平成19年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(山下大輔議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
質疑及び一般質問を続行いたします。
18番山下大輔君。
〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 皆さん、こんにちは。
一般質問初日、最後の質問者として頑張らせていただきたいと思います。
さて、先般、安倍首相が辞任されましたが、唐突な辞任であって、多くの国民が驚くニュースだったと思います。今、ニュースなどを見ていても明るい話題がとにかく少ないのが気にかかります。最近でちょっと明るい話題と言えば阪神の奇跡の10連勝ぐらいかなというふうに思いますが、政治の話題は特に褒められるものは少なく、国民、県民にとって極めて大事な政治ですが、その信頼を大きく損なっている状況があります。
政治は、国民、地域住民の生命、財産を守るもの、そして未来への希望を与えるものと言われます。しかし、残念ながら現実はほど遠い状況となっています。政治が信頼されず、希望を与えられない。これは大変なことであり、希望のない国、地域に明るい未来はありません。
私自身、これまで8年間、多くの人の力をおかりする中で政治活動を続けさせていただいてまいりました。そんな中、さまざまな集会などを通じて気づいたことがあります。それは、ほとんどの人が今の和歌山の未来に明るい希望を感じることができていないということです。
「和歌山の未来は明るいと思いますか」、「和歌山に希望があると思いますか」、そういったことを質問したときに、胸に手を当てて正直に答えてもらうと、希望があるということで手を挙げてくれる人はほとんどいません。今の和歌山の延長線上に希望の持てる未来を感じている人はほとんどいないというのが現実だと思います。この現実をしっかりと受けとめて、これをやはり変えていかなくてはいけないんだと思っております。
希望がすべての出発点です。希望がないところには夢は育ちません。夢のない町には人が集まりません。人の集まらない町には希望が生まれてこないんだと思います。希望の持てる状況をいかにつくれるか、その思いを強く持って、この議会でも精いっぱい質問、提案をさせていただきたいと思いますので、当局の皆様にはぜひ誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。
それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従って順次質問をさしていただきます。
最初は、景観保護に向けた取り組みについて。
今、景観に関して多くの関心が払われるようになっています。景色、眺めといった意味を持つ景観は、貴重な地域資源といった視点も定着し、社会的にも景観保護の機運が高まっている状況にあります。
そんな中、一昨年には景観に関する法令も整備されるものとなりました。平成16年6月18日、法律第110号として景観法が公布され、同年12月17日に施行されています。これは、私たちの国で初めて制定された景観に係る総合的な法律となっています。この法令の施行も契機として、今後は私たちの地域でも景観を改めて地域の貴重な財産として保護・育成していく取り組みが求められます。
私たちの和歌山県は観光県であり、その恵まれた自然環境から生み出される景観は、とりわけ重要な地域資源となっています。特にその景観を含めた価値が認められた世界遺産を抱えているわけですので、景観保護に係る取り組みには積極的な状況が望まれます。
私たちの高野・熊野世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」は2004年に登録されていますが、その登録対象地域となる紀伊山地は、豊かな降水量が深い森林をはぐくむ山岳地帯であり、太古の昔から自然信仰の精神をはぐくんだ地で、神仏習合思想の聖地として信仰を集めてきました。その背景には、深い山々が南の海に迫るという独特の地形や、両者が織りなす対照的な景観構成が大きく影響しています。このような特有の地形及び気候、植生などの自然環境に根差して、吉野・大峯、熊野三山、高野山の3つの霊場が生まれ、そしてそれらを結ぶ参詣道が形成され、世界遺産登録に至っています。
この私たちが誇る世界遺産については、地域の宝として将来の和歌山県民に大切に受け継いでいかなくてはならないもので、そのためにも周辺環境を守り、景観を守っていくことが求められます。
世界遺産には、危機遺産リストといったものがあります。この危機遺産リストというものは、世界遺産としての価値が失われる可能性のある、特に危機的な物件をリストアップして、登録抹消といった事態も視野に入れて警告されるものとなっています。
世界遺産登録は、あくまで、すぐれた自然や文化財をただリストに登録して終わる、そういったものではなくて、それを永遠に保護していくための条約です。そんな中、危機遺産リストに入れられる条件として、近年、景観の視点がクローズアップされるものとなっています。
ことし2007年7月時点で危機遺産リストには30件が登録されているんですが、最近ではドイツのケルン大聖堂が、状況の改善が見られなければ世界遺産から外すと強い勧告を受けるものとなりました。その理由は、私たちにとって重要な示唆を与えるものになっています。
