平成21年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(片桐章浩議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午後1時0分再開
○副議長(山田正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
33番片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 こんにちは。議長からお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を始めさせていただきたいと思います。
今回は、通告内容、低炭素社会実現に向けての取り組みが1点、それから雇用問題、これが2点目でございます。よろしくお願いしたいと思います。
まず最初に、低炭素社会実現に向けての取り組みについてでございます。
太陽光発電への関心と注目が集まっております。ことし2月24日、経済産業省は電力会社に太陽光発電の余剰電力を一定価格で買い取るように義務づける制度を検討する方針を表明いたしました。これは、自己資金を投資できる人には数百万円の初期投資をしてもらって地球温暖化防止に貢献してもらうとともに経済振興の一役を担ってもらい、太陽光発電に投資はなかなか難しいなあという人に関しては電気料金という形で薄く広く負担し合ってもらおう、こういう趣旨のもので、コスト負担の役割分担によって低炭素社会を実現させる方向に動き始めております。
ところで、電気事業連合会では低炭素社会の実現に向けた電気事業の考え方を発表しております。その中で再生可能エネルギーの拡大の項目がありまして、ここで、電力会社みずからメガソーラー発電所の建設計画を打ち出すなど、再生可能エネルギーの拡大の取り組みを打ち出しているところであります。電力会社、これ全国ですが、現時点で約7万キロワット規模のメガソーラー建設が具体的に計画を公表しております。参考までに、2007年度末での太陽光発電の導入量は0.4キロワットでありますから、相当量の導入を行う、こういう計画になっております。
具体的な地点を示さしていただきますと、東から順に、神奈川県川崎市、浮島・扇島太陽光発電所、山梨県甲府市の米倉山太陽光発電所、愛知県たけとよ発電所、お隣大阪府堺市の堺第7-3区太陽光発電所、堺コンビナート太陽光発電所、四国に移りまして愛媛県松山市の松山太陽光発電所、福岡県大牟田市、港太陽光発電所、この7カ所があります。それぞれの着工は本年度から来年度にかけて行われる予定でありまして、ただ、現在のところ、これらのメガソーラー発電所は検証段階でありまして、商業化に踏み出すまでにはクリアしなければならない課題というのは山積しているところでありますが、国と歩調を合わせて第一歩を踏み出している、これは事実だと思います。
このうち、浮島・扇島太陽光発電所用地、これにつきましては、川崎市が事業者に賃貸、川崎市ではカーボン・チャレンジ川崎エコ戦略と題して地球温暖化対策を進めております。
米倉山太陽光発電所は、山梨県が持っている土地を事業者に無償で賃貸することになっております。この造成地は、ハイテク企業誘致を目的に山梨県土地開発公社が米倉山ニュータウン──これは1990年に開発に着工したものですが、よく似た状況です。企業誘致が難航して計画は頓挫。今回はその用地をこのメガソーラーに活用する、そういうものであります。
また、堺第7-3区太陽光発電所用地は、大阪市が事業者に賃貸。堺市は低炭素型都市クールシティ・堺の実現に向けた重点項目に位置づけておりまして、事業に係る固定資産税を減免しています。
このように、メガソーラーに関しては、地方自治体の強い要請と事業者の協力があって初めて実現するものだというふうに思います。
各首長からの発言から、環境施策に熱心な地域がなぜこれを受け入れられたか、実現したか、そういうことがうかがい知ることがありますので、少しコメントを引用さしていただきます。
愛媛県加戸知事、「将来の経済成長をけん引する有望な分野の先駆けとなるメガソーラー発電所の増設は大変喜ばしい。新エネルギーの一層の普及と関連産業の振興を図りたい」。また、山梨県横内知事、「リニア中央新幹線が開業すれば米倉山の地域も有効活用できる可能性も高まってくる。それまでの活用策になるのでは」。堺市長、木原市長は、「地球温暖化は人類の生存基盤を揺るがす最重要課題だ。世界的な視点に立って全力で対策しなければならない」。また、川崎市の阿部市長、「羽田空港からも近くて発着陸の際など国内外へのPRになる。地球温暖化対策に取り組む市のシンボルとして期待している」。それぞれコメントをしているところであります。
さて、電力会社の動きを続けます。
