平成17年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(山下大輔議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
質疑及び一般質問を続行いたします。
二十六番山下大輔君。
〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 皆さん、こんにちは。
ことし最後の議会、三日目最終の質問者として頑張らせてもらいたいと思います。
さて、ことしもあっという間に時間が過ぎ、早いもので、もうこの議会が終わると、平成十七年も残すところわずかとなります。本当に時間の流れるのが速く感じます。ことしもいろいろありましたが、とにかく先輩・同僚議員の皆さんと目指す目標は一つ、すばらしい和歌山をつくるということだと思います。この一年を振り返ると、やり残したこともたくさんあるように思いますが、とりあえず、本年最後の議会となりますので、しっかりと締めくくれるよう今回も心を込めて質問いたしますので、当局の皆様には誠意ある御回答をよろしくお願いいたします。
今回の質問は、テーマを三つに絞り、まず初めに環境問題、次に安全・安心の地域づくり、防犯力の向上、そして最後は産業振興に係る質問をさせていただきたいと思っています。
さて、その通告の質問に入ります前に、今議会で大きな注目を集めている紀の国森づくり基金条例並びに税条例について、提案者の一人として、少し私なりの考えを述べさせていただきたいと思います。
今議会で提案されている紀の国森づくり条例については、これは、俗に言う政策条例として議員間で本格的な議論をされるものでは和歌山県議会初となる議員提案条例です。まず議会として自前で政策条例をつくり、それを議案として提出していくということについては、立法をつかさどる本来の議会の役割としても非常に大切なことであり、今後の議会の活性化ということを考えても大変意義のあるものだと考えています。
ことし六月にドイツ調査を行ったとき、議員提案の政策について、かんかんがくがくの話し合いがされる現場に立ち会わせていただきました。そこでは、地域をよりよいものとするために、議員が責任を持ち、さまざまな政策立案の主体となって取り組み、議論を闘わせている姿を見て、強く共感するものでありました。
今、日本でも地方分権が叫ばれる状況で、地方議会としても真剣に地域の自立を目指して責任ある行動が求められる中、少しずつ政策立案の主体としての動きも出てきているのだと思います。そこで我々も、厳しい道ではありますが、歩みをとめてはいけないのだと思います。
さて、今回提案されている議案について、これまで私自身も、環境に係る諸問題については、さまざまな提案を含め、この議会でも積極的に発言してきましたが、とにかく今は環境問題への県民全体の意識をより一層高め、議論を大きく前進させるときだと考えています。
今回、この条例案については、いろんな声が寄せられています。議論が尽くされていない、内容的にも本当にこれが最適なのか。私も提案者の一人として、そういった声には真摯に耳を傾けつつ、しかし、そこではしっかりと議論をすればよいのだと思っています。議会は、言うまでもなく言論の府として、その権限を県民から負託されているものであります。議論を尽くす議会としては、大いに考え方をぶつけ合うところから県民にとってよりよい答えが導き出されるものと私自身は信じています。
今回この条例案を提出するに当たって、提案者の中でもその取りまとめの中心になられた先輩議員には敬意を表する次第です。議員提案となる議案を提出するというのは簡単なことではありません。不十分と指摘される意見の集約についても努力をされてきたことは事実です。
そもそも、税をかけるといったことでは当然多くの不満が出ることは国の消費税論議などでも明らかで、仮に将来を見据えて必要なものだとしても、税をかけることへの反対の声は強く出ます。しかし、不人気なことを承知でそれを出していこうとすることも時には必要とされます。
環境問題については、あくまでそのもの自体への取り組みの重要性はだれも否定しないものと思います。また、今回の環境保全に関する税条例は、同様のものが少なからず他の都道府県でも議論され、制定されているところです。さらに、これは後の質問の中でも触れますが、国民の意識としても非常に高い関心、理解が示されています。環境問題を口にする限りは、やはりある程度の不自由さと税負担などの痛みを伴うことが前提となります。やりたい放題やっておいて環境問題はないのです。
ただ、繰り返しますが、私も今回の議案の提案者の一人として、その責任においてしっかりと議論を尽くすことが必要だと思っています。議案の上程に当たっては、これは当局から出されるものであっても、議員提案とするものであっても、時として修正、また、全体の同意をすぐに得られない場合には我慢強く議論を続けることが議会の責任だと私個人としては考えているところです。
言うまでもなく、税といったものはその地域のあり方、将来の姿を映すものであり、非常に大切なものです。税の体系をなす理念としても、世代を超えて将来の長きにわたって共有できるしっかりとした考え方を示さなくてはいけないことは当然のことであり、そこでは、この県議会でも議員一人一人の考えをしっかりとくみ上げつつ、そこではよりよい答えを導き出されるよう努力することが必要で、私も微力ではありますが、できる限りの取り組みをさせていただきたいと考えているところです。
それでは、続けまして、議長のお許しをいただき、通告に従って順次質問をさせていただきます。
まず初めに、次の時代の子供たちのために、自然環境の保全と活用について。
