平成21年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)
県議会の活動
平成21年2月
和歌山県議会定例会会議録
第6号
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議事日程 第6号
平成21年3月10日(火曜日)
午前10時開議
第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第44号まで、議案第46号、議案第47号、議案第49号から議案第52号まで、議案第55号から議案第57号まで、議案第59号から議案第61号まで、議案第64号から議案第79号まで及び議案第81号から議案第99号まで(質疑)
第2 一般質問
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会議に付した事件
第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第44号まで、議案第46号、議案第47号、議案第49号から議案第52号まで、議案第55号から議案第57号まで、議案第59号から議案第61号まで、議案第64号から議案第79号まで及び議案第81号から議案第99号まで(質疑)
第2 一般質問
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出席議員(46人)
1番 泉 正徳
2番 山本茂博
3番 前芝雅嗣
4番 浅井修一郎
5番 吉井和視
6番 向井嘉久藏
7番 門 三佐博
8番 町田 亘
9番 服部 一
10番 平木哲朗
11番 花田健吉
12番 須川倍行
13番 大沢広太郎
14番 谷 洋一
15番 平越孝哉
16番 下川俊樹
17番 岸本 健
18番 川口文章
19番 尾崎太郎
20番 藤山将材
21番 新島 雄
22番 山下直也
23番 井出益弘
24番 宇治田栄蔵
25番 多田純一
26番 中 拓哉
27番 角田秀樹
28番 江上柳助
29番 山田正彦
30番 坂本 登
31番 尾崎要二
32番 中村裕一
33番 片桐章浩
34番 原 日出夫
35番 藤本眞利子
36番 長坂隆司
37番 玉置公良
38番 小川 武
39番 冨安民浩
40番 奥村規子
41番 山下大輔
42番 松坂英樹
43番 藤井健太郎
44番 雑賀光夫
45番 野見山 海
46番 松本貞次
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
知事 仁坂吉伸
副知事 原 邦彰
知事室長 曽根義廣
危機管理監 森 崇
総務部長 小濱孝夫
企画部長 前硲健作
環境生活部長 井口悦治
福祉保健部長 井畑文男
商工観光労働部長 永井慶一
農林水産部長 下林茂文
県土整備部長 茅野牧夫
会計管理者 雑賀忠士
教育委員会委員 宮永健史
教育長 山口裕市
公安委員会委員長 大岡淳人
警察本部長 永松健次
人事委員会委員長 守屋駿二
代表監査委員 楠本 隆
選挙管理委員会委員 森本明雄
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 蓬臺孝紀
次長 東岡誠吾
議事課長 薮上育男
議事課副課長 土井敏弘
議事班長 田中健司
議事課主任 中尾祐一
議事課主査 保田良春
議事課主査 石垣悦二
議事課主査 瀧川泰治
総務課長 笠松 学
調査課長 佐本 明
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午前10時0分開議
○議長(大沢広太郎君) これより本日の会議を開きます。
日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第44号まで、議案第46号、議案第47号、議案第49号から議案第52号まで、議案第55号から議案第57号まで、議案第59号から議案第61号まで、議案第64号から議案第79号まで及び議案第81号から議案第99号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
2番山本茂博君。
〔山本茂博君、登壇〕(拍手)
○山本茂博君 皆さん、おはようございます。一般質問4日目ということでお疲れになりかけのころではないかと思いますが、議長の許可を得ましたので、一般質問をさせていただきます。御清聴のほど、よろしくお願いいたします。また、当局におかれましては、誠意ある答弁、ひとつよろしくお願い申し上げます。
以下3点についてさせていただきます。1番目は地方分権についてであります。2番目は府県間道路泉佐野岩出線についてであります。3番目は公共交通機関の利用促進についてであります。
まず、地方分権について。
現在、国においては、平成18年4月に設立されました地方分権改革推進委員会を中心に地方分権改革が進んでおります。また、去年の12月8日に地方分権改革推進委員会が第2次勧告を行い、ことしの3月末ごろには第3次勧告を行うと言われております。今回質問をさせていただくのには、国、県、市町村の役割分担の中、この中二階と言われる県という立場で地方分権に対してどう対応していくかということであります。
まず初めに、国と県との関係についてであります。
去年12月の19日に、全国知事会が地方分権改革の推進に関する決議を行っております。その内容は、義務づけ、枠づけの見直しと条例権の拡大を評価するが、国の出先機関の見直しと地方の役割の拡大については、各省庁の抵抗のある中、分権委員会の姿勢は評価するが、いまだ二重行政解消には至っていないということであります。
また、政府に対して年度内に行うとされておりました出先機関の見直しの工程表の策定に当たり、積極的に国の出先機関の権限や事務事業の地方へのさらなる移譲を進め、国の出先機関の廃止、縮小に取り組むこととされております。また、3万5000人の職員削減、また地方振興局(仮称)は十分検討するようにということもありますし、また、道路、河川の権限移譲、そして権限移譲に対する財源や人材の確保、人材の移管、見直し等を工程表に明記するように要望されております。
また、第3次勧告案においては、第2次勧告案のさらなる見直し、8府省15系統以外の国の出先機関の見直し、そして枠づけについても4076項目の見直し、そしてまた関連する補助金の廃止、そして財政措置の要望、そして国税と地方税の税源配分などについて協議が行われるよう地方行財政会議(仮称)の法律設置を盛り込むことと言われております。
現在、国会において、また平成21年度の一般会計予算の審議がなされております。麻生政権の支持率低下により、国会において解散が取りざたされているのが今現状です。私は、第3次勧告がこの3月ごろには出されるということで、省庁の抵抗が大きい中で、これは本当におくれるんではないか、国における分権改革は本当に進むんだろうかと危惧をしております。
大阪の橋下知事が河川及び国の直轄事業に対して、府県の負担金の見直しを主張されて、府としては負担金を減らして負担すると言われております。また、和歌山県も賛成であると言われております。
先日、原議員から負担金について一般質問がありましたので省きますが、分権改革については民間出身の知事は前向きで、官僚出身の知事は前向きでないとよく言われます。国の分野の分権改革は言いにくい点はあろうかと思いますが、和歌山県を代表されているわけです。
まず、知事にお伺いいたします。第2次勧告に対する考え、そしてまた第3次勧告に対する要望について、またその中の国の出先機関、そして補助金、税源配分に関する知事の考えをお聞かせください。
次に、県から市町村に対する分権であります。
特に今後の県から市町村への分権に当たっては、基礎自治体に事務事業を優先的に配分し、地域における総合的な行政が実施できることを目的とされております。そのため、昨年5月に地方分権改革推進委員会から市町村に事務権限、最大で64法律359事務、一般市では48法律250事務を権限移譲するよう勧告が出されました。今後、分権一括法により、県から市町村への権限移譲が行われることが予想される状況です。
一方、和歌山県においても現在までに14法律を移譲しております。地方分権改革推進委員会が公表した資料によりますと、全国の都道府県では平均で40法律が移譲されております。和歌山県は下から5番目ということで、余り分権は進んでおりません。このような状況を受けて、昨年11月、知事は法律による一括での移譲に備えて、市町村への円滑な移譲を実現するため権限の移譲と合わせて必要な支援を盛り込んだ市町村への分権に関する計画を策定することを公表されました。それは、分権一括法の国会提出は平成22年3月までという期限が迫る中での対応であろうと思います。
勧告では、市には48法律に対して、町村は3法律の権限移譲しかないというふうには聞いております。法律での移譲となりますと、市には義務的に多数の権限が移譲されます。そのための策定を計画していると思いますが、このような権限について計画の中ではどのような位置づけで考えておられるのでしょうか。
分権については、各市町村にとって住民の身近な観点からの事務事業の遂行を可能とする点から、今後のまちづくりを行う上に大きな期待が持たれます。一方では、円滑な事務事業推進のために大きな不安を抱えている自治体もあるようにお聞きしております。
現在では、年度内の策定のため、市町村に対して内容の詳細な説明を行い、協議を進められていると聞いておりますが、その中で市町村からいろいろな要望が出されているというふうにも聞いております。そして、協議の中で一般市の受け入れ率は、2月ごろに私も聞いた範囲では75%から88%で、全市が権限移譲の受け入れに同意していないように聞いております。
市町村では、権限移譲に当たって、県に比べて専門性、また専門の資格等の習得が必要ではないかと危惧されている自治体もありますし、県としてあらかじめ指導員の派遣や職員の研修等を通じて各市町村の不安払拭に努める必要があるのではないかと考えます。
県で事務を行っている場合は事務件数が多いわけですが、市町村に権限移譲されると事務件数は少なくなってしまう。その結果、実務ノウハウの維持が困難になるのではないかと考えますし、また、権限の移譲後は、移譲したら終わりということではなく、移譲後も引き続き市町村職員の資質向上に努めるため、県として支援を継続していく必要があるのではないかと考えます。
このような人的支援に加えて、条例で県の権限を市町村に移譲するのでありますから、確実な財政措置を行う必要があると思います。このことについては、現在、既に権限移譲条例により、移譲した権限については人件費相当分を県から交付金として市町村に支給されております。しかし、実際の実務に当たっては、それだけではなく、事務関係の費用も生じていると思いますし、事務費や備品の購入費などの必要不可欠な費用、それも措置していくことが必要になるんではないかなというふうに思います。
また、地方分権を円滑に進めるため、市町村の十分な理解のもとに計画的に権限の移譲を進めることが重要であり、和歌山県の置かれてる状況から考えると、まさに早く行う必要があるんではないかなと思います。県としては、地方分権の流れの中で市町村を支援していただき、住民にとって身近なサービスは極力身近な市町村の窓口で提供できるように取り組んでもらいたいと思います。
また、分権が進むと市町村にとっては今まで以上にみずからが判断する場合も多くなるだろうし、首長にさらなる権限が移り、議会のチェック機能がますます大事になってくると思います。住民の皆さんもその意味を十分理解して、地域のことは地域で、地域の未来に責任ある判断をして、個性があって真に魅力的な地域づくりを進める必要があると思います。
また、反対に住民の方からよく「分権って何よ」、そして、「それは国の権限が県に行く、また県の権限が市町村に行くということと違うんかい」、また、「それによって権限の取り合いをしているんではないか」と、そういった理解しかされていないんではないかと思います。
分権が住民にとっていいのか悪いのか、これを示す必要があるんではないかと思います。そのためには、もっと県民に分権の意味について基本的な考え方を理解してもらう必要があるんではないかと考えます。
そこで、特に市町村への分権について、県として分権の基本的な考え方を知事からお聞かせください。
また、権限の移譲に当たって、市町村からの要望を踏まえ、市町村の円滑な権限の受け入れのための支援をどのように考えているのか。また、今後の取り組みについて、あわせて部長からお聞かせください。
次に、教育に対する分権であります。
まず第1に、県教育長の選任に対して、国の事前承認制が廃止されました。また、それによって市町村教育長と同様に教育委員会の中から選任されることになりました。同時に、市町村教育長の選任に対する県教育委員会の承認制も廃止されました。
また第2に、国は県教育委員会に対して、県教育委員会は市町村教育委員会に対して、それぞれの必要な指導、助言、援助を「行うものとする」とされておりましたが、これが「行うことができる」というふうに変わっています。
そして第3に、文部相及び都道府県教育委員会の都道府県教育委員会及び市町村教育委員会に対する指揮監督規定、そして是正措置要求についての権限、それが削除されました。
また第4番目に、都道府県教育委員会に市町村立学校に関する基準設定権限、これが廃止されました。それによって市町村教育委員会は、学校管理規定、通学区域の設定などに自由度を高められております。こうした教育分野における地方分権の流れについて、県教育委員会としてどうとらえ、今後どう対応していくのか、教育長からお聞かせください。
次に、2点目の柱であります府県間道路泉佐野岩出線についてであります。
府県間道路泉佐野岩出線について、新風吹トンネルの開通式、平成20年の4月21日、去年4月の21日に行いました。また、新風吹トンネル下りも平成20年の4月に工事が着工されまして、平成21年度末にはこの待ちに待ったトンネルが開通するものと思います。
昭和59年に府県間道路泉佐野岩出線等整備促進期成同盟会が設立され、事業計画の中に、2007年8月2日、第2滑走路もオープンされ日本初の世界標準空港となる関西国際空港が持つインパクトを最大限に利用するため、紀泉地域の発展と活性化を図る空港を起点とした和歌山県海南市(国道42号線)に至る府県道泉佐野岩出線を空港関連広域幹線道路、紀の川利水関連道路と位置づけし、計画的な整備促進する、そしてまた、府、県、国に要望活動すると期成同盟会ではうたわれております。
そして、我々も行動しているわけですけども、和歌山県の活性化の起爆剤として、和歌山県にとって府県間道路は、京阪神の通学、通勤の道路として、また旅行等を含めた関空のアクセス道路として、この道路の4車線化は住民が、県民が待ち望んでいる道路であると思います。
平成20年9月に風吹トンネルの近くで土砂崩れがありました。1週間ぐらいかかるんかなと思っておったんですけども、2日で開通されました。そのときには、運送業初め、いろんな人に迷惑をおかけしました。非常に停滞していたわけです。このときに最優先で早期開通をしていただきました。本当に感謝する次第です。そのぐらい重要な幹線であります。
また、平成21年度に4車線全線供用目標ということで、その点について問題があろうかと思います。
それは、まず大阪側について、平成24年度開通目標ということで金熊寺トンネルもできて、大阪側も少しずつ進んでまいりました。しかし、暫定2車線で供用開始であるということで、もう1本のトンネルがまだめどがついていないとお聞きしております。大阪府の橋下知事が、その関係次第でどうなっていくのか心配しております。しかし、去年の岩出市長選のときに来られまして、府県間道路早期開通に向け努力するとも言われております。期待を持たしていただいているわけですけども、この和歌山─大阪をつなぐ府県間道路、何本かあります。しかし、まさにこの泉佐野岩出線はもう少しでできる、大動脈が完成されると期待される道路であります。那賀郡が活性化される道路であります。もう1本の金熊寺トンネル開通を目指して、大阪側に県として最優先で早期供用に向けて取り組んでいただきたいと思います。知事の答弁をお願いいたします。
また反対に、和歌山県側にとりまして、22年完成ということであります。来年完成なんです。確かに、大阪側から備前交差点付近まで4車線化が完成ということであろうかと思います。全体事業概要の中で、事業箇所について、岩出市(府県界)から岩出市備前(国道24号交差点)となっております。また、平成2年3月に大阪府と同時に都市計画決定されました。
今、この紀の川にかかる和歌山県の橋梁、27橋あります。和歌山市において紀の川河口大橋から川辺橋まで10橋、そして紀の川市では新しくできた新龍門橋を含めて6橋、かつらぎ町は4橋、橋本、九度山は6橋です。岩出は1橋です。1つしかないんです。
岩出市の岩出橋は朝夕に限らず通行量が多くて、特に朝は備前の交差点から和歌山、貴志川方面に向いて渋滞します。また反対に、夕方には清和鋼業和歌山店から渋滞いたします。岩出市は人口5万という都市化が進んでおります。住民の皆さんから「もう一本橋あればな」とよく言われます。
渋滞解消は信号機の調整によって解消できるものなのですか、お聞かせください。
