平成18年6月 和歌山県議会定例会会議録 第1号(全文)
県議会の活動
平成十八年二月 和歌山県議会定例会会議録 第一号
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議事日程 第一号
平成十八年二月二十二日(水曜日)午前十時開会・開議
第一 会議録署名議員の指名
第二 会期決定の件
第三 議案第一号から議案第百六号まで(当局説明)
会議に付した事件
一 会議録署名議員の指名
二 会期決定の件
三 議案第一号から議案第百六号まで(当局説明)
四 休会決定の件
出席議員(四十五人)
一 番 須 川 倍 行
二 番 尾 崎 太 郎
三 番 新 島 雄
四 番 山 下 直 也
五 番 小 川 武
六 番 吉 井 和 視
七 番 門 三 佐 博
八 番 町 田 亘
九 番 前 川 勝 久
十 番 浅 井 修 一 郎
十一 番 山 田 正 彦
十二 番 坂 本 登
十三 番 向 井 嘉 久 藏
十四 番 大 沢 広 太 郎
十五 番 平 越 孝 哉
十六 番 下 川 俊 樹
十七 番 花 田 健 吉
十八 番 藤 山 将 材
十九 番 小 原 泰
二十 番 前 芝 雅 嗣
二十一番 飯 田 敬 文
二十二番 谷 洋 一
二十三番 井 出 益 弘
二十四番 宇 治 田 栄 蔵
二十五番 東 幸 司
二十六番 山 下 大 輔
二十八番 原 日 出 夫
二十九番 冨 安 民 浩
三十 番 野 見 山 海
三十一番 尾 崎 要 二
三十二番 中 村 裕 一
三十三番 浦 口 高 典
三十四番 角 田 秀 樹
三十五番 玉 置 公 良
三十六番 江 上 柳 助
三十七番 森 正 樹
三十八番 長 坂 隆 司
三十九番 阪 部 菊 雄
四十 番 新 田 和 弘
四十一番 松 坂 英 樹
四十二番 雑 賀 光 夫
四十三番 藤 井 健 太 郎
四十四番 村 岡 キ ミ 子
四十五番 松 本 貞 次
四十六番 和 田 正 人
欠席議員(なし)
〔備考〕
二十七番欠員
説明のため出席した者
知事 木 村 良 樹
副知事 小 佐 田 昌 計
出納長 水 谷 聡 明
知事公室長 野 添 勝
危機管理監 石 橋 秀 彦
総務部長 原 邦 彰
企画部長 高 嶋 洋 子
環境生活部長 楠 本 隆
福祉保健部長 嶋 田 正 巳
商工労働部長 下 宏
農林水産部長 西 岡 俊 雄
県土整備部長 宮 地 淳 夫
教育委員会委員長 樫 畑 直 尚
教育長 小 関 洋 治
公安委員会委員長 大 岡 淳 人
警察本部長 辻 義 之
人事委員会委員長 西 浦 昭 人
代表監査委員 垣 平 高 男
選挙管理委員会委員長 山 本 恒 男
職務のため出席した事務局職員
事務局長 小 住 博 章
次長 土 井 陽 義
議事課長 下 出 喜 久 雄
議事課副課長 薮 上 育 男
議事班長 山 本 保 誠
議事課主査 湯 葉 努
議事課主査 楠 見 直 博
総務課長 島 光 正
調査課長 辻 和 良
(速記担当者)
議事課主査 中 尾 祐 一
議事課主査 保 田 良 春
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午前十時二分開会・開議
○議長(吉井和視君) ただいまから、平成十八年二月定例会を開会いたします。
これより本日の会議を開きます。
この際、暫時休憩いたします。
午前十時三分休憩
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午前十一時三分再開
○議長(吉井和視君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
日程第一、会議録署名議員の指名を行います。
今期定例会の会議録署名議員は、十三番向井嘉久藏君、二十三番井出益弘君、三十五番玉置公良君の三君を指名いたします。
次に日程第二、会期決定の件を議題といたします。
お諮りいたします。今期定例会の会期は、本日から三月十七日までの二十四日間といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 御異議なしと認めます。よって、今期定例会の会期は本日から三月十七日までの二十四日間と決定いたしました。
