平成20年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(松坂英樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 それでは、通告に従いまして、早速一般質問に入らせていただきます。
 まず初めに、2月県議会から継続審議となっています中小企業高度化資金の債権放棄問題について、前議会での質問、答弁、審議の上に立って質問をさせていただきます。
 本県の問題に入る前に、この中小企業高度化資金の全国的な状況と問題点について触れておきたいと思います。
 この制度融資は、中小業者の共同化による体質改善を目的としたものでしたが、国レベルでも融資の焦げつきが明らかになり、中でも同和対策融資の不良債権化率が高いことが問題となっています。そんな中、高知県、そして奈良県では、この高度化資金融資で訴訟が起こされて県が敗訴するという事件が起こっています。
 高知県では、縫製業の協業組合モード・アバンセに対する巨額やみ融資事件が問題となり、つい最近のこの5月23日号の週刊誌にも、橋本大二郎元高知県知事が1000万円の和解金を支払ったことが記事になっております。高知県は、このモード・アバンセに対し総額26億4000万円の融資をしたわけなんですが、そのうち約25億円が焦げついてしまいました。その中身は、まず初めに14億円の高度化資金を受けたモード・アバンセに対して、経営破綻した、その経営破綻の発覚を恐れた県幹部が、同社だけを対象にした12億円の追加のやみ融資を実行したというもんです。
 高知県議会は百条委員会をつくりましてこの問題を徹底審議。初めの14億円の融資については、そのモード社と造成・建築を行った建設会社双方を詐欺罪で告訴いたしました。裁判所は、両者が結託して虚偽の申請、うその申請でこの高度化資金をだまし取ったということを認定いたしまして、この裁判は有罪が既に確定をしております。加えて、この追加融資の12億円、この問題に対しては、元副知事らを背任罪で告訴をしてるんですね。裁判所は、回収の見込みがないのに自己保身目的で融資をして焦げつかせ、県に損害を与えたとして、これも有罪が裁判で確定をしています。この2つの刑事訴訟に加えて、今度は民事では、知事ら当時の県幹部を相手に26億円を返還せよという住民訴訟が起こされました。この裁判は、去る3月に合計2000万円を返還することで和解が成立をいたしております。
 一方、今度は奈良県のケース。これは、食肉関係の協業組合ヤマトハイミールが20億円もの高度化資金融資を受けながら、10年間でわずか300万円しか返済しなかったというずさんな融資です。ここでは、協業組合の不透明な経営実態や融資手続が問題にされたのに加えて、県は返済が滞っているのに催促もせず、延滞金も請求していなかったということが問題視されました。このことに対して住民訴訟が起こり、県知事、幹部とヤマトハイミールに対し、この回収を怠ってきたことの違法性を認めて損害額を支払えと訴えがされたんですね。奈良地方裁判所は、県がこの償還請求などの手続を怠ったことを違法と認定、業者には違約金3億円余の支払いを命じました。裁判は控訴され、現在、高裁で係争中であります。
 こういう全国的な状況の中、今回、私どもの和歌山県の債権放棄議案の審議に当たりましては、融資そのものがずさんではなかったか、他県の例にあるように無理やり融資を引き出していないか、県が隠し事をしたりしていないか、こういった点も含め、県民に納得のいく説明がつくかどうか、これが焦点であり、慎重に審議する必要があると考えています。
 それでは、具体的に質問に入らせていただきます。
 まず、融資の問題点について、以下3点を商工観光労働部長にお伺いいたします。
 まず、担保価値と保証能力についてお尋ねいたします。
 土地・建物を競売するときに、鑑定評価は売買価格の5分の1にしかなりませんでした。融資の担保価値が不足していたのではないかと前議会で質問したところ、答弁では、外部監査の土地価格と実際の取得価格が大きく乖離していることは認めたものの、物差しが違うとだけ答えただけで、なぜ鑑定評価がそんなに安くなってしまったのか、この減価率54%になったのかという原因については答弁されませんでした。のり面等の買い足しにより、見かけの土地単価に相当する担保価値がないのをなぜ見抜けなかったのでしょうか。
 そして、連帯保証人の保証能力の問題では、前回議会の答弁はこうでした。組合員の責任の明確化のため、全員が連帯保証人になってもらっておりますということでした。これは、返済の気構えだけしか触れていません。気構えだけではお金は返せません。保証融資審査に当たり、連帯保証人の資産や経営実績などの保証能力は巨額な融資額に対して十分だったかどうか、率直にお答えください。
 次に、この高度化資金融資において、プラスパフーズが融資の審査を通すための土地買い足しをしているのではないかという点についてお尋ねをいたします。
 前回質問では、このパネルも示しまして(パネルを示す)、融資最終段階でのこの異例の変更、──この赤い部分の池ののり面部分などの土地買い足しというのは、この見かけの土地単価を下げて審査を通すための手段だったこと、のり面を工業用地単価で抱き合わせ販売するようなことはとんでもないやり方だったという点を、幾つかの書類など事実に基づいて指摘をさせていただきました。そして、この不自然な変更に対する審査が適正にされたのかと質問しましたが、答弁では、事業の必要性から買い足したとそっけない答弁でした。つまり、説明のつかない、後から取ってつけたような理由で無理やり審査を通したのではないでしょうか。
 お配りしております資料1と資料2を比べて、御一緒にごらんください。情報公開されている平面図と、それから土地面積の推移を私がまとめたものです。情報開示された資料をもとに、一体もともとどの部分の土地を買おうとしたのか、これ、調べたのですが、この数字も、場所の特定も、広さも整合性がありません。でたらめなんですね。地図に記されている色つけというのは最終的に買ったときの組み合わせであって、当初のものとは違います。各種の申請書類、当初の書類、予備申請、本申請ともに、ついてるはずの図面すら県には残ってないんです。よくこんな計画で審査を通しましたね。あののり面を最終段階で買い足さなければならないような緊急性、合理性があったかどうかをいかに審査して結果を出したのか、部長から答弁を願います。
