平成21年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 44番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。
 第1の柱は、新自由主義が生み出した今日の経済問題をどう考えるかという問題です。
 ことしの1月5日に海南下津港湾振興会の新年会がありまして、3人の地元県会議員が毎年かわるがわるあいさつさせていただくんですが、ことしたまたま私の番でありましたので、こんなことを申し上げました。「明けましておめでとうと言うのもはばかられるような経済情勢です。首を切られた派遣労働者、胸が痛みます。また、地球温暖化が大きな問題になっています。こんな中、今までの考え方ではやっていけないと多くの人が考え始めています。かつては、日本で米をつくらなくても、1台でも多く自動車をつくって輸出したらいいという考え方もありました。今そんなことを言う人はいないと思います。交通運輸では、日本では50年前から鉄道、船舶から自動車、航空機に大きくシフトしてきました。地球温暖化が心配される中、これでいいのでしょうか」。3分ほどの短いあいさつでございましたので言葉足らずもありますが、眼目は、今までの考え方ではやっていけないと多くの人が考え始めていますと述べた点でございます。
 昨年から100年に1回というような大変な経済危機が起こっています。自然災害のように言う方もおられますが、私は政治災害だと思っています。
 それはさておき、政治や経済政策にかかわってきた皆さんの論評は大変興味深いものがございます。昨年末から大きな反響を呼んだのは、中谷巌さんという方が「資本主義はなぜ自壊したのか」という本を出版されたことでした。私も取り寄せて読んでみました。この本は自戒の念を込めて書かれたざんげの書であると言っています。
 この方は、日産自動車の社員であったが、ハーバード大学に留学して近代経済学を勉強した。当時のアメリカの豊かな生活、すばらしい大学の研究環境に目がくらみ、それが新自由主義の経済政策の結果であるように錯覚してしまった。そのことを御自分で「私はアメリカかぶれになった」と書いていらっしゃるわけです。そして、日本に帰ってきて一橋大学などで教鞭をとるんだけれども、小渕内閣のとき、堺屋太一さんに請われて経済戦略会議に参加し、その議長代行にまでなった。メンバーには竹中平蔵さんもおられた。ここで新自由主義の規制緩和路線をしいた。その路線の上で小泉構造改革が行われ、今、格差と貧困が大問題になっているわけでございます。
 竹中平蔵さんは小泉内閣のブレーンとしてその路線を突き進むわけですが、中谷巌さんは、官邸から離れて、その推移を見守っていた。そして、自分のとんでもない錯覚、アメリカかぶれに気がついたとおっしゃるわけです。今までの考え方ではやっていけないと多くの人が考え始めていますと私が申し上げたことがまさに当たっています。そして、そのことを率直に告白しておられる。
 その一方で、自分が推し進めた経済政策の結果に全く頓着しないように見える経済理論家もおられますし、あるいは自分が当時は閣僚でありながら実は郵政民営化に反対だったとおっしゃる方もいらっしゃる。どれがいいとか悪いとかは言いませんが、それぞれの人間性や考え方が浮き彫りになって大変おもしろいなと思います。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 知事は、2003年まで現在の経済産業省にいらっしゃった。御自分でも「私は経済官僚でしたから」とよくおっしゃいます。もちろん、トップではないから政策決定の責任者ではないけれども、政策の実施に当たられたのでしょう。あるいは、トップが選択した政策を心配して見守っておられたのかもしれません。こういう立場におられた方として、恐らく中谷巌さんという方のことは私などよりもずっとよく御存じでしょう。中谷さんの発言についてはいろいろな感想をお持ちかと思います。そういうことも含めて今日の経済問題をどう考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
 次に、さきのあいさつで、鉄道、船舶から自動車、航空機に大きくシフトしてきたが、これでいいのかと申し上げたんですが、第2の柱は鉄道を守るかであります。
