平成19年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(冨安民浩議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番冨安民浩君。
  〔冨安民浩君、登壇〕(拍手)
○冨安民浩君 中村議長より質問のお許しをいただきました。まことに感無量であります。通告順に従いまして、今議会最終質問者として6項目にわたりまして端的に質問を始めさしていただきます。
 昨年末の前知事にまつわる不祥事に伴う突然の引責辞任によるいわゆる出直し知事選挙において、県民の厳粛なる審判の結果、仁坂新知事が誕生いたしました。仁坂知事が取り組むべき最初の課題は、前知事の不祥事により失墜した県民の県政への信頼回復に向けての取り組みでありました。県政は県民のために存在し、また機能すべきであり、県民との信頼関係なくして健全なる県政推進はかないませんし、また、その効果は十分発揮できません。まさに「信なくば立たず」であります。
 知事就任直後の果敢なる制度改革に向けての真摯なさまざまな取り組みや知事自身の人柄が県民の理解とするところとなり、最初の大きな知事としての課題である責務は果たされたやに思われますが、昨今の急変する社会経済情勢がもたらすさまざまな県内の地域問題、そうした問題への解決期待、要望が大きく膨らみつつあります。
 仁坂知事は、長年、現在の経済産業省、元の通商産業省の官房の筆頭3課長の一角をも務められ、まさに幹部役人として我が国の経済産業振興やエネルギー問題等々に尽力されてこられました。しかしながら、その任は、大分や浜松にその成功例が見られるテクノポリス構想や、あるいは工業再配置等々の地域振興を見据えての取り組みもあったと思いますが、あくまでもオールジャパンとしての経済産業振興に向けての取り組みだったと思います。
 今、和歌山県知事に就任して丸1年を迎えようとしております。退官前にブルネイ大使として日本外交にも寄与されたと思われますが、あくまでも経済産業を見据えたオールジャパンの経済産業に限定された分野を長年背負ってこられたと思います。一県の知事として本当に間口の広い、奥行きの深い、本当に広範な任を背負った立場とはかなり違ったと思います。
 県民は、知事、あなたが長年培った人脈や体験、あるいは経験を駆使して本県振興に向け大いに御奮闘願えるものと期待をいたしております。1年間の知事としての地方自治の最高責任者の県政を担当した体験を踏まえて、今後3年間、県政推進に向けての決意のほどをお尋ねいたすものであります。
 次に、昨今とみに拡大しつつあるさまざまな格差問題の中で、地方政治に参画する立場で、その是正が地方の健全なる歩みにつながり、ひいては都市部を含めての日本国民の安心と国家の安泰に結びつくと信じて疑わない都市部と地方との財政力を縮めるための極度の税財源偏在是正に向けての見解と取り組みについて知事にお尋ねをいたします。
 戦後、我が国は、国土の均衡ある発展を国づくりの大きな基本方針として、地方財政については、その運営に支障なきよう、制度に基づく補助金とは別に国は特別会計制度を設け、地方に財源配分、すなわち交付税配分措置を続けてまいりました。その制度は、国家のためにも有効に作用し、国土の有効活用も図られ、それぞれの地域の人々の頑張りの中で国づくりが推進され、今日、個人金融資産が1500兆円をも数える世界第2位の経済大国の地位を占めるに至っています。制度がその設置目的どおりに機能した結果であろうとも思います。
 しかしながら、バブル崩壊後の長年にわたる景気低迷による税収不足下の予算編成時における赤字国債発行の増発や、それまでの累積赤字をふやさないためのいわゆるプライマリーバランスの確立論議の中で、大幅な歳出削減策や国、地方における行財政改革指針が示されました。国家財政健全化を見据えた行財政改革を初めとする諸取り組みは時代要請でありますし、さらなる大幅赤字国債の発行は我が国の信用力低下を招き、国の経済の底割れをも招きかねず、許されません。ただ、国の財政健全化に向けての取り組みが、地方へのしわ寄せが過ぎないかという点であります。
 国の財政健全化のため、税源移譲、交付金削減、補助金カット、いわゆる三位一体改革が2004年から3年間で始められましたが、地方交付税の総額はおおむね5兆1000億円削減され、本県においては、税源移譲分を差し引いても、おおむね340億円強の歳入減になっております。類似県も、しかりであります。まさに都市型重視の地方にしわ寄せした地方いじめにつながる改革であり、この是正は絶対図らねばならない、そうしたことを訴えねばならないと思います。
