平成18年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(長坂隆司議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(向井嘉久藏君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第百四十三号から議案第百六十一号まで、並びに知事専決処分報告報第八号を一括して議案とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 三十八番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして順次質問させていただきます。
 一番目に、和歌山県の医療についてであります。
 一つ目、医師の確保について。
 本年三月、和歌山県地域保健医療協議会医療対策特別委員会は、「和歌山県における医師の確保のための取り組みについて」と題して中間報告を発表されました。和歌山県内の医師数からすれば全国平均は上回っているものの、和歌山市に集中しており、県内の多くの地域で医師が不足するという地域偏在が生じており、深刻な状況であります。まさに、今後、臨床研修医に一定期間の間、僻地と言われる地域の医療機関での研修を必須にしたり、若手の勤務医に僻地での病院診療を義務づける手だてはどうしても必要ではないかと思います。
 県立医大からの派遣にも限度があり、自治医大を卒業した医師にもどんどん和歌山県へ来てもらうよう、さらに要望はしていくべきだと思います。また、開業医の力もどうしても必要であり、単に患者に対する病診連携にとどまらず、病院勤務医の過重労働や医師不足を補ってもらえるような病院における診療体制の構築も必要であります。
 早急にこうした体制を県において前向きに推し進めていただきたいと思います。それでないと、医師不足に悩む僻地の病院を統廃合せざるを得ない状況になり、余計身近な医療が過疎地では受けられなくなるというような事態に陥ってしまいます。今こそ、医師確保のために県当局は大なたを振るうべきであります。県内バランスのとれた医療が行えるよう、医師会など医療団体との連携のもと、県当局の弾力的な施策が急がれますが、いかがでしょうか。具体的な検討を、福祉保健部長、聞かせてください。
 二つ目に、ドクターヘリであります。
 我が県の僻地の医療不足を補うものとしてドクターヘリも平成十五年一月に導入されて以来、和歌山県のみならず奈良県、三重県にも飛び、大活躍であります。平成十七年六月には新生わかやま共同研究支援事業として、和歌山県での夜間ドクターヘリ運航における救命効果及び経済効率についての研究が実施されました。このときの結論としては、二十四時間運航が望ましいが、まずは段階的に時間延長していくことが妥当であるとの趣旨になっておりました。
 本年四月一日からは、ドクターヘリの運航が午前八時開始と改善されてきております。朝八時から夜八時までのまず十二時間運航にすれば、現在非対応の時間帯のうち約四〇%の適応患者に対応できると言われております。
 もちろん、現状では夜間の運航区域は限られてくると思います。騒音の問題もありますが、防災・安全面からも、和歌山県立医科大学附属病院のヘリポートに夜間照明がどうしても必要であります。将来の二十四時間運航に向けて、まずこの夜間照明設置は県内第一番目の災害拠点病院への設置として災害医療に大いに貢献していくものであります。
 ドクターヘリの午後八時までの運航延長と医大病院のヘリポートの夜間照明の設置について、ぜひとも前向きに推し進めていただきたいと思いますが、福祉保健部長、いかがですか。
 三番目に、高速道路におけるドクターヘリの活用についてであります。
 去る二月二十七日には、阪和高速道路の紀ノ川サービスエリア下り線の臨時へリポートにおいて、県、警察本部、市、消防局、西日本高速道路株式会社、県立医科大学附属病院が参加してドクターヘリの着陸検証会が行われました。組織的な取り組みとしては全国初の試みになると思われます。ヘリの離着陸時に発生する風の影響もなく、通行車両のわき見運転も見られなかったようで、今後、高速道路においてもドクターヘリが大いに活用できるのではないかという期待が膨らんだ次第です。
