平成18年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午前十時三分開議
○議長(向井嘉久藏君) これより本日の会議を開きます。
日程に先立ち、報告いたします。
九月十二日の悠仁親王殿下御命名の儀に対し、県議会として賀詞を奉呈いたしました。また、お印が高野槇ということで、本県にとっては非常に光栄なことでございます。
日程第一、議案第百四十三号から議案第百六十一号まで、並びに知事専決処分報告報第八号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
三十二番中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 九月定例県議会におきまして、冒頭、質問をさせていただきます。
まず、このたびの秋篠宮悠仁親王殿下の御誕生を県民の皆様とともにお喜びを申し上げたいと思います。和歌山県ゆかりの親王様が、お名前のとおり、ゆったりと長く人生を歩まれますよう、健やかな御成長をお祈り申し上げます。
さて、予定にはありませんでしたが、本日、朝日新聞朝刊一面に、県が二〇〇四年に発注しました国道三百七十一号(仮称・平瀬トンネル)におきまして中堅ゼネコンのハザマなど三社のJVが談合・受注したとして、和歌山県庁に捜索が入ることが報道されています。まことに残念なことでありますが、真実はいかがか。知事にこの状況について御説明をいただきたいというふうに思います。
それでは、通告に従い、一般質問を行ってまいります。
さて、自由民主党総裁選挙は、本日午後、議員による投票の後、党員票とともに開票され、新しい総理、次期総裁が選出されます。私も党員として、新しい総理総裁には、日本国の輝かしい未来建設のため、大いに活躍を期待いたしております。勇退される小泉総理が推し進めてきた構造改革は大きな成果を上げ、国民の高い評価を受けたことから、どなたが当選しても次期政権にその精神が引き継がれることは確実であります。
そこで、木村知事は、就任以来、真の分権型国家実現のため積極的な活動をされてきましたが、新しい政権に対し、地方分権推進の立場から何を期待し、どのような働きかけをされるのか、お考えをお聞かせ願います。
次に、健康対策について伺います。
今回、改めて本県の医療費を調べましたところ、平成十四年の推計で三千百億円を超えていることがわかり、大変驚きました。これをゼロにするわけにはいきませんが、少しでも減らしていくことが本県医療政策の一番の目標ではないかと思います。この視点に立って、以下、質問を行ってまいります。
厚生労働省は、九月八日、平成十七年人口動態統計(確定数)を発表いたしました。それによりますと、出生数と死亡数の差である人口の自然増加数はマイナス二万一千二百六十六人となり、明治三十二年の統計開始以来、初めて日本の人口が自然減少に転じたことが確定しました。平成十七年の出生数は百六万二千五百三十人で、前年比四万八千百九十一人の減少となり、五年連続して減少しています。一方、死亡数は百八万三千七百九十六人と、前年比五万五千百九十四人増加しました。死因の一位はがんの三十二万五千九百四十一人で、死亡総数の三〇・一%を占めました。改めてがんの恐ろしさを感じるとともに、人口減少社会がいよいよ現実のものとなり、これまでの人口増加を前提としたあらゆる社会の仕組みを見直す時期に来ていることを認識しました。
人口減少問題につきましては、現在、県において取り組み中と聞いておりますので、次回に譲り、今回は死因について考えてみたいと思います。
同時発表の県版によりますと、死亡者数は一万一千二百五十一人で、死因順位は、やはり一位はがんで三千二百六十四人となり、死亡総数の二九%となっています。以下十位まで、心疾患、脳血管疾患、肺炎、不慮の事故、老衰、自殺、腎不全、肝疾患、慢性閉塞性肺疾患と続き、上位三位までのいわゆる三大疾病では五七・二%を占め、これを克服することがやはり県民医療の優先課題であります。とりわけ、がん対策は待ったなしの状況にあります。
国においては、昭和五十九年以来、三次にわたって十カ年戦略をもって取り組んできましたが、さきの通常国会ではがん対策基本法が成立し、さらに強化していくことになりました。都道府県の対応は国が策定する指針によりますが、部位によっては、死亡率の高い本県では独自にも力を入れる必要があります。今後、がん対策として何をするのか、福祉保健部長にお尋ねします。