2020年までに全国で30カ所、14万キロワットを導入する計画を示しています。この規模は現在の約35倍、メガソーラーによる年間発電電力量は1億5000万キロワットアワー、一般家庭では約4万軒の電気使用量に相当し、CO2の削減量として約7万トン、これだけの効果を期待しているところであります。課題は、電力系統の安定に関しても、太陽光発電は集中設置などの場合を除いて1000万キロワットまでは既存施設で受け入れ可能、このように発表しているところであります。また、2020年までに非化石エネルギーの比率を50%にすることを目標に掲げているように、再生可能エネルギーの拡大を明確にしているところであります。
また、内閣官房からは、昨年の7月、平成20年の7月に低炭素社会づくり行動計画なるものが示されているところであります。これによりますと、既存の先端技術の普及策として太陽光発電の導入量の大幅拡大が掲げられ、現在ドイツに奪われている太陽光発電世界一の座を再び獲得することを目指していると、ここで明言しております。そのために、これは福田ビジョンでもう御存じのように、太陽光の発電導入量、2020年には現在の10倍、2030年には40倍、この実現を目指しているところであります。そのため、政府は、電気事業者によるメガソーラー建設計画の思い切った支援、それから地方自治体との連携、この2点を挙げているところであります。
さらに、エネルギーの地産地消の推進を図り、地方自治体による太陽光、水力、バイオマス、こういった地域性を考慮した地産地消型の新エネルギーの利用を評価し、すぐれたものを新エネ百選として2年から3年にかけて選定するということになっておりますから、せめて和歌山県としてもこれに選定されるぐらいの意欲を示してほしいというふうに思います。
このように将来性のある再生可能エネルギーなんですが、これは、実は地理的な制約が存在しています。特に太陽光発電は不向きな地域が多く、どこでも設置可能というわけではありません。その点、全国的に見ても日照時間が長く、比較的広大な用地の提供が可能な和歌山県は太陽光発電の適地となる可能性を秘めているというふうに思います。
低炭素社会の実現は洞爺湖サミットでの我が国の国際公約であり、環境先進県を目指している和歌山県としては、このようなメガソーラー発電所建設を誘致すべきだと考えています。できる、できないというのは別として、知事が低炭素社会実現とエネルギー自立県を目指す一環として太陽光発電の可能性をどう考えているのか、今回確認をさしていただきたいと思います。トップにその考えがないと大きなプロジェクトというのは実現するものではありませんし、本気度があればその可能性は出現してくるのだろうなあというふうに思っております。
あわせて、和歌山県の課題の1つに企業誘致活動があります。
経済が失速している中、企業誘致は困難を伴っているものでありますが、それでも和歌山県が着実に成果を上げているのは、県が企業誘致にかける強い姿勢がある、これがあることに基づいていることであります。現在、投資意欲旺盛な企業は限られてますが、その中に太陽光発電関連企業があります。県の企業立地課としてもこれらの企業へのアプローチは強くしているというふうに聞いてはおりますが、それらの企業に対して、和歌山県に行ってもいいよと思わせるためには、和歌山県がこの低炭素社会実現の役割を本気で思っているその姿勢を持つことが絶対条件であります。その中核として、県として環境先進県としてのあるべき姿、目指すべき姿を持っているかどうか、新長期総合計画から具体的にどうこれから展開させるのか、その点に尽きようかと思います。いつ、どこで、どのタイミングで何の取り組みを行うのか、これは具体化してほしいというふうに思います。
平成21年度の予算、この予算案を見る限りにおきましては、住宅への太陽光発電設備に関しての補助金、公共施設への太陽光発電設備も、もちろん設置も大切なことなんですが、県民の皆さん向けで短期的な低炭素社会に貢献する施策ではありますが、和歌山県としての大きな考え方というとこまでは踏み込んでいないような気がします。これらの裏づけにつきましては、新長期総合計画の中で、または平成21年度予算案の中でどこに示されているのかよくわからないというのが現状だと思います。もちろん、予算がなくても取り組み方針があれば何の問題もないと思いますが、もし和歌山県が国策である低炭素社会の実現に向けて誇るべき考えがあれば示してほしいなあというふうには思っております。
現在、私たちが使用しているエネルギーというのは、メード・イン・サウジアラビア、メード・イン・カタール、そういったたぐいのものです。ひょっとしたら将来メード・イン・堺あるいはメード・イン・川崎、そういったエネルギーをここ和歌山県でも使用しているかもかわりません。そのときになって、どうして和歌山県は自立できる地域エネルギーの取り組みをしてこなかったのだろうと県民の皆さんに思わせるようでは、地域の誇りも自信もあったものではありません。主力エネルギーになり得るかどうかは別としても、地域が地産地消の再生エネルギーを持っていることが当たり前の時代になる、そういう時代が到来する可能性もあろうかというふうに思います。
