平成21年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(全文)


県議会の活動

平成21年2月
和歌山県議会定例会会議録
第7号
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議事日程 第7号
 平成21年3月11日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第44号まで、議案第46号、議案第47号、議案第49号から議案第52号まで、議案第55号から議案第57号まで、議案第59号から議案第61号まで、議案第64号から議案第79号まで及び議案第81号から議案第99号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 請願の付託
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会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第44号まで、議案第46号、議案第47号、議案第49号から議案第52号まで、議案第55号から議案第57号まで、議案第59号から議案第61号まで、議案第64号から議案第79号まで及び議案第81号から議案第99号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 休会決定の件
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出席議員(46人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 服部 一
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 16番 下川俊樹
 17番 岸本 健
 18番 川口文章
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 角田秀樹
 28番 江上柳助
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 藤本眞利子
 36番 長坂隆司
 37番 玉置公良
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        原 邦彰
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      森 崇
 総務部長       小濱孝夫
 企画部長       前硲健作
 環境生活部長     井口悦治
 福祉保健部長     井畑文男
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      雑賀忠士
 教育委員会委員長   湯川 力
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員長   大岡淳人
 警察本部長      永松健次
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 山本恒男
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       蓬臺孝紀
 次長         東岡誠吾
 議事課長       薮上育男
 議事課副課長     土井敏弘
 議事班長       田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      石垣悦二
 議事課主査      瀧川泰治
 総務課長       笠松 学
 調査課長       佐本 明
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  午前10時0分開議
○議長(大沢広太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第44号まで、議案第46号、議案第47号、議案第49号から議案第52号まで、議案第55号から議案第57号まで、議案第59号から議案第61号まで、議案第64号から議案第79号まで及び議案第81号から議案第99号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 41番山下大輔君。
  〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 おはようございます。「久しぶり」というお声をかけていただきまして、久しぶりの一般質問で──1回飛ばしましたけれども、本日、議会一般質問最終日になります。張り切って、朝からですが頑張りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。張り切って頑張ります。
 さて、厳しい情勢が続く和歌山の実態ではありますけれども、ことしの仕事始め式で知事は、儒教の易経の教えを引用して次のように話されていたようです。「100万県民を守るため、恐れず海図なき航海にこぎ出す」、また、古い言葉で「治にいて乱を忘れず」というのがあるが、今は実際に乱の時代なので「『乱にいても治を忘れず』が大事だと思う」といったものです。
 私も、大切な考え方だと思います。現下の厳しい経済情勢だからこそ、目先のことを当然やっていかなきゃいかん大事なことです。ただ、それだけに振り回されず、しっかりとやるべきことをやっていく、これは和歌山県が誇る「経営の神様」と称される松下幸之助さんの残した言葉、「好況よし。不況またよし」「ピンチこそチャンス」といった経営哲学にも通底するものと感じます。
 先ごろ行われた第47回の関西財界セミナーでも、そういった幸之助さんの遺志を受け継ぎ、ダイキン工業井上礼之会長も、「今の厳しい時代だからこそ経営者の血が騒ぐ。苦境を逆手にとり、平時にできない大胆な策を講じれば、回復期にいち早く成長できる」と解説されていたようです。これは企業経営にだけ当てはまる話ではなく、地域経営を託される地方政府、和歌山県にとっても同じことが言えるのだと思います。
 厳しい時代だからこそ、今こそ思い切った策、改革ができるのであって、ある意味ではチャンスの時でもある。厳しい時代だからこそ、新たな地域の方向性も思い切って打ち出せる、そのためにも今改めて、これまでの取り組みを聖域なく見直し、しっかりと反省すべきところは反省するという、まさにゼロベースでの改善策を断行する勇気が求められているのだと思います。
 県民生活も、仕事の状況などを見ても本当に追い詰められています。地域を歩いて強く感じることは、口先だけでお茶を濁すのではなく、希望の持てる和歌山県を何とかつくってほしい、新しい和歌山に生まれ変わらせてもらいたいといった県民の期待です。今こそ過去の和歌山県が行ってきた取り組みをもう一度総点検し、そこからピンチをチャンスに変える方策を何とか導き出す。そのためには知事並びに県当局、そして県議会が一体となって真剣な議論をしなければいけないのだと思います。何としても私たちの和歌山県をこのままじり貧の地域とさせないという強い思いを持って、今議会も提案、質問させていただきたいと思いますので、当局におかれましては、それぞれ誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。
 それでは、議長よりお許しをいただきましたので、早速質問に移らせていただきます。
 今回の私の質問としては、「ピンチこそチャンス」といったテーマを持って、提案並びに質問をさせてもらいたいと思います。そこでは、これまでの和歌山県の取り組みなども、過去にも目を向けながら、将来への見通しを立てていければと考えております。
 それでは、まず和歌山県の厳しい経済情勢について。
 今議会で私自身、質問の内容を検討してくる中で、当初はまず和歌山県経済が置かれる状況について、その現状認識と今後の見通しといったことを知事にお聞きしようと思っていたのですけれども、それらについてはさきに先輩・同僚議員から質問がありましたので、重複する部分は省かせてもらうとして、1点だけ関連する質問をさせていただきたいと思います。
 それは、和歌山県経済が低迷する状況について、その本質をどのようにとらえられているかという点についてです。
 これは、以前私も触れました産業構造の問題や、そもそも経済循環、また現在はサブプライム問題に端を発した金融危機など、さまざまに要因も挙げられますが、和歌山で経済の厳しい状況をどのように説明するか、その根本問題、本質といったことについて、知事はどのように考えておられるのか、御所見を賜りたいと思います。その本質を理解することで解決策も見えてくるものと思います。
 先日、私の友人でもある政策投資銀行地域振興部参事の藻谷浩介さんに和歌山へお越しいただきました。前に議会でも彼の話をしたことがありましたが、再度、和歌山の現状について彼なりの意見を聞きたいと、昨年末、私が所属していた和歌山青年会議所の講師としてお招きをし講演をしてもらい、また、その講演後にも食事をとりながらじっくりと話をしました。
 そこでの話は非常に興味深いものだったのですが、結論だけ言うと、藻谷氏が指摘する和歌山県経済が低迷する本質としては3点で、それは人口減少と高齢化、それに伴う現役世代の減少、そして個人所得の低迷です。その解決策としては、従来からの産業政策はもうなかなか効かない、それによっての根本的な改善はなかなか望めないんじゃないだろうか。まず大切なことは、地域としてのあり方そのものを見詰め直し、オンリーワンの地域としての魅力を持つことが何よりも大事といったものでした。
 私も大いに賛同し話が合ったのですが、今からの時代は、地域としてどういった役割を担えるのか、存在意義をどのように見出していけるのかといったことが重要で、例えばこの関西圏で私たちの和歌山はどういった役割を担う地域となるのか、その明確なビジョンなしには希望ある未来は訪れないのだと思います。このことについては、この後に続ける質問でもしっかりと考えていきたいと思います。
 それでは、続きまして、平成21年度の予算編成に当たって、知事の基本的なお考えを改めてお聞かせいただきたいと思います。
 さて、今、和歌山県では高齢化が進み、人口が減り続けるといった厳しい苦境にあり、さらに世界全体が100年に一度と言われる経済危機に見舞われる中、和歌山丸も沈没寸前の状況に置かれています。そこでは、今こそこれまでやってきた取り組みについて丁寧に見直し、ある部分では思い切って方向転換することも求められているのだと思います。
 昨年、和歌山県では今後の県政を方向づける長期総合計画が策定されました。私自身、その特別委員会のメンバーとして議論に加わらせていただいたのですが、そこでは自分なりに和歌山県のあり方を改めて見詰め直してくる中で、いろいろと考えさせられるところがございました。特に、過去の長計をひもとく中では、やはりこのままこれまでの延長線上ではだめなんじゃないだろうか、もう一度それぞれの取り組みを疑ってみて、何をどう変えるのかを真剣に考えることが必要だと強く感じました。
 ここに、過去の長計がございます。(資料を示す)これはもう県議会では皆さん、一度は目を通されたことがあるかと思います。これはたまたま持ってきたのが仮谷県政、西口県政時の長期総合計画です。実はこの中のすべての項目、目を通した中で感じたことは、これはすべていいことをやっぱり書いてると。それぞれにええこと書いてると。今ちょっとはやりの言葉でもありますけれども、合成の誤謬、ミクロで見て正しいことが集まっても、全体、マクロで見たときに思うような結果が得られんと。それは何でやろかと。実は長計なんかでも、僕はそういうことが言えるんじゃないか。それは例えばウエートの問題であったりとか、集中をどうやってさしていくんか、実はこれこそが政治において一番大事なことやと私自身感じました。何をやるか、どうするか、結果和歌山がどうなるかということだと思います。
 今こそ、これからの未来、これからの子供たちのためにも、過去やってきたことをしっかりと見直す勇気が求められているのだと思います。これまで多くの先輩方が、県政の発展を真剣に願ってさまざまな政策、施策を実行してこられました。しかし、結果として今の衰退する和歌山があります。これが現実です。それは、やはりどこかに問題があり、何かが間違っていたのです。そこでは、これまで正しいと思われてきた取り組みでももう一度見詰め直し、見直していく勇気が必要とされているのだと思います。過去の反省に立ち、これまでとは違った新たな展開を模索しなくてはなりません。
 高度経済成長期の日本では、高速道路の建設、新幹線の導入、新駅設置、空の玄関となる地方空港の整備など、そういった整備、大型公共事業が地域の発展を実現するのに不可欠な取り組みだとして推進してこられました。それは、時代が変わり、日本自体が置かれている状況も変化してくる中でも、しかしそれは戦後の日本経済の立て直しにおいて余りにもインパクトのある有効な事業であったために、特にその成功体験を横目で見ていた整備のおくれた地方では、その他の選択肢に目が向きにくくなり、ややもすると公共工事そのもの自体が目的化してしまい、本来の目的であったはずの地域の活性化にどのようにつながるかといった全体のビジョンが描けないまま思考停止に陥ってしまっているおそれがあります。そういった中では、和歌山県としても日本の各都道府県、地域においてどこにでもある条件を、おくればせながら少しずつ整えていくといったことではなく、みずからが切り開く新たな分野がなくてはいけないのだと思います。
 そのためには、これまでの取り組みに安住することなく、知恵を絞り、地域のあり方についてもっともっと議論することが必要とされています。これからの時代は、地域も厳しく選別される時代となります。選ばれる時代となります。そういった時代には、大都市がよいという企業、大都市で働きたい若者、それはそれで仕方がないのだと思います。しかし、逆に、和歌山がよいという企業、和歌山で働きたい若者、和歌山に住みたい人、和歌山に立地したい企業をどのようにつくれるかが重要であり、そこでは和歌山に来たいという動機づけを与えられる独自の魅力、オンリーワンの魅力づくりが不可欠となります。今後は、和歌山らしさを際立たせる公共投資、公共整備のあり方、他の地域との違いを際立たせる和歌山の自然条件などを最大限に生かした価値創造、和歌山独自の新たな発展モデルを何とかつくり上げていかなくてはなりません。
 4年前に私は、ドイツへ環境政策の勉強に行かせていただきました。ドイツの中南部の地域を回ったのですが、ノルトライン・ウェストファーレン州、ラインラント・ファルツ州、そしてヘッセン州の3州にまたがる地域、フランクフルトからデュッセルドルフ、クレフェルト、ケルン、オプホーベン、ミュンスター、マインツ、そして最後はビースバーデンまで足を伸ばしましたが、それぞれに多くのことを学べる機会となり、私の現在の、特に環境政策を考える礎となっていますが、その中で特に印象的だったのが、ドイツ国内で環境都市コンテストで1位を獲得したことのあるミュンスター市でした。そのまちの都市政策を勉強させてもらったときには、改めて理念、哲学のある地域づくりの重要性を指摘され、感銘を受けました。ミュンスターのまちを歩き、その環境に触れる中、私もこんなまちに住んでみたいとあこがれを持ったことが思い出されます。ミュンスター市に研究所を置きたいと考える企業が多数存在するのも至極当然のことだと思います。
 ちょっと写真を見てもらわないと、なかなかイメージがわかないと思うんですけれども(写真を示す)、これはミュンスターのまちの中で──これちょうどミュンスターのカーフリー団地というところの写真なんですけれども──まち全体がまず特徴的なのが緑がたくさんある。しかも、それを人為的にしっかりとつくりながらまちづくりを進めている。しかも、このカーフリー団地の特徴的なのは、車を持たない人のみしか住めないと。ドイツで工業大国で車をあんだけつくってる国でありながら、実はある意味ではもう車なんか使わず、徒歩、自転車、公共交通機関を使った生活というのをもっと進めていこうというようなことで、これは国、地方における政策で進められてます。
 こういう子供なんかが遊んでる状況があって、これは路面電車の状況なんですけれども。これはミュンスターの一番大きな駅の地下にある自転車の格納庫。もう自転車がたくさんあるというのも、これも特徴でした。
 これはミュンスター大学に行かしていただいて、太陽光パネルを張っている状況。これは和歌山を初め日本でも今そういう取り組みが進められてますけれども、当時からドイツはもう積極的にそういうことを進められていたと。
 これはミュンスターの中の民間企業なんですけれども、リサイクルを推進している企業のちょっと説明を受けてるとこです。ドイツでも、これも驚いたのが、ドイツに滞在中に昼間に企業──これは民間もそうですし、公的な機関へ行っても昼間に電気をつけて仕事をしているところというのは一切なかった。これは晴れてる日は太陽光が窓から取り込めるという状況を、建物自体がそういう構造になってて、基本的にはもう昼間は電気使わんというようなことが習慣づけられてて、そういう構造にもなってるというようなことにも大変驚きました。
 これはドイツのキリスト教民主同盟の政策の勉強会にも一緒に加わらしてもらったんですけれども、まちづくりについて市民も巻き込んで──当然議員も入ってるんですけれども──徹底的にいろんなことを議論するというようなことを目の当たりにして、いろいろと本当に感じさせられる部分がございました。
 ちなみに、ミュンスターの取り組みは、国際的な舞台でも評価を受けて、昨年、国連環境計画が主催した暮らしやすさを審査する世界コンテストで、425都市の中から最高の評価を受け、金賞を受賞しています。
 人の集まる都市、企業の集まる地域といったものには必ず理由があります。それは単に大都会にあり便利だということだけでなく、また助成制度や人脈などによる一時的な取り組みもそうは長続きしません。地域としての特徴がうまく引き出された、明確な魅力があって初めて他地域との競争でも比較優位を保てるのだと思います。はっきりした魅力のない地域には、今後は特に厳しい現実が待っているのだと思います。
 これまでの和歌山に足りなかったもの、それは他地域にはない、大都市にはない、和歌山独自の魅力ある明確なビジョンだと思います。中途半端ではなく選択と集中で、和歌山といえば何かといったことがすぐに連想されるような地域づくりが今後は必要とされるのだと思います。
 例えば、私はこれまでの議会質問で観光医療政策の推進から、いやしの地、リゾート和歌山といったことを何度となく提案してきました。豊かな自然と恵まれた環境がある和歌山ですから、それを中途半端ではなくて、徹底して地域づくりに生かす取り組みを進めていく。
 また、そこでは、和歌山県の特徴である海の魅力を最大限に生かすことも重要で、観光医療産業の素材としても、ヨット、クルージングの有効性といったことを以前に提案してきましたが、そういった海上交通を徹底して整備、活性化させていくことも大変有効な取り組みと考えます。海上交通といったことでは、まだまだこの日本でも本格的に整備された地域はありません。海洋県和歌山として、これまでの日本にはなかった新たな地域づくりのモデルも提示できるのではないかと期待するものです。
 今、国土交通省が推進している取り組みで、道の駅の海版で海の駅といった取り組みがありますが、和歌山の沿岸部、ウオーターフロントに、大きな港湾整備だけでなく、小舟を寄せられる中小規模のベースキャンプをたくさんつくり、そこには商業施設、飲食施設などを隣接させ、和歌山独自の地域サービスが提供できるような公共整備を進めていく。レストランへ食事に行くのに、海からでも船で乗りつけられる。大都市からもクルージングを楽しみにやってくる。これまでの都会では味わえない自然を使った楽しみを、この和歌山では海を舞台にいろいろと提供していくことも可能です。
 ちなみに、これはマリーナシティの写真で(写真を示す)、これはもう皆さんも御存じだと思うんですけれども、今和歌山で海の駅として認証されている地域が、この和歌山市のマリーナシティ海の駅ということで認定を受け、その他、なちかつうら海の駅、たなべ内之浦海の駅、たなべシータイガー海の駅といったものがございます。そういったものをどんどんふやしていくと。和歌山独自の地域資源を活用した公共投資、公共整備から、和歌山といったらこれやといった方向性を打ち出す。その1つとして海の活用を徹底して図っていく先には、未来への大きな可能性があるものと思います。
 また、そういった海の駅などの整備は、震災など有事となれば、災害救援の拠点ともなります。海路、海上交通を徹底して整備することは、これは災害時などにも対応できるいわゆる命の道ともなります。
 1995年に発生した阪神大震災では、私も有志の1人として救援物資を運んだ経験がありますが、神戸のような国土軸に直結し、大きな道路が何本も並行して整備された地域ですら自然の脅威には勝てず、特に震災後しばらくの間は外部からのアクセスとして道路は役に立ちませんでした。
 当時、陸路が遮断されたとき、海路で神戸にアクセスした人が数多くいて、神戸大学海事科学部の調べによると、震災発生直後の3日間で、小舟も入れ少なくとも34団体、延べ約600隻が負傷者や物資の輸送など救援活動のため神戸港に入ったということです。
