平成19年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(花田健吉議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十七番花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 おはようございます。
 ただいま議長よりお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問に入らせていただきたいと思いますが、その前に、昨年、和歌山県の歴史上始まって以来の不祥事が起こり、百余万県民のやり場のない怒りとトップ不在の混乱の中、和歌山県の危機を救おうと御決断をいただき、知事選挙に立候補、見事当選されました仁坂吉伸知事には心から敬意を表しますとともに、新しい年を迎え、心機一転、力を合わせ、またあるときは切磋琢磨しながら和歌山県のさらなる発展を目指し、県民の負託にこたえるため頑張ってまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
 また、早いもので、当選以来あっという間の四年間でしたが、その間、当局の皆様並びに先輩・同僚議員の皆様には格別の御指導、御鞭撻を賜りましたことを厚く感謝と御礼を申し上げ、任期最後の質問へと入らせていただきます。
 さて、昨年起きた官製談合に端を発した公共事業の発注のあり方については、先輩・同僚議員の皆様からも具体的かつ詳細に御質問があると思いますので、私からは、特に公共施設の品質と安全性の確保に焦点を絞り、質問させていただきたいと思います。
 公共施設は、改めて言うまでもなく県民の共有財産であり、現在生活している私たちにとって、また未来の子供や孫の時代にも利用する、永続性の伴った大変大切な共有の財産であります。そして、当然この共有財産の発注の方法は公正で公平な入札でなければなりませんし、適正な価格で契約することは言うまでもありません。しかし、ここで忘れてはならない重要なことは、来るべき南海・東南海地震が予測される中、公共施設の品質と安全性の確保にも特に注意を払う必要があるということであります。
 仁坂知事も所信表明で明確に示されておられますが、あえて私から公共施設の品質と安全性の確保について改めてお伺いをいたしたいと思います。
 昨年末以来、我が県のみならず、他の県や国土交通省等の官公庁においても官製談合や業者間の談合事件が発生し、公共事業の発注のあり方に対し、また建設業界の談合のシステムに対し、納税者である県民の皆様から、当然でありますが、大変厳しい怒りの声が上がっております。
 思えば、私たちの諸先輩は、戦後の貧しさを克服するため懸命に働き、国家の発展と豊かな国民生活の実現に御尽力いただきました。そして、日本の社会は世界でも有数の豊かな国になりましたが、先輩方の意に反し、道徳心や倫理観を置き去りにしてきたのではないかと心配されるほど現代社会はむしばまれ、最近、テレビや新聞等で報じられる犯罪は、肉親同士の殺人が日常茶飯事に行われ、その方法も想像を絶する残虐性を伴い、さらに犯罪の低年齢化が進み、また振り込め詐欺のようなこうかつな知能犯も横行しています。
 そんな世相の中、本来、模範とならなければならないはずの政治家を初め大企業やそのトップの経営者が不祥事を起こす昨今、この国のあり方をもう一度考え直さなくてはならないという危機感を国民の多くは共有意識として持っていると考えます。
 安倍晋三総理の「美しい国創り」は、まさしく規範意識が低下した現代社会の諸問題を解決していくための国家戦略であり、このたびの我が県の不祥事も、根底にあるのは喪失した倫理観にあり、凜とした美しく正しい心が大切だということを教訓として残してくれました。
 予算の執行者であります当局はもちろんのこと、私たちチェック機関の議会も、不信を招いている公共事業の発注の方法に対して一刻も早く県民の信頼を取り戻すため明確なシステムを構築することは当然でありますが、発注者にも施工業者にも公共事業に携わる誇りと高い倫理観を切に望むものであります。
 しかし、この一連の事件から、公共事業の落札価格については安ければ安いほどよい、それが県民の利益につながるという考えが行き過ぎると一抹の不安を感じます。公共事業の本来の目的は、安全で安心な公共施設を県民にリーズナブルな価格で提供することであって、過当な競争原理によって、とにかく何が何でも安ければいいという低価格が目的化してしまってはいけないと思います。
 設計予算は実勢価格を積み上げて予算化されたものであり、本来ならば、設計予算内の落札価格であれば問題はないはずであります。競争入札でありますから、当然、企業努力によってできる限り安い価格で請け負っていただくことにこしたことはありません。しかし、余りにも低い入札価格は、施工過程において資材業者にしわ寄せをしたり、また一次下請や二次下請業者に無理な工事金額や工程を強いたり、また工事現場の安全管理等に支障がないのかと心配をいたします。
 このたび、国土交通省も、品質確保の観点から低入札価格における特別重点調査を実施するとし、ダンピング受注の防止について膨大な資料提出を求めた厳しい通知を出しています。その提出資料の中で特に注目されているのは、赤字受注の場合、その赤字分の財源は本社経費をもって充て、下請業者や資材業者の見積金額を減額するなどしわ寄せすることがないように確約させる誓約書の提出が含まれているということであります。
 現在、入札時の見積書はあくまでも下請業者の参考見積書であり、確定見積書ではありません。受注業者と下請業者や資材業者の力関係はだれが考えてみても明白であり、そのことからいたしますと、実際の工事請負価格が提出された見積書の価格よりさらに低くなることは容易に想像できます。
