平成20年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(藤井健太郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番藤井健太郎君。
  〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 おはようございます。昨年の12月議会は、燃油価格の高騰問題をめぐってかんかんがくがくの議論をして、県経済どうなるのかという話でありましたが、この1年、当局においても対策本部を立ち上げて非常に努力をされてきたと思います。地域の事業者の方もこつこつと積み上げてこられたわけですが、しかし、この間の急激な、これもアメリカ発の金融危機が地域経済を襲うということで、内心唖然とするといいますか、虚無感に襲われてるとこでもありますが、しかし、そうは言っておられません。
 知事も、先ほどの玉置議員の質問で、県経済の分析をされ、道しるべ、処方せんなるものを示されておりましたが、私も、既にこの議場でも経済問題、地方財政の厳しさを増す中で、その歳入の前提である経済成長率、これも崩れてしまうのではないかと、行革プランの見直しも再度迫られるのではないかというような中で、こういった問題について議論に参加をしていきたいと思います。
 まず、経済対策についてであります。
 県経済と新年度予算編成について、知事にお尋ねをいたします。
 知事は、今議会冒頭に、経済情勢への対応として、県内の景気動向や経済・雇用情勢を注視しつつ、国の動向を踏まえながら必要な対策を講じてまいりたいと言われています。和歌山財務事務所のことし8月までの経済指標に基づく報告では、企業の設備投資が前年を大幅に上回る計画となっていて、企業の生産活動は緩やかに増加しているものの、雇用情勢は緩やかに悪化をしていると、県内経済は足踏み状態で景況感は下降の見通しとなっていると、また、前年比経常利益は大企業で増加、中小企業になるほど減少していると分析をしております。
 住友金属和歌山工場の高炉増強や、中小企業物づくり300社に県内企業もこの3年間に16社選出されておりますなど、一部で明るい話もありましたけども、県内の倒産件数は平成18年には82件、19年には135件、ことしは9月までで120件と増加傾向にあって、廃業を含めますと事業所数の減少には歯どめがかからない状況となっています。昨年末からの燃油価格高騰を販売価格に転嫁できない消費の低迷による売り上げの不振、こういうことで製造、非製造業問わず中小企業になるほど経営の厳しさが増してるのではないかと思います。
 県内の事業所数、従業者数で大きな役割を占めているのが地場の中小零細規模の事業所です。県民の所得や雇用を支えている重要な役割を果たしております。その中小企業に、この秋以降の株安、円高、金融不安、こういったものが襲いかかり、一層の倒産、廃業に追い込まれるのではないか、地域にも不安感が広がっています。
 雇用をめぐる状況では、全国大手の自動車、電機、機械などの製造業を中心として、派遣労働者の雇いどめなど非正規の労働者3万人が職を失う、新卒者の採用内定の取り消し、雇用期間を定めた契約社員の違法とも思える期間途中での解雇など、こういった問題が報道され、大きな社会問題となりつつあります。
 和歌山労働局に県内の状況はどうだということで聞いてみますと、派遣元の会社への聞き取りをして、5件50人の更新が打ち切られると。しかし、今のところ1社で30人を超すような大規模な契約打ち切りの報告はない。しかし、偽装請負や二重派遣などを含めた派遣労働の実態については、つぶさには把握できないということでありました。
 今日の経済情勢を見る視点として、最終消費者である国民の所得の動向、直接消費に回せる可処分所得や雇用の状況はどうなっているのか、こういった問題が重要なポイントだと思います。
 昨今、経済対策の柱として、一斉に外需頼みから内需の拡大、内需主導型の経済成長、このように言われておりますが、これまで内需の根底である国民の所得や雇用そのものを痛めつける政策がとられてきたのではないでしょうか。賃金の上昇が抑えられ、そこに定率減税の廃止などの庶民増税、医療、介護、年金など保険料の引き上げで社会保障負担が勤労者に押しつけられました。
 また、働き方についても、派遣労働の原則自由化や派遣期間の延長、期間を定めた有期雇用など労働法制の相次ぐ規制緩和が不安定雇用を広げ、年間の給与所得が300万円に満たない労働者がふえ続けております。
 景気回復を内需主導型にしていくためには、これまで痛めつけられてきた家計の購買力の回復や将来の雇用不安を取り除いていくことが必要なのではないでしょうか。そのためにも、社会保障に対する国民負担を軽減させ、賃金の引き上げや安定した雇用の確立が求められます。
 知事は、医療、介護、年金など社会保障の国民負担の増大や労働法制の相次ぐ規制緩和について、どのように考えておられますか。社会保障に対する県民負担の軽減や安定的な雇用の確保が県経済の今後にとっても重要な課題となってくるのではないでしょうか。知事の見解をお聞かせください。
 また、知事は、新年度の新政策について、和歌山の強みを伸ばす取り組み、県民生活の根底を支える取り組みに重点投資する予算編成を行い、経済発展に向けた取り組みをさらに進めると言われています。具体的にはどのようなことを考えておられるのでしょうか。
 和歌山の強みということでは、温暖な気候にはぐくまれた自然環境や文化・歴史遺産を生かした取り組み、「果樹王国」と自称する農林水産業の振興をさらに図ること、県民生活の根底を支える取り組みと言われますと、少子高齢化への対応を初め社会保障、福祉施策、雇用のセーフティーネットづくりなどを早急に拡充していくことをイメージするわけですが、今日の経済状況の見通しに沿った新年度予算であることが求められています。具体的な施策については、これからの国の動向と合わせてのこととなるでしょうけども、今議会では県が取り組もうとする施策についての基本的な考え方についてお聞きしておきたいと思います。
