平成21年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(藤本眞利子議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午後1時0分再開
○副議長(山田正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
35番藤本眞利子君。
〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 開智の男子バレー部キャプテン、「僕たちが時代を変えます」という言葉に感動した春高バレーのすがすがしい壮行会の後であります。皆さんお疲れのこととは思いますが、議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
今回、先輩・同僚議員の質問と重複する部分もあるかと思いますが、お許しをいただきまして、しばらくの間、御清聴よろしくお願いいたします。
まず、県財政の今後の見通しと運営方針についてお伺いします。
平成21年度の当初予算が計上されました。議会開会日の知事説明の要旨の中で、「平成21年度当初予算では、6年ぶりに前年度を上回る予算規模を確保し、不況対策にも備え、構造的政策にも多くの新機軸を取り入れるとともに、行財政改革推進プランで想定している以上の財務状況の改善も図ることができました」と述べられています。
本年度の予算規模は、歳出で5229億円であります。規模として、知事のおっしゃるとおり対前年度比117億円プラスでありますが、歳入では5167億円ということで、不足分62億円を県債管理基金の取り崩しで補てんということであります。昨年も、5112億円の歳出に対し5050億円の歳入ということで、収支不足62億円を県債管理基金から取り崩しています。
本年度は、経済情勢が昨年よりさらに厳しく、自主財源は2043億円。法人2税を初めとする県税の落ち込みが影響し、21億円の減であります。依存財源の3186億円の内訳として、地方交付税と臨時財政対策債を合わせた実質的な交付税は1842億円で、昨年度比4.4%の78億円増でありますが、交付税が減額され、臨時財政対策債で補われました。それに加え、577億円の県債を発行し、歳入を賄ったという内訳であります。臨時財政対策債と県債とで昨年度より30.8%増の1022億円を占めるといった状況であります。臨時財政対策債は後で手当てをされるということでありますが、国の債務残高はGDP比150%という中で、国の財政状況を勘案すると、果たして確実に担保されるものか疑問を感じるものであります。
簡単に言うと本年度予算の歳入の19.5%、およそ20%余りを借金で賄うということであり、県債残高も、ここ5年間で増加傾向であります。歳出規模が歳入より大きく、貯金を取り崩しながら、片や歳入の2割が借金ということになれば、一般の家庭では破綻をしてしまいます。一般家庭では収入に見合う生活をすることが家庭を維持していく上で大きな要因であります。収入より支出が多いといった状況は決して健全な状況とは言えないと考えます。
県として行財政改革を進めているわけでありますが、今後ますます厳しくなる財政環境の中で、これからの県政をどのようにかじ取っていくかがさらに重要なものと考えます。
そこで、県財政の今後の見通しと運営方針について知事の所見をお伺いします。
地方分権についてお伺いします。
平成5年、地方分権の推進に関する決議が衆参両議院でなされた後、平成7年には地方分権推進法が成立いたしました。その後、平成12年、地方分権一括法が成立、施行され、機関委任事務等が廃止されました。その後、地方分権ということで、補助金、交付税、税源移譲というようなことで三位一体の改革が行われたという経過をたどっています。
私は、昨年の3月議会においても、三位一体の改革でこうむった被害はまことに深刻であると指摘をさせていただきました。しかし、地方分権を否定する立場ではなく、「地方でできることは地方で」という言葉に集約される地方分権を遂行していかなければならないと考えます。
知事も、「国と地方の役割分担の徹底した見直しを行って、国が責任を持つべき分野と、それから地方が責任を持つべき分野、これを明確にすることが大事だと思います。それとともに、地方が責任を持つ分野については、地方に見合った財源が確実に保障される制度設計が必要であると考えます」と答弁していただいています。
