平成17年12月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


県議会の活動

平成十七年十二月 和歌山県議会定例会会議録 第六号
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議事日程 第六号
 平成十七年十二月九日(金曜日)午前十時開議
  第一 議案第二百三十五号及び議案第二百四十二号から議案第三百号まで、報第十五号から報第十九号まで、並びに議員提出議案第三号及び議員提出議案第四号(質疑)
  第二 一般質問
  第三 議案等の付託
  第四 請願付託の件
会議に付した事件
   一 議案第二百三十五号及び議案第二百四十二号から議案第三百号まで、報第十五号から報第十九号まで、並びに議員提出議案第三号及び議員提出議案第四号(質疑)
   二 一般質問
   三 議案等の付託
   四 請願付託の件
   五 休会決定の件
出席議員(四十五人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     四  番       山   下   直   也
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       前   川   勝   久
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       藤   山   将   材
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       東       幸   司
     二十六番       山   下   大   輔
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        小 佐 田   昌   計
     出納長        水   谷   聡   明
     知事公室長      野   添       勝
     危機管理監      石   橋   秀   彦
     総務部長       原       邦   彰
     企画部長       高   嶋   洋   子
     環境生活部長     楠   本       隆
     福祉保健部長     嶋   田   正   巳
     商工労働部長     下           宏
     農林水産部長     西   岡   俊   雄
     県土整備部長     宮   地   淳   夫
     教育委員会委員長   樫   畑   直   尚
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員    高   垣   博   明
     警察本部長      辻       義   之
     人事委員会委員    松   原   敏   美
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員長 山   本   恒   男
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       小   住   博   章
     次長         土   井   陽   義
     議事課長       下   出   喜 久 雄
     議事課副課長     薮   上   育   男
     議事班長       山   本   保   誠
     議事課主査      湯   葉       努
     議事課主査      楠   見   直   博
     総務課長       島       光   正
     調査課長       辻       和   良
 (速記担当者)
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時三分開議
○議長(吉井和視君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第二百三十五号及び議案第二百四十二号から議案第三百号まで、知事専決処分報告報第十五号から報第十九号まで、並びに議員提出議案第三号及び議員提出議案第四号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 三十七番森 正樹君。
  〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、一般質問に入らせていただきます。
 私、そばが大好きでありまして、昼食もいつもそばを食べるんですけれども、そばというのは、だしがおいしくてめんがおいしければ、てんぷらそばや、あるいはかやくそば、鴨南そばでなくても、ざるそばでありますとか、かけそば──めんそのものを味わうことができるからでございまして、きょうの質問に対する答弁も、ぜひともかやくを抜いて、かけそば、ざるそばの精神で御答弁を賜りますように、まず初めにお願いを申し上げます。
 県産品の販路開拓と拡大についてでございます。
 この問題に初めて言及したのは、平成十四年九月定例会における一般質問の中でございました。このとき、あわせて組織強化にも触れさせていただきました。
 翌年春、局体制のスタートに当たりましてブランド推進局がスタートいたしましたことは、もう皆さん既によく御承知のとおりでございます。このブランド推進局という、聞く人におやっと思わせる、耳なれない、しかし、この局の仕事の中身を見事に言いあらわした体制がスタートしたわけでございます。この「おやっ」というのはマスコミ界の格言でございまして、人におやっと思わせることが非常に人の注目を引く、人の関心を引くという、そういう意味でよく言われ、おやっと思わせるような記事を書けという、そういう提言でございます。
 以来、イトーヨーカ堂、ロビンソン百貨店、三越百貨店、イオングループ、紀ノ国屋、仙台の藤崎百貨店等々、全国の店舗において和歌山フェアが開催され、大いに好評を博し、一方で、東京有楽町の交通会館の中にアンテナショップわかやま喜集館がスタートしたり、大手量販店に常設の和歌山コーナーが実現するなど、大いに売り上げを伸ばすとともに、本県のすぐれた産品のPRが進んだことをともに喜び合いたいと思うのであります。
 さらに、二年前からこの本会議場において、県産品の販路開拓と拡大のターゲットを東アジアを主とした海外にも広げるべきだと申し上げてまいりました。ブランド推進局の職員の皆さんの不断の粘り強い努力と木村知事の肝いりによりまして、東アジアの各国をターゲットに数々の折衝を重ねていただきました結果、本年十一月、香港の高級スーパーチェーンでありますシティ・スーパーの四店舗において和歌山フェアを開催することにこぎつけたのであります。
 本県議会経済警察委員会の県外調査でこの香港シティ・スーパーにおける和歌山フェアを視察し、海外におけるさらなる販路開拓の可能性について探ることで意見の一致を見、去る十一月十五日から十七日までの三日間の日程で現地へ行ってまいりました。
 以下、簡潔にその報告をさせていただきます。
 なお、この視察には、前芝副委員長、町田委員、尾崎委員、井出委員、長坂委員、御同行いただきました。また、当局からは、ブランド推進局長以下五名の職員に同行いただきました。
 当日、午前九時に関西国際空港に集合した私たちは、午前十一時四十分の便で一路香港へ向かいました。午後一時五十五分──日本時間二時五十五分でございますが、以下すべて現地時間で申し上げます──に到着、入国審査後、直ちにシティ・スーパーIFCモール店に向かいました。
 シティ・スーパーは、香港に七店、台湾に一店を有する高級スーパーチェーンでございまして、順調に業績を伸ばしている成長産業であります。この日は、取締役の笠原芳哉氏とトーマス・ウー社長の奥様でありバイヤーでもある高橋由美女史が応対と説明に応じてくださいました。笠原、高橋両氏の説明を受けた後、和歌山フェアの会場を初め店内を見学し、あわせて意見交換を行ったのであります。
 和歌山フェアは、十一月十一日から二十四日までの二週間にわたりまして開催されたものであります。私たちが視察した当日はフェア開始五日目でございましたが、カキは既にすべて完売をしておりました。ミカンも残り少なくなっており、現に私たちがフェアを見学中も、六、七人の客が次々とミカンを買い求めている姿を目撃したのであります。見たところ日本人客は皆無でございまして、欧米系や地元香港人のように思われました。
 驚いたのは、売り場の表示であります。カキは英語で「パーシモン」と表示されておりましたが、ミカンは英語のマンダリンオレンジではなくローマ字で「MIKAN」と表記されていたのであります。笠原氏によると、日本のミカンのおいしさは欧米人によく知られており、オレンジではなくMIKANとして認識されている、今回初めての試みであったが、お客様には大好評をいただいており、その品質の高さは折り紙つき、今回、追加発注を予定しているほどだ、今後ともぜひ協力して取り組んでいきたいとの話がありました。なお、笠原氏は、カキについても、将来はパーシモンではなく「KAKI」で通るようになるんじゃないかとおっしゃっておられました。
 香港においては、二〇〇四年にSARSを経験してから、食品に対して一層安心・安全を求める志向が強くなりました。それ以前も日本の食品の安心・安全度の高さは一定の評価がありましたけれども、まだブームというところまではいってなかった。しかし、SARSを契機に、完全に日本の食品に対する安心・安全志向が確立され、大ブームになっているという話でありました。
 現に同店の店内をくまなく見せていただきましたが、日本のスーパーにいるんじゃないかという錯覚を覚えるほど、ありとあらゆる日本食品──もちろん日本製でありますが──が所狭しと並べられていたのであります。例えば、日本酒のコーナーがありましたが、ざっと見たところ約百銘柄が棚に陳列されており、笠原氏によると結構売れているとのことでございました。ただ、残念ながら和歌山の銘柄はございませんでした。ちなみに、シティ・スーパーの常連客に占める日本人の割合は、わずかに五%程度であるとのことでございました。笠原氏は、日本の生産者はもっと自信を持つべきだ、少々価格が高くても、よい商品は間違いなく支持されるとのことでありました。
 約二時間の見学を終えまして同店を辞するとき、笠原、高橋両氏に対して、来年以降もぜひとも和歌山フェアを引き続いてやってほしいと申し上げましたところ、両氏から、ミカン、カキを初め好評をいただいており、私どもとしても引き続き末永いおつき合いをお願いしたいとの回答があったことを申し添えます。
 なお、この香港シティ・スーパーにおける和歌山フェアに出品されていたのは、ミカン、カキ、梅干し、ゴマ豆腐、酢、シラスなど二十四品目で、売上総額は二十二万五千九百三十四香港ドル、日本円にして二百九十九万二千五百三円でありました。
 同フェアの実現にこぎつけるまでにさまざまな御苦労をいただいたブランド推進局の職員の皆さんを初め、すべての関係者の努力に思いをいたしつつ、同店を後にしたのであります。
 翌十六日午前九時、ホテルを出発して、今回調査のもう一つの目的であります本県から中国への進出企業を視察するために、一路、深せんへと向かいました。
 実は今回、本県から中国への数ある進出企業の中から田辺市に本社を置くカナセ工業株式会社を選び、その深せん工場を視察したいと同社にお願いを申し上げましたところ、金谷照男代表取締役会長がわざわざ現地に出向き、みずから説明と案内役を買って出てくださり、恐縮した次第でございます。
 金谷会長は、この日午前九時には同社現地法人の専務の揚葉扶氏を伴いホテルまで出迎えに来ていただき、バスに同乗して、車中、意見交換を重ねながら深せん工場へと向かったのであります。
 金谷会長には、中国への企業進出の難しさなど、苦労談を聞かせていただきました。会長のお人柄か、余り多くを語られませんでしたけれども、進出から十三年、さぞかし筆舌に尽くしがたい御苦労があったことと存じます。ただ、金谷会長は、私の場合は人に恵まれたのです、ここにいる揚氏を初め信頼できる人物にめぐり会えたことが成功の秘訣だったと思いますとの言葉をおっしゃっておりまして、その言葉が印象的でございました。
 午後一時からたっぷりと約二時間半にわたりまして、深せん市内にある同社のボタン製造工場を視察させていただきました。中国では日常茶飯事の停電がこの日もありまして、自家発電装置を使用しての操業で、一部の機械はストップしておりましたけれども、二百六十名の従業員が細かい作業に一生懸命に取り組んでおりました。
 意見交換の中で、中国進出の要諦は、まずは良好な人間関係が極めて大事であること、これさえうまく運べば利益はおのずとついてくる、そのために、他の社員を中国に派遣するのではなく、自分の会社のケースとして、会長みずから一九八八年以降、毎月一週間、香港深せんへ出向き、陣頭指揮でコミュニケーションを図ってきたことなどを語っておられました。また、その結果、現在に至るまで、定年退職者を除いて一人の退職者も出していないことが誇りであると控え目に語っておられたのであります。さらに、今後、中国は世界最大の生産工場になることは間違いなく、大企業を除いて、日本の中小企業にとっては中国は大いなる脅威になるだろうということをおっしゃっておられました。
 なお、最終日はハーバーシティショッピングビルなどの商業施設を見学し、十七日午後零時五十五分発の便にて帰国の途についたのであります。
 以上の県外調査報告を踏まえ、以下二点にわたり木村知事にお尋ねをいたします。
 一つは、海外、特に東アジアの国々に対する県産品の販路開拓と拡大について今後どのように取り組んでいかれるのか。これまでの経過も含めてお聞かせをいただきたい。
 二つ目、県産品の販路開拓と拡大について国内における取り組みは今後どう展開していかれるのか、お示しをいただきたいと思います。
 なお、県産品の販路開拓と拡大について、県庁組織の強化、再編に関する質問は、後ほど別項目としてお尋ねをいたします。本県企業の中国進出に関する質問は他日に譲りたいと思います。
 次に、関西国際空港に係る諸問題についてであります。
 去る十一月二十四日、二十五日の日程で、本県議会関西国際空港対策特別委員会の県外調査を行いました。小原委員長を初め先輩・同僚委員の御了解を得て、委員会を代表して御報告を申し上げます。
 当日、午前九時過ぎに関西国際空港に集合した私たちは、九時五十五分の便で東京に向かい、日本航空、全日空、スカイマークエアラインズの航空三社を訪問、関西国際空港発着便の充実等について要望活動を行ったのであります。
 それぞれの航空会社の幹部と面談の上、関西国際空港の増便を申し入れたのでありますが、関西─羽田便の四便の来年三月いっぱいでの休止を発表したスカイマークエアラインズに対して休止を撤回するよう申し入れたのでありますが、一つ、搭乗率が当初の予想を大きく下回った、二つ、関西空港線の半期の赤字が十七億五千万円であること、三つ、さまざまな営業努力を続けてきたが、効果があらわれなかった、四つ、このまま継続すると体力の弱い当社にとって死活問題などの理由で休止に踏み切らざるを得なかったが、将来、会社の体力が回復すれば復便したい旨の回答がありました。
 今回の要望活動の中で航空各社の幹部が異口同音に述べていましたのは、一つ、増便しようにも羽田空港の発着枠が満杯であるということ、二つ、関西空港の着陸料などの施設使用料が高過ぎるということ、三つ、燃料となる原油高が経営を圧迫しているなどをおっしゃっておられました。
 翌日は各自が個別の要望活動を行ったのでありますが、私は、北側一雄国土交通大臣に対しまして要望活動を行うとともに、昨年、関西国際空港の二期滑走路の二〇〇七年供用開始を陳情した際、北側大臣から、要望の二期滑走路については、限定供用ではあるが、必ず二〇〇七年にスタートさせる、そういう当時としては初めて公式の場で発言、力強い決意を我々に示してくれました。そのことへのお礼を申し上げてきたところであります。