この際、諸般の報告をいたします。
知事から地方自治法第百八十条の規定による専決処分の報告及び武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律第三十四条第六項の規定に基づく和歌山県国民保護計画の報告が、監査委員から監査の結果報告及び現金出納検査の結果報告がありました。いずれもお手元に配付しておりますので、御了承願います。
次に、今期定例会に提出された議案は、お手元に配付のとおり、議案第一号から議案第百六号までの百六件であります。
日程第三、ただいま報告の議案第一号から議案第百六号までを一括して議題といたします。
まず、当局の説明を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 平成十八年二月定例会に御参集いただき、厚く御礼を申し上げます。
ただいま上程されました諸議案について提案理由を御説明するに先立ち、県政に臨む私の所信を申し述べます。
「国から地方へ」の方針のもと、政府が進めてきた三位一体の改革は、地方の自由度、裁量権の拡大という観点からは大きな不満が残るものの、三兆円という大規模な税源移譲が行われることにより、分権型社会の実現に向けて一歩踏み出したものとして評価できると考えております。地方分権に向けた改革がこれで終わることのないように、さらなる分権改革の推進を政府に対し働きかけてまいります。
そもそも、分権型社会とは、従来の中央集権的な行財政システムを改め、住民にとって必要な施策を住民みずからの選択と責任において推進できるシステムの構築を目指すものでありますが、他面では、地方自治体が相互にその意欲と知恵と能力を競い合う状態をつくり出すものでございます。つまり、分権型社会の到来は本格的な地域間競争の時代の訪れを意味するものでございますので、これに備えて、県、市町村といった地方自治体の力・自治力と和歌山県という地域自体の力・地域力を高めていきたいと考えております。
我が国の経済は、昨年八月に政府、日銀が踊り場を脱したと宣言した後も緩やかに回復しておりますが、みんなが潤うという従来の形と異なり、挑戦と自己変革を続けた企業だけが生き残れるという厳しい側面を持っております。言いかえると、このような民間企業の経営革新、事業の再構築など、血のにじむような努力が景気回復をもたらしているのだと思います。
翻って、国、地方の財政は債務残高が七百七十四兆円に上り、本県の財政構造も、地方交付税等の依存財源に多くを頼らざるを得ないという、脆弱で極めて厳しい状況にございます。私は、従来から民間企業の努力に倣って行政のスリム化、効率化に努めることにより自治体の経費を最少にし、逆に住民益を最大にする経費最少・民益最大の県政を進めてまいりましたが、より一層の行財政改革の推進が必要と考え、新たに行財政改革推進プランを打ち出すこととし、その素案を昨年末に取りまとめたところでございます。
本県が景気回復の波に取り残され、地域間競争でおくれをとることのないように県の行財政システムの改革を行いながら、自然、歴史、文化といった本県の強みとなるすぐれた地域資源を最大限に生かした施策を展開してまいりたいと考えております。
また、景気回復とは裏腹に、日本は格差社会になりつつあると言われております。こういうときこそ社会的に厳しい状況に置かれている方々に対するセーフティーネットとしての行政の役割が重要となってまいりますので、そのような方々に温かい心配りをする施策も進めてまいります。
昨年十二月に人口動態統計の推計値が公表され、我が国が予測よりも二年早く人口減少社会に突入したことが明らかになりました。本県でも、国勢調査の結果、五年前と比べ約三万四千人、三・二%の減少となっております。
こういった状況を踏まえ、企業誘致や地域経済への波及効果を見据えた産業振興を図ることにより雇用の場を確保するとともに、従来から取り組んでまいりました緑の雇用事業等の都市住民を農山漁村の環境を守る多様な担い手として受け入れる施策を充実強化することなどにより、都市から地方への人口の逆流動を起こしてまいります。
