平成20年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(松坂英樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 議長の許可を得て、早速通告に基づき質問をさせていただきます。
 まず初めに、産廃土砂にかかわる県条例の制定についてお伺いをいたします。
 先月19日、知事は記者会見で、産業廃棄物の保管及び土砂等の埋立て等の不適正処理防止に関する条例(仮称)の制定に向けた県の見通しを発表されました。
 土砂の処分場にかかわる問題では、私たち有田地方の山合いに、10トンダンプにして約3万台、約20万立方メートルもの大量の土砂が持ち込まれるとともに、産業廃棄物が隠して埋め込まれ、そして業者が逮捕されるという事件がありました。
 私は、初当選した03年6月議会の最初の質問でこの問題を取り上げまして、残土規制の条例制定の必要性を訴えてまいりました。そして、05年9月議会でも、この土地に別の業者が架空の老人ホーム建設計画を持ち上げて土砂の搬入をねらっている問題とか、また近年、関東地方からも船でわざわざ土砂が和歌山まで大量に運び込まれてきている、こういった問題を指摘し、早急な対応を求めてきたところであります。
 今回、こうした県民の声と願いにこたえて条例制定の発表にこぎつけたという点では、関係者の皆様の御努力に心からお礼を申し上げるものです。
 この土砂処分場の問題では、県内各地で問題が進行中です。この間も、集落の真上にある急な斜面に土砂を積み上げていて、災害が起こらないか心配だという住民からの相談がありました。また、遠く県外から土砂が搬入されてきていて、あの土は大丈夫かと、そういう声が出ても、ここは産業廃棄物処理場ではないからと言われて行政がなかなか入っていけないというところがあったりと、早急な手だてが求められている現状があります。
 また、県外からの土砂搬入も、トラックはつかみようがないんですが、記録に残る船による搬入だけを見ても、和歌山下津港が、16年度の2100トンが18年度には2万4000トンと約10倍に、新宮港では、16年度が2万8000トン、17年度が5万5000トン、18年度では1けた上がって10万6000トンと、倍々ゲームにふえてきているんですね。
 前回の質問では、土砂処分場事件で大変な御苦労をされた地元区長さんの話を紹介いたしました。あんなに土砂をたくさんほうり込んで大丈夫かと心配したが、どうにもならなかったこと。何度も区の会を持ったこと。そして、業者にやめてくれと言いに行っても、嫌なら山の上から土を入れるぞと言われて、急な谷の上から土砂を入れられると災害の危険性が余計に高くなると思って、それ以上のことが言えなかったこと。においがひどいんだと言って訴えに行くと、わしらは命は欲しくないんやと逆にすごまれて恐怖を感じたこと。区長さんは、もう前回のような二の舞いを踏んじゃいけない、前回詰め切れなかったこと、例えば不法投棄の証拠が出るまで手が出せなかったという問題や土地所有者の責任とか、そういう教訓をもとに、こんなことが今後起こらないようにしてほしいというお話でした。こういった県民の願いにこたえた条例になることを望むものであります。
 この立場から、今回、県が制定をしようとしている条例の基本方向について何点かお伺いをいたします。
 第1点目に、不適正処理の早期発見、未然防止のための手だてはどうか。
 2点目に、立入調査並びに違反行為に対する罰則、是正策についてはどう考えているか。
 3点目に、今後の対応だけでなくて、今ある現状、既設の現場に対する対応はどうするのか。
 4点目として、既に市町村が同様の条例を持っているところもあるんですが、こういった条例との関係や役割分担、県内市町村との連携、協力についてはどう考えているのか。
 以上の点について、条例案をまとめていく基本的な考え方を環境生活部長より答弁をお願いいたします。
 次に、震災津波対策について質問をいたします。
 今議会に提案をされた来年度予算案の中には、東南海・南海地震対策の充実として、津波避難困難地域への対策、堤防や水門等の修繕・補強、水門遠隔操作化などによる浸水被害軽減対策に取り組むとして、湯浅広湾の水門遠隔操作のための予算が盛り込まれています。
 湯浅広湾には、湯浅町に弁天堀水門、広川町には養源寺堀水門、江上川の河口水門の3つの水門があります。私、5年前の一般質問で、この水門の修繕と遠隔操作の問題を取り上げました。そのとき、水門の管理を任されている町職員の方の声を紹介いたしました。地震が起きたときに、水門を操作するためには、海側から山側に避難するその人の流れと逆行して水門まで走っていって、余震が続いてあろうその中で、あの高い水門の操作室までらせん階段を駆け上がると。そして、多分停電しているでしょうから、発電機を始動させて、それから水門を降下させる。この作業は余りにも危険で現実的ではありませんと。職員に「町民何千人の命を守るために自分は死ぬかもしれないが行ってこい」と言わなければならないのですと。早く確実に水門を閉めるためにも、他県では遠隔操作や一定震度以上で自動的に閉まる施設もあると聞いている、何とかそんな改善ができないのでしょうかというものでした。
 県は、その後県内の水門の点検・改修を進め、昨年遠隔操作化が完成した海南市の水門などに続いて、今回湯浅広湾に事業着手するとのことであり、「稲むらの火」を前面に津波防災に取り組む現地湯浅広湾としても、また和歌山県としても、大変大事な事業であり、お礼を申し上げるものでございます。
 また、県は先般、津波から「逃げ切る!」支援対策プログラムを発表し、津波による避難困難地への対策を市町村とともに進めようとしています。
 この震災津波対策で何点かお伺いをいたします。
 まず第1に、この津波から「逃げ切る!」支援対策プログラムは、県のアクションプログラムというような震災対策の計画とどういう関係にあり、何をどう具体化しようとしているのか、湯浅町の避難困難地への対策とあわせて、危機管理監に答弁を求めます。
 次に第2点目には、今回予算化された湯浅広湾の水門等の遠隔操作化はどのような内容で進めようとしているのか、全県的な現状、見通しとともに御答弁を願います。
