平成18年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(宇治田栄蔵議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午後一時三分再開
○議長(吉井和視君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
この際、諸般の報告をいたします。
過日提出のあった議案第四十号から議案第四十七号まで、議案第四十九号、議案第五十号、議案第五十二号から議案第五十四号まで、議案第七十九号、議案第八十号、議案第八十四号及び議案第八十七号は、いずれも職員に関する条例案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。また、監査委員から監査の結果報告がありました。いずれもお手元に配付いたしておりますので、御了承願います。
次に、報告いたします。
議案の追加提出がありました。
お諮りいたします。ただいま報告の議案第百七号から議案第百九号までを本日の日程に追加し、これより直ちに議題といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
議案第百七号から議案第百九号までを一括して議題といたします。
議案はお手元に配付いたしておりますので、まず当局の説明を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま上程されました議案について御説明を申し上げます。
議案第百七号から第百九号は、平成十七年度予算のうち、用地取得の遅延等により本年度内に完了することが困難と見込まれる事業につきまして、平成十八年度に繰り越して使用することをお願いするものでございます。
何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願いを申し上げます。
○議長(吉井和視君) 以上で、当局の説明が終わりました。
次に日程第二、議案第一号から議案第十八号まで、議案第三十六号から議案第九十号まで、議案第九十二号から議案第九十五号まで及び議案第九十七号から議案第百六号まで、並びに追加提出議案議案第百七号から議案第百九号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
二十四番宇治田栄蔵君。
〔宇治田栄蔵君、登壇〕(拍手)
○宇治田栄蔵君 議長のお許しをいただきましたので、平成十八年二月定例県議会冒頭に質問の機会をいただきました先輩・同僚議員の皆様方に感謝を申し上げ、質問に入らせていただきます。
我が国経済は、「改革なくして成長なし」「民間にできることは民間に」「地方にできることは地方に」との原則のもと、規制改革、金融システム改革、税制改革、歳出改革の四分野における構造改革への取り組みなどを通じて昨年夏に踊り場を脱した景気が年末から回復の力強さを増しており、このことから、さきの政府の月例経済報告においては、基調判断がこれまでの「景気は緩やかに回復している」から「景気は回復している」と、半年ぶりに上方修正がなされました。
しかしながら、本県におきましては、住友金属等鉄鋼業を初めとする一部業界は好調ではありますが、ノーリツ鋼機のリストラ、日本ハム和歌山工場のハム製造部門の操業終了、木材、繊維、皮革などの地場産業の不振のため、依然として厳しい経済状況が続いております。また、昨年の国勢調査の結果、本県の人口減少率は五年前に比較して三・二%という全国ワースト第二位という大きな数字を示しています。
このような厳しい状況の中、本県が今後我が国の景気回復の波に取り残されないために、また地域間競争でおくれをとらないために、県の行財政システムの改革を行いながら、自然、歴史、文化といった本県の強みとなるすぐれた地域資源を最大限に生かした施策が必要とされております。
平成十八年度予算は、今後和歌山県はどのように活力を維持していくのか、どのように発展していくのか、まさに本県の将来を占う分岐点とも言うべき重要な予算であると言うことができます。
平成十八年度予算案は、企業誘致や地域経済への波及効果を見据えた産業振興による雇用の確保や緑の雇用事業などの充実強化による都市から地方への人口の逆流動を推進する施策、また、子供を安心して産み育てるための少子化対策、防災公園の整備など東南海・南海地震対策を初めとする安全・安心対策など、県民の要望にこたえるさまざまな施策が盛り込まれております。