ケルン大聖堂が世界遺産登録されたのは1996年ですが、2004年の中国蘇州における世界遺産委員会で危機遺産リストに入れられることになり、注目を集めました。その注目されたポイントは、景観が問題となっていたことです。それまでの危機遺産リストに入れられる事例の多くは、遺産そのものの価値が損なわれることが問題視されていましたが、ケルン大聖堂の場合は、近隣の高層ビルの建築計画による景観破壊が問題視されていました。遺産そのものの価値は変わらないのに周辺開発による景観破壊の問題を指摘するこの事例は、世界遺産保護に新たな視点を加えるものとなりました。
ケルン大聖堂の件は、勧告を受けたドイツ政府とケルン市が都市計画の一部を見直し、ビルの建築計画を撤回させたことで危機遺産リストから外してもらえることとなりました。
今、世界じゅうで世界遺産を監視し合う体制が強化され、広範な保護策が求められるようになっていて、特に景観問題は世界遺産を保護する上でも非常に重要な視点となっています。
さて、そんな中で、今、我々の世界遺産にも、景観の問題で忍び寄る危機があります。それは、現在急ピッチで進められている風力発電などの建造物による景観破壊です。
現在、風力発電を初めとする自然エネルギーの導入には国も本腰を入れて取り組んでいるところであり、和歌山県にも多くの計画が進められようとしています。この風力発電については、多くの先輩・同僚議員も実際に目にしたことがあると思いますが、とにかく巨大な建造物で、遠くからでも景観に影響を与えるくせ者であり、その立地には注意をしなければ、近隣地域だけでなく広い範囲に思わぬ影響を与えることになります。
現時点で県内に建てられている風力発電は3カ所あって、1つは有田川町の鷲ケ峰風力発電、1つは広川町の広川町風力発電所、そして、もう1つは和歌山市内のノーリツ鋼機が所有しているものです。
先日──これがちょうど広川町の風力発電の写真になります。(写真を示す)現場をちょっと見てきたんですけれども、これは2~3キロ離れたところから撮った写真ですけれども、これだけ大きく見えると。(「きれいや」と呼ぶ者あり)近隣にも、きれいな──写真がうまくきれいに撮れましたんで。ただ、これが全体の風景を壊すということもやっぱり気をつけないかんと。
現在、既に経済産業省で事業認定が採択されている計画として──これから建っていく計画ですよ──広川町と日高川町の境に白馬ウインドファーム事業として20基の建設、また有田川町と海南市の境に有田川風力発電事業として10基、また広川町と由良町の境に広川明神山風力発電事業として16基、また有田市に有田市山地風力発電事業として大型発電機1基が建てられる計画となっています。このほかにも、事業認定を受ける前段階として住民説明会などが行われているものとして、日高町で大平山ウインドシステム事業、これが大型機の20基の建設、また由良町に由良風力発電所事業計画が5基、そして西山風力発電事業として、これも日高町に13基、そして広川町と日高川町にかけて広川・日高川ウインドファームが10基の建設計画を進めている状況があります。
現在の和歌山県には3基の風力発電しかありませんが、ここ数年で一気に87基の巨大な風力発電機が設置される計画が現在進んでおります。これだけたくさんの風力発電機が建設されると、多くの県民も驚くことになると思いますが、しかし、ここで問題なのは、こういった建設について、行政として特に県がそれらを把握し、コントロールする仕組みを持っていないということです。
最初、県の循環型社会推進課さんのほうで風力発電の設置状況について聞いてみたのですが、結果的には、好意で調べてくれましたが、しかし、現在の制度上は、これらの風力発電が建設されるのに県は関知するものではなく、どこにできるのかといった情報すら集約されていない状況にあります。
この風力発電の設置については、今、全国的にも騒音、低周波、景観などさまざまな問題が指摘されていますが、しかし、地権者が了解し、自然公園法などの規制区域でなければどこにでも建てることができるものとなっていて、県としても何らかかわれる状況にはないということです。
そもそも、私自身、この風力発電に係る自然エネルギーの導入については、環境先進県を目指す和歌山県では積極的に推進するべきだと考えていて、決して風力発電の建設自体に反対する立場ではありません。しかし、景観の問題は地域にとって将来にわたり大きな影響を与えるものであり、一定のルールはしっかりとつくって管理監督していくことが必要だと考えます。
例えば、県が監督のもと一定のエリアを限定して集中的に推進するといった方法もあると思いますが、とにかく、現状で世界遺産などへの影響も考えると、県が何もせずほうっておくことはできないものと考えます。あくまで他人事ではなく、何らかの対応を進めるべきだと考えますが、そこでまず、この景観保護全般に関して知事に御所見を賜りたいと思います。
景観に関しては、特にここ10年ぐらいの間にその重要性の認識がますます高まってきていますが、そんな中、風光明媚と評される景観を売りにした多くの観光地を持つ我々和歌山において、それは都市景観のみならず自然景観の保護も重要な取り組みとなると考えますが、知事自身どういった御認識を持たれているのか、お聞かせ願いたいと思います。
また、和歌山の貴重な財産である世界遺産を含めた自然景観の保護に当たっては、明確なルール化を図っていくことも必要だと考えます。これもあわせて知事の御所見を賜りたいと思います。
また、担当部長には具体的な──景観法が施行されてから和歌山県内における市町村において景観保護に向けた取り組みが進められているところではありますが、その取り組み状況、また今後の方針についてもお聞かせ願いたいと思います。
