平成21年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成21年6月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
 平成21年6月22日(月曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第108号から議案第127号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第108号から議案第127号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(45人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 服部 一
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 16番 下川俊樹
 17番 岸本 健
 18番 川口文章
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 角田秀樹
 28番 江上柳助
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 藤本眞利子
 36番 長坂隆司
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(なし)
〔備考〕
37番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      森 崇
 総務部長       宮地俊明
 企画部長       前硲健作
 環境生活部長     井口悦治
 福祉保健部長     北田佳秀
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      雑賀忠士
 教育委員会委員長   湯川 力
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員長   大岡淳人
 警察本部長      永松健次
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       藁科善崇
 次長         東岡誠吾
 議事課長       上坊 晃
 議事課副課長     土井敏弘
 議事課課長補佐兼議事班長
            田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      瀧川泰治
 議事課主査      中村安隆
 総務課長       佐本 明
 調査課長       中井祥之
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  午前10時0分開議
○議長(大沢広太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第108号から議案第127号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 11番花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 おはようございます。
 きょうは、たくさんの県民の皆さんに傍聴していただきまして、本当にありがとうございます。心から御礼を申し上げます。
 議長のお許しをいただきましたので、早速一般質問に入らせていただきます。
 まず、環境問題について、特にCO2削減について、当局の認識と具体的な削減方法についてお尋ねをいたします。
 近年、世界各国の間で温室効果ガスをどのように削減し、地球温暖化に歯どめをかけるかが大きな議論を呼び、共通の政治課題になっています。私たちの住む地球を、未来の子孫のためにどのようにして環境を維持して残していくのか、今まさにその責務を問われているのです。さらに、世界は現在、金融危機に端を発した大不況に見舞われ、我が国経済も大変厳しい状況が続いています。自動車産業や家電産業等、主力産業の不況、低迷による派遣社員の大量解雇に伴う雇用問題が大きな社会問題になっていることは御承知のとおりであります。
 そして、その経営難を反映して民間企業の給与やボーナスが下がり、それに合わせて、人事院勧告を受けて公務員の給与及びボーナスもこのたびカットすることが、さきの臨時県議会において可決いたしました。当然、仁坂知事初め議会も相応の削減をいたしました。それぞれの御家庭においてはいろいろ御予定もあったと考えますが、御理解と御協力をいただき、一刻も早い景気回復に私たちは全力を尽くさなくてはなりません。
 しかし、そんな厳しい経済状況の中ではありますが、環境関連産業については追い風が吹いております。我が国の環境技術は世界一高いと認められ、またアメリカを初めとする各国も経済対策と環境対策がリンクし、相乗効果を発揮し始めているからであります。今までは、環境対策は経費がかかるというイメージがあり、どうしても経済を優先しがちでしたが、ことしになって、自動車産業はハイブリッドカーの売れ行きが好調ですし、現在、それぞれの自動車メーカーも省エネ車の開発、販売促進にしのぎを削っており、売り上げの牽引役を果たしています。地球環境を維持するため、必要な経費はかけなくてはならないというコンセンサスが消費者にもできつつあります。
 麻生首相は、先般、我が国の2020年までの温室効果ガス削減の中期目標について、2005年比で15%減とすることを発表いたしました。この15%減は、太陽光発電や省エネなど、国内での削減努力を積み上げたもので、外国との排出権取引や森林吸収分は含めないものとなっております。中期目標をめぐっては、経済への影響を懸念する日本経団連が2005年比4%減の目標を求める一方、環境相は21から30%減を主張していますが、京都議定書の議長国として、欧州13%減や米国の14%減を上回る15%減を目標としたところであります。首相はまた、100年に一度という経済危機の中でも地球温暖化対策の手を緩めてはならない、中期目標の設定では環境と経済の両立に配慮したと述べております。
 地球温暖化は、我々人類が産業革命以来さまざまな活動により人為的につくり出した問題であり、我々人類の手によって解決されなければなりません。地球温暖化対策には主要排出国の全員が参加し、京都議定書の議長国であった我が国がそのリーダーシップを発揮しつつ、国民の皆様の理解と協力を得ながら、環境と経済を両立させるさまざまな政策を実施してまいらねばなりません。
 本県では、平成18年に和歌山県地球温暖化対策地域推進計画を策定しております。目標年度を2010年とし、和歌山県内における目標年度の温室効果ガス排出量を1990年比3.9%削減し、森林の吸収量を6.7%確保し、あわせて国の6%を上回る10.6%の削減を目指しております。そして、今回国において2020年までの中期目標が新たに設定されたわけでありますが、これを受け、本県としても新たな取り組みが必要であると思います。
 そこで、平成18年、和歌山県地球温暖化対策地域推進計画を策定して以来、当局は具体的にどのようなお取り組みをされたのか、また今後どのようなお取り組みをされるのか、知事に御所見をお伺いいたします。
 また、地球温暖化防止対策は、産業界だけではなく、私たちみずからもCO2削減に取り組まなくてはなりません。環境省が「みんなのCO2削減アイデア」という企画で募集したところ、1000件を超えるアイデアが寄せられ、環境大臣賞は「休日は地元で遊ぼう!」が選ばれたそうであります。遠くへ旅行したり出かけたりすると、地方ではどうしても車を使うのでCO2を排出してしまうからです。近くの公園や名所に徒歩や自転車で行けば、地元のよさが再認識でき、知り合いもふえ、2次効果として、そこからボランティア活動に参加する機運も広がるというのです。
 また、職場での取組部門賞では、岐阜県庁の「通勤時のマイカー相乗り、月3回、チーム・マイナス6%は楽々達成、みんなでにっこり」という企画がアイデア賞を受賞しています。早く家庭に帰る日をつくり、その日は仕事場へ車で相乗りで往復するという企画です。同じ建物に勤める同一方向からマイカーで通勤してる有志を募り、チームを編成し、県職員アパートや最寄りの出先機関に集合し、1台の車に乗り合わせ、通勤の途中は部局の打ち合わせや意見交換の場ともなり、さらに交通渋滞の緩和にもつながるというのです。実践結果として、1回の取り組みによるCO2の削減量は、参加人数29人、9コース、走行総距離918キロメーター、リッター当たり2310グラムのCO2が発生するとして、212キログラムのCO2削減になったと評価されています。
 その他、さまざまなアイデアが応募されています。だれでも簡単にできる事柄もありますし、本当に少し気をつければ、みんなで取り組めば実現できそうなアイデアが多かったと思います。
 そこで、当局においても、今まで以上にCO2削減について県民にPRし、具体的に実行していかねばなりません。県庁は、多くの人々が勤務し、県民の皆さんもたくさん集まります。また、県内各地に多くの施設も保有しています。言いかえれば、CO2の排出量が一般の事業所や家庭よりはるかに多いということでもあります。反面、そのスケールメリットを生かせばCO2削減に大きく貢献できるということでもあります。知事や当局は、みずからCO2削減に模範を示し、率先して実行していけば、県民への理解も深まり、大きなPR効果が期待できます。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 知事は、知識も豊かで見識も広い方ですので、既に見たり聞いたりしてると思います。2月議会の所信表明にLED防犯灯の活用について触れられていましたので、蛍光灯にかわるLED照明灯が現在急ピッチで各メーカーにおいて商品開発されてることは御存じのことと思います。このたび、シャープが家庭用LED照明灯を開発し、今年度中には500億円の売り上げを目指すと報道されていました。
 そこで、当局にお伺いいたしますと、本庁内の蛍光灯の数は約8000本あるとお聞きいたしました。出先機関や病院、学校等を含めると数万本になるのではと思います。現在、事務所等で一般に使用されてる蛍光灯とLED照明灯をCO2排出量で比較すると、1年間で、蛍光灯は99キログラムですが、LED照明灯は約半分の52キログラムとなります。ちなみに、1年間の消費電力について申し上げますと、蛍光灯は234キロワット、LED照明灯は123キロワットであり、1キロ当たりの電気の購入金額で異なりますが、約半額になります。また、蛍光灯であれば5年間に2回程度交換しなくてはなりませんが、LED照明灯は最低5年以上取りかえなくても済み、交換する労力も費用も削減できます。
 ちなみに、8000本の蛍光灯をLED照明灯にかえると、1年間で37万7264キログラム削減できるそうです。また、LED照明灯に1本かえるだけで、約12本の杉を植林したと同じCO2削減効果があるとも言われています。さらに、蛍光灯はガラス製品ですから、廃棄時、割れたりして危険ですが、LED照明灯はプラスチック製なので、持ち運びにも安全で、なおかつ再利用も可能だそうです。
 このように、LED照明灯は地球環境に優しい次世代の照明器具と言えますし、具体的にCO2削減数値が示せるのも説得力があります。まだまだ1本当たりの単価が高いのですが、5年間のイニシャルコストとランニングコストを合計すると、LED照明灯のほうが少しまだ高い程度であります。これは現在生産量が少ないためにコスト高になっているのであって、ある程度の数量が生産ラインに乗ればもっと安価になると思いますし、携帯電話やハイブリッドカーなどは富裕層がリードしましたが、今回の地球温暖化にかかわるCO2削減についてとなると、やはり公的機関等が初期投資を進め、一般企業や家庭に普及するためのリーダーシップを発揮していくべきではないかと考えます。
 LED照明灯の県有施設への導入について、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、去る6月9日から取り組まれているネットパトロール事業に関連し、青少年の有害情報についてお尋ねをいたします。
 今やインターネットは現在の社会になくてはならない貴重な情報源となっていますが、このインターネットが我が国に普及し始めたのは1990年代で、私の感覚で言いますと、ちょうど平成の時代に入り、急速に普及したという感覚を持っております。インターネットの爆発的な普及により、世界じゅうの情報が一瞬にして手に入る便利な時代になったわけですが、同様にさまざまな問題も出ております。
 携帯電話やインターネットが広く普及したネット社会は、詐欺や不正請求事案が後を絶たず、ネットを悪用する事案が激増し、便利な反面、ネットの弊害部分も顕著になってきております。特に、青少年の健全育成という観点からは、ネット上のいじめ等や出会い系サイト、アダルトサイト等の有害情報のはんらんなどがインターネットの弊害部分として大きな問題となっているのが現状です。現実に青少年が児童買春などの被害に遭っており、まことに憂慮すべき現状となっております。また、実際にネットを利用している子供たちの情報モラルの低下や、大人より子供のほうがネットに関する知識が豊富で、大人が子供についていけない子供たちのネット利用の実態に、大人の目が行き届いていないということなども大きな問題であります。
 和歌山県においては、公立校で把握したいじめ事案総数が平成18年度に269件で、平成19年度には133件と半減しているものの、その総数の中でネット上のいじめ等の占める割合は、平成18年度4.5%から19年度9.1%と倍増したとお聞きしております。これらネット上のいじめが占める割合は、ますますふえるのではないかと危惧しているのは私だけではないと思います。
 今回のネットパトロール事業は、インターネット上の青少年有害情報対策として必要不可欠な取り組みであると評価するところでありますが、改めてネット社会の現状を考えたとき、これらのネット問題は、片手間ではなく本腰を入れて取り組んでいかなければならない重要な問題であると感じているところであります。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 知事は、このネットパトロール事業を始めるに当たり、ネット問題に対してどのような認識を持って取り組まれたのか、また、この事業を通じてどのような効果を期待しておられるのか、お伺いをいたします。
 同じ観点から、青少年の携帯電話やPHS端末から有害サイトにアクセスできないフィルタリングという機能があることは御承知のことと思います。ことしの4月1日から、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律が施行されました。18歳未満の子供が携帯電話を購入する場合は、保護者が販売店に伝えることが義務づけられたほか、販売店も保護者が拒否しない限りフィルタリング機能をつけなければならないとなっています。携帯電話購入時、県内の販売店がこの法律の意義を保護者に詳しく説明し、必ず設定すれば、ある程度有害サイトへのアクセスから青少年を守れると思います。しかし、本法施行前の昨年度の統計によると、フィルタリングの設定が40%程度しか青少年の携帯電話に普及していないとお聞きいたしました。
 本県においても、青少年を巻き込む児童買春や児童ポルノ等、昨年は7件発生していますが、それは氷山の一角ではないかと危惧いたしております。青少年犯罪の入り口にもなっている携帯電話の出会い系サイトやアダルトサイトとの接点を断ち切るために、和歌山県においても、販売時、フィルタリング機能の設定の義務化を青少年健全育成条例につけ加えるぐらいの積極的な取り組みがあってもよいのではないかと考えますが、いかがですか。
 また、上記法律の趣旨から申し上げますと、既に青少年が所持している携帯電話でフィルタリングの設定されていない──先ほど申し上げた60%になりますが──携帯電話について、今後どのように対応されるのか、あわせて環境生活部長にお伺いをいたします。
 次に、教育長にお伺いいたします。
 まず、昨年度の県立高校の入学試験の結果について分析を行ったと思いますが、結果、来年の高校入試にどのような課題が残されたのか、お伺いをいたします。私も、さまざまな観点から研究させていただきましたが、次の3項目に分けて質問をさせていただきます。
 さて、ことしの入試制度についてであります。もちろん、結果については、もう6月ですので、既に教育委員会においてはいろいろな角度から詳細に分析されていると思います。地域によっては若干のばらつきがありますが、全県的に生徒の普通科志向が大変強いことが顕著に出ています。1回目の本試験の各高校の普通科は、ほとんど定数を大きくオーバーしております。反面、定数割れした学校を見ますと、機械、電気、施設園芸、その他実業学科で定数割れが目立ちます。また、理数科、国際科にも少し定数割れがあります。
 そこで、毎年、普通科志望だった生徒は一般入試で合格できなかったとき、どのような選択肢があるのでしょうか。追試験の学科はほとんど実業科であります。普通科を希望していた生徒が果たして実業科になじむのでしょうか。
 近年、中途退学者が平成15年501人、16年546人、17年498人、18年445人、19年492人、中途退学しています。全日制の高校2校分の生徒が毎年やめています。理由別で見ますと、15年は162人進路変更、学校生活・学業不適応で189人、合計351人、16年は合計408人、17年は合計383人、18年は合計343人、19年は合計361人、退学の理由として挙げています。勉学についていけなかったという学業不振が理由の生徒は、15年が87人、16年は51人、17年は32人、18年は54人、19年は69人であり、その他経済的理由や体調不良、不良行為等で退学する生徒は数人程度であります。定時制でもほぼ同じ傾向が見られます。しかし、大半の高校の普通科では、それぞれ数人程度しか中途退学者が出ていません。この統計の中から、現在の普通科志向がことしだけの傾向ではなく、かなり以前から続いている顕著な傾向であることが読み取れます。
 そこで、このような普通科志向が大変強い生徒のニーズに対して、今まで県教委はどのように分析し、対応してこられたのか、教育長にお伺いをいたします。また今後、普通科への進学ニーズに対してどのように対応していかれるのか、お尋ねをいたします。
 2点目は、普通科では一昨年、前期3割、後期7割の2回に分けて行われていた入試制度を改める過程の中で、どのような議論を重ね、ことしの一斉入試制度になったのか、その理由と結果について教育長に御答弁をお願いいたします。私は、前期・後期試験の制度は推薦入学制度の延長線にあったと考えています。
 では、そもそも推薦入学制度はいつから行われたのかとお伺いいたしますと、昭和54年度までさかのぼります。当時、実業学科へ導入いたしましたが、31年間、推薦制度はうまく機能していたと考えられます。平成14年に県立高校すべてに推薦制度が導入されるわけですが、普通科にも推薦制度が導入されると、中学校内の選抜過程の中で競争が激しくなり、先生の個人的な感情が入ったりするのではないかといった声や、生徒本人の自己評価と学校側の評価に食い違いが生じ誤解を招くなど、本来の趣旨から大きく逸脱し始めたので、わずか5年で見直さなくてはならない結果となりました。ここでも、県教委は生徒たちの普通科志向の強さを見誤ったのではと思わざるを得ません。
 そこで、推薦制度を改めて、公平で公正な制度をということで、現在、一般の大学入試でも採用されている前期・後期試験制度を導入したのではと私は考えていました。しかし、前期試験の定数が3割と推薦制度の定数をそのまま引き継いだため、大量の前期試験不合格者が生まれた状況に加え、後期試験までの期間が余りにも短期間であるため、進路指導の時間的余裕がなく、生徒はもちろんのこと、保護者や中学校の校長先生初め、進路指導の先生、担任の先生に大きな戸惑いと精神的負担をかけているとの観点から、見直しを求めたものであります。
 私は、一般質問でも、予算特別委員会でも、前期・後期試験制度のそのものは評価をいたしました。問題は、前期・後期試験の定数の割り振りを大学入試のように前期8割、後期2割程度にしてはと申し上げたわけであります。しかし、県教委は、ことしの入試制度を、私も想像もしていなかった推薦制度採用以前の昭和53年度までタイムスリップいたしました。この入試制度は、大変多くの積み上げられたデータと学校現場の情報交換が必要不可欠となってきます。
 そこで、今回の入試制度の変更において、導入過程で大変な議論を重ね、各方面の皆さんからも御意見等もいただき、導入されたことと考えます。そこでどのような議論が行われ、今回の入試制度の導入に至ったのか、お答えをください。そして、ことしの入試結果を見て、教育長の御感想と今後の問題点があればお答えをください。
 3点目は、学区制についてお尋ねをいたします。
 学区制は、戦後の法律により置かなければならない制度として定着し、昭和54年に和歌山市を南北2学区に分け、それまでの8学区から9学区に制定いたしました。平成15年度入試から法律の義務規定がなくなると、諸般の状況を考慮して学区制を廃止したとお伺いをいたしました。全国的に見ますと、学区制があるところは、平成20年度、1道2府28県の31道府県であり、はるかに多いのです。また、近畿で見ますと、滋賀県と奈良県が学区制を撤廃し、大阪府、京都府、兵庫県は学区制をしいています。
 そこで、学区制を撤廃した我が県の昨年の生徒の進学時における郡市別の流入・流出についての統計を調べてみました。伊都郡へ流入した生徒は、那賀郡から177人、その他14人です。那賀郡へ流入した生徒は、伊都郡から17人、和歌山市から138人、海草郡から41人、その他16人です。和歌山市へ流入した生徒は、那賀郡から208人、海草郡から162人、有田郡から90人、日高郡から33人、その他108人。海草郡へ流入した生徒は、那賀郡から22人、和歌山市から61人、有田郡から52人、その他7人。有田郡へ流入した生徒は、和歌山市から12人、海草郡から49人、日高郡から52人、その他11人。日高郡へ流入した生徒は、有田郡から10人、西牟婁郡から138人、その他29人。西牟婁郡へ流入した生徒は、日高郡から79人、その他23人。東牟婁郡へ流入した生徒は、西牟婁郡から32人、その他11人となっています。
