平成21年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(藤山将材議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 20番藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕(拍手)
○藤山将材君 本日最後の質問者となりました。大変お疲れのこととは思いますが、どうぞよろしくお願いをいたします。
 議長のお許しをいただきましたので、以下5点にわたって当局のお考えをお聞かせいただきたく存じます。
 まず、1番目といたしまして、今後の環境施策、方向性として里山の環境保全についてお尋ねをいたします。
 紀州の里山は、ことしもまた新しい息吹を起こし、春の訪れが野山に満ちあふれているきょうこのごろであります。
 しかし、最近の野山を見渡しますと、冬でも青々と茂り、広葉樹が大変少なくなっていることにお気づきの方も多いと思います。原因として2つのことが考えられていますが、1つは国策として杉やヒノキが推奨され植林された人工樹林の山がたくさんあるということと、もう1つはシイの木やカシの木等の照葉樹の山や竹林が目立って多くなったということであります。特に里山は、かつて私たちの一番身近にあり、広葉樹や照葉樹は生活をしていく上でなくてはならない燃料として重要な役割を果たしてまいりました。また、竹も、物干しざおや建築現場の足場等、幅広い用途に利用され、古来から大切に維持管理がなされてまいりました。
 しかし、高度経済成長とともに、ガスや石油、電気等の普及により、いつしか里山は私たちの身近な存在でなくなってしまいました。便利になったことは大変結構なことでありますが、森林や里山を放置してきたがために最近いろいろな不都合が生じてきたわけですが、杉、ヒノキの山の現状については、もう既に皆様御承知のとおりであります。
 間伐されていない山は昼でも薄暗く、下草さえ生えておりません。表土がむき出しのありさまを見ますと、最近多発する集中豪雨に対応できないのではないかと心配すらしています。
 さらに、ことしは大変花粉の量が多いと言われておりますが、今や国民病と言われ、2000万人もの人を悩ます花粉症によって薬代などで個人にどれぐらい負担がかかり、治療費としてどれほどの税金が投入されているのかと考えますと、健康保険制度の心配もしてしまいます。
 また、冬になっても枯れない山が、民家や道路を覆うように生い茂り、公共施設の管理や民家の保全にも影響を与えています。
 加えて、放置林は山にすむ動物たちにとっても大変厳しい生活環境を強いることになりました。イノシシの好きなミミズは表土むき出しの山にはいなくなりました。猿の好きな木の実や果実を実らせる樹木もめっきり少なくなりました。シカも木の芽が食べられず、私たちの生活圏にまで出てきます。そして、皆、農家の人々が丹精込めてつくった農作物を食い荒らすのです。仕方なく獣害という名目で、これまた税金を使って駆除しなければならないというのが現状であります。
 人工樹林や山を整備することで、ある程度彼らの食料は確保され、また人家や田畑に近い里山を整備すれば警戒心の強い野生動物はおいそれと人間社会に出てこなくなると言われ、里山を整備することは間接的に農業を保護することにもなります。また、広葉樹は、針葉樹や照葉樹と比べるとCO2の吸収率ははるかに高いとされております。
 日本の森林再生率は世界一だと言われておりますが、山のすべての樹木を伐採したとしても、約30年でもとの山に復元するそうであります。しかし、御承知のとおり、人工樹林や里山の荒廃が近年目立ち、厳しい環境に置かれています。間伐や里山の整備に要する費用が捻出できないからであります。
 そこで、私たち自民党県議団は、県民の皆さんに広く森林の現状を御理解いただくために、一昨年、紀の国森づくり税を提案し、森林整備並びに啓発に努めてまいりました。結果、県民の皆様からお預かりをした基金の運用により一定の効果もあらわれていると理解はしていますが、さらに環境保全を推進していくには新たな取り組みも必要となってまいります。
 人工樹林は間伐することにより問題はある程度解決するのですが、一番身近な里山の環境保全と整備については、具体的な方策が示されているわけではありません。一定区画を計画的に伐採していくことで森林の持つ潜在能力が活性化されると理解できても、経費の面で実行することはなかなか困難な状況にあると思われます。
 備長炭に必要なウバメガシの山は需要があるので伐採をされていますが、ほかの樹木の山は放置されたままであります。
