平成19年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(新田和弘議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午前十時三分開議
○議長(向井嘉久藏君) これより本日の会議を開きます。
日程第一、議案第四号から議案第十九号まで、議案第三十四号から議案第五十二号まで、議案第五十四号から議案第七十七号まで、及び議案第七十九号から議案第九十一号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
四十番新田和弘君。
〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、質疑並びに一般質問を行わせていただきます。
まず初めに、元気和歌山づくりについてお尋ねいたします。
仁坂知事が知事に就任いたしまして初めての予算である平成十九年度一般会計当初予算は五千百七十八万七千二百四万円で、前年度当初比で三十億八千五百四十二万の減少と、四年連続して縮小されています。行財政改革で、職員定数の削減、県独自の給与カットの実施、事務事業の見直し、事業の仕分け等で歳出削減に努め、新規事業等の財源確保を図ってきました。しかし、団塊世代の大量退職の影響で退職手当が増大し、人件費総額は前年度比〇・八%増となり、臨時的な退職手当債百三十五億円を発行したため、県債残高は平成十九年度末見込みで七千九百二十四億円と、過去最高となっております。
歳出のうち政策的経費は、仁坂知事の和歌山元気づくりの五本柱を反映して、企業誘致の促進、少子化対策や防災、山間部のネットワーク道路の整備などに予算を重点的に配分してきています。
知事は、今日までの本県の産業の現状や企業誘致の方向性について、本年一月に大阪で講演されました。その中で、概要、次のとおり述べております。
「本県の産業の現状について、昭和五十年ごろの和歌山は繊維を中心とした地場産業がたくさんあり、住金や石油、花王など、当時としては他県に比べると大きな企業が県内にありました。しかし、それ以降は、他県に比べると大企業は余り来ていません。そのため、昭和五十年から平成十五年の間の製造品の出荷額の伸び率は四十六位と、事実上、最下位であります。この三、四十年の日本経済発展は、知識集約化産業、ハイテク産業、デバイス、加工組み立ての時代でありました。これが和歌山ではほとんど伸びていません。ハイテク産業の比率は、昭和五十年では一・一%であったのが今でも五・一%であるのに対しまして、昭和五十年ごろ和歌山とそれほど違わなかった岩手県は今では四四・八%、同じく山形県は五〇・九%、熊本県は四三・八%と、和歌山のおよそ十倍増加しています。その結果、製造品の出荷額の伸び率は、和歌山県の四十六位に対して岩手県六位、山形県二位、熊本県五位と、大きな差がついております。これらの三県では、高速道路や空港を整備して工場を誘致してデバイスや精密機械などを出荷し、多くの人を雇用して農業県から脱却を図ってきております。和歌山県は乗りおくれたが、できるだけこうした企業に来ていただき、雇用をふやしていきたい」と講演されたと伺っております。
また、地域が元気になる取り組みとして、今、北海道の倶知安町が魅力ある地域に生まれ変わる地域再生の町として注目されております。札幌と新千歳空港とは車で約二時間の距離にある同町は、人口が一万六千人で、少子高齢化や行革等による官公庁の縮小などにより人口が徐々に減少し続け、地域経済への影響が避けられない現状にありました。平成十七年七月に、「国際リゾート都市"くっちゃん"の確立」が内閣府から地域再生計画として認定を受けました。近年、同町のスキーリゾートエリアに外国資本が参入し、オーストラリア人を中心とした外国人観光客が急増しています。外国人観光客の宿泊延べ人数は、平成十四年度七千六百十二人であったのが、平成十七年度は七万六千六十七人と、わずか三年で十倍にも増加したとのことであります。外国人観光客は一、二週間の長期滞在のため、地元商店街、飲食店や企業等への利用がふえ、スキー場エリアだけでなく市街地での楽しみ方も模索しており、今後も、国内外資本企業による計画など、外国からのビジネス客や観光客の入り込みがさらに増加することが見込まれております。また、地域提案型雇用創出促進事業として、くっちゃんまちづくり人材育成協議会を町、町教育委員会、商工会議所、地元有識者が実施主体となり、町民向け人材育成と雇用創出に視点を置いた事業を展開しています。具体的な内容としては、実践英会話教室を実施しております。