 では、どうして隣の郡市に進学するのでしょうか。隣の郡市に特別進学したい理由や学校、学科があるのでしょうか。県教委は、現在もそれぞれの郡市に普通科、実業科、定時制をバランスよく配置し、生徒たちのニーズに十分こたえるだけの体制を整えています。ある郡には普通科がないとか実業科がないというわけではありません。
 私の地元の話で恐縮ですが、ことし、御坊・日高地方は、かつてないほどの普通科の定員がオーバーいたしました。その数、59人であります。なぜ、例年に比べ普通科で大量の不合格者が出たのでしょうか。御坊・日高地域において、一昨年は西牟婁郡から147人流入し、107人流出しています。ことしの流入は138人でほぼ横ばいなのですが、流出が79人と例年より少なかったのです。ちまたでは、今回の一斉テストによる不安からと、経済不況の中、見通しが立たないので比較的通学費のかからない地元校を選んだのではと推測が飛び交っています。
 このように、学区制撤廃は、その時々の時代背景や社会経済情勢が生徒の進学志向に影響を及ぼし、高校入試の現場に混乱を招くおそれがあります。県教委もまた、教員の配置やクラスの編成等、毎年大変苦慮されてるのではと考えます。紀南地方においては、学区制の廃止は学校の選択肢が広がる反面、学力面での競争が激化し、地元の高校から押し出されている生徒も出ています。学区制があっても、生徒のニーズに合わせて、勉学やスポーツに特別な才能が認められた生徒や、個人的な理由も含め郡外の学校を希望する生徒には、校長先生や市町村の教育委員会が保護者とよく相談して特別に許可を与えればいいのではないでしょうか。見知らぬ郡外の高校への進学は、友人、知人のいない不安や、長距離通学による肉体的な負担や保護者の経済的負担を考えると、学区制の廃止が本当に生徒たちのニーズを満たしているのか疑問に感じます。
 一昨年、前期・後期試験が導入された際、前期試験で不合格となった生徒が、競争率の高い日高高校の総合科学科及び普通科を避け、紀央館高校の普通科を志望したため、日高高校が定員を割り、特に総合科学科が大きく定員割れをいたしました。一方、紀央館高校の普通科は30人以上の不合格者を出してしまったのです。昨年も同様の事態が起きました。
 そこで疑問に思うのは、ことしの御坊・日高地方の生徒数が急激に減ってもいないのに、なぜ日高高校の定員が1クラス減らされたのかということです。制度の欠陥で、一昨年、昨年、日高高校は定員を割ったのですから、制度が変わればもとに戻ります。その結果、ことし、当然ながら日高高校でたくさんの不合格者が出てしまいました。
 まことに恥ずかしながら、私は日高高校が1クラス減らされることについて何も知りませんでした。県教委の事前の説明もありませんでしたし、残念ながら郡市のPTA連合会からの御相談もいただけませんでした。一般入試が終わり、たくさんの不合格者であふれ、生徒たちの進学するところが確保できないとPTAの保護者会の皆さんからお聞きするまでは、何でこの地域だけことしあふれたのかわかりませんでした。学区制がないために毎年西牟婁郡に進学すると予想していた生徒が地元高校に進学したためと推測するのですが、さらに日高高校の定員も1クラス分減らされていたのが大幅にあふれた原因だと、後で保護者会の人にお聞きをいたしました。
 緊急措置として入試後に若干名上乗せをしていただきましたが、不合格になった生徒は追試験を受けることになり、先ほども述べましたが、普通科を希望していた生徒は、定数に満たない希望外の実業科や、通学不可能で、しかも寮も満杯、下宿させてくれる家もない高校しか選択肢がありませんでした。
 そこで、教育長にお伺いをいたします。
 現在の生徒の進学に対するニーズは、郡外の学校の選択ではなくて学科の選択ではないかと思いますが、いかがですか。最初の質問と関連いたしますが、学区制のあり方と切り離せませんので、あわせてお答えください。
 そして、来年の御坊・日高地方の入試状況を教育長はどのように見通しているのでしょうか。学区制がない以上、毎年不確定な要素がつきまといますが、ことしのようなことが二度と起こらないと保証できるのか、お答えをください。
 さらに、再来年度は日高高校附属中学校から総合科学科に2クラス入学しますが、日高高校のクラス編成が、現行、総合科学科1クラス、普通科4クラスですので、クラス編成を変えないということであれば、一般入試の普通科クラス枠を1クラス減の3クラスにするのですか、御答弁をお願いいたします。
 次に、阪和自動車道の夜間割引について、仁坂知事の御意見をお伺いいたします。
 私たちの命の道であり、産業の道、観光の道として、本当になくてはならない大切な道路である高速道路が田辺市まで延伸し、さらに田辺市からすさみ間は国の直轄事業に採択され、現在、順調に用地買収が進んでいることとお伺いしています。紀南にお住まいの方々の御不便を思うとき、より一層の御尽力を関係各位にお願いし、一日も早い完成を期待する次第であります。また、このたび土日祭日は1000円という割引制度も大変好評で、ことしのゴールデンウイークは白浜を初めとする観光地も大変にぎわったとお聞きしております。
 しかし、一方では、長峰トンネル付近を先頭に御坊南インターチェンジまでの24.8キロメートル渋滞し、お帰りの観光客の皆様に大変な御迷惑をおかけいたしました。一刻も早い4車線化が望まれるところであります。現在、海南─吉備間の4車線化の工事は着々と進捗していますが、さらに南に向かって4車線化を推進していかなければなりません。
 また、このたび経済不況の対応策として政府は15兆円にも及ぶ補正予算を計上いたしましたが、その中には御坊─田辺間の4車線化の工事費745億円も含まれており、地元選出の二階俊博経済産業大臣を初め、与党国会議員の先生方に心から感謝と御礼を申し上げたいと思います。この区間は、用地買収のとき既に将来を見据えて4車線分の用地を買収していたため工事費がついたのでありますが、改めてその先見性にも敬意を表したいと思います。引き続き、近畿自動車道紀勢線湯浅─御坊間の早期4車線化にも、仁坂知事のより一層のお力添えをお願い申し上げます。
 私たちの紀南地域は、農林水産業を主力に、最近は企業誘致も進む中、いろいろな農産物や水産物、工業製品やその材料が大阪を中心に全国各地と日々往来しています。しかし、地場産業や地元運送業者及び運転手さんには、この大変便利な高速道路を十分利用していただいてるのでしょうか。観光客の皆さんには土日祭日割引や平日通勤時間帯半額割引、日中3割引き等、大変ありがたいことだと思っています。また、夜間割引についても、深夜割引として50%割り引いていただいています。しかし、もともとトラックの通行料金は普通自動車より3倍近くに設定されていますので、割り引いていただいてもまだまだ高いというのが現状ではないでしょうか。
 例にとると、南紀田辺インターから岸和田料金所まで、普通車なら3150円ですが、特大車では8450円かかります。経済不況の中、大変厳しい経営を強いられている地場産業の皆さんにとって、もっと利用してもらえる制度はないのだろうかと考えました。
 そこで、知事にお願いしたいのですが、夜間高速道路の超割引制度を政府初め関係各方面に御提言いただきたいのです。
 現在、高速道路の上り1日平均通行量は1万8000台から2万1000台となっています。そこで、平成20年1月から12月までの間の大阪方面に行く午後10時から翌朝4時までの交通量を調べますと、平日平均1090台となっています。6時間の間にこれだけしか通行してないということは、1時間に180台余りしか通行していません。しかし、この時間帯に私たちの地域から都市部に向かって、いろいろな農産物や水産物、その他製品がトラックによって搬出されているのであります。この運送トラックがもっと高速道路を利用できれば、地場産業にとっても運送会社にとっても経営上プラスになりますし、何よりも超低料金になれば、運転されている運転手さんにとっても精神的、肉体的な負担を軽減できます。
 大不況の中、少しでも安いものを求める大都市の消費者ニーズにこたえるため、高速道路の料金を節約して深夜1人で一般道を走っている運転手さんの御苦労や、交通安全を祈って眠れぬ夜を過ごしている御家族のことを思うと胸が詰まります。幸いにして、生鮮食料品等は夜間に搬出し、翌朝、朝早く大阪やその他の大都市の市場に送られています。高速道路は命の道、産業の道、観光の道と言われていますが、さらに安全で安心な道、速い道ということもつけ加え、もっと運転手の皆さんに御利用いただけたらと思います。
 夜間ほとんど利用されていない高速道路の現状を考えると、今以上の超低料金にしていただくことにより、交通量がふえ、県民を雇用し税金を納めていただいてる県内事業者の皆さんや運転手の方々に喜ばれるだけではなく、そうした心のこもった優しさが西日本高速道路株式会社のイメージアップにもつながるのではないかと思います。「おお、安くなったな。これなら利用できる。やっぱり高速道路は疲れが少なくて済むからいいな」、「お父さんは高速道路走っているので安心していられるわ」となり、紀勢線の紀南延伸の用地交渉等にも弾みがつき、高速道路の必要性についても大きく理解が深まるのではと考えます。
 そこで、知事に政府及び関係方面に御提案をいただきたいのです。例えば、近畿管内であれば午後10時から午前4時までの間、どこまで乗っても1000円とか、総料金8割、9割引きなど、思い切った割引制度を御提案いただきたいのですが、いかがですか。
 使っていないのに使えない、使いたくても使えない、私たち国民の共有財産である高速道路が宝の持ち腐れにならないように、地方の中小企業の発展が日本の発展を支えてるのであって、県民の元気の源である地場産業の育成を図ることが和歌山県政最大の政治課題なのですから、そして県民である運転手さんやその御家族の皆さんの安全・安心を守るということからも、ぜひ今まで以上に利用可能な深夜超低料金制度を強く働きかけていただきますように仁坂知事にお願いをいたしまして、1回目の質問といたします。ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの花田健吉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、1点目に御質問の和歌山県の地球温暖化対策地域推進計画策定後の取り組みについてでございますが、目標達成のためには、本県の二酸化炭素排出量の6割以上を占める製造業での削減が不可欠となります。製造業における二酸化炭素排出量は景気動向に左右されることが大きいんですけれども、全体的にはエネルギー効率の改善が進んでおりまして、県におきましても、平成19年に施行した地球温暖化対策条例に基づき、多量排出事業者等に対して排出抑制計画や達成状況報告の提出を求めるなど、企業みずからの削減目標達成を促す取り組みを推進しております。
 この対策について、よく世間で言われることは、手ぬるいんじゃないかと。例えば、もともと日本でいうとCO2の排出量の半分以上は製造業が出しております。それから、その製造業の半分以上は、多分、鉄鋼業、化学工業、紙パ、それからセメント、この辺の4業種で占めてるというような構造だと思います。そうすれば、一番大きい例えば鉄鋼業など、大いにもう生産をやめてもらって、それでCO2を削減したら一番手っ取り早いんじゃないかと、日本の責務だと、こういう議論が結構あるんです。
 ところが、実は、例えば和歌山の住友金属の和歌山製鉄所を考えますと、これは世界一効率のよい、つまり、ある1トンの鉄をつくるときにCO2を一番排出しない製鉄所だと思います。需要構造あるいは供給構造をほったらかしといて、それで例えば住金の和歌山だけとめてしまうということをいたしますと、多分その3倍にも及ぶような、例えば中国の小さい製鉄所──これは古い形のものが残ってますから、CO2はたくさん出ます──そういうもので同じような鉄をつくるとすると、その分だけCO2排出量が地球にたくさん出てしまうということになります。
 したがいまして、そういう、この問題の難しさは、地球全体で考えなきゃいけないんだけども、地球全体で小さくする、排出量を少なくするというメカニズムがまだまだできてないというところだと思います。
 それならば、じゃあどうでもいいのかということとは決して違いまして、それこそ今の排出抑制計画とか、そういうことによって努力をしていただく、それがまた経営強化にもなるというようなことだろうと思っております。
 一方、排出増加の伸びが著しい部門は、家庭部門と運輸部門であります。これの排出削減対策も急務でありまして、このために、平成20年度から全国に先駆けて、和歌山県においては住宅用太陽光発電に係る補助制度を実施しているところであります。これは昔あったんですけれども、一時なくなっておったのを和歌山県だけ復活しました。そのほか、県民意識の一層の向上を促すためのさまざまな普及啓発活動も一生懸命やっておりまして、これも今後ともやっていこうと思っております。
 一方、森林における吸収量達成も、これもまた不可欠であります。対象となる森林を健全に維持して植林をやっていく、あるいは木を育てていく、そういうことによってCO2を固定するということは大事なんで、荒れ果てた森林をほったらかしていくと、それが十分でありませんので、間伐等の森林整備を初めとして、林業の再生に向けて低コスト林業とか紀州材の販路開拓とか、そういうことについても頑張ってやっていきたいと思っております。
 また、企業の森などの、県民やあるいは企業等の多様な主体による運動、これについても助成をしていきたいというふうに考えております。あれもこれもみんなやろうということで、県民を挙げて、県を挙げて頑張っていきたいというふうに考えております。
 今後の排出削減の取り組みは今申し上げました考え方なんですけれども、2010年度までの目標は京都議定書の目標を大幅に上回るものでございますけれども、しかしながら、国内での省エネ努力などを積み上げて算定した今回の国の中期目標は、相当に思い切った選択であります。
 本県におきましても、次期の目標設定に当たりましては、県民が共有できる、より高い水準での目標づくりというのを考え、あるいは行動計画が必要になってくると考えております。したがいまして、これまでやってまいりました、今申し上げましたようなさまざまな取り組みに加えまして、低炭素革命による成長戦略として示された太陽光世界一プランとか、あるいはエコカー世界最速普及プランなどの実現に向けて、県内での普及促進を牽引していけるように取り組みを積極的に推進してまいりたいと考えております。
 議員御指摘のように、いろんな対策は、まだ経済的に見るとちょっと持ち出しと、なかなかつらいと。つまり、県民のお金をたくさん使わしていただかないとできない政策があります。しかしながら、そのお金を惜しむということも大事でありますけれども、政策的に県民の皆様に御理解いただいて、先進的な動きについては積極的にお金もつけていくということで、両にらみでやっていきたいと考えております。
 そのような考え方から、LEDにつきましては議員御指摘のとおりであります。私は、議員の論点について100%賛成であります。したがいまして、詳しくは議員がおっしゃったとおりでありますので繰り返し申し上げませんが、できるだけいろんなところでこれを採用するように努力してまいりたいと考えております。
 ネットパトロールでございます。
 和歌山県の未来を担う青少年の健全な育成を考えたときに、ネットによるコミュニケーションというのは非常に有用な面もあります。一方、匿名性を悪用した反社会的側面もあわせ持っているということも、また事実であります。こういうインターネットの世界に大切な青少年を無防備のまま放置しておくことはできないというふうに考えました。
 ネットができまして、子供に限らず、青少年に限らず、大人の世界でもネットのチャット等々で参加をするということが非常に容易になりました。しかし、そういういい反面、匿名性によるところの弊害というのもあることも、またみんな理解しているところであります。
 日本の1つの美徳でありまして、いざ名を名乗れと、いざ尋常に勝負しろということが、なかなか、しないでも参加できちゃう。それによって参加の機会はふえるんだけれども、批判がとめどもなくなって、責任が負えなくて、事実を確認しないまま批判がどんどん広がるということもまたあるのではないか。例えば、この県議会における真摯な議論というのは名を名乗って議論しているわけですから、そういう点では非常に責任があるわけですけれども、そうでないところの話が仮に青少年に向いたとすると、大変問題になると思います。
 したがいまして、私どもといたしましては、県当局、それから教育委員会、警察、この3者が一体となって総合的に今回のネットパトロールに取り組んでいくということで実効を上げていきたいと考えております。青少年をいじめや犯罪被害などから守り、取り締まるべきものは取り締まる、指導すべきものは指導するという一定の秩序を構築し、正しい情報の使い方を子供たちに教えて、それを普及さして、青少年の健全育成、ひいてはネット社会の健全な発展に結びつけたいというのがこの事業を通じて私たちが期待しているところでございます。
 次に、高速道路の夜間割引制度であります。
 夜間の高速料金については、物流効率化の面から、昨年10月から全車種について夜間割引の時間帯の拡大とか深夜時間帯での割引率の拡大とか、制度拡充がなされてきました。しかしながら、議員御指摘のように、まだまだ不足という側面はあると思います。本県は半島に位置し、国土軸から乖離しているということで、高速道路を介した遠隔地との交流、連携でこれからも支えていかざるを得ないというふうに思います。特に、御指摘の農産物を運ぶとか、夜間、そういうトラックが運んでいって、それで経済的な富を当県に持ってくるという点では、大変有用ではないかというふうに考えております。
 私も、よく和歌山県内をあちこち参りますが、深夜に帰ってくることが結構あります。そういたしますと大変すいてるわけでありまして、一方、昨日などは昼ごろから広川インターで乗ったら、がっちりと大渋滞に巻き込まれまして往生したんであります。そういう意味で、トラックなんかは分散していくということは大変有用な考え方だと思います。
 ただ、ちょっと考えておかないといけないのは、本県は高速道路の早期整備を今やってもらわないといけないというところであります。実は、ちょっと意地悪な見方をいたしますと、もうその整備が終わっているような県を中心にして、もうこれ以上要らないから料金を下げろという運動が1つの流れとしてございます。そうすると、財源が例えば膨らんでいくような形であれば、我々がぜひ夜間料金の割引をしてくれと言うことは100%正しい行動だと思いますが、ちょっと用心しとかないといけないのは、それでもって早期整備の財源が減っていくような形で政策がなされると、和歌山県のような未整備の県だけが割を食うということにもなりかねません。
 したがいまして、よくその点も含みながら、議員御指摘の点はごもっともでございますので、一生懸命努力して、その実現に向けて私も努力していきたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 環境生活部長井口悦治君。
  〔井口悦治君、登壇〕
○環境生活部長(井口悦治君) 2点目の青少年の有害情報対策のうち、携帯電話へのフィルタリング機能設定の義務化についてでございます。
 議員御指摘のとおり、青少年の有害環境対策におけるフィルタリングにつきましては、ネットパトロールとともに車の両輪でもあり、その重要性を認識しているところでございます。本年4月から施行されたいわゆる青少年インターネット環境整備法によるフィルタリングサービスの適用が義務化されているところでもあり、県条例による上乗せ規制につきましては、今後、こうしたフィルタリングの普及状況なども注意しながら研究してまいりたいと考えてございます。
 次に、既に携帯電話を持っている青少年へのフィルタリング機能の設定についてでございます。
 法施行以前の18歳未満の契約者に対しては、不要の申し出がない場合、自動的にフィルタリングを適用する旨、携帯電話事業者から通知するという対策が既に講じられているところでもございます。しかしながら、契約者が保護者である場合も多いため、ネットモラルの向上に頼る部分も多く、ネットパトロール事業の一環として教育委員会とも連携しながら、情報モラル講座などによりフィルタリングの普及を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 高校入試制度についてお答えいたします。
 普通科志向が高まっていることにつきましては、大学等への進学希望者がふえたこと、中学校卒業時では将来の進路に対する希望が固まっていないということ、普通科の校数と募集定員が多いために安全志向が働くことなどが要因であろうと分析をしております。また、職業系専門学科について中学生の理解が不足していることもあろうかと考えます。
 こうしたことを踏まえまして、普通科と職業系専門学科の定員の比率につきましては、中学生や保護者の意向などを考慮するとともに、よき職業人の育成という社会の要請にもこたえるため、職業系専門学科への理解を図りながら検討してまいりたいと存じます。
 また、今回の制度の導入に関しましては、さまざまな御批判のあった前期・後期制の選抜の問題を解決するため、文教委員会や予算特別委員会で強い御意見をいただきました。昨年4月から県高等学校入学者選抜改善協議会を立ち上げ、協議を重ねてまいりました。それを受けまして、21年度選抜では前期選抜の枠を拡大するとともに、22年度以降において一本化していくことを6月の定例教育委員会で決定をしたところでございます。