それだけ岩出橋の4車線化は待ち望んでいる事業なんです。和歌山県側として都市計画決定、それは大宮神社を通り、岩出橋を含む船戸までの区間を言ってるんです。都市計画された船戸までの区間はどうなるんでしょうか。沿線の住民から、「都市計画されて、もう19年も待ってるんだ」と、「この道路、いつできるんや」と言われてます。また、「立ち退き交渉でもいつでも協力するで」と、こう言われてるのが現状です。本当に19年間何だったんだろうということです。
そしてまた、期成同盟会で言われております要望の中で、海南市国道42号線までの船戸からの都市計画決定、これはどうなっていくんでしょうか、県土整備部長にお伺いいたします。
3番目の柱であります公共交通機関の利用促進についてであります。
大阪方面との府県間道路、京奈和自動車道等の整備も進められ、徐々にではございますが、企業誘致も実を結びつつある紀の川筋、これからの和歌山県経済を引率する地域となると考えられます。そういった意味でも紀の川沿いの町々、くし刺しするように東西につなぐJR和歌山線の存在意義はますます大きくなってくると思います。
私は、ガソリンが値上がりすればよいなと思っておりました。それは、この500ミリのミネラルウオーター、今、ペットボトル110円です。ガソリンよりも安いんです。不合理と思いませんか。
40年前、石油は21世紀の初めには枯渇すると言われておりました。もう枯渇してもいいんです。しかし、枯渇しないんです。何でですか。南極を初め、海洋開発が進んで海洋探査技術が進んできたんだからと思います。
しかし、石油は限られた資源であり、必ずなくなるものです、使えば。有効利用が必要だと思います。
私は、去年の3月ごろ、ガソリン140円ぐらいだったと思うんですけども、和歌山県庁舎に、ここに来るときにいつもインターチェンジのとこでは非常に込んでおりました。反対に8月の時点、ちょうどガソリンの値段が190円ごろだったと思うんですけども、がらすきの状況でした。それだけガソリンの高騰は庶民にとって影響が大きかったわけです。車に乗るのを控えたんではないかなと思います。
現在、我々は車社会を満喫してます。車社会の中で、通勤、レジャー等、車を利用しているわけですが、今どの車を見ていても、乗っているのは運転手1人だと思います。しかし、値上がりのとき、生活防衛のため、同じ会社に行く場合、乗り合いをされている方もあったんかな。また、バスまたは鉄道を利用されている方もおられたかなと思います。
今110円前後ということもあり、今議会出席するのに、また込み出しております。この前の出来事は何だったんだろう、この前の3月議会はどうだったんだろう、そのように思います。もう去年のことは忘れている。今、これが日本の状態ではないでしょうか。
アメリカでは、サブプライムローンをきっかけに金融危機、全世界を駆けめぐってます。2月に就任したオバマ大統領、環境に投資していくと言われております。また、日本を初め各国では、風力、太陽光発電を初め、車社会においても電気自動車の開発が進められると思います。石油に依存しない社会が求められています。去年の教訓が地球温暖化のための京都議定書、CO2削減、環境という課題のもとに、まさに公共交通機関が見直しされていくべきだと思います。
また、堺市などではシャープの臨海工場まで市電を新たにつくっていくということも言われておりますし、またJR紀勢線において、くろしお特急、スーパーくろしお、オーシャンアロー等、快適で便利なようになされようとしています。また、南海線においても新しく和大新駅もできますし、また貴志川線においても、猫のたま駅長で全国的に有名になっております。たまちゃん電車も運行されております。赤字で廃線となるところを地元の人たちの熱意で貴志川線が活性化されたものだと思います。
しかし、JR和歌山線についてはどうでしょうか。紀の川筋の主要公共交通機関であるJR和歌山線の利用者については、昭和50年をピークに平成19年では939万9000人と半減し、それに比例して列車本数も減少しております。JR和歌山線の活性化については、県や和歌山活性化協議会で、観光振興のため、粉河駅及び岩出駅でパーク・アンド・ライド等種々考えていただいておりますが、パーク・アンド・ライドの効果はどのようなものであったか、お聞かせください。
また、官民挙げてJR和歌山線の活性化に本腰を入れて取り組むべきと考えます。そして、私は、JR和歌山線の活性化のためには平日と土曜日・祝祭日について、分けて考える必要があるんではないかと思います。それは、平日の場合、会社の通勤、通学による利用を最大限利用してもらうのが大事な点ではないかと思います。
また、関連して、環境面から取り組んでいるノーマイカーデー運動にどの程度の協力が得られているのか。和歌山沿線に住む県庁職員の参加状況はどうなっているのか。また、民間企業の協力状況はどうなっているのか。県や市町村が民間に働きかけている限り、身をもって模範を示すべきだと考えますが、当然、家庭や職場の理由で参加不可能な職員は対象外とすべきと思います。職員の通勤にはJR和歌山線を初めとする公共交通機関を原則利用すべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、土日・祝祭日には、地域活性化のため、名所旧跡等の緑の歴史街道等を利用した県、市、町村一体となった活性化に取り組む必要があると思いますが、いかがでしょうか。
JR和歌山線の駅には徒歩か自転車でしか行けないようなところが多く、一般人が利用しようにもできない状況があり、パーク・アンド・ライドを実施したり送迎したりするためには、せめて車で駅前まで乗りつけるようにすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
また、公共交通機関の利用を促すのであれば、駅舎周辺に人が住んで当然であると思います。JR和歌山線の駅の周辺では、そういった観点からの都市計画、まちづくりはなされていないように思いますが、沿線の市や町に対して指導や協議はなされているのか、お伺いいたします。
これらのことを踏まえ、JR和歌山線に対する活性化策をどのように考えているのか、部長からお聞かせください。
最後に、私はよく住民の皆さんから言われるのは、岩出市は車社会の中では府県間道路岩出線もあり非常に便利な市になっているなと、しかし車がないと不便な市やなとよく言われます。それは、大阪に行くのに、岩出駅から和歌山駅に行って、阪和線に乗って行くということでした。本当に遠回りです。夜、大阪から阪和線に乗りますと、山中渓から大阪──雄の山トンネルを越えますと、今まで真っ暗けなトンネルの中からぱっと明るく見えます。それは岩出市の水鉄のマンションなんですけど、あの向こう6キロに岩出駅やなと、こない思うんです。
過去にも紀伊駅と岩出駅をつなぐという一般質問あったと思います。今から線路を引くというのは非常に大変であるというのもわかります。そしてまた、JR和歌山線、赤字だというのも承知してます。しかし、今までのマイナス思考じゃなしにプラス思考でやっぱり考えていく必要もあるんではないかと。
先日、向井先輩から、南海線のなんば─橋本間1時間20分を45分で非常に経済効果があるという話がありました。本当に私もそう思います。和歌山県の課題であります過疎対策も大事ではあると思いますが、この和歌山県の中、唯一人口増大しております岩出市、これから和歌山県の人口が減少し、2年後には100万人切るだろうと言われている中、大阪のベッドタウンとして、岩出市を含めた紀北地域の活性化のため、和歌山県浮揚のためにぜひ必要なことだと考えます。
そこで、紀伊駅と岩出駅をモノレールでつなぎ、活性化に役立てることはできないものかと考えるわけです。知事の答弁をお願いいたします。
以上で、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの山本茂博君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、地方分権についてお答え申し上げます。
私は、地方分権改革推進委員会の役割は、地方分権といってもこの国のあり方を議論しているのでありますので、日本がよりよい国になるために国が何に責任を持たなきゃいけないのかということを明らかにした上で、それ以外の分野は全部地方に任せておけばよいというふうに政府に勧告するべきではないかと私は思っております。
しかしながら、昨年の5月でございましたか、第1次勧告がありました。これは、このような国の役割を再規定するような骨太のものとはなっておりませんでしたと、私は思いました。それで、新聞から「どうですか」と言われましたので、私は率直に「余り評価しません」と言いました。ところが、次の日に新聞を見てみますと、びっくりしたことに、多分ほかの知事さんもぼろくそに言うだろうなと思っておったら、そしたら私だけが「余り評価しません」で、あとは「大変評価する」とか「評価する」とか、そういうことでございました。後で知事さんと議論すると、みんなどちらかというと反対のことを言っておったんですが、多分儀礼とかそういうことを重んじたのではないかなというふうに思いますが、私は率直に申し上げました。
その後、ちょっと思い出したのでございますが、朝日放送に各知事が呼ばれました。和歌山の宣伝もしようというふうに思いまして積極的に勇んで参加さしていただきましたら、分権に反対するのは仁坂さんだけで、残りの知事さんはみんな賛成だと、こういうふうなパネルが出ておりまして、「これに対してあなたはどう思うか」と言われましたので、私は「逆である」と。「実は、地方分権推進委員会の第1次勧告というのは不十分であると自分は思っていて、もっと分権を進めるべきだというふうに思ったから評価しないと言ったんです」と言いましたら、テレビのキャスターとか、あるいはゲストでコメンテーターがおられるんですが、「おもしろくないな」と言って、「それはつまらんな」と、私の不十分であるという答えを聞いてそういうことを思わず放送してましたから入ったんじゃないかと思いますが、口に出しておられました。多分、分権に反対というのが官僚出身の仁坂知事で、それで残りはみんな賛成だと、こういうふうに言ったほうがおもしろいというふうな企画であったんだろうと思いますが、決してそんなことはなくて、本当の分権をやるべきだと、私はそう思っております。
で、第2次勧告、これも実は第1次勧告の延長線上で行われたと思います。私は、第1次勧告が是であるとすると、第2次勧告はよく議論されたものと考えています。しかしながら、先ほど申し上げましたように、第1次勧告がちょいと不十分であったと私は思っておりますので、したがって、第2次勧告についても、その第1次勧告の方法論がそのまま踏襲されておりましたから、したがって不十分ではないかなというふうに、残念ながら思っています。特に国の出先機関の統廃合案だけが議論になりましたけれども、これについては、第1次勧告が正しければよく考えられたものだと、だけど、そういうものだけではないんじゃないかというふうに私は思いました。
また、第3次勧告では、国と地方の税財政構造の見直しが主要なテーマになるようでありますが、私は、国と地方の役割分担を徹底的に見直した上で、先ほど申しましたように、国が行うべき事業、これをちゃんと規定して、それで、それについては国がちゃんと財源も持って、責任も持って、それから地方が残りはやるべきで、地方が責任を持つべき分野になりますが、それについては国からの補助金とか関与とか、そういうものに頼ることなく地方が判断をして財源で賄えるというふうにすべきであると考えております。すなわち、自己責任が重要であると思います。
ただし、それが、和歌山県もそうでありますけれども、和歌山県の市町村、もっとそうでありますが、財源が乏しい地方に住んでいる方が切り捨てにされるということになってはいかんというふうに思っております。そこで、財源が乏しい地域に住んでいる人にもひとしく国としてはこれだけのものはちゃんと保障するというナショナルミニマムが必要であります。そのための財政調整制度を一番立派なものをつくって、ちゃんとそれを保障した上で地方分権を進めなきゃいけないと、そんなふうに考えております。
そういう意味で、分権委員会にはぜひ頑張っていただいて、日本という国家はどうあるべきか、地方が生きていくにはどうしたらいいか、そういうことを根本的な議論を行った上で第3次勧告を出していただきたいと考えております。
それから、市町村への分権に対する基本的な考え方でございますが、これも先ほど申し上げましたように、県と市町村も同じことではないかと思っております。地方分権の大きな方向性を踏まえますと、先ほど言いましたように、県としてこれは統一的にやらなきゃいけないというもの以外は住民に身近なところでできるサービスということになりますが、それは住民の身近なところで、すなわち市町村で行うということが望ましいと考えております。
一方、国の地方分権改革推進委員会でも、実はこれについては勧告がありまして、最大64法律359事務について法律の改正による県から市町村への分権を勧告しております。このような状況を踏まえ、県としては今月末に今後の分権の基本的な方針を定めた市町村への分権に関する計画を策定する予定としております。市町村が担う分野については、みずから主体的に責任を持って判断できるような仕組みをつくるために、分権委員会の勧告に盛り込まれた権限を中心に市町村の理解を得た権限を計画に位置づけることとしております。
県で統一的に、先ほど言いましたようにやる必要があるというもの以外は、県がみずからの権限に固執して渡したくないなどというようなことは一つもございません。むしろ逆に、それはちょっと引き受けるの困るなというような話が結構あります。人材養成とか財源とか、山本議員の御指摘を十分胸に秘めまして──秘めましてというか踏まえまして、今後はこの計画に基づき円滑な市町村への分権を進めてまいりたいと考えております。
それから、府県間道路泉佐野岩出線の大阪側の早期4車線供用に向けた取り組みでございます。
これについては、府県間道路すべて重要なんでございますけれども、特に関西国際空港へのアクセス道路として、紀北に住んでおられる、特に紀の川筋に住んでおられる方々は、特に重要な道路だというふうに考えております。
まず和歌山県側は、御指摘のように、国道24号線から府県境まで4車線で、もうちょっとでございます。来年度中、平成21年度に完成する予定であります。一方、大阪側につきましては、長い間というかしばらくの間、凍結をされた──ここだけは少しやってくれたようでありますけども──そういうこともございましておくれております。御指摘のように、事業中の泉南市信達金熊寺から府県境までが平成22年度にようやく暫定2車線で供用されると聞いております。
これで改良がされると思います。車の流れもよりスピードアップされると思いますけれども、これはあくまでも暫定であります。したがって、今後、京奈和自動車道の整備の進展に伴いまして、さらなる交通量の増加が見込まれております。これは、371号について起こった事実と全く同じことが起こるんではないかと考えております。したがって、暫定供用後も引き続き早う4車線にしてくれということを大阪府に強く働きかけていきたいというふうに考えておりまして、実は一生懸命努力はしております。
それから、モノレールの話でございます。
何でもプラス思考は大事だとおっしゃいましたので、私もそう思います。大賛成でございます。ただ、議員御提案の岩出駅─紀伊駅間のモノレールの敷設については、ハードルは高いというふうに正直言って感じております。ただ、議員からの貴重な御提言として承っておきたいと思います。
さらに、仮にモノレールがすぐに実現できなくても、紀伊駅周辺の道路をよくして、それで行きやすいようにすると。特に公共交通機関、バスなど、それで早く行けるようにして利便をかなえるということは大変大事なことだと思いますので、これも実は宿題になってる路線なんですけれども、今後頑張ってやっていきたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 総務部長小濱孝夫君。
〔小濱孝夫君、登壇〕
○総務部長(小濱孝夫君) 地方分権に関連して、円滑な権限移譲のための支援についてという御質問にお答えいたします。
市町村への分権に伴う市町村からの要望を踏まえた県の支援につきましては、先ほど知事の答弁にもございましたように、市町村の理解を得た上で、今月末に策定を予定しております市町村への分権に関する計画に位置づけることといたしております。
議員御指摘のとおり、2月ごろまでは各市町村からさまざまな御意見をいただいておりましたが、現時点では各市町村との調整が進んできております。
支援の具体策といたしましては、市町村職員の専門性の向上のための必要な知識を習得するための研修会の開催やマニュアルの作成、それから職員を派遣した指導等の事務支援を行ってまいります。
さらに、権限の移譲に伴い発生する市町村の事務費等につきましては、必要な経費を適切に算定した上で所要の財政措置を行うこととしております。
今後の取り組みにつきましては、計画に基づき、事務支援や所要の予算措置、また関係条例の整備、広報活動等を着実に実施し、来年4月からの市町村への分権が円滑に行われるように努めてまいります。
