平成18年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)
県議会の活動
平成十八年二月 和歌山県議会定例会会議録 第三号
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議事日程 第三号
平成十八年三月三日(金曜日)午前十時開議
第一 議案第十九号から議案第三十五号まで、議案第九十一号及び議案第九十六号(委員長報告・同質疑・討論・表決)
第二 議案第一号から議案第十八号まで、議案第三十六号から議案第九十号まで、議案第九十二号から議案第九十五号まで、及び議案第九十七号から議案第百六号まで(質疑)
第三 一般質問
会議に付した事件
一 議員辞職の件
二 総務委員会委員長選任の件
三 議案第十九号から議案第三十五号まで、議案第九十一号及び議案第九十六号(委員長報告・同質疑・討論・表決)
四 議案第百七号から議案第百九号まで(当局説明)
五 議案第一号から議案第十八号まで、議案第三十六号から議案第九十号まで、議案第九十二号から議案第九十五号まで、及び議案第九十七号から議案第百六号まで(質疑)
六 一般質問
出席議員(四十三人)
一 番 須 川 倍 行
二 番 尾 崎 太 郎
三 番 新 島 雄
四 番 山 下 直 也
五 番 小 川 武
六 番 吉 井 和 視
七 番 門 三 佐 博
八 番 町 田 亘
十 番 浅 井 修 一 郎
十一 番 山 田 正 彦
十二 番 坂 本 登
十三 番 向 井 嘉 久 藏
十四 番 大 沢 広 太 郎
十五 番 平 越 孝 哉
十六 番 下 川 俊 樹
十七 番 花 田 健 吉
十八 番 藤 山 将 材
十九 番 小 原 泰
二十 番 前 芝 雅 嗣
二十一番 飯 田 敬 文
二十二番 谷 洋 一
二十三番 井 出 益 弘
二十四番 宇 治 田 栄 蔵
二十五番 東 幸 司
二十六番 山 下 大 輔
二十八番 原 日 出 夫
二十九番 冨 安 民 浩
三十 番 野 見 山 海
三十一番 尾 崎 要 二
三十二番 中 村 裕 一
三十三番 浦 口 高 典
三十四番 角 田 秀 樹
三十五番 玉 置 公 良
三十六番 江 上 柳 助
三十七番 森 正 樹
三十八番 長 坂 隆 司
三十九番 阪 部 菊 雄
四十 番 新 田 和 弘
四十一番 松 坂 英 樹
四十二番 雑 賀 光 夫
四十三番 藤 井 健 太 郎
四十四番 村 岡 キ ミ 子
四十六番 和 田 正 人
欠席議員(二人)
九 番 前 川 勝 久
四十五番 松 本 貞 次
〔備考〕
二十七番欠員
説明のため出席した者
知事 木 村 良 樹
副知事 小 佐 田 昌 計
出納長 水 谷 聡 明
知事公室長 野 添 勝
危機管理監 石 橋 秀 彦
総務部長 原 邦 彰
企画部長 高 嶋 洋 子
環境生活部長 楠 本 隆
福祉保健部長 嶋 田 正 巳
商工労働部長 下 宏
農林水産部長 西 岡 俊 雄
県土整備部長 宮 地 淳 夫
教育委員会委員 湯 川 力
教育長 小 関 洋 治
公安委員会委員長 大 岡 淳 人
警察本部長 辻 義 之
人事委員会委員長 西 浦 昭 人
代表監査委員 垣 平 高 男
選挙管理委員会委員長 山 本 恒 男
職務のため出席した事務局職員
事務局長 小 住 博 章
次長 土 井 陽 義
議事課長 下 出 喜 久 雄
議事課副課長 薮 上 育 男
議事班長 山 本 保 誠
議事課主査 湯 葉 努
議事課主査 楠 見 直 博
総務課長 島 光 正
調査課長 辻 和 良
(速記担当者)
議事課主査 中 尾 祐 一
議事課主査 保 田 良 春
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午前十時三分開議
○議長(吉井和視君) これより本日の会議を開きます。
この際、暫時休憩いたします。
午前十時三分休憩
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午前十一時二分再開
○議長(吉井和視君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
この際、報告いたします。
前川勝久君から、三月三日付で議員辞職願が提出されております。
お諮りいたします。前川勝久君の議員辞職の件を本日の日程に追加し、これより直ちに議題といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
前川勝久君の議員辞職の件を議題といたします。
まず、その辞職願を朗読させます。
〔職員朗読〕
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辞職願
私儀
このたび一身上の都合により平成十八年三月三日に和歌山県議会議員の職を辞したいので許可されるよう願い出ます
平成十八年三月一日
和歌山県議会議員 前川勝久
和歌山県議会議長 吉井和視 様
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○議長(吉井和視君) お諮りいたします。前川勝久君の議員辞職を許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 御異議なしと認めます。よって、前川勝久君の辞職を許可することに決定いたしました。
ただいま、総務委員会委員長が欠員となりました。
お諮りいたします。この際、総務委員会委員長選任の件を本日の日程に追加し、これより直ちに議題といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
総務委員会委員長選任の件を議題といたします。
総務委員会委員長選任の件については、委員会条例第六条第二項の規定により、次のとおり指名いたしたいと思います。
職員にその氏名を朗読させます。
〔職員朗読〕
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総務委員会委員長 小川 武君
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○議長(吉井和視君) ただいま朗読のとおり総務委員会の委員長として指名することに賛成の諸君は、御起立願います。
〔賛成者起立〕
○議長(吉井和視君) 起立全員であります。よって、ただいま指名したとおり総務委員会の委員長に選任することに決定いたしました。
日程第一、補正予算等議案、議案第十九号から議案第三十五号まで、議案第九十一号及び議案第九十六号を一括して議題とし、順次、常任委員会委員長の報告を求めます。
福祉環境委員会委員長玉置公良君。
〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○福祉環境委員会委員長(玉置公良君) 福祉環境委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案三件であります。
委員会は、二月二十四日、第二委員会室において開催し、環境生活部、福祉保健部の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第十九号、議案第二十三号、議案第三十三号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、付託議案に係る各委員の主な質疑項目を申し上げますと、環境生活部関係では、NPO協働モデル事業について、公衆浴場設備改善事業補助金についてただされました。次に福祉保健部関係では、国民健康保険基盤安定制度について、こころの医療センター事業についてただされました。
以上をもちまして、福祉環境委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。
○議長(吉井和視君) 経済警察委員会委員長森 正樹君。
〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○経済警察委員会委員長(森 正樹君) 経済警察委員会の審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案六件であります。
委員会は、二月二十四日、第三委員会室において開催し、商工労働部・労働委員会、公安委員会の順に当局から付託議案について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第十九号、議案第二十二号、議案第二十六号、議案第三十一号、議案第三十四号及び議案第三十五号は、いずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
委員から、育児・介護休業生活資金の貸し出し等の制度の周知について要望がありました。
以上をもって、経済警察委員会の審査結果の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。
○議長(吉井和視君) 農林水産委員会委員長藤山将材君。
〔藤山将材君、登壇〕(拍手)
○農林水産委員会委員長(藤山将材君) 農林水産委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案四件であります。
委員会は、二月二十四日、第四委員会室において開催し、農林水産部から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第十九号から議案第二十一号までは全会一致をもって、議案第九十一号は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、付託議案に係る各委員の主な質疑項目を申し上げますと、和歌山のトマト契約栽培支援事業について、アグリトライ支援事業について、緑の山村定住促進事業について、紀州材の需用拡大施策についてただされました。
以上をもちまして、農林水産委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。
○議長(吉井和視君) 建設委員会委員長花田健吉君。
〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○建設委員会委員長(花田健吉君) 建設委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案五件であります。
委員会は、二月二十四日、第五委員会室において開催し、県土整備部から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第十九号、議案第二十七号、議案第二十八号、議案第三十一号及び議案第九十一号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、付託議案に係る各委員の質疑項目を申し上げますと、和歌山県流域下水道事業特別会計の減額補正についてただされました。
以上をもちまして、建設委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。
○議長(吉井和視君) 文教委員会委員長浅井修一郎君。
〔浅井修一郎君、登壇〕(拍手)
○文教委員会委員長(浅井修一郎君) 文教委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案二件であります。