さらに、国におきましては、経済成長戦略大綱関連三法案、いわゆる生産性向上に向けた事業者の取り組みを支援する産業活力再生特別措置法の改正案、地域資源を活用した地域の中小企業の取り組みを支援する中小企業地域資源活用促進法案、多様な産業集積に向けた地域への企業立地等を促進する地域産業活性化法案が今国会で成立する運びであります。さらに、総務省では、魅力ある地方に再生しようとする地方独自のプロジェクトに対して地方交付税等の支援措置を行う「頑張る地方応援プログラム」が本年一月に発表されました。プロジェクトの募集は平成十九年から二十一年までの三カ年として、一市町村につき単年度三千万円として三年間措置されるとなっております。
本県の立地条件を考えてみますと、大阪市や関西国際空港と車で二時間の範囲となれば、仁坂知事が新年度予算で県内のネットワーク道路の整備などを行っていけば、田辺、白浜を含めたかなり広い部分が二時間圏に入ると考えられます。地域を元気にする取り組みが期待されております。
そこで、仁坂知事にお尋ねいたします。
一、元気な和歌山づくりを命題として五つの目標を実現するとしていますが、知事は、どれくらいの期間で、どの程度まで実現を目指して新長期総合計画を策定されるのか。
二、本県への企業誘致の促進と中小企業の支援対策をどう進めるのか。
三、魅力ある地域の再生を目指して、頑張る地方応援プログラムの推進を生かすなど、本県の地域再生への取り組みをどう支援していくのか。
以上三点、お尋ねいたします。
次に、重点施策として取り組まれております少子化対策についてお尋ねいたします。
我が国の人口は平成十六年十二月の一億二千七百八十三万人をピークに減少に転じ、人口減少社会に入っております。総務省がまとめた都道府県別の人口推計では、平成十七年は、増加が十都県で、減少は三十七道府県であります。減少率が大きかったのは秋田県、和歌山県、青森県で、増加率が大きかったのは東京都、愛知県、沖縄県などでした。全体的には、東京、関東、中部など大都市圏で増加している反面、地方はほぼ漏れなく減少しており、人口の地域間格差が拡大しています。
本県は人口の減少率が秋田県に次いでワースト二位という現状にあり、元気な和歌山を目指すためにも、安心して子供を産み育てる環境づくりが必要であります。新年度予算においても、県は少子化対策に当たって、出産時、妊娠時、育児期と、それぞれのステージに合わせた施策の推進を展開するとしております。
そこで、福祉保健部長に、少子化対策にどう取り組まれるのかお尋ねをいたします。
次に、がん対策の推進についてお尋ねいたします。
現在、日本では年間百二万人の方が亡くなり、そのうち約三分の一に当たる三十二万人強の死亡原因ががんであります。近い将来、二人に一人ががんで亡くなる時代がやってくると言われています。その原因は、高齢化であります。がんは細胞分裂の失敗で生じ、長生きすればがんになる可能性が高まります。つまり、急速な超高齢化が日本を有数のがん大国にしております。
また、日本のがんは、食生活で欧米化が進んでいるため、それまでに多かった胃がんなどが減少する一方で、欧米型の肺がん、大腸がん、男性では前立腺がん、女性の乳がんが増加してきております。しかし、日本での治療方法は、胃がんには手術が有効であるため、がんイコール手術という構図ができ上がっており、欧米では約六〇%が放射線治療を行っているのに対して日本では約二五%と、世界でも最も放射線治療が少ない国となっております。
本年四月に施行されるがん対策基本法は、我が国の第三次対がん十カ年総合戦略で掲げるがんの罹患率と死亡率の激減を実現するために制定されました。同基本法では、一点目に、がん克服を目指した研究を推進し、予防、診断、治療の技術向上、普及を図る、二点目に、居住する地域に関係なく等しく適切な医療を受けられるようにする、三点目は、本人の意思を十分尊重し治療方法などが選択できる体制を整備することを基本理念として、国や地方自治体、医療保険者、国民、医師などの責務を明らかにしています。その上で、基本的施策として、一、がんの予防、早期発見、二、がん医療の均てん化、三、がん研究の推進を柱にがん検診の受診率向上、放射線治療の専門医育成、早期からの緩和ケアなどを定めるとしています。そのため、国に対してがん対策推進基本計画を、都道府県に対してがん対策推進計画の策定を義務づけております。