 審査の問題にかかわっての3つ目に、融資要件について今回はお尋ねをしたいというふうに思います。
 高知のケースは、自己資金というのが見せ金で、あるように見せて融資要件に合わないのを隠して、県をだまして融資を引き出したと、これが詐欺罪が確定したわけです。奈良のケースは、出資金の割合とか協業規定の無視というようなことが県議会で問題にされています。今回のプラスパフーズの件については、同和対策かどうか、自己資金は十分か、出資比率は一部に偏っていないか、協業化に伴うその競業禁止規定、これが守られているか、こういった融資要件が厳格にクリアされていたかどうか、御答弁を願います。
 さて、2つ目の項目であるせんべつ問題に移ります。
 前回の質問で、プラスパフーズの総勘定元帳に、「県庁せんべつ3名、15万円」と記されている問題を取り上げ、県と業者の癒着をあらわしているんではないかとただしたのに対し、部長はせんべつ問題の調査を約束いたしました。この3カ月間、どんな調査をし、結果はどうであったのか、お答えいただきたいと思います。午前中の答弁では、双方聞いたら確認できなかったとありましたけれども、それは渡したかどうかもわからないし、もらったかどうかもわからなかった、こういう結果だと受けとめましたが、どうでしょうか。また、ほかの案件に同様の例はなかったのかということについても、部長から御答弁願います。
 次に、この問題の3つ目の項目、返済完了案件の問題点について知事に質問をいたします。資料3と4を、これも並べてごらんいただけたらと思います。
 前回の質問では、資料3の一覧表というのを出しました。現在返済が残っている組合の返済と滞納の状況です。この中で、合計109億円もの融資焦げつきが発生している34法人──表の左側です──この34法人と、順調に返済中の15法人──これ、右側ですね──この2つのグループの状況を示しました。
 ところが、高度化資金融資の全体像、歴史をつかもうと思えば、これに加えて、もう既にこの融資返済を終わって、この表から外れている法人も点検する必要があると考えたんです。それが、このつけ足しております4、完済法人というやつですね。実は、この表に出ていない返済完了177法人の中に、調べてみますと、事業がうまくいかずに経営破綻したんだけども、その後になぜか全額返済をしている、そんな組合が数件見受けられるんですね。資料4というのは、それを調べた一覧表です。これ、調べてみますと、経営破綻で事業が続けられなくなり返済がストップした後に、その工場用地を改良住宅の移転用地や大型作業所の用地として市が買い上げているんですね。しかも、土地代とか移転費用という名目をつけて、残っていた借金、負債を上回るような金額で買い上げ、国・県の高度化資金の融資を完済してしまっているんですね。
 表をよく見ていただくと、何と返済残高──一番右の最終償還の返済残高どころか、初めの融資金額、融資額よりも高い金額で買い上げてる、そういう始末がわかりました。これにはびっくりしました。当時の市議会でも、法外な買い上げ費用が問題になって、予算執行に一たん議会がストップかける、そういう大問題となりました。
 今議会の債権放棄議案も、借金を返せなかった融資を不良債権処理することによってそのツケを県民に回すものですが、今回のこれらのケースは、表面上全額返済となっているものの、税金で借金の肩がわりをしたことになるという点ではひどい話だと思うんです。知事、これらは税金で借金の肩がわりをしていると思いませんか。それとも和歌山市のすることだから関係ないと、県としてはお金が返ってきたらいいのだという考えでしょうか。知事の認識をお答えください。
 続きまして、この問題の第4の項目、延滞額の9割が同和対策であることについて、前回に引き続き、知事にお尋ねをいたします。
 私のほうから、県の高度化資金滞納額の109億円の内訳を見ると、その9割近くもが同和対策融資が占めている。これ、資料3でわかります。この割合というのは、とても正常とは言えない。この問題をどう認識しているのかと質問をいたしました。知事は答弁で、繊維や皮革などの地場産業のウエートが高いのも原因ではないか、そういう答弁をされました。しかし、その理由だけでは、到底この9割という数字を理由づけすることには無理があります。同和対策の巨額融資、これが1つこけたら大きいわけです。この融資の破綻が割合をうーんと引き上げたというのが客観的なデータの見方じゃないでしょうか。
 また、一方で知事は、高度化資金の融資というのは、民間金融と違って、これは政策金融なんだと、そこをわかってほしいということも強調されました。しかし、事は20億円を超すような巨額融資です。小口の融資であれば無担保、無保証のような政策的部分は当然あってしかるべきです。しかし、巨額融資は万一のリスクもちゃんとはじいておかないと、財源は税金ですから、ごめんなさいでは済まないわけです。
 知事の分析は、その同和対策融資の場合の産業構造や経済状況が一般よりも厳しいんだという意味に私はとれるんですね。私は、その地改案件と地改以外の案件を比べてるんじゃありません。そんな比較をいつまでもやることはおかしいというふうに思うんです。加えて言えば、私は同和対策だからおかしくなったと言ってるんじゃない。同和行政が本来のあるべき姿からゆがめられたから起きている結果じゃないか、仮に秩序ある同和対策としてやっていれば9割というようなことにはならないでしょうか、そういうふうに問題提起しているわけです。
 知事は、この間の議会の再答弁で、同和であろうとなかろうときちんと審査し、債権管理をきちんとやって、県民の財産を無駄遣いしないようにするのが我々に課せられた義務だというふうにおっしゃいました。もっともなお話です。しかし、そうやって幾ら胸を張っても、結果の数字はそうなっていないのではないかと質問しているわけです。融資焦げつきの9割が同和対策だということがどうなのかと、この点で再度知事の認識をお尋ねいたします。
 この問題の最後に、債権放棄の責任について知事にお尋ねをいたします。