 目下進められておる地方における行財政改革には、そのスピードや内容にも限度や限界があり、財源不足がどうしても生じがちになります。その財源不足を補充するためには、全法人2税の4分の1も偏在する東京の理解が肝要でありますし、東京にはそれを認めねばならぬ今日までのさまざまな経緯があると私は思います。
 そもそも今日の東京は、どうした形態をもって形成されたのかであります。戦後、我が国の歩みを考えるとき、敗戦の廃墟からの復興の過程で、東京の食糧問題に対し、都市の復興を早めることが日本の復興につながり、また経済の進展にもつながるという国民的コンセンサスの中で、統制経済とも言える国の政策誘導の食管制度にも地方は従い、東京に計画安定的に安価で米を中心とした農産物を初めとする食糧を提供し続けてまいりました。
 先般の安倍前総理の突然の辞任に伴い、いわゆる自民党総裁予備選挙におきまして、現福田総理と戦った前麻生太郎外務大臣は、その予備選挙の遊説の福井で、まさに日本農政を守りから攻めへと訴える中で、中国では日本の米を富裕層は1俵8万円で買って食べておるというお話がございました。私は、米生産農家はどうした思いでこれを聞いたんだろうという思いをしたと同時に、この米の──今、過剰でありますが、もし万が一、地方の米生産体制が崩れて輸入に頼るというようなことになれば、日本は8万円の米を買わなきゃいけないんじゃないかなあというようなことを裏返しに思ったわけでありまして、やはり地方が安定的にすべての分野でその運営が続けられる体制が、ひいてはやっぱり日本国民のいわゆる食糧問題を初めとする安全保障につながるんだなという思いもしたわけであります。
 さらにまた、戦後復興途上、加工貿易国家として我が国の主たる貿易相手国はアメリカでありました。それゆえ、効率の観点からも、東京を中心とする太平洋ベルト地帯を最優先して長期間にわたりさまざまなインフラ整備を行ってきましたし、効率のよい経済活動に不可欠な治安維持安定に向けても警察力増強整備も行われてまいりました。国税が優先的に大量投入されてまいりましたし、もし財源不足の場合は、公団、公社を使い、いわゆる財政投融資資金を投入し、整備が進められてきたのであります。財投資金の原資は、申し上げるまでもなく郵便貯金であり、利払いは受けているとはいえ、地方の郵便貯金資金が大量投入されたのは紛れもない事実であります。
 国民のコンセンサス下における国の政策や地方の個人資産、資金の投入のもとで今日の東京の繁栄の礎が構築されたのは確かであり、グローバル化等の進展の中で本社機能が自動的に東京に集中して繁栄する、その結果、生み出される豊富な果実、すなわち税財源は、財源不足がちな地方に配分されてしかるべきであると考えるものであります。
 以上、東京に偏在する法人2税の税財源を財源不足の地方に配分すべきとする私見を申し述べてまいりました。もちろん東京には、日本の政治経済の中心都市として、また世界の東京としての特殊事情がもたらす特殊財政事情も認めるわけではありますが、本当に極度に東京に偏在する法人2税は、国のためにもその是正を図るべきであります。知事の見解とその取り組みについてお尋ねをいたします。
 地方財源を語る中で、私はこのこともひとつ一考を要するんじゃないかということで申し述べたいと思います。
 それは、雇用対策と税財源創出対策として、今まさに地方は企業誘致──まさに競り市的構想で企業誘致競争が盛んであります。三重県における大型液晶メーカー200億。大阪府の650億円の巨費をかけて大企業群を誘致する。果たしていいんだろうか。例えば、和歌山県だけがこの制度を利用してやるんであれば効果があると思いますが、大企業の企業立地の一番要素になるのは何かと考えれば、私はもう、企業はこの制度があれば恩典にあずかるのは当然であると思いますから、有利にこの制度を利用するように、競り市的に、こっちとこっちと候補にかけて、どっちがお金をたくさん出すか、まさにそういう構図が私はできておるんじゃないかという懸念をいたすわけであります。
 私は、知事会等でこういう制度はもう廃止しようという訴えがあってしかるべきでありますし、そしてさらにまた国に対しては、小泉内閣において廃止されました都市部やあるいは近畿圏の中心部に工業、工場等を建設しないことを制限しておりました工業、工場等の制限法をまた改めて続けてもらうとか、やる方法はいろいろあると思うんです。ぜひそうしたことも一考を要すということを、答弁は求めませんが、申し述べておきます。
 次に、公共調達制度についてお尋ねをいたします。