また、現在、国の法令による取り組みでは、主に都市景観にかかわるものが重要視されているところですが、特に和歌山では、都市景観の保護・整備といったこと以上に自然景観の保護に向けた取り組みが重要と考えますが、お考えをお聞かせください。
あわせて、今後は、貴重な景観を保護するために、事前の届け出制など、明確なルールづくりが必要だと考えます。特に世界遺産などでは神経を使うところですが、今後、具体的にどういった取り組みを進めようとされているのか、そのお考えを、これも担当部長からあわせて御答弁をいただきたいと思います。
次に、和歌山発さまざまな観光関連プログラムの旅行商品化に向けた質問並びに提案をさしていただきます。
前回の議会では、和歌山県のすぐれた地域資源である自然環境などを活用して、健康サービス、観光医療など観光ビジネスにかかわる新素材の発掘・開発、そしてその振興策を加速させる提案をさしていただきましたが、今回はもう一歩踏み込んで、これまでの地域資源を生かして開発してきているそれら観光ビジネスの素材となるさまざまなプログラムを旅行商品化していく取り組みを提案させていただきたいと思います。
和歌山県としても、観光のベースとなる魅力ある素材、ほんまもん体験、いやしのプログラムなど数多くあり、その発掘・開発も地道に進めてきてくれていますが、しかし、今後はそれらの素材をばらばらにほうっておくのではなく、一つ一つ丁寧につなぎ合わせて強いブランド力を持った旅行商品に仕上げていくことが求められます。
ことし5月、旅行業法が改正されました。第3種の旅行業者も企画型旅行を催行できるようになります。地域発で旅行商品をつくり、売り出していけるチャンスが訪れています。これまで第1種、第2種の大手・中堅の旅行会社以外では、海外の企画旅行のみならず国内の企画旅行さえもみずから主催することができませんでした。しかし、これからは、第3種に当たる地域に密着した旅行業者の皆さんにも、みずからの手で旅行商品を企画・販売できることになり、大きなチャンスとなります。
また、今、国内旅行自体も大きな変化のときを迎えていて、これまでの大手旅行エージェントによるビジネスモデルも限界となり、旅行消費者の新しいニーズを酌み取った新たな旅行市場が必要とされています。業法の改正から国内旅行の変化、こういったことを和歌山県としても敏感に受けとめ、そのタイミングを逃すことなく、新たな観光振興に向けた積極的な取り組みが期待されます。
これまでの国内観光旅行は、大手旅行エージェントが主催するパックツアーなどによって市場がほとんど独占される状況となっていました。しかし、そのビジネスモデルも曲がり角を迎え、これまでのやり方だけでは通用しない状況が生まれています。
お手元に資料をお配りしておりますが、ちょっとこの表などをごらんいただきたいんですが、国内旅行者数は、1990年代の初頭までは穏やかに増加してきています。その後、現在に至るまで目立った増加は見られず、減少傾向にあります。1990年代後半からは、国内旅行における消費単価も年々減少する傾向にあり、つまりは旅行者数がふえない上に消費単価が下落していく。これによって宿泊を伴う国内旅行の総消費額も下落して、既存の観光事業者は大打撃を受ける状況に陥っています。
さらには、和歌山県が推進してきた海外からの和歌山県への集客数、インバウンド旅行などでも確実に数値を伸ばしているものの、インバウンド旅行の実態は、旅行単価が極端に安く、多くの観光事業者にとっては、国内旅行者数の減少を少しでも補うためのカンフル剤としての役割でしかありません。
こういった状況から見えてくるものは、長期にわたるデフレ傾向、低価格志向が背景にあるとはいえ、旧来からの観光事業者は、残念ながら消費者の求める付加価値の高い商品づくりに失敗しており、消費額の増加をもたらすサービスの提供ができていない実態が浮かび上がってきます。
また、国内旅行の企画商品も低価格化が進んでいます。この一番下の表になりますけれども、特に2001年のテロ事件以降、国内の企画商品も大きく値を下げ、新幹線プラスホテルのセット商品が1万円以下で売り出されるなど、新聞や旅行会社の店頭でも格安ツアーが目につくようになっています。また、大手旅行エージェントから買いたたかれることによって、旅館、運輸サービスなどのダンピング合戦も激しくなり、特に地方の観光事業者にとっては泥沼の状況となっています。しかし、一方で1泊数万円もするという離れを主体とした高級旅館などが半年先まで予約がいっぱいの状況にあるなど、国内旅行でも需要と価格の二極化が進んでいる状況がはっきりとあらわれています。
こういった状況から、今、観光事業者に言えることは、まず1点目として、旅行消費者のニーズに合わせた付加価値の高い、魅力的で個性的な旅行商品の開発を急がなければいけないということ。2点目には、これまでの日本の国内旅行の大きな柱となっていた大量のツアー客を大手旅行エージェントに頼って送客してもらう、いわゆるマスツーリズムのビジネスモデルからの脱却を図らなければならないということです。地域みずからがお客様を獲得するための新たな仕組みづくりを考える、そういった時期に来ているんだと思います。
日本の観光研究で、欧米の先進事例も踏まえてさまざまな視点からそのあり方を提言されてきている東海大学観光文化研究所の宮内順所長も、現在の日本の観光事業について、「ポストパッケージツアーということで、現状ある大手旅行エージェントが主催する発地型のパックツアーは限界に来ている。現在のツアーの原型は1970年前後につくられたものがほとんどだが、そのころのツアー観光と今日のものにはほとんど変わりがない。旅行形態が団体から個人へとシフトしているにもかかわらず、個人旅行への取り組みがおくれ、30年たった今でも同じ商品が売られているのは驚異である。これからの観光事業の1つの可能性は、成熟した旅行需要に対応できる個人ニーズを細かく受けとめられる着地型旅行である」と指摘されています。
