平成18年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(藤山将材議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(向井嘉久藏君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第百四十三号から議案第百六十一号まで、並びに知事専決処分報告報第八号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 九番藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕(拍手)
○藤山将材君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、早速、質問に入りたいと思います。
 まず一点目、和歌山─海南間の道路網について、以下二点にわたって質問さしていただきます。
 まず、国道四十二号線の紀三井寺─海南間渋滞緩和のための幹線道路の必要性についてお尋ねをいたします。
 皆様も御承知のとおり、和歌山県は紀伊半島の西半分に位置しており、南部は非常に起伏のある美しい海岸線、それから陸側は豊かな山々の緑に恵まれております。しかし、その地理的な制約から道路網の整備がおくれており、改良率は全国各県と比べますと下から二番目の約五〇%で、やっと二十五年前の全国平均値といった状況であります。
 ただ、前回シーニック・バイウェイについて質問さしていただいたときも申し上げましたが、新宮から旧金屋までを抜ける本県東部を縦貫する路線や、また、和歌山・紀北地方では西脇山口線、湊神前線、南港山東線、北バイパス、紀の国大橋、国道二十四号の紀州大橋の四車線化など、各所で工事が進められ、所によっては道路網が大分整備されつつあると実感できるようになってまいりました。
 さて、今さら申し上げるまでもないことですが、和歌山市は県下最大の人口を抱える経済、産業の集積地であり、県文化の中心でもあり、通勤や買い物、流通、文化活動等、周辺地域からの行き来が多く、これらの動きをスムーズにする道路網整備は、県経済の活力並びに安全で快適な暮らしの確保においても重要であります。
 和歌山市街地への交通の流れは大体三つに分けることができると思われますが、一つ目は泉南等の大阪方面からのルート、二つ目は紀の川筋方面からのルート、そして三つ目は新宮、田辺、日高、有田等の紀南方面からのルートであります。このうち紀南方面、すなわち海南市から南に位置する地域からの交通は、すべて海南市内を通過して和歌山市街地へ入っていくこととなります。いわば、海南市はエントランスホールのような役割を果たしていると言えます。
 ところが、この和歌山市と海南市を結ぶ道路網が、どう考えても脆弱であると言わざるを得ないのではないでしょうか。和歌山市と海南市を結ぶ道路としては、紀三井寺を通過する国道四十二号線、そしてマリーナシティを経由して和歌川沿いを走る和歌山市道があります。そのほかには県道が七本あるわけでありますが、これらはすべて曲がりくねり、幅が狭く、スムーズに車の対向もできない状況で、中には車一台がやっとという広さの道路もあり、和歌山─海南間の県道は、どれ一つまともに幹線道路としての機能を果たしていないと言っても過言ではないと思います。唯一整備されている国道四十二号線も、紀三井寺付近では一日に四万台を超える通行があり、特に朝の通勤・通学時には慢性的に大渋滞を引き起こしている状態であります。
 国勢調査結果によりますと、和歌山市への通勤・通学者の数は、海南市、紀美野町、有田方面からが約一万一千人で、岩出市、紀の川市方面からは約一万五千人となっており、さほど大きくは変わらない状況でありますが、海南市東部及び紀美野町方面からは公共交通機関がバスしかなく、それも渋滞により時間が読めず、紀勢線への連絡が不安であるがゆえ、マイカーでの通勤の割合がかなり高いものと思われます。
 また、和歌山─海南間を結ぶそれぞれの道路の渋滞状況を見てみますと、国道四十二号線は紀三井寺付近を先頭に海南市まで、県道小野田内原線は国道四十二号線との布引の交差点から羽鳥橋付近まで、そして秋月海南線は多田地内の紺屋橋付近など、至るところで慢性的な渋滞を引き起こしております。
