平成19年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(山下大輔議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 18番山下大輔君。
  〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 さて、今、国も地方も大きな転換期を迎えて非常に厳しい局面にある中で、多くの県民の皆様に御期待をいただいてこの県議会に送っていただいた、その責任の重さというのをしっかりと受けとめて一生懸命頑張らせていただきたいと思います。先輩・同僚議員におかれましても、ぜひ御指導、御鞭撻いただけますように心からお願いいたします。
 今、私たちのこの和歌山県も歴史的な転換点に差しかかっているのだと思います。このまま人口を減らし続けて衰退の道を歩むのか、また、新たな地域ビジョンを何としても描いて発展モデルを改めて描き直せるのか、これからの数年間が和歌山にとって踏ん張りどころだと思います。
 これからの時代には、地域も選択される時代、それぞれの地域がその存在の意味を問われる時代になるんだと思います。これまでは、地域間において「競争」といった概念がよく言われました。マスコミなんかでも競争、競争やと。でも、競争という概念はもう古いん違うかと。単に競争をあおるだけじゃなくて、もうすぐ目の前に道州制も議論される中においては、補完する、補い合うという概念というのが実は大事になるんじゃないかなというふうに思っています。
 この関西圏で、和歌山がどういった役割を担うんか。大阪、京都、兵庫、奈良、ほかの地域にない役割を和歌山が補っていく。今、和歌山自身がその存在の意義、存在価値、存在する理由といったものを問われているんだと思います。そこでは、他の地域と横並びで単に大都市をまねるだけの中途半端な地域づくりではなくて、他地域にはない和歌山の特徴、魅力を徹底して磨き上げることが何より重要となります。和歌山の特徴である地域資源、自然・環境、気候風土、また文化・歴史遺産も含めて、これらを徹底して活用することに知恵を絞り、他地域との違いを鮮明にしていくことで和歌山独自の役割を見出すことができるんだと思っております。
 20世紀は、大量生産、大量消費、工業化が爆発的に進む中で、国土軸から外れた半島にあったこの和歌山は大きなハンディを背負う時代だったんだと思います。しかし、これからの21世紀には、地球温暖化などに象徴されるように環境、自然といったことが世界的にも大きなテーマとなる中で、豊かな自然条件、恵まれた気候風土を持ったこの和歌山は、その取り組み次第では大きな追い風を受けることができるのだと思います。
 私は、この和歌山の可能性を心から信じています。可能性がある地域やから何としても変えていきたい、そのように心から思っています。知事を初め当局の皆様におかれましては、本当に御苦労も多いことと思いますが、しかし、この窮状にある和歌山を顧みて、今やらねばいつできる、私たちがやらねばだれがやるのかといった意気込みを持ってぜひ頑張っていただきたいと思います。多くの県民が、新たに仁坂知事を迎えた新県政の取り組みに期待しています。
 和歌山が新たな価値を創造し、光り輝き、そして和歌山発でこの国をも元気にしていけることを心から願って、私にとって2期目の県議会での初質問に臨みます。私自身、もちろん微力ではありますが、県勢発展のために全力を傾注して取り組む覚悟ですので、知事を初め当局の皆様には誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。
 それでは、通告に従って質問をさしていただきます。
 最初に、県政全般に係る質問として、知事の考える和歌山の将来ビジョンについてお尋ねいたします。
 私自身、さきの任期の間も、県政の非常に重要な取り組みとして、地域の将来ビジョンといったことについて特に意識した議員活動を進めてまいりました。この厳しい状態にある和歌山をどういう方向に導いて立て直していくことができるのか。これはすべての政策、施策の根本となるものであり、特に今回の将来ビジョンを示す長計の策定作業は今後の県政運営にも大きな影響を与えるものであります。これには全力で取り組みたいと思っているところです。
 そこで、現在、第6次となる新たな長期総合計画の策定に取りかかっている状況において、まず、知事の考える和歌山の将来ビジョンについて最初の質問として取り上げさせていただきたいと思います。
 ちなみに、私自身、今回、特別委員会で長計の審議にも加わらせていただく立場でありますので、ここでは長計の中身には触れずに、あくまで長計審議の前段階として知事のお考えをお聞かせいただきたいと思っております。
 さて、先月10日に新長期総合計画策定本部の第1回本部会議が開かれていますが、その資料を読ませていただくと、本部長である知事の発言として、「和歌山県は難問が山積しており、その解決に向けて日々努力しているところだが、努力の方向が重要であり、その方向を考える大きな手段が長期総合計画」といった指摘がされていました。確かに、そのとおりだと思います。私自身も、さきの選挙を戦ってくる中で、たくさんの県民の皆様から生活、仕事にかかわる切実なお話をお聞かせいただいてきました。
 今、抽象論ではなくて、和歌山の立て直しをどのように実現していくのかといったことが大きな注目の集まるものとなっています。そこでは、過去の反省をしっかりと踏まえた上で新たな方向性を明確に打ち出すということが非常に大切なことだと考えます。これまでの進んできた方向、過去の取り組みがどこかで間違っていたから現在の衰退する和歌山があったん違うか、実はそういうことを真摯に受けとめやなあかんのやと思います。その問題点、失敗の把握ができてこそ、解決策も正しく導かれるのだと思います。
