平成19年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 44番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 さきの地方選挙では、無投票で、引き続きこの場にお送りいただきました。無投票であっただけに一層身を引き締めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
 さて、議長のお許しを得ましたので、質問に入らせていただきます。
 第1の柱は、官製談合の問題にかかわってであります。
 この問題については、仁坂知事が就任されてからも、それ以前からも、本会議でも全員協議会でも繰り返し議論されてきました。これまでの県議会及び知事とのやりとりの枠組みを整理してみたいと思います。
 日本共産党議員団は、このたびの官製談合問題が明らかになったときから、百条委員会を開いて議会として真相解明することを主張し、その後も、この問題について特別委員会を設置するなど主張してきたところであります。
 県議会全体としては、私たちの主張で合意するには至らず、2回の全員協議会で真相や今後の方向をただすことになりました。その場合も、私ども県議団はそのことに協力し、多くの質問項目を提出してきたところであります。
 一方、仁坂知事はと言えば、真相解明については裁判の結果を見守るという態度をとり、今後こうした問題を起こさないように公共調達検討委員会を立ち上げました。それでも県議会で、「真相解明なくして、こうした問題を繰り返さない施策ができるのか」という質問に、「もちろん、真相解明も含めてやります」、こういうふうにお答えになったところです。
 公共調達検討委員会報告書について言えば、官製談合の真相解明というものにはほど遠いものですが、談合をなくすシステムについての提言を行いました。それなりの専門家の皆さんの提言でございますから、今後さまざまな注文もつけながらも、それが有効に働くかどうかを見守っていきたいと思います。
 政治と金という問題、この問題については和歌山県職員倫理規則と監察査察制度でクリアしているということでございます。こうした枠組みで、今、議論が進んでおります。私たち県議団がつくろうとした枠組みとは少し違うわけですが、この枠組みは一応の前提としてお伺いしたいと思います。
 まず、知事にお伺いいたします。
 第1は、知事は、この談合事件にかかわる問題はすべて判決が出て事実が明らかになった上でとしているように思われます。しかし、司法の判断を待たずに行政として解明すべき問題もあると思います。秘書課がかかわった金の問題はその1つです。これについては、他の議員の方が取り上げられました。
 ほかにもあります。検察の冒頭陳述では、「被告人は、自己の選挙基盤の確立を図るため、県内業者が受注する小規模な公共事業について、県知事選挙で自己を応援しなかった業者を指名業者から外すように水谷に命ずるなどした」と述べられています。これが事実であれば、前知事の職権によって地元の業者が被害を受けているわけです。現知事として、判決を待たずとも事実を把握し、損害がどうなのか、そのために倒産に追い込まれたような業者があるのかどうかなどを調査して対応するのが当然と考えますが、いかがでしょうか。
 また、公判の中で、小佐田前副知事に70万円が渡ったという指摘がなされています。知事の態度としては裁判が確定した上でということになるんでしょうが、相手は、刑事被告人ではなくて円満退職された前副知事でございます。事実とすれば自主的に退職金を返還するなどの話もあってもいいと思うんですが、そんな話はないのでしょうか。
 次に、選挙と利益誘導の問題です。
 木村知事をめぐって起こった問題の根本は、選挙で有利な立場をどうつくるかということに発しているように思われます。その点では、建設業者などによる選挙の応援、個人名義であれ、資金の提供をどう考えるかということが大きな問題になります。
 そこで、和歌山県職員倫理規則がつくられました。大変読みづらい文章でございましたが、読ませていただきました。
 最初に、利害関係者の定義が出されます。認可を受ける事業者、補助金を受ける団体、入札業者など8項目が利害関係者として挙げられています。次に、利害関係者との間でしてはならないことというのが挙げられています。例えば、利害関係者とゴルフなどすることというのも1つの項目として挙げられているわけです。
 この倫理規則というのは、法律では罰せられないけれども、県民の誤解を避けるために疑われるようなことはしないということでしょう。
