平成18年6月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(飯田敬文議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午前十時三分開議
○議長(吉井和視君) これより本日の会議を開きます。
日程第一、議案第一号から議案第十八号まで、議案第三十六号から議案第九十号まで、議案第九十二号から議案第九十五号まで及び議案第九十七号から議案第百九号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
二十一番飯田敬文君。
〔飯田敬文君、登壇〕(拍手)
○飯田敬文君 皆さん、おはようございます。一般質問最終日になりまして大変お疲れのところと思いますけども、通告に従いまして一般質問をさしていただきたいと思います。
今度の議会ではたくさんの議論が議会で闘わされたわけでございますけども、重複する課題もあろうかと思いますけれども、私は私なりに私の切り口で質問さしていただきたいと思いますので、当局におかれましても、どうかひとつ簡単で積極的な、長い答弁要りませんので、ひとつよろしくお願いを申し上げまして質問を始めます。
さて、先日、ある紙面に「脅かされる食の未来」と題した衝撃的な文面を見つけました。その内容は、二〇一〇年、庶民の食卓からパンやめん類、豆腐といった身近な食品が次第に消えていき、外国の深刻な不作や安全面、国内価格の高騰による農産物の輸出の制限がされ、三〇%台まで低下していた我が国の食糧自給率による配給制実施の検討を始めたというシミュレーションでありました。
現在、牛海綿状脳症いわゆるBSE問題や鳥インフルエンザなどの食の安全面に加え、地球温暖化に伴う高温や渇水の被害、地震、台風など環境の面においても、前条のシミュレーションが全くの想像であるとは言い切れないものであろうと考えます。
そこで、私から、今回の最初の質問として、食や農業にかかわって、人間の健康、人をつくる、育てるといった観点より質問をさせていただきたいと思います。
私たち人間が生きていくためには、食が欠かせない要素であります。食は命の源であり、食がなければ命は成り立たないということは言うまでもないことであり、私たち人間は、悠久の歴史の中で、みずからに最も適した食について、豊かな知識と経験、そして文化を築き、健全な食生活を実践しながら生きる力をはぐくんでまいりました。
我が国では、近年、急速な経済発展に伴って生活水準が向上し、食の外部化など食の多様化が大きく進展するとともに、社会経済情勢が目まぐるしく変化し、日々忙しい生活を送る中、食の大切さに対する意識が希薄となり、健全な食生活が失われつつあるのが現状であります。加えて、食に関する情報がはんらんし、情報の受け手である私たちが正しい情報を適切に選別、活用することが困難な状況も見受けられます。今や大げさではなく、我が国の食をめぐる現状は危機的な状況を迎えていると言っても過言ではありません。
例えば、脂質の過剰摂取や野菜の摂取不足、朝食の欠食に代表される栄養の偏りや食習慣の乱れが肥満や生活習慣病を増加させ、過度の痩身などの問題も指摘されております。これらの問題は、私たちの地域づくりを初めとする我が国の活力を低下させかねない大きな問題ととらえ、早期に改善を図らなければなりません。
地域づくりは人づくり、人づくりは健康づくりであります。健康な県民をどのように育成するのか、県政の最重点課題であり、これからの健康づくりについて真剣に取り組まなければなりません。
さて、さまざまな情報や間違った知識がはんらんする中、これからは自分自身の健康に自分自身が責任を持たなければならない時代であります。これまで、とかく病気は医者と薬が治してくれるものだと考えられてまいりました。患者は受け身の存在であり、医者の指示に従って薬や治療を受け入れておれば安心だとしておりました。これからは、病気にならない予防が大切であり、一人一人が自分の健康は自分が守るという意識を持ち、積極的な健康維持に取り組むことが必要とされております。
では、健康を維持するにはどのようにすれば、どのようなことに注意を払うべきか。ある書物に、病気は自分自身が積み重ねてきた悪い習慣が原因であると書かれておりました。そうであるならば、健康でいられるか否かは、その人の食習慣や生活習慣が健康を維持する基本と考えられます。
戦後、日本は、アメリカ型の生活と食に関しては牛肉、パン中心の生活となり、六〇年代に入り高度成長期を迎えた日本は、一九六一年、ちょうど私が小学校の三年か四年ごろだと思いますけれども、学校給食に牛乳というか脱脂粉乳が取り入れられ、チーズやヨーグルトなどの乳製品が日常的に食べられるようになりました。それまで野菜と魚が中心であった日本の食卓が、ハンバーガー、ステーキ、フライドチキンといった動物性たんぱく質を中心とした高たんぱく・高脂肪食となり、現在でもその傾向は変わっておりません。その結果、日本人の体質とは相入れず、特に日本人の内臓は欧米人に比べ腸が少し長く、胃の機能が弱いという内臓の特徴があり、動物性たんぱく質のとり過ぎによるがんや生活習慣病に悩まされてきたところと報告されております。当のアメリカでは、一九七七年に、マクガバンレポートということを機に、国家を挙げて動物性たんぱく質からの脱却を目指し、食の改善が進められてまいりました。