 外部監査報告が、説明責任を果たさないままの債権放棄は県民の理解を得られない、そういうふうに指摘しているように、本議案に対する議会のチェックの重要な柱は、この説明責任をきちんと果たした上で債権放棄議案なのかということだと思うんですね。融資の焦げつきが続出している問題点、これを深く掘り下げ、不十分だった点、判断を間違っていた点、そんなこともあれば包み隠さず明らかにし、その上で県民の皆さんに最終処理を提案すべきものです。その説明責任をそこそこにしておいて、最終処理だけを提案してることになっていませんか。当局からの説明は、もう競売もしました、もう保証人から取れるものはありません、こういう債権処理実務に陥っていて、融資の不自然な点については、審査は適切であったという紋切り型に繰り返すだけになっています。問題を債権処理の実務だけに狭めるんじゃなくて、議会でこれだけさまざまな角度から疑問点が指摘されてるんですから、融資の経過を再調査し、真相解明してから再提案すべきではないかというふうに思いますが、いかがですか。知事の御見解を求めます。
 引き続き、生活保護行政についての質問に移らせていただきます。
 これまでも、生活保護件数と申請を減らすための「水際作戦」などという言葉が使われましたが、世論と運動の力で全国的には随分改善されてきました。また、北九州での餓死事件などを受けて、厚労省の指導では、相談で申請権を侵害しないこと、扶養義務者と相談してからでないと申請を受け付けないなどの対応は申請権の侵害に当たるおそれがあるとして、申請意思が確認された人には速やかに申請書を交付することが重要だとされています。
 ところが、現状は、民生委員さんを通じて申請してきなさいと、民生委員さんを通さないと受け付けない、こういう自治体窓口の対応があったり、事前の相談ということを盾に、ケースワーカーがいろいろ話を聞いた後でないと申請させてもらえない、保護されたケースでも、申し出た日のずうっと後が申請日になっていたりする、そんなケースが多いという実態があります。その人が生活保護基準に該当するかの調査や、就労や病気の状況とその対応、家や車などの資産の状況はどうかなど、専門家であるケースワーカーがその調査、判断すべきじゃないでしょうか。民生委員さんに悪気がなくても、これはだめだろうという、そういう個人的な判断によって役場に取り次いでもらえたりもらえなかったりする、こういう実態は問題だというふうに思うんですね。
 生活保護法に基づく申請権を保障するために、法律の趣旨、規定に基づいて、地域で御苦労いただいている民生委員さんとの連携と権限の明確化とか、相談業務と保護申請の位置づけ、これをはっきりさせること、申請用紙は自治体の窓口や公的機関、民生委員さんの手元にも常備されるようにすべきではないでしょうか。福祉保健部長の答弁を求めます。
 次に、生活保護受給者の病院への交通費、通院移送費について質問をいたします。
 北海道で起きた元暴力団員による約2億円の生活保護費不正受給事件をきっかけに、厚労省が移送費の大幅削減の改悪案を示し、その支給が極めて例外的なものに限られてしまうというようなことが大問題になりました。世論の高まりの中で、厚労省はこの6月10日に改めて通知を出し直し、事実上の削減撤回を表明いたしました。この通知では、これまでの基準を変更するものではなかったということ、それから、受給者の個別事情にも配慮をしながら適切な手続にのっとって審査することが重要だとしています。この趣旨をきっちりと県は徹底する必要があります。
 ところが一方で、有田郡内の支給状況を見ますと、アルコール依存症の専門病院への通院など極めて特殊なケースにしか支給されていない、それが実態であって、法の基準に基づく、まさに適正な給付が望まれているところであります。今回の一連の厚労省通達を踏まえて、和歌山県として移送費のあり方、これをどう考えているのかという点について答弁を求めます。
 あわせて、わかりやすくイメージするための例示として、次のような例は移送費の対象だと考えるかどうかもお尋ねいたします。
 Aの例、僻地の枝谷にある自宅から川沿いの路線バスの停留所までの距離が数キロもあると。高齢者のため歩いて行けないから、自宅からせめてバス停までタクシーを利用して、バス停からは路線バスを利用して病院まで通院するというケース。
 Bのケース、これは心臓疾患で、例えば障害1級、医者からは歩行は200メートルまでですよというふうに言われて、階段は厳禁ですと禁止されている人。この人が最寄りのJRの駅までの例えば2キロぐらいをタクシーで行って、駅からはJRを利用し、そして駅から病院までの2キロをまたタクシーを利用するというケース。
 それから最後に、Cというケース。例えば、タクシー使わないけども、バスと電車を乗り継いで近くの病院に行ってるという方。1カ月にバス代1760円、電車代1800円、合計3560円。額は少ないじゃないかと、1回1回は少ないじゃないかと思われもかもしれないけども、この世帯にとっては1カ月の米代、10キロの1袋2980円よりも多いんだと。少ない保護費からこの金額の工面はとてもつらいというケース。
 これらについての考え方をお示しいただきたいと思います。
 さて、この問題の最後に、必要な移送費の適正支給のために、今後、県としてどう指導していくのかということを御答弁願います。病院への交通費が移送費の支給対象だということを知らされてすらいない保護世帯が数多く存在する状況の中、正確に周知すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 以上、生活保護行政の質問3点については福祉保健部長に答弁を求めまして、第1回目の質問を終わります。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先ほど松坂議員から御質問のあった中小企業高度化資金の債権放棄に関連する問題につきまして、順番が私が先に指名されましたので申し上げますが、本来ならば、順番に従って商工観光労働部長のほうが先に申し上げたほうがいいのかなと思いますが、慣例でございますので、先に私の部分のほうを申し上げさしていただきます。