委員会は、二月二十四日、第六委員会室において開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、審査いたしました結果、議案第十九号及び議案第二十四号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、付託案件に係る委員の質疑項目を申し上げますと、補正額の財源更正と科目更正の内容について、和歌山ビッグ愛、ビッグホエールの経費についてただされました。
以上をもちまして、文教委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。
○議長(吉井和視君) 総務委員会委員長小川 武君。
〔小川 武君、登壇〕(拍手)
○総務委員会委員長(小川 武君) 総務委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案六件であります。
委員会は、二月二十四日、第一委員会室において開催し、医科大学、看護短期大学部、出納室、人事委員会事務局、監査委員事務局、選挙管理委員会、県議会事務局、知事公室、企画部、総務部の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第十九号は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決し、議案第二十五号、議案第二十九号、議案第三十号、議案第三十二号及び議案第九十六号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、付託案件に係る各委員の質疑項目を申し上げますと、和歌山大学新駅設置推進事業について、地方バス路線維持費補助金について、紀州藩牢番頭家文書編さん費支援についてただされました。
以上をもちまして、総務委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。
○議長(吉井和視君) 以上で、常任委員会委員長の報告が終わりました。
これより委員長の報告に対する質疑に入ります。質疑はありませんか。──質疑なしと認めます。
次に、討論に入ります。
藤井健太郎君から反対討論の通告がありますので、これを許可いたします。
四十三番藤井健太郎君。
〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 日本共産党県議団を代表して、議案第十九号、二十六号、三十五号、九十一号に反対の立場から討論を行います。
議案第十九号は、平成十七年度一般会計補正予算で歳入歳出それぞれ百九十七億八千五十二万八千円を減額し、予算総額を五千七十六億九千二十七万二千円にするものであります。今年度の最終補正予算として事業費の決定や人件費の確定に伴う精算が主な内容になっておりまして、そのことに異論を唱えるものではありません。
三款民生費中、地方改善事業費において人権行政総合調整四百四十五万二千円が計上されております。これは、社団法人和歌山人権研究所に紀州藩牢番頭家文書編さん費支援として四百四十五万二千円を増額補正するものであります。
この案件は、平成十一年度から十五年度の間に、当時の和歌山県部落解放・人権研究所が実施をした紀州藩牢番頭家文書「城下町警察日記」編さん事業に対する県からの補助金について、県は同研究所の古文書編さん事業についての支援要請を正規の補助金として予算計上することなく、平成十一年度から十三年度の間に書籍やビデオ購入を名目に四百四十五万一千九百円が不適切に支出されたとして、四百四十五万一千九百円については返還を求め、新たに同額の範囲内において補助金として交付するとして、今議会に同額の補助金交付を提案しているものです。
この案件につきましては、関係職員の処分を行い、一応の調査は完了したとしていますが、真相の全容解明には至っていないこと。既に終了している事業であり、新たに補助するとしても補助対象事業費は明確にできるはずであります。事業費の精査を行い、適切な補助金交付額を計上すべきこと。人権研究所が和歌山市にも県と同額の補助金を求め、市に提出された各年度の事業実施報告書では、県からの補助金は平成十一年度から十五年度までで五百八十六万二千五百円となっていることなど、研究所、県、市との間の補助金のやりとりが不透明であり県民の不信を招いていることなど、公益法人と行政間の補助金交付をめぐって、いまだ県民の信頼を回復するには至っていないと判断をいたしております。
以上の理由から、今議会での補助金交付の予算化には反対をするものです。
議案第二十六号は、県営競輪事業特別会計補正予算であり、公営ギャンブルに頼らない町づくりを求める立場から、議案第三十五号は、土地造成事業会計補正予算であり、土地売却収益で企業債償還財源を賄い切れず他会計からの出資金や借りかえで急場しのぎを余儀なくされていること、議案第九十一号は、建設事業施行に伴う市町村負担金であり、市町村負担金の廃止、負担率の軽減を求める立場から、それぞれ反対をするものです。
以上で、討論を終わります。
○議長(吉井和視君) これをもって、討論を終結いたします。
これより採決に入ります。
まず、議案第十九号、議案第二十六号、議案第三十五号及び議案第九十一号を一括して採決いたします。
本案に対する委員長の報告は、いずれも原案可決であります。
本案を委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君は、御起立願います。
〔賛成者起立〕
○議長(吉井和視君) 起立多数であります。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。
次に、議案第二十号から議案第二十五号まで、議案第二十七号から議案第三十四号まで及び議案第九十六号を一括して採決いたします。
本案に対する委員長の報告は、いずれも原案可決であります。
本案を委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君は、御起立願います。
〔賛成者起立〕
○議長(吉井和視君) 起立全員であります。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時十八分休憩
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午後一時三分再開
○議長(吉井和視君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
この際、諸般の報告をいたします。
過日提出のあった議案第四十号から議案第四十七号まで、議案第四十九号、議案第五十号、議案第五十二号から議案第五十四号まで、議案第七十九号、議案第八十号、議案第八十四号及び議案第八十七号は、いずれも職員に関する条例案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。また、監査委員から監査の結果報告がありました。いずれもお手元に配付いたしておりますので、御了承願います。
次に、報告いたします。
議案の追加提出がありました。
お諮りいたします。ただいま報告の議案第百七号から議案第百九号までを本日の日程に追加し、これより直ちに議題といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
議案第百七号から議案第百九号までを一括して議題といたします。
議案はお手元に配付いたしておりますので、まず当局の説明を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま上程されました議案について御説明を申し上げます。
議案第百七号から第百九号は、平成十七年度予算のうち、用地取得の遅延等により本年度内に完了することが困難と見込まれる事業につきまして、平成十八年度に繰り越して使用することをお願いするものでございます。
何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願いを申し上げます。
○議長(吉井和視君) 以上で、当局の説明が終わりました。
次に日程第二、議案第一号から議案第十八号まで、議案第三十六号から議案第九十号まで、議案第九十二号から議案第九十五号まで及び議案第九十七号から議案第百六号まで、並びに追加提出議案議案第百七号から議案第百九号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
二十四番宇治田栄蔵君。
〔宇治田栄蔵君、登壇〕(拍手)
○宇治田栄蔵君 議長のお許しをいただきましたので、平成十八年二月定例県議会冒頭に質問の機会をいただきました先輩・同僚議員の皆様方に感謝を申し上げ、質問に入らせていただきます。
我が国経済は、「改革なくして成長なし」「民間にできることは民間に」「地方にできることは地方に」との原則のもと、規制改革、金融システム改革、税制改革、歳出改革の四分野における構造改革への取り組みなどを通じて昨年夏に踊り場を脱した景気が年末から回復の力強さを増しており、このことから、さきの政府の月例経済報告においては、基調判断がこれまでの「景気は緩やかに回復している」から「景気は回復している」と、半年ぶりに上方修正がなされました。
しかしながら、本県におきましては、住友金属等鉄鋼業を初めとする一部業界は好調ではありますが、ノーリツ鋼機のリストラ、日本ハム和歌山工場のハム製造部門の操業終了、木材、繊維、皮革などの地場産業の不振のため、依然として厳しい経済状況が続いております。また、昨年の国勢調査の結果、本県の人口減少率は五年前に比較して三・二%という全国ワースト第二位という大きな数字を示しています。
このような厳しい状況の中、本県が今後我が国の景気回復の波に取り残されないために、また地域間競争でおくれをとらないために、県の行財政システムの改革を行いながら、自然、歴史、文化といった本県の強みとなるすぐれた地域資源を最大限に生かした施策が必要とされております。
平成十八年度予算は、今後和歌山県はどのように活力を維持していくのか、どのように発展していくのか、まさに本県の将来を占う分岐点とも言うべき重要な予算であると言うことができます。
平成十八年度予算案は、企業誘致や地域経済への波及効果を見据えた産業振興による雇用の確保や緑の雇用事業などの充実強化による都市から地方への人口の逆流動を推進する施策、また、子供を安心して産み育てるための少子化対策、防災公園の整備など東南海・南海地震対策を初めとする安全・安心対策など、県民の要望にこたえるさまざまな施策が盛り込まれております。
平成十八年度の県税収入は、鉄鋼業の好調を反映して増収が見込めるものの、それ以上に地方交付税などが大幅に減少するなど、厳しい財政状況にあります。それにもかかわらず、行財政改革の積極的な取り組みにより人件費などの義務的経費を抑制する一方で、県民生活に直結する政策的経費が三年ぶりに増加するなど、予算規模は三年連続マイナスとはいえ、実質的には積極型予算であると評価しているところであり、知事は限られた財源のやりくりに大変苦心を重ねられたものと推察しているところであります。
そこで、知事は、県民の期待にこたえるため、平成十八年度予算を編成するに当たってどのような基本姿勢で臨まれたか、お尋ねをいたします。
次に、今後の財政運営についてお伺いいたします。
本県は、歳入に占める県税収入の割合が一六%程度にすぎないなど、自主財源に乏しく、これまでの三位一体改革の期間において財源の多くを依存している地方交付税等が約四百億円も減少するなど、厳しい財政運営を余儀なくされております。
