平成21年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(松坂英樹議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午後1時1分再開
○議長(大沢広太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
42番松坂英樹君。
〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に従いまして、早速一般質問をさせていただきます。
まず初めに、高過ぎる国民健康保険料(税)について質問をさせていただきます。
国民健康保険料または保険税について──以降、便宜上「保険料」とさせていただきますが──この保険料の負担が大変だという声がここ数年の間で大きな社会問題となってまいりました。先日の新聞報道でも、保険料の格差が全国で3.6倍、近畿で2.8倍と大きく取り上げられました。こういった格差が大きく取り上げられるほど、どんどん保険料が高くなってきていると、こういうことだと思うんですね。そういう自治体がふえてきて、負担に耐えられない状況が広がっているということではないでしょうか。
議場への配付資料をごらんください。県内の保険料の比較、今回のモデルケースでは年間所得200万円、40歳代夫婦、未成年の子2人の4人世帯、持ち家で固定資産税5万円というケースで比較をした一覧表です。08年度の県内保険料格差は約1.8倍となります。そして、09年度も、まだ審議中のところは斜線になっておりますが、既に明らかなところだけ見ても値上げの傾向が続いていることが読み取れます。
昨年の高額トップ5という中にこの有田振興局管内の1市3町がすべて入っているという、これはもう黙っていられないという状況です。今月からことしの保険料の納付書が各世帯に送られているわけで、県民の関心も高い時期です。私はこういった状況を見て、なぜこうなってきているのかと、そういう問題意識を持って質問をさせていただきたいと思います。
この間、国保料の値上げによって現役世代や中間所得層の保険料負担が高騰いたしました。一覧表で湯浅町の欄を見ていただくと、一昨年26万7200円だった保険料が、昨年は倍近い46万6400円にはね上がったわけです。全国一の値上げ率でした。お隣の広川町でも、26万円だったものが41万5900円にはね上がっています。有田川町でも、32万3200円から39万5700円に上がっているわけです。
国民健康保険をめぐる状況としては、この間の構造改革路線による所得税の減税廃止、税控除縮小などがもろに影響して、高齢者の住民税、それに連動して国保料や介護保険料負担が3年前から急騰を始めました。それに加えて国保料の値上げがダブルパンチに実はなっているんですね。
具体的に例を申し上げますと、有田川町にお住まいの、仮にAさんとしますが、65歳単身、年金収入180万円のケースで見てみますと、住民税と国保税と介護保険料、この3つ合わせて3年前は、2005年には4万5300円でした。ところが、この減税がなくなったりして3年後の2008年には、国保の値上げと加えてダブルパンチで18万9200円にまで上がったんですね。とうとうことしは介護保険料も値上げをして20万2700円と、以前の4.5倍になってしまう計算なんですね。
こうした国保の保険料値上げが、長引く不況と昨年からの経済危機により深刻な打撃を受けている県民生活を襲っているというわけなんです。
そこで、知事にお尋ねをいたします。
知事として、県民の暮らしの実態把握については県の組織を通じて、また直接政治家として県民の暮らしの悩みや苦労をお聞きすると思います。この国民健康保険料について、今の保険料負担について実際に知事はどう感じていらっしゃいますか。心を痛めていますか。先ほどの所得200万円のモデル世帯での試算では、所得の2割を超える保険料負担の自治体もあるわけなんですね。平たく言って、1カ月、2カ月分の収入が国保だけで飛んでいく。これ、大変なことです。国保は今えらいとこまで来てしまってるんではないでしょうか。知事は政治家として国保料の県民負担をどう認識しているのかをまず答弁をお願いいたします。
また、この保険料について福祉保健部長にもお尋ねをいたします。
保険料高額トップ5に入った有田1市3町や和歌山市を初め、国保料の高騰が進む県内の自治体保険者の状況を県としてどう分析をし、認識をしているのでしょうか。国保会計の赤字に加えて、自治体本体の財政状況の危機が影響の大きな要因ではないでしょうか。
