平成19年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時三分再開
○議長(向井嘉久藏君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十四番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 私も、議員五期二十年の締めくくりの質問となります。きょうは多くの、私をこれまで支えていただいた方々もたくさんおいでてくださってます。元気いっぱい頑張っていきたいと思います。
 まず最初に、看護師確保対策問題についてお尋ねをいたします。
 看護師不足の問題は、これまで私も随分と質問をさせていただきました。医師不足問題とともに、今や国全体、そしてこの和歌山県と言われる地方でも大きな社会的問題となっています。
 日本看護協会の調査では、新卒看護師の十人に一人が一年以内で退職するという驚くべき結果が出ています。夢と希望を持って看護学校を飛び立ったはずが、余りの過酷な看護職場のひどさに耐えられなかったのでしょうか。
 看護師争奪戦と報道されるように、募集しても、多くの病院が募集数を確保できない事態にあります。その上、定員の確保をできない病院が今この和歌山でも続出している実態にあります。これから先、ますます看護師不足は深刻な事態になり、県民の命、地方の地域医療の存在にも大きくかかわってくるというふうに心配をするところです。
 今日、准看護師から看護師への移行教育について、私は中心的にお尋ねをしたいと思います。
 二年課程通信制は、全国で今十六道府県十九校となり、一学年定員合計四千五百人であります。就労准看護師数との比較で見ましても、わずかに一・二%にすぎません。
 平成十七年四月、和歌山看護専門学校に併設された二年課程の通信制は、一学年二百五十名の定員で、入学資格は十年以上の経験を持つ准看護師が、しかも働きながら看護師資格を得るための教育課程であります。早くもことし三月、第一期生が卒業することになっています。去る二月二十五日は国家試験も行われました。その合格の通知を待っておられることでしょう。
 働きながらといっても、三交代勤務をしながら、眠るのも惜しんで、疲れた体をむち打ちながらの通信制教育という厳しい条件を乗り越えての卒業と国家試験であります。本当に御苦労さまでしたと心からその努力を祝いたい気持ちです。全員の合格を期待したいと思います。多くの学生が喜びをさらに広げ、この通信制を充実させたい思いです。
 ところが、年々、入学生が減少していると聞きます。私は、先日、学校にお邪魔しまして話を聞いてまいりました。十七年度の入学生は定員をオーバーする二百六十三名、十八年度二百三名、十九年度には百六十四名までに減少してきました。この状況では、来年度以降は学校運営にも影響が出てくるのではと心配をするところです。入学生を確保する対策が、行政も含めて急がれなければなりません。
 何人かの在学生からお話も聞きました。その学生たちは、「働きながらの勉強は思っていたより大変だ」、「放送大学の集中講義に参加するのも年休だけではとても足りない。その上の臨地実習と合わせて三十六日間も休まなければならないし、代休まで使うと家の用事、その他の用事などにも全く休みがとれなくなる」、「一人で勉強するのはかなりしんどい。集団学習できるように何とかならないのだろうか」、「レポートを書くのも大変だし、レポート提出が多くてなかなか期限までに提出できないことも多い」、「休みがとりにくいのはもちろんのこと、わからないことを直接先生に相談したいけれども、それも夜勤入りの日か夜勤明けの日でないと学校にも行けない。とても疲れていて行けないというような状況なんです」などなど、多くの悩みがいっぱい出されました。
 これまで、臨地実習や面接授業などには病院として特別有給休暇の制度を実施するようにもなってきておりますが、まだまだ多くの中小病院の皆さんたちは御苦労が多いというふうに思います。こうした学生が学生らしいそういう状況をつくるためにも、問題を改善することも急がれなければならない大切な問題だと思います。
 「看護という人の命にかかわる専門職の教育のあり方として、通信制でいいのだろうか。通信制では、ただ文章上だけの教育であることから、学生がどれほど理解をしているのか十分つかめていない。適切な指導ができていないのではないか」という先生たちの声もあります。
 そこで、お尋ねをいたします。
 県は、学校と協力して、学生たちのこうした困っている問題などを把握するために支援策を考えていただきたい。