 先般、向井嘉久藏委員長の発案により、防災・環境問題等対策特別委員会で三重県の赤目の里を視察いたしました。ここでは、チップボイラーを導入することにより、森林整備をエネルギーに交換することで高い評価を得ている施設でありました。我が県の里山の環境保全もエネルギー転換やその他の利用方法について視野を広げ、モデルとなり得る事業があれば積極的に推奨していくことが必要と考えます。
 一例として、シイの木やカシの木のひき粉やチップがシイタケ用の菌床栽培用の原料になると、ある方からお聞きをいたしました。現在は高知県の業者からトン当たり2万2000円で購入しているそうですが、高知県の業者で採算が合うのであれば、本県でも採算が合うのではと考えます。
 そこで、まず環境生活部長にお尋ねをいたします。
 里山の環境について現状をどのように認識されていますか。また、里山の環境保全や利活用についての理解を深めていただくための広報活動や啓発活動についてどのような取り組みをされていますか。また、今後里山の環境整備について具体的な施策があればお答えください。
 次に、国内クレジット制度と環境ビジネスの可能性について知事にお伺いをいたします。
 京都議定書では、京都メカニズムとして、海外でCO2の削減やメタンガスの回収などに取り組んだ温室効果ガスの削減量はクレジットとして認められ、削減目標に達しない国への穴埋めとして排出権の売買に使用され、我が国も購入をしております。この京都クレジットの仕組みは、これまで海外だけの対象でしたが、この考え方を国内においても応用しようというのが経済産業省の主導する国内クレジット制度であります。
 現在、対象ガスは二酸化炭素だけですが、将来、同じ温室効果ガスのメタンも対象になれば多様な可能性が生まれます。例えば、食品工場や畜産農家、ごみ焼却施設、下水処理場、浄化槽などからメタンガスが発生しますが、このメタンガスをボイラーの熱源に転用するなど省エネ化を進めることで削減される分をCO2に換算して認証していただき、そして実際に認証されれば、自動車や家電、鉄鋼会社等の大企業にクレジットとして購入してもらうことが可能になります。
 静岡ガスが缶詰工場において重油ボイラー2台をガスボイラーへ燃料転換し、年間450トンのCO2削減分が認証されるなど、試行段階ではありますが、既に制度も動き始めているようであります。
 100年に一度とも言われる世界的な大不況の中、世界一と言われる日本の環境技術に大きな期待が寄せられ、同時に新たな景気対策として環境ビジネスが注目を集めております。和歌山においても、国内クレジット制度を各界各層でもっと理解をしてもらい、それぞれの分野でチャレンジしてもらえれば雇用の拡大や地場産業の育成につながると考えますが、この国内クレジット制度と環境ビジネスの可能性と今後の取り組みについて、知事の御所見をお伺いいたします。
 2番目に、和歌山ブランドの創出として、ダチョウ飼育の可能性についてお尋ねをいたします。
 昨年の9月定例会におきまして、和歌山ブランドについて、向井嘉久藏議員から紀州うめどりに関する御質問がございました。紀州梅のエキスを使った飼料で育てたブロイラー紀州うめどりが2008食肉産業展で最優秀賞を獲得しましたことは、ブランド創出に努力している和歌山県にとりまして大変な朗報でありました。
 先日の質問でも触れられておりましたが、一刻も早くこのブランドマークづくりみたいなことを取り組むように向井先生のほうからお話ございましたが、僕の行きつけの焼き鳥屋さんもうめどりを使用されておりました。大将にお聞きすると、紀州うめどりやけども、最優秀賞をとられたことを御存じでなかった。こういうこともありますので、ぜひとも、一過性のものにするんでなく、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに重ねて僕のほうからも要望させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 今回、私は新たなブランドづくりについて御質問をさしていただきたいと思います。
 皆さんは、インフルエンザ対策用のマスクにダチョウの卵が活用されているというお話を耳にされたことがあると思います。つい最近、テレビ番組でも話題に上がっておりました。
 では、そのダチョウの肉も最近脚光を浴びているということは御存じでございましょうか。ヨーロッパ等で安全な食肉としてダチョウの肉に志向が向いたのはこの10年から20年であるそうでありますが、日本でもこの10年ほどで食肉用の飼育場の数は約450カ所、約10倍に増加しているということであります。