多くの分野において全国と比較すると40番台という項目が多い和歌山県が、恵まれた自然環境があるにもかかわらず、再生エネルギーの分野でもおくれをとってほしくはないと思います。また、国益、国策としてのエネルギー安全確保の観点からも、メガソーラーが1県1施設持とう、そういう考えもあろうかというふうに思っております。
ところで、我が国においては、麻生総理大臣が日本版グリーン・ニューディール構想、この策定を環境省に指示しております。ところが、策定に当たりまして斎藤環境大臣がこの案を報告に行ったときの麻生総理の反応は、「何だこれは」と、そういう反応であったと、これ専門誌に、ここに書かれております。少し紹介さしていただきますね。何で「何だこれは」と言ったかと言いますと、アメリカのグリーン・ニューディール政策、これでは400万人の雇用確保、再生エネルギーでは50万人の雇用創出を目指している。このことに対して、環境大臣が提案した環境施策は、都道府県への環境基金拡充、庁舎への太陽光発電の導入、エコポイント型マッチングギフト、環境関連の無利子融資制度、こういったものだったからです。その説明を聞いた麻生総理大臣は、さすがにアメリカとのレベルの違いに唖然としたらしく、「太陽光発電だとか電気自動車だとか、もっと何とかならんのか」と麻生首相は環境大臣にこう言いまして、改めて検討を指示し直したと。こういうふうにここに書かれております。さすがは麻生総理大臣だというふうに思います。
麻生首相が求めていますように、環境政策は地球規模の環境問題解決に向けたものと雇用確保、これにつながるものである必要があるからです。和歌山県が麻生総理大臣が苦言を呈したような施策を並べているだけでは、地球温暖化対策と循環型社会の構築──これは県が示している表題でありますが──これには決してつながらないというふうに思います。
そこで、質問であります。
地球環境問題やエネルギーの確保、大災害への備えの観点からも、和歌山県が地域として新エネルギーを持っていることは生命の安全を約束するものです。和歌山県としてメガソーラー発電所の誘致に取り組むべきだと思います。そこで、どこにどの供給規模あるいはどういった施設を念頭に置き、官民で抱える課題が何で、どういうマイルストーンのもとにだれがどういう行動をいつまでに行っていくことが適切なのか。例えば、コスモパーク加太用地を提供するだとか、旧白浜空港跡地利用を活用するだとか、そういった考え方もあろうかと思います。知事の強い要望と姿勢がこの取り組みの最大のかぎを握っていますから、このことにつきましては知事の見解をお聞かせいただきたいと思います。
2点目、新長期総合計画に基づく新エネルギー導入計画について具体的に示してほしいと思っております。
新長期総合計画の中では、105ページの3、1行目、ここでこういうふうに書かれております。「太陽光発電や(中略)利用を促進するとともに」と、この文面があるだけです。利用促進だけで積極姿勢が見られない内容になっていますから、これだけではとても環境先進県を目指すということは名乗れないと思います。低炭素社会実現に向けて推し進めるべき取り組みについて、この点、企画部長の答弁をお願いしたいと思います。
2点目であります。雇用問題につきまして質問をさしていただきたいと思います。
雇用問題につきましては、一般質問の初日から議論が交わされているところでありますが、いま一つ踏み込んだところがないような気がして少し残念な気がしておりますが、ぜひ同じこの項目につきまして先輩・同僚議員とダブらない観点から質問をさしていただきたい、このように思っております。
経済にとって大事なこと、これは、生産性、所得配分、失業対策、この3つであります。多くの人の生活水準を左右するものは、この3つの要素。この3つの要素が大事だというふうに思っております。雇用がなぜ大切なのか。それは、失業がなぜ悪いのかということを考えるとよくわかります。失業率が高ければ生産能力を持った労働者が活用されないため、経済の算出能力も使われない。その結果、社会全体としてはもったいないこと、これが1つ。それから、慢性的な貧困の温床になる危険性がある、これが2点であります。つまり、和歌山県の将来の経済成長率、成長性、こういったものが見込めなくなる、こういうおそれを秘めているということであります。