 ただ、下り車線では大阪側の消防の協力が必要であるし、大阪府側との協議は進んでいるのでしょうか。
 また、紀ノ川サービスエリアにおいても、ヘリポート用スペースとして一定以上の面積を確保しなければなりませんが、一部植栽を切るなど、西日本高速道路株式会社との話はどうなっていますか。
 紀ノ川サービスエリアのみならず、他のサービスエリアやパーキングエリアでのドクターヘリの離発着はいかがですか。
 以上、福祉保健部長、お答え願います。
 二点目に、防災と災害医療についてであります。
 平成七年の神戸市内における検死統計によれば、阪神・淡路大震災においては家屋の倒壊などによる圧死が死因の八割を占めるといったデータがあるようですが、ある被災者によれば、「これは誤解を与える表現であり、建物の外部がしっかりしていても家の中がぐちゃぐちゃになって、外にも出られずに屋内で亡くなった方が実に多いのに」と言っておられました。
 総務省消防庁のホームページの生活密着情報をあけてみますと、阪神・淡路大震災における震度七の地域では、住宅の全半壊を免れたにもかかわらず、全体の約六割の部屋で家具が転倒、部屋全体に散乱したという日本建築学会の住宅内部被害調査報告書のデータを紹介しております。続けて、しかもただ倒れるだけでなく、食器棚などは扉が開いて中の食器が散乱し、また冷蔵庫やピアノは移動してしまい、テレビや電子レンジが飛ぶといった、日常では考えられない現象も確認されております。つまり、建物が無事でも家具が転倒すると、その下敷きになってけがをしたり、室内が散乱状態のために延焼火災から避難がおくれてしまうなど、居住者被害も大きくなるというわけであります。前述の方によれば、実際被災した朝、寝ていたら突然体が空中に浮き上がり、目の前を家具が飛んでいき、あっという間にたんすや本棚、家電が転倒していったということです。
 大地震が発生すると、みんなが被災者になるのです。まず、地震が起きたら外へ脱出できなければなりません。家屋の耐震補強は、もちろん大事です。でも、事前対策としての屋内対策も大切であります。家では、家具などの転倒防止、上からの物の落下の防止、ガラスの飛散防止など、日ごろからでき得る事前対策を講じていなければなりません。
 また、避難道路や玄関近くに自動販売機やロッカーといった転倒したら障害物になってしまうようなものがあると、逃げおくれてしまいます。保育園、幼稚園や学校などで一番懸念されるのは、ピアノが暴走したり転倒したりして、もし幼児、児童が下敷きになったらと考えると身震いがいたします。
 病院ではどうでしょうか。阪神・淡路大震災のときも少なからずそうでした。外の建物がたとえ持ちこたえたとしても、病院内のモニター、手術機器類が固定されていなくて転倒、落下してしまう、薬はあたり一面に飛散してしまって何が何だかわからなくなるわ、注射器、注射針もばらばらになってどこへ行ったかわからなくなってしまったりして、応急治療もできなければ手術もおよそできないといった状態になるのです。そして、医療スタッフも被災者です。機械の下敷きになったらどうすることもできません。まして手術中の患者は一体どうなるのでしょうか。そして、避難先として指定されている公共施設も安全でしょうか。
 こんな悲惨な状況を最小限に食いとめるためにも、被災後の莫大な損失額を考えれば、事前対策、すなわち屋内対策は当然日ごろから講じられてしかるべきであります。
 東南海・南海大地震と同時に起こることも予想される東海大地震に備えて、愛知県や静岡県ではかなり先進的な取り組みがなされております。例えば、昨年の愛知博のときに、愛知医科大学教授、高度救命救急センターの野口宏先生の御指導のもと、救急体制を手厚くしてAEDを百台余り設置、消防署を特設し、診療所に救命医を待機させ、ドクターヘリを二分で飛んでこれるよう配置しました。開幕前、約三千人のスタッフが救命講習を受け、開幕三カ月のうちに五人が心停止で倒れましたが、うち四人は蘇生法や電気ショックで助かったそうです。
 野口先生は、日本集団災害医学会会長として震災時の転倒防止、ガラス飛散防止を熱心に説いておられますし、愛知県や静岡県では、保育園、幼稚園、そして小学校の子供たちに親子ともどもに日曜に講習日を設けて、朝、昼、夜のそれぞれの震災の発生を想定しまして、事前対策としての日ごろの注意を呼びかける取り組みも行っております。何か、東海地方に比べて東南海・南海地域の取り組みがおくれていないだろうか、危機感が足りないのではないかと思えてしまいます。