 しかしながら、9月県議会におきまして、21年度入学者選抜からの実施を検討するよう文教委員会の総意として御意見をいただき、臨時教育委員会を開催しまして、その必要性や可能性等について慎重に検討した結果、平成21年度から導入することとした次第でございます。
 次に、入試結果についての感想及び今後の問題点についてでございますが、年度途中の制度変更にもかかわらず、受験生や保護者の皆様の御理解と各中学校並びに高等学校の努力によりまして円滑に進めることができたと考えております。4月以降、県立学校長会、中学校長会、県立高等学校入学者選抜協議会等において御意見を伺ったところ、最後まで中学校教育を落ちついた状態で行うことができてよかったなどの意見、感想をいただく一方で、保護者等から制度の内容がわかりにくかったとの課題もいただいております。この選抜制度の趣旨やメリットを十分に生かせるよう今後理解を広げるとともに、必要な検討を加えまして、よりよい制度として定着するよう努めてまいります。
 次に、中学生の進学に対するニーズについてでございますが、生徒や保護者には学校や学科の選択に関して幅広いニーズがあると認識をしております。一方、学校と地域との結びつきが弱くなっているとの御指摘もいただいております。通学区域につきましては、学校教育のあり方について関係者や地域などから広く意見をいただく機会を設け、検証と今後のあり方に関する研究を進めてまいります。
 次に、御坊・日高地方における県立高等学校の募集定員につきましては、保護者や地域の方々などの意見、声をお聞きしながら、中学校卒業者数と近年の入学者選抜の結果等を勘案した上で決定してまいります。御質問の附属中学校の生徒が入学する日高高校の募集定員につきましても、その中で考えてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
 11番花田健吉君。
○花田健吉君 御答弁いただきましてありがとうございます。
 まず、知事に要望です。
 さきの延長の問題もあるんですけども、今、運送会社の運転手さんのやってるというのは、会社によって違うようですけども、例えば大阪へ行くんだったら「もう3000円でやってくださいよ」と、運転手さんに。会社なり、また個人運送やったらそんな感じで、「3000円にしてよ」、「やってられない」と。そうすると、運転手さん、どうするかというと、ずっと、田辺から乗らないんです。御坊で乗るんです。なぜかといったら、由良峠と水越峠あるんで、あそこは大変難所になってるんで、御坊から乗って広川でおりるんだそうです。広川からおりて、ずっと行って海南でまた乗るんです。孝子峠へ行くと遠回りになるんで、時間的におくれるんで、海南から乗って、そのまま今度、阪南でおりるらしいです。それから大阪の市場へ行ったら大体3000円ぐらいで行けると、今の割引で3000円ぐらいで行けるというんで、会社側も大体それわかってるから、支給額が3000円。この中でやってくださいみたいなことになって、結局、運転手さんの労力にしわ寄せが行くというか、そういうことになってるようにお聞きをしておりますので──全部じゃありませんよ。そういうシステムをとってる運送会社もあるとお聞きいたしましたんで。
 そういうことからすると、南へ延伸していく、また地方のまだ未整備の高速道路を整備するというのは、我々地方に住む者にとってもう本当に悲願ですけども、また反面、CO2のさっき削減もありましたけども、一般道を信号でとまりながら大型車が行くということで大変CO2も排出しますし、やはりCO2削減の道でも──さっき知事の話をお聞きしながら私も思ったんですけども、高速道路に乗って安定して80キロぐらいとかでずっと走ると燃費効率がいいですからCO2もあんまり出さないなと。もう1つ、CO2削減の道ということもつけ加えさせていただいて、ぜひ関係各方面にそういう御提案をしていただきたいなと強く要望いたします。
 あと、教育長にですけども、これも要望にさせていただきますが、今の普通科志向が強いということと、現場の先生の配置の仕方というのが非常にミスマッチになってるんかなと。子供たちのニーズのほうが大きくなり過ぎてるんかなという気はしますけども、これは急にざっと体制を変えるということは難しいでしょうけども、やはりこの10年以上も、もっと言ったらそれ以前から普通科志向というのはもう強まってると思うんですよね。
 そやから、それについて──かなり対応はしていただいてますよ。例えば、僕の地元では紀央館に普通科ができたり、そういう対応はしていただいておりますけども、なおまだ、普通科志向がさらにまだ強くなってるということもありますんで、順次対応していただきたいのが1点。
 あと、学区制についても、僕、想像していなかった前向きな認識というか、御認識をいただいておりまして、大変御検討いただきたいなと思いますけども、そういう中で、今の全部関連してくることなんで、一度教育委員会で、学区制とか普通科志向とか実業科の配置の仕方とか、そういうのを一回総合的に考え直していただきたいなというのは、それも要望しておきます。
 もう1点、毎年2クラス、500人前後中途退学してるという、この子供たち、一体退学した後、何をしてるんだろうかというのが、僕、大変気になります。当局、教育委員会のほうにお聞きすると、その人たちが来年度再度──1学年が一番多いんですよね、中途退学する率が。その子たちは来年、進路変更ということで学校を再度受験してるんだろうかと聞くと、そうでもないように聞くんです。この子たちは、じゃあ家で家庭学習をして大検を受けることになるんだろうかというと、大変自己管理等厳しい状況になると思うんですけども──もう中学校出てるし、高校に行ってないし、学校、教育委員会の管轄外に出てるんで、もう私どものほうには関係ありませんて言うのかもわかりませんけどもね──この15歳、16歳、17歳、18歳、この子供たちが一体その後、進路どないなってるんかというのを大変僕は気にしております。
 そこで、毎年大変優秀な学校の先生が定年退職をされていくわけですけども、教育委員会でそういう先生のリスト等も全部それは把握されてるわけですから、それぞれの地域地域で、そういう先生に、今その子供たちが本当に学力を欲していないのか、欲しているんであれば、普通の塾へ行くといったって、塾は田舎のほうへ行けば──大学入試だったら駿台予備校とか英数学館とかあるわけですけども──普通の田舎のほうの子といったら、もう塾へ行くのは夜しか行けないんですよね。夜しかやってない塾がほとんどです。
 そやから、この子たちが昼間何してるんか。夜だけの塾だけで大検が受かるんかどうか。大検より、まず塾へ行ってないかもしれませんけどね。だから、この子供たちがもう一度大学受験に復帰できるような、そういうのを、今言う先生を、退職された優秀な先生方、たくさんいらっしゃいますんで、少し御相談に乗っていただいて、そういう子供たちの今後のことを一度、それは地方自治体、地方自治の教育委員会が一番よく知っとるでしょうけども、市町村の教育委員会、一番よく把握してるとは思いますけども、そういうことにもお心配りをいただきたいなというのをあわせて要望いたしまして、終わらしていただきます。ありがとうございました。
○議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で花田健吉君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番山下大輔君。
  〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 おはようございます。今議会も張り切ってやらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、早速、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 さて、皆さん、リチャード・ブランソンという人物を御存じでしょうか。こういう方です、リチャード・ブランソン。(写真を示す)今、彼は、押しも押されもせぬ世界で最も成功した社長の1人に数えられるヴァージングループの総帥、私自身、尊敬する経営者の1人です。彼の生き方とその姿勢は、今の混沌としたこの日本の政治状況、それを打破するモデルとなるものかもしれません。
 先日、ブランソン社長が航空事業の交渉のために来日され、「ワールドビジネスサテライト」のインタビューに答えていました。そこでは、5年以内に海藻、藻を原料としたバイオ燃料を開発し、日本の航空会社に提供したい、また、宇宙旅行を企画して、まずは2年後に家族を連れていく、また、成田─ニューヨークを1時間で就航できる路線を開拓して日本の皆さんに提供するといった話をされていました。ちょっと聞くと常識離れしたとんでもないような話に聞こえますが、まじめな顔で語っておられました。しかし、彼のこういった一見突拍子もない話には、今の日本を変えていく重要なヒントがあるように思います。
 リチャード・ブランソンは、イギリス生まれの58歳。彼は、小さなころから難読症という特殊な障害に苦しんでいました。難読症とは、日常生活は問題ないのですが、文章を読んで書かれていることを理解することが困難という特殊な障害です。彼は、大人になってもこの障害を抱え、それがかえって彼の「まずは行動」という生き方を支えているとも言われます。
 小さいころは学校でいじめを受け、それを得意のスポーツでカバーしていたところ、ある日のサッカーの試合で大けがをして、それからは図書館を安住の場所としていたそうです。彼はいつしかハンディを克服し、ジャーナリストになる目標を立て、17歳のときには学校教育は必要ないと高校を中退。友人たちと学生向けの情報誌「スチューデント」を創刊し、企業家としてのスタートを切りました。その後、1970年にレコードの販売会社を立ち上げ、さまざまなアイデアから事業を拡大し、これが今や世界じゅうに店舗を展開する巨大レコードチェーン、ヴァージンレコードの誕生となっています。
 このヴァージンレコードで大きな成功をおさめますが、しかし、ブランソンは決して満足せず、稼ぎ出したお金を再投資し、また利益を上げても、それは自分のためには使わず、私のない「無私の人」と言われ、そういった彼の周りにはたくさんの人がその人格に引かれて、多くのアーチスト、また若い彼を支えるブレーンが集まり、さらに事業は拡大していきました。
 ブランソンが事業を行う特徴は、だれもが無理だと最初からあきらめている分野への参入だと言われています。ヴァージングループが今まで挑戦してきた分野は、時代の流行や新規参入がしやすい分野ではなくて、古い体制に守られた参入が困難とされる分野にあえて挑戦してきています。銀行業、鉄道、コカ・コーラを相手にヴァージンコーラで挑戦している炭酸飲料、保険業など、そんな中、彼が一番エネルギーを傾けたのが、最も参入が困難と思われていた航空業界への挑戦です。
 イギリスでは、ブリティッシュエアウェイズが、創業以来、イギリスの航空業界を独占してきました。ヴァージングループの挑戦も当初は苦難の連続で、さまざまな妨害を受け、最後にはヴァージンレコードを売却するまで追い詰められます。しかし、その危機を業界の常識、固定概念を覆すさまざまなアイデアで乗り切り、現在の航空業界における確固とした地位を固めました。そして、21世紀に入ってからは宇宙旅行への挑戦を始めています。
 挑戦し続ける男、ブランソン。固定概念に縛られず、旧体制を打破し、自分の欲にとらわれずイノベーションを起こし続けるリチャード・ブランソンは、今の日本でも非常によい手本になるものと感じます。
 そんな中、こういった人物が本当の意味で世の中を変えるんやなと、その行動を思い浮かべている中で、ふと頭に浮かんだのが大阪の橋下知事でした。きのう、和歌山に来られ、アバロームで講演会があり、先輩・同僚議員の多くもお聞きになられたと思います。知事も大変熱弁を振るっていただいておりました。私も拝聴に行きましたが、リチャード・ブランソンと橋下知事、全く別世界に生きる2人ですが、しかし、共通の行動原理があります。それは、固定概念に縛られない自由な心。ブランソンは言います。「慢心、なれといったものが最大の敵である。専門家ではないから、その道の常識から矛盾が見えてくる。これが成功の最大の秘訣だ」。専門家ではないからこそできることがある。それは政治に新風を吹き込んでいる今の橋下知事にも同じことが言えるのだと思います。
 多くの人は欲に流され、周りの人に流され、その道の常識といった思い込みに支配される中で、旧制度を打破、打ち破れずにいます。そういった意味においては、大阪府の橋下知事は、ブランソン氏と同じく時代を変えていく力を持っているのだと思います。固定概念を持たない強さ、正しいものは正しい、おかしいものはおかしいと感じる感性、そしてそれを勇気を持って行動に移す実行力、これこそが現在の真にイノベーションを必要とする私たちの日本にも求められるものだと思います。
 今、明治維新などと並んで大変革の時代と言われる私たちの日本でも、行政、政治の世界において、特に固定概念を打破することの大切さは何よりも重要なものであり、そこを打ち破れなくっては前には進めません。ぜひ仁坂知事にも、旧来からの慣習を打ち破り、固定概念を打破して、新しい和歌山を何としても築いていってもらいたいと心から願うものですが、そこで、この固定概念の打破といった視点で、国直轄事業負担金の問題について幾つかの質問並びに提案をさせていただきます。
 今回の国直轄事業負担金についても、いわゆる固定概念に縛られていたことがその根本要因となっています。「これまでもそうやったから」ということで、明細のない請求書をうのみにして支払い続けてきた。それは、これまでの「国は正しい」といった固定概念に縛られている行政執行であり、鳥取県の片山前知事など、過去の何人かの良識ある自治体の長はその問題点を強く指摘してきたところですが、和歌山県を初め多くの自治体では積極的に取り組めてこなかったのが現実です。
 そんな中、先日、県当局から2010年度の政府予算編成を前にした国への要望書の説明を受け、そこには国直轄事業負担金制度の改革が盛り込まれていました。
 そもそも国直轄事業負担金とは、国道整備や河川改修工事など、国が実施する公共事業費の一定割合を都道府県など地方自治体が負担する制度であり、地方財政法でその負担金の支払いが義務づけられています。しかし、今、景気後退で財政悪化が著しい状況において、この負担金はこれまで以上に地方財政の重荷となっています。特に地方としては、せっかく県民の皆さん、職員の皆さんに無理をお願いして、さまざまなリストラを断行し、何とか予算を節約してきているのに、内訳もよくわからない負担金を国から求められるがまま支出していく、これは到底理解の得られるものではありません。今、国直轄事業のあり方そのものが見直されるべきであり、それは今後のこの国のあり方をも視野に入れた重要な問題となっています。
 そんな中、今回、和歌山県が作成した政府要望、そこでの指摘はよくわかります。その方向性は全く正しいと思うのですが、しかし、国の直轄事業負担金は今になって急に出てきた制度じゃないんです。これは、これまでもあったものです。しかしながら、これまで和歌山県として特に積極的に異論を唱えてきたこともなく、ただの一度も政府要望にも取り上げられたことがない中で、今回、全国の知事会、大阪の橋下知事などが問題点を指摘し、それをマスコミでも取り上げられる中で、突然和歌山県としても急ぎ政府要望に組み入れる、こういった一連の流れには、私個人として少なからず問題があるように感じます。
 今回の国直轄事業負担金に似たようなものは、ほかにもあります。その根っこの部分の反省もなく、和歌山で深く議論された形跡もない中で、この問題だけを表面上取り繕っても、それは和歌山が本当に変わっていくきっかけとはならないように思うのです。今回の問題の本質、それは過去の行政の取り組み自体を、固定概念を持たず、もう一度一から見直し、総点検しなくてはいけない。そういった根っこにある反省すべき点をしっかりと認識し、そしてその先に大きな目標、理念を掲げて取り組まなくてはいけない問題だと思います。
 大阪の橋下知事は、一連の直轄事業の見直し作業の中で、その基本的考えを次のように示されています。「国直轄事業負担金についての私の思いは、負担をしなくてもよいということではありません。そもそも地方が国に陳情などしなくてもよい、新しい国の形を実現したいということです」。和歌山県としても、国直轄事業負担金の廃止を訴える中では、いま一度議論を深め、その行動の基本に新たな国づくりといった視点を持った確固とした理念を固めつつ、そこでは、今回の問題だけでなく、これまでのものも総点検するといった強い意思のもと、取り組みを進めてもらいたいと思います。
 そこで、今後和歌山県として、直轄事業負担金制度への対処について、それは発言するだけでなく、どう具体的に行動していくのかといったことが大切になってきますが、その中で幾つかの質問をさせていただきます。
 まず、基本的な考え方として、この関西圏でも府県の意見はさまざまで、特に奈良県などでは、国直轄事業負担金制度の廃止には、その先の見通しが立たないと逆に反対していますが、和歌山県としては基本的に廃止の方向で考えていると理解してよいでしょうか。知事の御認識を改めてお聞かせ願いたいと思います。
 また、さきに行われた全国知事会では、仁坂知事も議論に加わる中で、都道府県、政令市が負担金を支出する際、対象範囲や使途として適正かどうか判断するための基準を7月には明示するとしていますが、それはどういった議論になっているでしょうか。具体的な中身について、知事の御所見を賜りたいと思います。
 また、今、知事会での議論では、国の対応によっては2009年度分の支払いを一部ストップさせることも辞さないという意見も出ているようです。現に大阪府では、橋下知事の強い意思により国直轄事業負担金問題プロジェクトチームを立ち上げ、問題点の洗い出しを行い、その上で国土交通省近畿地方整備局と直談判し、2008年度の負担金を2億5000万減額させました。また、2009年度予算でも約424億6000万円の国直轄事業負担金の要求に対し、約38億、8.9%をカットする方針を明らかにしています。こういった状況を見てみると、和歌山県としても国への要望を行うだけでなく、具体的、積極的なアクションが必要だと考えます。
 そこで、和歌山県として2009年度、今年度の支払い分についてはどのような基本的な考えをお持ちなのか。例えば、もう一度2009年度分の請求内容を見直して、その一部についても承服できない部分があれば支払いストップ、請求額の減額を要請するなどの考えはあるのか、知事の御所見を賜りたいと思います。
 また、今後、直轄事業の地方負担分がなくなると、国が事業を行う際の優先順位のつけ方が問題となってきます。それはどうなるのでしょうか。今回の問題では、和歌山県として問題の本質を掘り下げ、その中で、直轄事業負担金の現行制度を改廃した先の新たなルールづくりも視野に入れた和歌山県なりの提案が必要だと考えます。直轄事業のあり方を見直す上で、基本的に地元負担をすることでモラルハザードを抑制するといったことも指摘されますが、地元負担を考慮せずに国が事業を行う際には、これまで整備のおくれた和歌山などの地方において、しっかりと資源配分される仕組み、新たなルールづくりが必要になると考えますが、今後の取り組みについて、これは県土整備部長からお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、新型インフルエンザへの対応を教訓として、新たな危機管理体制の構築について幾つかの質問並びに提案をさせていただきます。
 今回の新型インフルエンザに係る質問では、初日に奥村議員からも御発言がありましたので、重複する部分は省き、私なりの視点で質問させていただきます。
 さて、今回の新型インフルエンザでは、現状、国内感染の拡大はいまだ続いており、まだまだ予断を許さない状況にあります。しかし、本当に怖いのは、秋以降に来る可能性が高い第2波だと多くの専門家が指摘しています。そういった中、私たちの関西圏では、この春先からの新型インフルエンザの感染拡大で、特に兵庫、大阪に大きな影響を与えていますが、これを和歌山県としても対岸の火事として見ているのではなく、感染者が一気に広がりその対応から大きな教訓を得ている大阪、兵庫の経験をしっかりと受けとめ、今後の対策に生かしていかなくてはいけないのだと思います。
 そういった中で、まずは現場に立つことが大切ということで、先日、私自身、大阪府と兵庫県へ伺ってお話を聞いてまいりました。そこでは、本当に貴重な体験談をお聞きすることができました。
 今回の大阪、兵庫での現地調査には、全国青年都道府県議会議員の会という、私も発起人の1人となっている政策研究会のメンバーに大変お世話になりました。大阪では土井達也府議会議員、そして兵庫県では吉本誠県議、どちらも府議会、県議会での初当選が同期になり、以来、これまでさまざまな政策の勉強を一緒に行ってきています。この2人にアレンジしていただいて、今回、新型インフルエンザの対策で直接対応に当たられた担当者の方に時間をとってもらい、お話を伺ってきました。そこでは、マスコミ等では伝えられない問題点、舞台裏の御苦労、また今回の一連の対応において改めて感じた改善のポイントなど、それぞれ貴重な情報を御提供いただきました。
 ただ、この県議会でそれらすべてを説明する時間もありませんので、とりあえずポイントの部分だけお話しさせていただきます。
 まず、大阪府から。大阪では、現場で陣頭指揮に当たった健康医療部保健医療室地域保健感染症課の河井茂美課長補佐から御説明をいただきました。なお、今回お話を伺ったのは6月3日で、その時点での状況としてお聞きいただきたいと思います。
 まず、大阪での感染者は、1人目が確認されてからあっという間にふえ、6月3日時点で157名、内訳は大阪府所管で116名、大阪市が23名、堺市で1名、高槻市で17名ということでした。感染者の経過状況としては、私の伺った時点では、既にすべての患者が観察期間を過ぎ、日常生活に戻れているということでした。これは、弱毒性ということが幸いし、感染確認された患者がどんどん積み増しされて病院にあふれるといった状況ではなく、本当に弱毒性のウイルスでよかった。もしこれが強毒性のウイルスだったら大変な事態に陥っていたと思うと話されていました。