 その中で新規参入がひときわ目立つのは東北地方で、中でも山形県の農村地帯の飼育熱が最も高まっているとのことでありますが、その理由は、ここ数年の急激な建設投資額の減少にもあるようです。売り上げが落ちていく中で、建設業者は苦肉の策として、比較的おとなしい性格で、簡単なさくさえあれば飼育できるダチョウに目をつけたわけです。
 山形県朝日町では、建設業者と行政が一体となってダチョウ飼育に取り組んでおります。建設業者が運営するオーストリッチ産業センターでは、廃校となった県立学校のグラウンドを無料で借り受け、飼育を行っております。飼料には地元名産であるリンゴの絞りかすを安く譲り受け、これを食べて育ったダチョウの肉を「アップル路鶏」としてブランド化する戦略に打って出ております。さらに、本格的なソーセージを自分たちの手でつくろうと、行政による支援のもと、従業員を食肉マイスターに弟子入りさせ、加工技術を習得させたり養殖飼育したダチョウのひなを農家に委託して育ててもらったりと、休耕地の活用や雇用の確保にもつながっているとのことであります。
 今まで注目されなかったダチョウを地域を挙げて飼育し、ブランド化することにより地域経済を活性化し、何とか過疎を食いとめようとの熱意に感心した次第であります。
 そこで、気候の適用範囲が広く、年じゅう通じて肉質が安定しているというこのダチョウについて新たな和歌山ブランドとすることができないか、研究してみてはいかがでしょうか。
 ダチョウは成長促進剤やホルモン剤を使わなくてもすくすく育つということですので、食の安全にもつながります。私も食べたことがありますが、鶏というよりも牛肉といった感じの割にあっさりとした味で、大変おいしくちょうだいしました。低カロリー、低コレステロールで鉄分も多いダチョウの肉は、健康志向の強い現在に必ず支持される食材であります。しかも、皮はオーストリッチとして高級かばん等の原料になり、捨てるところがありません。新たな和歌山の名産にすべく取り組むことについて提案し、農林水産部長に御意見をお伺いいたします。
 次に、3つ目として、道路整備についてお伺いします。
 先日、海南湯浅道路4車線化工事におきまして、長峰トンネルが貫通いたしました。4車線化を待ち望む者の1人として、あと少しと、大変うれしく感じた次第であります。
 ところが、NEXCOや国の考えでは、全面開通するのは平成24年度末とのことで、あと4年もかかることになっています。なぜそんなにかかるのかと思い、県当局にお聞きしたところ、用地取得も完了し、工事も進み、来年には新たに本線の2車線部分が完成し、その後現道の改良工事を行うということでありました。
 観光立県を目指す和歌山県にとって、週末はもとよりゴールデンウイークや夏休みなど観光シーズンの混雑は、リピーター確保の障害。一刻も早く解消すべき問題であります。また、平日の朝夕の自然渋滞を考えれば、少しでも早い開通が望まれます。ぜひ声を大にして国、NEXCOに対し工事の促進を訴えていくべきであると考えますが、知事の御所見をお聞かせください。
 2番目、また知事は、整備の進む京奈和自動車道について、平成27年に開催される和歌山国体までに開通させるとおっしゃっています。我々県民にとって頼もしい限りであります。
 ところが、我が地元の海南市に目を向けてみますと、国道370号の阪井バイパスがようやく一部で用地買収が開始されたものの、なかなか進捗が見られません。以前も申し上げましたが、龍部池を先頭に野上新橋までの2.4キロに及ぶ渋滞、地域住民にとってだけでなく、海南市と沖野々と阪井間の渋滞は耐えがたいものがあります。この渋滞の早期解消策には、阪井バイパスとともに、都市計画決定がなされた国道424号の木津バイパスに早期着工するとともに、阪井バイパスの東半分を先に進めることが一番と考え、平成18年9月定例会で一般質問をさしていただき、当時の県土整備部長からは、十分考えられる案であり検討するとの回答があったわけですが、その後、どうも動きがありません。
 これまでの質問で、高野山の世界遺産観光振興のために、国道370号の花坂から紀美野町にかけてを南高野街道と位置づけ、拡幅等整備を進めてはどうかとの提案に対しては、名称は高野西街道となりましたが、メロディーロードを整備するほか、拡幅工事などにも取り組んでいただいております。しかし、海南市の提案については「検討する」のままになっております。
 平成27年の国体では、地元であります紀美野町においてホッケー競技が開催されます。去る3月6日、紀美野町総合運動公園が立派に竣工いたしました。私も竣工式に参加し、多くの皆さんの御尽力に感謝しつつ、大変感慨深く思いました。実は、ホッケー競技も日高町に専用グラウンドがありますが、1会場だけでは県内開催ができないということで、当時、紀美野町が計画中の少年サッカー場でホッケーもできるよう県ホッケー協会副会長の中村裕一議員とともに寺本町長に働きかけ、二階俊博大臣の御尽力で競輪の補助金をいただき、県費を使うことなく県内でのホッケー競技開催が可能になりました。しかも、町ではこれを機にホッケーによるまちおこし、町民体力づくりをすると聞いております。