 まず第1に、返済完了案件の問題についてということでございますけれども、2月議会において答弁しておりますけれども、地域改善対策案件につきましては、同和対策事業特別措置法による社会的な背景を──当時ございましたので──受けまして、県としては昭和47年度以降、対象地域内の地場産業の振興、環境の改善等のために合計で45件、約218億円を貸し付け実行してまいりましたが、残念ながら幾つかは未済に終わっております。しかしながら、21件、約82億円は完済してございます。
 この返済完了案件の中にも問題点がある、和歌山市のほうで別の目的の助成金や貸付金ですか、そういうのをもらって、それでこっちで完済したんではないかという御指摘でございますけれども、そういうことをできるかどうかというのは、それぞれの自治体においてどんな貸し付けが適正に行われてるかどうかという関数であろうかと思います。それで、和歌山市のほうで私はどういうものであったか知りませんが、きちんと貸し付けの実態があって、それで貸し付けが行われているとすれば、それは問題ない話であるし、それがなくて、ただお金だけが行ってるとすれば、それは大問題であるわけであります。したがって、本件の問題は、それぞれの自治体でちゃんとした貸し付けが行われているかという問題に帰着するものと考えます。
 次に、高度化資金の延滞額の内訳についてでございますけれども、議員御指摘のように、和歌山県が行ったもののうち、巨額融資先の破綻が延滞債権における割合を引き上げているということは、私もそうだと思います。ただ、一方では、県経済活性化の一翼を担ってきた繊維、皮革等の地場産業のウエートが本県は高い。それからまた、当然のことながら貸付金は高くなっていく。その産業高度化、地域環境の改善を実施してきた。そういう実態にあったことも、また事実だと思います。
 特に、本県地場産業におきましては、その後、日本は激動期を迎えましたけれども、経済活動のグローバル化の中で、特にバブルが崩壊して、もっとそれがひどくなり、産業構造も大いに変わって生き延びられなかった産業、あるいは企業が随分たくさん出ました。その中で、特に打撃を受けた産業に属する産業がいたのが、また和歌山県の実態ではなかったかというふうにも思います。それは、本県の問題だけではなくて、和歌山の相対的地位の低下、産業界における地位の低下、そういうこととほとんどパラレルな事態であったような気がいたします。
 したがって、一番初めにおっしゃった大きな企業、これがあったことが地域改善関係を上げてるということは事実であろうと思いますが、それは、たまたまそういう関係のものがそうであったということであって、一方で、業種的に言えば、そういうグローバル化の中で、産業構造が変わっていく中で大打撃を受けた産業がまたあったということも事実ではないかというふうに思っている次第であります。特に、零細な中小企業を対象とする事業である地域改善対策については、零細企業なるがゆえに、経済の波をかぶるときに逃げられなくて破綻してしまったものも多かったということも、また事実ではないかというふうに思っております。
 そういう意味で、地域対策であろうと、そうでなかろうと、きちんと審査をしなきゃいけないということは事実でございますけれども、それはそれぞれの審査の過程できちんとした手続を踏んで、要領に従って、それで詐欺みたいなものを許さず適正にオミットが行われてるかということが一番大事な話でありまして、そういう意味で、前回どういうものでもきちんとやらなきゃいけないというふうに申し上げた次第であります。
 最後に、債権放棄の責任についてでございます。
 これについても、2月議会におきましては、きょう議論になっている高度化資金につきましては、我々はやっぱり結果責任はきちんと負わなきゃいけない。それは、もちろん県だけではなくて、貸付金を出した今の中小企業基盤整備機構、昔の中小企業事業団もそうかもしれません。だけど、私たちも国民や県民に対して、残念ながらたくさんの債権回収不能案件を出したということについては、責任をとらなきゃいけないというふうに思います。と同時に、先ほど松坂議員が挙げられた後者のほうの例にありましたけれども、債権管理にきちんとした手続がなされてたかどうか。それは、きょう議論にならなかった近代化資金につきまして、私どもは、県がちゃんと債権管理をしていなかった。これについては、結果責任だけではなくて手続上の瑕疵もあったというふうに申し上げて、初めから陳謝をしているところでございます。
 ただ、本件の問題につきましては、この間も申し上げましたし、再調査もいたしましたけれども、手続として何かおかしかったかということについては、どうも我々としては見出せなかった。したがって、この問題を、例えばだれかが仕事をサボって、あるいはわざとたくらんでこういう事態を招いたかということについては、決してそんなことはないと思いますというふうにるる申し上げて、説明も詳細にこれから申し上げようと思いますが、しているところでございます。
 私どもは、今、この高度化資金について、議会にかける手続上の債権放棄をしていただきたいとお願いしているところでございます。それで、お願いはそういうふうにしておりますけれども、何も我々の結果責任について免れたいと思ったことは一度もありません。それから、手続的に適法になされたものについて、それを追認してほしいというようなことを申し上げたつもりもありません。ただ、県の財産として、不良債権を抱えておいて、取れないものを取れるように見せかけるということは県の財政運営として望ましくない。したがって、それはちゃんと事情を説明して償却していかなければおかしいではないかということで、私たちは提案をさしていただいてるところでございます。
 松坂議員の御指摘で言えば、高知県の例は隠そうとして変なことをしたということでありますが、我々は隠そうとしているんじゃなくて、むしろこういう議論が出てくるということも覚悟の上で、すべてを明らかにして、現在持っている到底回収不能な、それが証明されているものについては償却をさしていただきたいと思っている次第であります。したがって、私たちはこれを提案したことについて何ら問題はないと思っておりますし、それから、それによって、例えばこれを議決していただいたとしても、本件のような審査が問題があったかないか、これについて、例えばこれで決着とか永久に口を封じるとか、そういうことを言うたつもりは全くありません。したがって、議会で何がしかの問題がもしお見出しになるとすれば、幾らでも議論していただければよろしいんではないかというふうに考えております。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) まず、融資の問題点の3項目についてお答えしたいと存じます。