また、少子化対策として子育て支援サービスを充実し、子供を安心して産み育てる社会づくりを推進するとともに、高齢者の方がこれまで培ってこられた知恵と能力を生かし、地域の一員として生きがいを持って活躍できる環境を整えてまいりたいと考えております。さらに、団塊の世代の活用に意を用いた施策を展開してまいります。
こういった施策を市町村やNPO、県民の皆さんと協働しながら総合的に推進することにより、人口減少社会における地域活力の維持を図ってまいります。
特に、高野・熊野地域の世界遺産登録を契機に、埋もれた資源に再度光を当て、地元の活性化につなげようと頑張っている方々と連携しながら地域に自信と誇りを取り戻し、安心で活力あふれる和歌山を目指してまいる所存でございます。
議員各位を初め、県民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げる次第でございます。
次に、平成十八年度当初予算案について、編成に当たって重点を置くこととした事項や概要について御説明を申し上げます。
平成十八年度当初予算編成に当たりましては、今も申し上げましたとおり、人口が減少する中でいかに地域活力を維持するか、また真の自立を実現するか、そのために県の持つ個性をどのように活用するかを一つの命題として重点施策を打ち出すことといたしました。
具体的な施策につきましては後ほど御説明申し上げますが、都市からの人口の逆流動や地域資源のブラッシュアップなどに視点を当て、創意と工夫を凝らし、新しい発想で取り組むことといたしております。
もう一つ大きなテーマとして取り上げましたのが、安全で安心な社会の実現でございます。
近来になって国の内外でたびたび発生した地震、津波、台風といった大規模な自然災害、昨年から相次いだ学童の殺傷事件、アスベストの飛散や新型インフルエンザの発生懸念等、さまざまな社会不安が増している中で、県民にいかに安全で安心な暮らしを保障するか、その対策についてさまざまな角度から対応を図ったところでございます。
また一方で、三位一体の改革の影響や地方交付税の削減、さらには社会保障関係費の増加など、依然として厳しい財政状況のもと、これら諸問題への対応を講じるための財源の確保や重点配分が可能となる新たな行財政システムの構築にも意を用いました。その集大成として素案の形で取りまとめたものが、冒頭も申しました行財政改革推進プランであり、今後の行財政改革の根幹を成す計画でございます。
計画の核として、職員定数の削減等による人件費の縮減、財政健全化のための新手法の導入、新たな工夫による歳入確保などを盛り込み、これに基づいて効率的で持続可能な財政構造への転換に積極的に取り組んだところでございます。
まず初めに、人口減少社会においていかに地域活力を維持するか、そのための施策についてでございます。
第一の柱として念頭に置きましたのは、都市との交流と都市からの地方への人口の逆流動でございます。
その基調をなす取り組みとして、団塊の世代を中心とした都市住民に和歌山での田舎暮らしという新しいライフスタイルを提案し、情報発信するとともに、定住支援や定年前帰農など総合帰住支援施策を展開してまいります。また、これまで進めてきた施策についても、さらなる拡充を図ってまいります。
まず、農業をやってみようプログラムにつきましては、研修終了後の円滑な就農に向けた受け入れ体制を整備するとともに、就農を希望する定年退職者等の実践的な訓練の場となる社会人課程を農業大学校に設置するほか、企業と地域の協働活動による新たな農村づくりを進める鄙の夢農場を実施してまいります。
次に、緑の雇用については、国における緑の雇用担い手対策事業を活用して引き続き担い手育成に努めるとともに、山村地域での総合所得確保のための技術研修に支援を行うことといたしております。
また、企業の森につきましては、十七の企業等が県内での森林保全活動への取り組みを表明しているところでございます。今後は、県独自の二酸化炭素吸収量の認証制度の創設等により、企業の環境貢献活動を評価する新たな政策提言を目指してまいります。