 そして3点目には、広川町が西広地区の海岸防波堤の補強とかさ上げに取り組んでおりますが、その事業見通しをお示しください。
 以上、2点目と3点目は県土整備部長に答弁を求めます。
 さて、3番目の柱であります中小企業高度化資金債権放棄の問題に移らせていただきます。
 今回の債権放棄議案は、中小企業高度化資金の融資先破綻企業5組合の合計26億4000万円余を回収不能として債権放棄をするものです。また同時に、設備近代化資金における合計4400万円余を、時効等により同じく債権放棄する内容となっています。
 この議案については、26億円余という額の大きさからいっても慎重な審議が求められます。この中小企業高度化資金は、中小業者の共同化による体質改善を目的とするものでしたが、日本共産党県議団は、このずさんな融資審査と債権回収を怠ってきた問題をこれまでも県議会の場で指摘をしてまいりました。
 その中でも特に、今回債権放棄する中のこのプラスパフーズという豆腐製造業者に対する融資は、土地代金12億5000万に対して10億円の融資、建物ほか18億円に対して14億円の融資、合わせて24億円もの無利子の融資を受けながら、わずか1%の返済で倒産してしまったという最も問題点の大きいケースであります。
 倒産後、担保として残った土地と建物、これを競売にかけても1億円にしかならず、差し引き22億4000万円もの国民・県民の税金が泡と消えたことになります。
 県は、これまで、滞納額が多額に上っているのは重大な問題だと認め、滞納者に違約金も請求せずに放置してきた問題点は改めて償還指導を強化してきましたが、融資のあり方そのものについては、手続上問題はなかったと責任を認めてきませんでした。今回の債権放棄に当たっての県の姿勢がこれまでの延長線上であるならば、県民の理解は得られないというふうに私は考えます。
 そこで、私は、情報公開で明らかになった具体的な資料に基づいて、融資のずさんさを指摘するとともに、債権放棄の責任の所在、県は説明責任を果たしたのかと、こういう3つの角度から質問をさせていただきたいと思います。
 まず、融資そのものに問題はなかったのかという点です。
 今回のプラスパフーズの債権放棄の結果内容を見ると、融資決定そのものへの疑問を持たざるを得ません。債権が回収できずに、わずかな返済で終わったのは、担保にとっていた不動産がわずか10分の1の値段でしか売れなかったことと、それから、事業を行った組合員5人が連帯保証人となっていたんですが、倒産して自己破産するなど保証能力がないということが理由になっています。
 競売での回収額、それから保証人の保証能力、これを結果から見てみると、もともと担保価値も保証能力もなかった、返済能力に疑問があったということではないでしょうか。担保価値も不足し、保証人からも債権回収できずに債権放棄しなければならないというような融資は、融資決定そのものが不自然ではないかという点でまず見解を求めます。
 次に、利害関係者との取引の結果、土地代金が2.5倍、建設費用が2倍についたというのは、これは過剰融資ではなかったのかという点をお聞きいたします。
 この12億円もする土地への融資に対して、県は専門家の不動産鑑定すらとっていなかったこと、これは議会でも外部監査でも問題になりました。県は、後に土地建物を競売にかけるときに専門家の不動産鑑定をとっています。これを見ますと、近隣の用地は1平方メートル当たり3万5000円だというふうに鑑定をし、当該用地は有効面積割合も少なくて、行きどまりなどのマイナス要因が多く、単価は約2万円の価値だと判断しています。それで、土地全体の価格は3億5000万円という鑑定価格が出てるんですね。これは重要な基準となる価格です。
 一方、平成14年度包括外部監査結果報告は、土地については、さきの不動産鑑定とともに、隣接した県の工業団地、この価格とも比較しながら、当時推定5億円の土地を12億5000万円で買ったのは非常に高額と判断できる、こういうふうに指摘をしています。同様に建物については、4億5000万円の算定に対して購入価格8億5000万円となっていて、両者の間には大きな格差が見られる、こういうふうに指摘をしています。実に土地価格では2.5倍、建物は約2倍の高い価格で購入をしているんですね。
 また、土地の購入先である開発会社阪和住建も、そして工場の建設工事を受注した阪和建設も、両方ともプラスパフーズ代表理事の息子が経営する別会社なんですね。ですから、外部監査は、利害関係者の間の、この親子の取引の際には、問題が生じないように鑑定評価や相見積もりを指導すべきであると、審査に厳しい注文をつけております。
 このように、専門家の鑑定意見から見ても、外部監査の意見から見ても、非常に高い価格の融資となっていて、過剰融資だったのではないでしょうか。この異常な格差を認めますか、それともこれでも高くないとでも言うのでしょうか。
 次に、3点目ですが、購入土地の面積変更は、審査を通すための単価操作ではなかったかという点で、具体的に資料もお示ししながら質問をさせていただきます。
 県は、土地価格について、不勧告通知以下の価格だから高いものではない、こういう立場をとって、国の審査も経ているから融資に問題はないという理屈をこれまでずっと押し通してまいりました。しかし、開示請求で明らかになった資料を私も精査してみますと、高い融資を無理やり通すためのそのからくりが明らかになりました。
 以下、資料を示しながら、議場の皆さんにもお配りをいたしておりますが、その資料を示しながら質問をさせていただきます。
 まず、資料1は、融資決定2カ月前、直前ですね、2カ月前、1月24日付の国土利用計画法に基づく売買届出書であります。数字の欄をよく見ていただくと、ここには融資計画で申請していた1平方メートル当たり9万1000円で1万3700平方メートル余の土地を12億5000万円で買うことが記載をされておりますが、後に数字が訂正をされて申請された跡があります。
 私は、これは高過ぎるという勧告が出ないように、不勧告通知となるように、単価を9万円から6万6000円に事前に修正した跡ではないかというふうに思っています。この申請をもとに県は判断をするわけです。