 「李下に冠を正さず」という言葉があります。結構なことでございます。この規則は、一般職員だけでなく、知事を含めて縛るというところに他の多くの自治体との違いがあるんだという話もお聞きしました。それならば、選挙のとき、利害関係者からの推薦状を選挙事務所に張り出したり選挙資金の提供は遠慮するんだろうなと思いながら読んだわけでございます。
 ところが、知事のこれまでの答弁を振り返ってみると、2月県議会で知事は、「私の県政に取り組む姿勢に賛同していただける方からの政治活動に対する支援については、政治資金規正法の関係法規に照らしまして適切に処理すればよいと考えております」とお答えになっている。建設業界からの政治資金、政治献金もいただきますということでございます。これでは、法律以上に倫理規則で厳しく身を律するということを決めていても、それが政治家である知事に対してはじゃじゃ漏れということになるんではないでしょうか。
 せっかく職員倫理規則で、職員としての、そして職員のトップとしての知事の姿勢を示したわけですから、政治家としての知事についても、利害関係者との関係を疑われることのないようにみずからを律すれば大変立派なことだと思うし、県民の信頼も大いに高まると思うんですが、いかがでしょうか。
 第2の柱は、大滝ダム追加予算支出についてであります。
 大滝ダム追加予算については、第1日目の討論でいろいろな議論がありました。私は、極めて素朴な県民の立場から疑問を提出させていただきたいと思います。といいますのは、このダム建設というようなことについては、普通世間では通用しないことがこの業界と行政の間では常識になっているように思われるからでございます。
 大滝ダムは、1962年に実施計画調査が始まり、65年に事業着手。当初計画の事業費は230億円、県負担は25億円でございました。ところが、5回の基本計画変更で230億円が3480億円に、25億円の県負担が437億円に膨れ上がってしまったわけです。
 当初、県議会は、25億円の負担でダムができるということで事業計画に同意したわけでしょう。わかりやすい例え話をすれば、「1000万円で家が建ちます」と言われて工務店にお願いをした。ところが、「あと1000万円出さないと雨漏りのする家しかできません」と言われた。さらに、「あと2000万円出してもらわないと地震が来たらつぶれます」と言われた。こんなことをする工務店があったら、これは悪質業者というふうに言われます。ところが、こういうことが、大滝ダムに限らず、この業界と行政の間では何回も、何倍にも事業予算がふえることが当たり前になっています。もし、最初の25億円という見積もりが過小なものであったとすれば、これは過小な見積もりで事業を開始することを議会に同意させたというふうに言われても仕方がないと思います。
 こうした、当初予算が膨れ上がるのが常識になっているダム建設の中でも大滝ダムのケースは、またこれが異常な膨れ上がりになっています。その原因は、もともと地すべり地帯としてここにダムをつくることに危惧を表明する専門家の意見もあったのを無視して、ダム建設ありきで進めてきたことにも問題があったのでしょう。しかも、その計画変更は国の主導のもとで進められてきたわけです。そして、その上で、このたび新たな地すべり防止で160億円の追加予算を組む、和歌山県も負担してくれという国からの押しつけであります。
 こんなずさんな計画、県民への負担押しつけが許されるでしょうか。「ここまでつぎ込んできたのだから、我慢してついていくほかない」ということでは、県民は納得できません。
 まず、こうした予算が16倍に膨れ上がるような計画をしたことの国の責任はどうなのか、無批判にそれについていった県のやり方はこれまでこれでよかったのか、どういうコンサルや企業がこの仕事を請け負ったのか、そのコンサルや企業の責任はどうなのか、それがはっきりするまではお金は出せないという態度を明確にすべきだと思います。
 2月和歌山市議会では、和歌山市長は、新たな負担はできない、払うつもりはないと態度を表明しています。
 そこで、県土整備部長にお伺いいたします。
 国が計画し、県が協力してきた工事がこれほどまで計画の変更があり、国民、県民負担が膨れ上がったのはなぜなのか。その原因を県民に明らかにしていただきたいと思います。
 知事にお伺いいたします。
 国が主導し、計画変更し、予算が膨れ上がったわけですから、国の責任を厳しく追及する必要があるし、今回同意することは少し保留されたほうがいいと考えますが、いかがでしょうか。また、増額分は基本的に国が負担すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 第3の柱は教育問題でございます。
 第1は、学力調査問題です。
 文部科学省が実施する学力調査が実施されました。さまざまな批判があり、愛知県犬山市が参加しなかったことが報道されています。