平成十八年度の県税収入は、鉄鋼業の好調を反映して増収が見込めるものの、それ以上に地方交付税などが大幅に減少するなど、厳しい財政状況にあります。それにもかかわらず、行財政改革の積極的な取り組みにより人件費などの義務的経費を抑制する一方で、県民生活に直結する政策的経費が三年ぶりに増加するなど、予算規模は三年連続マイナスとはいえ、実質的には積極型予算であると評価しているところであり、知事は限られた財源のやりくりに大変苦心を重ねられたものと推察しているところであります。
そこで、知事は、県民の期待にこたえるため、平成十八年度予算を編成するに当たってどのような基本姿勢で臨まれたか、お尋ねをいたします。
次に、今後の財政運営についてお伺いいたします。
本県は、歳入に占める県税収入の割合が一六%程度にすぎないなど、自主財源に乏しく、これまでの三位一体改革の期間において財源の多くを依存している地方交付税等が約四百億円も減少するなど、厳しい財政運営を余儀なくされております。
平成十八年度予算は、国の新制度を活用して退職手当債及び行政改革推進債を百億円発行するものの、なお生じる五十九億円の財源不足を基金の取り崩しで補てんした結果、財政調整基金、県債管理基金の年度末残高は二十五年ぶりに二百億円を割る低い水準となる見込みであります。また、今後、社会保障関係費や団塊世代の職員の退職手当などの義務性の強い経費の増加が見込まれるなど、本県の財政状況はますます厳しさの度合いが強まり、危機的な状況に陥るのではないかと非常に危惧をいたしているところであります。
そこで、知事は財政健全化に向け今後どのように取り組まれていくのか、所見をお伺いいたします。
次に、二巡目国体の和歌山県開催とスポーツの競技力向上対策について質問をいたします。
国体は、我が国最大のスポーツの祭典として県民に広く親しまれ、スポーツの振興と地方文化の発展に寄与するとともに、健康で活力ある社会の形成に極めて重要な役割を果たしてまいりました。
昭和四十六年に本県で開催された第二十六回黒潮国体は、「明るく・豊かに・たくましく」のスローガンのもと、多くの県民が参加し、盛大に開催されました。県民のスポーツ熱も大変盛り上がるなど、本県にとりまして貴重な成果を残してまいりました。県民一丸となって力を結集し、黒潮国体を成功させたことにより、大きな自信と誇りが県民に生まれたことを忘れてはならないと思います。
近年、スポーツを取り巻く社会環境が変化する中、県民のスポーツに対する意識も多様化、高度化し、子供から高齢者まで、だれでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しむことができる生涯スポーツ社会の実現が求められています。
スポーツが担う意義や役割を考えたとき、国体の開催は、県民一人一人が主体的に活動できるスポーツ環境の整備や競技水準の向上、スポーツ指導者の養成・確保といった観点からも極めて大きな意義を持つものと思われます。
現在の厳しい財政状況のもと、国体の開催すら問われる時代ではありますが、このような時代であるからこそ、スポーツが明るく豊かで活力に満ちた社会の形成に寄与するとともに、地域住民一人一人が生きがいの持てる社会の実現や県全体の活性化につながると考えております。
私も出席させていただいた、昨年十月に開催された県体育協会臨時総会において、近畿ブロックでの広域開催を含めた二巡目国体の開催について決議されました。この開催まで、あと九年という期間と迫ってまいります。
このような状況の中で和歌山県内のスポーツ施設を見ると、黒潮国体のメーン会場となった紀三井寺陸上競技場と県立体育館は昭和三十九年の建設、秋葉山の県民水泳場は昭和四十一年の建設と約四十年を経過して大変老朽化しており、二巡目国体開催時には非常に厳しい状況にあります。
黒潮国体開催後、平成九年にはビッグホエール、平成十一年には県立橋本体育館が建設されておりますが、二巡目国体の開催に向けて計画的にスポーツ施設の整備を進める必要があるのではないでしょうか。
知事におかれましては、昨年、一昨年と続けて近畿ブロック知事会議で近畿ブロックでの広域開催を提案され、各府県の知事に御賛同をいただいたと伺っております。
そこで、二巡目国体開催についての進捗状況と今後のスポーツ施設の整備について、知事にお伺いをいたします。
次に、競技力向上について質問いたします。
オリンピックを初めとする国際競技大会や国体における本県出身の競技者の活躍は、青少年はもとより、県民に夢と希望を与え、本県スポーツの振興に大きく貢献するものですが、現在、そのような本県出身の競技者が非常に少ないように思われます。
オリンピックを例にとりますと、二〇〇四年のアテネオリンピックには八名、その前の二〇〇〇年のシドニーオリンピックには同じく八名、さらに、その前の一九九六年のアトランタオリンピックには実に十三名が出場し、九度山町出身で野球の杉浦選手が銀メダル、新宮市出身でレスリングの太田選手が銅メダルを獲得しております。