さらに、漁師への道支援プログラムについては、新規就業者の確保を目指し、県内の漁協における漁業実践研修の充実を図ることといたしております。
これらの施策を効果的に展開し、都市住民の方が元気な地域づくりにかかわっていただけるよう努めてまいりたいと思います。
第二の柱としては、地域資源の最大活用であります。
かねてから申し上げておりますが、本県には地域に埋没している資源が多々あるところでございます。これをブラッシュアップし、観光振興などの面で最大限の活用を図るとともに、世界遺産登録を契機に芽生えてきた地域住民主体の取り組みの拡充に努めてまいりたいと考えております。
まず、熊野健康村構想についてでございますが、趣旨に御賛同いただける民間やNPOの方々が熊野で事業活動を本格化させる動きが出てきており、これらの活動が軌道に乗るよう引き続き支援を行うとともに、全国に向けた情報発信等に取り組んでまいります。
また、「海の見える古道」と称した大辺路の未整備区間の整備や質の高い景観形成と沿道地域資源の活用を図る紀州もてなし街道(仮称)推進支援事業をいずれも官民協働で実施するほか、携帯電話等を活用し、訪日外国人を含めた地理不案内者が必要とする観光や地域情報について、いつでも、どこでも、だれでもアクセスできる環境の構築を進めることといたしております。
さらに、映画制作関連民間企業等と協働し、田辺市をモデル地域としてシネマーケティング事業という新しい手法による映画づくり及びプロモーション活動を推進し、地域の知名度の向上、住民の愛郷心の醸成などを図ることといたしております。
また、地域資源を活用した観光戦略についてでございますが、世界遺産である高野・熊野地域やラムサール条約に登録された串本沿岸地域などを活用し、首都圏や本県宿泊客の約五割を占める近畿圏等に対する積極的な誘客対策を進めてまいりたいと考えております。
特に、首都圏の団塊世代をターゲットに、人生の再出発としての熊野の旅を提案したいというふうに考えております。このため、熊野古道沿いに宿泊所「平成の旅籠」を整備するなど、高野・熊野地域の特徴を生かした誘客対策を展開してまいります。
このほか、ほんまもん体験を活用した首都圏からの修学旅行誘致、全国規模の大会や学会などのコンベンション誘致、市町村等と一体となって進めるフィルムコミッション事業など多様な取り組みを行い、観光面からの地域活性化に努めてまいります。
第三の柱としては、地域経済への波及効果を見据えた産業振興でございます。
景気回復基調の中、県内産業の元気を取り戻し、活性化につなげるとともに、積極的な企業誘致活動や雇用の確保に向けた取り組みを展開してまいりたいと考えております。
まず、足腰の強い地域産業を目指したわかやま産業イノベーション構想の成果を拡大するため、これまでの産学官連携に大企業、金融機関を加えた新たな共同研究グループへの支援や県のSOHO施設入居者等のためのアドバイザー配置など、県内中小企業や起業家の業績向上につなげる事業を促進してまいります。
中小企業融資制度では、昨年度に創設した元気わかやま資金の融資枠を大幅に拡大し、中小企業の円滑な資金調達を支援してまいります。
また、商社OB等の専門家を活用した海外での販路開拓、生産拠点に関するアドバイスなど、県内企業の国際活動の支援にも努めてまいります。
次に企業誘致については、国内景気の回復を絶好の契機とし、企業向けの奨励制度の最高限度額を百億円として全都道府県で最も充実したものとするとともに、民間の人脈やノウハウを活用しながら戦略的かつ積極的な誘致活動を行ってまいります。
雇用の確保に向けた取り組みでございますが、深刻な若者の雇用問題に対応するためのジョブカフェ・わかやまを移設し、国のヤングハローワークを併設するなど、ソフト・ハード両面から支援機能の強化を図ることといたしております。
また、職業訓練について、高等技術専門校の再編整備を行い、知的障害者を対象とした訓練科の新設など、地域や企業のニーズ等を反映したものにしてまいります。