全国一斉学力調査への批判としては、その結果が学校間の序列化につながり、そのことが学校教育にゆがみをもたらすことが挙げられています。
 私も、4年前に、この県議会での最初の質問で、1960年代の全国一斉学力テストで「愛媛残酷物語」とまで言われた教育のゆがみが生じたことを紹介し、和歌山県での学力状況調査について懸念を表明しました。
 このたびの全国一斉学力調査について、国会での論戦では、文部科学省は学校ごとの結果公表はしないと答弁していますが、それでもそれぞれの学校の公表が結果として序列化につながるのではないかという心配が論議されています。
 さらに、5月17日の朝日新聞に、「全国学力調査 町が『特訓』」「本番直前 独自の問題集」という見出しの記事が載せられました。広島県北広島町教委が、調査の直前に出題内容が類似した独自の問題集を作成し、時間配分や解き方を児童生徒に指導するよう各中学校長に指示していることがわかったという報道です。その記事の中で、評論家の小宮山博仁さんの話として、「今回のケースは氷山の一角で、同様の例はほかにもあるのではないか」という声を紹介しています。
 和歌山県では、文部科学省が実施した学力テストよりも、もっとある面では問題のある学習状況調査が4年前から実施されてきました。「もっと問題がある」とはどういうことか。
 第1は、文部科学省の学力調査は、学校ごとのテスト結果を統一して発表することはしていません。ところが、和歌山県では、生徒数が極めて少ない学校を除いて、学校ごと、問題ごとの正答率を公表しています。学校ごとの合計はないのですが、問題ごとの正答率を合計して学校ごとに比べてみれば、学校ごとのランクづけ、序列化は簡単にすることができます。
 第2の問題は、文部科学省のテストは小学校6年生と中学校3年生だけを対象にしたテストですが、和歌山県では、小学校4年生から中学校3年生まで、全学年を対象にしています。同じ児童生徒が毎年テストを受け、その結果が、毎年、学校ごと、学年ごとに公表されているわけです。ここでは、広島県の町教委が事前特訓をしたようなことを現場の教員がしたくなるような誘惑が起こります。広島の問題は人ごとではありません。
 さらに、私は、毎年繰り返される学力テストと学校ごとの結果公表によって、現場の先生方がプレッシャーを受け、特に若い先生方に教育観のゆがみが生まれるのではないかということを何よりも心配しています。
 そこで、教育長にお伺いいたします。
 この際、学習状況調査というものをやめられてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。少なくとも、小学校4年生から中学校3年生まで毎年のテスト、そして学校ごとの結果公表ということはすぐに見直しを検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 教育問題の第2は、高校再編、大成高校問題であります。
 数年前、高校再編、大成高校や古座高校の統廃合の計画で県教育委員会への厳しい批判が起こりました。8月という時期の突然の発表への批判ということもありますが、私は、4学級以上でないと高校として維持していけないという考え方にも問題があると思います。1学年1学級の高校分校も存在意義があり、分校サミットというものまで行われたのです。その中間である1学年2学級、3学級の高校が絶対にあってはいけないという道理はありません。
 ただ、念のために申し上げておきますが、私は、幾ら小さくなっても学校を存続すべきだと申し上げているわけではありません。生徒数が少なくなった学校を存続するかどうかは、教育的効果、地域における学校が果たしている役割、財政面から見た費用対効果など、さまざまな面から検討しなくてはなりません。
 高校再編、統廃合提案は、大成高校や古座高校に大きなダメージを与えました。というのは、統廃合されるかもしれない高校なんかに行きたくないという、高校を選択するときのマイナスのイメージをつくり出したからです。それにもかかわらず、大成高校で言えば、お隣の海南高校が1学級増になったにもかかわらずこれだけの生徒が集まったことは、一定の評価もできると思っています。
 地元の皆さん、中学校育友会、地元町長、大成高校育友会などから、いろいろな要望が出されています。今月の18日にも、紀美野町の町会議員さんほとんど全員でおいでになり、地元の尾崎要二議員、藤山将材議員とともに、私も同席し、知事への要望をお渡しし、教育長にお会いして要望したところでございます。皆さんの共通の声は、紀美野町から高校をなくさないでほしいということであります。
 そこで、教育長にお伺いいたします。
 私は、高校再編、募集停止の提案が大成高校や古座高校に打撃を与えたと申し上げました。この計画の見直しが行われたとき、文教委員会でこのことを申し上げ、県教育委員会は大成高校などを支援すべきだと要望したところであります。