それよりももっと大事なことがあります。それは、学生ですね、子供たちが学校を卒業したときに働ける環境があると思える地域であることの大切さであります。社会人になって多少の波乱はあったとしても、有意義な仕事につけていると思える地域は、例えば雇用されることが特権になってしまって就職できない地域、就職をここではできないよと思える地域とは全くその意味が違います。和歌山県に仕事がないと思われることは、地域の実力がないと思われることなのです。福祉や教育、こういったものが同じだとすれば、仕事のある地域がいい地域であることには、よほどの価値観の違いがない限り間違いのないことだと思います。
ところが、残念なことに通常の経済政策の範囲内では、この大事な生産性、所得配分、失業者対策、これはもうどうにもならない、こういうことなのです。生産性を上げること、所得の不平等を是正すること、完全雇用に近づけようとすること、これはこれらの経済対策というのは世界的に見てもめったにお目にかかれない、これは私が言っていることじゃなくて、昨年ノーベル経済学賞を受賞しましたポール・クルーグマン教授が言っていることなんですが、非常に難しい。ですから、今回、県があるいは国が示しているそのめったにお目にかかれない失業者対策、雇用対策を行おうとしていることにどうしても関心が行ってしまいます。
政府の雇用対策というのは、これ、結構具体化しています。3年間で2兆円規模の対策実施、140万人の雇用維持と創出、これを目指していることです。中でもふるさと雇用再生特別交付金として2500億円、これが都道府県に支出され、雇用創出効果は3年間で最大10万人、これも数字を具体化、これを見込んでいることに注目したいと思います。
そして、これは地域の実情や創意工夫に基づいて地域内の求職者の雇用機会を創出する取り組みを支援するもので、その受け皿として都道府県に基金を造成し、県内の企業やNPO法人に今後の地域の発展に資すると見込まれる事業を委託することによって雇用機会を創造しよう、そういう性質のものです。安定的、継続的な雇用機会の創出を図るため、労働者と原則1年間の雇用契約を締結し、必要に応じて更新が可能、このようにされております。また、この本事業を実施するために雇い入れた労働者を正職員として雇用する企業に対しては一時金も支給するよと、このようになっております。
雇用の安定、生活支援、これを最優先で取り組むという厚生労働省の掲げる方針に対して、収益モデルを具体化させられる事業をどれだけ市町村が取り上げられるか。ここにこの基金の成否がかかっていると思います。仮に市町村が収益が余り上がりそうにもないものを、事業化案、そういったものを、提案してきたものについて出すんであれば、単に委託費を払う、こういう性質のものになり、全く雇用という意味では意味をなすものではありません。長期的な雇用創出を図ることが特別交付金の真の目的のはずです。
和歌山県として長期的な雇用創出に重点を置くべきで、そのために正規雇用を図る企業などに対して活用すべき性質のものですから、雇用を創出する前提に立った事業立案をぜひともしてほしいところであります。そのためには、公労使による雇用創出懇談会を持って企業誘致、和歌山県の地域事情に応じた産業を創出し、同時に雇用もつくり出す、この方向性を求めてほしいというふうに思います。
ところが、この政策が非常に困難に思えるのは、我が国においては既に生産性が供給過剰になっていること、つまり民間企業の中の手持ちの供給能力を使えるだけの有効需要、力強い需要がないことが問題になっているからです。そして、仮に有効需要をふやせたとしても、じゃ需要がふえたら何が起こるかということになりますと、これ、仕事がふえる、こういうこともあろうかと思いますが、実は仕事がふえるんではなくて、賃金が上がるわけなんです。賃金が上がることで生み出された所得というのが、これは吸収されてしまうよということになりますから、雇用問題というのは本当に難しい問題だというのがわかります。
ただでさえ供給が過剰なのに、今存在している仕事以上の、市場にない新しい仕事をふやして需要をつくり出す、そして雇用につなげることに挑戦しようとするこの政策は大いに歓迎すべきことなのですが、これは、よほど大胆な新事業、新産業を育成する取り組み、これが必要で、その覚悟で仕事をつくり出さないと、単に委託費を出す、これだけでは経済対策にならないというふうに思います。
確かにすごいもうかるような、収益を上げるような新産業が出てくれば、委託をやめた後も投資家はその産業に投資してますから経済は好転し始めます。問題は、事業家や投資家が今でさえ探しかねている新産業を県や市町村がどうやって見つけるかです。資本主義社会ですから、そんなものがあればだれかが既に着手しているはずです。