地方分権改革推進委員会が昨年の5月に第1次勧告、12月に第2次勧告を行っており、21年度には第3次勧告を経て新たな新分権一括法が国会に提出される運びになってくると思われます。
私の近辺にフェンスに囲われた市の所有している空き地が点在していますが、以前、この土地の売却なり利活用すべきではないかと質問したことがありましたが、国の補助金の使途制限があるので、その期限が来るまで売却も利活用もできないといった答弁でありました。何とも歯がゆい話であります。
これは身近な一例でありますが、地方自治体が住民のまちづくりを自主的に決定する、国の画一的な基準に縛られることなく地域の実情やニーズに合った個性的で多様な行政を展開していくためにも、地方分権を進めなければならないと考えます。私の考える地方分権は、あくまで市民や県民のための施策ができるものであるべきだと考えます。
今回の第2次勧告では、かなり具体的な内容が示されてきていますが、第2次勧告で示された内容と知事が考える地方分権のあり方にどのような違いがあるのか。先ほど、山本議員への答弁で知事は、第1次勧告は不十分であったが、第2次勧告はよく議論されている、しかし第1次勧告を受けたものであるため、やはり不十分であったと考える旨の答弁をされておりましたが、改めて知事の所見をお伺いしたいと思います。
次に、男女共同参画社会の実現に向けてお伺いします。
男女共同参画推進条例が制定され、7年が経過しております。その間、県では男女共同参画基本計画を策定し、18年度にはさらなる男女共同参画社会の形成に向けた環境整備を推進してきたと認識しております。条例の前文には、「少子高齢化、国際化及び高度情報化の進展等社会経済情勢の急激な変化に対応し、和歌山県を真に住みよいふるさととするためには、男女が共に社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、互いの個性と能力を十分に発揮しつつ利益を等しく享受し、共に責任を分かち合うことができる社会の実現が、緊急かつ重要な課題となっている」と明記されています。目的の中には、「県、県民及び事業者の責務を明らかにする」という文言とともに、そのそれぞれの努力義務が規定されました。
しかし、国の男女共同参画基本法や県の男女共同参画推進条例に明記されているとはいえ、働く場においても実態としても、男女平等とはまだまだほど遠いといった実態があります。
国では、2008年4月、女性の参画加速プログラムを発表し、2020年度までに、1、意識の改革、2、ワーク・ライフ・バランスの実現、3、女性の能力開発、能力発揮に対する支援に取り組むという方針が示されました。また、指導的地位に女性が占める割合も30%に達することが目標となっています。男女共同参画社会を実現するためには、国や県だけでなく、より住民に身近な自治体である市町村においても推進のための計画をつくり、数値目標などを掲げて着実に取り組んでいくことが重要であると考えます。
しかし、和歌山県内の進捗状況を見ると、市町村の基本計画策定率は30市町村中7市策定にとどまっており、地域における取り組みが積極的に進んでいるとは言えない状況にあります。市町村の基本計画策定は、男女共同参画社会基本法では努力義務となっていますが、男女共同参画社会を実現するためには、県としても市町村の取り組みを積極的に推進する必要があると考えます。基本計画策定に関する働きかけなど、どのように取り組んでいくのか、環境生活部長にお伺いします。
県の19年度の共同参画の状況報告書によると、年齢別労働力率は相変わらずM字型のままであります。M字型というのは、折れ線グラフの形状がMに似ているということで、20代前半で一度高くなり、その後、出産、子育て期に当たる30代前半で下がり、40代後半で高くなるといった実態をあらわしています。先進諸国の中では、出生率の低い韓国と日本がM字型で、出生率の高いアメリカ、フランス、スウェーデンなどは40代をピークとする台形であります。女性の働き方がM字型になる大きな要因は、出産、子育て対策が薄い、働きながら子育てのできる環境が整っていない結果と言えます。
和歌山県の労働条件等実態調査報告書によると、育児休業制度を就業規則や社内規定に明文化している事業所は64.3%であります。100人を超える事業所については100%に近い数値が示されているんですが、中小零細事業社の多い我が県では、育児休業制度そのものがないといった実態が示されています。