また、加入者の状況としては、国保は無職の加入者が約半数を占めるに至っており、本来想定していた自営業や農業の方の占める割合は2割にまで今下がっています。このような所得や年齢の構造的な要因、加えて今の雇用、経営状況の悪化などの要因があると思います。所得が少ない人には軽減措置というのが設けられていますが、全体の中でこの軽減措置を受けられるそういう世帯の割合もふえているんではないでしょうか。
また、保険料算定時の各種追加負担や国からの冷たいペナルティーなども影響していると考えます。しかし、何より根本には国庫負担の削減による財政悪化と、そして国保加入者の貧困化があり、保険料を値上げする、滞納者が増大する、国保財政が悪化する、また保険料を値上げする、こういう悪循環を生んでいます。福祉保健部長からも保険料に対する県としての認識をお聞かせください。
次に、保険料の滞納世帯の推移についてお尋ねをいたします。
保険料滞納者からの保険証取り上げが問題になってきました。保険料の相次ぐ値上げによって、保険料の滞納にどう影響が出ているのか心配です。県民にとっても、また国保会計にとっても、滞納は問題を一層深刻化させます。
そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。経済状況の悪化と国保料の高騰による保険料滞納への影響はどうか。滞納世帯数の推移と最新の数字を御答弁願います。
さて、国民健康保険制度は国民皆保険の根幹をなすもので、国保法第1条には、「社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。」とうたっております。法の趣旨からも、また加入者の実態から見ても、本来、相互扶助的性格よりも公的社会保障の制度というのが基本だと考えます。私どもは、まず当面の課題として、国の構造改革路線で削減された社会保障予算、毎年2200億円ずつ削減されてきたものを復活させて国庫支出を引き上げ、国保料を1人1万円引き下げよと求めているところです。
県内市町村の国保会計の状況、県民負担の高騰という中で、和歌山県としては県民の負担軽減のためにどう取り組もうとしているのでしょうか。低所得者への減額・免除制度の拡充、所得に応じた保険料算定方式の見直し、生活困窮者からの保険証取り上げ中止などの改善を進めるとともに、これは国に対して加入者負担軽減のためにこの際強く働きかけを行うなど、県としてもこの問題に一層取り組むべきではないでしょうか。
また、市町村国保会計に対して行っている県単独福祉医療、この4つの制度による現物給付ペナルティー分の補てんですが、老人医療、重度心身医療の2つだけでなくて、残りの乳幼児、ひとり親医療の2つの分についてもこれは行うべきではないでしょうか。
県の負担軽減に向けての取り組みについて、知事並びに福祉保健部長より答弁をお願いいたします。
2つ目の質問としまして、有田川の防災・環境対策と二川ダムについて質問をさせていただきます。
昨夜の雨で一息ついたものの、これまで有田では記録的な雨不足、水不足でダムより上流の雨量がこの間ダム史上4番目に少ないという状況でした。しかし一方では、各地でのゲリラ豪雨の被害も伝えられており、この雨の降り方の変わりように私は大変危機感を抱いております。
私たち有田川流域の住民は、あの昭和28年の7.18水害から56年たった今も水害の恐怖が心の傷として残っており、有田川の災害対策は住民の切実な願いです。
この有田川の災害対策を考えるとき、二川ダムの果たしている役割は大きいわけですが、このダム建設時には治水が最大の目的であったにもかかわらず、電力事情の時代的背景や農業・工業用水の確保、補助金の優位性等から多目的ダムとして当時建設されたものだと考えています。
今日のゲリラ豪雨など異常気象、森林の荒廃などによる保水力の低下、河川環境への配慮などからも発電優先のダム運用から治水能力向上へ、環境負荷を減らすために大量の水をため込まない、そんな運用、こういったものにこれからの時代は取り組むべきではないでしょうか。多目的ダムの今日的役割についてどう考えるか、知事から御答弁を願います。
次に、有田川の整備基本方針と整備計画について県土整備部長に伺います。
本年3月に有田川水系河川整備基本方針が策定をされ、有田川の長期的な整備の基本方針をまとめたわけですが、これまでの県方針計画をどう見直しをされたのでしょうか。また、この方針に基づいて今後策定される河川整備計画ですが、この整備計画においては、例えば堤防をどう整備するのかとか、河床の上昇をどう抑えるか、ダムをどう位置づけるか、こういったことを議論するんだと思うんですが、この整備計画が住民とともにしっかり議論される仕組みになるのでしょうか。整備計画は新河川法の趣旨を生かし、住民参加で練り上げていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
