平成19年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(中 拓哉議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後1時2分再開
○副議長(新島 雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 26番中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕(拍手)
○中 拓哉君 こんにちは。「なかなか頑張る中拓哉」と申します。
 さきの統一地方選挙におきまして、県議選で初当選を果たすことができまして、この場に立たせていただいております。御支援賜りました和歌山市選挙区の有権者の皆様、また御声援くださった県民の皆様に、この場をおかりして改めて厚く御礼申し上げます。賜りました9802票の重みをしっかり抱き締めつつ、選挙の折に公約いたしました県政の諸課題実現に向け、努力してまいります。
 そのあかしの第一歩が今回の一般質問であります。未熟者ゆえ未完成な部分も多々あろうかと思います。先輩諸兄の御鞭撻を賜りつつ、1つ1つ勉強してまいります。知事初め当局の方々にも大きな心で受けとめていただき、誠実な御答弁を県民にわかる言葉でお答えいただきたいと思います。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので第1問に入ります。
 まず、仁坂知事の政治姿勢についてでございます。
 仁坂知事誕生の経緯を顧みれば、前知事の汚職事件に伴うものであり、地に落ちた県政への信頼を取り戻すことが仁坂知事に課せられた大きな使命であります。その自覚に立つ仁坂知事は、官製談合の温床となった指名競争入札を改め、一般競争入札を原則とするなど、公共調達の改革を進めております。
 また、過日の訪問介護最大手のコムスンへの処分の問題では、コムスンのグループ内子会社への事業譲渡を認めないといち早く明言し、全国版扱いの大きなニュースとして報道され、一躍有名になりました。私もテレビで知事の発言を知り、その潔さに快哉を叫んだ1人であります。恐らくや多くの県民も、あなたを誇らしく、また頼もしく思ったことでありましょう。
 その勇敢さを木村前知事の事件の解明にも発揮してはどうでしょうか。
 官製談合の防止策については一応の成果を示したわけですが、もう1つの事件、収賄、1000万円の賄賂事件については対策が見えてきません。競売入札妨害いわゆる談合罪の再発防止についてはよしとして、収賄という涜職罪の温床となったあの21会や翔樹会の実態、お金の動きの解明については進んでおりません。
 官製談合の当事者、木村さん、水谷さんは逮捕され、しかも密室の犯罪、関係者も限られていますから、県としての解明は難しいとするならわかります。しかし一方、このさんずい事件の財布となった翔樹会や21会については、知事の秘書課が管理し、担当者も逮捕されず、県職員として現に勤務しているわけですから、調査はたやすいにもかかわらず、「気が進まない」などと言って避けている。
 コムスンの会見で見せたあの勇姿は別人なのでしょうか。記者会見で知事は、「不正は許さん。きちんと調べるのが大事です。コムスンは処罰する。あれは脱法行為。正義に反するようなことは当県では認めない。断固厳正に対処したい。認めたらおてんとうさまが許さない。形式的にどうあれ、実態的にだめなものはだめ。頭を丸めて反省しろ。正義は廃れます」。格好いいですね。痛快ですね。その心意気を木村前知事の21会や翔樹会の解明にも発揮してほしいものです。
 そもそも、知事も選挙で選ばれる政治家です。公職の候補者です。政治資金規正法21条の2には、「何人も、公職の候補者の政治活動に関して寄附をしてはならない」。寄附をするなら政治団体にしろという条文です。また、同じく政治資金規正法8条で、「政治団体は、届出がされた後でなければ、政治活動のために、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附を受け、又は支出することができない」。これには5年以下の禁固や100万円以下の罰金、先ほどの政治団体以外で寄附を受けた場合、寄附をした場合は、1年以下の禁固、50万円以下の罰金とございます。知事が集めたお金は、紛れもなく政治資金であります。しかも、それが企業献金だとしたら、二重の意味で違反であります。
 あるいは、あなたの2月議会の答弁をかりれば、「私的な資金を県庁職員に管理させていた。公私混同がよくないので」とおっしゃってます。しかし、公私混同だったのでしょうか。知事の交友関係者との接遇は、まさしく秘書課職員の職務ではないでしょうか。だとすれば公務であります。また、12社が月3万円、これが21会。11社が月3万円、翔樹会。さらに中小企業者らでつくる青樹会。これは選挙運動も手伝ったらしいですけども。一体、幾ら集めて何に使って幾ら残っているのか、残ったお金は木村前知事に帰属するのか、全く杳としてわかりません。しかも、知事が調べる気になって、その当時の秘書課の職員さんに聞けば、たちまちにして解決します。
 一方、最近驚かされるニュースがありました。6月4日、大阪地裁での木村被告第4回公判で、木村さんの弁護側は小佐田前副知事の調書を挙げ、賄賂1000万円の使い道を明らかにしています。当初、検察の冒頭陳述では、この1000万は地方新聞の対策費、選挙運動員の慰労会で費消された、残り500万については木村前知事の私費として、知事公舎の水道光熱費、電話代、家族旅行代、車検代、保険代、旅費等、あるいは交際費等で費消されたと検察側は主張しております。一方、今回の小佐田さんの調書では、何とそのお金が費消されたのは、地方情報紙対策に100万円、大手マスコミ2ないし3社に慰労として30万円を使ったのみで、あとは中西伸雄元出納長に200万、水谷氏に100万、小佐田氏に70万、残った500万は21会に納めたと述べております。
