平成20年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(山下大輔議員の一般質問
県議会の活動
午後1時1分再開
○議長(中村裕一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
この際、申し上げます。
ただいま藤本眞利子君から、3月6日の会議における同君の発言について、その一部を取り消したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。この申し出を許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 御異議なしと認めます。よって、同君の申し出を許可することに決定いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
41番山下大輔君。
〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 皆さん、こんにちは。久しぶりの質問になります。
今議会は、新たに真わかやまの会派に入会させていただいて初めての質問となります。よき先輩・同僚議員に恵まれ、今議会、質問する機会を得ました。心より感謝申し上げます。今回の質問においても、これまでどおり県勢発展を願う一心で誠心誠意質問並びに提案をさせていただきますので、当局におかれましても誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。
現在は国家、地域のかじ取りも難しい時代で、ある識者によれば、国家の大計を見直す大きな変革期であり、明治の新政府が近代国家の理想に燃え、立ち上がって以来、1世紀を越え、改めてみずからの手による大変革を進めなくてはならない時期にあると指摘されています。
私自身、よく引用させていただく大好きな歴史家である司馬遼太郎さんは、「歴史を動かす力」の第3巻で、明治新政府が樹立され、国会を開こうとした当時のことを次のように記されています。「明治の新政府で国会が構成されようとしていたころ、勝海舟と大久保利通などは、まずは制度を整え、教育を盛んにし、民度をレベルアップしてから民権に移すべきだとして、明治23年に国会が開会したときには早過ぎたと述懐していた。結局そのときの状況と変わらぬまま今日を迎えている。日本の近代官僚制度の草創期にポーツマス条約を取りまとめるなど大きな役割を果たした小村寿太郎も、国会が開かれて間もない明治30年当時、『日本は国会によってつぶれる。政党などというのは西洋では根のある存在だが、日本の政党はフィクションなんだ。フィクションが国家の運命を握っている。官僚はしっかりせねばならん』と、政党が党利党略で国家の大計を見失い混乱する、ちょうど今日の国会の原型を早くも露呈している状況において、強く警鐘を鳴らしていた」と記されています。
明治維新以後、大戦を経た今日まで、地方自治もある面ではフィクションだったのかもしれません。しかし、100年の時を越えて、今こそ真の地方自治、その自立を果たさなくてはならないときに差しかかっているのだと思います。そこでは、私自身の自戒の念も込めて、改めて真の民主政治とは何か、議会の役割とはと当たり前のようにとらえられているものをもう一度点検し、議員みずからもその本分を見詰め直すときに来ているように思います。
今後は、地方において地域間の格差も大きくなる時代に、本当の意味で県民力、そしてその代表者となる政治家による真の政治力が試されるものとなります。国におもねて追従し、寄りかかるものから、自主自立の気概を持って和歌山の未来を切り開く強い意思が必要となるのだと思います。今こそ未来を見詰めて、少なくともこの和歌山県議会では、先輩・同僚議員とともに党利党略、私利私欲にまみれることなく、真に地域住民の利益を最優先にした真摯な議論を積み重ねて、未来に希望を見出すものとしたいと心より願う中で、通告書に沿って質問をさせていただきます。
まず1点目は、和歌山県経済の立て直しに向けた取り組みについて。
現在の和歌山県が置かれている厳しい経済状況について、何とかこれを立て直したいと、私自身、さまざまな勉強会に参加したり、また他府県での取り組みを調査するなどしてきていますが、そういった中で、先日、私の高校時代の同級生で、現在日本政策投資銀行の企業ファイナンス部でファンド投資などの責任者となっている青貝忠さん、そしてその同僚である地域企画部の藻谷浩介さんとそれぞれお会いする機会があり、さまざまな点で和歌山の状況について意見交換をしてきました。そこでは多くの興味深い指摘もあり、今後の政策提案にも生かしていきたいと思っているのですが、本日はそのことを踏まえ、以下、質問をさせていただきたいと思います。
まず、現在の日本経済は、多くの国民にとって実感が伴わないながらも好況下にあるとされてきましたが、しかし、さきに発表された日銀の企業短期経済観測調査、いわゆる日銀短観によると、企業の景況感を示す業況判断指数は大企業製造業でプラス19と、前回調査に比べ、原油高やアメリカ経済の減速懸念などが響き4ポイント低下し、これは3・四半期ぶりであり、先行きはさらに4ポイントの悪化を見込んでいるということです。大企業の設備投資や雇用はなお堅調なものの、景気の先行き警戒感が鮮明になってきています。
また、政府の2月の月例経済報告においても、景気の先行きについては下ぶれリスクが高まっていると明記され、景気の基調判断が1年3カ月ぶりに下方修正されるものとなっています。
こういった状況を踏まえて、先日、政府の経済財政諮問会議が開かれ、そこでは、現在のサブプライム問題などを初めとする厳しい海外情勢に影響を受ける日本経済の立て直しを図るために、21世紀の前川リポートとして内需拡大の必要性が特に指摘されるものとなっています。