農業の振興については、引き続き日本一の和歌山ブランドの育成を図るための高品質みかんの生産拡大や樹勢回復対策など梅の生産振興に取り組むほか、特色ある県内の農作物を栽培の歴史、地域の食文化、生産者の顔やこだわり等の面からストーリー化することにより新たな販売戦略を構築してまいります。
さらに、農業従事者の高齢化や遊休農地の増加に対応するため、農業生産法人の育成など地域農業のサポート体制の強化や農業の多様な担い手の一つとして企業等の農業参入を推進してまいります。
畜産振興については、熊野牛の販売戦略の確立に努めるとともに、紀州梅どり・梅たまごの生産拡大、消費促進を図り、ブランド品としてのさらなる強化を図ってまいります。
また、紀州材の需要拡大に向け、県が行う公共事業に紀州材を積極的に使用するほか、無垢の木材を使用した住宅への関心が高まっていることから、個人住宅における利用拡大にも努めてまいります。
水産業の振興については、組織強化を目指した漁協の合併を推進し、合併を行う漁協に対し、合併後の円滑な運営に向けた支援を行うことといたしております。
県産品の販路開拓については、アンテナショップわかやま喜集館やインターネットショッピングふるさと和歌山わいわい市場を活用し、和歌山ブランドの確立を目指してまいります。
第四の柱としては、住み心地のよい環境づくりでございます。
少子・高齢化が進む中、子供を安心して産み育てる社会づくりと高齢者が生きがいを持って活躍できる環境づくりにも努めてまいります。
次代を担う子供と家庭に対する支援といたしまして、まず県単独乳幼児医療費助成制度について、通院医療費の支給対象年齢を就学前まで拡大し、児童手当につきましても対象年齢を引き上げるなど拡充をしてまいります。
また、紀州っ子元気プランに基づき子育て支援をさらに充実するため、新たに和歌山型の保育サービスを導入し、子育てNPOや老人クラブ等と連携し、一時保育や地域における子育ての場をふやしていくことといたしております。
高齢者施策につきましては、介護を要することなく健康で暮らせるよう和歌山型介護予防を推進するとともに、介護を要する状態になっても安心して地域で暮らせるよう、地域包括ケア体制の構築に取り組んでまいります。
さらに、団塊の世代や高齢者が地域の担い手として活躍できる環境づくりを推進することといたしております。
これら四つの柱のほか、豊かな人材をはぐくみ地域に元気をもたらすための人づくりや、地域が自立するための社会基盤や情報基盤の整備にも力を入れてまいります。
人づくりについては、まず学校教育面において、非常勤講師を有効に配置して課題解決に積極的に努めるほか、小・中学校ともすべての学年で少人数学級編制を実施し、学習環境の充実と基礎学力の向上を目指すことといたしております。
また、和歌山大学が進めている観光系学部の設置について、観光を通じた地域づくりに関する人材の育成につなげることから、早期実現に向け、積極的に支援をしていくこととしております。
さらに、国民体育大会や全国大会等で活躍できる競技力の向上やトップアスリート輩出を目指して小学校低学年から一貫した指導を実施するなど、スポーツの振興による活力アップにも努めてまいります。
社会基盤整備については、まず、開かれた和歌山を実現するための交流ネットワークとして、近畿自動車道紀勢線、京奈和自動車道、府県間道路及び県内骨格道路を最重点に整備をしているところでございます。このうち、近畿自動車道紀勢線については、今月七日に開催された第二回国土開発幹線自動車道建設会議において、みなべ―田辺間が有料道路方式、田辺―白浜間が新直轄方式による整備区間として決定されたところでございます。今後も、早期整備に向けて国及び関係機関に働きかけてまいります。
また、河川関係においては、近年、異常気象による集中豪雨が多発していることから、浸水被害が発生した河川を重点的に整備するとともに、市や町が行う洪水ハザードマップ作成の支援を進めてまいります。さらに、生活排水対策については、引き続き汚水処理人口普及率の向上に努めてまいります。
なお、新年度から、道や川、海岸など公共施設、公共用地の維持管理や環境整備を住民やNPOと行政が協働して進める里親制度を創設することといたしております。