以上です。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 府県間道路泉佐野岩出線の備前以南の今後の取り組みについてでございますが、国道24号備前交差点から岩出橋を経て岩出市船戸に至ります1.3キロ区間は、4車線で都計決定されております。この区間の現道は2車線で、岩出橋への交通集中から特に船戸交差点付近の渋滞が著しく、早急に整備する必要があると考えております。
このため、当該区間については、今後、計画について地元調整を進め、岩出市に早急に地籍調査を完了していただき、地元の協力が得られ次第、事業に着手してまいりたいと考えております。今後とも御協力をよろしくお願いしたいと思います。
さらに、船戸からの南進、南側の件ですけれども、京奈和自動車道とこの備前船戸線の間の整備の進展を見ながら検討してみたいと考えております。
以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 企画部長前硲健作君。
〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) JR和歌山線の活性化についてでございます。
JR和歌山線の利用客数の減少と低迷につきましては、私どもも大変な危機感を持っているところでございます。
そこで、その活性化でありますが、議員から御指摘ありましたように、通勤・通学における利用増、さらに加えて観光による集客、この両面作戦でもって対応していく必要があるかと思っております。幸いにして、沿線には観光資源が豊富でございますし、沿線人口は多い。高校が10校もございます。これらの諸条件を最大限利用促進に生かしていくことが肝要であると認識しております。
具体的には、通勤・通学では、自治体はもとより民間企業の利用拡大を働きかけることに加えまして、便数の増など利便性の向上が課題であると思っております。
なお、この点に関しまして、議員御質問の県庁で行ったノーマイカーデー運動とパーク・アンド・ライドの社会実験、これについてはどうかということですけども、正直なところ、必ずしも期待したところの成果につながってはおりません。このため、もう少し有効な手だてはないかと庁内でプロジェクトチームをつくりまして、目下検討をしているところでございます。
また、観光集客の面では、例えばハイキング需要の掘り起こし、あるいは駅からの周遊の利便性を確保するためのレンタサイクルなど、そういったもろもろの方策を広角的に検討していく必要があると考えております。
議員からまた御指摘のありました駅周辺の計画的なまちづくりについてでございます。これも大変大事な問題であると認識しておりますけども、課題も多く、一朝一夕には進みませんので、まずは駅の有効活用による人が集うにぎわいづくりを進めていけないものかと考えておりまして、地元での無人駅の利活用案の検討とあわせてJR側にもこうしたことの条件緩和などについて要請をしているところでございます。
いずれにいたしましても、議員御指摘のように、官民を挙げて本腰を入れて取り組まないといけない喫緊の課題でありますので、住民ぐるみの利用促進を展開したいと考えており、JR西日本、さらに沿線市町とも意見交換をしながら検討を進めてまいりたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 教育長山口裕市君。
〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 地方分権についてお答えいたします。
教育分野における地方分権につきましては、教育の機会均等や教育水準の向上を図りながら、国と県、県と市町村との適切な役割分担と相互協力のもとに行われなければならないというふうに考えてございます。
これまでに行われた地方分権の事例といたしましては、議員御指摘の教育長の任命承認を初めとする教育委員会に関する制度の見直しや文化財保護行政に関する権限移譲などを実施しているところであります。
また、平成20年5月に出されました地方分権改革推進委員会第1次勧告におきまして、市町村立小中学校教職員の人事権や学級編制に関する権限等について都道府県から市町村に移譲する方向で検討すべきであり、中核市については先行して実施すべきであると示されました。
本県におきましては、これ以前に市町村教育長の代表者等と協議の場を持つとともに、この勧告を踏まえて、中核市である和歌山市の担当者と現状や課題について共通理解を図っているところでございます。
小規模市町村を持つ本県におきましては、全県的な教育水準の維持向上や公平性を確保する、このための適切な対応が求められますので、市町村への人事権や学級編制に関する権限の移譲につきましては、国の動向を見守りながら、さまざまな観点から慎重に研究をしてまいります。
以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 以上で、山本茂博君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
44番雑賀光夫君。
〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。
第1の柱は、新自由主義が生み出した今日の経済問題をどう考えるかという問題です。
ことしの1月5日に海南下津港湾振興会の新年会がありまして、3人の地元県会議員が毎年かわるがわるあいさつさせていただくんですが、ことしたまたま私の番でありましたので、こんなことを申し上げました。「明けましておめでとうと言うのもはばかられるような経済情勢です。首を切られた派遣労働者、胸が痛みます。また、地球温暖化が大きな問題になっています。こんな中、今までの考え方ではやっていけないと多くの人が考え始めています。かつては、日本で米をつくらなくても、1台でも多く自動車をつくって輸出したらいいという考え方もありました。今そんなことを言う人はいないと思います。交通運輸では、日本では50年前から鉄道、船舶から自動車、航空機に大きくシフトしてきました。地球温暖化が心配される中、これでいいのでしょうか」。3分ほどの短いあいさつでございましたので言葉足らずもありますが、眼目は、今までの考え方ではやっていけないと多くの人が考え始めていますと述べた点でございます。
昨年から100年に1回というような大変な経済危機が起こっています。自然災害のように言う方もおられますが、私は政治災害だと思っています。
それはさておき、政治や経済政策にかかわってきた皆さんの論評は大変興味深いものがございます。昨年末から大きな反響を呼んだのは、中谷巌さんという方が「資本主義はなぜ自壊したのか」という本を出版されたことでした。私も取り寄せて読んでみました。この本は自戒の念を込めて書かれたざんげの書であると言っています。
この方は、日産自動車の社員であったが、ハーバード大学に留学して近代経済学を勉強した。当時のアメリカの豊かな生活、すばらしい大学の研究環境に目がくらみ、それが新自由主義の経済政策の結果であるように錯覚してしまった。そのことを御自分で「私はアメリカかぶれになった」と書いていらっしゃるわけです。そして、日本に帰ってきて一橋大学などで教鞭をとるんだけれども、小渕内閣のとき、堺屋太一さんに請われて経済戦略会議に参加し、その議長代行にまでなった。メンバーには竹中平蔵さんもおられた。ここで新自由主義の規制緩和路線をしいた。その路線の上で小泉構造改革が行われ、今、格差と貧困が大問題になっているわけでございます。
竹中平蔵さんは小泉内閣のブレーンとしてその路線を突き進むわけですが、中谷巌さんは、官邸から離れて、その推移を見守っていた。そして、自分のとんでもない錯覚、アメリカかぶれに気がついたとおっしゃるわけです。今までの考え方ではやっていけないと多くの人が考え始めていますと私が申し上げたことがまさに当たっています。そして、そのことを率直に告白しておられる。
その一方で、自分が推し進めた経済政策の結果に全く頓着しないように見える経済理論家もおられますし、あるいは自分が当時は閣僚でありながら実は郵政民営化に反対だったとおっしゃる方もいらっしゃる。どれがいいとか悪いとかは言いませんが、それぞれの人間性や考え方が浮き彫りになって大変おもしろいなと思います。
そこで、知事にお伺いいたします。
知事は、2003年まで現在の経済産業省にいらっしゃった。御自分でも「私は経済官僚でしたから」とよくおっしゃいます。もちろん、トップではないから政策決定の責任者ではないけれども、政策の実施に当たられたのでしょう。あるいは、トップが選択した政策を心配して見守っておられたのかもしれません。こういう立場におられた方として、恐らく中谷巌さんという方のことは私などよりもずっとよく御存じでしょう。中谷さんの発言についてはいろいろな感想をお持ちかと思います。そういうことも含めて今日の経済問題をどう考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
次に、さきのあいさつで、鉄道、船舶から自動車、航空機に大きくシフトしてきたが、これでいいのかと申し上げたんですが、第2の柱は鉄道を守るかであります。
先ごろから山本議員からもいろいろなお話がございました。和歌山県で鉄道問題での最近の快挙は、貴志川線を守る運動でした。地元の住民の交通手段を守ろうと、県議会では超党派で協力し、知事も、和歌山市長、紀の川市長、そして何よりも住民組織の皆さんが頑張られた。あのときはたま卿という救世主があらわれるとは予想もしませんでしたが、本当によかったと思います。
しかし、よかったと言っているだけでいいのでしょうか。JRきのくに線の乗降客数は、1970年の4670万人から2006年には1000万人減っています。和歌山線については先ほどから言われたとおりです。県の長期総合計画には交通ネットワークの充実という項目がありますが、道路交通網の整備は極めて具体的なのに対して、公共交通の利便性向上と利用促進という項目は、具体性を欠くように思われます。
和歌山県ではかつて和歌山線を守る会というものが結成され、ローカル線への格差運賃導入に反対する交通権裁判というものが闘われたことがあります。それは公共交通としての和歌山線を守る運動でありまして、当時の国鉄としても、本当なら喜んで陰ででも協力すべきものだったと私は思っています。
先日の新聞を見て残念だったのは、JR西日本の関連会社がすさみ町内でモノラックを設置するために熊野古道を壊したというニュースです。JR西日本が県民とともにきのくに線を守ろうと真剣に考え取り組んでおられたら、こんな事件は起こさなかったのではないかと思わざるを得ません。
そこで質問ですが、第1に、公共交通の利便性向上と利用促進のために、さらにはこれ以上の公共交通、特にJRの廃線や間引き運転が起こることのないように、どういう施策をとられるのでしょうか。
第2に、貴志川線を守った取り組みに学んで、和歌山線にしても、きのくに線にしても、県民とともに公共交通を守るという観点が大切だと思います。すさみ町での残念な事件も踏まえて、JR西日本も住民とともにしか生き延びる道はないということをわかってほしいと思いますし、県としてもそういう取り組みを進めてはどうかと思うのですが、いかがでしょうか。
以上、企画部長からお答えください。
第3に、県として職員の出張にもっと鉄道を使っていいようにも思います。知事も公用車で県内をあちこち駆け回るのでしょうが、時には寄り道の必要がないとき、ゆっくりと鉄道を利用されたらいいと思います。そんなこともあるんでしょうか。今後いかがでしょうか。知事の御意見をお伺いいたします。
第4に、具体性を欠くという中でも具体的に進められているように見受けられるのが、JRの駅バリアフリー化であります。黒江駅のバリアフリー化については海南市との協議がされているようですが、進捗状況はいかがでしょうか。また、乗降人数5000人を割る駅も含めた計画はいかがでしょうか。企画部長からお答えいただきたいと思います。
第3の柱は、精神障害者医療についてであります。
まず、精神障害者医療費の改善を先送りしたことは重大な問題だということを指摘したいと思います。一日も早く改善していただきたい。要望といたします。
次に、精神障害者の方々を支援する問題について、その実態を申し上げ、行政としての支援を訴えたいと思います。
統合失調症というのは、なかなか理解されにくい病気です。先日、精神障害者の作業所を訪問してお伺いしまして、私も少しわかってまいりました。100人から120人に1人という発症率なんだそうです。
この病気は早期発見、早期治療が大切だと言われています。最初は不安や被害妄想があらわれ、引きこもりがちになる。閉じこもって暴れたりして、重度になってから仕方なく精神科医に相談するケースが多いんだそうです。私も近所で閉じこもり切りになっている方を専門の方と訪問したことがありますが、「帰れ」とどなられて取りつく島がありませんでした。暴れたりして警察ざたになった場合、それをきっかけに治療を受けることになる。地域には治療を受けていない患者の方がいらっしゃると考えられます。
大変よくできると言われている子供さんが発症する場合も多い。大学に入ることだけを目標にして一生懸命勉強した子供さんが大学に入って、さあ自由にやりなさいと言われると、どうしていいのかわからない。
作業所の方がこんな説明をしてくれました。その子に110円渡して「自動販売機で好きなもの買いなさい」と言っても、自分で決められないんです。「これにする?」といってウーロン茶を買わせると、次からはウーロン茶ばかりを買うようになるんです。こんな1例ですが、生活のしづらさが出るんだそうです。
よい子であり、優秀だった子供が突然大学に入ってから発症するわけですから、親はその病気を受け入れることができない。子供と一緒に死のうかと思ってしまう。その気持ちが子供に伝わって、「僕なんか生まれてこなかったらよかったんですね。親に殺されるかもしれない」と作業所の指導員に訴えるのだそうです。
2月の14日に和歌山地方裁判所で懲役7年の判決を出された、母親が娘を殺害した事件があります。実は、その母親というのは私の短い教職生活の最初の年の教え子でありました。まじめな優しい子でした。それだけに生傷に触れるようで事件に触れたくなかったんです。しかし、精神障害者の家族会の方や当事者の皆さんにお会いし、支援者の方から、だれかがこの問題を取り上げて、みんなで考えましょうと言わなくてはならないと言われて、ここでお話しする気になったんです。
今、イギリスでは、家族を介護者として位置づけ、その支援を進めていると言われます。今でも家族が介護しているではないかと言われるかもしれません。介護というのは、精神障害についての専門知識を持って適切な対応をすることです。現状は、家族が患者に振り回され、悲嘆に暮れ、くたびれて一緒に死にたいというところに追い込まれている場合が多いんだそうです。イギリスの研究者の報告では、介護援助者、家族への心理療法をすると患者本人への心理療法以上に効果が上がったと言います。イギリスでは家族支援ケースワーカーという職種を新設し、短期間のうちに700人全国に配置したそうです。
このたびの事件では、司法は私の教え子である母親に懲役7年の実刑判決を下しました。その判決についてとやかく言う気はありません。しかし、一般論として、行政としてもっと家族支援をする必要があるのではないかと思わないではいられません。
そこで、質問であります。
第1に、統合失調症を初めとする患者の実態についてどのように把握され、どう支援されているのでしょうか。早期発見、早期治療のために相談窓口を開くだけでなく、広く周知することが必要です。また、相談を待っているだけでなく、地域、家庭に出向いて軽度のときから相談に乗ることが大切だと考えますが、いかがでしょうか。
第2に、家族支援の重要性が注目されているわけですが、イギリスの研究や取り組みをどう受けとめられているでしょうか。家族を支援するために専門職がどのように配置されているのでしょうか。増員するように県だけでできなければ国に働きかける必要があると思いますが、いかがでしょうか。
第3に、差し当たり患者を短期間でも預かっていただくショートステイやグループホームのようなものがもっと欲しいという要望を伺いました。いかがでしょうか。
以上、福祉保健部長からお答えいただきたいと思います。
第4の柱は、無料低額診療事業の拡張についてであります。
私どもが海南市のハローワークの前に開いている生活相談所には、さまざまなケースの問題が持ち込まれます。自己負担が困難なために病院に行こうとしない方もいらっしゃいます。
こうした問題に対応する制度として、無料低額医療事業というものがあります。社会福祉法に定める生計困難者のために無料または低額な料金で診療を行う事業であり、患者の相談、申請に応じて医療費を免除され、病院は、場合によっては税負担の軽減を受けられる場合もあるものです。日本共産党の小池議員の質問趣意書で、厚生労働省も決して抑制の立場でないということが明らかになったものです。けれども、これまでは、県内でもこうした制度を活用したいという医療機関の申し出に対して消極的な対応をした行政自治体もあったというふうにお聞きしています。
そこで、質問でございます。