 次に、県民の雇用と労働行政について、商工観光労働部長にお尋ねをいたします。
 愛知のトヨタ自動車で2年11カ月の期間契約社員として働いていて、10月に契約更新を打ち切られ、雇いどめとなって会社の寮を出て和歌山に戻ってきた人がいました。今後の生活設計についての相談を受けたのですが、現在は雇用保険を請求し、就職先を探しておられます。なかなかうまくいかないようであります。
 雇用問題について定めた雇用対策法では、その目的に、経済情勢の変化に対応して、雇用に関し、その政策全般にわたり必要な施策を総合的に講ずることにより、完全雇用の達成に資することとされています。そして、そのための国の施策と地方公共団体の施策についての定めがあります。その第5条に、地方公共団体の施策として「国の施策と相まつて、当該地域の実情に応じ、雇用に関する必要な施策を講ずるように努めなければならない」とあり、完全雇用の達成を目指す──第一義的には国の仕事でありますが、和歌山でいえば和歌山労働局が対応することになっておりますけども、雇用対策法が言うところの地域の実情に応じた雇用対策を進める上では、県の労働行政の果たす役割は極めて大きいものがあると言えます。
 県は県民の声をめぐる現在の状況、今後の見通しをどのように認識され、県として強めていくべき課題をどのように考えているのか、今後の対応をどうしていくのか、お尋ねいたします。
 2つ目に、県民の働き方と正規雇用の拡大に向けて。
 雇用の中身の問題、働き方について、実に多様な働き方となってきております。ハローワーク和歌山で聞いてみますと、求人区分でも正社員、正社員以外、派遣労働者、臨時、パートなどとなっていて、ことし9月の有効求人数のうち、正社員の求人は実に47%と半分に満たない状況となっています。正規の職を求める人に対する正規の求人割合、6割にも満たない状況です。果たして県民の働き方、就業形態はどのようになってきてるのでしょうか。また、この間に県が誘致を進めた企業での就業形態はどのようになっているのでしょうか。雇用の安定を図る上からも正規の雇用の拡大が望まれるところですが、どのような働きかけをしているのでしょうか。
 3つ目に、賃金引き上げと格差の解消について。
 10月末に政府・与党経済閣僚会議策定の生活対策で経済界に対する賃金引き上げの要請が位置づけられ、麻生首相が経済団体に労働者の賃上げを要請したことが報道されています。勤労統計調査を見ると、県内の賃金指数は下がり続けているようにも思えます。県内の労働者の賃金状況はどのようになってきているのでしょうか。また、正規と非正規の格差はどのようになってきているのでしょうか。賃金引き上げや正規雇用と非正規雇用の賃金格差の是正をどのようにして進めていくのか、県としての考え方と働きかけをどうしていくのか、お尋ねいたします。
 次に、中小企業向け融資について。これも商工観光労働部長にお尋ねをいたします。
 年末、また年度末を控え、県内事業者、とりわけ経営不振に見舞われている中小零細業者の資金繰りが悪化をし、経営破綻や連鎖倒産に追い込まれることへの不安が広がっています。せんだっても、和歌山市で親の代から製材業を営んでいる人ですが、取引先が倒産し、手形が不渡りになった、銀行にはきちんと返済しているけど新たな融資は断わられた、別の銀行と話を進めるしかない、保証協会の保証も難しい状況であり、何とかこの時期だけを乗り切ることができればという話がありました。
 中小事業者を取り巻く資金需要は極めて高まってきているように思いますが、県内中小企業をめぐる資金需要と融資の実態、どのように把握されているのでしょうか。
 2つ目、融資の需要に対する万全の備えができているのでしょうか。
 国の生活対策では、景気下降局面が長期化、深刻化するおそれがあり、経済的な弱者に大きな波となって押し寄せてくる。資金繰りに苦しむ中小・小規模企業のセーフティーネットを強化し、緊急の備えを万全にすることが喫緊の課題と言われています。
 県内中小事業者への資金需要への対応は万全なのか。県は、このたび、国が開始した無担保で8000万円を限度とし、信用保証協会が100%保証する緊急保証制度を受けて、県の資金繰り安定資金や経営支援資金を新設、拡充しましたが、どの程度まで対応できると考えているのか。融資案内のチラシを見ましたが、融資額については金融機関が、保証額については保証協会が判断、決定するとなっていて、希望に沿えない場合もある、わざわざ断り書きが読み取りにくい小さな字で書かれておりました。保証や融資の審査に当たって頭ごしに門前払いされるようでは、緊急の備えを万全にしたとは言えないのではないでしょうか。融資のあっせんや融資相談も含めて運転資金を必要とする事業者にどこまでこたえていこうとするのか。
 3つ目に、融資円滑化への働きかけについて。
 昨年10月より従来の保証を保証協会の100%保証から金融機関が20%保証を負担する保証の責任共有制度が実施されています。借りにくくなって融資申し込みを控えているという事業者の声も聞くわけですが、貸し付けに変化は起こらなかったのでしょうか。
 今回の緊急保証制度は保証協会の100%保証となっていますが、金融機関の審査が通らないというような貸し渋りは起こらないのか。それでは100%保証の意味がなくなってしまいます。貸し出し条件の緩和を含め、融資円滑化の要請など保証協会、金融機関への対応はどうしていくのか。
 4つ目、指定業種の拡大、利子補給と保証料への補助について。
 国の緊急保証制度は、約1300業種のうち現在698業種が指定、さらにふやすという動きも見られますが、業況の悪化している業種はこれ以外にもあって、業種指定の拡大をしてほしいというサービス業や情報関連事業者の方からの要望も聞かされます。業況が悪化している中小企業すべてを対象に拡大していくべきだと思いますが、ぜひとも働きかけをしてほしいものです。いかがでしょうか。また、県制度融資への利子補給、保証料への補助の拡大など検討できないでしょうか。