また、10人以上の民営企業で働く一般労働者──パートタイム労働者を除いたものでありますが──その給与額を見てみると、どの年代層も男性のほうが多く、最も大きいのは50歳から54歳の年齢層で、14万4900円の差となっています。割合で言うと、男性を100とした場合、最も接近している18歳から19歳で88%であります。その後どんどん格差は広がり、最も開きがあるのは40から44歳の62%、女性は男性の6割の給与しかいただいていないという実態が示されています。この数字に派遣、パートタイマー等々非正規で働く女性を含めると、賃金格差はさらに広がっていると考えます。
昨今、働く人の3分の1が200万円以下の非正規雇用であるといったことや派遣労働の問題が大きく取り上げられています。しかし、女性に限ると半分以上が200万円以下の賃金で働いているという実態であります。働く者の使い捨てを許さない労働者派遣法や労働基準法の見直しが求められていますが、100年に一度と言われる経済情勢の中でも、女性の雇用問題は男性よりもさらに厳しい状況にあると言えます。
女性の問題は、女性だけの問題ではありません。少子化問題が女性だけの問題でないのと同じように、安心して子育てしながら働ける社会、安心して暮らせる社会の実現のために、男女の不平等な働き方を見直していく必要があります。福祉国家のスウェーデンがよく例に出されますが、女性が働くためのハンディ──これ、ハンディーと言っていいのかどうかわかりませんが──出産、育児、家庭、社会を取り除いた結果、少子化も解消され、男性の仕事と育児・家庭の両立、ワーク・ライフ・バランスにも成功しています。
また、次世代育成支援対策推進法では、300人以上の一般事業者は仕事と家庭の両立に関して行動計画を策定することとされていましたが、さらに23年度より100人以上の事業者にも義務となりました。
このように、育児する従業員の支援や環境整備、働き方見直しに資する労働条件の整備が求められてきました。
そこで、県として男女共同参画社会の実現に向け、女性の雇用、待遇など労働条件の改善に向けて、また中小零細事業所の多い県内の事業者にどういった意識改革を進めていくのか、商工観光労働部長にお伺いをします。
次に、教育問題についてお伺いします。
私も、学校現場から遠ざかりまして10年が経過をしております。10年前の学校現場と今では大きい変化があるようであります。先日も地元の小学校で行事があり、参加をさせていただいた折、校長先生とお話をしておりました。世間話をしているうちに「眞利子先生、このごろの親は少しずつ変わってきているんですよ」とおっしゃいます。うちの地区では、地域で子供たちを見守ろうということで、各種団体が協力しながら安全パトロールを行っています。地域の皆さんも交代で子供たちの行き帰りを見守ってくれています。保護者への協力をお願いしたところ、親御さんの中には、「うちの子は私が送り迎えするからいいんです」とおっしゃる保護者もいるそうです。ともかく自分の子さえよければいい、自分の子供のことしか見えていない保護者がふえているということでした。
少し前、「モンスターペアレント」という言葉が生まれましたが、何かあっても自分の子供は悪くない、自分中心の保護者が多くなっているように思います。
児童生徒の様子も変化をしています。非行や問題行動を起こす生徒の数が少なくなっている反面、基本的な学習に対する態度ができていない生徒が多くなっているとのことでした。教室内を歩き回る、教師の話が聞けない等々、それが当たり前のような状態であるとのことでした。保護者の教育モラルの低下、家庭教育力の低下が学校教育の低下を招いていると考えられます。
県内の体育クラブの顧問をしている教員およそ8000人にアンケートをいたしました。クラブ指導の時間、1日に平均15分しかとれないという結果が返ってきたそうであります。授業の終わった放課後なのに、どうして15分なのかと不思議に思われる方もおられると思いますが、授業以外の時間の大半が生徒指導に費やされているとのことでした。教科指導、生徒指導、教育にかかわりのない現場ならではの雑用、難しい保護者への対応、研修等々、息つく暇もないぐらい現場の先生方は日々の生活に忙殺されています。