情報基盤整備としては、県内のデジタルデバイド解消に向けて、ケーブルテレビ設備整備の支援などブロードバンド基盤整備に積極的に取り組んでまいります。
次に、県民の安全で安心な暮らしに向けた対応についてでございます。
まず、東南海・南海地震等防災面の対策でございます。
大規模地震時、県内各地域の孤立化が懸念される中で応急活動が円滑に実施できるよう、緊急輸送路の橋梁耐震化やのり面対策を着実に進めるとともに、国、県、市の連携により、紀の川河川敷に、災害時、他府県からの応援部隊集結等の拠点となる防災公園の整備を行ってまいります。
また、ソフト面における施策として、災害発生時に県民が必要とする情報を一元化し、インターネットを使って、より早く、より見やすく、より正確に情報発信することとしております。
津波対策としては、河川堤防の耐震化や河川水門の遠隔化などを推進するほか、津波来襲までに所定の場所に避難できない地域における津波避難タワーの整備に対し支援を行ってまいります。
また、昨年実施した現代版「稲むらの火」事業で、最優秀製品に選ばれた避難誘導灯のモデル設置、避難所生活の体験合宿など、安全に避難するための施策を実施してまいります。
さらに、若い世代の防災意識の向上と防災教材「稲むらの火」の普及を図るため、和歌山市と広川町を会場にアジアの子供たちを招いてのアジア防災教育子ども会議を開催することとしております。
次に治安対策でございますが、まず、相次ぐ学童の殺傷事件や県内で発生した銃器使用による殺人未遂事件など、凶悪な犯罪に対する県民の脅威を除去し、安心感を醸成するため、警察官及び交番相談員の増員により街頭犯罪抑止対策を強力に推進するとともに、空き交番の解消を図ってまいります。
また、児童生徒の登下校時における安全の確保が喫緊の課題となっていることから、学校と保護者、地域、警察等関係機関との連携を強化するとともに、県内すべての小学校で地域ボランティア等による通学路の安全指導を同一日に行うなど、子供を守るさまざまな取り組みを進めてまいります。
このほか、地域住民参加による自主防犯団体の合同パトロールなどの防犯運動を積極的に支援し、地域コミュニティー再生の面からの取り組みにも努めてまいります。
次に、だれもが健康で心豊かに暮らせるための対策についてでございます。
まず、医療体制の充実に向けた取り組みでございますが、医師不足問題の中でも特に不足が著しい小児科、麻酔科の医師を確保するための修学資金制度を新たに開始いたします。
救急医療体制の整備については、ドクターヘリ運航時間の早朝一時間延長を実施することとしているほか、紀南地域への新型救命救急センターの整備について、四月からの運営開始を目指し、現在国と協議を重ねているところでございます。
また、新年度から公立大学法人となる県立医科大学において、附属病院紀北分院に関する老朽化した施設の更新や地域医療における課題への対応、及び健全な病院経営の確保等を目指したマスタープランを作成することといたしております。
このほか、大規模な災害や学校等での事件・事故が発生した際、被害者等の心のケアに迅速に対応できる体制の整備にも努めてまいります。
さらに、健康危機管理対策として、和歌山県新型インフルエンザ対策行動計画に基づき、抗インフルエンザウイルス薬を十八年度からの二カ年で購入備蓄するほか、アスベストの粉じん飛散抑制に向けた対策を引き続き実施し、県民の健康被害を未然に防止し、不安を解消してまいります。
また、障害者、高齢者のための施策や人権尊重の視点に立った取り組みについても積極的に展開していくこととしております。
障害者施策については、障害者自立支援法が四月から施行されることに伴い、居宅や施設等における新体系でのサービスが適切に受けられるよう環境整備を進める中で、特に小規模作業所の改修を支援するとともに、老朽化している知的障害児施設県立有功ケ丘学園について、入所児童の処遇改善を図るため、十八年度から三カ年で建てかえを実施してまいります。
また、急増している高齢者をターゲットとした悪質商法に関して、被害を未然に防止するため、地域との連携による啓発活動を推進するとともに、専門家による支援体制を整備してまいります。
