平成21年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

平成21年6月
和歌山県議会定例会会議録
第2号
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議事日程 第2号
 平成21年6月19日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第108号から議案第127号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第108号から議案第127号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(45人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 服部 一
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 16番 下川俊樹
 17番 岸本 健
 18番 川口文章
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 角田秀樹
 28番 江上柳助
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 藤本眞利子
 36番 長坂隆司
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(なし)
〔備考〕
37番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      森 崇
 総務部長       宮地俊明
 企画部長       前硲健作
 福祉保健部長     北田佳秀
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      雑賀忠士
 教育委員会委員長   湯川 力
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員長   大岡淳人
 警察本部長      永松健次
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       藁科善崇
 次長         東岡誠吾
 議事課長       上坊 晃
 議事課副課長     土井敏弘
 議事課課長補佐兼議事班長
            田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      瀧川泰治
 議事課主査      中村安隆
 総務課長       佐本 明
 調査課長       中井祥之
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  午前10時0分開議
○議長(大沢広太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第108号から議案第127号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 38番小川 武君。
  〔小川 武君、登壇〕(拍手)
○小川 武君 まず初めに、6月議会一般質問の初日、冒頭に登壇さしていただきました。議長を初め皆さん方に、心から感謝を申し上げてお礼を申し上げたいと思います。
 では、通告に従いまして一般質問に入ります。
 初めに、今議会に上程されております過去最大と言われる補正予算についてお伺いいたします。
 昨年秋、アメリカにおいて始まった金融不安は瞬く間に世界じゅうに波及し、世界同時株安など、非常に大きな金融不安、経済悪化を招きました。我が国経済においても、これまで景気牽引役を担ってきた輸出関連が大幅減となり、こうした輸出市場の急激な収縮と在庫調整が重なったことにより、実体経済の悪化が金融環境の一層の不安定化を招き、さらなる経済の悪化を招くといった悪循環の結果、経済の底割れリスクが急速に高まり、現在は、きのうは9700円前後で推移している株価についても昨年秋には一時的ながら7000円台を割り込み、また円も90円前半で取引されるなど、戦後最悪の経済危機に直面したところであります。
 先週イタリアで開かれた主要8カ国(G8)による財務相会合では、世界経済について安定化の兆しとの声明が出されました。また、平成21年5月の月例経済報告では、景気が厳しい状況にあるものの、このところ悪化のテンポが緩やかになっているという発表があり、その先行きについて、当面雇用情勢が悪化する中で厳しい状況が続くと見られているものの、対外経済環境における改善の動きや在庫調整圧力の低下、経済対策の効果が景気を下支えすることが期待されると、底打ち感が示されたところであります。
 一方で、生産活動が極めて低い水準にあることなどから雇用情勢の一層の悪化が懸念され、加えて世界的な金融危機の影響や世界景気の下振れ懸念など、景気をさらに下押しするリスクが存在することに留意する必要があるとされるなど、我が国経済は依然厳しい状況であることに変わりはありません。この100年に一度とも評される経済危機の中で、多くの企業が赤字となり、さらには生産設備や雇用人員が急速に過剰になったことで、各企業における強力なリストラの敢行により、設備投資や個人消費という国内需要に深刻な影響を及ぼしているところであります。
 一方、本県の経済に目を転じますと──これは本年4月に発表された景気動向調査からの引用であります──鉱工業生産指数が6カ月連続、新車登録台数が5カ月連続で前年同月を下回っている状況にあります。また、大型小売店販売額に至っては11カ月連続で前年同月を下回るなど、不況の影響をもろに受けている状況であります。
 こうした局面を打開するため、政府におきまして、昨年、安心実現のための緊急総合対策、生活対策及び生活防衛のための緊急対策といった、いわゆる景気対策3段ロケットと言われる事業規模75兆円に上る景気対策を取りまとめ、中小企業に対する資金調達の支援や定額給付金の給付及び高速道路料金の大幅な引き下げなど、各種の対策が実施されたところであります。
 さらに、本年4月に、景気の底割れを防止しつつ安心と活力を実現するとともに未来への成長力強化へつなげるため、事業費ベースで56兆円を超える緊急経済対策がまとめられ、過日、その補正予算が成立したところであります。加えて、最近では定額給付金の給付が始まるなど消費が持ち直す動きが出てきつつありますが、やはり景気は依然本格回復に至っていない状況にあり、特に県民の方々の思いは以前にも増して停滞感を感じているのではないかと思うところであります。
 昨年の議会でも質問をさせていただきましたが、事業所数で言うと、10年前に比べ2~3割は減っているかと思います。繊維や金属加工といった下請は言うに及ばず、家族で経営する日用品製造、印刷といった業種も非常に厳しい状況にあるというのが私の実感であります。
 そこで、このような県内の厳しい景気状況や雇用状況を踏まえ、今議会に上程されている補正予算の編成に際し、特に配慮した点、特色について、その考え方を仁坂知事にお伺いいたしたいと思います。
 次に、本県経済活性化のための施策として、観光振興の面からお伺いしたいと思います。
 観光振興に関し、県当局におかれましては、和歌山県長期総合計画を策定され、この中で「癒しと感動を与える誇れる郷土和歌山」の構築に向け、観光の振興に重点を置いた取り組みをなされる旨、示されたところであります。また、具体的な行動計画として観光振興アクションプログラムを策定され、8つの魅力で和歌山を売り出すなど、アクションを起こされていることと思います。
 言うまでもなく、本県には、いにしえの時代より受け継がれてきた歴史、文化遺産、海、山、川など変化に富んだ美しい自然、日本有数の温泉地、おいしい食べ物等、全国に、いや、世界に誇れる観光素材が豊富にそろっております。特に紀伊山地の霊場と参詣道は、私が県議会議長を務めさしていただきました平成16年7月にユネスコ世界遺産に登録された思い出深い観光資源となりました。現在も、県、国内外から多くの観光客がこの地を訪れておるところであります。
 また、常々仁坂知事も、本県にはたくさんの観光素材が存在し、集客という面では大変な潜在能力を有しており、今後ますます期待が持てるものとおっしゃっております。本県の観光振興のための素材、環境の整備については、今も申し上げましたとおり、熊野地域が世界遺産に登録されるとともに、串本沿岸地域がラムサール条約に登録されました。また、和歌山大学におきましては、平成20年4月に観光学部が設置されました。そして、今さら申し上げるまでもなく、国際便の発着する関西国際空港が至近の場所にあります。
 このように、あとはこれらの素材、環境をいかに連携させ活用し、そしていかにPRしていくかが重要になってくると考えております。
 観光の振興に関し、国においても昨年10月1日に観光庁を発足され、観光立国実現に関するマスタープラン「観光立国推進基本計画」を策定、国民による旅行の拡大や観光関連産業の持続的な発展を目指すことなどがその方針として示されました。
 平成20年和歌山県観光客動態調査報告書によりますと、本県への観光入り込み客数は3100万人余りであり、外国人観光客については16万8000人の方々が本県にお見えになったと報告されております。
 私は、本県の発展のかぎは観光振興にあると言っても決して過言ではないと考えております。観光振興とは、そこに存在する観光資源を地域内外に紹介し、たくさんのお客様に来ていただくことだけではなく、私たちみずからが地域の資源、ひいては歴史や文化を積極的に保全、活用することにもあり、このことは地域の将来にとっても非常に重要なことであると思います。このため、観光の振興は、観光という一分野に限られた問題としてではなく、さまざまな分野と一体化し、その振興を考えていかなければいけないと思っております。
 私は、みずからのライフワークとして、中心市街地活性化の問題に取り組んでまいりました。この問題は、後でまた関連の質問をいたします。中心市街地地域の魅力の発信や行政の支援が必要となることは、これまでも議論されてまいりましたが、根本的に大切なことは、他の地域からたくさんお客さんが来てくれることであり、この意味で観光の振興が最も期待できる施策の1つであると考えた要因であります。
 我々県議会におきましても、本県の観光振興を支援すべく、昨年12月に観光振興に係る条例案検討会を設置し、他府県には類を見ない議員発議による観光振興に係る条例の作成を進めているところであります。
 この検討会におきましては、県内の主な市町村長との意見交換や観光関係者から本県の観光の課題とその対処法などについてさまざまな現状や御意見をお伺いし、さらに今後はパブリックコメントを実施、直接県民の皆様方から観光に対する貴重な御意見を賜ることとし、本県の観光振興に県民総参加で盛り上げることができるよう、当条例の本年12月議会での成立を目指して鋭意努力を続けているところであります。
 そこで、仁坂知事にお伺いいたします。
 これまで県において進めてこられた観光振興施策について、その成果と、本県活性化のための起爆剤として今後の具体的な施策を含めた展望についてお聞かせいただきたいと思います。
 また、観光振興に力を入れていることを強くアピールするための組織強化策についてどのようにお考えでしょうか、お伺いいたしたいと思います。
 経済対策に関連し、また観光の振興にも関係がありますフェリー事業者に対する支援についてお尋ねいたします。
 去る3月28日から、麻生内閣による追加経済対策として、定額給付金の支給とともに実施を表明した高速道路1000円で乗り放題という事業がスタートいたしました。これは、地方圏において自動料金収受システム、いわゆるETC利用者が土日祝日の高速道路利用、上限1000円で乗り放題となる特別事業であります。導入当初は一部混乱も見られましたほか、全国の高速道路で大渋滞を引き起こしたようであります。片やETC車載器そのものが爆発的に売れ行きを伸ばし、また地方を訪れる観光客もふえるなど、その経済的な効果は大きく、本県においても白浜地域を初めとする観光地の土日のお客様がふえるなど、一定の成果が出ております。今後、高速道路割引事業は夏休み期間中の実施など、拡充の方向で検討がなされておるようであります。
 しかしながら、一方で、これまで四国や九州地方との行き来を担ってまいりましたフェリー事業者が大きな打撃を受けていることもまた事実であります。特に本州と四国を結ぶフェリー航路は、一部廃止や減便が相次ぎ、四国地方への寄港を取りやめた会社もあるようであります。もちろん、このたびの高速道路割引制度だけがこうしたフェリー事業者の経営を圧迫している原因ではないです。この制度が本四連絡橋の開通や最近の原油高などの難局に追い打ちをかけていると論じる識者もいるくらいであります。
 本県と四国徳島を結ぶ南海フェリーも例外ではなく、さまざまな企業努力にもかかわらず、廃業の危機に立たされていると聞いております。平成10年の年間の客数は58万7000人、車については20万6000台の利用があったものが、平成19年には客数30万6000人、車の利用が18万1000台。高速艇廃止の影響があるものの、客数は約半分に減り、車については約12%減っております。
 通常、和歌山市から徳島市まで高速道路を利用すると1万2000円程度の料金が必要となりますが、3月から始まった高速道路の特別割引を活用すると、3000円程度で行くことができます。一方、フェリーの料金は運転手1名、車体長5メートル未満で9300円となっております。これだけ料金に差が出てしまうと、なかなかフェリーを利用して四国に行こうというわけにはいかなくなってしまうのではないでしょうか。
