平成19年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)
県議会の活動
平成19年6月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
平成19年6月21日(木曜日)
午前10時開議
第1 議案第95号から議案第113号まで(質疑)
第2 一般質問
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会議に付した事件
第1 議案第95号から議案第113号まで(質疑)
第2 一般質問
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出席議員(46人)
1番 泉 正徳
2番 山本茂博
3番 前芝雅嗣
4番 浅井修一郎
5番 吉井和視
6番 向井嘉久藏
7番 門 三佐博
8番 町田 亘
9番 川口文章
10番 平木哲朗
11番 花田健吉
12番 須川倍行
13番 大沢広太郎
14番 谷 洋一
15番 平越孝哉
16番 下川俊樹
17番 岸本 健
18番 山下大輔
19番 尾崎太郎
20番 藤山将材
21番 新島 雄
22番 山下直也
23番 井出益弘
24番 宇治田栄蔵
25番 多田純一
26番 中 拓哉
27番 角田秀樹
28番 江上柳助
29番 山田正彦
30番 坂本 登
31番 尾崎要二
32番 中村裕一
33番 服部 一
34番 片桐章浩
35番 原 日出夫
36番 藤本眞利子
37番 長坂隆司
38番 玉置公良
39番 小川 武
40番 冨安民浩
41番 奥村規子
42番 松坂英樹
43番 藤井健太郎
44番 雑賀光夫
45番 野見山 海
46番 松本貞次
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
知事 仁坂吉伸
副知事 原 邦彰
知事室長 曽根義廣
危機管理監 杉本雅嗣
総務部長 小濱孝夫
企画部長 森 崇
環境生活部長 楠本 隆
福祉保健部長 井畑文男
商工観光労働部長 永井慶一
農林水産部長 下林茂文
県土整備部長 宮地淳夫
会計管理者 小倉正義
教育委員会委員長 樫畑直尚
教育長 山口裕市
公安委員会委員長 大岡淳人
警察本部長 鶴谷明憲
人事委員会委員長 西浦昭人
代表監査委員 垣平高男
選挙管理委員会委員 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 山本庄作
次長 植野博文
議事課長 薮上育男
議事課副課長 土井敏弘
議事班長 吉田政弘
議事課主任 中尾祐一
議事課主査 保田良春
議事課主査 石垣悦二
議事課主査 瀧川泰治
総務課長 下出喜久雄
調査課長 佐本 明
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午前10時2分開議
○議長(中村裕一君) これより本日の会議を開きます。
日程第1、議案第95号から議案第113号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
29番山田正彦君。
〔山田正彦君、登壇〕(拍手)
○山田正彦君 おはようございます。
私も、過日の、過ぐる県会議員の選挙、14選挙区ある中で無風のところもたくさんある中、最激戦地であると言われた紀の川市から皆さん方にお支えいただき、この場へ立たしていただくことになりました。紀の川市民のたくさんの皆さん方の御負託にこたえ、また県政の将来のためにも、先輩・同僚・後輩の皆さん方とともに研さんしながら県勢発展のためにも尽くさしていただきたい、改めてそう思っている次第であります。
お許しをいただきましたので、本日の冒頭の場に立たしていただきました。私なりに幾つかの問題について、私見を含めて県政のあり方、仁坂知事、執行部の考え方をたださしていただきたい、そう思います。
まず、東南海・南海地震対策に関してであります。その中で、ともすれば忘れられてるとは申し上げませんが、内陸部にたくさん点在するため池の対策についてお伺いいたします。
あってはならないことなんでありますが、今後30年以内に東南海地震が60から70%の確率で、あるいは南海地震が50%の確率で発生すると報道されております。和歌山県としては、喫緊の課題として、その被害を最小限に抑えるためにソフト・ハード面からさまざまな対策が打ち出されていることは、よく承知をしております。また、国においては東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法、これが平成15年7月25日から施行され、財政上からも大いに期待されるところであります。
和歌山県は、長い海岸線を持つ地理的特性からも、まず津波被害対策、その中でも特に避難困難地域の津波被害対策が人命上からも最重要課題として取り組むべきであろうと思います。
一方、内陸部から見ますと、津波の心配こそはありませんが、危険な急傾斜地や農業用のため池が点在しております。私の住まいする紀の川市にもたくさんため池がありまして、平成18年3月に発表されました和歌山県地震被害想定調査報告書の中でも、東南海・南海地震の場合の予測では震度5強以上、また紀北に隣接する中央構造線による地震予測では、紀の川沿いの低地で液状化の危険度が高い上に震度6強から震度7となっております。
最近、農家の方々から私も、地震のときのあのため池の安全性についてよく相談をお受けします。県下全域では、お聞きするところによりますと、大小合わせて5566カ所のため池があるとお伺いしました。ため池は農業用水あるいは洪水緩衝の場であり、防火用水など多目的機能を持っており、地域にとってはなくてはならない施設でありますが、その多くは集落、住宅地の上部のほうにあります。阪神・淡路大震災の淡路島や、あるいは平成16年10月23日発生の新潟中越地震、平成19年3月25日発生した能登半島地震でも、ため池の決壊による大きな被害が出たと報じられております。
そこで、地域にとってなくてはならないため池の安全性確保と、地域住民が安心して暮らせるための地震対策についての現状と、今後どのように対処しようと思っているのか、農林水産部長にお伺いいたします。
2つ目の質問でありますが、和歌山県の公共工事発注のあり方について。
昨年秋、和歌山県を震撼させた官製談合贈収賄事件に事を発し、県行政に対する信頼が著しく失墜したことを受け、仁坂知事は、今後の県発注の公共工事のあり方、談合防止などの効率的な対策の効率的なシステムづくりについて検討、提案を求めるために、公共調達検討委員会を立ち上げられました。5月10日にはその報告書も完成し、私も読ませていただきました。また、その報告書をもとに、6月15日には、今後の和歌山県としての公共工事における入札制度改革の方針が発表されました。当然、私も注意深く拝読させていただきました。この2つの報告書について、私なりに、確認の意味を含めて幾つかの問題点についてお伺いしたいと思います。
まず、県土整備部長にお尋ねいたします。
諸悪の根源、標的とされている工事予定価格に対する高い入札率であります。
工事予定価格というものは、工事を施工するに当たり、材料費、労務費の直接工事費とそれに必要な経費や、あるいは工事施工推進のための安全管理等、つまり間接経費と、それから企業の継続的な運営に必要な経費、つまり企業として適正な利潤を認めた金額の合計が工事予定価格のはずであります。技術者が工事を担当するに当たり、材料に関しては細心の注意を払い、国が実態調査して制定いたしました積算基準や建設物価表や市場調査した資材単価表をもとに積み上げたものであるはずです。技術者がプライドをかけて仕上げたものが工事予定価格のはずであります。
部長、補足することがあれば、また後で御答弁いただいたらいいと思いますが、私のいま一つ理解しがたい調査基準価格や最低制限価格という価格がもう1つあります。先ほど申し上げました市場調査をもとに、技術者が英知を振り絞ってつくり上げた予定価格がありながら、調査基準価格や最低制限価格を設定しております。これは一体何を意味する価格でありましょうか。私に理解できるように御説明をいただきたいと思います。
予算委員会でありましたら、一問一答ですから確認をして次の質問に進めるんですが、私の質問の組み立てがまずいせいか、少し話しづらいことなんですが、それはそれとして話を進めさしていただきたいと思います。
先ほど申し上げました工事予定価格とは、この工事、どれだけかかりますよと、国、県あるいは地方自治体が認めたもんでありましょう。その金額を予算化して我々議会が認めた金額の工事を、何%で落札したから談合だ、けしからんと十把一からげにしたような入札率だけがひとり歩きする、それだけを取り上げて批判する現在の風潮には、いささか私自身、不満を覚える1人であります。
冒頭にも触れましたが、毎日のように新聞、テレビをにぎわわせている官製談合や、あるいは一部のスーパーゼネコン、大手ゼネコンの身勝手な税金を食い物にしているような談合などは、断じて許すわけにはいきません。しかし、我が和歌山県にあって、過去長年にわたり県土の整備・保全、公共建築施設あるいは整備等に協力していただいた地域密着型のまじめな中小零細建設業者がたくさんいらっしゃいます。今後起こり得る災害に対しても、当然協力をしていただかなければなりません。
しかし、6月15日に発表されました県の入札制度改革について、地元業者は大変憂慮して、あるいは悲観的であるとNHK和歌山放送局のニュースが過日流れました。公共調達委員会では建設業者と現況について意見交換したとありますが、この入札制度改革にどう反映されているのですか。
平成20年6月以降、新しいシステムで運用すると発表されている入札方法について、特に地元に根差した建設業者の保護について細心の配慮がなされるべきだと思います。不服申し立ての機会を与えられていると、そう書かれておりますが、業者というのは弱い立場にあります。その弱い立場の業者に何ができますか。いかがですか、知事にお尋ねいたします。
次に、公共工事発注に関する出発点は、工事を担当する技術者であります。私も昔々現場を持たしていただいた古い技術者の端くれでありますので、特に技術者としての皆さん方のことについては気になります。最近の県の技術者の立場は大層気の毒に思っております。地元説明やら、あるいは用地買収の立ち会いやら地元苦情処理の業務に追われて、みずからの技術や知識を習得する機会、そんな時間があるのかなあ、反動として、すべてコンサルタント会社に任せて、そういうふうになってしまっているんじゃないかなあ、そう想像しております。
工事担当者、つまり工事担当技術者たる者は、積算から現場、施工の指導から設計コンサルタントへの的確な指示をして完成を見る、本当にやりがいのあるものであります。
今度の入札制度改革は、入り口だけで終わるものではないと思います。その工事が無事完成できるまで重大な責任を持つ技術者の養成、育成も大きな課題であると思いますが、県土整備部長はどう思っておられますか、お伺いいたします。
また、大きなプロジェクトになりますと、プランを組み立ててからその工事が見通しがつくまで簡単に技術者の配置がえなどすべきではありません。この点について、今後の人事異動の際には十分配慮されるように知事に強く要望しておきます。
この項目の最後の質問でありますが、我が和歌山県にあっては、建設業は多くの就労者を抱える、和歌山県としては重要な産業であることは申すまでもない事実であります。しかしながら、県における建設投資額は、平成8年の2121億円をピークにし、平成19年度はその約半分の1084億であるとお伺いしております。ますます雇用の場が奪われようとしております。
特に土木工事の場合、コンクリート2次製品を多用した画一的な工法になってしまっていないか。現場によっては一昔前の工法、つまり土木であれば鉄筋を組み、型枠を入れて現場のコンクリートプラントから生コンを運び、左官工が仕上げるといった工法でやれる現場があるはずであります。コスト、スピード、精度ばかり追求するのではなくて、和歌山式の工法を、県でもそうでありますが、県下に発信することがあってもいいのではないかな。それが仮に少しぐらいのコスト高になっても、現場で使う資材は地元で賄い、労働者が多く従事することになります。おなかが減ったら地元の一杯飯屋で食べてくれます。地元地域に及ぼす経済波及効果が大きくなるのは当然のことであろうと思います。和歌山方式にできる工事の研究も期待しておきます。県土整備部長、いかがでございましょうか。
3点目であります。和歌山県道路懇談会についてお尋ねいたします。
去る18日、和歌山県道路懇談会の初会合が白浜町で開催され、今後の和歌山県の道路整備のあり方、進め方について熱心な御議論が交わされたとお伺いいたしました。懇談会メンバーは、全国的にも著名な大学教授や県内のリーダー的な有識者12名の皆さんで構成されております。また、8月3日には第2回の懇談会を和歌山市で開催し、それぞれいただいた貴重な御提言を中間報告として取りまとめて和歌山県の道路整備の中期計画として策定され、国の道路計画策定スケジュールに組み込まれるよう働きかけるのがねらいであるとお伺いしてますし、新聞などでもそう報道されております。
和歌山県においては、国道の改良率では、自慢にはなりませんが全国ワースト2位、全国平均からすれば25年もおくれていると、そう言われておりますし、また住民意識調査では、道路利用者の満足度は全国最下位であると、そう報じられております。
近畿自動車道紀勢線あるいは京奈和自動車道の全線早期供用はもとより、国道42号線のあの渋滞の問題、国道424号線あるいはその他3けた国道の整備促進のためには、大いに懇談会の御論議に期待するところであります。がしかし、住民意識調査にもあるように、真に必要な地方における地域幹線道路の早期整備の促進も、これまた必要不可欠の大問題であります。
そこで、知事にお伺いいたします。
県内各地の道路問題の最前線で御苦労いただいている各市町村長などで構成されております和歌山県道路協会という組織があります。知事、この協会の存在は御存じですね。県内各地の実情を踏まえて貴重な御意見をたくさんお持ちであると思われますが、この中期計画策定に当たり、今後、道路協会の御意見をお聞きになって反映すべきだと思いますが、どのように対処されるおつもりか、知事の御所見をお伺いいたします。
第4点目でありますが、これは唐突な話でありますので今回は要望としておきますが、紀の川市へ警察署を設置してほしいと、そういうお願いであります。
旧那賀郡6町時代、人口12万余り、4万4000世帯の、和歌山市に次ぐ唯一人口がふえている大きなエリアでありました。道路整備も年々進みまして、またモータリゼーションの発達する中、大阪・関西大都市圏にも最も近い土地柄、事件事故も都市化傾向にありまして、日増しに増加しているのが現状であります。統括していただいている岩出警察署の皆さん方には大変御苦労をかけておりますことに対して、心から感謝を申し上げます。
そんな中、那賀郡6町が、御存じのように紀の川市と岩出市ということに統合され、2つの市が誕生いたしました。御承知のとおり、統括管理していただく警察署は旧岩出町に位置する岩出署1つであります。和歌山市を除けば、一番多く人口を抱えているのが岩出署であります。
現在、県下には14の警察署がありますが、それぞれの管轄内の人口については大きなばらつきがあります。当然、市にはそれぞれ警察署があります。地域的な要因もあるでしょうけれども、管轄内の人口数にも当然配慮すべきでありましょう。どんな基準で、どんな根拠でその設置基準があるんだろうなあ、そういうふうに思っております。
今後あらゆる面で発展するであろう、また発展させなければならない地域力のある紀の川市へ、ぜひ紀の川署をつくっていただきたいと思います。
私も、紀の川市内至るところ、いろんな集会で、たくさんの紀の川市民の皆さんから懇願されております。岩出署の皆さん方には従来どおり大変よく頑張っていただいておりますが、さらにきめ細やかな治安活動をお願いして、市民がなお一層の安心・安全な紀の川市での生活を切望しております。
今回は、公式の場でこの件についてお願いするのは初めてであります。したがって、警察本部長も多分初耳であろうかと存じ上げますので今回は要望としておきますが、今回はこの予告編を申し上げておきますので、今後、機会があるたびにお願いいたすことになろうかと思いますので、心の準備をしといていただきたい、そう思います。
以上、要望をもって私の質問を終わります。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの山田正彦君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 知事に対する御質問が2点あったかと思いますので、順番に御回答申し上げたいと思います。
第1番目に、建設業者の保護、特に地元に根差した建設業者の保護という点でございます。
この点については、もともと公共調達検討委員会にお願いをするときに、4番目の目標でありましたけれども、県内企業の健全な発展に資するような制度にしてくださいということをお願いしたところでございます。また、この考え方に多分沿ってくださったんだろうと思いますが、県内の建設業者、多数の方々から公共調達検討委員会は非常に熱心なヒアリングをしてくれました。そのヒアリングを踏まえて、私は5月10日の報告書ができていると思います。
さらに、これを肉づけといいますか具体化していかないといけないわけですが、その際に県といたしましては、報告書に対する意見あるいは御批判その他、そういうものを募集いたしました。そういたしますと、36の企業や個人から意見をいただきまして、これは公表しましたけれども、これを踏まえて公共調達の制度設計を行ったところでございます。
今の御質問の趣旨にかんがみると、大事なところが2つあると思っております。1つは、公共調達検討委員会の中では時間軸を考えて、それで対策をとれというようなことを原則論として掲げてもらいました。2つ目は、特に災害への対応とか地元企業、これに対する配慮というものをやりなさいというようなことも言ってもらっております。そういうことを踏まえまして、またそれぞれの意見を踏まえまして、あのような制度をつくった次第でございます。