 また、十月一日に開催されました関西国際空港用地完成及び二期滑走路起工式に小原委員長の代理として出席をさしていただきまして、二期並行滑走路が二〇〇七年供用開始に向けて着実に、そして力強く進められている現実を目の当たりにしてまいりました。
 ところで、関西国際空港の利用客が、去る十一月十五日、二億人の大台に達したことがマスコミで報道されておりました。また、この日はくしくも私たちが経済警察委員会の県外調査に出発した日に当たっておりまして、感慨ひとしおのものがあったわけでございます。
 ちなみに、成田空港は二億人に達するのに十四年八カ月かかっているのに対し、関西国際空港は十一年二カ月での達成となり、我が国空港史上、最速の輝かしい記録となりました。
 また、去る十月二十六日、関西国際空港会社は、今冬の国際線就航便数が週六百八十三便となり、冬ダイヤで過去最高を記録することを発表いたしました。ちなみに、ことしは夏ダイヤにおいても過去最高に並んだことも、マスコミの発表で報道で知っておりましたので、御記憶の方も多いと思います。
 このほか、関西国際空港を利用する一般の乗客の皆さんの目には余り触れませんが、貨物便も着実にふえ続けておりまして、二〇〇四年実績で、金額ベースで輸出が四兆二千五百七十二億円、輸入が二兆三千八百四十一億円で、いずれも過去最高を二年連続で更新し続けているのであります。これは、二〇〇四年十月に国際貨物上屋A棟、二〇〇五年七月に生鮮貨物上屋とCKTSカーゴビル、同じく十一月に国際貨物上屋B棟と関連施設が次々と整備、供用開始されたことが大きく、これらの施設の完成により我が国の空港の中で最大規模施設となったことで、二十四時間運用空港という利点と相まって、今後ますます貨物便の飛躍が期待されているのでございます。
 さらにもう一点、十一月十七日に発表されました二〇〇五年九月中間期の連結決算は前年同期の一・九倍の七十四億円となり、二期連続の黒字となったことが新聞等で報道されておりました。
 関西国際空港にとって、これら数々の明るいニュースがある一方で、中部国際空港との競合、来年二月開港の神戸空港の問題、スカイマークエアラインズの関西─羽田便の休止、燃料となる原油の高騰、日中航空交渉の三度にわたる決裂など、マイナス面も依然として存在することも、また事実であります。
 以上の経緯を踏まえ、以下数点にわたり企画部長にお尋ねをいたします。
 第一点、まずスカイマークエアラインズの休止についてであります。この件について、マスコミ各社の報道は「撤退」で一致しておりました。しかし、真実は、撤退でなく休止であります。これはまさに日本のマスコミのセンセーショナリズム的体質を如実にあらわす事例でありますが、そのことはさておきまして、私たち関西国際空港対策特別委員会のメンバーは、関空─羽田便の四便全便ではなく、せめて一便でも残すよう強く今回の要望活動の中で申し上げましたが、それに対して、同社の有森正和経営企画室長にいろいろ申し上げたわけでありますが、有森企画室長からは先ほどのとおり答弁がありました。
 また、せめて一便でも残してもらうために、東京への出張には、県庁の皆さんだけでなく、例えば県下の各市町村や経済団体等に対して、このスカイマークエアラインズ等の便を利用するよう働きかける用意はないか。また、この休止発表に対して部長はどのように思われますか。また、今後どのような善後策を講じられますか。お答えをいただきたい。
 第二に、十月二十九日付新聞報道によりますと、関西空港がその充実ぶりを誇ってきました中国路線のうち、上海便が十四から七に、大連便が二から一に、アモイ便が四から二にと、いずれも半減すると全日空が発表いたしたのであります。
 これまで関西国際空港は、中国各地への便の充実ぶりを売りにしてきました。そのことをうたうポスターも、私どもは羽田空港等あちこちで目にしてきたところであります。この報道の内容について、またここに至った経緯について御報告をいただきたいのであります。
 第三に、日中航空交渉についてであります。
 昨年、一昨年と二カ年にわたり関西空港エアポートプロモーションの一環として中国を訪問し、中国政府、山東省政府、山東航空、中国東方航空等に対して、関西─済南路線の新規就航や関西─青島便、関西─煙台便などの増便を働きかけてきたところであります。
 ところが、肝心の日中航空交渉が、三度にわたり行われたにもかかわらず、一切の進展が見られず、決裂に終わったのであります。決裂に至った原因は、私の思うところ、中国側が成田空港への乗り入れ枠の増加を一方的に主張したためと思います。現在発着枠が満杯状態の成田空港は増便は不可能であることを承知の上で成田便の増便を主張し続ける中国政府の態度は、理解に苦しむところであります。中国側に対して日中航空交渉が進展を見るよう働きかける手だてはあるのか、お尋ねをいたします。
 第四に、航空各社の相次ぐ運賃値上げの原因となっている原油の高騰について、今後の推移と対応について、わかる範囲でお答えをいただきたいと思います。
 第五に、先ごろの成田空港の着陸料の値下げによりまして、関西国際空港の着陸料が世界一高いこととなりました。このことについて航空各社の怨嗟の声が聞こえてくるのでありますが、この着陸料の値下げのためにいかなる方策があるのか。また、関西国際空港株式会社や国土交通省など関係方面への働きかけについて、その必要があると考えるが、いかがでありましょうか。
 三点目、観光振興についてお尋ねをいたします。
 高野・熊野が世界遺産に登録され、マスコミなどで一斉に取り上げられ、県当局の観光振興局を中心としたPR宣伝もあり、また、いやしを求める国民の志向もございまして、本県への観光客の増加が著しいことはまことに喜ばしいことでございます。
 平成十六年一月―十二月の観光客総数は百五十三万五千人増の三千九十万四千人、これは過去最高だそうでございます。また、外国人宿泊客数も対前年比一八〇%増の十一万人で、これも過去最高であったとお伺いをいたしました。
 ところで、この「いやし」という言葉も、平成十一年に開催されました熊野体験博の際のキャッチコピーとして当時の流行語大賞に選ばれたことは、我々記憶に新しいところであります。申すまでもなく、本県は、文化、芸術、歴史、自然など、さまざまな分野にわたって圧倒的な観光資源の宝庫でございます。
 観光振興を考えるとき、私はいつも頭のひだについて離れないことが一つあります。それは、本県出身の経済人、松下幸之助さんの言葉であります。松下氏は、「企業は苦労して商取引をして、自社の製品を売る。やっと取引がまとまると、その製品を梱包して、きちっと包装して、しかも、運賃を払ってお客様にお届けをする。大変な苦労をして一つの商品を売るんだ。一方で観光というのは、自分で運賃を払って、自分で宿泊費を払って、観光地までやってきてくれるんだ。しかも、その観光地で飲食をしたり、お土産を買ったり、さまざまにお金を落としてくれる。気に入ったら、また二度、三度とやってきてくれる。観光産業というのは結構な商売だ。しかし、和歌山県は観光立県と言っているそうだが、本当にそうであるのか疑わしい」と語られたとお聞きしました。その理由は、ただ一点、松下幸之助さんが乗られたタクシーの運転手の態度についてであります。そのとき松下氏は、「あれは何だ」と憤慨されたそうであります。松下氏ほどの功成り名遂げた人であれば人を許容する度量も広いはずでありますが、その松下氏を憤慨させるくらいでありますから、よほどひどかったんだと思います。
 ところで、これは何度も過去に申し上げましたが、言語学の世界では「南海道に敬語なし」というのが定説になっております。南海道とは、延喜式による地方の分類で五畿七道の一つでございまして、紀伊、淡路、阿波、讃岐、伊予、土佐の六カ国を指します。この六カ国は敬語の未発達地域とされてきました。しかし、観光産業に携わる人々は、敬語の未発達地域だから済まんなでは済まないのであります。
 観光産業に従事するといっても職種は多種多様でございますが、中でもタクシー運転手は、県外から路線バスや電車で和歌山にやってこられた方が最初に接する県人であります。ここでどんな印象を与えるか、その第一印象は極めて大きいと思うんであります。そのタクシー運転手の態度や言葉遣い一つで、その後の旅行が気分のいいものになるのか、あるいは台なしにしてしまうのか、まことに重要な立場であると言っても過言ではないと思います。皆さんも恐らく、全国各地へ行かれてタクシーに乗られて、両方の経験をされたことがおありだと思います。
 そこで、お尋ねをいたします。タクシー運転手を初め観光に携わるすべての人々の接客態度や言葉遣い、マナーなど、いわゆるおもてなしの心、ホスピタリティーの向上について、各業界団体との連携の中でどのように取り組んでいかれるのか。商工労働部長から御答弁をいただきたいと思います。
 二つ目には、観光クルーズの就航についてであります。
 観光クルーズとは豪華客船によりまして観光地をめぐるもので、期間は、ワンデークルーズとかワンナイトクルーズとか、あるいは一週間程度とか、中には百日以上かけて世界一周するものとか、さまざまでございます。国内では神戸、大阪、横浜、東京にそのターミナルがございまして、常時就航しております。
 また、過去、和歌山にも和歌山下津港や新宮港などにかなり寄港しておりまして、例えば、郵船クルーズの「飛鳥」でありますとか、日本クルーズ客船の「ぱしふぃっくびいなす」でありますとか、商船三井客船の「にっぽん丸」であるとか、あるいは日本チャータークルーズの「ふじ丸」等々が何度も入港しているのであります。中でも「飛鳥」や「ふじ丸」は、いずれも過去十六回、県内の港に寄港をしております。
 観光クルーズの本場、欧米におきましては長い歴史を有しておりまして、「クイーンエリザベス号」などは有名でありました。私もかつてヨーロッパへ行かせていただいたことがありますけれども、一日だけエーゲ海の島々をめぐるワンデークルーズに参加したことがあります。ミコノス島などのエーゲ海の三つの島を見て回りましたけれども、今もそのときの印象、光景を鮮明に覚えておりまして、いい思い出になっているんであります。
 本県は、言うまでもなく海洋県でございます。その特性を生かすという観点からも、また、関西国際空港の至近距離にあるという利点を生かし、高野・熊野の世界遺産の観光と連動して観光クルーズの定期就航をぜひとも模索をしていただきたい。
 また、将来、客船ターミナルの必要性も生まれてくると思いますが、和歌山下津港などに設置する可能性について、県土整備部長からお答えをいただきたいと思います。
 第四点、県庁組織の改編、強化についてであります。
 第一点目、三点目で県産品の販路開拓と観光振興について質問をさせていただきました。この二つは、知事も重要施策と位置づけ、これまでも力を入れて取り組んでこられたと思います。この二つは、出と入りの違いこそあれ、ともに和歌山県を売り込むという一点で共通する部分が大であります。連携も必要でありましょう。
 そこで、大胆な提言かもしれませんけれども、観光物産部というような形で思い切って部に昇格させるべきではないかと私は思いますが、ぜひとも知事の御所見をお伺いしたいと思います。
 もう一点、聞き及ぶところによりますと、県庁職員の中で、課長以上は名刺を公費で用意するが、それ以下の一般職員は自費で賄っていると聞いております。班長だろうと、主任、主査だろうと、対外的な仕事を持つ職員は人に会うケースも多くあるでしょうし、部署によっては名刺は必要経費の中で見るべきではないか。実態に応じて公費で支給するのが当たり前だと思います。また、携帯電話の件もあわせて、今後ぜひとも必要な部署については公費で支給するというふうに改善していただきますように、この点は要望であります。
 最後に、第五点目として、無医地区の解消についてお尋ねをいたします。
 無医地区の定義は、「医療機関のない地域で、当該地区の中心的な場所を起点として、おおむね半径四キロメートルの区域内に五十人以上が居住している地区であって、かつ容易に医療機関を利用することができない地区をいう」とあります。厚生労働省医政局の「無医地区等調査実施要領」による定義であります。
 これに基づきまして本県内において該当する地区は、広川町津木、清水町上湯川、みなべ町軽井川、大川、名之内、田辺市──旧大塔村ですが──木守の各地区など、十八地区に及びます。中でも、広川町津木は三百八世帯、九百七十九人、みなべ町軽井川、大川、名之内地区が百七十四世帯、六百八十人と居住人数が多く、また、清水町上湯川は最寄りの診療所まで四十分、最寄りの病院まで九十分、田辺市木守地区は最寄り診療所まで三十五分、最寄り病院まで九十分と、それぞれ深刻な現状にあるのであります。このほか、無医地区に準ずる地区が九地区、僻地診療所方式で対応している地区は三十九カ所となっているのであります。
 いざというときのために──高齢化が進むこれらの地区にありまして、またある意味では無医地区が今後さらに拡大するおそれもあるんではないかと私は心配をするものであります。山間僻地に住む県民の皆さんにとって極めて憂慮すべき事態と言わざるを得ません。また、定義にいう地区住民五十人に満たない地区は一体どうなるのか、さらに深刻な状況だと思われます。
 この点について、福祉保健部長、今後どのような有効な対策をとるおつもりか、お示しをいただきたい。
 以上で、質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、東南アジアでの県産品の販路拡大についてでございますが、御質問の中にもありましたように、先月の十一月の十一日から二十四日まで、香港の高級スーパーのシティ・スーパーというところで、四店舗で和歌山フェアを実施しました。
 私も報告を受けたところでは、富有柿が追加で一・四トン、それから冷蔵富有柿──これは、お正月に食べられるようにするような、ちょっと値段の高い富有柿ですが──三百七十五キロ追加の注文があったということで、殊のほか和歌山のカキとかミカンとかいうものに対する評価が高かったということを聞いております。
 県内の果物、ことしはなかなか値段がつかなくて皆苦戦しているわけですけども、こういうふうに外へ目を転ずれば、その品質の高さというものが改めて評価されるというふうな部署が非常にあるということですので、今後も香港であるとか台湾であるとか韓国であるとか中国、こういう有望なマーケットへ県産品を売り込んでいくというふうなことに力を入れていきたい、このように思っております。
 次に、国内での販路の開拓ということですが、とにかく外へ和歌山県の産品を売っていかないといかんということで、この分野には非常に力を入れておりまして、平成十五年の四月に、これは全国で初めて──このごろはまねするところが出てますけども──ブランド推進局という局をつくり、そして、ソフトアンテナショップというふうな手法で、イトーヨーカ堂であるとか紀ノ国屋であるとか三越百貨店であるとか、こういうふうなところと、そして、最近ではイオン等といろいろな取引を進めてまいりました。二百四品目ぐらいの新規の品の取引ができて、さらに、その中の三十品目ぐらいは定番で売れるような形に根づいてきたということを聞いております。大手量販店の中に和歌山県のコーナーというのを設けてくれるところも出てきましたし、これは着実に根づいてきていると思います。そしてまた、有田ミカンであるとか下津ミカンなんかについては、私も北海道とか東京へ行って、先頭に立って、できるだけ売れるような形でのセールスを行ってきました。
 最近では、これもある意味で三位一体と言ってるんですけども、喜集館というブランドで有楽町のアンテナショップ、それからそこのホテルのところにある喜集館、それから、今度は県内の人が外へいろいろ店を出しているところを認定するCoCo喜集館、それからバーチャルでのわいわい市場という、この三点を一体にして売り出していくというふうな政策もとっております。これも一朝一夕に急に売上高がふえるというものではないと思いますけれども、こういうふうな努力の積み重ねが県産品への認識の高まりということにつながっていくものと考えているところでございます。