 こうした事態を受け、県が徳島県とともに南海フェリーの支援に乗り出すという全国初とされる試みが先週発表されました。本来、全国を運航しているフェリー事業者の支援について当然国が行うべきであることは仁坂知事もお話しのとおりであり、その国に先んじて県が支援を行うということは、地域の交通手段を守るという観点から大切なことだと思います。現在出ている記事等を拝見いたしますと、両県いずれかにおける宿泊を条件として乗用車の運賃を1台1000円とするといった具体的な話も上がっているようであります。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 今回フェリー運航事業者に対し支援を行う意義について、またこれまでの経過や今後の取り組みについて、お答えをいただきたいと思います。
 次に、観光の振興についての質問中にも少し触れました中心市街地の活性化についてお伺いいたします。
 世界的規模での不況を受け、以前よりも停滞感が増している本県の経済において、その停滞の一因として中心市街地の衰退と人口の減少、少子高齢化が挙げられると考えております。特に県都和歌山市の旧丸正百貨店を中心とする地域は、郊外型大型店舗の進出や地域の魅力の希薄化などによる衰退が叫ばれ、平成13年の丸正撤退を境に一気に空洞化してしまいました。
 先日の日曜日、用事がありまして、私はぶらくり丁の近くを車で通りました。人影もまばらであります。また、そもそも閉店している店舗も多く、大規模駐車場を完備した商業施設の郊外立地の増加や県民の嗜好の変化など、さまざまな影響により中心市街地の衰退は目を覆うばかりであります。
 近年になって、この旧丸正跡地には、和島興産によりますフォルテワジマが誕生いたしました。ここは、新鮮な地元の魚や野菜、肉など品質にこだわった食材の提供に加え、地下には1500メートルからくみ上げた温泉を利用した天然温泉施設が併設されております。
 中心市街地の活性化につきましては、経済産業省におきましても、戦略的中心市街地商業等活性化支援事業などを初めとしたさまざまな取り組みを行っているようであります。
 また、平成18年2月の予算委員会において私の質問にお答えいただきましたとおり、当時の商工労働部長から、中心市街地活性化法を初めとするいわゆるまちづくり3法改正を機に中心市街地や商店街の活性化に取り組むとの回答を得て以来、3年が経過しております。
 そこで、商工観光労働部長にお伺いいたします。
 経済センターの取り壊しに伴う入居団体や県の施設の中心市街地への移転の話も聞こえてきております。現在の中心市街地、特に和歌山市の旧丸正やぶらくり丁近辺の地域はどのような状況になっておりますか。また、今後県はどのように支援していくおつもりなのか、お伺いいたしたいと思います。
 なお、県の施設のうち、現在JR和歌山駅のVIVOにありますパスポートセンターについて、その集客力を勘案し、フォルテワジマを含む市内中心地へ移転されてはいかがでしょうか。これは知事にお伺いいたします。
 次に、関西広域連合についてお尋ねいたします。
 広域連合に関しましては、既に御存じのとおり、平成19年7月、既存の広域連合組織を統合し、関西広域機構が発足し、同機構内に設置された関西10府県知事などで構成する関西広域機構分権改革推進本部において検討が始まりました。この推進本部において、平成19年10月から都合4回の本部会議が開かれております。一方では、現在政府において第2期の地方分権改革の検討が進められ、地方分権改革推進委員会から平成20年5月に第1次勧告、同年12月に第2次勧告が出されております。
 勧告の内容については、土地利用や道路、河川などの地域づくり分野における県への権限移譲、教育や医療、福祉など生活と密接した分野における市町村への権限移譲、また国の義務づけ、枠づけの見直しや二重行政の解消に向けた国の出先機関の統廃合といったものとなっております。
 しかしながら、例えば道路や河川など複数の府県にまたがる案件については、国が調整を行う必要があるといった考え方から、各省庁等の抵抗がありました。勧告実現に向けた政府の取り組みは進んでいない状況にあり、さらに、当初この春に出される予定になっておった地方の税財源を主な内容とする第3次勧告は秋にずれ込むこととなっております。来年3月までの分権改革推進法の期限までに一連の分権改革が完了するのかどうか、私も心配しているところであります。
 こうした国主導の地方分権改革が遅々として進まない状況にある中、国の検討による改革をただ待つのではなく、地方発による分権改革に取り組む必要があり、各県単位で意見発信、全国都道府県議会議長会や全国知事会を通じた政府への提言活動も必要であると思います。地方が具体的、主体的に動き出すことが重要であると思います。
 そういった意味で、国の事務・事業に関する権限について直接移譲を受けることができる関西広域連合を設立しようとする取り組みは、地方分権改革の突破口を開くものとして、その理念は是とするものであります。
 昨日の「産経新聞」朝刊には、関西経済連合会の下妻会長のインタビュー記事が掲載されておりました。この中で会長は、関西広域連合の早期現実化に取り組まれることを明言されております。さらに、関西広域連合が県域を超えて取り組む必要のある課題について広域調整機能を発揮することにより、ともすればばらばらとやゆされることの多かった関西を1つにする役割を担うことに大いに期待するところであります。
 先ほど申し上げました観光振興という面からも、特に外国人観光客をターゲットにして、例えば関西広域連合が和歌山、京都、奈良の世界遺産をつなぐ広域観光ルートを設定し、海外への観光プロモーションを行うことで本県への誘客の促進につなげることができると思います。
 このように、私は、関西広域連合設立の意義は認めるところであります。しかし、広域連合を設立するということ、すなわち、これは新たな自治体をつくるということであります。広域連合で処理する事務の内容、その効果、必要となる経費などについて十分な検討が必要であると考えております。
 去る2月議会において、仁坂知事は吉井議員の関西広域連合に関する一般質問に対し、元気な関西圏をつくるという観点から基本的には参加したいとした上で、早急に関西広域連合で処理する事務、組織、財政などの具体的な制度設計の案を取りまとめ、県民、議会に示して議論を深めたいとの答弁がございました。その後、関西広域機構において関西広域連合概要案が取りまとめられ、去る5月8日開催された近畿2府4県の議長会において兵庫県の井戸知事が関西広域連合の設置の必要性などについて説明された後で意見交換を行い、各府県ごとに議会と当局と十分な議論を行っていくことを申し合わせたと聞いております。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 まず、今回取りまとめられた関西広域連合の具体的な制度設計の内容と、その内容を踏まえた上で本県が広域連合に参加する意義及び必要となる経費について聞かしていただきたいと思います。
 関西広域機構に参加している10府県で関西広域連合を設立した場合、これら10府県の全体の人口が約2400万人に対して、本県が占める割合は約4%にしかすぎません。県民の中には、本県が関西広域連合に参加した場合、本県の発言権が十分に確保されるのかどうか、どうしても人口の多い府県の意見が優先され、今以上に地域内の一極集中が進むのではないかという心配をする方もおります。この点について知事のお考えを聞かせていただきたいと思います。
 また、政府や政党において道州制が議論されておりますが、関西広域連合は道州制をも視野に入れて設置されるものなのかどうかについてもお伺いしたいと思います。
 さらに、本年中の設立を目指して、早ければ9月議会に関西広域連合規約案など関連議案が議会に提案される予定と聞いております。しかしながら、我々議会とも十分な議論や県民に対する説明、啓発、さらに理解を得るための措置を講じるには、いささか時間が足りないのではないかと思います。このスケジュールに関する知事のお考えをお聞きいたしたいと思います。
 関西広域連合の設立は、県民に新たな財政負担を求めることになるわけであります。県民の皆さんが設立の効果を実感できるようにする必要があると思います。例えば、広域連合が広域的な調整を行うことで都市と地方間の医師の偏在を是正することや、府県の区域を超えた救急搬送や救急医療体制の構築を図ることなどにより「関西広域連合ができてよかった」と県民の方々が実感できるようにしていただきたいと思うのであります。そして、そのような広域連合となるように、今後とも我々議会とも十分に議論していただき、一緒に検討を進めていただきたいと強く要望いたします。
 最後の質問として、海外県人会の交流についてお伺いいたします。
 私は、当時県議会議長でありました平成16年10月に、門議員、尾崎太郎議員、そして当時に在籍されておりました木下議員、東議員、浦口議員、そして当時の知事とブラジル及びカナダを訪問いたしました。在伯和歌山県人会連合会の創立50周年記念式典並びにブリティッシュ・コロンビア州県人会の桜の木の植樹祭に出席いたしました。以下、省略いたします。
 熱烈な歓迎を受けました。ただ、3世、4世になってきております。「日本語も話せない。日本へも行ったことない」と県人会の幹部の方に聞かされました。我々は、この県人会できて50年、頑張ってきた。そのためには若い人材、若い人の日本への交流、これが非常に大事だ、何とか今後とも力入れてほしいということをお聞きいたしました。今後、ブラジル並びに外国の県人会に対する支援をいかように考えておられるか御答弁をいただいて、時間切れでございます。どうぞよろしく。
 ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの小川武君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいまの御質問に順次お答えさしていただきます。
 まず、補正予算でございます。
 これにつきましては、世界的な景気後退の影響を受け、県内の経済、雇用情勢が急激に悪化する中、昨年末以降、本県といたしましても、所要の緊急対策を順次迅速かつ機動的に実施してまいりました。また、平成21年度当初予算においても景気・雇用対策を最優先課題と位置づけ、さきの2月議会で議決をいただいたところであります。
 今回の補正予算の基本的な考え方は、現下の県内景気を早急に回復し、雇用機会を創出するための対策を最優先すること、それとともに、事業の選定に当たりましては、長期総合計画に掲げる「和歌山県がめざす将来像」の実現を一気に加速させるため、今後実施しなければいけない事業を早期に着手し、将来に備えるということを念頭に編成したところであります。
 具体的には、近畿自動車道紀勢線の御坊─田辺間の4車線化を初め、公共インフラの整備に240億円の予算を追加し、事業費で981億円程度を確保いたしました。これにより有効需要の創出を喚起するとともに、本県経済の活性化に必要不可欠な高速道路ネットワークの形成など自立した地域づくりの実現を早期に図りたいと考えております。
 このほか、太陽光パネルの設置促進や福祉介護分野における各種の支援、県立学校のICT化など現下の情勢への対応と将来への備えを適切に行うとともに、新型インフルエンザ対策などの喫緊の課題につきましても適切に対処したところであります。この結果、補正予算の総額は471億円となりまして、過去最大規模の補正予算を編成することとなりました。
 なお、今回の追加対策に伴う財源につきましては、国の経済対策補正予算等を有効活用することによりまして、実質的な一般財源の負担が生じないことを基本に各種の施策を実施することとしたものであり、平成24年度までの財政調整基金と県債管理基金の残高を見込んだ新行財政改革推進プランに影響を与えないよう配慮しているものとなっております。
 次に、観光の振興でございます。
 お答え申し上げます前に、観光振興に係る条例の制定につきましては、議会でさまざまな御議論、それから御努力をいただいております。大いに賛意を表してまいりたいと考えております。ありがとうございます。
 さて、観光振興への取り組みにつきましては、知事就任以来、和歌山のすばらしい観光資源を体系的に情報発信し、関係機関との緊密な連携を図るため、今年度で3回目となる観光振興アクションプログラムを取りまとめ、国内では首都圏、東海圏、近畿圏で重点的に観光プロモーションを実施するとともに、海外ではエージェントへの積極的な働きかけや集客力のある博覧会への出展により、本県への観光客は5年連続で3000万人を突破し、外国人宿泊客も16万8000人と過去最高を記録したところであります。
 ことしは、特に世界遺産登録5周年であります。それから、紀勢本線全通50周年であります。記念事業の実施によりまして和歌山を全世界に発信するとともに、さらなる誘客に向け、本県の魅力でありますクエあるいは勝浦の生マグロなど、和歌山ならではの食の魅力を活用した取り組みや全国に誇れる体験型観光であるほんまもん体験を活用した修学旅行の誘致など、和歌山らしさを前面に出した観光の振興を関係の皆様とともに進めてまいりたいと考えております。
 なお、観光振興を図るための組織強化の質問につきましては、知事である私自身が先頭に立つとともに、観光局──これは特に頑張っておりますが、観光局はもとより全庁を挙げて観光の振興に取り組むことが要諦であると考えております。
 次に、フェリー事業者に対する支援でございます。
 まず、きっかけとなりました高速道路の料金値下げは、乗用車で県内にお越しになる観光客や県産品の輸送にとって費用が安くなるという点で、それ自体は喜ばしいことと考えております。しかし、この高速道路値下げの影響で、和歌山と徳島を結ぶフェリーの利用が減少し、航路の維持が危機に瀕しようといたしております。
 高速道路の大幅値下げはフェリーに大きな打撃となると予想されましたので、早々に近畿ブロック知事会の会長として、また、先ごろの政府要望のときにも国に対して、これは高速道路値下げの反作用だから国の責任でフェリー航路が維持できるよう需要喚起策などを検討するよう、強く要請してきたところであります。
