平成19年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(玉置公良議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午前10時1分開議
○議長(中村裕一君) これより本日の会議を開きます。
日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
過日提出のあった議案第154号から議案第159号まで、議案第162号、議案第163号及び議案第166号は、いずれも職員に関する条例でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
日程第1、議案第153号から議案第177号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
38番玉置公良君。
〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 皆さん、おはようございます。最終日の4日目の一般質問でございますけども、どうかよろしくお願いいたしたいと思います。
まず、質問に入る前に、去る6月議会で提案をさせていただきました、土が地球を救うと質問をさせていただきました。早速、県の農林水産部、とりわけ農業試験場の方々が土壌モノリス、土壌の断面の標本をつくっていただきました。そして、11月の10日にそのお披露目が農業試験場でありましたけども、行かしていただきました。この素早い行政の対応に対しまして、厚くお礼を申し上げたいと思います。それとともに、できればやっぱり県民に幅広くこれを普及していただきたいと思います。
さらに、11月の15日でございましたけども、「日本農業新聞」のトップ記事で、国が土をCO2の吸収源として位置づけをしていくと、この検討を始めていくということが載っておりました。これも私が提案をさしてもらいましたけども、こういったことが急速に展開をしてまいりました。県としても、どうか積極的な取り組みをお願いしておきたいと思います。
それでは、早速通告に従って一般質問を行います。
その第1番目の質問として、中国山東省との環境協定の具体化と新しい日中時代へについて質問をしてまいります。一昨日、山本議員からも報告がありましたので、重複を避けて申し上げたいと思います。
和歌山県が中国山東省と環境協定を結ぶために、11月19日から21日の3日間、山東省を訪問するということを聞き、環境協定、これはすばらしいことだと心を打たれ、急遽この訪中団に手を上げ、参加をいたしました。大変きつい日程でしたが、中身の濃い、意義のある訪問でありました。知事を初め随行していただきました県職員関係者、また議長を初め同僚議員の皆様にお礼を申し上げたいと思います。
山東省の青島空港におり立つと、パトカーの先導という大変な歓迎をしてくれ、私どもはマイクロバスに乗せていただき、中国では制限速度が110キロということで、道路を100キロメートルを超える猛スピードで走り、青島から済南市まで、途中で視察もありましたが、約400キロメートルを横断したのには少々疲れました。
その車窓から見た私の感想ですが、道端では自転車、バイクの後にリヤカーや子供を抱いた親が横断しようとするその光景を見て、驚きとともに、これからの交通災害も心配になりました。古い住宅を壊し、高層住宅建設ラッシュであり、近代化との格差が大きく、日本の高度経済成長の時代であった1970年代のようでありました。青空が全く見えない、木々が少なく乾燥しているので、至るところ、砂ぼこりや砂で覆われていました。ほとんどの田畑は地下水を利用しており、化学肥料等でかなり汚染が進んでいるのではないかと心配をされました。また、和歌山県との友好提携25周年である2009年に向けて、トップの新しい和歌山との友好提携の息吹を感じました。
今回、私にとって一番収穫のあった環境対策国際協力セミナーに参加した中で、和歌山の企業の皆様方の環境技術のすばらしさを感じ、例えば、公害問題を解決する技術開発からシステム開発までの対応や、農業関連の環境問題、特に肥料由来の硝酸性窒素問題は中国では重要な課題ですが、大抵の水処理技術は対応可能だと思いました。また、中国山東省の環境問題に対する真剣な取り組み姿勢というものを肌で感じたところであります。
