平成19年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(長坂隆司議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午後1時0分再開
○副議長(新島 雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
37番長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 皆さん、こんにちは。
議長のお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして3点一般質問をさせていただきます。
1つ目に、和歌山県の農産物の食品加工戦略についてであります。
和歌山県の農産物、特に果樹については、ミカン、柿、梅、それに桃、キウイ、イチゴ等々、全国でもトップレベルの生産量とともに、品質がトップクラスであり、従来より営々と果樹王国を築いてまいりました。和歌山県農林水産総合技術センター、その中の農業試験場、果樹試験場、かき・もも研究所、うめ研究所など、また和歌山県農業大学校等々、生産技術の研究開発について和歌山県はまさに押しも押されぬトップの地位を確保していると言っても過言ではありません。
また、今年度より県農林水産部内に食品流通課を創設され、従来の商工労働部のブランド推進課の業務をそのまま引き継ぎながら、新たに市場を通じた農産物の販路拡大に関する業務などを加えて、農産物を初めとする県産品の輸出入を含めた販路拡大、流通対策に関する業務を総合的に実施されているとのことです。いよいよ本格的な販売戦略に乗り出されたということで、トップクラスの生産技術に加えて、今後の展開が非常に期待が持てます。
加工については、今議会において新たに加工食品の流通対策も提案されておりますが、せっかくの恵まれた高品質の農水産物資源をまだまだ生かし切れていないような気がします。品質の争いだけでは、やがて他県に追いつかれてしまいます。機能性や加工技術を付加していかないと和歌山県のブランド維持は到底難しいと思われます。今から打てる手は打っておくべきであります。
そこで質問ですが、1つ目、他の都道府県においては、多くのところで、地域でとれる農産物活用のための食品の加工研究開発の取り組みがなされております。
あの東国原知事の宮崎県では、もともと工業技術センターから独立した食品開発センターがあり、食品の分野において、県内の食品企業、地域の食品加工グループ等への支援を使命とし、食品にかかわる研究開発、指導、依頼分析等を行っています。
福井県では、農林水産部の中に農業技術経営課があって、その研究機関として食品加工研究所があり、食品加工技術の研究と開発並びに研修、指導、情報交流などを通じて福井県の農林水産業の高度化と食品産業の振興を図っています。
その他、富山県食品研究所、北海道立食品加工研究センターなど、独立した研究開発機関があります。
また、県の工業あるいは産業技術センターや試験場内に、福岡県、熊本県、秋田県や長野県などに加工食品の開発研究センター、あるいは石川県では工業試験場の中に食品加工技術研究室を持ち合わせているところもあり、どこもみずからのふるさとの特産品づくりに躍起であります。
和歌山県において、もちろん県内企業の商品開発によるところも大きいと思いますが、県の農業が大きく飛躍するためにも、加工食品あるいは機能性食品の研究開発に中核となる機関が必要ではないでしょうか。
大学における研究者の先生方もよく指摘しておられることですが、和歌山県でも、生産と販売の間の中流域とも言うべき食品加工、機能性研究のために、既設の公共機関を連結させ、企業の協力を得ながら食品加工に特化した研究開発機関、あるいは食品加工クラスターをつくれないものでしょうか。農林水産部長、いかがお考えですか。
2番目、せっかく食品の販売流通のエキスパートとも言うべき食品流通課をつくっていただきました。大手スーパーなどがどういうものを売りたいのか、どんな販売戦略を持っているのかというところから逆算して、どんなものをつくればよいか、農産物にどんなものを付加、どのように加工すればいいのかといった、生産からエンドユーザーへの販売までの大きな戦略を立てることが必要であります。そこに、食品加工、食品の機能性開発研究は大きな意味を持ってくる、すなわち和歌山県の持っている恵まれた農林水産物資源が無尽蔵のビジネスチャンスをもたらすことになってくると思います。
アグリから派生するビジネスの分野で県経済をもっと活力あるものにすべく、和歌山県ならではの農水産物をさらに活用するための県の食品加工戦略について、知事、お聞かせください。
2点目に、和歌山県内の医師確保と開業医についてであります。