 私は、本来ならば国策により行われた高速道路大幅値下げによるフェリーへの影響緩和は国で行うべきことであると考えておりますが、遺憾ながら、お勧めを申し上げましたけれども、平成21年度の政府の補正予算でもフェリー航路が維持・存続できるような施策が打ち出されるに至らず、南海フェリー独自の対策も限界という中、このままではこの重要な航路が失われかねませんので、県民生活や産業に非常に大きな影響が出ると考えましたので、今回、緊急避難的に和歌山県と徳島県が連携して対策を行うこととしたものでございます。
 早急にこれから方策、具体的なやり方を考えてまいりますが、ポイントは、どうしたら道路とイコールフッティングになるか、もう1つは、両県で行うことでございますので、県内への誘客になるか、この2つを軸に考えてまいりたいと思っております。そういうイコールフッティング等々の料金設定や事務手続などの検討を行いまして、環境にも優しいフェリーの利用促進を図ってまいりたい、こう考えております。
 なお、今後の取り組みでございますが、先ほども申し上げましたとおり、今回の高速道路料金値下げに対する対策は、あくまでも本来国の責任で行うべきものと考えてございますので、国に対して次年度以降の航路維持に向けた施策の実施を引き続き強く訴えてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、パスポートセンターの移転につきましてでございます。
 パスポートセンターにつきましては、現在、和歌山駅のビルにありまして、電車でも、それから市内の交通でも大変便利であるというふうに考えておりますが、御指摘のように、駅ビルの耐震強化のために一時移転しなければ、少なくともいけないということになっております。移転先につきましては、現在、利用者の利便性の確保などさまざまな条件を勘案して、適地を検討しているところでございます。先生御指摘の中心市街地の活性化の観点はよく理解できるところでありますので、十分これも考慮し、またいろいろな視点も加味して今後検討してまいりたいと考えております。
 次に、関西広域連合でございます。
 関西広域機構──紛らわしいんですが──現在ございます関西広域機構において取りまとめられました関西広域連合(仮称)概要案では、議員御指摘のとおり、国からの事務権限の移譲の受け皿としての役割を担うこと、それから関西全体の広域行政の責任主体をつくることを設立のねらいとして掲げてございます。本県は、両方大事でございますけれども、これらの目的に着目して積極的に議論に参画してきたところであります。
 概要案によりますと、本格的な広域行政の実現に向けた第一歩として、東南海・南海地震発生に備えた広域防災体制の整備、広域的な緊急医療連携の充実、関西の観光資源の連携による観光客誘致、関西全体をにらんだ戦略的な産業振興策の実施などの早期に実現可能な事務から取り組みを始め、実績を積み重ねた上で実施する事務を順次拡大する、成長する広域連合を目指すこととしております。
 このように、まず体制づくりを優先しておりますので、即座に広域連合設立の効果が実感できないという嫌いもあります。私といたしましては、府県の区域を超えた行政課題に取り組む関西広域連合に本県が参加するということで、本県が発展していくために不可欠な元気な関西づくり──全体の関西づくりですね──それに貢献していけるんじゃないかと考えております。
 なお、広域連合の運営に関する費用についてでございますが、現時点の事務局案では、仮に本年中に設立した場合、平成22年度の予算額は全体で約6億円ということになっております。これは、各府県から派遣される人件費とか、あるいは実は北近畿でのドクターヘリの運航費なども入っております。したがって、これをどういうふうに各県に分担するかというようなことなんかについてはまだまだ議論をしていかないといけませんし、この費用がこれでいいのかということについても議論していかないといけないと思いますが、今後そういうことについても議論に参加して、本県としてこれが望ましいな、適当だなと思うようなものが得られましたら、その費用についてもお示し申し上げたいと考えております。
 関西広域連合の設立によりさらに地域内の一極集中が進むのではないかという御質問でございます。
 一般に、道州制とか、あるいはこういう広域連合とか、ともすれば、できますとそれだけですべての問題が解決されるというような議論をする方が世の中にはおられます。しかし、まさに御指摘のとおり、私どもとしては、この和歌山がそれによって発展していかないといけないということについて、さまざま考慮すべき問題があると考えております。その地域内の一極集中を是正するということについての問題が大事だということについては、私どもから3月の関西広域機構の会合の際にも発言してまいりました。
 概要案では、広域連合の意思決定に当たり、構成団体の多様な意見を的確に反映するために構成団体の長による合議制をとることが提案されております。私は、これに加えて、広域連合が事業を実施する際に人口が多い中心部に偏ることのないように配慮するなど、さまざまな資源を一極集中にならないように適正に配分することを求めてまいりました。また、広域連合議会のあり方には、今後の検討課題ではありますが、こういった観点から構成団体ごとの定数配分を単純に人口割としないということが私は必要だと考えております。
 次に、関西広域連合と道州制との関係でございますが、関西広域連合の取り組みが将来の道州制導入のステップになるのか、あるいは道州制にかわるものとなるのか、今後関西みずからが評価し、将来の関西のあり方を検討していくこととしております。実は、知事の間でも、関西広域連合に賛成の知事も道州制については全く評価を異にするというような──だれとは申し上げませんが──ところもあります。したがって、これは道州制を前提にするものではございません。
 関西広域連合設立に向けてのスケジュールについてでございますが、本年3月26日の各府県知事等の申し合わせでは、広域連合の設立について目標を持って進めていくという趣旨から、本年中の設立を目指すということとしたところであります。この場合、最速のケースでは9月議会に関連議案を提案することになりますが、これも今後の展開次第であります。一番大事なことは議論を尽くすということでございますので、私としてはこのスケジュールにこだわっているわけではございません。
 広域連合という新たな自治体を設立するためには、その必要性について議会の皆様や県民の皆様に十分御納得いただくことが必要でありますので、今後とも引き続き広域連合設立の効果などに関する情報を皆様にお示しし、御理解を得るように努め、議論の進みぐあい等を見計らいながら進めてまいりたいと、こういうふうに考えております。
 なお、在伯和歌山県人会につきましては──在伯というか在外県人会につきましては、大変大事なものと認識しております。特にブラジルについては、ことし、ブラジル和歌山県人会連合会創立55周年ということでございまして、県としてもこれを元気づけるというような意味でさまざまな支援活動を行ってまいりたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 和歌山市の中心市街地活性化につきましては、平成19年8月に国の認定を受けました和歌山市中心市街地活性化基本計画に基づき、旧丸正百貨店ビルの再生や十番丁共同住宅・事務所複合ビルの建設、さらには有料老人ホームの整備や地場産品のアンテナショップの開設など、さまざまな事業が実施・展開されているところでございます。
 この結果、フォルテワジマ前の交差点の歩行量等通行量がやや増加しているなど、一定のにぎわい創出につながっておりますが、議員御指摘のように、商店街の空き店舗対策の課題が残るなど、今なお厳しい状況にあると認識してございます。
 県としましては、今後とも和歌山市との連携をさらに強化するとともに、中核的な拠点施設の整備に取り組んでいらっしゃる民間事業者などとも協力しながら、来年度撤去予定である経済センターに入居している経済関係団体の中心部への移転促進や県立医科大学の関連施設の新設など、都市機能の充実促進に努めることにより県都和歌山市の中心市街地がより一層活性化するように努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) この際、申し上げます。発言時間は残り49秒であります。再質問をされますか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 以上で、小川武君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 34番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 では、議長のお許しを得ましたので、質問をしたいと思います。
 補正予算については、今、小川議員から全体の、内外の経済情勢と、それからそれに伴う大型、和歌山県の補正予算について質問され、そして知事の答弁がありましたので、私はその中で2つの点で、具体的な点で御質問したいと思います。
 1つは、この大規模な補正予算が行財政改革推進プランにどう影響するのかということで、少し質問したいと思います。
 国において経済危機対策に基づく補正予算が成立したことを受けて、県は、2月議会、引き続き今議会6月議会に471億円の補正予算を編成されています。歳入の補正で県債が187億1800万円を発行されますし、県は新行財政改革推進プランでは、推進プランを実施しない場合は21年度収支不足額が135億円、基金は21年度に枯渇することになっています。推進プランを実施したとしても、21年度は不足額67億円、基金から取り崩すことになっています。今回の大型補正予算による県の財政への影響はどうか、推進プランの変更はないのか、総務部長にお尋ねしたいと思います。
 次に、補正予算に伴う臨時特例交付金の運用についてであります。
 1つは、公共事業240億円は県がやらなくてはいけない事業を前倒しにして行うのに大変いいことだと思いますし、問題はないと思いますが、とりわけその次の福祉分野における経済対策としての臨時特例交付金の運用については、例えば介護職員処遇改善対策、障害者自立支援特別対策は23年度までの時限経過措置で、正味2年6カ月の期限つきの施策であります。とりわけ介護職員の処遇改善は、平均1人1カ月1万5000円程度の賃金アップをすることになっています。福祉法人や介護事業所は、介護職員の賃金のベースアップを2年6カ月上げて、その後はもとに戻しますよというわけにはいかない。そういう意味では、これは経済対策というのではなく、むしろこの時点で介護保険制度や障害者自立支援法のあり方そのものの見直しをしてこそ成り立つのではないでしょうか。この対策は現場を混乱させることにはならないでしょうか。また、その賃金のベースアップは正社員に限定されそうで、パート職員との賃金格差がさらに広がることにならないか。臨時特例交付金が終了する平成24年度以降の対応についてお尋ねします。
 また、この対策の各事業所や市町村への説明や申請受付、実施後のチェック等は、市町村でなく、すべて県が担当していくことになっていると聞いております。仕事量が膨大にふえると予測されるが、県としてどう対応されていくのか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 次に、農業・林業関係についてであります。
 今回はそのことすべてでありますが、1つは新農林水産業戦略プロジェクト推進事業の推進体制と関連施策の有機的な連携についてお尋ねします。
 和歌山県の地域経済を支える基幹産業である農・林・水産業を、各地域を基盤にどう振興させていくのか。今回、農林水産部が総合的な振興策として農林水産業戦略プロジェクト推進総合対策を打ち出されました。和歌山県の農業所得平均300万円、農・林・水産を統合すれば200万円を下ると言われております。長期総合計画は1戸当たり550万円と夢のような話ですが、その目標に向かって今、総合的な対策を打ち出し、地域の農・林・水産にかかわる生産者をいかにやる気のあるものにしていくか。そのためには、県の総合対策の方針が地域で理解され、県、地域が一体になるため、地域での戦略プロジェクト組織が確立されなくてはなりません。
 地域で品目ごとに生産加工販売対策を総合的に推進するには、その組織が農・商・工が連携したものではなくてはなりません。農業分野だけでの集合体では地域には力になりにくいと思いますが、県は地域戦略プロジェクトについてどう考えているのか、お尋ねします。
 また、地域では農の事業、林の事業、水産の事業と各セクションの振興策を受け入れてやっています。この戦略プロジェクト対策と各セクションの事業をどう一体化させ、総合対策にしていくのでしょうか。お伺いしたいと思います。
 また、私たちは、国、県が打ち出される施策についても、個々ばらばらにしか理解できません。国、県の施策である例えば農商工連携ファンド、わかやま中小企業ファンド事業、ふるさと雇用再生特別活用事業などを初め、国の地域再生総合プロジェクト施策を含めて総合的にどうとらえていくのか。それは今回の戦略プロジェクトの果たす役割だと考えますが、どうでしょうか。農林水産部長にお尋ねします。
 次に、ことしの梅の市場動向と干ばつ、強風による被害対策についてお尋ねします。
 梅の収穫は今最盛期ですが、和歌山の農業の基幹品目として、梅の市場動向によっては地域の経済に大きな影響を与えます。梅の収穫時期の5月、6月、7月は、地域の商店街、飲食街は閑古鳥が鳴くのを当たり前として受けとめるぐらい農村部へ人が集中すると言っても過言ではありません。それだけに、農業生産者だけでなく地域の3次産業の人たちも、ことしの梅の生産量や価格を含め、市場動向に注目しています。
 ことしの梅の生産量はどうでしょうか。当初予測では、前年比110%と豊作と見ていたのが、現状は、このままいきますと、梅の生産量は前年比90から95%と当初予測110%を大きく下回るようです。品物が少ないと少し値が上向くかと思いきや、少し私のデータは古いですが、前年20年400円近いものがせんだってまでは300円台──今ちょっと400円ぐらいになっていると聞いておりますが──梅の市場動向についてお伺いしたいと思います。