 今回の長計で一番大切なところは、これまでの取り組みで何が間違っていたのかをはっきりさせることとあわせて、これまでの長計策定のあり方自体をもう一度見直すことが必要で、その上で新たなビジョンを明らかにして、明確に和歌山の進むべき方向性を指し示すことが大切です。
 過去の長計を見て、私自身、大きなところで2つほど問題があると感じています。1つは、横並びの発想から積み上げ式の目標の羅列に終わって、特に問題の本質をとらえ切れていなかったために真の解決策が導けやんと思い切った選択と集中もできていなかったということと、もう1つは、基本の部分で長計の策定プロセスの手法の問題、この2つがあるんだと思っています。
 1つ目の横並びの発想といった部分では、例えば前回につくった長計を見てみると、これは他の地域の長計と見比べても同じような内容、項目が並んでいるものであって、中身に地域の特性を少し加味して数字などを少しいじったくらいで、結局どこの自治体でも同じようなものになっています。
 これまでの長計の問題点は、全国いずれも変わらない、標準化していくといった視点で、他の自治体との横並びの発想から抜け出せやんといてた。他地域との比較において足りない部分をどんどん足していって、また他地域の先進施策の焼き直しなども行われる中では、和歌山独自の新たな方向性を見出すには至らなかったんだと思います。
 今、「地域も経営する時代や」というふうに言われています。そういった中では、しっかりとした将来ビジョンを描き、民間企業の再建などでも必ず指摘される選択と集中といった概念も必要なのだと思います。あくまで他との違いを恐れず、地域の望むべき将来ビジョンを明確に描き、その進むべき方向をしっかりと選択して集中した取り組みを行っていく。これからの時代は、横並びの発想で漫然と地域運営を行っていたのでは希望ある未来はつかむことができません。
 2点目の問題として、長計のつくり方、長計策定のプロセスについて。
 和歌山を本気で立て直していこうとするのであれば、心機一転、過去からの決別を覚悟することが必要です。積み上げ式の長計の策定手法では、真に新たな方向性を見出すことは難しいのだと思います。
 そこで、私の提案としては、まずはビジョンづくりから取り組む、このことが非常に重要なポイントだと考えています。知事自身の考えをまずベースとしつつ、地域の望むべき明確な将来ビジョンを描き切った上で現状との乖離を確認し、その本質を議論した上で問題点、課題を洗い出し、最善の解決策を導き出していく。こういったことを行えば、現在ある地域の課題、問題の本質もとらえやすくなります。
 これは従来からの手法とは似て非なるものであり、今の和歌山には、まず過去に縛られない、過去からの単なる積み上げじゃないビジョンを描くことが大切で、その理想とする地域の将来像から逆に現状を照らし合わせて問題点、課題を抽出し、その問題点、課題の解決にはどういった方策が最善のものとなるのか検討、プランニングしていく。そうすれば、つくられた長計自体ももっとすっきりとして理解のしやすいものになるんだと思います。
 これまでの長計を手にとって見ても、多くの県民の方には「よくわからんな」といったことが率直な印象やと思います。長計をつくるにも、あくまで理解しやすい、和歌山がどんな方向に進んでるんやろかと、だれが見てもわかりやすいものにしなくてはいけないのだと思います。そのためにも、まずはだれもが理解し共感できるような明確な将来ビジョンを描き、それを県民の皆様とともにひとしく共有していく。地域の立て直しには、その地域住民の理解、協力なくしては前には進みません。住民みずからが地域の将来像に心から共感し、期待して、そして誇りを持って、またある面では楽しみながら地域づくりへの参加意欲を高めることが大切です。
 そこで質問ですが、仁坂新知事となって私の県議会での初質問になりますので、まずは県政に臨む基本的な部分として、行政運営を含めて地域運営に当たられる知事の理念、和歌山県再建の方向性と地域の将来ビジョンといったものについて、現状で、私的な意見で結構ですので、知事自身が考えておられるところをお示しいただきたいと思います。
 また、あわせて、前回の地域づくりの総合計画、「わかやま21世紀計画」をどのように評価されているか。また、そのわかやま21世紀計画の問題点と、新たな長計策定に当たって改善すべき点などについてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 それとあわせて、和歌山の総合計画を検討する中で、ぜひこのタイミングで議論しておいてもらいたいものがあります。それはカジノ事業についてです。
 観光集客といったことは本県にとっても重要な柱となるものですが、その1つの取り組みとして、先進国の事例には、ゲーム産業いわゆるカジノ事業についても、アミューズメント施策として非常に有効なものと位置づけられ、今後、日本でも注目されるものと考えます。
 ことしの2月17日、那覇市で、沖縄の経済同友会などが主催して第4回日本カジノサミットが開催されています。その中で、鳩山邦夫衆議院議員が会長を務めるカジノを考える議員連盟の事務局次長である伊藤忠彦衆議院議員があいさつをしているのですが、来年の通常国会にカジノ法案を提出できるよう超党派で準備を進めていくと発言をしています。
 和歌山県としても、これまで、県民の多くは知らないことだと思いますが、積極的にカジノ誘致に動いてきている状況があります。平成15年2月には、石原慎太郎東京都知事の声かけのもとで、静岡県、大阪府、宮崎県とともに「カジノ実現のための法整備に関する要求」として国に要望書を提出し、あわせて平成16年8月には、カジノ推進に賛同する都道府県が法制度などを検討する地方自治体カジノ協議会が発足し、ここでも東京、静岡、大阪、宮崎、神奈川などと一緒に和歌山県も参加しています。また、地元経済界の動きとしても、平成16年12月には、和歌山商工会議所等が中心となって地域経済研究機構から「和歌山県におけるカジノの可能性に関する調査・研究報告書」が提出されていて、カジノ推進が提言されているところです。