 しかしながら、そこに至る道路があのざまでは、とても円滑な国体運営は期待できません。京奈和自動車道をせっかく国体開催に合わせても、地道が整備されていなければ混雑は避けられません。どうか、国体に関連する道路整備の進捗を図るべく取り組んでいただきたいと思います。そのためには、地元住民の方々の意見を十分にお聞きしながら、とにかく協力が得られるところから、できるところから進めていく。そうすることで現在の渋滞が解消できるとともに、地元の意識にも変化が生じ、阪井バイパス全区間の早期整備につながると考えます。
 いま一度申し上げます。国道424号木津バイパスの事業化並びに阪井バイパスの東側からの整備についてぜひ検討していただきたいと思いますが、県土整備部長のお考えをお聞かせください。
 4番目として、海南市の中心市街地の活性化における県のかかわりについてお尋ねをいたします。
 本年1月13日、海南市は、市土地開発公社が所有する昭南工業跡地約2ヘクタールを株式会社オークワに貸す方針を決めました。これは、海南市が、市の中心市街地にある昭南工業株式会社跡地用地について、活性化につながる主要な用地であることから、既存商店街等の共存共栄が図られ、中心市街地への集客につながる、人が集い、にぎわう地域の核となる施設の整備を図ることとし、昨年9月から11月にかけて民間企業の提案を募集し、選考の結果、決定したものであります。
 オークワの提案では、鉄骨5階建ての商業棟と鉄骨2階建ての飲食棟をつくる内容で、商業棟は1階が書籍、ビデオ、カー用品店、飲食店舗、駐車場、2階がスポーツ用品店、家電量販店、3階と4階が駐車場、5階には温浴、飲食施設、駐車場を整備し、飲食棟は1、2階とも飲食店舗とするとなっております。
 海南市では、一昨年から中心市街地活性化基本計画の策定に向けて取り組みを開始し、昨年12月25日には中心市街地活性化法に基づく協議会を立ち上げ、この3月末までに基本計画案を策定し終え、平成21年度中に国の認定を受けたいと考えているそうであります。
 老朽化が著しく早期建てかえが求められている市民病院についても、中心市街地区域内のジャスコ跡地に平成25年4月に開院する予定だと伺っております。待ち望まれた海南市の中心市街地整備がやっと動き出そうとしております。
 中心市街地活性化は、まず市町村の取り組みがもちろん大前提でありますが、海南市がこのような計画を進める上では、県の強力なバックアップが必要不可欠であるということは言うまでもありません。和歌山市内における中心市街地活性化計画においても、その中核となっている旧丸正百貨店ビルに整備されたフォルテワジマに対し県も補助を行うなど、県の協力支援がなされております。
 折しも、海南市は先月24日に紀ノ川企業集積ベルト地帯構想に追加指定され、今後は企業誘致の面でも期待が持てるほか、津波防災対策としての防波堤が完成すれば、市街地の安全・安心が確保されることにもなります。
 今後こういったことがうまくかみ合っていけば、これまで空洞化そのものといった状況であった海南市の中心市街地が市全体の元気を牽引し、大きく発展していける千載一遇のチャンスを得たと言っても過言ではないと考えます。
 今後の海南市の取り組みに対してどのようにお考えになっているのか。県全体の調和のある発展を望む者として、県の考え方を商工観光労働部長にお聞かせいただきたいと思います。
 最後に5番目として、農水産物の販路拡大についてお尋ねをいたします。
 魚や肉、野菜などの新鮮さやうまみをそのまま何年も保存できたらどうでしょうか。豊作や大漁だからといって廃棄されてしまう食材を新鮮なまま凍結保存しておいて、需要に合わせて出荷をする、流通革命を起こすこの魔法の凍結技術を紹介すべく、平成17年6月定例会におきまして、同年この技術を導入した凍結センターを整備した島根県隠岐諸島にある海士町を例に、本県も水産物や農作物にこういった技術を導入することで、首都圏やまた全国各地へ、あるいは海外へと販路を拡大できるのではないかと提案をさしていただきました。
 残念ながら、その後、県が中心になってこの技術の導入を推奨するような動きはなかったのでありますが、海士町のこの取り組みは、価値の高い新鮮な状態で海産物を市場に提供できることになったことによる漁業者の収益向上や、凍結センターでの加工による雇用の拡大と最終製品の付加価値向上につながっているということで、昨年、農林水産省と経済産業省で農商工連携88選にも選定されるに至りましたので、いま一度質問をさしていただきました。
