに切にお願いをいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(坂本 登君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤本眞利子君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時46分散会