まず、具体的にどういう点が配慮されたかといいますと、例えば地域要件につきましては、効率性の観点からすれば、競争を盛んにするという点で、これは地域要件を最終的にはなしにしろというようなことも書かれています。しかしながら、時間軸の観点を入れて考えろということでございましたので、県の案といたしましては、これは一挙にやるというんではなくて徐々にやっていくと、業界の発展に従って徐々にやっていくということを配慮いたしました。例えば小規模工事につきましては、現在の9つの地域区分というのをそのまま残して、地元の雇用とかあるいは災害対応とかそういうものに備える、あるいはそういうことをやっていただけるような企業が一挙になくなるというようなことはなしにしようということを配慮したところであります。
また、多少細かい話になりますけれども、基本的にはその業界の成長を図るために、上位ランク業者が下位ランクの工事へ参入してもいいということにしようということになっております。しかしながら、第1に、急にそういうことを言われて、例えば和歌山市の中堅といいますか、和歌山市の中では大きな業者、これが全部仕事をとってしまうというのは困るというような議論がありましたので、したがって、大きな業者が下位に行くということについては、2年間については特例措置を置こうと、それで、上に上がった企業については下のものもとれるけれども、いきなり一番上のが下の仕事をとりに来ることは2年間だけは猶予しようと、その間に備えてくださいということをいたしました。
また、経過措置として、これまでのそれぞれ認められていた受注実績等々のランキング、こういうものを一定程度加味して新しいランキングに入ってもらうということもいたしました。
以上のようなきめ細かい配慮を通じて、地元の雇用も図りながら、それから我が県の建設企業が少しずつ伸びて発展していけるようなそういう制度にしていきたいと考えている次第でございます。
第2番目に、和歌山県の道路懇談会についてでございます。
今議会の冒頭、県政の最近の主な動きとして御報告申し上げましたとおり、国の道路特定財源の動きを受けまして県版の道路整備の中期計画を策定するということにいたしまして、議員御指摘のように、その過程で地方の道路整備の必要性について県外にも発信し、都市住民の批判にも十分耐えられるような理論武装をするために、県内外の有識者、オピニオンリーダーで構成する和歌山県道路懇談会を設置し、先日18日、白浜で第1回懇談会を開催したところでございます。
これにつきましては、和歌山県だけでこう考えて自分たちの都合で言ってるんだろうということをほかの県の人たちに言われると大変困りますから、したがって、だれが見ても尊敬されるような、そういう方々がちゃんと納得してもらえるようなそういう計画をつくれるのではないか、つくってみようということで県外の人も入れたわけであります。そういう方はオピニオンリーダーとして有名な方ですから、どこかでまた和歌山県のために発信してくれるんじゃないかということも期待しております。
一方、議員御指摘のように、和歌山県道路協会を構成する各市町村長とは、常日ごろから要望をお聞きしたり情報交換をする中で、これまでも道路整備に対する意見把握に努めてきたところでございます。
今後、県民の皆様や各市町村長あるいは議員各位の御意見をお聞きしながら、年内を目途に道路整備の中期計画を作成したいと考えております。その中で、議員御指摘のように、道路協会というのは一番中心的なそういう意見聴取の機関になると思っておりまして、実はその意見交換の準備を進めているところでございます。
○議長(中村裕一君) 農林水産部長下林茂文君。
〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 内陸部に点在する危険ため池に対する対策についてでございますが、近い将来に予想されます東南海・南海地震による被害の未然防止、また安心・安全の確保という観点から、ため池の耐震対策が必要と考えてございます。このため、県では、お話にございましたように、5566カ所あるそのため池のうち、県の地域防災計画に位置づけてございますため池や規模の大きなため池、合わせまして420カ所を対象にいたしまして、平成16年度からため池耐震診断ガイドラインというのに基づきまして現地調査、また土質調査を実施いたしております。そうした中で耐震性などの安全性の確認を行ってございまして、本年度中に調査を終えるということになってございます。
今後につきましては、この調査結果を踏まえまして関係市町村また地域の住民の方々と十分協議をいたしまして、ため池整備の推進を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
なお、ため池の整備事業の取り組み状況についてでございますけれども、本年度は継続5地区、それから新規に3地区の合わせて8地区で実施中でございまして、平成20年度には新たに5地区の採択に向けて作業を進めているところでございます。
以上でございます。
○議長(中村裕一君) 県土整備部長宮地淳夫君。
〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 和歌山県の公共工事発注のあり方についての4点のお尋ねのうち、3点についてお答えをいたします。
まず、調査基準価格、最低制限価格につきましては、県では公共工事で低価格による受注が行われた場合、工事の品質確保への支障、下請へのしわ寄せなど、そういった弊害が懸念されることから、地方自治法に定められた調査基準価格及び最低制限価格を設けております。
現在、予定価格5000万円以上の工事について調査基準価格を設け、これを下回った場合は、工事の内容に適合した履行が確保できるかどうかについて低入札の調査を行うこととしております。
また、低入札の調査には多大な労力を要することから、予定価格5000万未満の工事については最低制限価格を採用しており、この価格未満の入札は失格としております。
次に、技術者の育成、技術力向上につきましては、大変重要な問題と認識をしております。現在、技術職員の業務のうち、地元説明や用地買収等の調整業務の比重が高くなり、現場で養われる技術や知識を習得する機会が減少しているため、平成16年4月に県土整備部職員能力向上アクションプログラムを策定し、専門知識を習得するための研修を実施しております。また、各職場においても研修責任者を定め年間研修計画を組み、現地研修を行うなど、技術力向上に努めております。
今後とも、職員の現場技術能力向上に向けて取り組んでまいります。
最後に、コンクリート工事の工法選定についてでございますが、樋管や側溝等の施工に当たりましては、コンクリート2次製品と現場打ちの両工法を比較し、施工可能でより安価な工法を選定することとしております。
今後とも、より効率的で経済的な工法の選定に努めてまいります。
なお、2次製品の使用に当たりましては、県内製品の利用推奨を行っているところであり、地元経済への波及効果にも配慮しているところでございます。
以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
29番山田正彦君。
○山田正彦君 要望になろうかと思うんですが、2~3申し上げたいと思います。
このため池並びにいろんな防災のことに関して危機管理局といろいろお話し合いをする中で、思ったというんですか、こうあるべきではないかなあと思うのが、危機管理局が今、総務部の下にあるんですね、組織的には。危機管理監は偉いからそこへ座っておられるんやけど、危機管理局自身は総務部の下部というんか、部の中にある。そうしますと、例えば県土整備部が担当する急傾斜の、あるいは崩壊危険の感覚というんか、現場を含めた認知とか、あるいはため池についての的確なアドバイスとかというのは、どうも、できにくいと言ったらおかしいんですけど、私の思うのは知事直轄の部局であるべきではないかなあと、そう思うんです。
ということは、今どうしても縦系統の、例えば農林水産部、県土整備部という縦系統の皆さん方が、まあ一番よく知ってるのはその方々であろうから当然のことなんですが、それを縦断的に網羅するようなことに組織的にはまだ──もちろん、内部のスタッフのこともあるでしょうし、専門的な技術を持った方もどんだけいらっしゃるかよくわからないんですが、もうちょっと知事あるいは副知事の直轄の部局に格上げというんか、内容を充実して──もちろんスタッフも用意しないといけませんけど、それぐらい、格の上と言ったらよその部には失礼かもわかりませんけど、もうちょっと大所高所から見おろすというんか、全般を見られるような組織に充実──まあ今後のことですけれども──するべきではないかなと、そういうふうに私は思いました。一遍そういうふうな目で御検討いただけたらありがたいなあと、そう思います。
それと、どうしても、我々内陸部におりますから、多少ひがんでるわけではありませんが、今度の20年度の国の政策及び予算に関する提案・要望の中ででも、ため池の耐震化というのは虫眼鏡で見ないといけないような小さな字であるので、もちろん、先ほど申し上げました海岸部の津波に対しては最大限の配慮をしないといけないのは当然なんですが、同じほどやっぱり内陸部に人口たくさんいるしということで、もうちょっと大きな字にしていただけたらありがたいなあと。ちょっと虫眼鏡がないとわかりません。そういうことでございます。
それと、公共工事についての件ですが、知事も地元のことについては最大の、細心の御注意を払っていただいてるとは思うんですが、その、今俗に言う地域に対する貢献度を点数にするとかというような文言の中で、どうしてもやっぱり主観点数に重きを置いて、客観的なそういう点数に、現時点では92~93%と5~6%ぐらいのウエートしかないと思うんですね、その能力審査する点数的には。もうちょっとやっぱり和歌山に即した客観点数を重要視したような、そういう能力審査を進めていただきたいなあと思います。
それと、いろんな施策を盛り込まれておりますが、要するに「牛の角を矯めて牛を殺す」ということわざもありますが、余りに、先ほど冒頭に申し上げた入札費が高い、即談合だというような世間の風潮にやっぱり流されることなく、和歌山県の公共事業はこうあるべきだ、和歌山県に従事する建設業界の将来はこうあるべきだという、もうちょっと──余りにも神経をとがらせ過ぎというんか、ということで、先ほど申し上げました牛の角を矯めて牛を殺すようなことにならないように、本当に長い間営々と積んだそういう実績がありますもんですから、本当に一部の、新聞なんかで騒がれてるようなあの大型の業者、スーパーゼネコンなんかのことはもうとにかく抹殺するぐらいのつもりでもいいですけれども、やっぱり地元業者、私たちの和歌山県に住む業者を育成すべきであろうと思いますので、細心の上にも細心の御配慮をいただきたいなあ、そういうふうに特にお願い申し上げて質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(中村裕一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山田正彦君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
34番片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 おはようございます。
最初に、今春の統一地方選では数多くの皆様方から御支援を賜り、県議会に送り出していただきましたこと、感謝申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。また、先輩議員、同僚議員の皆様方にはぜひとも御指導いただきますようお願い申し上げたいと思います。また、初めての県議会では早速一般質問の機会を与えていただきましたことを改めて感謝申し上げ、議長のお許しをいただきましたので、通告に基づきまして一般質問をさしていただきたいと思います。どうか、よろしくお願いします。
最初に、企業誘致について御質問をさしていただきます。
和歌山県、特に和歌山市の場合でございますが、ここの産業は古くから住友金属や花王などに代表されるような重厚長大型の産業構造で、これについては今も余り変わっていない、こういう状況であろうかと思います。経済成長の時代には、和歌山県の工業製品の出荷額、この伸び率は全国でも上位クラスに位置していたわけですが、現在では最下位に近い位置に低迷している、こういう状況であります。
一方、和歌山県も景気回復の兆しが見られていると言われておりますが、域内経済をリードしているのは、やはり住友金属などを代表とする産業で、これは、もちろん既存の産業が好調なのはとてもうれしいことなのですが、それだけではやはり全国的に比較して低位置から抜け出すことができない、こういう状況であります。
その理由として考えられることは、他府県、これは産業構造の転換がうまく図られているのに対して、和歌山県の産業構造は従来のままであると、このことに起因していると思います。例えば山形県、熊本県、こういった県は、かつて経済規模は全国的には低位でした。しかし、現在は電子機器や電気部品などの高機能材料、こういった企業誘致に成功、産業構造の転換にうまく成功しております。これらの県内の工業製品出荷額に占める高付加価値産業、これが生み出す利益は約50%に達している。これに対して和歌山県の場合、これらの産業が占める割合はわずか5%。これにすぎないということが現実であります。
産業集積のために必要なものは、分業、専門化、高付加価値化、この手順で、いきなり高付加価値産業に達することはできませんから、産業構造の転換がおくれたことが和歌山県の経済停滞要因の1つだと言えます。
では、和歌山県が今から他府県と同じような取り組みをしたとしても同種の産業構造の転換が図れるかというと、これは疑問符がつきます。なぜなら、現在稼働している、または稼働しようとしている工場群は、2005年ごろ既に工場の新設や移転を行っておりまして、その用地というのは近隣の用地で適地を見つけています。産業構造を転換する意味は、ある意味で、1つの基幹産業が立地するとそれに付随して周辺産業が集積していくのです。そのため、先行して企業立地に取り組んできた府県がリードしているのは当然のことであります。
さて、和歌山県の場合、今から単に企業誘致、これを図るだけでは現状を突破するのは非常に難しい。ですから、和歌山県発の新産業を創造するぐらいの意気込みが必要かと思います。
企業への訪問活動におきましては、和歌山県の将来像を語れる、あるいは将来の産業について夢を語れる、こういったことから導入をして、和歌山県に進出することは当該企業にとってメリットがあることを営業してほしいと思います。
さて、産業政策は3つに分類できるというふうに思います。
1つ、これは手っ取り早い方法なんですが、県外から和歌山県への企業誘致。手っ取り早いですが、非常に難しい問題です。他府県との競争が激しい空中戦ですが、即効性が期待できる分野。これが1つ。
2つ目、今ある企業に力をつけてもらうこと。新しいビジネスを育成することや地場産品の販売力を強化することで県内の経済活性化が図れますが、そのためには県の支援施策を講じて研究開発や販売ルートの開拓、こういった支援、ここに行政の力添えが必要かと思います。
3つ目、基幹産業のすそ野を広げる。これは代表的なのは、豊田市におけるトヨタ自動車のように、本体があって部品などの関連企業が周囲に存在している、こういう状況をつくり出すことであります。
この3つのスタイルがあると思いますが、そこで必要なものが産業振興ビジョン。これが必要かと思います。
企業誘致の目的は、雇用を生み、経済活動を活発にすることで私たちの生活を豊かにすることにあります。どんな生活を、どんな経済活動を志向して豊かな郷土をつくるかに目標を定め、それに合った企業に誘致活動を行いたいところであります。それによって私たちの生活は安定、豊かにつながるわけです。
ところが、現状はそうなっていない状況があります。例えば、和歌山市に暮らす私たちの消費生活からの推測ですが、仮に所得を100──ここでは税金とか光熱費というのはすべて捨象さしていただきますが──そのうち市内で消費している比率というのは50以下、あるいは極端な場合は30以下ではないかと思われるところがあります。これは、中心市街地から人を集める力が失われ、和歌山県外で時間的距離が比較的短いところ、ここに大型商業施設が進出している中において、この傾向はさらに上昇しているような気がします。
このように、域内で流通するお金がなくなっている。これは資本のミイラ化を意味し、域内での経済活動がこのままでは成り立たない、こういう状況、危機的状況にさらされている、このような気もいたします。つまり、企業から見ると、和歌山県では生産活動に支障を生じ、事業活動ができにくい状況にある。ですから進出にはつながらない、見合わせる、こういうことにつながっているのが現状ではないでしょうか。この経済活動を成立させるためには、域内での消費のマイナスとなる分を外から稼いでくる、こういう姿勢が必要であります。
さて、この産業振興ビジョンなるものは約70%の都道府県で策定しているようであります。残念ながら、和歌山県には存在しておりません。ただ、和歌山県で発足している企業立地課、この活躍ぶりは、聞くところによりますと非常にすばらしいもので、発足以来既に約900社の企業と接触し、企業誘致活動にも取り組んでいます。そして、企業立地のある程度の成果も上げていますし、今後進出が見込まれる企業もあると伺っております。そこに欠けているものは、和歌山県が企業誘致するには全国に誇れる産業をつくろうとする産業振興のあるべき姿です。1つの課だけが懸命に取り組むのではなく、企業誘致に関する課員が横断的な活動ができる体制を設けてほしいと思います。
ところで、企業はボランティアで進出してくれるはずもなく、採算ベースに乗らないことには和歌山県には来てくれません。そのもとになるのは、何といっても企業用地の価格であります。
平成17年度和歌山県の土地鑑定価格に基づく企業用地価格、これは全国で14番目と、相対的に高い水準にあります。和歌山県企業立地ガイド、これは発刊されているものによりますと、主な企業団地の中で西浜地区の用地、これの賃貸価格は月額平米当たり204円、坪単価にいたしまして673円、雑賀崎地区用地、これが坪単価607円、北勢田ハイテクパーク、これが坪単価284円となっております。これでは、よほどの産業ビジョンがあるか、例えば10年分相当額の固定資産税の補助など飛び抜けた優遇措置があるかなどの施策がない限り、進出は見込まれないと思います。