冬季大会におきましても、一九九八年の長野オリンピックには三名が出場しております。その前の一九九四年のリレハンメルオリンピックと、その前の一九九二年のアルベールビルオリンピックにも、それぞれ一名の本県関係者が出場しております。しかしながら、その後の二〇〇二年のソルトレークオリンピックや今回のトリノオリンピックには、本県出身の選手は出場を果たせませんでした。
近年の厳しい財政状況による強化費の減少や体育指導員制度の影響により、国際舞台で活躍する本県出身の競技者が非常に少なくなっているように思われます。県体育協会役員も独自財源の確保に向けて自助努力を続けていると伺っておりますが、新たな競技力向上対策に積極的に取り組む必要があると思われます。
また、本県のスポーツの現状を国体の総合成績で見ると、昭和四十六年に開催された黒潮国体の総合成績第一位をピークに徐々に成績が下がり、一昨年の埼玉国体において屈辱的な最下位になりました。年次別にその経過を分析すると、和歌山国体以後、昭和五十四年宮崎国体までは十位以内あるいは十位台前半の成績をおさめていましたが、それ以後、平成二年福岡国体までは二十位前後、平成三年石川国体では四十位になり、近年では宮城国体の二十九位を除けば、ほぼ四十位台と低迷を続けています。昨年は最下位から脱出し四十三位となり、復活の兆しがわずかながらも見えたと思いますが、依然として長期的に低迷している現状にあります。
今後、このような状況を打破し、二巡目国体の開催に向けてどのような競技力向上対策を考えておられるのか、教育長にお尋ねをいたします。
次に、和歌山市内の道路問題について質問をいたします。
今、我が国の道路整備を取り巻く環境は大変厳しいものがあります。大都市部を中心に、道路は十分整備されたから今までみたいなスピードで整備を進めなくてもいい、あるいは地方ではむだな道路にじゃぶじゃぶ金を使っているなどと、整備が大きく立ちおくれ、大変な不便を強いられている地方の実情を無視した意見がマスコミなどで盛んに言われています。また、政府においても、財政構造改革の中で、特定財源制度は財政の硬直化をもたらすとして、道路整備の根幹的な財源である道路特定財源の一般財源化が進められようとしています。
しかし、鉄道等の公共交通機関が網の目のように発達した東京や大阪などの大都市に比べ、生活のあらゆる面で車に頼らざるを得ない本県のような地方では、道路整備に寄せる期待や必要性は比較にならないくらい大きいものがあります。道路整備が大きく立ちおくれている和歌山県においてはまだまだ道路整備が必要であり、推進しなければなりません。
市内の道路整備状況を見ますと、平成十五年に第二阪和国道和歌山北バイパスの紀の国大橋が開通し、また、平成十六年にはこの和歌山北バイパスと現国道二十六号を結ぶ都市計画道路西脇山口線の平井─栄谷区間が開通し、紀の川北部地域から中心部への所要時間が大きく短縮され、北島橋や紀の川大橋など紀の川周辺の渋滞が大きく緩和されるとともに、今まで市中心部と紀の川によって隔てられていた楠見地区等と市中心部が歩いて行き来できる町となり、今後の一体的な町づくりを進める上で大きな効果をもたらしています。
さらに、都市計画道路湊神前線の宮前駅前のJRとの立体交差や三菱電機前、また都市計画道路南港山東線のJRとの立体交差などの完成により、市内の東部地域から都心部に流入する交通の時間短縮はもとより一方通行の解除など地域の交通や居住環境が大きく改善されるなど、長年の懸案であった交通問題が遅まきながら大きく解決されつつあります。
しかしながら、依然として朝夕の通勤時間帯において、紀の川北部では国道二十六号、県道粉河加太線の六十谷、紀伊駅周辺、また、紀の川南部では国道二十四号のインター南口交差点から田中町のアンダーに至る区間、東部地域の県道、市道、また南部方面からの交通の集中による国道四十二号の紀三井寺交差点など、市中心部への入り口部において渋滞が著しく、地域住民の生活に大きな影響を及ぼしております。
これらの渋滞を解消するには、引き続き、国道二十六号のバイパスである第二阪和国道の府県境部、紀の川北部の大動脈である都市計画道路西脇山口線の六十谷方面への延伸、また、和歌山市東部方面からの交通を受け持つ市駅小倉線、湊神前線、さらに、市内の環状道路を形成し中心部への交通の分散を図る南港山東線、松島本渡線等の早期かつ効率的な整備が強く望まれるところであります。