皆様も御存じのことと思いますが、前川リポートとは、元日銀総裁の前川春雄氏が昭和61年にまとめた経済全般の改革プランであり、内需主導と規制緩和を命題として構造改革の必要性を訴えたものですが、これからの日本経済にとっても、内需主導の成長軌道に乗せられるかどうかが課題だと強く指摘されているところです。
これまでの日本経済は、製造業中心の外需頼みの状況が続いており、今でもロボット工学の進展などを初めとする技術革新から新たな成長モデルも期待されるところではありますが、しかし、大きな流れで見ると、やはり第1次から第2次産業、第2次産業から第3次産業への経済のシフトは現実の流れであり、経済のサービス化、産業構造のサービス化を進め、あわせて内需の拡大を図るといったことは時代の要請でもあります。
そういった中、和歌山県での取り組みについても、これからの時代をしっかりと見通した新たなビジョンを示し、具体的な施策の実行が期待されるものとなります。そこでは、護送船団ではいかない現状において、地域独自でみずからの経済状況を把握し、そこにある課題を洗い出し、克服するための適時適切な政策対応が求められるものとなりますが、今、将来の和歌山県経済を大局的な視点から見て少し気になるところがあります。
和歌山県の産業構造を見た場合、これまでは、一般的には他の地方都市と同じく工業県という側面があり、県内総生産の約3割は製造業によるものとなっています。この製造業は数字で見ていても回復基調にあり、例えば設備投資実績も、日本政策投資銀行から出されているレポートでは、2007年は前年比プラス188.9%と大幅な伸びを示しており、関西全体の平均となる27.2%を大きく上回る好調な状況があります。ただ、それでも関西全体の投資シェアから見ますと5.1%と、辛うじて最下位は免れるものとなっていますが、まだまだ低迷する状況にあります。
あわせて、やはり厳しいのが、和歌山県の経済状況の中で非製造業部門の分野であります。これは、残念ながら前年度対比で9.1%の増加と、関西全体の平均の15.9%からは約4割も低い増加率にとどまっており、これはお手元の資料でも──御確認ちょっといただければと思うんですけれども、このA3の資料になります。(資料を示す)投資シェアとしても辛うじて最下位は免れる状況にあるんですけれども──申しわけございません。投資シェアでは最下位となっております。対関西の投資シェアも1.8%と、地域ごとの投資割合で見ると、これも最下位で、和歌山県の1つ上の奈良県でさえ2.6%となっていて、他の地域に大きく水をあけられる状況にあります。
ここは、非常に注意して見ておかなければいけない点だと思います。この非製造業が県経済に占める割合は、その中心となるサービス・卸・小売業で県内総生産の約27%、特に就業者数に至っては実に52%を占めるものとなっています。──これもお手元の資料を御確認いただければと思いますが、県内総生産の27%、この左側ですね。(資料を示す)それにあわせて、そこに働いている方、就業者数の推移を見てみても、増加するどころか減少する傾向となっています。
このように数字的に見ても、この非製造分野、特にサービス・卸・小売分野への投資が促進されず低迷する状況は、雇用などの面で地域に大きな影響を与えるものであり、結局ここが持ち直せないと、雇用環境を含め、地域の経済環境、特に実感ベースでの景況感としてもどうしても厳しい状態を抜け出せません。
日本の産業社会の大きな流れでは、今後は高付加価値、サービス優位の社会が訪れることは紛れもない事実であり、第3次産業、サービス関連部門の占める比重が今後ますます大きくなる中で、現状の和歌山県の実態を見てみると、いわゆる経済のサービス化の流れに必ずしも的確に対応し切れていないのではないかと考えます。
このような経済のサービス化、産業構造のサービス化への対応、需要創造型のサービス・卸・小売業への支援という視点は、今後の県の産業政策、中小企業政策においても非常に重要なものであり、県独自の産業基盤の再整備、産業の構造変化に向けたしっかりとした取り組みが必要だと考えますが、そこで知事に、現状の和歌山県経済について、確かに厳しい状況にあるとは思いますが、その実態についてどのような分析をされているのか、お伺いしたいと思います。
あわせて、和歌山県の産業構造について、現在の課題と、将来に目を向けて、どういった方向で努力していくことによって希望を見出すことができるとお考えか、それぞれ御所見を賜りたいと思います。
また、今後は、特に雇用などでも重要な意味を持つ非製造部門である情報、サービス・卸・小売分野の活性化に向けた具体的な施策の実行が急がれると考えます。この点について、新年度に向けた今の時期ですので、県当局の認識と今後の具体的な取り組みについて、商工観光労働部長のほうからお考えをお聞かせ願いたいと思います。
さらに、和歌山では、自分たちの持っている地域資源、製品、サービスなどについて、新たに付加価値をどのようにつけられるかといったことが重要なポイントになると考えます。具体的には、例えば私自身提案してきている観光医療サービスといったように、地域資源を生かしながら高付加価値をしっかりとつけていける新サービスの創造といった取り組みが重要で、さらにこういった分野のベンチャー支援なども重要な取り組みになってくると考えますが、新年度で取り組んでいこうとされている基本的な方針について、これも商工観光労働部長からお考えをお聞きしたいと思います。
次に、アジア戦略について。
企業経営で、将来の成長戦略を描くに当たっては、時代の潮流にしっかりとフィットした方向で企業努力を積み重ねることが要諦となると言われています。それは、時代の流れに沿わないところで幾ら頑張っても報われないということですが、同じことが地域の発展でも言えるのだと思います。