 相談窓口の対応としては、海外で新型インフルエンザの一報が入った4月の26日の時点から府庁にて24時間体制の発熱相談センターが設置され、初動としては十分な対応がとれていたということでした。また、感染拡大には当然外国人も対象となりますので、トリオホンといったシステムを使い、9カ国語に対応できる体制を整備されたそうです。
 しかし、初動は順調だったが、その後の対応では大いに反省すべき点があるということでした。それは、大阪での感染者が確認されたというマスコミ報道をきっかけに一気に問い合わせが寄せられるようになり、一時的に発熱相談の窓口が対処不能になったということです。相談窓口には、病状の相談だけではなく苦情なども含めてさまざまな問い合わせが入るようになり、結果的に発熱相談の窓口では対応し切れなくなり、それを担当課である感染症課につないだところ、マスコミ対応、各自治体からの問い合わせなども含め、ひっきりなしに電話が入って、結局はパンク状態になってしまった。お話を伺った感染症課の河井さんによると、この情報管理の問題が今後の大きな課題であり、基本的に今回の場合は日常業務がストップする状況に陥ってしまい、情報管理の重要性を改めて痛感したと指摘されていました。
 次に、発熱外来を設置してもらう医療機関の確保について。これには、当初、地域の中核医療機関に設置し、対応する措置だったそうですが、これもすぐにオーバーフローし、対応に限界が出てきたため、医師会を通じて身近なところで診察を受けられるよう急遽整備したということです。一連の対応に係る経費としては、府議会とも相談して、急ぎ5月補正を組み、11億7007万円の予算を確保。基幹病院の43医療機関に300万円、一般医療機関は一律15万円として、最終的に府内に560カ所の発熱外来を設置。また、緊急の事態でもあり、協力いただけるところについては、かたいことは言わずに取っ払いという形で支援を行ったそうです。あわせて、慢性病患者、妊婦等への対策強化も急ぎ、府内の病院で協力してもらえるところについては、陰圧室の補助などで7億6392万円を支出し、そのほか、検査体制の充実、資機材の備蓄を早急に行ったということです。しかし、今振り返ると、この予算の確保と執行についても、もう少し事前の準備が必要だったと改善の必要性を指摘されていました。
 以上、大阪府の概要です。
 次に、兵庫県のケースです。兵庫県では、企画県民部防災企画局防災計画室の石田勝則主幹から説明を受けました。
 石田さんは、以前に尼崎のJR脱線事故の担当としても陣頭指揮をとられた方で、危機管理のエキスパートとして仕事をされています。今回の新型インフルエンザでは、JR事故の経験を教訓として、特に担当課と危機管理に対応する防災を同じフロアで仕事させるといった体制づくりの面で、大いに以前の経験が役立ったと話されていました。
 兵庫県の発生状況としては、県全体で感染者198名、内訳として、神戸市が半数以上の114人、尼崎市が20人、宝塚市が9人、西宮市が8人となっていて、地域的な偏在が見られるということでした。これは、発生者をできるだけ早く捕捉すると、その後に社会活動の制限措置をとることで地域的な感染の広がりを抑制できるのではないかということでした。兵庫県でも、大阪と同じく弱毒性のウイルスであったため、5月16日に最初の感染者を確認してから3日でピークを迎え、以降、急速に鎮静化に向かったということです。
 相談窓口の対応としては、兵庫県の場合は、これまでに、震災なども含め、鳥インフルエンザ、JR事故など、危機対応の経験値が高く、そのことが大いに役立ち、大きな混乱はなかったということでした。特に、感染者が確認された段階で、その担当となる防災と健康のそれぞれの担当課が別の同じフロアに集約され、一緒に仕事をするようにしたのは非常にうまくいったということで、これなどは和歌山でも大いに参考になる話だと思います。
 兵庫県で特に問題となったのが、神戸市との行政連携だったようです。感染者が確認され、一気に情報収集の必要性が出てきたときに、一時は厚生労働省経由でしか情報伝達ができない状況となり、同一地域での行政対応として、その難しさ、非常に混乱する場面が見られたということでした。これは福岡県などでも指摘されていることですが、行政の連携といった部分では、隣接地並びに市町村との連携について、もう一度そのあり方を見直しておくことが必要なようです。
 以上、大阪と兵庫県の対応状況のポイントだけお話しさせていただきましたが、これらは今後の和歌山県の取り組みにも非常に重要な示唆を与えてくれるものと思います。
 そこで、大阪、兵庫の調査をもとに、私なりの幾つかの質問並びに提案をさせていただきます。
 まず初めに、基本的な部分で、今回のインフルエンザの一連の対応として、県としてどのように取り組んでこられているか。また、県庁内の関係課室の連携状況について混乱なくうまく連携がとれていたか。あわせて危機管理監から御答弁をいただきたいと思います。
 また、今回の新型インフルエンザが引き起こしたさまざまな現象では、大阪、兵庫それぞれが、事前の準備が特に大切だ、組織的な対応を事前に十分準備をしておかないといざ事が起こってからでは対応が後手後手に回り混乱を拡大させ、地域全体がパニックに陥る可能性があると口をそろえて強く指摘されていました。
 そこで、私の提案として、和歌山県庁においてBCPを急ぎ策定する提案をさせていただきます。
 「BCP」、聞きなれない言葉だと思いますけれども、ビジネス・コンティニュイティー・プランというものです。事業継続計画といったものですが、災害、事故など非常事態の発生時に、企業や自治体が重要業務をできるだけ中断せずに継続させるための計画です。このBCPが世界的に特に注目されるきっかけとなったのは、2001年9月のアメリカ同時多発テロの際に、被害に遭った金融機関が翌日には代替オフィスで業務を再開できたことがメディアで大きく取り上げられてからと言われています。
 BCP策定が迅速な業務再開に役立ち、世界じゅうからその取り組みの有効性が評価される状況となりました。日本でも大企業を中心に導入事例がふえており、日本経済新聞社と神戸市の人と防災未来センターとの共同調査では、新型インフルエンザの大流行に備えてBCPの策定に動いている大企業は62%あり、このうち策定済みとの回答は15%、策定予定は47%となっています。
 今、国内で新型インフルエンザの感染者が拡大している状況を受けて、BCP策定を急ぐ企業がふえています。これは、企業のみならず行政対応としても非常に重要なものであり、急ぎ整備する必要があると考えますが──これは民間でいろんなレポートはもう出てるんですけれども、これはたまたま大和総研のレポートです。(資料を示す)行政のBCPの導入の必要性ということをしっかりとレポートされておりますけれども、こういったものも含めて大切だと言われる中、しかし、実際のところ、その取り組みは立ちおくれていると指摘されています。
 行政の中では消防関係の取り組みが進んでおり、昨年12月には消防庁が指針を出し、各消防本部に策定を求め、感染拡大で患者の救急搬送が急増、消防隊員にも感染者が出るなどして消火活動や人命救助などの業務に支障が出るのを防ぐよう、対応を急いでいます。今回の新型インフルエンザで大きな影響を受けた大阪、兵庫とも、BCPの導入に着手したということです。
 そこで、危機管理監に、和歌山県としても、県民生活の基本を守り、どういった事態にも安定的に県政運営を進められるようBCPの策定を提案しますが、今後の対応についてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 あわせまして、教育委員会でも同じことが言えるのだと思います。子供たちを預かる学校現場とその統括を行う教育委員会が滞りなく連携できるよう、どういった対策、措置を講じているか。これは教育長から御答弁をいただきたいと思います。
 また、自治体間の連携の問題について、兵庫県で特に強く指摘されていたことですが、いざ有事のときには当該地域の行政機関同士のスムーズな連携が危機管理上、最も重要なこととなりますが、そこでは、例えば危機の発生した当該地域の市町村が設置する対策本部に必ず県からもメンバーとして加わるなど、一歩踏み込んだ対応が必要だと考えます。行政連携のあり方については、今回混乱した地域、例えば兵庫県と神戸市、福岡県などの状況を丁寧に検証する中で、和歌山ではどういった仕組みとするのか、その対応策を検討しておくべきと考えますが、これも危機管理監に、現状において、県内の市町村、各自治体との連携状況について、その現状と今後どういった体制を築かれようと考えておられるのか、御所見を賜りたいと思います。
 この新型インフルエンザの質問の最後に、今回、私自身、大阪、兵庫に行ってみて、多くの貴重なお話を伺うことができました。ぜひ和歌山県としても他府県の対応状況、そこで確認されている危機対応の改善ポイント、現場での教訓などを貴重な財産として今後に生かしてもらいたいと思います。特に今回は、私たちの関西圏で大きな被害を受けた兵庫、大阪があるのですから、しっかりと現地調査、具体的なケースワークをしてもらいたいと思いますが、これも危機管理監から御答弁をお願いいたします。
 最後の質問項目として、公教育のさらなる充実について。
 今、日本は、本当に厳しい環境に置かれているのだと思います。国として人口減少、高齢化の大波を受け、また世界を見ても、中国を初めとするBRICsの台頭など、世界のパワーバランスも大きく変わろうとする中で、日本の行く末については決して楽観的な観測を描きづらいのが現実であります。そういった中で、これからの日本を救う道としては、やはりまずはその基本に人づくりがあり、公教育の充実が強く求められているのだと思います。また、今、日本社会における教育問題は、社会政策面からもその重要性が指摘されるものとなっています。
 そもそも、現在の日本社会において格差問題が大きくクローズアップされる中、その根本には教育格差があり、格差の固定化が現実のものとなりつつあります。お手元のグラフを御確認ください。このグラフです。(資料を示す)左から、これが教育費の高い順になるんですけれども、これは各国のGDP比で教育費がどれだけ投資されているかといったグラフになります。この下の2つというのは、下が私費負担、公的支出、そして一番上の青い線のところがその合計となって、順番が左から1番から28番までになっております。
 これはOECD(経済協力開発機構)加盟の先進各国の教育投資についての対GDP比で比較したグラフです。これには、各家庭ごとに支出される塾、家庭教師などの費用は除いています。学校で基本的にかかる公費と教材、副教材を購入するなど基本的な教育の投資額になっております。このグラフで一目瞭然ですが、純粋に教育投資の真水の額としては、アイスランド、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、ノルウェーといった北欧諸国が肩を並べ、高水準で教育投資を積極的に行っていることがわかります。さらに、韓国、アメリカなどは私的負担も大きいですが、トータルで教育費の支出ウエートは高いものとなっています。
 そんな中──ここが問題です──私たちの日本ですが、この表でおわかりのように、公的支出と私費負担を合わせて第22位、公的負担だけで見ると何と3.4%と、OECD加盟国中最下位となっています。べったです。国政において、教育については多くの政治家が熱心に自説を述べる人も多いですが、しかし、結局のところ、日本における政策の優先順位として、教育については決して高いものとなっていないのが現実です。こういった調査を客観的に見て、日本の教育環境としては、公に負担される部分が経済規模見合いで先進各国の中でも最下位であり、残念ながらとても教育立国などと胸を張って言える状況にはないのが実態です。
 こういった現状をしっかりと見詰める中で、今後は、日本全体としての教育への取り組みとあわせて、それぞれの地域がどのようにしてより充実した教育環境を整えていけるのか。全国学力テストの状況などを見ても、これは地域間の競争ともなる課題だと考えます。これからの日本を背負い、地域の未来を切り開いていってもらう子供たちに、より充実した教育環境を提供できるよう、その努力が今求められています。
 さて、そういった中で、今回新型インフルエンザの取り組み状況の調査に大阪府へ行かせていただきましたが、大阪でのもう1つの調査目的は、公立学校のパワーアップについてでした。大阪府では、橋下知事のもと、何とか大阪の教育を立て直したいと、「子供が笑う大阪」を政策目標として教育改革にも積極的に取り組んでいます。今回は、その内容について、大阪府教育委員会市町村教育室小中学校課の松元利男主任指導主事と、同じく安田信彦主事、また大阪府教育委員会教育総務企画課教育政策グループの大山直子さんに時間をとってもらい、お話を伺ってきました。
 大阪府では、橋下知事の教育非常事態宣言のもと、外部から百ます計算で知られる立命館小学校副校長の陰山英男氏、小河式プリントの小河勝氏を教育委員として招聘、また府特別顧問として、夜スペ、土曜寺子屋などユニークな取り組みで実績を上げ、マスコミなどでも注目を集める藤原和博氏を登用し、この外部から迎え入れた3人のエキスパートが橋下知事の教育改革のブレーンとして活躍され、大阪独自の教育改革が推進されようとしています。こういった環境のもと、現在、大阪府で取り組まれているさまざまな試みは、和歌山県としても大いに参考になるものと思います。
 そこで、今回は、大阪府で進められている教育改革を参考にしつつ、本県の公教育をさらに充実させるための取り組みについて、幾つかの質問と提案をさせていただきたいと思います。
 ちなみに、今回の質問の幾つかを知事に対しても行わせていただくのですが、それは、全国的に見ても教育問題を教育委員会だけの問題とせずに、首長みずからが発言する自治体がふえていて、それは私も非常に大切なことだと考えています。当然のこととして、政治が教育内容には踏み込まないといった原則は守りつつ、しかし、大枠として教育を真に充実・改善させていくには、予算の執行権を持った、地域住民の直接選挙で選ばれた首長がやはりしっかりとリーダーシップを発揮することが不可欠と考える中で知事への質問としていますので、御答弁のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、まず最初に、現在の日本の公教育について、先進各国との比較の中では、特に日本の教育分野への公の支出が相対的に少ない状況が見てとれ、教育投資の優先順位が高いとは言えない現状があります。これは、結果的には塾などへの支出で個別家庭にしわ寄せが及んで、特に経済的に厳しい環境に置かれる御家庭などにとっては大きな負担となって、ひいては教育格差の拡大、機会の平等が損なわれるということにつながるのじゃないかと心配されます。こういった現在の日本の教育が置かれている現状について、教育長にまずは御所見を賜りたいと思います。
 次に、今後、公教育の充実から学力向上を実現させていくためには、まずは自分たちの地域のことを全国との比較の中で冷静に分析しておくことが重要となります。そんな中、ことしもこの4月21日に全国学力・学習状況調査が行われています。
 そこで、まず、この調査の意義について、改めて教育長に御所見を賜りたいと思います。
 また、このテスト結果について、それぞれの地域、学校単位の公表について和歌山県では行われてきていませんが、私は基本的にその結果公表を積極的に行うべきだと考えています。全国的にもさまざまな対応が見られますが、例えば政令指定都市のさいたま、新潟、広島、福岡などでは、情報を共有し、教育の重要性を認識するためとして、学校ごとの結果を公表しています。
 この学校別結果については、保護者の67.3%が公表すべきと考えていることが先月に行われた政府の規制改革会議で報告されています。逆に、市区の教育委員会では86.7%が公表すべきではないと回答していて、保護者と行政側との意識のギャップは大きなものとなっています。保護者が学校別成績の公表を求める理由としては、「学力向上は学校の責務だから」が56.8%と最も高く、ほかに「学校選択のための基本情報、説明責任を果たすためには公表は当然」などとなっていて、また昨年12月に規制改革会議から出された第3次答申でも、多大な公費に見合う情報が国民に公開されていないと指摘されています。
 こういった中で、知事並びに教育長にそれぞれ御答弁を願いたいのですが、地域ごと、また学校単位での結果の公表についてどのように考えておられるか、御認識をお聞かせいただきたいと思います。
 また、これまで和歌山県教育委員会として、この全国テストの結果を受けて、それを生かすためにどういった取り組みがされてきているか、あわせて、今後特に積極的に取り組んでいかれようとすることがあればお聞かせいただきたいと思います。
 また、大阪府教育委員会では、2010年度に全国学力テストで全国平均を目指すと具体的な数値目標を設定して取り組んでいます。この目標の明確化は重要であり、和歌山県としても抽象的な話とせずに、明確な達成目標を設定して取り組むべきと考えますが、教育長はどのようにお考えになられますか。お聞かせいただきたいと思います。
 また、大阪府では、学力アップに向けた具体的な事業として、サタスタ、まなび舎といった放課後課外学習を強化する取り組みが進められています。放課後学習は非常に重要で、自学自習へのステップ、最終的には家でみずから学べる子供を育てたいと話をされていました。和歌山でも課外授業、放課後学習のあり方を今こそ真剣に考えるべきだと思います。和歌山県では、個別それぞれの学校、先生個々の取り組みとして放課後課外学習が行われてる状況があるようですが、和歌山県全体として制度化し、取り組んでいる状況にはありません。公教育のさらなる充実、学力向上といった観点からも、県全体で取り組める環境整備が必要だと考えますが、教育長の御認識をお示しいただきたいと思います。
 また、大阪府では、私塾との連携も始めています。塾との連携です。例えば大阪の門真市では、昨年の全国学力テストで府平均を下回ったことから、土曜学習、サタデースタディーを、略して「サタスタ」といったものを始めているということでした。そこでは、つまずきやすい小学校4年、5年生、中学校2年生などを対象にして、毎週土曜日の2時間、無料で学習指導を行っていて、現在その指導に当たる大学生は、家庭教師を派遣するトライグループに登録している阪大生だということです。昨年度は和泉、豊中など5市の13小中学校で塾講師らの派遣授業が行われ、本格実施となる今年度は、講師1人1回1500円という報酬設定をして積極的に推進していくとしています。
 そこで、教育長にお聞きしますが、私塾、塾との連携について、学校現場への参画をどのように考えておられるかお聞かせいただきたいと思います。
 最後に、私が大阪での教育改革の取り組みを検証してくる中で、特に心に残る指摘がございました。それは、現在、大阪府の教育委員を務める陰山英男さんのお話です。陰山さんが学力向上が大切だと訴える中で、「体験学習が大切なのは当然。道徳教育だって必要だ。しかし、テストの点数が悪い学校がそんなことばかり言うと保護者の信頼を損なう。あくまで教育論を振りかざす前に教師がやるべきことがある。今、教育委員会と学校の意識で特に問題と感じるのは、平等性や人権教育と学力対策とを対立的にとらえる風潮がある。しかし、社会的弱者の自立には学力向上が重要なのは自明の理であり、教育学が支配する閉鎖社会で外に目が向いていない。その呪縛が解ければ新たな教育の道が開ける」と話され、学力向上に取り組む強い意欲を示されています。
 また、大阪では、橋下知事自身が先頭に立って、「どんな理由があろうとも、大阪の学力は全国からするとかなり低いのは言いわけのできない現実。そのことから逃げてはいけない。私には子供たちの学力を上げる責任がある」と訴えられています。
 学力向上は、当然それだけがすべてではないと理解しつつ、しかし私自身、その取り組みは非常に重要で、もっと積極的に取り組むべきと考えています。和歌山県でも、全国学力テストの結果では平均から大いにおくれをとっている現実を見る中で、これには知事も率先してその問題を認識し、行動してもらえることを多くの県民も望んでいると思いますが、知事として教育問題に取り組む姿勢、学力向上に対する基本的な考え方について御認識をお聞かせいただきたいと思います。
 以上で、私の1問目をこれにて終了さしていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの山下大輔君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいまの山下議員の御質問のうち、私に答えろというようなお話のありました点について申し上げたいと思います。
 まず第1に、山下議員はたくさんいろんなところで情報を仕入れてこられて、それをもって和歌山県についていろんな提言をしていただいたということについて、深く敬意を表するものでありますが、ただ、「舶来上等」という言葉がございますが、和歌山県の中にも、同じような意味で考えたときに立派なものがたくさんあるということも、またよく勉強しておっしゃっていただくと、県民の方が喜ぶのではないかというふうに思います。例えば、固定概念にとらわれない改革を企業経営においてやった、ブランソンはそういう意味ですばらしいと思いますが、一方では、例えば名前は特に挙げませんが、全く新しいものをつくって和歌山で企業経営を発展さしてる企業家がたくさんおられるということも、また和歌山の誇りとしておっしゃったらいいんじゃないかな。
 それから、インフルエンザ対策でございますけども、他県の勉強を我々もしております。ただ、初めから「こういうふうになるぞ」といって明示しながら必死になって混乱を乗り切ってきたというのは、多分、近畿の中では和歌山はまあまあ一番いい危機対応をしたんではないかな。それは、観光業者とか保育園の方とか、あるいは働いている方々を持っているお母さんとか、そういう方々がきっと思ってくださっている話ではないかなというふうに思う次第であります。ただ、橋下知事と比べて、身近の知事を評価しろなどということを1つも申し上げてるわけではございません。