さらに、この企業用地の問題について考えますと、大規模な基幹産業となるような企業が進出するためにはかなりの坪数──10万坪や20万坪では当然不足しますから、50万クラス以上の土地が必要となってきます。
ここで、企業に貸す賃貸価格について1つの目安を示したいと思います。
お隣大阪府、ここのある市では企業進出が進んでおりますが、そのため賃貸価格を坪単価300円に上げた、こういったところ、最近は企業進出を見合わせているところが非常に多くなっています。大阪府下でもその状況です。瀬戸内海沿岸に位置するある市では坪単価150円です。しかし、ここでは消費地から離れているために企業進出がなかなか見込まれていない。そして九州のある市、坪単価を30円から50円に抑えております。そのため、九州では最近非常に企業進出が活発、あるいは見込まれる、こういう状況になっております。
こういったお隣や企業進出が図れている府県と比べまして、いかにも和歌山県の企業用地の賃貸価格というのは高い水準にあるのではないかなというふうに考えます。
複数の企業から、和歌山市内の企業用地に限って評価を伺ってまいりました。これらの企業からすると、和歌山市の企業、賃貸価格の坪単価おおむね70円以下、こういった水準でないとなかなか進出は和歌山には難しいよと、こういう評価をいただいております。これを超えると採算ベースに乗らないため進出は難しい、このように判断されるわけです。
工業立地に当たっては、企業用地の賃貸契約と初期投資額との関係がここで問題になります。
コスモパーク加太を例にとり仮定しますと、例えば周辺部を含めて賃貸する土地を70万坪、投資額を200億円として10年で償却する、こうさしていただきますと、1年当たりは20億円、1坪当たり年2800円、1カ月の坪単価が230円となり、土地の賃貸料を仮に70円とすると坪単価が300円となりますから、これだったら企業にとっても進出が見込まれる、その程度になろうかと思います。
地方都市にとって土地価格を低く抑えることが企業誘致活動の原則となりますから、幾らで貸すのか、これを提示するのが必要なことです。
さらに、外資系企業の誘致についても、付加価値製品を扱っている日本市場の魅力、そして日本製ブランド力の魅力を求めて日本に工業立地を考えている企業もあります。港湾があり、十分な用地を確保できる和歌山県への進出も不可能ではありません。外資系企業からすると、大阪であろうが和歌山であろうが、地球規模からすると、その距離は誤差の範囲だそうです。港湾があり関西空港にも近い和歌山県が適地になり得ると思いますが、外資系企業へのアプローチや国内外の企業に対する企業誘致サーチャー制度、この活用もぜひ検討してほしいところであります。
そこで、質問をさしていただきます。
産業振興ビジョンを策定して企業誘致から和歌山県の根幹になる産業誘致と育成を図る必要があると思いますが、いかがでしょうか。
2点目、和歌山県の企業用地は、鑑定価格制度を導入した後でも全国的には相対的に高い水準にあるのはどのような理由からですか。他府県と比較して競争力がないとも言える状況ですが、解決するための手段をどのように考えておりますか。
企業関係者との懇談の中で感じることですが、企業が今まで立地したことのない県に進出するのは相当の覚悟が必要で、絶対に後戻りできない、そういう覚悟で出向いてきます。決死の覚悟で県の扉をたたいているのに何となく結論が出ないままの交渉になるとすれば、県の本気度がわからない、こう経営陣に報告し、その時点で進出計画は消滅してしまいます。
和歌山県に進出してほしいとする熱意、一緒に地域の産業をつくり上げようとする夢を見られるような県である、これが重要ですが、基幹産業となり得る企業に、ぜひ和歌山県に来てほしいという決意を知事の言葉で語っていただきたいと思います。
以上、知事に質問をお願いします。
3点目、何が問題で企業誘致が進展しないと考えているでしょうか。また、企業立地活動をどのように考えておりますか。これは商工観光労働部長からお答え願いたいと思います。
また、企業に和歌山県に来てもらうためには、企業用地の価格を和歌山県で採算ベース──企業が採算ベースですね──乗った形で生産活動ができる水準に下げる必要があります。価格は企業用地によって違いますが、例えばコスモパーク加太では、先行事例と同等の価格でないと企業に来てもらうことは難しいと思います。
地方自治体財政健全化法が成立し、地方自治体の決算が連結決算へと変化する中、コスモパーク加太の問題は放置できないものです。県の基幹産業となり得る企業であれば、相当思い切ったインセンティブの導入や、公社保有地には県が関与した支援など、コスモパーク加太対策検討委員会の報告に基づいた優遇措置などの提供、あるいは企業に見てもらうために思い切って賃貸価格を抑え、そのかわりに一定以上の雇用を条件とする──今以上のですね──そういうことはできないでしょうか。企画部長はこのコスモパーク加太に関して今後の取り組み方針についてどう考えているのか、お尋ねいたします。
5点目、企業誘致サーチャー制度についてであります。この制度は、既に登録者数も多く、成果も上げているとお伺いしておりますが、さらに成果を生み出すためにも、外資系企業への展開を図る意味でも、原資総額、これはそのままで、成果を出した登録者への活動費を含めたインセンティブについて検討できないでしょうか。この点につきましては商工観光労働部長からお答えをいただきたいと思います。
2点目であります。観光医療立県和歌山の取り組みについてでございます。
現在、全国で約240の地域で、観光と何らかの健康に関するコンテンツ、これを合わせた取り組みがなされていますが、残念ながらほとんどがうまく他地域と差別化できていないのが現状であります。そして、この分野では和歌山県内の取り組みが2年から3年は他地域をリードして全国のトップを走っている、こういう評価があります。
経緯を述べますと、平成16年度都市再生プロジェクトで和歌浦地域を中心とした調査事業、平成16年度国土施策創発調査での世界遺産を活用したこころの空間・癒しの交流づくりに関するもの、そして地形療法を中心とした和歌山県の熊野健康村構想、平成18年度には和歌山県立医科大学の観光医学講座開講、和歌山大学観光学科の開設、そして経済産業省のサービス産業創出支援事業に採択された観光医療立県和歌山の成果により、一躍、和歌山県のこの分野が全国的に注目をされ始めました。
整理さしていただきますと、和歌山県が中心となっている熊野健康村構想の取り組み、医療機関と民間とのコンソーシアムで進めている県内周遊型の取り組み、この2つがあるわけです。
ここで、観光医療ツアー、どういうものかというのを紹介さしていただきますと、楽しく観光しながら安心して代替医療のコンテンツ効果が期待でき、参加者に健康を認識してもらうことを目的とした取り組みであります。そのため、現在、和歌山県では健康障害に対して有効と思われる施設や観光資源を抽出し、代替医療を中心とした観光の受け入れ態勢を整え、観光客に提供しています。つまり、今ある観光資源を生かし、観光産業としての付加価値を高め、他地域との差別化を図れるもの、それは高付加価値型の観光施策としてニューツーリズムと言われるものに数えられるものであります。
平成18年度の主な取り組みは、まず市場形成のための健康保険組合や患者の会などへのヒアリング、それからこれをデータベース化、商品開発としての運動療法、温泉療法など和歌山県で代替可能な代替医療効果の調査と特定疾患患者への対応ノウハウを基盤とした健康づくりや予防医療のプログラムコース、これの開発、交通・宿泊・食事・物販などを連携させ受け入れ施設の高度化と集客力の強化を図り事業性を想定、お客さんと地域観光資源を結びつける役割を担う日本初の観光医療指導師育成プログラムの構築、ツアー参加者の属性を管理するデータベースの開発、こういったものを既に完成さしているわけです。その結果、観光と医療を融合さした次世代型の観光産業を開発し、顧客の開拓、商品開発、サービス体制、人材育成、こういったことを実施することで和歌山県内でのサービス事業の仕組みが既に完成しているわけです。
この中で和歌山県内の取り組みが評価されているのは、特定疾病対策、予防医療ツアー、美容目的ツアー、こういったものを実践、検証し、本格的に取り組みを開始しているところにあります。特に特定疾病の患者さんのツアーとして、パーキンソン病、糖尿病の患者さん、人工肛門の患者さんなど、今まで観光したくてもできなかった方々にも和歌山県の観光を安全に、そして健康的に提供しています。
当然、こういった皆さん方を対象としたツアーの実施は全国で初めてのことで、これを行える知識とノウハウを形成しているからこそ、引き続いての健康関心層への展開が図れ、それが他地域と決定的な差を生み出しているわけであります。つまり、心身の健康バランスを向上させながら楽しめる観光プログラムを提供することにつながっております。
現在では、全国で初となる観光医学講座の開講、そして観光医療指導師、観光健康指導士、2つの資格認定講座を開講し、観光の安心と安全を支援するための人材育成を平成19年7月から開始させる計画があります。これは、医学の専門家集団が医療が産業につながる価値を見出し、和歌山県の観光産業と結びついたことが大きいと思いますし、他地域を明らかにリードしているこの産業は観光医療立県和歌山の柱になる可能性を秘めております。
さきの6月14日、つくば市で開催された第57回日本病院学会、ここにおきまして日本病院学会の藤原秀臣学会長は、その会長講演「医療の実践と社会の変革」の中で和歌山県の取り組みを紹介してくれています。この内容は、これからは病院も観光と組むべきとした上で和歌山県の先進性を紹介し、高く評価してくれているわけです。
また、観光医学、この視点から地域医療を見直すことも可能です。地域医療とは、住民の皆さんへの安心と安全を提供するものです。地域医療の体制が備わっていることで、和歌山県を訪れる観光客に対しても安心と安全を提供できるのです。住民への医療サービス、産業としての観光客への医療サービス、こういったものを支えるためには県立医科大学を中心とした医療ネットワークづくりが不可欠かと思います。
全国的には、観光地の過疎化、これが進んでいます。地域医療が崩壊すると、地域の方の不安の高まりはもちろん、観光客にも泊まってもらえない、こういった地域になり、和歌山県は安心・安全な観光地でなくなる、こういうこともあります。
県立医大は、観光地の過疎化を食いとめ、観光医療立県和歌山モデルを支えることができる唯一の医療機関であろうかと言えます。視点を変えますと、医科大学が独立行政法人となったことは、正社員1200人を超える大企業が和歌山県に誕生したことを意味します。医学はどんな産業にも付加価値を高めてくれるものですから、この大企業が持つ知的財産をもっと活用すべきです。今後、主流となる新しい観光の姿、健康・美容サービス産業を補強するのがこの大学の新たな役割だと思います。
さて、和歌山県の地域支援活用型のこの企画は、他地域に集客モデルを普及されるところまで至っております。既に京都や鹿児島、こういったところからも視察調査に訪れる予定があるほか、和歌山県と並び観光・健康サービスが進んでいる他地域との間でもノウハウ連携の仕組みが図られようとしています。
このように、本格的な取り組みが開始されようとしている中、単に調査事業や成功事例だけに終わらないで、観光産業のクラスター創成、ここに広がっている様子もうかがえる一面があります。
例えば、医学と医療、健康ウオークや水中エクササイズ、タラソテラピーや温泉療法などの健康分野、また美容分野では、既に東京の化粧品メーカーが和歌山県にある民間組織と共同研究、こういったものも開始され始めました。地元の食材を活用した自然食料理の提供などのホテル、旅館、飲食業の分野、そして健康サービスコンテンツを提供しながら周遊観光型の輸送の分野、全体を企画コーディネートするサービス提供者など、こういった事業者があらわれ、お互い補完し合う連携が図られていることから、今後の新産業への発展が期待できるわけです。
国レベルでも、平成19年6月1日まとめられた観光立国推進戦略会議の報告書でも、地域固有の伝統、文化、歴史、産業、自然、こういった観光資源を活用するように提言されております。つまり、産業施設や素朴な家庭料理など、従来は観光の対象から外れていたものが観光資源になる、このように提言されているわけです。
このように地元発で新産業としての広がりを見せており、他府県から使節団を迎え入れているだけに、和歌山県はこの分野での施策をさらに講じていただきたいところだと思います。
そこで、質問をさしていただきます。
1点目、経済産業省の事業採択を受け、全国的にも関心を集め、和歌山県での取り組みが始まっている観光医療立県和歌山としての健康サービス、美容サービス、こういった産業化を図る取り組みについて、そして日本病院学会でも評価されている和歌山県の新しい観光産業づくりに資する取り組みについて、これは将来の和歌山県の観光産業の核となる可能性を感じます。この点について知事の認識をお示しください。
2点目、これは商工観光労働部長にお伺いさしてもらいます。本格的に和歌山県の新しい観光産業としてのクラスター創成まで発展しようとしている状況において、和歌山県もブランディング、こういった部分で支援してほしいところです。例えば、「和歌山県と言えば観光医療立県ですね」と他府県から言われるぐらいのブランディングが必要だと思いますが、ここでの県としてのかかわりはできないものでしょうか。
参考までに、この事業化というのは、まさに民間の自助努力でありますから、民間主導、県がここにかかわって支援する、こういった支援方策についての考え方はいかがでしょうか。
3点目、産業支援課の新施策に観光産業プロジェクトマネージャー、こういった新施策があります。これは、観光産業と他産業が連携した新たなサービス産業を育成する、こういった役割が担わされているようですが、この活用について商工観光労働部長から言及していただきたいと思います。
以上、何点かをお伺いさしていただきまして、第1問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございます。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、企業誘致関係でございます。
国内の産業構造が転換する中で、県内産業の相対的な力が徐々に低下し、今日では、御指摘のとおり製造品出荷額の伸び率では下位に甘んじております。
多くの県民が県経済の立て直しを期待しているところから、私は、職づくり、人づくり、地域づくりによる元気で活力あるふるさと和歌山を実現するために全力で取り組んでおります。その際、本県経済の屋台骨として成長してきた企業群の生産性向上や次世代の和歌山県を担う主力産業の創出といった県内企業の育成、振興と、それから企業誘致を一体的、総合的に推進することが肝要と考えております。
そこで、現在策定中の新長期総合計画の検討の中で、このようなものをしっかり議論し、産業振興のビジョンを示してまいりたいと、こういうふうに考えております。
第2に、企業用地でございます。
県が保有する企業用地につきましては、その価格算定基準を平成18年度に従来の簿価から鑑定価格に変更し、実勢価格に応じた用地の提供に努めようとしているところでございます。しかしながら、立地の決め手となる用地取得について、誘致に係る地域間競争が激しさを増す現在、県が実施する鑑定価格よりもさらに低廉な価格での提供を求める企業も多く存在し、交渉価格としての割高感が発生しているということも事実であります。
個別具体的な企業の要請も踏まえつつ、今後とも社会情勢を見ながら、この用地価格についての検討は引き続き実施してまいりたいと思っております。
次に、企業誘致に関する知事の決意というようなことでございました。
県民の期待に全力でこたえたいと思っておりまして、そのためには職づくり、人づくり、地域づくりに邁進し、良質な労働力と暮らしやすさを提供する地域、つまり元気な和歌山になるということが必要であります。
企業誘致はその1つの手段ですが、私が常々肝に銘じていることは、企業との関係において決して逃げないということだろうというふうに思っております。
私は、経済産業省の役人をやっておりますときに、企業が何かの問題に直面したとき、幾つかの自治体が「それは企業の問題です」と言って突き放すケースというのがあったのを数多く見てまいりました。私は、そのようなことをしておりますと、その企業群あるいは産業群が持つその地域のイメージが随分悪くなるなあというふうに思います。
もちろん、例えば公害の発生、不都合な問題、そういう問題については県は全力を挙げてその是正に取り組まないといけないわけですけれども、一方では地元の企業との共存共栄を目指し、特に雇用に着目してその意義についてもちゃんと把握をして、柔軟かつ責任のある態度を県当局としてはやっていかないと、その地域がすべての産業界から見放されると、そういうふうに思っているわけでございます。こういう考え方で、私自身も各企業のトップにそのような気持ちをお伝えして企業誘致に資してまいりたいと考えているところでございます。
次に、観光医療立県というお話がございました。
本県には、熊野に象徴されるようないやし、よみがえりの地としての背景と、それから予防医療への応用が可能とされる農林水産物とか、あるいは温泉とか、きれいな景色とか、そういう地域資源が豊富にございます。こうした本県のポテンシャルを生かした新たな観光形態として観光医療の分野は期待できるものでありまして、議員御指摘のように、県立医科大学が全国に先駆け開設した観光医学講座の取り組みなど、その実現への一歩と受けとめているところであります。
いずれにいたしましても、観光は元気な和歌山をつくる大きな柱の1つでありまして、本県観光のメニューに観光医療が加わるということになればさらなる観光の振興につながるものと考えておりますので、本件の問題についても関心を持って見守って育てていきたいと考えております。
○議長(中村裕一君) 商工観光労働部長永井慶一君。
〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) まず、企業誘致の対応状況につきましてお答えいたします。
企業が立地を決定する際には、教育水準の高さ、住環境や文化的生活はどうか、あるいは良質的な労働力と人々の暮らしやすさをその地域が提供できるかどうかという立地周辺環境が前提であろうと考えております。