特に、国道二十六号の府県境部につきましては、道路が一本しかないため、大雨などの異常気象時における通行どめや、去る一月二十七日には大型トレーラーが道路から南海線に飛び出す事故で国道と鉄道の両方が通行どめとなり、大きな混乱が生じたところであります。また、沿線には和歌山大学周辺整備、ニュータウン開発、新駅設置などがメジロ押しに進められており、今後、道路利用のニーズが飛躍的に高まってまいります。さらに、大規模地震時などには大阪方面から和歌山市への緊急輸送道路としての役割を担う道路でもあります。このため、現国道のバイパスとしての第二阪和国道の早急な整備が強く望まれます。
昨年三月に淡輪ランプから深日ランプまでが整備区間に指定され、また残る区間につきましても調査区間に指定されるなど、明るい展望が開けてきておりますが、今後、早期事業化に向け、県、市が一体となって国に働きかける必要があると考えます。
つきましては、今後、これら和歌山市内の道路整備をどのように進めていくか、その方針について県土整備部長にお尋ねをいたします。
次に、企業誘致の取り組みについて質問いたします。
冒頭の質問でも申し上げましたように、平成十八年二月の政府の月例報告によりますと、「企業収益は改善し、設備投資は増加している」、「雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりが見られる」等、我が国経済の基調判断は、踊り場を脱し「景気は回復している」となっております。
一方、本県の経済情勢は依然として厳しい状況が続いています。また、昨年十二月における本県の有効求人倍率は〇・七三倍で、全国平均の一・〇〇倍を大きく下回り、高校卒業者就職内定率については六七・五%という低水準で、就職の場を求める若者の切実な声が私のもとにも多く寄せられております。
このように、和歌山県が置かれている現状を考えると、私は、働く場所の確保や地域経済の活性化、税収の確保などを図るために企業誘致を積極的に進めていく必要があると考えております。
本県においては、平成十七年度に製造業を二社、情報関連企業を三社誘致し、昭和五十七年以降の誘致企業数は約七十社、雇用数は三千四百人と一定の成果を上げてきておりますが、これまで以上に地域経済への波及効果を見据えた産業振興の積極的な取り組みが大切であります。
全国の企業立地動向を見てみますと、景気の回復に伴い、企業の旺盛な設備投資意欲や国内回帰の傾向も相まって工場の立地が進み、特に三重県のシャープ亀山工場、兵庫県の松下電器尼崎工場、福岡県のトヨタ自動車九州工場等に代表されるような大規模工場が各地に立地しています。
中でも三重県では、知事が先頭に立って積極的な誘致活動を展開し、九十億円の奨励金を提示してシャープを亀山市へ誘致したと聞いております。シャープ亀山工場は、平成十六年の操業まで一千億円以上を投資し、さらに増設を行っております。平成十七年五月現在の雇用人数は、集積した関連企業を含め約五千七百人、年間の出荷額は四千億円を超えています。また、県税収入については、関連企業を含め約十六億四千万円の増収という大きな経済波及効果が発生しています。
このような地域経済の活性化を図るためには、波及効果のある産業振興が必要であり、中でも企業誘致が最重要課題であります。全国的に景気が回復傾向にある今、本県においては企業誘致の戦略的な対策が必要であると考えます。
そこで、お尋ねいたします。
平成十八年当初予算案では全国最高水準の奨励制度を策定し、企業誘致を推進する旨の説明があったところでありますが、自治体間の競争が激しくなっている状況の中、和歌山県の企業誘致の今後の取り組みについて、県当局の答弁を求めます。
最後に、子供の安全対策について質問をいたします。
かつて「世界一安全な国」「水と安全はただ」と言われ、治安のよさを世界に誇った我が国。そのような神話も今は昔。テレビや新聞からは犯罪のニュースを耳にしない日がないと言えるぐらい、安全神話は過去のものになってしまいました。
本県のわかやま県民意識調査の結果にもあらわれているように、私の身の周りからも「不安である」「とにかく身の危険を感じる」「子供たちの周辺が不安だ」といったような声を多く耳にするようになり、もはや犯罪に巻き込まれることは人ごとではなく、県民の治安の悪化に対する不安は増すばかりであります。
つい先日も、滋賀県長浜市において、保護者によるグループ送迎中の園児が同じ幼稚園に通う園児の母親に殺害されるという痛ましい事件が起こったところであります。平成十三年六月に起こった大阪教育大学附属池田小学校での児童殺傷事件、平成十六年十一月の奈良県小一女児誘拐殺人事件、昨年十一月の広島県での小一女児殺人事件、十二月の栃木県今市市での小一女児殺人事件、同じく京都府宇治市の学習塾での小六女児殺人事件。未来を担うかけがえのない子供たちのとうとい命が犠牲となる、理解できない事件が相次いで起こっています。