平成十八年度予算は、国の新制度を活用して退職手当債及び行政改革推進債を百億円発行するものの、なお生じる五十九億円の財源不足を基金の取り崩しで補てんした結果、財政調整基金、県債管理基金の年度末残高は二十五年ぶりに二百億円を割る低い水準となる見込みであります。また、今後、社会保障関係費や団塊世代の職員の退職手当などの義務性の強い経費の増加が見込まれるなど、本県の財政状況はますます厳しさの度合いが強まり、危機的な状況に陥るのではないかと非常に危惧をいたしているところであります。
そこで、知事は財政健全化に向け今後どのように取り組まれていくのか、所見をお伺いいたします。
次に、二巡目国体の和歌山県開催とスポーツの競技力向上対策について質問をいたします。
国体は、我が国最大のスポーツの祭典として県民に広く親しまれ、スポーツの振興と地方文化の発展に寄与するとともに、健康で活力ある社会の形成に極めて重要な役割を果たしてまいりました。
昭和四十六年に本県で開催された第二十六回黒潮国体は、「明るく・豊かに・たくましく」のスローガンのもと、多くの県民が参加し、盛大に開催されました。県民のスポーツ熱も大変盛り上がるなど、本県にとりまして貴重な成果を残してまいりました。県民一丸となって力を結集し、黒潮国体を成功させたことにより、大きな自信と誇りが県民に生まれたことを忘れてはならないと思います。
近年、スポーツを取り巻く社会環境が変化する中、県民のスポーツに対する意識も多様化、高度化し、子供から高齢者まで、だれでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しむことができる生涯スポーツ社会の実現が求められています。
スポーツが担う意義や役割を考えたとき、国体の開催は、県民一人一人が主体的に活動できるスポーツ環境の整備や競技水準の向上、スポーツ指導者の養成・確保といった観点からも極めて大きな意義を持つものと思われます。
現在の厳しい財政状況のもと、国体の開催すら問われる時代ではありますが、このような時代であるからこそ、スポーツが明るく豊かで活力に満ちた社会の形成に寄与するとともに、地域住民一人一人が生きがいの持てる社会の実現や県全体の活性化につながると考えております。
私も出席させていただいた、昨年十月に開催された県体育協会臨時総会において、近畿ブロックでの広域開催を含めた二巡目国体の開催について決議されました。この開催まで、あと九年という期間と迫ってまいります。
このような状況の中で和歌山県内のスポーツ施設を見ると、黒潮国体のメーン会場となった紀三井寺陸上競技場と県立体育館は昭和三十九年の建設、秋葉山の県民水泳場は昭和四十一年の建設と約四十年を経過して大変老朽化しており、二巡目国体開催時には非常に厳しい状況にあります。
黒潮国体開催後、平成九年にはビッグホエール、平成十一年には県立橋本体育館が建設されておりますが、二巡目国体の開催に向けて計画的にスポーツ施設の整備を進める必要があるのではないでしょうか。
知事におかれましては、昨年、一昨年と続けて近畿ブロック知事会議で近畿ブロックでの広域開催を提案され、各府県の知事に御賛同をいただいたと伺っております。
そこで、二巡目国体開催についての進捗状況と今後のスポーツ施設の整備について、知事にお伺いをいたします。
次に、競技力向上について質問いたします。
オリンピックを初めとする国際競技大会や国体における本県出身の競技者の活躍は、青少年はもとより、県民に夢と希望を与え、本県スポーツの振興に大きく貢献するものですが、現在、そのような本県出身の競技者が非常に少ないように思われます。
オリンピックを例にとりますと、二〇〇四年のアテネオリンピックには八名、その前の二〇〇〇年のシドニーオリンピックには同じく八名、さらに、その前の一九九六年のアトランタオリンピックには実に十三名が出場し、九度山町出身で野球の杉浦選手が銀メダル、新宮市出身でレスリングの太田選手が銅メダルを獲得しております。
冬季大会におきましても、一九九八年の長野オリンピックには三名が出場しております。その前の一九九四年のリレハンメルオリンピックと、その前の一九九二年のアルベールビルオリンピックにも、それぞれ一名の本県関係者が出場しております。しかしながら、その後の二〇〇二年のソルトレークオリンピックや今回のトリノオリンピックには、本県出身の選手は出場を果たせませんでした。
近年の厳しい財政状況による強化費の減少や体育指導員制度の影響により、国際舞台で活躍する本県出身の競技者が非常に少なくなっているように思われます。県体育協会役員も独自財源の確保に向けて自助努力を続けていると伺っておりますが、新たな競技力向上対策に積極的に取り組む必要があると思われます。
また、本県のスポーツの現状を国体の総合成績で見ると、昭和四十六年に開催された黒潮国体の総合成績第一位をピークに徐々に成績が下がり、一昨年の埼玉国体において屈辱的な最下位になりました。年次別にその経過を分析すると、和歌山国体以後、昭和五十四年宮崎国体までは十位以内あるいは十位台前半の成績をおさめていましたが、それ以後、平成二年福岡国体までは二十位前後、平成三年石川国体では四十位になり、近年では宮城国体の二十九位を除けば、ほぼ四十位台と低迷を続けています。昨年は最下位から脱出し四十三位となり、復活の兆しがわずかながらも見えたと思いますが、依然として長期的に低迷している現状にあります。
今後、このような状況を打破し、二巡目国体の開催に向けてどのような競技力向上対策を考えておられるのか、教育長にお尋ねをいたします。
次に、和歌山市内の道路問題について質問をいたします。
今、我が国の道路整備を取り巻く環境は大変厳しいものがあります。大都市部を中心に、道路は十分整備されたから今までみたいなスピードで整備を進めなくてもいい、あるいは地方ではむだな道路にじゃぶじゃぶ金を使っているなどと、整備が大きく立ちおくれ、大変な不便を強いられている地方の実情を無視した意見がマスコミなどで盛んに言われています。また、政府においても、財政構造改革の中で、特定財源制度は財政の硬直化をもたらすとして、道路整備の根幹的な財源である道路特定財源の一般財源化が進められようとしています。
しかし、鉄道等の公共交通機関が網の目のように発達した東京や大阪などの大都市に比べ、生活のあらゆる面で車に頼らざるを得ない本県のような地方では、道路整備に寄せる期待や必要性は比較にならないくらい大きいものがあります。道路整備が大きく立ちおくれている和歌山県においてはまだまだ道路整備が必要であり、推進しなければなりません。
市内の道路整備状況を見ますと、平成十五年に第二阪和国道和歌山北バイパスの紀の国大橋が開通し、また、平成十六年にはこの和歌山北バイパスと現国道二十六号を結ぶ都市計画道路西脇山口線の平井─栄谷区間が開通し、紀の川北部地域から中心部への所要時間が大きく短縮され、北島橋や紀の川大橋など紀の川周辺の渋滞が大きく緩和されるとともに、今まで市中心部と紀の川によって隔てられていた楠見地区等と市中心部が歩いて行き来できる町となり、今後の一体的な町づくりを進める上で大きな効果をもたらしています。
さらに、都市計画道路湊神前線の宮前駅前のJRとの立体交差や三菱電機前、また都市計画道路南港山東線のJRとの立体交差などの完成により、市内の東部地域から都心部に流入する交通の時間短縮はもとより一方通行の解除など地域の交通や居住環境が大きく改善されるなど、長年の懸案であった交通問題が遅まきながら大きく解決されつつあります。
しかしながら、依然として朝夕の通勤時間帯において、紀の川北部では国道二十六号、県道粉河加太線の六十谷、紀伊駅周辺、また、紀の川南部では国道二十四号のインター南口交差点から田中町のアンダーに至る区間、東部地域の県道、市道、また南部方面からの交通の集中による国道四十二号の紀三井寺交差点など、市中心部への入り口部において渋滞が著しく、地域住民の生活に大きな影響を及ぼしております。
これらの渋滞を解消するには、引き続き、国道二十六号のバイパスである第二阪和国道の府県境部、紀の川北部の大動脈である都市計画道路西脇山口線の六十谷方面への延伸、また、和歌山市東部方面からの交通を受け持つ市駅小倉線、湊神前線、さらに、市内の環状道路を形成し中心部への交通の分散を図る南港山東線、松島本渡線等の早期かつ効率的な整備が強く望まれるところであります。
特に、国道二十六号の府県境部につきましては、道路が一本しかないため、大雨などの異常気象時における通行どめや、去る一月二十七日には大型トレーラーが道路から南海線に飛び出す事故で国道と鉄道の両方が通行どめとなり、大きな混乱が生じたところであります。また、沿線には和歌山大学周辺整備、ニュータウン開発、新駅設置などがメジロ押しに進められており、今後、道路利用のニーズが飛躍的に高まってまいります。さらに、大規模地震時などには大阪方面から和歌山市への緊急輸送道路としての役割を担う道路でもあります。このため、現国道のバイパスとしての第二阪和国道の早急な整備が強く望まれます。
昨年三月に淡輪ランプから深日ランプまでが整備区間に指定され、また残る区間につきましても調査区間に指定されるなど、明るい展望が開けてきておりますが、今後、早期事業化に向け、県、市が一体となって国に働きかける必要があると考えます。
つきましては、今後、これら和歌山市内の道路整備をどのように進めていくか、その方針について県土整備部長にお尋ねをいたします。
次に、企業誘致の取り組みについて質問いたします。
冒頭の質問でも申し上げましたように、平成十八年二月の政府の月例報告によりますと、「企業収益は改善し、設備投資は増加している」、「雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりが見られる」等、我が国経済の基調判断は、踊り場を脱し「景気は回復している」となっております。
一方、本県の経済情勢は依然として厳しい状況が続いています。また、昨年十二月における本県の有効求人倍率は〇・七三倍で、全国平均の一・〇〇倍を大きく下回り、高校卒業者就職内定率については六七・五%という低水準で、就職の場を求める若者の切実な声が私のもとにも多く寄せられております。
このように、和歌山県が置かれている現状を考えると、私は、働く場所の確保や地域経済の活性化、税収の確保などを図るために企業誘致を積極的に進めていく必要があると考えております。
本県においては、平成十七年度に製造業を二社、情報関連企業を三社誘致し、昭和五十七年以降の誘致企業数は約七十社、雇用数は三千四百人と一定の成果を上げてきておりますが、これまで以上に地域経済への波及効果を見据えた産業振興の積極的な取り組みが大切であります。
全国の企業立地動向を見てみますと、景気の回復に伴い、企業の旺盛な設備投資意欲や国内回帰の傾向も相まって工場の立地が進み、特に三重県のシャープ亀山工場、兵庫県の松下電器尼崎工場、福岡県のトヨタ自動車九州工場等に代表されるような大規模工場が各地に立地しています。
中でも三重県では、知事が先頭に立って積極的な誘致活動を展開し、九十億円の奨励金を提示してシャープを亀山市へ誘致したと聞いております。シャープ亀山工場は、平成十六年の操業まで一千億円以上を投資し、さらに増設を行っております。平成十七年五月現在の雇用人数は、集積した関連企業を含め約五千七百人、年間の出荷額は四千億円を超えています。また、県税収入については、関連企業を含め約十六億四千万円の増収という大きな経済波及効果が発生しています。
このような地域経済の活性化を図るためには、波及効果のある産業振興が必要であり、中でも企業誘致が最重要課題であります。全国的に景気が回復傾向にある今、本県においては企業誘致の戦略的な対策が必要であると考えます。
そこで、お尋ねいたします。
平成十八年当初予算案では全国最高水準の奨励制度を策定し、企業誘致を推進する旨の説明があったところでありますが、自治体間の競争が激しくなっている状況の中、和歌山県の企業誘致の今後の取り組みについて、県当局の答弁を求めます。