山東省は、10年後には必ず中国一の環境産業市場になる目標を掲げていること、そのため、中国政府が打ち出している環境基準より3倍から5倍も厳しくして、企業が山東省へ来る場合は政府基準クリアだけでは入れない仕組みをつくり、循環型エコ山東省を目指しているということでありました。トップのあいさつの節々に、環境先進省、地球的なレベルで物事を考えていこうとする姿勢が見えました。
私は、和歌山に帰ってきてから、文化国際課の協力を得て、山東省の和歌山県に対する要望というのをさらに取材をいたしました。山東省が和歌山に求めていることは、大きく言って3点ありました。
1点目は、人材の育成であります。環境保護局などの環境にかかわる管理機関の専門的な人材が不足になっていること、国際協力と交流を通じて、セミナー、研修などの形で環境法律、法令の制定、環境管理の体制と方法などをよくわかる人材を育成していきたいと考えていることであります。
2点目は、技術の指導と導入であります。水、空気、土壌、工場などの測定浄化技術の指導をいただきたい。必要であれば、設備も含めて技術の導入を考えていること。
3点目は、企業間の協力であります。環境技術、リサイクルなどの企業の間で協働協力、設備投資、合弁などの形でビジネスのつながりを促進していきたい。
以上の3点であります。そして、来年の1月に早速和歌山へ環境技術の視察に来たいと言ってきています。
そこで、知事にお伺いをしたいと思います。
環境とは、国境を越えていや応なしにお互い被害を受けます。中国の山東省対策だけではなくて、日本を含めた対策なのであります。今までの対中政策と違う新しいスタートだと思います。中国に対する日本のODAの一部が来年最後になり、形を変えたものが検討されていく中で、これからは環境技術や人材育成などの支援が重要視をされてくると思います。
中国から感謝をされ、和歌山の新しい技術が生まれ、新しく和歌山が生まれ変わるチャンスでもあると思いますが、今回結ばれた環境協定に基づく具体的な交流を実のあるものにするためにも、今回訪問していただきました和歌山大学や環境企業を中心とした皆様に参加をしていただき、国際的、地球的な環境問題に対応できる産学官の組織を立ち上げることが必要だと思いますが、いかがでしょうか。知事にお伺いします。
もう1点は、白浜空港の跡地を利用して、県下にあるフィールドや研究所、大学、産学官などのネットワークの拠点基地というものをつくってはどうかという提案であります。
私は、環境対策国際協力セミナーのあいさつの中で、「1200年前、空海が中国に学んだ。今度は、中国に新しい日本の技術を学んでもらう空海の恩返しの現代版として、シンボリックな新しいつき合い方として交流を進めたいと思います。今、日本がアジア、世界に貢献できるものは何かといえば、武器を持つことではなく、地球温暖化防止や環境技術に貢献することであります。中国を中心としたアジアの地球環境や温暖化防止のため、日本の最高の技術水準の環境機器や技術を学ぶ国連環境大学的なものを、日中政府を巻き込み、山東省と和歌山県が連携をして、例えば地球環境のシンボルである世界遺産地の白浜空港跡地にその中心基地をつくったらどうでしょうか。関係者の御意見も聞きながら知事に提言をしていきたい」と、そのように申し上げてきました。
また、このことによって、白浜、関空、アジアの往来が激しくなります。その中で、関空から白浜空港のコミューター導入や白浜空港へのチャーター便の増便なども考えられます。従来のようなただ単なる観光客ではなく、個人の意識の変化によって、中国の訪日の客層が変わってくる。つまり、観光客ではなくて環境客──私なりに「環境客」と言ってるんですが──どんどんふえてくると思いますが、いかがでしょうか。知事にお伺いいたします。
最後に、新しい日中関係をつくる意義のある訪問でありました。それを、より中身のあるものにすることが大事だと思いました。中国は環境問題と経済格差をなくすことに大きな力を注いでいる中で、山東省は中国一の環境産業市場になる目標を持ち、環境問題に取り組もうとしている。環境協定については、アジアのモデルになるチャンスであると私は思います。