 和歌山県の災害医療についてでありますが、以前、平成十四年九月議会において災害医療のための毎年の訓練の必要性をお尋ねしたことがありましたが、まさに医療の防災体制とは、災害時に被災患者を迎えられる体制、事前対策を整えておくことが肝要であります。せめて医大附属病院、日赤医療センターを初めとする県八つの災害拠点病院には、モニターなど機械の固定の検証に真剣に取りかかるべきだと思います。ドクターヘリをもっと活用した広域搬送訓練も必要でしょう。
 この九月二十二日金曜日──きょうですね──十三時より県立医大でトリアージや応急処置などの体験型訓練を行い、災害拠点病院、災害支援病院、医師会、病院協会及び保健所などが参加して各医療チームの点数を競うメディカルラリーも行うと聞いておりますが、総合防災訓練の中でも、病院の医療機能が麻痺する事態に陥らないような災害医療に比重を置いた訓練が望まれます。
 そこで質問に移りますが、一点目、災害医療先進県と言われる愛知県や静岡県と比べた和歌山県の災害医療にかかわる予算配分の比較を、福祉保健部長、聞かせてください。
 二番目に、阪神・淡路大震災時の大地震時の経験にかんがみて、被害、特に人的被害を最小限に食いとめるために事前対策は必要であります。事前の備えについて、今後県は、啓発活動はもちろんのこと、公共施設などの屋内の転倒防止対策、物の落下防止対策、そしてガラス飛散防止対策など速やかな対策を講じていくべきだと思いますが、危機管理監、いかがですか。
 三点目、災害拠点病院における大地震発生時のための事前対策について、福祉保健部長に県の取り組みをお伺いいたします。
 四点目、県内八つの災害拠点病院の幾つかも耐震補強がおくれていると聞いております。災害医療対策について、ハード対策も重要ですが、計画策定、災害医療教育、訓練などソフト対策についての取り組みを、また福祉保健部長、お聞かせください。
 五点目に、また、大震災時には集団救急体制が要求されます。医大病院、日赤といった総合災害医療センターで大震災時どれくらいの患者の対応が可能ですか。福祉保健部長にお伺いいたします。
 三点目に、和歌山県農業大学校についてお伺いいたします。
 JR和歌山線中飯降駅から徒歩約十分の緑に囲まれた高台に、全寮制の和歌山県農業大学校があります。昭和四十六年四月発足、「二十一世紀を生き抜く農業の振興を目指して、その担い手にふさわしいグローバルな視野と先端技術を駆使した専門知識及び技術に加えて、経営感覚を持った後継者並びに農村地域における中核的指導者の養成と農業者及び小・中・高校生を含めた一般県民を対象とした幅広い研修を行い、本県農業の振興及び地域社会発展に寄与するものとする」という目的のもと、これまで千三百名の卒業生を生み出しております。
 さらに、平成十八年四月一日から、当校は農業研修施設であるとともに、文部科学省の学校教育法に基づく専門課程二年制の専修学校に生まれ変わりました。外来講師陣も、県のみならず、大学、企業など、バラエティーに富んだ先生方を招聘されております。平成十八年度より社会人対象に農業技術訓練課程が新設され、将来の高度専門課程の新設も視野に入れていると伺っております。
 近畿大学生物理工学部生物工学科の仁藤伸昌教授が座長になって、県農業大学校あり方検討会において県農業大学校の今後の方向性を鋭意検討いただいております。その中で、「農業後継者及び農村地域の指導者養成を目的とする教育機関、技術経営の研修機関としての機能はもとより、農業を取り巻く文化の担い手、推進役としての機関である」というのと、「農業の多様な担い手の育成確保とともに、若者に対する高等教育機関、社会人に対する農業技術、文化の伝承継承機関としての情報発信源の役割を担っている」というまとめがあります。今後に期待の持てる意味合いを感じます。
 和歌山県は日本有数の農業県で、梅、柿、ミカンを初め、全国トップクラスの果樹王国と言うべき農産物資源を持ち合わせながら、文部科学省所管の高等教育機関としての大学に、残念ながら農学部がありません。和歌山県の農業関係従事者の技術レベルは全国的に見て非常に高いと言われています。だからこそ、県農業大学校の今までの和歌山県に対する貢献を評価すべきであるとともに、農家の後継者づくりにもっと活用しながら、今後、和歌山県の農産物資源、そしてこれまでの研究成果を教育研究機関として大いに生かして発展させ、一つの産業振興を果たしていく役割を担っていただけるのではないかと思います。