 資料2、これは不勧告通知でありますけれども、この金額、この資料で示された金額以下だったから適正価格だと、セーフだということを県はこれまで繰り返し弁明してきたわけなんですね。
 この前後、国からは最後の最後まで、これ、土地の購入の価格、高いぞという指摘がされてきました。この問題をクリアすべく、不勧告通知の6万6000円以下だから高くないという、その結論づけられるように、予備申請、それから本申請、どちらも終わっていたのに、この融資年度の平成7年度末、これ最終段階の平成8年3月に、異例の計画変更というのが行われているんです。
 資料3をごらんください。
 お配りしているのは、こういう写真だというふうに思います。これは、旧桃山町にある県の桃山第2工業団地の国道がありまして、国道424の横にある桃山の工業団地、その一番奥の山際にあるのがこの工業用地であります。山を削って、それで造成をしたところなんですね。
 もともと、今回のこの事業は、予備申請、本申請ともに、この①の青い土地を買い取る予定でした。で、②で示した黒い線で引いた土地というのは、実際はこれ、造成しておりますから、企業用地と一体となった土地なんですね。ところが、造成の関係で、公図混乱とか分筆できない等の理由で簡単に登記できそうにないと、だから融資まで間に合わないので、とりあえずは永久に貸与するという形で、これは使ってよろしいということになった土地なんですね。ところが、ここまでは計画にあった土地なんです。
 ところが、この融資最終段階の変更で、赤い線で囲んだこの③の土地を買い足すことになったんですね。なぜか。それは、分母面積を大きくして、融資額を一切下げずに、土地単価を下げると、こういう強引な手法をとったからなんですね。
 普通、土地単価が高いですよと指摘されて、先ほどの土地利用計画にあったように6万6000円の単価がいいということになれば、合計9億円で買ったらいいんですよ。安くなったといって、12億円で買わずとも、喜んだらいいんです。これで事業もよりうまくいくと。ところが、安く買うのではなくて、無理やりに③の土地を買い足して、当初の融資12億円が出されるように仕組んだとしかとれません。
 この③の土地というのは、変更計画に添付をされた図面では大変わかりにくいので、私も現場へ行ってきました。横から見たこの現場写真も張りつけてありますので、御参照ください。
 この土地を、こののり面ですね、これ、上から見ると広い平地のように見えますが、実際は斜面なんですよ。だから、この土地を高いこの工業用地単価で買い足したことの異常さがはっきりこの写真でわかると思うんです。こんなのり面を工業用地の単価で買い上げたとしたら、これは大問題です。
 それで、この変更が行われたのが、皆さん、3月の25日、年度末ぎりぎりです。そして、それまたぎりぎりの3月28日に融資決定の知事の決裁がおりてるんですね。
 資料4をごらんください。
 この資料4は、融資決定後にこの計画変更を県が診断した4月8日付の報告書です。下から3行目途中からの文章には、国土利用計画法の用地単価と当初計画の用地単価との格差を是正するために買ったということを正式に県が文書で認めてるんですね。繰り返しますが、この土地が、さっきの斜面が必要だったから買ったんじゃなくて、用地単価を下げ、融資審査が通るように買い足したわけなんですね。
 だから、この後の不動産鑑定、先ほど専門家が不動産鑑定して、3億5000万円というふうに安く評価された最大の要因というのはこれなんです。敷地全体の4分の1を占めるこののり面、これは使えないから、マイナスをして、有効土地面積をもとに算出しているからなんですね。
 県が言ってるような、その後経済情勢で土地の値段が安くなったというんじゃありません。つまり、土地単価を下げるために、当初の計画にもなかったお隣ののり面等を抱き合わせで収得し、その結果、利用価値のない土地を高額で購入したことになります。のり面等を工業用地と同額で取得したというのは、ずさん以外の何物でもありません。そして、融資の破綻により損害を県民に与える結果となったわけです。
 幾ら県の審査が通った、国の審査も通った、こういっても、問題がないとは言えないと思うんですね。審査を通すためのごまかしをずっとやっているわけです。
 そこで伺います。
 これは審査を通すための単価操作ではないか、こういうごまかしまでやった審査を通したことは問題ではないのか、この点にお答えいただきたいと思います。
 融資の問題4点目に、事業計画についてお伺いをいたします。
 プラスパフーズの事業計画段階での国の診断は、こんなふうに書いてます。「本計画の成否は、生産能力に見合う販売力の確保いかんにかかっている」、こんな勧告なんですね。
 高額な工業製品を生産する事業などと比較すれば、もともと今回の事業は利幅の大きい事業ではないわけで、今回の巨大な設備投資と販売能力が、これはこのバランスがとれないと計画はうまくいきませんよという忠告でした。ところが、県はプラスパフーズの事業計画と対応策を妥当なものとして丸のみしてきました。
 しかし、スタートをしてみると惨たんたる結果でした。初年度で計画の達成率はわずか51%、次年度53%、その次47、44と、全く振るいませんでした。事実上の初年度の損益計算書を、私、見ましたら、減価償却する以前に既に1億円の赤字です。操業わずか半年で、支払い方法に間違いがあったといって県に始末書を書いてるんですが、それほど資金繰りに困っていることがうかがえます。
 そして、操業開始2年後には、既に1回目の不渡りを出し、わずか5年数カ月後に自己破産をしているんですね。
 操業前の組合員5社それぞれが売り上げをしている、それを足した金額と比べても、共同したら、一緒になったら有利になって、少しずつでも売り上げが伸びていくんじゃなくて、逆に売り上げが共同する前よりも半分になってるんですね。
 これがもし、初めはうまくいっていたのに途中でどんどんどんどん減ってきたというのならば、経済的要因だとか、取引先が倒産したとか、そういう要因で説明できるわけですが、初めから計画の半分だというのでは、当初の計画がずさんだったという以外にありません。非常にずさんな事業計画だったのではないですか、御答弁を願います。