時を同じくして、11月の21日、福田総理が東アジアサミットでアジアにおける日本の環境問題貢献に取り組むことが打ち出されましたが、日中の真剣な地方での国際環境貢献の1番目に出てくるのは、和歌山県と山東省との取り組みだと思います。したがって、県と山東省での単なる環境協定ではなく、アジアや日本全国から注目をされ、モデルとなる具体的な政策をつくるチャンスでもあると思いますが、知事の御見解を伺いたいと思います。
続いて、海の環境保全についてであります。
1点目は、白浜海岸の環境問題についてであります。
白良浜は、夏のシーズンだけでも60万人を超す人が訪れる、県を代表する海水浴場であります。夏だけでなく、四季を通じて白砂の浜を舞台としたイベントが開かれる名勝地としても知られています。つまり、和歌山の宝であります。
ところが、ここ数年、浜の中央部にだけ高波が立つようになったほか、昨年の秋には貝殻まじりの砂利が打ち上がり、近くの住民の方々から、これまでになかった現象だと指摘されています。
さらに、ことしの夏になって、浜の北側や南側の波打ち際付近の海底で砂が黒ずんでいるのが見つかりました。黒ずんだ砂は台風の襲来で一時的になくなったのですが、その後、また見られるようになったことが住民有志と県の情報交換で確認をされています。砂の黒ずみ問題については、県が6月に調査をし、サメよけネットに付着した海藻による影響も要因の1つに挙げています。
そこで、皆さん方にもお配りをしていますけども、これが住民の方々が撮られた白良浜の波打ち際のちょっと黒い砂です。(写真を示す)これが、ちょっとぼけていますけども、海底の黒い砂であります。
県が白良浜に建設中の海の中に設置する堤防との関連や、白良浜へ流れ込む生活雑排水による影響も含めた調査なども必要になってきています。そこで、県も積極的に協力をし、原因究明とその対策に取り組んでいただいているところでございますが、まず19年度は県と町が一緒になって取り組みをしていただくことになっています。こうした調査は、専門家から言えば数年かかると言われています。
きょうここに、この和歌山の宝を守るため地元白浜で地道に環境を守る取り組みを続けておられる皆様もお見えでございます。一度、知事に白良浜に足を運んでいただき、こうした方々との意見交換や現地調査をしていただくことを知事に要望しておきたいと思います。
また、来年度以降も継続した調査をしていただきたいと思いますが、県土整備部長の御見解をお伺いしたいと思います。
もう1点は、公共事業に係る事前の環境調査についてお伺いします。具体的には、白浜町が実施主体となり、早急に国へ事業再開に向けて申請をしようとしている湯崎漁港整備事業と温泉との関連についてであります。
この事業については、整備計画どおり海底の岩礁を掘削すると温泉への影響が起きることも考えられ、地元住民や温泉会社が大変心配をし、事業計画段階で温泉への影響を考えたかなど、町の既存温泉に対する認識度合いを質問し、温泉に影響を及ぼさないよう海岸や海底調査などを求める要望書が白浜町及び町議会に出されています。この地域は、重要な第1種指定地域として県の温泉保護地域の指定を受けています。ここに要望書の写しがありますが、結びに「万一、これらの心配が的中すれば、単に温泉関係者への影響だけではなく、温泉を観光の中核として発達してきた白浜町の基本をも揺るがす大問題であることは論をまちません」と訴えています。
私も現地に行き、地元関係者の方々や専門家の意見を聞いてきました。また、専門家の意見も紹介をしておきます。白浜温泉を長い間調査をしていただいています日本の温泉の第一人者の中央温泉研究所の甘露寺先生は、論文の中で、「温泉地をめぐる環境整備で留意すべき点は、温泉の湧出状況は周辺環境の変化をかなり受けることがある。土木工事など人為的な行為が温泉資源の質と量に影響を与える。したがって、資源の状況のみならず、周辺の状況の管理も大変重要である」と述べられています。
そこで、まず環境生活部長にお伺いいたします。