厚生労働省は、医師不足や地域偏在への対応策として、開業医と病院の勤務医との格差是正に踏み込もうとしています。
新聞報道によれば、高齢化社会の進展に伴い、在宅診療を進めるため、開業医の時間外診療や往診の報酬を引き上げて、そのかわり開業医の初診・再診料の引き下げを検討しているとのことです。開業医の収益源を見直して夜間診療などへの取り組みを促して、病院の勤務医の夜間の患者集中による過大な負担のために患者に手が回らないようなケースが起こらないよう、また過労状況を改善することを目指しているようです。
確かに、過重労働を理由に開業医に転身する勤務医も少なくなく、日曜・祝日を含めた24時間体制の病院の勤務医不足に拍車がかかっている現状があります。さらに、新たに開業医になる条件として、僻地や小児救急医療の経験を資格要件にするといった案も浮上していると聞きます。
なるほど、地域の基幹病院の医師不足は深刻であり、開業医に協力を求めていくことしか当面医師不足の解消は考えられないと思います。医師には人命を守り健康な生活をもたらす崇高な使命があり、その達成のためには相応のボランティア精神も必要になるでしょう。病院の当直にも協力いただければ現在の危機的状況は打破できるかもしれません。
しかし、開業医からすれば、勤務医を経て開業した方も少なくなく、当然、平均年齢は病院の勤務医より高いと思われます。日ごろの診療に加えて、時間外診療、往診、そして日曜日の救急センター当直は、そうたやすくできるものではないかもしれませんし、そんな勤務医が嫌で開業した人もいます。開業医の医者としての士気にかかわるような義務づけも現実的には厳しいものがありましょう。
開業医は、かかりつけ医として地域で不意の呼び出しにも応じられる役割を担っております。また、和歌山県全体からしても医師の地域偏在はあって、和歌山市、岩出市、そして紀の川市などで特に多く、開業医数は全国でも上位クラスであります。全県的に医師の地域偏在にならぬよう、基幹病院に専門医がいない科が発生しないよう、開業医も病院側も双方納得の上で病・診、すなわち病院と開業医とがうまく連携がとれればと望むものであります。
医師不足のため産科を閉鎖する病院が出てきておりますが、日本の子供の約半数は開業医のところで生まれてくるのであります。
同じく、厚生労働省の医師不足への対応策として、専門分野に偏らない総合的な診療を担う総合科の創設が検討されていると聞きます。
社会的背景として高齢化社会の到来があります。日本人の疾病構造も変化して、心筋梗塞、糖尿病、脳卒中、そしてがんなど、生活習慣病がますますふえてくるでしょう。長期療養が必要なお年寄りを自宅などで総合的に診る医師が必要とされてくるし、専門医志向が強くて、他の科の病気を診察できない医師がふえている現実もあります。
患者側として、医療サービスを受ける側としては、身近に風邪からがんの早期発見まで総合的にいろんな病気を安心、信頼して診ていただけるのはまことにありがたいことでありますが、でも、医師たるもの、この病気のことなら任せてくれ、絶対治してみせるんだといった専門性は持ち合わせてほしいし、でも、何でも診させていただくという医師としての使命感を持ち合わせていただきたいものであります。
総合診療医が中途半端な何でも屋さんにならないよう、医師としての技量と、さきに述べた使命感を持った総合診療医を養成していくことも医師不足の解消の1つになると思います。
県当局において、和歌山県全体を見渡したバランスのとれた地域医療を展開できるよう、地域偏在にならないように医師を確保するため、開業医と勤務医との連携による県の医療システムを今こそ構築いただきたいと思いますが、いかがですか。福祉保健部長にお伺いいたします。
3点目に、学力向上とゆとり教育についてであります。
去る9月11日の安倍晋三前首相の突然の辞任には、実際驚きました。安倍氏の重要課題に掲げていた教育再生について、今後、教育再生会議がどうなっていくのか注目されます。
昨年10月に、前首相の肝いりで教育再生会議が17名の有識者を集めて設立されました。ことし1月には、ゆとり教育の見直しを初め、厳格な教員免許更新制度の導入や教育委員会制度改革などを盛り込んだ第1次報告が安倍前首相に提出されました。6月1日に出された第2次報告では、徳育の新設や学力向上のための土曜授業の復活、国立大学の9月入学、まためり張りのある教員給与体系の4点を安倍氏は総会で強調したと聞いております。
この教育再生会議の報告を参考にした形で、8月30日、文部科学省は学習指導要領の改訂案として、小学校において総合的な学習の時間を、小学校3年以上で週3時間行われていたのを1時間ずつ削減し、国語、社会、算数、理科、体育の総授業数を約1割ふやし、高学年で英語活動を週1こま程度設けるといったところが示されました。中央教育審議会は年度内の改訂を目指しており、早ければ2011年春からの施行となるそうです。まさに、ゆとり教育の象徴であった総合学習が半ば否定されたことになります。