 教育委員会は、この2年間、大成高校を盛り上げるためにどういう努力をなさってきたのか、お聞かせください。
 次に、生徒数が少なくなった学校を存続するかどうかは、教育的効果、地域における学校が果たす役割、財政面から見た費用対効果など、さまざまな面から検討しなければならないという私の意見についてどうお考えでしょうか。そして、大成高校、古座高校について、機械的に、基準を割ったから2年後であろうと募集停止しかないということではなくて、さまざまな可能性を探るべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 最後、第4の柱として、プレジャーボートと津波防災問題についてお伺いいたします。
 私は、これまでも、海南市が大変津波に弱い町であることを申し上げて堤防補強など訴えてきました。また、水門の自動化など行われたことへのお礼を申し上げたこともありました。
 このたび、来年度政府要望にも、海南市の堤防補強など、かなり大規模な防災対策を盛り込んでいただけていることは大変ありがたいことでございます。
 海南市で津波防災の話し合いがありますと必ず出てくるのは、津波になると船が打ち上げられて第2次災害を生むという話になります。以前にも、地元の自治会長さんからも知事あてにこの問題で要望や質問が寄せられて、その回答も会長さんから見せていただいたことがあります。しかし、こうした質問への県の回答を見て、地元住民の多くの方は、県はこの問題について本当に危機感を持ってくれているんだろうかという不満を持っています。
 そこで、私は、放置艇についての担当課が持っているデータをいただきました。和歌山下津港エリアで、マリーナなどに保管されているのは830隻ほどですが、2140隻ほどの放置艇があります。和歌山下津港区域というのは、和歌山市から有田までの大変広い区域です。その中で、海南市の黒江湾周辺、海岸線で言うと、この広い区域の中の大体40分の1になる。その40分の1の地域に860隻ほど、約3分の1の放置艇が集中しています。
 私が黒江湾周辺と申し上げましたのは、こちらから海南へ向かっていって毛見のトンネルを越えた向かい側──まだ和歌山市ですが──それからこの海南、清水、そういう周辺の地域のことでございます。しかも、この地域では、放置艇が係留されている地域が住宅地に近接しているわけです。このように見れば、この地域から、放置艇対策はどうなっているのかという県への強い要求が出ることは、全くもっともなことであると思います。
 今度この問題を私が県議会で取り上げるんだというふうに地元の皆さんに言いました。5~6人でも集まって意見を聞かせてくださいと言いましたら、何と40人も集まってくださいました。皆さんの関心の高さ、危機感にびっくりしたわけでございます。参加者の皆さんから、たくさん意見もいただきましたし、また最近、仁坂知事が海南の商工会議所においでになって懇談会を開いたときもこのことを強く要望したんだというお話も伺いました。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 津波が来ると放置艇が住民を脅かすという海南市周辺の住民の危機感を共有していただけるでしょうか。また、その地元住民の御意見をお聞きになっての御感想も含めてお聞かせいただきたいと思います。
 そして、県土整備部長にお伺いいたします。
 直ちに対策が必要です。どういう対策をしていただけるのか、お答えください。
 以上で、私の第1回目の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、御質問のうちの官製談合問題、特に県として独自に対処すべき問題ということについて御答弁申し上げます。
 官製談合につきまして、県として独自に対処すべきということでございましたけれども、いろいろ議員御指摘のようなお話が大阪地方裁判所の公判におきまして述べられているというようなことを聞いております。
 本件の問題については、しばしばこの場で申し上げておりますけれども、権限のある検察庁が調べておられること以上のことを権限のない人たちが何度調べても、それ以上のものは出てこないんじゃないかと。今やることは別のことであって、これ以上こういう問題が発生することがないようなシステムをつくるということに全力を挙げてやっていく。しかし、これは何も、不問に付すとかそういうことを申し上げているつもりはないので、ありとあらゆる材料を集めて、それがそろったところでしかるべく対処いたしますと、こういうことを申し上げているわけであります。一貫して申し上げております。