日々の生徒指導や教科指導の中で人間としての尊厳を損なわれ、自己肯定感が持てず、学校現場を退職前にやめる教員の数がふえています。難関をくぐって新採用になった先生が早期にやめる事例も多くなっているということも報告されています。また、病気で休まれている教員の数も増加傾向にあり、中でも精神疾患で休職されている教員が4割近くもあるとの結果が出ています。
全国で2007年度に病気休職した小中高の教職員は8069人、前年度比414人の増となり、うち精神疾患による休職が4995人、62%で、過去最多になっています。また、7年度の新規採用者の中でも条件つき採用期間での退職者は301人となり、過去最多で、3人に1人は精神疾患などが原因です。また、うつ傾向の自覚症状を訴える教員は、一般企業の2.5倍に及んでいます。
また、7年に退職した教職員のうち、義務制では52%、高校では30%が定年前退職となっています。県においても早期退職者や病休者の数に同様の傾向が出ています。主な原因として、体力的限界、介護などの家庭の事情、健康・体力面の不安、多忙化などが挙げられています。教育委員会として学校現場や教職員のこういった状況をどのようにとらえているのか。また、その対策について、教育長にお伺いをします。
次に、さきの議会でも質問をさせていただきましたが、教員免許制度についてお伺いいたします。
21年度政府予算案の閣議決定において、免許更新制に関する予算が文科省の要求していた47億円が約4分の1の約10億円となり、教員免許更新講習の開設者に対する補助が全面的に削られるという結果になりました。先進国の中でも類を見ない免許更新制を導入するに当たって、受講する教員の負担を軽減する旨の附帯決議がつけられたにもかかわらず、全く予算措置がされなかったという結果であります。
県としては、何ともいたし方がないといった状況であるとは理解しますが、このままでいけば個人負担がどうなっていくのか、教職員の負担を軽減するための措置をどのように考えているのか、お伺いします。
最後に、高校入試についてお伺いします。
昨年の9月議会において、入試制度が変更されました。私は、年度途中の制度の変更は、生徒、保護者、教育現場に大きな混乱をもたらす可能性があるということで、しっかり準備していただきたいと要望をしておりました。
4日に本年度の出願が締め切られました。出願は1度の見直しが可能だということで、初回の出願の後、見直しが進められました。1回目の倍率では、向陽の普通科が1.57、日高高校の1.46と大変高い倍率を示す高校と、定員に満たない高校との不均整が顕著にあらわれていたように思います。その後、本出願では、中学校の必死の対応により、かなり修正されました。積み重ねたデータも少ない中、中学校現場では神経をすり減らすような調整が行われ、できるだけ生徒や保護者の希望に添えるようにとの進路指導が行われた結果と聞いています。
高校入試は、生徒にとって人生の大きな節目であります。保護者にとっても一番の心配ごとであります。この12日に一般入試が行われます。修正されたとはいえ、高い倍率の高校もあり、まだまだ気が抜けません。それぞれの生徒が希望する高校に合格できることを祈るばかりであります。
そこで、教育長に、今回の高校入試制度の変更に伴う準備から出願までの今の時点での総括と来年度に向けた取り組みをお聞かせいただきたいと思います。
以上で、第1問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山田正彦君) ただいまの藤本眞利子君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず初めに、県財政の今後の見通しと運営方針についてお答え申し上げます。
昨年3月に新行財政改革推進プランを策定いたしまして、職員定数の削減や給与カットによる人件費総額の抑制、あるいは施設、団体、補助金の見直しを中心とした事務事業の見直しなど、行財政改革を着実に推進しているところでありますけれども、景気悪化に伴う県税収入の大幅な減少を補うため臨時財政対策債の増発を余儀なくされるなど、県財政を取り巻く環境は一層厳しいものとなっております。
このような状況の中、和歌山が元気になる施策を積極的に展開しつつ、かつ同時に県財政が破綻することのないよう県政のかじ取りを行うことが私の使命であると思っております。そのために、事業の選択と集中による効果的、効率的な財政運営が求められております。