授業内容はまさしく教師の指導力に左右され、場合によっては遊びの時間になりかねない部分もあったと聞きます。しかし、今回の改訂も生きる力の育成が理念としてなお打ち出されており、総合学習で目指していた能力の育成を他教科にも求める内容になっています。また、思考力や意欲などを育てるため、書くことを全教科で重視しており、その実現のために授業時間をふやすことが必要だとしています。書くことによって覚えることにも役立つし、表現力もみずから身につくし、みずから考える気持ちにつながります。これは評価したいと思います。しかし、土曜授業の復活には踏み切らず、週5日制は堅持されております。
国の方針をとやかく言っても仕方ないかもしれませんが、ゆとり教育の導入と完全週5日制に伴う授業時数2割カット、授業内容3割カットで生きる力を育てるのだと鳴り物入りで施行されたときも反対が非常に多く、私自身も、学力の低下は必ず起きるだろうし、土曜の休みも子供たちに有効には作用せず、むしろ休日が続いて月曜日の学習意欲にも影響するし、子供たちが本当にゆとりが持てるのかと反対の意をこの壇上で述べたこともありましたが、まさにそのとおりになっているわけで、初めからこの揺り戻しが予想されていたことであります。
学習内容については、昭和50年代のピーク時より実に半減しているのであります。しかし、今回も体裁を繕っているのか、結局、土曜授業に踏み込めず、平日の授業時数を約1割ふやして、総合学習を3分の1減らしただけという小手先の改革で終わろうとしているところに、文部科学省の方々も相変わらず教育現場をしっかり見ていただけてないなと感じざるを得ません。本当に日本人は、今もはや勤勉な国民と言えなくなっています。ゆとり、ゆとりと言っている場合ではありません。本当に真剣に小学校の時代から自然に机に向かえる時間を多くすることを考えなければいけないと思います。
ゆとり教育では、暗記よりも自分で調べ、問題を解決できる力を重視するとありますが、最低限覚えること、暗記すべきことはあります。暗記する時間を減らしたからといって、思うように応用力なんて簡単に育つものではありません。暗記は詰め込みではありません。
9月14日の「産経新聞」の社説におもしろい記事が掲載されておりました。ゆとり教育で消えてしまった学習内容として、「小学校6年生の現行の社会教科書には縄文時代がなく弥生時代から始まっている」、また「小学校の指導要領で教えるのは自分たちの市町村などに限定され、47都道府県名は不要とされ、平成17年公表の学力調査で、小学校5年で日本列島の北海道を知らない児童が半数もいた」とか、「小学校の算数で小数点第2位以下の計算が消え、台形の面積計算の公式も消えている」ということになっています。「せめてもの基礎知識くらい持っておかないと、学問のおもしろさや、その先を知り、探究したいという好奇心、学習意欲もわいてこない」と結んでいますが、まさにそのとおりであります。
文部科学省や中教審の小手先改訂に惑わされず、和歌山県においては自分のふるさとに愛着、誇りを持てる教育を、そして常識と良識のある和歌山県人を育てていただきたいと思うものであります。
そこで質問ですが、1つ目、2002年度から始まったゆとり教育について、きちんとした検証はすべきだと思います。私は、ゆとり教育に反論を唱えるものですが、和歌山県において実施されてきたゆとり教育について、教育長の御所見を伺います。
2番目、今回の改訂で総合的な学習の時間が3分の1減少される分、他の教科に、みずから学び、考え、主体的に判断する力を育てるべく反映していくというねらいがあるようですが、本県における総合学習の教育現場における実態はいかがなものでありましょうか、教育長にお伺いいたします。
3番目、減少し続けていた授業時間数が1977年の学習指導要領以来、今回30年ぶりにふえるということでありますが、土曜授業の復活は盛り込まれておりません。公立小学校で、地域の方々の主導で土曜日の子どもセンターや土曜教室も開催されておりますが、今は休日になっている土曜日の子供たちにとっての効果的活用について、教育長のお考えを聞かせてください。
4番目、今回の改訂案には、体力低下も今の子供の抱える大きな問題ということで、他の主要教科に加えて体育も1割授業時間をふやしていただけるということには歓迎するものでありますが、本県も8年後に国体を控え、小中学校生徒はまさにゴールデンキッズ、金の卵であります。今後、県教育委員会として小中学校における体力向上に向けた基本方針について、教育長にお伺いいたします。