現在、国では、個々の事業実施に先立つ早い段階で、その事業に係る環境への影響を把握し、その評価等の結果を計画に反映させる戦略的環境影響評価といった視点からの検討が始まっていると聞いています。また、県事業については、地域整備における環境配慮への手引を作成し、計画段階からの環境への配慮について取り組みをしているところですが、この事業について、その環境への配慮について県としてどのように考えているのか、その基本的な考え方をお伺いいたします。
続いて、県土整備部長にお伺いいたします。
事業計画段階で影響調査をすべきであると思うが、それができていない中で計画を出していくことに地元関係者の皆さん方は大きな危惧を持っていますが、こうした地元の声に県としてどのようにこたえていくのか、その考え方をお伺いしたいと思います。
最後の質問に移ります。世界遺産登録4周年記念セレモニーについてであります。
私は、和歌山県議会議員に初当選をした12年前から、ひたすら環境問題に取り組んできた中で、小著でありますが、タイトル「環境」という本を出版いたしました。一言で言えば、今のままでは地球がなくなる、空海や熊楠、世界遺産を生んだ和歌山が地球を救うということであります。本を読んでいただいた方々や各界各層の方に中心になっていただき、紀南と和歌山市で、環境・エコロジー和歌山が地球を救う集いというものを8月と10月に開催をしていただき、紀南では約700名、和歌山市では約500名の各界各層の方々が参加をしてくれました。参加していただきました皆様に、心からお礼を申し上げます。
参加してくれた方々や、そのことを聞いた方たち有志が、来年の世界遺産登録4周年記念セレモニーとして、熊野が地球を救う集いの企画を検討しています。その趣旨について少し紹介しますと、「温暖化による地球絶滅の危機が叫ばれ、このままでは地球がなくなってしまう。人間優先の社会が人間のエゴが地球を滅ぼしつつある。世界各地では、宗教戦争や民族紛争が、そしてテロ活動が勃発している。これらの諸問題を解決するには、日本文化の原点、すなわち古事記の精神、人間が自然や神々とともに生きる文化を継承し発展させることが今この地球に最も求められていることである。そのために、日本人の心のふるさと、ユネスコが公認した世界遺産の地である熊野本宮大社の大斎原で、日本人の心の原点である古事記を舞台芸術として披露し、世界に発信する。それが世界遺産に登録された日本の責務である。この取り組みは、今後の日本の果たす役割に大きな期待と、世界から信頼される唯一の道なのである。地球人としての模範として人間の考え方や地球のあり方を考える一大セレモニーであり、タイムリーなものである。日本人の優しさや日本人の尊厳、日本人の心を取り戻す契機となり、その心の魂が地球を救うのである」ということであります。
日本に14ある世界遺産地のほとんどが、世界遺産に絡む記念事業など、地元でセレモニーを開いています。それぞれにその名目は打ち出していますが、我が高野・熊野の世界遺産を持つ和歌山には、ほかとは違う、ぜひ実行しなければならない必然性があります。この地でセレモニーをすることによって我々地球の未来に自信と希望を与えてくれるという意味のことであります。
今、日本に対する各国の期待、それから、これからの世紀は、日本が取り組んできた環境と平和に各国が多大の期待と関心の異常な高まりが起きているからであります。それは、先進各国とも、今までのリーダーである大国アメリカなどにかわってこれからのリーダーシップを日本がとってほしいと、直接的、間接的にもそうした声が日々高まっていると思います。それゆえ、一刻も早く日本がそのリーダーシップをとり、世界じゅうの人々に期待と努力をしてもらうための発信をこの高野・熊野からしなければならないと思います。それをすることによって世界じゅうの人々の期待にこたえることになるのです。
それと、もう1つは、世界の紛争を一刻も早く終わらせ、早く世界に平和が訪れるようにしなければなりません。
今、日本では、ことしの12月にアジアの水サミットが大分県で開かれました。来年の7月には、北海道で洞爺湖サミットが開催されます。日本に期待するかのように、その会場も日本で行われることが1つの世界のうねりになってきています。そうした現状を踏まえて、平和の教えを説いた空海や平和の精神文化を持っている高野・熊野で大々的な集いを開くことは、まさに地球を救うためのセレモニーになるのであります。