 2点目は、ことしの天候が異常です。雨量の状況を見ますと、白浜のアメダスのデータによれば、5月中旬、平年ですと67ミリに対して、ことしは6.5という1割に満たない、そういう状況であります。5月下旬は、平年72.5ミリに対して10.5ミリという。このように乾燥、干ばつによる被害と、しかも5月28日の強風による被害とダブルパンチで梅の落果がひどく、強風による被害額約4億4000万円、乾燥を含めた被害が予測できませんが、少なくとも生産量110%が90から95%になるとあればおおよそ見当がつくと思われます。ある梅生産農家は、梅園の7割も落果したところもあります。
 そこで、その被害状況はどう把握されているのでしょうか。また、その対策として、共済制度の活用、融資制度とその利子補給等、県当局の被害対策について農林水産部長にお伺いいたします。
 次に3点目ですが、これについては要望としたいと思います。農山村の地域の地域再生計画の策定について要望したいと思います。
 私は、農山村地域の地域再生計画の策定を提案するのは、例えば市の中心市街地やまちづくりと比較して農山村、とりわけ林業を再生するためにその地域をどう再生するかというプランがなかなか難しく、余り確固たるものができ上がっておりません。
 そこで、1つは、国の地域再生法を初め道整備交付金制度を活用した基盤整備と、第2点は、県が21年度予算の中で住みよい山村集落総合対策事業とどう複合化、絡めながらどう地域を再生していくのかを市町村、関係機関と協力してそのプランづくりをしていくことを提言しますので、ぜひともその実現に向かって農林水産部は頑張っていただきたいと要望したいです。
 次に、紀州材生産販売プランを生かす紀州木材利用木造住宅特別融資制度の設置について御提案申し上げたいと思います。
 和歌山県が出している紀州材生産販売プランの中でも、加工販売促進を進めるには、新たな販売開拓として県内の紀州材利用の住宅建設を促進させることが大切です。県下での県産材の年間供給量はどうでしょう。県は、紀州材需要創出事業として乾燥紀州材活用の普及には取り組んでいますが、さらに紀州材利用を拡大するための施策として、設計士、工務店、林業関係者は、1つの考えとして、紀州材利用の木造住宅をもっと広げるには融資制度を設立することによって、不動産業、設計、工務店、金融機関が媒体源として県民へのPRが広がりを見せ、融資制度活用の消費者がふえて木造住宅のよさのPRにもつながるのではないかと訴えられています。県として紀州材販売を促進する意味からも、紀州材利用の融資制度設置を考えてみてはどうでしょうか。
 ちなみに、兵庫県では県内産利用の融資制度は県内に大きなPR作戦となって木造住宅着工戸数がふえていると聞いております。農林水産部長にお尋ねします。
 次に、中津村森林組合の簿外資産問題についてであります。
 県が森林組合の補助及び委託事業費について、年間、請負事業費を除いて約12億2000万、県から補助金または委託事業として25森林組合にされております。そういう意味で、これは請負事業を除いていますから、まださらに大きい事業でありますが、そういった中でむしろ、私は以前から言っているんですが、県のいわゆる委託補助事業または委託事業が森林組合そのものへの丸投げになっている現状は、幾つかの問題点が起こるんではないかということも指摘してまいりました。
 今回、この中津村森林組合の問題を見てみますと──各森林組合の決算書を見ました。しかし、森林組合そのものの決算書は組合員にもわかりにくいし、我々にも全然わからない。事業丸投げで、その中の人件費や内訳が何ら示されてませんから、決算書の中身を見るには到底、私は当局自身もこれを見たってわからないんじゃないかと、そういうような状況であります。そういった点についても、もう少し組合員や一般がわかりやすい収支決算書を示すような指導も必要ではないかというふうに痛感いたしました。
 そこで、質問したいと思います。
 第1点は、このような事態になった要因はどうでしょうか。第2点は、県の指導監督はどうされているのか。第3点は、今回を教訓に今後どのように改善していくのか。農林水産部長にお尋ねします。
 次に6つ目ですが、カンザイシロアリ対策についてであります。
 カンザイシロアリは、アメリカから侵入してきた外来種です。アメリカカンザイシロアリとも言われています。日本のヤマトシロアリは湿気づいた床下に巣をつくって、一部限定したところからスタートしますが、アメリカカンザイシロアリは乾燥したところを好み、年じゅう巣をつくる代物だそうですし、1軒の家にとどまらず、周辺団地全体に広がりを見せるそうです。
 日本では、既に88カ所、1万件に及ぶ状況にあるらしく、よそのことと思っていましたが、最近県内の古座、すさみ地域に被害が発生していることがわかりました。今、関係者はその対応と対策に苦慮しています。県全体に広がるまでにこの対策を県行政としても考えていく必要があると考えます。住民、設計士、工務店、駆除業者も、今、駆除するための対策、研究もしていると聞いていますが、県行政としても、外来種対策、住民の安全・安心の住宅環境という立場から、まず県行政は現況調査へ一歩踏み出してもらうことを求めますが、県土整備部長にお尋ねいたします。
 次に、最後になりますが、紀の国森づくり基金事業についてお尋ねいたします。
 田辺市では、この森づくり基金を活用して、ふるさとの森づくり、災害防止の森づくりを目指してNPOを中心とした市民運動として定着していますし、苗木づくりなどは障害者団体など一緒になって進めています。これは、私たちの尊敬する横浜国立大学名誉教授の宮脇昭教授が示す宮脇方式の植樹を植栽しています。
 今、知事に示しました活動状況を見ますと──時間がありませんが──市民を初め県外からの参加、とりわけその特徴的なところは、目良団地では1200名の参加、県外から400名、新文里港埋め立て1000名、県外から300名、芳養漁協埋め立ては1000名、県外から300名。今、大沢議長もこの3つの特徴的な点にも参加していただいておりますし、当時、環境生活部長であって、今、代表監査の楠本氏も参加していただいております。
 参加者は、小学生、中学生、高校生、自治会、老人会、女性会、市民グループ、白浜・田辺青年会議所、田辺市行政の参加で、紀州「熊楠の森」大植樹祭として大きな成功と成果を上げています。これらはすべてボランティア参加で、豚汁等のサービス、各自治会等はジュース等の飲み物のサービス、道具は各自持参、植樹本数は今までに3万9000本、面積にしては1万2000平米、こういったNPOを中心としたふるさとの森づくりは大きな市民運動として取り組まれています。
 そこで、知事にお尋ねします。
 1つは、NPO、各団体が中心になった市民植樹運動をどう評価していますか。
 2つ目は、県の森づくり、植樹活動の考え方、グランドデザインはどうなっていますか。
 3つ目は、世界的植樹運動の先駆者、横浜国立大学名誉教授、宮脇方式の植樹をどう評価しているでしょうか。宮脇教授は、宮脇方式で国内で手がけた植樹は1500カ所以上、海外でも植樹指導を展開。東南アジア、南アメリカ、アフリカ、とりわけケニア、ナイロビ郊外の世界三大熱帯で植樹し、中国の万里の長城や内モンゴルでも活躍し、既に植樹本数は世界で3000万本以上と言われております。
 そういった中で、次に具体的に農林水産部長にお尋ねします。
 1つは、21年度紀の国森づくり基金活用事業の申請と県の審査結果に対して質問します。
 皆伐されたところへの森林造成事業、4団体の申請に対して、県は保留理由と改善措置事項を示し、指導されました。その保留理由、改善措置の内容に対しては後ほど質問しますが、まず第1点は、宮脇方式のふるさとの森づくりについての考え方をお聞かせください。
 宮脇方式は世界各国、国内においてその実践による実績は高く評価され、植樹運動は大きな広がりを見せています。ふるさとの森は、郷土の潜在自然植生を構成する樹種を用いてつくる自然林に近い森を速やかにつくることができる。紀南地方の自然植生を考え、その樹種を選び、混植・密植することで強く早く育てていく、そういったことをしています。苗木が早く育つので、植えつけ直後の世話、除草等は1~2年で済みます。本来、通常の植樹ですと5年から10年の手間がかる。しかも、自然に近い森は害虫にも強いので、管理はほとんど必要ない。また、杉、ヒノキの皆伐された森への植樹や、公園、のり面等のふるさとの森づくりは、強風、潮風の影響の大きい場所、植栽密度を高め、混植・密植によって自然の森を復活させています。
 宮脇氏は、「自然とは人の顔ほどに違います。多様性こそ最も強い自然の表現力です。したがって、まず現場に出て自分の体を測定器に、目で見て、手で触れ、においをかぎ、なめて、さわって、そして木を植えてもらえばわかります」と説き、「木を植えるとは、命を植えることであり、まさに心に木を植え、あすを植えることです」と強調されております。
 哲学者の梅原猛さんは、「本物の生態学的な宮脇方式で木を植えることは、21世紀の公共事業である」と明言しています。
 私は、宮脇方式を述べた上で県の保留理由と改善措置に対して、具体的に質問します。
 第1点は、4団体の申請に対して、それは1団体に集約するよう指摘されましたが、県の担当課は現場を知らない。活動の実績を見ていない。実際に植栽の労力は多くの人の参加と協力なしにはできません。今回は捻木の森事業として──捻木とは田辺市の市指定天然記念物であります。安珍を追って清姫が田辺の高所から見るのに、低いんで、それをこの木に登って怒ったというか、木をねじったことによってできた木というふうに言ってます。それは熊野古道周辺であります。熊野古道中辺路、潮見峠の熊野古道沿いに捻木があって、そして今度植栽するのは1万5700平米にわたる──いわゆる皆伐された──杉、ヒノキが全部刈られておりますから、1つは、せっかくの熊野古道沿いの山が皆伐されてはげ山になった。これを何とかしなきゃいけないというNPOのその思いで今回提出されたわけでありますが、今回は、その杉、ヒノキが皆伐され、1万5700平米を何とか植栽しようという計画であります。
 この実行は、4つの団体がグループ化し、さらに県内外の市民1000人の参加で植樹しなければ、とてもなかなかできません。また、NPOを中心とした先進的なグループと市民参加でふるさとの森づくりをすることに何の問題があるんでしょう。県はこの意義を理解していないのではないでしょうか。県の今回の保留理由及び指摘事項は理解に苦しむし、本当に森づくりをするという立場に立っているのか疑いたくなりますし、そのことについて県の説明を求めます。
 第2点は、宮脇方式は、植栽方法は本数が多く、多額の予算が必要であるとしています。先ほど述べた宮脇方式は、植樹とその労力はむしろ、数の問題じゃなくて、それそのものを植えるとか維持管理は普通の植栽よりコストが安くつきます。これは、皆さん、NPOが実践した平成18年からの実績を見ますと、それが証明されています。しかも、苗木代は高いですか。市場と比較してください。しかも、みんながドングリを拾い、障害者の皆さんと力を合わせて苗木づくりをした苗木代が高いでしょうか。その地域であったいろんな種類の木を密植することのほうが、植樹から維持管理まで総合的に見ると、コストは安いのではないでしょうか。しかも、全体の申請額の半分近くは鳥獣被害防止のネット代であります。
 第3点は、指摘している改善措置についてであります。
 1つは、県は植林の方法として、宮脇方式が唯一絶対的なものではない、多様な森づくりということを考えて植林の方法を考えていただきたいという指摘がありました。これについては、全く私個人としても納得できるものでありません。このNPOを中心とした4つの団体は、また市民運動は宮脇方式が最高という形の方針でやっていることについて何ら口を挟むことがあるのかということについては、少し疑問を持っているところであります。
 多様な森づくりということでの植林方法を考えよと指摘されました。知事に質問したように、多様な森づくりの植林方法は、私たちは宮脇方式が実践結果から一番よいと考えています。県は、具体的に、じゃ植樹方法を提示、指導しないで宮脇方式を否定するかのごとく、指摘内容については非常に不十分であり、問題があるのではないかと感じますので、私たち宮脇方式は、国内外を初め田辺市の実践活動は今すくすくとその植樹は育っていますし、何が問題なのかお聞かせ願いたいと思います。
 参考までに、ことしの4月24日付「毎日新聞」によれば、林野庁はこの9年度から多様な広葉樹を密集して植える宮脇方式と呼ばれる植林方式を国有林の一部で初めて採用すると言われております。こういった意味で、林野庁は、ことしから広島県の呉市で国有林に6月にもモデル植林を実施する予定だと、こういうふうに言われておりますが、そういう意味では県が今先ほど言いましたいろんな意味での宮脇方式に対する疑問を呈することについて反論をしながらも、今後の考え方についてお聞きしたいと思います。
 これで、質問を終わりにします。ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの原日出夫君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 御質問のうち、私に対して答えよというお話ございました紀の国森づくり基金活用事業についてお答え申し上げます。
 これにつきましては、平成19年度から公募事業を実施してきたところでございますが、この間、NPOやさまざまな民間団体の活動により、2年間で約2万4000人もの多くの県民に御参加をいただいているところでございます。こうした市民植樹運動は、まさに県民が知る、理解する、参画するという紀の国森づくり基金条例の趣旨からも大変有意義であると考えてございます。
 また、CO2吸収源としての森林や生物多様性への関心が高まる中で、例えば荒廃した森林の整備や貴重な森林を残すための公有林化など、100年、200年先の姿を見据えた森づくりが重要であり、このため、この基金事業を最大限に活用していただければというふうに考えております。