今、旅行の形態も変わってきていて、ほとんどが大手に独占されてきたパックツアーの魅力が減少して、特にここ1~2年で着地型旅行という新しい商品づくりが加速し、新たな需要の掘り起しから大きな市場が生まれつつある状況です。
ここで、「発地型旅行」「着地型旅行」と言っていますが、これは耳なれない言葉だと思いますので、ちょっと簡単に説明しますと発地。(パネルを示す)これはもう言葉のとおり、旅行に出発しようとする出発地で企画提案される旅行を指します。これは、大量送迎されるパッケージツアーはほとんどがこのモデルとなり、この形態の問題点は、多くの旅行消費者を抱える東京、大阪など大都市圏の中で大都市圏にある大手旅行会社の企画担当部署において企画されたツアーがほとんどで、そのため目的地、例えば和歌山にお越しいただく際に地域の隠れた情報や地元ならではの魅力をうまく拾い上げることができず、特徴ある個性的なツアーが企画できない状況で、よって、どの旅行会社が主催するパックツアーも同じような内容となり、結果的に価格競争、安売り合戦に陥りがちとなる。
次に、着地型。これが今、和歌山県でも今後取り組んでいくべきと思う着地。これももう読んで字のごとくですが、これは着地である観光地みずから、和歌山の観光地の人たちみずからが主導して旅行商品をつくり出すもので、より深く地域の魅力を引き出し、押しつけでない、旅行者のニーズに合わせたツアーが企画できるのが大きな特徴です。特に、地域の人々が自分たちの手で着地型ツアーを生み出すことで、タイムリーかつ個性的、魅力的なオンリーワンのツアーを生み出すことができ、このことによって、単なる価格競争に陥らない旅行商品づくりが期待されます。
このように、これまでの旅行形態が大きくさま変わりしようとする現在、過去の反省に立つと、今後は大手旅行エージェントが手がける変化の少ない標準ツアーから、地域の魅力をうまく伝える地域発信の着地型旅行への取り組みが急がれることになります。そこでは、まず何よりも地域独自の観光素材、地域の個性あふれるプログラム開発が必要とされますが、この点では和歌山県は、ほんまもんの体験プログラム、また熊野健康村構想のいやしのプログラムなど、全国的に見ても先進の取り組みを進めてきています。あとはそういった観光素材となるプログラムをどのように生かしていくかということです。
国土交通省の観光カリスマ百選にも選ばれ、ほんまもん体験のプログラムを一つ一つ丁寧につくってきてくれている刀根浩志さんは、「今後は、これまでのつくり上げてきたさまざまなプログラムをどのように商品として売り出していけるのか、新たな展開が望まれる。せっかくの魅力ある観光素材を宝の持ち腐れとしないためにも、これまでのやり方にとらわれない新しい観光振興の戦略と、それにかかわる行政を初めとして民間事業者が一体となる体制整備が求められる」と指摘されていました。
そんな中、地元旅行業界の民間事業者の皆さんも、今、意欲を持ち、立ち上がろうとしています。さきに触れた旅行業法の改正もきっかけとなって、自分たちで旅行商品をつくれるという業法の改正から、和歌山の地元旅行業者の集まりである社団法人全国旅行業協会和歌山県支部、その傘下にある協同組合和歌山県旅行業協会の組合員の皆さんの中でも、ぜひ県にも協力してもらって和歌山発、自分たちの手で新たな旅行商品をつくっていきたい、これまでのように大手旅行エージェントに買いたたかれ安売り競争に巻き込まれることなく、オンリーワンのツアーの構築から付加価値の高い商品をつくって旅行商品の利益率を向上させるところから観光事業を立て直していこうという機運が盛り上がっています。こういったタイミングを逃すことなく、ぜひ県庁の関連部署の皆さんにも、もう一歩踏み込んで観光振興に対してお力をおかりしたいと思います。
そこで、担当部長に幾つかの質問並びに提案をさせていただきますが、まず、現在の激安ツアーの増加、ダンピング合戦に陥っている観光事業者の実態についてどのように考えておられるでしょうか。
また、そのようなダンピング、安売りを結果的には主導してしまっている大手旅行エージェントに多くの市場シェアを奪われている和歌山県の観光実態についてどういった評価をされているのか、お聞かせください。
また、こういった状況を私は何とか打破しないといけないと考えていますが、その具体的な方策としては、やはり地元でしかつくれない着地型旅行商品を地元の人間の手でつくり上げることが第一だと考えます。着地でつくられる小ロット、多品種、高付加価値の旅行商品を軸に、和歌山観光の新たなビジネスモデルの構築が急がれると思いますが、御認識をお聞かせ願いたいと思います。
また、法改正も契機として、さきに御紹介した協同組合和歌山県旅行業協会の組合員の皆様もやる気を見せてくれています。これからは、あくまで受け身の観光振興から攻めの観光振興への体制整備が急がれます。そこでは県が主導的な立場で、庁内においては観光振興課を初めとして、ほんまもん体験の観光交流課、熊野健康村を担当されている地域振興課、また、先日新たに観光産業プロジェクトマネジャーとして近藤政幸さんを採用したわかやま産業振興財団などと連携する中で、民間事業者の奮起も促して一緒に知恵を絞って新たな商品づくりに取り組むことが必要だと考えますが、いかがでしょうか。民間事業者も巻き込んだ新たな観光振興に向けての体制整備についてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