 次に、行財政改革について、知事並びに関係部長にお尋ねをいたします。
 行財政改革の理念と目的は何か。
 県は、ことしの3月、新行財政改革推進プランを策定した際、その基本方針として、長期総合計画が掲げる将来像を実現するためには強固な財政基盤が必要であるということ、財政健全化法での早期健全化団体、財政再生団体への転落を回避しつつ、持続可能な財政構造への転換を図ることを掲げました。
 行財政改革の目的は、目指すべき自治体の将来像の実現に向けて行財政運営のあり方を不断に見直していくことだと私なりに理解するものでありますが、ことし9月に示された行財政改革推進本部事務局案を見て、改めて県が推進しようとする行財政改革の理念と目的について、お尋ねをしておきたいと思います。
 事務事業見直し案のすべてについて十分精査したというわけではありませんが、中に、県の長期総合計画が示す将来像の達成に向けてということを考えるならば、現在実施している事業のさらなる拡充、充実の方向にあってしかるべきではないかと思われるものがあります。
 既に議論があったとこでもありますが、合併浄化槽設置整備費事業補助金、長期総合計画の中でも県民の衛生的な生活の実現として、下水道整備とともに合併浄化槽の整備がうたわれています。見直し案は、住宅を新築した際の合併浄化槽設置に対する補助はしないというものです。県内の自治体で、現在、新築、改築の区分をしているのは和歌山市だけであります。和歌山市の担当課に話を聞きますと、新築した場合の補助が全体の8割を占めていて、改築は2割であるということでした。汚水単独槽からの生活雑排水も含めた合併方式への転換を目指すとした政策がどのような成果を上げてきたのか。8割を占める新築の際の補助金廃止は、単なる補助金の大幅削減が目的であるとしか映りません。
 次代を担う青少年の育成の場として整備された、紀北、紀中、紀南のそれぞれに1カ所ずつ、県内にわずか3カ所しかない青少年の家の1カ所を廃止する案も示されています。わずか2カ所での活用をどう目指すというのか。施設の位置づけや理念も不明確で、単なる財政削減となっています。
 NPOサポートセンターについてもしかりです。少子高齢化社会への対応、地球規模での環境問題の解決など、住民が参加し、主体となっての市民運動の発展と成熟が今後一層求められることになる中で、県は既に十分育ってきているということで県のかかわりを薄めていくというのは、県の一方的な都合であって、財政削減が主目的のように映ります。
 行財政改革の理念と目的は何か。財政収支の帳じりを合わせるための経費削減が目的ではないはずです。自治体本来の仕事である住民福祉の向上、生活基盤の整備、教育環境の充実や住民参加の促進などはその事業のみに着目した経済的効率性だけでは推しはかれない問題だと思いますが、知事の考えはいかがでしょうか。
 トップの姿勢についてです。
 今回示されている行財政改革の内容は、県職員はもとより、住民へも我慢を求めるものとなっています。暮らしの困難さなど経済情勢が厳しさを増すもとで、県民の行政に対する視線、職務の執行についての監視と批判も高まりつつあります。
 そういう中で、知事、副知事などの行政のトップがみずからの経費を節減していく方策をどのように考えているのか、その姿勢を示していくことも重要ではないかと思います。例えば、知事で1期任期ごとに4065万円、副知事で2280万円という退職手当のあり方などを含めてどのように考えておられるのか。
 新年度の歳入の見通しについて、総務部長にお尋ねをいたします。
 地方税収の落ち込みも予測されますが、地方交付税の財源である国税の落ち込みによる地方財政への影響など、国から地方財政へのしわ寄せが一層厳しくなりはしないか。財源対策としての地方債への依存が高まりはしないか。一般財源を中心とする歳入確保に向けての手だてをどのように考えているのでしょうか。
 また、職員数と公務労働の役割について、これも総務部長にお尋ねをいたします。
 人事問題については、これまでにも適材適所への配置、極端にある年齢層だけが少なくなるなど年代層の断層をつくらないということ、技術職、専門職の計画的な採用、重複する事務をなくし職員配置の合理化を図ること、女性の幹部職員への登用を図る条件整備を進めること、職員の公務員としての自覚と能力を高める研修を重視すること、むやみに幹部職員のポストづくりをしないことなどを折に触れ求めてきました。
 職員数については、事業のあり方に見合った適正数であるべきと考えますが、今回の行革プランでは、知事部局の職員数を5年間で12%、480人を削減するとなっています。その根拠は何でしょうか。県の事業と職員数の均衡をどのように考えておられるのでしょうか。削減数が先にありきで、後で帳じりを合わせるための機構改革による組織の見直し、民間委託などの業務の外部化、公務員の非公務員化による人件費削減を進めていくこととなるのではないか。今日、自治体に民間経営並みの経済的効率性を求める流れが強まり、自治体事務のすべての仕分けを行い、外部委託を進めることや民間との競争を求める市場化テストの導入などで、逆に自治体が持つべき公共性とは何か、自治体職員の仕事は何かが問われるようになってきています。
 住民と民間経営との関係は、商取引の相手方として売り手と買い手としての関係であらわすことができますが、住民と自治体の関係はそうではありません。住民の暮らし全体に責任を負っているのが公務員であり、行政サービスの担い手が民間に移されようとも、最終責任は自治体が負わなければならないはずです。そのための専門性、問題発見能力や解決能力が求められ、そのための一定の職員数は確保しておかねばならず、民間に移したその分が丸々余剰になるわけではありません。