 今回の談合事件のすべての判決を、判決理由、証拠書類等明らかになった段階で、それを十分精査いたしまして、必要があれば事実関係を把握し、適切に対応してまいりたい、こういうふうに考えております。
 それから次に、職員倫理規則と、それから政治資金問題ということでございました。
 職員倫理規則、この間つくりました。これにつきましては、公人としての職務執行の公平さに対する疑惑や不信を招くような行為を防止し、公務に対する県民の皆様の信頼を確保するために、知事、副知事を含む職員の行動規範を定めたものでございます。
 こうした行動規範にのっとり、萎縮することなく堂々と県民や企業の方々とおつき合いさせていただきまして、得られた有益な情報を今度は県政に生かすということで設けたものでございます。
 一方、政治資金につきましては、私の県政に取り組む姿勢に対し、あるいは県知事としての私自身を応援していただくというようなことで政治活動に対する支援でございますので、これは政治資金規正法等の関係法令に照らしまして、もちろん適切に対処しなけりゃいけないということでございます。
 私は、利害関係人というのは、自分の気持ちといたしましては、和歌山県民全員だと思っています。なぜならば、私は和歌山県民を幸せにするために公人としての立場を行使しているということでございます。そのときに、和歌山県知事として頑張れというふうにおっしゃってくださる、そういう方々、県民の方々の特定の人だけを排除するつもりは全くありません。なぜならば、もし利害関係者が県民全体であるとすれば、私の後援会などをつくろうとすれば、県外の人だけが会員になるということになろうかと思うわけであります。
 一方、もちろん公人としての権限の執行あるいは権力の執行につきましては、特別の人だけ利益を享受するとか、そういうようなことは全く考えておりませんで、これは県のルールに従い、あるいは、みずから定めたルールですけれども、倫理規則等々に従いまして身を厳密に律していくという所存であります。
 それから、大滝ダムでございますけれども、大滝ダムの追加支出、特に県の負担金支出についての御質問でございました。
 これは、白屋地区というところがダムの斜面にあります。前面すべりという日本で初めて確認された発生機構によって、実は実験的に水をためようとしたときに昨年起こった、ほかに同様な地すべりがないかということを調査した結果、対策が必要と判断されたところが2カ所あるということなものですから、これについて対策を国として打たなきゃいけないという御説明があったわけであります。
 本県がこれについて同意しなかった、あるいはこれについて例えば反対をしたということになりますと、大滝ダム事業は中断または中止になります。なぜならば、大滝ダム建設事業の負担金につきましては、河川法第60条第1項及び特定多目的ダム法第7条第1項等の規定によりまして、県、和歌山市、橋本市等の負担が義務づけられていることからであります。したがって、法的には、国だけがこれを負担せよということは認められてはおりません。
 私は、例えばこの問題が中止になりまして伊勢湾台風のような事態になったときに、だれが責任をとるのかというようなことに考えをいたしたときに、余り愉快ではありませんけども、どうしても同意せざるを得ないというふうに考えた次第であります。なぜならば、このダムを中止したときに、あのような問題が起こったときに洪水に対する流域住民の安全が確保できないからであります。したがって、議会にお求め申し上げているような考え方で本件の問題を対処したいと私は考えました。
 それから、プレジャーボートについてのお話でございました。
 共感を持っておりますので、したがってこの問題を、私の就任以来、急いで対処しようとしているところであります。
 放置艇問題は、船舶航行の障害になるというのは当然ですけれども、津波、高潮等のときに、これが害をなすということもあります。また、景観の悪化などもあります。したがって、喫緊の問題と認識しております。
 このため、法令や条例等に基づく放置艇禁止区域の設定等の規制強化に取り組みたいと思っております。同時に、施設整備等の受け皿を考えて、このプレジャーボート等々が和歌山の雇用にも、またマイナスの意味合いを持たないようにしたいということも考えながら急いで進めていきたいと考えております。
○議長(中村裕一君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 大滝ダムの問題とプレジャーボートの問題についてお答えをいたします。
 大滝ダムの5回の計画変更についてでございますが、大滝ダムの建設は、伊勢湾台風直後の昭和37年に着手され、現在に至るまで事業が行われております。