 それから、組織の問題です。
 観光については観光局、それから物産についてはブランド推進局と、これはどちらもこういうふうな局組織でやっているというのは非常に珍しいわけで、和歌山県としてはこれは非常に重要な問題として取り上げているわけですけども、確かに、御質問にありました観光と物産をひっつけたような部をつくるということも、これは僕はもう一つの見識だと思います。ただ、今、行政改革で組織の簡素化というふうなことがありますので、何とかそういうふうな中で少しでもそういうふうな方向が取り入れられるようなことを考えていきたいと、このように考えております。
○議長(吉井和視君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 関西国際空港に係る諸問題についての五点の御質問でございます。
 まず、スカイマークエアラインズの休止についてでございますが、スカイマークエアラインズの関空─羽田線への就航によりまして日中の空白時間帯が縮小されるなど利便性が向上していただけに、今回の決定は非常に残念に思っております。
 本県といたしましても、関西国際空港全体構想促進協議会といたしまして先月三十日に、また本県要望として今月の一日に、関空─羽田間の利便性が損なわれることのないよう、国を初め関係各方面に強く要請をしたところでございます。
 今後とも引き続き、地元が一体となって、スカイマークエアラインズ以外の航空会社も含め、関係各方面に強く要請をしていくとともに、より一層の関西国際空港の利用促進、需要喚起に取り組んでまいります。
 また、東京方面への出張の際のスカイマークエアラインズを初めとした航空機利用につきましても、引き続き県庁職員に周知するとともに、県下各市町村や経済団体にも呼びかけてまいりたいと考えております。
 次に中国便の減便の件でございますけども、全日空の中国便につきましては、議員御指摘のとおり、ことしの冬ダイヤから十便減便されております。
 減便に至った経緯についてでございますが、日中航空交渉の不調により発着枠がふえないため、やむを得ず自社の発着枠の範囲内で効率的に運用できるよう関空便を減便し、中部、成田線の増便を行ったと聞いております。しかしながら、日中航空交渉の結果により発着枠がふえれば、関空便をもとに戻すとともに、さらなる拡充を行う方針であると認識をしております。
 本県では、県議会の皆様とともに一昨年、昨年と二回にわたって、山東航空の関空への新規就航を図るため、中国民用航空総局及び山東省などを訪問いたしましてエアポートプロモーション活動を実施してまいりましたが、議員御指摘のとおり日中航空交渉に進展が見られず、実現には至っておりません。
 本県といたしましては、日中航空交渉が早期に妥結されるよう国土交通省に対し引き続き要請するとともに、中国側に対しても関係機関等と連携しながら働きかけを行ってまいりたいと考えております。
 原油につきましては、今年当初から、中国、インドなどの経済成長に伴う原油需要の増大などを背景といたしまして高騰しておりました。現在では落ちつきを取り戻しておりますが、今後も高水準で推移するものと言われております。
 今後、航空会社としましては、燃費効率のよい機材への更新を進め、燃料コストの低減を図ることが重要であると考えております。
 五点目の施設使用料の値下げについてでございますが、関西国際空港株式会社におきましては、世界同時多発テロ、SARSからの影響を脱し順調に回復をしております国際線のさらなる拡大を目指し、平成十三年度から行っている着陸料引き下げや増量割引を継続するとともに、今年度からオフピーク増量割引制度を導入しております。
 また、国内線につきましても、伊丹からのシフトがスムーズに進むよう、従来から行っております多頻度割引、関空単独割引に加え、関空復便割引を導入するなど、着陸料割引制度の拡充を図っております。
 さらに、本県を初めとする地元自治体や経済界等で構成いたしております関西国際空港全体構想促進協議会におきましても、今年度、新規就航に要する経費の軽減を図るための就航奨励一時金制度を創設いたしました。
 本県といたしましては、引き続き国に対しまして関空会社の経営基盤の安定とそれに伴う空港利用コストの低減支援策の充実について要望をしてまいります。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 観光振興についてのホスピタリティーの向上に係る御質問にお答えします。
 国内外をめぐる観光地間競争を勝ち抜くためには、世界遺産の高野・熊野などの豊富な観光資源の効果的な活用に加え、観光客を温かく迎えるためのホスピタリティーの向上が大変重要であると認識をしております。このため、現在、県及び関係団体においては、ホスピタリティーの向上を目的に研修の実施などに積極的に取り組んでいるところでございます。具体的には、社団法人和歌山県タクシー協会ではタクシー運転手の接遇マナーの向上のための研修を、また個人タクシー協同組合ではサービス向上研修と必要に応じて現地研修会を、それぞれ実施されております。
 さらに、県においても観光関連事業者を対象に観光セミナーを毎年実施しているところであり、例えば、ことしの七月には串本町、田辺市、湯浅町の三カ所において、防災研修とあわせてホスピタリティーの向上の一環としてのバリアフリー研修を実施したところであります。また、来週十二日には、由布院観光総合事務所の事務局長を招いて観光先進地に学ぶセミナーを開催することとしております。
 今後とも地域や関係団体と十分な連携を図り、より効果的な研修を実施するなど、観光関連事業者のさらなるホスピタリティーの向上に努めてまいります。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 観光クルーズ船の誘致及び客船ターミナルの設置について、一括してお答えをいたします。
 観光クルーズは、世界遺産や海岸美など本県の魅力を存分に味わっていただける観光ツールであり、時間と所得に余裕のある中高年層が増加することから、将来的に有望と考えられます。クルーズ船の増加は、港の振興はもとより、観光振興による地域の経済活性化に大きな効果があるものと考えております。
 こうしたことから、現在、船会社等に対して地元関係者を初め県観光部局とも連携を図りながら誘致活動を行っており、寄港が増加傾向にございます。今後も、観光クルーズ船の寄港増に向け、積極的に誘致活動に取り組んでまいります。
 また、議員御提案の観光クルーズ船の定期就航につきましては、和歌山下津港等の振興にもつながるものと考えておりますが、旅客需要による事業採算性等の問題もあり、今後、客船ターミナルの設置も含め、船会社等の意見を聞きながら研究をしてまいります。
○議長(吉井和視君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 無医地区の解消につきましてお答えを申し上げます。
 県内の無医地区の状況は、議員御指摘のとおり、現在十八地域となっておりますが、山村過疎地域における医療の提供につきましては、医師確保が困難な僻地診療所に自治医科大学卒業医師を派遣しているのを初め、巡回診療を実施している僻地拠点病院に対する運営の支援、さらに平成十五年一月からは地域の救急体制充実のためドクターヘリの運航により対応しているところでございます。
 急速な少子高齢化が進む中で無医地区の解消を図るための特効薬を見出すことはなかなか難しい状況ではございますけれども、引き続き、道路網の整備やコミュニティーバスの運行などについて関係市町村に働きかけるとともに、医師確保や巡回診療の充実などの地域医療支援に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十七番森 正樹君。
○森 正樹君 一点だけ申し上げます。
 今回、我々は香港のシティ・スーパーを見てまいりました。和歌山県産品の和歌山フェア、大変好評でございまして、今後も引き続いて十分やっていけるということを肌で実感して帰ってまいりました。日本の食品、要するに和歌山の産品が、いわゆる安心・安全、そして味、おいしい、そしてさらには品質も高いという、そういういろんな面で少々高くても売れるんだということを見て、感じて帰ってまいりました。
 あと問題は、先ほど知事もおっしゃっていましたが、香港以外のアジアの各国であります。
 この中で中国は、僕は、関税の障壁もありますし、生活水準、物価水準が違うという問題もありますし、食習慣も大いに違いますので、これは非常に難しい部分があるだろうなと。もちろん、努力はしていくべきだと思いますが、これはまあとりあえず置いておいて、お隣、韓国であります。ここは、例えば、「うどん」とか「そば」とか「おでん」とか「トンカツ」とか、あるいは付随するものとして「おしぼり」とか「つまようじ」とか、そういう日本語がそのまま向こうでは通じまして、向こうの人間もそういうふうに言ってるんですね。
 それほど非常に似通った部分もありますし、日本のものが結構、過去にいっぱい向こうに根づいているという部分がありまして、僕は、和歌山のいいものは絶対韓国でも十分やっていけると。ぜひともその道筋を引き続き模索していただきたい。
 それで、一つその例として、韓国に新世界百貨店という──韓国では初の高級スーパーが最近誕生しております。「STAR SM」という高級スーパーがございまして──ことし、この新世界百貨店において、「二〇〇五ソウル 札幌の物産と観光フェア」ということで、北海道がこれに力を入れておりまして、三回目の札幌の物産展をやっているんです。非常に大好評で、休日なんかはもう身動きならないほどの客が詰めかけたというふうに聞いております。
 例えば、お焼き──これは私どういうもんかよく知らないんですけど──それから、コロッケですとか醸造品や肉まん、シュウマイ、うどん、これなんかは実演販売も含めて非常に好評で、飛ぶように売れたと。また、札幌の魅力を、時計台をイメージした巨大なブースも設置されたりして観光PRも非常にアピール度が高かったという、そういうニュースを聞きました。
 ぜひとも香港に続いて韓国において、今までもいろいろとブランド推進局の職員の皆さん、こちらの方に働きかけをしていただいているとお聞きしておりますけれども、引き続いてぜひとも和歌山フェアが実現いたしますように今後も努力をしていただきたい、それを要望申し上げて、終わります。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で森正樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十番浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕(拍手)
○浅井修一郎君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 それでは、まず初めに、食育基本法制定に伴う県の取り組みについてお尋ねいたします。
 近年、子供たちが好きなものしか食べない、朝食を抜く、御飯がわりにお菓子を食べるなどに加え、外食やレトルト食品などを食べる機会が多くなり、果物や野菜がどのようにつくられているのか、切り身で売られている魚のもとの姿がわからないなど、食に対する乱れと知識が不足しており、このままでは子供たちの健全な将来が大変心配であります。
 このような兆候は大人たちにも広がっており、生活習慣病の増加や、伝統食や地域食が衰退し、スーパーやコンビニでの全国一律の食事メニューが浸透し、自分に合った食生活や郷土食、季節感のある旬の料理といった食文化が失われつつあり、地域文化や農林水産業の衰退といった問題を引き起こしつつあります。
 このように食生活の乱れが言われて久しいわけですが、近々再開されようとしている輸入牛のBSE問題や頻発する産地偽称などにより、食品や食べることに対する国民の関心が高まってきていると感じています。
 このような状況が進行することに対して危機感を覚え、国も本年七月十五日付で食育基本法を制定・施行し、行政、国民、教育・農林漁業関係者、食品関係事業者等の責務を明確化したわけでございます。
 食育基本法では、「国民が健全な心身を培い、豊かな人間性をはぐくむ食育を推進するため、施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする」を基本理念とし、家庭や学校における食育の推進、地域における食生活改善の取り組み、生産者と消費者の交流促進、環境と調和のとれた農林水産業の活性化、食の安全の確保などを総合的に進めていこうということであります。
 このことを受けて、県においても食育推進会議等を設置し、基本方針を定め、推進していくことになろうかと思います。県では、農林水産部、環境生活部、福祉保健部、教育委員会が食育推進に関連した施策を実施していると聞いてございますが、既に関係各部の連携方法と方針の検討が行われたことだと思います。
 そこで、まず初めに、食料生産を担当する農林水産部にお伺いいたします。
 食料の生産流通加工を所管する農林水産部では、「食べることは学ぶこと、考えよう皆と私の食の未来」という桃山町の学生が考えたスローガンを掲げ、食べ物を生産する部局として早くから食育に取り組んでおり、食に関する関係者を集めた県食育推進協議会を立ち上げ、農業分野から食育へのアプローチを行っていると聞いております。
 県民全体を対象とする食育を推進する中で特に大事なのは、子供たちの健全な育成を食の分野からいかに図るかではないでしょうか。そのためには、家庭での親の責任は当たり前のことでありますが、学校給食という分野でより安心・安全で機能性に富んで体によい食べ物を提供することが、我々、政治・行政に携わる者の責任ではないでしょうか。
 そういう意味で、農林水産部は、身近で生産され、正体がわかる食べ物を提供する重要な役割を担っていると思いますが、いかがでしょうか。農林水産部長にお伺いいたします。
 次に、食の安全を担う環境生活部関係でありますが、御承知のとおり、国においては、大手乳業メーカーの食中毒事件やBSE問題など国民の食の安全を脅かす事件を背景に食品安全基本法の制定や食品安全委員会の設置などが進められ、国民の食の安全の確保に向けて取り組んでいるところでございます。
 一方、本県におきましては、国の動きを踏まえ、環境生活部が食の安全を担う部署として、これまで食の安全・安心、信頼確保のための基本方針やそれに基づくアクションプランを作成し、食の安全確保に取り組んでいただいているところでありますが、国や県の調査によると、残留農薬や食品添加物など食品の安全性に関して多くの方が不安を感じているとのことであります。
 このことは、食に関する知識の情報の不足、生産者との信頼関係が希薄であることなどが考えられることから、今後、食の安全確保を図ることに加え、食の安全性の観点からの食育に取り組んでいくことが重要なのではないでしょうか。環境生活部長にお伺いいたします。
 次に、県民の健康づくりを担う福祉保健部にお尋ねいたします。
 和歌山県における死亡原因の六割は、生活習慣病と言われているがん、心疾患、脳血管疾患の三大疾患が占めており、中でもがんによる死亡が約三割を占めているとのことであります。また、がんによる死亡率では、平成十六年で、がん全体でワースト三位、部位別に見ても、肝がん、子宮がんが二位、肺がんが三位といった状況であります。
 このような状況の中、県民の健康づくりを考えていく上で生活習慣病対策が非常に重要であり、喫緊の課題であると考えております。生活習慣病は、日ごろの健康管理、特に適切な食生活の実践、すなわち正しい食習慣によって予防することや進行をおくらせることが可能と聞いております。つきましては、健康づくりという観点から食育をどのように推進していくのか、福祉保健部長にお伺いいたします。