最後に、子供の安全対策について質問をいたします。
かつて「世界一安全な国」「水と安全はただ」と言われ、治安のよさを世界に誇った我が国。そのような神話も今は昔。テレビや新聞からは犯罪のニュースを耳にしない日がないと言えるぐらい、安全神話は過去のものになってしまいました。
本県のわかやま県民意識調査の結果にもあらわれているように、私の身の周りからも「不安である」「とにかく身の危険を感じる」「子供たちの周辺が不安だ」といったような声を多く耳にするようになり、もはや犯罪に巻き込まれることは人ごとではなく、県民の治安の悪化に対する不安は増すばかりであります。
つい先日も、滋賀県長浜市において、保護者によるグループ送迎中の園児が同じ幼稚園に通う園児の母親に殺害されるという痛ましい事件が起こったところであります。平成十三年六月に起こった大阪教育大学附属池田小学校での児童殺傷事件、平成十六年十一月の奈良県小一女児誘拐殺人事件、昨年十一月の広島県での小一女児殺人事件、十二月の栃木県今市市での小一女児殺人事件、同じく京都府宇治市の学習塾での小六女児殺人事件。未来を担うかけがえのない子供たちのとうとい命が犠牲となる、理解できない事件が相次いで起こっています。
その発生の多くが、通学路や学校といった本来子供たちの安全が確保されるべき場においてであります。もはやこれらの事件は他府県で起こっている事件の一つとして考えるものではなく、たまたま本県で事件が起こっていないだけであると考えるべきではないでしょうか。
治安の悪化に対する不安は増すばかりであります。自分の身を守るすべを持たない子供をねらった犯罪を撲滅し、だれもが安心で安全で暮らせる社会を再構築しなければなりません。そのためには、防犯は警察の仕事といった考え方を改め、警察、学校、地域住民など、県民が一体となって犯罪撲滅に向けて力を合わせていかなければなりません。
本県においても、子供たちが不審者に遭遇するなど危険な状況に陥ったときにすぐに逃げ込めるきしゅう君の家を拡充したり、不審者情報をインターネットメールで素早く伝達することにより警戒を促すきのくに安全安心メールの配信を行ったり、各市町村、各地域における見守り隊を結成するなど、子供たちを犯罪から守るためのさまざまな取り組みが行われています。
このような状況の中、子供たちのさらなる安全・安心を確保するため、学校を中心とした協力体制の整備が喫緊の課題であると言えるでしょう。
そこで、教育長にお伺いいたします。
学校における通学路等の児童生徒の安全の確保についてどのような施策、具体的な取り組みを行うのか、お示しを願います。
以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの宇治田栄蔵君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、来年度の予算の編成方針についての御質問でございますが、御質問にもありましたように、ようやく景気が上向いてき、そして和歌山県でも県税収入の増がある程度見込めるようにはなってきておりますものの、一方では、三位一体の改革等の影響もあり地方交付税の減というふうなことがあって、相変わらず厳しい財政状況が続いているわけでございます。
そういう中で、基金の残高も、御質問にもありましたように、二百億を切るというふうな状況の中で、この和歌山県がどうしていけばいいかということを考える中で予算を編成したわけでございます。
一つには、当然のことながら、こういうふうな厳しい状況の中で何とか財源を生み出していかなければならない。そのためには、人件費ということにやはり一番力を、光を当てて対応していかなければならないということで、大幅な人件費の減少ということを図りました。
そして、もう一つには、税収を上げていくような努力をしなければならない。和歌山県は税の徴収率が非常に低いというふうなことがありましたので、これは市町村と一緒になって、協議会を設けて滞納処分などを大幅に行っていくことにいたしました。
さらには、今まで行政が当然のこととして行っていたような分野について、民間へのアウトソーシング、そういうふうなことを行って公務員を重点的に公務の分野に尽くせるような形にしていくということを行いました。
そしてまた一方では、そういうふうな歳出の削減だけでは当然のことながら元気が出ませんので、この時期に非常に大事な県の活力を高めるという方向について意を用いることにいたしました。その一つが、その後の御質問にもありましたように、企業誘致というふうなことの強化ということでございます。
長く景気が低迷していた時期には、これはなかなか企業誘致しても来る企業がないというのが実情だったわけですが、日本の国が元気が出てきているこの時期に誘致活動を強めなければ和歌山県が将来にわたって地域間競争に負けるというふうなこともあって、まず組織を大幅に企業誘致体制にシフトするとともに、そして内容も余り小さな話じゃなくて、先ほどの亀山工場なんかは非常に大きな成果が上がっているわけですから、和歌山県でも同等のようなことが起こるように条件を整えるということで、最大百億円のお金を出していくというふうな制度も考えたところでございます。
さらに、こういうふうなこととあわせて、和歌山県の持っている自然とか歴史とか、そういうふうなものをやはり生かしていくという施策も柱として大事だということで、例えば、都市との交流によって中山間に人を呼び込んでいくような施策でありますとか、それからまた、観光について大幅な増強を行っていくような施策というふうなことも行いました。
さらに、最近は格差社会というふうなことが言われて、非常に強い者は強く、弱い者は弱くというふうな形が出てきているので、県としてはこの弱いというか厳しい立場に置かれている人たちに優しい手を差し伸べようというふうなことで、例えば福祉施設に、補助率というような形じゃなくて、もう全額というような形で施設の整備を行うような制度をつくるとか、いろいろなことで意を用いて予算編成を行ったわけでございます。
次に、それでは長期的な財政運営はどうかということになりますが、長期的な財政運営ということになりますと、今、三位一体の改革、さらにはこのごろは道州制というような話も出てきておりますけども、非常に長期的な地方行財政のあり方というのを見通すということは非常に難しい状況にはなってきております。
しかし、当面、相当厳しい状況が続きますし、そしてまた退職者の数が多くなって退職金の増嵩が見込まれるなど、いろいろな問題がありますので、県としては向こう五年間で警察とか教育を除く分野では二七%の職員の削減を行うと。これは日本で最大規模だと思いますけども、こういうふうな職員の合理化というか、減でありますが、そしてまた、能力主義の完全な適用というふうなことを行ってこのような厳しい財政状況の時代に対応していこうというふうにしております。
当然のことながら、それとあわせて、そういうことで生み出したお金で和歌山県が元気になるような施策を思い切りやっていこうというふうなことでございます。
次に、二巡目国体への立候補ということですが、これも和歌山県が元気になるようにというふうなことで、御質問にもありましたように、和歌山県の国体における成績、非常に厳しい状況に置かれているというふうなことで、やはり今度の冬季のオリンピックを見てもわかりますように、ある程度成績が上がっていくということが県民に元気をつけるというふうなことの原点にもなろうかと思いまして、六月にまた議会と相談して、日体協へ二巡目国体への立候補を表明しようと思っております。
ただ、こういうふうな厳しい財政状況の中ですので、ありとあらゆる施設を最新にしてというわけにはいかないので、近畿の各県と施設を協力してやっていくというふうなことを去年から近畿の知事会において協力を求めているところでございます。
ただ、そうは言っても、主開催地は和歌山県になるわけですから、当然のことながら必要な施設の整備、そしてまた老朽化した施設の改修等、計画的に進めていく必要があると思います。
なお、競技力、これはまた教育長から話があると思いますが、非常に厳しい状況にあるので、来年は思い切ってこういうふうな競技力振興に係る予算を二・五倍というふうな、こういうふうな緊縮財政の中では──お金をつけたから強くなるというもんではないと思いますが、そういうふうなことで競技力振興ということにも尽くしていきたいと、このように考えております。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 道路整備についてお尋ねがありました。
まず、和歌山市内の交通渋滞対策についてでございますが、市内の渋滞緩和を図るため、国及び市と連携しながら都市計画道路の整備を重点的、計画的に進めており、特に交通の支障となっております紀の川及び鉄道を横断する道路の整備を重点的に進めております。
現在は、和歌山市北部の幹線道路であります西脇山口線、市街地周辺部と中心部を結ぶ道路として東西幹線道路となる南港山東線、市駅小倉線、及びこれらを連係する南北幹線道路であります松島本渡線の整備を進めているところでございます。
西脇山口線の六十谷周辺では、善明寺工区と六十谷工区で事業を実施しており、園部地区につきましては、現在事業中の箇所の進捗状況を勘案しながら、事業化については検討を行ってまいります。
市駅小倉線では、国道二十四号を境として県及び市により役割分担をし、整備を行っております。
また、松島本渡線につきましては、南海貴志川線神前駅東側の神前地区において今年度から事業に着手したところでございます。
これと連係する湊神前線の残る区間につきましては、松島本渡線と同時期に供用ができますよう、事業の着手について検討をしてまいります。
今後とも、厳しい財政状況ではありますが、和歌山市内の交通渋滞の緩和を図るため、土地収用法も活用しながら、都市計画道路の整備を重点的かつ計画的に推進してまいります。
次に、第二阪和国道の整備でございます。
開かれた和歌山を実現し、県勢を活性化するため、府県間道路の整備は、近畿自動車道紀勢線や京奈和自動車道の整備と並んで重点課題の一つと位置づけております。
とりわけ第二阪和国道は、交通渋滞解消はもとより、関西国際空港へのアクセス道路として、また防災面や救急医療、さらには物流や観光などの観点からも早期整備が必要と考えております。
現在、調査区間に係る事業の必要性やコストの縮減等を踏まえた、より効率的かつ効果的な整備の手法等について検討が進められております。
このような状況を踏まえ、今後とも、和歌山市及び大阪府と協力し、事業中の和歌山北バイパスJR高架化工事及び大阪府側の箱の浦ランプから深日ランプ間の早期完成を促すとともに、府県境部の調査区間の整備区間への格上げと早期事業化を国に対して積極的に働きかけてまいります。
以上でございます。
○議長(吉井和視君) 商工労働部長下 宏君。
〔下 宏君、登壇〕
○商工労働部長(下 宏君) 企業誘致についてでございますが、議員御指摘のとおり、企業の旺盛な設備投資意欲や国内回帰の傾向が顕著になる中、思い切った企業誘致施策を展開します。
先ほどの知事の答弁にございましたが、まず、企業向けの奨励制度を充実します。特に、最高限度額を百億円に引き上げ、全国最高水準とし、大規模工場の誘致を強化します。
また、県関係用地への進出を促進するため、当該用地への進出企業に対する奨励金を充実します。
次に、誘致体制を強化し、新たな誘致戦略の策定や民間の人脈、ノウハウの活用を図りながら、平成十八年度、十九年度の二年間に千社以上の企業訪問を実施するなど、積極的な誘致活動を展開し、雇用の場の確保、地域経済の活性化、税収増を図ってまいります。