 担保価値につきましては、調整池の建設、工場団地からの進入路等、いずれの用地も工場建設に必要な土地3筆の所有権の取得により、当該協業組合が自己所有地にすることで全体としては担保価値は増加したというふうに考えてございます。それに伴う事業計画の変更につきましても、変更診断を実施し、当時の中小企業事業団と協議の上、処置したものでございます。
 申請当時、組合員5社は、直近の平成5年度決算におきまして16億円の売り上げ実績があり、事業計画実現のため既存取引先からの受注拡大、新規取引先の開拓等、拡販体制の確立を図るべく経営努力を重ねており、中小企業事業団が中心となって実施いたしました本診断の結果、事業計画の内容は適格であり、目標の達成は可能であるとの報告を受け、さらに貸し付け時においては組合員全員を連帯保証人とし、債権保全策を図ったところでございます。
 なお、連帯保証人の保証能力につきましては、固定資産税の評価証明等により確認してございますが、連帯保証人というのは、一般的に当該債務を連帯して人的保証を行っているものでございまして、個人資産まで担保を求めるものではないというふうに考えてございます。
 次に、土地の買い足しについてでございますが、さきに申し上げましたとおり、購入土地の面積変更につきましては、調整池の建設、工場団地からの進入路、工場敷地及び隣接地との位置関係による崩落防止のり面等、いずれの用地も工場建設に必要な構造物等に係る土地の所有権を取得したもので、構造物等の管理責任及び所有権の帰属を一致さしたものであり、御理解をお願いしたいと存じます。
 次に、融資要件についての御質問でございますが、地域改善対策高度化事業につきましては、中小企業庁及び中小企業事業団に対して地域改善対策高度化事業に係る届け出を提出して承認を受けてございます。
 また、組合員企業の出資比率につきましては、中小企業団体の組織に関する法律で、1組合員の出資比率が50%を超えてはならないとなっており、その要件についても、5組合員の出資割合を確認したところ、最大で30%であり、適合してございます。また、全部協業による事業廃止もあわせて確認してございます。
 さらに、高度化事業実施に係る自己資金の調達につきましては、5組合員からの出資金4800万円及び5組合員からの借入金5億5340万円で、合計6億140万円を計画しており、その履行は出資払込金保管証明書や振込金受取書等により確認してございます。
 いずれにしましても、融資を実行した組合の設立要件は遵守されたものであったと判断してございます。
 なお、今後の貸し付け審査におきましては、担保物件の鑑定評価等により債権保全を図り、また、利益相反的な取引が含まれると思われる案件については審査をより厳しく行うなど、貸付事務要領を改正し、貸し付け対象者の融資要件を厳しく見きわめてまいりたいと考えてございます。
 続きまして、せんべつ問題の調査についてでございますが、組合の総勘定元帳には、せんべつとして県庁職員3名、合計15万円との記載がございましたので、組合側6名及び平成8年4月1日付で人事異動のありました県職員9名からヒアリングを実施しましたところ、先ほども申しましたけども、本当にあったのかどうか、及び該当者は確認できませんでした。
 なお、他の貸し付け案件については、このような例はございません。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 生活保護行政についてお答え申し上げます。
 社会保障制度最後のセーフティーネットと言われます生活保護制度は、生活に困窮される方からの申請主義の原則をとっておりますが、県民からの相談には、福祉事務所等が親身になって対応することが必要であると考えてございます。
 こうしたことから、県民の方から生活保護の相談があった場合には、相談者の状況を把握し、活用し得る資産の有無や他法他施策の活用などについて適切に助言・指導を行うとともに、保護制度の仕組みについて十分な説明を行い、保護申請の意思を確認した上で申請をしていただくために、福祉事務所や町村の福祉担当課に申請書を置いているところでございます。
 また、相談の過程におきましては、生活保護申請権を侵害しないことは言うまでもなく、申請権を侵害していると疑われるような言動自体も厳に慎むべきものであることから、県といたしましては、そのようなことのないよう、相談に当たる民生委員や各福祉事務所を従来から指導しており、今後もその周知徹底を図ってまいります。
 次に、病院への通院移送費につきましては、交通費の負担により医療機関に受診することが阻害されることのないように移送費を支給するものであります。しかしながら、従来は、昭和38年厚生省告示の生活保護法による保護の基準において、移送に必要な最小限度の額とされ、明確な基準がありませんでした。そのため、本年4月の厚生労働省通知において、移送の必要性、交通手段の妥当性等について判断するために、給付範囲等の基準とともに審査等の手続について明確化されたところでございまして、福祉事務所に周知を図ってまいりました。
 また、6月に再度その取り扱いの周知徹底を図るよう通知があったところでございますが、県といたしましては、福祉事務所が個々の事案ごとに適切な手続にのっとって審査することが重要であり、画一的な取り扱いによって不適切な給付決定をしたり、逆に、必要な医療が受けられなくなることがあってはならないものと考えてございまして、今後もそうした観点から指導してまいります。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再質問を許します。
 42番松坂英樹君。
○松坂英樹君 御答弁をいただきました。
 高度化資金の融資の問題では、知事は、和歌山市での完了案件の件について、実務的な答弁だけされて、どう思うかということについては答弁をされませんでした。私、これ、税金でしりぬぐいをしてるんじゃないかという批判は避けられないというふうに思うんですね。