次に、がん治療の生存率は病院によってかなり差があると報告されています。本県においても、がん専門病院をつくる必要はないのでしょうか。また、平成十三年十二月定例会一般質問において必要性を申し上げました回復期のリハビリも、依然として県内では充実していないことから、県立医科大学紀北分院には、橋本医療圏の役割を担わせるよりも、県下全体に奉仕するがんや回復期のリハビリを担当させるべきであると思いますが、どのようにお考えでしょうか。福祉保健部長に伺います。
医療費三千百億円はむだ遣いとは言えませんが、県民総生産三兆三千億円、県民所得二兆六千億円、県一般会計五千億円などと比べると、もう少し何とかならないものかと思います。そのためには、前向きな対策、すなわち健康増進に力を入れるべきであります。介護予防が盛んに言われているのに比べ、なぜか健康増進は余り言われません。
私自身の経験で恐縮ですが、前回の統一選挙時、必勝を期してたばこをやめました。ところが、三カ月で七キロも太ってしまい、とうとう年末には胃がむかむかするようになりました。ひょっとして食道がんかもしれないと思って病院に行きました。幸い、太り過ぎが原因の逆流性食道炎という診断でした。医師からは薬を飲めばすぐ治ると説明され、一安心しましたが、同時に糖尿病と脂肪肝であることも告げられました。そして、食事療法、運動療法を勧められました。
以来三年近く、野菜を食べ、運動することがみずからの治療と信じて続けてまいりました。初めはつらいと思った運動も、続けているうちに、いつの間にか楽しみになってきました。今通っているスポーツクラブは、竣工式に来賓として出席していたのに、当時まだ若い自分には、わざわざお金まで出してハツカネズミのように道具に乗って走る必要がないと思いました。そのときに入会しておけばよかったと今にして思います。
おかげさまで、スポーツをすることで糖尿病と脂肪肝は半年で完治し、基礎代謝が上がり、少しずつ体重も減ってきました。風邪も引かなくなりました。何事にも積極的になったような気がします。スポーツをすることは、お金がかかっても、時間を費やしてでも、心身ともに健康になり、むだな医療費を払わずに済むすばらしい生きがいだということに、今さらながら気がつきました。
小中学生のころは、体育は遊びで、保健科や家庭科は栄養不足の子供たちにどんな栄養素があるのか教える授業のように思っていました。現在、保健教育は学校医が担当するなど大きく前進しているようですが、依然としてスポーツは遊びや娯楽といった雰囲気が県民の間にあります。この際、健康増進のためにはスポーツを大いに振興すべきでありますが、どのようにお考えでしょうか。
また、県では、九年後に開かれる国体に立候補し、近畿での共同開催を呼びかけると聞いております。直接医療費を回すわけにはいきませんが、毎年三千百億円も医療費を払っているわけですから、施設整備に多額の費用がかかる種目は、初めからあきらめるのではなく、健康増進の視点を持って、今から少しずつ取り組んでいくべきであると思います。「すそ野が広ければ山高し」と言われますが、逆に山が高いからすそ野も広くなることだってあると思います。あわせて教育長のお考えを伺います。
次に、医師不足対策として、県立医科大学において医師供給体制を整備するため、今議会の一般会計補正予算に地域医療支援事業が計上されています。その内容とねらいを福祉保健部長に伺います。
関連して、医師不足対策でもう一問。
厚生労働、文部科学、総務、財務の四省は、八月三十一日、医師不足が深刻な地方の十県について、平成二十年度から暫定的に大学医学部の入学定員をふやすことを正式に決めました。これまで国は、医師がふえると医療費が増加するため医学部の定員を抑制してきましたが、医師の都市部への流出・偏在が深刻なことから、二十四年ぶりの方針転換となりました。
定員増が認められたのは、平成十六年に人口十万人当たり医師数が二百人未満で、面積百平方キロ当たりの医師数が六十人未満だった青森、岩手、秋田、山形、福島、新潟、山梨、長野、岐阜、三重の各県と自治医科大学であります。残念ながら本県は認められませんでしたが、そもそも今回の基準設定には大いに疑問を持つのであります。
まず、今世間で言われている医師不足というのは、小児科、産婦人科、麻酔科の専門医や病院勤務医のことを言うので、開業医も含めた医師全体数の比較では意味がありません。また、本県を例にとれば、医師は和歌山市に集中しており、他の圏域では医師不足が深刻であるのに、平均すれば多いように見える偏在の問題を全く考慮していません。さらに、国は、政策的に医学部を都道府県に必ず一校は置き、医師の供給を行っていますが、今回初めて知りましたが、入学定員は和歌山県が断トツの最下位で少ないのです。県立医科大学の入学定員は六十名ですが、本県より人口の少ない人口最下位の鳥取県では八十人、山梨、福井に至っては百人であります。全国最下位の定員の医学部で医師が足りないと騒ぎながら、変な指標で順番抜かしをされては合点がいきません。今からでも強く要望すべきでありますが、総務部長はどのようにお考えでしょうか。