 次に、学校教育を担う教育委員会関係についてでございますが、学校教育では知、徳、体の調和が大切であると言いますが、これら知育、徳育、体育の基礎となるのが食育であります。
 本県では、子供たちの健全な心身の育成を図るために、安全で安心な学校給食の充実と普及を行い、学校全体でさまざまな取り組みを実施していると聞いております。また、学校給食では生産者の顔が見える地元食材の活用や郷土料理の伝承を行っているとも聞いております。
 このような学校での取り組みを家庭、地域へも広げていただき、朝食欠食、孤食、生活習慣病の低年齢化等を改善するため、学校教育法が改正され本年度から制度化された栄養教諭を任用し、食育のコーディネーターとしての活躍を期待しておりますが、教育長にお尋ねいたします。
 こうした食育について、県全体では各分野でばらばらの施策や地域での取り組みが行われており、正しい食の知識をだれにどのように伝えていくかが明確にされていないのが現状ではないでしょうか。事は人間の健康にかかわることで、非常に重要なことであり、このような一つのことが幾つもの部局に関係してくることは少ないのではないでしょうか。今回、食育基本法という法律の傘ができたということで、県が一つにまとまり、県民みんなが理解して運動を推進できる体制づくりが大変重要だと思うものであります。
 国は来年三月までに基本方針を作成する予定と聞いておりますが、国の方針は方針として、食育は大変広い範囲にわたるので、各部局が連携して本県がどのように取り組んでいくのか、この機会に知事の食育推進に対する所見と関係各部長及び教育長の取り組み方針をお伺いしたいと思います。
 次に、大型クラゲによる漁業被害対策についてお尋ねいたします。
 この大型クラゲについては、さきの九月議会での一般質問の中で玉置公良議員が少し触れられましたが、私は今回、この大型クラゲに絞って質問をさせていただきます。
 近年、水産業を取り巻く環境は大変厳しいものを感じています。全国的に見ても、水産資源の減少については久しく言われてきたところであり、ことしに入っての燃油価格上昇は漁獲量減少に伴う収入源にさらなる追い打ちとなっており、漁師の皆さん方の経営は非常に苦しいものとなっております。
 このような苦しい経営状況の中で、ことしはさらなる異変が水産関係に見られました。それは、大型クラゲの異常発生ということであります。この大型クラゲはエチゼンクラゲと言われるもので、名前のとおり、日本海側では例年夏前から見られ、余り珍しいものではありませんが、ただ、ことしはその発生量が例年になく異常に多いということであります。一説では、日本海に来遊してくる一日の量は五億個体とも言われており、その大きさは大きいもので傘径二メートル、重さ二百キロに達するものがあると言われています。
 日本海側では、このクラゲが各種網漁業に甚大な被害を及ぼしています。とりわけ定置網漁業や底びき網漁業では、入ってきたクラゲが網に張りつき、それによって水圧を受けた網が破れる、さらには、網に入っている魚がクラゲによって死んだり傷んだりすることによって価値が下がり、収入が大きく減少しているとのことであり、大きな社会問題化しています。
 ついては、八月三十一日に和歌山県で大型クラゲが確認されたとの報道があり、本県で大型クラゲによる漁業被害は発生してないのか、九月上旬、地元漁協を回って関係漁業者に話を聞いたところ、底びき網漁業では、今まで見たことのない大きなクラゲが網に入ってくる、一緒に入っていたハモは白くなって死んでいたり、マダイなど魚が弱ってしまって売り物にならない、また漁具も傷める、大きなクラゲは重く、また、刺されると皮膚に炎症を来すため除去作業に手間取り作業性が低下して困っているなどの話を聞き、操業上の対応に苦慮している現況をひしひしと感じたところであります。実際、炎症を起こしている手の甲や腕を見せていただきましたが、変色し、はれ上がっていました。
 そこで、十一月上旬、白浜町の京都大学瀬戸臨海実験所を訪問し、クラゲの生態に御造詣の深い久保田助教授から御指導をいただく中で、エチゼンクラゲに関して今後検討していく上で参考となる幾つかの知見を得ることができました。
 そのときの先生の話を二、三紹介しますと、臨海実験所ができてから約七十年経過するが、この間一度もエチゼンクラゲは確認されていない、田辺湾で捕獲したエチゼンクラゲは雄であり繁殖能力を備えていた、太平洋岸でも潮の甘い干潟域であってポリプの定着物があれば今後繁殖する可能性は十分ある、瀬戸内海を含めた海域で繁殖するとなれば、四月から五月ごろポリプから分離した幼体(エフィラ)はえさとなるプランクトンが豊富であれば七月ごろには大きな成体となって出現する可能性があるとのことであります。
 そこで、大変熱心に御指導くださいました久保田助教授を少し紹介させていただきます。
 久保田先生はベニクラゲが専門だそうですが、大変ユニークな先生で、ベニクラゲの歌を三曲も作詞作曲し、みずから歌ったCDを制作しております。ここにCDがついています。おまけに、歌詞の英訳までしています。
 題名は、「ベニクラゲ音頭」「生命…永遠に」「ぼくの名前は、ベニクラゲ」の三曲であり、ちなみに、「ベニクラゲ音頭」の歌詞を一番のみ御紹介します。歌わしてもらえばいいのですが、まだ曲を聞いておりませんので、申しわけございません。
  ぼくのなまえはベニクラゲ
  ちっちゃいちっちゃいクラゲです
  だけど僕には人にない
  特別な秘密があるんだ
  僕は僕は若返ることができるんだ
  もうだめだと思ったら
  ポリプにもどって一、二、三
  またまた人生をやり直すことができるんだ
  みんなは一度だけの人生だから
  今を大切にしておくれ
  ア、ソウレ、ベニベニ
でございます。
 売れているかどうかはわかりませんが、一枚プレゼントしていただいておりますので、御希望があればお貸しいたします。このベニクラゲは不老不死だそうですが、エチゼンクラゲは一年の寿命だと聞いております。
 久保田先生はベニクラゲを歌にしましたが、島根県ではこのエチゼンクラゲを切り身として食材に、また山形県ではアイスクリームの材料としてクラゲアイスを製品化しているとのことでありますが、中華材料としては二級品だそうです。しかし、クラゲはコラーゲンが豊富であり、美容材料として価値が高いのではということから、単なる厄介者ではなく、有効利用できることを期待するものであります。
 そして、そのエチゼンクラゲの大発生の原因についてでございますが、広島大学の上教授によりますと、魚のとり過ぎによるエチゼンクラゲのえさとなるプランクトンが増加したこと、エチゼンクラゲの発生域と推定される中国沿岸域の富栄養化によるプランクトンの増加、また地球温暖化の影響によるクラゲ繁殖期間の長期化など、いずれも人間の責任によるものではないかとの仮説を述べられています。
 また、例年では東シナ海の北の方で発生し、対馬海流に乗って日本海を北上するのが通常であるが、ことしは南の方で大量発生し、さらには黒潮が北の方へ蛇行するため、それに乗って太平洋から紀伊水道に入ってきたとの説もあります。
 このようなことを思ったとき、今回の大型クラゲによる被害は一過性のものとしてとらえるものではなく、来年もこのような事態になる可能性が十分考えられることから、関係漁業者の窮状を少しでも改善できるよう県の対応に期待するところであります。
 ついては、大型クラゲによる現在までの被害状況並びに今後の対策について農林水産部長にお尋ねいたします。
 次に、有田川河川整備についてでありますが、私が初当選させていただいた一昨年の九月議会、昨年の十二月議会、そして今議会と三回目の一般質問の機会をいただきましたが、毎回このことについて質問をさせていただいてまいりました。
 さて、近年の局地的な集中豪雨による被害が全国各地で相次ぐ中、あの有田川を初めとする多くの河川が決壊し、死者・行方不明者千四十六名を出した七・一八災害のことが、二川ダムができたとはいえ、いまだ脳裏に焼きついており、一たび大雨に関する警報、注意報が出るたび、川を眺め、不安を抱いている状況であります。それゆえに、沿川住民のみならず市民すべてが関心も高く、河川全体が安全で安心のできる整備を強く要望するものであります。
 そのような中、昨年十二月に有田市連合自治会より県に有田川しゅんせつ工事に関する陳情を行いました。その内容は、本来、堤防全体の早期整備を願うものでありますが、近年の国、県の財政状況をかんがみますと短期間での整備を願うことは無理な要望であるとのことから、河積を広げ流下能力の増大を図り、各堤防への負担を余りかけないための対策の一つの手段としてのしゅんせつについての陳情でありました。
 私は、先般、有田市の職員さん方とともに、河床整備の中で砂利採取が行われている熊野川の土砂採取現場や選別作業現場を視察させていただき、採取位置の設定や採取量の測量、そして、川を濁すことなく土砂を採取し運搬する方法など、担当者の方々からお話を伺い、勉強してまいりました。
 しかし、今回の質問は本格的なしゅんせつを願うものでなく、いつ発生するかわからない被害を最小限に抑える手だてとして、有田川の堆積箇所において、洪水に対し安全な流下を図るため、河積の確保が必要であると考えています。有田川の抜本的なしゅんせつにつきましては引き続き調査・検討をお願いしているところでありますが、当面の対策として現在堆積している土砂の移動等河床整正について、県土整備部長にお尋ねいたします。
 次に、不法係留船対策についてでありますが、この問題につきましては、有田川左岸安諦橋付近の環境整備をしていただくことが本来の願いであります。そのための不法係留船対策としてのマリーナ計画であり、有田市議会ではこの問題については毎回のように一般質問で取り上げられています。それだけにこの環境整備は有田市民の長年の悲願であり、この進捗状況に非常に高い関心を持ち、一日も早く実行していただくことを待ち望んでいるのであります。
 当初のマリーナの整備予定地でありました安諦橋下流左岸は、昨年一月、環境省指定の重要湿地であるとの指摘がなされ、県により春と秋の二回、環境調査が行われました。その結果、予定地周辺に我が国でも珍しい貴重な干潟底生動物が多数生息しているとの報告があり、当局としましては、施設整備による干潟への影響を考慮し、候補地の変更をせざるを得ないとの結論を出したようであります。
 現在は有田大橋下流右岸を新たな候補地として調査・検討を行っているようでありますが、一日も早く着手していただきたいと思いますが、あわせて県土整備部長にお尋ねいたします。
 最後に、今議会、私も提出者の一人となっております紀の国森づくり税に関連してお伺いいたします。
 私の住む有田市の森林率はそれほど高くありませんが、健全な森林づくりは大切であり、そこから流れ出る水は豊富な栄養分を含み、有田川を下り、紀伊水道へと流れ込み、魚などのえさとなるプランクトンを育てるなど、漁業資源の増大にも多大な恵みを与えていただいていると認識しております。そういった意味におきましても、紀の国森づくり税の成立を強く願うものであります。
 また、提案説明で県当局に要請しました四つの項目についても実現するよう、大いに期待する次第であります。
 そこで、一つ、現行の政策、予算の配分をさらに森林整備に重点化すること、二、企業の森事業を無償貸与から一歩進めて所有をしてもらうようにすること、三、わかやま森林と緑の公社の経営改善の推進に努力すること、四、木づかい社会の実現にさらに力を入れること、以上四点の要請についてどのようにお考えでしょうか。知事の御所見をお伺いいたします。
 以上をもちまして、第一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの浅井修一郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、食育についての御質問でございますが、御質問の中にもありましたように、BSEに端を発した食の安全の問題、そしてまた、伝統の食文化というものを大事にしなければならないというふうな国民の中の動向等、このところ食の大切さということが改めて認識されるようになってきておりますし、そのために食育基本法というのができたわけであるというふうに思っております。
 こういう中で、和歌山県でも特色を生かした和歌山県らしさを生かした食育ということを推進していこうということで、例えば地元の食材を生かした給食というふうなこと、これをどんどん進めていきたいと思っています。
 例えばミカンであるとかカキであるとか、そしてまた水産製品、さらには、今、鯨を食べるということが東京なんかでもPRして大分進んできておりますが、こういうようなことをどんどんやっていく必要がありますし、さらにはこれを進めて、例えばミカンの産地だったら、ミカンの木を子供たちが植えて、そしてその世話した木になったミカンを給食で食べる、場合によっては、そのでき上がったミカンをよその和歌山のカキをつくっているような地域の子供の給食に使ってもらうようにし、逆にカキを育てたところのカキをミカンの地域の子供たちが食べる、こういうふうな形にしていけば、その地域に対する愛着というふうなのも非常に増してくると思います。そしてまた、沿岸漁業でとれた魚なんかをじかに食べるようにして、そのとっている場所なんかを子供たちが見に行くというふうなことをする、すなわち、ただ単に食べる食の安全ということだけじゃなくて、地域に対する愛着全体というふうな意味での食育ということを考えていくべきだと思いますし、和歌山県でもそういうふうな方向に沿っていろいろな施策を推進していきたい、このように思っております。
 それから、紀の国森づくり税の条例について、関連しての御質問でございますが、あの中にありました森林関係は非常に重要なことなんで、予算を重点的に使っていこうというふうな御提言、さらには企業の森──企業の森、今は無償で借りてもらっているんだけど、実は企業はそれを整備するお金を出しているから企業の森になっているんで、今すぐそんな、買うのまでお金を出しなさいということになると、せっかく進んでいる芽がしぼんでしまうおそれもあるんで、すぐにはいきませんけども、さらに活性化してくればそういうふうなことも含めて考え、さらにはこの公社の経営、これは借金の問題で今全国的に非常に大変な問題になっておりますので、こういうことについて積極的な取り組みを──私も全国の知事の中でこれは中心的なメンバーになって働きかけを行っておりますが、そういうこと。
 さらには、「木づかい社会」。これはなかなか新しい言葉でいい言葉だと思いますけども、木をいろんなところで使っていく。例えばこれから、市町村の統合が進んだわけだけど、その中で小中学校の校舎の統合なんかがあったら、それでできる学校は全部県産材でつくる。それで、少々それが高くなったら、その高くなった分は県が支援してあげる。そういうふうなぐらいの思い切った施策を考えていきたいというふうに思っているところでございます。
○議長(吉井和視君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 食育基本法制定に伴う取り組みについて、まずお答えをいたします。
 これまで農林水産部におきまして県食育推進協議会を平成十六年三月に設置をいたしまして、関係団体等の連携を図りながら、和歌山の食育を考えるフォーラムの開催、あるいは「みかんで元気!キャンペーン」、また「梅干しで元気!キャンペーン」などを実施してきたところでございます。
 さらに、地域に伝わる郷土料理の講習会、あるいは農産物の収穫・加工などの農業体験等を各地域において実施するとともに、県のホームページに「和歌山食育ひろば」を開設し、県内のさまざまな取り組みや、カキ、ミカンについてその開花から収穫までの成長日記を掲載するなど、食育の推進に努めているところでございます。