 アメリカでは、入札参加者は下請業者からの確定見積書をもとに積算内訳を作成して入札し、落札後は原則として見積価格の変更を認めない等の措置を講じているとお聞きいたしました。
 設計会社が緻密に実勢価格を積み上げた設計予算なのですが、ちまたの声を聞いておりますと、落札価格が予算の九十数%だと談合しているのではないかという、談合の目安に使っているようにも受け取られかねない議論をしばしば耳にすることがあり、とても残念に思うことがあります。
 そこで、今回の大変な不祥事を機会に、公共事業の本来の目的と入札のあり方を原点に返ってあらゆる角度から検証し、揺るぎないシステムを構築していただくことと同時に、品質の確保についても万全の体制をつくっていただくことを期待いたしております。
 仁坂知事は、このたび公共調達検討委員会を立ち上げられ、入札制度について徹底的に議論し、全国に先駆けて談合防止のシステムを導入すると述べられております。また、先般の定例記者会見において、全国知事会でまとめた公共調達に関するプロジェクトチームの指針にある電子入札の拡大等入札制度改革について、二〇〇七年度中にすべて実施すると述べられておられます。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 公共工事は、公平で公正な入札システムを行うこと、公共施設の品質と安全性を確保することとが同次元で議論されるべきだと考えます。そこで、入札制度の再構築の過程の中で、県民の共有財産であり、県民の生命にもかかわる大切な公共施設の品質と安全性の確保について、知事のお考えをお伺いいたします。
 次に県土整備部長に、公共事業の品質確保をどのような方法で担保するのか、入札業務に関連して六項目についてお伺いをいたします。
 まず一点目は、今日まで入札システムのより透明化を求めて設計予算と最低入札価格を公表してきましたが、それは談合防止にどのような効果があったとお考えですか、お伺いいたします。
 二点目は、設計予算と落札価格の間に大きな開きがあった場合、公共施設の品質や安全性の確保について、工事完成までのどの段階でだれがどのような方法でチェックし、そして結果責任はだれが負うことになるのか、お伺いいたします。
 三点目は、建設委員会でも一度提案させていただいたことがあるのですが、低入札価格で落札された場合、施工できるかどうかの裏づけとして下請業者の見積書等を提出させ、工事が完成できる根拠を示す資料を審査するシステムになっていますが、契約後、その根拠となる見積書どおりの下請契約がなされ、工事が施工されたのか、今まで調査されたことがありますか、お伺いをいたします。
 四点目は、例えば見積もりした業者でない別の業者が下請をしたり、しかも見積金額が審査時提出された金額よりさらに低い場合、低入札時審査した資料や確認事項はどのような意味を持つのでしょうか、お伺いをいたします。
 五点目、下請業者や資材業者の間では、低入札価格で受注した工事の請負金額も低入札でない落札価格の請負金額も余り変わらないほど厳しいとの声もありますが、県発注の工事において、下請業者や資材業者との工事請負契約の金額を元請企業に資料として提出を求める必要があると考えますが、いかがですか、お伺いをいたします。
 また、一次下請業者いわゆる名義人は他府県の業者であることが多く、地元業者は二次下請からしか参加できないので、さらに請負金額が低くなり、結局値段が折り合わず、他の府県から緊密な関係業者を呼んできて施工している現場もかなりあるとお聞きしたことがありますが、地元企業の育成や雇用という観点から釈然といたしません。
 そこで六点目、当局は入札が終われば後は民間企業間の請負契約だから行政は法律上介入できないということは十分理解しておりますが、介入するのではなく、受益者である県民に対して工事にふぐあい等が生じたときの説明責任があるわけでありますから、元請企業がどこの下請業者や資材業者とどのような金額で契約を交わして工事を施工しているのか把握しておくことは極めて重要であり当然のことと考えますが、いかがですか。
 現在の設計価格は、バブル崩壊後、資材や人件費等のデフレ現象により価格の下落が進みましたが、最近景気が上向きになり現場の工事単価が上がってもすぐに設計単価に反映されなくて困るという声や、公共事業が国家レベルで縮小される中、鉄筋工や型枠大工等工事技術者が減少し、景気がよくなると技術者の確保と工賃の高騰で大変だとの声もお聞きいたしております。
 県内の工事請負業者にとって大変厳しい環境の中でありますが、入札システムの再構築に当たり、入札価格の競争原理だけが議論され、建設に携わる企業のモラルの向上や公共施設の品質や安全性の確保の議論がおざなりにならないようにお願いをいたします。
 知事も、選挙のとき各所で、「地元和歌山県出身だから、おかしなことをすれば、すぐ親戚や友人、知人の方から厳しくおしかりを受ける」と述べられていましたが、県内建設業者も末代まで受けた工事の責任を背負っていくという点では、お互い共通するものがあるのではないかと思います。
 忘れてならない教訓として、建築強度の構造計算偽装事件に端を発し、建築物の安全神話が崩れた当時を振り返り、また最近同じ過ちが繰り返されたことを肝に銘じ、公共施設の建設においては品質や安全性の確保についてあらゆる角度から御検討いただきますよう、重ねてお願いを申し上げたいと思います。(「ええ質問やよ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