都道府県が策定するがん対策推進計画は、基本的施策として、一、がん予防の推進、二、がん検診の推進と検診の質の向上、三、県立病院などの専門医療従事者の育成、四、医療機関の整備、五、がん対策の療養生活の質の向上、六、情報収集・提供体制の整備等を盛り込んでいくことになっております。
本県では、がん死亡率が平成十七年の調査では全国ワースト五位であり、がん対策の強化が急務であります。
また、がん医療水準の均てん化を推進するため、県立医科大学病院が本年一月に県のがん診療連携拠点病院の指定を受けました。地域がん診療連携拠点病院は、日赤医療センターに次いで昨年八月に紀南病院、南和歌山医療センター、本年一月に橋本市民病院が順次指定を受けてきております。さらに、乳がんの早期発見に必要なマンモグラフィーを搭載した乳がん検診車の三台目が昨年七月に整備され、乳がんの早期発見に威力を発揮しております。
そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
本県におけるがん対策の推進について、一、本県のがん対策推進計画の策定、二、がん患者の把握をするための登録制度の導入及びがん医療水準の均てん化の推進、三、がん検診の受診率の向上対策と検診の質の向上対策、四、がん診療連携拠点病院における放射線治療の専門医療従事者の育成及び充実、五、緩和ケアの提供体制の充実、以上五点についてお尋ねをいたします。
次に、いじめ、不登校についてお尋ねいたします。
学校内のいじめが原因で、福岡県の男子生徒と北海道の女子児童が自殺をするという深刻な問題が起こっております。いじめによって将来ある命が奪われる、こうした悲劇はなくさなければいけないことは当然として、早急な対応措置が求められております。
去る二月十五日、警察庁の報告によりますと、児童生徒がいじめに絡んで起こした傷害、恐喝などの事件が昨年一年間で二百三十三件となり、四年間連続で増加、前年度比四一・二%増と急増しており、ここ二十年では最悪の件数となっております。検挙、補導された児童生徒も四百六十人と、大幅に増加しています。特に中学生が三百五十二人と七七%を占め、中学生の急増が目立っております。警察庁は、昨年秋以降、いじめ、自殺が相次ぎ、いじめが改めて社会問題化したため、事件も顕在化してきたと分析しております。
今回明らかになった福岡県のいじめは、本来、いじめ解決のために当たるべき教師の言動が発端となったと言われております。一方、北海道滝川市のいじめについては、市教委、学校はいじめはないと固執してきたが、遺書の内容が報道され、自殺から一年以上たって、ようやくいじめを認めております。この二件の自殺は、児童生徒を取り巻く教師を初め学校、教育委員会に問題があると指摘されております。
いじめはいじめた側が一〇〇%悪いと、ある識者が述べているように、いじめは人道上の犯罪であって断じて許されないという強い意思を学校初め社会全体に行き渡らせることこそ、いじめ根絶の大前提であります。
本年一月一日の「産経新聞」の年頭の主張で、「凜とした日本人忘れまい 家族の絆の大切さ再確認を」と題して掲載がありました。その中で、「日本人と日本の社会を支えてきた倫理や道徳、伝統、克己心といったものはどうなってしまったのだろう」「かつて日本は「子供の楽園」と表現された。最初にそう表現したのは江戸末期に来日した英国の外交官オルコックだった。以来、訪日欧米人たちはこの表現を愛用してきた」と紹介しております。さらに、「日本の子供はけっしておびえから嘘を言ったり、誤ちを隠したりしません。青天白日のごとく、嬉しいことも悲しいことも隠さず父や母に話し、一緒に喜んだり癒してもらったりするのです」と目撃談があり、「愛らしく、その上礼節を備えた子供たちは一体どこへ消えたのだろう」と述べております。その上で、「隣人を思いやり、苦悩を分かち合う共同体意識の再生が今ほど求められている時代はない。家族は社会や国づくりの一番の基礎にある。家族と共同体の再生こそ日本再生へのかぎである」と結論されております。
今日の家庭に目を向けると、諸般の事情によって親の離婚が増加し母子・父子家庭になることで、頑張る子供さんも多くありますが、一方では、子供が親に対して大きな不満を持ち、親子の不信から親や家族の注意を聞かず、学校でも学習に専念できず、いじめや非行に走る場合があります。学校に親に来てもらって話し合っても、「家庭ではどうにもなりませんので、先生、お願いします」と親が言うなど、ついには担任の先生が病気になって休暇をとる事態も生じております。