県内ではどういう病院で無料低額診療事業を行っているのでしょうか。今日の格差と貧困が広がっている中で、そうした医療機関を広げていく必要があると考えますが、積極的に広げていかれるのでしょうか。福祉保健部長からお答えいただきたいと思います。
第5の柱は、学校現場の身分不安定教職員の問題です。
今、民間では、使い捨てにされる派遣労働者、非正規労働者の実態、これでいいのかと大きな問題になっています。それは民間企業だけの問題でありません。ここでは、学校現場の非正規雇用教職員の問題についてお伺いいたします。
第1は、数100人の教員が定数内講師と呼ばれる身分不安定な立場に置かれていることです。教育委員会が教員採用試験の合格者を絞っている。その結果、教員免許を持っているけれども採用試験に合格していない方を講師として採用します。次の年度に正式採用されようとすれば、採用試験に合格しなければなりません。しかし、大変な教育現場の中で子供と真剣勝負をしていると、ペーパーテストの準備ができないで悩みます。こうして教育現場で経験を積み、情熱を持ち、周りから力量を認められながら身分不安定なままで教育に取り組んでいる方が大勢いらっしゃる。私は、すぐにでも定数内講師を半分以下に減らすだけの教員採用をすべきだと思います。そして、定数内講師として経験を積み、試され済みの教員を優先して採用すべきだと思います。教育長は、それぞれどうお考えでしょうか。
さらに、不安定な立場に置かれている教員の方がおられます。その第1は、産前産後休暇、育児休業などの補充教員の皆さんです。その第2は、小規模の中学校で免許外担当を解消するために免外解消非常勤講師というものが廃止され始めたのは、学校や子供たちにとっては大変ありがたいことです。しかし、その講師の方は大変です。僻地にある3つもの中学校を駆け回らなくてはならない場合がある。時間講師だから授業時間分しか給料が出ません。しかし、授業したクラスで子供の問題があれば残って相談することもあるでしょう。音楽の先生なら、文化祭があればつき切って取り組むこともあるかもしれません。そういうことの保障はどうなるのでしょうか。こういう実態をどう考えておられるのか。また、この問題を解消するために一定数の教員をプールして産休補充、免外解消など各種の仕事に派遣するのは一番いいと思うんですが、教育長はどうお考えでしょうか。
第6の柱は、地上テレビ放送のデジタル化についてであります。
昨年6月の県議会でもお伺いいたしましたが、2011年が間近に迫ってまいりますと、利用者1人1人の側から、私の家はどうなるのか、どうしたらいいのかという質問が寄せられています。ますますきめ細かな対応が必要です。アメリカでは、オバマ大統領が一定期間実施を延期したということもありました。進展ぐあいによってはそういうことが必要な場合もあると思います。
そこで、お伺いいたします。
その後の国の難視聴対策の進展はいかがでしょうか。点在する難視聴地域対策など、利用者の側から見てわかりやすい説明をお願いしたいと思います。そして、今後の取り組みについて県としての考えはいかがでしょうか。
以上、企画部長からお答えいただきたいと思います。
以上で、私の第1回目の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、一番初めの雑賀議員のお言葉で言いますと、新自由主義が生み出した今日の経済問題をどう考えるかということについてお答え申し上げたいと思います。
この新自由主義なるものが何なのかというのがまたよくわかりませんで、似たような名前の出版社もあったなというふうに思っておりますが、中谷さんについては、私は大変学者の先生方と親交が厚いんですが、たまたま残念ながら個人的には1回もお会いしたことないし、お話ししたこともなくて、また、中谷さんが確かに一世を風靡してたときがあったんですけれども、残念ながら御本も読む機会を逸しました。今回もちょっと、業務の多忙ということもあるんですけども、新聞なんかで話題になってるということを知っておるんですが──いわゆるざんげの書ですね──雑賀議員がおっしゃったざんげの書についても読んでおりません。
ただ、部下で読んでおる、職員で読んでおる者がありまして聞いてみると、そのざんげがどうしたこうしたというのはわかりませんけれども、個々のいろいろ論拠に挙げているいろんな立論については当たり前のことを言っていないのかなというふうに思います。
現在、アメリカのサブプライムローン問題に端を発した世界的な不況は、本県経済にも、特に中小企業の資金繰り悪化とか、あるいは経済全体の調子が悪くて雇用情勢が深刻化するなど、大きな影響を及ぼしております。
経済は生き物であります。したがって、活力がないときは活力を出すようにどうしたらいいかと。例えばメンテも要るし、対策も要ります。そのために経済政策というのはあるんだろうと思います。
ただ、経済を回していくために市場競争を基本とするシステムというよりも、ほかの、それ以外のシステムがあるかどうかという点については、多分ないんじゃないかなというふうに私は思います。これにあえて目をつむったソ連が、あるいはアジアの幾つかの国が、とうとう経済が破綻して国家まで消滅してしまったということは厳然たる歴史の事実であります。
ただ、市場経済あるいは市場競争を基本とするような制度といっても、すべて競争だけがよろしくて、その経済政策は規制を外すことで政府はそれ以外何もしないのがいいんだと考えるのは、これは間違いというよりも、経済学の初歩あるいは経済政策のイロハにもとる話だと思います。何でもマーケットに依存するんじゃなくて、マーケットが間違うこと、あるいは人々の幸せのためにならないようなことは、ちゃんとした制度の枠組みをつくって、その中で活動していただくというのが正しいやり方で、かつ、いろんな時々発生する問題についても、それぞれの国民の賛同を得て適切な経済政策を打っていくというのが大事なことであると思います。少なくとも和歌山県では、県の財政や政策で経済政策をやる、あるいは景気対策をやるというのは限度があるんですけれども、我々のやれる限りにおいて全力を挙げてこれをやっていきたいというふうに考えております。
それから、知事や県職員の出張にもJR利用促進をということでございます。
私も紀南へ遊びに行くときは、実はJRをよく利用します。時々だれかにお会いいたしますが、出張のときはどうしても時間を惜しむこともありまして車のことが多いんですけれども、私を初め職員の出張時のJR利用については、公共交通を守っていくということにもなりますので、職員はもとより私も、可能であれば、JRを含めた、すなわち大事な白浜空港も関空も両方念頭に置いて、できるだけ公共交通機関を利用していきたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 企画部長前硲健作君。
〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) 公共交通、特にJRの利便性向上と利用促進、それとJRとの共同ということについてでございますけれども、鉄道を維持していくというためには利用者をふやしていくということが最も重要でございますので、公共交通機関はみんなで利用し、支えていくという気持ちを持つことが必要であると考えております。
こうしたことから、これまでも県、沿線自治体、JR西日本が連携して取り組んできたところでありますけれども、例えば和歌山線について申し上げれば、現在、和歌山電鐵の取り組みを参考として、民間団体や地域住民などの参画も得て、JR、地域と一体となっての利用促進に取り組みたいと考えているところでございます。
それから、バリアフリーに関して、黒江駅のバリアフリー化でございますけれども、この21年度から2カ年での工事を予定しておりまして、今議会に海南市への補助金1180万円をお願いしております。
駅舎のバリアフリー化の計画につきましては、国の目標では、1日当たりの平均的な利用者数が5000人以上である駅については平成22年12月までに原則としてバリアフリー化を実施するということになっておりまして、現在、国の支援も得ながら進めているところでございます。
黒江駅が終わりますと、これで5000人以上の駅については県内での9駅すべてについて完了することになります。
また、今後、高齢化の進展に伴い、5000人未満の駅についてもバリアフリー化が必要でございます。既に幾つかの駅で実施をしておりますけれども、市町村と連携しまして引き続き国の支援が得られるよう要望してまいりたいと考えております。
最後に、地上テレビ放送のデジタル化についての3点の御質問に一括してお答え申し上げます。
まず、国の難視対策につきましては、知事を先頭に、国に対し、精力的な要望活動等を実施してまいりました。その結果、平成21年度の国の予算では、共聴施設の新設に対する補助率の拡充、経済弱者への受信機等の無償配布など、前年度比8倍の大幅な増額がなされたところでございます。また、NHKによる支援策も新設され、共聴施設改修時の住民負担が大幅に軽減される見込みとなりました。県としては、これら支援策を効果的に活用できるよう、国、市町村と調整を図ってまいりたいと考えております。
次に、難視対策など、利用者に対するわかりやすい説明についてでございます。
県では、昨年5月に策定いたしました難視解消ナビゲーターによりまして、難視地域ごとに具体的な対策を提案し、市町村と連携して住民説明会を随時開催しております。説明会では、その地域の実際の受信調査結果に基づきまして、より具体的でわかりやすい説明を行うこととしております。今後、要望があれば速やかに説明に伺いたいと考えております。
こうした取り組みによりまして、本年2月現在で、県内717カ所の難視予想地域のうち460カ所で既に対策が完了したか、またはめどが立ち、デジタル対応は着実に進んでいると認識しております。
最後に、今後の取り組みについてでございますが、現在のところ、難視解消に向けた取り組みが着実に進んでおりまして、県としては、引き続き2011年7月の地上デジタル放送への完全移行に向けて国やNHKの支援策等を活用しつつ、市町村、住民にできるだけ負担が発生しないよう地デジ難視ゼロを目指して取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 福祉保健部長井畑文男君。
〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 精神障害者医療についてお答え申し上げます。
まず、早期発見、早期治療のために精神疾患への訪問、相談体制の拡充についてでございます。
精神障害者の実態につきましては、本県の通院患者数は近年増加の傾向にあり、精神保健福祉センター及び保健所における精神科医等によるこころの健康相談などで御本人や御家族から精神疾患の状況等をお聞きするなど、あらゆる機会を通じて実態把握に努めるとともに、理解を深めているところでございます。
こころの健康相談につきましては、市町村の広報紙などにより周知するとともに、家庭訪問による相談も行ってございます。また、相談に来られない方のニーズにつきましては、個人情報の課題もございますが、各市町村で実施しております障害者相談支援事業と連携を図り、アンテナを高くし、その把握に努めてまいりたいと考えてございます。
そのほかにも、精神障害者を支援する施策といたしまして、保健所でのデイケア、障害者自立支援法に基づく障害福祉サービスの提供や医療費の負担軽減、事業所での社会適応訓練などを実施しているところでございます。
次に、精神疾患への専門職員の増員配置でございますが、精神障害者の御家族への支援につきましては、議員御指摘のとおり、御家族への心理教育が御本人の疾患の再発防止につながるという研究結果もありまして、重要であると認識してございます。このため、各保健所に保健師や精神保健福祉相談員を配置し、精神科医等とともに、精神疾患の症状及び障害の特性や御本人の対処方法等を学習していただく家族教室の開催や御家族の御相談をお受けしているところでございます。
次に、ショートステイやグループホームの現状と充実でございますが、ショートステイにつきましては、平成21年2月末現在、県内において精神障害者を対象に含めたショートステイは、9カ所の施設で27人分の専用床がございます。県といたしましては、精神障害者の御家族の負担軽減という観点からも、今後ともショートステイの充実に努めてまいりたいと考えてございます。
また、精神障害者を対象に含めたグループホームでございますが、62カ所で定員は321人でございます。グループホームの整備につきましても、整備費の補助やグループホームに転用可能な住宅情報の提供、さらには地域での啓発に対する補助等の制度を設けており、今後ともグループホームの充実に向け、より一層積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
最後に、無料低額診療制度についての2点の御質問に対して、一括してお答え申し上げます。
和歌山県内では、無料低額診療事業を実施している医療機関は、済生会和歌山病院、済生会有田病院の2カ所でございます。
本制度は、第2種社会福祉事業の1つとして、生計困難者に対する医療を確保する上で一定の役割を果たしていると認識してございますが、社会福祉法人等の事業実施主体に対して税制上の優遇措置があるものの、減免した医療費は実施機関の負担となることなどから、無料低額診療事業を実施するかどうかの判断は社会福祉法人等みずからが行うものと考えてございます。
県といたしましては、事業実施の届け出があれば、国が定める基準を満たす限り、受理するものと考えてございます。
以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 教育長山口裕市君。
〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 学校現場の身分不安定教職員の問題についてお答えいたします。
定数内講師につきましては、少子化による児童生徒の減少や学校の統廃合などによる今後の定数減と定年前での退職者数に対応するため、一定数は必要であると考えております。近年、新規採用教員を300名近くにふやし、定数内講師の減少に努めているところでございます。
教員採用検査における講師経験のある受検者に対しましては、筆答検査の一部を免除する制度や実技検査に模擬授業を導入するなど、経験や能力が適切に評価されるよう選考方法の工夫改善に努めております。
非常勤講師につきましては、授業のみを担当することが職務になっておりますので、行事等での指導や職員会議等への出席は、その対象外となることを御理解いただきたいと存じます。
議員御提案の一定数の教員を任用しプールしておくという制度の導入は、人材を効率的に活用するという観点から困難と考えます。
教職員定数については、厳しい財政事情ではありますが、毎年国に要望しているところでございまして、今後とも要望してまいりたいと存じます。
以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
44番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 どうも御答弁ありがとうございました。
要望を申し上げ、1点だけ再質問させていただきたいと思います。
新自由主義の経済政策の結果という問題で、仁坂知事は当時は企画課長ですか、そういう第一線におられたんだから恐らくこの中谷さんという方とは、むしろ個人的にも知ってる、親交がおありかというふうに思って、何かおもしろい話を聞かせてもらえると思ったんですが、余り親交が、おつき合いがなかったようでございます。これはもうこれで結構でございます。
公共交通の問題では、今までの流れに身を任せた上で公共交通は大事じゃないかと言われたら、そうですと言うんではだめだという時期へ来てると思います。ですから、これまでの考え方ではやっていけない問題の1つとして取り上げたわけです。
この議会では、他の議員の皆さんからも、南海線の問題、JR和歌山線の問題が取り上げられました。やはりこの公共交通、鉄道の復権ということを重要な課題として取り上げなくてはならない時期に来たんだなという思いをいたしました。担当部局はしゃしゃり出てでも頑張っていただきたいと思います。
ただ、職員の皆さんに、忙しい中で無理にJRに乗れとかそんなことを余り押しつける気はございませんので、その点は御了承ください。
それから、精神障害者医療の問題は、今回私が取り上げた問題では一番重たい問題でございました。精神障害者の作業所に何度も足を運びました。家族の方、精神障害を抱えた当事者の方にもお会いをし、お話を聞かせていただきました。
私の教え子である母親が子供を殺してしまった事件で、傍聴に行った若い支援者の方は、娘さんが殺されながら「お母さん」と言ったという裁判所の話を聞いて泣き崩れ、「聞きに行かなんだらよかった」と言いながら帰ってきたそうです。統合失調症を抱えた若者は、「僕らの命は7年の値打ちですか」と一方で言いながら、「だけど、あのお母さんを責められない」と語ったそうです。関係者の皆さんが、「私たちもどうしていいのか答えを持っていません。皆さんで考えましょうと問題を投げ出してほしい」というふうに言われました。