 それから、他県と違って和歌山はちゃんとやってますよというふうなことに胸を張ったわけなんですが、和歌山県も初めは債権管理をちゃんとやってなかったんですよ。それを議会でも問題にされてチェックし、外部監査からも意見を出されて、それで心を入れかえてやり始めたんです。ですから、議会のチェックと外部監査のおかげで辛うじて被告人の席に立たなくて済んでるという状況ですから、それはぜひ御認識いただきたいと思います。
 それで、県の説明責任をきちっと果たすよう求めて、私は再質問をさせていただきたいというふうに思います。
 1つ目、部長が説明いただいた、審査を通すための土地の買い増し、これの緊急性、合理性のある理由を述べてくださいと言いましたけども、部長の説明した理由、答弁では到底、私、納得いきません。説明になってないと思うんですね。知事は、幾らでも疑問があれば言ってくれと言いましたので、いっぱい言わせていただきます。
 前から事業に必要だったら、初めから買う予定に入ってたと思うんですね。最終番になって大慌てをして、いや、買い増すんだとする、その緊急性も合理性もないわけです。これはつじつま合わせにすぎません。買う場合でも、例えば地目山林、現況はのり面ですから、山林としての価格で買うべきです。これ、鑑定の担保物件調査票を私は持ってますが、これを見ると、こののり面は何と1平米当たり、たったの20円の評価です。ですから、それぐらいの値段で買ったらいいんです。工業用地単価で買うのは犯罪的です。
 それから、私、プラスパフーズの登記簿を持ってます。これを見ますと、これだけこの面積が、取得面積がころころころころ変わっているのに、土地価格が初めから最後まで12億5000万で変わらないでしょう、これがおかしいって言うてるんですけども、この登記簿を見ると、開発会社の阪和住建が、この土地などを担保に12億円の融資を受けている、阪和銀行から。これが読んでとれます。この抵当権が、県から融資がおりた平成8年4月26日、ちょうどその日に抹消されてるんですね。土地価格を12億円として譲らなかったのは、これが主たる要因ではないかと想像できます。
 それから、知事はこれまでプラスパフーズの融資審査に対しては、結果責任はあるけれども、県と国の厳しい審査を経ていて、融資に問題はなかったという見解を示されていました。私は、土地の買い足しは審査を通すためのごまかしじゃないか、国の審査を通ってるので全く問題、疑問の余地なしと考えるのかと前回の議会で再質問いたしました。しかし、知事は、手続を怠っていたわけではないというふうにおっしゃって、手続論から出ずに正面から答弁をされませんでした。
 その再質問の──私、それで部長じゃなくて知事に再質問をしますが、1つ目ですね、私が審査を通すためのごまかしだというふうに2回の質問にわたって指摘をしたこの事実経過を見ても、また、県自身がされた2月議会以降の調査の取り組みを踏まえても、いまだにおかしいところはないと、ごまかしや犯罪的な行為はないというふうに思っているのかということを再度お尋ねをいたします。これが1つ目です。
 次に融資の要件について、これも部長から答弁がありましたが、これは部長と知事それぞれに質問しますが、先に知事の分だけまとめますね。
 部長の答弁は、書類上融資要件は整っていたというものでした。でも、これだけでは当てにならないです。まず、出資割合の件を指摘します。
 このプラスパフーズは5社が合併してできた組合だというふうになっていますが、民間調査機関のデータを見ますと、このうちの3社は──主要3社ですね──これはすべて1人の組合員、仮にA氏とします、そのA氏が創業者で、その3社はグループ企業でした。この3社で合わせて90%の出資をしているんですね。その3社のうち、あとの2社というのは、合わせて10%の出資ですから、本当にごく小さな個人商店のようなものがつけ足しでついてるという感じなんです。3社のうちの1つはA氏本人が代表です。もう1つはA氏の妻が代表です。当然ながら、3社ともにA氏は役員に入ってます。
 もう1つの会社は、例の親子で取引と指摘をしました元代表理事の、B氏としますけども、B氏が名前では一応代表になってますけども、この会社というのは従業員がたった4人の通販会社なんですよ。平成4年創業ということですから、そのB氏の息子である開発業者が工場用地の山林に手を伸ばした時期と同じで、この融資計画に合わせてつくった会社だというふうに見てとれます。この元代表理事のB氏は、登記簿によると、土地購入相手の阪和住建の取締役だったこともあるし、息子とともに今回の建設計画を主導した立場であって、融資が終わると1年後に役員を退任して、プラスパからは消えてなくなっています。だから、このB親子は融資を引き出し、用地の開発行為と建物建設の役割をしたんじゃないでしょうか。そして、この豆腐工場そのものは、組合員の3社を創立したこのA氏が実質の工場オーナーじゃないか。そうだとしたら、50%以上の出資を禁じた融資制度要件に違反しているということになりませんか。
 次に、競業禁止の件です。この競業禁止の件というのは、5つの会社がまとまって1つになるんだから、もうそこから後は別々に営業しちゃだめよ、一緒になりなさい、きっちりなりなさいよという規定です。協業組合設立後は、もう廃業しなけりゃならないもとの会社がそのまま残っていた疑いがあります。これはプラスパフーズの理事会の会議録なんですが、旧会社名での営業を一定期間認めた形跡があります。それがいつまで続いたのか、本当にもとの会社がなくなったのか。それを県が確かめた形跡がありません。ここにあるのは、先ほどのA氏が創業である3社。この3つの会社の登記簿を、それぞれ3つとも取り寄せました。これによると、3社ともA氏夫妻が役員に入ったり出たりしながら、1社は何とそのままの名前で、あとの2社は会社名を変更登記して継続されてるんです。組合員の5社は、競業禁止の規定に基づいてちゃんと廃業して一本化したのでしょうか。A氏関連の3社は実際どういう状態であったのか確認されてますか。この点が問題だと思います。