熊野の地でセレモニーを行ってほしいという声が、単なる日本だけではなく、世界からも聞こえてきます。著名な文化人の方々などからも賛同が寄せられ、高野・熊野の世界遺産というものに関心が高まっています。また、地元でも、NPOの方々を中心に、世界遺産をもっと世界に発信していこうと活動が活発化してきています。
先日、NPOクリエイティブ・クラスたなべの多田泰教さんたちが世界遺産を世界へ発信するために熊野古道ランドマークソングの歌をつくり、歌手の庄野真代さんが歌う集いに参加をさせていただきました。すばらしい、心打たれる思いでありました。知事も御存じやと思いますけども、県も御支援いただいていますこのCDであります。(CDを示す)
来年の4周年の7月ごろにこの熊野本宮大社の旧社地・大斎原で熊野が地球を救うセレモニーを開けることが実現をしたら歴史的意義を持つ高度な催しになり、世界からの観光客や日本の新しい進路として、日本こそ地球を救う一番の中心として世界は日本を見ることになると思います。できれば、来年の「紀伊山地の霊場と参詣道」世界遺産登録4周年記念セレモニーとして、奈良、三重県を含んだ実行委員会を立ち上げ、知事が会長となり、その実現に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
また、こうした高い精神性を持つ世界遺産、高野・熊野のかけがえのない教育文化的価値を発信していくことに関して、教育長の見解をあわせてお伺いいたします。
以上で、私の一般質問を終わります。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず中国山東省との環境協定の具体化、それからこの件に関しまして産学官の組織立ち上げ、あるいは環境協定を和歌山のチャンスにというようなことについてお答え申し上げたいと思います。
議員御紹介のように、このたび23年間にわたり友好関係を築いてまいりました山東省政府からの強い要望に基づきまして、環境問題の解決、あるいは環境産業の振興などを盛り込んだ「和歌山県・山東省友好交流関係の発展に関する覚書」に調印をしたところでございます。これは、地球規模での対応が求められている地球温暖化対策に加えて、和歌山県も昔苦しみ、そしてそれを克服した公害予防なども含めまして、政府、NGOの国際協力とともに、地方自治体間あるいは地方における民間企業レベルでの協力も含めまして、連携・協力をやっていくという双方の共通認識に基づきまして締結したものであります。
今後、県といたしましては、本覚書に基づきまして、双方の民間企業間における技術指導や、あるいは事業提携の実現に向けたセッションの開催、あるいは環境規制制度の専門家の相互派遣、山東省の産学官の研修員、視察団の受け入れなどに取り組みながら、議員御提案の産学官の連携につきましても検討してまいりたいと考えております。
また、国際協力につきましては、今回の山東省とのプロジェクトの推進を機に、産学官の連携をもって、今後さらに取り組みを進めてまいりたいと考えております。
次に、白浜空港跡地に本県と山東省との環境協定の具体化ということでございます。
アジアの環境リーダーの育成の学術研究中心機関の設置についての御提案でございますけれども、国際的に活躍できる環境にかかわる人材を育てていくということは、地球規模で大変大事なことであると考えております。旧南紀白浜空港跡地の活用に向けての議員の御提案は、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」にも近いという本地域の特色を生かすとともに、国内外との交流を通じて地域の活性につなげようというものでありまして、大変魅力的な御提案ではございます。しかしながら、財政的な問題、管理の能力等々、さまざまな難しい課題もまたあろうかと思います。
いずれにいたしましても、旧南紀白浜空港跡地の活用につきましては、議員の御提案の精神を生かし、議会の皆様を初め県民の皆様にお諮りしながら検討してまいりたいと考えております。
次に、高野・熊野の登録4周年記念セレモニーというお話でございます。