文部科学省では、本年一月にいじめの定義を「当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的・物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの。」とすると改めました。また、いじめの「発生件数」を「認知件数」に改めるとともに、学校がいじめを認知するに当たって、アンケート調査など、児童生徒から状況を聞く機会を設けることも加えられました。
いじめへの対応策について、大阪教育大学の戸田有一助教授は、「いじめの予防のためには子供の健全な自治をはぐくむことです」と、子供たちがみずから問題を予防したり初期的な問題には対処したりできるよう大人が支援するピア・サポート活動の必要性を挙げています。いじめられている子供への対策として、身近な信頼できる人に相談できるようにすることや、電話相談など匿名でも相談できる体制の整備が必要であります。教師の果たすべき役割として、「いじめとけんかの違いを見抜いて適切に対応できる先生は、クラスの子供たちの微妙な関係をわかっているのだと思います。そのような先生の実践知を共有していけばと思います」と述べておられます。
そこで、教育長にお尋ねいたします。
一、本県におけるいじめや不登校の実態と学校等における暴力行為の実態はどうなっているのか。
二、いじめ防止及び不登校児童等への対策はどう推進されるのか。
三、家庭や地域社会の崩壊が指摘され、その再生を図り、人間としての倫理や道徳の確立にどう取り組まれるのか。
以上三点、お尋ねいたします。
次に、県議会に対しまして私の所見を述べさせていただきます。
本県の財政の厳しさは、議員の皆様には十分御理解のことと存じます。平成十九年度も、県職員の定数が百六十七人削減される議案が提案されております。さらに、県職員は、新給料表の導入による給与の削減に加え県独自の給与カットが実施され、人件費の抑制が図られ約四十七億円の予算を捻出し、県民への施策の財源に使われております。
公明党県議団は、昨年、県議会の定数を二名削減して四十四名とし、一票の格差を二倍以内にする直接請求を行いましたが、まことに残念なことに、自民党県議団、共産党県議団、県民クラブの反対により否決されました。県議会議員を二名削減すれば一年間で約二千万円弱削減が可能となり、四年間で一億五千万円程度が県民への施策の予算として計上することができるわけであります。県税等の使い方をチェックする立場にある議員こそ、中国のことわざにありますように「先ず隗より始めよ」のとおり、議員みずから定数を削減して県民にこたえるべきであると申し上げておきたいと思います。
四年後には、本県の人口は確実に百万人を割ると予想されております。次こそは法定数上限いっぱいの定数にならないよう、定数削減の実施を強く求めるものであります。
次に、政務調査費のあり方について、今日、問題提起がされております。本日の「毎日新聞」におきましても、和歌山版で問題提起がされたところであります。
政務調査費は、当然のことながら、税金から予算化されております。それゆえ、より透明性が高められなければならないと考えます。
本県では、平成十三年四月より、地方自治法第百条十三項の規定に基づき条例による支給となっております。収支報告への領収書の添付は、五万円以上と定めております。しかし、事務費、事務所費、人件費については領収書の添付は除くとされております。政務調査費の透明性を高め、県民の皆様の十分な理解を得られるよう、県議会として改善する必要があると思います。
以上二点、県議会に対する私の所見を述べさせていただきました。
質問の終わりに当たりまして、一言御礼を申し上げます。
平成三年四月の初当選より四期十六年間、真心から御支援、御指導をいただきました県民の皆様に、心より厚く御礼を申し上げます。県議会におきましては先輩、同僚の皆様に御指導いただき、本当にありがとうございました。また、仁坂県知事様初め県当局の皆様にも大変お世話になり、心より御礼を申し上げ、質問を終わらせていただきます。
大変にありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 新長期総合計画の策定につきまして御答弁申し上げます。
新たな長期総合計画の計画期間といたしましては、人口減少下にあって、いわゆる団塊の世代が引き続き活躍でき、現在の社会構造をもとに見通すことができる、おおむね十年ぐらいを想定したいと考えております。