時代の潮流をしっかりとつかみ、チャレンジしていく、そういった中では、和歌山県としても、今後は人口集積度からも世界的な成長センターと期待されるアジア戦略、中でもその足がかりとなる中国との関係構築は大きなテーマとなってきます。
中国では、WTOの加盟以降、次々に開放政策を実現させていますが、特にサービス分野でも大胆な市場開放に踏み切っています。2004年には外商投資商業領域管理弁法が公布され、そこでは特にサービス・卸・小売分野での規制が大幅に緩和され、100%の外資出資で外国人の直接的な経営も認められるものとなり、新たなビジネスチャンスが生まれました。さらに、2006年1月1日に施行された改正会社法と会社登記管理条例は、外資企業を取り巻く環境を完全に変えてしまっています。これは、一言で言えば、中国内で経済活動する会社を、外資系の企業であったりとか内資系の企業とその区別をなくすと、統括的に国家が管理していくものというようにしています。これには、中国政府内にもまだまださまざまな意見があり、問題も多いようですが、しかし、大枠において改正会社法が外資系企業にとって最上位の法律となり、ますます日本企業を含む外資系企業の活動の自由が担保されるものとなっています。
先日、ジェトロが発表した資料によると、2007年の日中貿易は、その総額で米国を抜いて第1位となり、相互依存がさらに進展していると分析されています。ジェトロは、2008年1月に発表された財務省貿易統計をドル建て換算し、日中貿易を分析したところ、2007年の日中貿易は輸出と輸入を合わせた総額で2366億ドル、前年比12%の増加となり、暦年で初めてアメリカを上回り、第1位となったとしています。中国への輸出は1090億ドルと前年比で17.5%もの大幅な増加となり、初めて1000億ドルを超え、一方で中国からの輸入は1275億ドルの7.6%増となり、2002年以降最大の輸入先となっています。
日中貿易は依然シェアを拡大しており、9年連続で過去最高額を更新している状況で、日本の貿易に占める対中貿易のシェアは17.7%と拡大し、一方、対米貿易のシェアは16.1%と前年比マイナスとなっています。
ここ数年、実にさまざまな中国論が登場しています。最初は中国脅威論から始まり、次に中国を輸出相手国として「中国特需」といった言葉もメディアを席巻する状況にありましたが、現在は、冷凍ギョーザ事件などから中国への不信感が一気に高まる状況にあります。また、経済的バブルの不安も強く指摘される状況ではあります。しかし、いずれにしても中長期のトレンドでは重要な隣国としての関係は変わることはなく、相互依存化する日中経済の関係性は一層深まるものと考えられます。
今後は、このような中国を初めとするアジア諸国全体とどういった関係を築いていくのか、私たち自身の未来にかかわる重要な問題として真剣な議論を重ねていくことが必要となります。そこでは、国といった単位での物事の見方、とらえ方だけでなく、和歌山県、和歌山市、また山東省、済南市といった地域単位での取り組みが今後は重要であり、和歌山県も、これまでの友好親善の交流から、より経済的な交流を深化、発展させていくことが必要だと考えます。
そういったところから、知事に御所見を賜りたいのですが、和歌山県の事業で、対中国の経済的な取り組みの大きな柱としては、平成17年度からスタートしている県内企業と山東省内企業との経済交流事業というものがあります。昨年は11月の19日から21日の日程で、知事自身も山東省に出向き、経済交流とあわせて環境対策に対する国際協力などについて活発な意見交換を行っております。当議会からもたくさんの先輩・同僚議員も御同行されたとお聞きしておりますが、今後は実質的な交流プロジェクトの展開による新たな交流をスタートさせるということで、「和歌山県・山東省友好交流関係の発展に関する覚書」に調印されています。
そこで、これからの山東省との交流、今後の見通しといったことについて知事の御所見を賜りたいと思います。
また、この一連の交流と調印によって、今後、国際協力もよいのですが、和歌山県にとっては実質的に経済的メリットをどこで享受するかといった視点が重要だと考えますが、知事はどのように考えておられるか、あわせてお考えをお伺いいたしたいと思います。
また、今後は、和歌山県の企業について、製造業分野のみならず、特に中小のサービス部門においても中国、アジアでの活動が大いに期待されますが、それにはまず、山東省を足がかりとしてアジア戦略を描いていくことが有効だと考えます。大陸・アジア進出の足場として、まずは和歌山県と友好関係が深い山東省に進出し、中国ビジネスの起点とする戦略で、そこで例えば、山東省政府内に山東省で活動する和歌山県企業の活動を強力にサポートするワンストップの窓口として和歌山サポートデスクといったものを設置するといったことも有効な取り組みになると考えますが、これは商工観光労働部長から御見解をお聞かせ願いたいと思います。
あわせて、平成17年からスタートしている経済交流事業について、昨年の経済交流事業では、和歌山からの参加企業が11社に対して、山東省企業は140社210名の参加となっています。これでは余りにも和歌山からの参加企業が少ないと感じます。今後、和歌山からの参加企業をふやす取り組みについて、これも商工観光労働部長にお尋ねいたしたいと思います。
続きまして、ヨット競技の全国・世界大会の誘致から、これを契機とする和歌山の情報発信とブランド創造についてお尋ねいたします。
和歌山の特徴として欠くことのできないすばらしい海、風光明媚な海岸線と海そのもののすぐれた水質、また海上における恵まれた風など、これらは地元和歌山県民が考える以上に他地域に誇れる本当にすばらしいものだと私自身実感しています。そういったすばらしい海を生かす取り組みとしては、例えばヨット、セーリング競技の舞台としても最高のものであり、以前、ヨット界のスーパースター、ラッセル・クーツ氏が来県されたときも、和歌山の海のすばらしいコンディションについて、世界のさまざまな海域と比較する中で最高の賛辞を送ってくれていました。