 正当なる競争の中で仕事を受注して、それが労働の対価として、技術力の対価として競争の中でいささかなりとも利益が出る制度であるべきだ、そんな観点からお尋ねをいたします。
 仁坂知事は、知事としての当然の責務として、公共工事発注に伴う不祥事により県行政に対する県民の信頼が著しく失墜したことを受け、県民の信頼を取り戻すべく公共調達のあるべき制度構築を目指し、就任直後の本年1月、有識者6名から構成される県公共調達検討委員会を立ち上げられました。
 委員会は、設立目的を果たすべく9回にわたって開催され、さまざまな観点から検証、議論が展開され、5月10日に検討報告書が提出されました。報告書は広範にわたっておりますが、煮詰めるところ、当然のこととはいえ、談合の徹底排除、不良不適格業者の排除であります。
 県民生活の基盤となる社会資本の整備を目的とする公共工事が、雇用を含め地域社会に果たしてきた役割を認め、なおかつ今後の期待も込め、工事代金は工事の品質の安全性の確保が担保されるバランスのとれた工事代金のあり方が指摘されており、かつ地域にとっても最大の利益につながるさまざまな配慮を要すべき必要性も盛り込まれています。
 こうした提言に沿って公共調達制度設計がなされるべきであり、ややもすれば、安ければ安いほうがよいという風潮が事件発生以来広がっておりますが、将来に向かって間違いのないあるべき制度構築を築くべきであると思います。
 本県では、県土整備部発注工事において年々落札率が低下傾向にあり、平成16年度平均落札率91.4%、17年度は90.8%、18年度89.0%となっており、これは条件つき一般競争入札の範囲の拡大、指名業者等の拡大等、県が行ってきた入札制度改革の効果とも考えられます。
 しかし一方で、公共投資が減少する中で建設業界においては供給過剰構造が存在し、競争が激化する中で、採算性を度外視した低価格入札による熾烈な競争が行われております。
 最近、指名競争入札において多くの業者が最低制限価格と同じ価格で入札し、くじにより落札者が決定する事例や、条件つき一般競争入札において低入札調査基準価格を下回る入札が行われる事例が目立ってきていると聞いております。
 このように、採算性を度外視した低価格入札が横行すると、建設業者が地域の雇用を含めた地域経済に果たしてきた役割を果たすこともかないませんし、下請業者が泣かされたり、粗雑工事が行われることにより工事の品質が確保できなくなります。このような状況では健全な建設業界の発展は望めないと思いますし、提言の指針に反すると思います。
 本年6月に発表された公共調達制度改革では、建設業者を適正に評価し、来年6月から条件つき一般競争入札を全面導入することとされておりますが、条件つき一般競争入札を導入することにより、さらにそのような状況がふえることが懸念されます。私は、このように競争激化による地域経済の混乱を招くおそれのある採算性を度外視した低価格入札に対して歯どめをかけるための何らかの制度が、対策が必要と考えます。
 そこで、県土整備部長にお尋ねをいたします。
 このように、採算を度外視した入札に対しどのような対策を考えておられるのか、答弁を求めます。
 次に監察査察制度について、その存在は是としつつも、その運用については一考をという立場で知事の見解をお尋ねいたします。
 県組織は、その基盤は税財源であり、その存在目的は、県民の安全・安心の創造を初めとする県民の幸福に寄与すべきために県民の合意のもと存在する組織体であります。申し上げるまでもございません。組織を構成する県職員が、コンプライアンス(遵守)に努め、業務、任務の遂行に精励すべきも当然であります。
 昨年末の忌まわしい不祥事により、失われた県民の県政への信頼回復に向けて県職員の規律を高めるべく設置された監察査察制度については是とするところでありますが、今日までの運用状況の報告を受けるとき、職員の個性を画一化させないか、また意欲を減退させはしないかという懸念が生じます。組織は、一定のレンジ内のさまざまな個性とすぐれた能力の結合体が一番よく機能すると言われております。職員が公務員としてそのあるべき姿を求めてチェックし合うのも肝要でありますが、信なくば、まさになせずでもあります。
 今日までの運用状況に照らし合わせ、その制度は是としつつも、不正行為等通報制度について、匿名による通報を受け付けるような運用形態については、その一考をという立場で知事の見解をお尋ねいたします。
 次に、野生鳥獣被害対策についてお尋ねをいたします。