教育もそうであります。私が未熟な教員だったころに体罰をしてしまった恥ずかしい経験をこの場でもお話をして、教育長にも失敗した経験を話せとお願いしたようなこともありますが、精神障害者の医療の分野というのも、形が整ったらうまくいくというようなものでなくて、行政を含めてそれにかかわる皆さんが苦悩をともにすることが大切と思っています。
答弁を聞くと、何かいろいろやってますからというふうに聞こえるんですが、実際答弁しておられる福祉保健部長も、そういういろいろな問題があることはよくわかった上で答弁されているんだというふうに私は推察いたします。
先日、同僚県会議員の皆さんと一緒に人権学習として麦の郷をモデルにした映画「ふるさとをください」を観賞いたしました。あの映画の作成には知事を初め多くの皆さんが協力され、全国的にも多くの注目を集めています。映画のモデルになった麦の郷のすぐれた取り組みがあったからだと思います。これは和歌山県が誇りにすべきものだと思います。
それでも、その中心になっている皆さんも、どうしていいかわからない、皆さん一緒に考えましょうと呼びかけておられること、そのことを私は重く受けとめたいと思うわけです。そして、行政としてもこうした思いにこたえるために一緒に悩み、考えていただきたい。
そこで、専門職員をふやすことが必要だというふうに申し上げました。県に置くのか市町村に置くのか、いろいろなことが考えられる。国に要望することも含めて、職員をふやす努力をしていただきたいと思うわけです。
このように、専門職員をふやしてほしいというふうに申しましたが、こういう問題にかかわってる皆さん、当事者の皆さんも受け身で助けてくれと言うてるだけではありません。この間、障害当事者の皆さんとお話しして知ったんですが、障害当事者の皆さんが障害者の人権110番というような取り組みを、これは県の人権関係の課からも援助をいただきながらやっている。そして、障害に苦しみ、そこから回復しつつある皆さんが自分の経験を踏まえて電話相談を受けて、電話してくる皆さんの苦しみに共感しながら励ますという事業をやっておられるわけです。そういう話も聞きました。やはり、こういう努力に行政はこたえなくてはならないと思います。
行政プランとなると、全体として職員を削減していますし、全国的に見ての傾向ですが、何か職員を削減することが知事の手腕のあかしのようにもてはやされるという風潮がないでもありません。しかし、福祉第一線の人材確保は、これはイギリスの施策に学ぶべきだと思います。国に働きかけることも含めて再質問と思ったんですが、なかなかここでどうこうと答えられないと思うので、強く要望しておきたいと思います。
教育長にだけは1つ再質問させていただきます。
定数内講師を減らす努力をしているという答弁ですが、結果としては減っていないわけですね。データをいただきました。小中高合わせて定数内講師は、平成15年には461人でした。平成20年には522人。61人ふえてるわけです。確かに退職者がふえてるから採用人数はふえてるんですが、結果としてやっぱり、定数内講師は減らす努力してると言ってるけど、実際は減ってないわけですね。
私はここで、これ以上教育長の答弁が事実と違うじゃないかといって責める気はありませんが、むしろ前向きに今後は、やっぱり減らす努力をするというからには、減りましたというふうに結果を出していただきたい。そういうふうに努力したけども、採用者をふやしたけども、それは退職者がふえた結果であって、結果を開いてみたら定数内講師がまたふえてたということはないように、ちゃんと結果を出すということも踏まえて、この定数内講師を減らす努力をすることを改めてここで答弁をしていただきたいと思います。これは再質問です。
次に、地上デジタルの問題は対策が進行中でありまして、国とNHKが責任を果たすように求めながら、さらに頑張っていただきたいと思います。
ただ、努力したけれども、衛星放送というセーフティーネットに頼らざるを得ないという事態になる場合がある。そうなると、この天気予報は東京の天気予報になるんですか、どうなるんでしょうか。もちろん、東京でも全国の天気も出ますけれども、あるいは災害情報などは、地域の災害情報は入らなくなるという問題があります。
それから、国民の中でそれへの対応がどこまで進められるのかという問題もあります。今ここで延ばせと言うたらこの取り組みがどうなるのかということがあるんでしょうが、いろいろぎりぎりまで取り組んだ上で、どうしてもアナログ放送の継続も必要ではないかということになる場合もあると思います。そうした場合は国に対しても働きかけもしていただきたいということも要望として申し上げておきたいと思います。
以上で、私の第2回目の要望と1点の質問でございます。
○議長(大沢広太郎君) 以上の再質問に対する答弁を求めます。
教育長山口裕市君。
〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 定数内講師の数の減少のことにつきましてでございますが、教員の募集人員のことに関しましては、教育委員会だけでなかなか決定できない部分もありますけれども、御承知のように、できるだけ結果として減少させる方向を目指して教育委員会としては努力をしてまいりたいというふうに考えます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再々質問を許します。
〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時38分休憩
────────────────────
午後1時0分再開
○副議長(山田正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
35番藤本眞利子君。
〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 開智の男子バレー部キャプテン、「僕たちが時代を変えます」という言葉に感動した春高バレーのすがすがしい壮行会の後であります。皆さんお疲れのこととは思いますが、議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
今回、先輩・同僚議員の質問と重複する部分もあるかと思いますが、お許しをいただきまして、しばらくの間、御清聴よろしくお願いいたします。
まず、県財政の今後の見通しと運営方針についてお伺いします。
平成21年度の当初予算が計上されました。議会開会日の知事説明の要旨の中で、「平成21年度当初予算では、6年ぶりに前年度を上回る予算規模を確保し、不況対策にも備え、構造的政策にも多くの新機軸を取り入れるとともに、行財政改革推進プランで想定している以上の財務状況の改善も図ることができました」と述べられています。
本年度の予算規模は、歳出で5229億円であります。規模として、知事のおっしゃるとおり対前年度比117億円プラスでありますが、歳入では5167億円ということで、不足分62億円を県債管理基金の取り崩しで補てんということであります。昨年も、5112億円の歳出に対し5050億円の歳入ということで、収支不足62億円を県債管理基金から取り崩しています。
本年度は、経済情勢が昨年よりさらに厳しく、自主財源は2043億円。法人2税を初めとする県税の落ち込みが影響し、21億円の減であります。依存財源の3186億円の内訳として、地方交付税と臨時財政対策債を合わせた実質的な交付税は1842億円で、昨年度比4.4%の78億円増でありますが、交付税が減額され、臨時財政対策債で補われました。それに加え、577億円の県債を発行し、歳入を賄ったという内訳であります。臨時財政対策債と県債とで昨年度より30.8%増の1022億円を占めるといった状況であります。臨時財政対策債は後で手当てをされるということでありますが、国の債務残高はGDP比150%という中で、国の財政状況を勘案すると、果たして確実に担保されるものか疑問を感じるものであります。
簡単に言うと本年度予算の歳入の19.5%、およそ20%余りを借金で賄うということであり、県債残高も、ここ5年間で増加傾向であります。歳出規模が歳入より大きく、貯金を取り崩しながら、片や歳入の2割が借金ということになれば、一般の家庭では破綻をしてしまいます。一般家庭では収入に見合う生活をすることが家庭を維持していく上で大きな要因であります。収入より支出が多いといった状況は決して健全な状況とは言えないと考えます。
県として行財政改革を進めているわけでありますが、今後ますます厳しくなる財政環境の中で、これからの県政をどのようにかじ取っていくかがさらに重要なものと考えます。
そこで、県財政の今後の見通しと運営方針について知事の所見をお伺いします。
地方分権についてお伺いします。
平成5年、地方分権の推進に関する決議が衆参両議院でなされた後、平成7年には地方分権推進法が成立いたしました。その後、平成12年、地方分権一括法が成立、施行され、機関委任事務等が廃止されました。その後、地方分権ということで、補助金、交付税、税源移譲というようなことで三位一体の改革が行われたという経過をたどっています。
私は、昨年の3月議会においても、三位一体の改革でこうむった被害はまことに深刻であると指摘をさせていただきました。しかし、地方分権を否定する立場ではなく、「地方でできることは地方で」という言葉に集約される地方分権を遂行していかなければならないと考えます。
知事も、「国と地方の役割分担の徹底した見直しを行って、国が責任を持つべき分野と、それから地方が責任を持つべき分野、これを明確にすることが大事だと思います。それとともに、地方が責任を持つ分野については、地方に見合った財源が確実に保障される制度設計が必要であると考えます」と答弁していただいています。
地方分権改革推進委員会が昨年の5月に第1次勧告、12月に第2次勧告を行っており、21年度には第3次勧告を経て新たな新分権一括法が国会に提出される運びになってくると思われます。
私の近辺にフェンスに囲われた市の所有している空き地が点在していますが、以前、この土地の売却なり利活用すべきではないかと質問したことがありましたが、国の補助金の使途制限があるので、その期限が来るまで売却も利活用もできないといった答弁でありました。何とも歯がゆい話であります。
これは身近な一例でありますが、地方自治体が住民のまちづくりを自主的に決定する、国の画一的な基準に縛られることなく地域の実情やニーズに合った個性的で多様な行政を展開していくためにも、地方分権を進めなければならないと考えます。私の考える地方分権は、あくまで市民や県民のための施策ができるものであるべきだと考えます。
今回の第2次勧告では、かなり具体的な内容が示されてきていますが、第2次勧告で示された内容と知事が考える地方分権のあり方にどのような違いがあるのか。先ほど、山本議員への答弁で知事は、第1次勧告は不十分であったが、第2次勧告はよく議論されている、しかし第1次勧告を受けたものであるため、やはり不十分であったと考える旨の答弁をされておりましたが、改めて知事の所見をお伺いしたいと思います。
次に、男女共同参画社会の実現に向けてお伺いします。
男女共同参画推進条例が制定され、7年が経過しております。その間、県では男女共同参画基本計画を策定し、18年度にはさらなる男女共同参画社会の形成に向けた環境整備を推進してきたと認識しております。条例の前文には、「少子高齢化、国際化及び高度情報化の進展等社会経済情勢の急激な変化に対応し、和歌山県を真に住みよいふるさととするためには、男女が共に社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、互いの個性と能力を十分に発揮しつつ利益を等しく享受し、共に責任を分かち合うことができる社会の実現が、緊急かつ重要な課題となっている」と明記されています。目的の中には、「県、県民及び事業者の責務を明らかにする」という文言とともに、そのそれぞれの努力義務が規定されました。
しかし、国の男女共同参画基本法や県の男女共同参画推進条例に明記されているとはいえ、働く場においても実態としても、男女平等とはまだまだほど遠いといった実態があります。
国では、2008年4月、女性の参画加速プログラムを発表し、2020年度までに、1、意識の改革、2、ワーク・ライフ・バランスの実現、3、女性の能力開発、能力発揮に対する支援に取り組むという方針が示されました。また、指導的地位に女性が占める割合も30%に達することが目標となっています。男女共同参画社会を実現するためには、国や県だけでなく、より住民に身近な自治体である市町村においても推進のための計画をつくり、数値目標などを掲げて着実に取り組んでいくことが重要であると考えます。
しかし、和歌山県内の進捗状況を見ると、市町村の基本計画策定率は30市町村中7市策定にとどまっており、地域における取り組みが積極的に進んでいるとは言えない状況にあります。市町村の基本計画策定は、男女共同参画社会基本法では努力義務となっていますが、男女共同参画社会を実現するためには、県としても市町村の取り組みを積極的に推進する必要があると考えます。基本計画策定に関する働きかけなど、どのように取り組んでいくのか、環境生活部長にお伺いします。
県の19年度の共同参画の状況報告書によると、年齢別労働力率は相変わらずM字型のままであります。M字型というのは、折れ線グラフの形状がMに似ているということで、20代前半で一度高くなり、その後、出産、子育て期に当たる30代前半で下がり、40代後半で高くなるといった実態をあらわしています。先進諸国の中では、出生率の低い韓国と日本がM字型で、出生率の高いアメリカ、フランス、スウェーデンなどは40代をピークとする台形であります。女性の働き方がM字型になる大きな要因は、出産、子育て対策が薄い、働きながら子育てのできる環境が整っていない結果と言えます。
和歌山県の労働条件等実態調査報告書によると、育児休業制度を就業規則や社内規定に明文化している事業所は64.3%であります。100人を超える事業所については100%に近い数値が示されているんですが、中小零細事業社の多い我が県では、育児休業制度そのものがないといった実態が示されています。
また、10人以上の民営企業で働く一般労働者──パートタイム労働者を除いたものでありますが──その給与額を見てみると、どの年代層も男性のほうが多く、最も大きいのは50歳から54歳の年齢層で、14万4900円の差となっています。割合で言うと、男性を100とした場合、最も接近している18歳から19歳で88%であります。その後どんどん格差は広がり、最も開きがあるのは40から44歳の62%、女性は男性の6割の給与しかいただいていないという実態が示されています。この数字に派遣、パートタイマー等々非正規で働く女性を含めると、賃金格差はさらに広がっていると考えます。
昨今、働く人の3分の1が200万円以下の非正規雇用であるといったことや派遣労働の問題が大きく取り上げられています。しかし、女性に限ると半分以上が200万円以下の賃金で働いているという実態であります。働く者の使い捨てを許さない労働者派遣法や労働基準法の見直しが求められていますが、100年に一度と言われる経済情勢の中でも、女性の雇用問題は男性よりもさらに厳しい状況にあると言えます。
女性の問題は、女性だけの問題ではありません。少子化問題が女性だけの問題でないのと同じように、安心して子育てしながら働ける社会、安心して暮らせる社会の実現のために、男女の不平等な働き方を見直していく必要があります。福祉国家のスウェーデンがよく例に出されますが、女性が働くためのハンディ──これ、ハンディーと言っていいのかどうかわかりませんが──出産、育児、家庭、社会を取り除いた結果、少子化も解消され、男性の仕事と育児・家庭の両立、ワーク・ライフ・バランスにも成功しています。
また、次世代育成支援対策推進法では、300人以上の一般事業者は仕事と家庭の両立に関して行動計画を策定することとされていましたが、さらに23年度より100人以上の事業者にも義務となりました。
このように、育児する従業員の支援や環境整備、働き方見直しに資する労働条件の整備が求められてきました。
そこで、県として男女共同参画社会の実現に向け、女性の雇用、待遇など労働条件の改善に向けて、また中小零細事業所の多い県内の事業者にどういった意識改革を進めていくのか、商工観光労働部長にお伺いをします。
次に、教育問題についてお伺いします。
私も、学校現場から遠ざかりまして10年が経過をしております。10年前の学校現場と今では大きい変化があるようであります。先日も地元の小学校で行事があり、参加をさせていただいた折、校長先生とお話をしておりました。世間話をしているうちに「眞利子先生、このごろの親は少しずつ変わってきているんですよ」とおっしゃいます。うちの地区では、地域で子供たちを見守ろうということで、各種団体が協力しながら安全パトロールを行っています。地域の皆さんも交代で子供たちの行き帰りを見守ってくれています。保護者への協力をお願いしたところ、親御さんの中には、「うちの子は私が送り迎えするからいいんです」とおっしゃる保護者もいるそうです。ともかく自分の子さえよければいい、自分の子供のことしか見えていない保護者がふえているということでした。