 公務員は、住民全体の奉仕者とも言われますが、憲法で定められている住民の生存に向けての権利、幸福を追求する権利など、基本的人権を保障していくべき仕事が公務労働であるとも言えます。公務労働の果たす役割をどのように考えているのか。これだけは公務労働でというもの、外部化、非常勤化を進めるに当たっての基本方針のようなものがあるのでしょうか。職員の削減数に合わせて、その場その場で判断していっているのではないでしょうか。
 福祉医療のあり方をどう考えるか、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 67歳から69歳までの人を対象として自己負担を3割から1割に軽減する老人医療制度は廃止、重度心身障害者、母子・父子家庭などひとり親家庭は新たに自己負担金の徴収が考えられています。その理由は何でしょうか。受益者負担、他府県の動向ということだけでは、県の福祉医療そのものに対する考え方が不明確です。受益者負担という考え方は、そもそも福祉にはなじみません。福祉医療に対する従来の考え方から変わったのか。今日の経済情勢のもとで、福祉医療をどのように位置づけているのか。福祉保健部の予算の範囲内での制度設計を考えなくてはならない、こういう問題ではないと思います。健康長寿日本一を目指す、子育て環境ナンバーワンを目指すとした県の基本的スタンス、目指すべき将来像を定めた長期総合計画の基本姿勢からの後退と映ります。命と健康にかかわる基本的な施策を後退させることになるのではないでしょうか。
 最後に、見直すべき問題はないのか。
 知事は、明らかに無駄だと言えるものはほとんどなくなっているということですが、そもそも、だれもが明らかに無駄だと言えるものがあっては困るわけで、ないのが当たり前の話です。しかし、国直轄事業の負担のあり方を初め、県の事業・施策で県民負担に転嫁させずに見直すべき問題はないのか。さらに精査が求められる問題はないのか。これは立場や見解によっても見方が異なってくるのは当然のことではありますが、私なりに幾つか聞いておきたいと思います。
 1つは、和歌山港北港沖地区の防波堤の築造工事について、県土整備部長にお尋ねをいたします。
 この防波堤に接続する埋立地は、住友金属和歌山工場が公害施設の沖出しを目的に公有水面の埋立免許を取って埋め立てた土地で、住友金属が沖出し移転を中止し、現在は関西電力の和歌山発電所用地として、また埠頭用地、交流拠点用地ともなっています。埋立地そのものが防波堤の役割を果たしていることや、和歌山発電所の稼働のめどが立たないことから、この防波堤の有用性についてお聞きしておきたいと思います。
 この防波堤工事の概要と必要性は何か、全体の事業費と進捗率、完成年度はいつか、これまでの県の負担額と今後の負担見込み額は幾らか。
 2つ目、企画部長にお尋ねをいたします。
 加太コスモパークに土地造成費約20億円をかけて誘致した加太菜園がトマトの栽培、生産、出荷を行っています。県は土地開発公社の土地を借り上げ、その一部を加太菜園に1平方メートル当たり100円の賃貸料で20年貸し出す契約を結んでいます。県が土地開発公社に支払う賃借料と加太菜園から県に入る賃貸料との差額は、契約期間で幾らになると見込まれるのか。その差額は、県財政からの負担、もしくは県からの補助金となるのではないか。
 企業が新たに立地することにより県民の雇用が生まれ、関連業種に経済効果が波及することはよく承知をしております。地域特性に適した企業の誘致は有効な政策でもありますが、この賃貸料は他の企業誘致用地の条件と比較しても破格の優遇を受けているように思えます。県の財政状況をかんがみて、相手方にも理解と協力を求めることも必要なのではないでしょうか。
 以上で、私の第1問を終わります。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、県経済と新年度予算編成方針、それから所得の減少と雇用不安、そういう点についてお答え申し上げたいと思います。
 まず、医療、介護あるいは年金など社会保障の国民負担の増大についてでございますけれども、少子高齢化が進行する中では、今後社会を支える人口の減少が見込まれます。そうした中で、将来の社会保障の水準をどうするか、それを持続させるために負担をどうするか、そういうことは議論として必ずしておかなきゃいけないことだと思います。この医療、介護、年金など、ぜひ我々としては守りたい、とすれば、その負担をどういうふうにしてこれを長続きさせるかという問題が大事ではないかと思います。そういう意味では、何がしかの負担が求められていくということもやむを得ないと考える場合もあるかと思います。
 ただ、もう1つ考えとかなければいけないのは、この実行のタイミングであります。例えば、経済状況がどうであるかというようなこともまた考えながら、そういう制度設計をしていかないといけないということだと思います。
 次に、労働法制の規制緩和についてでございますけれども、近年の経済社会の構造変化の中で、多様な働き方を可能にするなど、労働者が能力を発揮できるような社会を実現するというような目的でいろいろな改革が行われたということも理解しております。もう1つの本件の目的は、何よりも日本の経済力をつけるということであったかなというふうに思います。
 というのは、例えば常雇だけに限るんだというふうにすれば──私も実は個人的には常雇というのに対する大変な重心を置いてるんですけれども──それに限るという制度ができたならば、企業はそれなら人は雇えないとか、先の見通しが立たないから雇えないとか、あるいは事業をしないとか、投資もしないとか、そういうことになってしまう可能性もあります。そうすれば経済も成長しないし、あるいは雇用もふえないし、結局人々は余り幸せではないということになる。それならば、日本の経済力をつけるために、労働法制の規制緩和も必要だったんじゃないかというような考え方であったというふうに思います。