 今でも、生と比べますと冷凍食品に対してのイメージというか位置づけは決してよくないように思いますが、紹介した電磁凍結技術は、とりたての状態に戻るという技術でありますので、消費者に高い評価を受けております。
 農作物や海産物は年ごとの価格変動もあり、安定収入を得ることが難しく、後継者不足に悩んでいるのが現状でありますが、電磁凍結は鮮度が維持できますので、例えば水産業であれば豊漁・不漁にかかわらず年間を通じて出荷調整もできるので、価格の安定化が図れ、所得の安定にもつながります。
 我が県にも、全国に通用する特産品が数多くございます。例えば、桃は本来7月ごろが旬でありますが、この技術を用いれば桃の節句に売り出すことができたりと、海南市下津町の「蔵出しみかん」の手法のように旬をずらして販売するといったことが可能になるわけであります。
 私は、電磁冷凍のような新技術を取り入れて技術研究部門や販路開拓部門などが横断的な取り組みをすることによって従事者の収入確保を図ることができ、停滞ぎみの農林水産業の新たな打開策になると考えますが、いかがでしょうか。
 また、一方で、こういった技術というのは、本来民間がみずから情報を得て、みずからで考えてやるべきだという御意見もあるかもしれません。しかし、なかなか情報が入りにくいのが実情でありますし、まして異業種間にあっては、情報のやりとりということが容易でないと考えます。
 そこで、県が音頭をとりまして、JAや漁協、また市町村などにも声をかけ、流通の革命等について考える機会を設けるなど、官が各業界の接着剤となって情報を共有し合い、それを活用して、ともに新たな産業の創出を目指すといった、県を中心とする農商工連携のさらなる強化が望まれると思いますが、商工観光労働部長のお考えを伺います。
 以上です。御清聴、どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(山田正彦君) ただいまの藤山将材君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、国内クレジット制度と環境ビジネスの可能性についてお答え申し上げます。
 その前提になっておりました里山あるいは林業、環境保全の重要性についての御議論はまことに共感を覚えるものでありまして、私も経験上、目に見えるような感じがいたしました。そういうことを助けていく上で国内クレジット制度、これが環境ビジネスになってうまくいかんかと、こういうようなことではなかったかと思います。
 これは京都議定書の目標達成計画においても規定されておりまして、大企業の技術、資金等を提供して中小企業等が行った二酸化炭素の排出抑制のための取り組みによる歳出削減量を認証して、自分で大企業などは自主行動計画を立てていますけれども、これが目標達成のために必要であるというときには活用するという制度でございまして、昨年10月から試行的に実施されているものであります。
 議員御指摘の温室効果ガスの削減に寄与する国内クレジット制度の活用、またメタン等を活用する環境ビジネスの展開は、温室効果ガスの削減などによる環境保全とともに、地域の雇用を確保する1つの受け皿になると考えております。
 一例を申し上げますと、和歌山県は企業の森という制度を非常に推奨して頑張って努力しております。この企業の森に御参加いただいた企業に対して、和歌山県はそれのCO2吸収量、これをはじきまして、吸収量の認証をしております。このような話がもっと一般的に企業の森に限らず大きくなってくると、今の藤山議員のお話しになるようなビジネスができていくんじゃないかな、そんなことを期待している次第でございます。
 国内クレジット制度を含む国の動向は、今後ともアンテナを高くして情報収集いたしまして、活用できる施策、制度など、県民の方々にも広く情報を提供して、これの機に乗ずるというようなことをできればやっていきたいと、こういうふうに考えております。
 次に、道路に関してでございます。
 近畿自動車道紀勢線海南─有田間についてでございますけれども、休日などに慢性的な渋滞が発生しておりまして、昨年のお盆あるいは本年のお正月には最大25キロ余りの渋滞が発生するなど、観光、物流面等に多大な支障を来しております。ことしのお正月に至りましては、ついにこの地域の渋滞が西日本高速の1位になってしまいました。実は、淡々とランキングをとると4位でございます。4位でございますが、相手は西日本全域の物すごい交通量の多いそういう高速道路も含めてでございます。この1位から3位までは全部事故渋滞でありました。当県のこの地域は、実は事故渋滞ではありませんで、自然渋滞でこうなったわけですから、これは西日本一でございます。ただ、あんまり宣伝をすると観光客が来なくなると大変でございますので、これは危機感だけで、早く4車線化せないかんというためのいわば糧としていきたいと、こう考えております。