さて、死因のうち多くは、本人が気づいても、努力しても救えないことがあるものですが、自殺だけは本人次第で何とかなるものだと思います。かつて交通戦争といった時代の交通事故者数をはるかに上回る三万人を超え、国もさきの通常国会で自殺対策基本法を成立させました。この際、県としても独自にできることはないのでしょうか。福祉保健部長の御所見を伺いたいと思います。
この問題の最後に、看護師不足について伺います。
私が県会議員になったころ、やはり看護師不足と言われ、県では新宮に看護学校をつくり、医科大学に看護学部を設置しました。にもかかわらず、現在も相変わらず看護師不足と言われています。一体原因は何か。それを踏まえて看護師不足解消のために何か準備されているのでしょうか。これも福祉保健部長に伺います。
三番目は、地震対策について伺います。
本年五月三十日、知事は定例記者会見で、二年間かけて見直してきた県地震被害想定調査の結果を公表されました。この調査結果では、南海道地震は東南海、東海が同時に発生し、規模はマグニチュード八・六と想定され、最大五千人の死者、八千人余の負傷者が出て、十万棟以上の建物が全壊・焼失すると言います。また、中央構造線の地震でも南海道以上の被害が出ることがわかりました。
特に注目すべき点は、南海道地震の死者五千人のうち、建物被害で亡くなる人は三千七百人と、津波の二千百人を上回ることであります。これまで南海道地震と言えば津波と言ってもいいほど津波のことばかり言われてきましたが、これで実は建物倒壊も怖いということが判明しました。国民の生命や財産を守ることが政治や行政の最大の仕事とするなら、国民が一日のうち六割の時間を過ごす住宅の耐震化こそ、今、最優先で取り組まなければならない喫緊の課題であると思います。
そこで、知事は、今回の調査結果を受け、今後どのような防災対策を講じられるのか、お伺いします。
次に、地震共済について取り組みを要望します。
兵庫県では、震災の経験から、昨年、住宅再建共済制度を発足させました。この九月で一年が経過しましたが、もう地震は来ないなどの理由で普及してないことが報道されています。あれだけ大きな震災が既に風化しつつあることに驚くばかりですが、そもそも被害が広域、多額に及ぶ地震に対して、兵庫県単独で共済制度は成り立ちにくいと思います。しかも、年間五千円の負担で最大六百万円の補償というものですから、これは、共済というより、むしろ五千円払った人だけがもらえる給付金のようなものであります。
多少無理のある制度ではありますが、恐らくこの共済制度は、個人給付が憲法違反と言われる中、復興のため避けて通れない住宅再建を支援する苦肉の策であったと思います。とうとい犠牲をあがなって気づいたすばらしい制度であります。
しかし、今後この制度が本当の救済制度として機能するためには、少なくとも二つの条件が要ります。一つは、全国の自治体が加入し、政府が保障するということ、もう一つは、耐震補強した人だけが入れるという仕組みにすることであります。
財務省などは民間の地震保険等を勧めていますが、地震保険は火災保険とのセットで保険料も高く、所得の低い人が加入することは困難です。そういう意味で、兵庫県が貴重な経験から編み出した制度が立ち往生するのを傍観するのではなく、全国制度となるよう本県も協力して取り組んでいくことを要望しておきます。
四番目に、排出権取引所の誘致について伺います。
ことし三月、県地球温暖化対策地域推進計画が策定され、本県におきましても、事業者、県民、県センター、行政が協働し、一九九〇年を基準年度にして二〇一〇年の目標年度には温室効果ガス排出量を三・九%削減し、森林整備による吸収源を六・七%確保し、合わせて一〇・六%の削減を目指すことになりました。今後の取り組みに大いに期待するものであります。
さて、京都議定書では、まず、本県の計画のように先進各国に温暖化ガスの削減義務を課し、排出量を定めました。その上で、義務達成が難しい国が達成できる国から余剰な枠を排出権として購入し、義務量に組み込むことを認めました。国際的な排出権取引は京都議定書の義務が発生する二〇〇八年からスタートしますが、既に企業やブローカーによる取引が始まっており、アメリカでは、京都議定書に批准してないのに、世界初の二酸化炭素取引所をシカゴに開設されました。このクライメート取引所では、ことしになって取引が急増しているそうです。