もともと地上の動物はすべて植物を食べて命を維持しており、その証拠に、肉食動物と言われるライオンやトラは草食動物を食べて生存しており、肉食動物が肉食動物を食べることはないとされております。特に草食動物の胃から食べていくとされており、それは、胃の中に植物がたくさん含まれているからであります。草食動物のキリンやゾウの方がライオンやトラに比べて体が大きく、筋肉が発達しているのを見れば一目瞭然であります。人間の食も基本は植物であり、穀物、野菜、果物であるわけであります。
このマクガバンレポートでは、その理想的な食と定義したのは、何と日本の元禄時代以前の食事であったそうであります。アメリカでは、その結果、一九九〇年から、がんの発生率、死亡率ともに減少傾向にあります。これは、さきのマクガバンレポートを機に、政府が掲げた食生活ガイドラインがアメリカ社会に定着してきたからだと言われております。それに比べると、我が国、我が県の食に対する取り組みは極めて不十分と言わざるを得ません。特に、食生活について我々の考え方は大きな誤解や間違いがあることが徐々に解明されてきております。
例えば、これは一つの試論であり、これが正しいとは今断定することはできませんけれども、腸のために毎日ヨーグルトを飲むことがよいとされること、カルシウム不足のため毎日牛乳を飲むことや、御飯やパンなどの炭水化物は控えるとか、高たんぱく・低カロリーの食事を心がけるとか、水分は日本茶でとるというふうなことは、どれも一般的に今までは健康によいというふうにされておりますが、いずれも間違っておると言われております。また、肉を食べればスタミナがつくとか筋肉が育つとか、牛乳を飲めば骨粗鬆症にいいということがマクガバン報告では真っ向から否定されており、根底から我々の食生活を見直さなければならないと思うわけであります。
食をめぐるこうした生活習慣病を含む県民の健康増進と食生活の県民の現状と認識について、知事自身にお尋ねをいたします。
こうした中、本年二月二十日、政府の食育推進基本計画検討会は、食育を国民運動として進めるための具体的な方針や目標を定めた食育推進基本計画案を取りまとめました。この中で、学校給食の地場産業食材利用率の拡大や朝食を食べない子供の割合をゼロに近づけるなどの数値目標を盛り込み、二〇〇六年度から五年間に行政や民間団体が行う食育推進の方針を明確にいたしました。また、農業関連分野では、食糧の自給率向上や農作業を体験する教育ファームを増設した中で国民の食への理解と関心を深めることが盛り込まれております。
私は、こうした食生活改善の取り組みこそ戦後の日本社会のひずみを根本的に改革するものであり、日本人がこれまで一貫して追求したアメリカ型食生活を続けてきたことによる生活習慣病なるものの克服につながるものと信じるものであります。
現在、産業構造の変化や人口の都市集中、さらに食の外部化など進んでいく中で、食糧の生産や加工などの場面に直接触れることができる機会が減少し、いわば生産者と消費者の物理的、精神的な距離が拡大し、この結果、限られた国土や水資源といった自然の恩恵の上に貴重な食糧生産が成り立っていること、また食という行為は動植物の命を受け継ぐ行為であること、そして食生活は生産者を初めとする多くの人々の苦労や努力に支えられていることを実感しにくくなっているのが現状であります。
食の大切さに対する県民の意識が薄れている大きな要因としてこのような背景があると考えられることから、食育の推進に当たっては、心身の健康に直接かかわる知識などを身につけるだけではなく、さまざまな体験活動を通じて自然に県民の食に関する感謝の念や理解が深まっていくよう配慮した施策を講じるものでなければなりません。
食育の推進が十分な成果を上げるためには県民一人一人が健全な食生活の実践に取り組まなければなりませんが、もとより個人の食生活は、その自由な判断と選択にゆだねるべきものであり、みずからの意思により取り組まれることこそが重要であります。
このことから、食育推進運動の展開には、県民一人一人が食の意義や必要性などを理解し、これに共感するとともに、県や地方公共団体のみならず、関係者が食をめぐる問題意識を共有し、家庭、学校などの教育現場、地域社会のさまざまな分野において、男女共同参画の視点も踏まえ、積極的に推進されることが望ましいわけであります。
こうしたことを踏まえた食育推進県民運動の推進について、農林水産部長にお伺いいたします。
また、あわせて、政府の基本法の制定や基本計画の策定を受けて和歌山県として独自の食育推進条例の制定や基本計画の作成が急がれるところでありますが、県の見解を農林水産部長にお伺いをいたしたいと思います。