 この融資問題の最後に、資料5をごらんいただきたいと思います。
 情報公開によって開示されたプラスパフーズの平成8年4月の総勘定元帳です。融資をされた土地代金10億円が、通帳や会計で適正に処理されたか報告するために、企業から、組合から県に提出をされた書類なんですね。平成8年4月3日、一番上のほうにありますが、その欄に「開業費、県庁餞別3名、15万円」というのがありますね。私、これを見てびっくりしました。この平成8年4月3日という時期は、先ほど解説いたしましたように、最後まで難航した融資決定がとうとう決裁をされた3月28日の直後であり、土地代金10億円のキャッシュが振り込まれた4月26日の直前なんですね。贈った方も、贈られた方も、堂々とこんなことをして平気なんですね。
 この資料を見れば、融資先企業と県に癒着があったのではないかと疑われても仕方ありません。県は、このことにどういう認識を持っているのか、また、この問題を知り得てから調査をしたのか、答弁を願います。
 以上5点の質問については、商工観光労働部長より答弁を願います。
 今度は、債権放棄の責任の問題について知事に質問をいたします。
 私、知事のこの問題での記者会見や、また先日の一般質問での答弁を聞いて愕然といたしました。知事は、設備近代化資金の時効問題については、大変な失態だったと、何十年間の県庁を代表しておわびをすると、職員にも厳正な処置を行ったと言って、県としての落ち度を反省しながら随分詳しく語られました。
 ところが、片やこの高度化資金の26億円の問題になると、途端に簡単なコメントになっています。厳正な審査を経ていて県に落ち度はないとか、後の予期せぬ経済的要因だと、県は正しかったとばっかり言って、県民に申しわけないという姿勢がないように見受けられます。
 御承知のように、この設備近代化資金のほうは、3億円は焦げついたものの、259億円融資して256億円まで正常に返済が進んできた融資事業です。
 ところが、こっちの高度化資金のほうはというと、全国一、和歌山の滞納が多いという問題のこの融資事業なんですね。国費ベースで171億円の滞納のうち、和歌山の分は56億円と、全国の滞納額の約3割を和歌山県1県で占めています。県内の分をまとめますと、総額470億円が融資をされていて、そのうち109億円も焦げついているんです。特に、同和対策の融資218億円のうち、92億円までもが滞納され、焦げつきの約9割を占めています。一般分の融資250億円で17億円の焦げつきという割合と比較をしますと、突出した数字となっております。
 配付させていただいております資料6をごらんください。これは、18年度末での償還状況のまとめであります。
 ページ右下の欄をごらんください。末償還額のところの欄を見ていただきますと、約109億円の未償還額のうち約92億円までが同和対策・地改事業関係だということが数字で見てとれるというふうに思います。全国と和歌山を比べてもおかしいし、一般分と同和対策分を比べてもおかしい、こういう二重の問題点があるわけです。
 こういう状況の中、今回債権放棄をする融資案件は、不動産担保も保証人の保証能力も初めから不足し、高い土地の購入価格を無理やり審査を通させたという不自然な高額融資であったと思います。その結果として、今回合わせて26億円もの債権放棄をすることになりました。
 債権放棄とは、言いかえれば、借金の肩がわりを県民にさせることになったわけです。このことに対する責任はないというのでしょうか。知事としての責任、県としての責任をどう考えているのか、知事の考えをお聞かせください。
 あわせて知事の認識をお尋ねいたします。
 日本共産党県議団は、この高度化資金の焦げつきが明らかになった当初から、この問題は同和行政を本来の姿からゆがめて、ずさんな融資をし、回収を怠ってきた結果ではないかと指摘してまいりました。滞納額109億円のうち92億円までが同和対策のものとなっている、この結果を知事はどう認識しているのかお尋ねいたします。
 この問題の最後に、県は説明責任を果たしたと言えるのかという問題で、知事に3点お尋ねをいたします。
 まず1点目、債権放棄に当たって、融資決定、償還指導の総括をし、教訓を引き出したのでしょうか。
 破綻企業は、当然事業収入による回収というのは見込めないので、財産処分と、それから保証人に弁済を求める以外にありません。その上で、回収するものがなければ債権放棄するしかないわけです。以前は破綻処理を先延ばしてきた面がありましたけれども、これはきちんとやろうというのが今の県の姿勢です。
 しかし、先ほども述べたように、債権放棄は、借金の肩がわりを何の責任もない県民に押しつけることになります。県民に肩がわりを求めるには、十分に説明をして、そうかと納得してもらう以外にこれは方法ないんですね。このことは外部監査でも繰り返し強調されている点です。
 県は、この間、償還指導がされてこなかった問題を指摘されて、体制も整えて努力をしてまいりました。ところが、いよいよ、今回、債権放棄以外に方法はないということで、最終段階に入ろうとしたときに、競売の手続とか保証人のチェックはやりました。ところが、残念ながら、県が自分のやったことを振り返った形跡がありません。他人には厳しく、自分には甘い、ツケは県民にと、これでは県民は納得しません。
 債権放棄を県民にお願いするに当たり、1から10まで包み隠さず振り返って、融資決定、償還指導の総括をして、教訓を引き出し、それを県民に明らかにしたのでしょうか。説明責任を果たさずに債権放棄だけを押し付けているのではないでしょうか。この点をお答え願いたいと思います。
 2点目は、外部監査で指摘された点を再調査して公開すべきではないかということです。
 この説明責任ということで、特に振り返って再点検すべき点としては、外部監査で具体的に指摘された点にどう取り組んできたのかが問われています。
 今回のプラスパフーズだけでも、販売計画と実績との乖離、土地の取得価額、建物の取得価額、取引先の問題等が指摘をされています。外部監査が発表されてからこの4年間、指摘された点を、どう調査し、どう検討したのか。ここに問題があったからこうすることにしたとか、そういう真摯な対策をとったのか、また今後とるべきではないか、お答え願いたいと思います。