 次に、横浜国立大学、宮脇名誉教授の提唱されているいわゆる宮脇方式の植樹に対する評価についてでございますけれども、お話のとおり、国内や世界各地でこれが実践されております。特に荒廃地や砂漠地など、すなわちもともとの土壌が失われたようなところで、そういう悪条件なところで一気に自然に近い森林の造成に成果を上げるという点では、そういう成果を上げているところであると理解しております。また、本来そこに生育する樹種の苗木を育てて、これを密植してより早く自然林に近い森を育てる方法ということでございますので、もともとあるものを植えていくという点で私は評価をしております。
 ただ、御引用の宮脇さんの言葉にありますように、自然とは人の顔ほど違うと。それから、多様性──多様なものだというようなこともございます。土壌が例えば十分残されているようなところなどさまざまな地域に、あるいは大規模に植林をする、あるいは小規模に植林をする、いろんな条件でさまざまな方式が考えられると思います。したがいまして、植林の唯一無二の方法であって、ほかはだめだというふうに考えるのも、これも宮脇さん自身も望んでおられないことではないかと私は思います。
 したがって、この方式も含め、さまざまな方式をテストしながら、一番いい、その土地に合ったやり方を考えていくということが真のナチュラリストとしての立場であろうと思います。
 御指摘のように、林野庁においてもこれを試験的に一部導入していこうじゃないかと、テストしようということになったと考えております。県内の森林においても、さまざまな場所で、こういうことも含めていろいろ実証して効果を確かめていく必要があろうと私としては考えております。
○議長(大沢広太郎君) 総務部長宮地俊明君。
  〔宮地俊明君、登壇〕
○総務部長(宮地俊明君) 今回の補正予算による新行財政改革推進プランへの影響につきましてお答え申し上げます。
 今回の補正予算の編成に当たりましては、歳入として基金繰入金を約42億円計上いたしております。この内訳を申し上げますと、国の補正予算で措置された交付金等を活用して積み立てを行う各種基金からの繰入金が約34億円となっております。また、差額の約8億円につきましては、財政調整基金からの繰入金であり、これは法人2税の還付金等の増加に伴うものでありますが、取り崩し後の財政調整基金と県債管理基金を合わせました基金残高は、今回の補正後で約144億円程度を見込んでおります。
 一方、新行財政改革推進プランで想定しております平成21年度末の基金残高見込みは84億円となっておりまして、今回の補正予算に伴う基金の取り崩しが本行革推進プランに与える影響はないものと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 福祉保健部長北田佳秀君。
  〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 補正予算に伴う臨時特例交付金の運用の2点についてお答え申し上げます。
 まず、介護職員処遇改善交付金などの臨時特例交付金が終了する平成24年度以降の対応についてでございますが、国においては、介護や障害福祉分野の職員の処遇改善の状況などを見ながら、介護報酬を初めとする介護保険制度や障害者自立支援法のあり方全体を検討する中で対応していく意向であると聞いてございます。
 県といたしましては、介護職員の賃金を維持するためにも、次期介護報酬改定においては、介護労働を適正に評価した報酬とすること、また障害福祉分野におきましても、福祉人材のキャリアと能力に見合った給与体系となるよう自立支援給付費に係る報酬単価の設定を行うことなどにつきまして、近畿ブロック知事会などを通じて国に要望してまいりたいと考えております。
 次に、交付金に係る事務につきましては、申請書や処遇改善計画書の受け付け、交付決定、支払いに必要なシステム改修及び精算事務等が発生してまいりますが、限られた期間の中で事業者等への制度の周知を徹底するとともに、適正な事務処理を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 農業・林業関係の5点についてお答えを申し上げます。
 まず、第1点の新農林水産業戦略プロジェクト推進事業についてでございますが、県の長期総合計画に掲げた農林水産業の所得向上を図るために、これまでの手法とは違いまして、地域の自主性をより尊重しながら、それぞれの異なる課題に対応した生産、加工、流通、販売、この対策を総合的に推進する事業といたしまして本年度創設をいたしてございます。
 その推進に当たりましては、市町村、関係者等への説明会を開催するなど、まず周知を図るとともに、随時部内の調整会議を開催いたしまして、この戦略プロジェクトが最大限の効果を発揮できるよう、農・林・水の関連事業との調整を図りながら取り組んでございます。
 また、品目別のプロジェクトチームを設置いたしまして、計画段階から県もコーディネーター役として参画をし、農協等の関係団体や市町村と連携をしながら事業計画の作成について支援をしているところでございます。
 今後とも、この戦略プロジェクトを核に、農商工連携ファンドやふるさと雇用再生特別基金事業等とも連携をしながら農林水産業の活性化に努めてまいりたいと考えてございます。
 2点目の梅の市場動向等についてでございますが、景気の後退による価格低迷を懸念いたしてございましたが、市場取引価格につきましては最近持ち直し傾向にあり、堅調に推移をいたしました昨年とほぼ同様の価格を現在は維持してございます。こうした中ではありますが、去る5月28日に発生をいたしました強風による梅果実の落下などの被害に加えまして、5月の少雨による影響等もございます。そういう中で、梅産地にとりましては厳しいものがあるというふうに認識をしてございます。
 今般の強風等による農家の被害対策についてでございますが、本年産の梅の果樹共済加入率につきましては、主産地の和歌山南部農業共済組合におきまして39.8%となってございまして、今後、県といたしましては、共済金の早期支払いあるいは農林漁業のセーフティネット資金の活用等を働きかけてまいりたいと考えてございます。
 いずれにいたしましても、被害対策につきましては、今後の状況等も踏まえながら適切に対応してまいりたいと考えてございます。
 次に、3点目の紀州材生産販売プランと紀州木材利用木造住宅特別融資制度の設置についてでございますが、紀州材の県内需要の拡大につきましては、木材の最大の需要先であります木造住宅への利用を促進するため、これまで乾燥紀州材を利用した木造住宅建設への定額補助を実施してございまして、実施先といたしまして1364件に助成を行ったところでございまして、本年度におきましても、現在募集を行ってございます。
 いずれにいたしましても、木材需要拡大につきましては、紀州材生産販売プランを進める上で大きな柱でございます。これまでも関係者の意見を聞きながら取り組んできたところでございますが、お話の木造住宅への利用促進につきましては、今後とも建築あるいは設計関係者等の意見も聞きながら、より効果的な方策について検討してまいりたいと考えてございます。
 4点目の中津村森林組合の簿外資産問題についてでございますが、この不正を生んだ要因といたしましては、作業員からの強い要望もあり作業代金の現金支払いが続けられてきたこと、あるいは職員数が少なく権限が1人に集中しがちな体制であったことなどが主な要因と考えてございます。
 次に、県の指導監督についてでございますが、森林組合法の規定では、県は森林組合に対し、必要な報告や資料の提出、また経理についての検査、さらには法令違反があったときには業務の改善を命ずることができるということになってございます。これを踏まえまして、去る6月8日、中津村森林組合に対し5項目にわたる業務改善を命じたところであり、今後、これらの確実な履行が図られるよう厳正に対処していくとともに、すべての森林組合を対象に再点検を行うこととし、既に立入検査に着手してございます。
 県といたしましては、これまで、コンプライアンス意識の徹底を初め、作業代金現金払いの見直しや組合内部におけるチェック体制の整備を指導してきたところでございますが、今回の問題を教訓といたしまして、県下のすべての森林組合に対しさらなる情報開示を求めるなど、組合員の負託にこたえ得る組織となるよう指導の強化に努めてまいりたいと考えてございます。
 最後、5点目でございますが、紀の国森づくり基金の公募事業につきましては、財源が県民税ということでございまして、公平性などの観点から運用に留意をしているところでございます。今回保留となった5団体につきましては、植栽時の経費が一般的な方法よりも高く、協議してきたところでもあり、また手続上の問題等もございまして、保留とさせていただいたものでございます。
 森づくりのコストにつきましては、樹種の選定に始まり、条件がさまざまでございます。一概に比較することはできませんが、お話のように、確かに1~2年で草刈りを終えることができれば植栽後の費用は安価になるというふうに思ってございます。
 県といたしましては、これまでの県内での取り組み状況、また林野庁の積算資料等も見ながらいろんな条件下におけるコストを把握いたしまして、再度ヒアリングの機会を設けていきたいというふうに考えてございます。
 また、県の地域森林計画では、地域に適した樹種を選択いたしまして、例えば広葉樹では、ヘクタール当たり3000から4500本を植栽した後、5年から10年の下刈り、除伐などの手入れを行うという基本的な指針に基づいて取り組んでございますが、その手法は現地の状況によりましてさまざまであると考えてございます。お話の宮脇方式につきましても、県内において既に実践を重ねられており、効果的な森づくりの方法の1つであると考えてございます。
 なお、ヒアリングを含め、協議の過程の中で誤解を招くことのないよう適切に今後も対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) カンザイシロアリの現状と対策についてでございますが、この外来種のシロアリであるカンザイシロアリによります住宅への被害が広がりつつあると言われており、従来の日本の住宅で発生しているシロアリとは異なる習性のために有効な駆除方法が確立しておらず、技術的にも難しいというふうに聞いてございます。
 また、このシロアリに対する専門家、技術者も少ないのが現状であります。今後、関係団体等と連携いたしまして、情報収集に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
  〔「アメリカ行ってこいよ、もう」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
 34番原 日出夫君。
○原 日出夫君 答弁ありがとうございます。
 補正予算について福祉保健部長から言われましたが、近畿知事会でその旨言うていくということですけど、国の予算そのものが緊急経済対策としての政策を打ち出すべき項目かどうかということを基本的に考えれば、これは全く似つかないと僕は思います。今回、公共事業としてやられた220億そのものは引き続き県がやらなければならないことを前倒ししながら、それを早くやるということについてはあり得ても、福祉に対しては法律がある。法律があるのにもかかわらず、特例交付金でそれをやるということについては、いささかこれは国の考え方がおかしい。少なくとも、この時点でやるのであれば、介護保険法を改正したり障害者自立法を改正して、そして前倒しで実はこの10月から実施するという方針を打ち出すのが本来国のすべきことである。できなければ来年度、22年度から新たに法律の議論をした上での法体制をきちっとして、今後の福祉行政のことに対してきちっとやるべきだというのが本来のやり方だと私は考えます。
 そういう意味では、本来は知事に聞きたかったんですが、近畿知事会で意見を述べていただくということですから、その点を踏まえて、よろしくお願いしたいと思います。
 次に中津村の問題ですけど、森林組合の問題については、私自身、本当に素人でありますが、ちょっとプロの人と──担当者から決算書をもらいましたが、中身を見ますと、全くその県からの補助金、委託費が、事業費そのものが丸ごとの収支だけであって、そのことがどう使われたのかという中身の明細が全くわからない。これでは、組合員自身も一般のことはもう全然わからない状況。だから、今後の教訓としてやる場合には、必ずそういう意味での、組合員がわかるような、いわば年度の決算書にやっぱり改めて指導していく必要があるんではないかと。その中で、組合員の意見を聞きながら、組合員とともに森林組合を運営していくという形に戻すべきだと思います。
 先ほど言った、中津村が一部の幹部だけで取り仕切って金の中身を仕切っていくとそういう形態が生まれるということに対して、教訓として今後進めていただきたいと思います。
 次にカンザイシロアリの件ですけど、ちょっとやじで「アメリカへ行ってこい」と言うたけど、それはアメリカの駆除対策はきっちりして、もうわかっています。国のほうでもわかってますし、それはわかってるんですが。ただ、アメリカの場合は、1軒1軒が離れていて、1つそのものを追いかけてやるという駆除方法はもうでき上がってるんです。カリフォルニアではもうそれは10年に1回やらんなんという、そういう状況が生まれてるんですが、我が日本は密集した住宅構成になってますから、アメリカの方策ではやれないというのがあるわけです。だから、日本に合った駆除方法を今後どうしていくかということで言われてますので、その点を、できるだけ現場へ行っていろんな専門家の意見を聞きながら、国もそうですけど、国も含めて今これから検討していくということですから、ぜひともそういう中での1つのこれからの対策としての柱に県としても取り上げていってほしいと。右から左へ流すことなく、それにこたえていってほしいというのが私の要望であります。
 最後ですけど、紀の国森づくり基金活用事業についてです。