現在の経済情勢を見ると、景気悪化に伴い財政環境が一層厳しくなることも、また懸念されます。先ほど藤本議員から県債頼みではいかんというお話がありまして、私もできるだけ早くこの実質的な赤字、基金の取り崩しを防ぎたい、それから県債に依存することも防ぎたいというふうなことは考えておるんでありますが、一方では、支出のほうもそう急速に切ってはいかん、特にこういう御時世においてむちゃをすると、和歌山の体力があんまりありませんから、これは大変なことになって県民生活にも随分な影響が出てくるということも思いまして、今回の、ある意味ではいろんなところを配慮した予算を出させていただいた次第でございます。
今後は、国の追加経済対策の動向も見ながら、それによって地方に対する財源措置が出てくると思います。それを最大限活用するなど、県としても将来にわたって必要な施策は、これは積極的に推進するとともに、プランでお示ししたように、収支不足も段階的に解消いたしまして平成24年度に収支均衡をぜひ達成したいというふうに考えておりまして、このためにさらに毎年毎年行革努力に努めてまいりたいと考えております。
続きまして、地方分権改革についてでございます。
特に分権改革推進委員会の2次勧告の内容と私が考えている地方分権のあり方はどうかと、こういうことでありますが、私は、地方分権とは、先ほども申しましたように、自分が住んでいる地域のことを、そこに住む人々がみずから責任を持って決めることができるようにすることであるということだと思っております。そのためには、まず国と地方の役割分担を徹底的に見直した上で、地方が責任を持つべき分野については、地方が国からの関与を受けることなく主体的に責任を持って判断できるような仕組みをつくることが必要であると考えております。
そこで、よく地方に任すべきことは地方にということが言われます。そのとおりだと私も思うんでありますが、そればっかりしか言わないというと、任すべきものは何かという個々の話は、それなりにいろいろな事情があります。そこで、それをやっちゃまずいんじゃないかとか、そうではないとか、そういうような話になりまして、なかなか進まないということになるんだろうと私は思っております。
したがって、むしろ国こそがこれこれをやるんだ、これによって国の統一を守り、国民への最低限のサービスをするんだ、そういうことを先に検討して決めて、残りは、それは国として統一的に責任を持たなくていいんだから地方に任せたらいいというふうに考えていくのが、回り道のようで、本質的であり早いんじゃないかと、そんなふうに思っている次第であります。地方分権とは、そういう意味で、結局のところ国の形そのものを変えていくことだと考えております。
そういう意味で、地方分権改革推進委員会が、地方が責任を持って遂行すべき自治事務に対する国の義務づけ、枠づけの見直しに関して真摯に議論されたということは評価しておりますが、この勧告は、今申し上げましたような意味での国の形を余り議論していなかったのではないかと私は思っておりまして、そういう意味で、現在の国と地方のあり方を根本的に変えるようなものにはなっていないと思います。
地方分権をもっと進めていくためには、もう一度原点に立ち戻ってこの国の形というものを議論する必要があるのではないかと私は考えております。
○副議長(山田正彦君) 環境生活部長井口悦治君。
〔井口悦治君、登壇〕
○環境生活部長(井口悦治君) 男女共同参画社会の実現と、女性の雇用問題のうち、男女共同参画社会実現に向けての取り組みについてでございますが、市町村における男女共同参画基本計画については、議員御指摘のとおり、30市町村のうち7市が策定済みで、策定率は23.3%という低位な状況にありました。このため、県としても未策定市町村に対し直接市町村長さんにお会いし、計画の策定を要請するなど、積極的な働きかけを行ってきたところであります。
その結果、平成20年度末には8市1町が策定、策定率で30%となる見込みであり、また平成23年度末には12市町村、策定率40%を目標と定め、その達成に向け、積極的に取り組んでいるところでございます。
今後さらなる要請活動を行うとともに、計画策定を目指す市町村に対しては積極的に助言を行い、当該地域における啓発事業の展開など、側面的な支援にも努めてまいりたいと考えてございます。
以上です。
○副議長(山田正彦君) 商工観光労働部長永井慶一君。
〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 女性の労働に関する意識の改革につきまして、お答えをさしていただきます。