少し前、「モンスターペアレント」という言葉が生まれましたが、何かあっても自分の子供は悪くない、自分中心の保護者が多くなっているように思います。
児童生徒の様子も変化をしています。非行や問題行動を起こす生徒の数が少なくなっている反面、基本的な学習に対する態度ができていない生徒が多くなっているとのことでした。教室内を歩き回る、教師の話が聞けない等々、それが当たり前のような状態であるとのことでした。保護者の教育モラルの低下、家庭教育力の低下が学校教育の低下を招いていると考えられます。
県内の体育クラブの顧問をしている教員およそ8000人にアンケートをいたしました。クラブ指導の時間、1日に平均15分しかとれないという結果が返ってきたそうであります。授業の終わった放課後なのに、どうして15分なのかと不思議に思われる方もおられると思いますが、授業以外の時間の大半が生徒指導に費やされているとのことでした。教科指導、生徒指導、教育にかかわりのない現場ならではの雑用、難しい保護者への対応、研修等々、息つく暇もないぐらい現場の先生方は日々の生活に忙殺されています。
日々の生徒指導や教科指導の中で人間としての尊厳を損なわれ、自己肯定感が持てず、学校現場を退職前にやめる教員の数がふえています。難関をくぐって新採用になった先生が早期にやめる事例も多くなっているということも報告されています。また、病気で休まれている教員の数も増加傾向にあり、中でも精神疾患で休職されている教員が4割近くもあるとの結果が出ています。
全国で2007年度に病気休職した小中高の教職員は8069人、前年度比414人の増となり、うち精神疾患による休職が4995人、62%で、過去最多になっています。また、7年度の新規採用者の中でも条件つき採用期間での退職者は301人となり、過去最多で、3人に1人は精神疾患などが原因です。また、うつ傾向の自覚症状を訴える教員は、一般企業の2.5倍に及んでいます。
また、7年に退職した教職員のうち、義務制では52%、高校では30%が定年前退職となっています。県においても早期退職者や病休者の数に同様の傾向が出ています。主な原因として、体力的限界、介護などの家庭の事情、健康・体力面の不安、多忙化などが挙げられています。教育委員会として学校現場や教職員のこういった状況をどのようにとらえているのか。また、その対策について、教育長にお伺いをします。
次に、さきの議会でも質問をさせていただきましたが、教員免許制度についてお伺いいたします。
21年度政府予算案の閣議決定において、免許更新制に関する予算が文科省の要求していた47億円が約4分の1の約10億円となり、教員免許更新講習の開設者に対する補助が全面的に削られるという結果になりました。先進国の中でも類を見ない免許更新制を導入するに当たって、受講する教員の負担を軽減する旨の附帯決議がつけられたにもかかわらず、全く予算措置がされなかったという結果であります。
県としては、何ともいたし方がないといった状況であるとは理解しますが、このままでいけば個人負担がどうなっていくのか、教職員の負担を軽減するための措置をどのように考えているのか、お伺いします。
最後に、高校入試についてお伺いします。
昨年の9月議会において、入試制度が変更されました。私は、年度途中の制度の変更は、生徒、保護者、教育現場に大きな混乱をもたらす可能性があるということで、しっかり準備していただきたいと要望をしておりました。
4日に本年度の出願が締め切られました。出願は1度の見直しが可能だということで、初回の出願の後、見直しが進められました。1回目の倍率では、向陽の普通科が1.57、日高高校の1.46と大変高い倍率を示す高校と、定員に満たない高校との不均整が顕著にあらわれていたように思います。その後、本出願では、中学校の必死の対応により、かなり修正されました。積み重ねたデータも少ない中、中学校現場では神経をすり減らすような調整が行われ、できるだけ生徒や保護者の希望に添えるようにとの進路指導が行われた結果と聞いています。
高校入試は、生徒にとって人生の大きな節目であります。保護者にとっても一番の心配ごとであります。この12日に一般入試が行われます。修正されたとはいえ、高い倍率の高校もあり、まだまだ気が抜けません。それぞれの生徒が希望する高校に合格できることを祈るばかりであります。
そこで、教育長に、今回の高校入試制度の変更に伴う準備から出願までの今の時点での総括と来年度に向けた取り組みをお聞かせいただきたいと思います。
以上で、第1問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山田正彦君) ただいまの藤本眞利子君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず初めに、県財政の今後の見通しと運営方針についてお答え申し上げます。
昨年3月に新行財政改革推進プランを策定いたしまして、職員定数の削減や給与カットによる人件費総額の抑制、あるいは施設、団体、補助金の見直しを中心とした事務事業の見直しなど、行財政改革を着実に推進しているところでありますけれども、景気悪化に伴う県税収入の大幅な減少を補うため臨時財政対策債の増発を余儀なくされるなど、県財政を取り巻く環境は一層厳しいものとなっております。
このような状況の中、和歌山が元気になる施策を積極的に展開しつつ、かつ同時に県財政が破綻することのないよう県政のかじ取りを行うことが私の使命であると思っております。そのために、事業の選択と集中による効果的、効率的な財政運営が求められております。
現在の経済情勢を見ると、景気悪化に伴い財政環境が一層厳しくなることも、また懸念されます。先ほど藤本議員から県債頼みではいかんというお話がありまして、私もできるだけ早くこの実質的な赤字、基金の取り崩しを防ぎたい、それから県債に依存することも防ぎたいというふうなことは考えておるんでありますが、一方では、支出のほうもそう急速に切ってはいかん、特にこういう御時世においてむちゃをすると、和歌山の体力があんまりありませんから、これは大変なことになって県民生活にも随分な影響が出てくるということも思いまして、今回の、ある意味ではいろんなところを配慮した予算を出させていただいた次第でございます。
今後は、国の追加経済対策の動向も見ながら、それによって地方に対する財源措置が出てくると思います。それを最大限活用するなど、県としても将来にわたって必要な施策は、これは積極的に推進するとともに、プランでお示ししたように、収支不足も段階的に解消いたしまして平成24年度に収支均衡をぜひ達成したいというふうに考えておりまして、このためにさらに毎年毎年行革努力に努めてまいりたいと考えております。
続きまして、地方分権改革についてでございます。
特に分権改革推進委員会の2次勧告の内容と私が考えている地方分権のあり方はどうかと、こういうことでありますが、私は、地方分権とは、先ほども申しましたように、自分が住んでいる地域のことを、そこに住む人々がみずから責任を持って決めることができるようにすることであるということだと思っております。そのためには、まず国と地方の役割分担を徹底的に見直した上で、地方が責任を持つべき分野については、地方が国からの関与を受けることなく主体的に責任を持って判断できるような仕組みをつくることが必要であると考えております。
そこで、よく地方に任すべきことは地方にということが言われます。そのとおりだと私も思うんでありますが、そればっかりしか言わないというと、任すべきものは何かという個々の話は、それなりにいろいろな事情があります。そこで、それをやっちゃまずいんじゃないかとか、そうではないとか、そういうような話になりまして、なかなか進まないということになるんだろうと私は思っております。
したがって、むしろ国こそがこれこれをやるんだ、これによって国の統一を守り、国民への最低限のサービスをするんだ、そういうことを先に検討して決めて、残りは、それは国として統一的に責任を持たなくていいんだから地方に任せたらいいというふうに考えていくのが、回り道のようで、本質的であり早いんじゃないかと、そんなふうに思っている次第であります。地方分権とは、そういう意味で、結局のところ国の形そのものを変えていくことだと考えております。
そういう意味で、地方分権改革推進委員会が、地方が責任を持って遂行すべき自治事務に対する国の義務づけ、枠づけの見直しに関して真摯に議論されたということは評価しておりますが、この勧告は、今申し上げましたような意味での国の形を余り議論していなかったのではないかと私は思っておりまして、そういう意味で、現在の国と地方のあり方を根本的に変えるようなものにはなっていないと思います。
地方分権をもっと進めていくためには、もう一度原点に立ち戻ってこの国の形というものを議論する必要があるのではないかと私は考えております。
○副議長(山田正彦君) 環境生活部長井口悦治君。
〔井口悦治君、登壇〕
○環境生活部長(井口悦治君) 男女共同参画社会の実現と、女性の雇用問題のうち、男女共同参画社会実現に向けての取り組みについてでございますが、市町村における男女共同参画基本計画については、議員御指摘のとおり、30市町村のうち7市が策定済みで、策定率は23.3%という低位な状況にありました。このため、県としても未策定市町村に対し直接市町村長さんにお会いし、計画の策定を要請するなど、積極的な働きかけを行ってきたところであります。
その結果、平成20年度末には8市1町が策定、策定率で30%となる見込みであり、また平成23年度末には12市町村、策定率40%を目標と定め、その達成に向け、積極的に取り組んでいるところでございます。
今後さらなる要請活動を行うとともに、計画策定を目指す市町村に対しては積極的に助言を行い、当該地域における啓発事業の展開など、側面的な支援にも努めてまいりたいと考えてございます。
以上です。
○副議長(山田正彦君) 商工観光労働部長永井慶一君。
〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 女性の労働に関する意識の改革につきまして、お答えをさしていただきます。
本県の産業構造は、中小零細企業が多く、また議員御指摘のように、女性就労のM字型カーブで示される、結婚、出産、育児期に当たる30歳代の離職が多く、その後働いてもパートタイム労働となるケースが多いと認識してございます。
県といたしましては、女性が働き続け、能力を生かせられるよう、労働局や関係機関と連携し、育児休業等の制度につきまして、中小企業労働施策アドバイザーやセミナーを通じてその普及に努めているところでございます。
一方、女性の労働に関する意識改革のためには、男女間の固定的な役割分担意識の見直しをさらに進め、1人1人の能力が十分発揮できる職場風土づくりが重要であると考えてございます。
そのため、本年1月には、連合和歌山、和歌山県経営者協会、和歌山労働局、県の公労使4者により仕事と生活の調和(通称ワーク・ライフ・バランス)和歌山共同宣言を行い、さらにこれを受け2月にシンポジウムを開催し、仕事と生活の調和が実現する社会づくりに向けまして一層の理解と協力が得られるよう努めているところでございます。
経済・雇用情勢が一段と厳しさを増している状況にございますが、女性が働きやすい職場環境を整えることは企業の活性化や生産性の向上につながると考えられますので、関係機関と連携しながら女性の労働に関する意識改革により一層取り組んでまいりたいと考えてございます。
○副議長(山田正彦君) 教育長山口裕市君。
〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教育問題についてお答えいたします。
議員御指摘のとおり、教育課題の多様化でありますとか複雑化に伴いまして、学校や個々の教員に求められる対応も複雑になり、業務が増加している状況はございます。
県教育委員会といたしましては、教員がゆとりを持って1人1人の子供たちにきめ細かくかかわれるよう、少人数学級編制の実施や非常勤講師の配置など、教育条件の整備に努めているところであります。
また、管理職を対象としたメンタルヘルス研修会の実施や教員が気軽に不安や悩みを相談できるストレス相談窓口を県内3カ所に設置するなど、教員の心の健康管理の充実を図っているところでございます。
さらに、学校を対象とした各種調査の精選やICTの活用による事務の効率化などを図るとともに、市町村教育委員会や学校長の代表などによる協議会を設置いたしまして、教員の業務の負担軽減について具体的に検討しているところであります。
今後も引き続き、元気な学校づくりのために教員自身が心身ともに健康で子供たちに向き合える環境整備に努力をしてまいります。
次に、平成21年4月からスタートする教員免許更新制度についてお答えいたします。
文部科学省では、山間、離島、僻地などの地域で大学等が出張形式で講習を開設する場合などにおきまして、受講料が一般地域より高くならないよう講習開設者に対して一定の補助を行う経費として、現在、21年度予算に約10億円を計上しているところです。
本県におきましても、和歌山大学等に働きかけ、和歌山市のみで開設するのではなく、田辺市や新宮市においても講習を開設するなど、受講者の負担軽減や利便性の確保に努めているところでございます。
今後も、引き続き国に対して、全国都道府県教育長協議会等を通じまして、更新講習受講の費用負担も含め、さらなる支援策や幅広い受講機会が保障されるよう要望していきたいと考えます。
次に、高校入試についてでございますが、これまでの前期後期制にかえて平成21年度入試から一般選抜に一本化をいたしました。年度途中の制度変更で受験生や保護者、中学校などの関係者の不安や動揺を懸念いたしましたが、各中学校では進路説明会や三者懇談会を通して新しい制度の理解と周知に取り組んでいただき、先日、本出願に至ったところでございます。
一般出願時には普通科への出願者数が多く、学校、学科ごとの出願倍率に相当の差が見られましたけれども、本出願に向けて中学校では志願先変更等の丁寧な対応をしていただきました。急な制度変更でありましたが、各学校の努力によりまして、ここまで円滑に進めることができたと考えてございます。
今後とも、生徒、保護者や中学校、高等学校等の関係者から幅広く御意見をいただきながら、新しい制度がよりよいものとして定着するよう努めてまいります。
以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 再質問を許します。
35番藤本眞利子君。
○藤本眞利子君 まず、男女共同参画について意見と要望を申し上げたいというふうに思います。
おとつい3月8日は国際女性デーというふうなことでありまして、国際女性デーというのは、1904年にアメリカのニューヨークで女性労働者が婦人参政権を要求してデモを起こして、これを受けてクララ・ツェトキンさんという方が、1910年にコペンハーゲンで行われた国際社会主義者会議で女性の性的自由と平等のために闘う記念の日と提唱したことが始まりとなっています。1975年のときに国連が、国際婦人年の3月8日以来、この日を国際婦人デーと定め、現在は国連事務総長が女性の十全かつ平等な社会の参加の環境を整備するようというふうに加盟国に呼びかける日になっています。
日本は、男女が平等な社会なのかなというふうに思っています。経済的には先進国と言われていますけれども、女性議員の比率は世界で136位でありますし、男女平等度も130国中98位という結果であります。意思決定参画の女性比率もなかなか進まない状況でありまして、ごらんのように、県のひな壇なんかにも女性の姿がないというふうなことだと思います。
それと同時に、今回質問させていただいたように、働く場の保障も、男女平等という点では十分ではありません。就職の段階からもう門戸を狭められたり、賃金の格差があります。その就職した後も、管理職の登用や昇給の格差というふうなことで大きな差別があるというふうに私は思います。
また、働き続けるためのハードルもすごく高くて、結婚、出産といった場面でも苦渋の選択が迫られています。働きながら結婚生活を送ることの負担も大変女性に大きく、そのため晩婚化とか非婚化とか少子化を招いているんじゃないかなというふうにも考えられます。子供ができたら産休・育休のとれる職場、休んだ分だけ給与の保障をされる職場、子供が病気になったときに心置きなく休める職場が求められています。
県では、数値目標を定めて男女参画社会の実現に向け努力をされていますが、このまま推移して果たして男女平等社会が形成されるのか、大変疑問に感じています。中小零細企業の多い我が県の実態は把握されているというふうに理解しますので、今後は、意識啓発とともに、賃金格差のない職場、子育てしながら働ける職場をふやしていくといった具体的な支援を要望したいと思います。
それからもう1つ、高校入試について教育長より御答弁をいただきました。急な制度変更でありましたが、各学校の御努力によってここまで円滑に進めることができたと考えていますって、そういうふうにおっしゃっていただきました。私は、これはもう教育委員会の責任を現場の先生方に押しつけたというふうに、そんなふうに感じてしまいました。