 先ごろから山本議員からもいろいろなお話がございました。和歌山県で鉄道問題での最近の快挙は、貴志川線を守る運動でした。地元の住民の交通手段を守ろうと、県議会では超党派で協力し、知事も、和歌山市長、紀の川市長、そして何よりも住民組織の皆さんが頑張られた。あのときはたま卿という救世主があらわれるとは予想もしませんでしたが、本当によかったと思います。
 しかし、よかったと言っているだけでいいのでしょうか。JRきのくに線の乗降客数は、1970年の4670万人から2006年には1000万人減っています。和歌山線については先ほどから言われたとおりです。県の長期総合計画には交通ネットワークの充実という項目がありますが、道路交通網の整備は極めて具体的なのに対して、公共交通の利便性向上と利用促進という項目は、具体性を欠くように思われます。
 和歌山県ではかつて和歌山線を守る会というものが結成され、ローカル線への格差運賃導入に反対する交通権裁判というものが闘われたことがあります。それは公共交通としての和歌山線を守る運動でありまして、当時の国鉄としても、本当なら喜んで陰ででも協力すべきものだったと私は思っています。
 先日の新聞を見て残念だったのは、JR西日本の関連会社がすさみ町内でモノラックを設置するために熊野古道を壊したというニュースです。JR西日本が県民とともにきのくに線を守ろうと真剣に考え取り組んでおられたら、こんな事件は起こさなかったのではないかと思わざるを得ません。
 そこで質問ですが、第1に、公共交通の利便性向上と利用促進のために、さらにはこれ以上の公共交通、特にJRの廃線や間引き運転が起こることのないように、どういう施策をとられるのでしょうか。
 第2に、貴志川線を守った取り組みに学んで、和歌山線にしても、きのくに線にしても、県民とともに公共交通を守るという観点が大切だと思います。すさみ町での残念な事件も踏まえて、JR西日本も住民とともにしか生き延びる道はないということをわかってほしいと思いますし、県としてもそういう取り組みを進めてはどうかと思うのですが、いかがでしょうか。
 以上、企画部長からお答えください。
 第3に、県として職員の出張にもっと鉄道を使っていいようにも思います。知事も公用車で県内をあちこち駆け回るのでしょうが、時には寄り道の必要がないとき、ゆっくりと鉄道を利用されたらいいと思います。そんなこともあるんでしょうか。今後いかがでしょうか。知事の御意見をお伺いいたします。
 第4に、具体性を欠くという中でも具体的に進められているように見受けられるのが、JRの駅バリアフリー化であります。黒江駅のバリアフリー化については海南市との協議がされているようですが、進捗状況はいかがでしょうか。また、乗降人数5000人を割る駅も含めた計画はいかがでしょうか。企画部長からお答えいただきたいと思います。
 第3の柱は、精神障害者医療についてであります。
 まず、精神障害者医療費の改善を先送りしたことは重大な問題だということを指摘したいと思います。一日も早く改善していただきたい。要望といたします。
 次に、精神障害者の方々を支援する問題について、その実態を申し上げ、行政としての支援を訴えたいと思います。
 統合失調症というのは、なかなか理解されにくい病気です。先日、精神障害者の作業所を訪問してお伺いしまして、私も少しわかってまいりました。100人から120人に1人という発症率なんだそうです。
 この病気は早期発見、早期治療が大切だと言われています。最初は不安や被害妄想があらわれ、引きこもりがちになる。閉じこもって暴れたりして、重度になってから仕方なく精神科医に相談するケースが多いんだそうです。私も近所で閉じこもり切りになっている方を専門の方と訪問したことがありますが、「帰れ」とどなられて取りつく島がありませんでした。暴れたりして警察ざたになった場合、それをきっかけに治療を受けることになる。地域には治療を受けていない患者の方がいらっしゃると考えられます。
 大変よくできると言われている子供さんが発症する場合も多い。大学に入ることだけを目標にして一生懸命勉強した子供さんが大学に入って、さあ自由にやりなさいと言われると、どうしていいのかわからない。
 作業所の方がこんな説明をしてくれました。その子に110円渡して「自動販売機で好きなもの買いなさい」と言っても、自分で決められないんです。「これにする?」といってウーロン茶を買わせると、次からはウーロン茶ばかりを買うようになるんです。こんな1例ですが、生活のしづらさが出るんだそうです。