次に、二川ダム発電用水利権更新について、これも県土整備部長にお尋ねをいたします。
二川ダムの本体完成からは43年がたちました。来年、2010年には、発電用の水利権設定後、45年目にして初めて第1回目の水利権更新を迎えます。どれだけの水を発電用に使うのか、どれだけの水をためるのかという、その水利まで許可する水利権です。先ほどお尋ねをした有田川整備計画におけるダムの位置づけの検討や、また発電所売却により水利権が移転したこれまでの経過、こういったものを踏まえて十分に地元協議も行いながら水利権の更新の内容を検討すべきではないでしょうか。御答弁を願います。
この問題の最後に、昨年度の補正予算に加え、今回の補正予算でも有田川の堆積土砂撤去と立ち木伐木に取り組むとのことでありますが、その見通しについても県土整備部長よりお示しをいただきたいというふうに思います。
続きまして、3つ目の質問の柱、学校耐震化についての質問に移らせていただきます。
去る6月16日、文部科学省から学校耐震化の最新の数字が発表されました。昨年の9月議会では、特におくれていた県内小中学校の耐震化を求めて質問をさせていただきましたが、昨年の補助制度改善、それに加えて昨年の補正予算、そして現在進行中の新年度の補正予算措置により耐震化の工事完了や着手、事業計画・予算化など、これがどう進んでいるのか、県内小中学校の耐震化状況について答弁をお願いします。
加えて、県内市町村への働きかけと支援についてお尋ねします。
国としては、今年度の思い切った補正予算措置により、今年度と来年度のこの2年間で耐震化の実質的なめどを立てたいと、そういうふうに考えているようです。この交付金事業にどう乗っていけるのかを今市町村は懸命に検討中なわけですが、その実情をお伺いしますと、耐震改修、耐震改築の実質市町村負担が結果的にどれぐらいになるのかという不安、また、一遍に進めるとしたら工事の時期や工期、それから計画、発注、現場管理などの体制不足、こういった物理的、体制的な制約がつきまとっていると、こういう状況です。こういったものを乗り越えていくため、県として市町村に対してどう働きかけ、支援していくのでしょうか。国に対しては現場の実情に即した対応を求めるとともに、県内市町村に対しましても、事業化に向けた市町村教育委員会と財政当局の連携推進、実際の事業推進の面でも積極的な指導、援助をすべきだと思うが、いかがですか。
以上、学校耐震化2点については教育長より答弁を願います。
引き続き、道州制と関西広域連合について質問をさせていただきます。
これまでも、道州制についての財界からの要請、道州制ビジョン懇談会など政府の動向、また与党・自民党案などを見ますと、もう6年後の2015年とか17年をめどに道州制の導入を目指すなど、一気に都道府県の解体、道州制への移行を進めようとしています。
ところが、こうした一部の動きがあるものの、道州制ってどういうことなのかという国民的議論も合意もない中において、これでは、地方分権どころか、地方自治の解体ではないかと考えます。憲法に基づいて本来国が責任を負うべき社会保障や教育を初め、国民の福祉と暮らしを地方に押しつける一方で基礎自治体を住民から遠ざける、そんな道州制では、地方の一層の疲弊と地方自治体の形骸化をもたらすものです。
全国町村会は、昨年の11月26日に道州制導入反対の決議を採択いたしました。決議文では、「これまでの議論は政府や財界主導によるものであり、主権者たる国民の感覚からは遊離したものになっている。(中略)仮に道州制が導入されても、地域間の格差が解消されるとは到底言い難く、むしろ、新たな中央集権体制を生み出すことになりかねず、道州政府と住民との距離も一段と遠いものになる。(中略)道州制の導入によりさらに市町村合併を強制すれば、多くの農山漁村の住民自治は衰退の一途を辿り、ひいては国の崩壊につながっていく」と、断固反対を表明しています。
また、町村議長会も11月19日に、町村の実態を無視しているとして、道州制を実施しないよう政府に求める同様の特別決議を採択しております。
知事は、現在の府県制度が持っている意味とか、果たしてきた役割をどう考えていますか。財界、政府などの推し進める道州制というものは地方分権と言えないのではないかと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。