以上3点、1回目の質問を終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県の農産物の食品加工戦略についてでございますけれども、最近の消費の実態を見ますと、安心・安全や機能性を求める傾向にあり、若者の果物離れとあわせて、大きく変化している状態にあります。今後、消費者ニーズに対応した商品開発など、食品加工分野での取り組みが地域の農業の将来を左右するのではないか、あるいは雇用の将来を左右するのではないか、そんなことを考えております。
このため、食品に係る流通、加工、販売の一元化を基本に組織統合を行いまして、新たに食品流通課を新設いたしました。また、7月には農産物の加工販売促進に関するアクションプログラム2007を策定いたしまして、鋭意これに基づき取り組みを進めているところでございます。
議員お話しの農産物加工につきましては、それぞれの地域において生産者と食品加工業者の連携が大切でありまして、その推進母体としての地域協議会の立ち上げに取り組む一方、地域団体商標登録に結びつくよう、サプライヤーとしてマーケット側からの提案等も取り入れた商品開発に努めるなど、恵まれた和歌山の地域資源を活用した、すそ野の広い産業としての農業を育てていくことにしていきたいと思っております。
議員御指摘の「売りたい」と企業が考えるようなものをつくる、提供するということについて同感でございまして、1つの例が、大手スーパーと組みまして、最近発表さしていただきましたが、ミカンジュースを出さしていただきました。このような試みを、県、それから企業の方々、あるいは農業者、農業団体の方々と精いっぱい緊密な連絡をとりながら進めてまいりたいと考えております。
○副議長(新島 雄君) 農林水産部長下林茂文君。
〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 食品加工戦略に関連をいたしまして、食品加工に特化した研究開発機関、あるいは食品加工クラスターの創設についての御質問でございますけれども、果物の消費というのが近年減少傾向にございまして、今後の農業振興を考える上におきまして、単に生産したものを出荷ということだけではなくて、食品産業との連携による加工品づくりを進めまして新たな需要の創出に努めていく必要があるというふうに考えてございます。
議員お話しの食品加工の研究開発機関といたしまして、県と県の農協連合会、それから県内の全農協が出資をいたしまして、社団法人和歌山県農産物加工研究所が昭和57年に紀の川市の桃山町に設置をしてございます。
この研究所におきましては、これまで農協等からの依頼によります新たな加工品の開発とか、また農産物の持つ機能性等に関する研究などを行っておりまして、多くの成果も上げてございます。また、平成17年からは、果樹試験場、県立医大、近畿大学との連携のもとに、ミカン、それから柿、梅といった本県を代表する果物を用いまして、柿酢入りミカンドリンク等の新たな機能性飲料の開発に取り組んでございます。
今後、同研究所あるいは県果樹試験場などの研究機関を核にいたしまして、工業技術センターとの連携を一層密にするとともに、食品製造業者等で組織をされております和歌山県食品産業協議会がございますが、これらとの協力をしながら地域の特色を生かした加工品づくりというものについて積極的に推進してまいりたいというふうに考えてございます。
以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 福祉保健部長井畑文男君。
〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 開業医と勤務医との連携による県の医療システムの構築についてお答え申し上げます。
議員御指摘のとおり、医師の地域偏在や開業志向等により、地域の基幹病院における医師不足は深刻な状況であると認識してございます。県といたしましては、わかやまドクターバンク制度や地域医療支援事業など、さまざまな医師確保対策を実施しているところでございます。
さらに、安心・安全の救急医療体制を確保するため、開業医と勤務医が連携して、圏域を超えた広域の救急医療体制を構築する地域医療連携モデル事業の補正予算案を今議会に上程しているところでございます。この事業は、新宮市立医療センターが実施いたします日曜及び祝日の救急日直において、新宮市医師会、東牟婁郡医師会及び三重県の紀南医師会に所属する開業医が同センターの勤務医のかわりに診療を行い、当該勤務医の負担軽減を図るとする取り組みであります。
今後の取り組みにつきましては、第一義的には、地域の救急医療を担う病院と地元の医師会や開業医との協力、連携に負うところが大きいわけでありますが、県といたしましても、新宮市立医療センターにおけるモデル事業の評価を行った上で、関係者、関係機関との協議を行いながら、必要と考えられる地域に対しても導入を検討してまいりたいと、そのように考えてございます。