今、その和歌山の海の可能性が大きく広がるものとなっています。ことし、和歌山、和歌浦の海域を舞台として数多くの全国・世界大会が開かれます。今月ですが、この3月20日から23日の日程で日本OP級ナショナルチーム選考会、3月27日から30日には全日本ナショナルチームの代表合宿が行われます。また、5月3日から6日の期間はJSAF日本セーリング連盟による日本ナショナルチームの選考レース、また同じく5月には、現在日程を調整していますが、470級ヨットのジュニアワールド選考レース、そして7月19日から21日には全日本FJ級ヨット選手権大会、そして7月25日から27日には日本オリンピック協会主催によるJOCジュニアオリンピックカップ、あわせて日本セーリング連盟のジュニアチャンピオンシップ、あわせてU-12セーリングチャンピオンシップが開催されます。また、8月1日から3日にかけては海外勢6カ国を含む国際交流大会としてジュニアヨットクラブ競技会、そして9月13日からは全日本テーザー級ヨット選手権大会、翌週の9月20日からは全日本レーザー級ヨット選手権大会が開催されます。これらについてはお手元に、これも資料をお配りしておりますので、御確認しておいてください。
和歌山で行われるスポーツ大会としても、1競技で、世界大会を含め、これだけの全日本級の大会が開かれることは過去なかったことであり、ヨット競技としても他の地域での前例のないものになっています。ことしの状況は、関西近県を対象とした大会をカウントせずに、全国レベルの9大会で延べ680チーム1200名が参加するものとなっており、和歌山での宿泊数は何と3200泊を超えるものとなっています。しかも、これにチーム関係者並びにジュニア、ユースの大会などでは御家族も来られますので、それらを含めると和歌山に来県される総数は膨大な数となり、経済効果としても多大なものが見込まれるものとなっています。
こういった状況はたまたま生まれたものではなく、これまでの星林高校ヨット部OB、和歌山大学ヨット部OB、そして和歌山県セーリング連盟などの皆さんが土日も返上してボランティアで本当に一生懸命やってきていただいた結果であり、地道な取り組みの成果です。
和歌山県におけるヨット競技のメジャー大会誘致ということでは、1994年に、世界リゾート博のときですが、レーザー級世界選手権大会を行ったというのが自慢でありました。しかし、その後は大きな大会もなく、地方の1ハーバーとしてひっそりと活動していました。
そんな中、2001年に和歌山県セーリング連盟として海洋競技に的を絞ったナショナルトレーニングセンターをマリーナシティに誘致するという明確な目標を打ち出してから状況が変わりました。この年に、私も県連会長に就任させていただいたのですが、「和歌山を全国に誇れる海洋スポーツのメッカにする」を合い言葉に、トレセン誘致に向け、企画書を何度もつくり直し、提案し続けることとなりました。その交渉を進める中で、設置条件として、世界大会を初めとする全日本級大会の開催実績と大会運営のスキルが問われるといったことを指摘され、そこから全日本級大会の誘致活動が積極的に始められました。
しかし、当初は、特に物理的、人的スタッフの面では決して恵まれない和歌山県では、大きな大会の誘致は非常に厳しいものでした。専業スタッフもいない中で、大会にかかわるすべての関係者が手分けして本業を何とか調整する中、手弁当で協力し、下見にやってくる大会役員を出迎え、食事の対応から宿泊の手配、そして和歌山の観光案内まで買って出るなど頭の下がる努力を地道に続けてくれた結果として、何とか大会運営が可能となる状況でした。
1つの大会を誘致し、それを必死の思いで成功させ、その実績がまた次の大会を呼び込むという積み重ねで、しかし、それらを気持ちを込めて繰り返していく中で、外部の評価としても、和歌山の運営は洗練されている、大きな大会もうまくさばける、受け入れのスタッフがすばらしく、ホスピタリティーもすばらしいといった評価をいただけることとなりました。
その成果として、お手元の資料のように、これもこれまでの歩みというのを載せておりますが、2001年の全日本OP級ヨット選手権を皮切りに、毎年少しずつ大きな大会が開催され、年々評価を高めるものとなり、ことしの状況につながっています。
最初は、本当に1地方の田舎マリーナである和歌山では、全国大会、世界大会を1つ開くにも身の丈に合わないと言われる状況でした。しかし、やればできるということだと思います。強い意思を持って自分たちの地域を信じて努力すれば報われる。和歌山の立地、恵まれた自然環境など、その地域の特徴は、最初にもちょっと触れましたが、自分たちが思っている以上にすばらしいものであり、それらを生かして知恵を絞れば全国からも注目されることになる。これは、ある面では和歌山の地域活性化のよい見本となるものであり、今回の取り組みは、ぜひ多くの和歌山県民の自信につなげてもらえればと願うところですが。
さて、そこで今回は、こういった多くの大会誘致を受け、地域ブランドを高める広報、PR、そして観光振興といった点で、提案並びに質問をさせていただきたいと思います。
全国を見渡しても、今回のようにこれだけ集中してヨットの大会が開催される例はありません。これを和歌山ブランドの構築に係る広報戦略としても十分に活用してもらいたいと思います。メディアへの露出をできるだけふやし、ヨット大会を通じて、結果として恵まれた自然環境を有する和歌山県のPRにつなげていくといった取り組みをぜひ戦略的に行っていただきたいと思いますが、このことについて、広報を統括されている知事室長からお考えをお聞かせ願いたいと思います。