 知事が答えられました。私たちは何も、宮脇方式を、それをすべてやれって言ってません。今、知事が言われたように、それぞれの形態で植樹をしていくことによってやったらいいということの考え。ただ、私たちは、宮脇方式に、みんなが声をかければ1000人、1500人て来るというのは、宮脇方式が世界各国で、しかも国内でも非常な成果を上げたことに共鳴して、みんなが、それだけ人が集まるんですね、強制しなくても。だから、それぐらいの方式にみんなが共鳴してるんですから、それはそれとして県は評価していくべきだし。
 県が先ほど言いましたように、県の方針はこれだけの本数で済みますよ、例えば3000本ぐらいで済みますという。それはそれで、僕、やったらいいと思うんです。それは、お互いに森づくりをしていくという方向で、お互いに共同一致すれば、お互いの市民団体、県の方策、いろんな皆さんの団体が違っても目標は一緒です。そういう目標に向かってやることを県が評価しなければ、それを知事が言いましたように、県のやり方に従ってないからこれはだめですって言うてきてるんですからね、現実は。だから、その点を、知事の言われたことを了として今後目標に向かって、お互いの方式についてはお互いに理解し合いながら、1つの目標に向かって共同していくことが大切ではないか。
 しかも、これは森づくりでなくて、地域の地域づくりにおいても、いろんな方策があっても、やっぱりお互いに行政とそういう市民団体、NPOが協働して物事を進展していく時代です。財政が厳しい中で、すべて行政におんぶする時代から市民と一緒になって森づくりや地域づくりをやっていくという本来の哲学の問題ですから、それを改めて認識していただいて今後の活動に生かしていただきたいということをお願いして、終わります。
 ありがとうございました。
○議長(大沢広太郎君) 原議員に確認をいたします。
 ただいまの発言でありますが、答弁を求めますか、要望ですか。
  〔「要望です」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時44分休憩
────────────────────
  午後1時1分再開
○議長(大沢広太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、3つの項目について一般質問させていただきます。
 1つ目は、新型インフルエンザ対策の問題です。
 ことしの3月末、新型豚インフルエンザにカリフォルニアの2人の子供が感染し、人・人感染が起きていることを、アメリカCDCが、4月22日、発表いたしました。ウイルスの感染はメキシコ、アメリカ、カナダと拡大し、日本では5月9日、国内で初めての新型インフルエンザ感染が確認され、1週間前の6月12日にWHOによりパンデミック宣言がなされました。6月10日までの感染者数は世界74カ国2万7737人、うち死亡者141人です。日本では、6月18日現在689人の感染が確認されています。死亡者がないということが幸いです。当県においても、5月27日に初めて20代男性が新型インフルエンザ患者として確認をされました。この間ずっと24時間体制で対応されてきた関係機関、関係者の皆さんの御苦労には、まず心から敬意を表したいと思います。
 国は、非常に致死率が高い鳥インフルエンザウイルスが変異した新型インフルエンザの対策ガイドラインや行動計画をつくり、これを適用してきました。県としても、平成17年12月に策定された和歌山県新型インフルエンザ対策行動計画が今年度4月に改定されたところでした。今回は、豚由来のH1N1であり、弱毒性と言われています。重症度は低いけれども、感染力が非常に強いということです。現状は小康状態と見られています。しかし、世界的にも感染者は拡大しており、日本でも秋から冬にはインフルエンザが流行することも念頭に、今回の対策から教訓を明らかにし、備えを整えることが重要だと考えます。改めて、現時点での県の新型インフルエンザ対策の基本的な考え方について知事にお伺いしておきたいと思います。
 次に、感染拡大の防止策について福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 どのような感染症においても、まず感染経路を断ち切り、感染拡大を最小限に食いとめるということが県民の命を守る上で鉄則です。そして、他県で見られたような感染者への誹謗中傷や過剰な反応をすることのないように、正確な情報が必要です。そして、落ちついた対応が1人1人できるように、日々予防策を身につけられるよう周知徹底を図ることだと考えます。
 今回、感染の早期発見、早期治療、拡大防止の上で保健所の役割の重要性が改めて確認されたと思います。
 感染の可能性のある人への追跡調査や発熱相談など、各保健所はフル回転されましたが、しかし、保健所の人員がこの間減らされてきていることが全国的にも問題となりました。舛添厚生労働大臣は、予算委員会で、保健所の人員確保について、国としても必要な危機管理拠点としての機能を維持していきたいと表明されています。県内保健所でも体制の強化が求められると思います。
 また、大阪府や兵庫県では感染者の増加により発熱外来に患者が集中し、病床がパンクする状態になりました。和歌山市でも保健所が発熱外来を設け、その間は通常の予防接種などの保健所活動を中止する状況でした。発熱した場合、やはり一般医療機関を受診するケースも多く、発熱外来が数多く設置されることと、一般医療機関で他の患者、特に慢性疾患患者や妊産婦と分離して発熱患者が診察を受けることができるようにすることが必要だと考えますが、この対応策についてお聞かせください。
 感染者の入院受け入れも問題です。
 県内で第2種感染症指定医療機関は6病院、24病床であり、和歌山市を含む和歌山医療圏には感染症指定医療機関がない状態です。感染症病床拡充についてどのようにお考えでしょうか。
 そして、依然として医療現場では医師、看護師不足の深刻な問題が横たわっています。そのような中で今後ともどのような緊急事態が起こるかわかりません。十分な医療体制が整っていることこそ、県民が安心して落ちついて対応できるものではないでしょうか。人的体制が深刻な中、どのように乗り切っていくのかもお尋ねいたします。
 最後に、だれもが早期受診できるために、国民健康保険証の資格証明書が発行されている世帯、無保険となっている世帯、また生活苦の中で自己負担金が重くて受診が困難だという世帯への対応が必要です。
 政府は、資格証明書の発行世帯について、発熱外来を受診した場合に保険証所持と同様の対応をするよう措置をとりました。和歌山市などでは、この内容を資格証明書発行世帯に郵送で通知しています。この措置を徹底するとともに、発熱外来に限らず一般医療機関への受診にも対応できるようにすることや、低所得者の方への医療費負担軽減を図ることが必要だと考えます。この点での対応を検討されるよう求めるものです。
 次に、2項目めの肝炎対策の充実について質問いたします。
 日本においてB型、C型肝炎ウイルスの患者数、感染者数は、300万人とも350万人とも推計されています。多くの患者は、ウイルスに汚染された輸血、血液製剤の投与、集団予防接種時の注射針やシリンジを共用した医療行為により肝炎ウイルスに感染しており、この病気は医療行為によって感染した医原性疾患です。B型、C型肝炎は、慢性肝炎から肝硬変、肝がんに進行する危険性の高い深刻な病気です。肝硬変、肝がんの年間死亡者数は4万人を超え、その9割以上がB型、C型肝炎ウイルスに起因しています。既に肝硬変、肝がんへと進行した患者は、長期の療養に苦しんでいます。多額の治療費を要するため、経済的にも困難に直面しています。
 ある方の手記ですが、「第1子出産時、24歳のときにB型肝炎ウイルスキャリアであることがわかって以来、この病気についてずっと頭から離れることはなく、苦しんできました。子供が小さいときは、B型肝炎のことが知られると、感染を恐れて仲間外れにされないか、私も差別されるのではないかと口に出すことができず、ずっと抑えて生活してきました。検診にも行かず、16年目の52歳で発病していることがわかったときは既にF2の状態で、あと5から10年しか生きられないかもしれないと説明されました。それ以来、インターフェロン治療を半年間、その後の抗ウイルス剤を服用するなど治療しました。自分の場合、副作用が強く、この苦しみは自殺しなければ解放されないだろうと思うくらい苦しみました」と記されています。「長男も、自分もお母さんのようになるのだろうと引きこもりになり、30歳の娘も母子感染によりB型肝炎を発病してしまい、壮絶な2年間を過ごした今は、薬の服用もやめ、解放されましたが、病状の変化は著しいのです」とつづられています。
 私も看護師として働いていたころは、多くの無念の声を聞きました。今は既に、子供や夫を残し亡くなられた方もいらっしゃいます。インターフェロンの治療さえ受けられない方もいらっしゃいます。肝炎患者さんで肝炎対策を求めたいと私にお話しされた方は、その2週間後、亡くなられました。
 こうしたもと、薬害肝炎被害者救済法が成立し、薬害製剤による感染であれば救済されることになりましたが、しかし、ウイルス性肝炎の原因は圧倒的には薬害以外の医療行為です。
 国は、平成20年度から新しい肝炎総合対策がスタートし、治療費補助が行われています。これは原因を薬害に限らない意義あるものですが、既に肝硬変、肝臓がんに進行した人、インターフェロン治療ができない、効かない人は対象とはなりません。また、肝臓病は障害者手帳の対象にもなっていません。内臓機能に関して障害年金の対象となっていないのは肝臓のみです。
 ウイルス性肝炎の膨大な感染は、国の血液行政、薬事行政の誤りの結果だと考えます。その点から肝炎患者全体を対象に治療費補助や生活支援、障害認定を含めた恒久対策が求められていると思います。県の肝炎対策の取り組み状況はいかがでしょうか。福祉保健部長、お答えください。また、県としても一刻も早く肝炎対策の基本法制定を求めるよう要望したいと思います。
 最後の項目、3つ目です。住みよいまちづくりのためのバスなど公共交通の拡充について質問させていただきます。
 子供やお年寄り、障害のある方が安心してバスなど公共交通機関を利用できることは、基本的な生活条件の1つであると考えます。これは、山間地の深刻な問題であるとともに、和歌山市など市部にとっても重要な問題となっています。
 和歌山市在住の方から路線バスの廃線で大変困っているとの話がありました。その方が住まわれている地域は、紀の川北岸と国道24号線バイパスに挟まれた小豆島地区約120軒の在所です。以前は、通勤時間帯などはバス2台が続けて走行していた時代がありました。しかし、次第に朝夕2本となり、現在は全面廃止となっています。高齢化に伴い通院者がふえ、仕方なくタクシーを利用していますが、和歌山駅に出るだけで往復で4000円必要です。和歌山市内には、かつて県もかかわり宅地開発を進めてきた地域で、今では高齢化し、路線バスがなくて困っている方がたくさんいらっしゃいます。
 また、和歌山市の紀三井寺団地でもバス路線の廃止が計画されています。どこに住んでいても、だれもが安心して利用できるバスの運行の必要性についてどのようにお考えですか。
 また、県の長期計画においては健康長寿日本一を目指すことからも、また、にぎわいと交流を支える公共インフラを整備するということからも交通機能の充実が挙げられています。空白地域におけるバス路線の整備を強力に進めていくことが求められていると考えますが、いかがでしょうか。企画部長にお尋ねをして、第1問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) インフルエンザ対策の県の基本的な考え方を申し上げたいと思います。
 今回の新型インフルエンザは、感染力は強いが、多くの感染者は軽症のまま回復しており、抗インフルエンザウイルス薬の治療が有効であるなど、季節性インフルエンザと類似する点が多いとされているところであります。しかしながら、基礎疾患のある方を中心に重篤化することも報告されておりまして、県民の生活や経済への影響を最小限に抑えつつ、基礎疾患を有する方等に十分配慮しながら感染拡大防止に取り組んでいるところであります。
 また、現行の国及び県の新型インフルエンザ対策行動計画については、強毒性の鳥インフルエンザ発生を想定して策定した経緯があります。今回のウイルスの特徴を踏まえ、行動計画をそのまま適用するのではなくて、外出の自粛や集会等の自粛の要請を一律に行うというようなことはしないなど、感染状況や地域の実情に応じて効果的な対策を弾力的に講じていくこととしております。現に、他県と違い、現状を踏まえ、そのように対応してまいったところであります。
 引き続き、県民の皆様には正しい情報に基づいた冷静な対応をお願いするとともに、国や市町村、医療関係者等と十分連携をとり、万全の体制のもとで感染防止対策を進めてまいりたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 福祉保健部長北田佳秀君。
  〔北田佳秀君、登壇〕
○福祉保健部長(北田佳秀君) 新型インフルエンザ対策並びに肝炎対策の充実につきましてお答え申し上げます。
 まず、本県の新型インフルエンザ感染拡大防止策についてでございますが、相談窓口の設置、早期発見・早期治療体制の整備等を重点に進めてきているところでございます。
 県民からの相談に応じる体制につきましては、4月27日に各保健所及び難病・感染症対策課に相談窓口を設置し、その後、国内での患者発生を受けて24時間体制で対応しているところでございます。
 感染者の早期発見・早期治療につきましては、県内の保健医療圏域を基本として、医療機関に発熱外来の設置を進めてきております。感染を心配される方に対しましては、保健所の発熱相談センターによる相談を介して発熱外来への受診勧奨を行い、診察後、感染の疑いのある場合には速やかに遺伝子検査や積極的疫学調査等を行っております。
 県民への情報提供につきましては、県のホームページやマスコミ等を通じ、最新の国内外の情報を迅速に提供するとともに、手洗い、うがいの励行、せきエチケットを呼びかけるなど、個人で取り組める感染予防策の励行をお願いしているところです。