 経済的にも結びつきの強い和歌山─海南間にあって、輸送のかなめとなる道路網がこの状況では、観光はおろか、和雑貨、漆器、家具、繊維といった地場産業の活性化にも少なからず支障を来していると思うのは私だけでしょうか。私は、県経済の活力並びに安全で快適な暮らしの確保において、国道四十二号線の紀三井寺─海南間の渋滞緩和策を早急に図ることが必要と考えます。
 現在、海南市内において国道三百七十号線の阪井バイパスや日方大野中藤白線などの整備事業を進めていただいているところでありますが、これらを走る車もほとんどが国道四十二号線に流れ込むしかないわけでありますので、そういった観点から、将来的にも和歌山と海南を結ぶ幹線道路を国道四十二号一本に頼るのは非常に無理があると思います。そこで、国道四十二号線を補う幹線道路の整備が必要であると考えますが、いかがでしょうか。県土整備部長にお伺いをいたします。
 次に二番目として、海南東部から和歌山市への道路整備についてお伺いをいたします。
 現在、紀の川市及び紀美野町方面から海南市を通過して和歌山市街地へ入るルートは、海南市東部の国道三百七十号線の野上新橋を経て紀陽銀行海南東支店前の交差点、小野田地内を通過し、亀の川紺屋橋に至り、安原小学校、竈山神社付近を経て和歌山市街地へと向かうルートがよくとられているようであります。ところが、この中で、先ほども申し上げましたが、特に海南市多田地内の亀の川紺屋橋付近では、通行量も多い上に、車が対向できないほど幅員が狭く、朝夕の通勤・通学時だけでなく、毎日渋滞が発生し、通行の安全上も問題がある状態であります。さらに、幅員が狭く見通しのきかないカーブ半ばにボトルネック部が存在する箇所があるなど、非常に危険でもあります。
 そこで、通行量が多いにもかかわらず未整備状態である紺屋橋付近から竈山神社付近までの間において、渋滞緩和策及び安全を確保するために整備が必要と考えますが、いかがでしょうか。県土整備部長にお尋ねをいたします。
 次に二番目といたしまして、国道三百七十号線の阪井から沖野々間の渋滞の緩和策についてお尋ねをいたします。
 先ほども触れましたが、国道三百七十号線は海南、紀美野町地域に住む者にとって必要不可欠な生活道路であります。また、観光の面においては、カジカが鳴き、蛍が舞うなどすばらしい自然景観があるほか、チューリップ園やひまわり園、天文台、それに温泉地もある上、貴志川ではアユ釣りやアメノウオ釣りができるなど、高野山への参拝とセットで自然景観を楽しみ、また体験観光もできるといった大変ロケーションの整った可能性を秘めたルートであります。ところが、現在整備促進に取り組んでいただいております阪井バイパスの進捗がどうも余り図られていないという状況かと思います。地元住民の方々の御意見を十分にお聞きしながら、整備促進を図っていただきたいと切にお願いするところであります。
 それとともに、今回は計画全体の進捗とあわせて当地域の渋滞緩和策について一つ提案をさしていただきたいと思います。
 現在、このルートで最も渋滞が激しいのが、貴志川の新橋交差点から紀陽銀行海南東支店前の交差点までの一・一キロメートルと同交差点から龍部池付近までの一・三キロメートルの合計二・四キロメートルであります。大体、和歌山駅から汀丁の交差点ぐらいまでの間を、海南市の東部で毎朝渋滞をしておるわけであります。
 この渋滞の解消策として、阪井バイパスの東半分と国道四百二十四号線の木津バイパスの整備を進めてはいかがでしょうか。そうすることによって、海南市街地方面への車は、木津バイパス、阪井バイパスにより亀池遊園の手前まで進むことができることになります。一方で、和歌山市方面へ向かう車は、現道の三百七十号線によるか、木津バイパスから阪井バイパスを経て紀陽銀行海南東支店前から沖野々森小手穂線に入るかすることができるのであります。つまり、現在の紀陽銀行海南東支店前の信号の右折だまりでの渋滞を迂回させることで渋滞を緩和できると考えるわけですが、いかがでしょうか。阪井バイパス計画全体の進捗を図る上でも一考の余地があると思いますが、県土整備部長のお考えをお聞かせください。
 次に三番目、医師確保対策についてお尋ねをいたします。