 この間、昭和53年の第1回基本計画の変更では、紀の川全体の治水安全度を見直す中で、ダムの洪水調節機能を大幅に向上させるための抜本的な計画変更が行われております。
 その後、物価上昇に加え、第2回から第4回の変更においては、ダム機能の安全性の向上を図るため、堤体工、放流設備等の見直しが行われております。
 第5回変更及び今回の変更につきましては、それぞれ白屋地区及び大滝・迫地区の地すべり対策のための増額となっております。
 次に、プレジャーボート問題でございます。
 県では、限られた予算の中、優先順位をつけて放置艇対策を進めており、和歌山下津港内港地区において、平成15年の築港小型船舶係留施設に続き、本年8月には湊第一小型船舶係留施設の供用を開始しております。
 海南周辺においても放置艇対策は重要な問題と認識しており、今後、ソフト・ハードの両面から具体的な対策を検討してまいります。
○議長(中村裕一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) まず、学力診断テストについてお答えいたします。
 本県では、平成15年度から県内すべての公立小中学校を対象に学力診断テストを実施してきておりまして、本年度で5回目を迎えます。また、ことし4月には、国の全国学力・学習状況調査が小学校6年生、中学校3年生を対象に実施されました。これらの経過を踏まえまして、本年度の県学力診断テストにつきましては、小学校4年、5年生と中学校1年、2年生で実施することとしております。
 テスト結果につきましては、学校ごとに各問題の正答率を公表しており、各学校では、成果を上げている近隣あるいは他校の結果を参考にしながら自校の課題を分析し、学力向上の取り組みに有効に生かすことができているという報告もいただいております。
 県教育委員会といたしましても、市町村教育委員会と連携をしまして、テスト結果から明らかになった児童生徒の学習指導上の課題を踏まえ、授業改善を促したり、特色ある学校の取り組みを各学校に参考事例として提供するなど、支援してまいりました。
 今後とも、児童生徒の確かな学力の育成に向けましてさまざまな取り組みを進めながら、各学校での指導方法の工夫、改善に努めてまいりたいと存じます。
 次に、高等学校の再編整備につきましては、従来の経緯を踏まえ、平成17年5月に県立高等学校再編整備計画第1期実施プログラムを策定して取り組んできているところです。
 大成高校への支援につきましては、学校のニーズや課題に対応し活性化を図るという観点から、単位制に基づく教員の加配のほか、専門的資格取得に向けた集中講座のための非常勤講師の配置、指導体制を充実させるための教員の配置等を実施しております。
 さらに、平成17年度から、地域の実情に即した中国語講座を設けられるよう、非常勤職員の配置も行ってございます。また、ハイスクールサポートカウンセラーとして実績のある相談員を配置し、悩みを抱える生徒やその保護者の相談にも対応してまいりました。
 しかし、こうした支援にもかかわらず、残念ながら入学生徒数が減少し、所定の数を割り込んでいるのが実情であります。
 再編整備計画では、基本的に子供たちにとってよりよい教育環境を確保するという観点から一定の基準を設けたものと理解をしております。
 再編につきましては、学校関係者、保護者、地域の方々など交えた地域・学校協議会で協議を進めているほか、各方面からさまざまな御意見をいただきながら慎重に取り組みを進めているところでございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 44番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 御答弁ありがとうございました。幾つか、要望、意見、感想や、そして再質問も含めて申し上げたいと思います。
 官製談合の問題では、知事の従来の立場からなかなか動いてくれませんで、その枠組みの中でも、何かこう、もう少し裁判の結果を待たずにやってくれることないかなと思ったんですが、なかなか壁が厚いようでございます。
 ただ、この政治と金の問題、政治資金規正法の問題と、それから職員の倫理規則の問題があります。職員の倫理規則の場合は、法律では違反にならないけれども、しかし、「李下に冠を正さず」という立場で身を律するということなんですね。
 政治資金規正法について、私どもは、法律は法律だけども、少し意見があります。それは、政党や支部に対しては企業・団体が献金もできるんだけども、しかし、企業・団体というのは有権者ではない。企業というものは、資金の面から言うと、株式会社なら株主が大勢集まってお金を出してるもんだし、実際の運営から言うと、役員や従業員の皆さんが企業をつくって、日常的に物をつくったりしている。そして利潤追求しているものが企業やと思うんですね。