 最後に、知事の姿勢をお聞きいたします。
 このままの県の姿勢で債権放棄をすれば、県は同和行政の一部にあらわれたゆがみをタブー視してメスを入れられないと県民からは見られるんじゃないでしょうか。乱脈な同和行政の実態にメスを入れないままでの債権放棄は県民の理解が得られないと思いますが、知事はどうお考えになるでしょうか。
 以上で、第1問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 中小企業高度化資金の債権放棄につきましてお答え申し上げたいと思います。
 順番からいたしますと、松坂議員お尋ねのように、まず商工観光労働部長に対する御質問に対する答弁が先に来たほうがわかりやすいかなという感じもいたしますが、知事が先にお答えすることになっておりますので、先に私のところの話をさせていただきます。
 まず、近代化資金の時効問題では債権管理を怠ってきた責任を問いながら、高度化資金の債権放棄の責任はどう考えているのかということでございます。
 これにつきましては、これは両方共通なんでございますけれども、近代化も高度化も、ちょうど平成14年ぐらいでございましょうか、先ほどお話のある外部監査などがあるときから債権管理をきちんとしようということになって、厳しく債権回収に当たってきたわけでございます。
 今回の議案につきまして、もちろん最終的には、これは事業が破綻をして貸し付けの回収ができないということになってるのは大変残念でありまして、この結果責任は県庁が負うべきものであるし、その最高責任者として私は責任がないとか、そんなことを言っているわけではございません。
 ただ、調べてみますと、貸し付け時に何かこう全くずさんなことをやっていたか、後でちょっと御説明しますけど、近代化資金のようにほったらかしてたり、むちゃくちゃなことをやっとったかということについては、なかなかそうとも言えんなということではないかと思うんです。
 例えば、これは高過ぎる、おかしいといって、それを要するに認めないというような正当性があったかというと、どうもそうではなかったんじゃないかなと、必要な手続はやって、その上で貸したのではないかというふうに思うわけであります。
 ただ、残念ながら貸し付け後の経済情勢の変化等により組合が破綻をしてしまって、連帯保証人に対しても、処分できるものは処分して厳しく追及を行ってきたけれども、結果として回収が見込めなくなったものがかなりあるということは御指摘のとおりでありまして、これについては、結果として県庁は責任を負うべきものだというふうに思います。
 近代化資金につきましては、これとは全く次元の違う話でありまして、本来ならば、もちろんきちんと貸して、それでそれの債権回収をやらなきゃいけないということであろうかと思いますが、平成14年度までのずっと長い間、この債権管理をほとんどやってこなかった、これは県庁として仕事をサボっとったということになりますので、県庁を預かる最高責任者として県民に陳謝をいたしまして、それで歴代のこの問題に責任のある者に対する責任を問うというわけであります。
 今回の高度化貸し付けについては、これについて同じようなものが数年前に発表しておりますけれども、2件ばかり同じようなケースで、これは完全に失態であるというようなことを県としても認めて発表したものがございます。
 それ以外のものについては、今申し上げましたような、そういう失態はなかったと考えておりまして、同じような責任は問えないというふうに思ったということでございます。そのように御説明したつもりでございます。
 次に、高度化資金の延滞額の内訳についての御質問でございますけれども、高度化資金の地域改善対策の追加につきましては、国の同和対策の推進を背景に、昭和44年に施行された同和対策事業特別措置法にあります同和対策の基本理念に基づき、昭和47年度から、新たに対象地域の産業振興や産業育成のために設けられたものでございます。
 本県では、県経済活性化の一翼を担ってきた繊維、皮革等の地場産業のウエートが高くて、その産業高度化、地域環境の改善を実施してきたため、必然的に貸し付けが多くなったものと私は理解していますが、その後の経済環境の悪化等で御承知のように延滞額がふえたものであると思います。
 これは大変残念なことであります。県として、貸付者としての立場で、回収ができなくなったという意味で残念であるだけじゃなくて、この貸し付けの目的であった産業発展などが十分達成できなかったということでもあると思いますので、そういう意味では大変残念であるというふうに思っております。
 次に、説明責任ということでございました。
 まず、高度化資金の貸し付け実行に当たっては、中小企業庁の通達に従いまして企業診断を行います。予備申請の段階から、中小企業基盤整備機構、当時は中小企業総合事業団と言っておりました──「総合」もついてなかったんじゃないかという気もしますけど──と協議を重ねながら、同機構による審査も受け、承認も得た上で貸し付け決定をしておりまして、貸し付け手続につきましては、デュープロセスに従って私はやってきたものと考えております。
 その償還指導につきましても、先ほど申し上げました昔の2件を除きまして、組合破綻後、現在では、あらゆる法的手段を駆使して債権回収をきっちり図ってございます。
 しかし、貸し付け審査とか、あるいは債権管理について、その時々において正当な手続に従って処理を行ってきたとはいえ、不測の結果もあるんでしょうが、結果として回収ができなくなったことについては残念であり、もちろん結果としての県の責任、ひいてはトップとしての私の責任もあるというふうに、昔のこととはいえ、現在、私は県庁を率いておりますので、そういうつもりで感じております。
 今後とも、そのときに最善と思われる措置をとってまいりたいと考えておりますが、教訓としてはどうかということをおっしゃいました。そこについて私が思いますのに、こういうふうに貸し付け等と、よほど慎重に考えないと、後々こういうことが起こるということもあるなというふうには思います。