またあわせて、観光振興といった視点からも和歌山を売り出すチャンスとなります。今回の大会では、全国、世界からも多くの選手が集まりますので、その受け入れ作業において、またヨットレースの場合はレセプションパーティーなども行いますので、そういった場で和歌山の観光をうまくアピールすることで観光振興にもつなげられるものと期待します。あわせて、県行政における政策の視点から、観光振興施策の重要な目的の1つは入り込み客数をふやすといったことですが、そうであれば、ことしの状況は大いに観光振興につながっています。そこでは、スポーツ大会、また合宿などに着目して新たな観光振興戦略も描けるものと期待しますが、これは商工観光労働部長にあわせてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
続きまして、公教育のさらなる充実に向けて、民間人校長と学力診断テストについてお伺いいたします。
より広く開かれた、そして信頼される教育といった観点から、教育長に今後の基本的な方針、方向性といったことで幾つかの質問をさしていただきたいと思います。
まず、民間人校長の問題から。これは、以前に町田先輩議員のほうからも貴重な質問をされております。それを受け継いでの質問ということになると思います。
福田首相のもとで改めて仕切り直しをしていた国の教育再生会議から、先月、最終報告が出されました。そこでは、教育内容について、徳育を教科として充実させ、人間としての必要な規範意識を学校でしっかりと身につけさせる、また、ゆとり教育を見直し、授業時間数をふやし、夏休みや土曜日の活用など弾力的な時間設定で基礎学力の向上を図るといったことが特徴とされています。その中で、少し中身を見てみると、教育現場について、悪平等を排し、頑張る学校、教員を支援する、また、責任体制を確立し、危機管理を徹底させる、そこでは校長を中心としたマネジメント体制を構築し、中でも民間人校長の積極登用などについて学校の責任体制の充実、整備に努めるとしています。
今、学校における裁量の拡大に伴い、学校の自主性、自律性の確立が求められる中、校長及びこれを補佐する教頭については、今後ますます有為な人材が求められる状況にあります。そんな中、文部科学省では、平成12年4月1日より、教員免状を持っておらず、また学校教育法施行規則第8条に規定する教育に関する職についたことがない者であっても校長として登用できるようになり、平成18年4月1日からは教頭についても同様の資格要件の緩和が行われています。
そんな中、和歌山県でも平成14年度から、全国でも先頭を切って民間人校長の採用を行ってきています。これまでの募集状況を確認すると、初めて民間人校長を公募した平成14年度には、募集定員5名のところに出願者は68名と12倍の倍率を超える中で、大手電機メーカーの部長職であった方、また和歌山県内の自営業者の方、また損害保険会社、東京からは音楽企画会社の常務さん、そして和歌山市のラジオ局元副部長の女性の方がそれぞれ選考され、校長として採用されるものとなっています。現在は、そのうちのお1人は退職されていますが、残り4名の校長先生は元気に活躍してくれています。
その後は平成16年、そして今年度になる平成19年度にも募集していますが、合格者は出ていません。これも、お手元の資料をちょっと御確認いただきたいと思います。平成16年度は、募集定員が4名のところ出願者は8名。たった8名です。合格者はゼロ。平成19年度は、若干名の募集に対して、応募してこられたのが3名、合格者はゼロとなっています。
今、教育改革といったことが強く求められる中、学校現場でその先頭に立って改革を実践、リードするものとして和歌山県でも期待して始められた民間人校長の採用ですが、今のような状況になっております。いま一度しっかりと見直すことが必要だと強く感じます。
全国の状況を少し確認してみると、平成19年4月1日現在、47都道府県教育委員会と17指定都市の教育委員会で87名の方が民間人校長として採用され、民間人教頭は20名となっています。
民間から校長を受け入れるメリットとしては、経営理念やビジョンを非常に明確な形で打ち出すことが挙げられます。それにより、教員だけでなく生徒自身も目標を設定しやすくなり、その目標設定に向かって努力する基盤ができると評価されています。また、現在は、特に学校を経営するといった視点において、あくまで重要なのは生徒であり、生徒を顧客と見立てて、その顧客の満足度をいかに高めるかといったことからさまざまな改革プランが提案されています。これまでは、教育界の枠の中だけで考えられてきたものに新風を吹き込む状況が生まれ、現在の学校教育の抜本改革の1手法として大いに期待されるものになっています。
民間人校長を実際に採用している都道府県の評価としては、東京都では、新しい魅力ある学校づくりに取り組み、教員の能力を十分に活用するとともに学校のイメージアップを積極的に図ってくれている、経営上難しいとされる中堅校の特色化に積極的に取り組み、教員組織の活性化を図り、生徒1人1人に自己能力を把握させ、目的意識を持たせる取り組みに成功していると評価されています。
また、埼玉県では、目標による管理を積極的に進めるなど教職員の意識改革が図られた、これまでの校務分掌を見直し、課題別のプロジェクトを立ち上げ、迅速かつ適切に対応できる組織が整備されたとしています。
また、岐阜県では、保護者、地域社会等への積極的な対応の手法、情報発信のあり方などについて新鮮な形で学校現場に導入してくれている、また、企業人として培った幅広い人脈を外部講師の招聘や講演会の実施などで有効に活用され、高校教育の幅を広げてくれているなどと報告されています。
こういった状況を踏まえて質問させていただきますが、現在、民間人校長を採用して5年が経過していますが、その成果について教育委員会としてはどのように考えておられますか、お聞きしたいと思います。