 それが1つの政治理念を持って政党を支持するというのはおかしいんではないかということを私どもは申し上げるわけですが、ただ、この政治資金規正法は、そういうことについては規制はしておりません。これは確かです。
 そして、知事の場合は、そういう企業献金ではなくて、企業を営んでいる個人が献金をされるということなんですか、木村知事をめぐる21会とか、いろんな会にしても、そういう建設関係やいろいろな個人がお金を出しておりました。ただ、それがこの政治資金規正法ということで届け出がされていないことが問題になり、そして秘書課で管理したことも問題になったわけですが、それは、届けてれば政治資金規正法の上から言うと何も問題がないわけです。
 ただ、しかし、そういうことであっても、木村知事を取り巻くそういう人たちがあって、そしていろいろな問題があったわけですから、だから、政治資金規正法という枠はもちろんそうなんだけれども、しかし、さらに李下に冠を正さずという立場で疑いがないように身を律したら仁坂知事に対する県民の評価は非常に上がるのになというふうに思うわけですが、なかなかそういうところには踏み込まれないようで、残念でございます。これは感想でございます。
 次、大滝ダムの問題です。
 これは、調査してみたら地すべりの危険があるから対策が必要だということをとれば、やむを得なかったとなるわけですし、それにクレームをつけたら、「そんなら、おまえ、調査しなかったらいいと言うんか」と、こういう反問も返ってくるだろうと思います。
 ただ、今、そこまで負担が大きくなるんなら、今になって地すべりの危険が新たになったというんなら、そもそも当初からダムの計画に無理があったんではないかというところまでさかのぼって検証してくれと言いたいのは、県民の今度の負担に対する不満なんですね。
 それで、私はそこで、すぐにもうダム計画から撤退して、ダムはとまってもいいからもうやめてしまえというふうに、負担をすぐに拒否せよと、今、厳命せよと申し上げているわけではありませんで、やっぱりこれだけ県民の負担があるわけですから、知事としても、国土交通省から要請があったときに、すぐには同意せずに技術担当者に検討させた上で同意したとおっしゃいますが、県民から言うと、なかなかそれが、十分いろんなことが検証された上で同意したというふうに見えないわけですね。
 だから、その結論を出す前に、もっと丁寧に、私たち県会議員にも県民にも説明をしてほしいし、そして、あるいは和歌山市や橋本市としても負担をするわけですから、そういう方々とも協議をする。県から協議に行くのか、市から協議に来りゃええじゃないかとか、いろいろ、それはあるでしょうけども──どっちからでもいいですが──しかし、そういう協議をするということで、少し──今すぐここで、もうこの議会へ通してくれというんでなくて、ちょっと一息入れたらどうですかということを申し上げたいんですが、いかがでしょうか。これは再質問にします。
 それから、教育問題については、大成高校、高校再編の問題については、今までの経過もございますが、非常に強い意見もあり、そして、これまでも別の議員さんからも非常に強い要望も、私だけでなくて出されておりますし、それから、海南・海草では、すべての3人の議員が一致してぜひともというふうに申し上げておりますので、ぜひとも地域の声をしっかりと聞いていただきますようにお願いしておきたいと思います。
 それから、学習状況調査については、少し質問がぶっきらぼうに、やめやんかというような質問をしたので、既にその計画を発表している中で言うと、ことしやめるというふうにいかないということなんですが、私は、その前段で、るる、こういう学力テストの結果というものは、もちろんいいほうへも使いますけども、一面では、ひとり歩きをするとテスト業者が利用するであるとか、学校のランクづけになるとか、いろんな弊害の心配もあるということも申し上げました。
 また、テストというものは、毎年毎年やらなくても、私は、やり方によっては10年に1回ぐらい、例えば抽出調査でもこういうものをやったら、非常にこの10年間の間にどういうふうに変化があるのか分析もできて、あるいは有効かもしれないということも思いますけども、毎年毎年やるものでもないんではないかとも思っています。もちろん、まだ方針が決まっているわけではないでしょうけども、私が心配しているような問題というのも、恐らく教育長も心配しておられるんではないかと思うんですが、その辺、教育長のお考えをもう一度お聞かせいただきたいと思います。これ、再質問です。
 最後は、プレジャーボート対策であります。
 これについては、前向きに危機感を持って検討していただいてるというふうにお聞かせいただきました。