 よい子であり、優秀だった子供が突然大学に入ってから発症するわけですから、親はその病気を受け入れることができない。子供と一緒に死のうかと思ってしまう。その気持ちが子供に伝わって、「僕なんか生まれてこなかったらよかったんですね。親に殺されるかもしれない」と作業所の指導員に訴えるのだそうです。
 2月の14日に和歌山地方裁判所で懲役7年の判決を出された、母親が娘を殺害した事件があります。実は、その母親というのは私の短い教職生活の最初の年の教え子でありました。まじめな優しい子でした。それだけに生傷に触れるようで事件に触れたくなかったんです。しかし、精神障害者の家族会の方や当事者の皆さんにお会いし、支援者の方から、だれかがこの問題を取り上げて、みんなで考えましょうと言わなくてはならないと言われて、ここでお話しする気になったんです。
 今、イギリスでは、家族を介護者として位置づけ、その支援を進めていると言われます。今でも家族が介護しているではないかと言われるかもしれません。介護というのは、精神障害についての専門知識を持って適切な対応をすることです。現状は、家族が患者に振り回され、悲嘆に暮れ、くたびれて一緒に死にたいというところに追い込まれている場合が多いんだそうです。イギリスの研究者の報告では、介護援助者、家族への心理療法をすると患者本人への心理療法以上に効果が上がったと言います。イギリスでは家族支援ケースワーカーという職種を新設し、短期間のうちに700人全国に配置したそうです。
 このたびの事件では、司法は私の教え子である母親に懲役7年の実刑判決を下しました。その判決についてとやかく言う気はありません。しかし、一般論として、行政としてもっと家族支援をする必要があるのではないかと思わないではいられません。
 そこで、質問であります。
 第1に、統合失調症を初めとする患者の実態についてどのように把握され、どう支援されているのでしょうか。早期発見、早期治療のために相談窓口を開くだけでなく、広く周知することが必要です。また、相談を待っているだけでなく、地域、家庭に出向いて軽度のときから相談に乗ることが大切だと考えますが、いかがでしょうか。
 第2に、家族支援の重要性が注目されているわけですが、イギリスの研究や取り組みをどう受けとめられているでしょうか。家族を支援するために専門職がどのように配置されているのでしょうか。増員するように県だけでできなければ国に働きかける必要があると思いますが、いかがでしょうか。
 第3に、差し当たり患者を短期間でも預かっていただくショートステイやグループホームのようなものがもっと欲しいという要望を伺いました。いかがでしょうか。
 以上、福祉保健部長からお答えいただきたいと思います。
 第4の柱は、無料低額診療事業の拡張についてであります。
 私どもが海南市のハローワークの前に開いている生活相談所には、さまざまなケースの問題が持ち込まれます。自己負担が困難なために病院に行こうとしない方もいらっしゃいます。
 こうした問題に対応する制度として、無料低額医療事業というものがあります。社会福祉法に定める生計困難者のために無料または低額な料金で診療を行う事業であり、患者の相談、申請に応じて医療費を免除され、病院は、場合によっては税負担の軽減を受けられる場合もあるものです。日本共産党の小池議員の質問趣意書で、厚生労働省も決して抑制の立場でないということが明らかになったものです。けれども、これまでは、県内でもこうした制度を活用したいという医療機関の申し出に対して消極的な対応をした行政自治体もあったというふうにお聞きしています。
 そこで、質問でございます。
 県内ではどういう病院で無料低額診療事業を行っているのでしょうか。今日の格差と貧困が広がっている中で、そうした医療機関を広げていく必要があると考えますが、積極的に広げていかれるのでしょうか。福祉保健部長からお答えいただきたいと思います。
 第5の柱は、学校現場の身分不安定教職員の問題です。
 今、民間では、使い捨てにされる派遣労働者、非正規労働者の実態、これでいいのかと大きな問題になっています。それは民間企業だけの問題でありません。ここでは、学校現場の非正規雇用教職員の問題についてお伺いいたします。