 今後とも、県産農産物を活用した地産地消、あるいは消費者と生産者の交流による食への理解促進などを柱に関係部局や関係団体と連携を図りながら、安全・安心で顔の見える農産物の生産振興と一体的に取り組むことによりまして、広く食育を県民運動として展開をしてまいりたいと考えているところでございます。
 なお、議員お話しのように、食育というテーマにつきましては、さまざまな切り口あるいはさまざまな観点から幅広い取り組みが求められているところと認識をいたしてございます。こうしたことを踏まえまして、我が農林水産部が中心となりまして、より多くの方々の御意見をいただきながら食育推進計画等の策定に努め、県の総合施策として和歌山らしい個性あふれる特色ある食育といったものを展開してまいりたいと思っているところでございます。
 次に、大型クラゲ対策についてお答えいたします。
 平成十七年八月十日に紀伊水道で操業してございました小型底びき網漁船の網に大型のクラゲがかかりまして、漁具破損等の被害が発生し、八月二十九日にこれがエチゼンクラゲであることが確認されたことは、議員御発言のとおりでございます。
 日本海では以前から多数見られ、定置網などの漁業に大きな被害が出ていたところでございますが、和歌山県沿岸で確認されたのは今回が初めてということでございます。本年は例年に比べ東シナ海の南方で異常に多く見られたとの情報もあることから、これらが黒潮に乗って運ばれてきたものではないかと推測をしてございます。
 このたびのエチゼンクラゲによる漁業被害につきましては、有田地域を中心とした小型底びき網漁業で見られてございまして、漁具の破損で約四百七十万、漁獲金額では四、五千万の被害額が推計されているところでございます。
 現在のところ紀伊水道には出現をしてございませんけれども、日本海区水産研究所や、ただいま議員からお話のありました京都大学瀬戸臨海実験所などによりますと今後も大型クラゲの発生が予想されることから、その対策が必要と考えているところでございます。このため、本県沖合でのクラゲ発生情報の早期収集と迅速な提供に努めるとともに、関係漁業者の御意見も聞きながら、本県の漁業に適合した独自の漁具の改良、また開発、それからその普及といったことに努めてまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 食育基本法制定に伴う環境生活部の取り組みについてお答えを申し上げます。
 健全な食生活をはぐくむ食育を推進していくためには、食品の安全性が確保され、安心して消費できる環境の整備が重要でございます。このため県では、日常的に消費する数多くの食品と県産食品の安全性の確保のため基本的な取り組みの方向を示した基本方針を策定するとともに、その具体化を図るためのアクションプランを策定し、食品の安全性確保のため取り組みを進めているところでございます。
 具体的には、衛生管理水準の向上を図るため、HACCPの考え方を取り入れた県独自の認定制度を昨年創設をいたしました。今年度中に十数社の認定を見込んでいるところでございます。この認定制度の対象業種につきましても、漬物加工業、水産加工業に加えまして、今年度新たに菓子製造業を対象としたところでございます。今後も順次、対象業種を拡大してまいることとしております。
 また、県内で製造または販売されております食品につきましては、食品衛生監視指導計画に基づき、残留農薬や食品添加物等の基準検査を実施しているところでございます。今年度は、検体数で八百十検体、検査項目で延べ一万二千五百項目を実施することとしており、食品の安全性確保に努めてまいります。
 さらに、県のホームページでありますとかシンポジウム、県政おはなし講座、タウンミーティングなどによりまして食品の安全性についての情報提供や意見交換を行い、食に関する県民の知識と理解を今後ともより一層深めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) 食育基本法制定に伴う取り組みの中で、健康づくりという観点から食育をどのように推進していくのかというお尋ねについてお答えを申し上げます。
 県では元気わかやま行動計画に基づきまして県民の健康づくりに取り組んでいるところでございますけれども、議員御指摘のとおり、朝食の欠食、偏食、野菜の摂取不足など食生活の乱れや肥満者の増加などにより、生活習慣病の増加や低年齢化が進行している状況にあります。
 このたび食育基本法が制定されたことから、県内の食の関係者が一丸となって、子供からお年寄りまで広く県民に食生活の改善を促すために、家庭や地域ぐるみで取り組むことが重要と考えております。そのため、すべての年齢層を対象に県民健康栄養調査を実施し、県民の食生活や栄養の実態把握を行いますとともに、親子が一緒に食について考えられるよう食育推進ブックの作成に取り組んでいるところでございます。
 今後、これを具体的な行動に結びつけるため、各市町村や地域の食生活改善推進員などの協力を得ながら、親子料理教室や地元の食材を使った出前教室などを通じて子供からお年寄りまで幅広く食の大切さや正しい食習慣の普及啓発に努め、県民の健康づくりを進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 有田川河川整備についてお答えをいたします。
 有田川の治水機能を確保するため、現在、影響の大きい樹木の伐採等を実施しているところであります。
 御指摘の河床整正については、低水流路が蛇行し、堆積や洗掘が著しい区間については、低水護岸の整備とあわせて行う必要があると考えております。今後、効果的、効率的な治水対策を推進すべく検討してまいります。
 次に、マリーナ施設計画に係る候補地の選定につきましては、議員御指摘のとおり、有田川河口域が日本の重要湿地五百に選定されていることから、昨年、詳細な環境調査を実施し、有田川左岸側に数多くの貴重な干潟底生動物の生息を確認いたしました。このため、地元自治会を初めとする関係者で構成する有田川プレジャーボート対策等協議会において検討の結果、有田川右岸側をマリーナ建設の候補地として選定いたしました。
 現在、候補地での流下能力の検討や波浪等の影響調査を実施しているところであり、その成果を踏まえて詳細設計を実施し、マリーナ施設整備に向け、鋭意取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 食育についてお答えいたします。
 児童生徒を取り巻く生活環境が大きく変化し、食生活の多様化が進む中で、議員御指摘の朝食欠食、孤食、生活習慣病の低年齢化など、さまざまな健康問題が生じております。
 このようなことから、昨年度、県内すべての学校で食生活に関するアンケートを実施し、学校ごとの課題を明らかにするとともに、学校栄養職員を中心としてその解決に向けて取り組んでいるところであります。
 また、学校給食で地元の食材を活用することについても、県産米の一〇〇%供給やミカンの導入、鯨肉の復活など、郷土料理や和歌山の食文化の伝承にも努めているところです。
 さらに、このほど制度化された栄養教諭は、子供たちの望ましい食生活習慣を習得させるための重要な職務であると考え、その任用について検討してまいります。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十番浅井修一郎君。
○浅井修一郎君 ただいま知事初め関係部長並びに教育長より前向きの御答弁をいただき、ありがとうございます。
 それでは、食育関連で二点、クラゲ対策で一点について要望させていただきます。
 まず食育関連の一点目は、教育委員会関係であります。
 今、国において、学校栄養職員を全員栄養教諭にするよう進めていると聞いています。その中で、本県で栄養教諭の任用がまだ決定されていないとのことでありますが、子供たちに正しい食生活を身につけさせるために、学校教育の中で食育を充実させる必要があると思います。そのためには栄養教諭としての活躍が期待されるところでありますのでよろしくお願いしたいと思いますが、全国では今、その栄養教諭を既に任用し、さまざまな成果を上げていると聞いておりますので、本県も栄養教諭の任用配置を進めていただきますよう強く要望いたします。
 もう一点は、食育関連全体につきましては、早急に本県の食育推進会議等を設置いただきまして和歌山モデルの食育推進基本計画を立ち上げ、実行していただきたいと思うわけでありますが、国におきましては、今、内閣府に食育推進会議を設置して、その委員には食育担当大臣、それから関係大臣、有識者二十五名で組織されているそうでございまして、その会長は内閣総理大臣であります。
 本県につきましても、それらを考慮し食育推進会議なるものを設置していただきたいと思いますし、この食育については新たに食育推進局、こういったレベルの設置を強く要望するものでございます。
 また、クラゲ対策につきましては、紀伊水道汽水域内での発生や外洋クラゲの調査や早期発見をすることによって素早く対応のできるよう、水産研究所の調査船や漁業取締船等──漁業取締船というのは違法操業を取り締まる船でありますが、違法操業もさることながら、大型クラゲもしっかりと取り締まる体制づくりを整えていただきますよう要望いたしまして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浅井修一郎君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十分休憩
────────────────────
  午後一時四分再開
○議長(吉井和視君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十三番藤井健太郎君。
  〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 新年度の予算編成の時期を迎えておりますので、県当局としてどのような基本姿勢で新年度に臨もうとされておられるのか、幾つかの点についてお尋ねをし、要望も申し上げておきたいと思います。
 最初に、三位一体の改革の全体像についての評価についてお尋ねをいたします。
 政府・与党が十八年度の三位一体改革の内容について合意をし、十六年度から十八年度までの三年間にわたる改革期間が一応終わることになりました。十八年度は六千五百四十億円の国庫負担金、補助金の廃止となり、トータルしますと、所期の四兆円程度の国庫補助負担金を廃止し、三兆円の税財源移譲は達成できたことになっています。しかし、問題は、その内容が真に地方分権へとつながり、地方自治体の裁量がどれだけ広がることになったのか、また、国庫補助負担金の削減分に見合う税財源が移譲されたのかどうかです。
 十八年度の焦点となった生活保護費の国庫負担率削減は避けられましたが、小中学校教職員の人件費の国庫負担率が二分の一から三分の一に削減、国民健康保険療養費給付金の国庫負担率の縮小、児童扶養手当が四分の三から三分の一へ、児童手当が三分の二から三分の一へ削減など、地方自治体の裁量が及ばない義務的な事業内容での削減額が大きなウエートを占めているのではないかと思います。
 昭和六十年から始まりました第二臨調で、高齢者福祉や児童福祉など地方自治体への国庫補助率が八〇%から五〇%へ一斉引き下げをされたわけですが、その当時をほうふつとさせるものがあります。
 今回の三位一体の改革は、国の財政悪化を地方自治体へ転嫁することが主要な側面になっていたのではないでしょうか。また、十六年度に大幅削減された地方交付税の行方についても決着がついておりません。果たして地方側が求める一般財源の確保ができるのかどうか、その行方には目を離せないものがあります。地方分権にふさわしい地方税財源の拡充こそが望まれております。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 知事は、この三年間の三位一体の改革をどのように評価されるのか。また、この三年間の三位一体の改革で、地方分権の推進や県民の暮らし、福祉の充実に向けてどのような前進があったと考えておられるのか。具体的に県民に示せるものがあれば示していただきたいと思います。
 次に、雇用対策についてお尋ねをいたします。
 ことしの十月の完全失業率は四・五%と、かつての五・四%という戦後最悪の数字からは改善されたとはいえ、地域の実情には依然として厳しいものがあります。雇用問題は、国の労働政策や、とりわけ大企業の雇用動向によって大きく左右されます。
 今日、労働力の流動化政策が進められ、派遣や下請労働、パート化など低賃金、不安定雇用がつくり出されてきているもとで、県行政が雇用問題のすべてを解決できるものではありません。しかし、県がことし七月から八月にかけて行った県民意識調査の結果では、県政に望む施策として、働く場、雇用の確保がトップになっていることからも、雇用対策については県政の重要課題であることも間違いないところです。とりわけ、若年層でのニートやフリーターの増加、失業率の高さは、少子化問題、社会保障の担い手問題や技術の継承など、社会の生産基盤の弱体化をもたらす重要な社会問題にもなっています。そういう意味からも、社会全体での取り組みが必要となっています。
 国も、ようやくフリーター二十五万人常用雇用化プランの推進を打ち出し、ジョブカフェなどによる就職支援、ハローワークでのフリーター常用就職支援、若年者トライアル雇用などを進めています。県の若年者雇用の問題については、十六年度に策定いたしました雇用創出プログラムにおいて十六年度から十九年度までに若年者の失業率を一二・三%から全国平均並みの九・五%以下にするとの目標を設定し、各種施策に取り組んでいるところであります。このプログラムでは唯一、この若年者雇用の失業率の改善を目指す、このことが指数化されているわけです。
 そこで、商工労働部長にお尋ねをいたします。
 若年者雇用の取り組みはどのようにされてきたのか。若年者の失業率は改善が進んでいるのでしょうか。どのぐらいの失業率になってきているのでしょうか。また、どのような成果が見られるのでしょうか。新年度の若年者雇用対策をどのように位置づけて新年度予算編成に臨もうとされているのか。目標を示しての取り組みとなるのでしょうか、お尋ねをいたします。
 次に、災害対策についてお尋ねをいたします。
 世界各地でこれまで経験のしたことのないような災害が頻繁に起こっております。国内においても、近年、相次ぐ台風、地震などで多くの犠牲者や被害者が出ております。台風、地震は防げなくても、被害を最小限に抑えることは可能です。天災を人災にしないためにも、日ごろの備えを確実に積み上げていくことが求められています。限られた予算ではありますが、地域防災計画のハード面、ソフト面での対策を着実に進めていってもらいたいものです。
 そこで、災害対策について幾つか関係部長にお尋ねをし、要望もしておきたいと思います。
 一つは、地震防災対策アクションプログラムの課題についてです。
 本県では、東南海・南海地震など大規模災害への備えとして、地震防災対策アクションプログラムが十六年度に策定をされました。プログラムは予防対策、災害時応急対応、復旧・復興の三区分を設定し、二百二十項目の取り組むべき課題について、短期については十六年度から十七年度、中期については十六年度から十九年度、長期は二十年度以降も継続的実施と、実施期間を定めて取り組まれているところです。
 新年度は、短期の事業については取り組むべき課題は終了し、中期に取り組むべき課題については中間時点まで来ていることになるわけですが、短期の課題については今年度中にすべて終了するのでしょうか。また、新年度の取り組みについてどのように進めていこうと考えておられるのか、お尋ねをいたします。
 二つ目に、消火体制の確保の問題についてです。
 地震防災対策アクションプログラムでは、災害発生時に迅速適切な対策の実施として消火体制の確保が言われています。果たして大規模災害時にどこまで対応できるのか、不安な点もあります。