 続きまして、私たち中山間に住まいする者にとって最も心配していた森林の環境保全が、紀の国森づくり税を導入することにより、ようやく都市部にお住まいの皆さんにも目を向けていただき、議論の場を与えていただいたことに、心から感謝を申し上げます。
 そこで、紀の国森づくり税の導入に当たり、環境問題について幾つかお伺いしたいと思いますが、昨日も原議員から地球の温暖化について御質問があり、一部重複いたしますので、あらかじめお許しをいただきまして、質問に入らせていただきます。
 ことしは、観測史上類を見ない暖冬となり、二月上旬だというのに西日本各地では既に気温二十度を記録し、すっかり春めいてまいりました。また、我が国だけではなく、世界各地でも平均気温が観測上最も高いと報じられています。
 そんな異常気象が話題になる中、さらに衝撃的な地球温暖化に関する本がテレビ等で紹介され、話題を集めています。それは、アメリカ大統領選挙に立候補し、惜しくも敗れた元副大統領ゴア氏が警笛を鳴らす「不都合な真実」という環境問題を取り上げた書籍であります。ごらんになった方もおられるのではないかと思いますが、地球温暖化による地球環境の激変の様子を過去と現在で比較し、近未来を予測しています。最近、世界各地で山岳氷河やグリーンランドの永久凍土が加速度的に解け、真っ白にいてついた大地がここ二十年の間に赤茶けた地面に変貌した写真であります。
 また、北極や南極の氷が近年急速に解け始め、あと百年もすると海水面がかなり上昇するということは、だれもが皆知っています。実際、太平洋に浮かぶツバルという小さな島国は、既に水没の危機にさらされ、国家が移住計画を立てていることは御承知のとおりであります。「日本沈没」の映画ではありませんが、現実問題として国が沈没する危機にさらされているのです。このペースで温暖化が進むと、海水面が上昇する速さは予想をはるかに超え、約四十年後には五メートルから六メートルも上昇するという衝撃的な内容であります。
 海水面が六メートル近くも上昇するということは、地球上の大陸のほとんどの大都市が海の中に水没するということになります。この著書のデータに基づいて危機感をあおるわけでもありませんが、確実に温暖化が急速に私たちの周りで進んでいることだけは疑う余地がありません。
 この現象は、言うまでもなく、二酸化炭素等の排出による地球温暖化が大きな要因の一つに挙げられています。我が国を含む先進諸国は、戦後六十年の間、化石燃料で電気を起こし、車や家電製品を量産し、暮らしを豊かにした反面、地球環境に大きな負担を強いてまいりました。近年、中国やその他の途上国も生活が豊かになりつつあり、先進諸国と同レベルの生活水準になれば二酸化炭素の排出量はさらに拡大いたしますが、それらの国を非難することはできません。
 そこで、先進諸国も途上国も二酸化炭素の排出を抑える努力をすることは当然のことでありますが、吸収する森林地帯の現状についてもっと理解を深め、その環境を守っていかねばなりません。特に、我が国は世界でも有数の木材輸入国であるという現実も直視しなくてはなりません。
 私たち日本人は、この半世紀、地球の温暖化や環境の悪化に対して少なからず影響を及ぼしてきました。地球の環境を守っていくのはそれぞれの国の政治的最重要課題でありますが、一番大切なことは、この地球の住人である私たち一人一人が環境に関心を持つこと、そして今地球がどのような状況にあるのかを知ることではないでしょうか。
 近年のハリケーンや台風はその規模を拡大し、歴史上最大の大きさで世界各地を襲い、甚大な被害を及ぼしております。また、ある地域においては干ばつに見舞われ、農作物に大きな影響を与え、子供たちが餓死している地域もあります。昨年の中紀を襲った集中豪雨も、今まで経験したことのない一時間に百ミリ以上の雨量を計測し、民間や農地に大きな被害をもたらしました。
 さらに、最近全国各地で多発する大規模な竜巻は、とうとい人命と財産を奪い、我が県においても、二月十四日、印南町津井地区に、集中豪雨のつめ跡がようやくいえかけたハウスを竜巻が押しつぶすという被害がありました。被災者の皆様に、心からお見舞いを申し上げます。当局におかれましては、早期復旧に対し、格段の御支援をお願い申し上げます。
 こうした世界じゅうで発生する異常気象の中、地球に住む一人一人が身近な環境を守っていくことに対して認識を高めることが最も有力で、しかも確実な解決方法であることを私たちはいま一度認識することが必要であると思います。
 以上、地球的自然環境の破壊や温暖化現象に対してるる申し上げましたが、さて、それでは私たちの和歌山県の環境はどうでしょうか。一見きれいで豊かに見える森林地帯や里山や海岸地域も、一歩足を踏み入れれば、かなり荒廃していることにお気づきになるでしょう。
 観光資源として見た場合は、世界遺産登録された地域以外でも、豊かな自然に恵まれ、そして豊富な歴史的景観に恵まれた魅力あふれる和歌山であります。しかし、環境の面から見れば、県土もいろんなところで荒廃の兆しがかいま見られ、それほど楽観できる状況にはありません。
 御承知のとおり、林業を取り巻く経済的状況は大変厳しく、間伐等の手入れが行き届かないために放置された山は荒廃し、最近多発する予想を超える集中豪雨が山間部を襲った場合、大崩落するのではないかと危惧をいたします。
 それぞれの河川には、洪水時の水量を調整するためダムが建設されていますが、もしそのダムの上流で山が崩壊し、一時川をせきとめ、その堰がさらに決壊し、一気に濁流がダムに押し寄せた場面を想像いたしますと、ダムの下流に住まいする住民にとっては大変な脅威であります。