 本県は、少し古い資料でありますけれども、平成十六年十二月一日現在、准看護師が四千七百七人、各病院、診療所、老健施設等で働いています。中でも、平成十八年十月時点では、県下の病院と言われる九十二の病院で、准看護師総数千九百九十五人のうち、経験十年以上の准看護師さんは千五百八十七人いらっしゃいますから、全体のことを考えれば、もっともっと十年以上の方はいらっしゃるというふうに推察できます。
 二つ目は、全員が受験するとは限りませんが、まだまだ進学課程──准看護婦から看護婦に進学するこのコースの学校が、今、和歌山県には一校しかありません。とりわけ日高・御坊地域にはありません。そのためにも、できるだけ近い学校で勉強できるように県の方でも検討できないのでしょうか。いかがなものでしょうか。
 三つ目、奨学資金のある病院も少々ありますけれども、多くは、みずからが頑張って、その賃金で頑張っています。医師会や病院協会への協力要請をぜひしていただきたい。そして、ぜひ県看護職員修学資金の拡充を行い、通信制への対応を求めたいと思います。
 四つ目、県は、第六次看護職員需給見通しの見直しについて、昨年発表いたしました。ところが、この発表した直後に、新看護配置基準が診療報酬上の最高基準が十対一から七対一に改正され、喜ばしいことでありますけれども、しかし、これによって今、多くの病院で看護の引き抜き合戦が始まっております。そういう点からも、実態調査を改めて行い、需給見通しの見直しを改めてやるべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
 以上四点について、福祉保健部長の答弁を求めたいと思います。
 二つ目の質問です。少子化と子育て支援施策についてでございます。
 十九年度の予算では、仁坂知事が随分と多くの支援策を発表いたしました。予算化もされました。
 今、どんな職場でも、男女ともに長時間労働と超過密労働の実態が、国際用語となった「過労死」に象徴されています。若者は正規職員になりたいと思っても、契約社員やアルバイトといった不安定な労働が広がっています。一カ月の収入も十万円あればよい方で、家賃も払えず、ネットカフェの狭い部屋のいすに仮眠してその日を暮らしているという実態もあります。そんな姿がテレビや新聞で報道されているところです。まともな生活とは言えないと訴える声も、今、たくさん私たちのところにも届けられています。
 また、子供を持ちたいと思えるようになるためアンケートがとられたところでありますが、特に充実が望まれているものは何かと総務省の実施したアンケートの結果によりますと、教育に伴う経済的負担の軽減が何と五八・六%にも上ります。そして、両立のための雇用環境、教育費以外の経済的負担の軽減、保育サービスなど子育て支援が上位を示しています。
 二〇〇五年の「国民生活白書」では、家計調査をもとに一人の子供を育てる費用を集計しました。それによりますと、ゼロ歳から二十一歳を育てるのに合計一千三百万円かかると算出をしています。しかし、ここには親からの学費や仕送り分が入っておりません。
 結婚、出産を機に職場をやめる女性は、四人に三人に上っています。随分とこの間、国も子育てにかかわる施策を打ち出してはみるものの、なぜか効果が見えません。
 知事は、先日、子育て環境ナンバーワンを目指すことを明言されたところです。知事は、本県の少子化と安心して子供を産み育てる環境の現状をどのように認識しておられるのでしょうか。率直な所見をお聞かせ願いたいと思います。
 今度の知事が予算化されました特定不妊治療、一般不妊治療費助成についてお伺いをいたします。
 十九年度予算案は、重点施策として子育て支援事業に新事業を起こしてくれました。そのことは評価するものですが、もう一歩深く検討してもらいたいと考え、あえて質問をするものです。
 まず特定不妊治療ですが、私は、体外受精治療を受けながら、一人でもいい、子供を産みたいという思いと、治療費が保険適用外のためびっくりするほどの費用が必要だ、こんな話を聞いて「ぜひ私の話を聞いてほしい」と訴えられる方から、その御夫婦にお会いに行ってまいりました。
 その方は結婚して十年。最初は一般不妊治療を七年間続けてまいりました。しかし、ずうっと妊娠しない状態が続いたため、子供を産みたい思いを達成するために思い切って体外受精を決意し、医大を受診しました。体外受精への準備が始まりました。九カ月間、さまざまな治療、検査を繰り返しながら、体調も見ながら、その時期を待たなければなりません。これまで二年間で二回ほど試みましたけれども、妊娠までにたどり着けませんでした。
 一回の治療費は、体外受精を含んで、交通費も入れて、七十万は優に超えました。補助金は、体外受精そのものだけで十万円を今度はことしから二回へと拡大されたとはいえ、高負担には変わりありません。体外受精までたどり着くのには、大きな精神力が求められます。専門医の方も、「所得制限は必要ない」と強調されています。