 イノシシ、シカ、猿、タヌキ、アライグマ、カワウ、ヒヨドリ等々、まるでミニ動物園並みであります。こうした多種なる野生鳥獣が県内各地に生息、はんらんし、農林水産業者に多大な被害を及ぼし、時としては生命権をも奪われかねないほどの事態であります。被害農家や被害地域の強い要請を受け、こうした事態改善に向け国の補助制度の活用や県単制度を設け、ここ10年で20項目余の対策を県において講じられてまいりましたし、新年度から野生鳥獣被害対策の主管を農林水産部に移管されるとのこと。被害の観点からのそのきめ細かい取り組みに向けての県の姿勢がうかがい取れ、御精励ぶりを評価するところであります。
 そこで、担当部長にお尋ねをいたします。今年度から実施される運びとなりましたいわゆる鳥獣被害対策支援事業に、そのさらなる中身の厚み、いわゆる補助率のかさ上げをという観点からお願い申し上げたいと思います。
 御承知のとおり、中山間における農業経営は、効率性はもとより、本当に高齢化が伴い、大変な状況であります。そうした中で、防衛の観点から、いわゆるわな猟免許を取得せざるを得ないというような状況に陥っておるわけであります。いわゆる防衛で、まさに防衛一筋であります。そうしたものに対して、県では、ことしから市町村と連携してこの取得経費の2分の1を援助していただくことになっておりますが、さらなる上積みと、そして免許更新時におきましても、ちょっとその支援をできないもんだろうか、せめても過疎法の適用区域ぐらいはそうできないものだろうかということをお願いして、質問にいたしたいと思います。
 最後に、道路財源確保に向けての県における暫定税率維持に対する取り組みについてであります。
 国の10年間を見据えた道路中期計画が発表されました。知事が高速道路はナショナルミニマムだと言われておりますが、そのナショナルミニマムとも言うべき本県の一周する高速道路整備がようやくそこに盛り込まれたわけであります。まさに今日までの長きにわたる多くの皆様方の支援のたまものでもありますし、二階先生を初めとする県選出の国会議員の先生方の頑張りに、心から感謝を申し上げる次第であります。
 こうした高速道路の必要性はもとより、本当に地方道にあっては生活・産業道路でもありますし、山村地域におきましては道路はまさに地域存在の命綱でもあります。もう道路整備に向けての必要性というのは、県内それぞれの地域で悲痛な叫びがあります。
 しかし、要は財源であります。そうした財源を何とか確保しよう、確保してほしいということで、県議会ではたびたびその財源確保を求める意見書を採択し続けてまいりました。9月議会におきましては、この暫定税率の維持、続行も視野に入れた中でのこの意見書を、私は採択されたと思います。まさに道路財源の確保は、党、会派を乗り越えての県民党の立場でお互い議会が取り組むべき問題であると思います。
 地方の声を受けて政府・与党は、衆議院の再議決も視野に入れた決意を固めていただいております。しかしながら、油の急騰、さらにマスコミ等による、地方の道路はもう無駄だとか必要ないという報道がどんどん──これから特措法の問題が解決すると、これがテレビ番組でどんどん流れてきて、我々にとってはもうアゲンストな流れになってくると思います。ぜひ、手をこまねいておることなく、この3月末に向けまして、県は一体となって、議会とも一体となって、引き続いて間髪を入れずに継続的な行動を必要とすると思いますが、県の取り組み、知事の考え方をもう一度確認する意味でお尋ねを申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの冨安民浩君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 第1に、知事としての県政に向ける決意ということでございますが、30数年ぶりの故郷は、相対的に経済発展から取り残され、人の心も少し沈んでいたという感が否めないスタートでございました。ただ、次第に本県の持つポテンシャルの奥深さを再発見する日々となっていきました。そのポテンシャルとは、全国に誇れる農水産物であり、観光資源であり、歴史・文化、さらには世界に通用するすぐれた技術、そして、こうしたものに裏打ちされた人々の豊かな心であります。しかしながら、豊富な産物や人材も十分生かされていなかったり、そのよさに気づいていないケースも見受けられました。また、御指摘のように、県政は経済に限らず大変幅広いものがあります。福祉や教育の面で現状に心を痛めたり、何とかしようと我が身を励ましたところもございます。