次に、企業が事業活動を拡張する場合には、既存工場や本社等との近接性を重要視しております。この10年間において誘致活動に懸命であった地域とそうでなかった地域との差異を感じております。
最後に、直接的に誘致を決定する諸要因について1つ申し上げたいと存じます。
立地決定の最も大きな要因は、受け皿となる用地とその価格であります。本県の地理的状況、事業活動基盤等をかんがみますと、これらについては不断の検討が必要であろうと考えております。
企業への誘致活動につきましては、昨年度より数値目標を掲げ、精力的に行っているところでございます。この活動の精度を向上させるためにも、今申し上げましたような課題に対し、部全体として取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
次に、企業誘致サーチャー事業は、企業の地域進出情報の収集力を高めるために平成17年度より実施しているところでございます。本事業では、和歌山県にゆかりのある全国の方々に依頼し、広く民間の力をおかりしながら進出希望企業の情報をいち早くキャッチすることで、その後の誘致活動をより有利に展開していくことを目指してございます。
しかしながら、本事業の効果をより高めるためには、サーチャー登録者の活動を活発化し、成果を残した者が報われ、また、その他の者が励みとなるような仕組みとしていくことが不可欠、肝要であると認識してございます。
こうしたことから、現在の成功報酬制度に加え、活動費のあり方や外資系企業へのさらなる働きかけを含め、サーチャーの有効な活用方法等について必要に応じ検討を行い、事業のより一層の改善に向けて取り組んでまいりたいと考えています。
続きまして、観光産業クラスター創成への支援についてお答えいたします。
議員御提案の新しい観光産業の形態は、今後、時代を先取りした観光産業の1つとして認識してございます。このため、県立医科大学が先駆的に取り組んでいらっしゃる特定疾病の患者を対象にしたツアーや観光医療にかかわる人材の育成などの成果を生かし、医療サービスという価値を付加した新たな観光産業が民間主導によりうまく定着していけるよう、県としては機会あるごと、情報発信の分野等で支援してまいりたいと考えております。
それから、観光産業プロジェクトマネージャーの活用についてお答えいたします。
この事業は、観光の専門家による県内の巡回支援活動などを通じて元気で頑張る観光事業者を掘り起こし、その経営面等からの指導、育成に取り組むものでございます。
今後、当該マネージャーの支援活動によって、健康関連サービスの視点を加味した新たな商品開発等の取り組みも促進してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(中村裕一君) 企画部長森 崇君。
〔森 崇君、登壇〕
○企画部長(森 崇君) コスモパーク加太への企業誘致の取り組みについてお答えいたします。
現在、平成15年12月の調停に代わる決定に基づき、コスモパーク加太の県土地開発公社所有地の一部108.8ヘクタールを県が賃借し、土地の利活用を図っているところでございます。
企業誘致につきましては、利活用の1つとして極めて有効であると認識しておりまして、県議会コスモパーク加太対策検討委員会からの報告を踏まえ、企業立地奨励金を初め、思い切った優遇措置を提供しながら取り組んでいるところでございます。
今後も、優遇措置や基盤整備等につきまして、関係部局と連携しながら、新規雇用の創出など、経済波及効果が期待できる企業の誘致に努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
34番片桐章浩君。
○片桐章浩君 御答弁ありがとうございました。
要望をさしていただきまして終わらしていただきたいと思いますが、企業誘致も、産業を創造する、こういったものも、すべて対象となるのは人ですから、県の思いが熱伝導しないことには決してこういったものは来てくれないと思います。熱は人から人へ伝わり、その空気をも一変させるものですから、ぜひ熱意を持って取り組んでいただきたい。
誘致のための補助金やインフラ、こういったものはもちろん必要なんですが、この地域を企業と一緒になって盛り上げていくというふうな熱伝導が絶対に欠かせないと思います。
きょうも、ひょっとしたら議場かモニターで企業関係者がこのやりとりを聞いているかもわかりません。そういった方に伝わるような思いを知事も持っていただきたいというふうに思います。
また、もう1つわかっていただきたいのは、企業からの要望をまず否定から入る、こういった殿様商法では決して進出してくれないということです。最低限ファイブオール、この立場で企業からの要望にはスピードをもって提案していく、積極的に提案していく、こういう姿勢を持っていただきたいと思います。
もう1つ大切な観点が、もう御存じのように、企業が動くためには相当シビアな採算計算が求められます。これはメーンバンクや株主の意向、こういったものが影響を与えてるわけですから、困難な課題を一緒になって和歌山県は解決するんだ、してくれるんだ、そういうふうな姿勢をぜひ発信していただきたい、このように思います。
熱意とスピード、そして、問い合わせに際しては窓口を1つにして、どうするか、諸課題を解決するのか、企業の立場になって提言してほしい、このように思います。
以上、要望として終わらしていただきます。ありがとうございます。
○議長(中村裕一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で片桐章浩君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時27分休憩
────────────────────
午後1時3分再開
○副議長(新島 雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
42番松坂英樹君。
〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 質問通告に基づき、早速一般質問をさせていただきます。
私、まず第1に、限界集落の問題について質問をさせていただきます。
いわゆる「限界集落」という言葉は、65歳以上の高齢者の比率が50%を超える集落を指す言葉として15年ぐらい前から提唱され、問題提起をされています。私の住む有田川町においても、旧清水町管内の26の集落のうち過半数の15の集落が限界集落となっているのが現状で、加速度的に高齢化が進んでいます。この限界集落が抱える問題は、冠婚葬祭など社会的共同生活の維持が困難になっているという問題にとどまらず、医療や福祉、交通や災害など、いろんな面でせっぱ詰まった課題を抱えているというふうに思います。
「限界」とか「消滅」とかという言葉の定義には異論もあるようですが、きょうはあえてこの「限界集落」という言葉で問題提起をしてみたいというふうに思います。
私は、今回の質問に当たって2つのいわゆる限界集落を調査してまいりました。
1つは、有田川町の旧清水地域にある室川地区です。ここの高齢化比率は93%。リアルに言いますと、15人の住民のうち、65歳より若い人は1人しかいません。そして、半分以上がひとり暮らしの独居老人世帯です。
訪ねたお宅は、70歳代の夫婦2人暮らし。御主人が脳梗塞で倒れてからはリハビリの生活が続いています。つい先週の金曜日だったんですけど、体調のせいでしょうか、「朝晩はまだまだ冷えるので」と、ホームごたつに御夫婦で足を入れて座っておられました。「去年まではサンショ取りに畑へ行ったんやが」と、体調がよくないのを嘆いておられました。御主人が倒れて車に乗れなくなったので、奥さんが週に1回程度、自転車で林道の長い道のりを国道までおりて、そこからバスに乗って買い物に行くそうです。このお宅は比較的安定した暮らしのうちですけども、「毎年値上げとなる税金や国民健康保険の掛金がすごくしんどい」というふうにおっしゃっておりました。
「そうや、この下に住むわしのいとこが、この間、車でまくれ込んで入院しとる」、こんなふうにおっしゃいます。聞いてみると、70歳のその方は、雨の日の夜、家まであと少しという距離で、ガードレールのない林道から下の河原へ数メートル転落したそうであります。骨折など大けがをしたものの、幸い自分ではい出してこれたとのことですけれども、街灯もなく真っ暗な雨の夜に、どんなに痛くて、どんなに心細かったことでしょうか。
また、隣に住むおばあさんは、「ここらでは合併で余計に過疎が進むよ。山を背負うて住んでる者には雨が怖い。雨は欲しいけど、降ったらほんまに怖いんよ」と、そういうふうに言います。取り残される不安というのがますますふえているというふうに感じてまいりました。
次に訪れたのが、有田川を挟んで向かいにある沼谷地区です。この集落の高齢化率は73%。区長さんは、「ここは大半が80歳以上でなあ」と言います。その区長さん御自身も、ことしで80歳。でも、区の中では現役ばりばりの中心人物で、区長会長も務めておられる行動派です。54戸のうち17戸がひとり暮らしだそうです。60歳までの若手は4家族、14歳以下の子供はとうとう1人になってしまいました。区長さんは語ります。「この集落のメーン道路である林道も、皆でお金を出し合い、難しい人にはみんなでお金を補い合うて苦労してつけた道や。町道にして町に管理してほしいと願い出てもなかなか通らない。長い道のりの草刈りを区民総出でやるのも限界だ。自分の身一つで、かま持たんと1人でやって来るのがやっとの老人が半分なんです」と言います。
「集落の息子や娘たちは、町へ出ていって暮らしているが、呼び戻しても仕事はない。賃金の取れる仕事があればいいが、米はつくるだけ赤字だし、山の手入れも進まない。わしらのおやじの代は50過ぎたら若い者に任せてほとんど仕事をせなんだもんやが、今は80になっても90になっても現役や。どこの枝谷でも今、生活保護水準以下の暮らしを、本当に苦労している人が多くなってきた。こんなほんまの実態を県の役人や政治家は知らんの違うか」と、率直に御指摘をいただきました。
「今、この地域には、農業の担い手で若い人らが来てくれていて、とても喜んでる。しかし、こういった事業も田んぼや畑が荒れてしまわないうちにやらなければ、荒れてしまった田んぼや畑、これは簡単には戻らない。ここ5年、10年が勝負。交流や担い手対策は早く手を打たんとあかん」と口酸っぱくして町に言っているというように言います。
ここの沼谷区では、合併の直前に区の集会所を改修しないかという話を町から打診を受けたそうであります。ひとり暮らしのお年寄りが共同で暮らせるような、そういうものができないかと盛り上がったそうですが、建設の負担金や維持費の捻出が個人や区費の中では難しいと、とうとう立ち消えになってしまいました。
ひとり暮らしのお年寄りというのは、町の子供の家に呼ばれて引っ越してしまうと、毎日の仕事がなくなって途端に弱って表情もかたくなり、足腰も弱ってしまいます。施設に入所したお年寄りも弱る一方だそうです。でも、ここにいれば、言葉は悪いですが、「ええ死に方ができる」て、こういうふうに言うんですね。きのうまで畑で仕事をしていたけれども、朝になったらぽっくり死んであったというふうに、みんな「80を過ぎて長生きができるんや」と言います。
住みなれた場所から移すんじゃなくて、みんなで支え合える。そうすればお年寄りも認知症になりにくい。「この集落の中に──託老所ではないですが──共同生活の場があれば、時々家も見に帰れるし、毎日畑へも行ける。話し相手もあるし、体の調子が悪くなったときも安心です。そういう手助けがあるだけで本当に幸せな人生の最後が送れるのに」と住民は言います。
安心して、人がおらんでも生活できる、自分の暮らしてきたところで一生を終えることができる、そんな中でこそ健康を守ろうという仲間意識も生まれます。そして、個人ではどうしようもできない、その部分を行政がどう助けるか、どのようにこの点のように見える住民のところを守れるかと、それが行政の使命だと学んでまいりました。
村では若手のトマト農家の方にもお話を伺うと、「うちの子供ら、今は学校で外へ出てるけど、皆、沼谷がええって言うんよ。ここへ住んだら、もう町へよう戻らな」と、ぞっこんほれ込んでいます。農業の担い手事業でIターンで清水へ来られた若い2人が、ことしから80歳を超えたトマト農家から新たに畑を預かって栽培に取り組んでいます。また、農業研修で来ている青年はハウスでの花づくりに夢中であります。寒暖の差が大きい地理的条件を生かし、トマトの味が違う、ここ沼谷でしか出せない花の色があると。市場の評価も高いそうであります。
このように、地域資源を生かし活力ある地域再生は決して不可能ではないと確信をしています。
和歌山の面積を、どれほどこの限界集落が支えているのでしょうか。豊かな水資源と大気をはぐくむ森林をだれが守ってきたのでしょうか。GNP換算70兆円という森林の公益的機能にふさわしい位置づけをしなければならないと思います。
限界集落を訪問して歩くと、垣根に上がる滑りやすいその道の奥で、本当に劣悪な住環境の中、古い布団に潜り込んでじっと寝ている高齢者の方から話を伺うと、本当に胸がつまされる思いです。現代社会の格差の象徴の1つであり、高齢者の人権問題として大変重い課題だと思っています。
先ほど、集落の中での共同生活の場がうまく計画できなかった話を紹介いたしましたが、既存の事業や制度でこの限界集落を見たり、それを当てはめたりするんではなくて、その実態に合わせた支援策を講じること、そんな集落や自治体に支援の手を差し伸べる必要があるんだと思うんです。
ほかにも例を挙げますと、例えば空き家になっている公営住宅の問題。これは入居基準が窮屈なんですね。また、廃校となった校舎や跡地の活用でも、住宅にして活用するとなると浄化槽に膨大なお金がかかるとかで立ち消えになったり、コミュニティーバスの議論のときにはしょっちゅう出てくる話ですが、毎日走っているスクールバスにお年寄りが便乗できないのかというこんな問題も、規則や補助金の関係で「できません」となったままですね。こんな決まりが壁になってうまくいけない。こんなことをどう政治の力で解決するかということを市町村と一緒になって県が知恵も力も出すべきだと思うんです。
京都の綾部市では、水源の里条例、こういう条例をつくって限界集落を支えようと。空き家の有効活用など定住促進、都市の住民との交流、地域資源を生かした特産物の開発、健康・医療など生活基盤の整備、こういったことを中心とした振興策に5カ年間取り組むというふうにしているそうです。
市町村合併の中で、より一層加速しつつあるこの限界集落、和歌山の地理的条件からしても、この限界集落問題は待ったなしのほうっておけない問題ではないか。大いに焦点を当てて取り組む必要があるんではないでしょうか。
そこで、知事並びに農林水産部長にお尋ねいたします。
仁坂知事は、県内の限界集落の実態や課題をどう認識しておられるのか。また、田辺市が始めたように、限界集落の実態調査に本格的に取り組むべきではないか。そして、限界集落を支える県条例と支援措置、これを検討するように求めるものですが、いかがでしょうか、御答弁を願います。
次に、地上波デジタルテレビ問題についてお伺いをいたします。
地上波デジタル放送に伴うアナログ放送の停止が2011年に控えています。今使えているテレビがある日突然使えなくなる、こんなことがいいのかと。大問題だと思うんですが、2011年までの肝心の道筋は修正を重ね続けていて、全く不透明なのが現状です。
元来、公共電波による放送は、国と放送事業者の責任であまねく国民に提供されるべきであり、デジタル化によって国民が納得できない不利益をこうむったり、自治体が後始末を担わされる性格のものではないはずです。
アナログからデジタルにかわることでのメリットが大々的に宣伝をされていますが、電波が届かないところが出てきたり、共聴組合の施設にも費用がかかったり、山間部ではケーブルテレビの料金が高くつかないかなど、和歌山県民への影響を考えてみるとさまざまな疑問や問題点が横たわっていると感じて、きょう質問をさせていただきます。
まず1つ目は、現在、自分の家のアンテナでテレビが見れている御家庭で、2011年のデジタルだけになるとテレビが見えなくなってしまうと、そういう家が出てくるという問題です。
テレビのデジタル化によって、ビルなどによる電波障害が減ってエリアがふえる、きれいに映る、そういうふうに宣伝はされてるんですけど、テレビの中継局の数が減るんですね。そして出力も、アマチュア無線並みの本当に小さい出力になってしまうんです。
資料によりますと、例えばテレビ和歌山では、アナログ、現在43カ所ある県内の中継局がデジタル化によって34カ所に減ります。出力は10分の1に小さくなります。それで、ホームページなんかで紹介をされておりますNHKや民放各局、この計画書によりますと、これまで家のアンテナで見れていた御家庭の7%がカバーできなくなって見えなくなるというふうに、これもう平気で書いてるんですね。
実は、これ、大変です。和歌山は地理的にも、遠くに見える中継局にアンテナを向けて、そしてテレビをやっと見ている家が多いんですから、これは影響がもろに出ます。一体どの地域が受信困難になって、どれくらいの県民に影響が出るのか、自分の責任でないのに突然テレビが見えなくなるという家庭が出ないために県はどうするのか、どうやって解決しようとしているのか、お示しをいただきたいと思います。
2番目には、地形の関係や障害物によって電波が届かずに、共同でアンテナを立てて共聴組合などをつくってテレビを見ている御家庭の問題です。
和歌山県は山間地など電波状況の困難な地域が多くて、私の住む有田川町の金屋とか清水の山間地ではほとんどの家が共聴で、合わせて57組合あります。私が今回の質問をするきっかけになったのは、広川町の津木地区と湯浅の山田地区の共聴組合の役員さんからの相談だったんですね。そして私、認識を新たにしたのは、平地でも随分この共聴組合というのが多いんですね。例えば旧吉備町内でも5つ、湯浅町で9つ、広川町で12、和歌山市内でも37あります。
この共聴組合をつくってテレビを見ている御家庭では、共聴の受信施設、この機械をデジタル対応に変えるのに多額の費用がかかるというんです。標準的な共聴施設で約300万円から500万円、1軒当たり5万円程度だと言われています。ひとり暮らし、2人暮らしの御家庭や地域などでは、デジタルになるからテレビ買いかえるかチューナーを買えと、加えて共聴でも5万円出せ、こうなると負担が困難になるのは明らかです。