 第1は、数100人の教員が定数内講師と呼ばれる身分不安定な立場に置かれていることです。教育委員会が教員採用試験の合格者を絞っている。その結果、教員免許を持っているけれども採用試験に合格していない方を講師として採用します。次の年度に正式採用されようとすれば、採用試験に合格しなければなりません。しかし、大変な教育現場の中で子供と真剣勝負をしていると、ペーパーテストの準備ができないで悩みます。こうして教育現場で経験を積み、情熱を持ち、周りから力量を認められながら身分不安定なままで教育に取り組んでいる方が大勢いらっしゃる。私は、すぐにでも定数内講師を半分以下に減らすだけの教員採用をすべきだと思います。そして、定数内講師として経験を積み、試され済みの教員を優先して採用すべきだと思います。教育長は、それぞれどうお考えでしょうか。
 さらに、不安定な立場に置かれている教員の方がおられます。その第1は、産前産後休暇、育児休業などの補充教員の皆さんです。その第2は、小規模の中学校で免許外担当を解消するために免外解消非常勤講師というものが廃止され始めたのは、学校や子供たちにとっては大変ありがたいことです。しかし、その講師の方は大変です。僻地にある3つもの中学校を駆け回らなくてはならない場合がある。時間講師だから授業時間分しか給料が出ません。しかし、授業したクラスで子供の問題があれば残って相談することもあるでしょう。音楽の先生なら、文化祭があればつき切って取り組むこともあるかもしれません。そういうことの保障はどうなるのでしょうか。こういう実態をどう考えておられるのか。また、この問題を解消するために一定数の教員をプールして産休補充、免外解消など各種の仕事に派遣するのは一番いいと思うんですが、教育長はどうお考えでしょうか。
 第6の柱は、地上テレビ放送のデジタル化についてであります。
 昨年6月の県議会でもお伺いいたしましたが、2011年が間近に迫ってまいりますと、利用者1人1人の側から、私の家はどうなるのか、どうしたらいいのかという質問が寄せられています。ますますきめ細かな対応が必要です。アメリカでは、オバマ大統領が一定期間実施を延期したということもありました。進展ぐあいによってはそういうことが必要な場合もあると思います。
 そこで、お伺いいたします。
 その後の国の難視聴対策の進展はいかがでしょうか。点在する難視聴地域対策など、利用者の側から見てわかりやすい説明をお願いしたいと思います。そして、今後の取り組みについて県としての考えはいかがでしょうか。
 以上、企画部長からお答えいただきたいと思います。
 以上で、私の第1回目の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、一番初めの雑賀議員のお言葉で言いますと、新自由主義が生み出した今日の経済問題をどう考えるかということについてお答え申し上げたいと思います。
 この新自由主義なるものが何なのかというのがまたよくわかりませんで、似たような名前の出版社もあったなというふうに思っておりますが、中谷さんについては、私は大変学者の先生方と親交が厚いんですが、たまたま残念ながら個人的には1回もお会いしたことないし、お話ししたこともなくて、また、中谷さんが確かに一世を風靡してたときがあったんですけれども、残念ながら御本も読む機会を逸しました。今回もちょっと、業務の多忙ということもあるんですけども、新聞なんかで話題になってるということを知っておるんですが──いわゆるざんげの書ですね──雑賀議員がおっしゃったざんげの書についても読んでおりません。
 ただ、部下で読んでおる、職員で読んでおる者がありまして聞いてみると、そのざんげがどうしたこうしたというのはわかりませんけれども、個々のいろいろ論拠に挙げているいろんな立論については当たり前のことを言っていないのかなというふうに思います。
 現在、アメリカのサブプライムローン問題に端を発した世界的な不況は、本県経済にも、特に中小企業の資金繰り悪化とか、あるいは経済全体の調子が悪くて雇用情勢が深刻化するなど、大きな影響を及ぼしております。
 経済は生き物であります。したがって、活力がないときは活力を出すようにどうしたらいいかと。例えばメンテも要るし、対策も要ります。そのために経済政策というのはあるんだろうと思います。