次に、生産者と消費者との交流の促進、環境と調和した農林業の活性化、特に県民の健康を守るという観点からの地産地消の農業振興についてお尋ねをいたします。
これまでも触れてまいりました食育の問題から、健康とは、新鮮で安全な野菜や果実、穀物などの食糧を牛乳など動物性食物とバランスよく摂取するところから達成されるものであり、これを生産する農業の役割は極めて重要な要素であり、よき水、よき土地、何よりもよき地域に育てられた食物を食べるところから人は健康で生き生きと生活できるわけであります。命の源泉、健康の源泉であります。今こそ農業を見直すことから始めなくてはなりません。
昔のことわざに、四里四方──ちょうど紀の川市ぐらいの広さだと思いますが──そこで育てられた食物を食べ続けていると安全で健康の維持につながると言い伝えられております。まさにそのとおりであり、人は、生まれた土地の水を使い、その土地で生まれた食物を食べて育ってまいりました。生まれた地域の食物は、その人にとってこの上もない安全な食べ物であろうかと思います。地産地消は、その意味において最もすばらしい先人の教えであります。これまで申し上げてきた欧米型食生活は日本人の体に大きな負担をかけてきたことを思えば、日本人には日本人としての食生活があり、地域には地域の食生活があります。
基本方針の中でも、地域における伝統や気候風土と深く結びつくことによって地域の個性と言うべき多彩な食文化、食生活を生み出し、我が国の文化の発展に寄与してきたことは事実であり、このように食をめぐる問題は、健全な食生活の実践にとどまらず、人の精神的な豊かさや生き生きとした暮らしと密接な関係を有しており、先人によって培われた多彩な食文化を後世に伝えつつ、時代に応じたすぐれた食文化や豊かな味覚をはぐくんでいることが重要であると指摘されております。
地域における日本食の見直し、食生活の改善は、地域農業の振興と不可分であります。地域における食生活の改善、日本型・地域型食生活推進について、福祉保健部長にお伺いをいたします。
また、生産者と消費者との交流、環境との調和のとれた農業の活性化が特に重要となっており、地産地消の貴重な場として、私の住んでおるめっけもん広場などの交流の場の建設支援など、県民の健康づくりの面からも、食育の面からも大きく進展させる必要があります。
地産地消の推進は、このように県民の食生活の改善、県民の健康増進という立場からも極めて重要な意味を持つものであり、めっけもん広場などの発展は、単なる金もうけ主義、商業主義ではなく、地域の命を守る取り組みとして推進しなければならないと思います。また、こうしたことが近隣都市住民の交流を振興し、真の意味での人口の減少社会に対応することとなります。
私は、一概に人口が減少することは悪いことだとは思えないし、単に人口がふえれば地域の活性化につながるという単純なことではないと思っております。問題は、健康で生き生きとした県民をどう育て、どうつくり上げるかということが重要であり、この意味で、健康福祉という福祉の面からも大いに期待されるものであります。
食生活を見直し、地域のよさを再発見するための地産地消食育運動を県民運動として提唱したいと思います。県としての農林水産部長の見解をお伺いいたします。
次に、第二番目として、地方分権社会の実現に向けて、市町村合併及び道州制のあり方について質問をいたします。
過去、私は、地方分権の課題に積極的に県当局に対し質問してまいり、その時々において答弁をいただいてまいりました。単に地方分権改革と申しましても、現実には単純な一本道ではなく、現在の日本が直面する諸課題、試練は厳しいものがあります。例えば、急速な少子高齢化に始まり、人口の減少、人口構成による日本経済の生産性の低下、温暖化による異常気象、地震など自然災害が多くの危機的な課題を抱えながらこれまで進んでまいりました。
平成十二年四月に始まった地方分権改革は、地方が国の財政再建の犠牲になっているという側面がどうしてもぬぐえない事実として感じております。しかしながら、景気の低迷、過疎化などの現状を見たとき、ただ分権だとか改革だとかいうような言葉だけではなく、真に魅力のある地域、対外的にも競争力のある地域を構築することが今必要とされております。
さて、地方分権の進展は本年三月末に至ってどのように変化したのか。確かに、改革の一つの手段として、全国三千二百余りの市町村を一千程度に減らす市町村合併が急速に進んでまいりました。 市町村合併を促す合併特例法の期限が迫った二〇〇五年三月、全国で合併の駆け込み申請が相次いだわけであります。これは、二〇〇六年三月末の期限までに合併すれば、国の支援が手厚い地方債、いわゆる合併特例債の発行が認められるほか、地方交付税の算定でこれより十年間は合併前の水準を減らさないという優遇措置というあめにつられたためであります。その期限に追い立てられての安易な合併と指摘する声は数多く聞こえてまいります。