 山林の環境悪化と災害は一体であると言っても過言ではありません。県内の各地の植林した山の状況は大体同じだと思いますが、放置林と自然林の現状を撮ってまいりましたので、ごらんいただきたいと思います。(資料を示す)和歌山県の紀州材の植え方というのは、大体一ヘクタールに五千本、これはかたい硬質の材をつくるということで五千本植えるそうで、こんな状況で当初植えるそうです。しかし、力のある山というのは間伐をすると下草がこう生えて、なかなかいい、こういう状況になるんですけども、私の近くで、この間のあれでもそう──今、山はこんな状況になってます。もう下草は生えない。赤土が見えてこういう──入ると、知事、倒木になってきてこんな状況に今なってます。もともと山というのは、里山というのはこういう山で、我々遊んだときの山はこういう山を普通、私、想像してたんですけども、国の林業政策もあって、こういう状況になっております。知事、ちょっと時間あったらまあ。(知事に資料を渡す)
 もちろん、紀の国森づくり税の導入によってこれらの環境を直ちに改善できるということではありません。しかし、税の導入に当たり賛否両論を議場において論戦する中で、マスコミを通じ、県民の皆様に森林や里山の環境保全に関心を持っていただくという一番大切な、そして大きな目的は、図らずも達成されたと思います。そして、平成十五年から始まった企業の森事業も、新たに四企業に御参加をいただき二十五団体となり、延べ百三十五ヘクタールの山林を管理していただいており、関心が高まる一方でありますが、御協力いただいております皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。環境を犠牲に現在の豊かな生活を享受している私たちは、今こそ環境保全に対し意識を高め、今、身近でできることから地道に始めなければなりません。
 一昨年、紀の国森づくり税導入の際、質疑応答の中で、時期尚早ではないか、まだ県民の皆さんの中には理解できてない人も多くいらっしゃる等の御意見もございました。議会に身を置く私たちは、環境問題についてはオピニオンリーダーの役割を果たし、現在置かれている自然環境の大切さや森林環境の悪化を御存じない方に御説明をし、御理解をいただくことが最も大切でないかと思います。
 また、森林の環境保全に対しては一定の御理解をいただきながら税の導入には残念ながら御賛同いただけなかった御意見の中に、税負担を求めず、一般会計を削減して捻出すべきとの御意見もございました。しかし、平成十九年度当初予算案を拝見いたしますと、社会保障費や職員の大量退職に伴う退職手当等、義務的経費が大幅に増加する厳しい財政状況の中、予算編成に当たり、仁坂知事の御苦労が推察できます。予算を議決する私たちも、県の財政事情が大変厳しいことは当然承知していますし、どの部局においても徹底して経費削減のため御努力されていることも承知をいたしております。
 本年度、収支不足は百五十一億円にもなり、財政調整基金及び県債管理基金により対応されておられますが、緊迫した財政の中、もし紀の国森づくり税で試算されている二億数千万円分を一般会計から捻出するとすれば、公共事業はもとより、社会保障費の分野まで削減対象を広げ、検討しなくてはならないのではと考えます。
 しかし、私は、県民生活の安全・安心を確保するためのそれらの予算をこれ以上切り詰めることには、到底賛成できません。むしろ、生活力のある県民の皆さんや大変頑張って業績を上げられておられる企業の皆様から広く薄く税の御負担をいただき、私たちの身近な森林を含む環境保全にお力をいただくことが現段階での最良の方法であると考えます。
 さらに、これも、昨日、中村議員から議員提出された議案第一号の中で、県議会は二元代表制による住民の代表機関であり、多様な民意を反映する議決機関として監視、審査、修正を行い、同時に条例等の政策提案をする重要な立法機能もあわせ持つことを忘れてはならないとおっしゃっておられました。それは、県民の皆様に御理解をいただくことは前提にあるとしても、時として厳しい御提案になることも、当然、覚悟せねばなりません。
 ことしの地球規模の温暖化やそれに伴う異常気象を思うとき、和歌山県議会が紀の国森づくり税を提唱したことは大変意義深いことだと思いますし、提案者の一人として、今後も環境保全に懸命の努力をしてまいりたいと思います。
 次に、二酸化炭素の排出が環境破壊の大きな一つの要因として取り上げられておりますので、エネルギー施策の観点から、化石燃料に頼るエネルギーよりも、最も環境に優しいと言われる風力発電の推進についても、この際、あわせてお伺いをいたしたいと思います。
 風力発電は、将来の電力源として、最も成熟し、コスト効果も高く、そして何よりも環境に優しい発電方法であります。しかし、我が県の風力発電の適地とされる場所は、国立・国定公園または県立自然公園に指定されたエリアがほとんどであり、環境とエネルギーの政策を今後どのように両立させていくか、我が県の大きな政治課題となるのではないでしょうか。
 既に、全国各地で風力発電施設が国定公園内や県立公園内に、規模の大小はありますが、設置されつつあります。主な例を述べますと、国定公園第二種特別地域では、新潟県の佐渡弥彦米山国定公園、愛知県の天竜奥三河国定公園に設置されておりますし、そのほか、第三種特別地域においてはさらに多くの公園内で建設が進められておられます。また、兵庫県では朝来群山県立自然公園二種特別地域に風力発電が設置されています。さらに、県立公園の普通地域ともなりますと、北は北海道から南は沖縄まで広範囲にわたり建設されていますし、今後もさらに風力発電は推進されると考えます。
 また、このたび経済産業省と環境省は、風力発電の規制緩和について合同の研究会を発足させる方針を決定したとお聞きいたしました。規制が厳しい国立公園内においても柔軟に設置できるようにし、自然エネルギーの普及をさらに図ることを目的として検討に入るとのことであります。