以上でございます。
○議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 初めに、スポーツ競技力向上対策についてお答えします。
二巡目国体を見据えた中長期的な取り組みとして、将来、オリンピックを初めとする国際競技大会や国体で活躍できるすぐれた素質を有する子供たちを発掘、育成するゴールデンキッズ発掘プロジェクトやジュニアハイスクール指定事業を新たにスタートさせることとしております。これらの新規事業とハイスクール強化校指定事業など既存事業との一体化を図り、ジュニアから成年層までの一貫した指導体制のもと、組織的、計画的な発掘、育成、強化に努め、本県の競技力水準の向上を図ってまいります。
また、短期的な強化策として、国体などで優秀な成績をおさめた競技団体や全国上位にある競技種目を中心に強化費を重点的に配分するなど、より効果的な方策を展開してまいります。
次に、通学路等における児童生徒の安全確保についてお答えいたします。
本県ではこれまで幸い発生しておりませんけども、最近、各府県で相次いでいる凶悪な犯罪に対し、大変心を痛めているところであります。
御指摘のとおり、犯罪から子供たちを守るためには、学校を中心として教職員、保護者、そして地域の方々と一体となり、組織的な取り組みを行うことが重要であります。また、子供自身が危険を身近に感じ取り、回避する能力を養うことも大切であると考えております。
本県では、これまでも警察や関係機関等と連携して不審者の情報を即座に知らせる連絡体制を強化するなど、さまざまな取り組みを進めてきたところですが、より一層子供たちの安全を確保するため、新たな施策を実施することとしております。
具体的には、来年度から県内すべての小学校で一斉に登下校の見守り活動を行う通学路セーフティーネットの日を年六回程度設け、地域の学校安全ボランティアや保護者、教職員が一緒になって子供を守っていく機運を高めてまいります。
また、小学生に対し、登下校時の安全に関する標語や安全の手引などを印刷した安全啓発ファイル「子ども安全ポケット」を配布して児童や保護者の安全意識の向上に努めるとともに、学校安全ボランティアを育成するための講習会を県内各地で開催するなど、より積極的な取り組みを進めてまいります。
以上であります。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
二十四番宇治田栄蔵君。
○宇治田栄蔵君 答弁ありがとうございます。
二巡目国体について、要望をさしていただきます。
質問でも申し上げましたけれども、県の体協の臨時総会で二巡目国体を開催するということが決議されまして、その後、県民の意識の中で、いよいよ和歌山でまた二巡目国体するんだというふうな声がみんなにずうっと広まってるかというと、いまいち広がりが足りないような気がします。ですから、そういう意味で、我々が今度やるんだということのPRということもやはり考えていかなければならないと思います。
そのために、施設の整備について、四十年前に新しい施設をつくるということができたわけですが、今度四十年たって時代が進んでいるのにそれが厳しいというのは大変寂しい話でありますんで、やはり新しくつくれるものはつくり、そして補強すべきものは補強するというふうな、そういうことで、より県民の期待にこたえられるような施設の建設もやはり考えてこれから国体の開催に向けて準備をいただきたいと思います。
どうぞ、これからも推進のために県当局の努力を期待いたしまして、私の要望といたします。どうもありがとうございます。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で宇治田栄蔵君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
二十八番原 日出夫君。
〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 議長のお許しを得ましたので、本題に入っていきます。私の場合は各論に限定しておりますが、よろしくお願いいたします。
農業問題についてでありますが、一つは、生産から加工、流通販売の一元化した振興対策を問題提起したいと思います。
生産から加工、流通販売を一元化した振興対策についてお伺いします。
これまでの農業生産現場では、生産物は農協や個人による市場出荷を中心として通信販売、産地直売所での販売に大部分を依存しています。また、農業施策も、生産、加工、流通、販売はそれぞれが別々に振興を行っているのが現状ではないかと考えています。しかし、近年の消費者ニーズは、これまでの高品質に加え、安全・安心で健康によい食品への関心が大いに高まってきています。
このような消費者のニーズを受け、食品加工業者や外食産業、量販店などの食品産業業界では、これまでの市場経由で調達していた原材料や販売物を直接生産地から調達し、加工商品や販売物を差別化する傾向が強くなっています。
食品産業業界では、産地、農家と生産物や栽培方法、土づくりにまでこだわって契約し、地域ブランドとする方法が進みつつあります。食品企業が自社のコンセプトに見合う商品づくりをその原料調達にまでこだわる傾向がますます強くなってきているわけであります。
県行政としては、このような食品産業業界の動きに対応し、消費者、食品産業界のニーズを的確に生産現場にフィードバックし、生産を指導できる生産、加工、流通、販売を一元化した農業施策が必要ではないかと考えますが、農林水産部長のお考えをお伺いします。
また、消費者、食品産業業界が安全・安心な農産物への依存を高めていく傾向にある中で、消費者が求める、より安全で安心な農産物を生産するために、有機質堆肥を主体とした土づくりはどのような方針で進めるのか、有機農産物生産はどう振興させるのか、農薬低減方法はどうしていくのか、和歌山県の安全・安心への目標はどこにあるのか、県として将来を目指した目標を持ち、農業行政を進める必要があるのではないか、そうでないと他県に取り残されてしまうのではないかということを私は危惧しているところであります。農林水産部長のお考えをお伺いします。
最後に、これは要望としますが、県では平成十八年度予算とそれに伴う組織見直しも行うと聞いていますが、先ほど私がお話ししたように、これからは、消費者や食品産業業界のニーズに的確かつ迅速にこたえ、産地づくりを進めるためには、生産、加工、流通、販売の全体を把握する県組織が必要ではないかと考えております。
現在、量販店や食品業界への働きかけはブランド推進局で実施していますが、一面的かもしれませんが、私から見て、どうもバイヤーとしての役割に終始しているのではないかと考えています。施策が輪切りになってはだめだと考えるわけであります。
JA、生産者との協力のもと、消費者のニーズに合った生産体制を整えるためには、私は、農林水産部に生産、加工、流通、販売を中心に、消費者、食品産業業界のニーズにこたえるための一連化した組織の必要性を今感じております。したがって、農林、畜産、水産を含めた、今私が前段述べましたように、そういった組織を確立することが必要と思いますので、知事を初め皆さんに要望申し上げたいと思います。
次に、二つ目の農業指導体制の確立についてであります。
国の三位一体改革の中で普及事業費は大幅にカットされ、県行政として普及事業にしっかり取り組む政策責任が今求められています。和歌山県の農業生産、技術指導、地域づくり、農政への展望を示す普及事業をどう評価し、県としての財源確保を初め、組織改革を含め、どう進めるのか、大きな課題です。そこで、国の食料・農業・農村計画にも示されている農業地域ごとの集落営農の組織化をして、地域づくりの設計企画が今求められているわけであります。その中心になるのが県の普及職員です。予算も人も削減し、合理化だけ先行しては、これからの農業振興、地域づくりは大変厳しいものになると考えております。
そこで、私は、人づくり、物づくり、地域づくりのリーダーである県普及員と農業士、農業士OBを中心にJA指導員を含めたプロジェクト組織を確立し、直接農業者に、農業経営、技術等の普及活動を通じて自主的な農業経営と農村生活の改善、後継者、担い手の育成など、県普及員と民間のマンパワーを活用した農業指導体制を構築する必要があると思うわけですが、どうでしょうか。また、そのプロジェクト組織は責任ある機関に位置づけ、責任ある保障をしていくことが県普及員の削減の中でも前進する農業地域の振興になると考えるが、どうでしょうか。農林水産部長にお聞きしたいと思います。
次に、農業大学校の充実についてであります。
農業大学校については、開校から三十数年を経過して、これまでに一千三百人を超える卒業生が地域農業の担い手や指導者として活躍しているが、現状では、昨今の農業情勢や社会情勢に十分対応できていないのではないかということを現場の農業士や農業士のOBの皆さんから、農業大学校の生徒の実習をホームステイ的に受け入れた中で、非常に危惧しているところであります。
県内外から評価され、学生が多数集まるような魅力ある農業大学校にするために提案したいと思います。
平成十八年度から社会人課程を設置することは大変評価できると思います。今後の方向として、新たなライセンスが取れるようにすることが今必要ではないでしょうか。
例えば、現在は認められていない大学三年次への編入の道を開く、そういう人たちへの推薦、そういうことができる農業大学校にするとか、そういうことによって卒業後の選択肢がふえ、より魅力的な農業大学校にすることができるんではないでしょうか。また、近隣の大学の農学部から講師に来てもらうなど、県下の生産農家が自分の子供を後継者として育てるのにぜひ県農業大学校へ進学させたいという、そういう期待されるものにぜひ充実さしてほしい。また、地元に残るその有能な人材を育てることも重要だと考えております。
こういった意味で、農業大学校の充実のための考えを農林水産部長にお尋ねいたします。
次に、野生鳥獣による被害対策についてであります。
一つは、イノシシ、猿、シカ、アライグマによる農産物への被害の現場の実態を県当局はどう把握しているのでしょうか。
二つ目は、そのための現状の対策は十分でしょうか。捕獲したいが、どうしたらよいか。捕獲したらどう処分したら。捕獲前の自分の田畑を守るのにどんな施策を。県として捕獲と防除を組み合わせた方針、つまり生産者、住民の取り組み、県、市町村の取り組み、市町村、農林関係者とで具体的な被害防止対策計画をいつ策定するのでしょうか。それを策定していく上で、農林水産部、環境生活部では何が課題なのか。現場は、一つも整理されていなくてばらばらな実態であります。その策定は早急に取り組むべきだと考えますが、農林水産部長にお聞きいたします。
次に、アライグマの被害対策に限定して。
アライグマを根絶させるという県の姿勢はあるのでしょうか。現状に触れてみて、私の見解を申し上げたいと思います。
まず、捕獲について。捕獲はだれがするのか。捕獲方法は何によってするのか。箱、わなだけに限定して自主捕獲するので済まされるのか。捕獲費用はだれが責任を負うのか。市町村にすべてゆだねるのはいかがなものか。
アライグマの現状は、市町村の単位ではなく広域的な視点、県紀北では大阪、奈良などの県境との連携も必要とされています。国においても、平成十八年度の野生鳥獣害防止対策強化として、県域をまたがる広域地域において防除対策の計画を立てることと示されております。それによると、県からの予算要求に対応することの方針が具体的に示されています。県として、アライグマの排除、根絶という立場から、捕獲方法、処分方法、そのための人の確保、財源的裏づけ等の全般にわたってアライグマ根絶計画を各市町村関係者との検討協議会を組織し、その計画方針を早急に立てて、県の果たす役割、市町村の果たす役割、住民側の果たす役割をきちんと示す必要がありますが、いかがなものでしょうか。