一足早く圏域内取引が始まったヨーロッパでは取引が既に本格化していますが、最大の買い手が日本で、最大の売り手が中国だと言われています。日本では、環境省が主導する二酸化炭素排出権取引市場では三十二社が四月から取引を始め、参加企業が七十社までふえましたが、まだ道半ばにあります。
そこで、今ならまだ本県が取引所の誘致に手を挙げても間に合うのではないかと思うのです。株式市場でも取引はネット上で行われているように、取引市場は何も大都市に立地する必要がありません。むしろ、関西空港を通じて世界にアクセスできる上に、世界遺産や自然環境に恵まれた本県こそ適地であると思います。不足している企画、資本、マンパワーは、孫正義氏がやったように外資の力をかりて、例えばクライメート取引所などと協調すれば誘致の可能性はあります。
将来、世界で百兆円になると言われる排出権取引市場ですから、仮に和歌山らしい森林の吸収源取引や自然原理由来の取引に特化しても十分やっていけるのではないかと思います。雲をつかむような話で恐縮ですが、知事の御所見を伺います。
五番目に、車内放置について伺います。
数年前、子供を連れてアメリカへ行きました。所用のため子供たちを残して自動車から離れようとしたところ、友人が「法律違反になるからだめだ」と言うのです。初めての経験でしたが、アメリカは厳しいというより、何と大げさなことだと感じました。
その後、日本では、パチンコ店の駐車場に放置された車内で乳幼児が熱中症で亡くなる事件や連れ去り事件が相次ぎ、大きな社会問題になりました。そのとき、日本でもアメリカのような法律が必要だと思いました。しかし、時が過ぎ、いつの間にかだれも言わなくなってしまいました。
ところが、ことし七月二十七日、産経新聞県版に、「ストップ車内放置」と題して、幼い命を車内放置事故から守るための意見広告が掲載され、残念ながらまだ車内放置が後を絶たないことを知りました。ことしも長野県と愛知県で、車内放置のため乳児が熱中症で亡くなりました。パチンコ店の業界団体の調査では、巡回中の店員が見つけ事故を未然に防いだケースが、ことし四月から八月の間に全国六道県で十七件あったことが報告されています。また、宮城県内では四月に十五件、八月に二十件も乳幼児が車に閉じ込められるというトラブルが発生し、JAF東北本部が注意を呼びかけたそうです。
このような状況の中、日本でも子供の車内放置は児童虐待であるとされていますが、果たしてどのような対応ができるのか、福祉保健部長にお答えいただきたいと思います。
六番目に、市場化テストについて伺います。
市場化テストとは、民間にできることは民間にとの観点から、透明・中立・公正な競争条件のもと、公共サービスについて官と民間が競争入札を実施し、価格と質の両面でよりすぐれた主体が落札し、当該サービスを提供していく制度であります。官の世界に競争原理を初めて導入し、これまでの官における行政サービスの提供のあり方を改革するものとされています。
国では、七月にいわゆる公共サービス改革法が施行され、今月五日には基本方針が閣議決定され、市場化テストの第一弾として、社会保険庁の国民年金保険料の滞納者に納付を促す事業や、ハローワーク関連事業として管理職などを対象とした無料職業紹介事業等々、五分野、九事業が決まりました。
一方、県においても、全国に先駆けて、新築中の南別館の管理運営業務を市場化テストに付すことを既に表明しており、八月には識者による評価委員会を立ち上げ、さらに今月十二日には実施要項を発表するなど、着々と準備を進めていると聞きます。市場化テストは今後新たな行財政改革の切り札として大きな流れになっていくことを予想しますが、公務は非効率と言われる反面、耐震偽装事件のことを考えれば、民間にできても役所がやることもあり、その都度難しい判断が要求されます。
そこで、全国で初めて市場化テストを実施するに当たり、知事の御所見を伺います。
七番目は、議案第百四十三号平成十八年度一般会計補正予算に関連して、以下二点お伺いします。
まず、土地開発公社に貸し付ける予算十七億円が計上されていますが、今回の決断に至った経緯、背景等について知事の御所見を伺います。また、企画部長から、今回の支出で具体的にどのような効果が期待できるのか、また債権は保全できるのかという点についてお答えいただきたいと思います。
次に、中心市街地活性化について。