 これは一体何ですか。幹部が山分けしてるじゃないですか。これらの解明にも、知事がその気になって、「気が進まないなど」と言わずにやる気になって金を管理していた当時の秘書課の職員に聞けば済む話です。さんずい事件、汚職事件の背景の解明をした上でこそ再発防止策がとれるわけです。今こそ、あのコムスンで示した歯切れのいい仁坂さんの姿を期待します。
 現に、この水谷さんの判決のときの仁坂さん、あなたのコメントでは、「知事の命令がどうであろうと、正義と県民のため断るべきは断るべきだ。事件を起こした県の体質は徹底的に変えていかなくてはいけない」と述べてるじゃないですか。改めて、真相を解明すべし、そのお考えを問います。
 次に、公益通報についてお尋ねします。
 私の選挙公約でもありました公益通報について述べれば、平成18年4月1日施行の公益通報者保護法というのがございます。
 かつて大企業の不祥事が相次ぎました。あの三菱自動車のリコール隠し、あるいは最近では不二家さんの賞味切れの問題、また東京電力、関西電力を初めとする原子力発電所のインチキな報告等々ですね。また、ガス器具メーカーの欠陥の問題なんかも隠されておりました。簡単に述べれば、会社に不利益になっても社会には有益な情報をもたらした場合、その通報者を保護するという法律です。
 イギリスでは公益開示法、アメリカでは内部告発者保護法、企業改革法等で、既に公益通報者を1980年代から保護しております。日本の場合、会社に勤める社員には、その勤める会社に対して企業秩序遵守義務あるいは誠実義務があります。ですから、うかうか会社のことを外部に話すとそういった違反に問われ、損害賠償を受けたり不利益をこうむります。
 目前の不正を見逃して自分が会社の保身を頼り、あるいは会社の利益のことを思って目の前の不正を見逃してしまったら、かえって一般国民に大きな被害が出る、消費者に大きな損害を与える、こういうことからこの法律ができたんであります。被害の未然防止、拡大防止、企業犯罪の抑止に大いに有効であります。
 本県の場合、平成15年4月1日より和歌山県行政公益通報、いわゆる行政ホイッスルに関する処理方針がつくられておりまして施行されておりましたけど、ほとんど効果はありませんし、機能しておりません。なぜなれば、その通報先が総務部長になっているからです。平成19年、このことしの4月1日からは通報の受け付けは監察査察室長と総務学事課長に改められてますけども、いずれも県庁内の職員さんであります。依然として行政内部での処理であります。
 和歌山市では、私も市議会で提案したんですけども、旅田事件の反省を受けまして外部に公益通報制度を設け、実際に効果を上げております。
 一例を申し上げれば、学校給食の共同調理場での裏金づくりが発覚しております。その幹部が業者と組んで、多目にてんぷら油を発注して購入して裏金をつくってたわけですけども、どなたかわかりませんけど、それを見た、それを知った方がこの公益通報者に連絡して改まったという経緯がございます。
 当然、私のつたない勉強から、あるいはこの経験からしましても、外部に設けるべきだと思います。そのお考えはございませんか。お答えください。
 また、6月13日の記者会見で、中野さんという大阪地検特捜部の副検事を監察査察監に採用されるとのことでございます。3月30日に定められた県監察査察規程によりますと、県の事務の調査、検査、改善策のこういったことを提言することやら、不当要求行為への相談、助言を与え、さらにはこの7月1日からは不正行為等通報制度として設けられるとのことでございます。
 しかし、そのチャートを見せてもらいましても、木村前知事の事件がまさにそうだったように、知事自身の不正行為の場合、今回仁坂さんが考えてる案では、監査委員に通知するということになっています。監査委員に通知するだけで十分でしょうか。木村事件のような21会、翔樹会、こういった金は県の公金ではありませんから、厳密に言うと監査の対象から外れるかわかりません。おのずから限界があると思います。独立機関として整備すべきであると考えますが、その点の御見解をお示しください。
 またさらに、知事、秘書課ですら21会、翔樹会が存在してたんです。知事の秘書課にそういった団体があったんです。県がいろんな事務をしております。多方面な事務をしております。また、県庁内、小松原1の1に事務局を置く各種団体も多数ございます。こういった多数の団体は、県から補助金や交付金を受け、事業をしております。小松原1の1以外に独自に事務所を設けて事務局を置き、資力や人材があるところはきちんとした事務所を持って団体独自で活動しておりますが、いかんせん、資力や人材がないところの場合は、その事務は県の職員に頼らざるを得ません。
 県庁の職員も公務員であります。それに密接に関連した行為は、私は、してもしかるべきだと思います。しかし、木村知事のあの秘書課の事件を踏まえるならば、この際、こういった県庁本来の事務あるいはその周辺の事務、そういったことについて未然に防ぐ上からも、きちきち──ほとんどやってると思うんですけども、繰越金が来たり基金として残してたり、お金がたまり出すと、ややもすると魔が差すというのが今までの反省でございますんで、こういったことを未然に防ぐ上からも、この際、ルールを確立すべきではないでしょうか。お答えください。
 また、教育委員会にも公益通報制度は設けられておりますけども、やはり窓口は教育総務課と内部に置いております。また、匿名通報は受け付けないと、このようにその要綱には書いておりました。極めて不十分であると思います。教育委員会においても改善すべきと考えますが、いかがでございましょうか。
 次に、紀の国森づくり税についてお尋ねします。
 これもやはり、私、公約に掲げました。紀の国森づくり税の即時廃止ということで選挙戦に臨みました。