 カジノと言えばアメリカ・ラスベガス、最近では香港、マカオといった例もよく取り上げられますが、私自身のイメージとしては、まちづくりにもしっかりと位置づけられたヨーロッパ型のカジノ、例えばドイツなどではガーデンシティー、ヘルスリゾートとしても先進例となる、すぐれた環境を維持しつつカジノが設置されているバーデンバーデン、ビースバーデンといった世界的な観光地などについては見習うべき点も多いんだと思っています。そこでは、地域づくりの理念として、いやし・リゾート空間を創造するといった考えがしっかりと確立される中で、1つのアミューズメント施策としてカジノ運営がされています。こういったものであれば、和歌山としても地域づくりの理念を明確にさせた上では検討に値するものと考えます。
 そこで質問ですが、知事はこういった一連の和歌山が取り組んできている過去の経緯をどのように評価されていますか。また、カジノ関連法案が早ければ来年の通常国会にも提出されると言われる中、しかし、いざ手を挙げるにしても、地域のコンセンサスがとれていなければ前に進まない状況もあり得ます。そんな中では、今回の地域の総合計画を議論する機会は、カジノについても地域としての考え方を整理するよい機会になると思います。和歌山県としても正々堂々と今のうちにしっかりと検討しておくべきだと考えますが、今後の取り組みについてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、地域の再建策、具体的な活性化法として和歌山が誇るいやし文化を産業としていく取り組みについてお尋ねいたします。
 予防医療、ヘルスケア産業と観光産業の融合、いわゆる観光医療産業のさらなる発展に向けた取り組みについて。
 21世紀は環境の時代と言う識者がいます。また、心の時代とも言われます。単に科学万能、工業化万歳といった時代では決してなく、人間としての本質がもう一度見詰め直される中では、20世紀型社会モデル、都市集中型、効率優先の社会環境へのアンチテーゼとして、スローフード、スローソサエティー、ロハスなどに代表されるような新たな価値が幾つも提案されるようになっています。そういった中で、私たちの和歌山もいま一度立ちどまって、これから進むべき方向性についてもう一度見直すべき時期に来ているのだと思います。
 さきの質問でも触れましたが、周りに流されて他の地域と同じような方向でどれだけ努力していても、その成果は大きなものとはなりません。今後は、民間の企業再生でその重要性が指摘されていたように、選択と集中といった視点をしっかりと持って和歌山の特徴を徹底して磨き上げることが重要で、地域の個性を最大限生かした地域整備、独自の産業育成から魅力ある地域形成を実現していく、そこから雇用、働き口を確保し、そして人の集まる魅力的な地域を創造していくということが望まれるんだと思います。
 そこで、今回は、これまでも提案してきました和歌山の特徴である恵まれた自然環境を生かした観光産業と健康サービス、予防医学などを組み合わせた取り組み、観光医療産業、いわゆる「癒しの地わかやま」のブランドづくりを加速させる提案をさせていただきたいと思います。
 知事も、和歌山県の広報誌「和」の中で、自然の恵みを余すことなく生かし、自然を侵し過ぎず、折り合いをつけていく知恵を持って環境保全と自然を活用した産業を両立させることが大切だと述べておられます。私も、これも全く同感です。
 これからは、地域の特徴、個性である恵まれた自然環境、気候風土、こういったものをどれだけ生かし切る取り組みができるかといったことが重要だと考えます。そこでは、先人の自然環境を生かした知恵である、よみがえり、いやし文化、この長い歴史を背景に持つ和歌山独自の地域活用手法、今の時代にこれらを産業としてしっかりと確立し、心いやされ、よみがえる、そして人間が元気になる地域・和歌山、こういったものを例えばイメージの核としながら地域ブランド化に向けた取り組みを一気に加速させることが和歌山再建への突破口になると考えます。また、こういった取り組みを進めるに当たって今重要なことは、できるだけそれらの取り組みをスピードアップさせていくことが望まれます。
 私自身、4年前にこの県議会で初めて「観光医療産業」といった言葉を使い、従来からの和歌山の基幹産業である観光産業と予防医療、健康サービスとを組み合わせ、地域独自の産業として発展させるといったことを提案させていただきました。その後も、民間企業などを含めさまざまな研究機関などが行う勉強会にも参加してくる中で、やはり観光と健康サービス、観光と医療・予防医学を組み合わせて新たなサービス事業を立ち上げていく取り組みというのは将来有望で、そもそも日本の未来にとっても欠くことのできない産業であり、和歌山にとっても地域の再建を図る非常に有効な取り組みになると改めて確信しているところです。
 平成15年6月には経済産業省の健康サービス産業創造研究会から報告書が提出されていますが、それによると、健康サービス産業の雇用、市場規模、医療抑制効果などについては、日本総合研究所の試算として、2010年には市場規模は20兆円に達し、雇用者数は300万、医療抑制効果は約4兆円になると報告されています。今まで、和歌山のみならず日本の中でもその産業の中心、屋台骨になっていた例えば鉄鋼産業が、市場規模が15兆、20兆と言われている中で、もう既に同じような市場規模を確保できている。世界に冠たる自動車産業、この雇用者数が約300万。同じようにもう300万を確保できてるんやと。実は、この健康サービス産業に対しての期待は非常に大きいもんだと思います。