 現在、和歌山県の人口十万人当たりの医師数は約二百三十七人で、全国平均の二百一人を上回っているものの、全体の五〇%超が和歌山市に集中している状況であります。また、勤務体制が苛酷なこと、診療報酬上の評価が不足していることなどから、小児科は和歌山、那賀、田辺医療圏を除き全国平均以下、また産婦人科、麻酔科に至っては、和歌山医療圏を除き全国平均以下となっております。さらには、人口十万人当たりの診療所数が百三と全国でトップであることからもわかりますように、開業志向も強いようであります。
 こうしたことから、和歌山県内における医師は、地域における偏在、診療科の偏在、病院勤務医の不足が大きな課題になっており、一部の医療機関においては医療法に定めるところの標準医師数を満たせず、医療体制の維持に苦慮している状況にあるところもあると聞いております。
 医師不足の影響により、公立那賀病院においては一般内科の休診がありましたし、新宮市立医療センターの内科では、苦肉の策とも言うべきでしょうが、新規患者については原則として紹介状による外来診療のみに切りかえられたと聞いております。地元でもあります海南市民病院の産婦人科は数年間休診状態であり、国保野上厚生総合病院では、産婦人科、小児科もないといったかなりの医師不足に悩んでいる状況かと思います。
 こうした医師不足に対応するため、県でもドクターバンク制度等対策を講じていただいているところでありますが、現状とそれぞれの対策の成果についてお聞かせください。
 また、新たな取り組みとして、今議会には県立医科大学に対して効率的な地域医療支援体制づくりを委託する予算案が上程されておりますが、県としてこれによりどの程度の効果を見込んでいるのか、お伺いをいたします。
 国では新医師確保総合対策を取りまとめたところですが、本県においても、例えば医大における入学試験の地域枠の拡充や地域医療に従事する意志を有する人を対象としました入学枠の設定など、より一層総合的な対策を進める必要があるのではないでしょうか。県が積極的に取り組んでいる人口対策の一環としても必要だと考えますが、いかがですか。
 以上、三点について福祉保健部長のお考えをお聞かせください。
 最後に、地震防災対策について要望を申し上げたいと思います。
 東南海・南海地震が発生すれば、串本、田辺に続き、海南市の沿岸地域は津波による大被害が予測されております。海南市を例に挙げさしていただけば、津波による浸水地域には四千九百世帯、一万三千人が居住する市街地と商店街があり、臨海部には電力、鉄鋼、石油等の企業が立地していることから、地震はもとより津波による甚大な被害が予測されています。また、当地域においては、近いところでは昭和南海地震やチリ津波により大きな被害を受けていることから、津波対策について地域住民や臨海部企業の関心はかなり高い地域でもあります。
 あくまでも国の試算の一つでありますが、海南市の現況被害額について、埋立地の液状化により施設が沈下し津波が越流してくることを仮定した場合は五千億程度でありますが、水門、堤防の処置や液状化対策を行った対策後の被害額は百億円程度にまで大幅に減らすことができると聞いております。
 しかしながら、我が県における海岸防災関係の年間予算は十億円であり、国全体の海岸予算も事業費ベースで千二百億円でありますので、大変厳しい状況であるとは思いますが、効果額は大変大きいものであります。
 これまでは、自分の命と財産は自分で守る、地域の安全は地域で守るという認識のもと、主としてソフト対策に軸足を置いて取り組んでこられましたが、そろそろハード対策にも取り組むべきときが来ていると考えます。
 県としても、公共施設や企業等の集積地域で甚大な被害の発生が懸念される地域の対策が必要であると十分認識をされているとは思いますが、全県下的に広範囲な上、財政的にも大変負担の大きいことは十分承知をしております。しかし、タイムリミットは確実に迫ってきておりますので、自治体と地域住民や臨海企業とが一つになって、こうした水門、堤防の処置、液状化対策など、人を守る、町を守る事業の実現を図り、さらには国に対しても整備費の確保を強く働きかけていくべきだと思いますので、要望さしていただきます。
 以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの藤山将材君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 道路問題についてお尋ねがありました。