 県農業大学校において、この農産物資源を加工してもっと広く老若男女にさらにおいしく食してもらえるような加工食品を生み出していく研究、また要介護老人をできるだけ生み出さないための若いときからの身体の健康に留意した機能性食品、医薬品をつくり出していく研究にも取り組んでいただいて、そういった研究の中から、ひいては若者の雇用創出ができる企業を誘致、そして新たに企業を生み出していけるような学び舎にしていってもいいのではないでしょうか。
 ぜひ、和歌山県の農業と、そして農業から派生する生命科学、生物工学分野の研究の核として、県の農林水産総合技術センターや各試験研究機関、工業技術センターやJA、企業、そして和歌山大学、和歌山県立医科大学及び近畿大学生物理工学部などと連携を深めながら県農業大学校をさらに活用して、研修施設にとどまらず、もっと領域を広げていただきたいと思いますが、農林水産部長、いかがですか。
 四点目に、イノシシ対策についてであります。
 今議会、私で三人目でありますが、地域ごと状況も異なると思いますので、質問させていただきます。
 イノシシ被害については、平成十六年十二月議会、十七年の二月定例会と二度にわたって質問をさせていただきました。平成十六年と言えば、相次ぐ台風の襲来と暑い夏の日が続いた年でありましたが、春先のタケノコ被害のみならず、秋の実りを迎えた十月初めに各地でイノシシにより野菜畑を踏み荒らされたり、黄色く色づき甘くなりかけて収穫を間近に控えたミカンの実が食われたり、稲刈り直前に田んぼに入られて大被害をこうむることが多い年でありました。
 そこで、平成十七年度予算において、有害捕獲を一層推進するということで、市町村がイノシシ用おりを購入する者について一台につき二分の一、五万円を限度として補助、捕獲許可期間も「三十日以内」から「三カ月以内」に、一人当たり捕獲頭数についても「一頭以内」から「必要最小限」に、有害鳥獣捕獲の従事者の要件についても「五年以上の狩猟経験を有する者」から「三年以上」へといった緩和を進めていただきました。しかし残念ながら、和歌山市内でも、イノシシは減少するどころか、どうもふえているみたいであります。
 この夏も、殊のほか暑い炎天下の雨が降らない日が続きましたが、お盆明けに名草山の東側、広原地区からお電話をいただき、名草山中腹にある墓地を見に行きましたところ、墓石は倒されるわ、墓地の根元は掘られているわ、何とも罰当たりな状況で、農道沿いの植物の根も掘り崩されておりました。その後、軽トラックで農道を奥へ進みますと、沿道ののり面には掘り散らかした跡、農道のわきも一部掘り崩されたところがありました。ほうっておいたら土砂崩れが起きるのではないかと思われました。ミカン畑に着いてあたりを見渡すと、九割方のミカンの木の根元が掘り返され、若い根が表面に出ていたり、木自体が枯れかけた状態で、はかり知れない被害状況でありました。今までは、真夏の時期の被害は余りなかったということです。
 それから間もなくして、名草山の西側、三葛、紀三井寺地区側の西国三十三番第二番札所の観音霊場・紀三井寺の三井水の一つ、吉祥水がイノシシのふんで水質が悪化して大腸菌が検出されたと新聞報道もされました。紀三井寺地区の方々からも、「今までイノシシの話なんか聞いたこともなかったのに、新聞記事を見てびっくりした。どうなってるのか」というお問い合わせもいただきました。現場を見ますと、吉祥水のわき水のところへ上る階段の右側の竹やぶはイノシシの絶好の隠れ場所でもあり、イノシシに掘り返された跡や、イノシシのものかどうかはわかりませんが、けもの特有のふんのにおいが漂っていました。
 先週、和歌山市が水質再検査を行ったところ、また大腸菌が検出されたようであります。聞けば、名草山西側の三葛、紀三井寺地区にもここ数年かなり出没しているとのことで、市の農林水産課もたくさんのイノシシ出没に頭を抱えており、先日、「名草山一帯で何百頭もいるのではないか。ここ五年間これだけ被害が激しいので、平成十八年度より農家の届けがなくても有害捕獲可能な予察捕獲を行っているのだが、今年度になって六月から八月三十一日までの三カ月間で二十一頭捕獲したとはいえ、まだまだ満足できない」と言われておりました。