 それから、自己資金についても先ほどお話ししましたし、保証人となるような資金力があったのかということを問題にしましたが、6億円の自己資金が書類上あったという部長が答弁しました。それは、ほとんど実は借金で賄われているんですね。それで国からは、融資の審査に当たって、30億を超える大事業だから、自己資本が十分でないと、運転資金も、それから返済も行き詰まって資本がすぐショートしちゃうから、これ、ちゃんとチェックしなさいという意見が出ています。特に具体的に、その5つの組合、5つの代表がそれぞれ協業する前にそれぞれ独自に抱えてる借金というのを持ってる、だから、協業する前に持ってる借金をどうするかちゃんとはっきりさせてから融資しなさいねと、こう国は注文をつけてるんですよ。全く当然だと思います。
 これ、じゃこうしますという回答を組合のほうから国に対してやってるんですが、これはそれぞれの借入額が、1人が1億8000万、もう1人は1億3000万、もう1人は4000万、600万てあると。しかし、全員がそろって、この人も10年間、この人も10年間で全部返済完了予定だと、一致団結して和を理念として協力していくと、こういう文章を書いて出してるんですが、随分荒っぽい話です。こんな大事業を転がしていく──その前にも借金があるし、そしてまた後からの自己資本も借金で自己資本だというんですから、この大事業を転がしていく経営資力も、それから保証人としての資力もなかったんじゃないかという疑惑があるわけです。
 ですから、これ、まとめますと、土地の買い足しというごまかし、融資資格要件そのものに関する件、実態は調べれば調べるほどやみの中、疑惑は深まるばかりです。犯罪的とも思える可能性があるのであれば、これ、ぜひ知事としての調査権を発動して再調査すべきじゃないかと思うんですね。詐欺も許さずというふうにおっしゃってるんですから、先ほどのせんべつの話もありましたけども、詐欺的行為があったりとか、例えば贈収賄的なことがあれば、これ、犯罪ですから、行政実務が正しかったかどうかという調査だけじゃなくて、犯罪行為がなかったかどうかという新しい面で再調査すべきではないかという点を知事に2つ目の質問としてお尋ねいたします。
 3つ目の再質問を知事に申し上げます。
 9割が同和対策という点については、大型融資が割合を上げてるというのはそう思うというふうに答弁されました。そういうことを事実だというふうに認めになりながら、でも、9割というのは最終的にはたまたまそうなったんじゃないか、やっぱり同和であろうとなかろうときちんと審査してますよというふうにおっしゃるんだけども、先ほど皆さんにお配りした例の一覧表、あれもなかなか初め出てこなかったんです。墨塗りでしか出てきませんでした。破綻した部分は、名前出せと言ってやっと、情報公開しないというのを審査会がやっぱり出しなさいと言ったんですよね。
 この一覧表の情報公開を諮問した和歌山県情報公開審査会の答申では、こんなふうに書いてます。「貸付額の3分の1以上が焦げついているような融資制度がほかにあるとは考えられない。その大きな部分が同和関連組合である。和歌山県が長年行ってきた同和対策事業の負の部分として、実態の究明と是正が必要と考えられる分野である」と。だからちゃんと公開しましょうと、オープンにしてみんなで議論しましょうということを答申されて、それで県も公開されたわけですよ。ですから、まさにここに焦点を当てるべきだと私は思うんですね。
 だから、同和であろうとなかろうと、きちんと審査ということで、知事は同和対策の地改案件の数字を出されましたけども、同和対策であってもちゃんと返してるところもあれば焦げついてるとこもある、一般でもちゃんと返してるところもあれば焦げついたとこもあると、これやったら、私、当たり前だと思うんですよ。ところが、それならば質問しますが、この資料3で出してる49組合ありますね。焦げついてるグループと順調に返済してるグループに分かれますけども、じゃ、この残っている49組合の中で同和対策の地改案件はそれぞれ何割ずつに分かれているか、知事、御承知だと思います。延滞法人が何割、期限内法人に何割あるかお答えになってください。これが3つ目の再質問です。
 それから、部長には2つ質問いたします。
 1点目は、この間の取り組みの調査報告のことについてなんですね。午前中の答弁では、委員会には報告するというふうにおっしゃいました。ところが、継続審議になっている案件なのに、開会日に何らその報告もない。一言の報告もない。きょうから一般質問が始まるというのに出てこない。こんなことで審議ができますか。中間的なものでも結構です。きょう、すぐに出してください。いかがですか。
 それから2点目、先ほどの融資資格要件にかかわる疑念を具体的に申し上げましたが、これらの疑いは、調査して、私、いろんな資料を提示しましたが、こういった疑惑はちゃんと調査してはっきりしてるのか、それとも、調査したけども制約や限界があって、わからない部分残っているのか。その融資要件の問題点についての部長の認識、現時点での認識をお答えください。
 最後に、福祉保健部長に1点だけ再質問して、確認させてください。
 移送費のあり方、質問いたしまして、言葉だけじゃわからないので、具体的なイメージを例示して移送費の対象かどうかをお聞きしました。その分についての答弁ありませんでした。その個別のケースの、これが支給の可否を聞いたんであれば、それは個別の審査で判断することだから答えられないというのはわかるんですよ。でも、私は、移送費の考え方の対象になりますよねと質問したわけです。ですから、もう一度この移送費の対象、申請の対象になるかどうかだけお答え願いたいと思います。
 以上で、2問目を終わります。
○副議長(新島 雄君) 以上の再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず第1点の点でございますけれども、私は、まさに御指摘のように、本件についての審査がおかしかったかどうかということについてよく調べましたから──それについておかしかったかというのは、例えばこれでもって拒絶ができるかとか、そういうような意味できちんとやっとったかということについては調べましたので、それでは、そういう点は調査の結果ありませんでしたということを申し上げてるわけです。