 ただ、経済を回していくために市場競争を基本とするシステムというよりも、ほかの、それ以外のシステムがあるかどうかという点については、多分ないんじゃないかなというふうに私は思います。これにあえて目をつむったソ連が、あるいはアジアの幾つかの国が、とうとう経済が破綻して国家まで消滅してしまったということは厳然たる歴史の事実であります。
 ただ、市場経済あるいは市場競争を基本とするような制度といっても、すべて競争だけがよろしくて、その経済政策は規制を外すことで政府はそれ以外何もしないのがいいんだと考えるのは、これは間違いというよりも、経済学の初歩あるいは経済政策のイロハにもとる話だと思います。何でもマーケットに依存するんじゃなくて、マーケットが間違うこと、あるいは人々の幸せのためにならないようなことは、ちゃんとした制度の枠組みをつくって、その中で活動していただくというのが正しいやり方で、かつ、いろんな時々発生する問題についても、それぞれの国民の賛同を得て適切な経済政策を打っていくというのが大事なことであると思います。少なくとも和歌山県では、県の財政や政策で経済政策をやる、あるいは景気対策をやるというのは限度があるんですけれども、我々のやれる限りにおいて全力を挙げてこれをやっていきたいというふうに考えております。
 それから、知事や県職員の出張にもJR利用促進をということでございます。
 私も紀南へ遊びに行くときは、実はJRをよく利用します。時々だれかにお会いいたしますが、出張のときはどうしても時間を惜しむこともありまして車のことが多いんですけれども、私を初め職員の出張時のJR利用については、公共交通を守っていくということにもなりますので、職員はもとより私も、可能であれば、JRを含めた、すなわち大事な白浜空港も関空も両方念頭に置いて、できるだけ公共交通機関を利用していきたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) 公共交通、特にJRの利便性向上と利用促進、それとJRとの共同ということについてでございますけれども、鉄道を維持していくというためには利用者をふやしていくということが最も重要でございますので、公共交通機関はみんなで利用し、支えていくという気持ちを持つことが必要であると考えております。
 こうしたことから、これまでも県、沿線自治体、JR西日本が連携して取り組んできたところでありますけれども、例えば和歌山線について申し上げれば、現在、和歌山電鐵の取り組みを参考として、民間団体や地域住民などの参画も得て、JR、地域と一体となっての利用促進に取り組みたいと考えているところでございます。
 それから、バリアフリーに関して、黒江駅のバリアフリー化でございますけれども、この21年度から2カ年での工事を予定しておりまして、今議会に海南市への補助金1180万円をお願いしております。
 駅舎のバリアフリー化の計画につきましては、国の目標では、1日当たりの平均的な利用者数が5000人以上である駅については平成22年12月までに原則としてバリアフリー化を実施するということになっておりまして、現在、国の支援も得ながら進めているところでございます。
 黒江駅が終わりますと、これで5000人以上の駅については県内での9駅すべてについて完了することになります。
 また、今後、高齢化の進展に伴い、5000人未満の駅についてもバリアフリー化が必要でございます。既に幾つかの駅で実施をしておりますけれども、市町村と連携しまして引き続き国の支援が得られるよう要望してまいりたいと考えております。
 最後に、地上テレビ放送のデジタル化についての3点の御質問に一括してお答え申し上げます。
 まず、国の難視対策につきましては、知事を先頭に、国に対し、精力的な要望活動等を実施してまいりました。その結果、平成21年度の国の予算では、共聴施設の新設に対する補助率の拡充、経済弱者への受信機等の無償配布など、前年度比8倍の大幅な増額がなされたところでございます。また、NHKによる支援策も新設され、共聴施設改修時の住民負担が大幅に軽減される見込みとなりました。県としては、これら支援策を効果的に活用できるよう、国、市町村と調整を図ってまいりたいと考えております。
 次に、難視対策など、利用者に対するわかりやすい説明についてでございます。
 県では、昨年5月に策定いたしました難視解消ナビゲーターによりまして、難視地域ごとに具体的な対策を提案し、市町村と連携して住民説明会を随時開催しております。説明会では、その地域の実際の受信調査結果に基づきまして、より具体的でわかりやすい説明を行うこととしております。今後、要望があれば速やかに説明に伺いたいと考えております。