 ただ、その中で、当然いろいろな副作用みたいなものも出てまいります。急激な経済環境の変化の中で、不安定な就労形態がもともとある、その中でさらに景気が悪くなると、そういう方々にしわがまず行くと。もちろん常雇の方々も起こってくるわけですけれども、まず行くということは事実だろうと思います。したがって、そういう弊害の除去に対しては勇気を持って当たらなければいけないということではないかと思います。
 例えば、現在、国において日雇い派遣の原則禁止などの見直しが行われております。こういう点についても、こういうこと、その他たくさんあると思いますけれども、そういう点についても我々はよく見ていかないといけないというふうに思います。
 それから、県といたしましては、このような動向を見ながら、不安定な就労がより改善できるように、経済団体や主要な県内企業に正規求人や、あるいは非正規労働者の正社員化の要請を行ってまいらなきゃいけないと思います。
 ただ、そういう弊害を除去する、あるいは努力をするといたしましても、本件のような問題の根本的治療は、働く場の確保があって求人が多いということであります。したがいまして、国にあっては経済の建て直し、景気対策、県にあっては産業活動の振興あるいは企業誘致等々、そういうことを一生懸命やっていくということが長い目で見ると効果がある話ということだろうと考えております。
 次に、県経済と新年度予算編成方針のうちの基本的な考え方について申し上げたいと思います。
 本県の豊富な地域資源を生かした経済の活性化を一層進めていくというために、和歌山の強みを伸ばす取り組みといたしまして、例えば今申し上げました企業誘致や、あるいは観光資源の売り出しや、あるいは農林水産物の販売促進など、さまざまな具体的なプランにたゆまず、粘り強く一層取り組んでまいりたいと考えております。それと同時に、地域の活力の創造のためには、県民の将来の不安感を払拭するということも大事だろうと思います。例えば医療等、大事なことはちゃんと守られるというようなことも大事だろうと思います。したがって、県民生活の根底を支える取り組みとしてさまざまな対応もしていかないといけないというふうに考えております。
 いずれにしても、財政破綻を招かないように配慮しながら、県の経済や、あるいは県民生活の情勢を十分念頭に置いて、元気な和歌山の創造に向けた施策を積極的に展開するような、そういう予算にしたいと、こういうふうに思っております。
 次に、行財政改革の理念等々でございます。
 新しい長期総合計画の目指す将来像の実現に向けて県政を進める上では、強固な財政基盤がどうしても必要というふうに思います。そのためには、本年3月に新行財政改革推進プランを策定したところでございますけれども、このプランを実施に、着実に実行に移していかなければ、たちまち県財政も、例えば財政再生団体に転落すると。そうすれば県民の皆様へのサービスも滞るし、それから可能性は大きいと思いますが、新たな負担も求めなきゃいけない。そういうことにならないように頑張りながら政策を進めていかなきゃいけないというのが現状ではないかと思います。
 現在、県が実施している事業というのは、例えば不必要なものというのはなかなかないと思うと常に申しております。何がしか役に立っているということであります。しかしながら、そうした中でも優先順位をつけ、徹底して事業の見直しを実施することにより財源を生み出し、新たな政策課題に対応していかなければいけないと思います。
 あれが要る、これが要ると言うのは簡単でありますが、それでは、あれもこれもと言いながらどうして財政全体を維持していくかということは大変難しい仕事でありまして、当局及び県議会としてもこれはぜひやっていかなきゃいけないということではないかと思います。
 藤井議員のお話を聞いておりますと、財政の規律を目的とする、つまりそれは例えば支出の切り詰めにすぎないではないかというような御表現がたくさんありました。これを私なりに解釈すると、財政の規律を目的とするようないろんな営みは余り意味がないというふうに思っておられるような気がいたします。
 しかしながら、今申し上げましたところを考えれば、我々が夢のある長計を実現して、そして立派な県をつくっていくためには、財政の規律もまた壊さないようにしていかないといけないと。したがって、支出の切り詰めがすべてではないけれども、それもまた大事な目的であると言わざるを得ないということであります。しかしながら、そればっかりではいけませんので、いろんなバランスをとりながら提案をしていかしていただきたいと考えております。
 トップの姿勢でございますけれども、人件費総額の縮減、あるいは事務事業の見直しによって行革プランでは687億円の歳出削減を図ることになっております。この計画によりますと、知事や副知事の給料、ボーナス等々、6%のカットを継続しているとこであります。
 実は、県庁の諸君と話をしても、この6%ではありませんけれども、一番給料の安い人でも1%のカットをお願いしてますが、ぜひもとへ戻してくれというような話がたくさんございます。私は実は、もとへ戻してあげたいなというふうに思っております。しかしながら、現下のこの情勢を考えると、やっぱり戻せないと。だから前からずっとやってるようなカットを続けざるを得ないんで我慢してくれと、そういうことを言うております。
 一方、じゃもっと切ったらええやないかということも当然、解としてはございます。それについては、私はあんまり望ましくないなあというふうに思っています。例えば、私の給料をうんと切るというと、個人的にはすぐには路頭には迷いません。それで格好いいと思います。人気も出るかもしれない。(「そんなことないん違うか」と呼ぶ者あり)はい。ですけれども、そういう誘惑に駆られるときもありますけれども、もしそれをやったら、和歌山県の知事というのは、慈善事業家か、あるいは大金持ちしかなかなかなれないという職業になるとお思いになりませんか。