こうした理念なき合併論議にさらに拍車をかけたのが三位一体改革なる地方交付税の大幅削減であり、これにより急激な財政の悪化に恐れをなし、合併に逃げ込む市町村が続出したわけであります。
しかし、私は、そうしたマイナスの面も否定はできませんが、今回の合併は、真に地域住民の安全で快適な暮らしと未来の地域づくりを夢見て突き進められてきたものと信じております。昨年二月議会において同様の質問をさせていただいた折、真に分権を推進するならば国及び地方がみずから襟を正し、痛みから逃避することなく国の役割と地方の役割を明確にした上において推進されるべきと訴えをさせていただきました。その第一は地方への税源移譲を率先した上での改革であり、これが伴わなかったからこそ、市町村合併において理念なき合併と非難をされていると感じております。
和歌山県においては、市町村合併が進展し、今月初め、橋本市と高野口町の新橋本市、白浜、日置川両町の新白浜町が発足し、県内で十二の新市町が誕生いたしました。なお、いまだ未合併の地域においては、合併新法により合併協議を促す勧告権を都道府県知事に付与するということで推進されることとなっておりますが、これまで残された地域が合併できなかった理由は、それぞれ違いがあろうと思いますけども、私は第一次合併の県の総括がなされておらない気がしてならないわけであります。
県の指導に問題がなかったのか、第一次合併の不十分点は何なのか、あったとしたら何が問題であったのか、お聞きをしたいと思います。
いずれにしましても、県の勧告に従い期限までに誕生した新市町村についての県としての財政を伴った環境整備など、特に最大限の取り組みをお願いするとともに、これから誕生することとなろう市町村についても県としての指導力を期待するものであります。
さて、地方分権の一方の柱であります道州制の導入については、先ごろ地方制度調査会は、都道府県を廃止し道州制を導入することが適当であるとする答申をまとめ、小泉首相に提出をいたしました。その中身は、全国を三つのパターンに区割りする案を示したこと、都道府県を廃止し、より広域な道州を置くとなっております。
そもそも、道州制を導入することのメリットは、二重行政の解消、言いかえれば中央省庁の地方に置く出先機関と自治体との重複業務の解消であります。ある試算によりましたら、自治体と地方支分部局、いわゆる国の出先機関でありますけれども、それを統合すれば年間一兆円の人件費の節約、さらに年間十兆円の歳出削減が可能であると報告をされております。
一方で、北海道知事が「内閣府が国のスリム化案まで知事につくれというのはおかしい」と、政府の対応を批判する場面があったように聞くわけでありますけれども、そもそも出先機関の統合などは本来国が主導すべき問題であり、今言われておる北海道特区案にも大きな不備があることから、なかなか進展していないこととなっておるのが現状であります。
しかし、道州制導入は九〇年代からの分権改革の集大成であり、市町村合併が進む中で、省庁と市町村の間にある県の存在意義が問われ始めているわけであります。道州制導入は、真の地域主権をかち得る手段として、また地方分権が叫ばれている今日に至っては、私は時代の流れが求めるものであると思います。
木村知事におかれましては、和歌山県内の第一次合併の総括と第二次合併の見解及び問題点、県の指導性についてお伺いをするとともに、道州制導入答申についての見解をお伺いいたしたいと思います。
次に、私が県議会初登壇の折より訴え続けさせていただいております紀泉百万都市構想についてお伺いをいたします。
今、猛烈な勢いでグローバル化の波が押し寄せております。特に経済において日本は、アメリカや欧州など先進国との競争だけではなく、韓国、台湾、ブラジル、ロシア、インド、中国といった高成長国・地域からの追撃を受けております。少子高齢社会の日本経済がこうした競争に打ち勝っていくのは簡単なことではありません。中でも、隣国中国との競争は熾烈なものであり、GDPでは近い将来追い抜かれると予測されております。グローバル化の中で日本経済が存在感を示すには、産業構造のさらなるシフト及び高付加価値商品の開発と研究であります。
こうした中、先ごろ、兵庫県神戸市沖に神戸空港が開港し、関西国際空港と大阪伊丹空港の三空港時代がやってまいりました。空港は経済活動の拠点として大いに生かすべきであり、自治体の壁を超えた広域な取り組みを模索しなければなりません。そういう意味でも、関西国際空港については、二〇〇七年に四千メートル滑走路の供用を目指す第二期工事が現在着々と進められており、関西地域はもちろん、関西空港にとりましても、また我が和歌山県にとりましても大きな意味のあることと完成を待ちわびておるわけであります。