 この健康サービス、予防医療といった分野を和歌山既存の観光産業と結びつけて商品化して実業化していく、そういった取り組みが本格的に進められて和歌山がその集積地になることができれば、これは地域に与えるインパクトは決して小さなものではなく、和歌山再建の切り札になるものだと私自身考えております。
 県庁内においても、4年前の議会提案後にワーキンググループを設置していただき、検討を加えた後に、その可能性を探る目的でモデル事業「熊野健康村構想」が立ち上げられ、以来、いやし・健康といったものを切り口として、従来の観光集客、交流事業に付加価値を与える試験的な取り組みとして、国とも協力したいやし・健康効果の科学的検証、熊野古道を中核資源としたいやしと健康の滞在メニューの開発、都市部からのモデルツアーの実施から観光医療サービスの魅力度の測定まで、さまざまな取り組みが進められてきています。また民間においても、さきに質問してくれた片桐議員にもお手伝いいただいて、観光医療といった視点で新たなビジネスの提案もしていただいている状況にあります。
 さて、このような、4年間にわたりモデル事業の立ち上げから実際の効果、ニーズの測定からビジネスの可能性、地域産業としての可能性も見出す調査研究を進めてきた中で、今、これを一気に加速させる時期に来ているんだと思います。
 現在、全国的にもさまざまな動きが出ています。新潟の健康ビジネス連峰構想、沖縄の健康文化村、伊勢、室戸のタラソテラピー、軽井沢のリゾートトラスト、日立市の健康改善の里、千葉県の生命の森リゾートなど。しかし、まだまだ都道府県レベルにおいて地域全体のブランドとして定着しているところはありません。
 本県には、熊野地域だけではなく県下全域を対象として、観光リゾート事業に健康・いやしといった切り口を加えて事業化できる可能性のある資源はたくさんあります。今後はそれらを活用して、他地域に追随を許さない一大観光・健康サービス事業の集積地とするための強力な政策誘導の実行が求められます。そして、この和歌山をいやしの地として全国ブランドの確立を実現させていただきたいと思います。
 そこで、知事にお伺いいたしますが、まず基本的なところとして、本県における観光産業の位置づけと観光産業が置かれる現状に対する認識、また今後の取り組みといったことについてどのようにお考えになられているか、御見解をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、これまでいやしの文化を産業とする取り組みとして熊野健康村構想などが進められてきていますが、それらの成果を踏まえて、今後、県下全域を対象として、和歌山の豊かな自然などの観光資源と予防医療、健康サービスなどを結びつけて地域独自の新たな産業として広めていくことの意義、その可能性についてどのように認識されているのか、お聞かせ願いたいと思います。
 この質問の最後には、もう1点、観光サービスに健康・いやしといった視点を組み入れた事業を和歌山県に集積させるための優遇・助成制度の早急な整備について、知事に御見解をお願いいたします。
 これまで、県ではずっと、いろいろ研究したモデル事業、やっと取り組んできてくれてます。こういうことをぼちぼちぼちぼちやってても──本当にこの和歌山の地域ブランドとして有効なもんやといろんな報告が出てる中で、あとはこれはもう行政が幾らでも広げていくというもんじゃないんやと思います。あくまでも民間が主体となって事業してもらうと。
 和歌山がええもん何とかつくり出してきたと。それやったら、これは優遇制度、助成制度を思い切って──これまで単に製造業中心に企業、工場誘致でやってきてると。それは大事なことで、大事じゃないと言わんけれども、半島にある和歌山が、もともとハンディのあるところを助成制度、優遇制度で穴埋めしながらそのハンディを埋めていっても、それが本当に和歌山を立て直す突破口には僕はなかなかならん。もともとの立地条件であるとか和歌山の条件をもっと生かして、地域としての立て直しを考えていく。そのためにも優遇・助成制度をつくって、今回提案さしていただいたようなものを、これまでも検討していただいてるわけですから、ぜひ思い切って知事にはお進めいただきたいと思います。
 次に、海洋型ナショナルトレーニングセンターへの取り組みについて、当局のお考えをお聞きしたいと思います。
 ことし3月に仁坂知事から発表されましたが、これまでの念願がかない、日本セーリング連盟が推薦する和歌山マリーナシティについて、JOC日本オリンピック委員会から海洋競技の強化拠点、海洋型ナショナルトレーニングセンターとして内定されることとなりました。正式決定は来年度以降になりますが、現在は、文部科学省の視察等、その認定に向けた準備作業が進められているところです。
 この施設の誘致は、今さら言うに及びませんが、和歌山県にとっても極めて大きな意義のあるものだと思います。海洋型ナショナルトレセン、それは日本のセーリング競技の中核施設となるものであり、国内におけるヨット競技の聖地、ナショナルトレーニングセンターがある地域といったことで、恵まれた自然、快適なリゾート地といった地域の良好なイメージが大量に県外に発信され、今後は日本を代表する第一級の海洋リゾート地として認知されるチャンスが生まれます。オリンピック選手の強化場所ともなる施設ですので、取材などを通じて和歌山の海がマスコミに露出する機会もふえ、その広告効果もはかり知れません。
 また、あわせてこの施設は、日本代表チームの強化合宿からジュニアユースの強化合宿、地域の子供たちのスポーツ教室などとしても幅広く活用できるものであり、そこでは和歌山の教育の現場としても、このナショナルトレーニングセンターを活用することも期待できます。