 海路の充実は、和歌山の魅力を引き出す取り組みとともに、震災への対応として命の道を補完する意味でも大きな役割を果たすものとなります。
 とにかく、これまでの和歌山は残念ながら中途半端で明確な取り柄も主張できない一地方となっていました。今後はこれまでの固定概念、パターン化された行政施策に縛られず新たな地域発展の方策を検討し、そして地域資源の選択と集中によって明確な魅力を発信できる地域に生まれ変わることが求められます。
 そこで質問ですが、まず、これまでどおりの地方、地域の発展モデルでは、もはや和歌山の未来は希望は持てないのだと思います。これまでの地域づくりのどこに問題があったかということを一度立ちどまって真剣に見詰め直し、そして新しい取り組みにチャレンジすることが求められるのだと思います。これまでの一般的なステレオタイプの地方発展の処方せんといったものを、一度疑ってみることが必要ではないかと改めて感じるものですが、知事の御認識をお聞かせください。
 また、県としてこれまでも県勢発展を真剣に考え、一生懸命取り組んできたわけですけれども、しかし、結果的には期待する効果、成果を上げられなかった。それは、結局はこれまでの延長線上ではいけないということであり、その厳しい現実から目を背けずに、何がどう間違っていたのかを明確にすることが必要なのだと思います。過去のどういった点に問題があり今の和歌山になっているのか、その反省を踏まえ、これから新たな和歌山県としてどのように取り組んでいかれようとするのか、知事の御所見を賜りたいと思います。
 また、そういった点を踏まえて、この平成21年度編成されました予算案、その方針においてどのように生かされているのか、お考えをお聞かせください。
 また、今後は選択と集中といったことが特に大切であり、それは知事自身の発言からも強みを生かすといったことにもつながるものと思いますが、それは具体的にどういったもので、その強みを生かすことで和歌山県の何が変わると思われますか。県民にも、和歌山県がこれから変わっていこうとする姿、ビジョンをしっかりと示すことが大切だと考えますが、知事にはこれまでの和歌山とどう変わるのかをはっきりと説明し、アピールしてもらいたいと思います。
 次に、和歌山県のピンチを救うために欠くことのできない視点となる対東アジア政策として、中国との姉妹交流とあわせて関空問題についてお尋ねいたします。
 まずは、山東省との交流について。
 和歌山県の今後を考えたとき、その重要な取り組みの1つは、中国を核として東アジア地域の活力をどのように地域経済に取り込んでいくかということが重要となるのだと思います。圧倒的な人口の集積と市場規模を持ったアジア、中でも中国についてはその存在感をますます大きくする中で、今後は私たち和歌山にとっても中国との関係はさらに重要なものとなってきます。
 財務省が公表した貿易統計報告によると、昨年7月には、初めて日本の輸出額が、アメリカを抑えて中国が世界最大の相手国となりました。2008年7月の日本の中国大陸部への輸出額は1兆2864億円と対前年同期比で16.8%ふえ、逆に、同月の対米輸出は1兆2763億円と対前年同期比で11.5%減、中国はアメリカを抜き、初めて日本最大の輸出市場になりました。
 米国経済がさらに減速、需要も低迷し、日本の対米輸出が減少を続ける中では、中国にはこれまで以上に大きな期待が持たれるものとなっています。あくまで短期的に見ると中国との経済関係も決して見通しのよい状況ではありませんが、しかし、中長期の視点を考えれば、重要な隣国としての関係は変わることなく、相互依存化する日中経済の関係性は深まっていくものと考えられます。
 さて、そういった中で、ことしは山東省と姉妹提携25周年という節目の年を迎えます。そこではこれまで以上に積極的な姿勢で交流事業を計画し、そして成功させることが期待されます。
 そこで質問ですが、ことしは25周年という節目の年に当たり、記念事業も考えているようですが、具体的にどういった取り組みを計画されているのか。これは担当が企画部になるようですので、企画部長から御答弁をお願いしたいと思います。
 あわせて、せっかく25周年という記念事業を行うわけですから、儀礼的なものだけで終わらせるのではなく、例えば現状では観光をテーマにした記念事業が考えられているようですので、和歌山の観光展を山東省にある主要百貨店において持ち回りで行うなど、あくまで実益をどれだけ出せるのかといったことをしっかりと考えた事業を検討してもらいたいと思います。
 また、私自身、特に力を入れてもらいたい経済交流に関して、山東省との経済交流事業もことしで5年目となります。姉妹提携の記念事業とともに、これまで以上の取り組みを期待するものですが、去年までの取り組みも踏まえてさらに実り多い事業とするために、ことしはどういった取り組みを具体的に考えておられるか、商工観光労働部長から御答弁をお願いしたいと思います。
 続いて、関西国際空港の問題について。
 これは、この月曜日に泉議員が先によい質問をしていただいておりますので、重複する内容は省いて提案並びに質問をさせていただきたいと思います。
 関空の問題は、これまでの県議会で私自身も何度も取り上げさせていただいているように、これは和歌山県にとって世界の成長センターとなるアジアを含めて世界に開かれた玄関口であり、その架け橋になるものであり、私たち和歌山の未来にも大きな影響を与えます。しかし、今、この関西国際空港が、関空会社の村山社長の言葉で「存亡の危機」と言わしめる状況となってしまっています。関空の村山社長のインタビューが1月29日付の「日経新聞」に掲載されていましたが、それには大変な危機感がにじみ出ています。
 関空では、昨年11月から国内路線を中心に減便・廃止が本格化し、また景気悪化の影響もあり乗客数は昨年12月まで7カ月連続で前年割れとなり、特に12月は112万人で前年同月比で16%減となっている。また、ことし4月から──もうこの4月ですね──減便・廃止となる国内路線は、日航が北海道を中心に6路線、全日空が松山や高知など4路線、現在関西の国内路線は15都市を結んで1日に54便運航していますが、4月からは11路線、45便往復に減ってしまう。路線数はこの4月時点で開港以来の最低を更新することになり、1996年10月のピーク、34路線、84便に比べ、路線は何と3分の1、便数は半分となるということです。
 また、国際線も日航が3月にロンドン線を廃止、全日空も3月からは大連線を期間限定で休止。日航のロンドン線がなくなると日本勢の欧州路線は関空からすべてなくなってしまい、アメリカノースウエスト航空のデトロイト線の廃止で北米路線も週10便に減ることで、関空の欧米路線は一段と貧弱になる。こういった状況を踏まえて村山社長は、「国内線との乗り継ぎが不便になり、もはや拠点空港とは呼べなくなり、まさに存亡の危機だ」と現在の窮状を訴えておられます。
 そういった中で、先日、大阪府の橋下知事は、この関空のピンチを何とか救おうと、府独自で関空の空港戦略についての提言をまとめて発表されています。そこでは、関空を西日本の出入国拠点と位置づけて、相次ぐ廃止・減便で損なわれた国際線と国内線の相互乗り入れ機能を回復させる。そのために、地元自治体、経済界の出資による就航奨励一時金制度の拡充など長距離国際線の誘致に取り組むほか、外国系航空会社が国内線を運航できるよう特区などの制度も利用しながら、そういうことを国にも要請していくなどとしています。また、関空が抱える巨額の有利子負債の軽減でも国の責任を強調し、その負担を要請するものとなっています。
 この大阪府の空港ビジョン発表を受けて、関西国際空港会社では、ビジョンの方向性に賛成で実現を期待する、関空が出入国拠点としての機能を果たすための方策を具体的に提言してくれていると高く評価し、今後は提案されたビジョンを踏まえて当事者として議論に参加したいといった意向を示されています。
 こういった各方面での動きも活発になる中で、和歌山県としても2月には関西国際空港の機能強化に向けた緊急共同アピールの採択に積極的に参画し、仁坂知事もマスコミに対して関空を守るといった姿勢を明確にされた趣旨の発言を繰り返されています。
 今、関空の将来を見通す中で、大きな分岐点に来ているように思われます。そこでは、今後この関西でどういった空港戦略を描くべきなのかといったことを、各府県の個別の利害を乗り越えて具体的にまとめ上げることが求められているのだと思います。
 そこで何点か質問させていただきますが、まず1点目として、この平成21年度予算において──結果的には予算措置をすることとなりましたが──関西国際空港連絡橋の国有化に伴う負担金の支払い拒否といった今回の大阪府の姿勢について、これは知事から見てどういった評価をされているのか、御所見を賜りたいと思います。
 また、大阪府の橋下知事が先ごろ発表した空港の戦略提言案について、和歌山県としてどう分析し評価しているか、これは企画部長に御答弁いただきたいと思います。
 また、これまでの議会で、私自身、和歌山なりの空港戦略をまとめるべきと提案してまいりました。それは何らかの形でまとめられているのでしょうか。今後、和歌山県として関空への応援をしていくとしても、関西の3空港のあり方について和歌山なりのビジョンがなければいけないのだと思います。例えば、このまま関空がじり貧となり、関空、伊丹、神戸の3空港がそれぞれ中途半端な形のまま落ち込んでいく、そのことでどれだけ関西全体にとって不利益なものとなるのか、また逆に、はっきりと関空への集中を実現させていく中でどういった将来展望があり、関西そして和歌山県としてもメリットがあるのか、そういったシミュレーションも出してみるべきだと考えます。そうすることで、県内においても県民の理解を得、将来何らかの形でこれまで以上に関空への協力が必要な場合でも、より主体的に和歌山県として行動できるものになると考えます。和歌山なりの空港戦略といったものについて、これも企画部長から御答弁をお願いします。
 最後に、NPOへの取り組みについて質問させていただきます。
 これからの行政運営につきましては、さらに経済情勢が厳しくなるといった見通しの中で、これまで以上の効率化も求められるものと考えます。しかし、そこでは、行政をスリム化する中で単に同じように提供する行政サービスの質もどんどん落とすのではなく、逆にどうすれば住民満足度を高めることができるのか、それぞれの地方政府による知恵比べが起こってくるのだと思います。
 そこでは、地域で提供する公共サービスについて、行政だけがそれを切り盛りする状況を転換させる新たな社会ビジョンが問われるものとなります。そういった中では、ことし特定非営利活動促進法が制定され11年目を迎えるNPO活動などの活躍に大きな期待が寄せられるものとなっています。
 そんな中、私もこれまでの県議会において何度もNPO活動を活性化するための提言をしてきましたが、県当局もそれらの提案について前向きに受けとめ、積極的に取り組んできてくれていました。
 しかし、残念なことに、昨年の行革に係る審議の中で、突然和歌山のNPO活動の屋台骨となる活躍が評価されてきたNPOサポートセンターを廃止するといった話が出てまいりました。これには私自身、非常に残念に感じるとともに、少なからず驚きました。これからの時代にこそ必要とされる地域での非営利活動について、なぜ今、県がその取り組みを弱めようとするのか、釈然としない思いが今も残ります。和歌山のNPOに係る取り組みは、NPOサポートセンターの努力によって、全国的にも評価される状況にあり、NPO法人の認証数も平成15年には61団体だったものが現在は290団体となり、人口10万人当たりの全国順位も平成16年には31位だったものが、昨年には10位にまで順位を上げるものとなっています。
 こういった地域におけるNPO活動の活性化は、NPOサポートセンターがあったからこそ実現してこれたものと評価されています。そのNPOサポートセンターを、必要ない、廃止せよと判断するということは、和歌山県として地域におけるNPO活動自体を重要なものとして考えていないということにもなりかねません。
 そもそもNPOは、公益活動を担う非政府、非営利の民間組織であり、これからの時代にはなくてはならない社会的機能として世界的にも定義されています。NPO活動実態を見ればその地域の未来が見える、NPOは地域の活力をはかるバロメーターだと言われるように、今後は地域社会におけるNPO活動の重要性はますます高まるものと思われます。
 今、私たちの社会では、国民、地域住民のライフスタイルが大きく変化しており、それに伴いニーズも多様化する状況にあります。そういった中では、国や自治体だけでは住民や地域のニーズに十分にこたえられない、公共サービスを提供することは難しい時代となっています。そういった時代の要請にこたえるために、民間活力の活用といった観点から、アウトソーシング、PFIの導入、民間の資金や手法、ノウハウなどを公共分野に生かそうとする動きが急速に広まりつつあり、このような動きは日本版のPPP、すなわちパブリック・プライベート・パートナーシップと位置づけられ、官と民の協働による公共サービスの提供がこれまで以上に推進されるものとなっています。
 このパブリック・プライベート・パートナーシップとは、そもそも民間経営の手法を取り入れた新公共経営理論の考え方をさらに進化させたものであって、21世紀における行政の新たな地域づくりの手法として、またそこから生まれてくる新しいビジネス展開の可能性を広げる重要な枠組みとしてとらえられていて、イギリス、フランス、ドイツなどでは大きな成果を上げるものとなっています。こういった新しい公共サービスの姿を今後構築していく中では、特にその中核を担うノンプロフィットの活動団体、地域におけるNPO活動がますます重要となり、それを地域でどう活性化させられるかが今後の行政施策の中でも特に重要な取り組みとなってきます。
 今後、行政がさらなるスリム化を強いられる中では、公共サービスのトータルコストといったことも考える中でも、NPOにはますます大きな期待がかかるものとなります。今まさにこれまでの行政が中心となって担ってきた公共といった概念が変化して、新しい時代の公共、公の姿というものを示していかなくてはいけない時代となっている中で、今回の行革の取り組みにおいて、他の行政事業の廃止、縮小と同様にNPO事業がとらえられていることに少なからず驚くとともに、和歌山県としての認識について疑問を感じるものでありました。
 最終的には、平成21年度予算においては廃止の方向が撤回され、業務の効率化を図るといったことで委託費を4300万から3500万へと減額して存続する案が示されていますが、しかし、そもそも私としては、行革の対象として挙げられること自体が似つかわしくないものだと考えており、そういった中では今後の県政におけるNPO活動自体の評価を含めて改めて確認しておく必要があると考え、今回質問をさせていただくことといたしました。
 そこで、知事にお伺いしますが、知事はこの2009年度の県政の方針において、県民生活の根底を支える取り組みに重点投資する、そこでは地域での新たな支え合いを支援するといったことを掲げられています。それはまさにNPOなどの活動の重要性を認識されてるお話ではないかと思うのですが、まずは基本的な部分で、NPO活動といったものについてどういった認識をお持ちでしょうか。地域におけるNPOの存在、役割といったことを含めて、改めて知事の御所見を賜りたいと思います。
 また、今後は財政的にも非常に難しい、厳しい地域運営が強いられる中、これまで以上にNPO活動は地域にとって重要となります。そこでは、そのNPO活動を根底で支えてきたNPOサポートセンターの役割がますます大きくなるものと考えますが、知事の御認識をお伺いします。
 最後に、NPOの今後につきまして行政からの視点でどういった期待を持たれているか、あわせてお聞かせいただきたいと思います。
 以上で、私の1問目の質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの山下大輔君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) お答え申し上げます。
 まず、和歌山県の低迷する経済状況の本質についてでございますが、本県経済は、鉄鋼、石油、化学の基礎素材型の3業種で製造品出荷額の約7割ぐらい占めておりまして、最近の日本経済を牽引してきました知識集約型産業とか、あるいは加工組み立て型産業の集積が低い産業構造となっております。実はこれは30年前もほとんど同じで、そういう意味では産業構造の変化におくれたとか、新しい成長産業を取り込むとか育成するとかいうことがうまくできなかったかなという感じはあると思います。
 一方、県内中小企業は、海外の低価格品との競合とか、あるいは消費構造の変化などへの対応がなかなかつらくて、大変厳しい経営環境にあります。
 本県事業所の大半を占めるこういう中小企業の経営体力を強くして、競争力を強化して、あるいは持続・成長可能な産業構造への変革を呼ぶような、そういう産業おこしとか企業誘致とか、そういうこともやっていかないかんということだと思っております。
 そのために、地域資源の活用やあるいは農商工連携、そのほか本県の強みを生かした新産業の創出、県内中小企業の成長力強化、新たな企業誘致など、やることはたくさんございまして、そういうところに積極的に取り組んでいたきいと考えております。
 次に、これからどうしていくかという議論でございますが、議員御指摘のように、オンリーワン、魅力を生かすようなことをやっていかないかんということは、そのとおりであると思います。そういう意味で、ないものねだりは意味がないとか、猿まねはあんまり意味がないとか、そういうようなことを議員の御友人の方はおっしゃったんだろうと思うんですが、では、どうやってオンリーワンを生かしていくか、これが言うは易しく行うはかたしということであります。
 具体的に何をするかということなんですが、これまでのステレオタイプの考え方とは反した和歌山ならではの長期的な戦略をつくらないかんということのために、まさに県としては長計を議論した。議会におかれましても、議決条例までつくっていただいて、それで皆さんで御議論いただいたということで、その中には、我々のオンリーワンを生かすような、たくさんの知恵が入っていると思います。
 例えば、一例を挙げられました海の生かし方、マリンスポーツ、その他まだまだ不十分ではございますけれども、目標としてございます。
 さて、平成21年度予算の編成に関してでございますけれども、これまでの和歌山県について振り返ってみますと、県も努力をしてまいりました。その時代時代において、高野・熊野の世界遺産登録の実現のように、地域資源を生かした取り組みとしての成果を上げているものもございます。企業の森とかほんまもん体験観光もそうでございます。
 こうした観点から、平成21年度予算では和歌山県の強みである特色ある歴史、文化、自然や、多種多様な農林水産物などの地域資源を生かした観光振興や地域おこしなどを通じて、産業の創出に取り組むとともに、そのための条件整備として高速道路や、あるいは情報通信基盤といったインフラの整備も加速しなきゃいかんということで、今後頑張っていきたいと考えております。
 次に、関空の件であります。
 御指摘のように、2月の17日に関西の首長さん、これを語らいまして、関西国際空港の機能強化に向けた緊急共同アピールをいたしました。橋下知事が、これを持っていってもらいました。国土交通省と議論をしてくれました。国が関空の将来をどのように考えてるのか、ビジョンを示すように橋下さんは求めて、それのいわば手段として、国から関空会社の財務構造の改善など抜本的な施策を引き出そうとして、それで、その手段として連絡橋負担金の不払いを宣言したものであると理解しています。
 大臣の回答を受けて橋下知事はそれを撤回しましたが、関空の機能を十分に発揮させるためには、関空の将来の位置づけを明確にし、財務構造の改善など抜本的な施策を実施することが必要であるということについては、私ももちろんそう思っております。大阪を初め、仲間とまたまた語らって、引き続き努力をしていきたいと考えております。
 NPOについての質問でございますけれども、まずNPOサポートセンターについてでございますが、これについては県民の皆様方から多くの御意見をいただきまして、さまざまな観点から議論を進めた結果、私としては、行政の関与は見直すけれども、自主的な社会貢献活動を支援するという設置目的は大事だから、スペースをむしろ広げて、引き続き運営していくということにしたところでございます。
 次に、NPO活動への認識と期待についてでございますが、実は2月11日に開かれたわかやま“元気”1万人フェスタというのがありました。ここに参加をさしていただきましたが、大変多くの県民の方々がNPO活動にかかわり、地域の問題解決に熱心に取り組んでおられることに改めて大変心強い思いをしたところでございます。9月にも申し上げましたが、このようなNPOを初めとするさまざまなボランティア団体など、多様な主体が地域課題の解決や社会貢献に取り組むことが、地域を活性化し、元気な和歌山につながっていくものと考えております。
 したがって、今後ともそれぞれの分野で、さらに多くのNPOが人的、財政的にも自立を進め、行政のよきパートナーになっていただくようにお願いしたいところでございます。
○議長(大沢広太郎君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) まず、中国山東省との姉妹提携25周年記念事業の取り組みについてであります。