 しかし、何としても産みたい、この願いをかなえるため、私は、今、国が設けている所得制限七百三十万円の撤廃を求めたいというふうに思います。福祉保健部長、国にこのことをぜひ求めていただきたいと願うものです。
 そして、一般不妊治療補助についても所得制限があります。県単独事業でありますけれども、六百五十万円の所得制限を撤廃していただきたい。多くの方々が、赤ちゃんを産みたい、その願いにこたえるためにも、ぜひともこの所得制限を撤廃していただくことを求めたいと思います。福祉保健部長から御答弁をお願いします。
 さらに、紀州三人っこ妊婦健診についても、この十九年度の新事業に予算化されました。反対するわけではありませんが、新設される子育て支援事業で、三人目を出産する際の妊婦一般健診を無料化するというものであります。
 妊娠から無事元気な赤ちゃんが生まれるまでの約十カ月間、定期的に健診を受けなければなりません。この補助事業は、これらについて、大体標準的な健診は十四回あるだろうということで、その十四回分を全額保障するというわけであります。その額が一人約八万一千円になります。なぜ、三人目からなのでしょうか。一人でも二人でも、同じように健診はごくごく当たり前であります。命のとうとさは変わりません。
 現在、妊婦健診については、御存じのように、各市町村で前期・後期各一回ずつが補助事業に定められているところです。経済的負担の重さ、そして第一子の妊娠時の肉体的、精神的不安はより大きいものがあります。この事業に、ぜひとも新しい命に援助を拡大していただきたいと願うものですが、いかがでしょうか。福祉保健部長、お答えください。
 次に、放課後児童クラブ、いわゆる学童保育についてお尋ねをいたします。
 働く親たちの切実な願いから生まれた学童保育は、長い間の運動と実践の積み上げの中で、大きくこれまで発展してまいりました。今日では、共働き家庭の一般化やひとり親家庭の増加、特に子供が被害に遭う痛ましい事件・事故が相次いでいます。地域でも子供たちの生活をめぐる環境が随分悪くなっているとき、仕事と子育ての両立支援、安全・安心な毎日の生活を保障する学童保育は、ますますなくてはならない重要な施設だと考えるものです。
 国は、一九九七年、共働き、ひとり親家庭の子育てにはなくてはならない施設として、児童福祉法に基づく放課後児童健全育成事業の名のもとで法定化されたところです。そして、必要な地域すべてに整備をするというふうに積極的な方針化をいたしました。
 全国学童保育連絡協議会の調査では、二〇〇五年五月一日現在、全国に一万五千三百九カ所設置をされています。この一年間で六百三十一カ所ふえたものの、小学校区に一カ所という状況から見ると、六五・四%という到達です。都市部には入所希望児童が多く、入れずに待機している地域もふえてきています。不安で寂しい放課後や学校休業日を過ごしているんではないのでしょうか。
 さて、本県の学童保育の設置状況はどのように進んでいるのでしょうか。市町村への積極的な要請を行っているというふうに聞いていますが、十八年度学童保育実施箇所数一覧表があります。ことし二月一日現在では、和歌山市を除く二十九市町村のうち十八市町村で六十五カ所、国、県基準に満たないための補助金の給付を受けられない学童保育所が四カ所もあります。救済措置を検討すべきではないでしょうか。そして、十一市町村が未実施となっていますが、必要性がないという判断に立っているのでしょうか。
 設置主体はこの学童保育は市町村でありますから、学童保育について市町村がどのように考え、どのような方針を持っているのかによって地域に子供への大きな格差が生まれることを私は心配をするところです。ぜひ少子化対策、仕事と子育ての両立支援を促進するため積極的に取り組んでほしいものであります。
 大阪や他府県から引っ越してこられた若いお母さんからいつも言われます。「和歌山は学童保育、おくれてるね」と、よく言われるんです。本県のこれまでの取り組みと今後の取り組みをお聞かせ願いたいと思います。また、近畿各府県と比較した場合、どんな位置にあるのか、あわせてお聞かせ願います。
 働き続けながら子育てしたいと願っている親は随分とふえてきました。そして、安心して放課後を暮らせる学童保育は、子供も、親にとってもオアシスの役割を果たしていると私は考えています。そのためにも、学童保育のなお一層の増設を進め、健やかな子供たちの成長に資するため、質的向上に努力をしていただきたい。福祉保健部長、決意のほどをお聞かせください。
 この問題の最後に、学童保育が法定化されたものでありますけれども、しかし、設置・運営基準がありません。今後、学童保育の充実、発展を進める上で必要だと考えます。
 今、多くの都道府県で進められているところですけれども、現在は補助金単価となる入所児童数と開設日数だけが決められていますから、これでは学童保育の内容を十分に生かすことはできません。既に埼玉、群馬、石川などでは、その設置基準が定められて施行しているところです。