 そこで、我が県においても、県立自然公園内であっても、ある一定の条件が整えば設置することも視野に入れて今後検討していかなければならない時期に来ているのではないでしょうか。環境問題は、将来の課題ではなく、現在進行中の最も大きな政治問題であることを改めて御認識いただきまして、仁坂知事に御答弁をいただきたいと思います。
 それではまず、紀の国森づくり税に関連して、本県の森林や里山の環境の現況についてどのように御認識をいただいておられますか。
 また、紀の国森づくり税の目的や必要性やその意義をどのように御理解いただいているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 そして、税の用途について、知事として特に御意見があればお聞かせいただきたいと思います。
 もう一点、知事は、自然環境の保護と適正な利用を図るため県立自然公園を全体的に見直すと所信で述べられていますが、地球温暖化対策面から、我が県における県立自然公園内の風力発電の設置についてどのようにお考えですか。知事は経済産業省の御出身でもありますから、ぜひ御見解をお伺いいたしたいと思います。
 次に、副知事にお伺いをいたします。
 まず、紀の国森づくり税を徴収するに当たり、法人においては当然赤字でない会社となるのでしょうが、個人については年間五百円、月額にして四十一円六十銭余りになりますが、個人県民税均等割に付加して一括して徴収されると聞いています。当然、個人県民税均等割が非課税になっておられる方、つまり経済的に弱い方は対象外になっていますが、実際対象となる方の年間所得は幾ら以上か、またその対象となる方の数はどのぐらいあるのか。およその数値で結構ですのでお答えください。
 農林水産部長にもお伺いいたします。
 紀の国森づくり税の基金の運用に関して県民初め各方面から御意見が寄せられていると思いますが、導入に当たり、その主な項目や目的と期待できる効果についてお答えください。
 また、既に同趣旨で税を徴収されている滋賀県や奈良県のように環境に対し意識の高い先進県の取り組みについても参考にし、すばらしい事例があれば見習うべきと考えますが、いかがですか。
 次に、環境生活部長にもお伺いをいたします。
 全国の国定公園内、県立公園内の風力発電の設置状況を踏まえ、また昨今のエネルギーと環境を取り巻く状況をかんがみ、今後、県立自然公園内での風力発電の設置についてお考えをお伺いいたします。
 また、この条例は昭和三十四年に制定されてから約半世紀が経過し、当時想定されていなかった風力発電等のエネルギー問題も生じております。そこで、県立自然公園の条例についても検討する時期に来ているのではないかと考えますが、いかがですか。
 そして、現在指定している地域についても、当時と随分取り巻く状況が変わってきていますし、また、世界遺産の登録等に伴い新たに指定しなくてはならない地域もできているのではないかと思いますが、地域指定の見直しについてどのようにお考えですか。
 いずれにいたしましても、私たちの身近な環境に対し関心を持ち、よりよい自然環境を残していくことが、現在、政治や行政に携わる私たちはもとより、全県民も次の世代に対して背負っている大きな責務であるということを再確認し、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 最後に、さて、近年、鳥獣による農作物の被害が全国的に問題となっていますが、我が県も例外ではありません。特に近年、鳥獣による農作物の被害は農家の経営に深刻な影響を与えております。
 この問題については、先輩議員からもたびたび一般質問や委員会でも取り上げられ、当局に解決策をただされましたが、今回、私は、モンキードッグ事業という長野県の大町市の取り組みについて御紹介させていただくとともに、我が県においても深刻化する鳥獣被害の対策に応用できないかと考え、一般質問させていただくことにいたしました。
 長野県大町市の常磐泉地区は、御多分にも漏れず、鳥獣、特に猿による農作物の被害が後を絶たず、農業を続けていくことが困難なほど深刻化していたそうです。特に三百頭にも及ぶ猿の群れによる被害がひどかったのですが、大町市も、和歌山県と同じように電気さくやトタン、ネット、花火や人の手によって追い払い対策をしてまいりましたが、猿には余り効果がなかったそうであります。そんな中、大町市の猿の被害対策の話し合いの中で、犬が猿の群れを追っかけ、山に追い払ってしまったとの報告があり、試験的に調教訓練した犬を猿の群れに放ったところ、猿は一目散に逃げ出し、山に帰ったそうであります。そこで、まず被害が多発する同地区の住民が飼っている三匹の犬を民間の訓練所──ここは警察犬の訓練所だそうですが──三カ月間訓練調教を委託するモンキードッグ事業を開始し、訓練を終えた犬をモンキードッグと県が認定し、早速追い払い実施をいたしました。そうすると、この地区では猿の被害がほとんどなくなったとのことであります。
 もう少しモンキードッグ事業について御説明をいたしますと、訓練費用は一カ月五万円の三カ月で十五万円になりますが、長野県と大町市による補助金で全額を賄っております。訓練の主な目的は、飼い主に服従すること、猿以外の人や動物に危害を加えないこと、深追いをせず飼い主のところに戻ってくることだそうであります。また、訓練所では、犬の資質の向上はもとより、訓練所の講師の方の指導により、飼い主も週一回程度犬と一緒に訓練をともにし、実践における連携を高めることがより効果が上がるそうであります。また、犬を放すことに対して地域住民の理解を得ることが最も重要であり、猿を追い払っている最中に万一物を壊したり人に危害を加えた場合に備え、飼い主は損害賠償保険に加入しているそうですが、現在までに事故や苦情等はないそうです。