 名草山は、頂上付近からの風景は絶景で、山菜摘みなどでハイキングで登ってこられる一般の方も多く、くくりわなの設置も制限せざるを得ないし、箱わな同様に猟犬がかかってしまうこともあるようです。もともと最近までイノシシなどいなかった名草山でありますから、地元にハンターもほとんどいなくて、猟友会の皆様にも協力いただきながら有害捕獲、そして山の東側だけ認められている猟期の猟銃での捕獲もなされています。
 和歌山市当局も名草山からイノシシを一掃して根絶したい意向でありますが、「三十人ぐらいのハンターが必要ではないか。それも、一致協力してかからないと根絶やしにはできない」とのお話でした。
 九月に入って間もなく、今度は山口地区の湯屋谷の田んぼに、それもあと数週間で稲の刈り入れという時期にイノシシが侵入して、通ったところに大きな穴を幾つもつくっておりました。ここもあたりに竹やぶが多く、近所の住民もすぐ近くをイノシシが歩いているのを見かけたことがあるとおっしゃっていました。防護さくで一帯を囲い込んでいるにもかかわらず、飛び越えたり、少しでもつくりの弱いところがあると無理やり壊して入ってしまうようです。
 もちろん、イノシシの被害はこれだけではないでしょう。ことしの夏、県内各地で、気象条件も手伝って人間の生活圏内に頻繁に出没していることが容易に推察されます。このままでは、捕獲頭数より繁殖頭数の方がずっと多くなるばかりであります。各市町村も数多い被害対策に追われて頭を抱えるばかりであります。
 県当局におかれましては捕獲について実効ある早急な対応をお願いしたいと思いますが、いかがですか。環境生活部長、お答えいただきたいと思います。
 以上四点、一般質問をさせていただきました。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 福祉保健部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○福祉保健部長(小濱孝夫君) 和歌山県の医療についての御質問のうち、まず医師の確保についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、本県においても医師の地域偏在や診療科偏在が著しい状況にあることから、県といたしましては、自治医科大学制度に加え、わかやまドクターバンク制度や医師修学資金制度、医師求人情報ホームページの開設など、さまざまな医師確保対策に取り組んでいるところでございます。
 しかしながら、医師不足が一層深刻化し、早急な対策が必要なことから、新たに地域医療支援事業を創設し、診療体制の維持が困難となった中核的医療機関への医師供給を初め、医師の定着を図るため、医療機関に対し勤務環境の改善指導や地域医療に従事する医師の支援策の実施などを県立医科大学に委託することといたしております。
 また、議員御提案のとおり、医師臨床研修制度におけるカリキュラムを見直し、僻地を含む医師不足地域の医療機関での一定期間の研修を義務づけることなどにつきましては、去る六月、知事を先頭に、厚生労働省に対し強く提案、要望したところでございます。
 今後とも、県民が安心して医療を受けられるよう、病院の機能分担や診療所との連携体制など、地域における効果的、効率的な医療提供体制の構築に取り組んでまいります。
 次に、ドクターヘリの運航時間延長と夜間照明についてでございます。
 現在、県立医科大学附属病院のヘリポートには固定の照明装置は設置しておりませんが、災害時には、防災ヘリ等の離着陸のため、簡易形式の照明装置を使用することといたしております。
 ドクターヘリの運航は段階的に時間延長していくことが望ましいと考えておりますが、安全面を最優先するという観点から、現在は日中の運航しか認められていないのが実情です。
 経費面、人的体制や騒音による影響など課題もありますので、時間延長については、夜間照明の設置も含め、今後も引き続き検討してまいります。
 次に、高速道路のヘリコプターの活用につきましては、昨年八月十八日付で国の関係省庁による通達が出され、運用の暫定案が示されたことから、本県においても高速道路におけるヘリコプター離着陸が円滑かつ効果的に実施できるよう、医大や運航委託会社、消防、警察、道路会社等の関係機関が協議を開始しております。