本県の産業構造は、中小零細企業が多く、また議員御指摘のように、女性就労のM字型カーブで示される、結婚、出産、育児期に当たる30歳代の離職が多く、その後働いてもパートタイム労働となるケースが多いと認識してございます。
県といたしましては、女性が働き続け、能力を生かせられるよう、労働局や関係機関と連携し、育児休業等の制度につきまして、中小企業労働施策アドバイザーやセミナーを通じてその普及に努めているところでございます。
一方、女性の労働に関する意識改革のためには、男女間の固定的な役割分担意識の見直しをさらに進め、1人1人の能力が十分発揮できる職場風土づくりが重要であると考えてございます。
そのため、本年1月には、連合和歌山、和歌山県経営者協会、和歌山労働局、県の公労使4者により仕事と生活の調和(通称ワーク・ライフ・バランス)和歌山共同宣言を行い、さらにこれを受け2月にシンポジウムを開催し、仕事と生活の調和が実現する社会づくりに向けまして一層の理解と協力が得られるよう努めているところでございます。
経済・雇用情勢が一段と厳しさを増している状況にございますが、女性が働きやすい職場環境を整えることは企業の活性化や生産性の向上につながると考えられますので、関係機関と連携しながら女性の労働に関する意識改革により一層取り組んでまいりたいと考えてございます。
○副議長(山田正彦君) 教育長山口裕市君。
〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教育問題についてお答えいたします。
議員御指摘のとおり、教育課題の多様化でありますとか複雑化に伴いまして、学校や個々の教員に求められる対応も複雑になり、業務が増加している状況はございます。
県教育委員会といたしましては、教員がゆとりを持って1人1人の子供たちにきめ細かくかかわれるよう、少人数学級編制の実施や非常勤講師の配置など、教育条件の整備に努めているところであります。
また、管理職を対象としたメンタルヘルス研修会の実施や教員が気軽に不安や悩みを相談できるストレス相談窓口を県内3カ所に設置するなど、教員の心の健康管理の充実を図っているところでございます。
さらに、学校を対象とした各種調査の精選やICTの活用による事務の効率化などを図るとともに、市町村教育委員会や学校長の代表などによる協議会を設置いたしまして、教員の業務の負担軽減について具体的に検討しているところであります。
今後も引き続き、元気な学校づくりのために教員自身が心身ともに健康で子供たちに向き合える環境整備に努力をしてまいります。
次に、平成21年4月からスタートする教員免許更新制度についてお答えいたします。
文部科学省では、山間、離島、僻地などの地域で大学等が出張形式で講習を開設する場合などにおきまして、受講料が一般地域より高くならないよう講習開設者に対して一定の補助を行う経費として、現在、21年度予算に約10億円を計上しているところです。
本県におきましても、和歌山大学等に働きかけ、和歌山市のみで開設するのではなく、田辺市や新宮市においても講習を開設するなど、受講者の負担軽減や利便性の確保に努めているところでございます。
今後も、引き続き国に対して、全国都道府県教育長協議会等を通じまして、更新講習受講の費用負担も含め、さらなる支援策や幅広い受講機会が保障されるよう要望していきたいと考えます。
次に、高校入試についてでございますが、これまでの前期後期制にかえて平成21年度入試から一般選抜に一本化をいたしました。年度途中の制度変更で受験生や保護者、中学校などの関係者の不安や動揺を懸念いたしましたが、各中学校では進路説明会や三者懇談会を通して新しい制度の理解と周知に取り組んでいただき、先日、本出願に至ったところでございます。
一般出願時には普通科への出願者数が多く、学校、学科ごとの出願倍率に相当の差が見られましたけれども、本出願に向けて中学校では志願先変更等の丁寧な対応をしていただきました。急な制度変更でありましたが、各学校の努力によりまして、ここまで円滑に進めることができたと考えてございます。
今後とも、生徒、保護者や中学校、高等学校等の関係者から幅広く御意見をいただきながら、新しい制度がよりよいものとして定着するよう努めてまいります。
以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 再質問を許します。
35番藤本眞利子君。