 国の直轄事業負担金制度についてでございますけれども、本来の地方分権ということからいたしますと、これは大事な概念だと思いますが、本来、国と地方がそれぞれ何を責任を持って行うべきかということをきちんと決めて、それで国が行うべき、直轄というんですけれども、それについては国が100%責任を持って行うべきで、地方がやるべきだと思ったら地方が行うべきだというふうに考えるのが真っ当ではないかと考えております。
 しかしながら、現状は国、地方がお互いにいわばだんごというか入れ子というか、そういうことで責任を分担するという形になっておりまして、これはお互いに責任の関係が不明確になるなというような問題だと考えております。こうした構造を見直して、国、地方それぞれが責任を果たせるようにするためには、地方分権の立場から国と地方の役割分担を見直し、双方の財源を確保した上で国直轄事業負担金を将来的には廃止すべきだと私は思っております。
 そのときに、今それぞれの財源と言いましたけれども、例えば国の直轄負担金をただ単に廃止するということをいたしますと、国の直轄の部分の事業費が総体として減るという解も1つ可能であります。そうすると、まさにこれからその直轄で和歌山県の事業をやってもらわなきゃいけない順番になっている和歌山とか宮崎みたいなところは、割を食うという可能性もあります。そうすれば、我々がいただいている例えば補助金もあります。こういう問題との中で、全体として役割分担をきちんと決めるというのが真っ当な議論なのではないかというのを私は10年前から政府の白書に書いて提言をしているんですけれども、なかなかできていません。まさに今、千載一遇のチャンスだというふうに思っております。
 ただ、その中で、白状いたしますと、私は、工事に直接関係のない庁舎管理費や人件費が──まあ人件費はともかくとして──間接的な経費、こういうものを負担金として我々も負担していたということについて余り理解をしていませんでした。これは、正直に申し上げまして理解が足りなかったというふうに思っております。これは、たとえ議論がどうであろうとも、工事と関係なく我々が払わされるというのは、これは理屈が合わないんじゃないかというふうに思っておりますので、これこそ一番初めに改革すべき議論だと思います。第1の全体の話は、いろんな議論があると思いますので、きっちり議論をしていけばいいと思います。
 それから、その直轄負担金事業が制度として改正されるまでの現実の運用として、例えば箇所づけについては、県も地方も何も望んでいないようなものを国が勝手にやって請求書を送ってくるというのはおかしいと思うので、箇所づけについてちゃんと合意をしてからやろう、それから中身について、県でやると随分安くできるのにという方法を国があえてやってるとすると、それを直してもらわないかんということもありますので、それも直してもらおうと、それも同意をしてからやろうということを私は申し上げてるところであります。
 この考え方、一貫して申し上げてるんですが、今どうなっておるか、御質問でありますが、少しこの流れから乖離している感じもあって、非常に残念だと思っております。つまり、負担金の対象範囲について、対称性を議論しようというような感じが強いわけです。そうすると、補助金でもらってないところについては払わんとこうじゃないかということばっかりが今議論されてるな。それから、補修というのは、地方分権の観点から地方に任せろというような議論もあったんですが、その補修だけ何とかしてくれればいいかというような、それも対称性の議論から出てくる議論なんですが、そういう議論にやや矮小化されているかなということで、私もいろいろ努力はしてるんですが、なかなか思うようにいかないというのが現状であります。
 これは、近畿の知事会でも議論して、橋下さんなども若干枝葉末節になってるなということを感想としては漏らしてますが、私としては、「あなたの発言が枝葉末節のところだけ取り上げられるというところもあるのだから、大いに根幹のところをあなたも議論するようにしないといけませんよ」と言ったら、「まあそうだなあ」とは言ってるんですが、なかなかマスコミの言論を通じて出てくる情報が違ったことになるという可能性もあると思っております。
 それから、2009年度分の負担金支払いの減額についてということでございますが、私は、少なくともこの国の直轄負担金についての本質論というのはわかってるつもりですから、常に箇所づけについて、どこで何をやってもらうかということについては、やってもほしくないようなところをやってもらうというようなことは一切許してきた覚えはありません。したがいまして、どちらかというと、もっとやってくれというのが和歌山県の状況でありましたので、したがって、先ほど申し上げました箇所づけについて、橋下さんの言葉で、やらずぼったくりみたいな話は一切ありません。
 ただ、その中身の議論として、県と同じような方式でやってるかどうかということについては、改めて精査をさしていただいていて、それで大体同じような方式であるというならば、それはもともとやってほしいというとこでありますから、払うべきだと思っています。そうでなくて高いというんなら文句を言うべきだと思います。ただ、知事会では足並みをそろえてくれというような議論もありますので、その動向も注意しながら今後やっていきたいと考えております。
 それから、教育についてでありますが、教育問題に取り組む姿勢については、これは私は非常に大事だとずっと思っております。例えば、県全体で和歌山県の未来を語る、これは長期総合計画でございますが、それのこれからやらなきゃいけない対策のトップに、和歌山県の未来を開くひたむきな人間力をはぐくんでいこうというような、そういう目標を掲げて、政策についてもそれを真っ先に書いておる次第であります。中でも、学校教育におきましては、その1、確かな学力と健やかな体づくり、2番目は、市民性を高め、勤労観・職業観を育む教育の充実、3番目、郷土への愛着を育む教育の充実というのを3つの柱としておりまして、これを推進しようと考えているところでございます。
 学力テストについては、これについては、私も、学力が低いということについては、もちろん好ましくありませんので、高くなってほしいと思っております。そのために、どこが弱いかということについても、我が教育委員会は非常に的確な状況把握をしています。国語における考える力が弱い、それについては、じゃ、どういうふうにするかということについても、教育委員会挙げて、また学校教育界挙げて取り組んでくれてると考えています。
 テストの点も上がったらいいんですけれども、例えばテストの点を上げるにはどうしたらいいか、私はその答えを知っております。よくない上げ方でありますが、模擬試験をしたらいいんであります。上げろということだけを例えば県知事が声高に言うということが学校教育界にどういう影響を与えるかということについては、慎重でなければいけないと私は思っておりますので、そのようにしたいと考えております。
 実は、橋下さんともそういう議論をしまして、橋下さんがなぜ競争とか公開とかそういうことを言うかというと、私のようなポジションに彼は今ない。なぜならば、文部科学省の言いなりになっている教育委員会と、組合の言いなりになっている教育委員会で、ちっともまじめにやってくれない。それならば公開をして、外部の力を入れて、一番大事なのは読み書き計算みたいなものを全く無視しているような教育ではないかというのが彼の考え方なんで、わざと言ってるんだというようなことを言うておられました。
 和歌山県においては、信頼できる教育委員会のもとに先生方が頑張ってくださると思いますので、ひそかに声援をして、必要な対策を怠りなく打ってまいりたい、そんなふうに考えております。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 仮に直轄負担金が廃止された場合のお尋ねでございます。
 仮に廃止されたといたしましても、地方は真に必要な道路を要望することですし、国は地方の意見を聞いて事業を実施するものと考えております。
 その上に立ってですけれども、議員御提言の資源配分についてのルールづくりについてですが、これまで公共事業の必要性、優先順位、そういったものに係る客観的指標について、国でさまざま議論が進められております。例えば、道路事業を行う前提となる費用対効果の指標については、これまでも、時間短縮効果、経費減少効果、交通事故減少効果、こういった3つの便益で評価してきたところでございます。
 しかしながら、本県のように道路整備がおくれている地域においては、県民が強く求めています災害の対策の効果、救急医療へのアクセスの効果、観光振興などに係る便益、こういったものも加えるべきであると提案してきてございます。さらに地方では、道路整備によるチャンスが生まれ、新たな交通需要が発生することから、地域の持つポテンシャルを評価すべきである、こういった訴えをするなど、国のルールづくりにもかかわっているところであります。
 今後とも、地方における社会資本整備の必要性が適切に評価され、しっかりと資源配分していただけますよう、こうした取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 危機管理監森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○危機管理監(森 崇君) まず、新型インフルエンザの今回の一連の対応についてでございますが、メキシコ等での豚インフルエンザ感染拡大を受けまして、4月27日に本庁及び保健所内に相談窓口を設置いたしました。翌28日、WHOが警戒フェーズを4に引き上げ、新型インフルエンザの発生を宣言いたしましたが、このことを受け、知事を本部長とする県新型インフルエンザ対策本部を、また振興局にも支部を設置し、第1回本部会議を開催。各保健所への発熱相談センターの設置や今後の対処方針について確認し、県民への正確な情報提供に努めたところです。また、2次感染予防の観点から、5月1日、医療機関の協力を得て発熱外来を設置いたしました。
 5月16日、国内初の感染者の発生を受けて第2回本部会議を開催。相談窓口の24時間対応や県内発生に備えた体制について確認いたしました。5月27日、和歌山市における県内初の発生を受けまして、第3回の本部会議を開催。感染者等の経過や住民への情報提供、社会対応などを確認いたしました。迅速かつ適切な対応により、感染拡大を防止できたものと考えております。
 関係課室の連携でございます。
 関連情報の共有や、また危機管理局、健康局、教育委員会等、主要関係課による協議や各保健所間の情報交換などを通じ、連携を図ったところです。
 次に、御提案のBCP、業務継続計画についてでございます。
 その必要性は感じておりまして、本県では4月に行動計画を改定いたしましたが、これは強毒性のインフルエンザに対応する計画であり、今回のような弱毒性に対応した計画についても早急に検討を行いたいと考えております。また、感染拡大時に行政運営が支障を来さぬよう、BCPの策定についても検討を進めたいと考えています。
 市町村との連携につきましては、県本部から市町村に対し小まめに情報提供を行い、意思疎通を図りました。特に和歌山市との関係でいいましたら、新型インフルエンザが発生した場合に備え、事前に調整会議を行い、相互の情報伝達等についての確認を行っておりまして、実際の発生に際しては、事前の調整内容に基づき、適切に対応できたものと考えております。
 最後に、ケースワークについてでございます。
 御指摘のとおり、大阪府や兵庫県等への現地調査により、その対応も参考にし、多数の患者が発生した場合におきましても的確な連携がとれるよう、対策本部の事務局体制のさらなる強化や市町村等の関係機関との連携強化など、秋以降に懸念される第2波に備えた感染拡大の防止に努めてまいります。
○議長(大沢広太郎君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教育委員会における新型インフルエンザの対応についてお答えいたします。
 県新型インフルエンザ対策本部の決定を受けまして、学校を休業する必要がある場合の対応につきましては、県立学校や市町村教育委員会に即時連絡がとれる体制をあらかじめ整備しており、学校から各家庭への連絡につきましても、担任からの電話連絡や連絡網の活用など、各学校の実情に合わせ連絡体制を整備するよう指導してきたところでございます。この連絡方法を活用しまして、今後とも学校や家庭との連携を図り、休業期間中の児童生徒の健康管理や学習の指導などについて、十分な対応がとれるよう取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、教育関係についてお答えいたします。
 日本の教育が置かれている状況につきましては、議員御指摘のとおり、日本の教育予算額のGDP比がOECD加盟国の中で際立って低いということは、かねてから指摘をされてまいりました。そうした状況の中では、限られた予算をできるだけ効果的、効率的に活用し、教育にとって最大の財産であります人、すなわち教職員や児童生徒のやる気や情熱、力量を高めること、そのための環境づくりに努めることが要求されていると認識をしてございます。
 次に、全国学力・学習状況調査の意味につきましては、子供たち1人1人の学力の実態、各学校における指導上の課題を明らかにし、指導や授業の改善に生かすこと、またその分析結果を本県や市町村の教育政策に反映させることにあると考えております。
 調査結果の公表につきましては、各学校、各市町村が調査の意義を十分に踏まえ、それぞれの権限と責任において行っていただき、保護者や住民の方々の理解、協力を得て学力の向上に生かすべきものと考えます。
 また、調査結果を生かす取り組みといたしましては、1つは、テスト結果をきめ細かく分析するためのツール、コンピューターソフトを教育センター学びの丘で独自に開発をして、各学校に配付をし、その分析結果をもとに全職員で改善策を話し合い、実践する取り組みを進めてございます。
 2つ目に、確かな学力の基礎となる言語力を高めるため、読書の推進、国語科のみならず全教科で言語力を高める指導法の開発・実践、きのくにジュニア文芸賞の創設による創作活動の促進、編集者やアナウンサーなど言葉にかかわる専門家を学校に派遣をしまして、言葉の大切さ、すばらしさなどについて直接指導を行っていただくといった言葉の力を育成するプログラムなどを展開してまいります。
 さらに3つ目に、研究授業の実施や課外での学力補充の取り組み、授業規律の確立、読書や宿題等による家庭学習習慣の定着など、学力向上につながる具体的な取り組みについて、御指摘いただきましたように県全体で100%の実施を目標にいたしまして、その実施状況を明らかにしてまいります。
 次に、課外での学習指導における私塾との連携についてでありますが、本県では、ほとんどの小中学校におきまして、休憩時間や放課後等を利用した補充学習が行われております。また、長期休業中などを活用した学習等も約60%の学校において実施されており、学校を支援する地域共育コミュニティの取り組みにおきまして、大学生など外部人材の協力を得ている学校もございます。また、高等学校や小学校の外国語活動などに関しましては、私塾との連携が行われております。
 本県では、学校、地域が一体となって子供たちの育ちと学びを支える体制づくりを進めているところでございますので、それぞれの地域の特色や実情に即して、私塾も含めた幅広い外部人材の協力、参画が広がることは大変意義深いことと考えます。
 これまで校長会や市町村教育委員会などにおきまして、学力や健康、体力を高めること、豊かな人間性を養うことは教育の基本的な使命であると申し上げてまいりました。本県の教育は、この使命感に基づき、教職員や子供たちにとってやりがいと喜びの持てる取り組みを基本に、明確な目標を持って教育振興基本計画の実現に向け努力してまいりたいと考えます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) この際、申し上げます。発言時間は残り1分26秒であります。再質問をされますか。
  〔「はい」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許しますが、簡潔にお願いします。
 41番山下大輔君。
○山下大輔君 御答弁いただきましてありがとうございました。それぞれ誠意ある御答弁で、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 1点だけ、もう要望です。
 知事に御指摘いただきましたように、本当に和歌山にはすばらしいものもたくさんあると。私も今まで誇るべき地域の資源、地域の取り組みということを口を酸っぱくして言ってまいりました。ただ、1つやっぱり心配なのが、和歌山で「いいよ。いいよ」と幾ら言ってても、相対的な比較で全国で認められることによって、やはりその価値というのがしっかりと外部にも発信されるんじゃないか。そういう部分では、外との比較ということなしに井の中のカワズでは、やはり和歌山の本当のよさというのは生きてこないと。そういう部分では、知事御自身も日本国内だけにとどまらず世界的にもいろんな活躍をされてきているわけですから、そういった分で和歌山をどう売り出すかということも含めて、和歌山の価値を高めるための努力というのをしっかりとしていっていただきたいと思います。
 私自身も外部のことだけじゃなくて、もっともっと地域にある資源、地域の取り組みということにスポットを当てながら、これまで以上にまた議会で提言もさしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山下大輔君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時59分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(山田正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 17番岸本 健君。
  〔岸本 健君、登壇〕(拍手)
○岸本 健君 議長にお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 先日、このようなお手紙をいただきました。
 「これは1年前の話であります。私の家の近くに聴覚障害者の夫婦がおられました。お2人は夫婦仲もよく、近所づき合いもよく、みんなから慕われており、私も農作業しているときなど、今度新しい自転車を買ったので見てほしいとか、身体障害者で沖縄旅行へ行くとか、今ある話題を笑顔で手ぶり、わからないときは土の上に文字を書くなどしますが、大体のことは書かなくても理解できました。町の身体障害者グラウンドゴルフ大会、その中でホールインワンをしたと私に大喜びで話をしてくれました。 その後、どうしているのかなと思っていますと、医大へ入院したと聞きました。妻とお見舞いに行ったのですが、待合室で30分待ち、車いすに乗って看護師さんに付き添われて待合室に来られました。病気のせいもあったのか、今までの様子とは全然違っていました。私たちであることを気づくと、笑顔を出し、喜んでくれました。しかし、看護師さんが言うには、『この方は私たちになかなか心を開いてくれず、食事も余りせず、意思の疎通ができていない』。病院には多くの人が入院して、仕事も忙しく大変ですが、もう少し愛を持って接してほしいと思いました。 そこで、医大に手話ができる人は何人いるかと尋ねると、総合案内に1人で、各病棟には1人もいないと聞き、大変な驚きです。人間は生まれながらに平等であり、入院したなら先に温かく迎え入れ、心の病を治すことが先で、次に病気を治すことが大切で、病状をどのように医師に伝えるのかを疑問に持ちました。その後、待合室の中では、私たちに心を開き、いろんなことを話されました。食事は3回きちんと食べて、薬も飲んで、早く退院してほしいと切々と話をしました。 家に帰ると、いても立ってもいられず、医大、和歌山県に対して、病院に手話通訳士がどうしても必要であると何回も何回も電話をしましたが、予算等のことなどでと言われ、よい返事はいただけませんでした。その後、その方は亡くなられ、奥様も後を追うように亡くなられました。とてもつらい話です。ただ、お通夜、告別式と紀の川市から通訳の方が来ていただいたことは頭の下がる思いでした」と、このようなお手紙でした。
 私の地元、紀の川市では、平成18年度に施行された障害者自立支援法を受け、平成19年度から手話通訳士を3名体制で支援を行っています。また、平成20年度では1100件の対応件数のうち、約650件が庁舎外での付き添う形の手話通訳を行っているとのことです。特に多いのは病院などへの受診、このほか学校の先生との面談、各種会合への参加、行政機関などへの手続や生活全般への支援を行っています。また、現在22名の資格を持った登録手話通訳者を確保し、同じ日に複数の依頼や職員対応が難しい場合は派遣を行い、対応しています。
 和歌山県において、障害福祉課に1名、各振興局に計8名で、週29時間、週4日の非常勤職員がおられます。聴覚障害のある人の来庁時における手話通訳や県が主催する講演会等における手話通訳などに対応していただいているようであります。
 和歌山県と市町村との対応は規模等で違うかもとは思いますが、突然の対応については困ることが多いように感じました。県有施設については、学校関係を除けば7割、8割はバリアフリー化が進んでいて、今後の耐震化の工事の中でバリアフリーを進めていくとのことであります。ハードについては着実に進んでいくと感じますが、ソフトについては追いついていかないようにも感じます。