共聴施設に対する国の支援策がやっとことしから始まりましたが、要綱や予算規模は、実態から見れば全く不十分です。共聴組合のデジタル化支援に県としてどう取り組み、支援していこうとしているのか、お答えを願いたいと思います。
3点目に、このテレビのデジタル化を機に、インターネットのブロードバンド整備も光ファイバーやケーブルテレビで一挙に解決しようと、そうしている田舎の地域の住民負担、これが高くつかないかという問題です。
県は、ブロードバンド5カ年計画に基づいて県内の情報基盤整備を進めています。ブロードバンド整備により、インターネットもテレビもあわせて整備できるのは確かに大きなメリットであります。とはいえ、光ファイバーやケーブルテレビを張りめぐらせるには膨大な施設整備の費用と維持経費の問題、これは避けて通ることはできません。採算に合わない過疎地に民間業者が自主的に進出することはなく、市町村が事業主体となってこの整備事業を行うケースが多くなると思われます。市町村単位では数億円、数十億円の事業費となり、上から最重要課題だと言われても、道路整備などほかの重要項目もメジロ押しですし、いずこも財政危機は深刻なわけです。
他県では、自治体丸抱えのテレビとブロードバンド整備で高額な住民負担が生じているケースが見受けられます。
以下、いずれも国の補助事業ですけれども、岡山県の建部町では、ケーブルテレビが月々1890円、インターネットは4515円、セット料金は少しおまけして5775円。新潟県の糸魚川では、ケーブルテレビが月1500円でインターネットが5000円というふうになっています。徳島県の上勝町では、初期費用に5万2500円が1軒当たり必要で、月々2698円の利用料金はインターネットとテレビの抱き合わせ料金だというふうになっています。選択できないというんですね。
これまで年間数千円程度の維持費でやってきた、最近はもう維持費も要らんようになって、ただにしてるというような共聴組合がある中で、それと比べれば大変な負担であります。徳島では、「飯を食わずにテレビだけ見ておれと言うのか。おまんま食べな生きとれん。いっそテレビやめたらどうで」と、そんな会話が月3万ほどの年金暮らしのお年寄りの中で交わされたそうであります。そんなに簡単に切りかえられるほど、みんな豊かではないんです。
実際、テレビのデジタル化は財布に大変厳しいです。今、日本で売れているテレビ、去年でも6割以下が21インチ以下のテレビで、子供部屋とか寝室用とか。2台目、3台目になると余計にその傾向ですね。ところが、デジタル対応のテレビは、その構造上、小さくて安いテレビがなくて、小さいのは機能が制限されてしまいます。販売店には、なぜ安くて小さいテレビがないんかと、その問い合わせが殺到しているそうであります。
国策として進めたデジタル化によって必要以上に負担を強いられてはたまりません。日進月歩の技術革新が進む中で急いでこの高額な設備投資に走ってしまったり、それが過大な住民負担とならないか心配ですが、県はこの問題にどう対応をしようとしているのでしょうか。
以上、3点について企画部長に御答弁を願います。
続いて、3つ目に青年の雇用問題について質問をさせていただきます。
昨年から私どもが実施した有田の住民アンケートでも、この雇用問題は最も切実な問題の1つです。「子供や孫が学校を出てから県内で仕事ができるようになってほしい」と切実な声が数多く寄せられました。景気が一部の地域で上向いていることから数字的には雇用状況も好転しているようですが、この数字はパートも含む数字であって、不安定雇用が依然として半分近くを占めているという中での話であります。
地方では、雇用状況の好転を実感することはできません。和歌山の就職率は依然として横ばい、近畿の中では最低、そんなふうによく言われますが、県内の青年の雇用状況をどう把握してるんでしょうか。
和歌山の雇用状況を好転させるためには、県内産業の回復、育成とともに、請負や派遣労働など非正規雇用での労働者を使い捨てにするようなそういう労働環境を正して、青年の働きがいのある雇用を生み出すことが必要です。そして、それに加えて、就職に不安や疑問を持ってる青年に対して相談に乗れる体制、青年を応援する姿勢が大事だと思います。
こんな中、県のジョブカフェ・わかやまは、ニート、フリーター対策、就職相談、アドバイスの分野で成果を出してきています。昨年からはぶらくり丁に場所を移動し、ワンストップで相談できる体制もとって、利用者も大幅にふえたと聞いています。ジョブカフェ・わかやまの利用状況についてお答え願いたいと思います。
また、田辺市での田辺出前相談、これにもジョブカフェ・わかやまが週2回取り組んでいただいていますが、有田地方でもこういった移動ジョブカフェのようなことができないのかという問題意識を持っています。
和歌山市のジョブカフェ利用者の中で有田地方の青年は約2%ということでありますから、有田からは来にくい面もあるのではと感じています。今年度からは大学へも出かけていっているとのことなんですから、これらとあわせてジョブカフェを有田地方など県内各地に出張できないでしょうか。
以上、1点目には青年の雇用状況について、2点目にはジョブカフェの利用状況と移動ジョブカフェの提案について、商工観光労働部長より御答弁を願います。
最後に、広川町の稲むらの火の館(津波防災教育センター)についてお伺いをいたします。
この津波防災教育センターの整備については、これまでも一般質問で取り上げさせていただいてきました。去る4月21日に、稲むらの火の館として、濱口梧陵記念館とあわせ、この津波防災教育センターが広川町と和歌山県の共同の施設として開館したことは感慨ひとしおです。開館以来、予想を大幅に超える来館者でにぎわっているようです。関係者の皆さんの御努力に改めて感謝申し上げますとともに、この施設を十分に活用していきたいという立場から質問をさせていただきます。
近い将来に必ずやってくるとされる東南海・南海地震への備えの中でも、防災意識の向上や地域の防災体制づくりは地道な努力なしには前進しません。そのためにも、ことし3月に改定をされた県の地震防災アクションプログラム、これにも位置づけられたように、多くの県民に地震・津波防災について学んでいただく、そういう機会をつくる必要があり、この津波防災教育センターの活用は大変重視をすべきだと思っています。
実際にこの広川の地を訪れ、この施設で学んでいただき、また浜口梧陵が建設した津波堤防も実際に見てその上に立っていただくと、知識としてだけでなくて、胸にずしんとくるものがあります。
震災記念館としてだけでなく、震災・津波から命を救った記念館、これは全国、全世界にもここだけしかないわけですから、地元住民は率先して学ぶとともに、広く県内外にも発信することが求められます。完成した施設への知事の御感想も含めて、この稲むらの火の館(津波防災教育センター)の地震・津波防災への位置づけと今後の活用方向について県のお考えを御答弁願います。
以上で、第1回目の私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、いわゆる限界集落の問題につきましてお答え申し上げます。
県内におけるいわゆる限界集落の実態や課題をどう認識しているかということでありますが、本県には、山村過疎地域を中心に65歳以上の高齢者が半数を占める集落がふえているものと考えております。こうした集落では、例えばこれまで集落内で行っておりました冠婚葬祭などの地域住民同士が相互に助け合う生活扶助とか、あるいは草刈り、道普請などの共同活動、また農林地の保全や文化活動の継承などの集落機能の低下が見られ、今後を考えると非常に厳しい状況にあると受けとめております。
これにつきまして、第2に、現在策定を進めております新長期総合計画において、農山漁村の地域資源を生かした新たな地域づくりについて検討を行うこととし、この問題についてもその中で考えてまいりたいと思っております。
いずれにしても、集落機能の維持が困難になりつつある地域の今後のあり方については、住民の主体的な意向を尊重しながらもさまざまな選択肢を検討していかなければならないというふうに思っております。
議員御提案の条例制定についてでございますけれども、それ以前に、この問題についてどう解決していくのか、議論すべき事項も多いものと認識しております。
次に、稲むらの火の館についてでございます。
この館は、浜口梧陵翁という郷土の偉人を顕彰することにより津波への備えを学んでいただく、全国にも例のない防災啓発の拠点施設であります。私も館内をくまなく見さしていただきましたが、立体映像により地震・津波の恐ろしさをわかってもらうとか、被害の大きさをわかってもらうとか、またクイズ方式などを通じて子供から大人まで楽しみながら学べるような、実にさまざまな工夫が凝らされていると感じました。
4月の開館以来、大勢の方に御来館いただいておりますけれども、地震・津波などの大規模災害に備えるため、今後も、将来を担う小・中・高校生はもとより、各地域での防災リーダー育成など人づくりに活用し、あわせて歴史的遺産である広村堤防とともに、広川町あるいは本県を全国に発信してまいりたいと考えております。
○副議長(新島 雄君) 農林水産部長下林茂文君。
〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 集落の実態調査に取り組むべきではないかということでございますが、県といたしましてはこれまでも山村過疎地域の振興に取り組んでまいりまして、例えば紀州備長炭やユズ、センリョウ等の地域特産物の生産等を支援するとともに、集落道とかあるいは給水施設などの身近な生活環境の整備にも一生懸命力を注いでまいりました。しかし、お話のとおり、集落の現状には大変厳しいものがあると思ってございます。
しかし、一方におきまして、地域の恵まれた自然環境等を背景にいたしまして都市交流も進んでまいりました。そうした中で、県内への新しい移住者が増加するなど、新たな兆しも見られてございます。
いずれにいたしましても、地域の活性化につきましては、やっぱり住民の主体的な取り組みというのが基本でございますので、今後とも関係市町村とともに、生産あるいは生活の両面からその実態の把握に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 企画部長森 崇君。
〔森 崇君、登壇〕
○企画部長(森 崇君) 地上波デジタルテレビ問題についてお答えいたします。
まず、地上波デジタル開始時の直接受信可能地域についてでございますが、現行のアナログテレビ放送は平成23年7月に終了することとなっていることから、放送中継施設のデジタル化が順次進められていますが、地上デジタル放送推進全国会議が公表している中継局整備ロードマップによりますと、現在アナログ放送を直接受信している県内の世帯のうち約7%が、アナログ放送終了後、地上デジタル放送が受信できなくなり、共聴施設やケーブルテレビなどの代替手段が必要となるとされています。
この7%の地域についての詳細な情報は、現在、国及び放送事業者が作成中の市町村別ロードマップの完成を待つ必要があると聞いていますが、県といたしましては、こうした地域における受信確保は国及び放送事業者の責任において取り組むべきものと考えておりまして、同様の課題を持つ33の道府県が連携して国及び放送事業者への働きかけを行っているところでございます。
次に、共聴施設のデジタル化支援策についてですが、山間地等における地上デジタル放送の難視聴は県といたしましても重要な課題であると認識しており、昨年5月に和歌山県ブロードバンド基盤整備5カ年計画を策定し、光ファイバー整備とこれを使ったケーブルテレビを地上デジタル放送難視聴対策の柱として推進しています。
ケーブルテレビを整備しない地域につきましては、共聴施設をデジタル化改修する方法で対策を講じていくこととしておりまして、市町村が地域の実情に応じて適切な方法を選択できるよう、指導や情報交換を行っているところでございます。
また、辺地共聴施設のデジタル化改修に対する国の支援策として、今年度から辺地共聴施設整備事業制度が新たに創設されており、県では既に関係市町村を集め説明会を開催するなど、この補助制度が有効に活用されるよう取り組みを進めています。
最後に、光ファイバーやケーブルテレビ整備による住民負担につきましては、公募により選定される運営事業者により異なりますが、世帯当たりの住民負担額と市町村の負担額は業者選定の際の重要な判断基準になっておりまして、これまでの県内の例では、おおむね世帯当たり月額1000円程度の料金で地上波テレビ放送を視聴できるようになっています。
また、CS放送などの多チャンネル放送やインターネットなどは、申し込みに基づく付加サービス方式となっており、必要な方が必要なサービスを選択して受けられる柔軟な料金体系のサービスが提供されております。
以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 商工観光労働部長永井慶一君。
〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 県内における青年の雇用状況につきましてお答えいたします。
和歌山労働局の集計によりますと、常用雇用並びに4カ月以上の常用的パート雇用である35歳未満の若年者の職業紹介状況は、本年4月におきまして月間有効求人数6930人に対して有効求職者数は7722人で、有効求人倍率は0.9倍と、全体の有効求人倍率と比較して高い数値となっております。また、前年同期と比べましても0.1ポイント改善となってございます。しかしながら、全国や近畿府県と比べますと依然として低位にあることから、引き続き企業誘致や県内企業の育成などによる雇用の創出に努めるとともに、和歌山労働局など関係機関と連携を図りながら、若者と企業との多様な出会いの場の提供など、雇用の安定に努めてまいりたいと考えてございます。
続きまして、ジョブカフェの利用状況につきましてお答えいたします。
若年者就職支援センター「ジョブカフェ・わかやま」では、昨年4月のぶらくり丁移転を契機に、ハローワークの学生職業相談室を併設し、職業紹介部門の充実強化を図るとともに、利用者の相談スペースの拡充や交流室の設置など、さまざまな対策を行ったところでございます。
平成18年度の総利用者数は延べ8818人、就職者数は372人で、前年度と比較しますと利用者数で2倍、就職者数で1.5倍の増加となっており、機能拡充による効果があったものと考えてございます。
また、議員御提案の移動ジョブカフェにつきましては、現在、田辺・西牟婁地域で出張相談を実施しているところでありますが、さらに本年度は、相談機能の充実を図るため、ジョブカフェ・わかやまに新たにジョブナビゲーターを配置し、大学での出張相談なども行っているところでございます。
今後とも、和歌山労働局や県内各ハローワークと連携を深めながら、地域ニーズに応じたジョブナビゲーターの出張相談など、より効果的な取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再質問を許します。
42番松坂英樹君。
○松坂英樹君 知事並びに関係部長から御答弁をいただきました。何点か要望を申し上げて、そして限界集落問題では再質問を知事にお願いしたいと思っています。
稲むらの火の館の位置づけと活用については、知事からどんどんアピール、発信していきたいと答弁をいただきましたし、青年の雇用問題では、移動ジョブカフェの提案に対して地域ニーズに応じた出張相談を進めるという、いずれも積極的な御答弁をいただきました。ぜひ思い切って進めていっていただきたいというふうに思っています。
稲むらの火の館のほうは、開館以来40日で6400人という来場者だということだそうで、県のアクションプログラムに位置づけた年間1万人を目指すというのを大きく超える勢いだそうです。教育委員会からも各学校に御案内をいただいたそうで、お礼を申し上げたいと思います。今後とも県民の防災意識の向上と震災対策、ぜひ全力を挙げられるようお願いをしておきたいと思います。
2つ目の地デジ問題で3点要望をしておきたいというふうに思っています。
アナログ放送が停止したとき──私、通告では「デジタル放送開始時」と書きましたが、正確にはアナログがとまる2011年に──どこがテレビが映らなくなるかというふうに質問しましたけども、答弁では、まだ作成中で発表がないんだということでありました。これ、けしからん話だと思うんですね。国と放送事業者はこの資料を明らかにして、どう対策を打っていくんだということを示さなければならないと思います。
デジタル化で映らなくなるパーセンテージというのは和歌山で7%というお答えでしたけども、直接アンテナで今、県内でテレビ映っている世帯は36万世帯。その7%と言えば2万5000世帯ですよ。数万人の方に影響が出るんです。
この7%という数字を他県と比べてみると、例えばNHKの資料ですけど、滋賀は1.9%、京都府は1.8%、大阪0.1%、兵庫2.5%、奈良は3.1%、それで和歌山が7.7ということになっているわけでして、「和歌山を何と思っているのか」と言うて怒らなあきません。「文句も言うてけえへんわ」となったらあかんわけですから、早く資料も出させて、しっかりと国と放送事業者にこの数字を下げさせていく。その対策をとらせるよう求めていただきたい。このことをまず要望いたします。
それから、共聴施設のデジタル対応の話ですけども、国が今年度から辺地共聴施設整備事業、これを創設しましたという御答弁でした。それが不十分だということは痛感をされていることだと思います。
国の制度は、市町村が事業主体となって機械を取りかえると、そういうときに補助しますよと。それもどえらい田舎のところで補助しますよというモデル事業的な、本当にぽつぽつというレベルの話であります。ですから、これまで共聴施設というのは、NHKがお世話をしたり住民が自分たちで施設を整備して国のほうに届け出をしていたそういう仕組みですから、いきなり「市町村で金を出せ」と言われても、「あんたとこの責任だ」と言われても手は挙がりませんし、ぜひこれは解決しなきゃならない問題だと思ってます。