 それで、私は今、松坂さんがおっしゃったように、いろんな疑いがあるということを、別に疑いはありませんということを言っておりません。松坂議員がそういうふうにお考えになるのも自由であろうし、それから皆さんが、どんな人がどういうふうに言おうと、それは自由だと思います。ただ、県としては、その中の意図はともかくとして、ちゃんとこれが適正に申告されて、認めるべきものかどうかということをちゃんと審査しなきゃいけない。これは我々の義務であって、それ以上のものを、それを超えるものでもありません。また、個人的に何となくごまかしがあったと思うかどうかなんて言われても、こんな神聖な場所でそんなことを申し上げられるような立場には私はないと思います。
 それから、次にその融資案件としてどうだったか、合わせて90%云々というような話がありました。私については、担当者でもありませんから、その辺、松坂さんほど1件1件の詳細について知悉しているわけではありません。だけど、聞いてみて思ったのは、国から最終的な確認を求められたというけどなあと。実は、この融資をしたのは県でもあるとともに国なわけですね。それで、その天下の審査が厳しいと言われている中小企業事業団とか開銀とか、そういうところが一緒になって主体として認めたということでありますから、途中経過はいろんな議論があったと思いますけれども、最終的にそれはクリアされて認められたものだと思いますということを申し上げたいと思います。
 それから、情報公開について、いろいろと問題があったとおっしゃったわけでありますが、私は、情報公開はどんどんやったらいいと。本件のような、なかなか、県にとって結果的には失敗した案件を議会にお出しするというのは、県庁当局の中にも大分抵抗ありました。だけど、それはいつまでも隠してて──隠しててと言ったらおかしいですけど、今ちょっと撤回しますが──いつまでも議論を提起しないで、それで結果的には不良債権になってるというのは全くおかしいから、それは議会の方々にちゃんと開示をして、公開をして、まあこういう議論もあるかもしれないけれども、それについては堂々とお答えすればいいじゃないか、そういうふうに言うたわけでありまして、考え方としては情報公開は賛成でございますので、私のところへ判断を求められたら何でも出してしまおうと言うんであろうと思います。
 それで、最後にそれについて答えろというのがありましたが、現在償還中の組合が49あります。もっとたくさんの数のところに貸したんですけれども、随分前になっていまして、平成12年ぐらいからもう貸してませんから、それは現在でも返し続けてるというのは49あり、延滞組合はそのうち34であります。34のうちの地域改善対策は24であります。しかし、尋ねられてないのですが、申し上げますと、地域改善対策で既に返したのもあります。45件という全体の総額の中で21件は既に完済されています。そういう状況ではないかなというふうに考えます。
○副議長(新島 雄君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) まず、再調査結果の報告書が非常に遅いということでございますけども、まことに申しわけございませんけども、今、最終段階、取りまとめてございまして、早急に各会派のほうに、まとまり次第、御説明をしたいというふうに思います。
 それから、さきの議会からこの間の認識ということでございますけども、私ども償還指導の担当職員、10年から30年間、前の書類をすべてひっくり返してとことんしてきまして、議員からの提言につきましても一切隠し立てすることなく、すべて出すという原則でやってまいりまして、その辺の努力が足りないということでございますけども、その辺の一縷のことを御理解賜りたいというふうに思います。
○副議長(新島 雄君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 通院移送費につきましての再質問でございます。
 それぞれの事例につきましては、個々の疾病に対して、福祉事務所管内の最寄りの医療機関で受診が可能かどうか具体的にわかりませんので、移送費の給付対象になるかどうかは即答することができませんが、事例に応じ、福祉事務所が適切な手続にのっとり審査することになりますので、福祉事務所に御相談願いたいと思います。
 なお、個別事案につきまして、現場で疑義がある場合は、必要に応じて、本庁担当課、福祉保健総務課でございますが、相談に応じることとしてございます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) この際、申し上げます。
 所定の時間60分を過ぎておりますが、発言時間が4分残っているのが現実であります。それをもって再々質問をされますか。
  〔「要望だけなんで」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) はい、手短にお願いいたします。
 42番松坂英樹君。
○松坂英樹君 ありがとうございます。
 それでは、今回の質問を通じて審査など融資のずさんさがより明らかに、私はなったというふうに思うんですね。ですから、ぜひ、借りたほうも貸したほうも、まさにその疑惑は深まったと、犯罪的とも言えるごまかしの実態、融資要件の疑惑が深まったというふうに思います。これ、ぜひ引き続き頑張って調査しなきゃならないと思ってます。
 情報公開が不透明で遅過ぎるんです。私は、努力が足りないなんて言ってません。一生懸命頑張ってるけども、債権放棄の段階でやっと出てきたものもあるし、どこへ行ったのかわからないものが多過ぎる。図面がないなんていうのは信じられないです。ですから、これ、ぜひ──議会の審議のチェックは始まったばかりです。知事に対して本格的な調査、報告を求めるとともに、十分な審議なしに債権放棄を急がないように要望するものです。
 それで、先ほどの……(「60分超えてるわけや」と呼ぶ者あり)はい。じゃ、説明責任を果たそうとしていない今の姿勢のままでは債権放棄は認められないということも強調して、今回の質問を終わります。
 以上です。
○副議長(新島 雄君) 以上で、松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時54分散会

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