 こうした取り組みによりまして、本年2月現在で、県内717カ所の難視予想地域のうち460カ所で既に対策が完了したか、またはめどが立ち、デジタル対応は着実に進んでいると認識しております。
 最後に、今後の取り組みについてでございますが、現在のところ、難視解消に向けた取り組みが着実に進んでおりまして、県としては、引き続き2011年7月の地上デジタル放送への完全移行に向けて国やNHKの支援策等を活用しつつ、市町村、住民にできるだけ負担が発生しないよう地デジ難視ゼロを目指して取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 精神障害者医療についてお答え申し上げます。
 まず、早期発見、早期治療のために精神疾患への訪問、相談体制の拡充についてでございます。
 精神障害者の実態につきましては、本県の通院患者数は近年増加の傾向にあり、精神保健福祉センター及び保健所における精神科医等によるこころの健康相談などで御本人や御家族から精神疾患の状況等をお聞きするなど、あらゆる機会を通じて実態把握に努めるとともに、理解を深めているところでございます。
 こころの健康相談につきましては、市町村の広報紙などにより周知するとともに、家庭訪問による相談も行ってございます。また、相談に来られない方のニーズにつきましては、個人情報の課題もございますが、各市町村で実施しております障害者相談支援事業と連携を図り、アンテナを高くし、その把握に努めてまいりたいと考えてございます。
 そのほかにも、精神障害者を支援する施策といたしまして、保健所でのデイケア、障害者自立支援法に基づく障害福祉サービスの提供や医療費の負担軽減、事業所での社会適応訓練などを実施しているところでございます。
 次に、精神疾患への専門職員の増員配置でございますが、精神障害者の御家族への支援につきましては、議員御指摘のとおり、御家族への心理教育が御本人の疾患の再発防止につながるという研究結果もありまして、重要であると認識してございます。このため、各保健所に保健師や精神保健福祉相談員を配置し、精神科医等とともに、精神疾患の症状及び障害の特性や御本人の対処方法等を学習していただく家族教室の開催や御家族の御相談をお受けしているところでございます。
 次に、ショートステイやグループホームの現状と充実でございますが、ショートステイにつきましては、平成21年2月末現在、県内において精神障害者を対象に含めたショートステイは、9カ所の施設で27人分の専用床がございます。県といたしましては、精神障害者の御家族の負担軽減という観点からも、今後ともショートステイの充実に努めてまいりたいと考えてございます。
 また、精神障害者を対象に含めたグループホームでございますが、62カ所で定員は321人でございます。グループホームの整備につきましても、整備費の補助やグループホームに転用可能な住宅情報の提供、さらには地域での啓発に対する補助等の制度を設けており、今後ともグループホームの充実に向け、より一層積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 最後に、無料低額診療制度についての2点の御質問に対して、一括してお答え申し上げます。
 和歌山県内では、無料低額診療事業を実施している医療機関は、済生会和歌山病院、済生会有田病院の2カ所でございます。
 本制度は、第2種社会福祉事業の1つとして、生計困難者に対する医療を確保する上で一定の役割を果たしていると認識してございますが、社会福祉法人等の事業実施主体に対して税制上の優遇措置があるものの、減免した医療費は実施機関の負担となることなどから、無料低額診療事業を実施するかどうかの判断は社会福祉法人等みずからが行うものと考えてございます。
 県といたしましては、事業実施の届け出があれば、国が定める基準を満たす限り、受理するものと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 学校現場の身分不安定教職員の問題についてお答えいたします。
 定数内講師につきましては、少子化による児童生徒の減少や学校の統廃合などによる今後の定数減と定年前での退職者数に対応するため、一定数は必要であると考えております。近年、新規採用教員を300名近くにふやし、定数内講師の減少に努めているところでございます。