また、策定に当たりましては、県議会議員の皆様を初め幅広く意見をお聞きしながら、私の思い描く、県民が経済面で活力を実感でき、心身ともに健康で明るく暮らせる元気な和歌山というものを具体的かつわかりやすくお示しし、その実現に向け、当面県が取り組むべき施策の基本方向についてもしっかり盛り込んでまいりたいと考えております。策定は、ほぼ一年をかけて行いたいと考えております。
また、昨日、中村議員から御提案のあった条例案の成立に従いまして、県議会でも御議決を得ることになろうかと思います。議会における十分な御検討が可能になるように、途中段階でもお諮りしてまいりたいと考えております。
第二に、企業誘致の促進と中小企業の支援対策について御質問がございました。
県経済の活性化には企業誘致の促進と地場産業を初めとする中小企業の底上げが最重要課題でありまして、新年度予算編成におきましても、企業・産業活動の現場からのニーズ、課題に対応して即効性のある施策を推進することとしております。
まず、企業誘致につきましては、企業の投資計画等を分析しながら、若者が魅力を感じる定着性の高い企業をターゲットとして、昨年から七百社以上へのアプローチを行っているところであります。今後とも、企業訪問等の誘致活動に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
平成十九年度から企業立地促進貸付金制度の貸付限度額を大幅に拡充するとともに、市町村との連携をより強化し、企業用地の確保や基本的インフラの整備等を進めるなど、戦略的な誘致活動を展開してまいります。
次に、中小企業についてでございます。
国際化や地域間競争など厳しい経営環境を踏まえ、企業の経営革新支援や新事業創出の促進、それから地場産業の活性化を基本といたしまして政策を進めております。独自の技術、ノウハウを有する物づくり企業への支援として、民間人材による企業経営や企業の知的財産戦略の強化・支援、産学官連携による共同研究推進など、一層政策を進めてまいりたいと存じます。
また、新たな取り組みといたしまして、専門家による観光産業の経営・育成支援に取り組んでまいりたいと思います。
今後、国においても、地域資源活用促進法、地域産業活性化法等の地域経済活性化へのさまざまな取り組みが検討されており、県といたしましては、このような国の動きと連動しながら、市町村、民間事業者あるいは関係機関・団体と一丸となって、活力あふれる元気な和歌山経済の構築を図ってまいりたいと考えております。
次に、地域再生への取り組みに対する支援についてでございます。
地域再生への取り組みに対する支援については、魅力ある地域づくりを図るためには、何より地域に密着した市町村が主体的に施策を行っていく姿勢が必要不可欠であります。当然、県として地域づくりについては企業誘致あるいは観光振興を初め積極的に取り組んでいるところでありますけれども、県、市町村それぞれの取り組みが有機的に組み合わされ、全体として効果が発揮されるような仕組みづくりが必要であるかと思います。そういう意味で、昨年就任早々、こういう施策を始めるに当たりましては、市町村と意見交換をして一緒にやろうというような動きを今起こしているところでございます。
今後の地域再生の取り組みのツールについては、議員御指摘の国が打ち出した「頑張る地方応援プログラム」の活用は大変意義あるものであると思います。各市町村のプログラム策定への積極的な支援を含め、県及び市町村の連携した施策推進に努めてまいりたいと考えております。
○議長(向井嘉久藏君) 福祉保健部長小濱孝夫君。
〔小濱孝夫君、登壇〕
○福祉保健部長(小濱孝夫君) 少子化対策についてでございますが、平成十七年の本県の合計特殊出生率は一・三二で、全国平均の一・二六より若干高いものの、全国順位は第三十四位であり、また県内出生数は五年連続の減少が続くなど、本県におきましても、全国と同様、少子化の進行に歯どめがかからず、少子化対策は県政の重要かつ喫緊の課題となっており、県次世代育成支援行動計画「紀州っ子元気プラン」に基づいて、主に保育施設に重点を置いた数値目標を定めて取り組んでいるところでございます。
少子化対策は、子供の成長に応じたさまざまなニーズを有しており、出産前から出生時、育児期等、ライフステージごとに本県の実情に対応した施策を積極的に推進していく必要があると考えてございます。
平成十九年度予算案におきましても少子化対策を重点事業に位置づけ、「こうのとりサポート」として不妊に悩んでいる方々に対して不妊治療の助成制度の充実を図るとともに、新たに紀州三人っこ施策として三人以上の子供を産み育てようとする家庭への支援を行うなど、さまざまな施策を実施することとしております。
