平成18年6月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(全文)


県議会の活動

平成十八年二月 和歌山県議会定例会会議録 第七号
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議事日程 第七号
 平成十八年三月九日(木曜日)午前十時開議
  第一 議案第一号から議案第十八号まで、議案第三十六号から議案第九十号まで、議案第九十二号から議案第九十五号まで、及び議案第九十七号から議案第百九号まで(質疑)
  第二 一般質問
  第三 議案の付託
  第四 請願付託の件
会議に付した事件
   一 議案第一号から議案第十八号まで、議案第三十六号から議案第九十号まで、議案第九十二号から議案第九十五号まで、及び議案第九十七号から議案第百九号まで(質疑)
   二 一般質問
   三 議案の付託
   四 請願付託の件
   五 休会決定の件
出席議員(四十四人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       東       幸   司
     二十六番       山   下   大   輔
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     九  番欠員
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        小 佐 田   昌   計
     出納長        水   谷   聡   明
     知事公室長      野   添       勝
     危機管理監      石   橋   秀   彦
     総務部長       原       邦   彰
     企画部長       高   嶋   洋   子
     環境生活部長     楠   本       隆
     福祉保健部長     嶋   田   正   巳
     商工労働部長     下           宏
     農林水産部長     西   岡   俊   雄
     県土整備部長     宮   地   淳   夫
     教育委員会委員    湯   川       力
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      辻       義   之
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員  宗       正   彦
     医科大学学長     南   條   輝 志 男
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       小   住   博   章
     次長         土   井   陽   義
     議事課長       下   出   喜 久 雄
     議事課副課長     薮   上   育   男
     議事班長       山   本   保   誠
     議事課主査      湯   葉       努
     議事課主査      楠   見   直   博
     総務課長       島       光   正
     調査課長       辻       和   良
 (速記担当者)
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時三分開議
○議長(吉井和視君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第一号から議案第十八号まで、議案第三十六号から議案第九十号まで、議案第九十二号から議案第九十五号まで及び議案第九十七号から議案第百九号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 二十一番飯田敬文君。
  〔飯田敬文君、登壇〕(拍手)
○飯田敬文君 皆さん、おはようございます。一般質問最終日になりまして大変お疲れのところと思いますけども、通告に従いまして一般質問をさしていただきたいと思います。
 今度の議会ではたくさんの議論が議会で闘わされたわけでございますけども、重複する課題もあろうかと思いますけれども、私は私なりに私の切り口で質問さしていただきたいと思いますので、当局におかれましても、どうかひとつ簡単で積極的な、長い答弁要りませんので、ひとつよろしくお願いを申し上げまして質問を始めます。
 さて、先日、ある紙面に「脅かされる食の未来」と題した衝撃的な文面を見つけました。その内容は、二〇一〇年、庶民の食卓からパンやめん類、豆腐といった身近な食品が次第に消えていき、外国の深刻な不作や安全面、国内価格の高騰による農産物の輸出の制限がされ、三〇%台まで低下していた我が国の食糧自給率による配給制実施の検討を始めたというシミュレーションでありました。
 現在、牛海綿状脳症いわゆるBSE問題や鳥インフルエンザなどの食の安全面に加え、地球温暖化に伴う高温や渇水の被害、地震、台風など環境の面においても、前条のシミュレーションが全くの想像であるとは言い切れないものであろうと考えます。
 そこで、私から、今回の最初の質問として、食や農業にかかわって、人間の健康、人をつくる、育てるといった観点より質問をさせていただきたいと思います。
 私たち人間が生きていくためには、食が欠かせない要素であります。食は命の源であり、食がなければ命は成り立たないということは言うまでもないことであり、私たち人間は、悠久の歴史の中で、みずからに最も適した食について、豊かな知識と経験、そして文化を築き、健全な食生活を実践しながら生きる力をはぐくんでまいりました。
 我が国では、近年、急速な経済発展に伴って生活水準が向上し、食の外部化など食の多様化が大きく進展するとともに、社会経済情勢が目まぐるしく変化し、日々忙しい生活を送る中、食の大切さに対する意識が希薄となり、健全な食生活が失われつつあるのが現状であります。加えて、食に関する情報がはんらんし、情報の受け手である私たちが正しい情報を適切に選別、活用することが困難な状況も見受けられます。今や大げさではなく、我が国の食をめぐる現状は危機的な状況を迎えていると言っても過言ではありません。
 例えば、脂質の過剰摂取や野菜の摂取不足、朝食の欠食に代表される栄養の偏りや食習慣の乱れが肥満や生活習慣病を増加させ、過度の痩身などの問題も指摘されております。これらの問題は、私たちの地域づくりを初めとする我が国の活力を低下させかねない大きな問題ととらえ、早期に改善を図らなければなりません。
 地域づくりは人づくり、人づくりは健康づくりであります。健康な県民をどのように育成するのか、県政の最重点課題であり、これからの健康づくりについて真剣に取り組まなければなりません。
 さて、さまざまな情報や間違った知識がはんらんする中、これからは自分自身の健康に自分自身が責任を持たなければならない時代であります。これまで、とかく病気は医者と薬が治してくれるものだと考えられてまいりました。患者は受け身の存在であり、医者の指示に従って薬や治療を受け入れておれば安心だとしておりました。これからは、病気にならない予防が大切であり、一人一人が自分の健康は自分が守るという意識を持ち、積極的な健康維持に取り組むことが必要とされております。
 では、健康を維持するにはどのようにすれば、どのようなことに注意を払うべきか。ある書物に、病気は自分自身が積み重ねてきた悪い習慣が原因であると書かれておりました。そうであるならば、健康でいられるか否かは、その人の食習慣や生活習慣が健康を維持する基本と考えられます。
 戦後、日本は、アメリカ型の生活と食に関しては牛肉、パン中心の生活となり、六〇年代に入り高度成長期を迎えた日本は、一九六一年、ちょうど私が小学校の三年か四年ごろだと思いますけれども、学校給食に牛乳というか脱脂粉乳が取り入れられ、チーズやヨーグルトなどの乳製品が日常的に食べられるようになりました。それまで野菜と魚が中心であった日本の食卓が、ハンバーガー、ステーキ、フライドチキンといった動物性たんぱく質を中心とした高たんぱく・高脂肪食となり、現在でもその傾向は変わっておりません。その結果、日本人の体質とは相入れず、特に日本人の内臓は欧米人に比べ腸が少し長く、胃の機能が弱いという内臓の特徴があり、動物性たんぱく質のとり過ぎによるがんや生活習慣病に悩まされてきたところと報告されております。当のアメリカでは、一九七七年に、マクガバンレポートということを機に、国家を挙げて動物性たんぱく質からの脱却を目指し、食の改善が進められてまいりました。
 もともと地上の動物はすべて植物を食べて命を維持しており、その証拠に、肉食動物と言われるライオンやトラは草食動物を食べて生存しており、肉食動物が肉食動物を食べることはないとされております。特に草食動物の胃から食べていくとされており、それは、胃の中に植物がたくさん含まれているからであります。草食動物のキリンやゾウの方がライオンやトラに比べて体が大きく、筋肉が発達しているのを見れば一目瞭然であります。人間の食も基本は植物であり、穀物、野菜、果物であるわけであります。
 このマクガバンレポートでは、その理想的な食と定義したのは、何と日本の元禄時代以前の食事であったそうであります。アメリカでは、その結果、一九九〇年から、がんの発生率、死亡率ともに減少傾向にあります。これは、さきのマクガバンレポートを機に、政府が掲げた食生活ガイドラインがアメリカ社会に定着してきたからだと言われております。それに比べると、我が国、我が県の食に対する取り組みは極めて不十分と言わざるを得ません。特に、食生活について我々の考え方は大きな誤解や間違いがあることが徐々に解明されてきております。
 例えば、これは一つの試論であり、これが正しいとは今断定することはできませんけれども、腸のために毎日ヨーグルトを飲むことがよいとされること、カルシウム不足のため毎日牛乳を飲むことや、御飯やパンなどの炭水化物は控えるとか、高たんぱく・低カロリーの食事を心がけるとか、水分は日本茶でとるというふうなことは、どれも一般的に今までは健康によいというふうにされておりますが、いずれも間違っておると言われております。また、肉を食べればスタミナがつくとか筋肉が育つとか、牛乳を飲めば骨粗鬆症にいいということがマクガバン報告では真っ向から否定されており、根底から我々の食生活を見直さなければならないと思うわけであります。
 食をめぐるこうした生活習慣病を含む県民の健康増進と食生活の県民の現状と認識について、知事自身にお尋ねをいたします。
 こうした中、本年二月二十日、政府の食育推進基本計画検討会は、食育を国民運動として進めるための具体的な方針や目標を定めた食育推進基本計画案を取りまとめました。この中で、学校給食の地場産業食材利用率の拡大や朝食を食べない子供の割合をゼロに近づけるなどの数値目標を盛り込み、二〇〇六年度から五年間に行政や民間団体が行う食育推進の方針を明確にいたしました。また、農業関連分野では、食糧の自給率向上や農作業を体験する教育ファームを増設した中で国民の食への理解と関心を深めることが盛り込まれております。
 私は、こうした食生活改善の取り組みこそ戦後の日本社会のひずみを根本的に改革するものであり、日本人がこれまで一貫して追求したアメリカ型食生活を続けてきたことによる生活習慣病なるものの克服につながるものと信じるものであります。
 現在、産業構造の変化や人口の都市集中、さらに食の外部化など進んでいく中で、食糧の生産や加工などの場面に直接触れることができる機会が減少し、いわば生産者と消費者の物理的、精神的な距離が拡大し、この結果、限られた国土や水資源といった自然の恩恵の上に貴重な食糧生産が成り立っていること、また食という行為は動植物の命を受け継ぐ行為であること、そして食生活は生産者を初めとする多くの人々の苦労や努力に支えられていることを実感しにくくなっているのが現状であります。
 食の大切さに対する県民の意識が薄れている大きな要因としてこのような背景があると考えられることから、食育の推進に当たっては、心身の健康に直接かかわる知識などを身につけるだけではなく、さまざまな体験活動を通じて自然に県民の食に関する感謝の念や理解が深まっていくよう配慮した施策を講じるものでなければなりません。
 食育の推進が十分な成果を上げるためには県民一人一人が健全な食生活の実践に取り組まなければなりませんが、もとより個人の食生活は、その自由な判断と選択にゆだねるべきものであり、みずからの意思により取り組まれることこそが重要であります。
 このことから、食育推進運動の展開には、県民一人一人が食の意義や必要性などを理解し、これに共感するとともに、県や地方公共団体のみならず、関係者が食をめぐる問題意識を共有し、家庭、学校などの教育現場、地域社会のさまざまな分野において、男女共同参画の視点も踏まえ、積極的に推進されることが望ましいわけであります。
 こうしたことを踏まえた食育推進県民運動の推進について、農林水産部長にお伺いいたします。