また、私は、アライグマを含めた野生鳥獣被害対策の捕獲、処分、人材は農林水産部に一元化し、生息状況個体調整、生息環境管理は環境生活部として、二つに役割分担を明確にすることが今の時期に大切ではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。農林水産部長にお伺いいたします。
次に、大きい二つ目ですが、森林・林業・木材産業基本ビジョンを実践するアクションプログラムの策定をということですが、県は平成十五年に森林・林業・木材産業基本ビジョンを策定し、それに基づく施策を実施しています。私は、今回、その中でも具体的な施策の次の三つについて取り上げ、県としての目標値を設定し、財源的裏づけをしたアクションプランの作成を提言したいと思います。
私は、森林整備の推進、良好な景観の保全、地球温暖化防止の促進など複合的な森林の役割の中で、具体的に第一点は、間伐材の活用計画を具体的に示す時期に来ている。一つは、木製ガードレールの使用の場所と年次計画を決めること。例えば世界遺産熊野古道みちづくり事業というふうな形で位置づけして、国道、市道、市町村道、県道を含め、そういった一定の地域、距離、そういう場所をきちっと決めていく時期に今来ているんではないか。また、国土交通省が進めるシーニック・バイウェイとも協調して、木製ガードレールの使用の具体的計画をお願いしたいというふうに思います。
二つは、型枠や水路、防護さくなど、具体的に目標値を定めた取り組み。このことは、私は、木造ガードレールもこの二つの点もそうですが、目標値と年次計画を示し、着実に実行する方針が示されるなら、民間はそれに誘発されて地域において事業化していくと。そして、それを何とか、間伐してきた後、製材して、そして防腐して、そして地域の土木業者がそれをつくっていくという一連の、地域の一つの事業化としての地域活性化につながっていく事業として森林事業が大きく発展するんではないかというふうに日ごろ考えているわけですが。ただ、現場の人に聞きますと、毎年の単年度の予算しか見えないから事業に投資してやっていける自信が持てないと。だから、私は、五年、十年というほんまに森林という長いスパンでいけば、そういうことを実際に地域に示せば、それを起業化していく、実業化してこの仕事をやっていこう、そういう人たちが生まれてくるというふうに思いますので、提案したいと思います。
第二点は、紀州材を活用した具体的な数値を示した計画を示すこと。少なくとも公共施設は、学校等を含むんですが、設計上、木造可能なものは木造にすること、内装、備品等も積極的に木造にする計画を示して取り組むことです。これは、言葉だけでなくて、一つの理念を持ってやらないとなかなか実現できるものではありません。
また、民間住宅への木造推進は一定の成果を上げていますが、紀州材健康の家づくり事業は申し込みが多くて抽せんしている状況であります。民間建設は支援を待って建つわけにいかないのですから、それにこたえていくことの大切さをもっとこれに対して考えていくべきではないでしょうか。
紀州材を活用した公共施設建設は、農林サイドと建築サイドが設計の段階から取り決めしないと、落札した業者が決まってから紀州材活用という話になると業者の求める必要な材料をそろえられないのが実情ですから、この点について力を入れていただきたいというふうに思うわけであります。農林水産部長にお尋ねします。
最後に、第三点の木質バイオマス利用計画についてですが、まず、木質バイオマスタウン構想と具体的実施計画を関係する市町村と策定し、実施へ一歩踏み出すための努力をお願いしたいと思います。
これは、いろいろと県当局も考えられ、市町村も考えているわけですが、なかなか一歩踏み出せない。そのクリアしなければならない問題は十分わかっているわけでありますが、私はとりわけ、チップボイラーの普及計画、ペレットストーブの普及のための計画、また木質エネルギーへの展望等、今の時代にこそ環境の負荷を低減するための役割と効果を示した積極的な取り組みを求めたいと思いますが、農林水産部長にお尋ねします。
次に、介護、医療問題についてであります。
介護保険事業改正がこの四月から実施されますが、高齢者の介護制度、介護保険事業化されるときに懸念していた事態が今起こっています。介護給付費が膨れ上がり、介護保険料の引き上げと支払う人たちの一号、二号者から二十歳へ引き下げる方向、介護サービスの質の低下と自己負担の増大につながってきております。これは、高齢者の介護が措置から契約に変更されたことで、当然予測されるものです。私は、高齢者の介護等は社会保障として位置づけないと、この問題は最終的に解決しないというふうに考えております。それを前提としながらも、現実は介護保険制度が改正され、この四月から実施されるわけでありますが、そこで私は、和歌山県のこれからの高齢者介護は何を重点にした施策を進めるのかを県民や介護事業者に示す必要があるのではないか。
国は、大きな箱物福祉から地域密着型福祉、つまり地域で高齢者を支える福祉、地域で今ある家屋や地域で小規模の拠点施設づくりで高齢者が地域と家族との中で支えられていくシステムに大きくかじをとる中で、県として、市町村、事業者任せではなく、主体的な方針を確立する責任があります。
一つは、二〇〇三年わかやま長寿プランをどう見直していくのか。地域密着型を目指すなら、県として具体的にそれを進める人たちにどう支援していくのか。その支援策を示す必要があると思いますが、どうでしょうか。福祉保健部長にお尋ねします。
次に、がん診療連携拠点病院整備についてであります。
ことし二月一日、本当に懸案の事項であったこのがん診療連携拠点病院について、厚生労働省から「がん診療連携拠点病院の整備に関する指針」が公表されました。和歌山県においても議会においてもがん診療体制が叫ばれてきましたが、今回、厚生労働省の指針に基づいて和歌山県としてどう取り組まれていくのでしょうか。
現在、和歌山県は、和歌山市の日赤医療センター一カ所です。がん医療水準の地域格差をなくすため、また高度化を図るため、県として、国の指針に基づき、がん診療連携拠点病院の指定に向けてどう対応するのでしょうか。福祉保健部長にお尋ねいたします。
次に、最後になりますが、熊野古道旅籠めぐりについてであります。
私は、当局の平成の旅籠の考え方、その目的は理解し、賛成であります。とりわけ熊野古道、滝尻王子から継桜王子のコース間、拠点施設としての宿泊施設の設置は本当に求められているところであります。
田辺市が十七年に新田辺市観光ビジョンというのを策定した中でも、この中辺路町の熊野古道をどう生かしていくかという中で、ルート整備がいっぱいある中で拠点整備例というのがありまして、その中で、高原地区、地域の歴史文化、生活文化を通じたより深い交流拠点が必要やということでも位置づけております。
それから、その交流拠点というのはやはり地域密着型の運営でなかったらあかん、今までのような行政が加入した第三セクではあかんということの中で、むしろ逆に地域住民のコミュニティービジネスとして確立することが必要だということもこの運営形態においても位置づけられているわけですが、これは我々もずうっと提言してきたことです。
そういう中で、私は、平成の旅籠は基本的に、この当局が示した問題については何ら異を挟んだり水をかけるものではありませんので、誤解のないようお願いしたい。
ただ、一点は、平成の旅籠の宿泊施設に県が三分の二の八千六百万円、田辺市が三分の一の四千三百万円、総額一億二千九百万円が、いわゆる一〇〇%行政が負担して県主体での宿泊施設を建設することは、県の今進める行財政改革方針や現在まであった公的施設の指定管理者制度を実施していくというこの考え方からいくなら、逆行している考え方ではないかということについて私は感じたわけです。
これらのことは、宿泊施設すさみいこいの村を初め、今、県や市においても町村経営は破綻してきた。その教訓を踏まえながら、これからのそういった宿泊施設やそういう観光施設等については、行政が責任を負う分野と、それはもう民間がやるべきことやということの歴史の教訓でもう学んできたから、この点の第一点の一〇〇%県が負担することについては、私は知事がずっと就任以来、賛同してきたその理念、哲学から少し信じられなかったですね。僕は信じられなかった。その点について、僕のとらえ方が間違っていたら答弁していただきたいんですが、基本的にはそう考えております。
それともう一つは、平成の旅籠が県の提案だったとしても、本来は世界遺産熊野古道の中辺路ルートの中にどんな拠点施設をつくるかということについては、どこにどんなものを、どんな経営や内容のものにするかは、その地域の人たちとそれにかかわる市行政が十分議論して、企画、提案をして県行政に支援を求めていくことが本来地域力を生かした地域づくりであり、それが観光振興につながるものと私は考えます。そういう意味での知事の考えがおありでしたらお伺いしたい。
三つ目は、私は、これも全く、この施設という意味での質問ではありませんが、県の今回の特定の宿泊施設への予算化には、県全体の公平な予算化の考え方からいって、少し、ううんという首をかしげたくなるわけであります。
というのは、地域づくりと観光振興でその拠点となる宿泊施設、つまり地域の人たちがつくる民宿や農村体験のできる宿とか、森林など自然体験をできる農村の宿とか、そういった和歌山県に点在する農山村の地域を活性化するための拠点施設としての一つのコミュニティーの宿泊施設、そういうものをつくっていく支援については、それはあくまでも県全体の中でそういったところへの交付金要綱をきちっと立てて、だれもがその要綱に適せば、基準に間に合えばその要綱の支援を受けられると、それが基礎になるべきではないかというふうに私は私なりに考えて、特定の地域に一〇〇%官がつくるということについてその点少し疑問を感じたわけで、私の一方的な疑問でしたら知事のお考えをお聞かせ願えたらと思います。
それからもう一点。最後には、四点目になるんですが、そのいわゆる平成の旅籠の運営主体は、報道によると県観光連盟が受けてやるとなっていますが、この平成の旅籠の運営や経営はどのようにしていくのかについてお聞きしたいというふうに思います。それについて、商工労働部長にお尋ねしたいと思います。
以上で、第一回の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの平成の旅籠についての御質問、全く私もそのとおりだというふうに思います。
これは、世界遺産指定から何年かたって、やはりいろいろな魅力をつけていかないといかんだろうというふうなこと、そしてまた、サンティアゴ・デ・コンポステラの道でもそういうふうな宿泊施設があるということにヒントを得て、和歌山でもこういうものがあったらいいんじゃないかなというぐらいの感じで始めたことなんですが、その根本は、箱物をつくると──もう当然、今ごろ役所が旅館をつくるなんていうことはもう本当に考えられない、前世紀のような話なので、そういうふうなことではなくて、地元に施設までつくるお金はなかなかないだろうと。だから、地元の発想を生かしながらそういうものは出してあげて、あとの運営管理なんかはもう地元でやっていくようなシステムというのをつくれて、それで、それはあるところでモデル的にやれて、それがまたほかの地域にも広がるようなら、和歌山県のある意味では観光に新しい魅力をつけることができるのではないかなということで発想したものです。