 武力で争ってきた長い歴史の中で、人類の英知は、人民主権を確立し、武力による殺し合いでなく選挙の投票によって代表者を選び、議会を構成し、政治権力を行使するという仕組みをつくり上げてきました。選挙で公約を争うことで権力は権力たり得るのであります。これが民主主義社会の大原則であります。
 果たして、今回のこの紀の国森づくり税創設の経緯を見ますと、増税策でございます。この過程におきまして、平成17年12月12日公布ということは、平成15年の選挙で有権者に問われておったでしょうか。寡聞にして15年の選挙の争点であったとは、私は聞いておりません。まあこれは議員提案でございますんで、当局の方に幾ら聞いても、議会の条例ですからと、こういう御答弁でございました。また、今春の選挙におきましても、無投票の選挙区も多くありまして、争点に掲げる候補者も少なかったように思います。廃止の条例も、議員提案で廃止しようと思えばできますけども、残念ながら、私、少数派でございまして、この議会で通る状態ではございません。ならば、その使途をただそうと、今日ここで尋ねるわけでございます。
 そもそも、県民の納税義務者から年500円──月に43円だそうです──これらを5年間、年にして2億6500万、5年で13億2500万、これを基金としてこれから使い道を考えていくということでございますが、納税者の立場に立つと、やはり自分の納めた税金は自分らのために使ってもらいたい、これが原則だと思います。そうした場合、この県下で多くの人口を占める、あるいは私の選挙区でもある和歌山市の、和歌山市民の納める税金の比率、あるいは和歌山市に事業所を置く事業者が納めるこの税の比率をまずお示しいただきたいと思います。何割ぐらいになるんでしょうか。
 次に、この税に限らず、税というのは強制的に徴収できるわけですから、先ほど申し上げたように、集めた限りは和歌山市のためにも応分の使途があって、その効果が及ぶべきだと思いますけども、この秋からいよいよ事業を開始されるそうでございますけども、果たして和歌山市民に還元されるのでしょうか。その基金としての活用策、あるいはその使途及び効果についてお示しいただきたいと思います。
 次に、大滝ダムについてお尋ねします。
 先ほど、井出先輩からも御質問ございました。今議会に議案として112号、大滝ダム建設に関する基本計画の変更、こういうことで提案されております。事業費を3480億から3640億円に160億を増額する、また昭和37年から平成21年までの工期を昭和37年から24年までの予定としている、そのことについて知事は同意するかしないか、またそのことを議会に聞いてくれてるわけでございます。また、別記要件を付しております。
 そこで、私、当時、前回の第5回のときに和歌山市会議員だったもんですから、その経緯を思い出すわけですけども、和歌山市にも9億5000万からの負担が今回あるということですけども、まあどうでしょう、今回のこの6回目の概要──先ほど井出先生にも御答弁ありましたんですけども、改めて今回の概要と、要は聞きたいのは、これが最後でしょうか、7回目はありますか、それをお尋ねしたいと思います。また、もし仮に県議会で、ここで不同意という結論が出た場合にどういう問題が起こりますか、お示しください。
 また、過日6月1日に、知事は近畿整備局長と面談された由、報道がありました。私はその会合があるということを知ったときに、同席させてくれやんかなと県の職員さんに申し上げたんですけども、県の職員さんからは拒否されました。まあそらそうやな、お2人だけの会談で、先ほど井出さんの答弁にもありましたけども、水面下でのいろんな交渉もあろうかと思いまして、まあ私は、同席はあかんと言われたら、そやなと思いました。
 しかし、報道陣は同席しておりました。報道陣の前での交渉でございました。夕刻、担当者の方が電話くれまして、「知事の返事はどうだったんですか」て聞きましたら、「よく精査して検討します」という知事の答弁でした。ああそうか、検討してくれるのかと。ところが、もう間もなく始まったニュースでは、やむなし、受け入れということでございました。結論は受け入れなんでしょう。
 17億8000万もの追加負担であります。当初230億でスタートしたこの大滝ダムの事業、3640億。6回も変更して16倍に事業費が上っております。45年かかるというのが、さらに5年かかって50年かかるんです。一体これは事業と言えるんでしょうか。
 多目的ダム法7条では当然その負担は逃れられないというふうな説明でございました。また、この使用権の設定予定者として登録してついていかないと水ももらえないと、こういうことでございました。
 おっしゃるように、治水・利水の効果ははかり知れないものがあります。しかし、自然相手の作業もはかり知れないものがあります。そのようなはかり知れないものを相手にしながら、和歌山県の財政には、はかり知ると申しましょうか、お金には、財政には限りあり、限界があります。物には限度というものがあります。
 和歌山市議会で大橋市長は、前回、第5回変更の折、都合、市議会議員それぞれに問われて5回も、「これ以上の負担はできない。もう払うつもりはない」と答弁しております。仁坂知事は、大橋市長のこれらの答弁に対してどのような所感をお持ちでしょうか。せめて、ここの議案にもありましたけど、別記の意見の中に直川地区の治水対策の文言を付して提案するというお考えはありやなしや、お示しください。
 以上、質問第1問といたしまして第1回の質問を終わります。ぜひ誠実な御答弁をお願いします。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの中拓哉君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 一番初めに、中議員から政治姿勢について問うという御質問がございました。これに対して、私がコムスンに対して申し上げたことと、それからいわゆる親睦会、前知事の親睦会について申し上げたことが違うじゃないかと、こういうようなお話がありましたが、これは断然違いません。2つの意味で違いません。