 また、あわせて、政府の基本法の制定や基本計画の策定を受けて和歌山県として独自の食育推進条例の制定や基本計画の作成が急がれるところでありますが、県の見解を農林水産部長にお伺いをいたしたいと思います。
 次に、生産者と消費者との交流の促進、環境と調和した農林業の活性化、特に県民の健康を守るという観点からの地産地消の農業振興についてお尋ねをいたします。
 これまでも触れてまいりました食育の問題から、健康とは、新鮮で安全な野菜や果実、穀物などの食糧を牛乳など動物性食物とバランスよく摂取するところから達成されるものであり、これを生産する農業の役割は極めて重要な要素であり、よき水、よき土地、何よりもよき地域に育てられた食物を食べるところから人は健康で生き生きと生活できるわけであります。命の源泉、健康の源泉であります。今こそ農業を見直すことから始めなくてはなりません。
 昔のことわざに、四里四方──ちょうど紀の川市ぐらいの広さだと思いますが──そこで育てられた食物を食べ続けていると安全で健康の維持につながると言い伝えられております。まさにそのとおりであり、人は、生まれた土地の水を使い、その土地で生まれた食物を食べて育ってまいりました。生まれた地域の食物は、その人にとってこの上もない安全な食べ物であろうかと思います。地産地消は、その意味において最もすばらしい先人の教えであります。これまで申し上げてきた欧米型食生活は日本人の体に大きな負担をかけてきたことを思えば、日本人には日本人としての食生活があり、地域には地域の食生活があります。
 基本方針の中でも、地域における伝統や気候風土と深く結びつくことによって地域の個性と言うべき多彩な食文化、食生活を生み出し、我が国の文化の発展に寄与してきたことは事実であり、このように食をめぐる問題は、健全な食生活の実践にとどまらず、人の精神的な豊かさや生き生きとした暮らしと密接な関係を有しており、先人によって培われた多彩な食文化を後世に伝えつつ、時代に応じたすぐれた食文化や豊かな味覚をはぐくんでいることが重要であると指摘されております。
 地域における日本食の見直し、食生活の改善は、地域農業の振興と不可分であります。地域における食生活の改善、日本型・地域型食生活推進について、福祉保健部長にお伺いをいたします。
 また、生産者と消費者との交流、環境との調和のとれた農業の活性化が特に重要となっており、地産地消の貴重な場として、私の住んでおるめっけもん広場などの交流の場の建設支援など、県民の健康づくりの面からも、食育の面からも大きく進展させる必要があります。
 地産地消の推進は、このように県民の食生活の改善、県民の健康増進という立場からも極めて重要な意味を持つものであり、めっけもん広場などの発展は、単なる金もうけ主義、商業主義ではなく、地域の命を守る取り組みとして推進しなければならないと思います。また、こうしたことが近隣都市住民の交流を振興し、真の意味での人口の減少社会に対応することとなります。
 私は、一概に人口が減少することは悪いことだとは思えないし、単に人口がふえれば地域の活性化につながるという単純なことではないと思っております。問題は、健康で生き生きとした県民をどう育て、どうつくり上げるかということが重要であり、この意味で、健康福祉という福祉の面からも大いに期待されるものであります。
 食生活を見直し、地域のよさを再発見するための地産地消食育運動を県民運動として提唱したいと思います。県としての農林水産部長の見解をお伺いいたします。
 次に、第二番目として、地方分権社会の実現に向けて、市町村合併及び道州制のあり方について質問をいたします。
 過去、私は、地方分権の課題に積極的に県当局に対し質問してまいり、その時々において答弁をいただいてまいりました。単に地方分権改革と申しましても、現実には単純な一本道ではなく、現在の日本が直面する諸課題、試練は厳しいものがあります。例えば、急速な少子高齢化に始まり、人口の減少、人口構成による日本経済の生産性の低下、温暖化による異常気象、地震など自然災害が多くの危機的な課題を抱えながらこれまで進んでまいりました。
 平成十二年四月に始まった地方分権改革は、地方が国の財政再建の犠牲になっているという側面がどうしてもぬぐえない事実として感じております。しかしながら、景気の低迷、過疎化などの現状を見たとき、ただ分権だとか改革だとかいうような言葉だけではなく、真に魅力のある地域、対外的にも競争力のある地域を構築することが今必要とされております。
 さて、地方分権の進展は本年三月末に至ってどのように変化したのか。確かに、改革の一つの手段として、全国三千二百余りの市町村を一千程度に減らす市町村合併が急速に進んでまいりました。 市町村合併を促す合併特例法の期限が迫った二〇〇五年三月、全国で合併の駆け込み申請が相次いだわけであります。これは、二〇〇六年三月末の期限までに合併すれば、国の支援が手厚い地方債、いわゆる合併特例債の発行が認められるほか、地方交付税の算定でこれより十年間は合併前の水準を減らさないという優遇措置というあめにつられたためであります。その期限に追い立てられての安易な合併と指摘する声は数多く聞こえてまいります。
 こうした理念なき合併論議にさらに拍車をかけたのが三位一体改革なる地方交付税の大幅削減であり、これにより急激な財政の悪化に恐れをなし、合併に逃げ込む市町村が続出したわけであります。
 しかし、私は、そうしたマイナスの面も否定はできませんが、今回の合併は、真に地域住民の安全で快適な暮らしと未来の地域づくりを夢見て突き進められてきたものと信じております。昨年二月議会において同様の質問をさせていただいた折、真に分権を推進するならば国及び地方がみずから襟を正し、痛みから逃避することなく国の役割と地方の役割を明確にした上において推進されるべきと訴えをさせていただきました。その第一は地方への税源移譲を率先した上での改革であり、これが伴わなかったからこそ、市町村合併において理念なき合併と非難をされていると感じております。
 和歌山県においては、市町村合併が進展し、今月初め、橋本市と高野口町の新橋本市、白浜、日置川両町の新白浜町が発足し、県内で十二の新市町が誕生いたしました。なお、いまだ未合併の地域においては、合併新法により合併協議を促す勧告権を都道府県知事に付与するということで推進されることとなっておりますが、これまで残された地域が合併できなかった理由は、それぞれ違いがあろうと思いますけども、私は第一次合併の県の総括がなされておらない気がしてならないわけであります。
 県の指導に問題がなかったのか、第一次合併の不十分点は何なのか、あったとしたら何が問題であったのか、お聞きをしたいと思います。
 いずれにしましても、県の勧告に従い期限までに誕生した新市町村についての県としての財政を伴った環境整備など、特に最大限の取り組みをお願いするとともに、これから誕生することとなろう市町村についても県としての指導力を期待するものであります。
 さて、地方分権の一方の柱であります道州制の導入については、先ごろ地方制度調査会は、都道府県を廃止し道州制を導入することが適当であるとする答申をまとめ、小泉首相に提出をいたしました。その中身は、全国を三つのパターンに区割りする案を示したこと、都道府県を廃止し、より広域な道州を置くとなっております。
 そもそも、道州制を導入することのメリットは、二重行政の解消、言いかえれば中央省庁の地方に置く出先機関と自治体との重複業務の解消であります。ある試算によりましたら、自治体と地方支分部局、いわゆる国の出先機関でありますけれども、それを統合すれば年間一兆円の人件費の節約、さらに年間十兆円の歳出削減が可能であると報告をされております。
 一方で、北海道知事が「内閣府が国のスリム化案まで知事につくれというのはおかしい」と、政府の対応を批判する場面があったように聞くわけでありますけれども、そもそも出先機関の統合などは本来国が主導すべき問題であり、今言われておる北海道特区案にも大きな不備があることから、なかなか進展していないこととなっておるのが現状であります。
 しかし、道州制導入は九〇年代からの分権改革の集大成であり、市町村合併が進む中で、省庁と市町村の間にある県の存在意義が問われ始めているわけであります。道州制導入は、真の地域主権をかち得る手段として、また地方分権が叫ばれている今日に至っては、私は時代の流れが求めるものであると思います。
 木村知事におかれましては、和歌山県内の第一次合併の総括と第二次合併の見解及び問題点、県の指導性についてお伺いをするとともに、道州制導入答申についての見解をお伺いいたしたいと思います。
 次に、私が県議会初登壇の折より訴え続けさせていただいております紀泉百万都市構想についてお伺いをいたします。
 今、猛烈な勢いでグローバル化の波が押し寄せております。特に経済において日本は、アメリカや欧州など先進国との競争だけではなく、韓国、台湾、ブラジル、ロシア、インド、中国といった高成長国・地域からの追撃を受けております。少子高齢社会の日本経済がこうした競争に打ち勝っていくのは簡単なことではありません。中でも、隣国中国との競争は熾烈なものであり、GDPでは近い将来追い抜かれると予測されております。グローバル化の中で日本経済が存在感を示すには、産業構造のさらなるシフト及び高付加価値商品の開発と研究であります。
 こうした中、先ごろ、兵庫県神戸市沖に神戸空港が開港し、関西国際空港と大阪伊丹空港の三空港時代がやってまいりました。空港は経済活動の拠点として大いに生かすべきであり、自治体の壁を超えた広域な取り組みを模索しなければなりません。そういう意味でも、関西国際空港については、二〇〇七年に四千メートル滑走路の供用を目指す第二期工事が現在着々と進められており、関西地域はもちろん、関西空港にとりましても、また我が和歌山県にとりましても大きな意味のあることと完成を待ちわびておるわけであります。
 しかしながら、関西空港は今のところ順調に推移していると聞いておるわけでありますけれども、そのやさきの神戸空港の開港であります。関西空港及び大阪伊丹空港の財務状態やさまざまな要素を加味しても、安定経営ができるようには私には思えないわけであります。しかし、これは現実は現実でございます。国内景気と中国を相手とする空輸の面、道州制につながる広域連携及び交通の面──紀泉百万都市の実現をするためには、何としても自治体が協力してこの活用を考えなければならないと思うわけであります。
 神戸空港が開港し、関西三空港時代という新しい局面を迎え、関西国際空港を利用した和歌山県の今後についてどのように思われておるのか、知事の見解をお伺いいたします。
 続きまして、昨年十一月、私が暮らす地元那賀郡の五町が合併し、新市紀の川市として、新市長以下市議会挙げて希望に満ちた船出でありました。しかしながら、過去、我が県においては、たびたびのチャンスがあったにもかかわらず、県内整備のおくれや認識不足、国の和歌山県に対する方針などにより、発展のチャンスを逃してきたように思われるわけであります。この合併を機に、地方分権の受け皿となるよう早急に機敏に対応しなければならないと思います。
 その一つとして、道州制にも通じることとなる大阪泉南地域、近畿各県に通ずる道路交通体系の早期完成を常々訴えてまいりましたが、和歌山県では、県内交通道路の建設に重点を置かれ、岩出町では泉佐野岩出線の拡幅が急ピッチで進んでおりますこと、喜ばしい限りであり、早期の供用を目指し、なお一層の取り組みの強化を図っていただきたいと思います。
 また、新市紀の川市においては府県間道路泉佐野打田線が主要府県間道路となっており、以前より何回も拡幅をいただいておりますが、いまだ大阪府側、犬鳴温泉地内の拡幅ができておりません。この道路は、関西国際空港への和歌山県からの最短の道路であり、四百二十四号線へ直結する和歌山県の動脈幹線道路であり、同時に紀の川市の大阪への玄関道路であります。その発展は大きなものがあろうと思います。新市紀の川市発足に伴い地元では市長を先頭として促進期成同盟の結成も予定されておると聞いており、県の強力なバックアップを期待するものであります。
 まず、泉佐野打田線の大改修に向けた進捗状況と今後の見通しについて、県当局の見解をお伺いいたします。
 一方、近畿環状高速自動車道路として期待の京奈和自動車道につきましては、橋本市での工事のおくれなどにより大幅なおくれをとっておるとお聞きをしておるわけでありますけども、前段で申し上げましたとおり、県勢浮揚の起爆剤となり得る道路体系の中心道路である上から、過去の議会に何回も申し上げてまいりました和歌山方面からの着工を強く希望し、早期の完成、供用を願っております。そのことが、知事が言われております企業誘致の前進が図られると思うわけであります。
 この京奈和自動車道の紀北西道路、和歌山市方面からの着工については、過日の山田議員の一般質問の中で知事の力強い答弁がなされ、大いに期待をいたしておるところでございまして、私からも改めて要望するとともに、その具体化については建設委員会で論議を深めたいと思っております。
 また、新市紀の川市の誕生により、市役所所在地の旧打田地域を中心としての環境、生活道路、河川、交通の問題が山積しております。新市の中心へつながる交通体系の整備が急がれるものであります。特に市の基幹産業であります農業関連においても、集約集荷場やめっけもん広場、中心農業協同組合の本所などへの農産物の搬入や相談などにおいて、昔からの里道を使用しての活動であり、今までにおいても不便をかこっていたところがあります。