その発生の多くが、通学路や学校といった本来子供たちの安全が確保されるべき場においてであります。もはやこれらの事件は他府県で起こっている事件の一つとして考えるものではなく、たまたま本県で事件が起こっていないだけであると考えるべきではないでしょうか。
治安の悪化に対する不安は増すばかりであります。自分の身を守るすべを持たない子供をねらった犯罪を撲滅し、だれもが安心で安全で暮らせる社会を再構築しなければなりません。そのためには、防犯は警察の仕事といった考え方を改め、警察、学校、地域住民など、県民が一体となって犯罪撲滅に向けて力を合わせていかなければなりません。
本県においても、子供たちが不審者に遭遇するなど危険な状況に陥ったときにすぐに逃げ込めるきしゅう君の家を拡充したり、不審者情報をインターネットメールで素早く伝達することにより警戒を促すきのくに安全安心メールの配信を行ったり、各市町村、各地域における見守り隊を結成するなど、子供たちを犯罪から守るためのさまざまな取り組みが行われています。
このような状況の中、子供たちのさらなる安全・安心を確保するため、学校を中心とした協力体制の整備が喫緊の課題であると言えるでしょう。
そこで、教育長にお伺いいたします。
学校における通学路等の児童生徒の安全の確保についてどのような施策、具体的な取り組みを行うのか、お示しを願います。
以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの宇治田栄蔵君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、来年度の予算の編成方針についての御質問でございますが、御質問にもありましたように、ようやく景気が上向いてき、そして和歌山県でも県税収入の増がある程度見込めるようにはなってきておりますものの、一方では、三位一体の改革等の影響もあり地方交付税の減というふうなことがあって、相変わらず厳しい財政状況が続いているわけでございます。
そういう中で、基金の残高も、御質問にもありましたように、二百億を切るというふうな状況の中で、この和歌山県がどうしていけばいいかということを考える中で予算を編成したわけでございます。
一つには、当然のことながら、こういうふうな厳しい状況の中で何とか財源を生み出していかなければならない。そのためには、人件費ということにやはり一番力を、光を当てて対応していかなければならないということで、大幅な人件費の減少ということを図りました。
そして、もう一つには、税収を上げていくような努力をしなければならない。和歌山県は税の徴収率が非常に低いというふうなことがありましたので、これは市町村と一緒になって、協議会を設けて滞納処分などを大幅に行っていくことにいたしました。
さらには、今まで行政が当然のこととして行っていたような分野について、民間へのアウトソーシング、そういうふうなことを行って公務員を重点的に公務の分野に尽くせるような形にしていくということを行いました。
そしてまた一方では、そういうふうな歳出の削減だけでは当然のことながら元気が出ませんので、この時期に非常に大事な県の活力を高めるという方向について意を用いることにいたしました。その一つが、その後の御質問にもありましたように、企業誘致というふうなことの強化ということでございます。
長く景気が低迷していた時期には、これはなかなか企業誘致しても来る企業がないというのが実情だったわけですが、日本の国が元気が出てきているこの時期に誘致活動を強めなければ和歌山県が将来にわたって地域間競争に負けるというふうなこともあって、まず組織を大幅に企業誘致体制にシフトするとともに、そして内容も余り小さな話じゃなくて、先ほどの亀山工場なんかは非常に大きな成果が上がっているわけですから、和歌山県でも同等のようなことが起こるように条件を整えるということで、最大百億円のお金を出していくというふうな制度も考えたところでございます。
さらに、こういうふうなこととあわせて、和歌山県の持っている自然とか歴史とか、そういうふうなものをやはり生かしていくという施策も柱として大事だということで、例えば、都市との交流によって中山間に人を呼び込んでいくような施策でありますとか、それからまた、観光について大幅な増強を行っていくような施策というふうなことも行いました。
さらに、最近は格差社会というふうなことが言われて、非常に強い者は強く、弱い者は弱くというふうな形が出てきているので、県としてはこの弱いというか厳しい立場に置かれている人たちに優しい手を差し伸べようというふうなことで、例えば福祉施設に、補助率というような形じゃなくて、もう全額というような形で施設の整備を行うような制度をつくるとか、いろいろなことで意を用いて予算編成を行ったわけでございます。