先日、私は、ポール・コールマンという人物と出会いました。ポールさんは、お手元の資料でも御確認いただきたいのですが──一枚物の資料です──一九五四年、イギリスのマンチェスターで生まれ、世界をまたにかけて歩き続け、木を植え続けている人物です。国連からも、その環境機関であるUNEPから正式に「アースウオーカー」という称号を受けています。ひそかに、彼の関係者の間では、将来はノーベル平和賞の栄誉を何とか受けさせてあげたいといったことも努力されているようです。
全世界をまたにかけて活動を続ける中、ことし五月には、愛知県で行われた愛・地球博で地球を愛する百人に選ばれ、記念講演のため来日されました。その後、六月からは沖縄、続いて私たちの和歌山でも植樹セレモニーなどを行い、その後、熊野古道も歩いてもらいました。そこでは、美しい自然環境と脈々と受け継がれる文化が残る和歌山の地を高く評価してくれていました。
コールマンさんは、「一人の小さな思いが、十人、百人とどんどん広がって大きな力になり得ることがわかった。だから、自分は希望を持って旅を続けている」と話しています。
彼は、一九八八年に訪れたアイスランドのむき出しの自然に心を打たれて、地球のために働くという決心をしたそうです。そこから仕事をやめ、無一文となり、以来十五年間、地球を歩き続け、環境保護活動を進めてきています。
小さな存在でしかない個人が、しかし、強い思い、彼の表現をかりると「正直で正しい動機」があれば大きな仕事をなし遂げられる。「たった一人で何ができる」といった弱い心を持った人間の常套句は、彼の前では無意味です。たった一人の意思、行動で世界は変えられる、それを地でいってるのがポール・コールマンさんです。壮大なミッションをこなしながらも笑顔を絶やさず、気負いのない彼の生き方には多くの人が共感するものであり、今、彼の周りには大きな輪が広がっています。
これは、彼を紹介した本です。(資料を示す)資料の中にも一部情報を提供しておりますけれども、これは日本人である奥様の菊池木乃実さんが書かれた本です。「木を植える男 ポール・コールマン 四万二千キロ徒歩の旅」──これは下手な冒険小説など足元にも及ばない、壮絶でありながら、しかし、どこかこっけいで、それでいて読む人に生きる勇気を与えてくれるすばらしい本だと思います。ぜひ一度、皆様にもお読みいただきたいと思います。
彼に会って本当にいろんなことを考えさせられたのですが、今、私たちに必要とされるのは、世界をよりよいものへ変えていこうとする強い気持ちと少しの勇気、そして行動です。彼と話す中で、環境問題に取り組むことの必要性を改めて確信し、議員活動を行っていく上でのさらなる使命感を与えられたと思っています。今回のこともよい機会として、今後さらに環境問題には全力で取り組んでいきたいと思っているところです。
さて、このポールさんとの出会いを踏まえて、今回は改めて和歌山の環境保全に関する幾つかの質問、提案をさせていただきたいと思います。
私たちは今さまざまな問題に直面していますが、中でも環境問題は、先輩・同僚議員の多くも指摘されているとおり何にも増して重要なものであり、特にこれからの未来、子供たちの未来を考えると早急に取り組まなくてはいけない課題となっています。また、それは和歌山という地域の未来を考えても、都会にはない個性を輝かせ、より豊かな地域を創造する糸口となるものです。今こそ、この環境に係るさまざまな問題をしっかりと受けとめ、その解決策を真剣に考え、そして行動していくことが求められます。
そんな中、今、和歌山県では、さまざまな環境保全事業を進めています。ここまで積み上げられてきたそれぞれの取り組みは、他の地域、自治体と比較しても決して見劣りするものではなく、相当に頑張っているものだと私自身も感じています。
先月、十月二十六日には、サントリーが企業の森事業に参加することを発表しました。これまで、全日本空輸、大阪ガス、イオン、東京海上、ユニチカ労働組合、関西電力労働組合、連合和歌山、また地元企業としても紀陽銀行、和歌山セイカ、住友金属工業和歌山製鉄所さんなど、そうそうたる企業、団体が協力して、合計で百六・四ヘクタールの企業の森が実現するものとなっています。
今、「環境を守ろう」「森を守ろう」という和歌山から発信されたメッセージは、全国的にも大きな広がりを見せていて、これはすばらしいことだと思います。しかし、県下全域を見渡すと、和歌山の森林面積は県土の七七%を占める三十六万三千七百五ヘクタールあるわけで、まだまだ先行きは長い道のりとなっています。今後は、この流れをもっともっと大きなものとしていくためにも、現状で行われている環境保全に係る取り組みの中で、特に森林環境に関する県の施策についてもう一度点検を行い、それらが将来にわたって継続し、着実に成果を上げていけるものとなるよう見直していくことが望まれます。
現在の環境保全に係る県の取り組み、特に森林・林業施策などに焦点を当てると、それらは今、大きな転機を迎えています。国としても、平成十三年に林業基本法を公益性を重視する森林・林業基本法として、その大きな方針の転換を図っていますが、その意味は、これまでの森林、山林の振興を単に業、なりわいとしての人の仕事を守るといった側面だけでとらえてきたものを、より幅広く、環境保全といった考え方の中で、公益性を前面に打ち出すものに定義し直そうというものであります。
また、あわせて、これまで本県が先頭に立って取り組んできた緑の雇用などについても、その背景となる状況が大きく変化しようとしています。緑の雇用が生まれてきた社会的背景を考えてみると、それは、そもそも我が国の経済情勢などが深く関係するものであり、経済不況の中で失業者が増加し、雇用対策の必要性が叫ばれる中で、国の後押しを受けて生まれてきた政策であります。そこでは、経済が持ち直し、雇用環境も改善される中では状況が大きく変わる可能性があります。
そういった中で、もう一度、これまでの森林・林業施策全般を見渡しつつ、どのようにすれば将来にわたって安定的に継続して緑の雇用事業なども含めた森林整備事業を推進していけるのか、施策全体としてとらえ直すことが必要だと考えます。