 中国山東省との交流につきましては、御承知のとおり、一昨年11月に仁坂知事と姜大明山東省長との間で、和歌山県・山東省友好交流関係の発展に関する覚書を締結いたしまして、環境、経済貿易等さまざまな分野における実質的な交流を進めることについて合意をいたしました。
 これに基づき、20年度におきましては、環境保全に係る人材育成のための国際協力プロジェクトを実施したところでございます。
 本年は山東省との友好提携25周年に当たることもございまして、双方の発展につながる、より実質的な交流プログラムの実施を協議しているところでございます。
 具体的に申し上げますと、山東省政府からは観光フォーラム開催の提案をいただいており、本県からは環境ビジネス投資セミナーの和歌山県での開催等提案して、今後とも実益のある具体的な取り組みを検討してまいります。
 次に、関西国際空港への取り組みについて、まず大阪府が出した空港戦略の提言案についてでございます。
 大阪府の関西3空港に関する提言では、関空について出入国拠点機能の回復を目標として、長距離国際線の誘致、際内乗り継ぎ機能の回復、物流拠点機能の向上、関空の有利子負債の軽減などについて提言しておりまして、関西における関空の役割の強化につながる提言であると理解しております。本県といたしましても関空の機能強化が最重要と考えておりますので、こうした関空に対する姿勢については、本県の立場と基本的に共通するものと評価をしております。
 次に、和歌山県としての空港戦略についてという御質問でございますけれども、申すまでもなく、関空は関西発展のための中核インフラであり、海外と日本の主要都市を結ぶ国際ハブ空港として、貨物におきましてもまさに国際物流拠点として、その機能を十全に発揮させることが、すなわち至近に位置する和歌山県の本県の県益にかなうものであると考えております。
 そして、関空の国際拠点空港としての機能をより発揮させる、そのためには関空の国際競争力の強化を図っていくことを基軸として取り組んでいくことが肝要であると考えております。
 具体的には、高コスト体質の根本的原因となっております1兆1200億円に上る有利子負債の軽減による財務構造の改善、国際線・国内線ネットワークの充実、それから2期工事の推進、加えてアクセスの改善が不可欠であると考えております。
 本県といたしましては、これらのことの実現を基本目標として取り組んでいくこととし、大阪府を初めとする自治体や関空会社、経済団体等との連携強化を図ってまいります。
○議長(大沢広太郎君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 山東省政府との経済交流事業につきましてお答えをさせていただきます。
 東アジアとの交流、とりわけ中国山東省との交流に関しましては、友好交流関係の発展に関する覚書や、経済協力枠組み覚書の締結によりまして、今後の交流推進につきまして相互に確認を行っているところでございますが、経済交流につきましては、和歌山県中小企業団体中央会等と連携をし、平成17年度から山東省におきまして商談会を開催してまいりました。
 今年度も昨年11月12日に青島市におきまして商談会を開催し、和歌山県企業13社の出展のもと、山東省企業89社135名が来場し、活発な商談が行われました。新たにサービス業関連企業にも御参加いただいたこともあり、これまでにない成果があらわれてございました。
 来年度は、山東省との友好提携25周年の節目に当たることもあり、さらなる経済交流を深めるために、より積極的に企業の参加を促し、過去4年間の経験をもとに山東省での展示商談会を開催し、新たなビジネスの創出が図れることにより、和歌山県経済の回復のきっかけとなるよう精いっぱい頑張ってまいりたいというふうに考えてございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
 41番山下大輔君。
○山下大輔君 御答弁ありがとうございました。
 知事がお答えになられましたように、言うは易くて行うはかたしという部分は当然あると思います。
 ただ、知事もおっしゃられたように、和歌山の強みを伸ばすということを必ずやっていけば、和歌山自体がどういう地域としての存在意義を見出せるかということは、私自身も実現させていけるんだと思います。でも、それは一朝一夕にいかんと。だからこそ逆に、本当の和歌山がどうあるべきかというようなことをこれは考え続けていかないかんと思います。これまでは地域がよく競争の時代やというて言われてきましたけれども、これからは競争の概念だけじゃなくて補完するという概念も大事やと。関西の中で和歌山が、ほかの地域にない役割というのをどう補完していくか。これが結局は、和歌山自身がみずからの魅力、みずからの役割というのを見出せる考え方になるんやろう。
 紀伊半島の中にあって、今まで国土軸から外れてきた、そういう中では確かに工業化の時代にはおくれをとった。逆に、これからの自然環境というものが大切にされるという時代には、和歌山自身が持ってる素材というのは、僕はこれからますます伸ばしていけるんだろうなというふうな期待も持っております。
 そういった中で知事には、知事というのは政治家ですから、本当にこの和歌山の歴史をこれからつくっていく、これまでの歴史を変えていける人やと私は思います。歴史に名を残すような知事となれるように、県議会からの提言もみんなそれぞれに一生懸命やる中で、和歌山自体が本当に生まれ変われるような取り組みというのをぜひ一生懸命取り組んでいただきたいと要望して、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山下大輔君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番藤井健太郎君。
  〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 おはようございます。議長のお許しをいただきまして、一般質問をさせていただきます。
 まず、新年度予算、景気対策、地方財政重点投資など、知事にお尋ねをしたいと思います。
 昨年の12月議会で、今日の経済状況、急激な悪化が進行しつつある中で、県政が県経済と県民の暮らし、どのように守っていくのか、県民の暮らしの底が抜けることのないように、新年度予算が県民生活を底支えするような予算となるように要望もいたしました。
 この間、国においては、08年度第1次、第2次の補正予算並びに09年度予算におきまして財政措置12兆円、金融措置63兆円の景気対策が組まれたところです。今、新たにさらなる補正予算の議論が始まっておりますが、地方自治体としては、県民に役立つ施策については有効に活用するということが望まれていると思います。しかし一方では、これらの景気対策と地方財政の関係がどのようになるのか、地方に財政的なしわ寄せが及び、地方財政の運営が一層厳しい局面に立たされるようなことになりはしないか、将来の県民負担の増大につながるようなことはないのかという心配もするところであります。
 県の新年度予算の姿を見てみますと、前年度当初予算との比較では、県税で143億円の減、地方交付税で147億円の減、片や県債が240億円の増となっていて、県債の歳入予算に占める割合が20%に及ぼうとしています。県債の中身を見てみますと、景気対策としての建設事業のための増額よりも、地方交付税の不足分としての振りかえ、退職手当債など、財源不足を補う形での県債への依存が高まってきています。09年度末では、一般会計、特別会計合わせると、県債残高が8944億円、前年度より500億円の増で過去最高を更新し、基金残高は特定目的基金すべてを含めても614億円で、前年度より131億円減少する見込みとなっています。
 地方交付税の振りかえとしての臨時財政対策債は、後年度元利償還額が全額交付税措置されるとはいいますが、地方交付税そのものはふえてきてはいません。新年度、国は地方財政対策で地方交付税を雇用対策等の推進費として別枠で1兆円準備したといいますが、県の地方交付税そのものは前年度より減額の見込みとなっています。国の景気対策を含んだ新年度の県予算の姿、財政調整基金、県債管理基金の残高は行財政改革プランの範囲内となっているようですが、県債残高の増が後年度の負担の増大へとつながり、地方財政の行く末を一層厳しいものにしているのではないかと思われます。国が進める景気対策や国の地方交付税の財源不足分、これを地方自治体の財政にしわ寄せさせることがあってはならないと思うわけですが、知事の見解はいかがでしょうか。
 とはいえ、県は県として経済対策、景気対策に一生懸命取り組んでいかねばなりません。これまでの輸出を中心とする外需頼みの経済構造から内需の拡大を目指す政策へのシフトが言われていますが、そのためにも、深刻な状況に陥りつつある雇用の安定化、国民の暮らしのセーフティーネットである医療、介護、年金などの社会保障制度が必要とする人に十分に機能していくことが、国民の将来不安を和らげ、家計支出を応援していくことにつながるものと思います。非正規の雇用から正規の雇用へと雇用の安定化を進めることや、社会保障制度での高過ぎる保険料や自己負担金の軽減を進め、だれでもが安心して払える制度にしていくことが内需拡大に果たす役割は大きいものがあると思いますが、知事の見解はいかがでしょうか。
 知事は、新年度の予算編成方針で、和歌山県の強みを伸ばす取り組みと県民生活の根底を支える取り組みについて重点投資するとされていましたけども、新年度予算では特に県民生活の根底を支えると言われる事業について、どのような考え方で、幾らの予算で、どのような事業が計上されているのでしょうか。中小企業制度融資のように、前年度より継続している事業への上積みなどが見受けられますが、制度改正を行ったものや新年度の新規事業について、現下の経済情勢を見通して、これが県民生活の根底を支えることになると胸を張って言えるような、そういう事業は何なのか、お尋ねをしたいと思います。
 次に、雇用問題についてお尋ねをいたします。
 雇用を取り巻く情勢の見通しについてですが、厚生労働省は、派遣、請負など非正規労働者の雇いどめ状況について、ことしの2月報告として、昨年10月からことしの3月末までに2316事業所──これは全国でですが──15万7806人が職を失うとの調査結果を発表しました。昨年12月報告の1415事業所、8万5012人から約2倍増加する見通しとなっています。
 本県におきましては、厚労省の2月報告では50事業所、524人の見込みとなっていて、昨年12月報告の12事業所、313人から1.7倍、職を失うであろう人がふえております。厚労省の調査報告は年度末に向けて職を失う人がふえつつあることを示しているわけですが、また派遣業の業界団体は、製造業だけで派遣や請負労働者が全国で3月末までに40万人失業するとの見通しを立てている、こういう報道もされております。県では年度末に向けて県内の動きをどのように把握されているのでしょうか。また、新年度の見通しをどのように考えておられるのでしょうか。
 3年前の06年、多くの製造業が請負契約から派遣契約に切りかえ、このとき派遣になった労働者がことし3月末以降、一斉に派遣期限の3年目を迎えることになる、いわゆる09年問題と言われることにも直面をいたします。派遣労働者への直接雇用への申し入れとなるのか、雇いどめとなるのか、経済状況から見て不安なところです。県として、新年度に職を失う人の数字的な見通しについてどのように考えているのか、お尋ねをいたします。
 2点目に、雇用創出施策について。
 雇用創出の目標数値についてでありますが、既に今議会で目標値の設定を求める議論が重ねられているところです。国の雇用創出を直接目的とした事業への対応、県の施策による雇用への効果をどのようにまとめていくのか。県の雇用の創出に取り組む姿勢、熱意にもかかわってくる問題だと、こういうふうに思います。
 雇用に着目した事業に取り組んでいくのに、ゴールを見ずに走ることにもならないはずです。既に企業立地促進法に基づく和歌山県紀ノ川流域地域基本計画では、企業立地件数107件、新規雇用創出2539人と成果目標が発表されているところでもあります。県にも雇用に関するプロジェクトチームがつくられているようですので、私はふるさと雇用、緊急雇用にかかわらず、県が取り組むわかやま中小企業元気ファンド、農商工連携など、産業振興策によってどのぐらいの雇用が生み出されると考えられるのか、そのことについても示していただきたいと思いますが、どのように考えておられるのでしょうか。
 国の交付金事業についてですが、国の県への交付金による雇用創出を目的とした事業が新年度から取り組まれます。1年以上の安定雇用の創出を目的とし、事業者と3年間の委託契約を結び、3年後にはひとり立ちをしてください、こういうふるさと雇用再生特別基金事業44億円です。6カ月未満の短期雇用、これはつなぎ雇用になるということですが、その創出を目的として県市町村の直接雇用もしくは事業者への委託もできる緊急雇用創出事業臨時特例基金事業16億円が含まれております。双方とも既存事業への財源振りかえは認められず、新たな雇用機会の創出を目的として、新規雇用者のうち失業者の人件費が一定割合を占めることが要件になるなど、失業対策事業の色合いが濃く、双方とも臨時的、一時的な財政措置となっております。
 市町村並びに民間事業者への委託や補助となるわけですが、新年度に県が直接委託や雇用を考えておられる事業はあるのでしょうか。どのような事業を考えておられるのでしょうか。国からの交付金は1回こっきりなわけですが、自治体の独自財源の補てんで事業を膨らませることができることにもなっています。国に事業費の増額を求めていくということも考えられるでしょう。県としての事業費の上積み、期限後の事業の継続などについて、どのように考えておられるのか。これから事業を始めるに当たってそこまでは考えられない、このように言われるかもしれませんが、きちんと効果を検証して雇用創出効果が大きければそのときの経済状況の判断の上に事業を継続させていく、こういうことを考えるということも必要だと思います。どのように考えておられるのでしょうか。
 3点目、雇用の確保と維持についてです。
 県は、昨年の12月議会閉会後の12月19日、全国的に派遣労働など有期契約労働者の解雇、雇いどめが広がっていることを受けて、県内に波及してくることへの懸念から、商工会議所連合会、経営者協会など県内経済団体5団体に集まってもらって、正社員を初めとする求人の確保と雇用の維持について直接要請を行いました。また、業種組合70組合と従業員10人規模以上の県内約3000の事業所に同様の要請文書を知事と和歌山労働局長の連名で送付しております。
 12月議会一般質問で、私は雇用の確保と維持に対する県の姿勢について伺いましたが、知事は、不安定な就労がより改善できるように経済団体や主要な県内企業に正規求人や非正規労働者の正社員化の要請をしなくてはいけない、このように答弁され、雇用の継続と安定化に向けての県の姿勢を示されました。
 しかし、現実は、派遣労働者など非正規の労働者が直接雇用されていくのではなく、雇いどめになることが増加する見通しとなっております。今後どのように対応されていこうと考えておられるのか、3000事業所へのフォローをどのように考えておられるのか、非正規労働者の正社員化を要請していきたいとする知事の考えをお聞かせ願います。
 私たちもことしになって、昨年に引き続き、再度雇用の維持と労働法制の遵守について和歌山労働局への申し入れを行うとともに、県内の従業員100人規模以上の鉄鋼、機械、化学、染色などの製造工場、県が誘致した幾つかの工場を訪問してまいりました。雇用の維持や県経済の先行きについて、いろいろと話を交わしてまいりました。長年地域に根づいての事業活動や社会貢献活動をされている企業もあります。技術革新と新規設備投資で競争力を高めていく、そういう努力や雇用の維持のためにも努力しているんだと、しかし、これからの景気の先行きについては不安が増している、こういったことが共通して語られていたのではないでしょうか。
 気になったのは、雇用の維持については、派遣労働を受け入れている企業では正社員と非正規社員とを区別して対応していきたい、こういう話があったことです。非正規の社員が経営上の都合で契約期間の途中で解雇されたり、短期契約を繰り返し更新されている派遣労働者が一方的に雇いどめになるなど、労働者の権利が侵害されることになれば、これは問題があります。
 せんだって、県内の製造企業の生産ラインで働く派遣労働者の方から私たちのもとに、ことしの3月末で派遣契約が終了することに伴い契約の更新はしない、こういう通告をされたという訴えがありました。派遣元の企業でも、これは契約を解除されたからといって、若干雇用契約は継続するようですが、それも打ち切りたいと、こういう話でした。
 よくよく話を聞いてみますと、6年ほど前に派遣会社から請負契約で来ていましたが、3年前に6カ月契約と期間を定めた派遣契約に変えられ、これまで5回契約更新を繰り返してきた。派遣契約で働いていた期間はことしの3月の末で2年半となるわけですが、請負となっていた時期にしていた仕事や働き方とは変わっていないということで、偽装請負の疑いが極めて濃厚であることがわかってきました。偽装請負であったとするならば、雇いどめではなく直接雇用の申し入れをしなくてはならないところです。この会社は内部留保もしっかりしており、減収減益が見込まれる中にあっても高配当を続けているまさに優良企業です。体力的にもしっかりしていると思われますが、派遣労働者の月々の収入は14万円から、残業したときは18万円ぐらいで、正社員と同じ働き方をしているのに、昨年10月には正社員にはボーナスが出たが派遣社員にはボーナスもなく、4月から来なくていいと言われた、憤りを感じる、派遣という働き方はやめさせてほしいとも訴えられていました。知事は、このような訴えに対してどのような見解を持たれるでしょうか。
 そもそも派遣労働は、臨時的、一時的労働に限られており、正規労働者がしている仕事を派遣労働者へと置きかえてはならないものです。そのため、同一業務への派遣受け入れ期間は原則1年、最長3年とし、3年を超えて派遣労働者を使う場合は、派遣先企業は働く期間にかかわらず、直接雇用の申し入れを行う義務が生じます。04年3月の法改正により製造業への派遣労働が認められるようになりましたが、多くの製造業者はそれ以前から請負の形で派遣労働者を使っており、それが偽装請負であったとするならば、通算すると3年を超えて派遣労働者を同一業務につかせている企業が多いのではないかと思われます。
 現行の労働法制に照らしてみても直接雇用への道が開けており、労働者が希望するのに企業がそれを実行していないとしたら問題があります。雇用の維持、確保についての第一義的責任は企業にあるのは当然ですが、違法行為に対する指導や是正、勧告については、直接的には国の権限で行うことです。しかし、県民の暮らしを守る立場にある県としても、雇用の確保や維持についての要請で終わるのではなく、労働者の権利を守るための積極的な取り組みが必要ではないでしょうか。このことについて、知事の見解をお聞かせ願います。
 4点目、県が誘致した企業での雇用についてです。
 私は、企業誘致そのものについては、地域の特性にも合致し、環境破壊にもつながらず、適切な優遇施策の範囲内であれば、県民の新たな雇用と所得の創出、地域経済の振興にもつながる政策として有用であると思っています。進出した企業は、地域からは地域社会の一員として地域経済に貢献してほしいという期待を担うことにもなります。今日の経済状況のもとで減収減益を余儀なくされている企業も多くあることと思いますが、安易に事業縮小や労働者の解雇に走ることは、地域からの期待を裏切ることにもなってしまいます。
 県の誘致企業における08年度従業員数調べによりますと、これまで78社が誘致されており、回答のあった76社では5432人の従業員が働いているとなっています。そのうち正規が61%で3332人、非正規が39%、2100人と、働く人の4割が非正規社員で、派遣労働者は651人となっています。ことしの1月調査では、前年度と同じ企業比較で、正社員が若干の増、非正社員が大幅減で契約社員と派遣社員が減り、パート社員がふえてきています。聞くところによりますと、誘致企業の中には派遣社員を雇いどめにして、より賃金の低いパート社員に置きかえているところもあるように聞きます。誘致企業の雇用の中身、動向について把握しておく必要もあろうかと思います。
 また、派遣労働者の直接雇用への働きかけはきちんとできているのでしょうか。同一業務についての派遣の受け入れ期間は3年ですが、既に過ぎているところや偽装請負の期間があるところ、派遣の継続を予定してのクーリング期間を設けているところなど、現行の労働法制に照らして是正が必要な企業はないのでしょうか。県は進出する企業と協定を結んでおりますが、その中には関係法令を遵守するとともに、地域社会の一員として安定した雇用の創出及び継続への努力義務を課しております。進出企業に対して、県、市町村からの立地助成金初め、各種の支援措置が行われているところですが、同時に協定に違反した場合は補助金の返還を求めることができるとなっております。補助金の返還を求めるような事態とならないように、協定事項をしっかり守ってもらうことが大事だと思うところです。
 雇用の確保と維持については、県内事業所に要請文書は出しておりますが、人事や労務管理の機能は県外の本社で行っている誘致工場もたくさんあります。本社に対しての要請はどのようになっているのでしょうか。人員削減を予定している企業については、直接本社への要請が必要ではないでしょうか。また、誘致企業の労働法制の遵守についての検証など行われているのでしょうか、お尋ねをいたします。