 こうした潜在的にすぐれた素材をできる限り伸ばし、効果を上げる方策を、また各界の意見を十分聞きながら、制度疲労はないか、住民の視線やニーズに的確であるかどうかなどを検証しながら改善すべき打開策を、私のこれまでの経験、知識、人脈を総動員して打てる手は打ち、まける種はまいてきた、そうした1年であったと自分では思います。余りにも多くの項目に手をつけておりますので、県庁の諸君もついてくるのが大変であったと思いますけれども、よくついてきてくれるというふうに考えております。
 私がこの1年間に手がけたラインナップは、年度末には出そろう予定でございます。まいた種をしっかり育て、一歩一歩実現していくのがこれからであります。半年や1年で育つ種もありますれば、医師確保のように8年後になる場合もあります。常に新しい種を見つけてはまき続けていくつもりですし、まけなくなれば去るべきだと決めております。
 新政策の重点分野に掲げている6分野20項目がこれからの具体的な課題であります。これらの制度化や実現化に粘り強く努力してまいりますが、県民皆様の営みや御尽力により成果が発揮されるものも数多くあり、何よりも関係の方々と対話を重ね、一緒に実現してまいりたいと念願しているところでございます。
 県民の皆さんには、こうした重点を盛り込んだ新長期総合計画で10年後の和歌山の姿をしっかりお示しをし、夢と希望が持てるような、また生きる上で何らかの指針になれるような、そういう内容にしたいと考えております。
 この長計をもとに、本県の持てる底力を最大限に発揮できるよう邁進してまいる決意でございます。議員各位におかれましては、これからも御助言、御協力、よろしくお願い申し上げます。
 次に、極度な税財源偏在についての見解及びこれへの取り組みということでございます。
 税財源の偏在について、特に冨安議員がおっしゃったように東京の一極集中の様相とその背景についての御見解につきましては、私も全く同感であります。とりわけ、例えば戦後、中央官庁がやってきたことといいますと、どうも東京に資源を集中した。これは、戦前と比べると、かなり違いが見られます。私もその一員ではありましたけれども、自分自身が地域開発に携わってきた少しの経験のときには、できるだけ、今のような流れにさお差して地域経済が発展できるようにと努力してきたつもりであります。
 こういうような税財源の偏在についてはさまざまな要因があるとは思いますけれども、現在の地域間の経済力格差が生じ、その結果として税財源の偏在が生じているということだと思っております。さらに、近年の大都市圏を中心とした景気回復に伴う法人2税等の増収が地域間の税収格差を顕在化させる一方で、財政力格差を調整する上でその機能をずっと果たしてきた、果たすべき地方交付税が大幅に削減されたことにより、都市と地方の格差が一層拡大したというふうに考えております。このようなことから、地方税の中で最も偏在度の高い法人2税の偏在是正は避けて通れないという状況になっていると思っております。
 現在、法人事業税のうちの何割かを地方間の調整財源とする方向で議論が進められているというふうに理解しておりますけれども、私としては、本県を初めとした地方団体が必要な住民サービスすら支障を来す可能性があるほど困窮している状況を十分御理解いただいた上で、国においてしっかりと議論をしていただき、本県のような地方圏の地方団体の歳入総額が実質的にふえるような制度をぜひ構築していただきたいと、そんなふうに願っているところでございます。
 また、中長期的に持続可能な財政運営ができ、地域住民に果たすべき役割と責任に見合った地方固有の財源を安定的に確保できるということが大事でありますから、やはり偏在の少ない地方税体系を構築していかなけりゃいけないということも、また事実であるというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、本県の財源が今まで以上に何とか総額としてふえるよう、議員各位の御協力を得ながら国に対して引き続き要望してまいりたいと思っております。
 次に、不正行為等通報制度についてでございます。
 これについては、県政史上未曾有の不祥事が行われまして、失われた県政の信頼を取り戻し、本県の名誉と県民の誇りを回復するため、再発防止策の1つとして4月1日からスタートさした制度でございます。
 冨安議員から、県庁職員の画一化、個性を減退させないかというお話がございました。このことが事実であるとすれば、県庁の力をそぐわけでございますので、大変な問題でございます。御懸念は大変ごもっともでございますけれども、私は、現にそこに疑いがあるというときに、みずから疑いを晴らすという努力をしながらやっていくと。それによって県民に信頼され、県民にサポートされて、それによって信任を得て頑張るんだということが、私は大事ではないかと思っているんです。