また、公募といった手法について、平成14年度は多くの応募を受け付け、採用も予定どおり行われてきましたが、平成16年度、平成19年度については応募者も少なく、採用もできていません。そういった状況について、どこに問題があって、今後どう改善していこうとされているのか、教育長の御認識をお伺いしたいと思います。
また、他府県の状況を調べてみると、公募だけでなく、推薦といったことも重要視されているようです。民間人校長の募集方法で、東京都などでは東京商工会議所に推薦を依頼、また大阪府、埼玉県でも県内の経済団体に校長候補の推薦を依頼しています。また、岐阜県でも、基準を示した上で岐阜県経済同友会に対し推薦を依頼しているということですが、和歌山県でもこのような例に倣い、新たな募集の方法も検討すべきだと考えますが、いかがお考えでしょうか。
また、先日、海南市立海南下津高等学校に着任されている前仲克則校長先生とお会いさせていただきました。民間人校長としての5年間の経験をお話しいただき、本当に参考になりました。その話の中で特に印象的だったのが、事前の準備が全く不足しているという指摘でした。そこで、平成18年度からは校長だけでなく教頭にも民間採用が可能となっていますので、私は、民間から人材を登用するには、ダイレクトに校長といったよりも、少なくとも1年ぐらいは準備期間として教頭として学校現場を経験する、もしくは研修期間として幅広く教育の現状を確認してもらってから校長になってもらい、学校経営に当たってもらうといったほうが成果も生まれやすいものと考えますが、以上、合わせて4点について、教育長にお考えをお聞かせ願いたいと思います。
最後に、和歌山県学力診断テストについて。
和歌山県では、教育・学習指導の課題を明らかにし、今後の教育内容の向上を目的とするとして、平成15年から学力診断テストを実施してきています。
先日、教育委員会から平成19年度の学力診断テストの実施報告書がまとまったということで、資料を受け取りました。それによると、今年度からは全国一斉学力テストが実施されたため、小学校6年生と中学校3年生を除き、県内すべての公立小学校4年生、5年生、そして中学校の1年、2年を対象として行われたということです。
また、報告書では、市町村別、学校別に各教科、各学年の問題ごとの正答率や分析結果、診断テストの結果を受けた指導改善事例なども掲載されていて、その分析では、基本的な生活習慣が学力向上につながる、また、読書をする児童生徒が学力でも高い水準にある傾向が強いなどといったことが特徴として挙げられています。
この学力診断テストについて賛否があるようですが、私自身は、大切な取り組みであり、今後ともしっかりと続けていっていただきたいと考えています。その基本としては、結果の公表も含めてできる限り情報は開示し、ぜひそれぞれの取り組みを比較評価する中で最善策を皆で共有していく、いわゆるベストプラクティス運動のようなよい意味での競争環境をつくり上げていってもらいたいと思います。そこでは、あくまで単に点数がとれた、とれなかったということではなく、なぜよい結果が出ているのかといったことに焦点を当て、その背景までしっかりと調査する中で、すぐれた取り組みを他の学校、教職員間でも共有し、和歌山教育全体のレベルアップを図ってもらいたいと思います。
そこで、何点か教育長にお尋ねいたします。
まず、学力診断テストの今後の取り組みとして、私自身は非常に大切な取り組みだと考えますが、教育長の御見解をお聞かせ願いたいと思います。
また、これは平成15年度からの取り組みとなっていますが、この5年間の成果と、特に挙げられるとすればどういったことがあるか、御所見をお聞かせ願いたいと思います。
また、学力診断テストの分析から、成果を上げているすぐれた取り組みについては表彰するなりして、それぞれの教員の努力を評価し、頑張った先生が何らかの形で報われるような取り組みも必要だと考えますが、いかがでしょうか。
あわせて、全国的にも優秀職員の表彰といった取り組みはございます。そういった中で、給与上の措置、頑張ってる教員に対して給与を上乗せしていくといったようなことも全国的には行われているようです。そういった取り組みについて、教育長はどのようにお考えになりますか。
あわせて、この学力診断テストをより有効なものとしていくために、検証と分析といったことが非常に重要だと考えます。しかし、これにはかなり労力のかかることでもあると思いますので、現在の体制は十分な状況となっているでしょうか、御認識をお聞かせください。
あわせて、本年度、19年度からは全国の学力テストが入ってまいりました。そういった状況の中で、平成19年度を踏まえて、平成20年度について、和歌山県の学力テストについてどういった形で実施していこうとされているか、あわせて5点についてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
以上で、私の第1問目を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの山下大輔君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、和歌山県経済の分析についてということと、産業構造の課題と将来に向けた取り組みについて申し上げたいと思います。
本県の産業構造につきましては、御指摘のとおり、あるいは御承知のように、鉄鋼、石油、化学の3業種で製造品出荷額等の7割を占め、日本経済を牽引してきた知識集約型産業、あるいは加工組み立て型産業などの産業集積が余り進んでいないというのが本県産業構造の特徴であり、他方、県内総生産に占める第3次産業の割合、生産額ともに大幅に伸び、県経済のサービス化が進んでいる状況でありますが、その比率は少ないということであろうかと思います。また、3次産業のうち、サービス業が大幅に伸びる一方、卸・小売業がだんだんと低下傾向にありますけれども、いずれも県民生活に直結する大事な産業であると認識しております。