 その設置基準には、対象児童や適正規模あるいは保育時間、施設設備の内容、広さの基準、指導員の資格や配置、保護者や保護者会の協力連携など、最低限の基準を設けるべきだと考えますが、いかがでしょうか。福祉保健部長、お答えください。
 次に、放課後子ども教室についてお尋ねをいたします。
 文部科学省は、平成十六年度から平成十八年度までの三年間計画で、だれでも参加ができ、参加費は無料で、地域のボランティアなどの協力のもと、空き教室等で、また地域の広場でスポーツ、文化、遊びなどの体験と交流を通して子供たちが健やかに育つことを地域で支援する地域子ども教室が実施をされてきたところです。これも、この三月で終了いたします。この事業は、国が全額を実施主体の民間団体に委託する事業で、現在、全国で一万カ所で行われています。参加した子供たちは、とても楽しいと言いながら喜んで参加をしていると聞くところです。
 十九年度では、放課後子どもプランが創設をされました。新たに放課後子ども教室推進事業として進められるわけです。「地域」という言葉と「放課後」という言葉が入れかわっただけであります。
 放課後子どもプランは、原則として、すべての小学校区二万カ所で放課後の子供の活動場所を確保することを目的に実施をされます。具体的には、文部科学省が進める放課後子ども教室と厚生労働省が進めてきた放課後児童健全育成事業いわゆる学童保育が一体的あるいは連携して進めるとしています。
 放課後子ども教室は、国が三分の一を補助し、地方自治体が実施する事業に転換をしていきます。全国一万カ所で実施をします。経費の三分の二は県と市町村が負担をし、実施主体は市町村であります。中核市の和歌山市は三分の二の負担になることになります。その実施日数は、平日年間二百日、午後二時から午後六時まで四時間、土曜日年間四十日、午後一時から六時までの五時間。人的体制に、安全管理人二人と学習アドバイザーを平日午後三時から六時まで、土曜日は一時から六時まで二人配置する計画であります。
 学童保育は、生活の場を保障する児童福祉法に基づく施設で、決められた保育料を支払っています。片や無料であります。国は一体化あるいは連携して進めると言っていますけれども、専門性を必要とする学童保育の指導員との関係、学童保育の生活空間が脅かされるのではと、大変気になるところです。
 双方の児童たちが一定の時間、ともに遊びや交流するのは結構だというふうに思いますし、効果的な部分もあるというふうに考えます。しかし、厚生労働省と文科省の目的は同じといえども担当部が違うわけでありますから、事業に混乱を招くのではないかとも心配するところです。
 川崎市や東京品川区など、全児童対策事業として──この事業は全児童を対象とした放課後の遊び場を提供するものであります。もちろん学校の余裕教室などを活用するもので、行政側は学童保育のかわりになり得るとして学童保育を廃止してしまった。この事実があるだけに心配であります。
 実施日数などは、学童保育の二百日から二百五十日以上と、ほぼ同じとなっています。開設時間も午後一時から六時ですから、学童保育にかわり得る可能性の危険性を私は随分はらんでいるというふうに感じます。私のこの心配は間違っているでしょうか。教育長の見解をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、男女共同参画基本法が制定をされまして七年がたちました。基本計画には、男女の職業生活と家庭生活の両方を支援する環境整備などが盛り込まれています。
 本県では、男女共同参画推進事業者登録が進められているところです。現在のところ、十五社の皆さんが登録をされています。その実効性に期待をしたいというふうに私は思います。
 特に、制度化された育児・介護・看護休業法が制度化されたものの、職場では「なかなか言い出せない」、「そんなこと言ったら、やめなさいと言われる」、こういう実態もあるわけです。
 商工労働部の担当課が、平成十七年度、育児・介護休業、子の看護休暇の取得状況についてアンケートを実施したそうです。事業所は千八百十三カ所にアンケートを配布し、回収は五九%の千七十二の事業所でありました。結果的には、育児休業は、会社で就業規則などに規定はしていると答えた事業所は六一・三%、取得率は男性〇・二六%、女性は八八・九六%。介護休暇については、五二・一%の事業所が規定はあります。取得者は男性十一人、女性十九人。子供の看護休暇については、規定はありますけれども、これを何人とったかについては調査をしていないということであります。育休の取得率は、十四年度に比べてわずかに高くはなっているというふうに感じるものです。