今回この政策を成功させようとすると、新産業を発見すること、どうやって育成するのか、この2点をセットにしなければ余り意味のないものになってしまいます。今回のふるさと雇用再生特別基金活用事業の要件には、新たに企画した事業で既存事業の振りかえは不可、この項目があるだけで、今のところこれに関しての議論は交わされておりません。地方自治体がやる事業だからとか、有望分野に補助金を拠出する、こういったことだけで、これは有効施策になるよと思う人は今では少数派ではないでしょうか。無論、将来の市場が見込めないため企業が新しいものに取り組みをしないという状況の中において都道府県が新規事業によって景気回復をリードする、これはもう大歓迎なのですが、そこで質問を知事にさしていただきたいと思います。
1点目、ふるさと雇用再生特別基金の活用事業、これは検討段階にあるというところですが、この事業の本質的目的は、委託を受けた企業活動における新事業のための正規雇用確保に関しての人件費を3年間出そうと、行うという本格的な雇用対策をすることにあろうかと思います。ですから、そのため、3年間で成果を出して、その後は新規事業として自立したものに仕上げてもらう必要があります。3年後、今回実施した事業が失敗したため、正規雇用を確保したがために非正規雇用の人の雇用調整を図られるようではこの政策の意味はありません。
そこで、ふるさと雇用再生特別基金活用事業で何の成果を期待しているのか、お示しいただきたいと思います。
最悪なのは、今回採択した事業が支援措置をなくした1年後あるいは3年後にその事業をやめてしまうことです。それでは一過性の対策にすぎず、本格的な事業の意味合いが失われてしまいます。計画を上げてくる市町村と委託を受ける企業、NPOに求める雇用の成果は何なのか、これを明らかにしていただきたいと思います。
2点目、公労使による雇用創出懇談会、これを設置することによって将来にわたって本格的に正規雇用を促すための対応策を講じてほしいところですが、いかがでしょうか。この2点は知事の答弁をお願いしたいと思います。
それから3点目、近年、和歌山県には多くの企業が進出してくださっているところなんですが、進出してくれた企業の正規雇用の状況はどうなっていますか。企業誘致が正規雇用に効果が上がっているかどうかの検証結果をお示しいただきたいと思います。それと比較して、従来からの和歌山県の地元企業の雇用状況はどうなっていますか。来年度以降の雇用に関しての県の支援体制は果たして整えているのでしょうか。この点に関しては、商工観光労働部長から答弁をお願いしたいと思います。
それから、最後であります。来年就職活動を迎える地元大学生と先日懇談する機会を持ちました。そうしたところ、就職に関して非常に不安を持っている、このことがよくわかります。ことしの就職活動は買い手市場であり、求人数も絞られているため苦戦しているのですが、これは、上場企業であっても決算によっては採用を絞っているため学生の希望がかなわない、こういう状況が既に出現し始めております。平成20年度の決算には、平成20年度上期の比較的業績のよい期間が含まれていながらの通年の赤字決算、こういった企業が幾つかあります。
来年の21年度決算は、通年にわたって厳しい経済環境の中での決算を余儀なくされますから、業績が本年度よりも悪化することは十分予想できます。ですから、現在の大学2年生にとっては来春の就職活動はことしよりもさらに厳しくなる可能性があるわけです。ことし就職活動を迎えている現在の3年生のことを他人事とは思えない状況にあります。
特に、和歌山県内で就職を希望する学生にとっては選択の余地が非常に少なく、厳しい環境にある。どうしても県外企業に向けての就職活動が中心になりますから、せっかく地元大学で学んだのに、あるいは地元の高校で学んだのに就職で県外に出ていかなければならない、こういう悩みがあるわけです。そして、一度就職して県外に出てしまうと、よほどのことがない限り、再び和歌山県に戻ってきてくれることはありません。つまり、和歌山県人から他府県の住人となってしまい、就職時期ごとに県の人口が減少する、こういうことになるわけです。こんな状態がこれからも続くようなことになりますと、人口あるいは経済力、これのさらなる先細りは確実と思います。
ですから、経済対策とは、雇用機会を拡大することが最大の防御策となります。新卒の学生に和歌山県で働いてもらうことの大切さを学生との懇談の中で痛感した次第であります。
ホームページで、和歌山県では、「和歌山県で働きませんか!」プロジェクトを確かに呼びかけておりますが、これだけではなくて、地元の高校や大学を卒業した人を受け入れられるだけの雇用を確保するように県としてはそういった対策を、支援策を充実さしてほしい、このように思います。
そこで最後、商工観光労働部長に質問をさしていただきたいと思います。
ことしの就職活動以上に厳しさを増すと思われる来年度の新卒就職予定者に対する就労対策は今から考えておく必要があろうと思います。県内にとどまってもらう、あるいは県内に戻ってきてもらうための県としての雇用対策についてお聞かせをいただきたいと思います。