 それから、同じことは県庁の職員について言えば、やっぱりなかなか立派な雇用がないところの──現在ですよ──和歌山においてやっぱり県庁へ行ってみんなのために働くんだという人に対しては、全国的に見て普通の給料は出してさしあげたいというふうに私は思っております。したがいまして、バランスをとりまして従来どおり我慢してやっていこうというふうにみんなと話し合って計画を立てているところであります。
 ただ、その前に、これは明らかに多いなと、ほかに比べりゃ多いわいというようなのもありました。これは県知事などの退職金であります。これについては、当然多いものは、そんな和歌山が困ってるのに多いものをもらうわけにいきませんので、水準以下にさせていただきました。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 県民の雇用と県の労働行政の3点の御質問につきまして、まとめてお答えいたします。
 まず、雇用の現状と今後の見通しについてでございますが、世界的な金融危機の影響等により雇用情勢は急激に悪化しつつあり、今後、派遣労働者等の非正規労働者を中心とした離職の発生や新規学卒者の採用内定取り消しも大いに懸念しているところでございます。
 このような厳しい状況のもと、本県の労働行政の果たす役割は重要であり、雇用の維持や雇用の確保を通じて県民生活の安定を図ってまいりたいと考えてございます。このため、県では、去る8日に緊急経済対策本部を設置し、雇用問題についても部局横断の観点から迅速に対応しているところでございます。
 また、和歌山労働局におきましても雇用対策本部が設置されており、今後、より一層緊密に連携し、雇用の維持や離職された方々の再就職を支援するための共同就職支援センターの設置や機動的な面談会の開催などを実施してまいりたいと考えてございます。
 次に、働き方と正規雇用の拡大についてでございますが、平成19年の就業構造基本調査によりますと、県内の正規雇用者は23万5000人、派遣社員などの非正規雇用者は12万人で、5年前に比べ、正規雇用者は1万人の減少、非正規雇用者は2万人の増加となり、ほぼ全国と同じ傾向を示してございます。
 誘致した企業につきましては、平成20年4月の調査によりますと約6割が正社員と把握してございますが、平成18年の改正した要綱の趣旨を踏まえ、今後とも正社員の雇用に重点を置いて企業誘致を行ってまいりたいと考えてございます。そのほか、関係機関と連携しながら経済5団体や県内企業に向けて新規高卒者の求人要請を実施してございますが、今回の経済危機を受け、改めて正規求人や非正規労働者の正社員化の要請を行うこととしてございます。
 次に、賃金引き上げと格差の解消に関連した賃金指数についてでございますが、県の毎月勤労統計調査によりますと、平成17年を100とした名目賃金指数で18年は96.5、19年は96.0とやや減少してございます。また、正社員とそれ以外の賃金格差についてでございますが、全国の平成19年賃金構造基本調査によりますと、正社員の賃金を100とした場合の正社員以外の賃金格差指数は男性で65、女性では69となってございまして、3年前の調査とほぼ同じ数値となってございます。県といたしましては、雇用の安定のために中小企業労働施策アドバイザーの活用やセミナーの開催、正社員化支援制度の普及など、さまざまな施策を実施してまいりたいと考えてございます。
 続きまして、本県の中小企業向け融資についてお答えさせていただきます。
 米国発の金融危機に端を発した経済不安により、我が国の景気も急激に減速している中、こうした状況に対処するため、県におきましては、先ほども申しましたように、12月8日に緊急経済対策本部を設置し、資金繰り対策などを中心に取り組んでございます。
 まず、中小企業をめぐる資金需要につきましては、国の緊急保証制度を受け、県としましても早急に資金繰り安定化資金など融資制度を見直しました。その結果、11月の県制度融資額は、対前年同月比約3倍の70億円に達してございます。年末に向けては、さらに資金の需要が見込まれることから、さらに機動的に対処してまいりたいと考えてございます。
 次に、今回の融資制度見通しにおける効果でございますが、返済期間の大幅な延長や再借りかえの実施など、中小零細企業が借りやすくなったことで資金の利用が大幅に増加し、今後も多くの方々に御利用いただけるものと考えております。
 なお、備えについてでございますが、平成20年度の新規融資枠は900億円と十分確保してございます。また、金融機関や保証協会には個別企業の実情に応じた配慮をしていただくよう引き続きお願いしているところでございます。
 次に、昨年10月に導入いたしました責任共有制度につきましては、昨今の経済情勢の激変までには大きな影響はなかったというふうに聞いてございます。また、指定業種につきましては、12月10日に80業種が追加され698業種になり、中小企業数の約78%を占め、保証制度の拡充を求める中小企業のほぼすべてがカバーされつつございます。今後とも、必要に応じ業種の拡大を国等に働きかけてまいりたいと考えてございます。
 県制度融資の拡充につきましては、中小零細企業の立場から、さまざまな角度から逐次検討していかなければならないと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 総務部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○総務部長(小濱孝夫君) 行財政改革の御質問のうち、新年度の歳入見通しについてでございますが、議員御指摘のとおり、世界的な金融経済情勢の悪化に伴う日本経済の減速により、県税収入の大幅な減少と地方交付税の原資となる国税収入の落ち込みによる地方財政の財源不足額の大幅な増加の見通しが強まっております。