 最近は、全国各地から、同じ鳥獣害に悩む市町村から大町市を視察に訪れるそうです。また、お隣徳島市も昨年、鳥獣被害防止対策フォーラムが開かれ、モンキードッグ事業が紹介され、大変注目を集めたとお聞きをいたしました。
 そこで、環境生活部長にお伺いをいたします。
 本県において鳥獣の捕獲免許の取得について、狩猟関係者以外の方に対しても、自分の畑は自分で守るという観点から本年度予算にも計上されていますが、私も一昨年の予算委員会において質問をさせていただいておりますので、昨年までの免許取得の状況をお答えください。
 農林水産部長にお伺いいたします。
 今回御紹介させていただきました大町市のモンキードッグ事業についてどのように思われ、また評価されますか、お答えください。
 国は鳥獣保護法を制定し、害獣という名のもとに余りにも行き過ぎた鳥獣の駆除を規制しておりますが、御承知のとおり、現在の農林業を取り巻く状況が大きく変化してきておりますので、今後とも当局におかれましては細心の注意と柔軟な対応をお願い申し上げたいと思います。
 以上、当局の誠意ある御答弁をお願い申し上げ、第一回目の質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの花田健吉君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 御答弁申し上げます。
 第一に、談合事件に絡みまして、公共施設の品質と安全性の確保について申し上げます。
 公共施設の品質と安全性の確保は、安全・安心の確保、良好な環境の創出など、和歌山県の発展に大変重要なものであります。一方で、入札制度改革によりまして価格競争の激化、あるいは不良不適格業者の参入等が生ずると、そういうことがもし仮に起こりますと、工事の質の低下あるいは下請へのしわ寄せ、労働条件の悪化あるいは安全対策の不徹底など、弊害が発生することも懸念されます。したがって、そのため、談合の再発防止と最も効率的かつ効果的な公共調達制度の構築を考える上で公共工事の品質の確保を前提条件とすることが最重要課題の一つと考えまして、私は、公共調達検討委員会へお願いいたしました四つの法益の中にも公共工事の質の確保を挙げさせていただきました。
 さらに、本年度から、単なる価格競争のみならず、公共工事の品質向上が期待できる総合評価落札方式の試行を行っております。これにつきましては、十九年度からさらにその適用を拡充してまいりたいと思っております。
 次に、紀の国森づくり税、あるいはそれの前提として本県の森林や里山環境の現況につきましてお答え申し上げます。
 本県の森林や里山環境の現況について、及び紀の国森づくり税導入の意義等についてでございますが、県土の七七%を占める森林は本県の貴重な財産であります。これは申すまでもないことであると思いますが、知事就任前に県内を回る中で、林業の採算性の悪化あるいは生活様式の変化など、さまざまな理由によりまして放置され荒廃が進んでいる人工林あるいは里山を目の当たりにいたしまして、まことに憂慮すべきことと認識しております。
 こういったことから、議員提案により成立いたしました紀の国森づくり税は、本県の森林の現状を県民の皆様一人一人に理解していただき、森林環境を守っていこうという意識を高める上で、私は意義あるものと考えております。
 税の用途につきましては、貴重な財源を効果的に使うという観点から、本県の豊かな自然、とりわけ森林環境の保全と啓発など、県民の安心・安全につながるような取り組みが重要と考えております。
 次に、県立自然公園内への風力発電の設置について御質問がございました。
 風力発電を初めとする化石燃料代替エネルギーの推進につきましては、その重要性を十分認識しております。本県としても積極的に推進していかなければならないと考えております。
 現在、県内では三市町村において三基の風力発電施設が既に設置されておりますが、その他具体的に協議が進んでいるものや計画段階のものも含めますと、今後は相当数の風力発電施設が立地するものと考えております。
 県立自然公園内でも、議員御指摘のように風力発電の設置も全く否定するものではございませんが、すぐれた風景や希少動植物の生息地、渡り鳥のルートなどを初めとする自然環境の保護と両立するように考えていくべきものであると考えております。
○議長(向井嘉久藏君) 副知事原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○副知事(原 邦彰君) 紀の国森づくり税の課税対象に関するお尋ねがございました。
 同税は、御指摘にもありましたが、県民税均等割の上乗せ課税でありまして、均等割が非課税の方は課税されません。具体的に申し上げますと、生活保護による生活扶助を受けている方や、所得が一定金額以下の障害者、未成年者などは非課税となります。そのほかにも、市町村民税とともに徴収されるものであるため、所得が各市町村の税条例で定める一定金額以下の方も課税されません。一例を申し上げますと、夫婦子供二人のいわゆる標準世帯では、給与収入ベースで二百十万円未満の方は非課税となります。このように、所得がない方や所得があっても一定金額以下の方に対しては一定の配慮がなされているところでございます。
 なお、紀の国森づくり税の課税対象者数のお尋ねがございましたが、個人で約四十三万人、法人で約一万八千社と見込んでございます。
 以上でございます。