以上をもちまして、第1問を終わらしていただきます。御清聴ありがとうございます。(拍手)
○副議長(山田正彦君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、メガソーラー発電所建設の考えについてお答え申し上げたいと思います。
和歌山県につきましては、議員御指摘のとおり、太陽光にも恵まれているところでございますし、それから、何といってもこれからの雇用とか世界的なエネルギーとかそういうことを考えますと、供給側、需要側ともにこの太陽光を使ったエネルギー産業をぜひ和歌山に持ってきたいと、実はこういうふうに思ってるわけであります。
1つは、電力会社を通じた、議員の言葉で言うとメガソーラー発電所ということであります。もう1つは、県営施設などでそれをつくっていくと。太陽光発電パネルを使ったそういう施設をつくってクリーンエネルギーを導入することを考えると。それからその次に、住宅にそれを導入することによって、同じようにエネルギーをクリーンなものに変えていくと。最後に、供給側の関連産業をぜひ和歌山に誘致したい。こういう体系になるわけでありまして、みんなそれぞれ実は努力をしております。
繰り返しになりますけれども、太陽光発電につきましては、日照時間が長い本県の特徴を生かせるものでありまして、温室効果ガスを発生させない自然エネルギーの利用として、その導入に積極的に取り組んでいるところでございます。また、太陽光発電の普及促進には、新たな雇用や産業の創出といった経済効果も期待されるところであります。
それぞれ4つ申し上げましたことについて申し上げますと、県営施設、それから住宅につきましては、それぞれ、ことし国の補助金なども活用しまして21年度予算でかなり奮発をいたしました。住宅についてはそれでうまくいきそうなんですが、問題は県営施設等々でありまして、今かなり手厚い助成金をつくっていただいてるんですけれども、それでもかなりつらい県の持ち出しになります。そういう点について、今また政策提言をして、もう少し助けていただくと、かなり県としても、これは実物ベース、商売ベース──経済ベースでもっと積極的な導入ができるというようなことを今申し上げているところであります。
それから、関連産業につきましては、実は和歌山には結晶型のシリコンの太陽光発電のもとになるパネルをつくる一番上工程の企業があります。もっと実は大きくしたかったんですけれども、もう既によそに大きくつくってしまうということを私が来たときに決めてしまっておりまして、そこを何とかと言って少し拡張してもらうという方向へ今動いています。それに加えて、残りの、例えばパネルを使って発電所をつくるようなそういうものについても何とかならんかと言って八方手を尽くして、今、誘致に全力を挙げているところであります。ライバルも物すごくあります。
それから、電力会社についても既に手は打って話し合いもしておりますけれども、なかなか電力会社といっても、採算が合わないと出血覚悟で昔みたいにいろんなことをやってくれなくなってきています。そういう意味で、よそでやってるような、例えば某々施設を全部ただで県の負担のもとに提供するということが今の和歌山県ができるかというと、実はできません。残念ながら手足が縛られて、何とか採算を合わしてやってくれませんかというようなことを、もちろん県も持ち出しをいたしますけども、そういう話し合いをしているところでありまして、ただで提供できるような財力のある県はええなあというふうに思っている次第であります。
ただ、こういう話というのは、採算等々はその時代の技術体系とか時代背景あるいは政府の助成等々によって条件が次々と変わってきます。したがいまして、いろいろクリアすべき問題はあるけれども、ぜひ、できれば和歌山にそういうものができるということはすべての点でいい話でございますので、こういう状況をずうっとフォローしながらチャンスを見て何とか実現できたらいいなということで引き続き努力をしていきたいと、こんなふうに思っております。
それから、ふるさと雇用再生特別基金活用事業につきまして御質問がありました。
これは、御指摘のように安定的な雇用機会の創出を目的とした事業でありまして、これをうまく活用して和歌山の地域産業の発展、活性化につながることを期待しているわけでございます。この場でもお答え申し上げましたように、この使い方については、1つは雇用がふえるということが大事だと。もう1つは、これが長期的にその雇用が持続するというようなものにつながっていくような、そういう使い方ができればいいと思うということで努力していきたいとお答え申し上げてるところでございますが、片桐議員のそこの質問の中での御指摘もそういう趣旨であったかというふうに考えております。