したがって、当初の予算にはもちろん組んでいるわけですが、箱物づくりというふうなことから入っていくことではなくて、地域としてどういうふうな形でこの施設を生かしていけるのか、そのソフトということがまとまらない限りは、これはもうどんどん建設が進んで、その後でいろんなことをやっていくというのはこれもう本末転倒になりますので、そこはもう十二分に気をつけてやっていきたいというふうに思います。
それで、一〇〇%補助云々の話があったんですけども、これは正直言いまして、物すごく地域力があって地元に基金でもあるようなところだったらそれでやってもらえばいいんだけども、なかなかそれまではないだろうから、最初のエンジンかけというふうなことでは、やはりこういう新しい施策をやるときにはまだそういうふうな支援が必要じゃないかなというふうなことでやっているわけですが、ただ、本宮のところでやっている熊野健康村構想、こういうふうなのはもっとソフトのものの集まりというふうなことで進行していっているので、この平成の旅籠というのも初めに施設ありきというふうなことにならないように十分これは注意していかないといけないし、そこのところに時間をかける必要があるんであれば必要な時間を十分かけて僕はやるべきだろうというふうに思っております。
それから、特定地域に偏るのはどうかというのは、確かにそのとおりだと思います。ここには非常に大きなお金が行くわけで、もっと、もう少し少ないお金でもほかのところに来てほしいなと思っているところもたくさんあるのは事実なんですけども、やはりある一定の目玉施策について重点的にモデル的に配分するということもこれ一つ重要なことなので、今言いましたような考え方とあわせて、この施設が和歌山県の新しい観光、そしてまた地域力の拠点になるようなものにしていきたいと思うし、またそうでなければこのこと自体を考え直していく必要があると私は思っております。
○議長(吉井和視君) 農林水産部長西岡俊雄君。
〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) まず、農業問題に関する生産から加工、流通販売の一元化した振興対策について二点お尋ねがございますが、一括してお答えをいたします。
近年の食を取り巻く動向につきましては、食の安全や健康に対する関心の高まりなど消費者ニーズの多様化に加え、流通面では、卸売市場を基本としながらも、ITを活用した商取引や産地との契約栽培など流通経路の多元化が進展をしているところでございます。
このような状況を踏まえ、農協や農業生産法人等におきまして、生産から加工、流通販売にわたる組織体制の一元化を図りながら地域の特色を発揮していくことが重要であると考えてございます。
このため、県といたしましては、高品質でこだわりのある地域ブランドの育成を初め、PR活動の推進や機能性に着目した新品種の開発などを通じまして、関係団体、関係者が一体となった組織体制の充実強化に積極的に取り組んでまいります。
次に、環境に優しいエコ農業につきましては、有機質資材を効果的に組み合わせた土づくりを基本に、環境保全型農業を積極的に推進をしているところでございます。
平成二十年度を目標年度にいたしまして、一つには化学肥料や農薬の三割削減に取り組むエコファーマーを千五百名、二つ目には特別栽培農産物につきまして延べ二千件の認証をいたしてまいりたく、その達成に向けての支援策や啓発に鋭意取り組んでまいります。
次に農業指導体制の確立についてでございますが、これまで担い手の育成を初め技術指導など、農業振興を図る上で普及事業は一定その役割を果たしてまいってございます。また、近年の農業者の多様なニーズに対応するため、各振興局に配置してございます普及指導員相互の連携を図るとともに、地域の実情に精通している農業士の方々に普及指導協力委員をお願いし、技術や経営面での支援をいただくとともに、農家実践研修の受け入れなど、就農サポーターとして御協力をいただいてございます。
今後とも、議員御提案の趣旨を踏まえ、農業士や農協の営農指導員等、民間のパワーを活用した効果的な指導体制の確立に努めてまいります。
次に、農業大学校の充実についてでございます。
二十一世紀の和歌山県農業を担う人材育成機関にふさわしい学校とするため、新年度から団塊の世代、また定年前帰農者を対象に実践的な研修を実施する社会人課程を新設するとともに、学校教育法に基づく専修学校へ移行することといたしてございます。さらに、カリキュラムの見直し、また講師陣など教育指導体制の充実に取り組むとともに、本校で学ぶ生徒の意欲を高めるとともに卒業後の進路選択の幅を広げるなど、より魅力ある農業大学校を目指してまいりたいと考えてございます。
農業問題の最後、鳥獣被害対策についてでございます。
議員お尋ねの農作物への被害状況についてでございますが、十六年度のデータになりますけれども、ミカン、カキ等の果樹を中心に約四億円の被害と承知をしてございます。そのうちイノシシによるものが最も多うございまして約一億七千万円、次いで猿が約六千五百万円、シカは三千六百万円でございます。また、ここ数年、西牟婁地域、伊都地域におきましてアライグマの被害が増加の傾向にございまして、被害額も三千三百万円となるなど、農作物への鳥獣被害は県下全域に及ぶ課題であると認識をしてございます。このため農林水産部におきましては、農家を初め市町村、農協等関係機関と連携を図りながら、鳥獣の生態や防止手法についての研修会の開催、また防護さくの設置などに努めてきたところでございます。
さらに、現場の声を聞きながら鳥獣害防止対策マニュアルを作成するとともに、農作物の被害の著しい伊都、日高、西牟婁地域を重点対象地域として、新たにアライグマ等の捕獲おりの設置、また被害防止のための技術指導を行うアドバイザーの育成、こういったことに取り組むことといたしてございます。今後とも、環境生活部とともに農作物への鳥獣害軽減に向け、一層の推進を図ってまいります。
次に、森林・林業・木材産業のアクションプログラムの作成についてでございます。
まず一点目、間伐材の活用計画の具体化をについてでございますが、県では、森林・林業・木材産業基本ビジョンを実践するため和歌山県間伐等推進計画を策定いたしまして、平成十七年度から平成十九年度までの三カ年における間伐材の利用目標を定め、計画的な間伐材利用に努めているところでございます。
また間伐材製品は、県の建設資材けんさんぴん登録システムに登録され、公共事業などに積極的に活用されているところでございます。こうした取り組みにより間伐材の利用量につきましては、平成十二年度には一万立米でございましたものが、平成十六年には倍の二万立米と順調に推移をしているところでございます。
間伐材の利活用を図ることは、緑の雇用事業を初め木材の循環利用の観点から重要なことと考えてございますので、さまざまな分野での計画的な使用を積極的に働きかけてまいります。
次に、紀州材を活用した計画の具体化についてでございますが、公共事業等につきましては、木の国プロジェクト推進会議におきまして、事業の予定調査に合わせ、木材をふんだんに使った木質化を要請し、紀州材の使用目標数量を設定いたしてございます。と同時に、県木材協同組合連合会に速やかにこの情報を提供し、資材の円滑な調達に努めているところでございます。
また、県の建築工事特記仕様書や土木工事共通仕様書において県産品の優先使用と明記するとともに、市町村に対しましては紀州材のすぐれた活用事例を示すなど、紀州材使用を積極的に働きかけてございます。
民間住宅への普及につきましても、紀州材健康の家づくり支援事業を引き続き実施するとともに、紀州材・家づくりフェア支援事業により森林所有者、工務店等のネットワーク化を図るなど、今後とも民間における利活用を促進してまいります。
最後になりますが、木質バイオマスの利用計画でございます。
国や市町村など関係機関と連携を図りながら啓発に努めてまいっているところでございますが、なかなか事業化までには至っていないのが現状でございます。
しかしながら、市町村における計画策定でありますとか民間事業者による調査研究といった動きもございますので、今後とも幅広く利用の可能性を検討する中で、地域の特性に合った取り組みを進めてまいりたいと思ってございます。
以上でございます。
○議長(吉井和視君) 環境生活部長楠本 隆君。
〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 野生鳥獣による被害対策のうち、環境生活部にかかわる御質問にお答えを申し上げます。
有害鳥獣の捕獲につきましては市町村長の許可により実施しておりますが、アライグマの駆除につきましては、平成十七年六月に外来生物法が施行されたことに伴いまして、法の趣旨にのっとり、国、県、市町村及び関係団体が協力して防除を推進していくこととされております。このため、平成十八年度からは、県と市町村が協議し、市町村の実情に応じて防除計画を作成し、年間を通じて積極的に捕獲等を進めていくこととしております。
防除を行うに当たっては、捕獲したアライグマの処分が市町村では難しく問題になっていることから、処分を県が担うこととし、民間獣医師に委託するとともに鳥獣保護センターでも実施して、当面は紀南と紀北の二カ所で対応してまいりますが、今後、捕獲状況に応じてさらに獣医師による処分を拡大していけるよう努力してまいりたいと考えております。
また、捕獲費用への支援といたしましては、アライグマはおりによる捕獲が中心となることから、捕獲を推進するために、市町村に対し、捕獲おりの購入に要する経費の補助を行ってまいります。
次に、鳥獣対策についての役割分担の明確化についてでございます。
有害鳥獣の捕獲につきましては、鳥獣保護法に基づく鳥獣の適切な保護・管理を進める中での捕獲でございます。生息状況や生息環境との関係が極めて深く、そのため環境生活部において現在実施しているところでございます。しかしながら、農作物被害対策とも密接な関係にあることから、農林水産部と十分な連携を図りながら取り組んでいく必要があると考えております。
議員御指摘の役割分担につきましては、事業の効果が最大限発揮できるよう、今後とも検討を重ねてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(吉井和視君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) まず、介護保険事業改正と四月実施に向けての御質問にお答え申し上げます。
このたびの介護保険制度の改正等に伴いまして、わかやま長寿プラン二〇〇三につきましては、平成十八年度から平成二十年度を計画期間とするわかやま長寿プラン二〇〇六として新たに策定をしているところでございます。
今回の見直しの主な内容といたしましては、各市町村が実施する地域支援事業とサービス事業者が提供する介護予防サービスによる介護予防を推進するとともに、居宅サービスと施設サービスの適正かつ計画的な整備を推進することとしてございます。
議員御指摘のとおり、高齢者が住みなれた地域で生活できるよう、地域密着型サービスを初めとする地域全体で高齢者を支える地域包括ケア体制の構築が重要であると考えております。
県としましては、介護予防推進のために全国に先駆けて和歌山大学と共同開発しましたわかやまシニアエクササイズの普及を図ってございまして、既に十七市町村で当該エクササイズに基づく介護予防教室を実施してございます。
今後とも、和歌山型介護予防システムの構築を図るとともに各種研修事業の充実などを行い、各市町村や地域間において地域密着型サービスに格差が生じないよう、市町村と連携を密にしながら適切に対応してまいりたいと思っております。
次に、がん診療連携拠点病院整備についてでございます。