最後の質問です。公教育に今求められるもの、その充実策について質問をさせていただきます。
ことし、新たに山口裕市教育長が就任され、和歌山の教育も新しいステージに歩みを進めるものと思います。教育を取り巻く環境は、さまざまな課題を抱え大変だとは思いますが、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
山口教育長は、就任の記者会見の中で、モットーは誠意と気迫であり、現場の先生たちには「子供のことで苦労できるのは幸せなこと。情熱を持って子供たちに接してほしい」と語っておられたようです。また、教育委員会のホームページでは、「今日、社会が急速に変化する中で、社会の形成者としての資質を育成する役割を担う教育は、その重要性が一層増してきている」と指摘されています。確かに、教育にかかわる人の熱意が薄れてきていると指摘される今日、誠意と気迫は重要であり、ぜひお言葉どおり情熱を持って和歌山の教育を前に進めていってもらいたいと思います。
あわせて、社会の形成者としての資質を育成するといった視点は、私も特に重要なことだと思います。つまりは、学校だけのひとりよがりではいけないのであって、学校はあくまで社会に出る準備の期間であり、子供たちが将来社会に出る状況を見通してそのあり方を考えていくといったことが特に大切だと考えます。
今、変化が大きく、非常に厳しい社会環境にあるわけですが、その転機に立つ日本社会の実態に合った教育とはどういったものかを真剣に考える中で、1人でも多くの子供が社会に出てたくましく生き抜けるよう、いま一度教育のあり方を根本から問い直すことが必要だと考えます。
そこで、今回は、私にとって新しい教育長に対しての初めての質問となりますので、特に現在の学校教育に係る基本的な部分について、私なりの提案も含めて幾つかの質問をさせていただきたいと思います。
さて、現在の学校教育の議論をより建設的なものとしていくためには、さきにも触れたように、あくまで小学校、中学校、高校など学校に通う一時期だけを切り取った議論とするのではなく、社会とのつながりといった点をしっかりと押さえて考えなくてはいけないのだと思います。
今、社会は大きな転換期を迎えていて、日本の社会はその質が大きく変わろうとしています。社会が変われば、求められる人材、必要とされる人間像も変わります。おのずとこれまでの教育、公教育の実質的な中身も変化を求められます。
戦後の日本は、安い労働力を頼りに、重厚長大と例えられた産業構造のもと、高度経済成長を果たしてきました。そんな時代には、公教育が担う役割としては、最低限の読み書き、そろばんを保障して、均質な歯車として働く標準化された人材をどんどん生み出すことが求められていました。
しかし、これからの時代には、このような画一化された教育を惰性で続けることは、結果的に多くの子供たちにとって不幸な状況を生み出す可能性があります。小中学校を出て、学力テストによって単純に高校を振り分けられ、確たる目的意識を持つこともなく入学し、卒業し、そして大学または社会人となっていく、そんなことでは、これからの時代を切り開く本当にたくましい人材は生み出されないんだと思います。
日本の社会、雇用環境、社会システムも、今大きく変わろうとしています。いい学校を出たら、ええ会社に入れる、いい会社に入れれば一生安心といった幻想は確実に終わりを告げようとしています。
先日、ベネッセが主催するキャリア教育の勉強会に参加させていただいてきました。そこで、ソニーの人事センター採用担当部長である杉山潤太さんのお話を伺ったのですが、これは大変興味深いものでした。杉山さんは、「ソニーも含め、今の企業採用の体制としては、とがっていようと生意気であろうと全然構わない。とにかく個性のない人間はだめ。ぶこつでもいいから何か光るものを持っている人材が必要とされる」と言います。「今の時代に求められる人材像としては、変化への対応力の高さ、専門性の高さに尽きる」と話されていました。
企業における採用方法も、ここ数年でさま変わりしています。特徴的なのが、採用試験を行うときに学歴を全く伏せて選考する企業が、杉山さんのソニーを初めとして幾つも出てきているということです。それは、単なる歯車となる社員を必要とするのではなく、自立して考える本当の力を持った、困難を打開する知恵のある人間を求めているほかありません。標準的な教育を受け、いい大学を出て、その看板が企業で通用するといった時代ではありません。今の教育には、多様な価値観をしっかりと子供たちに示せるかどうかが試されているのだと思います。
世の中には、現在の学校では教えられていないような価値観、たくさんの仕事、可能性があるわけで、あくまで受験用の学力などは、人生を生き抜く上で、たかだか1つの物差しでしかありません。本来はそのほかにも子供たちが評価されるべき価値基準はたくさんあるわけで、それぞれの子供に合った生き方、個性の伸ばし方を教え諭していくことが重要だと思います。実際に私の周りでも、学校の成績、学歴ではなく、その人の持つ人格、技術、知恵が大いに生かされ、立派に社会で活躍されている人が、この和歌山県、和歌山市にでもたくさんいらっしゃいます。逆に、学歴があっても社会で通用しない人もたくさんいるのも現実です。