 県といたしましても、こういうことから4車線化の早期整備の必要性を十分認識しておりますが、たびたび議員御指摘のように、マスコミ等でこの完成は24年度であるというようなアナウンスが起きます。
 そこで、この経緯はちょっと省略いたしますけども、これでは遅いというふうに思いまして、今までも再三早期供用を要望したところでございますけれども、先月、西日本高速の石田会長を県当局みんなで訪問いたしまして、それでできるだけ早くやってもらいたい、もうできるじゃないかというようなことを要望に行ってまいりました。その結果、まず下り車線──今つくっているところ──これについては22年度中に完成をさせたい、努力すると。その後、下り線として供用しながら、今度は上り線が今上り下りになっておりますから、これを改良しないといけないので、片側通行しながら改良を急いで、これは23年度に完成をさして、23年度中には両方4車線として改良したいと、こんなふうに言っていただくことに成功いたしました。今後とも県や関係町もできるだけの協力を行いながら、極力早く供用できるように引き続き力強く働きかけてまいりたいと思います。
 これができますと、その次でございます。これで終わりというわけではございませんで、次は、現在、昨年から環境影響評価をやっていただいておりまして、それで都市計画をこれは要しますが、この都市計画を経て有田まで完成したら、次は御坊までということをぜひ力強く要望してまいりたいと、そんなふうに考えております。
○副議長(山田正彦君) 環境生活部長井口悦治君。
  〔井口悦治君、登壇〕
○環境生活部長(井口悦治君) 里山の環境保全についての御質問でございますが、里山は、農林業など人が自然に働きかけを行う中から形成されてきた生活環境であり、多様な生物の生息地として、また特有の景観や伝統文化の基盤として、さらには暮らしを支える恵みの場として重要な地域でございますが、過疎化や高齢化に加え、農林業の生産活動や生活様式の変化に伴い、保全管理が十分に行き届かない現状にあります。近年、こうした里山の重要な役割が再認識され、里山の必要性が叫ばれてる中で、その環境保全を図り、機能を生かしていくことが重要であると認識をしてございます。
 現在、県といたしましても、紀の国森づくり基金活用事業等により木竹の伐採整備、歩道の整備、広葉樹の植栽など、それぞれの地域に応じ、多様な主体による里山環境の整備を支援しているところでございますが、今後とも関係部局と連携を図りながら里山の環境保全に取り組んでまいります。
 また、広報・啓発につきましても、多様な価値を持つ里山の効用を広く県民の皆様に知っていただき、里山が放置されることのないよう、また里山資源が持続可能なものとして活用できるよう、「県民の友」を初めとした広報手段によりPRに努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 農業関係の2点についてお答えをさしていただきます。
 まず、新たな和歌山ブランドとしてのダチョウ飼育の可能性についてでございますが、日本では平成7年ごろから導入が始まりまして、東北、関東地方を中心に約1万羽程度が飼育されてございます。本県におきましては、平成15年ごろから飼育がされ始めまして、現在2戸の農家で32羽が飼育をされてございます。
 ダチョウにつきましては、食肉のみならず、皮、羽等の副産物も商品として利用できることから、近年、お話にございましたように、注目されておりますが、ふ化率とか、あるいは育成率が低いといった技術的な課題とともに、専用の食肉処理施設が未整備であること、また取り扱う料理店が少ないなど、食肉の流通ルートが整備されていないという課題もございます。
 県といたしましては、こうした課題を踏まえまして、今後、採算面での検討も含め、新たな地域特産物としてのブランド化について調査研究をしてまいるとともに、先ほどお話にございましたうめどりのPRにつきましても積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
 次に、農水産物の販路拡大に関連してでございますが、電磁凍結技術の活用についてでございます。