 まず、なぜかというと、1つは、どちらかというと、「今やるべきことは、本件のような事件が二度と起こらないようにするシステムをつくる、前向きに対応するということが今は一番大事な時期だと思います」というようなことを申し上げて、それで、「今は、例えば監察査察監の制度をつくるとか──まあ公益通報制度の発展版なんですけど──それから公共調達制度をつくるとか、そういうことに取り組んでいます」と。そういう意味で、これは今ここにある危機に対処するための方策なんですね。そういうことに全力を挙げますということを申し上げたわけです。
 一方、コムスンの問題については、私が申し上げた「脱法行為は許さない」というのは、あの日の今そこにある危機だったわけです。すなわち、あの発言の前まではひょっとしたら──脱法行為だと私は思いましたが、それについて厚生労働省はまだ見解を発表してなくて、ひょっとしたら適法かもしれないというような情報も伝わっていたわけです。そうすると、その前に通達があって、コムスンの再許可は認めるなというような指令みたいなのがあったわけですが、これに対して、そうすると認めざるを得ないということになる。
 それでどうするんですかということについて、私は、脱法行為というのは法律の運用上許してはいけないことである、たとえ条文上そういうものがそこに書いてなくても、それは──法の欠缺というような概念なんですけれども──欠缺は少なくとも運用で補わないといけない、それを補って、黒白をもしつけなきゃいけないとすれば、それは最終的には裁判でつけられるべきもんだと、こんな常識のことを申し上げたというか、わかってたもんですから、こんなものは脱法行為なんか認めてたらおてんとうさまが何とかと、こういうような議論になるわけであります。
 実は、親睦会の話にしても、それから収賄の話にしても、それから官製談合の話にしても、私は何も「過去を問わない」と言った覚えはありません。過去は問うのであります。これが第2点目であります。だけど、その問い方は、直ちに、今問題になってるんだから、さあみんなで調べてみようというような方策が今一番必要かというと、私はそうでないと思ったわけです。なぜならば、先ほど中議員が、自分で聞いたらいいじゃないかと。自分で聞いとるわけです、あっという間に。あっという間に聞いてて、その聞いてた結果を、これは公私混同の事件だというふうに申し上げたわけです。
 公私混同というのは2つあります。1つは、ひょっとしたら、今、中議員がおっしゃったように、政治資金規正法とか何かで問題じゃないかというようなそういうような政治活動と、それから前知事がやっていたこと、これが1つの公私ですね。その私と──そこにおける公というのは知事としての仕事ですね。それで、私というのは、これは知事という立場を離れて政治家としての私的な存在として──政治家を私的と言ったらおかしいかもしれませんが──その行政官としての知事の立場を離れた政治家としての立場、これが1つの公私混同なんです。それならば、政治家としては県の職員を使ってはいけないと思うんです。
 そういう問題があって、これはみんなもう閉口してるから、私自身がまたやると言わなければ、この問題は発生して再発なんかがすぐに起こるわけではない。過去あった問題だけども、今そこにある危機ではないわけであります。
 第2の問題は、その公私と言うべき──この公がちょっと怪しいんですけれども、親睦会の中で、本来なら政治活動するためにいただいたお金だと私は推測します。推測ですけれども。それを奥さんの旅費に使ったという次元の低い公私混同が多分あったんだろうというふうに思います。
 いろんな意味で批判はされましたけれども、これについても私は、例えば、ようやく後援会ができましたけれども、それにおいていただいたお金を和歌山県のために使うことはあっても、自分の奥さんの旅費のために、私的な旅費のために使うことはないというふうに思ってますから、こんなことも二度と起こらないわけです。
 じゃ、すぐに調査をしなかったと皆さんおっしゃるんですけれども、それはどういうことかと申し上げますと、調査をするためには最も有効にやらないといけません。有効にやったのはだれかというと、実は検察庁の方が全部やっとるわけであります。この方々は全部権限を持って、ある意味では国家権力を背景にして無理やりしゃべっていただいていると。それを、そういうことがなくなった我々がもう一度聞きに行って本当にちゃんと教えてくれるか。もちろん、私は聞いております。聞いておりますが、本当かなという点について徹底的に調べる手段は私はありません。
 これについては、例えばそれに疑似するようなものをつくろうと思えば、公共調達検討委員会みたいなものをつくって、検事さんのOBなんかいっぱい雇ってきて大がかりにすれば、国家権力はなくてもそれに近いところまで肉薄できるかもしれない。だけど、それを先にもうきちんとやっている人がいるんならば、その議論を踏まえて対応すればいいじゃないかと。
 過去は問うのでありますが、過去はおのずと、まだちょっとあそこの中に、裁判所の中にありますが、ちゃんとそのうちわかるのであります。わかったら県庁のルールに適正に照らして、これについてはきちんとしたけじめはつけないといけないというふうに思っております。