私たちの今の社会は、これまでの成功モデルが崩れていく中で、新たな模索を始めなくてはいけない状況にあります。そこでは、まさに学校教育のあり方そのものが問われているんだと思います。その答えは決してこれまでの延長線上にはなく、また応急処置で取り繕えるものでもありません。今の子供に本当にたくましく人生を生き抜いてもらいたいと望むのであれば、その子の持つ個性、特徴を徹底して伸ばすことのできる学校教育、教育環境を与えてあげることが必要です。個性、特徴を伸ばしてこそ、社会に出て自分の役割をしっかりと見出して、また周りからも必要とされる人間になれるのだと思います。
物をつくるのが得意、手先が人並み以上に器用なのも立派な個性、パソコン大好き、記憶力が抜群、勉強が得意なのも個性、また運動が得意、スポーツ能力が際立って高いのも恵まれた個性です。そういった個性、特徴をしっかりと受けとめてあげて、人と違うところに自信を持たせ、それを伸ばしてあげられる教育が必要だと考えます。
子供のそれぞれの個性を見守り、その特徴を大切に育ててあげられる環境づくり、また、できるだけ早い時期から自分の人生、自分の将来のことについてももっと深く真剣に考えられるよう導いてあげられる教育が今必要とされているのだと思います。
さて、そこで幾つかの質問をさせていただきますが、まず最初に、新たに教育長に就任された山口教育長に対して、改めて現在の公教育に係る取り組みの基本姿勢として、和歌山県の公教育全般についてどういった将来ビジョンを持って、どういった人材をこの和歌山から輩出されようとしているのか、できるだけ具体的にお答えをお聞かせいただきたいと思います。
また、その教育の将来ビジョンの中における併設型中高一貫教育の位置づけについて、その意義、そして今後の方針についてどのように考えておられるのか、お聞かせください。
来年には日高地方で本県で5例目となる新たな中高一貫校が設置されますが、基本的には私自身も、現在和歌山県が進めている中高一貫の取り組みは大きな期待を寄せるものです。それは、あくまで受験用のエリート校をつくるのではなく、公教育の多様性を確保し、子供の個性を伸ばしていくすぐれた取り組みだと考えるからです。そのような視点を持つ中では、今後の取り組みとしては、もっと多様な特色を出した一貫教育を検討する必要があるのだと思います。
例えば、これは前の教育長のときにもお願いしていて、今回また新たに山口教育長にも御所見を賜りたいんですが、現在ある高等学校の特色を生かして、和歌山工業など、物づくり、マイスターの養成校とする中高一貫の実現、また県和商などでは起業家、商売人の養成校、また和歌山北高などではスポーツ強化校となっていますので、その特徴を生かした中高一貫による環境整備など、それぞれに明確な特色を持たせて子供に選択肢を与えていく。そこでは、決して勉強といった一元化された価値基準ではない学校の選択が行われ、その中で胸を張って、自信を持ってそれぞれの学校に入学していく。公教育による、例えば工業専門の中高一貫などは全国にも例のないもので、もし実現すれば和歌山県が新たな中高一貫のあり方を示し、他の先駆けとなって新しい公教育の扉を開くことが期待されます。
こういったことを含め、今後は、教育改革といった大きな視点を持つ中で、既存の小中学校も連動して教育のあり方そのものについて大いに議論を深め、地域全体としての子供の育つ環境の抜本的な改善に取り組んでいただきたいと思います。
また、今後、中高一貫に取り組む県教委にとっては、義務教育、特に市町村で管轄されている小学校への指導も重要になってくると考えます。そこでは、単純に受験への対応といったものではなく、中学校を選択する上において、自分の将来、これからの人生といったことについても主体的に考えられる指導のあり方などが重要になってきますが、このような視点も踏まえて、小学校への対応についてお考えになられているところがございましたらお答えをいただきたいと思います。
あわせて、和歌山教育のグランドデザインといった点について。
今、学校を取り巻く環境は、ゆとり教育の見直しなど大きな変動期にあり、この大きな変化の時代だからこそ、将来を見据えて和歌山独自の教育のグランドデザインをしっかりと描くべきときだと思います。和歌山の公教育の未来について明確に青写真を描き、どのようにして子供の個性、1人1人の能力を最大限に引き出す教育環境をつくり上げ、そして社会に出てもたくましく生き抜いていける人材を育てていくのか。そこでは、ころころ変わる教育方針ではなく一貫した方向性を示し、ぶれなく人材育成に努めるためにも和歌山教育のグランドデザインを策定することを提案いたしますが、教育長の御所見を賜りたいと思います。
以上で、私の1問目の質問を終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの山下大輔君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、景観についてのお答えを申し上げたいと思います。
近年の社会経済の成熟化や価値観の変化に伴って、人々の景観への意識の高まりを背景に景観法が平成16年6月に制定され、良好な景観の保全あるいは形成を行う仕組みが整備されておりますことは、議員御指摘のとおりであります。
本県には、御承知のように、美しい自然景観や高野山、熊野三山、熊野古道などの世界遺産を含む歴史文化資源も数多く残っております。このような景観の保全は、これからの観光の振興を考えても本県の重要な課題であるというふうに認識しておりまして、世界遺産を初めとする和歌山県固有の自然、歴史文化を保全、継承し、地域の個性を生かした景観の形成を図り、後世に伝えることは特に重要であると考えております。
こうした観点から、私は就任以来すぐに景観条例の制定を提唱いたしまして、現在それを2月の県議会に向けて提出するように準備しているところであります。