 本年二月には、阪和自動車道の紀ノ川サービスエリアにおいて関係機関の参加による検証会が実施され、今秋には大阪府側の消防機関を含む関係機関の訓練が予定されております。また、ヘリポート用スペースについては、道路会社が植栽を移設することになっております。
 なお、今後は紀南地方の印南サービスエリアなどでも離着陸ができるよう、関係機関と検討してまいります。
 次に、防災と災害医療についてお答えいたします。
 まず、災害医療にかかわる先進県との予算配分の比較につきましては、平成十八年度予算においては、愛知県は災害拠点病院の整備に要する経費など約一億一千七百万円を計上しております。一方、静岡県の予算額は約一千六百万円となっておりますが、これは既に整備が進んでいることによるものでございます。
 本県の平成十八年度予算額は、災害拠点病院の設備整備や医療機関の耐震診断補助などに約二千三百万円を計上しており、平成九年度から十年間の合計では八億円以上の経費を投入しております。今後とも、安全で安心な和歌山の実現に努めてまいります。
 次に、災害拠点病院における事前対策についてですが、議員御指摘のように、災害発生時には病院内の医療機器等の転倒などが想定されることから、特に災害拠点病院においては事前に転倒防止策を講じておく必要があります。
 県といたしましては、災害拠点病院や医師会、病院協会を中心に構成する災害医療対策会議等において具体的な転倒防止策について研究するとともに、災害拠点病院に対しても適切な措置を講じるよう指導してまいります。
 次に、災害医療におけるソフト対策についてでございますが、災害医療の教育及び訓練につきましては、災害時に医療救護活動を円滑に行うことができるよう、本県の総合災害医療センターである県立医科大学と日赤において、災害拠点病院等の医療従事者を対象とする研修会を毎年開催しております。この研修会では、講義だけでなく、参加者が実際に訓練に参加し、トリアージや救急蘇生法を修得できるよう、実践的な内容となっております。
 今後、保健医療計画の見直しにあわせてハード・ソフトの両面にわたる災害医療体制の計画的な整備について検討を進めるなど、災害医療について一層の対策を講じてまいります。
 次に、総合災害医療センターの集団救急体制についてですが、県では、災害時医療救護活動の中核施設として、県立医科大学及び日赤の二病院を県内全域をカバーする総合災害医療センターに指定しております。
 大災害発生時には、両病院を中心とする大規模な集団救急体制が要求されますが、現時点では両病院合わせて五百名程度の患者受け入れが可能な体制が整備されております。
 以上でございます。
○議長(向井嘉久藏君) 危機管理監石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○危機管理監(石橋秀彦君) 公共施設等の災害に備えた事前対策についてお答えを申し上げます。
 お話のように、災害時、震災時、屋内での家具等の転倒防止対策は、地震被害の軽減化を進める上で大変重要な課題であると認識しており、防災講座など機会あるごとに県民に対し啓発に努めているところであります。
 また、いざ地震が発生した際に行政が即応できるためには、庁舎等施設の被害をできるだけ軽減する必要があり、そのためには、耐震化だけではなく備品などの転倒防止が欠かせず、職場研修等を通じて取り組みを促しているところであります。
 今後、庁舎管理担当部局と連携しながら、一層の徹底を図ってまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(向井嘉久藏君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 農業大学校についてお尋ねがございました。
 農業大学校につきましては、農業後継者及び農村地域の指導者等を養成する研修教育機関でございまして、開校以来今日まで、多くの卒業生の方々が本県農業の中核を担っていただいてございます。
 議員のお話にもございましたように、今年度から社会人課程を新設いたしまして多様な担い手の育成に努めるとともに、専修学校に移行するなど、学生の卒業後の進路選択の拡大を図ったところでございます。