 こういうものをつくるためには、地域で対策協議会というんですか、こういうものをつくって、いろいろ地域住民も含めて検討されるという話も聞くんですが、そういうものは大体いつごろ──近いうちに立ち上げるような計画などは、ハード・ソフトというふうに言われましたけども、そういう計画などはどういう計画になっているのか、その辺、県土整備部長の方でもう一度お話しいただけますか。
 以上で、私の第2回目の質問を終わります。
○議長(中村裕一君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘の大滝ダムの件でございます。
 技術的にどうかというお話がありましたが、先ほど御答弁申し上げましたように、これは実は、起こったときに、日本で初めて確認された現象でありました。そういう意味で、初めから知見がなかったかと言われたら、それは、あの時点では初めに知見がなかった。それについて、それを防止するために必要な手は打たないといけない。その必要な手を打つということが2カ所見つかったので、これについて本当に必要かということは、技術的に検証した上で必要だと思ったので、技術的にはまあそのとおりであるなということを我々が納得したということであります。
 それから、一息入れよというお話がありました。
 私は、常に議会の方々に対しても、県民の方々に対しても、自分の考えを正直に伝えております。ちょっと格好をつけるために一息入れて、それでそのポーズをとるというようなことはいたしたくございません。したがって、この議会で冒頭から申し上げておりますような考え方で、私は「今回は同意せざるを得ないんでございます。いかがでございましょうか」と議会に堂々と申し上げている次第であります。
○議長(中村裕一君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 放置艇対策についてでございますが、県では、この3月にも下津港周辺では検討会を開いていろいろ具体的な検討をさせていただいております。もちろん、地元の方々にもお入りいただいております。
 海南地区についても、当然、地元の方々とのお話し合いも必要だと思っておりますので、必要であれば協議会等を設置して地元の方々とお話し合いをさしていただきたいと思っております。
○議長(中村裕一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 再質問いただきました学力テストについてお答えしたいと思います。
 このテストにつきましては、先ほど御報告いたしましたように、現場のサイドのほうからも、日ごろの授業改善に活用できているという報告も数々ありまして、ある程度継続していく中でそういった効果も出てこようかというふうに思っております。
 ただ、業者テストは、業者に利用されるとか、序列化につながらないように、そういったことについては十分市町村教育委員会と協議をし、配慮していきたいというふうに思っておりますし、今回新たに国のほうから、小学校6年と中学校3年について毎年テストをするというふうに加わってまいりました。それとの関係で、調整を必要とする部分とか、さまざま改善ができる点というふうなことが、今後、各学校なり校長会等との話し合いの中で出てくれば、それは前向きに改善について検討していきたいというふうに思っております。
 以上です。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再々質問を許します。
 44番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 ちょっと意見だけを申し上げておきますが、私も、一息入れるというのは、何もポーズをとるというつもりで言ったわけではございませんで、やはり県民が納得するようにそれなりの──県民が納得するようにいろいろ議論をして、その上で納得すれば賛成をするし、しかし納得できなければやめたらいいという意味で申し上げたわけでございまして、さらに、これからもさまざま委員会の中でも議論をされることだと思います。その議論を見守っていきたい、それで態度を決めていきたいというふうに思っています。
 教育の問題、非常に難しい問題がありますから、いろいろなことが起こってこないように十分配慮をして、今後よろしくお願いしたいと思います。
 以上で、私の質問は終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○議長(中村裕一君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時37分休憩
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