そこで、まず知事に、現在まで和歌山県が行ってきている森林保全、森林整備といった視点から見た環境問題への取り組み状況について、緑の雇用なども含めて、その評価をお聞かせ願いたいと思います。
あわせて農林水産部長に、今、国でも森林業に関する施策そのものが方針転換される中で、その考え方をともにするのであれば、公益性を前面に出す環境保全の意味合いがより大きなものとなってきます。そこでは、現在県が進めているさまざまな環境保全に係る事業と従来から行ってきている林業施策などについて、それぞれ積み上げ式に取り組んでいくだけではなく、この辺で整理するタイミングに来ていると思われます。これまでの事業の整理、再編について真剣に考えていかなくてはいけないものと思いますが、部長の御認識をお聞かせください。
さて、次に国の取り組む環境税問題について。これは県の森林政策、環境保全事業の再編整備といったことにも大きくかかわる問題ですので、私なりの考えを述べ、あわせて質問並びに提案をさせていただきたいと思います。
まず、そもそも国の環境税が議論される状況を改めて確認してみると、それは、当然ながら目前に迫られている京都議定書への対応が大きな理由となっています。地球温暖化防止のための京都議定書が発効され、温暖化ガスの排出抑制策が関心を集める中で、税の世界として、石油、石炭など化石燃料に課税して温暖化ガス排出を抑える環境税が議論されるものであり、京都議定書の目標達成に向けた強力な手段と位置づけられています。
京都議定書の温暖化防止の目標達成に向けた対応としては、大きく二つあります。一つは二酸化炭素の排出削減に向けた対策であり、もう一方は二酸化炭素を吸収して全体の排出量を抑えようとするものです。これには、吸収源となる森林などを整備して二酸化炭素の吸収率を高めることが期待されます。
このように、温暖化防止には排出対策と吸収源対策が二本柱となるわけですが、その中で環境税は、税をかけることで排出を抑制し、その財源をもって吸収源となる森林を整備していくという二つの役割を同時に担うこととなる大切なものです。このポイントをしっかり押さえておくことが重要です。そこでは、吸収源となる豊かな森林を抱える私たち地方の自治体として早期に環境税を成立させることが県益にかなうものであり、そのための積極的な行動が求められます。
ちなみに、この二酸化炭素の削減には、特に吸収源対策の期待が大きなものとなっています。現在、日本政府が掲げる六%の削減目標の中で、その半分以上となる三・九%の削減を森林に頼ることが予定されているのです。
しかし、我が国の森林の状況は、皆様も御存じのとおり、その生業としてきた林業が低迷し、このことから間伐などの手入れが行き届かず、モヤシのように細く災害にも弱い森林がふえ、今のままでは日本が予定している三・九%の二酸化炭素の吸収源としての機能を十分に発揮することができないと指摘されています。
日本の林業が厳しい状況にある中では、国民の理解を得つつ、国や地方公共団体などの予算措置による森林整備を行っていかざるを得ないわけで、そのためにも環境税の早期導入及びその税収のできるだけ多くを森林整備の財源として地方に分配するよう、国に対して強く働きかける必要があります。そんな中、県も、さきに行った政府要望において財源の確保を要求しています。
こういった状況を理解した上で、次に、現在の環境税成立に向けた議論を整理してみますと、今、国では環境税に対する議論が活発になり、特にここ一、二カ月のやりとりは、最後の取りまとめを前にして激しい攻防がなされる状況にあります。
まず、環境省は先々月の十月末に、来年度税制改正で導入を目指す環境税の具体案を取りまとめました。これは、石油、石炭などの化石燃料に課税し、その財源は森林整備や企業の省エネルギー促進などに充てるというものでした。しかし、これに対して政府の税制調査会では、先月の十一月二十二日の総会で二〇〇六年度税制改正の答申案をまとめていますが、その中身を確認してみると、環境税については引き続き検討するとし、来年度の導入を見送る方針を明らかにしています。
この政府税制調査会の方針が出された背景には、産業界、経済団体などからの強い要請があります。経済団体等は、あくまでこの環境税を経済の活力をそぐものとして反対する立場をとっています。しかし、果たして本当にこの環境税がそんなに経済の足を引っ張ることになるでしょうか。エネルギー源を化石燃料から新エネルギーなどに転換させるということには、長い目で見て、高い技術力を持った日本などの国ではむしろプラスになるといった見方があります。これは経済界の中からも漏れてくる声です。
先日、最年少で経済同友会の副代表監事に選任されたフューチャーシステムコンサルティングの金丸恭文さんを御紹介いただき、お会いしたのですが、そこでも同じような指摘がありました。二十一世紀の経営者は環境を意識せずに会社を存続させられない、環境問題に積極的に取り組むのは今の経営者の使命だと思う、逆に環境を意識することで大きなビジネスチャンスをつかめる時代であると話されていました。自動車産業などでも、低燃費車や低公害車など環境に配慮した車を開発することで、消費者から支持を得て競争力を高めている状況があります。
二十世紀の経営は環境にコストをかけるのはマイナスと考えていましたが、そういった主な主張国であったアメリカなどは環境技術でおくれをとり、一面では厳しい立場に立たされている現実があります。あくまで二十一世紀の経済は、単に環境を重視することでマイナスになるものではなく、逆に大きな利益につながる可能性があり、環境と経済の統合こそが二十一世紀の経済構造のベースになるとも指摘されているところです。また実際に、ここ最近のエネルギー価格の上昇局面で原油価格が二倍以上に値上がりしても日本の景気は後退することなく、経済も成長軌道に乗せられている状況を見ると、やはり短絡的に環境税が即座に経済にブレーキをかけるという議論には疑問符がつくものと思います。