 そういう意味で、例えば、紀の川市の高野という地区があるわけでございますけども、山間地域であり、以前より地域を走る道路が狭い上、改めて紀の川市となった現在、高野地域を経て山間地域から紀の川市中心へ通行道路として使用される頻度が多くなっており、この道路を整備し、かつらぎ桃山線のバイパス道路として、鞆淵、黒川、垣内、中畑地区といった山間地域から中心部へ直結されることとなるわけであります。
 知事の提唱する一・五車線道路、これで結構でございますので、農業生産と結びつけてひとつ整備してはどうかと思うわけであります。紀の川市の交通体系の整備について強く要望いたします。
 また、自然環境の危機説が現実のものとなってきております。地球温暖化対策、新たな段階で、地震、大雨、津波、大型台風、異常気象など、近年、災害の怖さを実感しております。紀の川市は山間部ということもあり、台風、地震、大雨被害や地すべり被害が後を絶たない現状であります。大切な命を守るためには、災害が起きてから対策を立てるのではなく、まだ余裕のあるときこそ、危機管理体制に加え、例えば河川改修や地すべり対策を講じていかなければなりません。
 河川改修を初めとする災害防止について、県土整備部長にお伺いをいたします。
 最後に、これが大きな問題となってきておりまして、地域の医療の整備についてお尋ねいたします。
 県民の命を守るためには、何よりも地域医療の整備が最も肝要でありますが、県下の医師不足、公立病院の現状は極めて憂慮すべきものがあります。例えば、紀の川市の中核病院であり那賀圏域の基幹病院である公立那賀病院、これは地域の期待を持って再開発をされ、新しい、すばらしい病院に生まれ変わったわけであります。しかし、その内実は極めて厳しく、このたび四月には内科医師がゼロとなるというふうなこととなり、地域住民の不安、特に入院している患者の皆さんの不安を呼び起こしております。
 医科大学からの医師が、ここ数年、何か知らんけど少なくなってきたり、また、独立して開業医師になるとか、労働条件が悪いとか、いろんなことで那賀病院に内科の医師がいなくなって、ゼロになってしまうということが今起こっておるわけであります。昨年九月に七名おられました。それが十二月末で四名、三月末にはゼロ、こういうふうな実態になるわけであります。内科医師のない内科病院、これは総合病院とは言えません。
 和歌山県はこの実態をどのように把握し、対応されておるのか。福祉保健部長の所見をお伺いいたします。
 また、和歌山県立医科大学の地域医療に対して、人の命、人権を大事にすると言われておる医科大学が医師派遣をどのように思っておるのか。那賀病院に、ゼロとなるこの実態をどのようにしてくれるのか。これを医科大学学長に見解を求め、今回の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの飯田敬文君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 県民の健康増進と食生活の問題です。
 御質問にもありましたように、やはり日本人には日本人に合った食生活というのがあるような感じが、このごろ私も物すごくしてまいりまして、前は洋食とかが非常によかったんだけど、このごろはどうもお茶漬けとかそういうものの方がよくなってきている。これはやっぱり欧米の人には、このお茶漬けだけはわからないと思うんですね、握りずしはわかっても。やはりこれは日本人の習慣とか体質とか、そういうものに根づいた食事があるだろうというふうなことがありますし、そしてまた、今、生活習慣病というものが物すごくふえてきているわけだけども、これからこういうものに有効に対処していくためにも、やはりその体質に合った食事と、そしてまたその材料ということは地産地消ということで、安全性のよくわかったものを食べていくというふうなことが僕は非常に大事だろうと思っております。
 学校給食なんかでも、和歌山では和歌山のものをできるだけ使うと。カキが少しぐらいむきにくくても、やっぱりカキなんかを学校の給食に出していくというふうな努力をどんどん続けていくべきだと思いますし、もっともっと、そういうことでこそ和歌山県が先進県だと言われるようになっていきたいと、こんな感じを持っております。
 先般、元気わかやま行動計画というのをつくって、そしてその中でいろいろ健康増進のための数値目標というのも挙げておりますので、そういうものに向かっていろいろな健康づくり対策ということを進めていきたいと思っております。
 次に、市町村合併についての問題でございます。
 市町村の合併は、これは第一次の合併のときにも言いましたように、基本的には地元の住民の人と各市町村がどういうふうに考えるかということが前提であるわけですが、今ちょっと思うのは、いろいろ技術的な支援はしてきたんだけども、やはりもう少し、考えにおいて、ある程度の色を出していった方がよかったかなというようなことを時々反省することもあります。
 そういう中で、今後の第二次の合併においては、知事の勧告権と──法律が変わって、制度が変わっておりますので、そういうふうなものにのっとって、今、一応案を提示しておりますが、これで、先般来言っておりますように地元の活発な議論を高めてもらって、そしてその上でまた県がしかるべき役割を果たしていくのが適切だと考えているところでございます。
 次に道州制の問題ですけれども、今、四十七都道府県がそれぞれいろんなことを競い合って地域主義を行っているということはそのとおりなんですが、やはり明治以来全然変わってきてないという中で四十七あると、そしてさまざまなものがあるということが、逆に中央集権的な要素を高めるようなことに働いている面もなきにしもあらずではないかというふうに思うわけです。
 例えば、この紀の川市の辺のことを言っても、府県間道路。和歌山県にとっては大阪との間の道路は非常に大事なんで物すごく力を入れてるんだけど、大阪の方から言えば端の方の道路だというようなことで、このあたりも十分うまく連携がとれない。これ、やっぱり全体の地域として道路の必要性ということを考えていけば、当然のことながら地域ごとに機能分担があるわけで、そういうところを結んでいく道路の重要性ということははっきりしてくると思います。
 それから、関空の話もありましたが、今どこの県も一県一空港ということで競い合ってつくってきたわけだけど、果たしてそういうことでの飛行場整備というふうなことが本当に適当なのかというふうなこと、これも国民経済的に見て疑いなしとしないというふうなところでございます。
 そしてまた、例えば紀泉百万都市構想と言っても、都道府県の境があると、どうしても何か夢物語というふうな感じで、この人は何を言ってるんだろうというのがまず出てくるわけなんだけども、これが、やっぱりもう少し大きな圏域で地域というものを見ていけばそういう構想も当然具体性を帯びてくるというふうなことで、いずれにしても、一つの方向として大きく都道府県制度もやっぱり改革していく時期に来ているんじゃないかなというのが私の基本的な認識で、こういうことについてはまた県議会とも十分相談しながらいろんなことで対応していきたいと、このように考えております。
 次に、関空のことと和歌山の今後ということで、関空が一方で二期工事ができ上がってきているという中で、神戸空港がもう本当に至近の距離にでき上がったということは非常に難しい状況です。
 先般、私もドバイとかカタールへ行って、関空に外国からたくさんの航路が来るように働きかけをしてきたところですけども、この関空は、今おっしゃった、例えば紀泉百万都市構想というふうなことから見ても、地域をどうしていくかということから見ても非常に大事な飛行場です。そしてまたこれが、二本目の滑走路ができるということでますますそういう意味では重要になってくるわけだから、和歌山県としても、この関空がどんどん有用な空港に、もっともっと乗降客がふえるような形での努力をしていかなければならないし、さらには、関空が開港したときには和歌山県にとってどういう効果があるかということで一度物すごく盛り上がったことがあったわけだけども、それが今ちょっと下火になってるんだけど、もう少しやっぱり道州制とかそういうふうな観点からこの問題をもう一度考え直す時期が来ているんじゃないかなと、このように思っているところです。
○議長(吉井和視君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 食育推進県民運動の推進に係る御質問と県独自の食育推進条例や基本計画の策定に関する御質問につきまして、一括してお答えをさせていただきます。
 議員お話しのように、昨年七月、食育基本法が施行されまして、国の食育推進会議におきまして本年三月末をめどに食育推進基本計画が策定される予定でございます。こうした国の動向も受けまして、家庭や学校での食育や地域における食生活の改善、生産者と消費者との交流促進、食品の安全性の推進などにつきまして部局横断的に取り組み、和歌山県食育推進計画──仮称でございますが──を策定してまいります。
 食育というテーマにつきましては、さまざまな切り口や観点から幅広い取り組みが必要となることから、生産者、消費者、食品関連事業者、教育関係者、また食文化研究家など多岐にわたる分野の方々をメンバーとする和歌山県食育推進会議を設置いたしまして、和歌山の特色を生かした推進計画の策定を図ってまいります。
 また、この計画実現に向け、より積極的な展開を図るためには、条例制定は有効な手段と考えてございます。市町村におきましてもこうした食育推進に取り組んでいただくよう働きかけてまいりますとともに、食の重要性を幅広く県民に理解していただけるよう、行政、教育機関、生産団体等関係団体間のネットワークを構築するなど食育を県民運動として展開してまいりたい、このように考えてございます。
 次に、地産地消の推進と食育運動についてでございますが、これまで農林水産部におきましては県食育推進協議会を設置し、食育を考えるフォーラム、あるいはみかんで元気キャンペーン、梅干しで元気キャンペーン、また地域に伝わる伝統料理の伝承でありますとか学校給食での地域食材の利用促進等を実施してきたところでございます。
 平成十八年度におきましては、これまでの取り組みに加えまして、教育委員会と連携し、学校給食への県産食材の一層の導入、また小学校でのミカンの栽培体験、こういったものを実施するとともに、食育推進ボランティアや農協の協力をいただきながら、農業体験や地元農産物を活用した加工実習など、地域の特性を生かした取り組みを進めることとしてございます。
 議員お話しございましたように、食生活を見直し地域のよさを発揮するには、安全・安心な農産物の生産や消費者との交流、こういったことが重要だと考えてございまして、地産地消を核とした和歌山らしい食育運動といたしまして、先ほども申し上げました食育推進計画に盛り込み、積極的に展開をしてまいりたい、このように考えてございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) まず、地域における食生活の改善についてお答えを申し上げます。
 議員御指摘のとおり、食生活は健康づくりの基礎となるものであり、生活習慣病予防の観点からも重要なものと認識しております。
 平成十三年に実施をしました県民健康栄養調査におきましては、肉や卵など動物性たんぱく質の摂取量が多く、穀類や野菜の摂取量が少ないなど、県民の食生活におけるバランスの偏りが見られます。心臓病や糖尿病などの生活習慣病を予防するためには、過食や偏食を避け、バランスのとれた食事をとるなど、幼児期から適切な食習慣を確立することが重要でございます。
 食育基本法を契機として、今後は、各地域で食に関する草の根運動を展開しておられます、およそ千八百人おられますけれども、食生活改善推進員や市町村の協力を得ながら、御飯を中心におかずを組み合わせるという伝統的な日本人の食事パターンを基本として、一日にとる料理の組み合わせとその量を示した具体的でわかりやすい食事指導、地元の食材を使った料理教室の開催などを通じて、県民の方々に地元の食材の活用や食生活に関する正しい知識の普及啓発に一層努めてまいります。
 次に、地域医療の整備についてでございます。
 お話の公立那賀病院は、十七診療科、ベッド数三百四床を有する那賀保健医療圏の基幹病院として地域医療の中心的役割を担っております。内科系診療科は、内科Ⅰ、内科Ⅱ、呼吸器科、循環器科の四科がございまして、このうち内科Ⅰ、内科Ⅱについて、議員御指摘のとおり、七名いた医師が開業等のため退職し、三月末で医師がいなくなる危機にあり、大変憂慮をしております。
 こうした異常事態の中で、県としましては、現在入院中の患者や通院中の患者への影響を最小限に抑えるため、転院先の紹介等適切な措置をとるよう病院に対して指示するとともに、患者の受け入れについて地元の那賀医師会に協力を依頼しているところでございます。