続いて、和歌山にとっての道州制、関西州、どういうものなのかを質問させていただきます。
知事は、これまでも「和歌山にとってプラスになるものでなければ」と発言されてきたというふうに思います。経済界が先導をするこの道州制のねらいは、繰り返される大阪湾の再開発構想に見られるように、財源や社会資本を整理集中させよという発想だと指摘しなければなりません。道州制の推進論者が道州制を語るときでも、また関西広域連合を語るときでも、その必要性としては、例えば広域行政が大事だとか権限移譲だとか、こういう理屈づけをいろいろしますけれども、底流というか基本に先ほど言ったような整理集中という考え方がある中で、近畿のわずか5%の人口の和歌山県が自然環境豊かな県土を守り、地元の地域経済の発展を担保できるかは甚だ疑問だと考えます。和歌山にとって道州制とは何なのか。道州制や関西州が和歌山にプラスになる、またはマイナスになる、どういうことだと考えているのか、知事の答弁を願います。
最後に、道州制と関西広域連合の関係について知事に伺います。
知事は、先日の一般質問の答弁において、関西広域連合は道州制を前提にするものではないと答弁をされました。前提条件としないという知事の解釈や状況はお聞きしましたが、じゃ一体できてしまったらその先どうなるのかと。関西広域連合と道州制の議論とは、この関西広域連合ができたら、じゃ次は道州制への移行を議論しようと、先でつながっていくものだと考えておりますか。それとも、道州制は道州制、広域連合は広域連合と別のものだとお考えですか。また、一番大事な、県民の中で関西広域連合の議論をどう進めていこうとしておられるのかについても、知事の考え方を御答弁願います。
5つ目の項目である煙樹ケ浜水際地雷訓練について質問をいたします。
自衛隊によるこの水際地雷訓練が計画をされている煙樹ケ浜は、県立自然公園に指定されている自然豊かな景勝地、観光地です。しかも、今回の県立自然公園の見直し、そして再指定により、この砂浜は第2種特別地域から第1種特別地域に格上げをされた貴重な県民、国民の財産であります。また、背後には、学校、病院、市街地が隣接している地域でもあります。
そもそも、水際地雷や機雷の敷設や掃海というのは、日本への敵国上陸阻止という額面上の目的だけでなく、攻撃時に相手の国を封鎖するとか、敵国への上陸時にその後みずから敷設した機雷の掃海というのが行われるという、この攻める、守るの表裏一体の関係にあります。今、周辺事態法に基づく海外での軍事行動を想定した日米共同訓練が進む中で、この日米協力項目に、今回のこういったような機雷と掃海というものも位置づけられている軍事作戦であります。こうした動きの中での自衛隊増強として計画されてきた軍事訓練であるという流れを指摘しなければなりません。また、今、地雷も禁止、クラスター爆弾も禁止になる時代です。空爆が主たる軍事作戦である時代に、時代にずれた訓練でもあります。
今、自衛隊は必要だという立場の人も、災害対策の組織、機能が大切だという人も、日本本土を守るということが前提だと思います。日本防衛をわきに置いた自衛隊が米軍と一緒に海外へ海外へと行くのはおかしいんじゃないか、機雷や地雷の敷設、掃海というような戦争準備はいかがなものかという声が上がっております。
この軍事訓練は、基地や演習場というような施設の中ではなく、貴重な自然公園での訓練となるわけであり、県民の貴重な財産である煙樹海岸県立自然公園には軍事訓練はふさわしくないと思いますが、知事はどう考えますか。
また、訓練に対する漁業関連保障として漁礁を整備する事業が協議されていると聞きます。これに対し、国の予算枠がついたから、ことしじゅうにも訓練も周辺事業もスタートしないと事業を返上しなければならない、早く決着して早く訓練をという一部の動きもあるようですが、こんな急がせ方は本末転倒、いかがなものかと思いますが、どうでしょうか。
以上、県立自然公園での軍事訓練に対する姿勢については知事に答弁を求めまして、私の第1回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 国民健康保険は国民皆保険の根幹となる制度でありますが、被保険者に低所得者や高齢者が多く、保険料負担能力にも限界があり、加えて医療費も増大しているため、財政基盤が脆弱であるという構造的な問題を抱えております。県と市町村の懸命な運営努力にもかかわらず、御指摘のような保険料の状況が生じたものと認識しております。