○副議長(新島 雄君) 教育長山口裕市君。
〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 学力向上とゆとり教育についてお答えいたします。
まず、いわゆるゆとり教育についてでございますが、現行の学習指導要領は、子供たちに、ゆとりの中でみずから学び、みずから考える力などの確かな学力を育成し、生きる力をはぐくむということをねらいとしてございます。本県におきましても、その趣旨を踏まえ、学習指導において、じっくり学習に取り組んだり体験的な活動を有効に取り入れたりすることにより、子供たちの実感を伴った理解が深まったものと認識をしております。
一方、学力の状況を把握するために実施をいたしました県の学力診断テストの結果では、各教科ともおおむね良好であったものの、読解力や思考力などに課題が明らかにされてきております。いわゆるゆとり教育は、その趣旨が十分に生かされなかった面があることも指摘されているところでありますので、今後こうした学力に係る課題を解決し、教育本来のねらいを十分に達成するため、より一層指導方法の工夫・改善に努めてまいりたいと考えます。
また、総合的な学習の時間につきましても、当初、ねらいに沿った取り組みが十分でない状況も見受けられました。そのため、モデル校の実践の普及や各市町村教育委員会への指導を充実させることにより、小学校での英語活動や防災教育、環境教育、ふるさと教育など、地域や学校の特色を生かした多様な取り組みが多くの学校で展開されるようになってまいりました。
総合的な学習の時間は、生きる力をはぐくむ教育の中核をなすものでありまして、本来の学びを取り戻し、真の学力の向上につながるものであります。今後もこの趣旨を大切にしながら教育現場への指導の徹底を図ってまいりたいと存じます。
次に、土曜日の効果的な活用につきましては、土曜日等休日を子供や大人にとって意義のあるものにするため、家族や地域の人々との触れ合いや子供の体験活動を豊かにし、家庭や地域での子育てを推進することが大切でございます。こういった趣旨から、県市町村では、放課後子ども教室を活用して週末や放課後に子供たちの安全・安心な活動拠点を設け、地域の方々とともに勉強やスポーツ・文化活動、交流活動等を実施しております。また、県立近代美術館や博物館等におきましては、子供料金をいつでも無料にして、子供や保護者が有効に利用できるよう取り組んでございます。
現在、国においても土曜日の活用について弾力的な取り扱いが検討されておりますので、子供の発達段階や学校のニーズに応じて幅広い観点から特色ある取り組みが展開されるよう、市町村教育委員会とも連携して取り組みを推進してまいります。
次に、体力向上に向けての基本方針につきましては、多様でバランスのとれた運動の機会を多く設けるとともに、子供たちに体力づくりの必要性や合理的な運動の仕方を理解させ、生涯にわたって主体的、積極的に運動に親しむ資質や能力を培うことが大切であると考えてございます。そのため、小、中、高等学校合同での体育研究会を実施するとともに、昨年度は新たに小学校におきましても体育主任者会を開催するなど、体力向上の核となります学校における体育指導の充実・向上を目指し、工夫と改善に努めているところであります。
また、昨年度から家庭の協力を得るよう元気アップ親子セミナーを実施し、加えて、本年度は県内の小学生や園児を対象に、インターネットを活用したきのくにチャレンジランキングを創設し、本年8月1日にホームページを開設・運用を開始したところでございます。
今後とも、本県の子供の体力向上に向けまして、多様で着実な施策を積極的に展開してまいりたいと考えます。
以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再質問を許します。
37番長坂隆司君。
○長坂隆司君 御答弁いただきました。
まず、県内の医師確保と開業医についてでありますが、開業医には、まず県民1人1人が信頼できる、総合的に診療できるかかりつけ医として、その地域的、社会的使命を担っていただきたいのですが、その上での御負担になるのですが、医師不足、医師の地域偏在の解消にも御貢献いただくべく、広域の救急医療システムの中にもぜひ参画いただきたいわけであります。
御答弁いただいた新宮市立医療センターのような取り組みを他の医療圏域にも広げていただいて、開業医の皆様のやる気をうまく引き出していただきますように、県当局におかれましては、病院、医師会とも調整いただいて、引き続き御尽力お願いいたします。
教育についてでありますが、2002年度導入のゆとり教育が早くも見直し改訂へと。御答弁いただいたように、確かな学力があってこそ生きる力がはぐくまれると思います。