○藤本眞利子君 まず、男女共同参画について意見と要望を申し上げたいというふうに思います。
おとつい3月8日は国際女性デーというふうなことでありまして、国際女性デーというのは、1904年にアメリカのニューヨークで女性労働者が婦人参政権を要求してデモを起こして、これを受けてクララ・ツェトキンさんという方が、1910年にコペンハーゲンで行われた国際社会主義者会議で女性の性的自由と平等のために闘う記念の日と提唱したことが始まりとなっています。1975年のときに国連が、国際婦人年の3月8日以来、この日を国際婦人デーと定め、現在は国連事務総長が女性の十全かつ平等な社会の参加の環境を整備するようというふうに加盟国に呼びかける日になっています。
日本は、男女が平等な社会なのかなというふうに思っています。経済的には先進国と言われていますけれども、女性議員の比率は世界で136位でありますし、男女平等度も130国中98位という結果であります。意思決定参画の女性比率もなかなか進まない状況でありまして、ごらんのように、県のひな壇なんかにも女性の姿がないというふうなことだと思います。
それと同時に、今回質問させていただいたように、働く場の保障も、男女平等という点では十分ではありません。就職の段階からもう門戸を狭められたり、賃金の格差があります。その就職した後も、管理職の登用や昇給の格差というふうなことで大きな差別があるというふうに私は思います。
また、働き続けるためのハードルもすごく高くて、結婚、出産といった場面でも苦渋の選択が迫られています。働きながら結婚生活を送ることの負担も大変女性に大きく、そのため晩婚化とか非婚化とか少子化を招いているんじゃないかなというふうにも考えられます。子供ができたら産休・育休のとれる職場、休んだ分だけ給与の保障をされる職場、子供が病気になったときに心置きなく休める職場が求められています。
県では、数値目標を定めて男女参画社会の実現に向け努力をされていますが、このまま推移して果たして男女平等社会が形成されるのか、大変疑問に感じています。中小零細企業の多い我が県の実態は把握されているというふうに理解しますので、今後は、意識啓発とともに、賃金格差のない職場、子育てしながら働ける職場をふやしていくといった具体的な支援を要望したいと思います。
それからもう1つ、高校入試について教育長より御答弁をいただきました。急な制度変更でありましたが、各学校の御努力によってここまで円滑に進めることができたと考えていますって、そういうふうにおっしゃっていただきました。私は、これはもう教育委員会の責任を現場の先生方に押しつけたというふうに、そんなふうに感じてしまいました。
高校入試については、ここ数年、教育委員会のたび重ねる制度変更──生徒も保護者も教育現場も大きな混乱に巻き込まれたといっても過言でないと思います。制度変更の都度、もうその都度、大きな困惑の声が上がりました。生徒は自分の進路について迷い、一般校まで含めた推薦が始まってからでも、一般校に枠を拡大したんですが、それに伴って安易に流れる傾向が加速されたんじゃないかというふうに私は思いました。
それで、教育現場でも何を今度指標に進路指導していったらいいのかという声もたびたび上がっておりまして、前期後期試験に至っては、各方面から、この議場からも委員会からも見直しの声が出たというふうな経過だと思います。
ここであえて教育長に苦言を申し上げたいんですが、教育委員会が職業高校の推薦入試枠をまず普通科高校まで拡大をさせて、その後2年間の前期後期試験からまた一般選抜に変更した。この経過について、しっかりと反省と総括を行っていただきたいと思います。その上に立って、その教訓を今後の入試制度、今の制度に生かしていただきたいというふうに強く申し上げて要望します。
また、教育長は、今、今後とも生徒、保護者や中学校、高等学校の関係者から幅広く御意見をいただきながら新しい制度がよりよいものに定着するよう努めてまいりますと答弁をいただきましたので、私は一般入試の選抜の一本化については賛成であります。今後、進路指導に関して、現場サイドで中学校と高校の連携も図りながら、より丁寧な指導が可能になるような、そういったことを考えていただきたい。
こういうことを強く要望いたしまして、再要望を終わります。ありがとうございました。
○副議長(山田正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤本眞利子君の質問が終了いたしました。