さて、それでは国民の意識としてはどういった反応が出ているでしょうか。先月十一月二日の「日経産業新聞」で、環境税に関しての意識調査の結果が発表されていました。そこでは国民の環境税への関心は高く、「環境税を知っているか」という問いに対して、「よく知っている」二三・一%、「聞いたことはある」六三・五%と、認知度は九割に迫る勢いとなっています。また、「よく知っている」「聞いたことはある」と回答した人を対象に環境税導入の賛否を聞いたところ、「賛成」が六九・八%に達し、全回答者に占める割合でも七割近くの人が環境税の導入には賛成しているという結果が示されていました。ただし、その中で国民からの不信が向けられている先としては、「使い道が不透明」という答えが一番多く、三三%となっております。環境税の使途を明確にしておくことは、国民的な理解を得るためにも最低限の条件となるものであり、我々にとっても環境保全への財源配分を明示させることが大切です。
そこで、こういった状況を踏まえて幾つか質問させていただきたいと思いますが、まず環境税の成立は、これまで述べてきたように、和歌山にとっては非常に重要な意味を持つものであります。今後は、特に環境保全、森林整備に取り組む県単独の財政も厳しくなる中で、何としても環境税を早期に実現させていくことが望まれます。そこでは、あくまでこれを国の問題として横から眺めているのではなく、環境税の成立に向けてはこれまで以上に積極的に発言をしていくことが期待されます。
また、あわせて、今まさに環境税の議論が白熱する中で、これを何としても実現したい環境省としては、その成立の条件となる経済界との同意を得るために、税収は省エネ技術の開発支援などに充てるといった論調を強めています。そこでは、単に環境税で得た税収をバーターの取引でその多くを産業界に戻そうとする極端な意見も見受けられるようになっています。これは、私たち地方にとっては看過できない事態です。この環境税の問題を単に経済問題に矮小化されないよう、和歌山県も先頭に立って地方の意見を取りまとめて発言していくことが大切だと考えます。
そこで、まず知事にお伺いいたしますが、現状における環境税の議論についての認識、見通し、そしてそれへの対応についてどのように考えておられるのか、御所見をお聞かせ願いたいと思います。
あわせて、私は、環境税の成立に向けた後押しとその税の分配については、地方における当然の権利を強く主張していくべきだと考えます。今の時期では、法整備に係る国の議論に地方からどれだけの声が届くのかは不安ではありますが、しかし、環境税が先送りされる事態も想定される中で、少しでも将来につなげるためにもここで和歌山県なりの考えを明らかにして、しっかりと発言しておくことが非常に大切なことだと考えます。ぜひ和歌山県独自の主張を明確に打ち出すとともに、全国の知事会などを通じて国の環境税問題に積極的に発言していくことを期待しますが、あわせて知事の御所見を賜りたいと思います。
さて、続きまして、これも地域にとって大きな課題となっている地域の安全・安心を守る取り組みについて。
地域の安全・安心を守っていくことは町づくりの基本となるところですが、先日も、広島県、栃木県で立て続けに子供がねらわれる不幸な事件がありました。被害を受けられた子供さん、御関係の皆様には、心からお悔やみ申し上げます。私も小さな子供を抱える親として、このような事件を耳にするたびに本当にやりきれない気持ちがします。何としても私たちの努力で安全・安心な町を築いていかなくてはいけないと思います。
さて、こういった凶悪な事件が起こるたびに地域住民の不安も高まり、安全・安心を求める声が大きくなります。しかし、本質的には、そのような凶悪犯罪が起こったときだけ急場の対処を行うのではなく、日常から防犯に対しての積極的な取り組みが望まれます。そこでは、治安を守るべきかなめとなる警察の努力に期待するわけですが、同時に地域社会全体として防犯力を高める必要があるのだと思います。
そこで、今回は、地域の安全・安心を守るためにどのようにして防犯力を高めていくのかといったことについて、幾つかの提案と質問をさせていただきたいと思います。
さて、今まで日本は治安のよい安全な国だという印象を国内外で持たれてきました。しかし、最近では、テレビや新聞を見ても凶悪犯罪が毎日のように報道されており、この和歌山でも例に漏れず凶悪な事件が発生する状況となっています。先日も、和歌山市の盛り場で、週末夜、たくさんの人出がある中で発砲事件が起こりました。近くを歩いていた一般の方も巻き添えとなり流れ弾が当たるという報道を見て、これには多くの人が驚き、恐怖を感じたものと思います。
町の繁華街、盛り場は、やはり安全・安心に遊べてこそ町の魅力となるものであり、県外からの大切なお客様、来訪者に対しても危険なイメージを持たれることは、地域にとって大きなマイナスとなります。あくまで、住んでみたい、行ってみたい町の条件は、安全・安心に生活ができ、訪れることのできるのが一番の条件であり、各種の町づくり政策は安全・安心の上に成り立っています。
ちなみに、和歌山での犯罪の発生件数を調べてみると、この十年間で全国的には増加していながらも、和歌山県では、平成十三年に戦後最高の二万四千件を超えた後、少しずつ減少していて、現在は一万八千件となっています。これは非常に喜ばしいことであり、警察の努力には敬意を表しますが、しかし、ここで気を緩めることなく、さらに治安をよくし、住民の安全・安心を守っていってもらいたいと思います。
そこで、まず新たに警察本部長に就任された辻本部長から、和歌山の現状における犯罪発生状況の認識と、あわせて治安の維持向上に向けたお考え、決意などについてお聞かせいただきたいと思います。