今後とも、行政だけでなく民間の方々の御意見もいただきながら、だれもが安心して産み育てることができる環境づくりを進め、子育て環境ナンバーワンの県を目指して積極的に取り組んでまいります。
次に、がん対策の推進に関する五つの御質問にお答えをいたします。
議員御指摘のとおり、平成十七年の本県のがんによる死亡率は全国ワースト五位と高く、がん対策が喫緊の課題となっております。
まず、がん対策推進計画の策定及びがん医療水準の均てん化についてですが、平成十九年度中に国が策定するがん対策推進基本計画を踏まえて県のがん対策推進計画を策定し、県内五カ所のがん診療連携拠点病院を中心にがん医療の均てん化を図るとともに、がんの予防及び早期発見の推進など、総合的ながん対策に取り組んでまいります。
次に、がん登録制度の導入についてですが、がんの罹患率や生存率等を把握するためには患者ごとのデータの登録が必要であり、県内のがん診療連携拠点病院を中心に院内がん登録実施体制の整備を図ってまいります。
次に、がん検診受診率の向上と検診の質の向上対策についてですが、本県のがん検診受診率は、例えば肺がんで言いますと肺がん検診で三二・三%であるなど、総じて全国平均を上回っておりますが、一層の受診率向上を図るため、市町村と連携してがん予防やがん検診の重要性について一層の啓発に努めるとともに、マンモグラフィーの整備など、検診体制の充実を図ってまいります。
また、県内の学識経験者等で構成する生活習慣病検診等管理指導協議会におきまして、国のガイドライン改正に対応してがん検診の実施方法等を見直すなど、質の向上を図っているところでございます。
また、放射線治療の専門家につきましては、全国的に少なく、本県のがん診療連携拠点病院等においても放射線治療に携わる医師等のレベルアップや確保が重要と考えており、県立医科大学等と連携してその育成及び充実に努めてまいります。
最後に、緩和ケアの提供体制の充実についてですが、議員御指摘のとおり、早期からがん患者の心身にわたるケアや生活の質の向上を図るため、緩和ケア提供体制の充実が必要です。そのため、がん診療連携拠点病院を中心に緩和ケア病棟の整備を図るとともに、すべてのがん患者が緩和ケアチームによるケアを受けられるよう、研修等を通じた人材養成など、緩和ケア提供体制の確保、充実に努めてまいります。
以上です。
○議長(向井嘉久藏君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育問題についてお答えいたします。
平成十七年度の本県の不登校児童生徒は、小中学校で千二百八十六人、生徒間暴力や器物損壊などの暴力行為が小・中・高等学校を合わせて七百十三件と、前年度よりわずかにふえております。いじめについては、小・中・高等学校で合計八十六件の報告がなされております。
次に、昨年全国的に発生した、いじめを苦にした自殺問題を受けて、私どもとしては、市町村の教育委員会に対して、児童生徒の日ごろの小さなサインも見逃すことなく、改めてより的確な実態の把握を行うよう指示するとともに、早期発見、早期対応のための指導の手引を新たに作成して、すべての小中学校等に配布いたしたところでございます。
また、この一月から二十四時間対応の相談電話を設置したほか、子どもと親の相談員やスクールカウンセラーを従来以上に拡充配置するなど、相談体制を充実したところです。
さらに、平成十九年度からは、落ちついた学習環境づくりを目指し、新規事業として、県独自で地域の人材十名を問題行動対策サポーターに委嘱し、配置することとしております。
こうした問題の解決には、学校がPTAや警察等と連携して取り組むことが重要であることから、過日、関係機関連携推進会議を開催いたしました。その中で、学校がいじめを根絶する取り組みを定期的に実施することのほか、保護者会でこの問題を取り上げることの必要性についても提言がなされたところであります。
申すまでもなく、家庭はすべての教育の出発点であり、人間関係に果たす役割は大変大きく、また、それを支える地域の教育力の向上が肝要であります。今後とも家庭教育の支援の充実に努めるとともに、子供だけなく、大人自身が社会性や倫理観を身につけ、ともに希望に満ちた社会を築けるよう努めてまいります。
○議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 以上で、新田和弘君の質問が終了いたしました。