 例えば、私は判決が出たときに記者に聞かれました。例えば退職金はどうするんだねということを聞かれました。これについては、犯罪を犯した人は退職金は返納していただくということになっています。木村知事はもちろんでありますけれども、元出納長につきましては、長い間県庁のために尽くしたという、本当は功績もあると思います。一般職の退職金は受け取っておられます。しかしながら、その最後において本件の問題に関与したということについても、また事実であります。長い間県庁に尽くしたけれども、一部関与した。それならば、ルールに従えば、申しわけないけど返していただくと。ちょっと人情的には気の毒な感じもいたしますが、ルールは適正にやらないといけません。過去は問うのであります。
 したがって、本件の問題は、今裁判所が公開をしてくれていませんけれども、すべての案件が片づいたら、いずれ調書は公開されます。それをもちまして、私ども、中野さんという捜査をやった経験のある人を監察査察監に雇っています。このチームもあります。このチームできちんとしたけじめをつけて、それでしかるべく淡々とルールに従って対処したいと思っている次第であります。
 したがって、耳をふさぐとか、見て見ないふりをするとか、こんなことを全く思っておりませんで、そういうことを申し上げたつもりも、これまたございません。
 それから、第2番目に公益通報の制度でございます。
 公益通報につきましては、議員御指摘のように、公益通報者保護法というのがあります。
 この問題は、これまた議員御指摘のように、わかっている身内の人に通報ができるかという問題が常につきまとうわけであります。もう1つは、今の保護法によってむやみに処罰されるということはないということはわかっているわけですけれども、しかしながら一方では有形無形のプレッシャーを感じるものであります。
 したがって、例えば県庁の中にそういう窓口があって、それでその人たちが、まあいわば県庁一家の身内である、もともとの知り合いであると、そういうことになるとなかなか言いにくいということはあると思います。したがって、その問題をカバーするために、私は、検察関係者、元副検事で事務局長なんかたくさんやった非常に有能な捜査のベテランをスカウトしてまいりまして、トップに据えて、この人に通報をすると。この人の下には監察査察室という部屋ができるんですけれども、その人を指揮していろんな行動ができるのですが、その人には全部情報は開示しない場合があるということで、通報者の利益は守れるということになっているのであります。
 これを外に置くとどうなるかという問題でありますが、外に置いて、例えば弁護士さんなんかにそういうことを頼むというのは、世の中でちょっと考えていろいろよく行われていることであります。はやっております。しかしながら、これについては欠点があります。なぜならば、1つは、通報される者だけしか調べられません。2つ目は、通報される者を調べるときに、要するに素人が乗り込んでいってぱっと調べるということにすぎません。それならば、専門の部隊を率いていつも目を光らせてる人がそういうことを徹底的に調べるというほうがはるかに有効であります。このモデルは外務省にあります。外務省の職員はびしっと規律が回復されております。いろんな不祥事が起こったということは皆さんよく御存じだろうと思います。
 そういう意味で、私は、2つの制度を1つ、いいところだけとってやったつもりでございまして、これについては一番いい制度だと考えております。
 なお、その監察委員会に報告する─知事の不祥事、これを見つけたときに知事がとめ立てをしたと。そのとき監察委員会に報告するということは不十分だとおっしゃいましたけれども(「監査」と呼ぶ者あり)──監査委員会、失礼しました。「監査委員会」に、ちょっと議事録、済いません──監査委員会に報告することが不十分だとおっしゃいましたが、監査委員は、御承知のように、皆さんのような県部局とは違う、議員さんとそれから民間の方で成り立っています。つまり完全に外部なわけです。しかも、地方自治法上の非常に大事な制度であります。したがって、私は、この監査委員会を多少卑下するような考え方には全くくみしないのであります。
 この監査委員会に言われちゃうよと思っただけで、少なくとも私のような人は、これは大変だというふうに思いますから、監査委員会に持ってこられた情報は、多分意識的に公表しなくても全部情報公開の対象になるでしょうから、それはすなわち外側に明らかになるということであります。これは抑止効果が100%あるんじゃないかというふうに思っております。
 なお、県の職員と、それから県の団体である振興機関が一緒のところになっているという点については、いろいろとおっしゃった問題点もある可能性があると思います。ただ一方では、議員御指摘のように、いろいろ、お金もないし、それから同じような目的で頑張ってるから便宜的にとりあえずいいかということで今のようになっているというところもあると思います。いつも反省をしながら一番いい方法を考えて、弊害が少なく効果が大きくということを考えていきたいと思っております。
 それから、大滝ダムでございます。
 大滝ダムにつきましては、今、御質問、御発言の中で、私どもの県職員が、知事は直ちにやむを得ず受け入れと、こういうふうに申し上げたというふうにおっしゃいましたが、正確に申し上げますと、これは先ほど井出議員のお話のときに申し上げましたような考え方で、私は受け入れざるを得ないと思うと。ただし、技術的に─私たちの県土整備部も技術屋がたくさんいる。技術的にこれが不可避かどうかということについてはもう少し精査をさしてもらって、それはそんな時間かからないから、その技術的な精査で、やっぱりこの工事はしようがないんだと、滑落を防止するために、崩落を防止するためにしようがないんだということであれば受け入れますと、その場で言ったわけであります。
 したがって、ちょっと条件をつけて申し上げたというのが真実で、これは報道陣の方も見ておりましたので、中議員のような方にお入れしなかったというのは私どもの職員のミスだと思います。陳謝さしていただきます。