さらに、児童養護施設等の入所児童の処遇向上を図るため、居住環境の改善に対する助成を行うほか、企業、NPO、自治会と県が人権に関する協定を結び、お互いが協力してすべての人の人権を守っていく取り組みを始めることといたしております。
次に、さまざまな環境問題への対応についてでございます。
まず、地球温暖化の防止に向けた取り組みでございますが、京都議定書が昨年二月に発効したことを踏まえ、県においても温室効果ガスの削減に向け、県の目標値や各分野ごとの削減対策、森林吸収源対策を盛り込んだ地域推進計画の策定を進めているところでございます。
また、資源循環型社会の形成については、和歌山県リサイクル製品の認定及び利用の促進に関する条例が本年一月一日から施行されたところであり、あわせて県産認定リサイクル製品を用いたモデル事業を実施し、リサイクルの推進等に取り組んでまいります。
廃棄物対策については、関連事業者等の指導・教育の充実、監視パトロールの実施、さらには県民と協働した取り組みなど、官民一体となって不法投棄の撲滅を目指してまいります。
また、有害鳥獣対策でございますが、鳥獣被害対策の専門家を育成するなど抜本的な被害防止対策を打ち出すとともに、昨今深刻化しているアライグマによる農作物被害の軽減を図るための施策も盛り込んだところでございます。
さらに、海洋県である本県の海を守る取り組みでございます。
昨年十一月、ラムサール条約に登録された串本沿岸地域において、地元関係者の協力を得て、サンゴに被害を与えているオニヒトデの駆除に取り組み、あわせて串本の海のすばらしさをPRしていくことといたしております。
なお、本県における緑の雇用事業の提唱や企業の森制度の創設など地域特性を生かした環境保全の取り組みが評価され、環境活動に熱心な自治体として第十五回地球環境大賞優秀自治体賞を受賞、四月下旬、東京において表彰式が行われることとなっております。
最後に、県政の構造改革に向けた取り組みについてでございます。
分権型社会が到来しつつある今、みずからの責任と判断で住民の負担と選択に基づいた公共サービスを提供するため、行財政改革推進プランをベースに、さまざまな分野から改革を進めることといたしております。
まず、人件費の面では、民間委託の推進や人員配置の見直しによる定数削減、給与構造の見直しなどを行い、プランに見合った縮減を図ってまいります。
また、効率的な公共事業の実施を目指し、都市計画道路について利用状況に応じた幅員などの見直しを行ってまいります。
民間活力の導入については、四月から四十一の施設において指定管理者制度が一斉にスタートするほか、現在整備を進めている防災センター機能を含めた分庁舎について、建物完成後の保守管理業務について官民競争型の市場化テストを導入することといたしております。
次に、歳入確保に向けた取り組みでございますが、県税の収入率向上を目指し、引き続き納税推進員の配置を行うとともに、滞納整理の面で、インターネット公売を実施するほか、自動車税のコンビニ収納システムの構築を進めてまいります。また、未利用県有財産の処分に、インターネットオークションの活用等、新たな手法を導入してまいります。さらに、「県民の友」や県のホームページに民間広告を掲載し、新たな財源の確保に努めてまいります。
組織面では、プランの内容を踏まえ、より簡素で効率的な組織体制の実現を目指す一方、企業誘致体制の強化、総合帰住支援施策等人口減少対策の推進、介護予防等健康づくり施策の強化など、県政の重点施策や新しい行政需要等に的確に対応することといたしております。
また、県立医科大学につきましては、四月から新たに公立大学法人としてスタートを切ることとしております。今後は、法人の自主的、自律的な運営により、大学における教育、研究、医療など諸活動の一層の活性化と効果的、効率的な業務運営を目指していくこととなります。
市町村合併についてでございますが、三月一日に橋本市と白浜町が誕生し、旧合併特例法において市町村合併の申請を行った全団体についての合併が完了し、三十市町村となります。