 さて、国は初めて、育児休業取得者また短時間勤務適用者が出た場合支給される企業への助成金制度を創設したところです。受給者は事業主で雇用保険に入っていること、そして百人以下を常用雇用していること、支給対象期間も平成十八年度から二十二年度までの四年間に限られています。育休または短時間勤務を開始した労働者が種々の条件を満たした場合でありますから、一人目が百万円、二人目に六十万円が支給されるというものであります。
 果たして、その実効性は随分と疑問視せざるを得ません。育休及び短時間勤務についても、わずかに二人だけが対象になるわけですから。しかし、これは拡大を目的、啓発を目的にしているわけですから、積極的に活用しなければなりません。県として啓発普及に努めるべきではないかというふうに思います。
 県が男女共同参画社会を実現することを重要な課題として取り組んでいるときです。また、知事は子育て環境ナンバーワンを目指すことを強調されたわけですから、先ほど申し上げました登録された企業の取り組みを一歩前進させるためにも、県として育児休業や介護、配偶者出産休暇や育児・介護休業者職場復帰等に対する助成制度や奨励金制度を検討してみてはいかがでしょうか。商工労働部長のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、多重債務者の救済問題です。
 雇用の悪化や住民負担の増加などによって、サラ金ややみ金からお金を借りる人は依然として多数に上っています。私は、二〇〇三年九月議会におきましてやみ金の実態を述べ、県としてやみ金対策会議を設置することを求めてきました。大阪の八尾市でやみ金に追い詰められた老夫婦が自殺するという痛ましい事件を契機に、二〇〇三年にヤミ金対策法がつくられ、警察が積極的に摘発に取り組まれたようです。しかし、今もやみ金がはびこっている実態です。被害者の会にお聞きしましたところ、やみ金から金を借りる人は、やみ金だと知って借りる人はいなく、口座に一万円なり二万円が振り込まれて一週間で二倍程度の利息を取られて、やみ金だとわかるのです。やみ金は、金を集める場所を、きょうはJRの駅前、次の週はスーパーの駐車場、公園と次々に移動をさせ、返済が滞ると近所の配偶者の職場に電話したり、近所の人に電話をかけて借りた人を呼びに行かせるといっためちゃくちゃな違法行為を行っています。
 県はやみ金対策協議会を設置されていますが、犯罪行為でありますやみ金の実態をどう把握し、その根絶に向けてどう取り組まれているのか、報告を願います。
 また、警察には、やみ金のことで被害者から相談があった場合、借りたものは返すべきだとか民事不介入などという対応はしないで、法を超えた金利を取っている犯罪行為との認識に立って対応していただきたいと思いますが、いかがですか。商工労働部長、県警本部長、お答えください。
 また、その対策協議会には、サラ金ややみ金の被害者の実情を最も知っている被害者の会からの代表がメンバーに入っていないと聞きました。被害の実態を知り、被害者の要望を知るためには、被害者の声を代弁する会からもぜひメンバーに入れていただきたいと思いますが、商工労働部長、いかがでしょう。
 次に、多重債務者の問題について。
 政府は、金融庁を事務担当に有識者会議を設置いたしました。有識者会議のメンバーは、サラ金問題で活躍されている宇都宮健児弁護士や本多良男全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会事務局長、大学教授など、十四名で構成されています。
 この会議で出された意見には、「多重債務問題というのは表面にあらわれた問題で、その背景には格差問題、貧困問題があり、抜本的な社会保障体制の強化が必要」、「児童虐待、DV、離婚などは借金の関係が非常に多く、多重債務問題は各省庁の施策との関連性が非常に高いので、各省庁はスクラムを組んで取り組んでほしい」、「二百数十万人多重債務者の中で、相談窓口にアクセスできている人は二割以下であり、残りをどう適切な相談窓口に誘導するかが大きな課題。テレビは比較的見ている人が多いが、業者の広告ばかりで、相談窓口の情報は流されていない」、「多重債務者にとっては都道府県や市町村などの地方自治体が一番身近な行政であり、そこで多重債務対策を行うことが非常に重要」などの意見が出されているところです。
 この本部では、カウンセリング体制の充実、セーフティーネットの充実、金融・経済教育の強化、やみ金の徹底した取り締まりを含む執行体制の強化などを検討し、この春をめどに多重債務問題改善プログラムを策定することになっています。多重債務者がたくさんつくり出されているのは、個人の金銭感覚というようなことではなく、格差と貧困の広がりの中で、もうけ本位のサラ金会社に標的にされている人たちが生まれているのです。ですから、政府も対応が迫られているのだと考えます。