 したがって、これだけの制度をつくっておけば、もうもはやだれが登場してもそんなことはあり得ない。そういうことをわかっていただければ、この上で、何も個性を画一化するようなことに目的があるわけではありませんので、みんながそれによって県民の方々と積極的につき合って、それで頑張っていこうと、そんなふうに実は職員に申しているところでございまして、今後の運用をぜひ御期待いただきたいと、そんなふうに思っております。
 次に、匿名による通報でございます。
 これにつきましては、この制度自身が、県の業務等における不正行為の事実について通報があった場合、監察査察監が調査の必要性を十分検討した上で、通報者を初め関係者の秘密保持等に配慮しながら処理するものであるわけでありますので、もとよりそういうことが制度的にちゃんとビルトインされておりますから、堂々と名前を名乗って、それで文句があったら言うというのが男らしいあるいは女らしいやり方ではないかと私は思っております。
 したがって、それについて、例えば匿名による通報を、そう重んじるものではありませんが、しかしながら、それはだめよというところまで、またかたく考えなくてもいいかなというぐらいの感じで考えております。
 匿名によってもたらされた情報は、そのまま発表したり、不名誉になるような形でだれかの、真実をねじ曲げて不名誉になるような形でこれを明るみに出すというようなことは絶対にしてはいけないというふうにも思っておりますので、実はああいう制度をつくったわけでございます。それを外に出すんではなくて、すぐ発表するんではなくて、ちゃんと調べてもらってから真実を見きわめていくということをやっていくというのが監察査察制度の真髄でございます。
 したがって、堂々と議論してくださいということを申し上げながら、今後とも御懸念の形にならないように配慮しながら、私も、それから監察査察監にも申しまして運用をやっていきたいと、こんなふうに思っております。
 続きまして、道路財源について、特に暫定税率についてでございます。
 これについては、今後の地方における道路整備が立ち行かなくなるだけではなくて、県、市町村の財政に重大な影響を与えかねない死活的な問題であるということは、この議会でも何度も申し上げたとおりであります。12月7日の道路特定財源の見直しについての政府・与党合意では、ようやく私どもの意見が入れられて暫定税率等の維持が決定されましたが、現在の国会の状況を見る限り、なかなか予断ができないような気もいたします。
 ガソリン代が下がるからいいじゃないか、こういうことによって何百円、何千円、例えば月に下がると。しかし、その人の一生を考えると、その人の将来がどんどん可能性が狭められる、それからその子孫が働けなくなっていく、そういうふうな状況に追い込むことは、私はいけないと思っております。
 また、暫定税率を廃止しても必要な道路はつくるからいいじゃないかというふうにおっしゃる向きもありますけれども、ならば、その財源はどうするんであろうか。同じぐらいの道路をつくるということであれば、そういう期待を持たせるのであれば、その財源はどうするんだろうか。消費税でも上げようと言うのか。そんなことをだれもおっしゃらないで皆さんは議論されるわけであります。そこまで保障していただかないと、地方の気持ちの優しい方を欺くことになるのではないかな。そんなふうに思います。
 こういう背景のもと、県の取り組みといたしましては、11月14日の政府主催の全国知事会や、本県と大分県が中心となって、高速道路がまだつながっていない13県合同の要望活動などを行ってまいりました。さらに、11月22日の自由民主党の政務調査会道路特定財源見直しに関するプロジェクトチームの会合など、これまでもお呼びがかかったり、機会のあるごとに与野党を問わず暫定税率の維持と地方道路整備臨時交付金制度の維持・拡充を訴えてきたところであります。また、県内市町村においても、11月6日には市長会、町村会が合同で要望活動を行っていただきまして、11月29日の道路整備の促進を求める全国大会においては、県内全市町村長が暫定税率の延長等に関する要望書に署名を行うなど、一丸となった取り組みを展開しているところでございます。
 暫定税率等の維持については、本県にとっては本当に死活問題であるにもかかわらず、新聞などのマスコミの論調では、いまだ国民全体に理解を得ている状況とは言えず、引き続き広く県民、国民に訴えてまいりたいと思っております。