さて、平成十六年度版の「警察白書」では、「地域社会との連帯」と題する特集が組まれています。そこでは、治安回復のかぎは警察の諸活動を地域社会と密着したものとし、また、いかにして国民が自主的に行う防犯活動を促進していけるかだとされています。そのための取り組みとして、地域住民と警察との協働の事例を紹介することとあわせて、交番機能の強化や自主防犯活動の支援等の新たな取り組み例が数多く示されていました。その中で、特に私は交番・駐在所に係る問題について提案をさせていただきたいと思います。
「警察白書」でも、今後は交番機能の強化を積極的に図っていくこととしています。これは政府でも、犯罪対策閣僚会議が平成十五年十二月に策定した犯罪に強い社会の実現のための行動計画において交番機能の強化を掲げ、政府を挙げて取り組むものとしています。こういった方針に沿って、多くの自治体でも交番機能をこれまで以上に強化していくことが検討されています。
そんな中で、交番の再整備、再配置、並びに交番機能の充実として交番相談員などへの対応についてお伺いしたいと思います。
町は生き物であり、その時代、時代によって人の住む場所、集まる場所、また商売が活発に行われる地域など、そのあり方を変えていきます。そういった中では、当然交番・駐在所の所在地についても、新しく変化する町の実情に合わせて配置がえしていくべきだと考えます。
一例として、先ほど発砲事件のところでも触れましたが、和歌山市内の繁華街、盛り場で考えてみると──これはお手元に少し資料を配らせていただいているんですけれども、和歌山を代表する最大の歓楽街である新内というのが大体この赤い印で示されているんですけれども、その周辺には四つの交番が配置されています。その中でも一番中心となるのが、向かって一番左側、真ん中の左側にある大新公園の交番になるんですけれども、しかしながら、この盛り場をケアする交番としてほとんど人通りのないところに置かれているということについては率直に疑問を感じます。──これ、写真を撮ったのは夕方になるんですけれども、夜の写真も撮ったんですが、余り腕前がよくなかったんで、うまく写すことができませんでしたので、ちょっとこの夕方の写真で御確認いただきたいんですけれども──もともと人通りがそんなに多いところでもない、繁華街の盛り場の中心からも外れているというところに立地しております。
そういった状況というのを確認してくる中で、私も現場に立って状況も確認してきたのですが、とにかくこれでは、盛り場から緊急の要請があっても距離があり過ぎてすぐに駆けつけることはできません。また、あわせて、これは防犯上の観点からも検討の余地があると思います。
他の町を比較して考えてみると、多くの地方の中核都市などでは、盛り場の中心に交番を据えて外から来るお客様にも安心感を与えています。和歌山の場合も、昔は大新公園の交番が盛り場の中心にあり、その機能を担っていたようですが、しかし今、時は流れて、盛り場の中心も東に大きく移動しています。よって、現状であれば、図の中でもちょっと示しております柳通り沿いなど──赤い印を入れておりますけれども──その新内の真ん中あたりに配置できれば大きな効果があるものと期待します。これは、強く要望しておきたいと思いますが、そのほか、県下全域をとらえて、この交番・駐在所の配置の見直しについて、いま一度御検討いただきたいと思いますが、本部長のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
また、この交番の件でもいろいろ勉強させていただく中では、人員の問題も検討する余地がありそうです。現在、県としては県庁全体で人員を減らす中でも、警察だけは増員していく方向で取り組んでもらえています。これは私も歓迎すべきことだと思いますが、しかし、新人採用をどんどんふやしていく対応だけで済ましていくということには限界があります。そこでは、警察業務を補助していただける非常勤扱いの、例えばOBの方などの配置についても、より一層積極的に取り組んでいくことが大切だと考えます。
今年度以降、特に和歌山県警の退職者数については、年間百名前後の大量退職者が見込まれていて、向こう十年間で、県内で勤務するすべての警察官の約四割が入れかわることが予測されています。そこではベテランの人たちが続々と引退することになり、これまでの経験という貴重な財産も失われてしまう可能性があります。そういった視点も含めて、退職された方を各交番などに配置して交番相談員といった形でお手伝いいただく中で、その経験、知識を若い警官に受け継いでいくことは非常に重要な取り組みだと考えます。
そこで、これまでも相談員といった形でOBの再雇用を図ってきているようですが、その効果をどのように考えておられるでしょうか。また、交番相談員を増員し、交番業務を強化する取り組みと、あわせて警察OBの再雇用に係る今後の人員確保の計画、見通しといったことについて、これも警察本部長から御答弁をお願いしたいと思います。
次に、民間交番の設置についてお尋ねいたします。
この民間交番とは、警察と地域の防犯協会、地域住民などが協力してパトロール活動などを行う場合の拠点施設となるものであり、全国でも数多く設置されています。警察官や地域住民が立ち寄って地域における犯罪、事故等に関する情報の交換を行うとともに、地域の防犯力強化に大きな効果があると言われています。
私は、今後、地域の防犯力を住民の皆さん、各種団体の力もかりながら高めていくためには、この民間交番といったものは非常に有効なものだと考えますが、まだ和歌山県では設置の例がないようです。この民間交番の設置について、あわせて警察本部長よりお答えいただきたいと思います。
この質問の最後に、今後は警察だけに頼らず地域社会全体でどのように防犯力の向上に取り組んでいけるのかが問われるものとなっている中で、現在、和歌山県では、住民、行政、そして警察も協力する形で、和歌山県安全・安心まちづくり条例といったものを制定し、地域の防犯力を高めていこうとしています。