 商工労働部長、お尋ねします。県として、政府の対応に見合ってどのような多重債務者対策を強化されようとしているのか、お答えください。
 県の多重債務者からの相談体制についてお聞きをします。消費生活センターや県民相談室で相談に乗っているとのことですが、場所としては和歌山市と田辺市だけです。もっと振興局でも相談できるように体制をとるなどの体制強化を求めたいと思いますが、環境生活部長、お答えください。
 また、先ほどの有識者会議の討論にありましたが、市町村の役場でも相談できる体制のあることが重要です。多重債務者は住民税や国保税料などを滞納していることが多く、多重債務者の解決は市町村にとっても大事な問題です。既に岐阜県や長野県などで市町村担当者会議が開かれていると聞きます。県としても、市町村が多重債務問題に対応できるようにするためにもそうした研修も行う必要があると思いますが、商工労働部長、いかがお考えですか。お答えください。
 どうもありがとうございました。本当に多くの皆さんに、そして先輩諸氏、県当局の皆さん方にもいろいろと教えていただきました。本当にありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県の少子化と安心して子供を産み育てる環境の現状認識についてお答え申し上げます。
 平成十七年の本県合計特殊出生率は一・三二と全国平均の一・二六をやや上回っておりますが、年々低下を続けており、県内出生数も五年連続して減少している状況であります。
 少子化の要因といたしましては、結婚観や価値観の変化、核家族化に伴う育児不安や育児の孤立、また子育ての経済的負担感や働きながら子供を預ける場所がなく仕事をやめざるを得ない状況といった仕事と子育ての両立の困難性など、さまざまなものが考えられます。多様化する子育て家庭のニーズに応じた施策を展開することによりまして、県内どこに住んでも安心して子育てができるような環境を築き、子育て環境ナンバーワンの県を目指してまいりたいと考えております。
○議長(向井嘉久藏君) 福祉保健部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○福祉保健部長(小濱孝夫君) 看護師確保対策についての御質問にお答えいたします。
 まず、看護師養成の准看から看護師への移行教育についての御質問のうち、看護師養成二年課程通信制についてでありますけれども、この課程は就業経験十年以上の准看護師が働きながら看護師資格を取得するもので、平成十七年四月に一学年定員二百五十人で開設し、ことし三月に一期生が卒業する予定です。議員御指摘のとおり、入学を希望する学生は年々減少傾向にあり、その理由としては、職場、家庭、勉学の両立が困難であることや勤務先等の協力が得られにくいことなどが考えられます。
 県といたしましては、発足当初から専任教員の派遣や学生確保のため病院等への協力要請などの支援を行っているところですが、今後、希望する方が勉学しやすい環境づくり等について、病院等に対して一層の働きかけを行ってまいります。
 次に、御坊・日高地域への二年課程の新設についてですが、本県には、二年課程は和歌山県立高等看護学院に設置されております。議員御提言の日高地域への設置につきましては、今年度末に准看護師養成所一校が廃止されるなど、県内の入学生の減少や専任教員の確保、実習施設の確保等の課題もあることから、今後、県全体の状況を見据えながら検討してまいります。
 次に、看護職員修学資金につきましては、卒業後県内で就業することを条件として、希望する学生に貸与しているものです。二年課程通信制の学生に対しても当該修学資金の貸与を行っておりますけれども、来年度から貸与者数を拡充する予算措置を講じることとしております。
 最後に、新看護基準に伴う第六次看護職員需給見通しについてですが、議員御指摘のとおり、第六次看護職員需給見通しでは七対一の看護基準による需要を見込んでおりません。今後、療養病床等の再編や国における七対一看護基準対象施設の見直し等の状況を見きわめながら必要に応じ実態調査等を行うなど、適切に対処してまいります。
 次に、特定及び一般不妊治療費助成についてですが、既婚者の十組に一組が不妊に悩んでいると言われております。治療を受けている患者数も年々増加傾向にあります。不妊に悩む夫婦に対する支援は少子化対策としても重要であり、県では、平成十六年度から医療保険の適用がない高度な不妊治療を選択せざるを得ない場合の経済的負担の軽減を図るために、その治療に要する費用の一部を助成しているところです。
 さらに、平成十九年度予算において、早い時期から不妊治療を始められる環境を整えるため、全国でも先駆け的な取り組みとして、県単独で不妊基本検査費用の原則無料化や一般不妊治療費の一部助成を行うこととしており、これにより、不妊治療の初期段階から高度治療まで切れ目なく総合的に支援できる体制が整うと考えております。