 さらに、年度内に関係法案が成立するよう、県内での決起大会の開催や、あるいは国、関係機関への要望活動を通じ、与野党を問わず国政に携わるすべての方々の御理解が得られるよう、今後も県、市町村一丸となって取り組んでいきたいと考えておりますので、議員各位の御理解と御協力をお願いしたいと思います。
 中央における政争は別といたしまして、県内においては、国政における与野党の支持状況はともかくといたしまして、県民を長い目で見て、欺くような、地方を見捨てるような考え方にはぜひ異論を唱えていただきますよう、皆さんにお願いを申し上げたいと思っております。
○議長(中村裕一君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 低価格入札への対応についてでございますが、従来から、応札時に低入札価格調査実施要領等に基づきまして調査を行うとともに、工事の品質確保を図るために重点監督の実施や施工体制についての立入調査の強化を行っているところですが、今回の新しい入札制度改革の中で、ダンピング対策として、最低制限価格及び低入札調査基準価格を事後に公表することとして、単純なくじによる落札者の決定を防止して受注者の積算能力の向上をも図ることといたしております。
 あわせまして、価格と品質、技術を含めました総合的な評価による落札者を決定する総合評価落札方式につきましても、積極的に導入していくこととしております。さらに、粗雑工事や安全対策の欠如による事故などを起こした場合には厳しい評価をするなど、不適切な行為に対する措置を導入したところでございます。こうしたさまざまな取り組みを、公共工事の適正な実施に努めてまいりたいと考えております。
 今後とも皆様の御意見をちょうだいしながら、さらにすぐれた公共調達制度の構築に取り組んでまいりたいと思います。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 有害鳥獣対策についての御質問にお答えを申し上げます。
 増大する農林水産業への鳥獣被害に対しまして、県といたしましても、これまでさまざまな対策を実施してまいりました。特に今年度は、自民党県議団有害鳥獣対策プロジェクトチームからの御提言、あるいは県民の皆様からの御要望のありましたイノシシの狩猟期間の延長、あるいはくくりわなの規制解除につきましては、先般実施をいたしたところでございます。
 現在、イノシシと同様、その被害が増加をしておりますシカの生息調査を行っておりまして、今後、皆様方の御意見を伺いながら、シカの狩猟期間の延長についても検討してまいりたいと考えております。
 議員のお話にもございましたが、自分の田畑は自分で守るという考えから狩猟免許の取得を推奨いたしまして、狩猟者をふやすことにより農林水産業被害の防止につなげたいと考えております。
 このような観点から、今年度から、自己防衛のためのわな猟免許を取得する農家に対しまして新たに補助制度を行っておりますが、議員御提言の趣旨を踏まえまして、さらなる支援策がどのような方法で可能であるのか、現在国において議論されております特別措置法の動向も見据えながら検討してまいりたいと考えております。今日における鳥獣被害の深刻さをしっかりと受けとめまして、その対策の推進により一層取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 以上で、冨安民浩君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
 ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 次に日程第4、請願付託の件について報告いたします。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、御了承願います。
 お諮りいたします。12月14日及び17日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 御異議なしと認めます。よって、12月14日及び17日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、12月18日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時51分散会

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