 ただし、一方では、これは政策金融であります。政策金融であるということは、民間の金融機関のように何も考えないで債権の管理だけしてりゃいいんだというわけでも、これはまたないと思うわけです。
 したがって、安全ばかりでは政策金融としての立場もなくなってしまう。したがって、だからといって債権について、貸し付けについて、甘けりゃ甘いほどいいんだというわけでも全くないわけでありますので、この辺は大変難しいところではないかと思います。
 したがって、私は、もし手続的に何かおかしい、サボった、あるいは過失があった、そういうときには当然処分の対象にしないといけないと思いますけれども、そうでなければ、もし結果責任ばかり問うてると、果たして県の職員が普通の業務ができるでありましょうか。いろいろこの議場でもございましたように、萎縮が起こって何でも門前払いということになっても、これはまた問題ではないかと思うわけでございます。
 ただ、もう1つ言えば、現在、問題にしておられる1つの案件については、取引が身内で行われたというところがございました。それは、成功してれば、ちゃんとお金が返ってきて問題はなかったかもしれませんが、現に失敗をした。そういうときには、特に身内のときには、取引におかしなところがあったんじゃないかというような議論が当然出てくると思いますので、私の今の教訓としては、特にこういうときには慎重に、少し余計目に審査をするということが必要ではあったかなというふうに考えております。
 次に、包括外部監査の指摘でございますけれども、このことについては、もちろん当時から県は真摯に受けとめておりました。
 以来、実は担当課室の格上げをしたり、職員の増強をしたり、サービサーの活用などさまざまな手法を取り入れて、延滞債権の早期縮減に取り組んでいた、まさにそのきっかけになるものであったと考えております。
 その結果、先ほど申し上げましたように、高度化資金について2件失態があったということであるし、それから、これは私が就任してから聞きましたので、直ちにもう全部明らかにしようということで、近代化資金についてはまだ残っておりましたから、今、それを回収業者を入れて全部明らかにして、どんどんと表へ出していくという作業をしているところでございます。
 したがって、この包括外部監査の内容については、県庁としては十分これからの業務に生かしておるというふうに私は思っております。もちろん、今後も頑張ってまいりたいと思います。
 それから、高度化資金の地域改善対策案件については、同和対策事業特別措置法による社会的な背景を受け、県としては、昭和47年度以降、対象地域内の地場産業の振興、環境の改善等のために、合計で45件、約218億円の貸し付けを実行して一定の成果を得たというか、成果が不十分であったというか、そういうことかなというふうに思います。(「どっち」と呼ぶ者あり)両方ですね。つまり、失敗したものについては、残念ながら、その産業の振興を図り損なったということだろうと思います。
 ただ、議員御指摘のように、同和対策だからといって、それを一概に問題にするというのはいかがなものかと私は思います。個々の案件については、同和対策であろうとなかろうと、きちんとそれを審査をして、それで、その対象が栄えるように配慮し、それでまた一方では債権管理もきちんとやって、県民の財産を無駄遣いしないようにするということが我々に課されたこれからの義務ではないかなというふうに考えております。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 土砂等に関する条例に係る4点の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、早期発見、未然防止のための手だてについてでございます。
 廃棄物処理法では、産業廃棄物の排出に当たりまして、その処理を許可業者に委託した場合、産業廃棄物管理票、いわゆるマニフェストを交付しなければならないこととされておりますが、産業廃棄物の自己物を排出場所とは別の場所に一時保管する、自己物を一時保管する際、届け出や許可も必要なく、帳簿等の作成義務もございません。行政が、その保管場所を把握しにくい状況になっております。
 したがいまして、一定規模以上の土地で産業廃棄物を一時保管する場合につきましては、排出事業者に届け出をさせることによりまして、その保管状況の把握を行いますとともに、適正な処分に向けた行政指導等が可能になるものと考えております。
 また、土砂の埋め立てに関しましては、過去にも廃棄物や汚染物質が混入された事件もございまして、県民の皆様からも、そういった埋め立てに対する懸念の声もございます。これらのことから、生活環境保全上の支障を未然に防止するため、土砂の埋め立てについて、水質や土壌の環境基準の遵守が必要であると考えております。
 さらに、崩落や流出といった災害発生のおそれもございますので、その防止のための土砂堆積の構造基準を整備いたしまして、一定規模以上のものにつきましては、その基準に適合するかどうか、審査をする許可制度を導入してまいりたいと考えております。
 次に、立入調査あるいは違反行為に対する罰則や是正策についてでございます。
 適正な処理や埋め立てがなされていないような場合の対応につきましては、事業者や土地所有者に必要な行政指導を行いますとともに、生活環境保全上、支障を来すおそれがある場合、措置命令等の行政処分を行うことも視野に入れてまいりたいと考えております。
 また、無届け出あるいは無許可での事業の執行、あるいは措置命令等の行政処分に従わない場合につきましては、懲役や罰金等の罰則での対応も必要ではないかと考えておりますが、今後、検察庁との協議を行ってまいりたいと考えております。
 次に、既設の現場に対する対応についてでございます。
 議員御指摘の条例施行前に完了している埋め立てにつきましては、条例の適用を行うことは、法的に遡及して規制することになるため、これは難しいと考えておりますが、条例施行の際、現に埋め立てを行っているものにつきましては、施行日から一定期間の経過後には許可を必要とするというふうに検討してまいりたいと考えております。