○議長(向井嘉久藏君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 公共工事の品質確保について、六点お尋ねがありました。
 一点目の予定価格、最低制限価格の事前公表については、平成十四年八月から、入札契約事務の透明性の確保及び不正な働きかけの排除を目的に事前公表を行っており、情報漏えいによる談合の防止という観点において意義のある制度だというふうに考えております。
 二点目の設計価格と落札価格の差が大きい場合の品質と安全性の確保については、設計価格と落札価格の差が大きく、いわゆる低入札工事となった場合には重点監督工事に位置づけ、県監督員を二名体制とし、施工段階における現場確認の頻度も多くしております。
 また、平成十八年十月からは、さらに品質管理の頻度を二倍にするとともに、平均工事成績が標準の六十五点未満の請負者に対しては配置技術者を二名体制とすることとしております。
 さらに、請負者に不適切な資材の使用や施工不良等による瑕疵がある場合については、請負者の責任において損害賠償を行うこととしております。
 三点目の低入札工事における工事施工の調査の実施についてお答えをいたします。
 下請金額が三千万円以上で義務づけられている施工体制台帳を、低入札工事においては金額にかかわらず提出させることとしております。施工体制台帳には、すべての下請業者の請負額、技術者及び下請に関する事項等を記載し、元請契約書、下請契約書と施工範囲等を明確にした図書等の資料を添付することになっております。平成十六年十月からは、この施工体制台帳をもとに、いわゆる施工体制Gメン制度を活用し、下請への見積もり条件提示方法や支払い条件等について適正な元請・下請関係となっているかどうか、調査、指導を行っているところであります。
 四点目の低入札工事における調査段階と施工段階の整合性についてでございますが、契約後、調査段階で予定されていた下請業者等に変更が生じた場合、請負契約が確実にできるか、下請いじめをしていないか等の再調査については、御指摘を踏まえて今後検討していきたいというふうに考えております。
 五点目の低入札以外の工事における下請へのしわ寄せについてでございますが、低入札以外の工事においても、建設業法の定めにより、土木工事においては下請金額の合計が三千万円、建築一式工事においては四千五百万円を超える場合は、先ほど申しました施工体制台帳の提出が必要となり、同じく適正な元請・下請関係について指導を行っているところであります。
 六点目の入札後における下請業者等に関する状況把握についてでございますが、工事施工中は先ほど申した施工体制台帳により指導を行い、工事完了後は速やかに請負業者から当初提出の積算内訳書との対比や県の積算との対比を行った調査表を提出させ、疑義がある場合は事情聴取を行うこととしております。あわせて、下請代金支払い状況調査表の提出を求め、下請代金の不払いなどがないか、請負業者、下請業者の双方から事情聴取を行っております。
 なお、事情聴取の結果によっては厳重注意などの必要な措置を講じてまいります。これらの措置を通じ、公共事業の品質確保に努めてまいります。
○議長(向井嘉久藏君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 紀の国森づくり基金の運用についてお尋ねがございました。
 紀の国森づくり基金活用検討会を設置いたしまして、その中で、アンケートあるいはパブリックコメント、こういったものを通じまして県民の皆様方から多様な御意見をちょうだいしているところでございます。
 そのうち、基金の活用に関する意見の主なものといたしましては、荒廃した森林の整備、花粉症対策につながる森林整備、また里山の保全、子供の森林・林業体験や教育、加えて世界遺産周辺森林の景観整備といったような使途が寄せられたところでございまして、このような使途につきましては、森林環境の保全及び森林と共生する文化の創造という、まさに紀の国森づくり税条例の趣旨に合致をするものというふうに考えているところでございます。
 今後とも、県民の方々の発想と自発的な参画による事業提案、こういったものをお聞きしながら紀の国森づくり基金運営委員会にお諮りし、事業実施してまいりたいと、このように考えてございます。
 また、全国的にも二十四県が同趣旨の税を導入している状況下でございますので、これら他県の特色ある事例、こういったものをも参考に、多くの県民が理解を深め、また参加いただけるよう、効果的な運用に努めてまいりたいと、このように考えてございます。
 次に、鳥獣害に関連いたしましてモンキードッグについてお話がございました。
 この事業につきましては、長野県を初め秋田県、また兵庫県等の山間部の水田地帯で試験的に実施をされ、一定の成果、効果を上げているところというふうに聞いているところでございます。
 しかしながら、こうした犬を使って猿を追い払うという手法につきましては、一つには、学習能力の高い猿のことでございますので、追い払いの効率が低下してしまうのではないか、二つ目には、果樹地帯では猿が木の上に登ってしまって効果が得られないのではないかといったような点を指摘される研究者、学者の方もおられるところでございます。
 今後とも、こういったユニークな取り組みにつきまして、大学等研究機関でありますとか他県の情報、こういったものの情報収集に努めてより効果的な対策、こういったものに取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○議長(向井嘉久藏君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 県立自然公園に関する三点の御質問と鳥獣被害対策に関する御質問にお答えを申し上げます。