 ここまでの道のりは、決して平たんなものではありませんでした。私自身、この海洋型ナショナルトレセンの提案をしたのは、さかのぼること、市議会当時の7年前になります。当時は和歌山市で予算をつけてもらって基本整備計画をつくって、それを具体的な提言として、何度も東京のほうにも足を運びました。そして、この県議会においても、先輩・同僚議員のたくさんの応援もいただく中で、オリンピック選手を育成し、現在に至っています。
 このナショナルトレセンの誘致には多くの地域が名乗りを上げていましたが、そんな中で和歌山・和歌浦が最終選考に残ることができたのも、さきのアテネオリンピックでヨット競技に出場した日本代表選手11名のうち3名がこの和歌浦をホームトレーニング場所にしていたことが大きく、和歌浦の知名度を一気にセーリング界に広めてくれました。また、最終の内定をかち取る段階では、現在の仁坂知事が英断を下していただき、県としての後押しがあったことも大きかったと思います。
 ここまで、特にボランティアで御協力いただいてきた皆様、地域貢献の一環として御協力いただいた地元企業の皆様には、本当に心からお礼申し上げるとともに、頭の下がる思いです。
 通常、オリンピック出場が期待される多くの選手は、企業から潤沢な資金提供を受けて活動しています。しかし、和歌浦で活動するほとんどのヨット選手は、単に和歌山県セーリング連盟所属ということで、資金的にも恵まれない、本当に厳しい環境に置かれる中で、関係者の努力により、まさに手弁当で、生活の援助から就職のあっせん、身の回りの相談にも乗りながら有望選手をつなぎとめてきた経過があります。
 また、オリンピック出場に際しては、ボランティアで構成されるセーリング連盟のスタッフの皆様にも本当に御苦労をかけて、その資金難を何とか救おうと、草の根のキャンペーンでTシャツを販売したり、また、資金難から海外で行われるオリンピック選考レースへの出場が危ぶまれたときに、地元企業として、株式会社島精機製作所、ノーリツ鋼機株式会社、株式会社サイバーリンクス、日吉染業様など、多くの県内企業の皆様にその窮地を救っていただきました。こういった関係するすべての関係者の努力によってアテネオリンピックへの出場を果たし、結果的に日本オリンピック委員会がセーリング競技の強化拠点としてこの和歌山マリーナシティを認定して、続いてことし3月にはナショナルトレセンとしての内定を受けるところまで来たものです。
 今後は、せっかくここまで来たのですから、ここで気を緩めることなく、官民挙げたトレーニング拠点の整備充実に一層取り組んでいくことが望まれます。この和歌山・和歌浦の拠点を国内における唯一無二の海洋トレーニング施設として整備、発展を進め、他の地域の追随を許さない確固とした地位を築く必要があります。そのためには、この施設の価値を徹底して高め、それをうまく外部にも伝えていく中で、和歌山のみならず日本全国の多くの企業などからも応援してもらえる体制づくりを積極的に進めることが必要です。
 施設の価値を高めるには、あくまでそれにかかわる人間の知恵と努力が必要です。以前、スポーツに経済的な価値をもたらしたアメリカの実業家ピーター・ユベロスの話を紹介したことがありますが、彼が残している言葉に、「価値を生み出すのは人間の知恵である。ただあるものをそのままほうっておいても、それは何の価値も見出さない」。この言葉の象徴になるのがロサンゼルスオリンピックで、ロス五輪の聖火まで商品にした逸話は有名です。非経済的なものを人間の知恵で経済的な価値を持つ商品に生まれ変わらせていく。私たちも、今回、日本で唯一の海洋型ナショナルトレーニングセンターを持つことになるわけですから、今後はその施設の価値を十分に高め、その商品価値を最大限に引き出す取り組みが重要となります。
 今、スポーツにかかわる企業の姿勢も変化しつつあります。最近では、例えば公営スポーツ施設にも命名権、ネーミングライツの売却などが進み、それは大都市の有名施設だけではなく、地方施設での取り組みなども目立ってきています。
 ことしに入ってからも、香川県で香川県営野球場のネーミングライツを穴吹工務店が取得し、「サーパススタジアム」として年間1000万の契約を3年にわたってすることが決定しているようです。また徳島県でも、鳴門総合運動公園のネーミングライツを大塚製薬に売却し、公園全体の愛称を「鳴門・大塚スポーツパーク」として、取得額は総額1億2500万ということです。これらは、香川県、徳島県の行政職員が積極的な営業活動を行って成果を上げているものです。
 ただほうっておくだけでは何の経済価値も持たないもの、しかし、それに知恵を絞ることでさまざまな可能性が広がってきます。その商品価値をどのように高められるのかは関係者のやる気にかかっています。
 このナショナルトレセンの誘致先は和歌山マリーナシティですが、そもそも県としてもこれまで多額の県費を投入して整備してきた場所であり、投資した金額に見合う活用方法について真剣な検討が必要なところで、今回、ナショナルトレセン構想は千載一遇のチャンスとなっています。この機会を十分に生かして、その活用策について全力で取り組んでいただきたいと思います。
 そこで質問ですが、まず、これは和歌山県全体にとっても、地域づくり、地域のブランド化といった視点でも重要な事業だと考えますが、県の将来ビジョンと重ね合わせて、その意義、また、ここまでの取り組みの評価とあわせて今後の方針などについて知事の御所見を賜りたいと思います。
 またあわせて、施設の活用、その経済的な価値も見出す取り組みが重要と考えますが、そのための体制整備も必要です。これまでは教育委員会が中心となって頑張ってきてくれていますが、今後は、企業への働きかけなど、例えばナショナルトレセンの紹介パンフレットを持って東京での企業訪問を東京事務所にお願いするなど、和歌山だけにとどまらない知事部局、全庁的な取り組みも必要と考えますが、知事の御所見をお聞かせ願いたいと思います。
 また、今後のナショナルトレセンの地域における学校現場との連携などを含めて、地域スポーツの振興といった視点で、これは教育長から御見解をお聞かせ願いたいと思います。