この問題、NHKの果たす役割というのは、私、大きいと思うんですよ。NHKが共聴施設をつくることに非常に熱心に取り組んできたのは、やっぱり公共放送として、どこに住む国民でも、僻地や離島に住む国民でもテレビが見れると。視聴不可能区域をなくすということをこの社の最重要課題として、日本じゅうに8700施設、26万世帯と言いますけども、県内にも241のNHK共聴というのがあるわけですよね。これを何十年も時間かけてこつこつこつこつ整備をしてきたわけです。
そのNHKが雑誌の中でこの地デジのことを何と言ってるかと言いますと、共聴施設のデジタル化というと膨大な費用がかかると思われがちですが、必ずしも光ファイバーを使った施設に改修する必要はなくて、現行の共聴施設でも最小限の改修でデジタル化を進めることが可能だ。より安く低廉な共聴施設のデジタル化を可能にする機器の開発を進めているというふうなことを雑誌の対談で言ってるんですね。
本心は市町村に押しつけたいのかどうかはおいといて、あまねく放送を届けることが彼らの義務である限り、視聴不可能区域を発生させることはできませんから、NHKに対し、ちゃんと開発してくださいと求めていく。そして、その機械はNHKの共聴以外の普通の共聴施設にも使える。そういう無線機になるはずですから、これをぜひ実行させることも大事だと思います。
地方自治体というのは、県も市町村もそうですが、電波放送に関する機能も権限も持っていないのにデジタル化の後始末だけ背負わされるというんではたまったもんじゃありません。国には責任を持った十分な助成制度を、そして放送事業者には、特にNHKには役割を、それぞれきっちり果たしていくように求めてください。これは要望しておきます。
それから、心配な3つ目の住民負担の問題ですけれど、ケーブルテレビの料金は、御答弁いただいたように、県内、今までのところ月1000円程度と。中でも自治体が骨を折ったとこは月500円というところもあるようです。しかし、この1000円でも高齢者の家庭はせめて500円にならんのかというような声も出ているぐらいですから、3000円や5000円も払わなければならないような、もうあれもつけて、これもつけてと、こんな機能もつけてというようなそういう過大な事業計画にならないよう、きちっと計画されるよう要望しておきます。
今回の地上波デジタル問題全体を通じて言えることですけど、国の計画の無責任さというのは本当にあいた口がふさがらなくて、放送事業者も莫大な設備投資を強いられていて、ある意味、この国策の被害者だと放送事業者も言ってるわけです。県や市町村にしてはそれ以上であって、「田舎のことは自分らでやっとけ」と、これで済ましてはいけない。市町村もやっと共聴組合の実態をつかまんなんなと思って、去年ぐらいからつかんだとこです。これまで役場の仕事として担当者もいなかったんですから、無理もありません。
この地デジの問題は、国や放送事業者に対し、本当に市町村と一緒になってきちっと対策を求めていく、その姿勢を持つ。そして県民と県内市町村を支援するよう求めるものです。
この問題は今回初めて取り上げましたから、引き続き追い続けていきたいというふうに思います。
それから、最後に限界集落の問題で知事にもう一度質問したいと思います。
限界集落の問題では、本格的にこれはやっぱり調査せないかんぞというその問題提起に対して、実態や住民の意向をつかんでいきたいという御答弁だったというふうに思います。長計の中でも、今、考えていくというふうに答弁されました。県条例と言われると、それまでにまだまだ議論すべきことがあるという御答弁だったというふうに思います。
この限界集落の問題の本質というのは、この国の林業や農業が外材の輸入野放しなどによって林業や農業で食べていけない、続けていけないという結果を招いてるという、国と政府の政治の責任なんですね。私はこれを厳しく指摘しておかなければならないと思います。
そして、その上で今回私が県条例を提起したのは、条例という形から入れということを言ったわけじゃありません。これまでの延長線上ではだめだと、これまでにない姿勢で取り組む必要があるんじゃないかと、そういう姿勢をただしたつもりであります。ですから、これまでの延長線じゃない、本格的にやりますという姿勢を知事がお持ちなのかどうかという点をもう一度聞きたいわけなんですね。
県内では、この10年間で、調査によると限界集落が約2倍にふえていると。これ、加速度的だというふうなことが調査されているようです。
私、先ほど有田川町の清水地域で26の地域の中で15の地域が限界集落というふうに紹介しましたが、10年前の資料を見てびっくりしました。2つしかなかったんですね。たった10年で2つが15にふえてるわけなんです。本当に、10年前も清水は高齢化進んでるよというふうに警鐘を鳴らされてましたけども、たった10年でここまで進んでるのは想像以上に深刻だと思うんですね。
私、県に求められてるのは、条例をつくる、つくらないという問題もありますけれども、要は実のある手だてをどうするかということだと思うんです。点として存在する1人1人の住民にどう心を砕くかという政治の姿勢の問題だと思っています。お役所的な言葉で、「これどうするんだ」と言われたら、よく「関係機関との連携を深めながら」とか「総合的な支援を」云々とか、いろいろつらつらと、言おうと思えば簡単に言えるんですけど、その既存の枠内の延長線で工夫して進むものもあれば、ちっとも先も見えずに何やってんのかというふうなこともあるわけですから。いろいろ御紹介しましたが、関係するところのメニューを出し合うてもサイズ合わないと、こんな壁がある。こういうのを打ち破ってほしいんです。いろんな特区というのははやりましたけど、限界集落特区のように思い切ったことのできる体制も要るんじゃないかと思います。
柔軟な対応をするということでは、国に対して物もやっぱり申さなければいけないと思いますし、「支援の手は市町村、あんたとこの仕事だよ」と、「地域づくりは市町村の仕事だよ」と言って、任せ切りにしないと。「県もきちっと応援しますよ」と、「財政的な裏づけもしますよ」と、そんな姿勢を確立する必要が僕はあるというふうに思うんです。
これまでの努力の積み重ねの上に発想をうんと転換して、私は条例をつくるぐらいの思い切った、これまでと質的に違う対応をと質問したわけですが、今回の仁坂知事の答弁は、知事は和歌山の限界集落をほっておけないとエンジンかけたという決意のあらわれと受けとめていいのか、もう一度御答弁を願いたいと思います。
○副議長(新島 雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 今、再質問ございましたけれども、いろんなことをたくさん御指摘になりました。私は、そういう要素が全部この問題に絡み合っているということをよく認識しております。したがって、これは大変難しい問題だということを申し上げました。
例えば、いわゆる限界集落というのができ上がっていくということを考えますと、その根本には、やっぱり跡継ぎになるような方々が村を離れざるを得ないというような事態がある。それが幸せかどうかという議論はありますけども、どうしても残れないというような事態になっているとすれば、それに対する手を打つというのもまた1つの必要なことだと思います。
私が、農林水産業、特に林業の振興をもう一度考えないといけない、自立できる林業をつくっていくということが和歌山県にとってとても大事だと。そのためには間伐材その他の紀州材の活用とか、あるいは低コスト林業とかいうことに手を出さないといけない。そういうことを申し上げているのもその趣旨の1つであります。
今お住まいの方々がどんだけお困りかとかいう、そういうことについて思いをはせることもまた大事でありますけれども、と同時に、その方々がどういうような医療サービスを受けられるかとか、あるいは福祉サービスを受けられるとか、それから、例えばお年寄りになって車が運転できなくなったときにどういうふうに考えたらいいのかと、そういうようなことを考えながら、また和歌山県の我々県民がこれをどういうふうに財政的に支えていくことが可能であるかどうかということをまた考えながら総合的に考えていくということが必要だということを申し上げてるわけでございまして、「総合的」という言葉を単に美辞麗句で申し上げているわけではございません。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再々質問を許します。
42番松坂英樹君。
○松坂英樹君 御答弁いただきました。
単に美辞麗句ではないかどうかというのは、ぜひこれからの県の姿勢と、そしてまた来年度の県の事業に注目をしていきたいというふうに思っていますが。
県庁が本当にこの限界集落の問題を和歌山県政はほっとかないんだというその姿勢を見せるためにも、自分らのセクションの農は農、福祉の分野は福祉の分野、人権の分野は人権の分野でそれぞれの仕事から限界集落を見るというんじゃなくて、本当にその限界集落の実態から自分たちの仕事を考えていってほしいと。そういう実態からスタートした施策を、知恵を、力も出していただきたいということを最後に要望しておいて、きょうの質問は終わりたいと思います。
○副議長(新島 雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松坂英樹君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
18番山下大輔君。
〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 さて、今、国も地方も大きな転換期を迎えて非常に厳しい局面にある中で、多くの県民の皆様に御期待をいただいてこの県議会に送っていただいた、その責任の重さというのをしっかりと受けとめて一生懸命頑張らせていただきたいと思います。先輩・同僚議員におかれましても、ぜひ御指導、御鞭撻いただけますように心からお願いいたします。
今、私たちのこの和歌山県も歴史的な転換点に差しかかっているのだと思います。このまま人口を減らし続けて衰退の道を歩むのか、また、新たな地域ビジョンを何としても描いて発展モデルを改めて描き直せるのか、これからの数年間が和歌山にとって踏ん張りどころだと思います。
これからの時代には、地域も選択される時代、それぞれの地域がその存在の意味を問われる時代になるんだと思います。これまでは、地域間において「競争」といった概念がよく言われました。マスコミなんかでも競争、競争やと。でも、競争という概念はもう古いん違うかと。単に競争をあおるだけじゃなくて、もうすぐ目の前に道州制も議論される中においては、補完する、補い合うという概念というのが実は大事になるんじゃないかなというふうに思っています。
この関西圏で、和歌山がどういった役割を担うんか。大阪、京都、兵庫、奈良、ほかの地域にない役割を和歌山が補っていく。今、和歌山自身がその存在の意義、存在価値、存在する理由といったものを問われているんだと思います。そこでは、他の地域と横並びで単に大都市をまねるだけの中途半端な地域づくりではなくて、他地域にはない和歌山の特徴、魅力を徹底して磨き上げることが何より重要となります。和歌山の特徴である地域資源、自然・環境、気候風土、また文化・歴史遺産も含めて、これらを徹底して活用することに知恵を絞り、他地域との違いを鮮明にしていくことで和歌山独自の役割を見出すことができるんだと思っております。
20世紀は、大量生産、大量消費、工業化が爆発的に進む中で、国土軸から外れた半島にあったこの和歌山は大きなハンディを背負う時代だったんだと思います。しかし、これからの21世紀には、地球温暖化などに象徴されるように環境、自然といったことが世界的にも大きなテーマとなる中で、豊かな自然条件、恵まれた気候風土を持ったこの和歌山は、その取り組み次第では大きな追い風を受けることができるのだと思います。
私は、この和歌山の可能性を心から信じています。可能性がある地域やから何としても変えていきたい、そのように心から思っています。知事を初め当局の皆様におかれましては、本当に御苦労も多いことと思いますが、しかし、この窮状にある和歌山を顧みて、今やらねばいつできる、私たちがやらねばだれがやるのかといった意気込みを持ってぜひ頑張っていただきたいと思います。多くの県民が、新たに仁坂知事を迎えた新県政の取り組みに期待しています。
和歌山が新たな価値を創造し、光り輝き、そして和歌山発でこの国をも元気にしていけることを心から願って、私にとって2期目の県議会での初質問に臨みます。私自身、もちろん微力ではありますが、県勢発展のために全力を傾注して取り組む覚悟ですので、知事を初め当局の皆様には誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。
それでは、通告に従って質問をさしていただきます。
最初に、県政全般に係る質問として、知事の考える和歌山の将来ビジョンについてお尋ねいたします。
私自身、さきの任期の間も、県政の非常に重要な取り組みとして、地域の将来ビジョンといったことについて特に意識した議員活動を進めてまいりました。この厳しい状態にある和歌山をどういう方向に導いて立て直していくことができるのか。これはすべての政策、施策の根本となるものであり、特に今回の将来ビジョンを示す長計の策定作業は今後の県政運営にも大きな影響を与えるものであります。これには全力で取り組みたいと思っているところです。
そこで、現在、第6次となる新たな長期総合計画の策定に取りかかっている状況において、まず、知事の考える和歌山の将来ビジョンについて最初の質問として取り上げさせていただきたいと思います。
ちなみに、私自身、今回、特別委員会で長計の審議にも加わらせていただく立場でありますので、ここでは長計の中身には触れずに、あくまで長計審議の前段階として知事のお考えをお聞かせいただきたいと思っております。
さて、先月10日に新長期総合計画策定本部の第1回本部会議が開かれていますが、その資料を読ませていただくと、本部長である知事の発言として、「和歌山県は難問が山積しており、その解決に向けて日々努力しているところだが、努力の方向が重要であり、その方向を考える大きな手段が長期総合計画」といった指摘がされていました。確かに、そのとおりだと思います。私自身も、さきの選挙を戦ってくる中で、たくさんの県民の皆様から生活、仕事にかかわる切実なお話をお聞かせいただいてきました。
今、抽象論ではなくて、和歌山の立て直しをどのように実現していくのかといったことが大きな注目の集まるものとなっています。そこでは、過去の反省をしっかりと踏まえた上で新たな方向性を明確に打ち出すということが非常に大切なことだと考えます。これまでの進んできた方向、過去の取り組みがどこかで間違っていたから現在の衰退する和歌山があったん違うか、実はそういうことを真摯に受けとめやなあかんのやと思います。その問題点、失敗の把握ができてこそ、解決策も正しく導かれるのだと思います。
今回の長計で一番大切なところは、これまでの取り組みで何が間違っていたのかをはっきりさせることとあわせて、これまでの長計策定のあり方自体をもう一度見直すことが必要で、その上で新たなビジョンを明らかにして、明確に和歌山の進むべき方向性を指し示すことが大切です。
過去の長計を見て、私自身、大きなところで2つほど問題があると感じています。1つは、横並びの発想から積み上げ式の目標の羅列に終わって、特に問題の本質をとらえ切れていなかったために真の解決策が導けやんと思い切った選択と集中もできていなかったということと、もう1つは、基本の部分で長計の策定プロセスの手法の問題、この2つがあるんだと思っています。
1つ目の横並びの発想といった部分では、例えば前回につくった長計を見てみると、これは他の地域の長計と見比べても同じような内容、項目が並んでいるものであって、中身に地域の特性を少し加味して数字などを少しいじったくらいで、結局どこの自治体でも同じようなものになっています。
これまでの長計の問題点は、全国いずれも変わらない、標準化していくといった視点で、他の自治体との横並びの発想から抜け出せやんといてた。他地域との比較において足りない部分をどんどん足していって、また他地域の先進施策の焼き直しなども行われる中では、和歌山独自の新たな方向性を見出すには至らなかったんだと思います。
今、「地域も経営する時代や」というふうに言われています。そういった中では、しっかりとした将来ビジョンを描き、民間企業の再建などでも必ず指摘される選択と集中といった概念も必要なのだと思います。あくまで他との違いを恐れず、地域の望むべき将来ビジョンを明確に描き、その進むべき方向をしっかりと選択して集中した取り組みを行っていく。これからの時代は、横並びの発想で漫然と地域運営を行っていたのでは希望ある未来はつかむことができません。
2点目の問題として、長計のつくり方、長計策定のプロセスについて。
和歌山を本気で立て直していこうとするのであれば、心機一転、過去からの決別を覚悟することが必要です。積み上げ式の長計の策定手法では、真に新たな方向性を見出すことは難しいのだと思います。
そこで、私の提案としては、まずはビジョンづくりから取り組む、このことが非常に重要なポイントだと考えています。知事自身の考えをまずベースとしつつ、地域の望むべき明確な将来ビジョンを描き切った上で現状との乖離を確認し、その本質を議論した上で問題点、課題を洗い出し、最善の解決策を導き出していく。こういったことを行えば、現在ある地域の課題、問題の本質もとらえやすくなります。
これは従来からの手法とは似て非なるものであり、今の和歌山には、まず過去に縛られない、過去からの単なる積み上げじゃないビジョンを描くことが大切で、その理想とする地域の将来像から逆に現状を照らし合わせて問題点、課題を抽出し、その問題点、課題の解決にはどういった方策が最善のものとなるのか検討、プランニングしていく。そうすれば、つくられた長計自体ももっとすっきりとして理解のしやすいものになるんだと思います。
これまでの長計を手にとって見ても、多くの県民の方には「よくわからんな」といったことが率直な印象やと思います。長計をつくるにも、あくまで理解しやすい、和歌山がどんな方向に進んでるんやろかと、だれが見てもわかりやすいものにしなくてはいけないのだと思います。そのためにも、まずはだれもが理解し共感できるような明確な将来ビジョンを描き、それを県民の皆様とともにひとしく共有していく。地域の立て直しには、その地域住民の理解、協力なくしては前には進みません。住民みずからが地域の将来像に心から共感し、期待して、そして誇りを持って、またある面では楽しみながら地域づくりへの参加意欲を高めることが大切です。