 次に、失業者の生活支援対策についてお尋ねをいたします。
 解雇、雇いどめなどで離職を余儀なくされ、社員寮や宿舎を出ていかざるを得なくなったり、新たな就労を希望していても求人数が減少するもとで就労のめどが立たないこと、手持ち資金が底をついてくると、たちまち生活に困窮する事態に直面することになります。雇用促進住宅への入居や雇用保険の失業給付がすぐに受けられる場合、またハローワークの住居費を含めた資金でもある就職安定資金が受けられる場合は当面の生活の支えとなりますが、それらが活用できない失業者も多くいます。ホームレスとなって車で寝泊まりしている失業者からの相談や、雇いどめとなったけど、住居を失い持病が進行したため軽作業にしかつけない、こういう人からの相談などを経験してまいりましたが、最後のとりでは生活保護の申請で、生活保護を受給しながら住居を確保し、求職活動を続け、生活の自立を目指すこととなります。
 万策尽きて市町村の窓口を訪れた場合は、保護の申請を受け付け、速やかな保護の開始が望まれるところです。しかし、窓口に行くと、まず住むところを確保してから来てほしい、このように言われて申請を受けてもらえなかったとか、保護の開始まで1カ月は見ておいてほしいと言われ、それまでの生活費がないといった相談も寄せられています。保護の決定は、特別の理由がある場合を除き、原則14日以内となっており、申請者の手持ち金がわずかしかないという場合は迅速な保護決定が求められています。そのための職員体制の整備も必要となってきています。住居のあるなしや労働能力の有無だけで申請の受け付けを判断することなく、申請者の申請権を侵すことなく、速やかな審査と可否の決定を行うことが求められているところですが、県の考え方と指導はどのようになっているのか。
 また、社会福祉協議会では、失業により生計の維持が困難になった世帯に対し、20万円以内の生活資金を貸し付ける離職者支援資金の制度、緊急一時的な当座のつなぎ資金として5万円以内の緊急小口資金貸付制度などが運用されていますけども、これらの実績はどのようになっているのでしょうか。果たして有効活用されているのでしょうか。どのように利活用を図っていこうとするのか、お尋ねをしたいと思います。
 最後に、県職員の定数削減問題についてお尋ねをいたします。
 知事は、新長期総合計画の実現に向けての財源捻出と財政健全化法をクリアしていくためにも行財政改革の推進が必要だとして、今後5年間の行財政運営の指針としての新行財政改革推進プランを策定いたしました。5年間の歳出削減目標額687億円のうち258億円、4割近くの金額を人件費削減に充てる計画となっています。
 一般行政、公営企業での人員削減目標は、08年度からの5年間に11.7%、480人を削減する計画となっています。今議会にはプランに基づき、知事部局職員の定数を3954人から3844人に110人の削減が提案されています。職員数の削減は、県の財政運営上の判断からということだけではなく、国の地方財政計画では全国で2万4000人の削減となっていて、それが地方交付税算定へ盛り込まれてくることや、退職手当債の償還財源を捻出し続けていくためにも、職員数の削減計画の策定が求められてくることにもなっています。
 一方、自治体の行政サービスはマンパワーが主体となっているだけに、絶えず行政需要とのバランスをとりながら適切な職員配置を進めていかねばなりません。急激な削減は将来の職員年齢層に断層をつくり、継続的な県民サービスの提供を困難にすることも考えられます。これまで組織の統廃合などの機構改革、指定管理者、市場化テスト、業務委託などの業務の外部化、または事業そのものの廃止などによって管理者ポストと職員数の削減を進めてきましたが、最初に削減ありきでその後つじつま合わせをしていくというのが実情ではなかったかと思います。今日の経済情勢下において、社会全体での雇用の確保と維持が求められていますが、県は民間企業に雇用の確保を説きながら県自身は職員数の削減を進めていくことにもなりますし、業務の外部化は非正規労働者の拡大や労賃の引き下げなど雇用の不安定化につながってくる、こういう側面も見ておく必要があろうかと思います。
 そこで、知事並びに総務部長にお尋ねをいたします。
 人事行政について。雇用情勢が厳しさを増す中で、県庁で働く職員の雇用の維持と確保、役割についてどのように考えておられるのか。行政需要や歳出予算とのバランス、県職員の年齢構造、適正数など、人事行政の基本的な考え方について知事にお尋ねをいたします。
 定数削減の内容、外部委託について。知事部局での定数削減の内容は、どこでどのようにして削減を進めていくのか。新年度、外部委託、指定管理者などの予定はあるのでしょうか。
 職員の過重労働と県民サービスの後退について。職員数の削減により職員の過重労働や県民サービスの後退につながらないようにするための手だては考えられているのでしょうか。
 職員の働き方の推移について。職員の働き方の推移はどのようになってきているのでしょうか。職員数を削減して非常勤職員やアルバイト、派遣労働などに代替させているようなことはないのでしょうか。非正規職員の労働条件を切り下げていくようなことはないのでしょうか。
 以上、お尋ねいたしまして、私の第1問といたします。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、景気対策と地方財政についてお答え申し上げたいと思います。
 現在の社会経済情勢に対応するための緊急対策につきましては、国の経済対策で措置された基金や交付金を最大限活用するとともに、人件費の抑制や事務事業の見直しなどの行革努力によって財源を捻出したところでございます。
 この結果、平成21年度当初予算といたしましては、収支不足額を新行財政改革推進プランで想定した範囲内に抑制するなど、景気対策のための財政出動と財政規律の維持との両方の目的を果たしたと考えております。
 しかしながら、国の厳しい財政事情等により、今後仮に、例えば交付税総額が縮減されるようなことになりますと、本県のような交付税依存度の高い地方公共団体において持続可能な財政運営を行うことが困難になり、最低限保障されるべき住民サービスですら維持できないことが懸念されるということでございますので、行財政改革の一層の推進は、我々としてはもちろんなんですけれども、国に対して所要の地方交付税総額がちゃんと確保されるように強く働きかけていく所存でございます。
 次に、新年度予算と景気対策について、特に内需拡大に雇用と社会保障の果たす役割について御答弁申し上げます。
 我が国経済が輸出や設備投資、個人消費の急激な減少という深刻な状況にある中、従来の対外輸出への過度の依存から、内需主導による持続的発展可能な経済へと転換していくことが重要であります。雇用情勢の悪化による将来の雇用不安等から消費が低迷する状況にあって、安定的な雇用の維持、創出は消費の拡大に大きく寄与するものと考えております。
 このため、県といたしましても、中長期的には、働く場の維持確保に多大な貢献をしている県内中小企業の活性化支援や、あるいは新産業の創出、さらには企業誘致など、さまざまな施策にしっかりと取り組むことが大切であると考えております。
 また、社会保障の関係では、ナショナルミニマムの観点から国が取り組むべきところも多く、社会保障の給付と負担の水準がどうあるべきかの国民的な議論が必要と考えております。
 県といたしましては、県民のセーフティーネットの維持確保を図るため、常に状況を把握して必要な要望、提案を行ってまいりたいと考えております。
 次に、県民生活を根底から支える取り組みということでございますが、これは予算の説明におきましては、少し名前を変えて「安全・安心を確保する取り組み」というふうに分類をしております。中身は一緒でございますが、県民生活を根底から支える取り組み、安全・安心の取り組みについての御質問でございますけれども、平成21年度予算におきましては、約230億円を計上いたしまして重点的に実施してまいりたいと考えております。
 具体的には、特にこれまでいろいろ考えてまいりました高齢者対策あるいは地域対策、そういうものについて新たに取り組みたいと思っておりまして、元気な高齢者が地域の困っている高齢者を支えるような仕組みづくりとか、大規模災害時に孤立するおそれのある集落の通信手段の確保とか、医療従事者の働きやすい環境整備など、新たな施策も含めまして地域で安心して暮らせるための取り組みを展開してまいりたいと考えております。
 また、世界的な景気後退の中で雇用情勢が悪化していることに対応した緊急対策といたしまして、これは既に実施しておりますが、「和歌山で働きませんか!」ほか3つのプロジェクトの推進、あるいは予算の中でお願いしておりますが、ふるさと雇用再生特別基金を活用した雇用機会の創出などを行ってまいりたいと考えております。
 次に、雇用の確保と維持についてということで2点御質問がありましたが、まず経済団体等への雇用の確保、維持要請後の取り組みについてでございますが、県の独自施策として、県内の中小企業や農業、福祉・医療などの求人情報を、関係機関の協力を得ながら県のホームページにおいて情報提供を実施しているところであります。「和歌山で働きませんか!」等々のプロジェクトでございます。
 また、さきに開催した就職面接会への参加企業に対しても、再度1人でも多く求人を確保していただくよう依頼したところであります。
 今後とも、機会をとらえまして、正規求人の確保等について経済団体などに要請してまいりたいと考えております。
 次に、派遣労働者の権利を守る取り組みにつきましては、一般的には派遣先企業と派遣元企業が労働者派遣法等関係法令をちゃんと理解して遵守するということが重要でありまして、このためには、国が地方機関におきまして指導、監督をしていると認識しております。しかしながら、県といたしましても、諸案件について緊密にこのような機関と連絡をとりながら情報収集を図りまして、また民間にもそういうアンテナを張りまして、かつ中小企業労働施策アドバイザー等による制度の周知や労働相談など、さまざまな施策を活用して適切な雇用関係になるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、人事行政についてでございますが、議員のお話のとおり、県では新行財政改革推進プランに基づき職員数の削減を行っているところでありますが、一方では将来偏った人員構成に陥ることのないように配慮しておりまして、計画的な採用に努めているというところでございます。
 今後さらに経済や財政の状況が厳しくなると見込まれますけれども、民間にも呼びかけているとおり、人材確保のチャンスでもありまして、本県にとって必要な人員はちゃんと確保していきたいと考えております。こうした人員体制により簡素で効率的で生き生きとした組織を構築しまして、最大の効果を上げるよう職員の適正配置に努め、県政の重点施策や緊急な課題について対応してまいりたいと考えております。
 ただ、心配なのは職員の健康問題でありまして、これについても十分配慮する。1つの例といたしましては、仕事についてはできるだけ重点化して、みずからこれはもういいなと思うようなものはどんどんと整理をしながらやっていこうじゃないかということを職員にも呼びかけているというところであります。
○議長(大沢広太郎君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) まず、雇用を取り巻く情勢の見通しにつきましてお答えをさせていただきます。
 議員から御説明がありましたように、ますます雇用の需給が逼迫してくると考えてございまして、県といたしましても労働局など関係機関と連携を図りながら、必要な雇用状況の把握に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
 次に、新年度以降の数字的見通しにつきましては、いわゆる2009年問題と言われている労働者派遣法の適用がますます進行することから、県内の中小企業におきましても、派遣労働者を初め、非正規労働者への影響が大きく出てくるものと推測をしてございます。労働局におきまして、これら調査を新年度以降も継続するとしてございまして、県としましても情報の共有、状況把握に鋭意努めてまいりたいと考えてございます。
 なお、雇用の維持につきましては、雇用調整助成金の幅広い適用や離職者への訓練等への生活支援など、さまざまな施策が検討されてございまして、県としましてもこれら施策を注視しながら、適切な施策を考えてまいるということにしてございます。
 次に、雇用創出策についてお答えをさせていただきます。
 まず、雇用創出目標につきましては、今回の本会議におきましても同様のお答えをしてございますが、一段と厳しい雇用環境の中にあって、逆転の発想と申しますか、優秀な人材を確保する絶好の機会であると考えてございまして、人材確保難であった中小企業とか農業あるいは福祉分野への誘導の絶好の機会ととらえまして、県としましては、「和歌山で働きませんか!」などの情報サイトを開設するとともに、ふるさと雇用再生特別基金などを活用しながら、企業誘致や新産業の創出も含め、雇用創出に向け、さまざまな施策を展開してまいりたいと考えてございます。
 創出目標につきましては、国においてはふるさと雇用再生特別交付金等を活用して最大25万人の雇用を目標としているところでございまして、県としましても、国の算出された目標を一定の目安としてとらまえながら、市町村と連携し、長期的な雇用につながるような事業などを、取りまとめの中でより精度の高いものにしてまいりたいというふうに考えてございます。
 次に、国の交付金事業への対応についてでございますが、県として直接委託や雇用する事業もあり、内容的には将来の施策展開の基礎となる各種調査の作成などを想定してございます。ふるさと雇用再生特別基金活用事業につきましては、3年間にわたる継続的な事業でございまして、委託終了後も継続雇用が見込まれ、かつ一過性に終わることのないような事業を中心に委託してまいりたいと考えてございます。
 なお、県費の追加支援につきましては、まず国の交付金の予算を最大限活用してまいりたいというふうに考えてございます。また、当然ながら、当該事業の効果につきましては毎年検証し、次年度へのステップアップにつなげてまいりたいというふうに考えてございます。
 次に、誘致企業での雇用について、2点お答えをさせていただきます。
 本社への要請についてでございますが、県内に立地する工場のみならず、県外に所在する本社に対しましても、立地後に訪問をさせていただき、雇用の維持、確保につきまして強く要請しているところでございまして、今般の急激な景気変動を踏まえまして、これまで以上に精力的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、労働法制の遵守につきましても、本来、違法行為に対する是正等については国が主体となって行うことになってございますが、県民の暮らしを守る立場にある県といたしましても、進出協定書に関係法令の遵守を厳格に盛り込んでございまして、これらを踏まえ、その未然防止等につなげてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 失業者の生活支援対策についてお答え申し上げます。
 まず、生活保護行政のあり方についてでございますが、失業者から生活困窮の相談がある場合は、相談者の事情や要望に応じて、議員御指摘のように、他法他施策について懇切丁寧な情報の提供と支援を行うとともに、関係機関との連携をより一層図るように、また、その際には相談者の生活保護の申請権を侵害しないことはもちろん、申請権を侵害していると疑われるような言動も厳に慎むよう、福祉事務所に対し指導してきたところでございます。
 さらに、生活保護の適用に当たっては、住居がないことや稼働能力があることのみをもって保護を要しないとせず、住居のない方には居宅生活が可能かどうか、また、稼働能力がある方には求職活動をするなど稼働能力を活用していか否かに留意するなど、通常の手順に従い必要な審査を行うとともに、申請者の状況に応じ適切な処理に努めるよう、福祉事務所に対し引き続き周知徹底を図ってまいります。
 次に、生活福祉資金の利活用についてでございますが、失業などにより生計の維持が困難となった世帯等に対して生活資金の貸し付けを行う離職者支援資金につきましては、平成18年度以降は貸し付け実績はございません。また、緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった世帯等に対して生活資金の貸し付けを行う緊急小口資金につきましては、年々減少傾向でございまして、今年度は2月までで1件の貸し付けでございます。
 両資金とも有利子資金を貸し付けることで世帯の経済的自立を支援する制度でございまして、県社会福祉協議会において、資金の貸し付けも含めて自立につながる支援を総合的に判断の上、資金を必要とする人には適切に貸し付けを行っているところでございます。引き続き、失業者の生活支援につきましては、福祉事務所等関係機関と調整を図りながら最善の支援に努めるとともに、資金の貸し付けが適当と判断された場合には速やかに手続を行うよう、県社会福祉協議会を指導してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 総務部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○総務部長(小濱孝夫君) 県職員の定数削減についてお答えをいたします。
 まず、削減の内容、外部委託についてでございます。新行財政改革推進プランに基づき定数削減に取り組む中、今議会におきましては知事部局で110名の削減をお願いしているところでありますが、これは振興局における部課の再編などの組織機構の見直しや事務事業の見直しを行うことにより実施してまいります。
 事務事業の見直しにつきましては、これまでも指定管理や業務委託を進めてきたところでありますが、次年度においては新たに指定管理者制度を導入する施設はなく、業務委託についてはふるさと定住センターにおいて実施する予定となっております。
 次に、職員の過重労働と県民サービスに関する御質問でございます。
 厳しい財政状況の中、今後とも職員数の見直しを進めてまいりますが、徹底した事務事業の見直し、民間活力の積極的な活用等により、職員の負担増や必要な県民サービスの低下につながることのないように努めてまいります。
 最後に、常勤代替を進めていないかという御指摘でございますが、非常勤嘱託やアルバイト職員についても抑制を図っているところでありまして、正規職員にかえてこうした非正規職員をふやしているということはございません。また、これら職員の給与等の処遇につきましては、労務の内容や労働条件に合わせて適切に対応しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
 43番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 何点か再質問をさしていただきたいと思います。
 まず知事に、確かにこれから和歌山県の経済、全国よりもおくれてといいますか、自動車産業なんかでもすそ野産業ですので、県内でも部品工場とかそういうのはたくさんありまして、そういったとこがだんだん厳しい状況になってきているという話も聞いております。一刻も早く景気を回復させる、これ政治としての役割も大きいものがあろうかと思います。雇用の確保、安定であるとか社会保障制度、国民の負担を軽減さしていく、そういったことも大事な問題であると思うわけですが、国に対してはそういった社会保障の負担軽減なんかを申し入れていくというお話がありましたが、じゃ県としてここのところでどうしていくのかという問題があろうかと思います。
 行革方針の中で福祉医療制度の問題がありまして、12月議会でも取り上げさしていただきましたが、現行制度を新年度は維持をするということになっております。これは知事の英断とも言うべきことであったろうかなとは思うんですが、ただ幾つか課題も残しておりまして、精神医療がその中に入っていない。本来ならば自立支援医療として、一括して精神医療も福祉医療の制度に入れるべきであったわけでありますが、それが取り残されてるという問題があります。
 副知事から行革委員会で、現下の厳しい情勢の中にあっては、県民の暮らしを守るために、この福祉医療制度で負担金を徴収することは見送ったという説明がありましたが、それならば──この厳しい経済状況が一定続くと考えられるわけですが、一刻も早く回復しなくてはいけないわけですが──行革方針の中でこういう県民の福祉医療、福祉事業に対して負担金を徴収する、新たに負担を課すというような行革方針については凍結もしくは撤回をするということが必要ではないかと思うんですが、そこの知事の見解はどうなのかということが1点です。
 それから、雇用の問題についても、私は1つの企業で働く労働者からの訴えを取り上げて知事の見解をお伺いいたしましたが、直接的な答弁はありませんでした。それは国の仕事だよというようなお話であったろうかと思いますが、県民の方がそこで働いてるわけですね。ずっと働き続けられると。一定の期間が過ぎれば直接雇用の申し入れがあるということを期待していたんだが、雇いどめだという話で、非常に憤りを感じておられると。本来ならば、偽装請負の疑いが濃厚であって、その期間を含めれば当然その直接雇用の申し入れがあってしかるべき。その企業は、先ほども申しましたように、県内の優良企業です。しかも、県の経済団体の役員をされている企業でもあります。そういった企業でそういう事態が起こってるとしたら、これは問題ではないのかということで、知事の見解を問うたわけでありますが、直接的なお答えはありませんでした。そのことについて、再度知事の見解を問いたいと思います。