御坊市では、大型店の郊外立地が進み、かつて多くの人通りでにぎわっていた商店街にいつの間にか空き店舗が目立つようになり、夜になると人通りも絶え、大変寂しい状況にあります。これまで勉強会の開催や県の補助をもらって活性化事業にも取り組んできましたが、一定の効果はあったものの、全体としては衰退に歯どめがかかっていません。こういった状況は御坊市だけではなく、今や全国の商店街共通の現象になっています。
そこで、国では、さきの通常国会でまちづくり三法を見直し、中心市街地の再生を図っていくことになりました。商店街対策に切り札なしと言われる中、今回の見直しには大いに期待しておりますが、中心市街地活性化に対する県の考えをお示しいただきたいと思います。
また、見直しに当たっていち早く取り組んだのが和歌山市であると聞いていますが、長らく課題だった旧丸正ビルが民間事業者によって再生することになり、県も支援するべく今議会に予算一億円が計上されています。どのような効果を期待し、支援を行うのでしょうか。商工労働部長にお答えいただきます。
最後に、私の地元、御坊市を流れる下川について、早期の改修をお願い申し上げたいと思います。
去る七月五日午前九時ごろ、中紀地方を襲った集中豪雨は時間当たり七十七ミリものどしゃ降りで、床上浸水八戸、床下浸水二百七十六戸、道路、河川等公共施設、農水施設被害十四億円、農産物被害千数百万円などの大きな被害が出ました。その記憶がさめやらぬ今月六日、夕刻から降り始めた雷雨は翌朝未明まで続き、年配の人でも経験したことがない、まさに異常気象でした。御坊市での雨量は、ピーク時、時間当たり七十一ミリ、総雨量二百七十四ミリを記録し、日高地方では床上浸水十三戸、床下浸水二百四十五戸、停電三万世帯、農業関係約二億円の被害を出しました。二級河川下川は両日ともはんらんし、七月五日には一戸の床上浸水と九十八戸の床下浸水、九月六日には二十六戸の床下浸水の被害が出ました。
私は、いずれも現場に出て、水防活動を行う消防団員を励まし、土のうの支給を役所に要請し、住民の苦情を聞きながら、つぶさに被害状況を見てまいりました。毎年のようにはんらんする下川を早く改修してほしい、もう一刻も待てないという強い願いを受けてまいりました。県においては一昨年度から調査をしていただいておりますが、どうか、来年度とは言わず、直ちに改修に着手していただきますよう、他の災害復旧ともども知事並びに県土整備部長にお願いをいたします。
以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの中村裕一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 平成十六年十一月十日に実施いたしました国道三百七十一号(仮称・平瀬トンネル)特殊改良一種工事の入札について談合の疑いがあるとのことで、本日、大阪地方検察庁の捜索を受けております。県としては、捜索を受けましたことはまことに遺憾でありますが、今後の捜査の進展を待ちたいと考えております。
次に、新政権に対し地方分権推進の立場から何を期待し、どのように働きかけるかということでございますが、私は従来から、地方分権を推進することは、地方自治の充実のみならず、国の役割を国が本来果たすべきものに純化し、国自体の機能の強化を図る上で不可欠であると主張をしてまいりました。こういった観点から、去る九月十五日には、地方六団体が、総理の強力なリーダーシップのもと分権改革の推進のため新法を速やかに制定すべく要請したところでございます。
さらに、私としては、国と地方のあり方を同時・一体的に改革する新たな地方制度として道州制を導入する必要があると考えておりますので、新政権において早急に検討に着手されることを期待していると、こういうことでございます。
次に、住宅の耐震化は地震防災の最優先課題ということでございますが、東南海・南海地震については、今後三十年以内の発生確率が五、六〇%とされており、いつ発生しても不思議ではないという認識のもとに対策を進める必要があります。
国の中央防災会議では、被害を半減させることを目標に家屋の倒壊防止を最優先で進めていくべき課題としており、県としても最も重要な防災対策の一つと認識しております。このため、民間住宅の耐震改修を進めるための補助制度を設け、さらには促進対策として本年度から小規模改修も対象にする条件緩和を実施しているところであり、今後、全庁的な取り組みを強化するとともに、県民の方に対し、防災研修等あらゆる機会を通じて耐震改修の重要性、必要性を啓発してまいりたいと思っております。