しかしながら、関西空港は今のところ順調に推移していると聞いておるわけでありますけれども、そのやさきの神戸空港の開港であります。関西空港及び大阪伊丹空港の財務状態やさまざまな要素を加味しても、安定経営ができるようには私には思えないわけであります。しかし、これは現実は現実でございます。国内景気と中国を相手とする空輸の面、道州制につながる広域連携及び交通の面──紀泉百万都市の実現をするためには、何としても自治体が協力してこの活用を考えなければならないと思うわけであります。
神戸空港が開港し、関西三空港時代という新しい局面を迎え、関西国際空港を利用した和歌山県の今後についてどのように思われておるのか、知事の見解をお伺いいたします。
続きまして、昨年十一月、私が暮らす地元那賀郡の五町が合併し、新市紀の川市として、新市長以下市議会挙げて希望に満ちた船出でありました。しかしながら、過去、我が県においては、たびたびのチャンスがあったにもかかわらず、県内整備のおくれや認識不足、国の和歌山県に対する方針などにより、発展のチャンスを逃してきたように思われるわけであります。この合併を機に、地方分権の受け皿となるよう早急に機敏に対応しなければならないと思います。
その一つとして、道州制にも通じることとなる大阪泉南地域、近畿各県に通ずる道路交通体系の早期完成を常々訴えてまいりましたが、和歌山県では、県内交通道路の建設に重点を置かれ、岩出町では泉佐野岩出線の拡幅が急ピッチで進んでおりますこと、喜ばしい限りであり、早期の供用を目指し、なお一層の取り組みの強化を図っていただきたいと思います。
また、新市紀の川市においては府県間道路泉佐野打田線が主要府県間道路となっており、以前より何回も拡幅をいただいておりますが、いまだ大阪府側、犬鳴温泉地内の拡幅ができておりません。この道路は、関西国際空港への和歌山県からの最短の道路であり、四百二十四号線へ直結する和歌山県の動脈幹線道路であり、同時に紀の川市の大阪への玄関道路であります。その発展は大きなものがあろうと思います。新市紀の川市発足に伴い地元では市長を先頭として促進期成同盟の結成も予定されておると聞いており、県の強力なバックアップを期待するものであります。
まず、泉佐野打田線の大改修に向けた進捗状況と今後の見通しについて、県当局の見解をお伺いいたします。
一方、近畿環状高速自動車道路として期待の京奈和自動車道につきましては、橋本市での工事のおくれなどにより大幅なおくれをとっておるとお聞きをしておるわけでありますけども、前段で申し上げましたとおり、県勢浮揚の起爆剤となり得る道路体系の中心道路である上から、過去の議会に何回も申し上げてまいりました和歌山方面からの着工を強く希望し、早期の完成、供用を願っております。そのことが、知事が言われております企業誘致の前進が図られると思うわけであります。
この京奈和自動車道の紀北西道路、和歌山市方面からの着工については、過日の山田議員の一般質問の中で知事の力強い答弁がなされ、大いに期待をいたしておるところでございまして、私からも改めて要望するとともに、その具体化については建設委員会で論議を深めたいと思っております。
また、新市紀の川市の誕生により、市役所所在地の旧打田地域を中心としての環境、生活道路、河川、交通の問題が山積しております。新市の中心へつながる交通体系の整備が急がれるものであります。特に市の基幹産業であります農業関連においても、集約集荷場やめっけもん広場、中心農業協同組合の本所などへの農産物の搬入や相談などにおいて、昔からの里道を使用しての活動であり、今までにおいても不便をかこっていたところがあります。
そういう意味で、例えば、紀の川市の高野という地区があるわけでございますけども、山間地域であり、以前より地域を走る道路が狭い上、改めて紀の川市となった現在、高野地域を経て山間地域から紀の川市中心へ通行道路として使用される頻度が多くなっており、この道路を整備し、かつらぎ桃山線のバイパス道路として、鞆淵、黒川、垣内、中畑地区といった山間地域から中心部へ直結されることとなるわけであります。
知事の提唱する一・五車線道路、これで結構でございますので、農業生産と結びつけてひとつ整備してはどうかと思うわけであります。紀の川市の交通体系の整備について強く要望いたします。
また、自然環境の危機説が現実のものとなってきております。地球温暖化対策、新たな段階で、地震、大雨、津波、大型台風、異常気象など、近年、災害の怖さを実感しております。紀の川市は山間部ということもあり、台風、地震、大雨被害や地すべり被害が後を絶たない現状であります。大切な命を守るためには、災害が起きてから対策を立てるのではなく、まだ余裕のあるときこそ、危機管理体制に加え、例えば河川改修や地すべり対策を講じていかなければなりません。
河川改修を初めとする災害防止について、県土整備部長にお伺いをいたします。
最後に、これが大きな問題となってきておりまして、地域の医療の整備についてお尋ねいたします。