 そして、労働局任せにするんではなくて、先ほどアンテナを張って情報を集めてというお話もありましたけども、こういう問題についてはその労働者の現行法での権利も守られていないということですから、県の労働行政として、そこのところはきちんと労働者の権利が守れるように是正のために働きかけをしていくということをぜひしてほしいと思うわけですが、そこの問題についても知事の再度の答弁をお願いいたします。
 それと、失業者の支援、これも行政の大事な役割です。その中で、せっかく離職者の支援資金とか小口の緊急融資制度があるにもかかわらず利用されていないというのは、周知がされていないからなんでしょうか。使いにくいからなんでしょうか。それとも、それを必要とする県民の方がいないからなんでしょうか。私はそういうふうに思いません。制度そのものに何らかの問題があって、本当は使いたいんだけど使えない、有効に活用できないという問題があるんではないのか。そういった点も含めて、この改善どう進めていくのか、これは福祉保健部長に再度、この問題について再質問をさせていただきたいと思います。
 以上、3点お願いします。
○議長(大沢広太郎君) 以上の再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、県単医療助成制度について、どちらかというと今後どういうことになっていくかということについて述べよということだと思います。
 これについては、これから例えば景気がますます悪くなる、そういたしますと、この助成の対象になってる方々にもやっぱりもっとしわがいくということになると思います。そういう意味で、財政のほうもますます苦しくはなるであろうけれども、ますます苦しくなったそういう恵まれないといいますか、助成の対象になってる人に負担を課すのがますます苦しくなるということだけは申し上げておきたいというふうに思います。そういう苦しさをちゃんと理解する、そういう県政でありたいというふうに考えております。
 それから、その次の議論についてでございますが、議員御指摘のような点は、あるいは法律の違反かもしれません。そういうふうに思いましたもんですから、法律違反を取り締まる権限を持ってる機関はちゃんとありますということを申し上げました。しかしながら、そういう法律違反みたいなことをやっちゃいけませんよというのを一般的に申し上げるのは、これは我々の務めでもあると思います。
 したがいまして、あるいはまたそういうことを別に我々は聞く耳を持たないと言ってるわけじゃありませんので、県の機関等々にたくさんの情報が入れば、それは例えば国と情報交換をするということも大事ですし、直接「ちょっとおかしいんじゃないですか」というようなことも、それは言わないといけないと思います。それから、一般的にそういうことについては注意しないといけませんよということは、我々の仕事としてこれからもやっていく、そういう気持ちでございます。
○議長(大沢広太郎君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 生活福祉資金の利活用についての再質問にお答え申し上げます。
 窓口にお見えになる利用されたいという県民の方から、特に雇用保険法上の給付と勘違いされてお見えになって、これは3%の有利子資金でございますけれども、例えば小口資金であれば4カ月以内にお返しをいただかなきゃならないという御説明をする中で、お帰りになる方もいらっしゃるというふうにも聞いてございます。
 また、生活福祉資金全体といたしましては、特に今よく使われてございますのは、住宅の改修なんかに使われます福祉資金とか、またこれは無利子でございますが、就学資金等については有効によく使われて、お借りいただいておるところでございます。小口資金、離職者生活資金とも制度はございますので、今後とも市町村社協等も通じまして広く周知を図ってまいりたい、そのように考えてございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再々質問を許します。
 43番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 これはもう最後のあれなんで、要望ということにしかならないと思うんですが、やっぱり県政が県民の暮らしの底支えをする、まさに底が抜けるようなことがないように雇用がしっかりと守られている、特に労働法制がきちんと守られて、権利がしっかりと守られているということが、やっぱり最低限、これは県の労働行政としても見ておかなくてはいけないと。そのために、そういう企業に対しては県としても言うよと、言っていくよという話がありましたので、ぜひそれはまたそういうふうにしていただきたいというふうに思います。
 社会保障の問題にしても、今苦しんでいる人がますます苦しくなるということを県行政がやってはいけないということは、もうはっきりしてると思うんです。そういうお話もあったかと思いますが、ぜひそれが実現するようにといいますか、県民の暮らし、社会保障、県政としても底支えしていけるような、そういう県政であってほしいということを願うものです。
 社会福祉協議会の資金にしても、やっぱり活用がしにくいという面もあろうかと思いますので、そういう今ある制度を見直して、有効に活用できるように、ぜひ改善も進めていただきたいということを要望して、私の質問を終わります。
○議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤井健太郎君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時49分休憩
────────────────────
  午後1時1分再開
○議長(大沢広太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 26番中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕(拍手)
○中 拓哉君 「なかなか頑張る中拓哉」と言い続けて、市会議員のときから10年になります。2年前の6月議会でこちらに立たせていただいて、反対討論を2回させてもらったのを含めると、ちょうど7回目の登壇でございます。主権者である県民の皆さんから託された大事な質問権でございますんで、大切に私は行使したいと思います。
 また、県民から寄せられる陳情、要望、提案、そういったことも含めて、また自分の勉強も含めて、一歩でも県政が前に進むように、あるいは県民の方が納めた税金が有効に使われて福祉の増進につながるように、そんな思いでこちらから質問させていただきますので、当局におかれましても誠実な御答弁をお願い申し上げたいと思います。
 議長から発言の許可をいただきましたので、この21年度の予算案と提案されている議案への質疑及び県政全般にわたる一般質問をさせていただきます。
 まず初めに、議案第86号の和解案の受諾についてお尋ねいたします。
 議案を読みますと、和歌山税務署長の誤った指導により、平成9年度から13年度の5年間の流域下水道事業に関して、過大に納付した消費税及び地方消費税の559万1067円と、それに関する還付加算金相当額を加えた金額を国家賠償法に基づき和歌山税務署長が和歌山県に支払うとするものとあります。
 かつて和歌山市議会でも、平成12年度から14年度の3年間の下水道事業で1億5000万円の申告漏れと、それに伴う過少申告加算税3000万円、都合おおよそ1億8000万を支払う議案が審議され、その当時の市の担当者は、すべて税務署の指導どおりに消費税を納め、還付を受けてきたものですと。税務署の担当者の解釈が変わったことで過少申告税まで指摘され、本来なら更正処分まで受ける筋合いはないが、他の自治体も争ってないので、指導、指摘に従っただけと述べました。
 当時私は、消費税法の導入時より税務署の指導どおりにやってきているのなら、修正かあるいは以後改めますということでいいのではないか、過少申告加算税まで追徴される必要があるのか、消費税法導入時の法律の趣旨からも逸脱している、こんな強権的な徴税態度では、それこそ「苛政は虎よりも猛し」、苛斂誅求そのものだと担当者に申し上げました。
 その経験からすると、今回の議案では、和解案として議決を受けるまでもなく、課税処理の誤りを認めた税務署から国家賠償法に基づく平成9年度までさかのぼった還付を受ければいいのではないでしょうか。それをわざわざ地方自治法96条1項12号の和解とすることの内容をお示しください。
 次に、和歌山市の中心市街地の景観の形成についてお尋ねします。
 和歌山市内の都市計画もそれなりに進捗しつつあります。後から都市計画に追加された北インターチェンジの工事や和大新駅、また都市計画決定当初からの街路整備のうちでも、和歌山市の郊外部では西脇山口線、松島本渡線、南港山東線と進捗しつつあります。全線供用にはまだまだ多くの年月を要しますし、こういった路線の中心部はまだ事業化すらされていません。
 例えば、堀止交差点や高松交差点からそれぞれ西向いて大浦街道に抜ける道路は、車1台がやっとのまんまでございます。通学路も兼ねるこれら生活道路の未整備が、住民の世論調査における要望の上位を常に占めている原因かと思われます。
 また、和歌山インターチェンジをおりて県道和歌山野上線の宮街道を通り、田中町のアンダーをくぐると中心部となり、現在、大橋から屋形交差点までの区域で電線の地中化など整備工事が着々と進められております。三年坂に入り、右手に和歌山城の雄姿が和歌山を訪れる人の視界に入り、心和ませてくれます。また左手には、現代建築の精華を集めた県立美術館、博物館の見事な姿が目に迫ってまいります。
 それもつかの間、県庁前の交差点に入った途端に、あの広々とした景色は急になえしぼみ、風格ある県庁の庁舎も視界に入りません。
 県会議員となり、全国あちこちの県庁を訪れてきましたが、いずこの地でも県庁はそれなりのたたずまいの中で一定の風格を有しています。ましてや、戦争で失ったお城が全国各地に散在する中にあって、昭和33年10月、市民一丸となって取り組んだ天守閣の外観復元がなり、戦災で失った国宝天守閣再建第1号がこの和歌山城なのであります。仁坂知事も恐らく幼少のころ、このことを覚えてらっしゃると思います。
 城郭の内にあった県立の図書館や市庁舎、消防署などもお堀の外に移り、順次、都市公園法にのっとった整備とともに、御橋廊下の復元や庭園の整備も整いつつあり、和歌山市の行う各種イベントのかいもあって市民に喜ばれております。
 一方、過日の新聞報道によりますと、都市公園法に抵触する占有の状態が長年放置され、威風を誇る石垣群が建築物に覆われ、城郭全体の風格がそがれたままであります。
 一方、平成16年制定の景観法を受けて制定されました本県の景観条例により、本県は熊野参詣道周辺を特定景観形成地域に指定されたとのことでございます。もちろん、景観法第7条で規定する景観行政団体は中核市や都道府県とのことですので、本来的には和歌山城は市の事務とのことでしょうが、県庁かいわいの景観に関しては、この景観法の基本理念の2条4項に規定されている「地方公共団体、事業者及び住民により、その形成に向けて一体的な取組がなされなければならない」とあるように、景観法の趣旨にかんがみ、景観条例の制定及び和歌山城郭を含む中心部の良好な景観を保全する景観計画の策定を促してみてはどうでしょうか、県当局のお考えをお聞かせください。
 次に、いつ来るかわからないが、いつかは必ず来ると言われております新型インフルエンザのパンデミック対策についてお伺いいたします。
 昨年の2月議会の予算特別委員会でも取り上げましたが、先月下旬に愛知県豊橋市のウズラ農場の2羽のウズラから高病原性鳥インフルエンザウイルスH7型が検出され、一大ニュースとなりました。平成16年1月の山口県阿東町で発生以来、全国各地で発生し、その都度、防疫活動が展開され、幸い事なきに至っておりますが、東南アジアや東アジアでは、ヒトへの感染も報告されております。
 やがて爆発的な感染が予測されることから、国では随時対策検討会を持ち、最新の行動計画を示すとともに、プレパンデミックワクチンの接種などを関係者に既に行うなど、行動を起こしております。一方、東京都なども医師会を巻き込んで訓練するなど、対策に余念がありません。
 本県におきましても、それなりに準備をされている由、その都度の報道を通じて承知しておりますが、県民への周知という点からは大きくおくれているように感じます。一度アウトブレーク、流行すると、全国で64万人の方が亡くなると言われる恐るべき新型インフルエンザです。
 91年前のスペインインフルエンザでは、全世界で4000万人、日本でも38万人が死亡したと言われる、まさにパンデミックが、交通事情も、貿易も、人的交流も、当時とは比較できないぐらいに進歩した現代にあって、瞬時に爆発的な流行を呼び起こすことは火を見るよりも明らかであります。
 危機管理の上から見れば、地震や津波は局地的、一時的であるため、他の地域からの支援を受けることができますが、このパンデミックフルーは世界同時多発の現象です。ライフラインの崩壊も予測される中、医療体制の準備はもちろんのこと、行政全体の事業継続計画、いわゆるBCPの体制整備と現下の準備状況、加えて何より肝要な県民1人1人のとり得る対策とそれらの周知徹底策をお示しください。
 次に、自殺予防並びに県民の抱えるさまざまな問題を解決に導く相談業務の充実についてお尋ねします。
 自殺対策としては、去る平成19年の12月議会で山本茂博議員が質問され、知事と福祉保健部長からそれぞれ答弁があり、県自殺対策連絡協議会で施策を検討する旨の回答でございました。
 そこで、私からはその後のお取り組みをお尋ねするとともに、自殺対策連絡協議会の構成員でもある社会福祉法人和歌山いのちの電話協会が本年11月21、22、23日の3日間、県民文化会館とアバローム紀の国を中心に全国研修会を予定しておる旨、仄聞いたしておりますので、各種機関の御協力をお願い申し上げます。
 先日、小学校4年生が自殺とのニュースに接し、いまだ私の心は空白を抱えております。元来、思春期前の児童には、自殺という選択肢はないものと信じておりました。御家族の御心痛やいかばかりかと悔やんでも悔やみ切れません。こんな不幸は是が非でもなくさなければなりません。
 また、29歳の主婦が幼子2人とともにマンションから飛びおり心中を図ったとの報道もございました。ほぼ毎日100名のとうとき生命がみずからの意思で失われ、お身内の方を初め、親しき友人たちが悲嘆に暮れております。見ず知らずの赤の他人同士がネットでつながり、示し合わせて自殺をするという新たな傾向も見受けられます。それぞれに原因があってのことと推察しますが、いずれにおいても直前には何がしかのシグナルを発しておるにもかかわらず、周囲の人間が気づかぬまま実行されてしまったのでしょうか。何とか防ぐすべはないものかと自問する中で、早期発見、早期治療、社会的要因の除去に携わる仕組みを模索したいと思い、質問するものであります。
 県のホームページを開けば、ありとあらゆる相談窓口の紹介が載っております。福祉に関しては総合相談窓口も用意され、自立するまで支援なさる由、伺っておりますが、いかんせん福祉に限られるのであります。借金や多重債務のことなら県民相談室につなぐことになりますし、派遣切りや失業ならハローワークに、資金繰りなら商工振興課といったぐあいに、行政の縦割りや個別の法律上、いたし方ない面もあります。
 絶望のふちにある人にとっては、また万策尽きた人にとっては、その窓口に1人では行けなくなっております。何とか救いを求めてくる人のそばに寄り添い、一緒になって解決まで導いてくれる人や組織はつくれないものでしょうか。オンブズマンの本来の意味の真の護民官として、だれ1人見捨てないぞ、私自身の自戒、自省も込めてお尋ねいたします。
 次に、県立高校授業料の納付についてお尋ねいたします。
 高校生を持つ保護者の方から先般相談をお受けした中に、毎月口座振替で払っている授業料のうち、なぜか1月だけが3月までの3カ月分を引き落とされ、月々1万1000円のつもりが3万3000円も落ちるので、他の公共料金の振替時に残高不足となり、大慌てで金策にてんてこ舞いだと、いささか大げさに言われました。
 職員の方に聞けば、その方も2人同時に高校へ行かしていたときなど、7万円近くも要ったので、そのお気持ちはよくわかりますとのことでした。
 折よくといいましょうか、島根県では、この2月に2月、3月の2カ月分を徴収するに際し、未納なら卒業証書を渡さぬと通知していたことが報道されました。本県教育委員会ではそんなあこぎなことはしないと思いますが、1月に3カ月分を徴収している点からすると、なお厳しいのではないでしょうか。卒業する3年生の分は、未納のまま卒業されてしまいますと後々徴収しづらいということは理解しますが、2年生、1年生の分くらい、従来どおり年12回に割って毎月取るという徴収にしたところで何ら不都合はないと思いますが、保護者の負担軽減の上からそのように改めてもらえませんか。お伺い申し上げます。
 最後に、公共調達制度について質問いたします。
 この日曜日の朝、テレビ番組を見ておりましたら、郷原先生が幾つかの番組に出ていました。郷原先生の政治資金規正法のわかりやすい解説を聞き、この方がまとめた制度なら間違いないだろうと改めて感心した次第です。
 木村前知事の事件の反省から、新業者評価制度と総合評価方式を平成20年6月から実施されました。幸い談合情報も寄せられることなく、定着しつつあるやに感じておりました。
 昨年の6月の実施に向け、随分と入念な準備をし、パブリックコメントも取り入れ、胸を張ってのスタートでした。仁坂知事いわく、「ここ10年くらい全部のモデルになる」、また「完璧に目配りされたよい報告書だから、基本的にあの線で詳細制度をつくっていきたい」、また「実施から2年間は過去の受注実績を一定割合で加算するという形で、一定程度評価してあげよう」、また「不服申し立ての手続の準備については、予定調和をやめ、これからはルールをみんなで決めて戦う」、「県として、ルールをつくった人、裁く人、これがおかしいと思う人がいたら県に不服を申し立てる。この制度をもっと厳格にする」、また「和歌山県が最も新しい総合評価方式に適合的な制度をつくったということを、総合評価方式を導入する法律をつくった人たちは評価している」などなどであります。
 まさに鼻高々の自画自賛のオンパレードです。しかるに、半年後の旧臘には、最低制限価格の適用範囲を1億円まで拡大することで、低入札調査をやめてしまいました。同時に、予定価格を公表していた1億円以上の工事においても事後公表に改めました。さらに、この2月18日には、鳴り物入りでスタートしたはずの総合評価方式において、企業の実績評価を廃止し、技術評価の加算点を半分以下に圧縮してしまいました。
 公共工事の品質確保の促進に関する法律第11条には「発注者は、競争に参加しようとする者について、工事の経験、施工状況の評価、当該公共工事に配置が予定されている技術者の経験その他競争に参加しようとする者の技術的能力に関する事項を審査しなければならない」と明記されているではないですか。業者評価制度で工事実績を見ていると県当局は説明しますが、それは2年間の入札参加資格の審査時に必要な施工能力であって、個々の工事には当てはまらないのではないでしょうか。個々の工事ごとに請負企業の能力を審査しなさいと、この品確法は命じていますよ。明確なる答弁を求めます。
 また、ばつが悪かったのか、12月の会見で知事は「朝令暮改でも何でもありません」と述べていますが、朝令暮改でないとしたら、朝三暮四ですか。「過ちを改むるにはばかるなかれ」とも言います。また逆転が多かったことも理由に挙げていますが、当初に十分検討したはずではなかったですか。「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」で、よ過ぎたからですか。
 また、次回の改定はいつごろで、どんな内容になりそうですか、あわせてお願い申し上げます。
 また、入札公告の中で不思議なことが見受けられましたのでお聞きします。
 吉備金屋線交通安全施設等整備工事の条件つき一般競争入札の公告の中で、平成20年8月22日に平成20年度国補県交第101号─2、有田郡有田川町庄地内、工事概要L=533.4メートル、W=4メートル、透水性舗装工1690平方メートル、インターロッキングブロック舗装工133平方メートル、工期21年2月16日まで、予定価格1746万1500円とする入札公告がありまして、それと全く同一で工事概要の、透水性アスファルト舗装工(開粒度アスコン脱色バインダ玉砂利仕様t=3センチメートル)1690平方メートル、透水性平板舗装工(透水性平板ブロックt=6センチメートル)133平方メートルと、ここだけ違いとするだけの公告が行われておりますが、いかなる理由によるものなのかと県土整備部に聞けば、有田振興局の舗装工事の入札公告の中で自然色仕上げという記載漏れがあり、工事の仕様について受注者との協議が折り合わないため、契約を解除し、現在再入札のための公告中であるとのことでした。