また、昨年施行された新合併特例法のもとで、市町村合併推進審議会を設置し、市町村合併推進構想について御論議をいただき、審議会の答申を受けて、先日、県としての構想を定めたところでございます。今後、この構想をもとに、旧法で合併に至らなかったところや、さらにもっと大きな枠組みでの合併について積極的に推進してまいりたいと考えております。
続きまして、条例案件等について、その主なものを御説明申し上げます。
まず、議案第三十六号から第三十八号までは、公立大学法人県立医科大学設立に伴い、関係条例の廃止や規定の整備を行うとともに新たな条例を制定するものでございます。
議案第三十九号は、知事、副知事及び出納長の期末手当支給割合の改定や地域手当導入に伴う所要の改正等であり、議案第四十号は、財政状況を考慮して知事等の給料の額を減じる期間を延長するとともに減じる割合を引き上げるものでございます。
議案第四十一号から第四十五号、第八十号及び第八十四号は、職員、教育職員、市町村立学校職員、警察職員等の給与について、新給料表の導入など給与構造改革を行うとともに給料月額を減じる期間の延長等を実施するものでございます。
議案第四十六号は、職員の退職手当の支給額について公務への貢献度を反映させるなど所要の改正等を行うものであり、議案第五十一号は、知事の事務部局及び教育委員会事務局の職員を削減し、定数を改めるとともに、県立医科大学の地方独立行政法人化に伴う規定の整備を行うものでございます。
また、議案第八十三号及び第八十六号は、県立学校等職員や警察職員の定数を改めるものでございます。
議案第九十六号は岩出町を岩出市とする処分について議決をお願いするものであり、関連して、議案第五十五号は選挙区及び議員の数について所要の改正を行い、議案第五十七号は関係条例の規定の整備を行うものでございます。
議案第六十一号は県民等が安全で安心して暮らせる地域社会を実現するため、また議案第六十九号は難病患者、長期療養児童の療養等の相談支援機関としてセンターを設置するため、それぞれ条例を制定するものでございます。
議案第七十一号は県立高等技術専門校再編整備に伴い所要の改正を行うものであり、議案第七十五号は大新公園を和歌山市に移管するための規定の整備でございます。
議案第七十七号は新宮港における新たな港湾施設の供用開始に伴い使用料の額を定めるものであり、議案第八十九号は、高等技術専門校の授業料、入学金等について新たに規定するとともに、県立医科大学の地方独立行政法人化に伴う手数料に関する規定の削除等を行うものでございます。
議案第九十号及び第九十一号は建設事業施行に伴う市町村負担金について、議案第九十四号は七箇川を一級河川とすることの同意について、議案第九十七号から第九十九号までは訴訟の提起について、議案第百号は財産の取得について、議案第百二号は紀の川大堰建設の基本計画変更の同意について、第百四号から第百六号までは工事請負契約等の締結について、それぞれ議決をお願いするものでございます。
諸報第一号から第六号までは、地方自治法第百八十条第一項の規定による委任専決処分報告でございます。
最後に、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律第三十四条第六項の規定に基づく報告として、和歌山県国民保護計画を別途提出いたしております。
何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようよろしくお願いを申し上げます。
○議長(吉井和視君) 以上で、当局の説明が終わりました。
お諮りいたします。二月二十三日は議案調査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 御異議なしと認めます。よって、二月二十三日は休会とすることに決定いたしました。
次会は二月二十四日定刻より再開し、補正予算等議案、議案第十九号から議案第三十五号まで、議案第九十一号及び議案第九十六号を日程といたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午前十一時四十二分散会