 今や、農業経営におきましても、バイオテクノロジー、情報処理といった幅広い知識、また先端的な技術といったものが求められるところでございます。近隣する大学等の協力、また試験研究機関との連携を深めながら、こうした時代の要請にこたえられる農業大学校として、今後とも有識者の御意見もお聞きする中で、その研修教育内容のさらなる充実を図ってまいりたい、このように考えてございます。
○議長(向井嘉久藏君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) イノシシ対策についてお答え申し上げます。
 この問題につきましては、県内各地域におけるイノシシによる農作物等への被害の深刻さと、その対策の重要性を改めて痛感しているところでございます。
 議員御指摘のとおり、有害鳥獣捕獲の有効性にかんがみまして、市町村が行う有害捕獲に対し、捕獲に要する経費や捕獲用のおりの購入に要する経費に対し補助を行ってきたところでございますが、イノシシによる農作物被害が深刻となっていることを踏まえまして、平成十七年度から有害捕獲許可を受ける従事者に必要な狩猟経験年数の条件を緩和するとともに、イノシシの捕獲許可日数や一人当たりの捕獲数を拡充するなど、許可基準の見直しを行ったところでございます。その結果、平成十七年度の有害捕獲数は、平成十六年度の一・三倍に当たる約千六百頭を捕獲することができました。
 また、平成十七年度の狩猟による捕獲数は、三カ月間で約五千二百頭を捕獲しており、狩猟による捕獲もイノシシの個体数を減ずるため有効な方法でございます。
 そのため、今年度、イノシシ保護管理検討会を立ち上げまして、イノシシに係る特定鳥獣保護管理計画を策定し、狩猟期間を延長するとともに、特に被害を受けております農業者みずからがイノシシを捕獲するための狩猟免許の取得の啓発を行いまして、免許所持者の増加を図るなどの対策の検討を始めたところでございます。
 今後は、この検討会の検討結果を踏まえまして特定鳥獣保護管理計画の策定作業を迅速に進めるとともに、引き続き市町村、関係団体との連携を図りながら、より一層の捕獲を推進してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十八番長坂隆司君。
○長坂隆司君 御答弁いただきました。
 大地震に備えた屋内対策、これ、本当に大事なことだと思います。特に病院。ふだんから心がけておかないと、被災時に一番機能してもらわなければいけないところが機能停止に陥っていたらどうしようもありません。
 それと、学校のあの大きなグランドピアノ、本当に恐ろしい凶器になりかねません。教育委員会におかれましても学校施設の事前対策をよろしくお願いします。
 一つ提案なんですけど、県のホームページにも写真入りで特集コーナーを設けても啓発にいいかもしれないなと、一つ提案さしていただきます。
 県農業大学校ですが、今は研修教育機関でありますが、御答弁にありましたとおり、これからの農業経営には幅広い知識や技術が求められます。せっかくの和歌山県の誇るべき農産物資源を生かすため、ぜひ時代の要請にこたえるために、教育研究機関としても発展を遂げられるよう、引き続き農業大学校のあり方を前向きに検討いただきたいと思います。
 そして、イノシシ被害。本当に多いです。先日、テレビで、神戸市において六甲山のふもとにおりてきて、墓は荒らされるわ、四匹家族が仲よく門から堂々と家に入ってきたと、そんな話もあれば、九月の十九日早朝、広島県呉市で七十歳の男性が畑でわなで捕獲された手負いのイノシシに襲われてかまれて──かまれたっていうんですね──死亡したという報道がありました。
 猟友会──ハンターの方以外の被害に遭われた農家の方々を初め、一般の方々へも有害捕獲、狩猟の資格者を広げるように、一層の要件の緩和、ぜひ御検討いただきたいと思います。
 食べていくため、生きていくためにはどこの世界も大変であります。生死のかかったイノシシの山下り、増繁殖に対しては国の力もぜひおかりして、県、市町村、地域住民、そして猟友会など、協力団体の一致協力した一掃大作戦がそれこそ行えるように早急な対策をどうかよろしくお願い申し上げます。
 以上、要望させていただいて、私の一般質問を終わります。
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。

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