この和歌山県安全・安心まちづくり条例については、先日、パブリックコメントによる県民からの意見集約も終わり、現状では条例制定に向け急ピッチで作業を進めているものと思いますが、この条例は地域全体として安全・安心な町づくりに取り組む一つの指針となるもので、非常に重要なものだと私自身考えていますが、その進捗状況とあわせて、今後の条例制定に向けた見通しなどその概略について、これは担当である環境生活部長から御説明願いたいと思います。
さて、最後の質問です。
産業振興に係る提案として、マーケティング部門の積極的な活用から産業振興財団の充実について。
この十二月議会では、来年春の組織がえを前にして組織の変更を考える上では非常に大切なタイミングとなりますので、この機会をとらえての質問とさせていただきます。
これまでマーケティングに関する和歌山県の取り組みは、その設置の先見性と配属されている職員さんの頑張りを見る中では、率直に感心し、評価しているところです。そもそも「マーケティング」とは、商品、サービスを市場へ流すための企業活動を広く指す用語であり、「マーケティングリサーチ」「市場調査」などは日常的にもよく耳にする言葉です。特に今の時代に、サービス、製品を提供する側の論理ではなく消費者サイドに立った視点がますます重要になってくる中ではこれまで以上に力を入れていく必要があり、民間企業などでは、今、一生懸命マーケティングの強化に取り組んでいるところでありますけれども、民間企業のみならず民間企業のお手伝いをする行政にとっても、今後その重要性はさらに大きなものとなります。
今、マーケティングに対する期待がますます大きくなる中で、各自治体においても、競ってその取り組みが強化されようとしています。
兵庫県では、ひょうご産業活性化センターというものを設置している中で、ことしの六月、神戸市内で中小企業の商品開発、販路拡大を支援するための会議を開き、マーケティングに力を入れていくことを確認しています。そこでは、商社、メーカーのOBや中小企業診断士ら約百人をマーケティングナビゲーターとしてセンターに登録して、県内の中小企業に販売代理人として紹介する仕組みを検討しているとのことです。
また、石川県産業創出支援機構などでは、二〇〇五年度から、販路開拓を希望する県内中小企業を一社ごとに個別支援する事業を始めています。従来の見本市や商談会への参加促進、販促経費補助などでは、まだまだ取り組みが十分ではないとの認識に立って、製品や事業分野の特性に合わせて、よりきめ細かく支援する体制をつくっています。
さて、このように各自治体でもマーケティングに関連する取り組みが加速されようとする中で、和歌山県のこれまでの取り組みは時代を先取りしたもので、時宜を得たものであったと考えますが、しかし、そろそろ中身も見直す時期に来ているようです。現在、県庁内でもこのマーケティング部門の今後のあり方についてはいろいろと議論されているものとは思いますが、私自身としては、その企画立案部門と実施部隊については区分して、特に実施部隊については民間に近いところで、もっと効果的に活動できるよう切り離していくことが大切だと考えています。
あくまで県としては、職員みずからが専門家になれるわけではなく、また県庁自体が商社となるものではありませんから、マーケティングの専門的な知識、経験を持った民間人の力をかりる方策に知恵を絞り、県内の中小事業者の皆さんをどのようにつなげていくのかということをもっと戦略的に考えていくべきだと考えます。
そこで質問ですが、今回はマーケティング担当課と産業振興財団の連携について、この一点に絞り提案をさせていただきます。
今後は、このマーケティング担当課について、これを県庁内の一つの部署として置いておくのではなく、より外向きに機能させていくことが大切だと考えます。そこでは、外部との接触をよりスムーズに図れる場所として産業振興財団の中にマーケティングを持っていき、さらに有効、効果的な役割を果たしてもらいたいと期待するところです。
前回の議会でもお話ししたように、現在、汀丁の経済センタービルにある産業振興財団は、民間の優秀な人材を得て、その活動を一気に広げているところです。そんな中で、新たにこのマーケティング機能を財団内に移し、産業振興を図る拠点としての位置づけをより明確にしていくことを望みます。あわせて、民間から有能なマーケティングの専門家である人材を受け入れ、もしくは、そういった外部の人材を活用する方策を検討することで産業振興財団の役割も増し、大きな成果が得られるものと思いますが、いかがでしょうか。これは、商工労働部長から御答弁をいただきたいと思います。
以上で、私の一問目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○副議長(大沢広太郎君) ただいまの山下大輔君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 県の環境問題への取り組みについての御質問ですが、こういうふうな時代でございますので、和歌山県はこれから観光体験・環境体験と、K・K体験で行こうかというふうに思っているところでございます。
そういう中で、緑の雇用というふうな事業を進めてきまして、そしてまた企業の森ということ、こういうふうな和歌山県が持っている森林というものに着目して、これを環境保全の観点から一つの大きな施策にしていこうということでいろいろ成果を上げてきたところでございます。
そしてまた、これにあわせて、ちょうど時期的にも高野・熊野が世界遺産に登録され、そして最近では串本のサンゴがラムサール条約に登録されるということで、こういうふうな施策とそういうふうな自然環境とがちょうどうまくマッチして、和歌山県が環境の県というふうなことをこれからもっと押し出していけるような素地が整ってきたのではないかと思っております。