 公立大学法人和歌山県立医科大学附属病院は、県内外において重要な病院であります。私のような田舎者にとっては、「医大で診てもらったら大丈夫」のような考えもあります。しかし、このような状況を見ますと少し考え方が変わってまいります。
 和歌山県のホームページを見ますと、トップページの右側に仁坂知事の笑顔の写真があります。その上に、「わかやま医療情報ネット」という項目があります。ここでは、さまざまな条件を入れ、病院を紹介してくれます。大変すばらしいシステムであると感心しました。また、毎月の「県民の友」で、「お気軽にどうぞ」ということで、医療安全相談の電話番号が掲載されています。しかしながら、インターネットをしない聴覚障害者ではどうでしょうか。どちらも何の意味もないものであります。それぞれの立場に立って、その人の目線になって、さらなる広報活動をお願いしたいと思います。
 今回は、特に和歌山県立医科大学附属病院での先ほどの話でありますが、総合案内に1人、各病棟には1人もいないということでありました。看護師不足など、看護師の皆さんは大変忙しく頑張っておられる中、これ以上の負担を強いるわけにはいきません。聴覚障害のある通院患者の場合は、付き添いという形で手話通訳士さんがつくことがあります。
 そこで、和歌山県立医科大学附属病院における手話通訳士の配置並びに各病院における聴覚障害がある入院患者への対応について、また突然の状況にどう対応できるのか、福祉保健部長にお伺いします。
 次に、学校給食についてお尋ねいたします。
 私は、本来、食育というものは家庭で親が子に教えるものである、教えるというより家族で食事をしながら自然と身につくものであると考えます。平成17年に食育基本法案が成立した際に、どうして法律なのかと感じたことがありました。しかし、法律の背景を考えますと、食を大切にする心の欠如、栄養バランスの偏った食事や不規則な食事の増加、肥満や生活習慣病の増加、過度の痩身志向、食の安全上の問題の発生、伝統ある食文化の喪失、以上のようなことが挙げられ、つくられました。
 確かに、近年、ライフスタイルの変化、食生活の変化で、なかなか食育というのは難しいかなと感じるようになりました。やはり毎日の学校給食の役割が大きくなっています。まさに学校給食での食育は、食習慣、食文化を身につけ、健全なる人間を育成する場になっているのであります。
 しかし、矛盾を感じるときもあります。学校給食では、昭和21年から給食に牛乳が登場します。当時は脱脂粉乳であります。その後、現在のような牛乳に変わってきます。
 このような話があります。ある小学生の食事でありますが、お茶ではなく牛乳を飲むというので、おかしくないかと感じました。そうすると、学校では御飯と牛乳やというのです。確かに、私も牛乳給食を受けたものであります。しかし、お茶漬けをするときにお茶というのはわかるが、御飯に牛乳はかけないだろうと話し、また、学校で牛乳を飲まないのも困ると思い、しっかり食べてから牛乳を飲みなさい、そして家ではお茶にしなさいと言ったそうです。
 教員当時に感じたことがあったのですが、好き嫌いはよくない、出されたものは残さず食べる、お米は残さないと親から言われたように思います。私も自分の子供にはそう言います。しかし、学校給食では残してもいいのです。確かに、食物アレルギーなどがあってはいけないとは思いますが、好き嫌いなのかアレルギーなのかよくわかりませんでした。学校と家庭の食育の違いを感じます。学校と家庭との食育の違いを埋めなければならないのではないでしょうか。
 「東京新聞」にこのような記事がございました。「麦ご飯、納豆、焼き魚、おひたし。そんな純和風メニューにも、学校給食では必ず牛乳がついてくる。けんちんうどんの日も、麦ご飯と切り干し大根の日も、ちらしずしの日も、飲み物は牛乳。これってよく考えるとちょっと変? 最近、この組み合わせを見直す動きが出てきた。『あー、喉が渇いた!』。東京都千代田区立九段小学校。2時限目を終えた中休みに校庭で遊んできた子どもたちが、教室に戻って牛乳をおいしそうに飲み干す。そして給食の時間、牛乳の代わりに出たのが冷たい麦茶。それも、生麦を5年生が家庭科の授業で煎った手づくりの麦茶だ。夏休み前のある日のメニューは、まぜご飯、けの汁、魚の姿煮、茎ワカメと小魚の温菜といった純和食。これにはやっぱりお茶が合う。 同校では昨年2月、『和食に牛乳は合うのか?』という素朴な疑問から、給食時に出す飲み物をお茶にする試みを4日間だけ行った。『ただしカルシウム補給の観点から牛乳は外せない』と中休みに飲ませたところ、寒い季節だったため低学年では3時限目にトイレに駆け込む児童が何人か出た。そこで今年度は夏、秋、冬、春先と季節を変えて再試行することに。結果、夏休み前の4日間は大好評だった。同校の栄養教諭・鈴木さんは『戦後、給食が始まった当時はミルクで栄養をつけるという目的があったが、今はむしろ摂取過剰で、海藻や豆類などを使った食物繊維豊富な和食が見直されている時代。『和食にお茶』という日本の伝統的な食文化を伝承し、一方では牛乳も仕方なく飲むのではなく運動した後など飲みたい時に“おいしいな”と思って飲んでほしいと思って始めてみたが、集中力が4時限目までもつなど、予想以上の効果が出ている』と話す。 福島県喜多方市立のある小学校でも、5年前から給食時に牛乳を添えていない。ただし、牛乳は放課後に飲む。同小は18年前から、地元産の有機栽培米を使った完全米飯給食。『和食献立に牛乳は要らない』と栄養士の坂内さんはきっぱり言う。『組み合わせも合わないし、低学年は汁物の量が多すぎておかずやご飯を残してしまう。牛乳を放課後にしてからは、残す量も減りました』」。
 いつまで牛乳給食が続くのか。そもそも牛乳給食が始まったのは、子供たちの成長には動物性たんぱく質が欠かせないという主張から採用されたのでした。現在も必要なのでしょうか。私は、決して牛乳を飲むなと言っているわけではありません。私は牛乳が好きです。朝も飲んできました。学校と家庭との食育の連携はどのようにすべきか、また、牛乳給食についてこのまま続けるのか、食事の時間とは別にするのか、どのようにお考えですか、教育長にお伺いいたします。
 食文化の多くは、その地域でとれる農産物を食材として利用することで成り立ってまいりました。その地で生産される農産物は、昔からそこに住む人にとって体に一番合っていると言われております。これが地産地消の本来の目的であると思っています。学校給食で地産地消をしていくことが重要ではないでしょうか。学校給食に地場産品を活用することは、新鮮で安全な食材を確保することにより安心・安全であるということ、地元の産業に直接還元される経済効果、また学校教育の中で、総合学習や給食指導などで子供たちが生産者と交流し、食の大切さを知り、地元の産業を学ぶことなどで地域理解や郷土、伝統食文化への関心を深める機会になるのではないでしょうか。
 学校給食は、市町村の教育委員会の役割であります。給食現場で県外産品や輸入品ではなく地場産品を優先的に使うには、既存の食材流通を変えなくてはなりません。行政が動いて、きちんとした調査のもとで流通計画をつくれば地場産給食が実現するのではないでしょうか。県内だけではなく、安心・安全、そしておいしい給食のブランド化をし、産地を持たない都市部と契約すれば、自給率はもちろん、和歌山への経済効果も考えられるのではないでしょうか。
 地場産物の活用状況については、品目ベースは平成16年度31.6%、平成17年度33.7%、平成18年度29.4%、平成19年度22.0%と、どちらかというと自給率は下降傾向にあります。平成19年度については全国平均の23.3%を下回る結果であります。もちろん、限られた数の学校への調査でありますし、県内各市町村でも地場産の使用率にも格差があります。この結果がすべてではないでしょうが、余りに悪い。和歌山県の基幹産業は農業であります。この結果は情けないと感じます。
 「食べて元気、わかやま食育推進プラン」では、学校給食における地場産物を使用する割合を平成23年度までに40%に増加するとしていますが、本当にできるのかどうか心配であります。県内産だけでというのは季節や価格等に問題があるかもしれませんが、できるだけ県内産、地場産を使っていただきたい。
 和歌山県の栄養教諭の配置について、平成19年度、20年度は3名に対して、21年度は10名と増員されていることは大変すばらしいことであります。できるだけ栄養教諭の方などの現場の声を教育委員会は聞いていただきたいと願っています。
 未来を担う子供たちにとって、食育、とりわけ学校給食は大切なものであります。私は、食のプロである農林水産部と子供たちの未来をつくる教育委員会とが協力をしながら進めていくべきだと考えています。食育推進にかかわる打ち合わせ会議というのを、JA中央会、県教育委員会健康体育課、農林水産部果樹園芸課と昨年2回、本年度1回と会議をしているとのことですが、さらに連携を密にしながら取り組むべきではないでしょうか。
 私は、教育委員会にも農林水産部にも食育や学校給食についてお話を聞き、いろいろと勉強させていただきますが、どうも温度差があるように感じます。この大きなテーマについて、お互いの思いが違い過ぎるように感じます。たまに聞くことがあります。県庁は横の連携がとれていないのではないかと。また、残念ながら私も感じたことがあります。本腰を入れてプロジェクトチームをつくり、本格的に取り組まれてはどうでしょうか。
 このように強い連携をして取り組むお考えはあるのか、教育長にお伺いいたします。
 また、地場産の食材の確保について、県教育委員会、各市町村の教育委員会でどのような取り組みをしているのか、より具体的にお答えください。
 次に、県立高等学校入試の日程についてお尋ねいたします。
 2007年度に導入された和歌山県立高校入試の前後期制廃止が昨年の9月に決まりました。2009年度入試から1回のみの一般選抜試験となります。一般選抜への移行は10年度以降の計画でしたが、教育長の英断により決定となりました。
 前後期制は、推薦入試を受験できない生徒の間に募った不公平感の解消が目的でありましたが、2008年度前期では7417人が受験し、3990人が不合格という、考えられない結果になりました。1回の選抜試験ならば合格圏内にいる生徒が、前期で志望校に落ち、ショックで同じ学校を受験できないというお話をたびたび聞くことがありました。中学校では、学級運営が困難に陥る問題も生じたようであります。
 この決定につきましてはさまざまな御意見があると思いますが、私は大変すばらしい決定であったと考えています。
 大半の中学3年生にとって、生まれて初めての入試ということで、精神的に不安になり、緊張や不安で落ちつかない状態になってしまうことは少なくないと思います。高校入試を気にして、合格しなかったらどうしようかと落ちつかず、勉強に集中できないようでいらいらする、焦りが出てくる、この状況から逃げ出したい。子供にとっては初めての試練であります。また、中学生にとって高校入試は1つの目標であり、それに向けて一生懸命努力し、乗り越えていく経験をすることも必要であります。
 中学校3年生といえば思春期でもあり、子供たちは心身ともに不安定で、精神的にも不安感が増し、とても難しい時期にいると思われます。その上、初めて体験する高校受験や、それに伴う勉強のストレスは相当大きいことだと考えます。
 和歌山県立高校の入試は、卒業式を終えて数日後に一般選抜学力検査、そして合格発表となっています。大変不安な気持ちで卒業式を迎えなければなりません。子供たちにとっては義務教育最後の卒業式です。学力検査、そして卒業式、合格発表としてはどうでしょうか。合否の不安はあるかもしれませんが、入試を終えて晴れ晴れとした気持ちで卒業式を迎えさせてほしいと願います。
 近畿地方では、京都府、奈良県、滋賀県については高校入試の後に卒業式を迎えています。合格発表前は全員が同じ気持ちなので、子供にとってもいいのではないでしょうか。
 入学者選抜の日程について、義務教育の最終段階を迎えている中学生にとっては、この時期にこそ勉強に力を注いだり、皆が力を合わせて行事に取り組むなど、充実した学校生活を最後まで全うすることが大切だと考えます。今まで以上に入試の事前準備や当日の指導を充実し、生徒を心理的に安定させることができるのではないでしょうか。また、教員や友人と過ごす時間がふえ、生徒指導の充実につながるということはないでしょうか。そして、授業時数の増加が考えられるのではないでしょうか。
 他県のある市では、学習指導要領の定める標準時数をクリアできていないケースもあると聞きます。幸い和歌山県内の中学校では、中学3年生の授業時数980時間に対して1000時間を超えているとのことであります。現場の先生方の努力によるものだと考えます。
 しかし、平成24年度以降、新課程になり、授業時数が1015時間になるとのことであります。中学3年生にとっては、学校行事等も多く、大変厳しい状況も考えられるのではないでしょうか。授業時数確保のためにも変更をしたらどうでしょうか。
 高校入試の日程について、学力検査、そして卒業式、合格発表という流れに変更できないのか。昨年同様のすばらしい決断をお願いしまして、教育長の御所見をお伺いいたします。
 最後に、中高一貫教育についてお尋ねいたします。
 現在、県内の中高一貫教育校につきましては、連携型を3校、併設型を5校設置されています。設置率としては全国的にも非常に高い設置率で、和歌山県は先進県であるとも考えられますが、教育長は以前に「県内すべての地域の要望を満たすまでには至らないものの」という答弁をされています。そのとおり、希望を満たしておりません。このことを考えると、果たして先進県なのかと首をかしげてしまいます。
 県立高等学校再編整備計画案への県民意見募集(パブリックコメント)等の概要とこれに対する和歌山県教育委員会の考え方、これを拝見しました。「中高一貫教育校の設置について」という項目を見ますと、やはり設置していない地方から設置の要望が出てきています。
 さきの和歌山県長期総合計画策定に際し、市町村長等の意見聴取の会議を開催された際、岩出市長と紀の川市長が協議をして、ぜひとも那賀地域に中高一貫校を設置していただきたいとの意見が出されたと伺っております。岩出・紀の川両市民、保護者の皆様が強く要望しているからであります。また、本年度はこれからでありますが、昨年9月4日に那賀地方PTA連合会進路対策部との懇談会をお持ちいただき、懇談会の中で、那賀地方PTA連合会進路対策部から中高一貫校の設置要望があったとも御承知いただいていると思います。
 和歌山県内の人口が減少している中で、特に中学校3年生の人口の推移を見ていきますと、県全体としては急激な減少傾向が見られますが、那賀地方についてはほぼ横ばいで推移しております。また、平成16年度から21年度については、県立中学校への入学者がほぼ毎年増加しています。それだけ希望者が多いと推測できます。那賀地方と海草地方については、普通科だけしかないためか、さまざまな要因があると思いますが、ほかの地方へ流れる生徒が他の地方と比べて異常に多いようにも考えられます。子供たちは地元の学校へ通えることが一番いいのではないかと私は考えます。
 昨年の6月の一般質問、教育長は、県立中学校のあり方について評価、分析を行うなど、検証のための委員会の設置を進めていると答弁をいただきました。ようやく中高一貫教育協議会なるものを立ち上げられたと聞きました。そして今春、中高一貫校では最初の卒業生が巣立っていきます。この結果も踏まえ、検討されると思います。
 教育長は、以前、同僚議員の質問に「第1期実施プログラムが終了する平成21年度以降につきましては、既設校の教育内容やそのあり方について、一定の時間をかけて評価、分析を行います」と答弁されています。今度はどれくらいの時間をかけて検証されるのでしょうか。設置を希望する子供たちはいつまでも待つことはできません。
 教育長は、「今後の第2期実施プログラムの中で、地元市町村や保護者、学校関係者等の意見を幅広く多角的に伺うとともに、地域の実情やニーズ等を勘案し、未設置の地域について総合的に検討してまいりたいと考えております」とも答えられています。
 那賀地方には公立高校が3校もあります。那賀地方に中高一貫校の開設計画がないのは大変不思議であります。地元の皆様の意見を尊重され、第2期実施プログラムの中に位置づけをし、ぜひとも那賀地方に開設されますようにお願いを申し上げます。
 最後の質問であります。中高一貫教育協議会について、構成や、どのような協議をされ、どのような進め方、また位置づけなのか、教育長にお伺いをいたします。
 以上をお尋ねしまして、私の質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山田正彦君) ただいまの岸本健君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長北田佳秀君。
  〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 和歌山県立医科大学附属病院における手話通訳士の配置並びに各病院における聴覚障害がある入院患者への対応についてでございます。
 県立医科大学附属病院には手話通訳士等は配置されておらず、現在、配置する予定はないとのことでございますが、市町村が実施主体となるコミュニケーション支援事業や和歌山県聴覚障害者情報センターを初めとする関係団体の手話通訳士等派遣制度の活用を検討し、患者さんによりよい医療サービスが提供できるよう努めるとのことでございます。また、県立医科大学附属病院を初め県内の各病院には、聴覚に障害のある方の入院時における対応として、読みやすい文章、イラストなどを使った筆談や身ぶり手ぶりといった方法で意思疎通を図っているところでございます。
 なお、入院患者が緊急に手話通訳士等を必要とする場合の対応は、既存の派遣制度では困難な状況でございます。県といたしましては、各病院に対し、聴覚に障害のある方の視点に立って、手話通訳士の関係団体と連携した対応を依頼してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 学校と家庭との食育の連携及び給食における牛乳についてお答えいたします。
 学校給食を通じて子供たちは食事のマナーや栄養バランスのとれた食事のとり方等を習慣づけることができ、これを生きた教材として活用することは望ましい食習慣が身につくことと考えます。このような学校給食の意義や家庭における食生活の大切さを啓発するため、従来から給食だよりの作成や試食会の開催を通じ、各学校で取り組んでまいりました。今後とも、一層保護者の食育への関心を高め、学校、家庭、地域が一体となった取り組みを推進してまいりたいと考えます。
 また、学校給食における牛乳の提供につきましては、日常の食生活におけるカルシウム不足を補うため、成長期の子供たちにとって大変重要であると考えております。
 なお、提供方法や献立内容、調理方法等については、議員御指摘の例も踏まえまして、今後、さまざまな工夫ができるよう研究してまいります。
 次に、学校給食への地場産物の活用につきましては、学校における食育の推進の大きな柱と考えております。御質問の平成16年度から平成19年度の調査結果につきましては、県内8カ所の抽出調査でありまして、調査対象となる施設すべてを平成20年度に調べたところでは、28.6%という結果を得ております。
 「食べて元気、わかやま食育推進プラン」における目標値40%の達成に向けまして、今後とも食育推進会議を初めとして、さまざまな取り組みを通して農林水産部との連携をさらに強めてまいりたいと考えます。
 また、具体的な例といたしましては、紀の川市において、学校と農業グループ、JAが連携をした学校給食への地場産物の活用を推進している先進的な取り組み例等がございます。このような取り組みを県内に広く紹介し、学校給食への地場産物の積極的活用を推進してまいります。
 次に、高等学校入学者選抜の日程につきましては、特別選抜、一般選抜、追募集及びそれらに係る入試事務に要する期間などを勘案して決定をしてございます。
 議員御指摘のように、中学生にとって、卒業式を含め義務教育最後の学校生活を有意義に送ることは大変重要なことであると考えます。このたびの入学者選抜のあり方については、県立学校長会、中学校長会、県立高等学校入学者選抜協議会等におきまして御意見を伺い、現在検証を行っているところです。
 今後も、この制度がよりよいものとして定着していきますように、多方面からの意見を聞くとともに、他府県の状況等も把握しながら、入試日程について必要な検討を行ってまいりたいと考えます。
 次に、中高一貫教育校につきましては、県立高等学校再編整備計画の第1期実施プログラムなどに基づきまして、現在、連携型3校、併設型を5校設置しております。併設型の中学校につきましては、平成16年度に設置して、今年度初めて高等学校の卒業学年を迎えたところでございます。
 このような中、中高一貫教育による成果や課題等について検証を進めるため、有識者の方と設置地域の教育委員会及び公立中学校の代表の方や県立中学校の管理職等による中高一貫教育協議会を設置いたしました。先般、1回目の協議会を開催したところでございますが、今後、現在設置されている学校の教育内容やそのあり方につきまして評価、分析を行うとともに、県立中学校設置後の地域の状況などについても検証を進めてまいりたいと考えております。
 協議会における検証や、さまざまな御意見等を踏まえまして、県立中学校のあり方や設置について十分に検討を重ね、県立高等学校再編整備計画の第2期実施プログラムの中で適切な対応に努めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 以上で、岸本健君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 26番中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕(拍手)
○中 拓哉君 「なかなか頑張る中拓哉」と、みずからを鼓舞し続けてはや10年になりました。また、本和歌山県議会に送っていただいて丸2年がたちました。一般質問も6回目を迎え、反対討論の2回と勘定すると8回目、ここへ立たせてもらいます。皆さんから激励のやじも飛ばしていただきますし、なかなか緊張もしまして、何回立たしてもうても落ちつかんもんやなと、かように思います。