 プログラムでは、消防ポンプ自動車や防火水槽等の整備支援、山村・農村での防火水槽の設置の推進、消防職員及び団員の教育訓練の実施が目標を長期的に整備を進めていく課題となっていて、消防職員の確保の問題については課題とはされていません。
 消防庁は、ことし六月に、これまでの「消防力の基準」を「消防力の整備指針」と改め、各市町村はこの指針を整備目標として、地域の実情に即した具体的な整備への取り組みを要請したところです。整備指針は、消防庁舎、消防ポンプ自動車などの車両、防火水槽などの設備の配置基準や人員体制として消防職員の総数に関する事項を定め、改正前の消防力の基準と同等の要員を確保するとしています。全国集計されました二〇〇三年四月の消防職員の基準に対する全国の充足率は七五・五%となっていて、基準を満たしていない状況にあります。
 本県の消防職員の確保の状況はどうなっているのでしょうか。市町村合併や自治体職員定数の削減が進む中で、消防職員の基準を満たす配置はできているのでしょうか。基準に満たない市町村へはどのように援助をしていくのか。他府県との協定も結ばれているところですが、災害時に迅速適切な対応をするためには、自前での地域の実情に即した消火・救助活動の専門家である消防職員の指針に見合った確保が必要だと考えるところですが、実情はどうなっているのでしょうか、お答えを願います。
 三つ目に、障害者、高齢者などの要援護者の対応についてです。
 災害時に、病弱な高齢者や身体機能に障害のある人は避難することが困難ですし、避難所での生活も大変です。介護者がいても同様です。また、絶えず医師の管理が必要な病気の人もあります。阪神・淡路大震災でも新潟中越地震でも、昨年の各地の豪雨災害でも、常時援護を必要とする人の犠牲が残念ながら多くなっています。
 昨年の十二月議会で、私は災害時の要援護者の支援のあり方について早急に取りまとめるべきではないかと要請をいたしましたが、福祉保健部長は、防災情報の伝達と避難のあり方、避難所のあり方については十七年度末をめどに対策をまとめていきたいと答弁をされました。進捗状況はどのようになっているのでしょうか。また、どのような内容のものにしようとしているのでしょうか。
 四つ目に、木造民間住宅の耐震化の問題です。
 昨日の一般質問でも取り上げられておりますが、特定民間建築物、公共建築物、公共土木施設などのそれぞれの耐震化の取り組みが進められております。その中で、木造民間住宅の耐震化の事業があります。きのくに木造住宅耐震化促進事業として、十六年度から二十年度までの五年間の計画で二万戸の耐震診断と三千戸の耐震改修を行うとなっています。
 新年度は三年目に入るわけですが、県内には約二十三万戸の木造住宅が存在し、そのうち六〇%強の約十五万戸が昭和五十六年六月以前の建築で、震度六弱以上の揺れに対して倒壊、大破するおそれがあると言われております。
 県の改修制度だけでは賄い切れるものではありません。しかし、早急に耐震改修を進める必要があると思われます。とりわけ、自力では脱出困難な災害時要援護者の住んでいる住宅の耐震化を急ぐ必要があると思われます。
 県のこの耐震改修の制度、計画期間内に目標を達成し、さらに改修が前進できるよう関係機関に働きかけを強め、必要な制度の見直しや改善も進めていってもらいたいと思います。これは、強く要望をしておきます。
 次に、障害者自立支援法と県の対応についてお尋ねをいたします。
 この問題も既に詳細に本会議場で議論がされたところですが、できるだけ重複を避けてお尋ねをいたします。
 衆議院の解散で一たん廃案となった障害者自立支援法がさきの特別国会で成立し、新年度から施行されることになりました。県は、答弁されたように、ことし六月に県内三十六会場で意見交換会を開催、約二千人の参加者から寄せられた意見を踏まえて、障害者自立支援法に関する国への異例とも思える意見書を提出されました。
 意見書の内容は、利用者負担、障害程度の区分、支給の決定、障害福祉サービスの新体系、地域生活支援事業、自立支援型システムへの転換、難病や発達障害及び高次脳機能障害などの七節二十五項目にわたっており、その内容はいずれも障害を持った人や家族の要望を踏まえた納得できるものとなっておりました。
 障害児者の福祉施策は、障害を持つ本人や家族、支援をする人などがみずから運動を起こし、障害を持ちながらも普通に日常生活を送ることができる、そういう社会づくりを目指して必要な福祉施策を整備充実させてきたという歴史があります。それは、必要なサービスを利用することや障害にかかわる病気の治療を進めることで普通の日常生活を送ることができるということでもあります。
 これまでは、サービスを利用する際の経済的負担は、本人収入を基準として収入に応じて負担する応能負担に基づいて行われてきました。ところが、障害者自立支援法は、医療や福祉のサービス利用に原則一割の定率負担を持ち込み、入所施設や通所施設でも食費や居住費も利用者の負担とすることになっています。
 障害者自立支援法は、自立を支援するとうたいながらサービスの利用に応じて利用料を負担するというもので、障害が重いほど負担が大きくなります。低所得者には負担の軽減措置があるとはいえ、経済的負担がふえることには違いがありません。通所授産施設に通う人が、これまで本人収入に基づき無料だったものが、世帯収入となることによって一気に月額三万円が必要になる、そういう試算もされております。
 経済的負担がサービスの利用制限を招き、日常生活に支障をもたらすことになるとしたら、障害者福祉施策の後退ではないでしょうか。障害者自立支援法施行の細目にわたっては政省令にゆだねられている部分が多くあります。今後とも国への働きかけが必要となってまいります。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 県が六月に提出されました国への意見書、これはどのように反映されてきたのでしょうか。
 県としての今後の対応はどうするのでしょうか。国に対して働きかけをするということももちろんですが、県の施策の中で検討していくべき問題も多々あろうかと思われます。新年度予算に向けて障害者福祉施策の後退につながるようなことにならないのか。福祉サービスを必要とする人が必要なサービスを受け続けられるように、必要な対策について県としても検討していくという姿勢が求められていると思いますが、どのように考えておられるのか。
 また、県単独の補助制度として小規模作業所への補助が行われています。地域で障害を持ちながら生活する人の日中の生活の場、就労の場、生活支援の場として、みずからの力でつくり出し、活動を広げられております。県も財政的支援を行い、活動を支えているわけですが、これまでの施策を維持し、充実させていくことが求められていると思いますが、県はどのように考えているのでしょうか。
 二番目に、大きな柱として、医療制度改革についてお尋ねをいたします。
 まず、厚生労働省試案と政府・与党の医療制度改革大綱の評価と対応についてであります。
 厚生労働省がことしの十月十九日に医療制度構造改革試案を発表いたしました。国民的な合意を得るべく、議論のたたき台として国民に議論を呼びかけております。内容は、国民皆保険制度の堅持、医療費の適正化、給付と負担の透明化の三点を基本として、予防重視と医療の効率化、医療費適正化に向けた総合的な対策、都道府県単位を軸とする医療保険者の再編統合、新たな高齢者医療制度の創設、診療報酬体系のあり方など、抜本的な組みかえとも言えるようなそういう柱が用意をされ、組み立てられているわけです。
 その四十日後に、十二月一日には政府・与党が合意した十八年度医療制度改革大綱が発表され、来年の通常国会に一連の改革法案を提出するとされています。そこでは、生活習慣病など予防の目標設定と取り組み体制、都道府県医療費適正化計画の策定、都道府県単位を軸とする保険者の再編統合など、都道府県の役割が大きな位置を占めるようになっているように見受けられます。
 患者負担の関係では、三歳未満の二割負担軽減措置を就学前まで拡大、出産育児一時金を三十万円から三十五万円に引き上げなどの拡充される部分と、七十歳から七十五歳までを現行の一割負担から二割負担に、夫婦二人世帯で年収五百二十万円以上ある現役並み所得者は二割負担から三割負担に、長期療養病床では一カ月の食事代四万六千円と居住費一万円を自己負担に、人工透析患者で月収五十三万円以上の人の自己負担を一万円から二万円に、高額療養費の定額部分の引き上げなど、患者負担の引き上げが予定をされています。また、新たな医療保険制度として、七十五歳以上を対象に独立した高齢者医療制度を創設し、保険料は一人当たり年間七万円程度、財政運営は都道府県単位ですべての市町村が加入する広域連合とするとなっています。
 今回の改正案の特徴は、医療費を経済指標の範囲内に抑制し、医療給付の抑制を進めること、保険料や窓口自己負担の増など県民や患者負担が大きくなること、都道府県と市町村の医療保険における責任が大きくなることなど、議論を尽くすべき課題がたくさんあるように思います。
 とりわけ、高齢者の負担が大きくなるわけですが、年金が引き下げられるもとで、介護、医療、税と、新年度は負担増がメジロ押しです。国民生活基礎調査では、高齢者世帯の一五・二%は年間収入百万円未満、四二・六%が二百万円未満と、決して安定した収入を得ているわけではありません。高齢者が必要とする治療の抑制につながるのではないかと危惧がされます。
 また、厚生労働省試案が発表されたとき、都道府県に医療費抑制を競わせるなど、都道府県に求める内容について多くの自治体が異論を唱えました。国民の医療と健康保持について、国の果たすべき役割、自治体の果たすべき役割は何か、国民的議論が必要だと思うところです。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 知事の今回の医療制度改革についての認識はどのようなものがあるのでしょうか。また、県として医療制度改革について今後どのように対応されていくのでしょうか。
 次に、福祉医療制度についてお尋ねをいたします。
 現在、県の単独施策としての福祉医療制度として、六十七歳から六十九歳の高齢者、乳幼児(通院は三歳未満、入院については就学前まで)、重度心身障害児者医療(身体障害者手帳一、二級、三級は入院のみ、療育手帳A)、ひとり親家庭、父母のいない児童など、福祉医療制度が昭和四十八年から五十四年にかけて、県民の運動もあり、順次実施をされてきました。
 近年は、老人医療は平成十四年八月より生活保護基準を下回るような厳しい所得制限が設けられ、対象者を減らしていく方向です。乳幼児医療は逆に、年齢の引き上げや所得制限の撤廃で対象者をふやしていく方向です。重度心身医療も入院について三級が加えられ、母子医療も母子家庭から父子家庭を含むひとり親家庭へと拡大されてきました。
 福祉医療制度は、県と市町村が医療費の自己負担分を助成することにより、経済的困難さから必要な医療が受けられないという状況をなくし、県民の命と健康を守る上で重要な役割を担ってきました。また、少子化対策として、乳幼児の健やかな成長を保障するために、病気の早期発見、早期治療に資するものとして乳幼児医療制度が有効に機能していると思われます。自治体の単独施策としての福祉医療制度の充実を望むものであります。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 福祉医療制度についての意義、役割についてどのように考えておられるのか。
 新年度の制度設計をどのように考えておられるのでしょうか。
 精神障害者保健福祉手帳の所持者も福祉医療制度に組み込んでいくべきではないでしょうか。精神医療は障害者自立支援法に組み込まれ、現在の窓口五%負担から一〇%負担、原則一割負担へ引き上げられようといたしております。統合失調症を持ちながらも在宅で服薬を続けながら医療機関にきちんとかかって社会復帰を果たしている、そういう人もたくさんあります。自立を支援するというのなら、福祉医療の対象者として支援していくべきではないでしょうか。
 また、医療保険において乳幼児医療は、現在の三歳児未満まで二割負担を就学前まで二割負担に拡充しようという方向が打ち出されております。全国の自治体でも年齢の引き上げが進められており、県内でも就学前まで入院、通院とも実施している自治体が二けたを超えております。年齢の引き上げを求める県民の運動もあり、行政としてもこたえていくべきではないでしょうか。
 次に、高額療養費の支給についてお尋ねをいたします。
 七十歳以上の前期高齢者、老人保健加入者は、窓口一割負担となっています。収入により外来月八千円、一万二千円の負担上限額が定められていますが、窓口では一たん自己負担分を全額支払って、医療機関の発行する保険点数がわかる領収書を市町村に提出して、後日償還してもらう仕組みとなっています。窓口二割負担の人は月四万二百円で、これも償還払いとなっています。これまでにも、高齢者の高額療養費償還払い手続の簡素化を求めてきたところでもあります。低所得者に配慮した負担軽減策としても有効であると思います。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 七十歳以上の前期高齢者、老人保健加入者の医療費の自己負担分が限度額を超えた場合の高額療養費の申請と償還の実態はどのようになっているのでしょうか。十六年一月の老人保健についての調査の結果を見ますと、高額療養費支給の申請があり支給されている状況は、市町村によって五〇%に満たないところから一〇〇%実施されている自治体もありました。現在はどのようになってきているのでしょうか。
 負担の軽減を図る上から、老人医療高額療養費の支給方法、つまり一回の申請で済む方式を広げていくことが必要だと思います。また、負担限度額までを窓口で支払い、それ以上は支払う必要がないという高額療養費の受領委任払い制度というのが各市町村で取り組まれているところでございますが、この制度についても広げていくことを求めたいと思いますが、どのように考えておられるのか。
 以上お尋ねして、私の第一問といたします。ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、三位一体の改革に対する評価ですが、先般、ああいうふうな形でまとまったわけです。生活保護費の補助率のカットということにつながらなかったことはよかったと思いますけども、義務教育の方は補助率の削減というふうな形で不完全な形に終わったこと、その点は非常に残念に思っております。
 ただ、一つ言えることは、施設整備費、今まで建設国債対象でやっているものは税源移譲になじまないということでうまくいかなかった箱物に手がついたこと、それから、奨励的な補助金については各省が相当廃止という方向を出してきているということで、これを息長く運動を続けていけば、また今後につながっていくだろうというふうに思っているところです。やり方としては、各省への割り当て方式というのをとったのがこういうふうな成果につながっているのではないかと思います。
 それで、この三位一体の成果ということですが、これはなかなか──今はまだ中途段階なので、県民の人に目に見えるような形での成果というものは余り出てないんですが、幾つか例を挙げれば、例えば高等学校の奨学資金、これの貸与の基準というのが県が独自に行えるようになったので緩和をすることができたことや、それから、漁業近代化資金というのがあって、これは船をつくったりするときにお金を貸すんですけども、この補助制度がやめになったので、県がそういうふうな運営資金にも貸せるようになったということで、非常に対象の人から喜ばれているというふうなことがあります。さらには、細かい奨励補助金なんかで、申請事務で国の方へわざわざ出向いたりするようなことがなくなったというようなこと。これは小さなことですけども、ある意味では非常に重要なことじゃないかと思います。
 今回の三位一体の改革の結果は、まだはっきり細かいところまで出ておりませんので、その成果については今後わかり次第、また御報告していきたいと、このように思っております。