先週、日経連と連合が従来になかった連携によりまして厚生労働省に提言を行い、この危機に対する共同宣言をまとめる方針が発表されたところでありますが、県といたしましても、御指摘のように公労使が参加し、協議することは意義あることと考えておりまして、今月既に発足いたしましたふるさと雇用再生特別基金事業地域協議会を初め、さまざまな機会をとらえて、さっき申し上げましたような、使い道でもみんなが知恵を出してもらえないかということをこれから熱心に取り組んでいきたいと思います。
ただ、御質問はこういうことでございましたが、雇用はこれだけではございませんで、片桐議員御指摘のとおり、ちゃんとした需要のあるところをアピールして、それでミスマッチを解消したいということが1つあって、これは予算はもう既にいただいておりますので、「和歌山で働きませんか!」プロジェクトを3つ立ち上げて、本当に需要のある和歌山ですから、ぜひいらしてくださいということを熱心にお勧めしておりますし、それから、雇用のもとになる産業づくりをしていかないといけないということで、これは底力をつける政策というふうに整理しておりますが、例えば新リーディング産業育成とか、あるいはふるさと元気プロジェクトとか、新農林水産業総合戦略プロジェクトとか、そういう産業づくり、地域づくり、こういうものについても、短期的な雇用だけじゃなくて、取り組むことによって長期的な雇用を達成するということを頑張ってやっていきたいと考えております。
○副議長(山田正彦君) 企画部長前硲健作君。
〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) 新長期総合計画に基づく新エネルギー導入への取り組みについてでございますが、まず太陽光発電につきましては、本年度から県独自の施策として家庭用太陽光発電設備設置への補助制度を創設しておりまして、予算額を上回る申請があり、公開抽せんを行ったところでございます。今後は、資源エネルギー庁の太陽光発電導入支援対策費補助金との併用も図りながら、さらに住宅への太陽光発電の導入を促進してまいります。
また、21年度から、公共施設への太陽光発電の率先導入として、県庁舎や教育施設等への太陽光発電設備の導入や和歌山駅前など代表的スポットへの太陽光発電LED街路灯の導入に取り組むこととしております。さらに、バイオマスエネルギーの利用につきましては、21年度予算で木質パウダー燃料を利用する地産地消型の木質バイオマスエネルギー利用システムの構築支援に取り組むこととしております。
これらの取り組みはCO2排出削減に資するのみならず、産業振興、地域活性化につながるものでございますので、引き続き国の施策の動向を注視しつつ、本県の地域特性、地域資源を生かした新エネルギーの導入促進に取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(山田正彦君) 商工観光労働部長永井慶一君。
〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 雇用問題についての2項目につきましてお答えをさせていただきます。
まず、誘致企業における雇用の状況につきましては、例年4月に調査を実施しているところでございますが、経済情勢の悪化に伴う影響調査を把握するため、本年1月に臨時に調査を実施したところでございます。この調査によれば、これまでに誘致した84カ所の事業所におきまして3390人の正規雇用がなされてございます。また、景況悪化による影響でございますが、昨年4月と比べますと58人の雇用増であり、企業誘致による働く機会の確保が一定規模で維持されたというふうに認識しているところでございます。
一方、地元企業の雇用状況につきましては、総務省が平成19年度に実施いたしました就業構造基本調査によりますと、23万5200人が正規の職員、従業員として雇用されてございまして、会社などの役員を除いた雇用者に占める割合は64.5%となっており、全国水準をやや上回っております。しかし、正規雇用者は5年前の調査と比べますと1万800人の減少ということで、正規雇用の割合も5.2ポイント低下し、厳しさがより一層増しているというふうに認識してございます。
雇用情勢が急速に悪化している中で、来年度の雇用対策につきましては、ジョブカフェわかやまに企業を巡回し新たに求人情報を開拓するスタッフを配置するとともに、和歌山労働局との連携により新たに設置した地域共同就職支援センターを含め、企業面談会の開催や就職セミナーの実施などのさまざまな事業を展開し、安定的な雇用の場の確保に努めてまいりたいと考えてございます。