 ただ、この場に立って、知事さん初め関係部長に質問させていただくその権限を和歌山市の有権者の方が私に与えてくださいました。その御支援への感謝の気持ちをかみしめつつ、県民の福祉が一歩でも前へ進みますように、おのが職責を果たしてまいりたい、かように思います。知事初め当局におかれましても、端的で的確な、誠実な答弁をお願いするところでございます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、質疑及び一般質問に入らせていただきます。
 まず初めに、国の直轄事業負担金問題についてお尋ねします。先輩各位からも順次質問もございまして、御答弁もいただいておりますが、観点変えて私のほうから改めてお尋ねしたいと思います。
 橋下大阪府知事の「ぼったくりバーの請求書よりすごい」、こういう発言で一躍有名になったのが、この国の直轄事業負担金問題でございます。国からも内訳明細が示され、地方分権改革推進委員会がこの負担金につきまして廃止、縮減等の抜本見直しを求め、仁坂知事も4月8日の全国知事会と関係閣僚との意見交換会などで正論を吐露するとともに、本県の来年度政府への予算要望におきましても廃止することとされております。
 また、3月31日に国土交通省から示された「平成20年度地方公共団体への事務所庁舎の営繕費の説明状況に関する点検結果について」と称する資料では、和歌山河川国道事務所、あの汀丁の立派なビルでございますが、移築費29億円のうち本県の負担金9億6000万円が充当されておることが明らかになりました。また、半世紀を費やしていまだに完成を見ない大滝ダムには、平成19年6月に6回目の追加負担として17億8000万円を和歌山県は了としました。都合450億を超える負担を大滝ダムに和歌山県はしております。その根拠を問えば多目的ダム法7条でありますし、道路におきましては道路法50条、河川では河川法60条ということになります。
 このたび、地方の求めに応じて国が示した内訳を見ると、工事費、用地費、測量設計費といった工事関係費につきましてはうなずけるとしても、管理職の人件費や退職手当、共済組合負担金、公務災害補償費、営繕宿舎費といった業務取扱費も負担させられておりますが、昨年度の直轄事業負担金の中に占める国交省分の金額をお示しください。
 また、昨年秋の決算審査でも問題となりましたが、国庫補助事業の場合の使途の基準では随分と厳格な解釈がなされ、国から返還を求められたわけですが、補助金の交付を受けるときに比べ、この直轄負担金の場合は充当される費目に合理性がなく、非対称性が著しいと感じませんか。まるで封建時代さながらに、お上に逆らうな、地方は黙って従えとばかりに自治権をないがしろにしてるじゃないですか。
 折しも、6月16日の全国知事会直轄事業負担金問題プロジェクトチームのアピールによると、適正な負担範囲に見直しがなされないならば21年度の負担金については支払えないと宣言し、4項目の要求をまとめました。7月の全国知事会で正式に決定するとのことですが、せめて補助金のルールとはイコールフッティングであるべきです。当局の考えをお述べください。
 さらに、そもそも国が直轄事業を行うに際しては、関係自治体と協議を持つ事業連絡調整会議が開かれてるのではないですか。その場で業務内容をただしたり、事務費の内訳も尋ねればわかることだと思いますが、何をしていたのでしょうか。お答えください。
 次に、新型インフルエンザのパンデミック対策についてお尋ねします。
 昨年2月の予算特別委員会の折、この問題を取り上げ、当時の井畑福祉保健部長や杉本危機管理監に県の対策をただし、県全体での訓練を提案しました。ことしの2月議会での一般質問では、パンデミックフルーに備えて行政のBCP、県庁版業務継続計画の整備を迫り、県民1人1人のとり得る対策と、それらの周知徹底策及び医療体制の現状をお聞きしました。そして、今回の事態が発生しました。
 4月24日にメキシコで発表され、アメリカでも感染があり、日を置かずWHOでは警戒レベルをフェーズ3から4に引き上げ、新型インフルエンザの発生を宣言、そのまた直後にフェーズ5に引き上げました。日本政府の対応に相まって、本県も対策本部を設置し、今日に至っております。この間、休みなく24時間、県民からの相談を初め、さまざまな対応に当たられた県職員の皆様のお仕事に、この席よりおねぎらいを申し上げます。
 6月12日には、WHOはフェーズ6のパンデミックを宣言するに至りました。さらに、6月19日に厚生労働省は医療対策や検疫体制を見直す運用指針の改定を発表しましたが──きょうはお昼に部屋に戻ると、消防庁からも同じような見直しのペーパーをいただきました。要約すると、感染拡大防止措置による封じ込めは既に困難であり、秋冬にかけての大流行を見越して、感染拡大防止地域と重症化防止地域と分けていたグループ分けをこの際廃止して、原則として患者を入院させずに自宅療養とし、重症者には入院治療を用意する。すべての一般の医療機関での診療などを求めておりますし、運用面ではおおむね県にゆだねられていることが多いとなっております。
 一連の事態の推移を踏まえ、以下の事項についてお尋ねいたします。
 WHOのフェーズ3から6のパンデミックに至る間の本県の対応と今回の感染拡大における教訓につきまして、また、秋冬の大流行、第2波への備えと、今議会補正予算にいろいろ盛り込まれておりますが、その内容については部長からお願いします。
 また、パニックを避ける上で最も重要な県民1人1人に対する広報と啓発につきましては、知事からお答えください。
 次に、自殺対策についてお伺いします。
 この問題も2月議会で取り上げましたが、その折の井畑福祉保健部長の答弁では、今後は、自殺は相談支援体制の整備など社会的な取り組みと、うつ病などの精神疾患への適切な治療により防ぐことができることや、自殺のサインに気づき、自殺予防につなげていくことを広く県民に啓発するとともに、官民の各種相談窓口や関係機関などとの連携を図りながら総合的に取り組んでまいりたいとのことでございました。
 幸い、今回、国の補正予算に自殺対策緊急強化基金が打ち出され、今6月議会にも、基金の設置条例とともに1億2700万円の基金と“命”のセイフティネットワーク事業が計上されておりますので、その内容をお示しください。
 と申しますのも、3月11日の一般質問の折にも述べましたとおり、借金などの多重債務、あるいは事業の行き詰まり、精神疾患を初めとするいろんな病気の苦しみ、家庭不和、いじめや虐待、強姦などによる性被害、失恋、差別、育児ノイローゼ、過重労働、失業、介護疲れなどなど、自殺の要因はさまざまかつ日常なのであります。だれもが遭遇する問題であります。苦しむ人のそばに寄り添い、一緒になって泣いてくれる人が欲しいんです。だれ1人見捨てないぞ、そんな覚悟の人に自分もなりたいとの思いから、自身の脳漿を絞り肺肝を砕くも、解は見出せません。
 「県民の友」の知事の4月のメッセージに、「『誰も見捨てないぞ』という心意気で県政をリードして行きたい」と掲載しているのを見たとき、うれしさが込み上げてきました。論理、理屈をいつも振りかざす知事にしては心もあるじゃないかと。
 解決できない悩みを抱える県民が役所に相談しても、今までは担当の窓口を紹介して終わりでした。その窓口業務の人も、権限以外であれば、我仕事にあらずといって至って事務的でした。しかし、今回の知事の心意気が県庁職員に徹するならば改善されていくものと考えます。
 仕方のないことでも解決せずにおくものかと、困り果てて絶望のふちにある人を必ず救ってみせる、あのドラえもんの秘密兵器のような「どこでもドア」をつくりましょうよ。せっかくこの基金を活用して予算を組むわけですから、その実効性のある具体策をお示しください。
 なお、県の自殺対策連絡協議会の構成員でもあり、日夜自殺予防の電話相談を行っているいのちの電話の全国研修会和歌山大会が、11月21、22、23と県民文化会館を中心に行われますが、記念講演は「違いがあってこそ…」との演題でイーデス・ハンソンさんが講演してくれますし、分科会では20のテーマを用意しております。最終日の全体会の講師は「あやしや小丸」の芸名を持つ児童精神科医の北畑英樹さんで、「笑いは、親子の万能薬」とのお話です。とってもとってもおもしろいですから、皆さんも聞いていただけたらと思います。
 次に、ネットパトロールについてお伺いします。
 平成16年6月、長崎県佐世保市の小学校で、6年生の女の子が同級生の女の子にカッターナイフで殺されるという事件がございました。被害者のお父さんは新聞社の支局長で、奥さんを3年前に既に亡くされておって、上に2人の男の子がおり、記者会見でいろいろ質問に答える姿に痛ましさがにじみ出ておりました。悲しみの中、わざわざ記者会見などしなくてもと思ったものですが、御自身が逆の立場ならお願いするだろうからと、記者ならではの倫理観にじんと来るものがございました。
 事件の発端は、インターネットのチャットによる書き込みのトラブルとのことでした。その後も、携帯電話の学校裏サイトでのトラブルや出会い系サイトによる事件が後を絶ちません。
 昨年6月議会で質問しようと、情報社会論を専門とする群馬大学の下田博次先生の文献を読み、教育委員会にただしたところ、学校裏サイトを持つ市町村それぞれの教育委員会が監視しているので、県教委としてはITリテラシーの向上といった教育に取り組むとのことでした。また、先輩議員への答弁でも、生徒指導担当教員を通じて生徒に指導し、保護者に働きかけるとするものでした。
 そんなに現実は甘くはありません。危機意識が鈍いのではと当時指摘もしてきましたところ、この6月1日の知事の記者会見でネットパトロールを始めるとの発表がありました。今議会の補正予算にも教育連絡調整費の中に、ねっと安全わかやま事業として1128万9000円が計上されておりますが、この事業の決定に至る経緯と、その詳細についてお示しください。
 次に、中津村森林組合の裏金問題についてお尋ねします。6月19日の原議員への答弁で概略はわかりましたので、私からは別の角度からお尋ねします。
 そもそも森林組合は、法律により法人格を付与され、さまざまな優遇を受けております。そこから生み出される山林所得にあっても、しかりであります。一方、公益事業を独占的に請け負うことなどから、毎年行政庁の検査を受けなければなりません。組合の役員には厳しい罰則も、この法律で規定されております。国や県の補助事業では、厳密な検査、検収を受けた後でなければ補助金は交付されません。にもかかわらず、今回のような事件が惹起したことの真相と、そのほかの森林組合に類似する問題のありやなしやについてお答えください。
 また、目的税として徴収されている紀の国森づくり税を原資とする紀の国森づくり基金からも、いろんな事業が行われてるかと思います。そのうち、中津村で行われた事業内容と金額をお示しください。
 一方、緑の雇用事業を初めとする新たな雇用形態や公共調達制度の改革に伴う公共工事の発注など、林業における構造改善とその近代化についてお示しください。
 果たして今回の事件の被害者はだれなのか、その被害は救済されるのか、できればお答え願います。
 最後に、ふるさと納税、ふるさと和歌山応援寄附金についてお伺いします。
 去る6月14日の日曜日、虎ノ門パストラルで開催されました在京和歌山県人会の懇親会に参加いたしました。51年目を迎えたとのことで、和気あいあいの和やかな会合でございました。国土交通省の谷口技監も参加されていましたし、たまたま一緒になったテーブルの方からは、仁坂知事も熱心に応援してくださると喜んでおりました。西代議士、大江参議院議員、二階経済産業大臣、鶴保参議院議員といった政治家のあいさつもそれなりによかったのですが、何より出色だったのは、小野田寛郎元陸軍少尉でありました。御年87歳を数えるも背筋はぴんと伸び、徳川御三家の紀伊藩が江戸屋敷にあっても上下の隔てなく接していたのだから、在京和歌山県人会も、老いも若きも隔てなく、ただ同郷人の1点で純血保持でいこらと、伸びのある、よく通るお声であいさつされておりました。
 昭和53年の早春のまさに小野田さんが発見されたその日に高校2年生だった私は、海南市の小野田の友人宅に遊びに行っておりました。新聞社のヘリコプターが舞い、報道陣が大挙して小野田さんの生家に来ては、御両親にインタビューする場面に遭遇したのであります。小野田さんが郷里に帰る折には、NHKの要請で、海南高校剣道部がはかま姿で剣道部の先輩である小野田陸軍少尉をお迎えしたのでありますが、当時キャプテンを務めておりました不肖中拓哉が鞠躬如としてお迎えしたのであります。おかげで、生まれて初めて全国ニュースに放映されたのでありました。35年ぶりの対面で、そんな思い出話に花が咲く楽しいひとときでありました。
 この県人会の受付には、保田局長を筆頭に県職員の方が、ふるさと和歌山応援寄附の勧誘にいそしまれておりました。知事からも、当然、懇ろなお願いはなされたことと思います。昨年6月の議会でお尋ねしたときの答弁では、電子申請やインターネットによるクレジット収納も整え、全国の県人会に働きかけるとのことでしたし、知事からは、私の提案である坂本冬美さんや竹中平蔵さんにも働きかけてとの問いに対して、寄附獲得に努める旨の答弁でございました。果たしてその成果やいかに、取り組みとエピソードなども含めてお答えください。とりわけ、知事御自身の尽力の成果と今後の方針もお示しください。と申しますのも、何ら手を加えていかないとしぼんでいくのではないかと危惧します。熱意あふれる御決意をお述べください。
 以上、何点かお聞きしまして第1問といたします。よろしくお願いします。(拍手)
○副議長(山田正彦君) ただいまの中拓哉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、新型インフルエンザへの対応のうち、県民への広報と啓発ということをお答え申し上げたいと思います。
 これについては、大事なことは、県民生活や経済への影響を最小限に抑えながら、新型インフルエンザの感染拡大を防止するためにどうしたらいいか。それは、県民や関係者の皆さんが冷静に対応して協力してくださるということが大変大事なんで、そういう観点から、できるだけわかりやすく、あるいは将来どうなりますかとか、そういう立場を御説明したつもりであります。
 一番初めから、対策本部をつくりました後も、とりあえず抑え込みます、それからその後、これで仮にはやりますと、重篤な人を入院させます、さらにもっとはやりますと、これはむしろ別の病気を持ってる人たちをケアしますと、こういうふうにしていかないとしようがありませんというようなことを申し上げました。その前提としては、現在の豚由来のインフルエンザというのはそんなに毒性が強くないから、だから薬をきちんと処方してれば命に別状がないことがほとんどだからというようなことを前提にして今のようなことを考えてきて、かつ県民の皆さんに皆わかってもらわないといけないので、そういうことを申し上げてきました。1回言やいいというもんでもありませんで、なかなかその思いが届かないことがありますので、繰り返し繰り返しそういうことを申し上げてきた次第であります。
 幸い──和歌山県でも患者さんが1人出ましたけれども、これは、こういう考え方をもとにして我々もずっとシミュレーションをしてきたということと、それからたまたま和歌山市でありまして、和歌山市が大変この考え方とぴったりの行動をしてくださった。特に保健所の方々が、初めはとにかく隔離して抑え込むというのが大事でありますから、そういうことを本当に一生懸命やってくださったと思っております。
 他県におきましては、政令指定都市と府とか県とかそういうところが別権限になっておりますので、情報が来ないとかいって大騒ぎになったということはあります。和歌山県でも、和歌山市が保健所の権限においては別権限になっております。そういうことでありまして、まあちょっと情報が来ないということも実はあったんですけれども、市長さんとしょっちゅうホットラインで打ち合わせもさしてもらいましたし、それから情報もきちんといただいて、それで拝見しておりますと、和歌山市さんも極めて立派な対応をしていただいたと思っております。
 今後でありますけれども、国もいろいろ事前、前の対策を反省しながらこれからの方策を考えてくれているようであります。我々もまた、それをきちんと勉強し、評価し、それで県民の安全を守りながら、県のいろいろな、他の例えば生活とか経済とか、そういうことも守るように、今後、冬に備えてやっていかないかんというふうに思っております。やっていくことを、先生御指摘のように、県民の皆さんに事前によく御説明しておくということかなというふうに思っておりますので、引き続き努力してまいりたいと考えております。
 ふるさと和歌山応援寄附でありますけれども、これについては、応援寄附のお話をまず申し上げる前に、和歌山県御出身の県民の方々、日本はおろか全世界で活躍しておられる方がたくさんいらっしゃいます。そういう方々に対して、我々が和歌山県で苦労しながらこうやって頑張っておるぞというようなことをきちんと御説明申し上げて、それで共感を持っていただかないと、こういうお金だけ下さいと申し上げてもなかなか難しいというふうに私は思います。
 この寄附の話が出る前から、そういう考え方に基づきまして、できるだけ各地域の県人会、あるいは県民の方々と連絡を密にしようというようなことを始めております。一例を申し上げますと、県人会にももちろんたくさん電話するようにいたしましたし、「和歌山だより」というのを発行いたしまして、県外にいらっしゃる方々に県内の様子をお知らせするように、できるだけ努力をしております。その前提で、シンパシー、共感を持っていただいた方に対して、これは議員御指摘のように、ただ黙っていりゃやってもらえるというわけではありません。したがって、議論を申し上げて、それでお願いできませんかという話をできるだけやってまいりました。これは私だけじゃなくて、県の枢要な職員が一生懸命努力をいたしました。その結果、3200万円の寄附金が集まりまして、これは全国でも上位のほうにいくんじゃないかというふうに考えております。
 ただ、議員御指摘のように、ほっとくとしぼんでいくということもまた事実だろうと思いますので、また繰り返し、ことしも同じような努力をしてまいりたいと思っております。
 昨年の寄附について申し上げますと、この場でも申し上げたと思いますが、ある和歌山県出身の方から1000万円の高額の寄附をいただきました。その方は匿名希望でありましたけれども、その寄附金で、4月28日、県立図書館にふるさと夢文庫というのを開設いたしました。これは、その匿名の方がどういうところに使ってほしいかということについて、特に図書の充実ということをおっしゃったからであります。
 そのほか、今後こういうところに使っていただきたいというようなことも踏まえて我々は努力してまいりたいと思っておりますが、寄附していただく際に応援メッセージもあわせていただいております。さまざまな応援メッセージを寄せていただいて、それは公表してよろしいという方にはホームページで公表さしていただいております。それを拝見いたしますと、本当に頭の下がる思いがいたしまして、そのメッセージに勇気づけられて、私ども和歌山に残った者も頑張らにゃいかんというふうに考えているところであります。
○副議長(山田正彦君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 議員お尋ねの平成20年度分の工事関係費及び業務取扱費の内訳についてでございます。
 今回初めて詳細に開示されたところでございます。その中で、人件費に含まれます給与や手当などの内訳及び事務費の内訳内容などが示されました。その中に、国庫補助事業には含まれておりません退職金、それから営繕宿舎費が計上されておりまして、その金額は平成20年度の国土交通省分の負担金で約7200万円でございます。
 それから2つ目、国庫補助事業との整合性についてでございますが、全国知事会で自治体が負担する対象範囲などの基準案を作成して、国と協議を行った上で7月中には決定する予定で作業が進んでおり、本県もそれと連携して取り組んでおります。ただし、直轄事業と国庫補助事業の整合性の問題だけではなく、直轄負担金制度の改革に向けた本質的な見直しの議論をすることが重要であると考えております。また、国庫補助事業につきましては、事業内容や管理水準、経費などにつきまして事前に合意した上で実施するように、協議、同意の仕組み、ルールづくりを早急に取り組むべきであるというふうに考えております。
 それから、事業連絡調整会議についてですが、近畿地方整備局が事業費を負担しております県に対しまして事業内容を説明するとともに、関係機関相互の連絡調整を図り、事業の円滑な推進に資することを目的に、平成15年度から毎年定期的に開催しておるものでございます。これによりまして、県が要望しております事業がなされているかどうか、そういった確認や事業の進捗のための調整に一定の役割を果たしてきたものと考えております。
 しかしながら、従来は、維持管理の業務の内容、それから事務費の内訳等につきましての調整がなされてこなかったということも事実であります。今後は、そういった点につきましても十分な説明を求めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 福祉保健部長北田佳秀君。
  〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 新型インフルエンザパンデミック対策並びに自殺対策についてお答え申し上げます。
 まず、新型インフルエンザのWHOのフェーズ3から6に至る間の対応についてでございますが、県におきましては、新型インフルエンザの発生に備え、平成17年12月に新型インフルエンザ対策行動計画を策定し、医療対応を初めとする対策を進めてきたところです。入院受け入れ体制の確保と発熱外来の設置などの医療体制につきましては、各保健所を中心に関係機関との調整を図りながら、感染症指定医療機関を初めとする病床の確保等に取り組むとともに、人工呼吸器や個人防護服の整備等、必要な体制整備を講じてきたところです。