 教員採用検査における講師経験のある受検者に対しましては、筆答検査の一部を免除する制度や実技検査に模擬授業を導入するなど、経験や能力が適切に評価されるよう選考方法の工夫改善に努めております。
 非常勤講師につきましては、授業のみを担当することが職務になっておりますので、行事等での指導や職員会議等への出席は、その対象外となることを御理解いただきたいと存じます。
 議員御提案の一定数の教員を任用しプールしておくという制度の導入は、人材を効率的に活用するという観点から困難と考えます。
 教職員定数については、厳しい財政事情ではありますが、毎年国に要望しているところでございまして、今後とも要望してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
 44番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 どうも御答弁ありがとうございました。
 要望を申し上げ、1点だけ再質問させていただきたいと思います。
 新自由主義の経済政策の結果という問題で、仁坂知事は当時は企画課長ですか、そういう第一線におられたんだから恐らくこの中谷さんという方とは、むしろ個人的にも知ってる、親交がおありかというふうに思って、何かおもしろい話を聞かせてもらえると思ったんですが、余り親交が、おつき合いがなかったようでございます。これはもうこれで結構でございます。
 公共交通の問題では、今までの流れに身を任せた上で公共交通は大事じゃないかと言われたら、そうですと言うんではだめだという時期へ来てると思います。ですから、これまでの考え方ではやっていけない問題の1つとして取り上げたわけです。
 この議会では、他の議員の皆さんからも、南海線の問題、JR和歌山線の問題が取り上げられました。やはりこの公共交通、鉄道の復権ということを重要な課題として取り上げなくてはならない時期に来たんだなという思いをいたしました。担当部局はしゃしゃり出てでも頑張っていただきたいと思います。
 ただ、職員の皆さんに、忙しい中で無理にJRに乗れとかそんなことを余り押しつける気はございませんので、その点は御了承ください。
 それから、精神障害者医療の問題は、今回私が取り上げた問題では一番重たい問題でございました。精神障害者の作業所に何度も足を運びました。家族の方、精神障害を抱えた当事者の方にもお会いをし、お話を聞かせていただきました。
 私の教え子である母親が子供を殺してしまった事件で、傍聴に行った若い支援者の方は、娘さんが殺されながら「お母さん」と言ったという裁判所の話を聞いて泣き崩れ、「聞きに行かなんだらよかった」と言いながら帰ってきたそうです。統合失調症を抱えた若者は、「僕らの命は7年の値打ちですか」と一方で言いながら、「だけど、あのお母さんを責められない」と語ったそうです。関係者の皆さんが、「私たちもどうしていいのか答えを持っていません。皆さんで考えましょうと問題を投げ出してほしい」というふうに言われました。
 教育もそうであります。私が未熟な教員だったころに体罰をしてしまった恥ずかしい経験をこの場でもお話をして、教育長にも失敗した経験を話せとお願いしたようなこともありますが、精神障害者の医療の分野というのも、形が整ったらうまくいくというようなものでなくて、行政を含めてそれにかかわる皆さんが苦悩をともにすることが大切と思っています。
 答弁を聞くと、何かいろいろやってますからというふうに聞こえるんですが、実際答弁しておられる福祉保健部長も、そういういろいろな問題があることはよくわかった上で答弁されているんだというふうに私は推察いたします。
 先日、同僚県会議員の皆さんと一緒に人権学習として麦の郷をモデルにした映画「ふるさとをください」を観賞いたしました。あの映画の作成には知事を初め多くの皆さんが協力され、全国的にも多くの注目を集めています。映画のモデルになった麦の郷のすぐれた取り組みがあったからだと思います。これは和歌山県が誇りにすべきものだと思います。
 それでも、その中心になっている皆さんも、どうしていいかわからない、皆さん一緒に考えましょうと呼びかけておられること、そのことを私は重く受けとめたいと思うわけです。そして、行政としてもこうした思いにこたえるために一緒に悩み、考えていただきたい。