次に、排出権取引所の誘致を目指してはどうかということでございますが、我が国では、EUのような対象施設指定型の国内排出量取引制度を導入するかどうかについては、国民経済への影響などさまざまな視点から総合的に判断すべきということで、環境省では平成十七年度から自主参加型の国内排出量取引制度を開始し、知見、経験の蓄積のため、模擬的な取引を行っている段階でございます。
企業間の国内排出量取引制度の導入は、時代の趨勢であり、温室効果ガスの効果的な削減のための一つの選択肢であると考えております。さらに、森林が県土面積の七七%を占める本県の豊かな自然を生かし、企業の森のように企業による環境林整備を一層進めていくには、企業に森林の吸収量に見合う排出権を与えることも有用な方策であると考えております。
今後、国内における排出量取引制度の導入については、他の政策手法との比較を行いながら、京都議定書の削減約束を達成する上での必要性、実効性について国において適切に判断されるというふうに考えますが、時代の潮流におくれることのないよう、本県での排出量取引所の誘致については、その方法なども含め研究をしてまいりたいと、このように考えております。
次に、市場化テストの導入についての御質問でございます。
国、地方を通じた厳しい財政状況の中で不断に行政改革に取り組んでいく必要があり、このための有効な手段の一つとして、全国で初めて市場化テストを実施したいと考えております。市場化テストを実施することによって、公共サービスのコストの削減、質の向上を目指すとともに、民間のビジネスチャンスの拡大にもつながると、このように考えております。
さらに、ともすればコスト意識やサービス感覚が薄れがちな公務員が民間との競争にさらされることによって行政経営のあり方を考える契機となり、職員の意識改革がなされるものではないかと期待をいたしております。あわせて、御指摘のとおり、安全や安心といった分野への拡大については十分配慮しつつ対応してまいりたいと思っております。
次に平成十八年度一般会計補正予算について、土地開発公社債務の一部繰り上げのための貸し付けについての見解ということでございますが、コスモパーク加太に関する県土地開発公社への貸付金については、平成十五年十一月に和歌山地方裁判所から調停に代わる決定を出していただき、県議会の理解も得て県としてこれを受け入れることとし、現在、公社が着実に償還に努めているところでございます。
このような中で、今年度に入って債権者のうちの一者から、債務の一部を一括償還することを条件に残債務のすべてを免除するというふうな申し出がございました。この申し出について、法律的な問題の有無、そして債務の軽減度合い、貸し付けの安全性などを詳細に検討いたしました結果、現在の弁済計画を継続するよりも現時点で将来の県民負担リスクを軽減しておくことの方が明らかに有利かつ重要であるという結論に達し、十七億円の補正予算案を計上させていただいたところでございます。
県としては、今後ともコスモパーク加太の土地の有効な利活用を図り、その付加価値を高めることにより、将来、債務保証を実行するような事態が生じないようにするために鋭意努めてまいりたいと、このように考えております。
○議長(向井嘉久藏君) 福祉保健部長小濱孝夫君。
〔小濱孝夫君、登壇〕
○福祉保健部長(小濱孝夫君) 医療費三千億円時代の健康対策についてのうち、まず、がん対策として何をするかについてお答えいたします。
がんは県民の死亡順位の第一位を占め、死亡率も、平成十六年で、肝がん全国ワースト二位、肺がんワースト三位など全体的に高い状況が続いており、この状況を打破するためには、原因の究明を含め、総合的な対策を計画的に進めていく必要があると考えております。
県といたしましては、県立医科大学や関係機関と連携して、県民に対する啓発活動や禁煙、生活習慣の改善を重点的に進めるとともに、がん検診未受診者に対する個別指導など、きめ細かな予防対策を講じてまいります。
また、県内のがん医療体制の構築とがん医療水準の向上を図る必要があることから、がん診療や研究・研修の拠点となる施設の確保を図るとともに、県内のどこに住んでいても質の高いがん診療が受けられるよう、県立医科大学や地域がん診療連携拠点病院を中核とするがん診療体制の整備や、県内で不足しているがん化学療法や放射線療法、緩和ケアなどの専門家の養成などに積極的に取り組んでまいります。
次に、がんやリハビリの専門病院として紀北分院を活用すべきとの御意見に関してお答えいたします。
医師不足や医療構造改革など医療をめぐる環境が大きく変化する中で、効果的、効率的な医療提供体制の構築が必要となっております。県といたしましては、来年度中に策定する次期医療計画に向けて、がん診療や救急医療などを含め、各二次医療圏における医療機関の機能分担や連携について検討することといたしております。