 次に、今度の医療制度の改革ということについての御質問ですけれども、今、少子高齢化と、そしてまた国、地方を通じて非常に財政等が悪化しているというふうな中で、この国民皆保険は、私は世界に誇るべき制度だと思います。日本人の平均寿命がこれだけ伸びてきたのも、やっぱりこの国民皆保険という仕組みというのが寄与したところが非常に大きいと思うので、これをやっぱり維持していかなければならない。ただ、今のままじゃ維持できないというふうな中から、大きな改革ということが必要ということの一環として今回大綱が示されたのではないかというふうに思っております。
 例えば、先ほど質問にもありましたように、生活習慣病対策でありますとか長期入院の是正を行ったりして医療費を適正化していくこと、さらには、県単位の高齢者医療制度を創設したり、国保なんかを広域化していくような再編、保険者の再編統合というふうなことが中心になっているわけですけども、こういうふうな、特に高齢者医療制度の創設でありますとか保険者の再編統合ということになってきますと、これは県としても非常に関係が深い事柄でございますので、今後、自治体の意見が十分反映されることが必要ですし、そしてまた、地方への単なる負担の転嫁にならないように歯どめをかけていく必要があるというふうに思っておりますので、県としてもこの問題については関心を持ちながらいろいろな形で関与していきたいと、このように思っております。
○議長(吉井和視君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 雇用対策についてお答えをします。
 景気は回復基調にあるものの、フリーターやニートの増加、高い離職率など、特に若者を取り巻く雇用の問題は依然として深刻なものがございます。このため、県ではジョブカフェ・わかやまを中心に、若年者の就業支援を和歌山労働局など関係機関と連携を図りながら一体的、効率的に展開しているところです。
 具体的には、就職セミナーの実施等による職業意識の向上やカウンセリング等による雇用のミスマッチの減少、また、企業との合同面談会を県下各地で開催し、多様な就業機会の提供に努めているところです。この結果、昨年度はカウンセリング事業や企業面談会などにより、約八百名を就職に結びつけることができました。そのほか、セミナー等により約千四百名の高校生等に対する就職支援を実施をしたところです。
 また、都道府県別、年代別の失業率につきましては、就業構造基本調査が五年ごとの実施でありまして、平成十四年以降の数値は公表されてございません。そこで、県内の二十歳から三十四歳の有効求人倍率を比較してみますと、平成十五年度の〇・五九倍から昨年度は〇・七七倍と改善傾向にございます。
 新年度につきましても若年者雇用対策を重点課題として位置づけ、ジョブカフェ機能の充実、ハローワークとのより一層の連携強化、就業体験の推進など、若者の多様なニーズに応じたきめ細かい支援を実施し、雇用創出プログラムに掲げた数値の実現に向け、積極的に取り組んでまいります。
○議長(吉井和視君) 危機管理監石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○危機管理監(石橋秀彦君) 災害対策の三点についてお答え申し上げます。
 まず、和歌山県地震防災対策アクションプログラムの課題につきましては、すべてのアクションに短期、中期、長期のいずれかの実施期間を設定し、各種の事業に取り組んでいるところであります。
 本年度は短期の最終年度となっておりまして、本年度末に最終的な進行管理を行う予定でありますが、おおむね順調に推移をしていると考えてございます。また、現時点での進捗状況等を踏まえ、中・長期のアクションはもとより、必要のある短期のアクションについても引き続き事業を実施してまいります。
 今後とも計画的な事業の推進を図るため、それぞれの施策の優先順位や整備目標等を踏まえ、予算の確保に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、消火体制の確保についてでありますが、県内の消防職員の配置状況につきましては、平成十五年四月現在の調査において、消防庁が示している「消防力の基準」に照らし合わせますと、全国平均を下回っております。消防職員の定数は、これまで、「消防力の基準」をもとに、各市町村において業務の体制などを勘案し、条例で定めることになっております。議員お話しのとおり、「消防力の基準」は本年六月に「消防力の整備指針」として改正され、各市町村においてその内容等の点検が必要となっております。
 一方、自治体職員の削減が進んでいる中、県内の消防職員につきましては、本年四月現在、約千四百人が配置されており、平成十五年度からは削減されておりません。厳しい財政状況の中ではありますが、各市町村では消防職員の必要性について十分認識されているものと考えております。
 今後は、市町村に対し、新しい指針に基づき地域の実情に即した消防体制の整備を進めるよう周知するとともに、消防力向上のため、市町村や関係機関と広域化についても検討してまいりたいと考えてございます。
 次に要援護者への対応でありますが、まず避難所のあり方につきましては、本年三月に「避難所のあり方指針検討報告書」を作成し、市町村あてに通知したところでございます。報告書は、災害時要援護者に配慮した避難スペースの確保や食料等の配布方法など、具体的な要援護者対策を盛り込んだ内容となっております。
 今後は、市町村に対し、災害時要援護者に配慮した避難所運営マニュアルが作成されるよう助言してまいりたいと考えております。
 また、防災情報伝達と避難のあり方につきましては、本年度末までに報告書を作成したいと考えております。この内容といたしましては、視覚障害のある人や肢体不自由のある人など、障害の区分ごとに情報の取得や避難行動などにおいてどのような支援が必要か、具体的に示してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 福祉保健部長嶋田正巳君。
  〔嶋田正巳君、登壇〕
○福祉保健部長(嶋田正巳君) まず、障害者自立支援法と県の対応についての三点の御質問についてお答えを申し上げます。
 まず、議員からお話がございました意見書につきましては、県内三十六会場で開催しました意見交換会においてちょうだいした県民の皆様方の切実な声や要望を集約したものでありまして、支援が必要な方や利用者の方のサービス利用の抑制にならないようにとの考えのもと、提出をしたものでございます。
 国会審議等において、所得の低い方に対する各種軽減措置や世帯の範囲等、具体的に示されたものもございますけれども、十分でない点もあり、また今後見直しを含め検討することになっているものもございますので、今後も引き続き国に対し強く働きかけてまいりたいと思っております。
 次に、障害者自立支援法施行後の今後の対応についてでございます。
 県としましては、福祉サービスや相談支援の提供体制の整備、各種の地域生活支援事業などについて積極的に支援し、法施行に伴う新体系のサービスが支援の必要な方や利用者の方に適切に実施されるよう取り組んでまいる考えでございます。また、事業主体である市町村の実施状況や実態を踏まえ、障害者が安心して適切なサービスが受けられるよう、市町村と協力して環境の整備に努めてまいる考えでございます。
 次に、県単独の施策に関する小規模作業所への支援の充実についてでございます。
 障害者自立支援法の成立に伴い、従来法律の位置づけがなかった小規模作業所がNPO法人格等を取得することによって、障害者自立支援法の中で就労継続支援事業や地域活動支援センター等の新たな事業運営が可能となります。このため、県としましては、まず、小規模作業所が円滑に法定事業に移行できるよう支援をするとともに、小規模作業所に対する運営補助につきましても維持をしてまいりたいと考えております。
 次に、医療制度改革の中での福祉医療制度についての御質問でございます。
 県単独医療費助成制度につきましては、それぞれの制度によって若干の違いはありますけれども、基本的には、医療費を助成することにより乳幼児や障害者等の健康の保持と生活の安定を図ることを目的としたものであり、福祉の向上に重要な制度であると認識をしております。しかしながら、少子高齢化の進展等に伴い年々その医療費が増加することが予想され、持続可能な制度となるよう制度全体の再構築を図る必要があります。
 一方、国の社会保障制度につきましては、議員お話がございましたとおり、今月一日に公表された医療制度改革大綱では、高齢者の患者負担の見直し、乳幼児に対する自己負担軽減の対象年齢の拡大等、具体的な見直しが検討されておりまして、また、さきに成立した障害者自立支援法では、精神障害者を含めた障害者福祉の一元化が実施されることとなっております。
 県単独医療費助成制度は、こうした国の社会保障制度とも密接に関連するものであり、議員御指摘の乳幼児や精神障害者に係る医療も含め、少子化対策の推進、障害者福祉サービスの一元化、給付と負担の公平化など、さまざまな観点から見直す必要があると考えております。いずれにしましても、国の社会保障制度の見直し議論の帰趨を踏まえまして県単独医療費助成制度を見直してまいります。
 次に、高額療養費の支給についてお答えを申し上げます。
 まず、高額療養費の支給実態でございますけれども、国民健康保険に加入している七十歳以上の被保険者の高額療養費の申請件数及び金額は、平成十六年度で十三万五千三百九十六件、約八億八千九百万円となってございます。また、高額療養費の支給率につきましては、老人保健法の適用となる七十三歳以上の支給率で把握してございますけれども、本年六月には九四・四%で、平成十六年一月と比べ一〇・三ポイント増加をしております。
 今後、高額療養費の支給率を高めるため、市町村に対し、対象となる被保険者に対する通知の徹底など指導をしてまいりたいと思っております。
 次に、国民健康保険の高額療養費の申請における負担軽減でございますけれども、被保険者の利便性の向上を図る観点から、今後、申請手続の簡素化などについて協議を行ってまいりたいと思います。
 次に、高額療養費の受領委任払い制度の拡大についてでございますけれども、高額療養費につきましては、現在のところ償還払いが原則となってございます。しかしながら、低所得者等でやむを得ない事情があり、医療機関の協力が得られる場合には受領委任払いの実施が認められており、現在、県内の三十五市町村のうち三十三市町村において実施をされてございまして、それぞれの市町村が実情に応じて要件を定めているものと認識してございます。
 以上でございます。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十三番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 答弁をいただきました。
 新年度の三位一体改革の内容、まだ細目について私もよく承知してないところがあるんですが、いずれにせよ、地方分権がどのように進んできたのかということが、私、問題だと思うんですね。
 国庫負担金と国庫補助金というのは、性格が違うんで。よくごちゃまぜにされがちなんですが、国が果たすべき役割、また地方自治体が果たすべき役割、補助金がなくなって一般財源化されて、地方に税財源が移譲をされることによって国の基準よりも地域の基準で、独自の裁量で制度を柔軟に使えるという、そういう点を大いに伸ばしていく必要があるだろうと、そういうふうに思うわけなんですが、これについては今後ともということもありますので、ぜひそういう方向で頑張っていただきたいと思うんです。
 社会保障の分野をとりますと、新年度は大変な状況が予測をされます。介護保険もそうですし、障害者福祉の分野についてもそうですし、医療分野についても来年十月からということで、これから国民的な議論になろうかと思うんですが、和歌山県としても社会保障アクションプランというのをつくるんだということで作業が進められていて、この十二月議会でも議論したかったんですが、まだだということですので、新年度予算とあわせて、こういった国の社会保障制度──大きな改編がされ、県民の生活が大きく影響を受けて必要な福祉サービス、社会保障というのが受けられないと、そのことによって県民が非常に困難な立場に追いやられるということがないように地方自治体としてそこを救済していくという、それを社会保障アクションプランでぜひ組み入れていっていただきたいと思うんです。
 限られた財源で、財政厳しい中でもありますが、県民の暮らしを擁護するという立場でぜひ頑張っていただきたいということを要請いたしまして、質問を終わります。
○議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤井健太郎君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十六番下川俊樹君。
  〔下川俊樹君、登壇〕(拍手)
○下川俊樹君 議長のお許しをいただきました。本日は最終日であります。皆さん大変お疲れであろうと思いますけれども、最後まで御清聴いただき、質問四点、そして御意見を一点申し上げて私の質問とさせていただきたいと思います。
 第一点の問題は、救命救急医療センターについてでございます。
 県では、現在、第三次の救急医療機関として、日高、田辺、新宮の各医療圏、合わせておおむね三十万人の人口を対象に新型救命救急センターを整備しようとしてございます。五名の専任医師及び専任スタッフを有するセンターであり、北に偏在する本県の医療実態を勘案すれば、大歓迎であります。一日も早い整備をお願い申し上げたいと思います。
 しかしであります。平成十六年度のドクターヘリの運航状況や各医療圏ごとの医療機関の整備水準を見ますと、果たしてこれで十分なのかなとの印象を私は持ってございます。
 御坊医療圏、人口七万二千九百八十五人、面積五百七十八・九六キロ平米、医師の数は百四十名、新宮医療圏、人口八万八千二十九人、面積一千百二十七・〇八キロ平米、医師の数は百七十一名。田辺には、南和歌山医療センターや社会保険紀南病院という立派な基幹病院がございます。
 問題は、この基幹病院までの時間距離であります。高速道路の整備もあり、御坊からはあっという間であります。恐らく三十分もあれば十分ではないのかと思います。一方、新宮からはどうでしょう。約二時間というのが実感であります。もし田辺に位置するというならば、近い御坊と広くて遠い新宮圏域では同じ基準では考えられないのではないかと思います。
 平成十六年度のドクターヘリの運航実績は三百二十八件。ドクターヘリの導入により全県的に多くの生命が救われたところであり、高く評価するものであります。今後は、さきの本会議において同僚尾崎要二議員が質問をされました運航時間の延長など、運航体制の充実を図っていくことが必要であると考えてございます。
 そこで、このドクターヘリの運航状況の内訳を見ますと、旧串本町を加えた新宮・東牟婁地域の搬送件数五十四件、三重県、奈良県の十件を加えますと合計六十四件になります。伊都郡の六十六件に匹敵する実績となってございます。広さゆえ、高齢者が多いゆえの救急医療に対する要求の結果ではないかと思います。救急医療圏として、二時間は遠過ぎます。せめて一時間の範囲で考えていただきたいと思います。
 発想を変えて、新宮を中心とした一時間救急医療圏域を想定いたしますと、新宮・東牟婁地域八万八千二十九人に三重県熊野市、北牟婁、南牟婁郡の六万四千五百二十七人を加え、十五万二千五百五十六人のいわゆる熊野圏エリアが設定されるわけであります。広域医療圏のセンター機能を担う、これが将来にわたる新宮市の位置づけだと私は考えてございます。
 田辺まで二時間の時間のハンデを解消し、熊野圏エリアの中核都市としての機能を備えるため、この二つの要因をもとに、私は新宮救命救急医療センターの設置を要望するところであります。新宮市立医療センターを基幹病院とする新宮救命救急医療センター設置提案に関する知事の御所見をお伺いしたいと思います。