 先ほど申し上げました既に完了している現場における廃棄物による生活環境保全上支障や災害発生のおそれ等がある場合は、既存の法令、例えば廃棄物処理法等によりまして、積極的な行政指導を行ってまいりたいと考えております。
 最後に、市町村との連携・協力についてでございます。
 土砂の埋め立てに関しましては、県内7つの市町で独自の条例が既に制定をされておりますが、条例により規制のない市町村は依然として多いために、県下全域で土砂の埋め立てを適正に行わせるような条例が必要であると認識をしております。
 今後、県内の市町村との間で、規制の規模あるいは役割分担などにつきまして十分意見交換を行いまして、互いの連携を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 危機管理監杉本雅嗣君。
  〔杉本雅嗣君、登壇〕
○危機管理監(杉本雅嗣君) 津波から「逃げ切る!」支援対策プログラムについての御質問にお答えをいたします。
 県では、国の中央防災会議が策定した地震防災戦略及び県が実施した被害想定調査結果を踏まえまして、平成19年3月に和歌山県地震防災対策アクションプログラムを改訂したところでございます。
 このアクションプログラムでは、減災目標と、それを達成するための具体的な対策の目標を定めるとともに、個別アクションの見直しや追加を行ったところであります。
 その中で、津波対策の推進の具体的アクションの1つとして、津波から「逃げ切る!」支援対策プログラムの策定を位置づけております。
 支援対策プログラム(案)の主な内容でございますが、1つ目に、津波第1波の到達時間までに避難を完了させる対策として、新たな津波避難ビルや避難目標地点の設定及び避難路・避難施設の整備、2つ目に、津波第1波の浸水抑制により避難時間を確保する対策として、堤防・護岸の整備などを行うこととしております。これらの対策を関係8市町と協力し、取り組んでいくこととしており、現在、パブリックコメントを実施中でございまして、その意見を踏まえ、今年度末までに策定することとしております。
 次に、湯浅地区の避難困難地域の対策でございますが、湯浅町民体育館など、既に指定されている数カ所の避難場所などに加え、津波の浸水が想定されない安全な場所を避難目標地点として新たに設定することによりまして、避難困難地域を解消するものでございます。
○副議長(新島 雄君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 水門等の遠隔操作化や自動化についてでございますけれども、海南市を初めといたしまして、県下に6カ所の水門等で平成19年度中に運用を開始しております。
 湯浅広湾につきましては、地元湯浅町、広川町と協議を進めまして、平成20年度より2カ年をかけまして、3カ所の水門と4カ所の陸こうにつきまして、遠隔操作化等を実施する予定でございます。
 今後とも、短時間で安全に閉鎖できますよう、水門等の遠隔操作化を進めまして、津波被害の軽減を図ってまいりたいと考えております。
 それから、広川町西広地区の海岸につきましては、広川町が管理いたします唐尾漁港の区域内であります海岸でございまして、平成19年度より国、県の補助を受け、広川町が海岸耐震対策緊急事業に着手いたしまして、防潮堤の耐震調査を終えたところでございます。
 今後は、この結果を踏まえまして、防潮堤の補強、かさ上げを平成23年度までに完成する計画で進めていくと聞いております。
 県といたしましては、町と連携を図りながら事業を促進してまいります。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 中小企業高度化資金債権放棄の5項目の質問についてお答えしたいと思います。
 まず、融資決定までの手続についての御質問でございますが、申請当時、組合員5社は、直近の平成5年度決算におきまして、約16億円の売り上げ実績がございました。競争の激しい豆腐製造業界で今後生き残っていくためには、大型近代化製造設備の導入による経営の合理化・集約化を図り、あわせて労働環境の整備を図ることで、大手取引先からの需要ニーズに対応していくことが重要であると判断し、高度化事業の活用を図ったものでございます。
 融資の決定までの事務手続につきましては、平成6年5月に組合代表から旧桃山町を経由して借入予備申請の提出があり、現地調査や組合員ヒアリング等を実施いたしました。
 同年10月に提出されました事業実施計画書に基づき、県での予備診断実施後の同年12月には中小企業基盤整備機構──旧の中小企業総合事業団でございますが──と県との合同で本診断を実施しております。
 その後、当該組合に対しての診断勧告、組合からの回答、変更計画書の提出等の指導手続を中小企業基盤整備機構並びに中小企業庁などと密接な連携のもとに実施し、融資を実行したものでございます。
 なお、貸し付け時には、土地建物等の担保を設定し、組合員の責任の所在を明確化するため、全員が連帯保証人となるなど、債権保全策を図ったところでございます。
 次に、土地・建物の取得についての2番目、3番目の御質問についてでございますが、平成14年度包括外部監査における土地価格の算出につきましては、取得面積に基準地価格の平米単価5万円を掛け合わせ、さらに不動産鑑定評価の1つの手法でございます減価率54%を掛け合わせて取得見込み金額を試算しておりますことから、議員御指摘のように実際の取得価格と大きく乖離したものでございます。
 貸し付けに際しましては、土地売買契約の前に国土利用計画法第23条に基づく土地売買等届け出を行い、平成8年3月1日付の不勧告通知により、平米単価については許容範囲であるとの手続を踏んでおり、平米単価6万2500円は勧告上限の範囲内であると判断いたしました。
 土地の取得面積についてでございますが、事業の必要性から、周辺の3筆を買い足したものとなってございます。
 この事業計画の変更につきましても、変更診断を実施し、中小企業基盤整備機構と協議の上、処理したものでございます。