 それから、和歌山市の財政につきましては大変厳しいということもわかっております。県の財政も厳しいんですが、和歌山市も厳しいと思います。ただ、市長の御発言あるいは市議会議員の方々の市議会における御議論というのは、県知事の私の今の立場でこういう場でコメントするような話ではないと思いますので、これは、御質問でございますけども、大変申しわけありませんが、差し控えさしていただきたいと思っております。
 それから、直川地区の話がございました。実は、これはもう申し上げますが、その心は、先ほどおっしゃったような、いわば条件つきのような気持ちで実は熱心に運動をしております。ただ、やっぱり国の仕事、県の仕事、すべて論理というのも大事でございます。大義名分というのも大事でございます。こっちを認めるからこっちをやれとかそういうふうな形式的な論理づけというのは、私はこれは間違っていると思います。したがって、「身も心もある」というふうに申し上げましたけれども、あれについてもずっと要求をしておりまして、心、実情を申し上げますと、かなり理解が進んでおります。
 ただし、実は今、手続がまだ完全にできておりません。協議会における議論が済んでないので箇所づけについてはちょっと控えられちゃったという感じであります。その和歌山県側の受け入れ態勢がきちんとできれば、私は必ず受け入れていただけるものだと、今までの接触上、考えております。ただ、まだ正式にそれをコミットされたわけではありません。
 したがって、和歌山県の窮状、17.8億円も余計使わなきゃいけないという窮状を訴えて、それでかつ、それぞれの事業の必要性も堂々と訴えて、できることなら「和歌山県も気の毒に」という気持ちになってもらって、よりよくたくさんのものをつけていただくということを運動目標にしていきたいと思っております。ありがとうございました。
○副議長(新島 雄君) 総務部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○総務部長(小濱孝夫君) 職員が扱い管理する公金と、それ以外の各種金員についてにお答えをいたします。
 団体の事務局が県に置かれ、県の職員が当該団体の出納事務に従事している場合については、当該事務は県の行政目的の達成のために公務の一環として執行されているものでありますので、県の出納事務に準じて適正に行われているものと認識しております。
 今後とも、監察査察業務の中で適正に執行されているかどうか監視してまいります。
 次に、紀の国森づくり税についての御質問のうち、税収に占める和歌山市分の割合について御質問がございました。
 5年間の紀の国森づくり税の収入額につきましては、約13億2500万円程度になるものと見込んでおりまして、このうち和歌山市分の占める割合はおおむね37%程度ということになっております。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 紀の国森づくり税に関する基金活用事業の使途と効果についてでございます。
 紀の国森づくり税条例及び紀の国森づくり基金条例が本年4月の1日から施行され、この2つの条例に基づき実施される紀の国森づくり基金活用事業につきましては、去る5月25日に第1回紀の国森づくり基金運営委員会を開催したところでございます。この中におきまして、基金の使い道や事業の進め方、また県が取り組む施策などについて審議をいただき、それを受けまして、昨日6月18日から事業計画の公募を開始したところでございます。
 都市近郊の荒廃森林の整備や、また都市公園を初めとする公共の場への間伐材の活用によるベンチなどの設置などの事例が考えられます。そういう中で、和歌山市など都市部におきましても有効に活用していただけるものと考えてございます。
 県といたしましては、できるだけ多くの県民の皆様が地域の特色ある森林づくりに関する活動に参加していただけるよう、「県民の友」6月号を初め、テレビ・ラジオでの広報を通じてPRに努めているところでございます。
 今後、県民の皆さんの積極的な参画によりまして、森林への理解が深まり、次の世代に引き継がれるものと考えてございまして、そういったことからもこの基金は非常に意義あるものと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 大滝ダムについて2点お答えをいたします。
 まず、6回目変更の概要と7回目についてでございますけれども、今回の基本計画変更の概要については、大滝地区と迫地区の地すべり対策費用として、160億円の増額により総事業費が3640億円に変更され、工期が3年間延伸されて平成24年度までに変更をされます。
 この地すべりについては、日本でも権威のある学識経験者、専門家から構成された委員会が調査を行っており、現時点での最高水準の技術、知見をもってダム湖周辺の斜面全体を調査した結果、対策が必要な箇所は大滝地区と迫地区の2地区でありました。国としても、斜面への影響をできるだけ小さくするため、ダム湖の水位降下速度を工夫するなど、運用面においても最大限の手を尽くしているところと考えております。
 次に、不同意の場合の問題点でございます。
 治水効果を受ける本県が同意しなかった場合、大滝ダム事業は継続することができなくなります。そうなれば、大滝ダム建設の目的である紀の川流域のはんらん被害の防止や和歌山市や橋本市への安定した水道用水の供給などが図れなくなり、紀の川流域の住民の生命、財産にかかわる大きな問題が生じるものと考えております。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教育委員会の公益通報についてお答えいたします。
 教育委員会では、平成15年7月に教育委員会事務局と県立学校の教職員からの通報を対象とした制度を設け、また昨年4月からは公益通報者保護法に基づく通報に対する体制を整備したところでございます。