 最後に、新たな公共調達制度について。
 この6月13日に全国知事会では、公共工事をめぐる談合防止策について都道府県の取り組み状況を公表しています。知事会の入札改革の指針に沿って予定価格1000万円以上の工事で一般競争入札を導入しているのは4月1日時点で7府県ですが、さらに24の道と県が今後導入する予定としており、全体の3分の2に当たる31道府県が基準を達成する見通しとなり、今後はほとんどの自治体において指名競争入札が事実上廃止されることになります。
 あわせて、技術力などを加味して落札者を決める総合評価方式による入札を採用する都道府県も、2006年度は5つの自治体だったのに対し、今年度は20の自治体にまでふえる予定となっていて、今、談合問題の取り組みは全国に波及し、その改善策も急ピッチで進められている状況があります。
 そういった中で、和歌山県でも郷原先生を初めとして国内では第一線の研究者が集まり、入札制度の抜本的な問題点を探り、その改善に係る提言書がまとめられました。これ自身は高い評価を得るものだと思いますが、しかしながら、これを単なる研究者の論文で終わらせるのではいけないので、今後どこまで踏み込んだ取り組みが行われるのか、県当局の実行力が試されます。ぜひ、談合問題の端緒となる、事件を起こした和歌山だからこそ、全国に先駆けて手本となるような取り組みを進めてもらいたいと思います。
 今、建設業界にいる事業者の皆さんにも、ぬるま湯の体制を維持したままやったらもう将来はないといった意識がはっきりと芽生えているように思います。今後は知恵と工夫により積極的に新たな制度に対応し、企業としての体質強化も図る中で新たな発展モデルを示していきたいといった意見を聞くことも多くなっています。このような業界の風潮を後押しするためにも、今後は真剣に努力する優良な事業者を見分け、不良不適格業者を排除するといった点について、まず入札改革以前の問題として真剣に取り組まなくてはいけないのだと思います。
 そこで、本日は先輩議員である山田議員のほうからの御指摘もありましたが、私なりに視点を変えて、先日発表された和歌山県の新たな公共調達制度について、幾つかの提案とともに質問をさせていただきたいと思います。
 これまで、経営事項審査や入札資格審査など、業者を書面でふるい分けようとしてきていますが、今後はもう一歩踏み込んで、その実態についてしっかりと調査していくことが求められます。不良業者いわゆるブローカーの排除などは、優良な事業者の健全育成、入札の適正化を図る上でも最優先で取り組まなくてはいけないものです。入札自体を公正なものとするための基本として、審査体制の強化が強く求められるものと考えます。
 しかしながら、県下の入札事業者が2500を超える実態がある中で、どのようにして審査体制の充実を図るのか。これは、現状の担当課だけの対応ではとても追いつかないことが容易に想像できます。例えば、入札参加業者の10%を調査するにしても、現場では1チーム3名体制で1日当たりの調査件数は2カ所、調査チームを2チーム編成して毎日現場に出たとしても、3カ月かかる計算になります。現状の書面調査と並行して実地調査に1日6名の職員が張りつくとなれば、現在の体制では現実的には処理し切れない実態があります。
 しかし、今、この新制度を導入したその今だからこそ、特に不正は見逃さないといった強い県の姿勢を示すことが必要です。そのためには全庁を挙げて応援する体制をつくる必要があると考えますが、知事の御所見を賜りたいと思います。
 次に、新しい入札制度の資料の中で、不良不適格業者を排除する「枠組みを構築する」とされていますが、これも非常に重要であり、例えば経営事項審査のチェックの厳格化として、完成工事高の内容確認、それぞれの事業所に所属する技術職員数のチェック、また毎年無作為に数社を抽出し徹底的なチェックを実施するなどの取り組みについて、これまで以上に厳格な取り組みが求められますが、その具体策について県土整備部長から御答弁いただきたいと思います。
 またあわせて、専門工事参入時のチェックを強化する取り組みとして、例えば舗装工事や港湾工事では、これまでは必要機材の確認においてリースなどは不正の温床なども多いと指摘されています。そういった部分の条件の厳格化にも取り組む必要があると考えますが、具体的な改善策は考えておられるでしょうか。これもあわせて県土整備部長から御答弁賜りたいと思います。
 最後に、暴力団関係企業の排除として、警察当局との協力を密にする中で事業者の株主構成などにも踏み込み、例えば産業廃棄物の処理、運搬に係る法規制の中でも一定の制限を設けていますが、こういったものを参考にしつつ、入札資格を厳格化する取り組みも和歌山モデルとして検討に値するものと思いますが、これは県土整備部長とあわせて県警の警察本部長からも御答弁をいただきたいと思います。
 以上で、私の1問目を終わらしていただきたいと思います。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの山下大輔君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、和歌山県の将来ビジョンと重点政策についてお答え申し上げます。
 本県が有する地域のすぐれた資源や特性を生かしながら県民が活力を実感でき、心身ともに健康で明るく暮らせる元気な和歌山を実現する、そういうことが私に課せられた最大の使命であると考えております。また、これは目指すべき将来の姿であります。
 新長期総合計画では、そうした将来像の実現に向けて、おっしゃるように現状分析を行いながら、本県が持つ強みである、例えば農林水産業あるいは県内のオンリーワン企業、観光資源、進取の気性に富む県民性などの潜在力を引き出すような、そういう施策を重点的に検討して取りまとめていきたいと思っております。