議員御提案の紀北分院にがん・リハビリテーション診療機能ということにつきましても、こうした観点から、県内の医療機関の状況や県民ニーズを踏まえながら県立医科大学や関係者と協議してまいりたいと考えております。
次に、県立医科大学に整備する医師供給体制の内容とねらいについてお答えいたします。
全国的に医師不足が大きな問題となっており、本県においても医師の地域偏在や診療科偏在が著しい状況にあります。県といたしましては、さまざまな医師確保対策に取り組んでいるところでございますが、県内の医師不足が一層深刻化し、早急な対策が必要なことから、新たに地域医療支援事業の創設について今議会に補正予算をお願いしているところでございます。
本事業は、県立医大に専任教員十名を確保し、医療体制の維持が困難となった中核的医療機関への医師供給を初め、後方支援や地域医療を担う医師の養成など、総合的に地域医療を支援する仕組みづくりを県立医科大学に委託するものでございます。
今後とも、県民が安心して医療を受けられるよう、あらゆる施策を講じて医師確保対策に取り組んでまいります。
次に、自殺対策についての御質問にお答えいたします。
県では、保健所や精神保健福祉センター等による心の保健相談や訪問指導等の機会を通じて、自殺と関連性が高いと言われるうつ病の早期発見、早期治療の促進に努めるとともに、知識の普及啓発を進めてまいりました。
今後は、自殺予防のため具体的な方向性を協議する専門家や関係機関から成る自殺予防対策推進会議を設置するとともに、県民に対し、自殺の要因となる心の健康問題についての情報や自殺に関する正しい知識の理解・普及に努めます。また、自殺についてさまざまな悩みに対応する相談窓口を整備し、自殺防止のための体制づくりを推進してまいります。
次に、看護師不足についてお答えいたします。
本県における看護就職者数は、平成十七年末現在で一万二千四百九十一人で、六百八十一人不足の状況です。第六次看護職員需給見通しによると、今後も引き続き看護師の不足の状態が続き、平成二十二年には七百十一人の不足と予想されます。
看護師不足の要因としては、第一に高い離職率が挙げられることから、今年度から離職防止を最重要施策として、看護職員の不安やストレスの軽減を図るためのナース相談窓口を開設するとともに病院看護職員の離職実態を把握し、効果的な離職防止対策を検討することとしております。
県といたしましては、養成力確保、就業促進、離職防止、資質向上を四本の柱として、今後とも量、質の両面にわたり看護師確保対策に取り組んでまいります。
次に、子供の車内放置は児童虐待とされるが、どのような対応ができるのかについてお答えいたします。
議員が御指摘のように、子供を車内に放置したままにしておくことは、児童虐待の防止等に関する法律の第二条第三号に規定されている「保護者としての監護を著しく怠る」行為、ネグレクトとして虐待に当たるとされております。虐待として児童相談所に通報があった場合には、警察、市町村等と連携を図りながら、児童自身の安全を確保した上で保護者の特定を行い、保護者に対し面接等の指導を行うこととしております。
なお、児童虐待の防止等に関する法律は、児童虐待の早期発見、児童の保護及び虐待を行った保護者に対する指導を主な目的とした法律でありまして、虐待を行う保護者を罰したり取り締まることを目的とした法律でないことから、罰則規定が設けられてはおりません。しかしながら、このような憂うべき事案が発生しないように関係機関と連携し虐待防止の啓発を行い、虐待発生の未然防止に努めたいと考えております。
以上でございます。
○議長(向井嘉久藏君) 総務部長原 邦彰君。
〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 県立医科大学の入学枠を拡大してはどうかという御質問がございました。
先般、十県で医学部の入学枠の上乗せの申請を認める方針が示されましたが、議員御指摘のとおり、国が示した上乗せの容認基準は人口十万人当たりの医師数が二百人未満となっておりまして、本県の場合は二百四十七人と上回っておりますため、入学枠の上乗せは容認されがたい状況ではございます。
しかし、医師不足対応のためには、御指摘のとおり入学枠を拡大するということも対策の一つとは考えられますので、財政負担の問題、あるいは卒業後に県内への定着率が高い県内生を多く確保する手段としての地域枠の活用ともあわせて、県立医科大学とも相談し、今後の研究課題としてまいります。