 今後は、こうした制度等の充実に向けまして、年内をめどに検討を進めてまいりたいと考えます。どうぞよろしくお願いします。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 26番中 拓哉君。
○中 拓哉君 知事さん、ありがとうございました。
 それで、公私混同、二手があるというのは今初めてわかりました。ですから、普通「公私混同」と言ったら、知事が言うた後段しか理解しませんよね。だから、前段の政治家と行政官ということについては、これはやっぱり公だと思うんですよ。
 現に、知事さんは職員に聞いたんでしょう。聞いて、公私混同だから気が進まないという結論に──気が進まないということだったんですから、聞いた中身をやはりここで知事さんが──公私混同だから、もうこれは気が進まないな、そう思った中身を示していただきたいなということが1点なんですね。
 ほんで、監査委員のことをおっしゃいましたけども、監査委員は、私も勉強しましたけど、残念ながら、知事から監査請求しろと、これは地方自治法に書かれてます。しなければなりません。あるいは議会から監査請求があったときもしなければなりません。そのほかは、住民から直接監査請求があった場合に、形式整ったらしなければなりません。今現在やってくれてる分もあります。60日以内に返事せなあきません。
 ですから、監察査察監から通知を受けた場合に監査をするというルールはどこにもないんです。ひたすら監査委員独自が自分でモチベーションを持って、自分が必要と認めた場合はできますよ。知事から言われんでも、だれから言われんでも、定期監査、職員やってんのに、割り込んででも監査委員独自でモチベーション持てばできますよ。だから、今言うように、知事さんが監査委員を卑下しておとしめるようなことはないとかおっしゃいましたけど、監査委員は残念ながら、待っててもその窓口がないもんですから、監察査察監──これ、右から読んでも監察査察監、上から読んでも監察査察監なんです、字で書いたらね。この監察査察監から通知があったからというだけで動くと思たら大きな間違いじゃないですか。そこを、私、申し上げているんです。
 監査委員の──地方自治法でも変えてくれたら別ですよ。地方自治法は変わってないんですから、監査委員にお願いすることによって、そらプレッシャーあります。監査委員は権限もありますから。プレッシャーになりますけど、残念ながら通知をもらったところで、じゃ、「中野さん、あなた一般市民に戻って直接請求しなさいよ」と言うんですか。あるいは「議会で監査請求を請求してくださいよ」と言うんですか。知事さん自身から言うてこなできないじゃないですか。知事さんに言うときに知事の事件持っていったら、こんなあほなこと、しり抜けになるじゃないですかと言うんです。その点を私申し上げて、この今回の監察査察監制度につきましては、まだまだ弱い点があるでということを言うてるわけです。
 先ほど、大滝ダムのことはもうわかりましたけど、誤解あるのは、担当の職員さんは「精査して検討しますと知事は言いました」という返事を僕にくれたんです。ほんで、あっ、精査して検討してくれんのやなと思てたら、もう6時半のNHKのニュースで「やむを得ん」と言うてた。どの新聞見ても結論は「やむを得ん」なんです。だから、担当の職員さんが僕をおもんぱかって、何か気にしてそういう表現しかできなかったんか知りませんけども、そんならおれを入れてくれと、また話蒸し返るわけです。
 そこのことを申し上げてるんで、直川のことなんかもこれから取り組んでくださる含みをいただきましたんで、それはそれでよしとしますけども、今申し上げた監察査察監が通知したとしても監査委員のほうは動くすべがございませんので、その点はどういうことなのかお答えいただければ。でないと、幾ら7月1日から運用する、中野さんが来てくれたとしても──まあそういう事件はないこと祈りますよ。現に仁坂さんは公私のけじめつけてらっしゃることは随所に聞きますから。それはそれでうれしい話やし、私らも見習わなあかんと思いますけども、仁坂さんでないときでも、仁坂さんといえども、申しわけないけど、権力は腐敗するで。長年やってたら、いい言葉しか入ってきません。幾ら立派な人格者でも堕落します。ですから、その道を断つためにも、この際完璧な制度をおつくりいただいたらいかがでしょうかということを再質問とさせていただきます。(拍手)
○副議長(新島 雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 第1番目の点につきましてでございますけれども、私が就任以来、あれは何だったのかねと。もちろん、公共調達制度についてもざっといきなり勉強しましたけれども、これについて前から申し上げておるように、今すぐに同じようなことが起こるような感じではないということをまずすぐわかりましたので、じっくり腰を据えようと。
 それから、本件の問題は、新聞を読んだときも大体想像がついていましたけれども、要するに知事の政治家としての活動及び本当の私的な活動も、その秘書課の人たちがいわば面倒を見ていた、お金を管理していたりしていたんですと、これはそのとおりであります。
 ただ、それを知事の命令といいますか──細かい命令があったかどうかわかりませんよ──そういうことを言われたときに、私どもとしてはやっぱりそれに従わざるを得ないというのが実情なんですと。これは、私も役人をずっとやっておりますから、まずはとにかくわかると。だけど、もっといろんなことがあるかもしれない。だけど、今そこにある危機があるかというと、私がいる限りはとりあえずないから、別のことをまずやってみようということを申し上げたところなんです。