 また、建物につきましては、基本・実施設計段階から中小企業基盤整備機構の専門家の指導を仰ぎ、効率的な施設設計を進めるとともに、適切な投資額の指導をしてまいりました。当該施設は、最新の衛生管理システム、通称HACCP導入のための管理システムを備え、さらに施設コンセプトとして、豆腐製品製造工程を理解していただくため積極的に見学者を受け入れるための施設を充実させております。
 なお、組合は建築工事契約に際して、見積もり合わせを実施し、価格の適正化を図ったところでございます。(「答弁、手短に願います」と呼ぶ者あり)はい。
 また、貸し付け実行には、現場において、設計書をもとに構造的な検査を県の技術担当課が実施しており、整合性を図ったものと考えてございます。
 次に、4番目の事業計画の精度についてでございますが、先ほどもお答えいたしましたが、組合から提出されました事業実施計画書によれば、当時、既に組合員5社で相当売り上げ実績がありましたが、当高度化事業実施により、さらに毎年10%程度の売り上げ増が計画されておりました。
 中小企業基盤整備機構が中心となって実施いたしました本診断の結果、事業計画の内容は適格であり、目標の達成は可能であるとの報告を受けたところでございます。
 しかしながら、貸し付け後、大手取引先の破綻や競争激化からの値下げ要求等、取引先を取り巻くさまざまな環境の変化により、当初の事業計画を遂行できなくなったものでございます。
 最後でありますが、県と組合との関係についての御質問でございますが、融資の実行に当たりましては、先ほどから申してますように、中小企業基盤整備機構と県とで貸し付け事務手続に基づいて実行しておりますが、議員お話の総勘定元帳の件につきましては、組合役員等関係者の聞き取りを行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再質問を許します。
 42番松坂英樹君。
○松坂英樹君 答弁いただきました。
 時間の関係で、知事に再質問をさせていただきます。
 知事は、最近は逆質問が多いようでして、責任ばっかり問うては職員仕事でけへんというふうなお話ありましたけれども、私はそうじゃないと言ってるんですね。職員に責任とらせるんだったら、この250名の名簿を出して、先ほどの不作為の問題を、サボっていたといって職員処分したのあなたですよ。私は、職員を処分しろと言ってるんじゃない。この責任を、教訓を引き出して、どこに問題があったかというのをきっちり調べるのが県庁のとるべき責任だというふうにお願いをしているわけなんですね。
 経済的困難で、今ほんとに県民皆大変です。税金払えなかったり、国保払えなかったりして苦しんでます。その人たちは、整理回収機構へ送られて、通帳まで取られて、持ってる家まで追い出されて、本当に大変な目に遭ってるんですよ。ところが、こっちは金融債権だから、通帳もさわりにいかないわけでしょう。こんな中では、県民、これ納得できません。
 融資がおかしいんじゃないかと言って問うても、そのときは正しかったが、その後の経済のせいだと言う。もっと突っ込まれると、今度は国の承認も得てるので適正だと言うんですね。これは、いかにも責任逃れです。
 知事は結果責任、きょうおっしゃいましたけれども、私がきょう指摘した融資経過について、ずさんな融資を引き出した相手方にも、その融資決定をした県にも責任ないというふうにお考えなのかということを私は問うてるわけです。
 それから、部長のほうは、15万円のことについては、一度よく調べると言いました。これは今までとは違う答弁でした。でも、あとの全部は今までの延長線上だったというふうに思っております。これではだめだというふうに思うんですね。
 だから、知事に再質問をします。
 私の今回の質問の内容を聞いても、国の審査通ってるので、全く疑問の余地なしだというふうに知事は思ってらっしゃいますか。
 それから、2つ目には、あなた自身がみずから指示して、先ほどの設備のほうはいろいろ調べさせたと言いましたけども、これまでの融資に問題なしという県の説明を聞いて、高度化のほうは、その説明をうのみにして再調査を指示しなかったということなのかと、この2つ、お聞きをしたいというふうに思います。
 以上です。
○副議長(新島 雄君) この際、申し上げます。
 松坂議員の所定の60分を過ぎておりますので、御了解をいただきます。
 以上の再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 問題の案件についてというよりも、債権放棄について、県が責任がないとか、それから全く問題はなかったとか、そんなことを言ってるわけではありません。
 御質問の趣旨あるいは今まで聞かれてきたことは、例えば近代化資金との関係で、言っていることが違うじゃないかと言われたので、それはそんなことはございませんと。近代化資金の点については、それはあくまでも怠業であって、あるいは組織的な怠業があったので、この際、県民に陳謝をいたしますということを言うたわけです。
 今回の件についても、そもそも県が債権管理をして、本来ならば回収していてしかるべきものを、債権放棄のやむを得なきに至ったということについて、いけしゃあしゃあとお出ししているわけではございませんで、私は結果として県民の懐を痛めているということについて大変申しわけなく思っております。
 ただ、先ほど言いました物事の対比からすると、手続上、手続的に例えばこれをとめることができたかとか、あるいは何かの手続を全く怠ってやっていたかとか、そういうことについては、どうもなかったような気がするなというようなことを、今までの説明を聞いた中で私は理解しておりますということを申し上げたわけでございます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 所定の時間が参りました。
 以上で、松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は3月10日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後3時5分散会

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