本来、ゆとりを持って教えるには、より時間がかかるはずです。ゆっくりとだれにもわかるように指導するには時間と労力がかかります。だから、確かな学力をつけるには土曜日も有効に使うべきだと思います。そして、日曜、祝日は教師も子供も完全にフリーで休み。私自身は、教育にはめり張りが一番大事であると信じております。
定期的に子供たちの登校時の交通安全指導をさせていただいておりますが、土日2日も休んだ後の休み明けの子供たちの登校時の顔の表情や物腰、これ、きりっとしてれば問題ないんですけれど、さにあらずであります。これをいま一度当局にもよくチェックしてみていただきたいと要望させていただきます。
さて、和歌山県の農産物の食品加工戦略についてでありますが、再質問さしていただきたいと思います。
大学の研究者の先生方には、他の大学から転勤してこられた方、また企業で技術者として御活躍された方など、いろんな方がいらっしゃいます。地域社会の中で、その地方のため、例えば和歌山県のため、自己の持つ専門研究、ノウハウを生かして、いい物づくりをして地域を発展させたいという気持ちをお持ちの方が少なくありません。この情熱を県に受けとめていただきたい。むしろ、大いにそれを利用していただきたいわけであります。そのための受け皿になるのが、和歌山県で言えば、例えば食品加工研究開発センターのようなものだと思うのです。
今までは、食品加工を直接扱う担当課というものを県も明確にしておられませんでしたが、先ほど答弁いただきましたように、今回、食品流通課もつくっていただきました。
知事、和歌山県の持ち得る資源を生かすとしたら、豊富な栄養価、また、健康によいと言われる要素を持った果樹を初めとする農産物資源の加工研究開発の強化に一層取りかかる時期が到来していると思います。どうかひとつ、企画、商工、農林の垣根を超えた取り組みを実践してみてはいかがでしょうか。知事に再質問さしていただきます。
○副議長(新島 雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 企画、商工、農林の垣根を超えた、特に食品加工に関連する試みということでありますが、まさにそういうふうに部局を超えて協力をしながら事を進めるというのが、これからの県庁に求められる大きな要素ではないかと思っております。
その試みは、食品流通課もそうでありますけれども、例えば平成16年1月にわかやま産業振興財団テクノ振興部に農林水産総合技術センターから研究員を派遣しまして、近畿大学、和歌山大学等との連携のもとに共同研究に取り組むなど有用な試みもしております。
それから、実はバイオテクノロジー、農業と絡めたバイオテクノロジーの振興といいますか研究開発を国の競争的研究資金を導入して、数年間にわたって今やっとるんでありますが、これも、担当は企画部でありますけれども、農林水産部と非常に協力をしながらやらしているところでございます。
一般に、どうしても官僚は縦割りになりがちであります。その結果、隣の部局がやってることは知らないというようなことが、まあたまには発生します。そういうことがありますと困りますもんですから、実は県庁ではヘッドクオーター制というのをつくっておりまして、特にこういう弊害が私はちょっと目立つなと思うようなところは、特定の責任者をヘッドクオーターにしまして、それで横の連絡もきちんととらせるようにしました。
食品流通及び食品加工については、今のところ食品流通課が企画やあるいは商工と非常によく連絡をとっていまして、今のような研究開発や、あるいは議員御指摘の研究者の方々、特に現在ある近畿大学の生物理工学部とか、和歌山大学のシステム工学部の環境の方々とか、和歌山県立医大の方々とか、たくさんの立派な方々が和歌山県にはおられるし、食品加工業でも、酒とかあるいは梅干しとか、そういう資源がたくさんあるわけです。そういう方々を全部糾合して、これからも研究開発と、それから農業と、それから食品加工業の振興を3つ合わせて、ぜひ元気な産業をつくっていきたいと思っております。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再々質問を許します。
37番長坂隆司君。
○長坂隆司君 御答弁いただきました。ありがとうございました。
農林水産部長が述べていただいた社団法人和歌山県農産物加工研究所も、せっかく県が一部出資されているのですから、農協さんともっと調整して活用いただいた上で、今後、県農林水産部食品流通課を主管課、核として、各部局緊密な連携のもとで、和歌山県の一番手っ取り早い産業振興のため、食品加工専門の研究センターの創設、あるいは食品加工研究に取り組む集合体、クラスターづくりをどうか前向きに御検討いただきたいと要望さしていただいて、私の質問を終わらせていただきます。
○副議長(新島 雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。