 まず、風力発電の設置につきましては、和歌山県自然公園条例施行規則におきまして、国立公園、国定公園と同様の許可基準を定めております。
 具体的には、第一種特別地域のほか、第二種、第三種地域の中でも植生の復元が困難な地域では風力発電施設の設置は認められておりませんが、その他の地域では、環境省や他の府県などの動向を勘案いたしまして、自然景観の保全や貴重動植物の保護に配慮をしながら個別事案ごとに設置の許可について検討をしてまいりたいと考えております。
 次に、自然公園の条例の見直しについてでございます。
 和歌山県立自然公園条例及び施行規則の改正につきましては、上位法でございます自然公園法及び施行規則の改正に合わせて行ってまいったところでございます。風力発電の設置につきましては、平成十六年度に自然公園法施行規則に新たに規定が盛り込まれましたため、同様の改正を本県の施行規則においても行ったところでございます。
 しかしながら、議員御指摘のとおり、制度発足後、半世紀近くが経過したことを踏まえまして、環境省におきましても今年度より自然公園法の改正を視野に入れた自然公園のあり方検討会が開催されておりますので、今後ともその動きに注視してまいりたいと考えております。
 次に、自然公園区域の見直しについてでございます。
 和歌山県内には現在十カ所の県立自然公園が指定されておりますが、都市化の進行、道路等のいわゆる基盤整備、世界遺産やラムサール条約の重要湿地の指定など、周辺の環境や景観、自然に対する社会の考え方も大きく変化をしてきております。このような状況を踏まえまして、十九年度から、県全体のバランスを考慮しながら県立自然公園の指定を抜本的に見直すことといたしました。
 見直しの視点といたしましては、保護対象の厳密化あるいは明確化を図りながら、現在指定している公園区域を抜本的に見直すとともに、新規指定も視野に入れまして、自然保護と適正利用の両立を実現してまいりたいと考えております。
 次に、狩猟免許の取得状況についてお答えを申し上げます。
 平成十七年度末における狩猟免許所持者数は、四千三百人でございます。また、平成十八年度の狩猟免許の新規取得者数は二百十八人であり、そのうち網・わな免許の取得者数が百八十二人となっております。これは、前回、議員御質問がございました平成十六年度と比較いたしまして、総数で約一三%、網・わな免許の取得者数で約二五%の増加となっております。
 また、十九年度の新たな事業といたしまして、農家みずからが耕作地を守り、農作物被害の軽減を図るとともに地域全体で被害対策に取り組むことができるよう、有害鳥獣捕獲に必要な狩猟免許の取得に要する経費に対し助成を予定しているところでございます。
 今後とも、市町村、関係団体と連携を図りながら、狩猟免許取得者数の増加を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十七番花田健吉君。
○花田健吉君 もうすべて要望ですけども、県土整備部長のおっしゃられた透明化が談合防止につながる一定のあれがあるような──情報の漏えい防止という観点から意義あるということですけども、まあ要するに透明化しても、例のこのたびの談合事件が起こったということからいたしますと、それよりも情報漏えいというのが、ここが一番やっぱり問題あると思いますんで、まあ隠すべきとこは隠して、積算する能力とか見積もりする能力もやっぱり業者に求めて、適正な価格で、自分たちが本当にこれであれば自分とこの会社で確実に品質のよいものを県民に対して納めていただけるということ、これが一番大事なことだと再度申し上げて、これは一応要望としておきます。
 また、森林税についてですけども、もう二十数年前──私が二階代議士の秘書になった当時ですから、もう二十年ぐらいになると思うんですけども、本宮町の、今はもう亡くなられましたが、中山町長さんが森林交付税というのを訴えられ、全国に呼びかけました。もちろん、森林行政の大きな責任は、私は国にあるとは思いますけども、国にあるからといって、我々が今、国に責任があるんだ、あるんだと叫ぶばかりで、森林を放置して、もう二十年たってしまいました。
 当時、森林に対しての一番認識の高い本宮町──もちろん和歌山県ですけども──もう十七、先に環境税が導入されて、和歌山県は十八番目になったと記憶してるんですけども、このたび森林交付税が導入されたことに対して、ほんとに中山町長さんも喜んでおられるんではないかなと思います。その先駆者といいますか、先見の明のあったそういうこと、二十数年前には考えられなかった異常気象が今起こっとるわけですから、私たち一人一人がしていくということで、森林交付税のその使い方について農林水産部長にもっといろんなアイデアを入れていただいて、県民が納得するような形で、貴重な税源ですんで、お願いしたいと思います。
 最後に、これはまあ敵もさる者と申しますか、それは猿は確かに賢いんでそういうことですけども、まあそうおっしゃらんと一遍見に行きませんか。私は、農林水産部の方は多分猿よりは能力は上だと思っておりますんで、猿対策に対してさらなる対応を農家の皆さんのためにお願いを申し上げまして、すべて要望といたします。ありがとうございました。
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で花田健吉君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十二分休憩
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