次に、平成21年度の新規学卒者の就職につきましては、議員お話しのとおり、私どもも大変懸念しているところでございまして、県としましても、従来より大学生等を対象としたUターンフェアの開催や高等学校卒業予定者を対象とした企業説明会などを開催し、県内就職を支援しているところでございますが、雇用環境の急速な悪化を踏まえ、新年度は和歌山大学や和歌山工業高等専門学校におきまして、県内の有力企業が実践的な講座を設置し、経営理念やすぐれた技術などを紹介するとともに、企業情報誌を新たに作成し、県内外の大学や県内の高校に配布するなどして新規学卒者が県内企業への就職がさらに進むように頑張ってまいりたいというふうに考えてございます。
以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 答弁漏れはありませんか。
〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 再質問を許します。
33番片桐章浩君。
○片桐章浩君 御答弁ありがとうございます。
それでは、第2問は要望ということで2点さしていただきたいと思いますが。
まず、低炭素社会への取り組みについてでありますが、これは、知事が示していただきましたように、和歌山県の経済対策、環境対策、これを同時にやり遂げるという強い意思を持って環境先進県を打ち出す、このことによって環境関連企業あるいは事業者、こういったところが、和歌山県は本気でやってるなあと、こういう下地が整えられようかと思いますので、ぜひ進めていただきたいと思います。
エコタウンのイメージを持っているというのは、今では北九州市あるいはパネルベイのイメージが定着し始めた堺市などのように、かつては工業地帯というか、悪く言えば公害都市みたいなイメージのあったところが今では環境都市への転換を図ろうとしている結果、環境先進都市のイメージ、これを形成している、こういう都市の取り組み方が非常に参考になろうかと思います。
和歌山県は、もちろん環境立県のイメージはあるのですが、これは自然条件とか地形的なものから来ているものであり、積極的な環境先進県というところまではまだまだ認知度はないのかなというふうに思っております。そこで、恵まれたこのような自然環境に加えて、環境関連企業の誘致による積極的な環境先進県への転換を図り、持続させることで地域経済活性化、雇用確保、こういったところにも同時に図れるように達成するようにお願いしたいと思います。
また、先月2月20日、大阪府知事が経済産業大臣に関西の新エネルギー関連プロジェクトの集中投資をお願いしております。これができたというのも、環境モデル都市計画という裏づけがあってからだというふうに思っています。和歌山県としてぜひ環境先進県を目指す計画、これをつくって環境投資で雇用拡大も図ろうとしているこの機運を逃さない施策を打ち出していただきたい。そのためには、現在のところまだ形にはなっていないんですが、経済発展と調和性を含んだ低炭素社会のイメージ、CO2の削減または新エネルギー関係の企業誘致、まちづくり、県内企業でのCDM形態と排出権取引の拡大、こういったところの見通しもぜひ協議してほしいというふうに思います。
国が言うところの環境立国、これをリードしているのが和歌山県だと言えるような見通しを組んだ計画をぜひ立ててほしいなというふうに思います。
それから、雇用問題に関してであります。
知事から雇用の拡大と長期的な雇用の安定という答弁をいただきまして、まさにそのとおりだと思います。懸念するのは、せっかくのこの基金を活用した事業があるのに委託した事業が支援措置をなくした時点でもうとまってしまう、これがもう一番悪いことなんですよね。ですから、市町村が果たしてそのような長期的な雇用確保につながるような案を上げているのか。これは、県が内容をウオッチしていただきまして指導性をぜひ発揮していただきたい、このように思います。
この国のふるさと雇用再生特別基金では、国が具体的に──繰り返しますが──雇用創出効果は3年間で10万人と具体的な数字を、これ、見込んでいるわけであります。ですから、そのうち和歌山県としてどの程度の雇用を創出するか目標をきちんと示してあげないと、あるいは相当の部分割合を担う覚悟を持たないと市町村に具体的な指示というのはできないと思います。どこどこさん幾らの雇用創出してよと、なかなか言えないと思います。そうであったら、市町村がどれだけの雇用を自分のまちでつくったらええのかわからないままであれば、雇用に見合った新しい仕事というのは、こんなん決してつくれることはないと思います。ただでさえ困難な雇用をつくる政策、それをやろうとしているんですから、その覚悟を持って真剣な県としての支援策を講じてほしいということを心から期待いたしまして、要望とさしていただきたいと思います。ありがとうございます。
○副議長(山田正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で片桐章浩君の質問が終了いたしました。