 まず、国道四十二号紀三井寺─海南間についてお答えをいたします。
 国道四十二号紀三井寺交差点は海南市方面から和歌山市に至る主要ルート上の隘路であり、これまでも国土交通省が交差点の部分改良を行ってきたところですが、さらなる対策の実施を求めてまいります。
 御提言の和歌山─海南間の幹線道路の整備につきましては、現在、和歌山市神前地内で整備を進めております都市計画道路松島本渡線の南伸及び海南市内の都市計画道路岡田大野中線がその機能を果たすものと考えられますが、整備については、厳しい財政状況を踏まえ、今後、既存ネットの中で優先度を考慮しながら、段階的かつ効率的な整備を検討してまいります。
 次に、海南東部から和歌山市への道路整備につきましては、和歌山市中心市街地への流入部に当たる幹線道路として、都市計画道路南港山東線、湊神前線、松島本渡線及び県道三田三葛線等の整備を進めてきたところであり、南港山東線につきましては、ことし八月に和田川を渡る六百メーターの区間を供用し、十一月にはさらに東に五百メーターの区間を供用する予定であります。
 また、和歌山─海南間に関係する道路として、現在、県道岩出海南線、和歌山野上線など四路線、六カ所で現道拡幅を進めております。
 議員御指摘の区間については、今後、関連する道路網の中で優先度を考慮しながら、特に狭隘な箇所、危険箇所などのネック区間を重点に整備に取り組んでまいります。
 次に、国道三百七十号の渋滞緩和についてお答えをいたします。
 国道三百七十号阪井バイパスについては、平成十七年に新規事業着手し、現道が狭隘でセンターラインがなく大型車が対向しにくい箇所を早期に解消するため、龍部池側から整備を進める方針で、現在、現地調査等を行っている状況であります。
 議員御指摘のような逆側からの整備手順の考え方もあり、今後の事業展開については、地元や海南市の意見も踏まえ、調整・検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(向井嘉久藏君) 福祉保健部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○福祉保健部長(小濱孝夫君) 医師確保対策について、現状とこれまでの成果、地域医療支援の内容と効果、及び県立医大における地域枠の拡充等について一括してお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、本県においても医師の地域偏在や診療科偏在、病院勤務医の不足が大きな課題となっております。県といたしましては、これまで六十八名の医師が地域医療に貢献してきた自治医大制度を初めさまざまな医師確保対策に取り組んでいるところですが、平成十七年度に創設した和歌山ドクターバンク制度につきましては、数名の照会があり、そのうち一名の採用を内定したところでございます。
 また、県内の臨床研修医につきましては、平成十六年度以降、四十八名、五十七名、六十名と増加傾向にあるなど、確保対策が徐々にその効果を上げていると考えております。
 また、今議会に補正予算をお願いしております地域医療支援事業につきましては、一層深刻化する県内の医師不足に対応するため、医師供給など、地域医療を支援するための新たな仕組みづくりを和歌山県立医科大学に委託するものです。
 事業効果といたしましては、医師不足により診療体制の維持が困難となった中核的医療機関へ緊急避難的な医師供給などを行うことにより、地域の医療体制の維持・確保ができるものと考えております。
 議員御提案の県立医科大学における入学試験の地域枠の拡充や地域医療を志向する者を対象とする入学枠の設定を含め、今後とも効果的な医師確保対策について、県立医大等関係機関と連携して研究してまいりたいと考えております。
○議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。――再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 以上で、藤山将材君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