 また、当面の診療ができるように、公立那賀病院においても、県立医科大学や近隣の大学に医師の派遣要請を行っているのを初め、病院のホームページで医師募集するなど、医師確保に向けた努力をされておりますので、こうした取り組みを支援すべく関係機関に働きかけているところでございます。
 いずれにいたしましても、医療を取り巻く環境が激変する中で医師の確保は大変困難で、早急に診療体制の回復を図ることは難しい状況にありますが、県としましては、医師確保対策を協議する医療対策特別委員会などにおきまして、公立那賀病院、県立医科大学等の関係者とともに協議を進めてまいります。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 紀の川市の基盤整備についてお尋ねがありました。
 まず、道路体系の整備についてお答えをいたします。
 泉佐野打田線の和歌山側につきましては、平成八年に、府県境を除き、概成をしております。大阪側につきましては、府県境部の大木地区で用地問題、犬鳴地区で計画ルートについての地元調整が難航していると聞いております。大阪府においても鋭意努力していただいておりますが、早期に問題を解決し事業促進が図れるよう、今後とも阪和開発連絡協議会等の場で強く働きかけてまいります。
 また、紀の川市の交通体系につきましては、農林担当部局及び地元市と連携を図りながら、今後とも整備を進めてまいります。
 次に、災害を防ぐための河川や地すべり対策事業につきましては、地域の状況や浸水等の被害状況を勘案し、広域的な、効率的な観点から実施をしているところでございます。
 具体的には、河川については、新市建設計画に位置づけられている春日川等の改修を重点的に行っております。また、洪水や土砂災害による被害を最小限にとどめるためには、住民の皆様に避難路、避難場所等を認識していただくことが重要であり、ハード整備とあわせてソフト対策についても積極的に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 医科大学学長南條輝志男君。
  〔南條輝志男君、登壇〕
○医科大学学長(南條輝志男君) 紀の川市の基盤整備についてのうち、地域医療の整備についてお答えいたします。
 県立医科大学では、県内唯一の医育機関として、地域医療を担う医師と最新で高度な医療を習得した医師を育成することが地域医療への貢献につながるものと認識しております。
 全国的な傾向として医師の開業や都会志向が高まる中、本県においても深刻な医師不足に陥っております。そのため、本学といたしましては、卒後研修医や卒後三年目以降の後期研修医の確保を図るなど、地域医療を担う医師の養成に努めております。
 議員御指摘の問題につきましては、地元自治体等からも御要望いただいております。医療に空白期間を設けることはできないとの考えのもと、三月七日に医科大学内の地域医療支援委員会を開催して、全学を挙げて那賀病院に対する緊急の支援体制を検討しているところであります。
 地域社会への貢献、特に地域医療の充実は本学の重要な使命であるとの認識に立ち、行政機関とも連携を図りながら全力を尽くしていきたいと考えております。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──この際、申し上げます。発言時間は残り二分十秒であります。再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 以上で、飯田敬文君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十四番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、早速質問に入らせていただきます。
 私は、二つの問題についてお伺いをしたいというふうに思います。
 まず最初に、男女共同参画推進の状況についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
 国の男女共同参画社会基本法が制定されまして、七年が経過しようとしています。この基本法で義務づけられた都道府県男女共同参画の計画は、すべての都道府県で策定をされておりますし、本県においても平成十四年四月一日、県男女共同参画推進条例の施行のもとに、基本計画で具体的な施策を全庁的に進められているところです。
 そこで、条例、計画で女性施策はどう進んだのでしょうか。すべてについて検証することはできませんが、以下六つの点について質問を申し上げたいと思います。
 第一点に、まず県の審議会の女性委員の割合であります。
 目標数値、十七年度末三〇%に対し二八・九%と、三〇%に近づきつつあります。これは、全庁的に積極的に各課が進められた経過だろうというふうに考えるものです。しかし、今なおこの十七年度末までの目標値に、審議会設置の方では十一部・室、委員会の中で六部局で未達成となっていることから、さらなる努力を求められることを申し上げておきたいと思います。
 ちなみに、審議会数九十五、そしてその委員総数は千二百八十二人であります。そのうち女性委員は三百七十人となっておりますが、三〇%の目標を早期に達成し、さらに女性委員の割合を五〇%にまで目標値を引き上げたらどうでしょうか。そして、政策決定の場に女性の意見を反映させられるよう強く望むものですが、いかがでしょうか。また、この間、公募による人選登用がありますか。今後、公募についてどのように考えておられるか、お答え願いたいと思います。
 二つ目の点につきまして、女性幹部職員の登用についてです。
 本庁課長相当職以上が管理職と言われていると聞いております。人事課の資料によりますと、女性の割合は、全職員中、平成十三年度で七名、一・六%、平成十四年度から年々ふえてはまいりましたが、この平成十七年六月時点で見ますと十五人に達し、三・五一%と倍化している成果になっています。
 私が十九年前に県議会に参ったときには、たしか宮崎恭子さん一人ぐらいだったんではないかというふうに思います。そのときからしますと、徐々に前進しております。平成十四年度の職員採用一種試験(大学卒)では、女性職員の受験者の割合が三〇%程度、そして合格者は二〇%程度と大変少ない、このことも指摘されているところであります。平成十五年以後の受験者はふえてきているのでしょうか。
 また、女性職員の中で見ますと、伸びたと言っても二・四五%という低さであります。全国水準に比較して、どの位置にあるのでしょうか。女性職員の職域拡大のための取り組み、幹部候補となるための人材育成として、どのような対策や取り組みをなされているのでしょうか。
 三つ目に、女性のパート労働者が、今、全国でふえ続けております。三人に一人の割合でパートで働くことになっておりますが、待遇の悪化も進んでいるという状況にあります。
 平成十六年賃金構造基本統計調査報告が、県内のパート労働者の時給は平均八百三十四円となっております。県庁内には四百数名の女子アルバイト職員が各課で働いておりますが、その賃金は一日八時間労働で五千三百円と聞きます。これを一時間当たりに計算しますと、実労働七時間計算で七百五十七円となりますから、八百三十四円を見ますと大きく下回っているというふうに思うわけです。少なくともこの八百三十四円に是正すべきではないかというふうに思いますが、いかがお考えですか。
 四点目、家庭と仕事の両立支援についてであります。
 雇用の場における男女の賃金格差は、賃金を初め、いろいろな形での格差は深刻な状況になっています。女性も、今や結婚しても子育てしながら働き続けたいと考えている人がふえてきております。県民の意識調査でも、平成十三年の調査では一一・五%から平成十四年二九・八%へと、一八・三ポイントも高くなっています。
 そこで、職場での男女平等の実施とともに、男女の職業生活と家庭生活の両立を支援する環境政策が計画に盛り込まれております。中でも、家事、育児、介護については女性の負担が大きいことからも、男女の育児休業や介護休暇等の取得率の目標値を設定し、実現を願うものでありますが、県庁における目標値と利用状況をお聞かせいただきたい。
 五つ目、DV対策についてお尋ねをします。
 夫や恋人からの暴力、あるいは子供や成人女性が親から受ける暴力、兄弟からの暴力、高齢女性が家族から受ける暴力、またストーカー行為、セクシュアルハラスメントなど、暴力もさまざまであります。中には、日本国内で生活している外国籍の女性が支援を求めてくることも多々あります。夫やパートナーからの暴力は重大な人権侵害でもありますし、犯罪であるという社会的な認識は、今や深まってきているというふうに私は思います。
 県女性相談所に併設されている配偶者暴力相談支援センターに、電話による相談あるいは直接の来所相談が年々増加しております。また、それによる一時保護も、本人のみではなくて、子供同伴も少なくありません。女性相談所の相談件数は、平成十二年度は二千八百十七件だった相談が、十六年度では四千四百三十四件に倍化しております。職員も多忙をきわめていることは容易に推察できることです。
 生命または身体への危険のおそれのある被害者の一時保護施設であるなぐさホームへの入所は、平成十二年度、実人員三十四人ですが、延べ二百五十五人が保護されてまいりました。平成十六年度には、実人員百二人、延べ九百八十人と、九倍に大幅にふえている現状にあります。子供同伴でも、平成十二年が二十一人、延べ百二十三人、平成十六年度は実人員八十三人、延べ七百五十人と、八倍増となっております。
 年齢も二十代から六十代で、六畳一間に三人の入居、そして精神的、肉体的にも落ち込んでいる事態を考えたとき、余りにも住環境としていかがなものかと考えるものです。また、満員のときには白浜の援護寮や泉南地方まで民間シェルターなどに頼る、そういうこともあります。県内での一時保護は当然やらなければなりませんが、他府県まで頼るのはいかがなものかというふうに思います。
 センター職員は、常勤職七名、非常勤職は、医師や心理判定士、電話相談員、宿直員合わせて二十一名、夜十時までの電話相談に応じて頑張っています。
 自立支援のため、就労支援は欠かせません。行政への手続など、また裁判所への手続など多くの仕事をしなければなりませんし、これらについてはほとんどが職員が行っていると言いますから、極めて多忙なことです。
 県内に一カ所では、増加する事態には限界があります。可能な限り身近なところで相談できることや保護施設も他府県に頼らないこと、自立するため技術習得などの施設を兼ね備えた支援センターを紀南あるいは紀中地域に新設することを切に願うものですが、どのようにお考えでしょうか。
 六番目、自営業に携わる業者婦人の支援策について。
 基本計画では、本県の就業者の主な従業上の地位別割合での家族、従業者の割合は九・六%で、全国第三位です。同時に、その家族従事は八〇・七%が女性であるという実態も明らかになっています。
 農林水産業、商工業の分野における女性は、生産あるいは経営活動において共同経営者として参画する傍ら、家事、育児、介護等の活動との二重労働が大変な負担になっています。しかも、これらの活動に対して十分な評価がなされていないといった意見が県民の声を聞く会で多く出されたことが記載されているところです。具体的施策では、家族従事者も生き生き活躍できる環境整備に向けて施策の研究を行うこととなっております。
 今、日本は中小企業の国と言われ、二十一世紀は中小企業の時代と叫ばれているところですが、今、中小企業のすそ野を形成している家族労働を源とする膨大な数の自営業の衰退傾向が続いております。本県下においても、中小企業の倒産や商店街に見るシャッター通りがその姿を目の当たりにする現状でもあります。雇用という点からも、地域密着型の商工自営業に対するきめ細かな支援策が求められる緊急課題だとも考えるところであります。
 片や農林水産分野では、家族経営協定の促進など、女性農業委員や企業グループをふやすなど数値目標も設定し、促進に取り組んでいます。それに比べ、商工分野の自営業者に対する対応は皆無と言っていいのではないかというふうに思います。この間、商工会議所の女性会あるいは商工会女性会に、平成十六年及び平成十七年ともに講演会や全国大会参加に対する助成あるいは体験研修などに補助金を出しているにすぎませんし、大変不十分だと思うわけです。
 和歌山の地域経済の基盤を形成しているのは、小さな家族自営業者の女性たちです。どんなに苦しくてもこの地でこの町で暮らしていきたいと町づくりに頑張っているのも、自営業者の女性たちではないのでしょうか。生き生き活躍できる環境整備に向けた施策の研究は、この間どのような研究を進められたのでしょうか。お聞かせ願います。この際、ぜひとも自営業の女性たちの実態をつかむ調査研究を行い、支援策を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 以上六点について、それぞれ関係部長からの答弁をお願いいたします。
 二つ目の課題です。医師、看護師確保対策についてでございます。
 まず、医師確保についてお尋ねをいたします。
 既に医師不足問題についてはこれまで多くの議員から質問が行われてきたところですが、今議会においても議論が行われたところです。それだけに重要な問題だと私は思っています。