 しかしながら、事の発端が仕様書の記載漏れという発注者側の原因にあるにもかかわらず、発注者である県の側から一方的に契約解除に踏み切るとは、甚だ公平性を欠くとともに、正当に契約を結び、誠実に履行しようとする受注業者が納得しないのは至って当然の話ではないでしょうか。まるで封建時代の、お上に従え問答無用と切り捨てられるようなものでございます。今後のことも含めて、こんな乱暴なことが許されますか、知事に御答弁お願いします。
 以上、何点か申し上げ、第1問といたします。よろしくお願いします。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの中拓哉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 中議員の御質問のうち、なかなか辛口の御質問でございました公共調達制度について御答弁申し上げます。
 そのときにお聞きしておりますと、仁坂知事いわくといって幾つか引用してくださってるんですが、どうも何かそれぞれの引用句の中身が支離滅裂で何言ってるかわからん。どこをどういうふうに引用されたのかよくわかりませんけども、言葉の係り結びが何かおかしいような気がするという感じがしますので、そういう印象を持ったということを前提にしてお答え申し上げたいと思います。
 それで、総合評価方式における企業の施工能力の審査でございますけれども、品確法は、もとより価格競争ばっかりに頼っておると公共工事の質がむちゃくちゃになると、大変だぞということで、これは基本理念というところにその考え方がびしっと載っておるんでございますが、そういうことを載せて、それで法律的な用語でいうと訓示法とか努力規定法で、みんなそれぞれの立場で、それぞれのやり方で努力せえと、こういうことでございます。
 我々は、やっぱり和歌山県においては、こういう単純な価格たたき合いみたいになっちゃいかんから、この品確法の考え方に基づいていろいろ工夫してやっていこうと、こういうふうに思っておるわけでございます。実は、これは報告書にありました、一番初めの報告書にありました郷原先生のコンプライアンスという考え方に非常によく適合的な制度だと思っております。
 ただ、郷原先生は、品確法の中で一番典型的に想定されておりましたのは、技術提案をさして、それで委員会をつくって、それでそれをいいものは加点していくということでありましたが、これは全部について適合するのは無理だよねということで、全面的にそういうことをやらなくてもいいぞというふうに言われてました。
 ただ、実はここが、自由民主党の専門的な議員さんなんかに、政府の議員さんなんかに褒められたところなんですが、和歌山県では実は単純な一般競争入札ではなくて、初めに能力をちゃんともう一度審査し直しました。入学試験をやり直したわけです。そのときの調べたことが、実はこの品確法の考え方に基づいて、割と簡単に点数が出るという手法をとりましたので、なかなかいい考え方であるといって褒めていただいたということでございます。
 そういう考え方に基づきましてやっておりますが、11条につきましては、御指摘のとおり、競争に参加する者の技術能力に関する事項を審査する規定であります。この技術的能力の審査には、資格審査として実施するものと、それからこれは入り口で審査するものと、個別工事に際して技術審査として実施するものが、もとよりございます。
 それで、県においては企業の施工能力、これは実は私たちが今業界の方に説明している意味では実績ということなんですけれども、実績によって評価されるんですが、これは資格審査として新業者評価制度をやったときに一度評価をしております。したがいまして、その1個1個の審査においてこれを評価項目から外しても、今回そういうことをいたしましたが、実績は外す、特別の意味からやりましたが、別に品確法の趣旨に反しているとは考えておりません。
 次に、幾つか議論がありましたので、たび重なるルールの変更について御説明申し上げたいと思います。
 まず、パブリックコメントを求めました。これは、1年をかけて段階を追って意見を聞いてその都度公表しまして、それからまた採用して変更したもの──案をですね──それから採用しなかったものについても公表してやってまいりました。
 実は、私たちの意向としては、そういうことをやると、きっとこういう問題点があるといっていろいろ言ってくださるから、どんどん制度がよくなると思っておりました。今回のいろんな手直しがございますけども、その我々のこのパブリックコメントをやったときの気持ちとしては、そのときに発見できるだろうというふうに思っておったわけですが、実はそうではありませんでした。したがって、やってみないといけなかったということです。
 今考えてみますと、業界の方々に先を想定してシミュレーションをしてみろというのはなかなか難しかったかなということは、ある意味では反省しておりまして、それで現実に問題が起こったら手直しをしていくということを今回やったわけでございます。
 それから、鼻高々云々のお話がありました。これは多分人柄のいい中先生がおっしゃるんですから、誤解しておられると思います。私は自分のためにそういう表現を、これはいい制度だよと言ったわけではありません。
 実は、和歌山県は大変、前知事の事件のときに恥をかきました。一番ひどい話は、前知事がインタビューを受けて、そのインタビュアーの方が「和歌山県は治外法権だ」とか、むちゃくちゃなことを言いよったわけであります。そういうふうに我々が辱めを受けてるときに、一番立派な制度をつくったんだぞということを県民の皆さんにお示ししたいというのが、私の心情であります。したがって、事実をもってどういうところがいいのかということを説明しているわけであります。
 事実、実は私が知事になりましたときに世の中で行われてたことは、一般競争入札競争でありました。それで、それしか考えない。幾らまで一般競争入札をすればいいんだというようなことで、各県が競っておったと、こんなことでございます。私どもは、それはあんまり意味がない。それでちょっといろいろ批判もいただきましたが、談合防止、効率性の追求とともに、公共工事の質も大事だし、県内企業の育成も大事だと、そのためにバランスのとれた制度をつくるんだということをやっておりました。
 事実、他県においては、これはやり過ぎだというんで、もとの制度にそっくり戻したところもあります。我々はそんなことをする必要はないような制度をつくりました。しかしながら、細かいところを見ると、ああ、ちょっとこれは直したほうがいいなというようなところがありますので、その都度それは直していきたいと思っております。
 発見すれば、それは朝令暮改と言われても、朝令暮改と言われて困るのは、例えば当局の私のほうであります。ちょっと恥ずかしい思いをいたします。だけど、それよりもいい制度にしたほうが県民の皆さんは喜ぶんではないかと思いましたので、何と言われてもそうしたいと思っております。
 誤解をまた一部これもされてると思いますので申し上げておきますが、いい制度なんですと言って自慢はしておりますが、100点満点と言った覚えは全くありません。これはどんどん直していかなきゃいけないと思って、初めからそういうつもりでございます。
 それから、最低制限価格については、これは実は調査価格をやめて、それで最低制限価格にしたわけです。これは論理的には、調査価格でも私はいいと思っております。ただ、実は、余りにも皆さん困っておられるので、低入札が行われました。その結果、余りにもたくさんの案件が我々調査しなきゃいけないということになって、とても実務的に間に合いません。したがって、低入札はやめてくださいねという気持ちも込めて、これはまあ、ある意味では便宜的ですが、最低制限価格をやらしてもらいました。これは実務的な問題です。
 それから、予定価格の公表につきましては、これは実は予想しておりませんでしたが、最低価格を勝手に推測して入札を出してくる人がいる。本来ならば自分のコストを算定して、それで入札を出してきて一番安いところに行くというのが正しいやり方ですが、みんな困っておられるので、したがって最低価格を勝手に推測する。それは予定価格が公表されてると推測できるとおっしゃるんですね。したがいまして、それは公表しないことにしました。
 これは実は職員のほうから異論がありました。なぜならば、このときの公表しないことにするリスクは、職員が一部の人からいろいろ働きかけを受けて汚職に巻き込まれるおそれがあるということでした。しかしながら、職員だけ安全なところにいて、それで業界の方々にそのツケを払わすというのは、私は間違っていると思います。したがって、職員を説得しまして、それで公表しないことにさしていただきました。
 それから、実績評価の廃止なんですけど、これは能力という言葉で、企業の能力という言葉で公表もされております。実はこれは、価格のたたき合いを防ぐための、我々としては手段だと思っておりました。ところが、実は実績をとっていない企業が加点を欲しいがために、将来の加点を欲しいがために、とりあえず1回だけはむちゃくちゃ低入札でもとっておいて実績をつけなきゃいけないと、そういうふうにどうも思われたらしいんです。したがって、ダンピングを招いてしまいまして、助長するようなことになっちゃったもんですから、これはいかんということでやめさしていただきました。これは当初予想されたことかもしれませんが、私どもが予想できなかったということで、やや恥ずかしいことですが、実態がわかりましたので、早速直させていただきました。
 今後も、県議会を初め県民あるいは事業者等の御意見を引き続いて幅広くお聞きいたしまして、よりよい制度となるように取り組んでまいりたいと考えております。
 次回の改定はいつごろどんなというふうに言われましたけれども、これは今後そういうことが起こればまた考え、それから副作用などもあるかもしれませんので、それも慎重に考えて、今後できるだけいい制度にしていきたい、こんなふうに考えております。
 それから、例の有田地域の舗装工事の問題でございます。これは、舗装工事の仕上げの仕様について記載漏れがありました。この記載漏れについては、明らかに私は県の誤りだと思っております。
 どういうふうになったかといいますと、実は継続的な工事でございまして、発注担当者としては、実は発注予定価格などを算定するときに自然色舗装という、色が白っぽい舗装ですね、こういうものを想定して計算をしておりました。ところが、それを自然色舗装と特定する、明記するのを忘れました。一方、落札された業者の方は、黒い舗装──これは安いんですね。こういうのでもいいじゃないかと思って、それで入札されたそうなんでございます。そこでもめ事が起こりましたときに、まあ、態度が悪かったとか、そういういろんな議論があったようです。
 こういうときにはどうするかというと、実は契約のひな形、これはもう全国共通なんですが、一度解除をして、それでその上でもし損害が発生するならば損害を弁償する。これはなぜそういうことになってるかというと、普通の契約のように、例えば契約当事者の合意により契約を廃棄すると、こうやっておりますと、実はいつまでももめておって、それで工事ができない。その工事ができないというのは県民のためにならんわけですから、そういうことにならないように、契約はとりあえずもめ事が起こったら、もういつまでももめててもしようがないから、契約廃棄さしてもらって、その上で損害を業者にかけたならば弁償するというような手続をつくっておるとこです。これは弁償は当事者同士の合意もありますし、もちろん裁判に訴えてもいいんですが、実は簡便な両当事者の合意によって第三者に計算をしてもらうという制度まで、実はできております。
 そういうことで、今回受注者に御迷惑かけましたし、それから県民に、工事がおくれたということについては大変申しわけなかったと思っておりますが、今後こういう不注意をいたしませんように我々も心してやっていかないといけないし、それから県と企業の方はもう対等でございますので、偉そうにならないように我々も心がけておかなきゃいけないと、そういうふうに思っております。
○議長(大沢広太郎君) 副知事原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○副知事(原 邦彰君) 県民相談のワンストップ化に関するお尋ねがございました。
 県には、総合相談窓口であります県民相談室を初め各種の相談窓口があり、それぞれ県民の方などの相談に電話や面談により適切に対応しているところでございます。
 各種の行政相談は、それぞれ専門の知識を必要とすることから、細分化はやむを得ない面もございます。大切なことは、県庁の中でどのような場合であっても相談者を確実に担当部署につなげていくということなんだろうというふうに存じております。
 今後とも、しっかりと県民の相談に対応するとともに、また仮にみずから対応できない事案に遭遇した場合でも、しっかりと担当部署につなぐことも含めて、職員の意識改革に努めてまいります。
 また、相談窓口のあり方につきましては、今後ともコスト面、あるいはほかの県の状況なども参考にしながら、さらに勉強してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 議案第86号の消費税に関します和解案の受諾についてでございますが、昨年6月に大阪国税局から消費税の解釈の誤りにより過徴収があったので、平成14年度から18年度までの過去5年間につきまして、国税通則法の規定で返還するという報告がありました。これが10月7日に545万7869円返還されました。
 また、同年の10月15日に大阪国税局がこちらに来庁していただきまして、国税通則法の消滅時効にかかっている分、平成9年度から13年度分までの分につきまして、国家賠償法第1条第1項の規定に基づいて、誤りのあった全国約150の地方自治体と同様の条件により返還したい、そういう申し出がございましたので、内容を検討した結果、受諾するということにし、今議会に上程したものでございます。
 それから、景観形成ということでございます。
 県では、和歌山県らしい良好な景観の形成を図っていくことを目指しまして、平成20年4月に和歌山県景観条例を制定いたしました。また、本年の1月には和歌山県景観計画を施行し、建築行為等の届け出制度を実施し、良好な景観形成に努めているところでございます。
 しかし、景観法第7条により、地方自治法第252条第22第1項に、中核市であります和歌山市はみずから景観に関する施行を行う景観行政団体として位置づけられておりまして、和歌山市域における景観計画等の施策は、和歌山市において実施するということになってございます。このために、昨年開催されました市と県の政策連携会議というのがございますが、こういう機会などとらえまして、景観施策の早期実現について和歌山市に対して働きかけているところでございます。
 和歌山市といたしましても、重要性を十分認識して検討を進めていくということでございますので、引き続いて和歌山市と連携し、景観施策を推進してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 危機管理監森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○危機管理監(森 崇君) 新型インフルエンザのパンデミック対策についてでございますが、国の新型インフルエンザ対策行動計画が先月の17日に改定されたことに伴いまして、本県においても行動計画を、全部局参加の上、現在改定作業中でありまして、御指摘の行政のBCP、いわゆる県庁版業務継続計画につきましても、職員が感染して出勤できないというようなことがあっても常に行政運営に支障を来さぬよう、行動計画とあわせて検討を進めてまいります。
 次に、予防についてでございます。外出後の手洗い、マスク着用の励行、せきエチケットの習慣化など、県民にお願いする感染予防策につきましては、県のホームページなどにも掲載しております。まず、県民の皆様に新型インフルエンザについて正しい知識を持っていただきますよう、今後各種の訓練の実施やセミナーの開催などのほか、国の行う広報ともあわせてさまざまな媒体を利用して、県民の皆様への知識の普及に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 新型インフルエンザのパンデミック対策として、医療体制の現状につきましてお答え申し上げます。
 平成17年12月に策定いたしました県新型インフルエンザ対策行動計画に基づき、新型インフルエンザ発生を想定して各保健所を中心とした訓練を実施するなどの対策を進めるとともに、抗インフルエンザ薬につきましては、既に平成18年度、19年度でタミフルを8万8000人分備蓄してございます。
 平成20年度におきましては、発生早期から入院患者を受け入れる医療機関に対する人工呼吸器、個人防護具整備への補助を行うとともに、感染拡大の防止を図る外来診療に従事する医療スタッフ及び患者の疫学調査や移送などに従事する保健所職員等の感染を防止するための個人防護具の整備を進めているところでございます。
 また、平成21年度におきましては、発生時に増加が予測されますインフルエンザウイルス検査に迅速に対応するため必要な検査機器の整備を図るとともに、3年計画で国の目標に沿い、抗インフルエンザウイルス薬のタミフルを9万8000人分、リレンザを1万400人分、追加あるいは新たに備蓄するなどの対策を進めてまいります。
 次に、自殺対策の現状についてでございます。
 自殺予防につきましては、自殺の原因が複合的で多岐にわたることから即効性のある施策はないと言われてございますが、全国で3万人を超え、本県でも毎年200人を超える自殺者がいるという現状を踏まえ、中長期的視野に立った継続的な自殺対策を実施する必要があるものと考えてございます。
 このため、県では、平成19年12月に自殺対策連絡協議会を設置し、情報交換を行うとともに、いただいた意見などを踏まえ、うつ病の予防、早期発見等の普及啓発を初め、こころの健康相談統一ダイヤルの設定や多重債務者相談と合同でのこころの健康無料相談会の開催、また自死遺族支援のための相談や講演会を実施してございます。
 今後は、自殺は相談・支援体制の整備など社会的な取り組みとうつ病などの精神疾患への適切な治療により防ぐことができることや、自殺のサインに気づき、自殺予防につなげていくことを広く県民に啓発するとともに、官民の各種相談窓口や関係機関などとの連携を図りながら総合的に取り組んでまいりたいと、そのように考えてございます。
○議長(大沢広太郎君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 県立高等学校授業料の徴収方法についてお答えいたします。
 県立高等学校の授業料は、和歌山県使用料及び手数料条例によりまして、年額をもって定められてございます。現在、全日制では授業料を10期に分けて納付をいただいておりますが、これは昭和63年度に授業料の口座振替を導入した際に、負担の平準化を図るために、それまで4期に分けて納付いただいておりましたものを10期としたものでございます。
 また、歳入の年度内確保の観点から最終の納期限を1月としておりまして、そのため1月納付分のみ他の月と比べて金額が高くなっておりますが、必要な場合には、これまで分割納付による対応などを行ってきたところでございます。
 議員御指摘の件につきましては、保護者負担の平準化と歳入の年度内確保等を勘案しながら、回数をふやす方向でさまざまな角度から検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
 26番中 拓哉君。
○中 拓哉君 知事初め皆さんの御答弁いただきまして、ありがとうございました。再質問はこの公共調達のことと入札公告のミスについていたします。
 記者会見の引用につきましては、これは当然前後あります。知事さんのおっしゃることもそうやと思います。ただ、引用したら長なるということと、私の問題意識で見ててそういう言葉を拾うから、こんなことになりましたんで、その点は申し添えます。
 まず、公共調達のほうですけども、その、知事のおっしゃるの、わかるんですけども、私、いろいろ県土整備部が言うてくれて勉強するんですけども、総合評価方式で事前に業者選定してることが能力評価もしてるよと、こういう話ですよね。品確法に求められてるところは、既にその業者の評価制度の中に入ってるから、今回外しても品確法で求める品質の確保は保持できるという、そういうことなんです。
 それなりに手引書も持ってきてくれるんですけど、どう読んでも結局2つ解釈できて、それでも間違いないだろうとか、否定するには及ばないだろうとか、そういう表現なんですね。されるものがあるとかいうて、この手引書でも。だから決定的にそうだということは、どこまでも法律は書いてないと思うんで、やっぱり法律の趣旨からしたら、その都度、その都度、この総合評価でやるというんであれば──点数のニュアンスのいろんな加え方の重点的なことは裁量あると思いますけども──どうかなと思いました。
 なお、根本的に、知事の答弁もそれなりに説得力は持ちますけども、じゃこの郷原さんが提案された制度を受けて、透明性に努めるとか、あるいは不服があったときは申し立てる制度をつくるとか、こうおっしゃってくれてますけども、実際それを受けて公共調達制度推進委員会、これは県の内部で偉いさん方が入ってやってるわけですけども、そこの議事録見ましても、先ほどの重大な12月の変更と2月の変更点については触れてくれてないんですよね。