 現在、国においては地方財政対策をめぐる折衝が本格化しているところでありますけれども、財源不足額の拡大によって臨時財政対策債の発行増など、地方債への依存が高まることも懸念されております。
 このようなことから、県といたしましては、新行財政改革推進プランの着実な実施により規律ある行財政運営に取り組むのはもちろんのことですが、全国知事会などとともに地方交付税の増額など、地方税財源の充実強化について国に対して強く働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、職員数と公務労働の役割についてでございますが、新行財政改革プランにおきましては、平成20年度から24年度にかけて合計990名の職員削減を実施する計画となっております。この削減目標につきましては、厳しい県財政の状況を踏まえるとともに、国家公務員の削減計画や他府県の動向等を勘案して判断したところであります。
 このため、徹底した事務事業の見通し、業務委託の推進、指定管理者制度の導入など、民間活力の積極的な活用、市町村への権限移譲の推進等によりまして、業務の削減、簡素化と行政サービスの質の保持、向上を図ることとしております。今後とも、職員の削減によって必要な県民サービスに低下を招くことのないように努めてまいります。
○議長(大沢広太郎君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 福祉医療についてお答え申し上げます。
 重度心身障害児者やひとり親家庭等を対象といたします県単独医療費助成制度につきましては、県の厳しい財政状況を踏まえ、本年3月に策定した新行財政改革推進プランの趣旨に基づき、歳出削減を図る中で、県単独医療につきましても、制度全体の中で総合的な見通しを検討しているところでございます。
 現在の案といたしましては、新たに訪問看護療養費及び重身医療における精神障害者を補助対象とするとともに、受益と負担の観点から他の多くの都道府県の例も参考にし、一定額の自己負担等をお願いしたいと考えているところでございます。
 県といたしましては、限られた財源の中で、将来にわたり持続可能な制度とすることが何よりも肝要であると考え、見直しを検討しているものであり、現在、市町村及び関係団体の皆様に説明するとともに御意見をお伺いしているところでございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 和歌山下津港北港沖防波堤についてでございます。
 この防波堤は延長1000メートルでございまして、北港埋立地の北側に計画しております3カ所の係留施設及び現在供用中であります水深10メートルの公共岸壁の静穏度を確保するためのものでございます。
 全体事業費は約300億、うち150億は電力会社の負担でございます。現在、進捗率は約46%でございまして、平成20年代後半を目指して国の直轄事業で整備が進められております。
 なお、これまでの県の負担額は約24億でございまして、今後、同程度の負担が見込まれております。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) 加太菜園の賃貸料についてお答えいたします。
 加太菜園の誘致につきましては、県土地開発公社の経営再建及びコスモパーク加太の土地の利活用という取り組みの中の一環として進めたもので、賃貸料設定に当たっては、他県の状況や県議会での御議論、諸般の状況を踏まえ、総合的に決めたものでございます。
 議員御質問の土地開発公社に支払う賃借料と加太菜園からの賃貸料との契約期間内における差額、その総額でございますけども、契約期間19年3カ月で現状を前提に計算いたしますと約34億円となります。ちなみに、加太菜園からの賃貸料収入は、同じ計算では約6億3000万円となります。カゴメの立地なかりせばということを考えますと、そこからのこういう賃貸料収入もないわけですから、こうした観点からの御理解も賜りたいと存じます。
 そこで、次にこの賃貸料の改定につきましては、土地価格の上昇を初めとする経済情勢等を勘案して協議することとしておりまして、現時点におきましてはそういう状況下にはないと、そういうふうに考えております。
 いずれにいたしましても、賃貸料につきましては契約の趣旨にのっとりまして適切に対応してまいります。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
 43番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 私は、何も財政規律を壊してまでというふうなことは言っておりませんで、当然財政の収支均衡を図る、財政再生団体は何としても回避しなくてはいけないと、これは県民を守るためにも最低限必要なことであります。
 私が言ってるのは、自治体の仕事というのは経済的な効率性だけで判断できるもんではないと。福祉の問題であるとか生活基盤の整備であるとか住民参加、住民運動をどう育てていくのかということは自治体の本来の仕事であると、そこのところは十分意を尽くさなくてはいけないんではないかということを申し上げてるわけでありまして、補助金削減をする、いろんな行革で経費を削っていくというならば、その制度なり補助金が持ってる趣旨、意味、成果、それを最大限発揮するためにどうするのかという案も同時にあわせて出さないと、それは単なる経費の削減に映るよということを言いたいわけであります。そのことはぜひ御理解いただきたいと思うんです。