県では、平成21年度国民健康保険を財政的に支援するため、一般財源で約92億円の予算措置を行っております。このうち約70億円は、平成17年度の三位一体改革により新たに県が市町村を支援することとなった経費であります。
私は、どのような地域に住んでいようとも、国民にひとしく医療を受ける権利を保障するということは、これは国の責務の根幹をなすものであると考えております。
現在、国政の場において医療保険制度の改革が議論されておりますが、これまでも国民健康保険などが抱える構造的な問題を解決し、負担と給付の公平化、安定した制度運営を将来にわたって確保するため、国の責任においてすべての医療保険制度の全国レベルでの一元化に向けた具体的な道筋を早期に提示することを主張しております。
医療保険制度の一元化が図られるまでの間は、国に対して国民健康保険の財政基盤強化策等の一層の充実を要望してまいりたいと考えております。
次に、二川ダムに関連いたしまして、多目的ダムの今日的役割ということでありますが、二川ダムは、洪水調節という治水機能と発電という利水機能の2つの目的をあわせ持った多目的ダムであります。この二川ダムについて治水機能の強化を図ることは、ダム下流全域の治水安全度の向上という観点から重要な選択肢の1つであると考えております。他方で、発電用の利水容量を治水容量へ転換することになりますと、これはその分だけ補償等々、費用負担をしなければいけません。また、水力発電はクリーンエネルギーでありまして、これが減少するということにもなります。
また、現下の渇水において、よくおわかりであると思いますが、ダム放流の部分を発電用の利水容量に依存している実情なども考慮する必要があると思います。現に、渇水対策で、地元で振興局を中心にして議論をしておりますが、こういうときは発電が優先だということではなくて、関電も協力してくれているということは皆さんも御承知のとおりであります。したがって、メリット・デメリットをよく見きわめる必要があるのではないか。こういう観点を踏まえ、今後、河川整備計画の策定を進める中で関係者や地域の方々の声もよく聞きながら考えなければいけないと考えております。
次に、道州制と関西広域連合であります。
まず、現行の府県制度の評価についてでありますが、私は和歌山県知事を務めておりますので、府県についてはきちんと機能していると思っております。府県は、広域的な地方自治体として市町村の区域を超えるような広域的な事務、市町村の補完事務などを処理して県民の安全・安心、幸福を守るために相当な役割を果たしているというふうに自負をしているところであります。
一方で、明治時代に設定された現行の都道府県の区域は、現在の時間距離あるいは科学技術の発達、専門化などを考えると狭くなっているということも、また事実だと思います。日本全体のことを考えれば、行政の効率化とか人々の幸せとか、そういうことを考えると道州制の導入は長い目で見ると不可避ではないかなあというふうにも思っています。
また一方、私は、地方分権とは、住民がみずから幸せになるために、さまざまな選択を自分で責任を持ってできる社会をつくるということだと思っております。道州制を導入するのであっても、このような地方分権を推進するものでなければならないと考えております。
政府や経済界の道州制に関する提言、報告書を拝見しますと、地方分権を実現するための道州制であるということをみんな言うております。しかし、世の中には、地方分権が進まないからこの際道州制にしてしまえ、そうすると一挙に地方分権が進んで全部問題解決であるというようなことを主張する人も、またおります。しかしながら、本当に道州制が地方分権を実現するものかどうか、これは十分考えなければいけないことだと思います。現時点では、国と道州、道州間、道州内の資源配分のあり方とか調整とか、そういうことについての詳細な制度設計が行われておらず、そこが未知数であると私は考えます。
私は和歌山県の知事でありますので、和歌山県に現在住んでいる方々の幸せに責任を持っていると思っております。道州制や関西州における資源配分が、今和歌山に住んでいる人々にとって現在及び未来において、現状よりも有益なものになるというような制度設計、そういうことができるならば協力して力を用いなきゃいけないと、そういうふうに考えている次第であります。