議員御指摘のとおり、先般、厚生労働省により、がん診療連携拠点病院の整備に関する指針が改定され、がん医療水準の地域格差をできるだけなくすため、地域におけるがん診療の拠点となる施設の整備充実や診療連携体制の確保について示されたところでございます。本指針においては、二次医療圏に一カ所程度の地域がん診療連携拠点病院及び県におおむね一カ所の都道府県がん診療連携拠点病院を整備することとなってございます。
このがん診療連携拠点病院は、地域の医療機関と連携し、専門的ながん治療や緩和医療を提供するとともに、相談支援機能や医療従事者の研修などの役割を果たすこととされております。現在、県内では日本赤十字社和歌山医療センター一カ所のみが指定を受けてございます。
今後は、県内の病院のがん診療機能の充実、がん専門医の確保などの課題を踏まえながら、県民がどこに住んでいても質の高いがん医療を受けることができる体制の整備を図ってまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(吉井和視君) 商工労働部長下 宏君。
〔下 宏君、登壇〕
○商工労働部長(下 宏君) 平成の旅籠の経営運営主体についての御質問にお答えします。
平成の旅籠の運営につきましては、民間から広く公募を行うなど、民間の運営ノウハウと責任システムを導入してまいりたいと考えており、建築、運営両面にわたり地域づくりにおいて新たな官民の役割分担のあり方を示せればと考えてございます。
今後とも地元の意向が十分反映できるよう、地元関係者と協議しながら熊野古道を生かした地域づくりに努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
二十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 答弁ありがとうございます。
一点目の件とかすべて、ほとんど私は、県何してんなというような話はいっこもしてないわけで、自分が現場でいろいろと体験する中で、よりその現場に即した立場でのいろんな考え方を、そういう発想の転換も含めてやってほしいということです。
したがって、私は、一番目の、自分自身も感じながら生産、加工、販売、その流通全体を見てみますと、いろんな食品産業界や中央会の人たちとお会いする機会があったときには、全体として今我々がやってることでは立ちおくれるぞと、もっと生産者は売れるとこまで考えた物つくっていかなんだらあかんぞということが現実に今ひしひし感じているとこでして、それをやっぱり一括して──我々農家とかそういうところについては、そういう面で全体を展望するということが非常に難しい。
そこで、県行政の中に、今まではそれを売るためにはブランド推進局が一定の役割を果たしてきました。それは十分にね。量販店やそういうとこへ行って。だけど、それがずっときて──二、三年になるんかどうか、ちょっと記憶にないですけど──やってきて、やっぱり今度、僕感じたんは、その役割よりもう一歩超えて、今全体の食品産業界が求めている部分が、もっと生産者に直接かかわっている農林水産部の中に、生産のこともわかるし、その中で加工することもわかるし、売ることについても真剣に考えて、そういう人たちのノウハウ、中央会の動きを感知して、県の職員も、そして現場の農家や加工業者と一緒になって取り組んでいくシステムをつくっていかんと──ずっと伸びている都道府県を見ますと、もうそれがきっちり組織化して、もうそこと栽培契約してどんどんやってるんですね──これはもう大変なことになると。だから、和歌山県もこれに立ちおくれないで何かそれをシステム化してほしいというのが私の願いですから、それをぜひやってほしいと。これが一点目です。
それから、もう一個。普及指導員の問題で、私の提案した真意は何かというたら、地方財政が厳しい中で指導員をこれ以上たくさんふやせということにはならない。指導員と、指導員を上回るぐらいの農業士や農業士のOBの人たちが各地域にいっぱいあるんです。そういう人たちはもう現実に活動してます。だけど、それをきちっと組織できていない。何をしていいのかわからない。だけど、きちっと課題を与えてくれたらやりますと。しかし、「やってくれ」ではあかんと。僕は、指導員を二人ぐらい雇う年間の県の職員の分をカットした分をその組織へ交付金等で出しても安いもんですわ。そこに百何人とかおるんですから。そういった人たちが、実際に自分が農業をしながら地域づくりや地域農業のために、また後継者を育てるために技術指導してるんです。だから、それに──金くれとは言うてませんよ。しかし、言うてませんけど、まあいわばそれぐらいの投資を県がしても私は、汚い言葉ですけど、安いもんですわ。それだけのマンパワーが存在してると、こう思いますんで、ぜひそこへも力を入れていただきたいなと、こう感じているところです。
それから、野生鳥獣被害についてはもう、いろいろまた皆さんも言うと言うんで、これはカットします。
それから、知事に森林・林業のことで、間伐等の財源だけに限定しまして。
私、緑の雇用事業を緑の公共事業へもう発展してもええと、公共事業と大きくうとうてもええんちゃうかというふうに日ごろ感じてます。というのは、森を大切にして間伐して下草刈りして、そしてそれを引き出すのに作業道をつくって、またそれを製品化してリサイクルしていくという、そしてその地域にその事業を興していくということは、一定、公共事業としての誘発をして、民間がその公共事業にこたえて民間事業をまた積極的にやっていくと。そういう意味では緑の雇用事業から緑の公共事業にもう発展していきやると、現実は。そういう部分でそういう意味でのとらえ方をして、もう少し力を入れていく必要あるんじゃないかと。
先ほど部長の答えは、こうこうしてますとか、していかなあかんて言うんやけど、僕はもう、三百十一号線なら三百十一号線のガードレールはすべて木製ガードレールにするというぐらいのことを決めなんだら、その地域に住む人たちの事業化ができない。そういうふうな具体的な計画をきちっとしていく時期に来てるんではないかなというふうに思いますんで、よろしくお願いしたいと思います。
それから、最後の熊野古道・平成の旅籠めぐりについては、知事の答弁についても私は何ら反論するものでも何物でもありません。ただ、私は、この一億二千六百万ほど出してやることの、官が一〇〇%出すことについて少しきちっと方針を確立しておかないと。例えば、私今感じていることで、あと二カ所が、同じ新田辺市の中でいわゆるグリーンツーリズム、都市と農村の交流拠点施設をつくろうと。そして、何か地域の活性化しようということでもう具体的に取り組んでいるとこもあります。そういった人たちがこれを聞いて、じゃ、おれとこもどうでしょうと、おれとこもどうでしょうとなったときに、どういう理由や説明をつけるのかということで、私は一応議員として、それをその人から言われたときに僕は答える方法が今のとこないんですね。答える理由というんか、説明をしようがないと。そういう意味では、きちっとした基準とか考え方をしておかないと非常に矛盾が起こってくるんではないかと、こう考えるから私は質問さしていただいているわけです。それについてもしお答えがあったら。知事というよりか、総務部長あたりがそこらをもうちょっと把握してほしいんやけどね、予算すんねやから。そこらの点が一つ。
それからもう一つは、僕ちょっと勉強してて、今ほかの二つやってるというふうな例を挙げましたけど、それが今地域で、国の方で──これ、観光振興課が直接やったことについてもうちょっと幅広く考えたらええかなと思うたんやけど、中山間地域等振興対策ということで元気な地域づくり交付金というのが農林水産省の中にありまして、今、先ほど言いました地域の文化や歴史や、そして地域づくりを活性化して都市と農村の交流拠点の施設については支援しましょうということで、交付額は算定率の二分の一。沖縄では三分の二の補助しましょうという中山間地域等振興対策・元気な地域づくり交付金とか、グリーンツーリズム・都市農業振興対策、これについても農林水産省の方でされてるわけですね。
これはまさにそれの適用される施設だというふうに私は考えるわけで、そういう意味ではもう少し幅広い感覚で、県が単独、市が単独という意味じゃなくて、県のそういう制度を活用しながら県と市の負担を、受益者負担、地元負担をできるだけ少なくしてそれに支援していくとか、もっとそういう考え方にも立つべきではないかなというふうに思って、今その二つの地域のこれからやろうという人は、この交付金を申請するように農林水産省へも言ってます、我々。そういう意味では、そういう考え方にもう少し立っていただく方が地域全体のバランス、県全体のバランスからいって考えていくべきではないかと思いますんで、その点についてもし意見があればお聞かせ願いたいと思います。
○議長(吉井和視君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 平成の旅籠をあと二カ所も三カ所もつくりたいというところがあるというのは大いにうれしいことで、そういうものにも、もし本当に地域でそういうものができてきたら積極的に対応したいと思います。
それから、僕は国の補助制度というのはあんまり好きではないんだけど、だけど、あるものは使うのが、これ和歌山県のためなんで、もうそういうふうなこと。余り何もかも自分のところでやらないかんなんてがちがちに物を考える必要はないわけで、うまくそういうふうなお金が当たってくるようなものがあれば考えていかないといけませんし、それから何よりやっぱり、今ごろからそんな旅館みたいなものを県とか市が一〇〇%出してつくろうというのが発想の根本ではないということですので、これは本当にただ単に地元の人の意見を聞くというような程度のことじゃなくて、地元からの盛り上がりでつくっていこうというふうな気持ちでいますから、余りそういうことが十分に盛り上がってなければやはりもう少し時間をかけて考えていかなければならないと、このように思ってます。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
二十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 知事からお答えいただきましたんで。考え方としてはよくわかりましたんですけど、まだ少しちょっと気持ちとしてはずれています、僕自身は。知事の、重点してどうこうと。そらもう、もらう方は、やにこうええわな。くれるん、そらもうまあ、「ごっつあんです」ていうような感じやけど。
そやけど、僕は思うのは、やっぱりそれをもらうと、今度運営自体にも一つ弱みというか弱さというか、何ていうんかな、それへ頼ってしまうと。私は基本的には、やるべき人たちが出資して、運営資金も出資して、どんだけのお金が集まるか知らんけど、それで自分たちがまず基本的な財源をつくって県、市にきちっと要望していくと、この形のシステムをつくっていかんとね。ちょっと我々も、現場でおって、何でも行政から金引っ張ってきたらええというような政治家に僕はなりたくありませんからね。そういう意味ではきちっとしてほしいなと、こう思うんですわ。
だから、そういう意味で、どうか平成の旅籠が、その地元の人たちがどうとらえ、どうそこで生かしていくか、そしてその拠点施設が地域の活性にどんな役割を果たすのかということをまず基本に置いて今後取り組んでいただけたらありがたいと、こう思います。どうもありがとう。終わります。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
次会は三月六日定刻より再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後二時四十四分散会