県民の命を守るためには、何よりも地域医療の整備が最も肝要でありますが、県下の医師不足、公立病院の現状は極めて憂慮すべきものがあります。例えば、紀の川市の中核病院であり那賀圏域の基幹病院である公立那賀病院、これは地域の期待を持って再開発をされ、新しい、すばらしい病院に生まれ変わったわけであります。しかし、その内実は極めて厳しく、このたび四月には内科医師がゼロとなるというふうなこととなり、地域住民の不安、特に入院している患者の皆さんの不安を呼び起こしております。
医科大学からの医師が、ここ数年、何か知らんけど少なくなってきたり、また、独立して開業医師になるとか、労働条件が悪いとか、いろんなことで那賀病院に内科の医師がいなくなって、ゼロになってしまうということが今起こっておるわけであります。昨年九月に七名おられました。それが十二月末で四名、三月末にはゼロ、こういうふうな実態になるわけであります。内科医師のない内科病院、これは総合病院とは言えません。
和歌山県はこの実態をどのように把握し、対応されておるのか。福祉保健部長の所見をお伺いいたします。
また、和歌山県立医科大学の地域医療に対して、人の命、人権を大事にすると言われておる医科大学が医師派遣をどのように思っておるのか。那賀病院に、ゼロとなるこの実態をどのようにしてくれるのか。これを医科大学学長に見解を求め、今回の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの飯田敬文君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 県民の健康増進と食生活の問題です。
御質問にもありましたように、やはり日本人には日本人に合った食生活というのがあるような感じが、このごろ私も物すごくしてまいりまして、前は洋食とかが非常によかったんだけど、このごろはどうもお茶漬けとかそういうものの方がよくなってきている。これはやっぱり欧米の人には、このお茶漬けだけはわからないと思うんですね、握りずしはわかっても。やはりこれは日本人の習慣とか体質とか、そういうものに根づいた食事があるだろうというふうなことがありますし、そしてまた、今、生活習慣病というものが物すごくふえてきているわけだけども、これからこういうものに有効に対処していくためにも、やはりその体質に合った食事と、そしてまたその材料ということは地産地消ということで、安全性のよくわかったものを食べていくというふうなことが僕は非常に大事だろうと思っております。
学校給食なんかでも、和歌山では和歌山のものをできるだけ使うと。カキが少しぐらいむきにくくても、やっぱりカキなんかを学校の給食に出していくというふうな努力をどんどん続けていくべきだと思いますし、もっともっと、そういうことでこそ和歌山県が先進県だと言われるようになっていきたいと、こんな感じを持っております。
先般、元気わかやま行動計画というのをつくって、そしてその中でいろいろ健康増進のための数値目標というのも挙げておりますので、そういうものに向かっていろいろな健康づくり対策ということを進めていきたいと思っております。
次に、市町村合併についての問題でございます。
市町村の合併は、これは第一次の合併のときにも言いましたように、基本的には地元の住民の人と各市町村がどういうふうに考えるかということが前提であるわけですが、今ちょっと思うのは、いろいろ技術的な支援はしてきたんだけども、やはりもう少し、考えにおいて、ある程度の色を出していった方がよかったかなというようなことを時々反省することもあります。
そういう中で、今後の第二次の合併においては、知事の勧告権と──法律が変わって、制度が変わっておりますので、そういうふうなものにのっとって、今、一応案を提示しておりますが、これで、先般来言っておりますように地元の活発な議論を高めてもらって、そしてその上でまた県がしかるべき役割を果たしていくのが適切だと考えているところでございます。
次に道州制の問題ですけれども、今、四十七都道府県がそれぞれいろんなことを競い合って地域主義を行っているということはそのとおりなんですが、やはり明治以来全然変わってきてないという中で四十七あると、そしてさまざまなものがあるということが、逆に中央集権的な要素を高めるようなことに働いている面もなきにしもあらずではないかというふうに思うわけです。
例えば、この紀の川市の辺のことを言っても、府県間道路。和歌山県にとっては大阪との間の道路は非常に大事なんで物すごく力を入れてるんだけど、大阪の方から言えば端の方の道路だというようなことで、このあたりも十分うまく連携がとれない。これ、やっぱり全体の地域として道路の必要性ということを考えていけば、当然のことながら地域ごとに機能分担があるわけで、そういうところを結んでいく道路の重要性ということははっきりしてくると思います。
それから、関空の話もありましたが、今どこの県も一県一空港ということで競い合ってつくってきたわけだけど、果たしてそういうことでの飛行場整備というふうなことが本当に適当なのかというふうなこと、これも国民経済的に見て疑いなしとしないというふうなところでございます。