 治療のための抗インフルエンザウイルス薬につきましては、タミフル8万8000人分を備蓄しており、また感染の疑いのある場合、速やかに遺伝子検査を実施するための検査体制を整備してきております。
 この間、本県の新型インフルエンザ対策行動計画を抜本的に改正し、感染防止に向けた全庁体制を整えてきたところでございます。
 本年4月に今回の新型インフルエンザが海外で発生して以降は、保健所及び県庁に発熱相談窓口等を設置するなど、総合的な感染防止対策を進め、また、本年5月22日に国から示されました基本的対処方針に基づき、県内最初の患者発生時においても、和歌山市と連携しながら弾力的かつ機動的に対応してきたところです。
 次に、今回の新型インフルエンザ感染拡大における教訓でございますが、今般の新型インフルエンザにつきましては、県民の皆様の御理解と関係者の御尽力により、本県では冷静かつ的確な対応ができてきたものと考えております。しかしながら、近隣の大阪府や兵庫県など、感染が予想を超え急速に進んだ地域では、相談体制や医療体制が国及び当該府県の策定した計画どおり機能しない事態となったことが報告されております。一方で、これらの自治体と国との緊密な連携により、地方で得られた知見等を踏まえ、国の基本的対処方針が迅速に見直されたことなどを教訓として学び取っております。
 県、市町村が連携、協調しながら、国に対して感染防止の取り組み状況等を常に情報発信するとともに、地域の実情の変化に即応した最善の対策をしていくことが重要であると考えております。
 続きまして、第2波への備えと6月補正予算での対応内容でございますが、新型インフルエンザの第2波を想定して、季節性インフルエンザとともに感染が拡大していく事態に備え、重症者等に対する入院受け入れ体制のための人工呼吸器や陰圧装置の整備、発熱外来の増設のためのテントの配備、検体検査数の増加に対応できる検査機器や試薬の整備とともに、県や県立学校等の機能が麻痺することのないよう、マスクや消毒液などの備蓄もあわせた内容となっております。
 続きまして、自殺対策の2点についてお答え申し上げます。
 まず、和歌山県自殺対策緊急強化基金を活用した補正予算の内容についてでございますが、県が直接実施する事業とともに、市町村の対策支援や民間団体の活動との連携・協力により実施してまいりたいと考えてございます。
 県事業としましては、人材養成と普及啓発を重点的に取り組むことにより、相談支援体制の充実を図ることとしております。
 人材養成では、保健所、市町村、医療機関、警察等の関係機関において、自殺未遂者や自死遺族の方などにかかわる職員に対しまして、適切な支援手法に関する研修を実施し、普及啓発では、自殺に対する正しい認識をいただくための啓発や相談窓口の周知の強化に取り組んでまいります。
 また、市町村や民間団体に対しましては、地域の特性に応じた独自の対策や民間協力団体が実施する事業への助成に取り組んでまいります。
 次に、実効性のある対策につきましては、今後とも自殺に係る現状把握に努めるとともに、議員の御提案や和歌山県自殺対策連絡協議会を初め民間団体等の意見も踏まえながら、効果的に当該基金を活用した自殺対策を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 中津村森林組合の裏金問題に関連をいたします4点について、一括してお答えをさしていただきたいと思います。
 このたびの中津村森林組合の裏金問題についてでございますけれども、昭和46年から平成10年にかけまして、組合が事業活動を通じて得た利益を正しく計上せず、その一部を不正に簿外処理したものでございまして、今回の問題で森林組合として大きく社会的信用を失ったのではないかというふうに考えてございます。
 この問題を受けまして、県といたしましては、県内の24すべての森林組合を対象に再点検を行うこととし、既に4月の3日から立入検査に着手をするとともに、中津村森林組合に対しましては、去る6月の8日、森林組合法第113条第1項に基づきまして、役職員の責任の明確化、具体的な経理執行、検証計画など、5項目にわたる業務改善を命じたところでございます。今後は、検査項目を見直し、必要に応じ支払い先への確認を追加するなど、検査体制を強化していく所存でございます。
 また、紀の国森づくり基金につきましては、中津村森林組合に対しまして県から直接の支出はいたしてございませんが、事業実施団体から間接的に支払いがなされてございまして、平成19年から20年度の2年間で約570万円、その内容につきましては、植栽や防護さく設置等に係る作業であり、この経理処理につきましては問題がないことを確認いたしてございます。
 さらに、本年4月からの公共調達制度などの見直しに伴いまして、今後は民間事業体の新規参入が予想される中で、森林組合は今まで以上に作業員体制の充実や競争力強化を図っていくことが不可欠と考えてございます。現在、県内には25の森林組合があり、森林組合連合会におきまして財務基盤や業務執行体制の充実を図るために広域合併が進められてございますが、県といたしましては、この合併の早期達成と労働条件の改善など、一層の経営の近代化を支援してまいりたいというふうに考えてございます。
○副議長(山田正彦君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) ネットパトロールについてお答えいたします。
 近年、インターネット上の掲示板等では、個人情報の無防備な書き込みや誹謗中傷等でいじめに発展する例が数多く報告されてございます。このような問題は、平成14年度の第3期きのくに教育協議会で取り上げられまして、情報活用能力の育成だけではなく、情報モラルについても指導することが重要であると、こういうことから県内各学校において取り組みを進めてまいりました。
 その後、平成19年度には、当時の環境生活部青少年課や県警察本部の協力を得まして、サイバー犯罪から子供たちを守るための指導者研修会を行うとともに、県立学校の教員用コンピューターから掲示板等が確認できる環境を整えました。また、青少年のインターネット利用がコンピューターから携帯電話へと移行し、不適切な情報が確認できない等の新たな状況が広がりましたため、同年、第8期きのくに教育協議会におきましてネットパトロールの実施を含む対応策が協議をされました。
 こうした経過を経て、昨年度、必要な事業化を検討しておりました折に、文部科学省においてネットパトロールに関する委託事業が予算化されるとの連絡があり、これを活用すべく事業申請を行っておりました。本来は6月補正予算の成立を待って事業に着手する計画でありましたが、ネットいじめやネット被害が急増する状況が見られました中、本年5月中旬には文部科学省において採択の見通しが明らかになったことから、できるだけ早期に被害等を防止するため、青少年・男女共同参画課との連携・協力のもと、ネットパトロールと監視の部分を6月9日に立ち上げることになったものでございます。
 その結果、6月9日から17日までの間に既に69件の無防備な書き込みを発見し、関係機関と連携をして取り組んでいるところでございまして、今後、各種相談機関と連携したウエブ相談窓口を設けるとともに、情報モラル講座の開催等を通じ、児童生徒や保護者、教職員の意識の向上を図ってまいります。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 再質問を許します。
 26番中 拓哉君。
○中 拓哉君 御答弁ありがとうございました。
 知事にお伺いします。
 ふるさと応援寄附、ほんまにしぼんでしまう心配あるんですね。ほかの県のホームページに載せてくれてる他県の状況を見ましたら、おっしゃるように和歌山県、上位でございますし、まあ頑張ったかいあったかなと思います。
 最初、私、これ質問したときに、福井とか鹿児島とか、市と県と組んでやるんやとか、いろいろ工夫してやってました。そんなところ以上に成果が出てていいわけですし、110数名で3000万──1000万の高額な人ありますから、それを引いたとしても──単純に割れませんけど、1人20万ぐらいしてくださってるように思います。
 これを、そのお金でいろんな、県は、国体やの森林の保全やの自然の保全やの、あるいは図書の充実やのと目的決めてやってくれてますんで──ほっといたらしぼんでいくと思うんですね。毎年コンスタントにやってもらえるように、あるいはやってくれる人をふやすように頑張ってほしいし、僕らも頑張ります。当然、このお金で事業やれるとこなんかも頑張ってほしいんです。お金もうて事業してるわけですから、できたら友達に声かけて、そういうモチベーションを持ってやってもらいたい。
 そのときに知事に、ちょっときついかわからんけども、竹中平蔵さんみたいな有名な人──お友達でしょ──あるいは坂本冬美さんもここで親善大使やってくださって有名じゃないですか。個々にお金幾ら出したといったら嫌らしいですけども、そんな方もこの応援メッセージの中へ名前載って、「仁坂さんと同級なんで応援してますよ」みたいな、そういう表現があったら、ああ、知事も頑張ってくれたな、僕らも頑張らなあかんな、こうなるんじゃないかと思て言うてるんですよ。その点。
 ほんで、これ、読ましてもらいました。そしたら、戦時中に和歌山へ疎開して和歌山で世話になったと、そのときのきれいな景色、忘れられやんと、今回こういう機会できてうれしいとか、あるいはお身内が叙勲もうて、兄貴が叙勲もうたんで、そのうれしさにこたえてやってくださったり、非常にじんとくるお話多いんですよ。だから、こういうのをみんなに知ってもうたらまた広まるん違うかなと。
 だれが幾らしたって、そんな奉加帳みたいなあんなもん書くの、そんなことは嫌らしいですよ。嫌らしいですけども、そういうお気持ちがやっぱり和歌山にはあると。また和歌山、これから頑張ってほしいと。あこがれの県でしたとか、そういう表現にやっぱり私もじんときます。できたら自分の思いは医療に使ってくれとかそういうこともありますし、窓口ふやしていって、どんどんどんどんそういう寄附者の、納税者というか寄附者の気持ちにこたえるような形が1つはできるんじゃないかと思いましたんで、お尋ねしたわけでございます。
 個人的にどうのこうのというのは嫌らしいかわかりませんけど、せめてそういう知事のおつながりの中で、こんな人、頑張ってくれてるでというのを言うてくれたらうれしいなと思います。
 福祉保健部長さん、もうちょっと声大きに答弁してほしいですね。命守ってもらわんなん人がぼそぼそぼそぼそインフルエンザの対応がどうのこうのって、もっと自信持って言うてほしいと思います。
 いろんな対応やってくれてんのわかるんですよ。知事も言うてくれたように保健所は頑張った。しかし、和歌山市との間の中でも、和歌山市は予防に使えるタミフルを用意してなかったんで県に回してもうたとか、私らから聞いたらばたばたのように思いますわ。そういうばたばたもあったんですから、対応、これから先ですね。
 で、先ほど言うたように、19日に舛添さんが記者会見して、私の解釈では、もう今まで区分けしてたのをやめてもて、もうある程度広まってしもたんやから──俗に言う仙台方式ですか──最初から発熱外来じゃなしに各診療所へ来るじゃないですか、市民の方は。市民の方はかかりつけのお医者さんに行くじゃないですか。それを前提として、かかりつけのお医者さんの中で分けてもうて対応してもらうようにすると、仙台の方、言うてましたわよ。そういう状況にまた国も切りかえたように思いますんで、そんな取り組みしよう思たら、医師会というか、僕らが行きつけのお医者さんもお部屋余ってあったらそこで診るんやとか、そんな準備してもらわんなんの違うかなと思うんですよ。その割に、何かもう一つ弱いな。
 また、テント買うのもいいですよ。発熱外来に向けてテント買わんなん、マスクも買うとかんなん、防護服も買うとかんなんというのはいいですけど、6月19日の舛添厚生労働大臣の判断は、もうかなり広まってしまうと、そういうときの対応に力を入れるんやというふうなことを思いましたんで、きょうでもそういう踏み込んだ御答弁があったらよかったのになと思いました。
 それで、知事にまた直轄事業とネットパトロールについてお聞きします。
 きのうも橋下知事が、私も1000円払うて行ってきました。ああいう政治家になりたいな。話を聞いてもらうのにお金1000円でもしてもらえるようなね。1000人ぐらいおりましたからね。まあテレビ、自分もテレビっ子や言うてましたけど、テレビっ子というだけじゃなしに、やっぱり発言発言が有権者の心をつかまえて、わざわざ聞きに行ったろかという方あるということなんで、その点は参考になりましたけど、ちょっと話くどいとこもあったし、どうかなと思うとこもありました。その点、知事も上手に言うてくれてましたけども。
 ただ、やっぱり功績大きいと思うんです。「ぼったくりバーみたいや」という発言が、何のことかいな、国民が知らなんだところに関心を持って、国も嫌々ながらも出さなあかんかったわけですね。さっき聞いたら、やっぱりそういうことで見たら7200万円、そういう間接費みたいなことで使われておったということですよね。これ、返還を求められへんのかな。理屈の好きな知事からいうたら、そんなん理屈通るかということかわかりませんけども、補助金の場合は指摘を受けたんですよ。県の補助事業で、一生懸命県庁の職員さん、仕事したんですよ。会計検査院が、あるとき検査するいうて来て、事務費の使い方でああじゃこうじゃというて指摘受けて、返させられたわけですね。そういう感覚からしたらどんなもんかなと。一遍だめもとでも返還を求めたらどうかなと。
 また、ほんで茅野さん言うてくれましたけども、そういう連絡会議がもともとあったんでしょう、15年からね。そのときにやっぱり聞ける場も幾らもあったわけですから、そこらも何かもうひとつ私はわかりません。仕事してほしいばっかりやから、ちょかちょか言うたらあかんという気持ちあるのかわかりませんけども、後で汀丁の立派な29億の中で9億、和歌山県は持ってあるんやと聞いたら、あそこへ県土整備部、仕事の場を提供してもらえよと。あの一角へね。そしたらまだスムーズにいくん違うんかいというようなことも思たりしますんで、今までの調整会議でもっと踏み込んでほしかったな。そんなことを思います。
 返してもらいたいということについて、知事からまた御答弁いただきたいと思います。
 あと、ネットパトロールです。
 いいことなんです。いいことをしてもらうことに何ら茶々入れるつもりはないんですけど、先ほど教育長からお話あったように、順次、教育委員会の中でも検討してきているわけですね。きのくに教育協議会、そこでも指摘があってやってきてるわけですね。また、ここでは藤本議員も聞き、私なんかもやっぱり聞かしてもうてきてるわけですよね。
 知事の言うのに、今そこにある危機ですよ。今そこにある危機、それに対処せなあかんじゃないか。そういう中で、いや、各市町村の教育委員会がやったらええんやみたいなことだったのに、今回、知事が自分の講演会のところのスピーチでおっしゃってくれましたけども、これに取り組んだ熱心な方が直接のメールくれたと。それを受けて、それはせなあかんことやと。知事部局でするのもええけども、やっぱり教育委員会の中でお金があるんじゃったら、そらそれをもって計画していってもらわんなん。ついては知事部局も協力するというふうなことだったと思います。
 そのメールを出された方の出前講座も結構好評でして、啓発には大きく役立ってたと思います。そういう意味では、今回お金つけてくれてやってくださるにはええんですけども、それでも、申しわけないけど、私ら議会の人間からしたら、当初に載ってないわして。当初の新規事業に載ってないじゃないですか。ここの当初予算で、知事も1月ごろ記者会見して、ことしは長期計画する上に、こんな事業やります、あんな事業やりますと言うてくれますわね。それ、私ら見て、予算の内訳を見に行って、ああ、こんなことするんやな、そういう審議をして、3月の議会で可決したじゃないですか。3月の議会、可決してもうた議会でずっとお金やっていくんでしょう。
 その中で緊急的なこと、今回みたいにインフルエンザがあったとか緊急的なことあったら、それは予備費も使い、専決もありするかわかりませんけども、本来このネットパトロール事業は当初で上がってて、僕らに示してスタートすべきだったんじゃないですか。それを6月に──確かに補正に上がってます。そしたら6月の補正、今議会の30日に可決してから本来すべきなんですよ。先にやってくれたおかげで今既に69件見つかって、これはいいことですよ。それ自身はええことやから、もっと何で早うせんのなと。やるにしてもルールがあるやろと。こういうことでございます。そこら辺の、まあ間違いとも言えませんけども、ふさわしくはないと思いますんで、その点について知事の見解をただしたいと思います。よろしくお願いします。
○副議長(山田正彦君) 以上の再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 3点お答え申し上げたいと思います。
 ふるさと寄附でありますけれども、実は議員御指摘のように、こういう気持ちで私はふるさとを応援してますというのを、単にお金をいただくだけじゃなくて、できるだけ思いを語っていただくと、それを我々としてはホームページに出してみんなに見ていただくと、そういうのがよろしかろうというふうに思いまして、それでああいう制度をつくったわけでございます。
 実は、某竹中平蔵氏に関しては、本人は出してくれたんですけど、「言わないでくれ」と言ったんですね。「いいじゃないか」と言ったんですけれども。ただ、なぜ今そういうことを言ってるかというと、本人が後で「私は仁坂さんの要請に基づいて出しました」というふうに公開の場で宣言をいたしましたので、今こういうふうに申し上げております。あくまでもやっぱりそれぞれの方のお気持ちなんで、無理やりというわけにはいきませんから、そういう情勢になっております。引き続き、頑張ってまいりたいと思います。
 次に、直轄負担金でありますけれども、理屈よりも情熱の好きな私といたしましては、不当なものがあれば、これはやっぱり──前に国から補助金の際に、これは不当使用だと、不適正使用だと言われて返還をさせられちゃったわけでありますので、そういう不当なものがあれば、我々としてはそれは返還を求めるのが当然だと思います。ただ、その不当というのが、例えばどこから何をもって不当というか、そういうのはちゃんと説明ができないといけませんので、本来ならば、きょうも申し上げましたように、直轄負担金を払わないで、むしろそれぞれの分担でやるというのが筋だとは思いますけれども、その筋だけで返還を求めるというわけにはいかんと思います。
 したがって、中身をよく精査して、不当だと思われるものについてはそうするし、そうでないものについては、幾ら情熱が後押ししてても、できないものはできないかもしれません。そういうことはこれからよく考えていきたいと考えております。大事なことは、これからどういうルールをつくっていくかということだと思います。
 次に、ネットパトロールでございますけれども、議員御指摘のように、お話がありました。まさにそのとおり、今後やろうということに決断をいたしました。そのときに何がしかのお金が要るので、それはどういうお金を使おうかというようなことを言いました。で、青少年対策予算の中で使えるお金があったので、とりあえず使わしていただきました。とりあえずというのは、この事業をやるにふさわしいような予算としてそれが使えるからということであります。
 その予算を使うことについては、私など及びもつかない和歌山県の誇る財政課の厳しい審査がありまして、これはこういう事業に使っていいかどうかということについて、よろしいということになりましたので、その予算を使わしていただいております。もともと予算があったものを運用として使わしていただいたもので、県議会から当初から認めていただいたものだというふうに考えております。
○副議長(山田正彦君) 福祉保健部長の答弁求めますか。
  〔「いや、結構です。知事だけで」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) よろしいですか。答弁漏れないですか。よろしいですか。
  〔「結構です」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) それじゃ、再々質問を許します。
 26番中 拓哉君。
○中 拓哉君 よくわかりました。そういうことで知事も努力してくれてたことはうれしいと思いますし、また、これがしぼんでいかんように、ふるさと寄附、私らも含めて頑張っていきたいな、かように思います。
 あと、直轄工事の負担金。
 当然、筋を通していかなあきませんけども、しかし、国から示してくれたり、あるいはこれから交渉するときに、理屈を構築するにも情熱がないと折り合いません。ただ単に言われてそやなと思て見るだけと、どっかに僕らの県のお金せしめられてないかいな、そういう情熱を持って見るのとそうでないのとの違いがあるということを指摘しておきたいと思います。
 また、ネットパトロール。
 財政課は当然オーケーしてくれたようですね。それも、私からすると、やはり知事のお声があったからやと推察せざるを得ません。各部局の中でそういうことをしたいときに、果たして財政課はその理由を認めるでしょうか。そういうことがあると思います。やっぱり──ええことなんですよ。今そこにある危機を正すんですから、ええことなんですけども、1つは、そういう知事の後ろ盾があったから今回このような形で進んだんではないかな、かように思いますんで、その点だけを指摘しまして、私の質問を終わります。
○副議長(山田正彦君) 以上で、中拓哉君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時32分散会

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