 そして、社会保障の負担の増大については、さまざまな制度の設計上、応分の負担はやむを得ないというお話で、経済状況の中で、変動の中で制度設計を考えていく必要があるというようなお話ありましたけども、私は自治体の首長として県民の暮らしを預かる上で、やっぱり今、現下の情勢考えれば、そういう社会保障に対する県民負担を少しでも軽減さしていくという姿勢と努力がやっぱり求められると。今まで自立支援法にしても後期高齢者医療制度にしても県独自の負担軽減を求めてきましたが、国に対しては申し上げていくよという話であったんではないかと、そういうふうに理解をしとるわけでして、今のところで応分の負担はやむを得ないというふうに言われますと、首長の負担軽減に向けて努力していく姿勢、頑張るという意思というのはないのかなと、そういうふうに受けとめていいのかどうか、これは再度、知事の見解を聞いておきたいと思うんです。
 大変な経済情勢であることはそれはだれもがわかってることだと思うんですが、新年度予算が、知事の言われる県民生活の根底を支える予算になるということを切に願う上から幾つか、質問の内容とも重なるかもしれませんけども、重ねて要望を申し上げておきたいと思うんです。
 1つは、雇用の確保の問題でございます。
 和歌山労働局と連携をしていろんな指針とか方向なりを出しておられます。和歌山労働局目標では、フリーターの常用雇用2300人を目指す、労働局と県との共同目標としてはジョブカフェ利用者1万4000人、就職300人、これ20年度目標としてつくられておるわけですよね。そういった目標の完全達成を目指す、もしくは目標のアップを目指すということでぜひ取り組んでいただきたいと。これはまたの機会にどうだったのかということを聞かせていただきたいと思います。
 融資問題についても、国の対策がとられておりますが、今日の経営危機の原因を考えますと、実態経済と離れたとこでの投機資金が原因であるとか、アメリカ発の金融危機が原因であるとか、決して経営者自身の放漫経営が原因であるというようなことではなくて、外部の誘引による、そのことによってみずからの経営が圧迫されるということが多いわけです。そういう点では経営者自身には責任はないわけでして、経営が赤字だからということで対応するのではなくて、この時期を乗り切れるそういう展望をともに共有していくという立場で、ぜひ有効な融資を実行していただきたいと思います。
 福祉医療制度ですが、制度設計に非常にこだわっておられます。制度を維持するためにやむを得ないというお話であるかもしれませんけども、しかし、福祉というのはやっぱり受益者負担という考え方ではないですよね。心臓や腎臓、呼吸器など内部疾患で重度の障害ある人というのは、まさに医療を受けることが生きていくことなんです。医療がなければ命がなくなる、そういう意味で福祉医療制度の役割があるわけだと思うんです。母子家庭の皆さんもそうです。児童扶養手当の受給者じゃないと母子医療を受けられない。その児童扶養手当が削減をされてきているという中で、ますます厳しい状況にあるわけです。
 そういう中で、経済的負担を自治体がさらにあえてかけるということは、私してはいけないと思うんですね。福祉医療への自己負担、徴収というのは撤回してほしいと思うんです。とりわけ子供です。生まれながらにして障害を負った子供、子供には責任ありませんよね。先ほども国民健康保険の資格証明書の問題で、子供には責任がないという議論がこの議会でも行われましたけども、重度障害を負ったその家庭のお母さん、お父さん、どんな思いでこの子を成長さしていこうという思いでいるのかと、そういう思いにぜひ心を寄せてほしいと思うんです。
 他府県等の動向ということを言われましたけども、福祉医療だけで比較するんではなくて、福祉施策全体のソフト面、ハード面でどうなってるのかと、そういった他府県との比較の中で福祉医療がどういう役割を果たしてるのかというのを考えて、自己負担金を徴収することが適当であるのかどうかということを考えないといけないと思うんです。
 障害児の医療に対応する医療機関、県内にどのぐらいありますか。紀北、紀中、紀南、それぞれに配置がされているでしょうか。そうじゃないでしょう。県外に行かれてるお母さんもたくさんいらっしゃいます、子供を連れてね。電車には乗れない。車で行かなくてはいけない。タクシーを利用しなくてはいけない。そういう方もたくさんいらっしゃるんです。そういうことも考えて、県の福祉医療の制度だけを考えるんではなくて、やっぱり今何が必要なのかと。知事が県民の生活の根底を支える、そういう予算つくりたいと言われるんであれば、ぜひそういうことにも思いをはせていただいて考えていただきたいと思います。
 財源をどこからどうやって捻出するかという問題ですが、これは知恵も出して、汗もかかなくてはいけない。知事自身の姿勢というのが見られてますから、これ今後もいろんな面で考えていきたいと思うんですが、ぜひ検討していっていただきたいということを申し上げて、終わります。
○議長(大沢広太郎君) 以上の再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 福祉とか生活を守ることは関心がないと受け取ってよいのかという質問をしていただきましたので、「受け取るぞ」といって一言言われるよりは、「受け取ってはいけないんです」ということを申し上げる機会を与えていただきまして、ありがとうございました。
 先ほど、まさに受け取ってはいけないんで、そういう安心・安全を守る、それで今御指摘もありましたような点も踏まえて、そういう点を配慮しつつ、行財政改革との間のバランスをとっていくというのをこれからどうしようかなといって結論を出していかないかんということだと思っております。そのことは、今回の予算の中でも、次の予算の中でも県民生活の根底を支える取り組みというのは重点なんですと、先ほどから申し上げてるところでございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 所定の時間が参りましたので、以上で藤井健太郎君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前12時0分休憩
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