そういうことで、例えば企業の森制度については、ただ単に企業に和歌山に山を持ってもらうというふうな今までのことから、さらに広げて、その活動というものが、どれぐらいのCO2の吸収量になっているのかということを県として公的に認定するような制度をつくってもっと多くの企業の参画を求めていくことや、それから、緑の雇用についても、もともとは非常に雇用不安があった時期に、その中山間で、山の仕事で雇用をつくるというふうな観点から出発したわけですが、経済情勢が変わってきたというふうな中で、むしろ積極的な環境維持の担い手としての緑の雇用というふうに徐々に考え方の重点というふうなものを移していって、経済が立ち直った時代にもなお非常に大事な緑の雇用であるというふうな方向へ持っていきたいと、このように思っているところでございます。
次に、環境税についてでございますが、環境税については、御案内のように昨年度から環境省が導入に向けていろいろやっているんですけども、産業界との対立が相変わらず解けないで、なかなか導入にまではいかないというふうなところです。
石油製品に課税するということを考えているわけで、今、石油がどんどん値上がりしているというふうなことの中から、そういう意味では非常に環境が悪いというふうなこともあるのかもしれませんけども、いずれにせよ、この税がCO2吸収源対策ということを大きな柱の一つにしているということから考えると、和歌山県なんかが進めている企業の森とか緑の雇用とか、こういうふうな施策と非常にマッチしてくるというふうなこともありますので、環境税については、これが導入されることになった場合、地方へ大きな財源として移されるような形のものになるような努力というふうなことをしていかなければならないし、そしてまた、配分されるということになった場合には、例えば森林の面積とかそういうふうなもの、いわゆる環境に大きな影響のあるものを基準として配分されるような仕組みというふうなものもこれから積極的に提言していきたいと、このように思っております。
○副議長(大沢広太郎君) 農林水産部長西岡俊雄君。
〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 森林環境保全に係る施策の整理、再編についてでございますが、議員お話しのように、国におきましては、平成十三年度に森林・林業基本法を制定し、森林の重視すべき機能として水源涵養、生活環境保全、木材等生産の三つを掲げ、それぞれに応じた適切な森林整備を推進する政策へと再構築をされたところでございます。
これを受けまして、本県におきましても、森林の公益的機能の発揮のため、水土保全林整備事業を重点的に取り組み、そのうちの水源涵養機能の保全に重点的に努めてまいるとともに、先ほど知事も申されておりましたが、緑の雇用事業等による環境林整備をあわせ推進をしているところでございます。
そうした中で、議員御承知のように、歴史・文化遺産周辺の森林環境の保全でありますとか人工林の混交林化、また広葉樹林化を図り環境保全に貢献する森づくりに取り組んでいるところでございます。
このように、これまでも事業の見直しや重点配分を図り、林業施策に取り組んでまいったところでございますけれども、今後とも事業の見直しもあわせ行いつつ森林の環境保全に向けたさまざまな取り組みを展開し、森林の持つ多面的な機能の発揮に努めてまいりたい、このように考えてございます。
以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 環境生活部長楠本 隆君。
〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 安全・安心まちづくりの条例案についてお答えを申し上げます。
議員の御質問にもありましたように、昨今のさまざまな事件、これらを見るときに、改めて県民の安全・安心の確保、これの重要性を認識しているところでございます。現在、各分野の有識者から成る和歌山県安全・安心まちづくり条例検討委員会を設置いたしまして、これまで種々御議論をいただいているところでございます。
この条例案の目指すべきところは、家庭や地域における相互扶助の精神、あるいは自主的な防犯活動等による良好な地域社会の形成を基本理念といたしまして、安全で安心して暮らせるという県民共通の願いについて、警察力での防犯活動の強化のみならず、行政、県民、地域活動団体及び事業者が連携して推進しようとするものでございます。具体的には、学校、通学路等の児童生徒の安全の確保、あるいは高齢者や障害者等の見守り、安全に配慮した環境の整備など、ハード、ソフト両面から取り組むことを内容とする予定でございます。
進捗状況につきましては、去る十月にパブリックコメントを実施いたしまして、そこでの御意見を参考に最終条例案を取りまとめた上、来年二月議会に上程し、御審議をいただく予定でございます。
以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 商工労働部長下 宏君。
〔下 宏君、登壇〕
○商工労働部長(下 宏君) 議員御提案の県産品の販路開拓における専門的なノウハウの導入につきましては、極めて重要だと認識をしてございます。そのため、現在、県職員を、流通小売業最大手で、しかも商品の品質管理等に極めて厳しいイトーヨーカ堂に業務派遣をし、マーケティングノウハウの習得に努めてございます。さらに、商品開発、流通、販売促進、デザイン等の専門家をアドバイザーとして県内の生産・製造業者に派遣をしますアドバイザー派遣事業もあわせて実施をいたしております。
現在、わかやま産業振興財団では県内中小企業の支援機関として中核的な役割を果たしており、県産品のマーケティング強化につきましても、そうした実践機関で、しかも、できるだけ生産者に近いところでその強化を図ることは大変重要なことと考えてございます。