次に、道州制と関西広域連合の関係でございますが、府県の区域を超える広域的な課題に対応しようという目的は両者共通しておりますけれども、道州制が基本的には府県の廃止を前提にしておりますが、広域連合制度は府県の存続を前提にして一部を広域連合に移すということであります。したがって、この間も御説明申し上げましたように、関西広域連合は道州制を目指して設立するものではありません。このようなことについてはよく御理解の上で、また関西広域連合の具体的な姿、それから機能、それの持つデメリット・メリット、そういうものについて県民の中でよく理解していただいてわかった上で、発足しなきゃいけないと考えております。したがって、我々当局としては他府県とよく議論をして原案を出して、議会の中でもよく議論していただかなければいけないというふうに考えております。
次に、煙樹ケ浜の問題であります。
県立自然公園での水際障害訓練に対する姿勢についてでありますが、煙樹ケ浜のすばらしい海岸美は観光客や住民にとっては憩いの場であり、本県にとって重要な観光資源と認識しております。
もとより、美浜に駐屯していただいております陸上自衛隊の部隊については、災害のときに既に活躍していただいているということはもう明らかでありますし、人口減少を懸念される当県といたしましても、この部隊がいらっしゃるということは大変ありがたいことである。それからまた、地域の住民との間でも大変必要な町民の要素になっているというふうに考えております。したがって、私としては駐屯していただいているということはありがたいことだというふうに思います。
その部隊は、水際障害の除去部隊であります。訓練については、海岸部に岩礁が少ないこと、陸地部は相当の平坦地を有することなどがどうしても必要になってくる。そういう地理的条件あるいは和歌山駐屯地に隣接していることなどから、煙樹ケ浜が最適地であるとの結論に至ったというふうに私は聞いております。当該地は自然公園の中ではありますけれども、平成18年に模擬訓練を行ったところ、住民生活や観光等に影響を及ぼすものではないという結果であったと伺っております。
いずれにしましても、地元の理解を得ることが重要と考えますので、国が今後も美浜町及び関係者と十分な協議を重ねていただきたいと考えておりまして、県としても国、町と連携協議を図ってまいりたいと考えております。
なお、お金があるから早くやらなきゃいけないんだと、そういうことを私は聞いたことはありません。
以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 福祉保健部長北田佳秀君。
〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 高過ぎる国民健康保険料の3点についてお答えいたします。
まず最初に、県内市町村保険者の保険料が高くなっているという状況の分析についてでございますが、国民健康保険の被保険者には無職の方が多く、また高齢者の占める割合が高いといった特徴があり、県内の保険料軽減を受けるような低所得者の割合も、平成17年度46.4%から平成19年度47.9%へと増加しております。
また、本県の国民健康保険特別会計の単年度収支につきましては、基金の取り崩し等の影響を除きますと、平成19年度においては21の保険者、すなわち市町村が単年度赤字であり、4保険者が累積赤字を計上するなど、厳しい運営状況が続いております。
現在の保険料の水準につきましては、このような被保険者世帯の所得、資産の状況や国保事業の運営状況等を勘案し、市町村の国民健康保険運営協議会等において審議を尽くし、決定されたものと認識しております。
次に、保険料滞納世帯の推移についてでございますが、全国の平成15年から19年における国民健康保険滞納世帯の割合は18%から19%で推移しており、平成20年には20.9%となっております。本県における平成20年の滞納世帯数は3万8073世帯で、その割合は20.7%となっております。平成21年の滞納世帯の状況につきましては、本年8月におおむね確定いたしますが、経済状況の悪化等による滞納世帯数の増加も懸念されるため、注視しているところです。
次に、県民の保険料負担軽減のための県の取り組みについてでございますが、現行制度による低所得者に対する保険料軽減措置に加え、今回の経済危機対策として、失業者の方で収入が激減している場合等に、必要に応じ保険料の分割納付や徴収猶予、減免などに配慮することを市町村に指導しております。
次に、老人医療費と重度心身障害者医療に加えて、乳幼児とひとり親医療の実施による国庫負担金減額措置に対する県費助成につきましては、現在の厳しい財政状況から困難であると考えております。県といたしましては、これまでも国に対して福祉医療の必要性を訴え、国において早急に福祉医療費の公費負担を制度化することや、地方単独福祉医療制度の実施に伴う国庫負担金減額措置の廃止を要望してきたところであり、引き続き国に要望してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 有田川の防災・環境対策と二川ダムについてでございます。