本県の世界遺産は、紀伊山地の深い自然がなければ成立し得なかった世界遺産でありまして、議員御質問にありましたように、まさしく自然と人が共生する精神によりはぐくまれた世界遺産であります。そして、私もまたこの神聖性の高い自然をこよなく愛する1人であります。自然を畏怖し、神とあがめた日本人の心の原点に触れることができる、また、さまざまな人をだれでも分け隔てなく温かく迎え入れるということのすばらしさを発信するということも、また和歌山ならではのメッセージになるんじゃないか。時宜を得た大変意義深いことだと思います。
今後、ことしも来年も、7月の世界遺産週間などの機会をとらまえまして、議員提案にありました命や環境を大切にする心に通ずるメッセージ性の高いイベントなどを実施してまいりたいと考えております。
また、環境、あるいは別の言葉で言うと、この地域の持っている雰囲気を守らなければならないと思います。これが、現在作業中の景観条例の1つの根拠、あるいは背景でございます。
あわせて、4周年記念セレモニーということでございましたけれども、4年ではちょっと数が悪いという説もありまして、節目となる5周年に向けて、できますれば3県連携の取り組みを強化し、世界に存在感をアピールできるような記念行事について検討を進めてまいりたいと思います。その5年目に、ちょっと世界遺産が落ち目だから退勢を挽回するというようなイベントではなくて、ますます盛んになる世界遺産をさらにアピールするというふうになるように、ことしも来年も頑張っていきたいと考えております。
○議長(中村裕一君) 県土整備部長茅野牧夫君。
〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 白浜海岸についてでございますけれども、白良浜は和歌山を代表する海水浴場であり、また四季を通じた貴重な観光資源であります。この白良浜をより安全で快適な海岸として保全するために、これまでも地形の変化等の調査、観察を行ってきております。
黒い砂の発生に際しましては、専門家の御指導のもとに調査を行いまして、その原因が、砂が還元状態となって嫌気性のバクテリアの働きによって硫化水素が発生して砂の鉄分が黒い色を示すということで、硫化鉄となったことが原因であると推定されました。
今後、黒い砂や高波等の問題に関しまして、県と白浜町が協力いたしまして、環境面からの調査や波浪調査など、白良浜の保全に必要な調査を引き続き実施していく予定でございます。
それから、漁港整備事業における環境調査についてでございますが、湯崎漁港は白浜町が管理する漁港でございまして、平成17年度末に策定した基本計画に基づく国庫補助事業として平成18年度よりその事業に必要な調査を行って、また計画の見直しがなされたところでございます。
県といたしましては、地元関係者より白浜町に対して要望の出ています温泉への影響などの調査を十分に行って、地元関係者が御心配ないように理解を得て事業を進めていくように町を指導してまいります。
以上でございます。
○議長(中村裕一君) 環境生活部長楠本 隆君。
〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 公共事業に係る事前の環境調査についてお答えを申し上げます。
白浜地域は、本県の観光にとりまして大きなウエートを占めております。中でも、温泉は重要な資源となっておりまして、工事の実施によりまして万が一温泉の湧出に支障が出るということになりますれば、白浜町のみならず県経済への影響も大きなものとなります。
県におきましては、議員御指摘のとおり、公共工事を実施する際、環境に配慮された形で実施されるよう環境配慮の考え方や方策をまとめました「地域整備における環境配慮の手引」を作成し、事業計画段階から地域の特性あるいは規制など環境情報の把握に努めまして、これらに配慮した事業実施に取り組んでいるところでございます。市町村におきましても、同様の考え方での対応を期待してるところでございます。
温泉は、本県にとりまして大切な資源の1つでございます。事前調査や工法の工夫など、温泉資源に配慮しながら進めていただくことが重要であると考えております。
以上でございます。
○議長(中村裕一君) 教育長山口裕市君。
〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 紀伊山地の霊場と参詣道につきましては、紀伊半島の神秘的な山岳を神仏の宿るところとして数多くの人々がいやしを求めて訪れた結果形成されたもので、議員御指摘のように、共生と平和を希求する日本人の精神文化をあらわす、世界にも比類のない文化遺産であると考えてございます。
教育委員会では、世界遺産を構成する個々の建造物や史跡、名勝、天然記念物等の保存を進める一方、印刷物やホームページ等によりまして紀伊山地の霊場と参詣道の概要と特徴の周知を図ってまいりました。さらに、世界遺産の理解と保全に取り組む高校生を育成する高野・熊野ワールドヘリテージレンジャー事業の実施や、古座高校の世界遺産教育の一環としてのユネスコ協同学校への参加申請など、世界遺産の未来の担い手である若い世代の育成にも取り組んでまいりました。
教育委員会といたしましては、今後とも高野・熊野が人類と自然の共生を目指す上で重要な示唆を含むとともに、これからの世界をリードすることのできる平和の精神を持った奥深い世界遺産であることを広く世界に向かって情報発信し、理解を求めてまいりたいと考えます。また、世界に誇る貴重な教育資源といたしましても、環境教育とも関連づけながら大いに活用してまいりたいと考えてございます。
以上です。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
38番玉置公良君。
○玉置公良君 御答弁、ありがとうございました。
まず、中国山東省との環境協定の具体化と新しい日中時代のことでありますけども、大変前向いた御答弁、ありがとうございました。
知事と私も一緒に初めて行かしていただいたんですけども、大変きつい日程でありましたけども、やっぱり大変な知事のこれにかける熱意と意気込みというのを僕は感じさせていただきました。そのことが、そのあらわれというのが、やはりこの1月に早速環境の視察団が山東省から来るということだと僕は思っております。
先ほど提案をしたことも含めまして、アジアや日本全国から注目されるモデルとなる具体的な政策を今後ともつくり上げて取り組んでいただくことを要望しておきたいと思います。
そこで、2つ目の、私の地元の海の環境保全のことでありますけども、答弁で、白良浜の黒い砂や高波等の問題など白良浜の保全に必要な調査を県として引き続きしていくと、こういうことを御答弁いただきました。表明をしていただきました。きょうは、実は傍聴席のほうにも白浜の海を守る住民の有志の方々もお見えでございます。この方々は、行政と反目するんではなくて、行政と一緒になってこの白良浜の保全を守っていこうということで、ずっとやってこられています。どうか、この方々とも連携をしていただきまして和歌山の宝を守っていただきたいと思います。
そしてもう1つ、湯崎漁港整備事業における温泉への影響についてでありますけども、答弁の中で、県としましては、地元関係者より白浜町に対し要望の出ている温泉への影響等の調査を十分に行い、地元関係者の理解を得て事業を進めるよう町を指導してまいると、的確な答弁いただきました。何とぞよろしくお願いをしておきたいと思います。
最後であります。世界遺産登録4周年記念事業については、5周年が一番ええんではないかという──私も思いますけども、まあ来年が4周年でありますから、時宜を得た大変意義深いことだと、そういう賛同を寄せていただきました。そして、来年の7月にも、4周年でありますけども、世界遺産週間などの機会をとらまえ、私が提案しましたようなメッセージ性の高いイベントなどを実施していくということ、そして、あわせて節目となる5周年に向けて3県連携の取り組みを強化し、世界に存在感をアピールできるような記念事業について検討を深めていくと、こういうことも約束をしていただきました。教育長からも、世界に誇る貴重な教育資源として大いに活用してまいりたいと、積極的な御答弁いただきました。
実は、きょうも地元の世界遺産関係者の方々も来ていただいております。大変勇気づけられたと思います。どうか、この成功のために地元の世界遺産関連のNPOなどの方々と十分連携をしていただき、実現をさせていただくことを要望して、終わりたいと思います。
○議長(中村裕一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。