 だから、いろんな情報を提供しなさいと、ホームページ載せていきますよと言っておきながら、この公共制度の推進委員会の中での──設置したときは改善案等を検討していきますと、必要に応じて、この委員会でやっていきますということなんです。ほんで委員会でやったことをそれなりに、例えば10社やったのをふやすとか、細かな制度についてはその都度書いてくれてますけども、肝心のこの総合評価方式における実績評価を廃止するとか、バランスを適正化したとか、さっきの1億円から後のクローズにしたとか、そういった大事なところは何らこの公共調達制度推進委員会の議事録を見てもわかりません。
 これは業者さんはもう常に関心持って見てます。この制度にのって、この制度が発表されて、自分とこでも技術者を訓練せなあかん、社員にも教育せなあかん、また1個仕事とれたらそれをちゃんと表彰してもらうように頑張ろうと思たら、やっぱりある面もうけに走らんと、技術者にも心配せんでええよと、ええもん使えよと、下請もええとこ使えよと、こうなるわけですよ。そう思てどんどん準備してる中で、その中で大きな変更があると、「一体何よ」ということになりますし、それは一体どこで決めたんですかと。県のほうでは、新公共調達制度推進委員会というちゃんとした組織があるじゃないですかと。ここには必要に応じて検討する、改善策検討するって書いてるじゃないですかと。またホームページにも載せてるじゃないですかと。
 しかし、先ほど申し上げました12月の変更であるとか2月の変更については載ってないという事実がありますので、そこらはやっぱり決めた以上は公開するということで、議事録のだれが何をしゃべったっていいますと角立ちますけども、結論についてはその都度載せていって。それが記者会見より早いか遅いかということはあると思いますよ。しかし、記者会見終わった時点できちんと載せるべきではないか、この点をお尋ねします。
 もう1点、入札のミスですけども、業者に迷惑かけたことと工事がおくれて県民に迷惑かけたことを申しわけなく、おわびしてくれたんで、それは了とします。
 しかし、前段の中で、自然色やと思て積算してて、それを明記を忘れたと、それを業者が黒いもんやと思って入札したと、こういうことですね。しかし、あの表現では、どこまでいっても黒い舗装でしか解釈できませんし、それを勝手に思て、おまえとこが入札したんやないか、単価見てるやないか、こういう形で責めれるもんでしょうかということを私は申し上げてるんです。
 県だってミスを犯すんですから、ミスを犯した場合に、先ほどの一方的な解除じゃなしに、ほかの条文では協議することもありますし、幾らでも話乗るわけですから、当然いろんな──乙側のミスの場合はいっぱい書いてくれてますよ。暴力団と関係あったとか、公取に上げられたとか。県側のミスのことがいっこも担保されてないんですね。だから片務性があるんじゃないかと私自身は思いますけども、それがもし条文まで変えれないんであれば、運用の中でやはりもっと誠実に協議してやっていったらええと思います。
 ほんでまた損害額を言うてくれと、こうですわな。言うていくとこ、どこですかといったら、結局、紛争審査会なんですね。紛争審査会といったら県土整備部なんですね、事務局が。何か第三者という中立性疑いますわね。第三者機関であれば行けますよ、業者も。しかし、これからも仕事もらわんなん、あるいはおつき合いしていかんなんところの部署にこの問題を持ち込んで、ほんで判断していただくというのは、いかにも不自然じゃないかな、このように思います。
 県が瑕疵あったときというか、県がミスした場合の改善策と、この公共制度のいろんな──折々に変わるのは結構やと思います。いろんな意見入れて変えていくのは、決して反対するものではありませんけども、そういうときはきちんとリリースというか、皆さんにわかるように周知する制度をつくるべきじゃありませんか。でないと、いつどこでだれが決めたかわからんまんまになってしまいますよ。この点について御答弁いただけたらと思います。
○議長(大沢広太郎君) 以上の再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、第1点の手続の問題について申し上げたいと思います。
 議員御指摘の委員会というのは、技監を中心とするような事務的な組織をつくっています。これはいろんな問題が出てきますので、それを1人1人の議論じゃなくて、全体まとめて議論してさばこうということでありまして、この技監以下で議論されたものについても、実は最終的にこうしようというときには、全部私のところに参ります。
 今回の問題は、どうもこの話のところに上がってきたやつもあるんだけれども、どうも上がってこなかったやつでも大問題が隠されているぞというように、我々、それから県土整備、もちろん民間も含めてみんな思いまして、それで実は受け身で我々が対処するだけじゃなくて、積極的に、例えば業界団体と1回目の改正のときは、11月25日に発表した改定の話は、どうもダンピング、低入札が何か多いと、これは何とかしてもらわないかんので話し合いをしようといって、業界団体と話し合いを、むしろ我々がお招きしてやりまして、それからそれをもとにして、もっといろんなところの議論も振興局ごとに聞いてもらって、それで実は決めたわけでございます。
 もちろん、そのプロセスでは、現在御指摘の委員会メンバーであるところの技監なども中心人物として参加しているわけで、そのときには一方の意見だけ聞いてると副作用があると大変ですから、そういうことについてもよく議論して決めました。
 それから、それでもどうもまだ残された課題がありそうだと。どうもその総合評価の扱いについて、何か例えば業界を呼んで議論をしたときも、あんまりぴしっとした理屈になったような話が業界の方も必ずしもできなかったんですね。それをそれで放置しちゃいかんから、改めて振興局ごとに、もう1回議論を聞けということにいたしまして、自分でもその他さまざまな方々の意見も聞かしていただきました。
 そこで、総合評価方式について一部改定を行ったと。これは1月から2月にかけてずっとやりました。それで2月18日の改定に至ったと、こういうことなんでございます。
 したがって、必ずしも我々がつくっているその技監以下の委員会に上がってこなかったけれども、もっと大きな問題がたくさん隠されていたということがわかったんで、それはむしろ積極的、能動的に対処しました。これらの改定につきましては、もちろんだれがやったかということについては、私が知事、県の責任者として最終的に判断をしてやりました。それから、日ごろ出てきている問題についても最終的な責任者は私にあります。そういう意味では同じだと思っております。
 それから、こっそり隠してやったわけじゃなくて、大いに発表して、それからこういうふうになるぞということは、また振興局を通じて、今、大々的なPRをしてるところでありますので、決してこっそりやってるというわけではありません。
 それから、先ほどの個別の有田の事案でございますけれども、実は振興局のほうは、先ほど申し上げましたように、予定価格をつくるときに自然色舗装という前提で積算をしているわけでございます。これが例えば、もちろん契約の改定とか内容の変更とかいう規定もありますけれども、自然条件が変わったとか、もっと広くなったとか、そういうことであればそれは改定していくのは当然であります。しかしながら、今回いわば錯誤によって発生した話なんで、自然色舗装で算定したものをさらに例えば料金を上積みするというと、何かおかしいことになります。
 それからもう1つは、ひょっとしたらその落札された方以外の方は、自然色だと認定して、自分で観念して、実は自分で入札に参加している可能性があります。というのは、そこの部分以外、これは継続事業ですから、そこの部分以外は全部自然色舗装だったんです。だからそういう意味で、改定して上乗せをしてもう1回やってもらうというのはできなかった。そういうときに、いつまでももめていてもしようがないので、先ほど言いましたように契約は打ち切らしていただいて、損害はかけたはずですから、それは損害賠償をするということです。
 それから、先ほど言いました事務局は県土整備部だと、確かにそうでございますけれども、別に県土整備部の役人が問答無用などと言って決める話じゃなくて、堂々と公表されている第三者が決めてくださる。それから、そこのところに入っていくかどうかは、それは当事者同士が合意して入っていけるわけで、そこが信用できないということであれば、例えば別の方法を選択することも企業の方はできると思っております。
 以上です。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再々質問を許します。
 中 拓哉君。
○中 拓哉君 最後の1点だけ、ちゃんとほかは自然色のつもりで来たやないかというようなことは、これはちょっと僕は強弁過ぎると思いますよ。やはり仕様書を見てからしか、皆さん行かないんですから。現地見てこいというようなこと言い出したらまた問題ですし、一々仕様書を見て、入札公告見て、これで間違いありませんかと確認せんなん義務まで負わされること、事態になりますから、それはやっぱり県がミスしたんやから、ミスを素直に認めて、もっと最初の段階から接遇というか折衝を丹念にすべきだと思いますので、その点、強く申し入れておきます。
 以上で、私の質問を終わります。
○議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中拓哉君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 5番吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 最終日の最後ということで、皆さんに感謝を申し上げます。5日間の熱戦、皆さん大変お疲れのことと思いますが、あとしばらくよろしくお願いいたします。
 まず、地方分権について質問をさせていただきます。
 きのうも地方分権、山本茂博議員、それから藤本眞利子先生、いい質問をされておったわけなんですけども、それで私のほうからは、このお二人と質問は1点目、同じような質問なんですけども、少し切り口を変えて質問をしてみたいなと、そんなに思います。
 それで、この地方分権、ちょうど私が県議会に当選さしていただいたのは平成3年で、このころからようやくその地方分権という言葉が盛んになってきたわけであります。初め聞いたときには、何と新鮮なすばらしい言葉だなと。ちょうど薩長連合がにしきの御旗を得たような、そういう感覚でこれから地方の闘いがひょっとしたら勝てるんではないかと、そういう響きがあったように思うわけであります。
 そこで、平成7年に地方分権推進法ができて、地方にできることは地方にということで、きのうの知事の答弁でも、まず国が地方で──国がまず国ができることをはっきりしなさいという意味のことがあったわけなんですけども、地方分権というのはまさに私はそのとおりだと思うんです。国が国でできること、国でしかできないことをはっきりしなきゃいけないなと、そういうふうに思います。
 例えば、国は外交、防衛、そしてまた国家国民を守る、領土を守る、主権を守る、そういった観点で一生懸命取り組まなきゃいけないという思いであります。地方にできることは地方でやってもらう、これは地方分権の私は一番最初の理念であり、それが今後とも一番大切な事柄だと思うわけであります。
 そういうことで、地方分権を振り返ってみますと、第1期の地方分権、これは平成7年に地方分権推進法ができて、我々も一生懸命地方から声を立てて、国の機関委任事務ですね、これがなくなったと。本来地方の仕事、県の仕事は、その8割方が国の機関委任事務ということで、まあいわば国の下請ですね。だから余り国に対して物を申すことができない。それはやっぱりお金をもらうからできないわけですね。そういうことで、今までの行政がやってこられたということであります。
 そういう中で、どんどんどんどんこれは民の声、民の声ということで、地方分権というのは正義だということで、一応、国は機関委任事務もやめて、これからそういうふうに地方の声を聞いていこうという、そういう声になったわけであります。そういうことで総論賛成ということでスタートしたわけなんですけども、ちょうど私も議長をやってたころ、小泉内閣が盛んに三位一体の改革、これは税源の移譲、補助金、国庫負担金の見直しですね。それから地方交付税。そういう中で議論が盛んに行われたわけであります。
 地方にとっては余りいい結果が出てこないんで、知事会、地方6団体なんか、地方6団体といっても、これは知事、知事会ばっかりですね。余り議員の話聞いてくれないわけなんですけども、地方蔑視とか地方軽視、地方無視、そういう声で盛んに地方の声が出たわけなんですけども。その中で、まあまあ地方の意見を聞いてあげようかという声が出てきたわけですね、少しは。それが続いてくれればいいんですけども、そういうことを一応の評価として三位一体改革が終わったわけなんですけども。
 その中で、地方が求めたことを余り聞いてくれなかったと。どんな補助金なくすかというと、生活保護の補助金を地方へ渡そうか、税源移譲しようかとか、それから義務教育の補助金を移譲しようかと、こんなんもうてもあんまりありがたないわけですね。そんなん右から左へっていう言葉聞きますけども、要るもんは要るわけなんですから、そんなん余りもうても仕方がない。
 そういうことで小泉改革も一応終わったわけなんですけども、結果は霞が関との闘い、知事も官僚してて、官僚との闘いといえば悪いわけなんですけども、一応官僚との闘いに負けて終わったわけであります。
 それで、これから第2期の分権改革というのが始まるわけです、第2期の分権改革。それは知事がおっしゃったように、国ができることは国、地方ができることは地方ということ、そういう理念の中で行われるわけでありますけれども、そういうことで分権改革推進委員会から先般、第2期の勧告が出ました。
 勧告の理念、これ私、理念というのは一番大事だと思うんです。中身、その国の出先機関を排除するとか、それからいわゆる法令の義務づけとか枠づけとか、そんなものは私は後の問題で、それはいろいろ国との闘いがあると思うんですけれども、それよりも一番理念が私は大事だと思うんです。それで地方分権委員会の基本姿勢、いわゆる待ったなしの国と地方の役割分担、徹底的な見直し、これについて私は物すごく評価するところなんです。
 それで、3つの勧告が出されたわけであります。1つは、これはもう画期的──画期的というより当然行われなきゃいけないわけなんですけども、自治行政権、自治立法権、自治財政権を有する完全な地方政府の確立、これが出たわけなんです。それで2つ目は、地方の条例制定権の拡大。ほんで3番目には、これは当然なことなんですけども、法制的な観点から地方自治体の自主性、自由度を拡大する。そういうことを拡大していって、みずからの責任と、いわゆる自治体が一生懸命取り組むという姿勢を強調するということであります。
 そういうことで、今回のメーンテーマ、第1番目に出てきた地方政府の確立、これも私はすばらしい響きのある、一番我々がこれから地方分権で取り組まなきゃいけない重要な課題ということであると思うんです。それで、本格的な地方分権が去年の5月から始まったような気がするわけなんです。
 そこで、知事にまずお伺いいたします。
 知事は中央官僚ということで、長い間国家を支えてこられて知事になったわけなんですけれども、私はその地方分権というのを考えた場合に、みんなが地方から進めなきゃいけないわけなんですけども、官僚から知事になったそういう仁坂知事のような方が、そういう人の動向、言動、すべてを私は見てると思うんです。中央のことを知り尽くした知事がどういうような格好で地方分権に真剣に県民の代表として取り組むかどうかというのを、私は見てると思うんです。そういう観点から、第2期の分権改革の評価も含めて、本当の真の地方分権というのはどういうものかということを知事にまずお伺いをしたいと思います。
 そして次に、昨年の9月議会について知事がおっしゃったことの中に、関西広域連合の参加について、早ければこの2月議会──今ですね──に議員の皆さん方から御意見をいただきたいと、そういう発言がありました。近畿2府8県と政令指定都市、そして経済団体で構成する関西広域機構において、その広域連合について今論議がされておるわけであります。
 その中で、関西広域機構(KU)が3点の申し合わせを先般されました。第1点目は、これから骨格案を決めて、これまでの検討段階から実施に移していこうじゃないかと、そういうことが第1点。それから第2点は、具体的に組織とか財政あるいは制度、それを進めていこうじゃないかということであります。これはもちろん、議会や市町村あるいは住民の意見を十分聞いて進めていこうじゃないかということであります。第3点目については、早い時期に、2009年以降のできるだけ早い時期に、この自治法に決められた関西広域連合の設立について、議会の承認を得て、協議を経て、その参加について結論を出してほしいと、こういうことであります。
 こういうことの3点の中で、これから本格的な論議が始まるわけでありますけれども、地方政府、私は地方政府というのは道州制のようなものを想定するわけなんですけども、これを実現するにはまだまだ時間がかかりますね。そういうことで、非常に時間がかかる中で、実現可能なこの関西広域連合、それを突破口にして本当の地方分権を確立するということであれば、私はその関西広域連合に参加をして、和歌山県の、いや、地方からの真の地方分権の突破口にしてみたいと、そういうふうに思いますので、ひとつ知事のほうから、この地方分権、関西広域連合について、どういうふうに考えておられるのかをひとつ御答弁を願いたいと思います。
 それで、次にこの関西広域連合というような地方分権について、実は県民がどういうふうに考えておられるのかと。それを我々議会とも双方が、これ県民の意見集約、そしてまた県民が本当にこれを望んでるのかどうか、有益性があるのかどうか、必要性があるのかどうかというものを、我々は意見を集約する責任があると思うわけであります。
 そういうことで、知事はどう考えておられるのかということを、今後議会と情報を共有して、早急にその意見を確かめる必要があると思いますので、その点をどう考えているのか、お伺いをしたいと思います。これで地方分権について終わらせていただきます。
 次に、観光振興についてお尋ねいたします。
 昨年制定された観光圏整備法は、広域的な観光地の連携を促進し、地域の幅広い産業の活性化や交流人口の拡大を図っていくとしております。このような中で、観光振興というのは、私は県単独では限界があると思うわけであります。関西というふうな広域的な中で観光振興を図ることは非常に重要な視点の1つであろうと思うわけでありますが、その点について知事はどういうふうに考えているのか、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、和歌山県は観光振興、観光立県というものを宣言しておりますが、なぜ観光立県を目指しているのか、これも県民に周知する必要があると思うわけであります。その上で、県民がこの観光振興に参画して、県行政においても全庁体制で、行政全分野について観光振興に取り組む必要があると思うわけであります。
 「観光」という語源についてでありますけれども、きょうは易経の話もされておりましたけれども、これは中国の四書五経の中に出てくる易経の中で「観国之光」、こういうのが語源であるそうであります。というのは、そもそもその意味は、国の文化とか歴史、そしてまた風俗に光を当てて、さまざまなことを観察して、そしてそのみずからの地域のことを自信と誇りを持って、自分たちの地域の伝統文化や生活文化、そういったものをあらゆるところに発信するのが観光の本来の意義であるということであります。
 そういうことで、いわゆる行政全分野の中で本当に光を当てなけりゃいけない課題は何かということを観察するということが、まず1つの基本であろうかと思います。観光立県に対応するため、私は土木あるいはまた農林、福祉、教育、県行政のすべての分野で、観光振興のために今何が一番課題であるかということを、優先課題が何かということを見きわめて、そしてそれに観光振興のために行政各分野が優先的に取り組まなければ、簡単に観光立県ということを口にすることが私はできないと、そういうことは思うわけであります。そういう意味で、全庁的にどういうふうに取り組んでいっていいかということを知事のお考えをお聞かせ願いたいなと、そんなに思います。
 次に、各部長全員にお聞きしたいわけでありますけれども、そんなわけにいかないと、そういうことで、きょうはまず県土整備部長、観光と土木行政、これは密接な関係があると思うわけであります。その観光ルートの道であるとか、それから例えば和歌山県の道を走ってみたら、私も感じることなんですけども、山ののり面なんかモルタルで塗って、よそから来たらこれ何と殺伐としてるなというところがたくさんあると思うわけであります。そういうことを観光立県ということを考えれば、こういうことをちょっとコストが高くなっても改めていかなきゃいけないなと、私はそんなに思うわけであります。
 そういう観点から、県土整備部長に対して、この観光資源と道づくりとか、そういうことについてお聞かせ願いたいなと、そんなに思います。
 次に、農林水産部長に、これは我々の、下林農林水産部長、この方は私は常々思うわけなんですけども、自分の頭で和歌山県の農政を考えられる、今までにない唯一の農林部長だと思うんです。私はそう思ってるんです。そういう部長について、観光行政と農林行政のかかわりについて、ひとつ御教授願いたいなと、そんなに思います。