次に、それでは長期的な財政運営はどうかということになりますが、長期的な財政運営ということになりますと、今、三位一体の改革、さらにはこのごろは道州制というような話も出てきておりますけども、非常に長期的な地方行財政のあり方というのを見通すということは非常に難しい状況にはなってきております。
しかし、当面、相当厳しい状況が続きますし、そしてまた退職者の数が多くなって退職金の増嵩が見込まれるなど、いろいろな問題がありますので、県としては向こう五年間で警察とか教育を除く分野では二七%の職員の削減を行うと。これは日本で最大規模だと思いますけども、こういうふうな職員の合理化というか、減でありますが、そしてまた、能力主義の完全な適用というふうなことを行ってこのような厳しい財政状況の時代に対応していこうというふうにしております。
当然のことながら、それとあわせて、そういうことで生み出したお金で和歌山県が元気になるような施策を思い切りやっていこうというふうなことでございます。
次に、二巡目国体への立候補ということですが、これも和歌山県が元気になるようにというふうなことで、御質問にもありましたように、和歌山県の国体における成績、非常に厳しい状況に置かれているというふうなことで、やはり今度の冬季のオリンピックを見てもわかりますように、ある程度成績が上がっていくということが県民に元気をつけるというふうなことの原点にもなろうかと思いまして、六月にまた議会と相談して、日体協へ二巡目国体への立候補を表明しようと思っております。
ただ、こういうふうな厳しい財政状況の中ですので、ありとあらゆる施設を最新にしてというわけにはいかないので、近畿の各県と施設を協力してやっていくというふうなことを去年から近畿の知事会において協力を求めているところでございます。
ただ、そうは言っても、主開催地は和歌山県になるわけですから、当然のことながら必要な施設の整備、そしてまた老朽化した施設の改修等、計画的に進めていく必要があると思います。
なお、競技力、これはまた教育長から話があると思いますが、非常に厳しい状況にあるので、来年は思い切ってこういうふうな競技力振興に係る予算を二・五倍というふうな、こういうふうな緊縮財政の中では──お金をつけたから強くなるというもんではないと思いますが、そういうふうなことで競技力振興ということにも尽くしていきたいと、このように考えております。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 道路整備についてお尋ねがありました。
まず、和歌山市内の交通渋滞対策についてでございますが、市内の渋滞緩和を図るため、国及び市と連携しながら都市計画道路の整備を重点的、計画的に進めており、特に交通の支障となっております紀の川及び鉄道を横断する道路の整備を重点的に進めております。
現在は、和歌山市北部の幹線道路であります西脇山口線、市街地周辺部と中心部を結ぶ道路として東西幹線道路となる南港山東線、市駅小倉線、及びこれらを連係する南北幹線道路であります松島本渡線の整備を進めているところでございます。
西脇山口線の六十谷周辺では、善明寺工区と六十谷工区で事業を実施しており、園部地区につきましては、現在事業中の箇所の進捗状況を勘案しながら、事業化については検討を行ってまいります。
市駅小倉線では、国道二十四号を境として県及び市により役割分担をし、整備を行っております。
また、松島本渡線につきましては、南海貴志川線神前駅東側の神前地区において今年度から事業に着手したところでございます。
これと連係する湊神前線の残る区間につきましては、松島本渡線と同時期に供用ができますよう、事業の着手について検討をしてまいります。
今後とも、厳しい財政状況ではありますが、和歌山市内の交通渋滞の緩和を図るため、土地収用法も活用しながら、都市計画道路の整備を重点的かつ計画的に推進してまいります。
次に、第二阪和国道の整備でございます。
開かれた和歌山を実現し、県勢を活性化するため、府県間道路の整備は、近畿自動車道紀勢線や京奈和自動車道の整備と並んで重点課題の一つと位置づけております。
とりわけ第二阪和国道は、交通渋滞解消はもとより、関西国際空港へのアクセス道路として、また防災面や救急医療、さらには物流や観光などの観点からも早期整備が必要と考えております。
現在、調査区間に係る事業の必要性やコストの縮減等を踏まえた、より効率的かつ効果的な整備の手法等について検討が進められております。
このような状況を踏まえ、今後とも、和歌山市及び大阪府と協力し、事業中の和歌山北バイパスJR高架化工事及び大阪府側の箱の浦ランプから深日ランプ間の早期完成を促すとともに、府県境部の調査区間の整備区間への格上げと早期事業化を国に対して積極的に働きかけてまいります。