こうしたことを踏まえまして検討しておりますが、その検討に際しましては、実は、景観法そのものをつくるに当たりまして一番力のあった東京大学の西村先生を座長に、学識経験者、地元関係者に参画いただきまして和歌山県景観条例等検討委員会をつくりまして、ここで意見をいただきながら景観施策を今つくり上げつつあるところでございます。
ただ、風力発電のお話がありましたけれども、私は、地域の特色によって、その景観のあり方、要求される景観のあり方も違ってくると思っております。すべての地域で同じような景観でなければならないということではないと思います。
また、県について全くこれについて関与してなかったというふうにもとれる御発言がありましたが、自然公園法とか、あるいはその条例の見地から十分チェックをしてきたというふうに考えております。
したがいまして、要は、こういう問題も含めまして、その地域地域が持っている景観的価値をどうすれば一番長く保全して、それで多くの人々にアピールできるか、そういう見地から特色のある景観のあり方を考えてまいりたいと思っております。
○副議長(新島 雄君) 県土整備部長茅野牧夫君。
〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 和歌山県の景観保護に向けての具体的な取り組みについてお答えいたします。
和歌山県といたしましては、良好な景観を保全・創造し、美しい県土の実現を図ることは大変重要なことと考えており、市町村とも連携を図りながら平成19年5月に和歌山県景観条例等検討委員会を設置し、景観法に基づく景観条例等の検討を進めておるところでございます。
今後、この委員会での協議、検討を行って広く県民の御意見をいただくパブリックコメントなどを実施し、今年度中の景観条例制定を目指して取り組んでまいりたいと考えております。
議員御指摘の届け出制度、それから仕組みづくりなどにつきましては、今後の検討課題であると考えております。
○副議長(新島 雄君) 商工観光労働部長永井慶一君。
〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 和歌山発さまざまな観光関連プログラムのツアー商品化に向けての4点の質問につきまして、一括してお答えさしていただきます。
いわゆる激安ツアーが登場する背景といたしましては、1人当たりの旅行回数の減少や消費単価の低迷など、厳しい状況が続く現状があるものと十分認識してございます。こういったことにより、旅行エージェントなどにおいて話題喚起のため、あるいは経営上の都合により限定的に実施する場合、また、構造的には近年の旅行形態の変化の中で大型団体旅行から個人旅行へのシフト、高級あるいは安価な旅行商品への指向の二極化が急激に進んでおり、こういった変化への対応の1つの顕著な例が激安ツアーであると考えております。
次に、大手旅行エージェントに関してでございますが、団体旅行などの旅行形態につきましては、販売網が充実している大手旅行エージェントの本県への誘客に果たす役割は極めて大きいものがあるものと考えてございます。しかしながら、近年、旅行形態の多様化やインターネットの普及、また、本年5月には旅行業法施行規則が改正され、第3種旅行業者が一定の条件のもと募集型企画旅行を実施できることとなるなど、地域に密着した中小の旅行エージェントが活躍でき得る条件が整ってきたものと考えてございます。
本県では、従来より、ほんまもん体験など着地型の旅行商品を開発し、昨年の体験型観光客は25万9000人を数えるなど一定の成果を上げているところでございますが、引き続き地域の旅行関係者との連携を図り、議員御提言の視点を持ちながら地域の特性を生かした観光振興を進めてまいりたいと考えてございます。
県におきましては、観光振興アクションプログラムを策定したところでございますが、策定の目的には、県が実施する施策の体系を立てることに加え、旅行業者など観光事業者の皆様やNPO、地域で活躍されている方々との協働を呼びかけるメッセージの意味を込めているところがございます。これに基づき、県庁内の関係部局との連携はもちろん、外部からのノウハウの導入、さらには関係事業者の皆様方とともに観光立県和歌山の実現に向け精いっぱい努力してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 教育長山口裕市君。
〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 公教育のさらなる充実についてお答えいたします。
本県の公教育を進める上で大切にしたいと考えておりますことは、次の2つのことがございます。まず第1は、児童生徒の不登校ですとか暴力行為、中途退学など、厳しい状況にあるさまざまな教育課題を解決することでございます。第2は、これと同時にすべての子供たちの発達可能性を引き出し、自分と同じように他の人や自然を大切にする豊かな知性や感性を備え、社会の形成者としてよき社会人、職業人として自立し、変化の激しい社会を生き抜いていく資質や能力を育てることでございます。
そして、この2つの願いは、別々の課題ではなく、本県の教育、つまりは子供たちが元気になるために一体として達成していかなければならない課題であるととらえてございます。そのために、すべての学校において、よりきめ細かな指導によって確かな学力を獲得し、自信を持てるようにするとともに、生涯学習の基礎を養い、よき市民、よき市民のリーダーの育成を目指す市民性を高める教育やキャリア教育を発達段階に即して充実させることが重要であると考えます。