そこで質問ですが、仁坂新知事となって私の県議会での初質問になりますので、まずは県政に臨む基本的な部分として、行政運営を含めて地域運営に当たられる知事の理念、和歌山県再建の方向性と地域の将来ビジョンといったものについて、現状で、私的な意見で結構ですので、知事自身が考えておられるところをお示しいただきたいと思います。
また、あわせて、前回の地域づくりの総合計画、「わかやま21世紀計画」をどのように評価されているか。また、そのわかやま21世紀計画の問題点と、新たな長計策定に当たって改善すべき点などについてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
それとあわせて、和歌山の総合計画を検討する中で、ぜひこのタイミングで議論しておいてもらいたいものがあります。それはカジノ事業についてです。
観光集客といったことは本県にとっても重要な柱となるものですが、その1つの取り組みとして、先進国の事例には、ゲーム産業いわゆるカジノ事業についても、アミューズメント施策として非常に有効なものと位置づけられ、今後、日本でも注目されるものと考えます。
ことしの2月17日、那覇市で、沖縄の経済同友会などが主催して第4回日本カジノサミットが開催されています。その中で、鳩山邦夫衆議院議員が会長を務めるカジノを考える議員連盟の事務局次長である伊藤忠彦衆議院議員があいさつをしているのですが、来年の通常国会にカジノ法案を提出できるよう超党派で準備を進めていくと発言をしています。
和歌山県としても、これまで、県民の多くは知らないことだと思いますが、積極的にカジノ誘致に動いてきている状況があります。平成15年2月には、石原慎太郎東京都知事の声かけのもとで、静岡県、大阪府、宮崎県とともに「カジノ実現のための法整備に関する要求」として国に要望書を提出し、あわせて平成16年8月には、カジノ推進に賛同する都道府県が法制度などを検討する地方自治体カジノ協議会が発足し、ここでも東京、静岡、大阪、宮崎、神奈川などと一緒に和歌山県も参加しています。また、地元経済界の動きとしても、平成16年12月には、和歌山商工会議所等が中心となって地域経済研究機構から「和歌山県におけるカジノの可能性に関する調査・研究報告書」が提出されていて、カジノ推進が提言されているところです。
カジノと言えばアメリカ・ラスベガス、最近では香港、マカオといった例もよく取り上げられますが、私自身のイメージとしては、まちづくりにもしっかりと位置づけられたヨーロッパ型のカジノ、例えばドイツなどではガーデンシティー、ヘルスリゾートとしても先進例となる、すぐれた環境を維持しつつカジノが設置されているバーデンバーデン、ビースバーデンといった世界的な観光地などについては見習うべき点も多いんだと思っています。そこでは、地域づくりの理念として、いやし・リゾート空間を創造するといった考えがしっかりと確立される中で、1つのアミューズメント施策としてカジノ運営がされています。こういったものであれば、和歌山としても地域づくりの理念を明確にさせた上では検討に値するものと考えます。
そこで質問ですが、知事はこういった一連の和歌山が取り組んできている過去の経緯をどのように評価されていますか。また、カジノ関連法案が早ければ来年の通常国会にも提出されると言われる中、しかし、いざ手を挙げるにしても、地域のコンセンサスがとれていなければ前に進まない状況もあり得ます。そんな中では、今回の地域の総合計画を議論する機会は、カジノについても地域としての考え方を整理するよい機会になると思います。和歌山県としても正々堂々と今のうちにしっかりと検討しておくべきだと考えますが、今後の取り組みについてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
次に、地域の再建策、具体的な活性化法として和歌山が誇るいやし文化を産業としていく取り組みについてお尋ねいたします。
予防医療、ヘルスケア産業と観光産業の融合、いわゆる観光医療産業のさらなる発展に向けた取り組みについて。
21世紀は環境の時代と言う識者がいます。また、心の時代とも言われます。単に科学万能、工業化万歳といった時代では決してなく、人間としての本質がもう一度見詰め直される中では、20世紀型社会モデル、都市集中型、効率優先の社会環境へのアンチテーゼとして、スローフード、スローソサエティー、ロハスなどに代表されるような新たな価値が幾つも提案されるようになっています。そういった中で、私たちの和歌山もいま一度立ちどまって、これから進むべき方向性についてもう一度見直すべき時期に来ているのだと思います。
さきの質問でも触れましたが、周りに流されて他の地域と同じような方向でどれだけ努力していても、その成果は大きなものとはなりません。今後は、民間の企業再生でその重要性が指摘されていたように、選択と集中といった視点をしっかりと持って和歌山の特徴を徹底して磨き上げることが重要で、地域の個性を最大限生かした地域整備、独自の産業育成から魅力ある地域形成を実現していく、そこから雇用、働き口を確保し、そして人の集まる魅力的な地域を創造していくということが望まれるんだと思います。
そこで、今回は、これまでも提案してきました和歌山の特徴である恵まれた自然環境を生かした観光産業と健康サービス、予防医学などを組み合わせた取り組み、観光医療産業、いわゆる「癒しの地わかやま」のブランドづくりを加速させる提案をさせていただきたいと思います。
知事も、和歌山県の広報誌「和」の中で、自然の恵みを余すことなく生かし、自然を侵し過ぎず、折り合いをつけていく知恵を持って環境保全と自然を活用した産業を両立させることが大切だと述べておられます。私も、これも全く同感です。
これからは、地域の特徴、個性である恵まれた自然環境、気候風土、こういったものをどれだけ生かし切る取り組みができるかといったことが重要だと考えます。そこでは、先人の自然環境を生かした知恵である、よみがえり、いやし文化、この長い歴史を背景に持つ和歌山独自の地域活用手法、今の時代にこれらを産業としてしっかりと確立し、心いやされ、よみがえる、そして人間が元気になる地域・和歌山、こういったものを例えばイメージの核としながら地域ブランド化に向けた取り組みを一気に加速させることが和歌山再建への突破口になると考えます。また、こういった取り組みを進めるに当たって今重要なことは、できるだけそれらの取り組みをスピードアップさせていくことが望まれます。
私自身、4年前にこの県議会で初めて「観光医療産業」といった言葉を使い、従来からの和歌山の基幹産業である観光産業と予防医療、健康サービスとを組み合わせ、地域独自の産業として発展させるといったことを提案させていただきました。その後も、民間企業などを含めさまざまな研究機関などが行う勉強会にも参加してくる中で、やはり観光と健康サービス、観光と医療・予防医学を組み合わせて新たなサービス事業を立ち上げていく取り組みというのは将来有望で、そもそも日本の未来にとっても欠くことのできない産業であり、和歌山にとっても地域の再建を図る非常に有効な取り組みになると改めて確信しているところです。
平成15年6月には経済産業省の健康サービス産業創造研究会から報告書が提出されていますが、それによると、健康サービス産業の雇用、市場規模、医療抑制効果などについては、日本総合研究所の試算として、2010年には市場規模は20兆円に達し、雇用者数は300万、医療抑制効果は約4兆円になると報告されています。今まで、和歌山のみならず日本の中でもその産業の中心、屋台骨になっていた例えば鉄鋼産業が、市場規模が15兆、20兆と言われている中で、もう既に同じような市場規模を確保できている。世界に冠たる自動車産業、この雇用者数が約300万。同じようにもう300万を確保できてるんやと。実は、この健康サービス産業に対しての期待は非常に大きいもんだと思います。
この健康サービス、予防医療といった分野を和歌山既存の観光産業と結びつけて商品化して実業化していく、そういった取り組みが本格的に進められて和歌山がその集積地になることができれば、これは地域に与えるインパクトは決して小さなものではなく、和歌山再建の切り札になるものだと私自身考えております。
県庁内においても、4年前の議会提案後にワーキンググループを設置していただき、検討を加えた後に、その可能性を探る目的でモデル事業「熊野健康村構想」が立ち上げられ、以来、いやし・健康といったものを切り口として、従来の観光集客、交流事業に付加価値を与える試験的な取り組みとして、国とも協力したいやし・健康効果の科学的検証、熊野古道を中核資源としたいやしと健康の滞在メニューの開発、都市部からのモデルツアーの実施から観光医療サービスの魅力度の測定まで、さまざまな取り組みが進められてきています。また民間においても、さきに質問してくれた片桐議員にもお手伝いいただいて、観光医療といった視点で新たなビジネスの提案もしていただいている状況にあります。
さて、このような、4年間にわたりモデル事業の立ち上げから実際の効果、ニーズの測定からビジネスの可能性、地域産業としての可能性も見出す調査研究を進めてきた中で、今、これを一気に加速させる時期に来ているんだと思います。
現在、全国的にもさまざまな動きが出ています。新潟の健康ビジネス連峰構想、沖縄の健康文化村、伊勢、室戸のタラソテラピー、軽井沢のリゾートトラスト、日立市の健康改善の里、千葉県の生命の森リゾートなど。しかし、まだまだ都道府県レベルにおいて地域全体のブランドとして定着しているところはありません。
本県には、熊野地域だけではなく県下全域を対象として、観光リゾート事業に健康・いやしといった切り口を加えて事業化できる可能性のある資源はたくさんあります。今後はそれらを活用して、他地域に追随を許さない一大観光・健康サービス事業の集積地とするための強力な政策誘導の実行が求められます。そして、この和歌山をいやしの地として全国ブランドの確立を実現させていただきたいと思います。
そこで、知事にお伺いいたしますが、まず基本的なところとして、本県における観光産業の位置づけと観光産業が置かれる現状に対する認識、また今後の取り組みといったことについてどのようにお考えになられているか、御見解をお聞かせ願いたいと思います。
次に、これまでいやしの文化を産業とする取り組みとして熊野健康村構想などが進められてきていますが、それらの成果を踏まえて、今後、県下全域を対象として、和歌山の豊かな自然などの観光資源と予防医療、健康サービスなどを結びつけて地域独自の新たな産業として広めていくことの意義、その可能性についてどのように認識されているのか、お聞かせ願いたいと思います。
この質問の最後には、もう1点、観光サービスに健康・いやしといった視点を組み入れた事業を和歌山県に集積させるための優遇・助成制度の早急な整備について、知事に御見解をお願いいたします。
これまで、県ではずっと、いろいろ研究したモデル事業、やっと取り組んできてくれてます。こういうことをぼちぼちぼちぼちやってても──本当にこの和歌山の地域ブランドとして有効なもんやといろんな報告が出てる中で、あとはこれはもう行政が幾らでも広げていくというもんじゃないんやと思います。あくまでも民間が主体となって事業してもらうと。
和歌山がええもん何とかつくり出してきたと。それやったら、これは優遇制度、助成制度を思い切って──これまで単に製造業中心に企業、工場誘致でやってきてると。それは大事なことで、大事じゃないと言わんけれども、半島にある和歌山が、もともとハンディのあるところを助成制度、優遇制度で穴埋めしながらそのハンディを埋めていっても、それが本当に和歌山を立て直す突破口には僕はなかなかならん。もともとの立地条件であるとか和歌山の条件をもっと生かして、地域としての立て直しを考えていく。そのためにも優遇・助成制度をつくって、今回提案さしていただいたようなものを、これまでも検討していただいてるわけですから、ぜひ思い切って知事にはお進めいただきたいと思います。
次に、海洋型ナショナルトレーニングセンターへの取り組みについて、当局のお考えをお聞きしたいと思います。
ことし3月に仁坂知事から発表されましたが、これまでの念願がかない、日本セーリング連盟が推薦する和歌山マリーナシティについて、JOC日本オリンピック委員会から海洋競技の強化拠点、海洋型ナショナルトレーニングセンターとして内定されることとなりました。正式決定は来年度以降になりますが、現在は、文部科学省の視察等、その認定に向けた準備作業が進められているところです。
この施設の誘致は、今さら言うに及びませんが、和歌山県にとっても極めて大きな意義のあるものだと思います。海洋型ナショナルトレセン、それは日本のセーリング競技の中核施設となるものであり、国内におけるヨット競技の聖地、ナショナルトレーニングセンターがある地域といったことで、恵まれた自然、快適なリゾート地といった地域の良好なイメージが大量に県外に発信され、今後は日本を代表する第一級の海洋リゾート地として認知されるチャンスが生まれます。オリンピック選手の強化場所ともなる施設ですので、取材などを通じて和歌山の海がマスコミに露出する機会もふえ、その広告効果もはかり知れません。
また、あわせてこの施設は、日本代表チームの強化合宿からジュニアユースの強化合宿、地域の子供たちのスポーツ教室などとしても幅広く活用できるものであり、そこでは和歌山の教育の現場としても、このナショナルトレーニングセンターを活用することも期待できます。
ここまでの道のりは、決して平たんなものではありませんでした。私自身、この海洋型ナショナルトレセンの提案をしたのは、さかのぼること、市議会当時の7年前になります。当時は和歌山市で予算をつけてもらって基本整備計画をつくって、それを具体的な提言として、何度も東京のほうにも足を運びました。そして、この県議会においても、先輩・同僚議員のたくさんの応援もいただく中で、オリンピック選手を育成し、現在に至っています。
このナショナルトレセンの誘致には多くの地域が名乗りを上げていましたが、そんな中で和歌山・和歌浦が最終選考に残ることができたのも、さきのアテネオリンピックでヨット競技に出場した日本代表選手11名のうち3名がこの和歌浦をホームトレーニング場所にしていたことが大きく、和歌浦の知名度を一気にセーリング界に広めてくれました。また、最終の内定をかち取る段階では、現在の仁坂知事が英断を下していただき、県としての後押しがあったことも大きかったと思います。
ここまで、特にボランティアで御協力いただいてきた皆様、地域貢献の一環として御協力いただいた地元企業の皆様には、本当に心からお礼申し上げるとともに、頭の下がる思いです。
通常、オリンピック出場が期待される多くの選手は、企業から潤沢な資金提供を受けて活動しています。しかし、和歌浦で活動するほとんどのヨット選手は、単に和歌山県セーリング連盟所属ということで、資金的にも恵まれない、本当に厳しい環境に置かれる中で、関係者の努力により、まさに手弁当で、生活の援助から就職のあっせん、身の回りの相談にも乗りながら有望選手をつなぎとめてきた経過があります。
また、オリンピック出場に際しては、ボランティアで構成されるセーリング連盟のスタッフの皆様にも本当に御苦労をかけて、その資金難を何とか救おうと、草の根のキャンペーンでTシャツを販売したり、また、資金難から海外で行われるオリンピック選考レースへの出場が危ぶまれたときに、地元企業として、株式会社島精機製作所、ノーリツ鋼機株式会社、株式会社サイバーリンクス、日吉染業様など、多くの県内企業の皆様にその窮地を救っていただきました。こういった関係するすべての関係者の努力によってアテネオリンピックへの出場を果たし、結果的に日本オリンピック委員会がセーリング競技の強化拠点としてこの和歌山マリーナシティを認定して、続いてことし3月にはナショナルトレセンとしての内定を受けるところまで来たものです。
今後は、せっかくここまで来たのですから、ここで気を緩めることなく、官民挙げたトレーニング拠点の整備充実に一層取り組んでいくことが望まれます。この和歌山・和歌浦の拠点を国内における唯一無二の海洋トレーニング施設として整備、発展を進め、他の地域の追随を許さない確固とした地位を築く必要があります。そのためには、この施設の価値を徹底して高め、それをうまく外部にも伝えていく中で、和歌山のみならず日本全国の多くの企業などからも応援してもらえる体制づくりを積極的に進めることが必要です。
施設の価値を高めるには、あくまでそれにかかわる人間の知恵と努力が必要です。以前、スポーツに経済的な価値をもたらしたアメリカの実業家ピーター・ユベロスの話を紹介したことがありますが、彼が残している言葉に、「価値を生み出すのは人間の知恵である。ただあるものをそのままほうっておいても、それは何の価値も見出さない」。この言葉の象徴になるのがロサンゼルスオリンピックで、ロス五輪の聖火まで商品にした逸話は有名です。非経済的なものを人間の知恵で経済的な価値を持つ商品に生まれ変わらせていく。私たちも、今回、日本で唯一の海洋型ナショナルトレーニングセンターを持つことになるわけですから、今後はその施設の価値を十分に高め、その商品価値を最大限に引き出す取り組みが重要となります。
今、スポーツにかかわる企業の姿勢も変化しつつあります。最近では、例えば公営スポーツ施設にも命名権、ネーミングライツの売却などが進み、それは大都市の有名施設だけではなく、地方施設での取り組みなども目立ってきています。
ことしに入ってからも、香川県で香川県営野球場のネーミングライツを穴吹工務店が取得し、「サーパススタジアム」として年間1000万の契約を3年にわたってすることが決定しているようです。また徳島県でも、鳴門総合運動公園のネーミングライツを大塚製薬に売却し、公園全体の愛称を「鳴門・大塚スポーツパーク」として、取得額は総額1億2500万ということです。これらは、香川県、徳島県の行政職員が積極的な営業活動を行って成果を上げているものです。
ただほうっておくだけでは何の経済価値も持たないもの、しかし、それに知恵を絞ることでさまざまな可能性が広がってきます。その商品価値をどのように高められるのかは関係者のやる気にかかっています。