そしてまた、例えば紀泉百万都市構想と言っても、都道府県の境があると、どうしても何か夢物語というふうな感じで、この人は何を言ってるんだろうというのがまず出てくるわけなんだけども、これが、やっぱりもう少し大きな圏域で地域というものを見ていけばそういう構想も当然具体性を帯びてくるというふうなことで、いずれにしても、一つの方向として大きく都道府県制度もやっぱり改革していく時期に来ているんじゃないかなというのが私の基本的な認識で、こういうことについてはまた県議会とも十分相談しながらいろんなことで対応していきたいと、このように考えております。
次に、関空のことと和歌山の今後ということで、関空が一方で二期工事ができ上がってきているという中で、神戸空港がもう本当に至近の距離にでき上がったということは非常に難しい状況です。
先般、私もドバイとかカタールへ行って、関空に外国からたくさんの航路が来るように働きかけをしてきたところですけども、この関空は、今おっしゃった、例えば紀泉百万都市構想というふうなことから見ても、地域をどうしていくかということから見ても非常に大事な飛行場です。そしてまたこれが、二本目の滑走路ができるということでますますそういう意味では重要になってくるわけだから、和歌山県としても、この関空がどんどん有用な空港に、もっともっと乗降客がふえるような形での努力をしていかなければならないし、さらには、関空が開港したときには和歌山県にとってどういう効果があるかということで一度物すごく盛り上がったことがあったわけだけども、それが今ちょっと下火になってるんだけど、もう少しやっぱり道州制とかそういうふうな観点からこの問題をもう一度考え直す時期が来ているんじゃないかなと、このように思っているところです。
○議長(吉井和視君) 農林水産部長西岡俊雄君。
〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 食育推進県民運動の推進に係る御質問と県独自の食育推進条例や基本計画の策定に関する御質問につきまして、一括してお答えをさせていただきます。
議員お話しのように、昨年七月、食育基本法が施行されまして、国の食育推進会議におきまして本年三月末をめどに食育推進基本計画が策定される予定でございます。こうした国の動向も受けまして、家庭や学校での食育や地域における食生活の改善、生産者と消費者との交流促進、食品の安全性の推進などにつきまして部局横断的に取り組み、和歌山県食育推進計画──仮称でございますが──を策定してまいります。
食育というテーマにつきましては、さまざまな切り口や観点から幅広い取り組みが必要となることから、生産者、消費者、食品関連事業者、教育関係者、また食文化研究家など多岐にわたる分野の方々をメンバーとする和歌山県食育推進会議を設置いたしまして、和歌山の特色を生かした推進計画の策定を図ってまいります。
また、この計画実現に向け、より積極的な展開を図るためには、条例制定は有効な手段と考えてございます。市町村におきましてもこうした食育推進に取り組んでいただくよう働きかけてまいりますとともに、食の重要性を幅広く県民に理解していただけるよう、行政、教育機関、生産団体等関係団体間のネットワークを構築するなど食育を県民運動として展開してまいりたい、このように考えてございます。
次に、地産地消の推進と食育運動についてでございますが、これまで農林水産部におきましては県食育推進協議会を設置し、食育を考えるフォーラム、あるいはみかんで元気キャンペーン、梅干しで元気キャンペーン、また地域に伝わる伝統料理の伝承でありますとか学校給食での地域食材の利用促進等を実施してきたところでございます。
平成十八年度におきましては、これまでの取り組みに加えまして、教育委員会と連携し、学校給食への県産食材の一層の導入、また小学校でのミカンの栽培体験、こういったものを実施するとともに、食育推進ボランティアや農協の協力をいただきながら、農業体験や地元農産物を活用した加工実習など、地域の特性を生かした取り組みを進めることとしてございます。
議員お話しございましたように、食生活を見直し地域のよさを発揮するには、安全・安心な農産物の生産や消費者との交流、こういったことが重要だと考えてございまして、地産地消を核とした和歌山らしい食育運動といたしまして、先ほども申し上げました食育推進計画に盛り込み、積極的に展開をしてまいりたい、このように考えてございます。
以上でございます。
○議長(吉井和視君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) まず、地域における食生活の改善についてお答えを申し上げます。
議員御指摘のとおり、食生活は健康づくりの基礎となるものであり、生活習慣病予防の観点からも重要なものと認識しております。