また、それには、学校教育と社会教育の連携、融合によりまして、学校と地域、家庭がそれぞれの役割を果たしながら一体となって子供の成長を支える体制の確立ですとか、教職員の研修の一層の充実、よりよい教育環境の整備などが不可欠であると考えます。
次に、中高一貫教育につきましては、6年間の継続した学校生活を有効に活用し、生徒1人1人の個性や創造性を最大限に伸ばすことを目的といたしまして、計画的に設置を進めてまいりました。既に設置いたしました併設型の4校では、総合的な人間力の育成を目指すなど、それぞれに特色のある教育課程のもとで、充実した教科学習や体験活動、クラブ活動などが展開されてございます。
しかしながら、設置以来、何分にもまだ日が浅く、期間をかけてその成果を検証する必要がございますし、教育システム全体の中では乗り越えなければならない課題もございます。したがいまして、職業に関する学科などさまざまな学科での導入につきましては、特色化を進める方法として有効かと存じますけれども、保護者や地域のニーズ、普通教育を旨とする中学校教育課程との関連、小学校卒業段階での進路意識の発達などを考慮しながらじっくりと研究してまいりたいと存じます。
小学校教育につきましては、この時期が子供たちにとりまして、人格形成においても、将来の社会的自立、職業的自立のためにも、その基盤を形成する大切な時期であると認識してございます。そのため、確かな学力と豊かな感性をはぐくむとともに、さまざまな体験活動を通じまして社会性を養い、自己の個性を伸ばし、将来の夢や希望の実現に向けて努力しようとする意欲や態度をはぐくむことが重要であると考えますので、中高一貫教育との関連におきましては、偏った受験競争をあおることのないよう十分に配慮しなければならないと考えてございます。
最後に、和歌山教育のグランドデザインの策定についてでございます。
教育改革が急速に進められる中、本県における中長期的な教育方針や施策の内容等について県民にわかりやすく示すということが大変重要だと認識しております。冒頭にお答え申し上げましたビジョンを実現できるよう、現在、本県で検討が進んでございます新長期総合計画において教育施策の方向性を示すとともに、新教育基本法において規定されました教育振興基本計画の中で、本県における教育の目標とその達成のための基本的な方向を示したいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再質問を許します。
18番山下大輔君。
○山下大輔君 御答弁いただきましたので、再質問させていただきます。
まずは、景観保護について。
知事から御答弁もいただきました。景観施策の積極的な取り組み、ぜひお願いしたいと思います。
知事もおっしゃいましたように、地域ごとに特色あっていいんじゃないかと、全くそのとおりやと思います。風力発電なんかでも、ヨーロッパの例にもありますように、例えば近海でその風力発電の風車を集中して建てさせると。そういうものが逆に観光名所になる可能性もありますので、そういうことも含めて、守るべきものは守ると。逆に、新たな景観をつくり出すということもあり得ると思いますので、ぜひそういう部分でしっかりと管理監督、コントロールをしていっていただければなというふうに思います。
次に、観光振興のツアー商品化について。
ちょっとこれ、ダンピングということについては触れられてなかったんですけれども、そのダンピングというのが旅館、例えば運輸関連の業者さんにとったら、かなりやっぱり厳しい状況になっていると。観光バスの事故なんかでも、ニュースなんかでも記憶に新しいとこですけれども、安く買いたたかれるために就労状況というのもかなり厳しくなって、労務管理もできやんようになってくると。そういう部分では、本当にその安く買いたたかれやん、付加価値の高い、和歌山でしかできやんツアーというのをどうやってつくっていくかというようなことを──ちょうど法改正もありましたんで、これから希望あると思てますんで、ぜひ私自身も一生懸命取り組んで民間事業者の奮起も促しますんで、お力をかりて頑張っていきたいと思います。
最後、教育問題についてですけれども、誠意ある御答弁、ありがとうございました。大方の部分はよく理解できましたんで、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
ただ1点だけ、中高一貫のことですけれども。これは、文科省のいろんな資料を見さしてもらっても、全国の取り組みをいろいろ調べてみても、ほとんど中高一貫について悪い話てないんですね。いいという利点が確かに多いと思うんですけれども、ただ、いいことが多いということで、そしたら全部中高一貫にしてええんかと。そういうもんじゃないです。それ、ちょっと考えていったらね。でも、今は地域1番校をつくってるだけに、普通科だけであったらなってまうん違うか。結局、私学といい生徒を取り合ってるだけ。いいところを、青田買いじゃないですけれど早くとってるんで、結局いい学校になってるという結果的なことになりかねやん。
だから、やっぱりその中高一貫の本質をもう一回考えたときには、専門科ということは必ずこれは将来出てくることやと思いますんで、ぜひそういうことも視野に入れた和歌山なりの中高一貫のあり方というのをぜひ御検討いただきたいと思います。
以上、要望3点で終わらしていただきます。
○副議長(新島 雄君) ただいまの再質問は要望でありますので、以上で山下大輔君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時37分散会