以上でございます。
○議長(吉井和視君) 商工労働部長下 宏君。
〔下 宏君、登壇〕
○商工労働部長(下 宏君) 企業誘致についてでございますが、議員御指摘のとおり、企業の旺盛な設備投資意欲や国内回帰の傾向が顕著になる中、思い切った企業誘致施策を展開します。
先ほどの知事の答弁にございましたが、まず、企業向けの奨励制度を充実します。特に、最高限度額を百億円に引き上げ、全国最高水準とし、大規模工場の誘致を強化します。
また、県関係用地への進出を促進するため、当該用地への進出企業に対する奨励金を充実します。
次に、誘致体制を強化し、新たな誘致戦略の策定や民間の人脈、ノウハウの活用を図りながら、平成十八年度、十九年度の二年間に千社以上の企業訪問を実施するなど、積極的な誘致活動を展開し、雇用の場の確保、地域経済の活性化、税収増を図ってまいります。
以上でございます。
○議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 初めに、スポーツ競技力向上対策についてお答えします。
二巡目国体を見据えた中長期的な取り組みとして、将来、オリンピックを初めとする国際競技大会や国体で活躍できるすぐれた素質を有する子供たちを発掘、育成するゴールデンキッズ発掘プロジェクトやジュニアハイスクール指定事業を新たにスタートさせることとしております。これらの新規事業とハイスクール強化校指定事業など既存事業との一体化を図り、ジュニアから成年層までの一貫した指導体制のもと、組織的、計画的な発掘、育成、強化に努め、本県の競技力水準の向上を図ってまいります。
また、短期的な強化策として、国体などで優秀な成績をおさめた競技団体や全国上位にある競技種目を中心に強化費を重点的に配分するなど、より効果的な方策を展開してまいります。
次に、通学路等における児童生徒の安全確保についてお答えいたします。
本県ではこれまで幸い発生しておりませんけども、最近、各府県で相次いでいる凶悪な犯罪に対し、大変心を痛めているところであります。
御指摘のとおり、犯罪から子供たちを守るためには、学校を中心として教職員、保護者、そして地域の方々と一体となり、組織的な取り組みを行うことが重要であります。また、子供自身が危険を身近に感じ取り、回避する能力を養うことも大切であると考えております。
本県では、これまでも警察や関係機関等と連携して不審者の情報を即座に知らせる連絡体制を強化するなど、さまざまな取り組みを進めてきたところですが、より一層子供たちの安全を確保するため、新たな施策を実施することとしております。
具体的には、来年度から県内すべての小学校で一斉に登下校の見守り活動を行う通学路セーフティーネットの日を年六回程度設け、地域の学校安全ボランティアや保護者、教職員が一緒になって子供を守っていく機運を高めてまいります。
また、小学生に対し、登下校時の安全に関する標語や安全の手引などを印刷した安全啓発ファイル「子ども安全ポケット」を配布して児童や保護者の安全意識の向上に努めるとともに、学校安全ボランティアを育成するための講習会を県内各地で開催するなど、より積極的な取り組みを進めてまいります。
以上であります。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
二十四番宇治田栄蔵君。
○宇治田栄蔵君 答弁ありがとうございます。
二巡目国体について、要望をさしていただきます。
質問でも申し上げましたけれども、県の体協の臨時総会で二巡目国体を開催するということが決議されまして、その後、県民の意識の中で、いよいよ和歌山でまた二巡目国体するんだというふうな声がみんなにずうっと広まってるかというと、いまいち広がりが足りないような気がします。ですから、そういう意味で、我々が今度やるんだということのPRということもやはり考えていかなければならないと思います。
そのために、施設の整備について、四十年前に新しい施設をつくるということができたわけですが、今度四十年たって時代が進んでいるのにそれが厳しいというのは大変寂しい話でありますんで、やはり新しくつくれるものはつくり、そして補強すべきものは補強するというふうな、そういうことで、より県民の期待にこたえられるような施設の建設もやはり考えてこれから国体の開催に向けて準備をいただきたいと思います。
どうぞ、これからも推進のために県当局の努力を期待いたしまして、私の要望といたします。どうもありがとうございます。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で宇治田栄蔵君の質問が終了いたしました。