 したがって、ずうっと私が申し上げて、ここでも、この議会でも申し上げておりましたように、この問題は調査をしてはいけないということではないんです。やってはいけないとか、やるべきではないとか、そんなことではありません。しかし、優先順位とか、それから緊急の必要性とか、そういうことを考えると、私の要求水準から言えば、本当に調査をすると言えば、さっき言いましたように大がかりな、専門家をいっぱい集めてきてだあっとやるということでありますので、そういうことは気が進まないんですよということを申し上げたんで、非常に正直な気持ちを申し上げました。
 それから、第2に監察査察制度についての監査委員会の問題です。
 中議員がおっしゃるように、義務的な監査活動というのを監査委員会は、この場合、求められてはいないと思います。しかし、監査委員会というのは、県議会の中から選ばれた大変立派な人で構成されていて、それから、選び抜かれた和歌山を代表するような民間の方が入っておられるわけです。その方が、よもやこういう問題を監察査察監が言ってきたときに、自分で自発的にこの問題を取り上げて問題にしてみようではないかと言わないとは、私は決して思いません。
 そういう意味で、「卑下してもどうでしょうか」というふうに申し上げた話で、義務的になってないことはそのとおりかもしれません。しかし、我々は、特に我々を含めて、県職員も含めて、それからましてや監査委員になったような立派な方は、何か事件が起こっているらしいということがわかったら、それは自発的に必ず監査されるんではないかというふうに思う次第でありますので、この制度は私はまあまあいい制度ではないかと、いろんな欠点を全部カバーした、いい制度じゃないかというふうに思っている次第であります。
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○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  (「なし」と呼ぶ者あり)
○副議長(新島 雄君) 再々質問を許します。
 26番中 拓哉君。
○中 拓哉君 ありがとうございます。
 いみじくも、その監査委員のところに受け入れの制度がないことはお認めになりました。それは、監査委員さんそれぞれの見識を期待するのは知事さんの御自由ですし、あるいは県当局も期待されるのは自由やと思う。私らも期待します。しかし、仕組みとして認められていない以上、やはりこの監察査察監が監査委員に通報する、そのことによって知事のいろんな不祥事、不正行為等も防げるともしおっしゃるとしたら、私は、そこには欠陥があるじゃないですか、もう一度改めてお考えになったらどうですか、別の方法もあるんではないですか、そのことを再三再四申し上げているんで、「不正行為等のその要綱を見せてくれ」と言っても、「7月1日からや」と言って、今見せてくれないんですよ、お持ちやってもね。私には見せてくれないんですよ。そういう不自由さがあるんですよ。
 それを見た上で、知事さんやほかの方は知ってるから、中の質問は杞憂に帰すというなら、それはそれでいいですよ。しかし、私、あのチャートを見た上においては、監査委員に申しわけないけど、監査委員もお忙しいですよ。また、もっと言わしてもうたら、監査委員独自でプロパー雇て調査員雇てるでしょうか。やはりあなたの配下の職員さんが交流の中で行ってるじゃないですか。
 建前は、議会でもそうですけど、独立してますよ。しかし、実際実務する方はそういう形の中でしかできないんですよ。そういう制度の制約があって、確かに4人の監査委員の方は、議会からも選出もされ、立派な方ばっかりやと思います。しかし、その方が日常の業務の中で、監察査察監が言うてきたから最優先にせんなんなと思てくれるのはいいですけど、それを担保するものがないのでここで改めて言うてるんで、担保することがないんならないでもう一度お認めいただいて、再考するなら再考するで御答弁いただきたいと思います。
○副議長(新島 雄君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は、何度も申し上げますが、この問題は、どこかで物事を明らかにするという問題があれば知事の犯罪というのは防げるというふうに思っているんです。なぜならば、知事というのは選挙で選ばれて、一番、名分といいますか、そういうのを気にするタイプの人であります。したがって、言いつけられちゃうかもしれないと思えば、よもやとめません。それで、自分が悪かったら悪かったと言って内部的にきちんと責任をとって、それを発表するということを私だったらやりますし、まともな人だったらやると思うんです。ただ、その言いつけシステムがないと、やっぱりとめられると思ったらとめるかもしれません、恥ずかしいから。
 したがって、言いつけシステムをつくったらいいという、そのまあいわばバイパスみたいなものなんであります。したがって、私は、このバイパスは、このバイパスたる機能を考えるとまあまあ機能するんじゃないかと思います。
 ただ、例えば監査委員会の中で、もうやめたとかですね──私は、知事の問題ですから、一番県政にとって大事な話がふっと来たら、それを机の中にしまい込むような監査委員がいるとは思えないんです。思えないが、もし例えば中先生がこれについてやっぱりもっとやったほうが、もっと決めといたほうがいいと言うんならば、監査委員会の中で、例えば監察査察監からの通報があったら必ずそれを問題にしようとか決めといていただいたらいいかなというような、いろいろなアイデアはあると思います。そういうアイデアまですべて私は否定しているわけではありませんので、まずまずいい制度をつくったんだけどなあというぐらいの気持ちであります。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「答弁漏れなし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 以上で、中拓哉君の質問が終了いたしました。

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