高校入試については、ここ数年、教育委員会のたび重ねる制度変更──生徒も保護者も教育現場も大きな混乱に巻き込まれたといっても過言でないと思います。制度変更の都度、もうその都度、大きな困惑の声が上がりました。生徒は自分の進路について迷い、一般校まで含めた推薦が始まってからでも、一般校に枠を拡大したんですが、それに伴って安易に流れる傾向が加速されたんじゃないかというふうに私は思いました。
それで、教育現場でも何を今度指標に進路指導していったらいいのかという声もたびたび上がっておりまして、前期後期試験に至っては、各方面から、この議場からも委員会からも見直しの声が出たというふうな経過だと思います。
ここであえて教育長に苦言を申し上げたいんですが、教育委員会が職業高校の推薦入試枠をまず普通科高校まで拡大をさせて、その後2年間の前期後期試験からまた一般選抜に変更した。この経過について、しっかりと反省と総括を行っていただきたいと思います。その上に立って、その教訓を今後の入試制度、今の制度に生かしていただきたいというふうに強く申し上げて要望します。
また、教育長は、今、今後とも生徒、保護者や中学校、高等学校の関係者から幅広く御意見をいただきながら新しい制度がよりよいものに定着するよう努めてまいりますと答弁をいただきましたので、私は一般入試の選抜の一本化については賛成であります。今後、進路指導に関して、現場サイドで中学校と高校の連携も図りながら、より丁寧な指導が可能になるような、そういったことを考えていただきたい。
こういうことを強く要望いたしまして、再要望を終わります。ありがとうございました。
○副議長(山田正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤本眞利子君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
20番藤山将材君。
〔藤山将材君、登壇〕(拍手)
○藤山将材君 本日最後の質問者となりました。大変お疲れのこととは思いますが、どうぞよろしくお願いをいたします。
議長のお許しをいただきましたので、以下5点にわたって当局のお考えをお聞かせいただきたく存じます。
まず、1番目といたしまして、今後の環境施策、方向性として里山の環境保全についてお尋ねをいたします。
紀州の里山は、ことしもまた新しい息吹を起こし、春の訪れが野山に満ちあふれているきょうこのごろであります。
しかし、最近の野山を見渡しますと、冬でも青々と茂り、広葉樹が大変少なくなっていることにお気づきの方も多いと思います。原因として2つのことが考えられていますが、1つは国策として杉やヒノキが推奨され植林された人工樹林の山がたくさんあるということと、もう1つはシイの木やカシの木等の照葉樹の山や竹林が目立って多くなったということであります。特に里山は、かつて私たちの一番身近にあり、広葉樹や照葉樹は生活をしていく上でなくてはならない燃料として重要な役割を果たしてまいりました。また、竹も、物干しざおや建築現場の足場等、幅広い用途に利用され、古来から大切に維持管理がなされてまいりました。
しかし、高度経済成長とともに、ガスや石油、電気等の普及により、いつしか里山は私たちの身近な存在でなくなってしまいました。便利になったことは大変結構なことでありますが、森林や里山を放置してきたがために最近いろいろな不都合が生じてきたわけですが、杉、ヒノキの山の現状については、もう既に皆様御承知のとおりであります。
間伐されていない山は昼でも薄暗く、下草さえ生えておりません。表土がむき出しのありさまを見ますと、最近多発する集中豪雨に対応できないのではないかと心配すらしています。
さらに、ことしは大変花粉の量が多いと言われておりますが、今や国民病と言われ、2000万人もの人を悩ます花粉症によって薬代などで個人にどれぐらい負担がかかり、治療費としてどれほどの税金が投入されているのかと考えますと、健康保険制度の心配もしてしまいます。
また、冬になっても枯れない山が、民家や道路を覆うように生い茂り、公共施設の管理や民家の保全にも影響を与えています。
加えて、放置林は山にすむ動物たちにとっても大変厳しい生活環境を強いることになりました。イノシシの好きなミミズは表土むき出しの山にはいなくなりました。猿の好きな木の実や果実を実らせる樹木もめっきり少なくなりました。シカも木の芽が食べられず、私たちの生活圏にまで出てきます。そして、皆、農家の人々が丹精込めてつくった農作物を食い荒らすのです。仕方なく獣害という名目で、これまた税金を使って駆除しなければならないというのが現状であります。
人工樹林や山を整備することで、ある程度彼らの食料は確保され、また人家や田畑に近い里山を整備すれば警戒心の強い野生動物はおいそれと人間社会に出てこなくなると言われ、里山を整備することは間接的に農業を保護することにもなります。また、広葉樹は、針葉樹や照葉樹と比べるとCO2の吸収率ははるかに高いとされております。
日本の森林再生率は世界一だと言われておりますが、山のすべての樹木を伐採したとしても、約30年でもとの山に復元するそうであります。しかし、御承知のとおり、人工樹林や里山の荒廃が近年目立ち、厳しい環境に置かれています。間伐や里山の整備に要する費用が捻出できないからであります。
そこで、私たち自民党県議団は、県民の皆さんに広く森林の現状を御理解いただくために、一昨年、紀の国森づくり税を提案し、森林整備並びに啓発に努めてまいりました。結果、県民の皆様からお預かりをした基金の運用により一定の効果もあらわれていると理解はしていますが、さらに環境保全を推進していくには新たな取り組みも必要となってまいります。
人工樹林は間伐することにより問題はある程度解決するのですが、一番身近な里山の環境保全と整備については、具体的な方策が示されているわけではありません。一定区画を計画的に伐採していくことで森林の持つ潜在能力が活性化されると理解できても、経費の面で実行することはなかなか困難な状況にあると思われます。
備長炭に必要なウバメガシの山は需要があるので伐採をされていますが、ほかの樹木の山は放置されたままであります。
先般、向井嘉久藏委員長の発案により、防災・環境問題等対策特別委員会で三重県の赤目の里を視察いたしました。ここでは、チップボイラーを導入することにより、森林整備をエネルギーに交換することで高い評価を得ている施設でありました。我が県の里山の環境保全もエネルギー転換やその他の利用方法について視野を広げ、モデルとなり得る事業があれば積極的に推奨していくことが必要と考えます。
一例として、シイの木やカシの木のひき粉やチップがシイタケ用の菌床栽培用の原料になると、ある方からお聞きをいたしました。現在は高知県の業者からトン当たり2万2000円で購入しているそうですが、高知県の業者で採算が合うのであれば、本県でも採算が合うのではと考えます。
そこで、まず環境生活部長にお尋ねをいたします。
里山の環境について現状をどのように認識されていますか。また、里山の環境保全や利活用についての理解を深めていただくための広報活動や啓発活動についてどのような取り組みをされていますか。また、今後里山の環境整備について具体的な施策があればお答えください。
次に、国内クレジット制度と環境ビジネスの可能性について知事にお伺いをいたします。
京都議定書では、京都メカニズムとして、海外でCO2の削減やメタンガスの回収などに取り組んだ温室効果ガスの削減量はクレジットとして認められ、削減目標に達しない国への穴埋めとして排出権の売買に使用され、我が国も購入をしております。この京都クレジットの仕組みは、これまで海外だけの対象でしたが、この考え方を国内においても応用しようというのが経済産業省の主導する国内クレジット制度であります。
現在、対象ガスは二酸化炭素だけですが、将来、同じ温室効果ガスのメタンも対象になれば多様な可能性が生まれます。例えば、食品工場や畜産農家、ごみ焼却施設、下水処理場、浄化槽などからメタンガスが発生しますが、このメタンガスをボイラーの熱源に転用するなど省エネ化を進めることで削減される分をCO2に換算して認証していただき、そして実際に認証されれば、自動車や家電、鉄鋼会社等の大企業にクレジットとして購入してもらうことが可能になります。
静岡ガスが缶詰工場において重油ボイラー2台をガスボイラーへ燃料転換し、年間450トンのCO2削減分が認証されるなど、試行段階ではありますが、既に制度も動き始めているようであります。
100年に一度とも言われる世界的な大不況の中、世界一と言われる日本の環境技術に大きな期待が寄せられ、同時に新たな景気対策として環境ビジネスが注目を集めております。和歌山においても、国内クレジット制度を各界各層でもっと理解をしてもらい、それぞれの分野でチャレンジしてもらえれば雇用の拡大や地場産業の育成につながると考えますが、この国内クレジット制度と環境ビジネスの可能性と今後の取り組みについて、知事の御所見をお伺いいたします。
2番目に、和歌山ブランドの創出として、ダチョウ飼育の可能性についてお尋ねをいたします。
昨年の9月定例会におきまして、和歌山ブランドについて、向井嘉久藏議員から紀州うめどりに関する御質問がございました。紀州梅のエキスを使った飼料で育てたブロイラー紀州うめどりが2008食肉産業展で最優秀賞を獲得しましたことは、ブランド創出に努力している和歌山県にとりまして大変な朗報でありました。
先日の質問でも触れられておりましたが、一刻も早くこのブランドマークづくりみたいなことを取り組むように向井先生のほうからお話ございましたが、僕の行きつけの焼き鳥屋さんもうめどりを使用されておりました。大将にお聞きすると、紀州うめどりやけども、最優秀賞をとられたことを御存じでなかった。こういうこともありますので、ぜひとも、一過性のものにするんでなく、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに重ねて僕のほうからも要望させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
今回、私は新たなブランドづくりについて御質問をさしていただきたいと思います。
皆さんは、インフルエンザ対策用のマスクにダチョウの卵が活用されているというお話を耳にされたことがあると思います。つい最近、テレビ番組でも話題に上がっておりました。
では、そのダチョウの肉も最近脚光を浴びているということは御存じでございましょうか。ヨーロッパ等で安全な食肉としてダチョウの肉に志向が向いたのはこの10年から20年であるそうでありますが、日本でもこの10年ほどで食肉用の飼育場の数は約450カ所、約10倍に増加しているということであります。
その中で新規参入がひときわ目立つのは東北地方で、中でも山形県の農村地帯の飼育熱が最も高まっているとのことでありますが、その理由は、ここ数年の急激な建設投資額の減少にもあるようです。売り上げが落ちていく中で、建設業者は苦肉の策として、比較的おとなしい性格で、簡単なさくさえあれば飼育できるダチョウに目をつけたわけです。
山形県朝日町では、建設業者と行政が一体となってダチョウ飼育に取り組んでおります。建設業者が運営するオーストリッチ産業センターでは、廃校となった県立学校のグラウンドを無料で借り受け、飼育を行っております。飼料には地元名産であるリンゴの絞りかすを安く譲り受け、これを食べて育ったダチョウの肉を「アップル路鶏」としてブランド化する戦略に打って出ております。さらに、本格的なソーセージを自分たちの手でつくろうと、行政による支援のもと、従業員を食肉マイスターに弟子入りさせ、加工技術を習得させたり養殖飼育したダチョウのひなを農家に委託して育ててもらったりと、休耕地の活用や雇用の確保にもつながっているとのことであります。
今まで注目されなかったダチョウを地域を挙げて飼育し、ブランド化することにより地域経済を活性化し、何とか過疎を食いとめようとの熱意に感心した次第であります。
そこで、気候の適用範囲が広く、年じゅう通じて肉質が安定しているというこのダチョウについて新たな和歌山ブランドとすることができないか、研究してみてはいかがでしょうか。
ダチョウは成長促進剤やホルモン剤を使わなくてもすくすく育つということですので、食の安全にもつながります。私も食べたことがありますが、鶏というよりも牛肉といった感じの割にあっさりとした味で、大変おいしくちょうだいしました。低カロリー、低コレステロールで鉄分も多いダチョウの肉は、健康志向の強い現在に必ず支持される食材であります。しかも、皮はオーストリッチとして高級かばん等の原料になり、捨てるところがありません。新たな和歌山の名産にすべく取り組むことについて提案し、農林水産部長に御意見をお伺いいたします。
次に、3つ目として、道路整備についてお伺いします。
先日、海南湯浅道路4車線化工事におきまして、長峰トンネルが貫通いたしました。4車線化を待ち望む者の1人として、あと少しと、大変うれしく感じた次第であります。
ところが、NEXCOや国の考えでは、全面開通するのは平成24年度末とのことで、あと4年もかかることになっています。なぜそんなにかかるのかと思い、県当局にお聞きしたところ、用地取得も完了し、工事も進み、来年には新たに本線の2車線部分が完成し、その後現道の改良工事を行うということでありました。
観光立県を目指す和歌山県にとって、週末はもとよりゴールデンウイークや夏休みなど観光シーズンの混雑は、リピーター確保の障害。一刻も早く解消すべき問題であります。また、平日の朝夕の自然渋滞を考えれば、少しでも早い開通が望まれます。ぜひ声を大にして国、NEXCOに対し工事の促進を訴えていくべきであると考えますが、知事の御所見をお聞かせください。
2番目、また知事は、整備の進む京奈和自動車道について、平成27年に開催される和歌山国体までに開通させるとおっしゃっています。我々県民にとって頼もしい限りであります。
ところが、我が地元の海南市に目を向けてみますと、国道370号の阪井バイパスがようやく一部で用地買収が開始されたものの、なかなか進捗が見られません。以前も申し上げましたが、龍部池を先頭に野上新橋までの2.4キロに及ぶ渋滞、地域住民にとってだけでなく、海南市と沖野々と阪井間の渋滞は耐えがたいものがあります。この渋滞の早期解消策には、阪井バイパスとともに、都市計画決定がなされた国道424号の木津バイパスに早期着工するとともに、阪井バイパスの東半分を先に進めることが一番と考え、平成18年9月定例会で一般質問をさしていただき、当時の県土整備部長からは、十分考えられる案であり検討するとの回答があったわけですが、その後、どうも動きがありません。
これまでの質問で、高野山の世界遺産観光振興のために、国道370号の花坂から紀美野町にかけてを南高野街道と位置づけ、拡幅等整備を進めてはどうかとの提案に対しては、名称は高野西街道となりましたが、メロディーロードを整備するほか、拡幅工事などにも取り組んでいただいております。しかし、海南市の提案については「検討する」のままになっております。
平成27年の国体では、地元であります紀美野町においてホッケー競技が開催されます。去る3月6日、紀美野町総合運動公園が立派に竣工いたしました。私も竣工式に参加し、多くの皆さんの御尽力に感謝しつつ、大変感慨深く思いました。実は、ホッケー競技も日高町に専用グラウンドがありますが、1会場だけでは県内開催ができないということで、当時、紀美野町が計画中の少年サッカー場でホッケーもできるよう県ホッケー協会副会長の中村裕一議員とともに寺本町長に働きかけ、二階俊博大臣の御尽力で競輪の補助金をいただき、県費を使うことなく県内でのホッケー競技開催が可能になりました。しかも、町ではこれを機にホッケーによるまちおこし、町民体力づくりをすると聞いております。
しかしながら、そこに至る道路があのざまでは、とても円滑な国体運営は期待できません。京奈和自動車道をせっかく国体開催に合わせても、地道が整備されていなければ混雑は避けられません。どうか、国体に関連する道路整備の進捗を図るべく取り組んでいただきたいと思います。そのためには、地元住民の方々の意見を十分にお聞きしながら、とにかく協力が得られるところから、できるところから進めていく。そうすることで現在の渋滞が解消できるとともに、地元の意識にも変化が生じ、阪井バイパス全区間の早期整備につながると考えます。
いま一度申し上げます。国道424号木津バイパスの事業化並びに阪井バイパスの東側からの整備についてぜひ検討していただきたいと思いますが、県土整備部長のお考えをお聞かせください。
4番目として、海南市の中心市街地の活性化における県のかかわりについてお尋ねをいたします。
本年1月13日、海南市は、市土地開発公社が所有する昭南工業跡地約2ヘクタールを株式会社オークワに貸す方針を決めました。これは、海南市が、市の中心市街地にある昭南工業株式会社跡地用地について、活性化につながる主要な用地であることから、既存商店街等の共存共栄が図られ、中心市街地への集客につながる、人が集い、にぎわう地域の核となる施設の整備を図ることとし、昨年9月から11月にかけて民間企業の提案を募集し、選考の結果、決定したものであります。
オークワの提案では、鉄骨5階建ての商業棟と鉄骨2階建ての飲食棟をつくる内容で、商業棟は1階が書籍、ビデオ、カー用品店、飲食店舗、駐車場、2階がスポーツ用品店、家電量販店、3階と4階が駐車場、5階には温浴、飲食施設、駐車場を整備し、飲食棟は1、2階とも飲食店舗とするとなっております。