まず、有田川の整備基本方針と整備計画についてお答えいたします。
本年3月に策定いたしました有田川河川整備基本方針は、治水安全度など、基本的には従来の考え方を踏襲したものとなっておりますが、最新の気象資料の追加、既存の二川ダムの有効活用等を考慮した見直しを行っております。
今後、河川整備計画を策定するに当たりましては、河川法に基づき関係する住民の方々の意見を反映させるために必要な措置として説明会あるいは懇談の場を持ち、パブリックコメントも実施するほか、関係市町村長の意見を聞いてまいります。
次に、二川ダム水利権更新についてお答えいたします。
特定水利使用となる発電の水利権の許可につきましては、河川法第36条により、関係地方公共団体の長に対し意見を聞くこととなっております。水利権の更新につきましても、同様の手続を行うことになり、二川ダムに関係する下流域の市町の長の意見を十分に検討した上で更新手続を進めてまいります。
次に、有田川の堆積土砂撤去と立木伐木についてでございますが、今年度、有田川町内におきましては、補正予算もあわせて田殿大橋上流側と吉備橋上流側において実施する予定としております。具体的な実施位置や規模等につきましては、河床の堆積状況を精査の上、地元の御意見も聞きながら適切に対応してまいります。
以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 教育長山口裕市君。
〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 学校施設の耐震化についてお答えいたします。
学校施設は、児童生徒等が1日の大半を過ごす活動の場所でありますし、非常災害時には地域住民の応急避難場所としての役割を果たしますことから、その安全性の確保は極めて重要なことと考えてございます。
県内公立小中学校の耐震化進行状況につきましては、お話のとおり、平成21年4月1日現在の耐震化率は昨年より4.9ポイント増の65.8%で、全国47都道府県中18位となってございます。
本年度、国の補正予算における地域活性化・公共投資臨時交付金と従来の補助制度とを組み合わせることによりまして、過去に例のない財政支援を受けることができ、市町村の財政負担が大幅に軽減されることとなりました。これにより、現在のところ市町村は113棟を耐震化する予定でありまして、事業がすべて認められれば県内の小中学校の耐震化率がおよそ80%になる予定でございます。
教育委員会といたしましては、小中学校の耐震化を推進するため、今年度中におきましても取り組みのおくれている市町村に対しまして個別訪問を実施し、大幅な財政負担軽減が図られているこの機会を活用して耐震化率100%を目指して取り組むよう粘り強く指導・助言を行うとともに、国において市町村の耐震補強事業等に係る申請が速やかに採択されるよう働きかけてまいりたいと存じます。
以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
42番松坂英樹君。
○松坂英樹君 それぞれの質問に御答弁をいただきました。
本日は、高過ぎる国保料の問題に絞って要望をさせていただき、そして1点、知事に最後に質問をさせていただきたいと思います。
まず要望ですが、部長からは県内自治体の各種の数字もお示しをいただきました。3分の2が当面単年度赤字だという状況だとか、それから保険料を軽減されている世帯数が大変多いということも紹介されました。しかし、まだまだこの分析や指導というのは不十分だと言わざるを得ないと思います。また、滞納世帯数も、3万8000世帯、20%。これ、大変深刻な数字だと思いますが、その数字も昨年6月の数字なんですよね。まだその数字しか出せないという仕組みでは、やっぱりテンポが合わないというふうに思うんです。
私は、昨年大幅にこの保険料を引き上げた自治体での議論を聞いてみました。すると、これまでは国保の基金を取り崩しながら何とか保険料を安く抑えようと努力をしてきたと。しかし、その基金も底をついた。だから、もう単年度で赤字は出せない。「じゃ、保険料はこれこれこういった計算式で、こうやって出さざるを得ないね」というふうに国からの指導に沿って保険料を設定したら、「ここまで値上げをせざるを得ないんだ」というふうな説明であったそうです。