平成十三年に実施をしました県民健康栄養調査におきましては、肉や卵など動物性たんぱく質の摂取量が多く、穀類や野菜の摂取量が少ないなど、県民の食生活におけるバランスの偏りが見られます。心臓病や糖尿病などの生活習慣病を予防するためには、過食や偏食を避け、バランスのとれた食事をとるなど、幼児期から適切な食習慣を確立することが重要でございます。
食育基本法を契機として、今後は、各地域で食に関する草の根運動を展開しておられます、およそ千八百人おられますけれども、食生活改善推進員や市町村の協力を得ながら、御飯を中心におかずを組み合わせるという伝統的な日本人の食事パターンを基本として、一日にとる料理の組み合わせとその量を示した具体的でわかりやすい食事指導、地元の食材を使った料理教室の開催などを通じて、県民の方々に地元の食材の活用や食生活に関する正しい知識の普及啓発に一層努めてまいります。
次に、地域医療の整備についてでございます。
お話の公立那賀病院は、十七診療科、ベッド数三百四床を有する那賀保健医療圏の基幹病院として地域医療の中心的役割を担っております。内科系診療科は、内科Ⅰ、内科Ⅱ、呼吸器科、循環器科の四科がございまして、このうち内科Ⅰ、内科Ⅱについて、議員御指摘のとおり、七名いた医師が開業等のため退職し、三月末で医師がいなくなる危機にあり、大変憂慮をしております。
こうした異常事態の中で、県としましては、現在入院中の患者や通院中の患者への影響を最小限に抑えるため、転院先の紹介等適切な措置をとるよう病院に対して指示するとともに、患者の受け入れについて地元の那賀医師会に協力を依頼しているところでございます。
また、当面の診療ができるように、公立那賀病院においても、県立医科大学や近隣の大学に医師の派遣要請を行っているのを初め、病院のホームページで医師募集するなど、医師確保に向けた努力をされておりますので、こうした取り組みを支援すべく関係機関に働きかけているところでございます。
いずれにいたしましても、医療を取り巻く環境が激変する中で医師の確保は大変困難で、早急に診療体制の回復を図ることは難しい状況にありますが、県としましては、医師確保対策を協議する医療対策特別委員会などにおきまして、公立那賀病院、県立医科大学等の関係者とともに協議を進めてまいります。
以上でございます。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 紀の川市の基盤整備についてお尋ねがありました。
まず、道路体系の整備についてお答えをいたします。
泉佐野打田線の和歌山側につきましては、平成八年に、府県境を除き、概成をしております。大阪側につきましては、府県境部の大木地区で用地問題、犬鳴地区で計画ルートについての地元調整が難航していると聞いております。大阪府においても鋭意努力していただいておりますが、早期に問題を解決し事業促進が図れるよう、今後とも阪和開発連絡協議会等の場で強く働きかけてまいります。
また、紀の川市の交通体系につきましては、農林担当部局及び地元市と連携を図りながら、今後とも整備を進めてまいります。
次に、災害を防ぐための河川や地すべり対策事業につきましては、地域の状況や浸水等の被害状況を勘案し、広域的な、効率的な観点から実施をしているところでございます。
具体的には、河川については、新市建設計画に位置づけられている春日川等の改修を重点的に行っております。また、洪水や土砂災害による被害を最小限にとどめるためには、住民の皆様に避難路、避難場所等を認識していただくことが重要であり、ハード整備とあわせてソフト対策についても積極的に取り組んでまいります。
以上でございます。
○議長(吉井和視君) 医科大学学長南條輝志男君。
〔南條輝志男君、登壇〕
○医科大学学長(南條輝志男君) 紀の川市の基盤整備についてのうち、地域医療の整備についてお答えいたします。
県立医科大学では、県内唯一の医育機関として、地域医療を担う医師と最新で高度な医療を習得した医師を育成することが地域医療への貢献につながるものと認識しております。
全国的な傾向として医師の開業や都会志向が高まる中、本県においても深刻な医師不足に陥っております。そのため、本学といたしましては、卒後研修医や卒後三年目以降の後期研修医の確保を図るなど、地域医療を担う医師の養成に努めております。
議員御指摘の問題につきましては、地元自治体等からも御要望いただいております。医療に空白期間を設けることはできないとの考えのもと、三月七日に医科大学内の地域医療支援委員会を開催して、全学を挙げて那賀病院に対する緊急の支援体制を検討しているところであります。
地域社会への貢献、特に地域医療の充実は本学の重要な使命であるとの認識に立ち、行政機関とも連携を図りながら全力を尽くしていきたいと考えております。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──この際、申し上げます。発言時間は残り二分十秒であります。再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 以上で、飯田敬文君の質問が終了いたしました。