今回提案している新長期総合計画では、「和歌山をリードするサービス業の振興」の項目を盛り込み、対事業所サービスや新たな生活関連サービス業など、本県の地域再生や生活の向上に寄与するサービス業を振興してまいりたいと考えております。また、平成20年度新政策では、地域資源を活用した新サービスの開発やブランド化といった内発型産業の振興を進めるとともに、企業立地構想の推進により、各地域にふさわしい新たな産業集積を目指すこととしております。
こうした産業政策の推進に当たりましては、本県の地域資源や、あるいは地域特性などの強みを十分発揮できるように支援し、持続発展可能な県経済の推進に全力を傾注してまいりたいと考えております。
次に対アジア戦略について、とりわけ山東省との交流、及び山東省交流における本県の実質的な経済メリットについてお答え申し上げたいと思います。
国際交流につきましては、これまでの交流をもとに、より実質的な交流への転換を目指し、新たな取り組みを進めようと思っているところでございます。
友好提携の締結につきましても、単に友好を深めるだけではなく、海外における県内企業の活動の支援や、問題が発生した場合の経済的利益の保護などのために、極めて有効な保証につながるものだと考えております。
また、議会や行政の代表団とともに経済団体や民間企業で構成する経済使節団を派遣することは、海外の政府機関の支持を得た上で新たなビジネスチャンスを創出することができるという意味において、大変効果的ではないかと考えております。
昨年11月に、議会及び民間企業の皆様と山東省を訪れ、友好交流の発展に関する覚書を結びましたのも、こうした基本戦略に基づくものであります。その際、山東省の企業関係者が本県企業の環境技術に大変関心を持ち、この夏には環境関連企業訪問団が来県する予定であります。具体的な成果がこのように上がり始めているところであります。このような動きを和歌山県の企業の方、あるいは産業界の方がぜひうまく利用していただいて、ますます当県の経済発展につなげていただくということが大事であろうかと思います。
今後、こうした国際交流活動を、アジア地域のみならず世界のさまざまな地域において展開していくことができればと考えておる次第でございます。
○議長(中村裕一君) 商工観光労働部長永井慶一君。
〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 和歌山県経済の活性化に向けた第3次産業の振興に向けた取り組みと地域資源の高付加価値化に向けた取り組み、2点についてお答えいたします。
第3次産業の県内総生産に占める割合は、昭和50年の47%から平成17年の63%に、生産額は6400億円から2兆3000億円へと3.6倍に増加しており、全従業者数の74%を占めるなど、本県経済にとって大きな位置を占める産業であると認識してございます。
議員御指摘のとおり、高付加価値な新サービスの創造は大変重要と考えており、そのため、新サービスの開発などを進める経営革新の支援のほか、県内の卸・小売サービス業を担ってきた商店街における観光資源や地場産品を生かした商店街づくりへの支援、あるいは総額80億円のわかやま中小企業元気ファンドの運用益による新サービス、新商品の開発など、さまざまな支援策を実施することとしてございます。これらのことを通じて、観光医療サービスなどの新たな事業が創出されることが大いに期待されているところでございます。さらに、対事業者サービスなど他の産業の高度化にも寄与する産業の立地、育成を推進し、地域産業との連携による相乗効果を図ることで、県内産業の高付加価値化への取り組みを積極的に進めてまいりたいと考えてございます。
次に、山東省を起点としたアジア戦略についてお答えさしていただきます。
御質問の県内企業の中国国内における活動を支援する体制につきましては、今後ますます活発化すると予想されます経済交流に対応するため、山東省との友好関係を生かしながら、さらに拡充を図っていくことが大変重要であると考えてございます。また、経済産業分野における支援機能を補完するとともに、他の分野での県民の皆様の交流活動にも対応するため、それぞれに総合的な支援窓口を設けることにつきましても、山東省政府との協議を進め、より明確な形にしていきたいと考えてございます。
なお、県内企業が山東省で行政手続や法令等に関する相談が必要になった場合の窓口でございますが、これにつきましては、和歌山県商工観光労働部、山東省対外貿易経済合作庁、和歌山県中小企業団体中央会の3者で昨年7月に締結いたしました「経済協力枠組み覚書」に基づき、経済貿易について互いに協力することとなっておりますので、山東省対外貿易経済合作庁が窓口となってございます。また、同合作庁は東京にも事務所を設置してございますので、日本国内での相談にも応じることとなってございます。
次に、経済交流プロジェクトへのさらなる和歌山県企業の参加についてお答えさしていただきます。
このことにつきましては、山東省における県内企業の事業展開推進のために、和歌山県中小企業団体中央会が中心となり、県内企業による商談会が平成17年度から3カ年連続して山東省において開催され、山東省企業との積極的な商談が進められ、取引に結びついた企業も出てございます。
来年度も、引き続き山東省での商談会開催を予定してございますが、これまで以上に多くの企業の方々に呼びかけるとともに、企業のさまざまな需要に応じたビジネスチャンスを創出できるよう、業種別での相談会の開催など、企業経営者の方々が参加しやすい工夫を凝らした取り組みを積極的に行ってまいりたいと考えてございます。