このナショナルトレセンの誘致先は和歌山マリーナシティですが、そもそも県としてもこれまで多額の県費を投入して整備してきた場所であり、投資した金額に見合う活用方法について真剣な検討が必要なところで、今回、ナショナルトレセン構想は千載一遇のチャンスとなっています。この機会を十分に生かして、その活用策について全力で取り組んでいただきたいと思います。
そこで質問ですが、まず、これは和歌山県全体にとっても、地域づくり、地域のブランド化といった視点でも重要な事業だと考えますが、県の将来ビジョンと重ね合わせて、その意義、また、ここまでの取り組みの評価とあわせて今後の方針などについて知事の御所見を賜りたいと思います。
またあわせて、施設の活用、その経済的な価値も見出す取り組みが重要と考えますが、そのための体制整備も必要です。これまでは教育委員会が中心となって頑張ってきてくれていますが、今後は、企業への働きかけなど、例えばナショナルトレセンの紹介パンフレットを持って東京での企業訪問を東京事務所にお願いするなど、和歌山だけにとどまらない知事部局、全庁的な取り組みも必要と考えますが、知事の御所見をお聞かせ願いたいと思います。
また、今後のナショナルトレセンの地域における学校現場との連携などを含めて、地域スポーツの振興といった視点で、これは教育長から御見解をお聞かせ願いたいと思います。
最後に、新たな公共調達制度について。
この6月13日に全国知事会では、公共工事をめぐる談合防止策について都道府県の取り組み状況を公表しています。知事会の入札改革の指針に沿って予定価格1000万円以上の工事で一般競争入札を導入しているのは4月1日時点で7府県ですが、さらに24の道と県が今後導入する予定としており、全体の3分の2に当たる31道府県が基準を達成する見通しとなり、今後はほとんどの自治体において指名競争入札が事実上廃止されることになります。
あわせて、技術力などを加味して落札者を決める総合評価方式による入札を採用する都道府県も、2006年度は5つの自治体だったのに対し、今年度は20の自治体にまでふえる予定となっていて、今、談合問題の取り組みは全国に波及し、その改善策も急ピッチで進められている状況があります。
そういった中で、和歌山県でも郷原先生を初めとして国内では第一線の研究者が集まり、入札制度の抜本的な問題点を探り、その改善に係る提言書がまとめられました。これ自身は高い評価を得るものだと思いますが、しかしながら、これを単なる研究者の論文で終わらせるのではいけないので、今後どこまで踏み込んだ取り組みが行われるのか、県当局の実行力が試されます。ぜひ、談合問題の端緒となる、事件を起こした和歌山だからこそ、全国に先駆けて手本となるような取り組みを進めてもらいたいと思います。
今、建設業界にいる事業者の皆さんにも、ぬるま湯の体制を維持したままやったらもう将来はないといった意識がはっきりと芽生えているように思います。今後は知恵と工夫により積極的に新たな制度に対応し、企業としての体質強化も図る中で新たな発展モデルを示していきたいといった意見を聞くことも多くなっています。このような業界の風潮を後押しするためにも、今後は真剣に努力する優良な事業者を見分け、不良不適格業者を排除するといった点について、まず入札改革以前の問題として真剣に取り組まなくてはいけないのだと思います。
そこで、本日は先輩議員である山田議員のほうからの御指摘もありましたが、私なりに視点を変えて、先日発表された和歌山県の新たな公共調達制度について、幾つかの提案とともに質問をさせていただきたいと思います。
これまで、経営事項審査や入札資格審査など、業者を書面でふるい分けようとしてきていますが、今後はもう一歩踏み込んで、その実態についてしっかりと調査していくことが求められます。不良業者いわゆるブローカーの排除などは、優良な事業者の健全育成、入札の適正化を図る上でも最優先で取り組まなくてはいけないものです。入札自体を公正なものとするための基本として、審査体制の強化が強く求められるものと考えます。
しかしながら、県下の入札事業者が2500を超える実態がある中で、どのようにして審査体制の充実を図るのか。これは、現状の担当課だけの対応ではとても追いつかないことが容易に想像できます。例えば、入札参加業者の10%を調査するにしても、現場では1チーム3名体制で1日当たりの調査件数は2カ所、調査チームを2チーム編成して毎日現場に出たとしても、3カ月かかる計算になります。現状の書面調査と並行して実地調査に1日6名の職員が張りつくとなれば、現在の体制では現実的には処理し切れない実態があります。
しかし、今、この新制度を導入したその今だからこそ、特に不正は見逃さないといった強い県の姿勢を示すことが必要です。そのためには全庁を挙げて応援する体制をつくる必要があると考えますが、知事の御所見を賜りたいと思います。
次に、新しい入札制度の資料の中で、不良不適格業者を排除する「枠組みを構築する」とされていますが、これも非常に重要であり、例えば経営事項審査のチェックの厳格化として、完成工事高の内容確認、それぞれの事業所に所属する技術職員数のチェック、また毎年無作為に数社を抽出し徹底的なチェックを実施するなどの取り組みについて、これまで以上に厳格な取り組みが求められますが、その具体策について県土整備部長から御答弁いただきたいと思います。
またあわせて、専門工事参入時のチェックを強化する取り組みとして、例えば舗装工事や港湾工事では、これまでは必要機材の確認においてリースなどは不正の温床なども多いと指摘されています。そういった部分の条件の厳格化にも取り組む必要があると考えますが、具体的な改善策は考えておられるでしょうか。これもあわせて県土整備部長から御答弁賜りたいと思います。
最後に、暴力団関係企業の排除として、警察当局との協力を密にする中で事業者の株主構成などにも踏み込み、例えば産業廃棄物の処理、運搬に係る法規制の中でも一定の制限を設けていますが、こういったものを参考にしつつ、入札資格を厳格化する取り組みも和歌山モデルとして検討に値するものと思いますが、これは県土整備部長とあわせて県警の警察本部長からも御答弁をいただきたいと思います。
以上で、私の1問目を終わらしていただきたいと思います。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの山下大輔君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、和歌山県の将来ビジョンと重点政策についてお答え申し上げます。
本県が有する地域のすぐれた資源や特性を生かしながら県民が活力を実感でき、心身ともに健康で明るく暮らせる元気な和歌山を実現する、そういうことが私に課せられた最大の使命であると考えております。また、これは目指すべき将来の姿であります。
新長期総合計画では、そうした将来像の実現に向けて、おっしゃるように現状分析を行いながら、本県が持つ強みである、例えば農林水産業あるいは県内のオンリーワン企業、観光資源、進取の気性に富む県民性などの潜在力を引き出すような、そういう施策を重点的に検討して取りまとめていきたいと思っております。
第2に、前の計画であるところのわかやま21世紀計画は、策定後、既に9年が経過しております。経済情勢が現状とそぐわなくなっていることはもちろんのことでありますが、いろいろな面で、先ほど申し上げました姿に合わなくなっていると思っております。
したがって、時代潮流に即した新たな長期総合計画を策定するということにしたいと思っておりますが、今回の策定におきましては、前回の策定手段であるところの、例えば審議会方式というのは必ずしも採用いたしませんで、県の責任体制を明確にするために、私が本部長となり、全庁体制の新長期総合計画策定本部を立ち上げました。それから、部局横断的かつ重点的に検討するテーマにつきましては、局長クラスを座長とするようなテーマ別検討会を設置して策定していくこととしております。もちろん、県議会の皆様に策定の途中段階でお諮りすることはもちろんのことでありますけれども、有識者や市町村など幅広い御意見も聞いて進めてまいりたいと思っております。
次に、カジノについてでございます。
現在進められています合法化に向けた議論の中では、カジノに加え、例えばテーマパーク、劇場、スポーツ施設などを含めた複合施設が想定されておりまして、老若男女を問わず家族でも楽しめるエンターテインメント性を有する、地域の活性化に大きく貢献するようなものを想定して考えているものだと聞いております。
カジノ設置には、組織犯罪への対応、あるいは地域の風紀や青少年への影響など、解決すべき点もたくさんありますけれども、一方、カジノエンターテインメントの誘致が実現すれば地域の経済活性化に資する有効な手段となるということも考えられますので、地元市町村の意向にも配慮しながら、引き続き前向きに対応してまいりたいと考えております。
次に、観光ヘルスリゾート産業あるいはいやしの視点という点でございます。
世界遺産高野・熊野を初めとして数多くの観光資源を有する本県にとっては、観光は一番大事な産業の1つだというふうに考えております。その意味で、私の選挙公約であります1つの政策目標の中にも和歌山の美しさを生かした観光の振興を掲げ、積極的に取り組んでまいっているところでございます。
ただ、このような和歌山の観光資源は、私の考えではまだまだ十分売り出していないのではないかと考えております。
もっとこれを売り出せないか──もちろん一方では、資源の毀損を防ぐための景観条例なども有効に使いながら、売り出すためのアクションプログラムを今考えているところでございます。
今日の現代社会においては多くの人々がさまざまなストレスを感じておりまして、心身をいやし健康を取り戻す、例えば観光医療という名で呼ばれるようなものには多くのニーズがあると私は考えております。新しい観光の分野としてこれを発展させる可能性は感じております。
また、熊野のいやしのイメージを活用した熊野健康村構想に基づく観光医療の取り組みにおいても一定の実績を得たところでありますが、今後、観光医療という分野が定着していくことになれば、本県の新たな価値創造になるということも考えられるところでございます。
また、これについての助成措置、こういうものをもっと考えたらどうかということでございます。
これには、観光に健康・いやしの視点を組み入れた新産業の集積手法の1つというのは、核となる観光関連事業者を誘致するという考え方が1つの手でございます。この観点からは、企業立地促進貸付制度、または過疎地域に立地する旅館業に対しては不動産取得税及び事業税の課税免除等々の制度の適用が可能であります。
他方で、現段階においては、和歌山県の持っている補助金によって誘致を促進するということには踏み切っておりません。この理由といたしましては、観光保養施設等の立地要因が地域固有の景観あるいは自然環境や気候風土というもともとあるものによっているところであり、また他地域との競合が少ないというところもあります。また、既存の観光関連サービス事業者に与える影響が必ずしも完全に純増ではないというところもありまして、そういう点で踏み切っていないところであります。
しかしながら、観光産業の発展は本県経済の活性化に大きな役割を果たしているところから、今後とも観光・いやしの視点等を組み入れるという考え方を含めて、さまざまな観点から効果的な振興方法を考えてまいりますが、その際に新しい事業者が新しいアイデアで参入していただくということについては、私は歓迎でございます。
次に、ナショナルトレーニングセンターでございます。
本県についての意義ということでありましたが、これはスポーツの振興にもなるし、それから特定のスポーツの日本の中心地としての情報発信という点もあるし、観光振興にもなるということでございまして、私は高く評価しているところであります。
これまでの取り組みにおいては、平成15年11月に県、市、それから県セーリング連盟を主なメンバーとしてナショナルトレーニングセンター「セーリング競技強化拠点」誘致委員会の設立以降、それぞれの役割を分担し、関係機関等に積極的な誘致活動を行ってまいりました。最終的には佐賀県唐津市と最後まで熾烈な誘致競争を展開いたしまして、結果的にはそれに勝ったということであります。実は大変不利な状況にありましたが、必死で巻き返しまして、その結果、本年2月に日本セーリング連盟理事会において和歌山セーリングセンターが国内候補地として決定されましたことについては大変ありがたいことだというふうに思っております。
決定を受けるに当たりましては、既に申し上げてありますが、県では艇庫の増設を、県セーリング連盟では競技及び練習艇の追加配備並びにジュニア人口の増加対策、これを行うことを条件として約束して日本セーリング連盟に対して巻き返しを図って、申し上げた結果に至ったところであります。今後は、この約束をそれぞれが責任を持って実行してまいらなければなりません。
県では、今度は6月14日に文部科学省に対しましてこの一日も早い正式指定──これは、日本セーリング連盟から日本オリンピック委員会に行きまして、それで最終的には文部科学省の決定になるわけですが──それのプロセスを早く進めてくださいというようなことを申し上げておりますが、もちろんその際に、責任を持って確約の条件を遂行することが重要であるということもまた申し上げております。
次に、誘致を契機とした県の体制づくりということでございます。
本センターは、国内外に広く海洋県和歌山をアピールできるとともに、本県競技者のすそ野を広げ、競技力の向上が期待できます。また、強化合宿等により本県への来訪者が飛躍的に増加いたしまして、経済波及効果も大いに期待できます。
県では、誘致を契機として、市やあるいは県セーリング連盟を初めとする関係機関と連絡、協力しながら、これまでの教育委員会のみならず観光部局も動員をして、協議会の誘致、あるいは観光客等の集客、あるいは地元のこれに関連する観光産業の振興などを積極的に推進してまいりたいと考えております。
次に、公共調達制度でございます。
議員御指摘のように、県がこのほど発表いたしました公共調達制度につきましては、私は、議員の御発言にあったように、全国の手本、あるいは全国のモデルになるべきもの──だけではなくて、もう十分モデルとしてはなっていると思っております。しかし、それを実行してまいらないと何もなりません。特に、不良不適格業者を排除し、各業者の施工能力を適正に評価したランクづけを行わないと、すべてが進まないのであります。したがって、限られた時間内で詳細な資格審査を実施するためには、事務の効率化も念頭に置きますが、人員の増など体制強化の検討も同時に行ってまいりたいというふうに考えております。
○副議長(新島 雄君) 県土整備部長宮地淳夫君。
〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 新たな公共調達制度についてのお尋ねのうち、3点にお答えをいたします。
まず、経営事項審査のチェック、監視の強化についてでございますが、不良不適格業者を排除するには実地調査が有効であると認識しており、これまでも建設業新規許可の際に営業所確認を行ってきたところです。
今後は、これに加え、技術者の常勤性や完成工事高に疑義のある業者につきましては随時の実地調査を行う等、これまで以上に徹底した審査を行ってまいりたいと考えております。
次に、専門工事につきましては、専門的な技術や特殊な機械を要する工事であるため、技術者の数や専門機械の保有状況等、それぞれの工事の特殊性に合わせて業者を適正に評価いたします。
最後に、暴力団関係企業の排除につきましては、これまでも建設業許可を行う際に警察本部と連携し、排除に努めているところであり、今後は、法人役員に加え、主要な株主も対象とした排除方法について警察本部と協議を行ってまいりたいと考えております。
○副議長(新島 雄君) 教育長山口裕市君。
〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) ナショナルトレーニングセンターを活用した地域のスポーツ振興方策についてお答えいたします。
ナショナルトレーニングセンターは、我が国のトップレベル競技者はもとより、将来のトップアスリートを目指すジュニア競技者の育成・強化活動を担う拠点ともなる施設であり、小学生から成年まで各年代のトップレベル競技者の強化合宿や、ジュニアの各種全国大会にも利用されることになります。
全国から同年代のすぐれた競技者が集結することにより、県内のジュニア競技者にとって大きな刺激となり、本県の競技水準の向上やセーリング人口の増加にもつながると考えます。
また、本センターを地域におけるセーリング競技の拠点として位置づけ、子供たちに対して安全面に配慮しながらヨット教室などを開催することは、マリンスポーツ全般のすばらしさを体験してもらうとともに海への興味や関心を醸成し、ひいては海という環境資源を生かした体験活動にも生かせると考え、積極的に活用を図りたいと考えます。
以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 警察本部長鶴谷明憲君。
〔鶴谷明憲君、登壇〕
○警察本部長(鶴谷明憲君) 新たな公共調達制度における暴力団関係企業の徹底した排除についてお答えをいたします。
警察といたしましては、暴力団壊滅に向けた諸対策を推進しているところでございますが、特に公共事業からの暴力団排除につきましては、関係機関、自治体と連携をしながら、約20年前から、暴力団が実質的に経営に関与するなどしている企業に対して建設業許可や公共工事からの排除に努めているところであります。
また、本年からは、公共工事に関し、受注業者に対して暴力団等が下請参入要求等の不当介入をした場合に発注者等に通報報告を義務づける制度を導入するなどの取り組みを働きかけているところであります。
県当局とは、これまでも廃棄物処理業、解体業、貸金業とともに建設業からの暴力団排除に向けて情報交換等を制度化し、運用しているところでありますが、今後、新たな公共調達制度の導入に当たりましても、なお一層の連携強化と情報交換に努め、暴力団関係企業の排除を図ってまいりたいと考えております。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再質問を許します。
〔「ございません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 以上で、山下大輔君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時52分散会