これまで、ブランド推進局と財団では、合同商談会の開催や定期的な情報交換会議など緊密な連携を図り、一体的な取り組みを行ってきております。今後とも、県産品の販路の開拓、拡大及びブランドの確立のため、関係機関との連携をより一層強化するとともに、そのための組織体制についても検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 警察本部長辻 義之君。
〔辻 義之君、登壇〕
○警察本部長(辻 義之君) まず、本県の現状における犯罪発生状況についてお答えいたします。
ただいま議員からもございましたが、平成十年に初めて二万件を超えました刑法犯認知件数ですが、平成十三年にピークを迎えました後、年々減少し、平成十六年では一万八千七百四件、平成十七年、本年十一月末現在では一万五千三百三十二件となっております。しかしながら、刑法犯認知件数は減少しているとはいえ、昭和の水準と比較いたしますと依然として高い水準にあることには変わりがございません。
また、九月二十六日に発生いたしました阪和自動車道における連続エアガン発砲事件や十月二十二日に新内で発生した銃器使用殺人未遂事件など、多くの県民に不安感を抱かせる事件が依然と発生しております。
さらに、最近では、広島県、栃木県で相次いで子供が犯罪の被害者となる事件が発生しておりますが、最近公表されましたわかやま県民意識調査の結果を見てみましても、県民が不安に感じる犯罪として子供に対する虐待やわいせつ事件が第一位に挙げられており、この種の事案に対する県民の関心の高さをうかがわせております。
そこで、警察といたしましては、治安の回復に対する県民の期待と信頼にこたえるため、力強い警察を構築し、安全で安心な和歌山を目指していきたいと考えております。
さきに述べましたエアガン発砲事件及び銃器使用殺人未遂事件につきましては既に検挙いたしておりますが、今後とも悪質、重要な犯罪の徹底検挙に取り組むとともに、地域住民や関係機関、ボランティア団体等と協力した子供の安全確保や繁華街対策等に取り組み、県民の不安感を一掃することに全力を挙げてまいりたいと思います。
次に、県下の交番・駐在所の配置見直し等についてお答えいたします。
これらの見直しにつきましては、地域の治安情勢やその推移、隣接する交番・駐在所・警察署からの距離関係、耐用年数や建設地としての適地の確保などを総合的に勘案しながら進めております。
議員御指摘の和歌山市内の繁華街を受け持つ新内周辺地区は、現在、大新交番を含め四つの交番で事件・事故に対応しているところであります。特に事犯の抑止と早期検挙を主眼に、事件・事故が集中する夜間には、隣接交番との合同による制服警察官のパトロール強化やパトカーの集中運用に努めています。また、発生した事犯等に応じて、隣接する警察署からの支援体制や機動捜査隊、機動遊撃隊などの機動力を生かして警戒態勢等の一層の強化を図っているところであり、同地区内における刑法犯の認知件数は、平成十三年をピークに大幅な減少を見ているところ──具体的には、十三年、千九十件が、昨年、十六年は六百二十七件となっておりますが、そういう状況にございます。
いずれにいたしましても、交番・駐在所の配置見直しにつきましては、先ほど申し上げました諸事情を勘案しつつ適切に対応してまいりたいと考えております。
次に、御質問の交番相談員についてお答えいたします。
現在、交番相談員は、県下十四警察署、四十四交番に四十九人配置いたしております。まず、配置の効果につきましては、パトロール等のため警察官が不在がちになり不便をおかけいたしておりましたけれども、交番相談員の対応によりまして地域の方々から好評を得ているところでありまして、交番機能の強化の一翼を担っていただいております。
また、議員御指摘のとおり、交番相談員の方々には、豊富な警察経験等を生かした青年警察官に対する伝承教育など、現場における育成指導についても貢献していただいております。
交番相談員につきましては、本年度は十三人の増員をいただきましたが、平成十八年度、平成十九年度にも同規模の増員をお願いしていきたいというふうに考えております。
続きまして、いわゆる民間交番についてお答えいたします。
自主防犯団体の活動拠点や地域の駆け込み寺的な存在として、全国的には、東京都を初め数県で、廃止の交番・駐在所や空き店舗及び自治体などが建設した施設を活用して設置されていると承知いたしております。この施設は、地域住民や警察官が立ち寄って、事件・事故に関する情報交換や情報の発信活動のほか、自主防犯団体の待機場所などとして活用されており、地域の安全・安心ステーションとして貢献しているものと認識しております。
本県につきましては、「民間交番」という名称は使われておりませんが、現在、県下には百二十九の自主防犯組織があり、それぞれ市役所の支所や公民館などの自治体施設や地域の集会所などを拠点として、情報交換、情報発信、集合・待機場所などとして有効に活用されております。
警察といたしましては、これら活動拠点に対する立ち寄り、事件・事故に関する情報の提供及び自主防犯団体との合同パトロールなど、今後とも積極的な支援活動を行ってまいりたいと考えております。
また、民間の防犯力をより高めるために、各自主防犯団体等と協議しながら民間団体の拠点整備についても今後検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。──この際、申し上げます。発言時間は残り二分十九秒であります。再質問を許します。
〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(大沢広太郎君) 以上で、山下大輔君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後二時四十三分散会