 今、県下の病院関係で、国の医療制度の改悪で病院経営への影響と患者の負担増が押し寄せる中で、安定経営と安心・安全の医療提供に苦労が続いているところです。中でも、医師不足のため、診療科の廃止、病棟閉鎖、そして縮小及び外来一時閉鎖、病床縮小、救急ストップなどの動きが広がり始めています。小児科、婦人科、麻酔科医等の確保については、とりわけ困難をきわめている状況だと思います。
 そうした中で、医師養成の県立医大には殊のほか県民の強い信頼と期待、そして病院関係では医師派遣等に対する期待は大きいと思うところです。特に県下の自治体病院は、その地域の中核、基幹病院であることからも、医師派遣は、医大から派遣はごく当たり前という安心感も長く続いてきたんではないかというふうに思うわけです。医師の研修医制度の義務化に伴う指導医の確保を要する中での派遣医師の中止や縮小、こういったことが進んだ上で退職がとまらない状況が幾つも重なり、医師不足と確保の困難を引き起こしていると考えるものです。
 県立医大病院に限った問題ではなく今や全国的な問題と、先ほどからも言われているところであります。今後、県立医科大学の入学定員増を初め医大病院医師の定員増など、地域医療をともに支える病院間のあり方を十分議論する必要があるのではないかというふうに私は思います。
 先ほど飯田議員から、公立那賀病院の医師確保問題について質問がございました。私も、これまで那賀病院の病院長さんなどにも会ってその状況を聞き、せめて内科外来だけでも中断することなく診察が続けられることを願って、つい先日、知事にも異常事態の打開策を求めてきたところです。医大からの派遣可能性ばかりでなく、他の方法も検討すべきでしょう。
 担当課では、先ほど答弁されましたように、努力はなされているところですが、事態打開には至っていない現状にあります。医療対策特別委員会、これを開くというふうにおっしゃっていますけれども、直ちに開いて支援策を検討してみていただきたいというふうに思います。そして、地元の医師会、そして県医師会や病院協会等への協力要請ももっと積極的にやっていただきたい、こういうふうに思うわけですが、地域住民の不安にこたえ、医療を守る立場からの県の指導性を発揮していただくことを申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、看護師確保対策についてお尋ねをいたします。
 医師と同じく慢性的に不足している看護師の確保は、困難をきわめている状況にあります。日本医労連の昨年行った看護職員の労働実態調査がございます。その一端を紹介して、今、看護師不足の原因は何かというのを探ってみたいというふうに思います。
 一層の看護師確保、これを強く求めたいと思うわけですが、今、看護師の現場は人員不足の中で多忙をきわめ、休みもとりにくい、休みでも疲れは回復できない、患者に十分な看護が提供できないなど、やめたいとしばしば思いながら働き続けている。やめたい理由では、何ですかと、こういう質問に対して、「仕事が忙し過ぎるから」が最も多く、次に「仕事に達成感がない」、そして「夜勤がつらいから」というふうに続いております。残業代も、きちんと支払われているという声は四一・一%でありますけれども、一部だけ払われたり全く払われていないという現実も数字にあらわれてきております。夜勤回数についてはわずかな改善が見られているようでありますが、まだまだ不十分と言わざるを得ません。
 県は、第六次看護職員需給見通しを発表いたしました。十八年度から五年間の年次計画となっております。十七年度末においても、六百八十一人の不足数を残したまま次の計画に進むことになります。現場の看護師の実態は、先ほど申し上げましたが、医学・医療技術の進歩、患者の高齢化、そして重症化、そして、最近は在院日数の短縮などからも業務の密度は過重です。そして、ナースへの負担は高くなるばかりだと聞きます。県民に安心・安全の医療、看護を提供するためには看護職員の果たす役割は限りないものがございます。それだけに、看護職場の実態に合った需給計画の見通しが必要だと考えるものです。
 県は、この見通しを策定する上で、全県下の病院、有床診療所など、看護職員を必要とする八百数カ所の施設等に働く職員の就業実態調査を実施されました。その実態を反映させる努力をされたと聞いておりますが、病院や関係者の皆さんの積極的な協力も大きなものがありますし、その計画が、その実態が反映できるものへと、またその実態が大きく改善することを期待したいと思うところです。
 しかし、今回の需給計画を見てみますと、計画の始まる平成十八年、早くも六百五十五人、五年後の平成二十二年はさらに七百十一人の不足が予測されております。依然として不足は続くことになり、それだけに行政の対策と関係者の積極的な対応が求められることを痛感するものであります。
 昨年から開校した看護師二年課程通信制に学ぶ学生が、今、一生懸命努力をいたしておりますし、教師たちの熱心な教育援助に、私は本当に心から大きな拍手と声援の気持ちを送りたいと思います。病院協会の積極的な姿勢にも、これまた感謝を申し上げる次第です。県は看護学生の修学資金の枠を確保するなど、担当課の努力も評価をしたいと思います。
 さて、看護師不足対策のかなめになるのは、離職防止と、そして看護学校や養成所の新設が基本だと思います。
 離職防止対策では、働き続けたいと思いながら、結婚、出産、子育ての中で保育所問題があります。勤務形態、特に夜勤は避けて通れません。月八日の夜勤、当直には二十四時間保育体制の保育所がどうしても必要です。地域の公的保育所では、現在のところは皆無です。認可保育所では、長時間保育は少ないものの実施をしているところもありますが、看護職員の願いにこたえるものにはなっておりません。病院内保育所は県下に二十カ所設置をされておりますが、十分ではありません。せめて自治体立病院では、需要調査を実施した上で、設置に向けての検討を急がれることを願うものです。また、地域の民間病院等の子供も一緒に入所できるように県の指導性を発揮していただきたい。いかがでしょうか。
 次に看護学校養成所の新設ですが、確実に卒業し、国家試験合格によって確保が確実となります。看護学校養成所のない日高地方には一カ所もありません。かつて旧国立和歌山病院に進学課程がありましたが、その廃止後、新たな学校は建設されておりません。実習病院の確保や、あるいは専任教師の確保問題も随分懸念され、努力が必要だというふうに思います。しかし、需給計画を実現する対策は、進めなければ絵にかいたもちになってしまいます。特に、これは福祉保健部長の決意のほどをお聞かせいただきたいというふうに思うわけです。
 最後に、看護師たちの気持ちを丸ごと歌にした同僚の詩集が私の手元に送られてまいりました。その詩を紹介してみたいというふうに思います。「夜勤明け」という表題になっております。
 「心電図モニターの音が 早まったり 間のびしたり ピッピッ ピピピ ピーピー 心臓の波が 丸ごと伝わってくる 背中でキリキリ 聞き分けながら さりげなく 『大丈夫ですよ』 ゆったり声がけする(中略)充実したたかぶりをかかえ 深夜明けの 外への一歩はまぶしくて やわらかになったアスファルトに くらくら すいこまれる 車のバックのピーピー音が 心電図の音にきこえ とびおきたり せみの声までうるさくて 昼は良く寝て二時間 『過労死に注意』 さりげなく手伝う 娘の家事の量も増え 五十才を過ぎての徹夜は 自分の心臓まで コトコトからまわり きついきついと ぼやいたり いつやめようかと まよったりもするが 病を一つ一つ乗り越える確かさ 治ることのない人に よりそうつらさ 命のはかなさ ねばり強さ(中略)丸ごとかかえて やっぱり 仕事が好き やめることなく 体が続くといいな 時々自分をほめて 仲間と 泣いて励まして 笑いあって でも看護が好き」。
 これは、看護師さんたちがいつも常日ごろ考えている気持ちだというふうに思います。皆さん方の看護職への理解を深めていただくために紹介をいたしました。ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 男女共同参画に係る御質問のうち、審議会への女性の登用についてお答えを申し上げます。
 審議会等委員への女性の登用を促進するため、本県では審議会等への女性の参画促進要綱を定めまして、女性の登用率を、議員の御質問にもございましたように、平成十七年度末までに三〇%以上、最終的には男女のいずれかの数が総数の四〇%を下回らないようにすることを目標に掲げております。
 県の男女共同参画基本計画を策定いたしました平成十四年度の登用率は一九・四%でございましたが、その後、女性人材の養成、発掘、各専門分野におけます女性人材の情報収集などの取り組みによりまして、平成十七年六月一日現在では二八・九%となっております。
 来年度におきましても、女性が力をつけ、社会参画できるよう、チャレンジ支援事業などを実施することにより女性人材の養成、発掘などに努め、さらなる登用率の向上を図ってまいりたいと考えております。
 また、公募による人選についての御質問でございますが、公募制につきましては、広く県民の皆様の御意見をお聞きし、施策に反映するとともに、多様で新たな人材の発掘、登用につながるという観点から非常に有効な手段と考えております。本県では既に男女共同参画審議会、あるいは国土利用計画審議会、紀州っ子元気プラン推進協議会におきまして公募制を導入し、公募委員の方々にも貴重な御意見をいただいているところでございます。
 今後とも引き続き審議会等委員への女性の登用を促進するための方策の一つとして、その導入について関係部局と協議をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 女性の幹部職員の登用など、五点についてのお尋ねがありました。
 まず、女性幹部職員登用の全国水準との比較についてでありますが、平成十七年で女性職員に占める管理職の割合は、全国平均一・九%のところ、本県では全国十八位の二・四五%となっております。男女共同参画基本計画に基づき、平成二十三年に五%にすることを目標に現在取り組んでいるところであります。
 次に、女性職員の職域拡大と人材育成についてであります。
 新しい行政課題に的確に対応できるよう、多様な所属への人事配置やジョブローテーションを積極的に進め、女性職員についても、予算編成や県税徴収など新たな職域の拡大に努めているところであります。また、省庁や民間企業、他府県等への派遣を行うなど、県職員として基礎となる幅広い能力や知識の習得を男女の別なく図っているところであります。
 次に、アルバイト職員の賃金是正についてであります。
 本県のアルバイト職員の賃金単価につきましては、一般職の職員の給与等を参考に算定しているところであります。厳しい民間給与の実態等を反映し、平成十四年度から一般職の職員の給与についてはマイナス勧告を受けるなど下がっているという状況の中、アルバイト職員の賃金のみ引き上げるのは困難であります。いずれにいたしましても、厳しい財政環境を踏まえつつ適切に対処してまいりたいと考えております。
 次に、平成十六年度の育児休業取得状況ですが、女性職員が九六・八%、男女合わせた取得率は六二・二%となっております。なお、男性職員も、平成十六年度に初めて二名が取得したところであります。
 取得率の目標値は、昨年三月に策定した県子育て推進プログラムにおいて、平成二十一年度の目標を、育児休業と出生時における五日間以上の連続休暇を合わせ、男性職員は五五%、女性職員は九八%としております。
 最後に介護休業についてですが、目標値は設けておりませんが、取得状況は、平成十五年度六名、平成十六年度四名となっており、うち男性職員も平成十五年度に一名取得しております。
 今後とも、子育て推進プログラム等に基づき、一層家庭と仕事の両立が可能な環境整備に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 最初に、DV対策についてお答えを申し上げます。
 DV被害者の方の最寄りの相談機関といたしまして、従来より各振興局に婦人相談員を配置し、県女性相談所と連携を図りながら相談や自立に向けた支援に努めているところでございます。
 議員御提言の紀南・紀中地域への支援センターの設置等施設整備につきましては、民間シェルターの促進や母子生活支援施設等関係施設のあり方を含め、総合的に今後検討してまいりたいと考えてございます。
 なお、今月、法に基づく、配偶者からの暴力の防止及び被害者支援基本計画を策定いたします。今後、この基本計画に基づき、相談体制や一時保護体制の充実を図るとともに、DV被害者が精神的にも経済的にも自立できるよう継続的な心のケアや就業支援などの仕組みづくりを進め、市町村等関係機関や民間団体と連携し、協働を図りながら被害者支援に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、医師、看護師確保対策についてであります。
 まず、公立那賀病院の医師確保についてお答えを申し上げます。
 先ほど飯田議員にもお答えを申し上げましたが、公立那賀病院につきましては、三月末で内科を担当する医師がいなくなる危機にあり、大変憂慮をしてございます。