 今後とも、県新型インフルエンザ対策本部を中心とした全庁体制のもと、関係機関と連携して感染拡大を防止するための総合的な取り組みを推進してまいります。
 次に、入院受け入れを初めとする医療体制の整備についてでございますが、各保健所を中心として関係医療機関との調整を図りながら、病床の確保や相互の連携強化などを進めてきたところです。
 今後の新型インフルエンザの医療対応につきましては、国の基本的対処方針を踏まえ、重症者及び基礎疾患を有する方などに対して適切に入院治療を行うとともに、感染防止対策を講じた一般医療機関におきましても発熱外来機能を確保し、患者の直接受診にも対応した入院受け入れ体制の拡充を進めてまいります。
 今後とも、県医師会、県病院協会等の関係団体の協力のもと、医療従事者など限りある医療資源を十分に活用しつつ、多数を占める軽症者の自宅療養の支援も含め、各保健所ごとに医療連携体制を構築して対応してまいります。
 次に、県における肝炎対策の取り組み状況についてでございます。
 感染者の早期発見・早期治療を目的に保健所及び約530の協力医療機関において肝炎ウイルス検査を無料で実施するとともに、インターフェロン治療に伴う経済的負担を軽減するため、平成20年度からインターフェロン治療費助成制度を運用し、本年5月現在、約700人の方が肝炎インターフェロン治療受給者証を交付され、治療を受けているところです。また、今年度からは、一定の要件を満たし、医師が必要と認める感染者につきましては、助成期間が1年から1年半に延長され、さらに課税額の合算対象となる世帯家族の範囲の見直しにより自己負担額が軽減され、利用者の視点を踏まえた制度改正がなされたところです。
 今後とも、インターフェロン治療費助成制度の普及啓発を進めるとともに、専門医療機関と密接に連携を図りながら肝炎対策を推進してまいります。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) バス路線の充実についての2点の御質問にお答えいたします。
 まず、だれもが安心して利用できるバスの運行についてでありますが、これまでバス乗り場と歩道の段差解消、あるいはバス優先レーン、ノンステップバスの導入などに取り組んできたところでございますが、現在、国におきまして、ユニバーサルデザインの考え方に基づき、移動等円滑化の促進に関する基本方針でもって平成22年12月までにバス総車両の30%をノンステップバスにすることを目標に定め、その達成に取り組んでおります。
 県でもこの目標を達成するため、バス事業者等と協力し、ノンステップバスの導入などを図ることにより、子供からお年寄り、障害のある方などにも安心して乗っていただけるような環境の整備に努めてまいります。
 次に、公共交通機関の空白地域におけるバス路線の整備についてであります。
 議員御指摘のように、バス路線の減便あるいは廃止などによりまして地域住民の方が大変不自由なさってるという状況がある一方で、利用者の減少によりまして経営悪化に事業者が苦しんでおられるということがございまして、これは大変難しい問題でございます。県としては、公共交通の確保というのは県民生活に不可欠の公共インフラだと、そういう認識のもとに最大努力をしているところでございますけれども、こうした場合の方策の1つとして、地域の多様なニーズにこたえながら公共交通の活性化を図るために、地域住民の方、それからバス事業者、そういった方々に参画していただいて、市町村が設置いたします協議会、そこでもって取り組む事業に対して支援いたします地域公共交通活性化・再生総合事業というものが国におきまして20年度創設されております。現在、県内におきましても、有田市、日高川町など6市町で設置された協議会におきまして、この国の制度を活用して、公共交通のない地域への新たな乗り入れや路線の見直しなどによりましてバス路線の活性化に取り組んでおります。
 今後、積極的に県もこうした協議会に参加するとともに、他の市町村におきましてもこうした取り組みをやっていただけるよう働きかけていくなど、努力を続けてまいりたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ございません」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
 40番奥村規子君。
○奥村規子君 答弁をいただきました。それで、知事に再質問をさせていただきたいと思いますが、先ほど、新型インフルエンザ対策の基本的な考え方ということで、基礎疾患のある方を中心にやはりこれから重篤な状況にならないように拡大を防いでいく、そういったことを言われています。
 そういう中で、今回は──先ほども質問させていただいたんですけども、これからやはり第2波の問題が非常に県民にとっても心配するところだと思うんですが、そういう中ではどうしても今回は、先ほどもおっしゃってましたように、感染力が強いという問題で、広がる可能性も非常にあるわけです。そういった中で、一番今後気をつけていくということでは、知事もそういう考えを示されていたんですが、そういった状況を一歩踏み込んでどう拡大を防いでいくかというその条件づくりが、やはり行政としてどうやっていくのかということが今求められているところだと思うんです。
 特に私が心配するところは、ワクチンの問題は、これは国とメーカーを含めて今国がいろいろ対応していると思うんですが、そういったワクチンが、県内に住まわれているすべての人に行き渡ることになるのか。また、そのワクチンについては、今、季節性のインフルエンザの場合は、特に費用負担というのがありまして、あるお母さんは子供に、年齢によっては2回しなければいけないときがあって、医療機関によって値段が違うわけです。そういった中では、1万円近く2人の子供で要る場合もあるし、それ以上の場合もある中で、とても親までインフルエンザがなかなかできないというような、そういう問題も出されています。
 今後、やはりワクチンについては、できるだけ公費負担やいろんなことをぜひ検討もしていただきたいと思うんですが、そういった感染拡大という意味では、大きくとらまえますと、できるだけ医療機関にかかりやすい、またワクチンを受けやすい、そういう条件づくりということについて、方針とかそういったものはまだだと思いますが、そういう意味合いで知事としての考え、そういったところをぜひお聞かせ願いたいなと思います。
 もう1つは、先ほど重症化しないようにということで、議会の最初の知事説明の、今期のときには、和歌山県民1人も泣かさないぞというような、そういう熱い決意も伝えてくれました。そういう中で、重症化した場合、医師や看護師が今医療現場では非常に厳しい状況にあるというのは、もうこれは周知のことだと思うんですが、そういった中で、今回やはり重症化をできるだけ防いでいくということが最大限必要なことだと思うんですが、そういった意味での決意というのか、考え方、ぜひお答え願いたいなと思います。
○議長(大沢広太郎君) 以上の再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 今後どういうふうに拡大を防ぐかという御議論でございますが、今回の──和歌山県で1人感染の方がおいでになりましたけれども、そういうときも、それからその前に日本に入ってきたということで1回目の対策本部をつくったときもずっと申し上げておりましたが、これは今のところ毒性は大したことはないと。したがって、きちんと手当てをすれば、普通の人はそう怖くない。しかし、重篤の病気を別途持ってるような人なんかにうつると、ちょっと危ないかもしれないと。ですから、それを前提にして考えていこうと。
 それで、しかし、まだ実ははやっていない、和歌山では特にまだはやっていない病気なんで、初めのうちははやらないにこしたことはないので、まず隔離をするというようなことも考えます。それは、発熱センターと発熱外来の組み合わせが一番いいと思います。しかしながら、もっとはやってくると今度は、全部の人を発熱外来ないしはそれの病院に収容して隔離するということは難しくなってくるので、そのときは重篤の人をむしろ収容して、残りの方は適切なる治療を自宅等々でやってもらうということになるでしょうと。それから、もっとはやってくると──それははやらないにこしたことはないんでとめるんですが──今度は重篤の人をむしろ感染することから隔離するということが大事ですよねというようなことをずっと申し上げて、その方針に従ってやってまいったわけです。
 今後この方式がどうかという点については、国じゅうを挙げて大議論が行われる可能性もあって、そういう動向も踏まえながら我々は考えていくのですが、今のところこの方式をさらに充実していくということで、実は今回の補正予算にもインフルエンザ対策で、いろんな強化のための予算をお願いしております。例えば、枢要な病院の設備をもうちょっと強化をするとか、あるいは機材を買っておくとか、そういう点で今のこの流れがスムーズに行われるようにしておくというのが、我々、今考えているところでございます。
 ワクチンの問題については今後どういうふうにこれをつくっていくのか、御指摘のように、私も実は今、確たる答えがありません。国の問題だろうとおっしゃっていたんで、そのレベルで考えないといけない話だと思います。したがいまして、それがどういうふうに展開していくかということを踏まえながら考えていかないといけないわけで、その中でどういうふうにして行き渡らせるか、あるいは費用負担をどうするか、そういう問題については、その都度また我々はきめ細かく考えていきたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再々質問を許します。
 40番奥村規子君。
○奥村規子君 感染拡大をさせないということで、体制をやはり、どうとっていくかという問題については要望しておきたいと思いますが、やはり専門スタッフ、医師、看護師不足の中で保健所の職員や、また保健師さんもこの間──市町村を含めれば保健師さんは人数もふえています。しかし、やはり業務が、非常に介護関係の業務やいろんなことも多くなって、こういった感染対策、緊急時の対策、そういった意味でも県の保健師さんは次第に人数も減ってるんではないかと思うんですが、そういった体制も含めて今後十分考えていただきたいなと思います。
 看護師のほうも、これは救急医療の状況、体制になってくるかと思うんですが、今後、看護師の需給計画の問題も、こういった問題も緊急時の問題を想定しながら、やはり需給計画も見直ししていく際に考慮していただきたいなというふうに思います。
 最後に、インターフェロンの肝炎の問題なんですけど、やはり肝炎の患者さんが実態がどうなのかというのはなかなかこれはつかみにくい問題だと思うんですけども、インターフェロン治療の需給状況というのを、実績を聞かせていただいたんですが、申請者数のほとんどが今回はインターフェロン治療をやってるということであるんですが、これをやっぱり希望してるやりたい人ができてるのか。そういった中で、私も、働きながらこの治療を受けるというのは非常に大変だと。副作用の問題、このインターフェロンを受けてると言うと、仕事場で知れると余りよくないと言われたり、そういった心配も抱えながらやってる現状があるので、やはり生活支援や環境づくりや、そういったところにもぜひ力を割いていただきたいなあと思います。そのためには、やはり肝炎の患者さんの実態をつかめるようにぜひ努力をしていただきたいなという要望を添えて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。
○議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で奥村規子君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 21番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 議長のお許しをいただきました。早速、質問に入ってまいりたいと思います。
 まず最初の質問です。5月の下旬に報道されました関西独立リーグに所属するプロ野球チーム「紀州レンジャーズ」に関してであります。
 一時は首位を走っておったわけなんですが、ここ、きのう、さよなら負けをして3連敗と苦しい試合が続いているようでありますが、先日、紀州レンジャーズの藤田平監督とお会いする機会がありました。「御迷惑をおかけしております」と言われておりましたし、「頑張ります」とも言われておりました。
 今、真の県民球団となれるかどうか正念場を迎えている、そのように感じます。うれしいことに、県内の企業や個人から支援の輪が、少しずつですが、広がっているようであります。知事も始球式に出席している関係もあり、心を痛め、心配していると聞いております。藤田監督も「何とか試合を見に来てほしい。私たちのプレーを見てもらいたい」、そのように訴えておりました。一度私も紀三井寺球場へ足を運んで応援をしたいな、そのように思っております。(「まだ行っていないの」と呼ぶ者あり)まだ行ってません。サポーターにはなったんですが、これからであります。
 ここで、1つ紀州レンジャーズのイベントを紹介したいと思います。7月の5日の日曜日、午後1時から紀三井寺球場で大阪ゴールドビリケーンズと対戦をします。この日は「つれもていこら5000人大応援プロジェクト」として、65歳以上──たくさんいらっしゃいますか──と小学生、これは入場無料だそうです。私はちょっと年齢が足りませんので。時間が合えば球場へ行きたいな、有料でも行きたいなと思っております。ちなみに、きょうは、6月19日金曜日、6時から大阪の舞洲スタジアムで大阪と対戦しますし、26日の金曜日は午後の6時から紀三井寺球場で神戸9クルーズ──ナックル姫という女性のプロ野球選手がいる球団ですが──そこと対戦をしますんで、ぜひ応援に行ってやっていただけたら。私は行くかどうかわかりません。