 議員御提案の不妊治療の助成対象者の拡大についてですが、本制度は新年度より開始予定でありまして、本県の財政状況も厳しいことから、今後、県民の利用状況や他府県の状況等も踏まえ、慎重に検討してまいります。
 次に、紀州三人っこ妊婦健診助成についてですが、議員御承知のとおり、安全な分娩と健康な子の出生のためには妊婦健康診査は重要であり、出産に至るまで十四回程度の健診の受診が望ましいとされております。
 現在、各市町村においてすべての妊婦に対し妊娠の前期・後期に各一回公費により健診を実施しておりますが、国においても、妊婦健康診査を含めた少子化対策として平成十九年度地方財政措置の拡充がなされたところであります。県といたしましては、母体や胎児の健康確保を図るとともに妊娠・出産にかかる経済的負担を軽減するため、平成十九年度予算案において、第三子以上を産み育てる夫婦に対し妊婦健診にかかる費用を原則無料化することとしております。今後は、多くの方に御利用いただけるよう本制度の周知に努めてまいります。
 議員御提案のすべての妊婦に対する健診費用の負担軽減につきましては、他府県の状況等も勘案し、慎重に検討してまいります。
 次に、放課後児童クラブについてお答えいたします。
 放課後児童クラブは、児童福祉法に基づき、保護者が就労等により昼間家庭にいない児童に対して放課後に遊びや生活の場を提供し、健全な育成を図るものであり、子育てと仕事の両立支援の観点から非常に重要なものと考えております。
 現在、県内十九市町に百十九クラブが設置されておりますが、近畿では最もクラブ数が少ない状況です。紀州っ子元気プランの目標である平成二十一年度までに百四十カ所を設置するため、未設置町村も含めて、実施主体である市町村と連携をとりながら事業推進を図ってまいります。
 平成十九年度から創設される放課後子どもプランは、放課後児童クラブと教育委員会が所管する放課後子ども教室推進事業が連携・協力のもとで実施されるものです。県といたしましては、地域の実情を十分に踏まえながら、両事業の特色を生かし、子供が安全で健やかに過ごせる居場所づくりに積極的に取り組んでまいります。また、議員御提案の設置・運営基準の策定につきましても、今後、他府県の取り組み等も踏まえまして検討してまいります。
○議長(向井嘉久藏君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 従業員の仕事と子育てと両立支援に取り組む中小企業事業主に助成金、奨励金制度の新設をという御質問でございます。
 少子化が急速に進行している中、仕事と家庭の両立の負担を軽減し、男女とも子供を育てながら働き続けることのできる職場の環境づくりと意識の向上が必要不可欠であり、企業の積極的な取り組みなくして進められるものではありません。県では、従来から仕事と家庭の両立に関するセミナーの開催や、県が委嘱した社会保険労務士が事業所を巡回訪問する中小企業労働施策アドバイザーの活用により、企業への啓発に取り組んでいるところです。
 議員御提案の奨励金制度につきましては、今年度から厚生労働省の制度として、中小企業での育児休業等の取得促進を図るため、中小企業子育て支援助成金制度が始まったところです。県といたしましては、和歌山労働局など関係機関と連携をしながら、あらゆる機会をとらまえてこの助成金制度の周知・普及を図るとともに、その利用状況を見守ってまいりたいと考えております。
 次に、ヤミ金融対策協議会の活動についてでございます。
 ヤミ金融対策協議会につきましては、国及び県の行政機関と和歌山弁護士会及び和歌山県司法書士会が連携をして県民の被害未然防止等に努めてございます。
 やみ金融への取り組みにつきましては、県警等と十分連携するとともに、県の登録業者につきましては貸金業規制法に基づき業務停止や登録取り消しの行政処分を行っており、平成十八年度につきましては業務停止十件、登録取り消しを三件行ってございます。また、ヤミ金融対策協議会は関係機関がやみ金融の情報等を持ち寄り協議する場でございますので、現在の構成メンバーで運営をしてまいりたいと考えてございます。
 次に、多重債務者問題についてでございます。
 多重債務者問題につきましては、国は、貸金業規制法の改正に伴い、関係省庁による多重債務者対策本部を設置し、現在、多重債務者問題改善プログラム──仮称でございますが──の検討中と聞いてございます。今後、国の動向を見ながら、県としましても、市町村との連携等、さまざまな観点から検討してまいりたいと考えてございます。
○議長(向井嘉久藏君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 多重債務者問題のうち、相談体制の充実についてお答えを申し上げます。