 いわゆる細胞を壊さないで凍結する技術を用いるということでございますが、食品の鮮度や風味を損なわず長期保存ができるすぐれた技術というように言われておりまして、県内では平成18年度に有田川町の授産施設において導入されまして、自家農場でとれます野菜、果実類を電磁凍結して近くの直売所などで販売をいたしてございます。
 これを受けまして、昨年、地元の漁協が連携をいたしまして実験的に特産の生シラスを電磁凍結いたしましたところ、解凍後も生と変わらない風味が保たれるという好結果が得られてございまして、地元のイベント等で提供したところ、大変好評であったというふうに伺ってございます。
 こうしたことから、この技術の導入は、産地価格の向上、また生産者の安定収入の確保などの点で効果が期待されますので、設備の導入費用、また販売先の確保等多くの課題もございますが、今後、主体的に取り組むJA、漁協等と連携し、水産物に限らず、お話ございました桃、梅等の果実について品質保持のための技術研究に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 国道370号阪井バイパスについてでございますが、海南市東部での交通渋滞、幅員狭小区間を解消し、安全で円滑な交通を確保することを目的として計画され、平成17年度から新規に着手し、現在、用地取得率約5%の進捗状況でございます。
 事業の進め方につきましては、これまで数回の地元説明の後に西側から事業推進を図ってきたところでありますが、現在では、早期供用に向け、逆側からも事業を進めるために阪井バイパスの東側部分についても物件調査等の準備を行っているところであります。
 今後は、渋滞緩和など幹線道路の整備効果の早期発現のために、議員御指摘のとおり、阪井バイパスの事業進捗に合わせ、木津バイパスについても早期に事業化されるよう国に対して要望し、事業の推進を図ってまいりたいと思います。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) まず、海南市の中心市街地の活性化における県のかかわりについてお答えをさせていただきます。
 海南市につきましては、老朽化した市民病院の建てかえや市土地開発公社所有の遊休地活用策など、さまざまなプロジェクトが盛り込まれた意欲的な中心市街地活性化基本計画となりつつあり、策定作業が鋭意進んでいると認識してございます。
 県といたしましては、これまでも海南市中心市街地活性化協議会のメンバーとして参画しているところでございますが、今後とも策定した基本計画が早期に認定を受けられるよう国に働きかけるとともに、関係部局と連携しながら、国や県の支援制度の導入・活用など、計画実現のため有効な支援策を積極的に講じてまいりたいと考えてございます。
 次に、農商工連携の強化についてお答えをさせていただきます。
 農商工連携、異業種交流などの産学官連携の連携強化につきましては、県内事業者の今後の発展の基盤をつくる上で、まさにかぎを握る重要な支援策と考えてございます。このため、従来より、県内外の企業、大学、試験研究機関等による共同研究の推進やわかやま産業振興財団におけるテクノサロンの運営、企業等のすぐれた技術に関する展示・交流の場であるわかやまテクノ・ビジネスフェアの開催など、産学官の連携推進につきまして幅広い形で取り組んでいるところでございます。
 具体的には、昨年度組成いたしました基金、わかやま中小企業元気ファンド──80億円でございますが──により、梅や有田みかんを材料とした菓子類を初め、備長炭、パイル織物技術を生かした新製品の開発、並びに天然由来の芳香剤、防犯用機器など、産学官の共同研究成果の事業化を支援するとともに、国の農商工連携促進法に基づき、新年度につきましては、新たにファンド20億円を増強し、農商工をあわせた異業種連携による新製品開発等の支援をより一層強化してまいりたいと考えてございます。
 また、昨年策定いたしました県の知的財産戦略を踏まえ、梅や柿の機能性成分、ヒロメ養殖に関する産学官の共同研究で生み出された技術やノウハウ等の特許化、それらを活用した産品の「わかやま」ブランド化などに取り組んでまいりたいと考えてございます。
 県としましては、今後とも情報の収集に努めるとともに、県内事業者、JAや漁協を含め、関連団体との共有を図りながら産学官の知恵と人材、技術を総結集しまして、本県のすぐれた地域資源を最大限に生かした産業振興に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 以上で、藤山将材君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時32分散会

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