 実は、ごたごた問題が出たときに、5月の下旬でした、球団の社長と代表が私どもの自由民主党県議団へあいさつにお越しいただきました。苦境に立たされておるが頑張るんだという決意を述べて、我々拍手で激励をいたしました。その後、私は代表と社長に、「金銭面で御苦労をしておる状況であるんだが、まずは何とかして球場を満員にすることを考えてくださいよ」と持ちかけております。「入場無料でも来てもらう、見てもらうことが今の紀州レンジャーズにとっては一番大切なことではないか」、そのような話をさせていただきました。社長も、ぜひとも球場を満員にしたいんだということをおっしゃってました。何とか皆さんのお力をかりてでも紀三井寺球場を満員にしたい、そう思いますし、せっかくできた県民球団です。何とか盛り上げていきたいと思います。
 一度知事も観戦をしてやってください。一緒になって応援をして満員の観客の前で「頑張れ」と大きな声で元気づけてやりたいと思います。議場にいる方も傍聴席にいる方もよろしくお願いを──あんまりいてないか──お願いをいたします。この件について知事の思いをお伺いいたします。
 次です。「より質の高い公共建築を目指して」、公共建築に関する質問をいたします。その中でも設計に関連しての質問になります。
 私は、以前にも設計の報酬に関する質問をしたことがありますが、今回は、設計並びに設計者の選定方法を入札で決めるということはよいのかどうかということも含めて、和歌山県の公共建築がより質の高いものを目指すために今の方法より新しい選定方法を検討する時期であると感じるからであります。
 まず、設計ですが、現在では設計入札が圧倒的に多く、最も安い設計料を提示したものを選ぶ仕組みになっています。公費を使う公共工事ですから、公平性や透明性が求められるからだと思います。しかし、安いことはよい結果をもたらすのでしょうか。そこには、創造性や地域性──私は「らしさ」と言うんですが──文化や歴史、アイデアやデザイン、そして技術力が求められるはずです。
 問題点を考えてみたいと思います。設計を知的生産と考えた場合に、入札が適切な方法であるか。そうは思えない。設計を入札で行うことは県民の利益になるか。疑問に感じる。すばらしい都市環境をつくるには、入札することはどうかと思う。入札方法で本当に良質の公共建築を生み出すことができるのか等、考えられると思います。
 では、現状はどうなっているかを考えてみたいと思います。
 設計入札に頼る先進国は、日本以外ではほとんど見当たりません。ヨーロッパではコンペ方式、アメリカでは設計者の実績評価と面接を併用したQBSという方法により選定をしております。中国、台湾においてもコンペ方式が主流です。現在の仕組みでは、発注者、設計者の志の高さや能力の低下を招くおそれがあると考えます。
 それともう1つ、国土交通省では、公共建築の設計は、入札ではなくプロポーザル方式を進めています。また、設計入札を採用していない自治体もあります。残念ながら、まだ設計入札の採用が主流なんです。
 ここで1つ、最近の入札結果を考えてみたいと思います。
 これは、落札した業者を問題にするとか、なぜあの業者を選ばなかったのかとか、そんなことを指摘するために申し上げるんではありません。今後の選出方法の中で訂正をするなり、よくなるために考えていく問題としてお話をさせていただきます。
 入札方法は一般競争入札で、指名入札ではありません。内容は、国体に関連した工事の基本設計並びに実施設計が2件であります。ことしに入り公告されています。入札日が同じで、1件目の入札が終わって、2つとも終わった時点で、結果は2件とも同じ業者が落札をしました。ここまでは何の問題もありませんし、当局にも問題はありません。ただ、言えることは、大切な入札を同じ日に2件出すことがよいのかどうかの論点はあると思います。当局の人も、多分、結果を見て驚かれたと思います。1件目が予定価格の30%程度、2件目が20%強の落札額であります。ここには不正が行われた事実もありませんし、正当な入札が執行されています。しかし、この結果は、公共建築のことを考えると、よいものができるのかと疑問に思ってしまうことも事実であります。ましてや国体関連の施設ですし、全国のアスリートを迎える施設です。和歌山県外の業者であり、今まで和歌山県の仕事をしたこともありません。仕事をしたことがないからといっても資格があるのですから、入札には参加ができます。何の問題もない入札でも、これでよいのかと考えてしまうのは私だけでしょうか。設計の入札は本当に安さだけを追求するものなのでしょうか。大変疑問に感じますし、これを検討する時期にあるように感じます。
 3000万円以上でもこんな場合は下限をつける必要があるように思いますし、ましてやこの2件の落札額は、3000万円を大幅に下回っています。法令遵守の名のもとに、安ければよい、公平で透明ならオーケーという考えだけでは何も残らないと思います。よいものをつくらないと後世に伝えていくものが何もない状況になり、大変心配をしています。
 今回実施する秋葉山のプールについては、プロポーザル方式を採用すると聞いています。知り合いの何名かの設計士の人たちにこの件について聞いてみました。すると、今回の件は内容も大変すばらしいという評価をしております。物づくりの精神が消え、和歌山からたくみが消えることはあってはならないことです。生産者側と消費者側の考えにずれが出てくると、大きなお金をかけてつくったものが使えない、不便であると問題が出たり改修工事に大金を投入する羽目になりかねません。こんな話を続けていると、今、時代は何を求めているのかと考えます。
 そこで、公共建築のクライアントはだれなのかと考えてみたいと思います。
 皆さん方も、当然行政だと考えるでしょうし、市民、県民の皆さんも、また業者の人たちも何ら疑問を感じないのではないでしょうか。本当にそうでしょうか。でき上がった建築物を利用する側、すなわち市民、県民がクライアントであると私は考えます。そう考えると、私の言っている意味も少しは理解していただける、そう思います。発注されるすべての業務をコンペやプロポーザルにするには物理的に無理があるのは当然であります。しかし、いろいろな方法がある中でそのときそのときで組み合わせ、公平で透明性があり、より高いレベルでの競争性も保たれる方法を考えていく時期であると思います。今のような金額だけの競争は時代から取り残されてしまうおそれがあります。私たちには、次の世代に責任を持ってよいものを残していく使命があると思っています。
 そこで、次のことを質問します。
 和歌山県における公共建築の基本理念はあるのか。公共建築設計の入札方法をどう考えているか。今後の入札方法についてを県土整備部長より答弁いただきたいと思います。
 最後です。
 ある会合で地元の経営者の方とお話をする機会がありました。そのとき、その社長さんは、「和歌山県にも科学技術の振興などに関する条例があればいいんだけどなあ。研究開発やそんな科学技術だけではなしに、いろんな分野に携わる人たちに、今まで以上にもっと元気が出て仕事に励みが出るんやけどなあ」、そうおっしゃいました。
 たしか北海道にそのような条例があるということで調べてみました。しかし、もうひとつ形式上の条例でありまして、十分でないような気がいたしました。担当の部局の方にお願いをして調査研究を進めてまいりましたが、現在の進捗状況や目的、基本理念など、またいつごろ制定できるかなどもあわせてお聞かせいただきたいと思います。
 以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの新島雄君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、紀州レンジャーズについてでございます。
 私も、関西独立リーグにおける立ち上げ当初の試練にもかかわらず、紀州レンジャーズが真の県民球団となれるかは今が正念場であるというふうに考えております。和歌山県民を元気にするためにも和歌山県でみんなが応援する和歌山県のスポーツ団が何かあるといいとずっと思っておりましたが、ついにこの紀州レンジャーズができてくれたわけであります。ぜひとも紀州レンジャーズには頑張ってほしいと思っております。そのためには、議員御指摘のように、たくさんの人が見に行かないと、それから心の底から応援しないといかんと思います。
 私も県民の1人でありますので、公務の都合で行けない日を除いて全部行くぞと言って、実は秘書課にそのように指令を発しております。5月22日にたまたまその日がありました。全部行くぞと言うのは、和歌山市以外のところへ行くのはちょっとつらいことがあるので、紀三井寺球場のゲームであります。5月22日に行くぞというふうに予定をしておりましたら、インフルエンザのために中止ということになりましたので、そのときはちょっとチャンスを逸しました。
 次は、7月3日でございます。大阪ゴールドビリケーンズ戦でございますので、私も応援に駆けつける予定でございます。議員もぜひ御一緒にいかがでございましょう。こういう話をしておりましたら、県庁有志も我も我もというふうな気分になってくださっておりまして、多数参加する予定でございます。
 また、元気な若者が多く集うような、そういうグループなどが組織的に応援をすると、ちょっといろいろな意味ではまってくるという感じもありますので、私も機会を見つけては支援の要請を行っているところであります。多くの県民の皆様方の、紀三井寺球場あるいは御坊とか田辺とかそういうのはいろいろありますが、そういう和歌山県の球場での声援をぜひ期待したいと考えております。今後とも県民の先頭に立って紀州レンジャーズを応援したいと考えております。
 次に、科学技術の振興に関する条例でございますが、これにつきましては、従来から私は、県内産業の競争力の底上げを加速するような、そういう目的を達成するために議員御提言のような条例を制定して、県内の事業者の方々がこれまで以上に熱意を持って研究開発に取り組んでいただけるような事業環境を整えていくことが大事だというふうに認識しておったところでございます。そのため、現在、知事部局におきまして、条例の制定に向けた素案を作成しているところでございますが、内容といたしましては、新技術を活用した新たな産業の振興と既存産業の高付加価値化を通じた本県経済の活性化を目的といたしまして、県が主導的な立場に立って、産学官及び県民の皆様との適切な役割分担に基づき、県全体で新技術の創出に積極的に取り組んでいく機運の醸成を図っていくものとしているつもりでございます。
 あわせて、今後、新技術の創出に係る基本計画を策定し、施策の総合的かつ効果的な推進を図ることなどにつきましても条例に盛り込んでいきたいと考えております。
 次に、この進捗状況でございますが、現在素案の作成作業を進めているところでございますが、今後、県議会を初め関係機関等との調整を図るとともに、7月には広くパブリックコメントを実施し、各界各層の皆様方からの御意見をちょうだいいたしまして、その後、皆様から寄せられた幅広い御意見を尊重しながら最終的に調整をいたしまして、来る9月県議会には条例制定に係る議案を提案させていただきたいと私としては思っておりまして、その際にはよろしく御審議いただきますようにお願い申し上げます。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) より質の高い公共建築を目指してについての御質問でございますが、3つ合わせてお答えさせていただきたいと思います。
 公共建築は、社会基盤を支える県民共有の財産であり、防災、福祉、環境、景観などへの配慮はもちろんのこと、潤いや文化の創造、良好な地球環境の形成に寄与するとともに、経済性も考慮した施設であることが必要だと、かように考えてございます。この理念のもと、公共建築設計の入札方法につきましては、競争性、公平性、透明性を確保するため、原則として条件つき一般競争入札を実施しているところでございますが、高い知識や構想力、応用力が必要な業務につきましてはプロポーザル方式を採用しており、議員御紹介いただきましたように、秋葉山公園県民水泳場の整備につきまして、この方式により設計者選定を進めているところでございます。
 今後とも、議員の御指摘も踏まえまして、業務の特性に応じた適切な入札方法を採用し、公共建築の品質の確保に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
 21番新島 雄君。
○新島 雄君 答弁をいただきましたが、公共建築に関しての要望を申し上げたいと思います。
 公共建築に関する質問で、私は県土整備部に対して基本理念の質問をいたしました。これは、枝葉の問題ではなく、和歌山県における公共工事のすべてにかかわる基本的な考え方であり、指針であると考えます。それがなければ今後の仕事の方向性が出てきませんし、会社には社是・社訓などがあって、社員は常にその言葉を念頭に置き行動していきます。全国的に調べてみても、そういうのはありませんが、入札方法を手直しするとかよりも、この基本理念を策定することのほうが優先されるべきで、大切なことだと私は考えます。早急に制定されることを強く望みます。
 また、部長の答弁の中で、高い知識や構想力、応用が必要な業務に対しては、プロポーザル方式を採用してと答弁をいただきました。私から言えば、すべての事業に高い知識も構想力も応用力も必要なんです。しかし、すべての事業で対応するのには無理があるということです。今の入札方法、すなわち金額の高い安いだけで決めることがよいのかどうか、これを続けていると何も残らないと思うからであります。これが和歌山の公共建築だというものを残していくためにも御検討いただくことを強く熱望して、質問を終わります。
○議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新島雄君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は、6月22日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時13分散会

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