 それから、実は私は今から、一番きょうは聞きたかったことについてお聞かせ願いたいなと。こういうことで観光振興について質問させていただいたわけなんですけれども、実は平成27年に第70回の国体が和歌山県で開催されます。いろいろ資料をいただくところによると、いろんな競技が県内各地で開催されます。その県内の観光情報が県外に、全国に発信できる絶好のチャンスであります。
 ところが、射撃、ライフル射撃ですね。それからクレー射撃とか、それから──ちょっと忘れましたけど、ピストルのがあるわけなんですけども、それが、そういうのと含めて何種目か県外で開催されるということを聞いております。検討されてるということであります。こんなばかなことがあるのかと。まだ6年も先のことをいち早く県外開催というようなことはけしからんなと、そう思うわけであります。
 それで私は、これはきょうは教育長にたまたま、教育長に通告して答弁をいただくわけなんですけども、これは本来、政治家である知事に聞かなきゃいけないなと、そんなに思ってるんです。これは知事に後日またお尋ねするわけなんですけれども、知事が政治的な決断をされて、それに取り組むということについて、皆さんが非常に望んでおられる。きょうも傍聴席にたくさんの方が来られてるわけなんですけれども、猟友会の方とかライフル協会の方が来ておられます。猟友会の方は、12月議会で井出議員が、いわゆる有害鳥獣対策に法律が変わって、射撃を練習しなければ鉄砲の許可をもらえないと、そういう観点で質問をされておりました。まさにそういう有害対策というのは、和歌山県が抱えた本当に難しい問題であるわけなんですけども、すぐに解決できない問題であるわけであるけれども、猟友会とかそういう方々に御協力を願っているわけであります。
 そういう人たちの射撃練習という場を和歌山県が提供するということを井出議員が質問したわけでありますけども、そういう観点等も含めて、これは一教育委員会が考えるということじゃなくして、和歌山県行政全体の中で知事が最終決断を出さなきゃいけないなと私は思ってるわけでありますけれども、きょうはそういうことで、教育委員会の国体の県内開催についての御答弁を願いたいなと、そんなに思います。それにあわせて、前半の観光立県と教育委員会とのかかわりについて、さまざまな観点があろうかと思いますので、お尋ねいたします。
 次に、福祉施設についてお尋ねいたします。
 福祉施設、実は私は県職員の時代に社会福祉法人の和歌山県の担当をしたことがあるわけであります。それで、向井さんの施設も監査に行かしてもらったことがあります。マツタケの時期ばっかりなぜ来るんなということを言われたわけなんですけど、そうじゃないんです。食欲の秋に入所者にどんな食事を出してるかということを行かしてもらったわけであります。
 そういうことはとにかくとして、最近思うことは、昭和50年代に、特に老人ホームなんかは急激にできたわけなんです。それで、今も入所者に間に合わないという状況であるわけなんですけども、私はその経験しておった措置費の時代には、監査なんかに行って一番最初に聞いたのは、社会福祉施設の中で従事者──職員ですね──職員の給料はどうなってますかと、低くありませんかと、経験を十分考慮されてますかと、給料表はどこの給料表を使ってますかと、そういうことを聞いて、職員の処遇改善について随分配慮した、配慮というよりも監査をしました。
 それで、そういう結果、福祉の職場、従事者、社会福祉従事者というのは、ますます魅力ある職場になってきたように思っておりました。
 ところが、最近、私は、これ最近というより介護保険ができて8年になるんですけども、最近老人ホームとかそこへ行ったら、非常に職員の給与が低い。時間、パートのアルバイト料が低い。それで、従事者に対して十分な配慮ができていないように思うわけであります。
 そこで、当然今も県は社会福祉法人の経営しておる福祉施設に監査とかに行っておられると思うんですけども、そういった点を余り念頭に置いて監査をしておらないんではないかと、そういう危惧を持っております。また、職員、社会福祉施設に行って聞いてみても、そういうところについて余り指導されておらないという意見も聞いております。その点について、福祉保健部長に県が責任があるんかどうか、監査体制は十分なされてるかということについて見解をお聞かせ願いたいと思います。
 そしてまた、これは社会福祉法人というのは、私はちょっと違うと思うんですね。昔、老人ホームつくるときに、実はパチンコ屋にしようか、社会福祉法人つくろうか迷われた方があるということを聞いたわけなんですけど、それぐらいの認識であったわけなんですけれども、しかし社会福祉法人というのは公益性があると思うんです。ただ単にお金もうけするために施設を運営しておるということであれば困るわけであります。そういうことで、社会福祉法人の施設の経営者に対して県はどういうふうに指導しておるかということ、その点について福祉保健部長にお尋ねしたいと思います。
 次に、新行財政改革推進プランの中で、9つの福祉施設が平成23年に民間譲渡にするということを書いておりました。これ、平成18年から指定管理者において運営されておるわけでありますが、私はその、時代の流れで公営施設を指定管理するというのはいたし方がないなと思うわけでありますが、1つ心配することがあるのでお尋ねいたしたいと思います。
 これらの施設、社会福祉事業団が今指定管理ということでやっておるわけでありますけれども、長い間、県立施設ということで、和歌山県が公営施設を運営してきたわけであります。そういう中で民間施設に譲渡するということになれば、本来の目的である、県の使命である、いわゆる施設の先進性、そしてまた指導的役割が損なわれる、そういう危惧があるわけであります。何もコストだけ問題であるわけではないわけであります。そういう点について、これからも、今まで県の施設として担ってきた先進性、あるいはまたこの指導的役割が損なわれないような、いわゆる民間譲渡になるんかどうかという点について、お聞かせ願いたいと思います。
 最後に、知事にお尋ねしたいと思います。
 天皇陛下御即位20周年の奉祝行事への参加についてお尋ねいたします。
 ことし平成21年は、今上陛下が御即位されてからちょうど20年に当たります。この間、天皇陛下は全国47都道府県をくまなく御訪問になり、またさきの大戦で災禍をこうむった方々にも深い慈しみの御心を寄せてこられました。原爆の惨禍をこうむった長崎、唯一地上戦が行われた沖縄、また陛下の強い御希望で硫黄島、サイパン島へも行幸が実現いたしました。天皇皇后両陛下の鎮魂と平和への祈りは、国民に大きな感動を与えました。
 今、全国各地で御即位20周年の記念奉祝行事が行われております。私たち和歌山県民もこの御即位20周年を記念して、県民の多くが参加できる奉祝の行事を行いたいと思うものでありますが、県知事としてこのような行事が開催されれば県民の代表として参加されるかどうか、お聞かせください。
 以上で、私の質問を終了させていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの吉井和視君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、地方分権でございますけども、私は、地域に住んでいる人がその意欲と知恵と能力、そして地域にある資源を生かして、みずからの決定と責任のもとに地域づくりを行えるようになることが地方分権の理想的な姿だと考えております。
 そのためには、まず国が責任を持つべき分野をみずから明らかにして、それ以外の分野についてはすべて地方が国からの関与を受けることなく主体的に責任を持って判断できるような仕組みをつくることが必要だと思います。
 この逆は、例えば補助金をあげるからと言って鼻面を引き回すとか、こういうことについては指導しているようなしないような、責任のないようなサジェストで地方を、右に向け右というようなことをするというようなことはいかんということではないかというふうに思います。
 ただ、この場合に、財力のない、和歌山県もそうでありますけれども、地方が切り捨てられないようにしないといけません。どの地域に暮らしていても、日本国民としてのナショナルミニマムがちゃんと守られるように、地方の権限と責任に見合った、ちゃんとした財源をきちんと保障することが不可欠であると考えております。
 こういった観点から、地方分権改革推進委員会の、吉井議員御指摘の基本姿勢は是とするものでございます。分権委員会には、次の第3次勧告に向けて、この基本的な姿勢に沿って、どの地域に暮らしていても勇気と希望が持てるような、そういう豊かな自治が実現できるように、この国のあり方について根本的な議論を行っていただきたいと考えております。
 次に、関西広域連合についての御答弁でございます。
 関西広域連合設立の目的の1つは、議員御指摘のとおり、国からの事務権限の移譲の受け皿としての役割を担うこともございます。さらにもう1つ重要な目的は、東南海・南海地震に備えた広域防災対策、広域的な緊急医療連携、あるいは交通物流基盤の戦略的整備のように、県境を越えて、県域を越えて取り組む必要のある課題に関西が一丸となって取り組む体制をつくることであると考えております。
 私は、関西の各地域が豊かな個性を持ち、それを連携させながらスケールを広げ、首都圏と異なる多様な価値が集積する日本のもう1つの中心核として関西圏が発展していくことが大事であり、それが本県が発展していくためにも不可欠であるというふうに考えております。したがって、積極的に議論に参画してまいりました。
 その中身をちょっと御紹介いたしますと、私は議論のための議論、あるいは議論が躍るいつまでもというのはあんまり好ましくないと思います。したがって、抽象的なことを言っているよりも、できるものから、部分的でもいいからできるものから具体的にどんどん進めていこうではないかと、実はそういう主張を全体の検討会議の中ではいたしておりました。
 ただ、例えば1つ1つの問題については、なかなかすぐに踏み切れないというような意見が各県ともあるようであります。そこで現在では、兵庫県知事が中心になって、その検討のスキームをきちんとつくるということからまず出発しようというような意見が主流になりまして、私もいつまでも自説ばっかり言っておりますと、かえって全体を進ませないことになるというおそれもありますので、したがって小異を捨てて大同について協力をしているところでございます。
 実は、その考え方のもとに、昨年の9月議会では、一番早いケースでは本2月議会で、この議会で本県の広域連合の参加について御判断いただくように皆さんに御提案申し上げる可能性があると申し上げたんでございますが、残念ながら、そのような方法論というか検討のスキームみたいなことで発足するということについてもまだ反対もありまして、それでなかなかまとまっておりません。現時点では、広域連合の参加の是非を御判断いただくための材料が残念ながらございません。
 したがいまして、情報提供はこれからも議会の皆さんにはどんどん申し上げていこうと、その都度の状況を御報告申し上げようと思っておりますけれども、議題としては今回は提出できませんでした。元気な関西圏をつくるという観点から、基本的には関西広域連合に参加したいと私は思っておりますので、早急に関西広域連合で処理する事務、組織、財政などの具体的な制度設計の案を取りまとめまして、広域連合設立の効果を、また県民の皆様、議会の皆様にお示しいたしまして御意見をいただき、さらに議論を深めてまいりたいと、そういうふうに考えております。
 次に、観光でございます。とりわけ関西広域圏での観光振興についてでございます。議員御指摘のとおりでありまして、私もその重要性は強く認識しているところでございます。
 この関西には、古くからの歴史文化、すばらしい自然景観や温泉、多彩な食文化、発達した都市機能など、我が国が世界に誇るすべての観光資源が集約されておりまして、これらをうまく上手に組み合わせることによって、魅力がさらに増し、一層の誘客が図れるんじゃないかというふうに考えております。
 近年、関西を1つのエリアと考えまして、モデル周遊ルートを策定したり、あるいは共同誘客プロモーションの実施などの取り組みを始めておりますけれども、関西の新たな観光資源を発掘し、その魅力を余すところなく発信しているとはまだまだ言いがたい状況にあると、正直言って思います。今後、関西の各府県や企業関係団体と共同での取り組みを一層進めてまいりたいと考えております。
 次に、観光立県に向けた基本的な考え方でございますが、観光は単に宿泊業や飲食業あるいは運輸業などの直接に関係する分野だけではなくて、農林水産業や商工業などの幅広い産業、さらには自然保護や文化の継承など、さまざまな分野と複合的に関連する、言ってみますと総合産業であるというふうに思います。そういう意味で、県経済を持続的かつスパイラル的に発展させる、あるいは地域の活性化をもたらす、そういう大きな原動力となると考えております。
 こうしたことから、観光の振興については元気な和歌山を実現するための最重要課題の1つと思いまして、農林水産業、商工業の発展、あるいは誘客の基盤となる交通体系の整備など、全体的に全庁挙げての取り組みを総合的に進めてまいりたいと考えております。
 次に、議員御質問の和歌山での天皇陛下御即位20年の奉祝行事への参加でございますが、天皇陛下におかれましては、御即位20年を迎えられましたことを心からお喜び申し上げたいと考えます。平成の御代は、平和の中にも激動の20年というふうになりましたけれども、国民の生活を案じられました天皇皇后両陛下のお姿とお言葉に和歌山県民が励まされ、勇気をいただきましたことを深く感謝しております。
 天皇陛下御即位20年のお祝いと今後の御健勝への祈りを込めまして、知事としてそういう催しには参加をさしていただきまして、県民の皆様とともにお喜び申し上げたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 観光立県と土木行政のかかわりでございます。
 観光立県を目指す本県にとりまして、観光地への安全性、快適性を確保したアクセス道路の整備は必要不可欠でありまして、幹線道路網の整備について重点的に取り組んでいるところでございます。
 また、和歌山県らしい良好な景観の形成を図るために、昨年の4月に和歌山県景観条例を制定するとともに、本年1月には景観計画を施行し、その中で特に重要な地域として中辺路周辺を特定景観形成地域として指定したところでございます。
 今後、高野町が実施する景観計画とあわせまして、隣接するかつらぎ町、九度山町の町石道周辺についても指定に向け検討を行っていく予定としております。
 道路整備に当たりましては、議員御指摘の道路から見えるのり面など、良好な景観を損なうことのないよう、周辺地域のイメージや景観の一貫性に配慮しながら整備を進め、さらに、撮影スポットのコンテストなどの実施、和歌山県のすばらしい景観をPRし、立ち寄っていただく取り組みも行っているところです。
 県土整備部としては、今後とも世界遺産を初めとする豊富な観光資源を生かした観光立県を推進するため、にぎわいと交流を支える交通網の整備、景観に配慮した質の高い社会資本の整備に取り組んでまいる所存です。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 観光立県とのかかわりと今後の方針についてでございますが、観光立県を目指す中で、地域にある農林水産物や自然景観などを観光資源として活用し、農山漁村の活性化を図っていくことが重要であるというふうに考えてございます。
 農林水産部といたしましては、これまで都市と農村地域の交流を促進する観点から、新鮮あるいは安全・安心を売り物にいたしまして、めっけもん広場とかどんどん広場に代表されるような農産物の直売所や観光農園の整備を初めとして、田舎暮らしを体験する農林漁家民泊、また果物を使った加工品づくり、さらに漁船クルージングを組み合わせた体験型観光など、各地域で特色ある取り組みを推進してございます。
 本県には、海、山、川など豊かな自然、また多彩な食材、さらに歴史に培われた農林水産業がございまして、こうした地域資源を最大限に活用しながら、観光立県の受け皿づくりに積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 福祉施設についての御質問のうち、介護職員の処遇について県の管理指導及び社会福祉法人の施設経営のあり方における県の指導につきまして、一括してお答え申し上げます。
 介護職員の労働環境を含めた処遇の問題が、介護現場における喫緊の課題になっているものと認識してございます。このことはとりもなおさず、議員御指摘のように入所者へのサービスの質に深くかかわる問題であり、施設等での安全、快適な生活の前提となるものと考えてございます。
 こうしたことから、県におきましては、施設及び社会福祉法人それぞれに対して指導を行っておりますが、今年度の施設に対する重点指導項目として職員の処遇改善を掲げ、実地指導に取り組んできたところでございます。
 具体的には、介護職員の勤務条件への配慮や研修の充実、健康管理などについて指導改善を求めてきたところでございます。今後とも、これら施設で働く職員の処遇につきましては、介護現場における重要な課題として指導監督に努めてまいりたいと考えてございます。
 また、社会福祉法人につきましては、極めて公益性の高い法人として、良質かつ適切なサービスの安定的な提供はその責務と考えてございます。そのためにも、社会福祉施設の経営者に対して、法人監査に加え研修会などの場において、適法な事務処理とあわせて職員の賃金等を含め処遇面の向上を求めてまいりたいと、そのように考えてございます。
 次に、県立障害児・者の施設の民間譲渡に向けた方策等の検討についてでございますが、県立障害児・者施設では、入所者の地域生活への意向に積極的に取り組むとともに、処遇が困難な強度行動障害者や犯罪を犯すおそれのある障害者を受け入れるなど、障害福祉サービスにおける先導的な役割を果たしてきていると、そのように考えてございます。
 このため、県では、有識者及び障害団体関係者等による委員会を設置いたしまして、新行財政改革プランの実施方針に基づき、これらの県立施設の役割を引き続き果たせる民間譲渡を検討してまいりたいと、そのように考えてございます。
○議長(大沢広太郎君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 第70回国民体育大会の競技開催地に関する見解と今後の方針並びに観光立県と教育委員会とのかかわりについて、お答え申し上げます。
 昨年9月の国体準備委員会第2回総会におきまして、競技会場地市町村の第1次選定の承認をいただき、33競技が県内22市町村で開催することとなりましたが、一部競技が県外での開催となっております。第1次選定に当たりましては、すべての正式競技の県内での開催を目指したところでございますが、市町村の希望、大会運営への協力体制及び競技団体の意向調査を踏まえまして、可能な限り既存施設の有効活用に努めたところでございます。射撃競技を初め、開催地市町村や競技施設が未選定の競技につきましては、引き続き競技団体並びに市町村との協議を重ねてまいりたいというふうに考えてございます。
 議員御指摘の全国への観光情報の発信につきましては、国体準備委員会広報・県民運動専門委員会で検討を行うとともに、関係部局と連携を図り、国体関連のスポーツ情報の広報活動とあわせて、地域の特色を生かした歴史文化事業の推進など、紀の国わかやまの魅力を全国に発信していきたいと考えてございます。
 また、観光立県と教育委員会とのかかわりにつきましては、特に貴重な文化財の保存と活用を進めながら、世界遺産登録5周年を迎える紀伊山地の霊場と参詣道等の本県の持つ自然や文化のすばらしさを改めて発信していくことが、観光立県につながるものと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 以上で、吉井和視君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
 お諮りいたします。議案第1号から議案第16号までは、予算特別委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次に、議案第32号から議案第44号まで、議案第46号、議案第47号、議案第49号から議案第52号まで、議案第55号から議案第57号まで、議案第59号から議案第61号まで、議案第64号から議案第79号まで及び議案第81号から議案第99号までは、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
 なお、委員会の会場はお手元に配付しておりますので、御了承願います。
 この際、報告いたします。
 今期定例会の請願について取下願の提出があり、議長において承認いたしました。
 本日の日程から日程第4を削除いたします。
 お諮りいたします。3月12日、13日、16日及び17日は委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 御異議なしと認めます。よって、3月12日、13日、16日及び17日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、3月18日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時47分散会

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