 質問の第二点は、熊野川河口大橋の建設についてであります。
 この問題につきましてはこれまでも何度か質問もし、当局にあっても着実に調査を進めていただいておりますので、本日は重複を避けて、お願いを申し上げたいと思います。
 全国的に少子高齢化が急ピッチで進み、同時に都市への一極集中といった社会的、経済的背景にあって地方都市はますます疲弊し、このままでは、紀南地域の中心都市としての役割や位置づけを果たしてきた新宮市も、早晩深刻な事態を迎えることになるのじゃないかなと心配をしてございます。
 熊野古道や熊野三山が、皆さんのおかげで世界遺産に指定をされました。大変すばらしいことだと思います。近くの串本の海がラムサール条約の対象地域として指定をされたわけであります。いわば海の世界遺産であり、新宮市を中心とする熊野地域は、山と海の二つの世界遺産を同時に有する極めて意義深い地域となりました。
 このすばらしい自然環境をどう守り、育てていくのか。私は、そこに住む人々の暮らしを忘れてこの答えはないと思ってございます。すばらしい自然環境は、今もそこに住み暮らしている地域の人々が守り育てているから常に私たちに優しいんだろうと、そのように感じております。このことは、これまでも、そしてこれからも変わることはありません。
 こうした歴史的な役割や県土のバランス、あるいは紀伊半島南端に住まいする人々にとっても、新宮市は熊野の中心都市として健全に維持・発展していかなければなりません。もとの新宮市だけでは、人口の減少や高齢化は覆うべくもありません。こうした現実を認識し、なおかつ新宮市の都市機能を維持し、さらに高めるためには、新宮市への流入人口をふやすことであります。その対象が、東牟婁に限らず、三重県であっても同じだと思います。
 広域医療都市、広域商業都市、広域教育都市、新宮が果たす役割、新宮市の可能性──私は、キーワードは「広域」にあると考えてございます。新宮市が三重県の南部地域まで、すなわち二県を越えたいわゆる熊野圏の中心都市としての役割を果たす、このキー施設が熊野川河口大橋なのであります。
 現在、国道四十二号にかかる大橋が朝夕強烈なラッシュに見舞われること、現在の市街地は人家密集で新たな道路を建設する物理的空間がない、用地を求めるとすれば海岸通りから熊野川河口に求めざるを得ないことなども、既に当局も調査を通じて共通の認識であろうと思ってございます。
 もう一本、通勤や買い物や、そして救急に対する橋が欲しいんです。これは、三重県側の要求でもあります。幸い、国土交通省もほぼ同じ認識に至ってございます。地元も大変な盛り上がりを見せており、既に熊野川河口に橋を架ける会も結成をされ、活発に活動を始めています。一日も早い実現が待たれるところでございます。現在の調査の状況と今後の方針を県土整備部長にお伺いをしたいと思います。
 第三点は、市町村合併についてであります。
 平成の市町村合併も、ようやく一段落との感じでございます。効率のよい自治体のスケールを目指すとした合併当初の目的は満たされたのでしょうか。全国的には三千二百三十二の自治体が千八百二十一に、県下では五十市町村が三十市町村となりました。和歌山県の削減率は四〇%、削減順位は三十位ということでございます。
 個別の市町村では、それぞれ地元の事情を抱え、大変な御苦労や苦渋の選択があったことと思いますが、結果としては合併により新しい動きも起こってまいりました。私たちの身近なところでも、選挙区の組みかえや議員定数の見直しなど、余波が及んでございます。
 私なりに今回の合併の結果を総括しますと、大方の県民が「まあよかったな」と思った合併の結果であったと評価をしてございます。しかしながら、一部には、必ずしも今回の大きな合併に乗らないと申しますか、乗れない町村も見受けられました。一万人以下の町村が十一存在することが、この間の事情を物語っていると思います。
 こうした全国の動向や問題点、課題等を踏まえながら、総務省は第二段階の市町村合併を促すべく、平成十六年五月二十六日、法律第五十九号として市町村の合併の特例等に関する法律を公布いたしました。
 新法では、県知事は合併を推進する必要があると認められる市町村の組み合わせ等を内容とする市町村の合併の推進に関する構想を定める、知事は構想の対象となった市町村に対し合併協議会の設置を勧告することができる、さらに、構想対象市町村で構成する合併協議会に対し合併に関する協議の推進に関し勧告することができるとされてございます。もう一段の合併を推し進めるのだとの決意のあらわれだと理解できます。
 私は、一昨年六月の本会議で新宮・東牟婁九市町村の広域大合併を主張してまいりましたとおり、今も十万人の新市の誕生を期待する立場であります。このことは、先ごろ経済産業省が取りまとめた二〇三〇年の都市圏ごとの経済規模予測によりますと、人口規模が小さいところ、出生率が低いところほど経済活動も落ち込みが激しいという結果報告からも主張の根拠となり得るものであり、一方、規模の小さな町村にあって、既に必要なインフラ整備が終わっているとか、一定額の財政調整基金があるといった理由から、小さい規模のまま現在の町村運営は可能と主張するところもあるやに聞いてございます。
 各振興局では既にこうした町村からヒアリングを始めているとのことでありますが、今般、県が新法に基づき新たな作業をスタートさせるに当たり、どのような市町村合併について考えておられるのか、県の方針を確認するものであります。総務部長の御見解をお伺いしたいと思います。
 最後に、東南海・南海地震対策についてお伺いをいたしたいと思います。
 今年八月、米国南東部に甚大な被害を与えた大型ハリケーン「カトリーナ」──浸水した建物の屋上で援助を待つ市民の姿は、昨年のスマトラ沖地震に伴うインド洋大津波をほうふつさせるものであり、自然災害の脅威と悲惨さを改めて認識させられたところであります。
 さて、本県においてはどうでしょうか。今後三十年以内に五〇から六〇%の確率で発生が懸念される東南海・南海地震。この喫緊の課題に対し、東南海・南海地震対策特別措置法の制定を初め、これまでの知事のスピード感あふれる積極的な取り組みに深く理解をするものであります。昨年、県が実施した県民意識調査においても実に九五%もの県民が関心を持つなど、東南海・南海地震に対する県民の意識は非常に高まっているものと評価するところであります。
 しかしながら、「みずからの命はみずから守る。ぐらっと来たらすぐ高いところへ避難する」、こうしたインパクトの強い啓発は、県民の防災意識の向上に直結した反面、県民の不安感を増幅させる結果ともなってございます。
 とりわけ紀南においては、津波の第一波が地震発生後十分前後で到達することが予測されてございます。本当に避難できるんだろうかと。特に小さなお子さんや障害者、高齢者のいる家庭にとって、事態は一層深刻であります。服を着たまま寝ている人、高台に転居された人、シェルターが必要であると言われる人など、住民の不安は募るばかりであります。
 対応時間が限定されている中、こうした住民の不安解消を図りつつ効果的な対策を推進するためには、画一的な対策だけではなく、より地域の実情に即応した多様な手法が重要であると考えてございます。津波到達予定時間と避難時間等を考慮した避難場所、避難路の確保、災害時要援護者対策、堤防・護岸・防波堤などの津波防護施設の整備・改良、水門の閉鎖等、各地域の置かれた現状を踏まえたソフト、ハードが一体となった総合的な津波予防対策を強力に推進することが重要であります。
 県では、現在、災害発生時の司令塔として防災センターの整備と衛星系無線の導入等通信手段の強化に取り組まれておりますが、津波対策に関しては、こうした行政防災体制の強化とともに、地域の防災力を高めることが肝要であると考えてございます。
 高速道路は紀北から紀南へ、防災は紀南から紀北なんです。危険度の高い紀南地域から重点的に施策を推進していくことが重要であると考えております。
 津波対策は生命にかかわる問題であり、県政の最重要課題として重点的に予算を確保し、強力に施策を推し進める必要があると私は考えますが、知事の御所見をお伺いしたいと思います。
 最後に、紀の国森づくり条例について一言申し上げたいと思います。
 今回、我が自由民主党県議団が、戦後初めてと言われるように、議員提案による課税条例を提出いたしました。この議案提案に対する賛否さまざまな意見があることは、この四日間の本会議場での質疑を聞いていると明白であります。議員各位、市町村、あるいは県民の方々、それぞれの立場から本提案に対し意見が百出し、あらゆる角度から議論が活発化をすることは大いに歓迎するべきことであります。
 この厳しい県民生活の中で、新たな課税で県民に一層の負担増をもたらすとの意見もございます。しかしながら一方で、本県が有する三十六万三千ヘクタールに及ぶ広大な森林をこのまま荒れるがままに任せて放置しておいていいものかという意見もあります。森林は、整備が進めば進むほど本来の県土保全機能を高め、私たちにきれいな水や空気といった豊かな環境をもたらしてくれます。多少の税負担があっても森林を整備すべしとの声もございます。結果として山林地域の活性化や雇用の創出につながればうれしいなという声もあります。
 次代に誇れるふるさとを残してやりたいです。私は、この勇気ある提案に対し、本会議で前向きで適切な判断をしていただけると思ってございます。提案者の一人として意見を申し上げ、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。
○議長(吉井和視君) ただいまの下川俊樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、三次救急医療体制整備についての御質問でございます。
 この問題は、もう皆さん方も御案内のように長く、紀南地域にこの三次救急医療体制を整備したいということは、もう本当に悲願だったわけです。ただ、御案内のように非常に厳しい財政状況があるというふうな中で、ドクターヘリを飛ばしたり、いろいろな形での対応という形をしてきたわけですが、このたび新型の救命救急センターという制度ができたので、これにうまく乗ることができれば今までの懸案の一部でも解消できるのではないかというふうに考えているところです。
 ただ、御質問にもありましたように、この救急というのは時間距離が非常に大事なわけでございまして、そういうことからいえば、今想定されている場所に仮にできたとしても、例えば新宮の地域から二時間かかるということになれば、これはなかなかこれで対応できるというふうなものではないということは、もう私どもも十分理解しているところでございます。
 いずれにせよ、先ほど熊野圏構想という構想が出されましたけれども、この実態に即して、今後、関係医療機関や保健機関などを中心に検討会を早期に開催をしてこの地域の救急医療体制の整備について具体的な検討を進めていきたい、このように考えているところでございます。
 またドクターヘリについても、今、非常に有効に動いていてうれしいわけですが、さらに改善できるものがあれば改善していく努力も続けていきたいと、このように思っております。
 次に、東南海・南海地震対策でございますが、御指摘のように、いろいろなことをやってまいりました。津波の大変さというのは、この問題が提起したときよりも、スマトラ沖地震なんかが出て非常に切実なものになっておりますので、図上シミュレーション訓練の実施でありますとか、総合避難訓練の実施でありますとか、それぞれの個人に着目した避難台帳の整備でありますとか、こういうふうな和歌山独自というか、和歌山でしかまだやっていないような制度もどんどんやってきたところでございます。
 そしてまた、この津波の被害というのは特に紀南の地域で大きいものが予想されるし、しかも、避難時間というのが限られているということも、これまた事実でございます。こういうふうな状況を踏まえて、今言ったようなソフトの整備はもちろん、そしてまた啓発はもちろん行いながら、例えば避難タワーの整備でありますとか、それから避難路・避難場所の整備、そしてまた有効な本当に必要な場所での堤防の整備と、こういうふうなことを、これから厳しい財政状況の中でも人の命は一番大事ですので、そういうふうな観点から今後進めていきたいと思いますし、また、その紀南が重要であるということの意識を持って行っていきたいと、このように思っております。
○議長(吉井和視君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 熊野川河口の架橋につきましては、昨年度から国土交通省、三重県と協力し、熊野川下流地域幹線道路網検討会議を設置して、国の補助を活用し、調査を実施しているところでございます。調査の現状につきましては、河口部周辺の道路現況ネットワークの問題点を抽出し、道路交通問題を解決するため必要となる新たな道路網の素案と課題の整理等について、今年度中に中間取りまとめを行う予定でございます。
 また、地元においても、熊野川河口に橋を架ける会による国土交通省への活動など、当地域における道路ネットワークの強化を求める強い要望がなされているものと認識しております。
 来年度も引き続き補助調査を要望しており、国及び三重県と連携しながら、将来交通流動や架橋位置の検討等、必要性、可能性の両面から一層調査を進め、構想の具体化に向けて努めてまいりたいと思っております。
○議長(吉井和視君) 総務部長原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○総務部長(原 邦彰君) 市町村合併についてのお尋ねがございました。
 旧合併特例法におきまして県内の市町村は三十団体に再編することとなりますが、なお合併に至らなかった地域や、御指摘にもありました小規模な町村も残されております。
 本年四月から新しい合併特例法が施行されまして、この法律のもと本県においても市町村合併推進審議会を設置いたしまして、市町村合併推進構想を策定すべく、今、御審議をいただいているところであります。この審議会での十分な議論を通じまして、各市町村の意向や将来見通しも勘案しながら、旧法で合併に至らなかった地域や小規模の町村が存在する地域などについて、県内の市町村の望ましい姿を示してまいります。
 今後、第一次の合併における行政面、財政面の具体的な効果があらわれてくることも踏まえまして、積極的に県も役割を果たしてまいりたいと考えており、年度内には合併推進構想をお示しし、その後の各市町村における取り組みの進展状況によっては、御指摘にもありました新法に基づく勧告権の活用も含め、積極的に対応してまいります。
○議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 以上で、下川俊樹君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
 次に日程第三、議案等の付託について申し上げます。
 ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 次に日程第四、請願付託の件について報告いたします。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、御了承願います。
 お諮りいたします。十二月十二日及び十三日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(吉井和視君) 御異議なしと認めます。よって、十二月十二日及び十三日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、十二月十四日定刻より再開いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時二十五分散会

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