 第2に、前の計画であるところのわかやま21世紀計画は、策定後、既に9年が経過しております。経済情勢が現状とそぐわなくなっていることはもちろんのことでありますが、いろいろな面で、先ほど申し上げました姿に合わなくなっていると思っております。
 したがって、時代潮流に即した新たな長期総合計画を策定するということにしたいと思っておりますが、今回の策定におきましては、前回の策定手段であるところの、例えば審議会方式というのは必ずしも採用いたしませんで、県の責任体制を明確にするために、私が本部長となり、全庁体制の新長期総合計画策定本部を立ち上げました。それから、部局横断的かつ重点的に検討するテーマにつきましては、局長クラスを座長とするようなテーマ別検討会を設置して策定していくこととしております。もちろん、県議会の皆様に策定の途中段階でお諮りすることはもちろんのことでありますけれども、有識者や市町村など幅広い御意見も聞いて進めてまいりたいと思っております。
 次に、カジノについてでございます。
 現在進められています合法化に向けた議論の中では、カジノに加え、例えばテーマパーク、劇場、スポーツ施設などを含めた複合施設が想定されておりまして、老若男女を問わず家族でも楽しめるエンターテインメント性を有する、地域の活性化に大きく貢献するようなものを想定して考えているものだと聞いております。
 カジノ設置には、組織犯罪への対応、あるいは地域の風紀や青少年への影響など、解決すべき点もたくさんありますけれども、一方、カジノエンターテインメントの誘致が実現すれば地域の経済活性化に資する有効な手段となるということも考えられますので、地元市町村の意向にも配慮しながら、引き続き前向きに対応してまいりたいと考えております。
 次に、観光ヘルスリゾート産業あるいはいやしの視点という点でございます。
 世界遺産高野・熊野を初めとして数多くの観光資源を有する本県にとっては、観光は一番大事な産業の1つだというふうに考えております。その意味で、私の選挙公約であります1つの政策目標の中にも和歌山の美しさを生かした観光の振興を掲げ、積極的に取り組んでまいっているところでございます。
 ただ、このような和歌山の観光資源は、私の考えではまだまだ十分売り出していないのではないかと考えております。
 もっとこれを売り出せないか──もちろん一方では、資源の毀損を防ぐための景観条例なども有効に使いながら、売り出すためのアクションプログラムを今考えているところでございます。
 今日の現代社会においては多くの人々がさまざまなストレスを感じておりまして、心身をいやし健康を取り戻す、例えば観光医療という名で呼ばれるようなものには多くのニーズがあると私は考えております。新しい観光の分野としてこれを発展させる可能性は感じております。
 また、熊野のいやしのイメージを活用した熊野健康村構想に基づく観光医療の取り組みにおいても一定の実績を得たところでありますが、今後、観光医療という分野が定着していくことになれば、本県の新たな価値創造になるということも考えられるところでございます。
 また、これについての助成措置、こういうものをもっと考えたらどうかということでございます。
 これには、観光に健康・いやしの視点を組み入れた新産業の集積手法の1つというのは、核となる観光関連事業者を誘致するという考え方が1つの手でございます。この観点からは、企業立地促進貸付制度、または過疎地域に立地する旅館業に対しては不動産取得税及び事業税の課税免除等々の制度の適用が可能であります。
 他方で、現段階においては、和歌山県の持っている補助金によって誘致を促進するということには踏み切っておりません。この理由といたしましては、観光保養施設等の立地要因が地域固有の景観あるいは自然環境や気候風土というもともとあるものによっているところであり、また他地域との競合が少ないというところもあります。また、既存の観光関連サービス事業者に与える影響が必ずしも完全に純増ではないというところもありまして、そういう点で踏み切っていないところであります。
 しかしながら、観光産業の発展は本県経済の活性化に大きな役割を果たしているところから、今後とも観光・いやしの視点等を組み入れるという考え方を含めて、さまざまな観点から効果的な振興方法を考えてまいりますが、その際に新しい事業者が新しいアイデアで参入していただくということについては、私は歓迎でございます。
 次に、ナショナルトレーニングセンターでございます。
 本県についての意義ということでありましたが、これはスポーツの振興にもなるし、それから特定のスポーツの日本の中心地としての情報発信という点もあるし、観光振興にもなるということでございまして、私は高く評価しているところであります。
 これまでの取り組みにおいては、平成15年11月に県、市、それから県セーリング連盟を主なメンバーとしてナショナルトレーニングセンター「セーリング競技強化拠点」誘致委員会の設立以降、それぞれの役割を分担し、関係機関等に積極的な誘致活動を行ってまいりました。最終的には佐賀県唐津市と最後まで熾烈な誘致競争を展開いたしまして、結果的にはそれに勝ったということであります。実は大変不利な状況にありましたが、必死で巻き返しまして、その結果、本年2月に日本セーリング連盟理事会において和歌山セーリングセンターが国内候補地として決定されましたことについては大変ありがたいことだというふうに思っております。
 決定を受けるに当たりましては、既に申し上げてありますが、県では艇庫の増設を、県セーリング連盟では競技及び練習艇の追加配備並びにジュニア人口の増加対策、これを行うことを条件として約束して日本セーリング連盟に対して巻き返しを図って、申し上げた結果に至ったところであります。今後は、この約束をそれぞれが責任を持って実行してまいらなければなりません。