 医療対策特別委員会で検討をという議員の御提言につきましては、当委員会は、県立医科大学、地域の公立病院、県医師会、病院協会等の関係者により構成し、医師確保を初め県内の地域医療対策を協議する場として位置づけており、この問題について早急に協議できるよう調整を進めております。
 また、県としましては、現在入院中の患者や通院中の患者への影響をできるだけ少なくする必要があることから、公立那賀病院の意向を踏まえながら、県医師会や病院協会に対し協力を要請してまいります。
 次に、看護師確保対策についてお答えを申し上げます。
 第六次看護職員需給見通しを策定した結果、県内では、平成十八年で六百五十五人、平成二十二年には七百十一人の不足になると予測をしてございます。和歌山県においては看護職員の需要が今後一層高まることが予想されることから、養成力の確保、就業の促進、離職防止、資質向上を四つの柱として、関係機関と協働しながら、量・質の両面にわたる看護職員の確保対策を進めていく必要がございます。
 先ほど議員からございました詩をお聞きしまして、改めて看護師さんのお仕事の大変さがわかる思いがいたしましたけれども、看護職員の離職防止対策としましては、就業中の不安やストレスの軽減を図るため、相談窓口を開設するほか、教育体制を強化させるなどの施策を講じることとしております。
 次に、保育所の新設と二十四時間保育につきましては、県内の病院内保育所数二十カ所のうち十二カ所が実施をしてございますが、安心して働ける環境づくりのため、今後とも管理者に院内保育所の設置及び二十四時間保育の実施を積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
 また、看護師養成所の新設につきましては、平成十六年度に県立医科大学保健看護学部を、今年度には和歌山看護専門学校の二年課程通信制を開所したところでございます。また、和歌山保健医療圏には三年課程養成所が平成十九年四月に開校を計画していることから、県といたしましても、開設に向け積極的に支援をしているところでございます。
 養成所の設置につきましては、専任教員の確保や実習施設の指導力の強化などの課題もございますので、今後、県全体の状況を見据えながら、引き続き検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 家族従事者も生き生きと活躍できる環境整備に向けた施策でございますが、基本的には、小規模事業者の経営環境の安定・向上が事業に従事する女性の地位の向上につながるものと考えます。そのため、元気わかやま資金や小企業応援資金などの融資枠の拡充や、和歌山産業振興財団と商工会議所や商工会が一体となって小規模事業者に幅広い経営支援を行うなど、各種施策を実施してきたところでございます。また、商工会議所や商工会女性部が実施するセミナーなどに対し支援をしてまいりました。
 実態調査につきましては、商工会議所や商工会などを通じ、実態の把握に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十四番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきました。
 幹部登用や、あるいは審議会への登用というのは随分努力していただいておるというふうに思います。民間の事業所、そういったところに、やっぱりお手本となる実態をつくっていただきたいし、そこから広めていけるという、そういうことにもなると思いますので、これからもできるだけ目標値を早く達成をして、その上でさらなる女性登用を進めていただきたいというふうに思います。
 私は、やっぱり男女半々という思いを強く持っておりますけれども。しかし、審議委員会の中には専門という部分がたくさんありますので、難しい部分も随分あると思いますけれども。しかし、そういう点でも、今、女性の職域拡大というのは進んでますから、そういう点で専門家をよそからでも募って、それで可能な限り情報を取り入れた上で進めていただけたらありがたいというふうに思いますし、公募制はぜひとも広げていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。
 那賀病院の問題については、まだ十分な打開策というところまでいってませんけれども、しかし、やはりあの地域にとってはもうなくてはならない病院ですし、それこそ、先ほど飯田先生がおっしゃったように、内科のいない病院なんてと言うのは、ごく当たり前だと思うんですね。
 最初に、やっぱり自分は、いろんな症状があったら、どこに行ったらいいだろうと思ったときに、はっきりしないような症状のときは必ず内科へ行きますよね。そこから専門家の方へ回されていくということですから、入り口のところがふさがってたんではどうしようもないというふうに思いますので、それはぜひとも医大の方──医大も努力をしていただいてるわけですけども、だけども、やっぱり医大だけ頼ってたら限界があると思うんです。だから、いろんな角度から異常事態を解決するために関係機関との調整をやっていただけたらと。その力を発揮できるのはやっぱり行政だと思いますので、ぜひ担当課の皆さん、大変でしょうけれども、診療が滞ることなく、少なくとも外来はちゃんとするということで力を尽くしていただきたいというふうに思っております。
 それから、看護師確保の問題では、もう数字を出されたわけですから、机にかいたもちということにならないように、ぜひ計画的に進むようないろんな対策をとるべきだというふうに思いますし、民間病院なんかの場合だったら自分のところで看護養成をやっていますけれども、ああいう小さい病院とか、それから今、看護の需要というのは、老健施設ができたり、介護支援センター、介護訪問センターもいっぱい需要が広がってますので、そういう点でも、やっぱり今までみたいな短絡的な看護師確保という形をとらない方がいいんじゃないかというふうに思いますので、行政の力を発揮してください。これもお願いをしておきたいと思います。
 あと、自営業者の。商工労働部長、やっぱり不十分ですよ。和歌山県の中小零細業者は九九・九%って、あなたのところの担当者は言ってるんですよ。だから、その下支えの部分がもうにっちもさっちもいかなくなっているときに、そしてきのうも知事もおっしゃったようにシャッター通りがどんどんふえていくというのは、やっぱり地場のそういう自営業者が営業を続けていけないという状況のあらわれだと思いますから、そういう点では、一体何を支援したらいいのかということをもっとやっぱり綿密に考えるべきだと思うんですよ。
 そういう点では、今そういうシャッターのおりてるところは、ああ、ここもつぶれたんかな、どうなのかなと思ってたとしても、だけども、そのシャッターをあけて一歩中へ入ったらどんな状態にあるのだろうかというのを見抜かないと施策は出てこないと思うんですよ。だから、そういう点では、シャッターをあけて一歩中へ踏み込むということは、本当にその実態調査を──本当に市町村と力を合わせてどんなことを施策としてやればいいのかというのを、実態調査なくして、知らなくして施策は立たないと思うんですよ。そういう点では、商工会とか、そういうふうにおっしゃってますけれども、もっと──県民意識調査をやったように抽出でもいいんです。限定したところでやらないで、もっと広い枠でこの調査をやるべきじゃないかというふうに思うんですけれども、この二つのところで限定をなさるおつもりですか。そこのところをちょっと商工労働部、もう一回答弁してください。
○議長(吉井和視君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 実態の把握についてでございますけども、商工会議所、商工会等には、その規模に応じて経営指導員が配置されておりますので、経営指導員については日常訪問活動、経営指導を通じて実態を把握しているというふうに私どもは理解をしております。そういうことを通じて、私どもも聞き取り調査等を実施しながら実態の把握に努めてまいりたいと思っております。
 ただ、おっしゃられるように、現場を知らないで施策の立案というのはならないと思いますので、私どもは、今いろんな事業所に出向きまして聞き取り調査を行っておりますので、そういったこともいろんな意味で拡充をしてまいりたいというふうに考えてございます。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十四番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 商工労働部長、いろんな角度から実態を把握するというのは、今一番大事なときだと思うんですよ。だから、そういう点でも、商工会議所や商工会の限られた部分でやらなくて、もっと広い範囲のことも考えられると思うんです。そういう点で、ぜひ、あなたが今答弁したことは広く守っていただきたいというふうに思いますので、要望にしておきます。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十八分休憩
────────────────────
  午後一時三分再開
○議長(吉井和視君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十三番向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○向井嘉久藏君 皆さん、こんにちは。私、最後の質問者となりました。久しぶりの質問でございまして、二年半、サボったわけじゃございませんが、飛びました。心を込めて質問をさしていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私のきょうの質問は、知事が当初、説明要旨の中で述べておられました地域資源の活用についてということと、それから県立高校併設中学校について、それから引きこもり対策について、この三点について質問さしていただきたいと思います。
 まず、地域資源の活用についてを質問さしていただきます。
 知事は、説明要旨の中で、地域資源の最大活用として、地域に埋没している資源をブラッシュアップし、観光資源などの面で最大限の活用を図り、住民主体の取り組みの拡充に努めてまいりたい、また、世界遺産である高野・熊野地域などを活用し、積極的な誘客対策を進めてまいりたいと、このように述べておられます。
 和歌山県は、まさに自然の宝庫であります。厳しい紀州の山々が、また不便な道路の事情がこの自然を守ったと、今になっては言えると思います。名所、旧跡、史跡等も数多く存在しております。いにしえより高名な人物も数多く輩出しております。
 本日は、質問するに当たって、今まで余り目を通したことのない文献とかパンフレットの各紙を参考にさしていただきました。県が発行している読み物、ガイドブック、各種資料が非常におもしろかったと思います。
 ここで、紹介されている人物で、私のよく存じ上げている方々がおられるので、少し触れてみたいと思います。
 プロ野球解説者の西本幸雄さんです。西本幸雄さんは、大正九年、和歌山市に生まれました。別府星野組の──社会人野球ですが──監督兼プレーヤーとして都市対抗に出られ、全国優勝して、そこで当時の毎日オリオンズ結成のときに参加された。後に、大毎オリオンズの監督、また阪急ブレーブスの監督、近鉄バファローズの監督ということで、リーグ優勝に導いております。後に野球殿堂にも入っておられます。私は、この方と三年間一緒に野球をさしていただいた。私の生涯の野球の恩人であると、このように思っております。
 また、前畑秀子さん。前畑さんは、大正三年、橋本生まれです。私の父と小学校の同級生でございまして、父はよく前畑さんのことを言っておりました。昭和七年、ロサンゼルスのオリンピックで平泳ぎ二位になりました。後の昭和十一年のベルリンのオリンピックで平泳ぎ二百メートルで優勝いたしました。河西アナウンサーの「前畑頑張れ、頑張れ、頑張れ。前畑勝った、勝った」という名放送が今も時々放送されております。
 続いて、古川勝さん。私の高校の二級先輩であります。橋本市出身でございます。
 おかしいですね。前畑さんと古川さんとこの家が三百メートルしか離れてないんです。その間に、小島さんという、また女性の方がおる。その方もベルリンオリンピックへ一緒に出場して、自由形──クロールですね──それで六位に入賞しとるんですね。これ、自由形で女子が入賞したというのは小島さんが初めてです。ですから、三百メートルほどの間に三人のオリンピック出場者がおって、しかも同じような水泳の選手で二人がゴールドメダリストと、こういう町は日本広しといえども橋本市以外にないが、このように思うわけでございます。私の知り合ってる方、自慢じゃないですが、この顕彰を改めてさしていただきました。
 プロ野球解説者の西本さん、それから水泳の前畑さん、古川さん、それぞれ立派な方でありますし、高名であります。本日は、知事がいみじくも言っておられる地域に埋没している資源を、すなわち史跡、人物等もひっくるめて御紹介いたしたいと思うんです。
 二つの例を皆さん方に御紹介さしていただきたいと思うんです。
 戦後初めて後楽園に日章旗と「君が代」をよみがえらせた男。昭和二十四年ですよ。まだ日本の国の中で日章旗が翻っているというのはなかったと思います。皆さん御存じでしょうか、原田恒男という方を。和歌山県出身者です。