 現在、県におきましては、多重債務者問題も含め、県民の皆様方からのさまざまな相談に対応するため、県民相談室での常設相談に加え、弁護士相談や振興局等での移動弁護士相談を開設するとともに、県消費生活センターにおきましても平成十九年度から相談員を一名増員し、消費生活に関するあらゆる相談に対応することとしております。また、平成十六年にはヤミ金融相談対応マニュアルを作定し、各振興局における対応にも努めているところでありますが、さらなる浸透を図りますとともに、市町村での相談体制の充実についても働きかけてまいりたいと考えております。
 多重債務者問題による相談につきましては、内容により専門的な知識が必要であり、その場での解決が困難な事例も多く、法テラスあるいは弁護士会、司法書士会、警察本部などの関係機関と連携しながら取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(向井嘉久藏君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 放課後子ども教室推進事業についてお答えします。
 この事業は、これまで実施してきた地域子ども教室を充実・発展させ、十九年度から新たにスタートするものでございます。放課後や週末等に安全・安心な居場所を確保し、子供たちのさまざまな体験活動や交流活動を通して、大人自身にも新たな学びやつながりを生み出し、地域の教育力を向上させることを目指しております。
 来年度からは、県及び市町村において福祉部局とともに推進委員会等を組織し、放課後児童クラブとの連携協力のもと、保護者のニーズや地域の実情などを踏まえながら、子供たちが心豊かにたくましく育つ環境づくりを一層進めてまいります。
○議長(向井嘉久藏君) 警察本部長辻 義之君。
  〔辻 義之君、登壇〕
○警察本部長(辻 義之君) やみ金融対策についてお答えいたします。
 警察に寄せられる相談につきましては、やみ金融に係るものを含め、県民が切実な気持ちで早急な解決を求めているケースが多いことから、警察といたしましては、常に県民の立場に立った積極的かつ誠実な対応をするよう職員に指導教養を徹底しているところであり、その中で、事件性のあるものにつきましては犯罪としての立件も行っているところであります。
 また、やみ金融対策強化のため、平成十五年には金融事犯集中取締本部を設置し、悪質、広域的な事犯、暴力団等が絡む事犯を重点に取り締まりを推進しており、平成十七年には東京都内を拠点とするやみ金融グループを摘発するなど五件七名を検挙し、平成十八年には、大阪府警等六府県による合同捜査で沖縄を拠点とするやみ金融グループを摘発したほか、海南市及び紀美野町内におけるやみ金融業者を摘発するなど、八件八名を検挙しております。
 昨年十二月にいわゆる貸金業規制法及び出資法の一部が改正され、罰則が引き上げられたことを踏まえまして、今後も引き続きやみ金融事犯の取り締まりに努める所存でございます。
○議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──この際、申し上げます。発言時間は残り二分であります。再質問を許します。
 四十四番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁いただきました。貴重な二分でございます。
 知事も子育て支援には随分と力を入れていらっしゃるというのはよくわかります。ただ、そういうものを具体的に実行していくというのは、大変なことがかかわってくると思うんですね。環境をどうするかというところがやっぱり一番大事やと思うんです。いわゆる、今女性が働き続けたい、働きたいという思いはいろいろあるわけですけれども、しかし、やっぱり働くというところのその職場での環境ですね。妊婦健診に行くにも、その時間も保障してくれないという、そういう職場もたくさんあるわけですよ。通院休暇、それから通院に要する時差出勤とかね。そういう環境もやっぱりせなあかんし、そういう点で見れば、まだまだ実行していくには多難があるというふうに思うんです。だから、企業への積極的な働きかけ──それから法律がどんどん悪くなってるでしょう。母性保護の問題なんか。だから、そういう点で見れば裏腹な状況があるから、本当に実行していくには大変な問題があるというふうに思いますんで、環境ナンバーワンとおっしゃるんだから、そこのところにうんと力を入れて頑張っていただきたいというふうに思います。
 以上、要望です。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。

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