海南市では、一昨年から中心市街地活性化基本計画の策定に向けて取り組みを開始し、昨年12月25日には中心市街地活性化法に基づく協議会を立ち上げ、この3月末までに基本計画案を策定し終え、平成21年度中に国の認定を受けたいと考えているそうであります。
老朽化が著しく早期建てかえが求められている市民病院についても、中心市街地区域内のジャスコ跡地に平成25年4月に開院する予定だと伺っております。待ち望まれた海南市の中心市街地整備がやっと動き出そうとしております。
中心市街地活性化は、まず市町村の取り組みがもちろん大前提でありますが、海南市がこのような計画を進める上では、県の強力なバックアップが必要不可欠であるということは言うまでもありません。和歌山市内における中心市街地活性化計画においても、その中核となっている旧丸正百貨店ビルに整備されたフォルテワジマに対し県も補助を行うなど、県の協力支援がなされております。
折しも、海南市は先月24日に紀ノ川企業集積ベルト地帯構想に追加指定され、今後は企業誘致の面でも期待が持てるほか、津波防災対策としての防波堤が完成すれば、市街地の安全・安心が確保されることにもなります。
今後こういったことがうまくかみ合っていけば、これまで空洞化そのものといった状況であった海南市の中心市街地が市全体の元気を牽引し、大きく発展していける千載一遇のチャンスを得たと言っても過言ではないと考えます。
今後の海南市の取り組みに対してどのようにお考えになっているのか。県全体の調和のある発展を望む者として、県の考え方を商工観光労働部長にお聞かせいただきたいと思います。
最後に5番目として、農水産物の販路拡大についてお尋ねをいたします。
魚や肉、野菜などの新鮮さやうまみをそのまま何年も保存できたらどうでしょうか。豊作や大漁だからといって廃棄されてしまう食材を新鮮なまま凍結保存しておいて、需要に合わせて出荷をする、流通革命を起こすこの魔法の凍結技術を紹介すべく、平成17年6月定例会におきまして、同年この技術を導入した凍結センターを整備した島根県隠岐諸島にある海士町を例に、本県も水産物や農作物にこういった技術を導入することで、首都圏やまた全国各地へ、あるいは海外へと販路を拡大できるのではないかと提案をさしていただきました。
残念ながら、その後、県が中心になってこの技術の導入を推奨するような動きはなかったのでありますが、海士町のこの取り組みは、価値の高い新鮮な状態で海産物を市場に提供できることになったことによる漁業者の収益向上や、凍結センターでの加工による雇用の拡大と最終製品の付加価値向上につながっているということで、昨年、農林水産省と経済産業省で農商工連携88選にも選定されるに至りましたので、いま一度質問をさしていただきました。
今でも、生と比べますと冷凍食品に対してのイメージというか位置づけは決してよくないように思いますが、紹介した電磁凍結技術は、とりたての状態に戻るという技術でありますので、消費者に高い評価を受けております。
農作物や海産物は年ごとの価格変動もあり、安定収入を得ることが難しく、後継者不足に悩んでいるのが現状でありますが、電磁凍結は鮮度が維持できますので、例えば水産業であれば豊漁・不漁にかかわらず年間を通じて出荷調整もできるので、価格の安定化が図れ、所得の安定にもつながります。
我が県にも、全国に通用する特産品が数多くございます。例えば、桃は本来7月ごろが旬でありますが、この技術を用いれば桃の節句に売り出すことができたりと、海南市下津町の「蔵出しみかん」の手法のように旬をずらして販売するといったことが可能になるわけであります。
私は、電磁冷凍のような新技術を取り入れて技術研究部門や販路開拓部門などが横断的な取り組みをすることによって従事者の収入確保を図ることができ、停滞ぎみの農林水産業の新たな打開策になると考えますが、いかがでしょうか。
また、一方で、こういった技術というのは、本来民間がみずから情報を得て、みずからで考えてやるべきだという御意見もあるかもしれません。しかし、なかなか情報が入りにくいのが実情でありますし、まして異業種間にあっては、情報のやりとりということが容易でないと考えます。
そこで、県が音頭をとりまして、JAや漁協、また市町村などにも声をかけ、流通の革命等について考える機会を設けるなど、官が各業界の接着剤となって情報を共有し合い、それを活用して、ともに新たな産業の創出を目指すといった、県を中心とする農商工連携のさらなる強化が望まれると思いますが、商工観光労働部長のお考えを伺います。
以上です。御清聴、どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(山田正彦君) ただいまの藤山将材君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、国内クレジット制度と環境ビジネスの可能性についてお答え申し上げます。
その前提になっておりました里山あるいは林業、環境保全の重要性についての御議論はまことに共感を覚えるものでありまして、私も経験上、目に見えるような感じがいたしました。そういうことを助けていく上で国内クレジット制度、これが環境ビジネスになってうまくいかんかと、こういうようなことではなかったかと思います。
これは京都議定書の目標達成計画においても規定されておりまして、大企業の技術、資金等を提供して中小企業等が行った二酸化炭素の排出抑制のための取り組みによる歳出削減量を認証して、自分で大企業などは自主行動計画を立てていますけれども、これが目標達成のために必要であるというときには活用するという制度でございまして、昨年10月から試行的に実施されているものであります。
議員御指摘の温室効果ガスの削減に寄与する国内クレジット制度の活用、またメタン等を活用する環境ビジネスの展開は、温室効果ガスの削減などによる環境保全とともに、地域の雇用を確保する1つの受け皿になると考えております。
一例を申し上げますと、和歌山県は企業の森という制度を非常に推奨して頑張って努力しております。この企業の森に御参加いただいた企業に対して、和歌山県はそれのCO2吸収量、これをはじきまして、吸収量の認証をしております。このような話がもっと一般的に企業の森に限らず大きくなってくると、今の藤山議員のお話しになるようなビジネスができていくんじゃないかな、そんなことを期待している次第でございます。
国内クレジット制度を含む国の動向は、今後ともアンテナを高くして情報収集いたしまして、活用できる施策、制度など、県民の方々にも広く情報を提供して、これの機に乗ずるというようなことをできればやっていきたいと、こういうふうに考えております。
次に、道路に関してでございます。
近畿自動車道紀勢線海南─有田間についてでございますけれども、休日などに慢性的な渋滞が発生しておりまして、昨年のお盆あるいは本年のお正月には最大25キロ余りの渋滞が発生するなど、観光、物流面等に多大な支障を来しております。ことしのお正月に至りましては、ついにこの地域の渋滞が西日本高速の1位になってしまいました。実は、淡々とランキングをとると4位でございます。4位でございますが、相手は西日本全域の物すごい交通量の多いそういう高速道路も含めてでございます。この1位から3位までは全部事故渋滞でありました。当県のこの地域は、実は事故渋滞ではありませんで、自然渋滞でこうなったわけですから、これは西日本一でございます。ただ、あんまり宣伝をすると観光客が来なくなると大変でございますので、これは危機感だけで、早く4車線化せないかんというためのいわば糧としていきたいと、こう考えております。
県といたしましても、こういうことから4車線化の早期整備の必要性を十分認識しておりますが、たびたび議員御指摘のように、マスコミ等でこの完成は24年度であるというようなアナウンスが起きます。
そこで、この経緯はちょっと省略いたしますけども、これでは遅いというふうに思いまして、今までも再三早期供用を要望したところでございますけれども、先月、西日本高速の石田会長を県当局みんなで訪問いたしまして、それでできるだけ早くやってもらいたい、もうできるじゃないかというようなことを要望に行ってまいりました。その結果、まず下り車線──今つくっているところ──これについては22年度中に完成をさせたい、努力すると。その後、下り線として供用しながら、今度は上り線が今上り下りになっておりますから、これを改良しないといけないので、片側通行しながら改良を急いで、これは23年度に完成をさして、23年度中には両方4車線として改良したいと、こんなふうに言っていただくことに成功いたしました。今後とも県や関係町もできるだけの協力を行いながら、極力早く供用できるように引き続き力強く働きかけてまいりたいと思います。
これができますと、その次でございます。これで終わりというわけではございませんで、次は、現在、昨年から環境影響評価をやっていただいておりまして、それで都市計画をこれは要しますが、この都市計画を経て有田まで完成したら、次は御坊までということをぜひ力強く要望してまいりたいと、そんなふうに考えております。
○副議長(山田正彦君) 環境生活部長井口悦治君。
〔井口悦治君、登壇〕
○環境生活部長(井口悦治君) 里山の環境保全についての御質問でございますが、里山は、農林業など人が自然に働きかけを行う中から形成されてきた生活環境であり、多様な生物の生息地として、また特有の景観や伝統文化の基盤として、さらには暮らしを支える恵みの場として重要な地域でございますが、過疎化や高齢化に加え、農林業の生産活動や生活様式の変化に伴い、保全管理が十分に行き届かない現状にあります。近年、こうした里山の重要な役割が再認識され、里山の必要性が叫ばれてる中で、その環境保全を図り、機能を生かしていくことが重要であると認識をしてございます。
現在、県といたしましても、紀の国森づくり基金活用事業等により木竹の伐採整備、歩道の整備、広葉樹の植栽など、それぞれの地域に応じ、多様な主体による里山環境の整備を支援しているところでございますが、今後とも関係部局と連携を図りながら里山の環境保全に取り組んでまいります。
また、広報・啓発につきましても、多様な価値を持つ里山の効用を広く県民の皆様に知っていただき、里山が放置されることのないよう、また里山資源が持続可能なものとして活用できるよう、「県民の友」を初めとした広報手段によりPRに努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 農林水産部長下林茂文君。
〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 農業関係の2点についてお答えをさしていただきます。
まず、新たな和歌山ブランドとしてのダチョウ飼育の可能性についてでございますが、日本では平成7年ごろから導入が始まりまして、東北、関東地方を中心に約1万羽程度が飼育されてございます。本県におきましては、平成15年ごろから飼育がされ始めまして、現在2戸の農家で32羽が飼育をされてございます。
ダチョウにつきましては、食肉のみならず、皮、羽等の副産物も商品として利用できることから、近年、お話にございましたように、注目されておりますが、ふ化率とか、あるいは育成率が低いといった技術的な課題とともに、専用の食肉処理施設が未整備であること、また取り扱う料理店が少ないなど、食肉の流通ルートが整備されていないという課題もございます。
県といたしましては、こうした課題を踏まえまして、今後、採算面での検討も含め、新たな地域特産物としてのブランド化について調査研究をしてまいるとともに、先ほどお話にございましたうめどりのPRにつきましても積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
次に、農水産物の販路拡大に関連してでございますが、電磁凍結技術の活用についてでございます。
いわゆる細胞を壊さないで凍結する技術を用いるということでございますが、食品の鮮度や風味を損なわず長期保存ができるすぐれた技術というように言われておりまして、県内では平成18年度に有田川町の授産施設において導入されまして、自家農場でとれます野菜、果実類を電磁凍結して近くの直売所などで販売をいたしてございます。
これを受けまして、昨年、地元の漁協が連携をいたしまして実験的に特産の生シラスを電磁凍結いたしましたところ、解凍後も生と変わらない風味が保たれるという好結果が得られてございまして、地元のイベント等で提供したところ、大変好評であったというふうに伺ってございます。
こうしたことから、この技術の導入は、産地価格の向上、また生産者の安定収入の確保などの点で効果が期待されますので、設備の導入費用、また販売先の確保等多くの課題もございますが、今後、主体的に取り組むJA、漁協等と連携し、水産物に限らず、お話ございました桃、梅等の果実について品質保持のための技術研究に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 県土整備部長茅野牧夫君。
〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 国道370号阪井バイパスについてでございますが、海南市東部での交通渋滞、幅員狭小区間を解消し、安全で円滑な交通を確保することを目的として計画され、平成17年度から新規に着手し、現在、用地取得率約5%の進捗状況でございます。
事業の進め方につきましては、これまで数回の地元説明の後に西側から事業推進を図ってきたところでありますが、現在では、早期供用に向け、逆側からも事業を進めるために阪井バイパスの東側部分についても物件調査等の準備を行っているところであります。
今後は、渋滞緩和など幹線道路の整備効果の早期発現のために、議員御指摘のとおり、阪井バイパスの事業進捗に合わせ、木津バイパスについても早期に事業化されるよう国に対して要望し、事業の推進を図ってまいりたいと思います。
以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 商工観光労働部長永井慶一君。
〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) まず、海南市の中心市街地の活性化における県のかかわりについてお答えをさせていただきます。
海南市につきましては、老朽化した市民病院の建てかえや市土地開発公社所有の遊休地活用策など、さまざまなプロジェクトが盛り込まれた意欲的な中心市街地活性化基本計画となりつつあり、策定作業が鋭意進んでいると認識してございます。
県といたしましては、これまでも海南市中心市街地活性化協議会のメンバーとして参画しているところでございますが、今後とも策定した基本計画が早期に認定を受けられるよう国に働きかけるとともに、関係部局と連携しながら、国や県の支援制度の導入・活用など、計画実現のため有効な支援策を積極的に講じてまいりたいと考えてございます。
次に、農商工連携の強化についてお答えをさせていただきます。
農商工連携、異業種交流などの産学官連携の連携強化につきましては、県内事業者の今後の発展の基盤をつくる上で、まさにかぎを握る重要な支援策と考えてございます。このため、従来より、県内外の企業、大学、試験研究機関等による共同研究の推進やわかやま産業振興財団におけるテクノサロンの運営、企業等のすぐれた技術に関する展示・交流の場であるわかやまテクノ・ビジネスフェアの開催など、産学官の連携推進につきまして幅広い形で取り組んでいるところでございます。
具体的には、昨年度組成いたしました基金、わかやま中小企業元気ファンド──80億円でございますが──により、梅や有田みかんを材料とした菓子類を初め、備長炭、パイル織物技術を生かした新製品の開発、並びに天然由来の芳香剤、防犯用機器など、産学官の共同研究成果の事業化を支援するとともに、国の農商工連携促進法に基づき、新年度につきましては、新たにファンド20億円を増強し、農商工をあわせた異業種連携による新製品開発等の支援をより一層強化してまいりたいと考えてございます。
また、昨年策定いたしました県の知的財産戦略を踏まえ、梅や柿の機能性成分、ヒロメ養殖に関する産学官の共同研究で生み出された技術やノウハウ等の特許化、それらを活用した産品の「わかやま」ブランド化などに取り組んでまいりたいと考えてございます。
県としましては、今後とも情報の収集に努めるとともに、県内事業者、JAや漁協を含め、関連団体との共有を図りながら産学官の知恵と人材、技術を総結集しまして、本県のすぐれた地域資源を最大限に生かした産業振興に努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 答弁漏れはありませんか。
〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 再質問を許します。
〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 以上で、藤山将材君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時32分散会