いずれにいたしましても、総合的な幅広い観点から医師確保対策を講じていく必要があり、関係部局と連携して対応してまいりたいと考えております。
○議長(向井嘉久藏君) 企画部長高嶋洋子君。
〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) コスモパーク加太に関する県土地開発公社への貸付金についての御質問でございます。
まず、十七億円の一括繰り上げ償還を行うことのメリットについて御説明を申し上げます。
現在約五十六億円の債権を有しているオリックス債権回収株式会社に対し十七億円を一括償還することにより、元金約三十九億円及び利息の支払い義務が免除されるため、公社の財務状況が大きく改善されます。
なお、この元金債務免除額は、特定調停時の債務額約五十七億円との比率で申し上げますと、約七割に近い極めて有利な条件でございます。
この債務消滅の結果といたしまして、県が行っている二百六十五億円を限度とする債務保証額のうち約三十四億円分が消滅し、約二百三十一億円に縮減されることになりまして、これにより将来の県民負担リスクを軽減させることができます。県にとりましては、これが最も大きなメリットであると考えております。
次に、公社への貸付債権の保全についてでございますが、十七億円のうち約十億円につきましては、県がコスモパーク加太の公社保有地に抵当権を設定いたします。残る約七億円につきましては、公社の県に対する賃料債権に対し県がみずから質権を設定した上、従前のオリックス債権回収に対する弁済額と同額の償還を受けます。これによりまして、新たに貸し付ける十七億円の償還については、利息も含め、確実に保全されるものと考えております。
以上でございます。
○議長(向井嘉久藏君) 商工労働部長下 宏君。
〔下 宏君、登壇〕
○商工労働部長(下 宏君) 中心市街地の活性化に対する県の考え及び旧丸正ビル再生事業の効果についてでございますが、中心市街地の空洞化は、コミュニティーや商業機能の低下などをもたらし、住民生活に支障を来すとともに、経済や文化面などの活力を失わせるものであり、一地域の課題にとどまらず、県全体の課題と認識してございます。そのため、活性化への取り組みは当該市町村が中心となって進めるものと考えますが、県といたしましても、市町村とともに中心市街地の活性化に積極的に取り組むこととしております。
旧丸正ビルは、和歌山市のみならず、本県中心市街地の盛衰のシンボルであります。再生事業により雇用の創出やぶらくり丁ににぎわいが戻るきっかけになるとともに、この事業の成功が、和歌山市だけでなく県内各地の中心市街地の活性化への取り組みに大きな弾みをつけるものと考えており、国土交通省の補助事業である暮らし・にぎわい再生事業を活用したエレベーターなどの共用設備の改修に対して補助を行うこととしております。
○議長(向井嘉久藏君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 健康増進としてのスポーツの振興についてお答えいたします。
生涯にわたり主体的にスポーツに親しむためには、子供のころから健康や体力の維持増進に係る基本的な態度や能力及び生活習慣を身につけていくことが大変重要であると認識しております。
教育委員会では、子供から高齢者まで日常的にスポーツを行う場として、総合型地域スポーツクラブの育成・支援を重点施策として推進し、現在、十二の市町村で二十三のクラブが活動を行っております。
身近な地域においてこのようなクラブづくりを積極的に展開することにより、体力の向上や健康増進はもとより、高齢者の生きがいづくり、青少年の健全育成、世代間の交流などの効果をもたらすだけでなく、結果として、議員御指摘の医療費の削減につながるものと考えております。
また、二巡目国体の開催については、県民一人一人が健康の保持増進の意識を高め、運動やスポーツに一層親しむための大きな起爆剤となるよう取り組んでまいります。
次にスポーツ施設の整備については、簡素で効率的な運営を目指し、近畿ブロックでの広域開催の準備を進めていることから、基本的に本県並びに近畿各府県の既存の施設を有効に活用することとしております。
中心開催地である和歌山県として、実施競技に使用する施設整備については、国体後にこれらが十分活用できるよう配慮しながら計画的に取り組んでまいりたい、このように考えております。
○議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。