次に、ヨット競技の全国・世界大会の大量誘致から地域振興への2項目について、お答えさしていただきます。
世界的な大会をきっかけとした観光振興の取り組みについてでございますが、議員お話しのとおり、大規模のスポーツ大会には、国の内外の選手の方はもちろん、多くの関係者がお見えになりますので、和歌山県の魅力を知っていただく観光セールスの絶好の機会であります。
県といたしましては、こういったチャンスを逃すことなく、主催者等の御理解のもと最大限観光PRに努め、大会の開催時、またその後も和歌山県県内各地の観光地を訪れていただけるよう働きかけてまいりたいと考えてございます。
次に、スポーツ大会、合宿などから入り込み客数の増加を図る取り組みについてでございますが、本県の四季を通じた温暖な気候、大都市圏に隣接しているという優位性を生かし、新年度より、各種のすぐれたスポーツ施設を活用してのスポーツ合宿の誘致を積極的に取り組んでまいりたいと計画してございます。そういった中、全日本級の大会が開催されるという実績は、全国からスポーツ関連の合宿や大会の誘致のための極めて有効なPR材料であると考えております。
一流の選手が和歌山県でトレーニングや競技を行っていることをより広く周知することで、スポーツ関係者はもとよりスポーツ愛好家の誘客につなげてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(中村裕一君) 知事室長曽根義廣君。
〔曽根義廣君、登壇〕
○知事室長(曽根義廣君) ヨット競技の全国・世界大会誘致に係る広報戦略についてお答えいたします。
多くの広報素材に恵まれた本県をさまざまな機会をとらえて対外的に発信していくことは、非常に重要なことであると認識しております。そのような中で、ことしから来年にかけて数多くの全国レベル、世界レベルのヨットレースが和歌山で開催されることは、関係者の努力に加え、本県の誇る自然資源である海のすばらしさが認められたものであると言えます。これを格好の機会ととらえ、大会受け入れの窓口となる教育委員会を初め、観光局とも連携を密にして、海をキーワードとした和歌山県のイメージアップに努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(中村裕一君) 教育長山口裕市君。
〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) まず、民間人校長の取り組みについてお答えいたします。
県教育委員会では、全国に先駆けまして平成15年度に民間人校長を5名採用いたしまして、現在4名が勤務しております。採用した校長には、斬新なアイデアのもと、民間企業で培ったマネジメント能力を発揮し、学校運営の活性化で成果を上げられた方もございます。一方で、学校現場独特の風土や民間企業との手法の違いに戸惑いまして、円滑な学校運営に至らず苦慮したという報告も受けております。
本県では、平成14年、16年、19年の3回にわたり全国公募を行ってきましたが、応募者数は減少をしています。この間、教育のさまざまな課題がマスコミ等で取り上げられ、管理職として学校運営を行うことの難しさや次の時代を担う人材を育成するという職責の重さが認識されてきたことも要因の1つにあるかと受けとめてございます。
議員から御提案いただきました経済団体等との連携を初め、民間人校長の果たした成果の普及に努めるなど、よりよい公募のあり方についても研究してまいります。
また、教頭職を経験させてはどうかといった御提案につきまして、このことにつきましては、その業務が多岐にわたることや、学校によっては教頭が授業を行う場合もありますので、定数上の問題も関連して慎重に検討する必要があるかと考えてございます。
今後、登用や人事配置、研修のあり方など、教育委員会の支援についても研究してまいりたいと存じます。
次に、学力診断テストについてお答えいたします。
県学力診断テストは、学習指導要領に基づく基礎的、基本的な学習内容の確実な習得に向けまして、学習指導に関する課題を明らかにすること、各学校の指導方法等の工夫改善を促進することを目的に実施してきたところであります。これまでの結果から、基礎的、基本的な内容の学習指導上の課題はほぼ明らかになり、調査結果の分析に基づく各学校での指導の工夫改善が進んでございます。また、課題のある学校には、非常勤講師の配置や研究指定など、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
優秀教員表彰につきましては、平成18年度からきのくに教育賞を制定し、学習指導や生徒指導等において特にすぐれた教育実践を行い成果を上げていると認められる教職員を表彰しております。これらの被表彰者を「きのくに教育の匠」と称しまして、各種研修会などさまざまな場でその力を活用して県内教育のレベルアップを図っているところでございます。
今後も、この表彰制度を有効に生かしながら、教職員全体の意欲の向上や励みとなるよう、さらに制度の充実を目指し研究してまいります。
学力診断テストの検証、分析につきましては、各学校の取り組みを支援するため、検証方法のさらなる充実や実施方法、内容を工夫してまいります。
昨年4月に、文部科学省の全国学力・学習状況調査が小学校第6学年と中学校第3学年を対象に実施されましたため、本年度の県学力診断テストでは、児童生徒及び学校運営上の負担等に配慮しまして、これらの学年を除いて実施したところでございます。
平成20年度以降も、このことを踏まえ、県学力診断テスト結果を一層指導改善に生かす方途や体制のあり方も含めまして、さらに検討を加えながら実施してまいりたいと存じます。
以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 所定の時間が参りましたので、以上で山下大輔君の質問が終了いたしました。