 私は、平成十六年、新聞を見ておりましたら、この原田恒男さんの記事が出ておりました。ファイルに切り抜いて入れておりました。きょう持ち出して、ここに紹介さしていただくわけでございます。戦後、日本のスポーツ復興に大変な尽力をした方であります。
 原田さんの両親は、日高郡白崎村──と言いますから今の由良町でしょうか──からアメリカのサンタマリアに移住し、そこで生まれたのが原田恒男さん、日系二世であります。原田さんは軍人であります。情報将校の中尉でございましたが、戦後、マッカーサーに随行して来日しております。
 プロ野球のために後楽園を、六大学野球復活には神宮球場を、またそして中等野球、後の高校野球でありますが、さらなる発展には甲子園球場を早くに接収解除──若い方は接収って余り知らんと思うんですが、僕らの年代になったら、米軍が日本の主要な施設に戦車を入れたり大砲を入れたり、そういう──後楽園にも実は戦車なんか入れられてあったんですね。それで、球場としては使えなかった。甲子園にも入れてあった。神宮球場にも入れてあった。それの接収解除、自由に日本人が使えるように接収解除を早く手がけた、やっていただいた。
 昭和二十四年には初めて、メジャーではございませんでしたが、サンフランシスコ・シールズというアメリカの野球団が来日しました。そのチームには、ヤンキースからディマジオもまざって入っておられました。監督はオドール監督。有名な方ですが、オドール監督でございました。
 戦後来日した原田中尉がマッカーサーの唱える平和の礎とした野球を初めとするスポーツ奨励に努めていただいたその功績は、多岐にわたります。日本のスポーツ発展のため全精力を注ぎ祖国愛に燃えた、初めて日の丸を掲げた男、その男こそが原田中尉であります。和歌山県人であります。
 私は、この原田さんを知るために、いろいろ資料を探してみたんです。なかなか見つからんかったんですが、最近になって、インターネットで調べておりましたら、物すごいええことが出てた。私、今ここで紹介したら、胸詰まって、よう皆さんに説明せんようなことを書いてあるんです。このインターネットで紹介した方も、こんなこと書いてあるんです。「この手記に対するコメントは特に控えるが、大き目のタオルを用意してこれを読め」って、こう書いてあんねん。確かに、読んだらもう胸詰まって、私、ようここで言わん。もしよかったら、紀南出身の人ですから、後から、「おい、見せろよ」と言うたら、いつでもお見せしますので。(「読んでくださいよ。読んでください」と呼ぶ者あり)読めってか。ちょっと胸詰まるけども、じゃ、ちょっと最後に読ましてもらいます。
 この方は、情報将校として米軍のレイテ島の方へ出とったと。そこへ零戦が突っ込んでくるんですね。飛行機、突っ込んでくる。低く飛んできて。ところが、あんまり低く飛んでくると、撃つと、自分とこ同士撃ち合いするようなことになるんで、もうあきらめたというんですよ。もうちょっとで軍艦へぶつかるときに、飛行機があんまり低う飛び過ぎて、波に翼がさわって墜落したと。
 そしたら、この人が、みんなに、「もう撃つのやめよ。撃ったらあかん」と言うた。それで双眼鏡──もう死んだんかいなと思ったら、その乗っとった、操縦しとったパイロットは、その軍艦に向かって敬礼しとる。それを双眼鏡で確認した。何とかこのパイロットを助けたいと。それで、どないしようかと決めて、「狙撃しようや」って。「もうどうせ死ぬやろう。この人は死ぬ気で来とんやから、そやから狙撃して傷を負わして助けに行こら」と言うたんやけど、そのうちに、その人は敬礼せんようになったというんですね。それで、すぐ助けに行った。
 それで助け上げて、情報将校でありますんで、日本語のわかる将校でありますんで、尋問したと。そしたら、そのときに泣いたというんやな。泣きじゃくっとった。「何で泣きじゃくったんや」と、「失敗したから残念や」と泣きじゃくった。それで、「わしにピストル貸せ」、「何でそんなピストル要んのや」、「これから自決する」と言うた。それで、「今後もっと長いこと生きよよ」と説得したら、「おれに飛行機くれ」って。「何で飛行機要るんや」と、「もう一遍神風となってこの船に体当たりに来るんや。死んだ人の、戦友の後を追って大義に殉じるんや」と。こういう話やった。
 そのときから、原田さんは──アメリカでは「キャッピー・ハラダ」というふうに呼ばれとったらしいです。自分の手記ですから。「その日から私は日本人に戻りました、原田恒男という日本人に戻りました」という、これ手記なんです。感動しました。
 これは横へ置いときまして、次に史跡で御紹介さしていただきます。
 日本で最後のあだ討ちと言われる高野のあだ討ちというのがございます。今回この事件を紹介さしていただくのは、日本で最後のあだ討ちでありますし、和歌山県高野町神谷で起こった事件であります。また、この事件を契機として、仇討ち禁止令なる大政官布告が出ておる。これは明治六年に出ております。それで、あだ討ちしたのが明治四年です。一八七一年──「イワナイ」という数字ですから、皆さん心当たりあると思うんですが、廃藩置県のときですね。ですから、ちょうど県ができて、まだ藩が残っとるというような複雑な日本の明治維新の夜明けのときですね。
 次に、処分について、時の参議・西郷隆盛がこの解決について一役買うとる。
 また、残されております資料では、あだ討ちの生き残りの村上四郎とか水谷嘉三郎に実際面接して──当時、五條県庁と言うたんですね。奈良県五條市。今、五條市ですけども、そこに県庁があったんや。それで、高野山は五條県庁の所管やったんで、五條県庁と五條警察から現場検証をされておるわけですね。当時の模様を聞き、また目撃者から情報をとって詳細に聞き、史実に忠実に書き残された。これがまた警察の手で残されてるというのが今までにない記録ですね。また明治四十五年に、この警察が調べた資料に基づいて、大江素天という大阪朝日新聞の記者が十五回の連載記事にして出したもんですから──これは今度、新聞記者の目で見とるわけですね──そういうことで当時は大変話題になった。
 それと、後から述べますが、これが播州赤穂の藩主の跡目相続だったんですね。森家というのが藩主ですが、そのときはもう浅野家ではありません。浅野家はもう没収されておりますから、その後の森家の跡目相続。吉良家の討ち入りがあったところの播州赤穂からまた同じようにあだ討ちがあったということで非常に話題になって、これが芝居になって大阪あたりでは上演されたという記録が残っております。
 こういうことで、非常に興味のそそられる事件であるということで、ちょっと紹介さしてもらいます。
 仇討ち禁止令の最初の法律が明治六年に公布されました。社会秩序の保全から、国や地域社会などの公の部分が犯人を裁き処罰をするという国家的公刑罰権の確立が近代国家への必然的な政策であった。そのきっかけをつくったのが、明治四年のこの神谷でのあだ討ちであります。国の法律を公布せしめた事件として後世に伝えられるべきものと思います。
 この資料といいますのは、いろんな資料があるんですけども、まず一つには、「和歌山県警察史 第一巻」にこのことが詳しく載っております。また、後の妙寺警察の署長をされた立石さんという方が、高野の決闘、日本最後のあだ討ちということで、かなり詳しく調べておられる。
 こういう資料を、ほかの資料もあわせて、シナリオライターのジェームス三木さんに、「脚本家としてこの資料はどうですか」ということで、友人を介して提供さしていただいた。今ひょっとしたら脚本を執筆中かいなと期待はしとるんですが、いずれできたらどこかのテレビ局で取り上げていただけるんやないかなというふうに希望を持っております。
 事件の概要を紹介いたしますと、明治四年からさかのぼること九年、文久二年、播州赤穂で藩主の後継者選びに端を発しまして、重臣の村上真輔というのが反対派の西川一派に殺害されました。これのあだ討ちをするんだということで、残された遺児四人がずうっと九年間にわたってあだ討ちの機会をうかがっとって、最後に高野山の一里手前、神谷の地でようやくあだを討つわけでございます。現場には、あだを討って首を落として、そこにさらした石も現在残っておりますし、討たれた七人の西川一派のお墓もつくっておる。こういうことでございます。
 この二例は余りにも知られていないことでありますが、それこそ埋没している資源になるんやないか、こういうふうに思って紹介さしていただきました。この資源を活用すれば観光客の誘客にもつながるんではないかということで紹介さしていただきました。
 そこで、教育長にお尋ねいたしたいと思うんですが、一番として、和歌山県のスポーツの殿堂の設置についてであります。
 和歌山県には大勢の高名な人、スポーツにプロ・アマ通じて出ております。それらの方々を顕彰する意味でスポーツの殿堂の設置をお願いしたいと。
 もう一つは、旧跡、それから史跡等の常設館をどこかに──常設館というよりも常設展示場でしょうか──つくって、そこへ足を運べば和歌山県の史跡、旧跡が一目でわかるような場所をつくっていただけんかなというふうに質問さしていただきます。
 三つ目は、和歌山県のすべてがわかる、史跡、旧跡、自然、スポーツ、文化等、すべてを網羅したホームページの立ち上げをお願いできんかなと。私も、この資料をとるのに、和歌山県へアクセスして、そこから各市町村へリンクしていろいろ調べましたが、詳しいこと、全然出てこない。ですから、わからんのですよね。私の今調べようとしとったのは余り知られてない部分ですから余計載ってないということでございますんで、ひとつよくわかるホームページの立ち上げをお願いしたい。
 それから、埋もれた史跡、旧跡等の整備もあわせてお願いしたいと。この四つを教育長に質問さしていただきたいと思うんです。
 続いて、教育問題を、同じく教育長にお願いしたいと思います。
 三月一日、高等学校の卒業式がございました。私は、紀北工業高等学校のPTAの会長を十八年間もう既にさしていただいていますが、その場へ教育長に出席いただきました。ありがとうございます。
 私が感動したのは、二百十四名卒業いたしましたが、そのうちで三十三名の皆勤賞が出た。二百十四人に対して三十三人の皆勤があった。十五・幾らかの率ですが、すばらしいことやなということで、私は祝辞の中でもそれを言わしていただきましたが、今、高校の現場は──高校というよりも県下の小・中・高、変わりつつあります。恐らく教育長も、何かこう肌で感じていただくことがあったんかと思います。
 そこで、私は、県立高校併設中学校について質問さしていただきます。
 二年前に、県立向陽高等学校に県下で初の中高一貫教育を目指す併設中学校が設立されました。設置に当たっては準備期間が短かった。夏休み過ぎてから、「来年、あんたとこやるで」と、こう言われたらしいです。準備不足のまま設置された。私も大いに危惧いたしましたが、案ずるよりは産むがやすし──すばらしい実績を残してくれています。三年連続して志願倍率が十倍と、異常と思えるほどの人気であります。関係者の関心の高さをうかがわせるものでございます。
 また、本年は、橋本高校と田辺高校で中学校が併設されます。橋本高校で志願倍率が三・八倍、田辺高校で二・八一倍と、地域の期待を集めております。
 橋本高校は私の母校でございましたので高校へお邪魔して、また向陽高校、この両校へお邪魔していろいろ御意見、御感想を伺ってきました。
 その中で、ちょっと紹介させていただきますけども、先輩格の向陽高校では非常なメリットがあったということでございます。入学してきた生徒が、また保護者がはっきりとした目的意識を持っている。また、教師にもやりがいが出てきて、非常に熱心である。また、成績につきましても、全国で百校以上が参加する共通試験で二年連続して上位十位以内に入りました。また、PTAを開催する、授業参観を開催する、こういうときにも保護者が非常に熱心で、大勢の方が見えられ、廊下で授業を参観せないかんというようなことでございます。また、六年間の教育で時間の有効活用ができるので、高校三年の前半にすべての教科が終わって、あとは大学の受験に向けて勉強に没頭できると、こういうふうなメリットを挙げておられました。
 それじゃ、ええことばっかりかと言ったら、やっぱりデメリットもあるわけですね。教室に余裕がない。高校で二クラス減ったから二クラスの中学校をつくりましょうというふうにやってしまったもんですから、教室に一つの空き教室もないというようなことで、少人数での授業はできないと。特に向陽高校では、高校は一限が七十分授業、週に二、三回は七限まであると、こういうような授業。中学校では、一限五十分授業でありますから、授業の時間が違いますから、教室また教師のローテーションがうまくいかないという悩みを抱えております。それからもう一つは、入学適性検査で合格通知したら、私学へ合格したから辞退しますという問題が出てくる。そしたら、なかなかうまく後の補充がしにくいということで一工夫する必要があると、こういうふうな話でございますが、これはいずれも努力すれば解決できることだと思います。したがって、メリットが非常に多いというふうに思います。