それに対して、審議会や議会では、「その計算は一面的じゃないか」とか、「そこまで一遍に上げると上げ過ぎじゃないか」、こういう議論もあったようですが、しかし結論的には、地方財政が厳しい折、町民に負担を求めざるを得ないと、こういう議論が支配的であったという状況だったそうであります。
これは保険者と住民が、しっかりとかじ取りをしていくべき問題だと思いますが、本当にその見通しが的を射ていたのか、県民、町民への影響は結局どうだったのか、国保財政は結果として決算で見てみたらどうなったのか、これ、きっちりとフォローもし、指導もしていただきたいということを要望しておきたいと思います。
その上で、負担軽減にどう取り組んでいくのかという姿勢の問題で知事に再質問をさせていただきたいと思います。
知事も先ほどの一覧表を見て、えらいことになってるなというふうな感想をお持ちだというふうに思います。知事は答弁の中で、国保は国民皆保険の根幹だという認識をお示しになりました。その国保が、自治体の努力にもかかわらず本当に大変なとこまで来ているという認識は一致したというふうに思うんです。
また、この間の三位一体の改革の中で、新たに70億ですか、新たに重い県の負担も発生している、こういうことも示されたと思います。部長の答弁の中には、福祉医療がその趣旨からして窓口負担の要らないようにと配慮しているものを現物給付しているのに、そこまで国がペナルティーをかけてくると。そのペナルティーは、国の減額をやめるように要望しているということも答弁されました。こういった御答弁いただいた中身から見て、この国保の問題、本当に国の果たすべき役割、責務というのが問われているというふうに私は思います。
そこで知事にお尋ねをするのですが、国がこの今の姿勢を転換しようとすれば、先ほど私も指摘をいたしました毎年毎年社会保障関連予算を2200億円ずつ削減してきたこの計画をちゃんと撤回してもらわなければだめだというふうに思うんですね。国政レベルでも、ここ数日、これが焦点となっておりまして、きのうの財務大臣の発言やきょうの会議でも大変迷走しているようでありますが、決着はその国政の場でつけるにしても、この政治の大きなかじ取りについて、和歌山県の知事として地方政治の立場から物を申すべき絶好のタイミングではないかと私は思うんです。国に対して国保財政基盤の充実強化を求めるなら、この社会保障2200億円削減計画はもうやめるべきだと今国に迫るべきじゃないでしょうか。知事の考えを再度お示しいただきたいと思います。
○議長(大沢広太郎君) 以上の再質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は、現状、市町村がいかに困っているか、それから市町村の住民がいかに困ってるか、こういうことについては和歌山県の実情を踏まえて訴えていかないといけない。それから、原理原則論としてやっぱり国としてはすべての国民に対してきちんとした責任を持つべきだと。これは、地方分権の世の中でも、日本人として絶対にそうすべきだということだと思っております。
ただ、国の財政の中身がどういう懐ぐあいに、どうなっておるかというようなことについて、私はまだ、少なくとも今、それから将来においてどのぐらいかわかりませんが、十分な材料を持っていません。したがって、国政に関して2200億円をどうするかこうするかということについて、私は現在のところどうすべきだということを申し上げる立場にはないと思います。
ただ、この国保の問題については、きちんとやってもらわないと困る、それを訴え続けてまいりたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再々質問を許します。
42番松坂英樹君。
○松坂英樹君 知事の答弁をいただきました。意見を言う立場にないという非常に残念な答弁でありましたが、しっかり実情を伝えて責任を持つべきだということは国に言っていくと、そういう立場を表明されたというふうに思います。
この国保の問題は、知事もおっしゃったように、一市町村の限られた条件ではどうしようもない、解決できない問題になってきているわけで、運営主体はあくまでも保険者、市町村ですけれども、県としても担当だけに任せるんじゃなくて、福祉保健政策全般、市町村財政の担当など広い立場でこの際プロジェクトチームを組む、こういうようなこともして、市町村と一緒になって対策を練るようなこともするよう本腰を入れたさらなる対応を要望して、私のきょうの質問を終わりたいと思います。
以上です。
○議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松坂英樹君の質問が終了いたしました。