 そこで、専門職員をふやすことが必要だというふうに申し上げました。県に置くのか市町村に置くのか、いろいろなことが考えられる。国に要望することも含めて、職員をふやす努力をしていただきたいと思うわけです。
 このように、専門職員をふやしてほしいというふうに申しましたが、こういう問題にかかわってる皆さん、当事者の皆さんも受け身で助けてくれと言うてるだけではありません。この間、障害当事者の皆さんとお話しして知ったんですが、障害当事者の皆さんが障害者の人権110番というような取り組みを、これは県の人権関係の課からも援助をいただきながらやっている。そして、障害に苦しみ、そこから回復しつつある皆さんが自分の経験を踏まえて電話相談を受けて、電話してくる皆さんの苦しみに共感しながら励ますという事業をやっておられるわけです。そういう話も聞きました。やはり、こういう努力に行政はこたえなくてはならないと思います。
 行政プランとなると、全体として職員を削減していますし、全国的に見ての傾向ですが、何か職員を削減することが知事の手腕のあかしのようにもてはやされるという風潮がないでもありません。しかし、福祉第一線の人材確保は、これはイギリスの施策に学ぶべきだと思います。国に働きかけることも含めて再質問と思ったんですが、なかなかここでどうこうと答えられないと思うので、強く要望しておきたいと思います。
 教育長にだけは1つ再質問させていただきます。
 定数内講師を減らす努力をしているという答弁ですが、結果としては減っていないわけですね。データをいただきました。小中高合わせて定数内講師は、平成15年には461人でした。平成20年には522人。61人ふえてるわけです。確かに退職者がふえてるから採用人数はふえてるんですが、結果としてやっぱり、定数内講師は減らす努力してると言ってるけど、実際は減ってないわけですね。
 私はここで、これ以上教育長の答弁が事実と違うじゃないかといって責める気はありませんが、むしろ前向きに今後は、やっぱり減らす努力をするというからには、減りましたというふうに結果を出していただきたい。そういうふうに努力したけども、採用者をふやしたけども、それは退職者がふえた結果であって、結果を開いてみたら定数内講師がまたふえてたということはないように、ちゃんと結果を出すということも踏まえて、この定数内講師を減らす努力をすることを改めてここで答弁をしていただきたいと思います。これは再質問です。
 次に、地上デジタルの問題は対策が進行中でありまして、国とNHKが責任を果たすように求めながら、さらに頑張っていただきたいと思います。
 ただ、努力したけれども、衛星放送というセーフティーネットに頼らざるを得ないという事態になる場合がある。そうなると、この天気予報は東京の天気予報になるんですか、どうなるんでしょうか。もちろん、東京でも全国の天気も出ますけれども、あるいは災害情報などは、地域の災害情報は入らなくなるという問題があります。
 それから、国民の中でそれへの対応がどこまで進められるのかという問題もあります。今ここで延ばせと言うたらこの取り組みがどうなるのかということがあるんでしょうが、いろいろぎりぎりまで取り組んだ上で、どうしてもアナログ放送の継続も必要ではないかということになる場合もあると思います。そうした場合は国に対しても働きかけもしていただきたいということも要望として申し上げておきたいと思います。
 以上で、私の第2回目の要望と1点の質問でございます。
○議長(大沢広太郎君) 以上の再質問に対する答弁を求めます。
 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 定数内講師の数の減少のことにつきましてでございますが、教員の募集人員のことに関しましては、教育委員会だけでなかなか決定できない部分もありますけれども、御承知のように、できるだけ結果として減少させる方向を目指して教育委員会としては努力をしてまいりたいというふうに考えます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再々質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時38分休憩
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