 また、橋本高校では、中高一貫のメリットを生かして、先輩の向陽高校の実績と反省を踏まえて頑張ってまいりたいというふうな話でございまして、しかし、デメリットとしては、もともと高校の運動場が非常に狭隘でありましたので、中学校の部活はできるんかなというふうに心配をしておりました。いずれにしても、メリットが多く、地域の期待に十分こたえられるものと思います。
 そこで、教育長にお伺いするんですが、向陽中学校の実績に対する総括をお伺いしたい。
 それと、今後、併設中学校の設置はどのようにお考えになっておるのか、計画についてお伺いしたい。
 それから、最後に、走りながら設置していったそういう関係でまだ施設が十分に整備されてないということで、施設の整備計画について、この三点をお伺いしたいと思うのでございます。
 続いて、三つ目は引きこもり対策についてお伺いします。
 厚労省のガイドラインでは、引きこもりとは、「自宅に引きこもって社会参加をしていない状態にある人の中で、統合失調症や発達障害と診断された人を除外し、引きこもり期間がおおむね六カ月以上である人を社会的引きこもりと言う」と、こういうふうに規定しております。
 県下で引きこもっている人は七千人とも八千人とも言われておる。これ、日本全部に単純に掛けると大体九十万人が引きこもってるということです。ということは、九十万家族が泣いてるということです。
 年齢も、十代から五十代、六十代。五十代、六十代というのは、私はまさかと思っとったんですが、実際いてはるんですね。リストラをされた、何年も何年もハローワークへ通った、しかし職がない、だんだんハローワークへ行く回数が減ってきて、家で引きこもってしまった。子供さんも奥さんもある方が引きこもっているという方もおられるわけです。
 自宅へ引きこもって、長い人は十数年。中には、トイレへ引きこもってしまって、その中で何年も生活していたというのもテレビで取り上げられて──布団をトイレの中へ持ち込んで、そこで生活しておる。家族はトイレの前へ三度三度の食事だけ届ける、こういう生活が数年続く。こういう生活だったら、本人もさることながら、家族も身も心もずたずたになりますよ。
 そういう異常な状態になっているにもかかわらず、抜本的な解決策がまだ見つかっておりません。国は救済策をまだ実施するまでには至っていないんです。本県は先進的な取り組みを実施していると言われております。しかし、まだ解決には至ってない。国の対策を待つのでなく、和歌山発の施策を望みたいのであります。
 私は、こんなときに、ある講演で、和歌山県人として非常にうれしい、胸いっぱいになるような講演を聞く機会に恵まれました。その講演を、私はちょっとエールを込めて紹介さしていただきたい。知っておられる方──古い県職の方は知っておられると思います。ハンセン病の逸話であります。
 ハンセン病とは、ノルウェー人のハンセンという方がレプロミンという薬をつくったということで、今、ハンセン病というふうに言われておりますが、昔の呼び名でいくと、らい病ですね。
 明治十一年、らい予防法というのが施行されまして、ハンセン病が発症したら強制的に家族と切り離されて強制入院をさされたわけですね。戸籍も抹消されたと、そういうことですね。それで、各都道府県は、そのときどんなことをしとったか。平成八年にこの法律が廃止されるまでどんなことをしとったか。「無らい県や。私とこの県には、らい病の方は一人もおりませんで」というようなことを自慢し合ってたという時代ですよ。それが、平成十三年に熊本地裁で違法判決が出たということで、時の総理は小泉さん、「ハンセン病の方々、また家族の方々に申しわけなかった」というふうに謝りましたね。謝罪した。これで上告しないで判決が決定したんですね。
 それは前段でございまして、私の今御紹介したいのは昭和三十二年の話ですよ。時の知事は小野真次知事ですよね。和歌山の和歌浦にインマニエル皮膚病院というのがありまして、そこの院長さんが知事さんに会うた。それで、「知事さん、こんなことってあかんで。これは皮膚病やで。薬つけたら治んねん」ということで言うたら、知事は「わかった」ということで、和歌山県の場合は皆、患者さんは自宅へ一たん帰したらしいです。しかし、自宅へ帰ってみたら、そこで人権侵害が起こるわけですね。
 そこで、和歌山県はどんな態度をとったか。そんな方、どうしても仕方ないから和歌浦にその方たちに宿泊してもらう健康宿泊場なるものをつくって、それで、県の職員を二人そこへ張りつけて、そこで生活していただいたという実績があります。
 しかし、一カ月に一回ぐらいは薬をもらいに行かなあかん。しかし、普通のところには売っておりませんから、岡山愛生園まで行って薬をもらいに行かなあかん。それで、どないして行くか。貨車です。国鉄は乗せてくれへんねん、客車には。そやから貨車で行って、橋本経由して王寺へ行って、京都へ行って、岡山まで行かなあかん。二十時間かかったんやと。そしたら、それを言うたら知事はどない言うたか。「わしの公用車使え」。公用車でまた行った。しばらくしたら、公用車使うのはいかがかなと言うてきたんで、知事はポケットマネーで、そこの施設に行ってる職員さん、西さんという方──今でも存命されとるというふうに聞いていますが──西さんに「これ、おまえの名前で車買え。それで行け」と、こういうふうに言うたらしいです。それで患者さんを岡山愛生園へ搬送しとったという話です。
 それで、ここまでが私が聞いた話ですが、そのまた後談があって、そしたら意地悪なマスコミがおって、「知事さん、あんた、国の法律に背いて何するんよ」と言うて質問したら、「何言うとんのや。人の命が一番やないか。国に法律があろうと何しようと、人の命は一番や」という一言で終わってもうたと、こういう逸話なんですね。これを私は誇りを持って聞かしていただいた。
 そこで、引きこもりについてちょっとお伺いしたいんです。
 これまでの県の施策について、また二番目として本人、家族が集える居場所づくりについて、三番目、家族のケアについて、それから情報の提供について、市町村でも対応できる県のバックアップについて、県独自の施策について、人材の養成も入れて福祉保健部長にお伺いして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの向井嘉久藏君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 引きこもり対策六項目についてお答えを申し上げます。
 まず、これまでの県の施策につきましては、議員からもお話ございましたが、社会的引きこもりが問題化する中、県では全国に先駆けて、平成十六年度からNPO等との協働により、「社会的ひきこもり」者社会参加促進事業として社会的引きこもり者に対する総合的支援に取り組んでいるところでございます。
 本人、家族が集える居場所づくりにつきましては、具体的には、民間の二団体を「ひきこもり」者社会参加支援センターとして指定し、引きこもり者に対する家庭訪問や居場所の提供、回復途上の引きこもり者への就労支援活動を行っております。
 次に家族のケアにつきましても、家族の方々が集い、引きこもりに対する理解を深める場としていただけるよう、平成十六年度から精神保健福祉センターにおいて家族教室を開催しているほか、今年度から不安感の軽減や家族同士の意識の共有を図るため家族の集いの支援を行ってございます。
 また、社会的引きこもり者相談窓口に関する情報提供が不足しているのではないかという御指摘につきましては、今後、自治体の広報誌の活用や県のホームページ等を利用して一層の周知に努めてまいります。
 次に、市町村でも引きこもりの相談に応じられるよう県の支援をとのことでございますけれども、平成十六年度から精神保健福祉センターにおいて、保健所、市町村の担当職員を初め、生活支援センターや作業所の職員等を対象といたしました研修会を開催、二カ年で約七十名の参加者がございましたけれども、こうしたことで引きこもり相談従事者の養成を図ってございます。
 最後に、県独自の施策につきましては、これまで全国に先駆け取り組んでまいりましたNPO等との協働による「社会的ひきこもり者」社会参加促進事業を引き続き展開してまいりますとともに、本人や家族からの幅広い相談に対応できる人材の育成や居場所づくりの拡大に一層努力をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 地域資源の活用と県立高校併設中学校の二つの御質問、合わせて七項目についてお答えいたします。
 まず、和歌山県スポーツ殿堂についてでございます。
 アマチュアやプロを問わず日本国内あるいは世界を舞台に輝かしい実績を残した競技者やスポーツの発展に貢献のあった本県ゆかりの方々を顕彰することは、県民、特に次代を担う子供たちに大きな希望を与えるとともに、本県のスポーツ振興に重要な役割を果たすものと考えております。
 現在、紀三井寺公園陸上競技場の中に、昭和五十七年六月に開設された和歌山県スポーツ資料館がございます。この中では、例えば栗本義彦氏、西田修平氏、お話にもありました旧姓前畑秀子氏に関する資料や、オリンピック、世界選手権大会などのメダル類、昭和四十六年に開催された黒潮国体に関する資料などが多数展示されております。
 今後は、関係部局や関係団体と連携・協力し、展示品の充実に努めるとともに多くの県民の方々に訪れていただけるよう、積極的な広報活動を展開してまいります。
 次に、旧跡、史跡等の常設展示場の設置につきましては、これまで県立博物館や紀伊風土記の丘において、県内各地域で出土した石器、土器や遺跡の復元模型などの常設展示を行ってきております。また、平成十八年度に開催する特別展として、岩橋千塚古墳群の大日山三十五号墳で発掘された、全国にも類を見ない翼を広げた鳥型埴輪や特異なかぶとを装着した武人埴輪など、県民の方々に貴重な文化財を公開するため、現在準備を進めております。
 埋もれた史跡、旧跡等の整備については、国や県、市町村の指定文化財以外にも、本県には史跡や建造物など数多くの文化財が残されております。これらは、専門的な調査に基づき、その価値を明らかにし保存整備を行うことにより、地域活性化の資源として十分活用できるものと考えております。
 教育委員会では、先ごろ、県文化遺産保存活用グランドデザイン指針を策定し、江戸時代末期以降の近代化遺産の総合調査を実施するとともに、来年度の新規事業であります文化財指定ランクアップ推進事業によって価値の高い未指定文化財を発掘し、より一層その保存と活用を進めてまいります。
 文化やスポーツを紹介するホームページについては、国、県の指定文化財や紀ノ川緑の歴史回廊に関する史跡など、またスポーツイベントや総合型スポーツクラブの情報などを紹介しているところですが、よりこれらを活用しやすいホームページにつくり変えてまいりたいと存じております。
 次に、県立中学校についてお答えいたします。
 開校して三年目を迎えようとしている県立向陽中学校では、六年間の系統性のあるカリキュラムのもと、高等学校教員による専門性の高い授業や、例えば実験理科といった学校独自教科の開設など、個性をはぐくむさまざまな教育活動により多くの実績を積み重ね、保護者や地域の方々から高い評価と大きな期待を得ているところでございます。
 この四月に新設いたします橋本地域と田辺地域の二つの県立中学校においても、こうした成果を踏まえながら、それぞれの学校の特色を生かした教育の充実に努めてまいります。
 また、今後の設置につきましては、再編整備計画の第一期実施プログラムに基づき、全県的なバランスや地域の実情等を勘案しつつ総合的に検討しており、当面、平成十九年度に一校の併設型中高一貫教育校の開設を予定しております。
 さらに、施設面におきましても、新たに技術室等の設置や普通教室の改修を行うとともに、高等学校の充実した施設・設備を活用するなど、最適な学習環境を確保してきたところですが、今後とも県立中学校に対するさまざまな県民の期待にこたえられるよう努力をしてまいります。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 以上で、向井嘉久藏君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
 次に日程第三、議案の付託について申し上げます。
 ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会及び予算特別委員会にこれを付託いたします。
 次に日程第四、請願付託の件について報告いたします。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 なお、委員会の会場はお手元に配付しておりますので、御了承願います。
 お諮りいたします。三月十日及び十三日から十五日までは委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 御異議なしと認めます。よって、三月十日及び十三日から十五日までは休会とすることに決定いたしました。
 次会は、三月十六日定刻より再開いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十二分散会

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