 県では、今度は6月14日に文部科学省に対しましてこの一日も早い正式指定──これは、日本セーリング連盟から日本オリンピック委員会に行きまして、それで最終的には文部科学省の決定になるわけですが──それのプロセスを早く進めてくださいというようなことを申し上げておりますが、もちろんその際に、責任を持って確約の条件を遂行することが重要であるということもまた申し上げております。
 次に、誘致を契機とした県の体制づくりということでございます。
 本センターは、国内外に広く海洋県和歌山をアピールできるとともに、本県競技者のすそ野を広げ、競技力の向上が期待できます。また、強化合宿等により本県への来訪者が飛躍的に増加いたしまして、経済波及効果も大いに期待できます。
 県では、誘致を契機として、市やあるいは県セーリング連盟を初めとする関係機関と連絡、協力しながら、これまでの教育委員会のみならず観光部局も動員をして、協議会の誘致、あるいは観光客等の集客、あるいは地元のこれに関連する観光産業の振興などを積極的に推進してまいりたいと考えております。
 次に、公共調達制度でございます。
 議員御指摘のように、県がこのほど発表いたしました公共調達制度につきましては、私は、議員の御発言にあったように、全国の手本、あるいは全国のモデルになるべきもの──だけではなくて、もう十分モデルとしてはなっていると思っております。しかし、それを実行してまいらないと何もなりません。特に、不良不適格業者を排除し、各業者の施工能力を適正に評価したランクづけを行わないと、すべてが進まないのであります。したがって、限られた時間内で詳細な資格審査を実施するためには、事務の効率化も念頭に置きますが、人員の増など体制強化の検討も同時に行ってまいりたいというふうに考えております。
○副議長(新島 雄君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 新たな公共調達制度についてのお尋ねのうち、3点にお答えをいたします。
 まず、経営事項審査のチェック、監視の強化についてでございますが、不良不適格業者を排除するには実地調査が有効であると認識しており、これまでも建設業新規許可の際に営業所確認を行ってきたところです。
 今後は、これに加え、技術者の常勤性や完成工事高に疑義のある業者につきましては随時の実地調査を行う等、これまで以上に徹底した審査を行ってまいりたいと考えております。
 次に、専門工事につきましては、専門的な技術や特殊な機械を要する工事であるため、技術者の数や専門機械の保有状況等、それぞれの工事の特殊性に合わせて業者を適正に評価いたします。
 最後に、暴力団関係企業の排除につきましては、これまでも建設業許可を行う際に警察本部と連携し、排除に努めているところであり、今後は、法人役員に加え、主要な株主も対象とした排除方法について警察本部と協議を行ってまいりたいと考えております。
○副議長(新島 雄君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) ナショナルトレーニングセンターを活用した地域のスポーツ振興方策についてお答えいたします。
 ナショナルトレーニングセンターは、我が国のトップレベル競技者はもとより、将来のトップアスリートを目指すジュニア競技者の育成・強化活動を担う拠点ともなる施設であり、小学生から成年まで各年代のトップレベル競技者の強化合宿や、ジュニアの各種全国大会にも利用されることになります。
 全国から同年代のすぐれた競技者が集結することにより、県内のジュニア競技者にとって大きな刺激となり、本県の競技水準の向上やセーリング人口の増加にもつながると考えます。
 また、本センターを地域におけるセーリング競技の拠点として位置づけ、子供たちに対して安全面に配慮しながらヨット教室などを開催することは、マリンスポーツ全般のすばらしさを体験してもらうとともに海への興味や関心を醸成し、ひいては海という環境資源を生かした体験活動にも生かせると考え、積極的に活用を図りたいと考えます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 警察本部長鶴谷明憲君。
  〔鶴谷明憲君、登壇〕
○警察本部長(鶴谷明憲君) 新たな公共調達制度における暴力団関係企業の徹底した排除についてお答えをいたします。
 警察といたしましては、暴力団壊滅に向けた諸対策を推進しているところでございますが、特に公共事業からの暴力団排除につきましては、関係機関、自治体と連携をしながら、約20年前から、暴力団が実質的に経営に関与するなどしている企業に対して建設業許可や公共工事からの排除に努めているところであります。
 また、本年からは、公共工事に関し、受注業者に対して暴力団等が下請参入要求等の不当介入をした場合に発注者等に通報報告を義務づける制度を導入するなどの取り組みを働きかけているところであります。
 県当局とは、これまでも廃棄物処理業、解体業、貸金業とともに建設業からの暴力団排除に向けて情報交換等を制度化し、運用しているところでありますが、今後、新たな公共調達制度の導入に当たりましても、なお一層の連携強化と情報交換に努め、暴力団関係企業の排除を図ってまいりたいと考えております。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再質問を許します。
  〔「ございません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 以上で、山下大輔君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時52分散会

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